(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】カラオケ装置、電子打楽器装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240213BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
G10H1/00 A
(21)【出願番号】P 2020109960
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政之
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-57727(JP,A)
【文献】特開2007-271817(JP,A)
【文献】特開平6-332485(JP,A)
【文献】特開2001-228866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作子を有する電子打楽器装置と通信可能に接続されたカラオケ装置であって、
利用者の出身地情報を取得する取得部と、
取得した前記出身地情報に基づいて、放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する決定部と、
前記電子打楽器装置から前記操作子の操作に応じた演奏情報を受信した場合、演奏手段を制御し、当該演奏情報及び決定した前記音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成させる信号生成部と、
前記演奏手段を制御し、生成された前記打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合して放音手段に出力させる信号処理部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
カラオケ演奏を行う楽曲を予約する予約部を更に有し、
前記取得部は、前記予約部により予約された楽曲の楽曲データに含まれる、当該楽曲が作曲された場所を示す作曲地情報に基づいて前記出身地情報を取得することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記決定部は、一の前記出身地情報に基づいて複数の音色情報を決定し、
前記信号生成部は、前記電子打楽器装置から複数の操作子それぞれの操作に応じた演奏情報を受信した場合、操作子毎に異なる音色情報に基づく前記打楽器演奏音信号を生成させることを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ装置。
【請求項4】
操作子を有する電子打楽器装置であって、
利用者の出身地情報を取得する取得部と、
取得した前記出身地情報に基づいて、カラオケ装置から放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する決定部と、
前記操作子が操作された場合、音源手段を制御し、当該操作に応じた演奏情報、及び決定した前記音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成し、カラオケ装置に対して送信する信号送信部と、
を有する電子打楽器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置、及び電子打楽器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ店舗には、マラカス、タンバリン等の打楽器が常備されている。利用者がカラオケ演奏に合わせて打楽器を使用することにより、カラオケ歌唱の場を盛り上げることができる。
【0003】
ところで、カラオケ事業者は、日本を訪れる外国人のカラオケ店舗への誘致に注力している。外国人同士でカラオケ歌唱を行う際、自国や地域でよく使用される打楽器、すなわち自らが慣れ親しんだ音色の音を発する打楽器を使用することができれば、カラオケ歌唱の場をより楽しむことが可能となる。
【0004】
一方、打楽器は国や地域によって様々な種類が存在するため、一のカラオケ店舗であらゆる国や地域の打楽器を常備することは困難である。
【0005】
ここで、特許文献1には、カラオケ装置用の電子打楽器装置が開示されている。このような電子打楽器装置であれば、予め様々な音色の打楽器音を搭載しておくことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の電子打楽器装置を利用して様々な音色の打楽器音を準備したとしても、利用者自らが電子打楽器装置を操作し、打楽器音を選択しなければならない。このような操作は、初めてカラオケ店舗を訪れた外国人や、電子打楽器装置を使用したことがない外国人にとっては困難である。
【0008】
本発明の目的は、電子打楽器装置の操作に不慣れな利用者であっても、慣れ親しんだ音色の打楽器音を楽しむことが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一の発明は、操作子を有する電子打楽器装置と通信可能に接続されたカラオケ装置であって、利用者の出身地情報を取得する取得部と、取得した前記出身地情報に基づいて、放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する決定部と、前記電子打楽器装置から前記操作子の操作に応じた演奏情報を受信した場合、演奏手段を制御し、当該演奏情報及び決定した前記音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成させる信号生成部と、前記演奏手段を制御し、生成された前記打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合して放音手段に出力させる信号処理部と、を有するカラオケ装置である。
また、上記目的を達成するための一の発明は、操作子を有する電子打楽器装置であって、利用者の出身地情報を取得する取得部と、取得した前記出身地情報に基づいて、カラオケ装置から放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する決定部と、前記操作子が操作された場合、音源手段を制御し、当該操作に応じた演奏情報、及び決定した前記音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成し、カラオケ装置に対して送信する信号処理部と、を有する電子打楽器装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子打楽器装置の操作に不慣れな利用者であっても、慣れ親しんだ音色の打楽器音を楽しむことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るカラオケシステムを示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る音色テーブルを示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例2に係る音色テーブルを示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る電子打楽器装置を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る電子打楽器装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1~
図4を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0013】
==カラオケシステム==
図1に示すように、カラオケシステム1は、カラオケ装置K及び電子打楽器装置EP1を含む。カラオケシステム1は、たとえば、カラオケ店舗の部屋毎に設置される。
【0014】
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、リモコン装置50、及び撮影手段60を備える。
【0015】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20は、カラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。スピーカ20は、「放音手段」の一例である。表示装置30は、カラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は、利用者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。撮影手段60は、カラオケ装置Kが設置されている部屋内の利用者を撮影可能なカメラである。
【0016】
電子打楽器装置EP1は、打楽器の演奏を疑似的に行うための装置である。電子打楽器装置EP1は、操作用のボタン等、少なくとも1つの操作子を有する。利用者が操作子を操作することにより、カラオケ装置Kから所定の音色の打楽器音が放音される。
図1に示す電子打楽器装置EP1は、2つの操作子(操作子Op1、操作子Op2)を有する。本実施形態に係る電子打楽器装置EP1は、たとえば、MPD218(AKAI Professional社製)を用いることができる。
【0017】
電子打楽器装置EP1とカラオケ装置Kとは有線または無線で通信可能に接続される。たとえば、MIDIケーブルを用いて接続を行う場合、電子打楽器装置EP1のMIDI OUT端子と、カラオケ装置KのMIDI IN端子とが有線で接続される。
【0018】
利用者が操作子を操作した場合、電子打楽器装置EP1は、当該操作を検出し、演奏情報としてカラオケ装置Kに送信する。電子打楽器装置EP1とカラオケ装置KとがMIDIケーブルで接続されている場合、電子打楽器装置EP1は、演奏情報をMIDI形式のデータで送信する。
【0019】
==カラオケ装置==
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0020】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0021】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を採点するためのデータである。
【0022】
記憶手段10aは、各楽曲に対応する歌詞テロップをカラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させるための歌詞テロップデータ、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データ、及び楽曲の属性情報を記憶する。また、本実施形態において、記憶手段10aは複数の打楽器音それぞれに対応する音色パラメータを記憶している。
【0023】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50や電子打楽器装置EP1との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0024】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理等を行う。演奏手段10dは、シンセサイザのような音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0025】
たとえば、音源は、伴奏データに基づいてカラオケ演奏音信号を生成し、ミキサに出力する。ミキサは、カラオケ演奏音信号と歌唱音声に基づく歌唱信号と混合し、放音信号としてアンプに出力する。アンプは、放音信号を増幅し、スピーカ20に出力する。スピーカ20は、放音信号に基づいてカラオケ演奏音及び歌唱音声を放音する。
【0026】
また、本実施形態において、音源は、制御手段10eの制御に基づいて打楽器演奏音信号を生成する。ミキサは、制御手段10eの制御に基づいてカラオケ演奏音信号と打楽器演奏音とを混合し、放音信号としてアンプに出力する(詳細はいずれも後述)。
【0027】
なお、演奏手段10dは、カラオケ演奏音信号を生成するための音源と、打楽器演奏音信号を生成するための音源とを別々に備えていてもよい。
【0028】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0029】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、取得部100、決定部200、予約部300、信号生成部400、及び信号処理部500として機能する。
【0030】
(取得部)
取得部100は、利用者の出身地情報を取得する。出身地情報は、国籍(インド、中国、ベトナム等)や地域(アフリカ、中南米、中東等)等、利用者の出身国や出身地域を示す。
【0031】
出身地情報の取得は様々な方法で行うことができる。たとえば、撮影手段60は、カラオケシステム1が設置されている部屋に入室した利用者を撮影して得られた画像データをカラオケ本体10に出力する。撮影手段60による撮影は、入室時、楽曲の予約時等、所定のタイミングで行われる。
【0032】
取得部100は、受信した画像データを解析することにより利用者の国籍を特定し、出身地情報として取得する。画像データの解析による国籍の特定は、たとえば、特開2019-113520号公報に記載された技術を用いることができる。
【0033】
或いは、取得部100は、マイク40に入力された利用者の音声を解析し、利用者が使用する言語に基づいて出身地情報を取得してもよい。また、取得部100は、リモコン装置50の表示言語を選択した場合の入力情報に基づいて出身地情報を取得してもよい。更に、取得部100は、上記の方法を組み合わせることにより、利用者の出身地情報をより正確に取得することが可能となる。なお、利用者が使用する言語または表示言語に基づいて出身地情報を取得する場合、撮影手段60は不要である。
【0034】
取得部100は、取得した出身地情報を決定部200に出力する。
【0035】
なお、利用者が複数いる場合、取得部100は、少なくとも1名の出身地情報を取得することでよい。
【0036】
(決定部)
決定部200は、取得した出身地情報に基づいて音色情報を決定する。音色情報は、放音手段が放音する打楽器演奏音の音色を示す。
【0037】
具体的に、決定部200は、取得部100から出力された出身地情報Nをもとに、予め設定されている音色テーブルを参照し、音色情報Tを決定する。決定された音色情報Tに基づき、信号生成部400(後述)は、記憶手段10aから対応する音色パラメータを読み出す。
【0038】
図3は、音色テーブルの一例である。たとえば、取得部100から出力された出身地情報が「インド」であった場合、決定部200は、
図3の音色テーブルを参照し、音色情報として「タブラ」を決定する。
【0039】
(予約部)
予約部300は、カラオケ演奏を行う楽曲を予約する。たとえば、利用者がリモコン装置50を介してある楽曲を選曲したとする。この場合、予約部300は、選曲された楽曲の楽曲IDを予約待ち行列に登録することで楽曲の予約を行う。
【0040】
(信号生成部)
信号生成部400は、電子打楽器装置EP1から操作子の操作に応じた演奏情報を受信した場合、演奏手段10dを制御し、当該演奏情報及び決定した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成させる。打楽器演奏音信号は、放音手段から打楽器演奏音を放音するための信号である。
【0041】
具体的に、利用者がカラオケ演奏に併せて電子打楽器装置EP1の操作子Op1または操作子Op2を操作した場合、電子打楽器装置EP1は、操作に応じた演奏情報PIをカラオケ装置Kに送信する。演奏情報PIを受信した場合、信号生成部400は、音源を制御し、演奏情報PI及び音色情報Tに対応して読み出した音色パラメータに基づいて打楽器演奏音信号ISを生成させる。更に、信号生成部400は、音源を制御し、生成した打楽器演奏音信号ISをミキサに出力させる。
【0042】
(信号処理部)
信号処理部500は、演奏手段10dを制御し、生成された打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合して放音手段に出力させる。カラオケ演奏音信号は、放音手段からカラオケ演奏音を放音するための信号である。カラオケ演奏音信号は、ある楽曲のカラオケ演奏に伴い、当該楽曲の伴奏データに基づいて音源で生成される。
【0043】
具体的に、音源からミキサに打楽器演奏音信号IS及びカラオケ演奏に伴うカラオケ演奏音信号KSが出力されたとする。この場合、信号処理部500は、ミキサを制御し、打楽器演奏音信号ISとカラオケ演奏音信号KSとを所定のバランスでミキシングさせた放音信号を生成させ、スピーカ20に出力させる。スピーカ20は、打楽器演奏音信号ISに基づく打楽器演奏音とカラオケ演奏音信号KSに基づくカラオケ演奏音を放音する。
【0044】
なお、カラオケ歌唱中に操作子が操作された場合、信号処理部500は、ミキサを制御し、打楽器演奏音信号IS、カラオケ演奏音信号KS、及びカラオケ歌唱に基づく歌唱信号SSを所定のバランスでミキシングさせた放音信号を生成させ、スピーカ20に出力させる。スピーカ20は、打楽器演奏音信号ISに基づく打楽器演奏音、カラオケ演奏音信号KSに基づくカラオケ演奏音、及び歌唱信号SSに基づく歌唱音声を放音する。
【0045】
==カラオケ装置における処理について==
次に、
図4を参照して本実施形態に係るカラオケ装置Kにおける処理について述べる。
図4は、カラオケ装置Kにおける処理を示すフローチャートである。カラオケ装置Kは、電子打楽器装置EP1と通信可能に接続されている。この例では2人の利用者U1及び利用者U2がカラオケ店舗を訪れ、カラオケシステム1が設置されている部屋に案内されたとする。また、利用者U1及び利用者U2は、同じ国籍を有するとする。
【0046】
撮影手段60は、入室した利用者を撮影し、画像データをカラオケ本体10に出力する。取得部100は、画像データに基づいて利用者の出身地情報を取得する(出身地情報を取得。ステップ10)。なお、上述の通り、この例では利用者U1及び利用者U2の国籍は同じである。よって、取得部100は、いずれの利用者を撮影して得られた画像データを用いても同じ出身地情報を取得する。
【0047】
決定部200は、ステップ10で取得した出身地情報に基づいて、打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する(音色情報を決定。ステップ11)。
【0048】
ここで、利用者U1がリモコン装置50を介して楽曲Xを選曲したとする。予約部300は楽曲Xの予約を行う(楽曲Xを予約。ステップ12)。
【0049】
カラオケ装置Kは、楽曲Xの楽曲データを読み出し、演奏手段10dを制御してカラオケ演奏を開始する(楽曲Xのカラオケ演奏を開始。ステップ13)。カラオケ装置Kのスピーカ20は、カラオケ演奏音を放音する。利用者U1は、カラオケ演奏音に併せてカラオケ歌唱を行う。
【0050】
一方、利用者U2が、楽曲Xのカラオケ演奏中に電子打楽器装置EP1を操作したとする(ステップ14でYの場合)。この場合、電子打楽器装置EP1は、利用者U2の操作に伴い、演奏情報をカラオケ装置Kに送信する。
【0051】
電子打楽器装置EP1から演奏情報を受信した場合、信号生成部400は、演奏手段10dを制御し、受信した演奏情報、及びステップ11で決定した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成させる(打楽器演奏音信号を生成。ステップ15)。
【0052】
信号処理部500は、演奏手段10dを制御し、ステップ15で生成された打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合し、放音信号をスピーカ20に出力させる。スピーカ20は、放音信号に基づいて、打楽器演奏音及びカラオケ演奏音を放音する(打楽器演奏音をカラオケ演奏音に混合して放音。ステップ16)。
【0053】
カラオケ装置Kは、楽曲Xのカラオケ演奏が終了するまで(ステップ17でYの場合)、ステップ14からステップ16の処理を繰り返し行う。
【0054】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、操作子を有する電子打楽器装置EP1と通信可能に接続されている。カラオケ装置Kは、利用者の出身地情報を取得する取得部100と、取得した出身地情報に基づいて、放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する決定部200と、電子打楽器装置EP1から操作子の操作に応じた演奏情報を受信した場合、演奏手段10dを制御し、当該演奏情報及び決定した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成させる信号生成部400と、演奏手段10dを制御し、生成された打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合してスピーカ20に出力させる信号処理部500と、を有する。
【0055】
このようなカラオケ装置Kによれば、利用者の出身地情報に基づいて音色情報が自動的に決定される。従って、カラオケ装置Kは、電子打楽器装置を使用する利用者の操作に伴って、その利用者が慣れ親しんだ音色の打楽器音を放音することができる。また、利用者は、電子打楽器装置の操作子を操作するだけでよいため、操作に不慣れな利用者であっても、気軽且つ容易に使用することができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、電子打楽器装置の操作に不慣れな利用者であっても、慣れ親しんだ音色の打楽器音を楽しむことができる。
【0056】
<変形例1>
カラオケ装置Kは、予約された楽曲が作曲された場所に基づいて、利用者の出身地情報を取得することも可能である。
【0057】
本変形例において、記憶手段10aが記憶する楽曲データは作曲地情報を含む。作曲地情報は、楽曲が作曲された場所を示す。たとえば、中国で作曲された楽曲Yの楽曲データには、作曲地情報「中国」が含まれている。
【0058】
ここで、たとえば利用者U3がリモコン装置50を介して楽曲Yを選曲したとする。予約部300は、カラオケ演奏を行う楽曲Yを予約する。
【0059】
この場合、取得部100は、予約部300により予約された楽曲Yの楽曲データから作曲地情報「中国」を読み出し、出身地情報として取得する。
【0060】
このように本変形例に係るカラオケ装置Kは、カラオケ演奏を行う楽曲を予約する予約部300を更に有する。取得部100は、予約部300により予約された楽曲の楽曲データに含まれる、当該楽曲が作曲された場所を示す作曲地情報に基づいて出身地情報を取得する。このようなカラオケ装置Kによれば、利用者が選曲した楽曲に基づいて出身地情報を簡易に取得することができる。なお、このような方法により出身地情報を取得する場合、撮影手段60は不要である。
【0061】
<変形例2>
一の国や地域において、複数の打楽器が存在する場合もある。たとえば、インドの打楽器には、タブラの他、バヤ、ムリダンガム、コール等がある。インド人にとってはこれらの音色の打楽器音はいずれも慣れ親しんだものである。
【0062】
そこで、本変形例における決定部200は、一の出身地情報に基づいて複数の音色情報を決定することができる。
【0063】
図5は音色テーブルの一例である。たとえば、取得部100から出力された出身地情報が「インド」であった場合、決定部200は、
図5の音色テーブルを参照し、音色情報T1として「タブラ」、音色情報T2として「バヤ」を決定する。
【0064】
また、本変形例における信号生成部400は、電子打楽器装置EP1から複数の操作子それぞれの操作に応じた演奏情報を受信した場合、操作子毎に異なる音色情報に基づく打楽器演奏音信号を生成させる。
【0065】
電子打楽器装置EP1は、一の操作子の操作に応じて演奏情報を送信する際、当該操作子の識別子を紐づけて送信する。たとえば、操作子Op1が操作された場合、電子打楽器装置EP1は、演奏情報PI1に対し、識別子OpI1を紐づけてカラオケ装置Kに送信する。たとえばカラオケ装置Kと電子打楽器装置EP1がMIDIケーブルで接続されている場合、MIDI形式のノートナンバーを識別子とすることができる。或いは、MIDIチャンネルを識別子としてもよい。
【0066】
操作子Op1の操作に応じた演奏情報PI1を受信した場合、信号生成部400は、決定部200で決定された音色情報T1及びT2のうち、一の音色情報T1に基づく打楽器演奏音信号IS1を生成させる。一方、電子打楽器装置EP1から操作子Op2の操作に応じた演奏情報PI2を受信した場合、信号生成部400は、決定部200で決定された音色情報T1及びT2のうち、打楽器演奏音信号IS1を生成する際に利用した音色情報T1とは異なる音色情報T2に基づいて打楽器演奏音信号IS2を生成する。すなわち、打楽器演奏音信号IS1と打楽器演奏音信号IS2は、音色の異なる信号である。なお、ある操作子の操作に応じた演奏情報に対して、複数の音色情報のうちいずれの音色情報を適用するかは任意に設定することができる。たとえば、上記例において、演奏情報PI1に対して音色情報T2を適用してもよい。
【0067】
このように本変形例に係るカラオケ装置Kにおける決定部200は、一の出身地情報に基づいて複数の音色情報を決定することができる。また、信号生成部400は、電子打楽器装置EP1から複数の操作子それぞれの操作に応じた演奏情報を受信した場合、操作子毎に異なる音色情報に基づく打楽器演奏音信号を生成させる。このようなカラオケ装置Kによれば、複数の音色の打楽器音を放音することができる。
【0068】
なお、信号生成部400は、異なる音色情報に基づく打楽器演奏音信号を生成する代わりに、同じ音色で音高や音圧が異なる打楽器演奏音信号を生成してもよい。
【0069】
<第2実施形態>
次に、
図6及び
図7を参照して、第2実施形態に係る電子打楽器装置について説明する。本実施形態では、電子打楽器装置において打楽器演奏音信号を生成する例について述べる。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0070】
==電子打楽器装置==
本実施形態に係る電子打楽器装置EP2は、カラオケ装置Kと通信可能に接続されている。
図6に示すように、本実施形態に係る電子打楽器装置EP2は、記憶手段20a、通信手段20b、入力手段20c、音源手段20d、撮影手段20e、及び制御手段20fを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0071】
[記憶手段]
記憶手段20aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段20aは複数の打楽器音それぞれに対応する音色パラメータを記憶している。
【0072】
[通信手段・入力手段]
通信手段20bは、カラオケ装置Kとの通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段20cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段20cは、電子打楽器装置EP2に設けられたボタン等の操作子である。
【0073】
[音源手段]
音源手段20dは、制御手段20eの制御に基づき、操作子の操作に応じて打楽器演奏音信号を生成する処理を行う。音源手段20dは、たとえば打楽器用のシンセサイザである。
【0074】
[撮影手段]
撮影手段20eは、電子打楽器装置EP2を操作する利用者を撮影可能なカメラである。撮影手段20eは、電子打楽器装置EP2とは別に設けられていてもよい。
【0075】
[制御手段]
制御手段20fは、電子打楽器装置EP2における各種の制御を行う。制御手段20fは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0076】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段20fは、取得部600、決定部700、及び信号送信部800として機能する。
【0077】
(取得部)
取得部600は、電子打楽器装置EP2を操作する利用者の出身地情報を取得する。出身地情報の取得は第1実施形態と同様の手法で行うことができる。また、利用者が使用する言語に基づいて出身地情報を取得する場合、電子打楽器装置EP2にマイクを設け、マイクに入力された利用者の音声を解析することで行うことができる。なお、取得部600は、カラオケ装置K側で取得した画像データや言語の情報を用いて出身地情報を取得することも可能である。
【0078】
取得部600は、取得した出身地情報を決定部700に出力する。
【0079】
(決定部)
決定部700は、取得した出身地情報に基づいて音色情報を決定する。音色情報の決定は第1実施形態と同様の手法で行うことができる。決定された音色情報に基づき、信号送信部800(後述)は、記憶手段20aから対応する音色パラメータを読み出す。
【0080】
(信号送信部)
信号送信部800は、操作子が操作された場合、音源手段20dを制御し、当該操作に応じた演奏情報、及び決定した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成し、カラオケ装置Kに対して送信する。
【0081】
具体的に、利用者がカラオケ演奏に併せて電子打楽器装置EP2の入力手段20cを操作した場合、信号送信部800は、音源手段20dを制御し、操作に応じた演奏情報及び音色情報に対応して読み出した音色パラメータに基づいて打楽器演奏音信号を生成させる。更に、信号送信部800は、通信手段20bを介してカラオケ装置Kに対して打楽器演奏音信号を送信する。なお、本実施形態における通信手段20bは、電子打楽器装置EP2が生成する打楽器演奏音信号をカラオケ装置Kに対して出力できればよい。
【0082】
カラオケ装置Kの信号処理部500は、演奏手段10dを制御し、受信した打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合してスピーカ20に出力させる。
【0083】
==電子打楽器装置における処理について==
次に、
図7を参照して本実施形態に係る電子打楽器装置EP2における処理について述べる。
図7は、電子打楽器装置EP2における処理を示すフローチャートである。電子打楽器装置EP2は、カラオケ装置Kと通信可能に接続されている。この例では2人の利用者U1及び利用者U2がカラオケ店舗を訪れ、カラオケシステム1が設置されている部屋に案内されたとする。また、利用者U1及び利用者U2は、同じ国籍を有するとする。
【0084】
撮影手段20eは、電子打楽器装置EP2を操作する利用者U2を撮影し、画像データを取得部600に出力する。取得部600は、画像データに基づいて利用者の出身地情報を取得する(出身地情報を取得。ステップ20)。
【0085】
決定部700は、ステップ20で取得した出身地情報に基づいて、打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する(音色情報を決定。ステップ21)。
【0086】
ここで、カラオケ装置Kにおいて、利用者U1が選曲した楽曲Xのカラオケ演奏が開始されたとする(カラオケ装置による楽曲Xのカラオケ演奏開始。ステップ22)。カラオケ装置Kのスピーカ20は、カラオケ演奏音を放音する。利用者U1は、カラオケ演奏音に併せてカラオケ歌唱を行う。
【0087】
一方、利用者U2が、楽曲Xのカラオケ演奏中に電子打楽器装置EP2を操作したとする(ステップ23でYの場合)。この場合、電子打楽器装置EP2は、利用者U2の操作に伴い、演奏情報を生成する。
【0088】
信号送信部800は、音源手段20dを制御し、生成された演奏情報、及びステップ21で決定した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成させる(打楽器演奏音信号を生成。ステップ24)。
【0089】
信号送信部800は、カラオケ装置Kに対してステップ24で生成した打楽器演奏音信号を送信する(打楽器演奏信号を送信。ステップ25)。カラオケ装置Kは、演奏手段10dを制御し、受信した打楽器演奏音信号とカラオケ演奏音信号とを混合し、放音信号をスピーカ20に出力させる。スピーカ20は、放音信号に基づいて、打楽器演奏音及びカラオケ演奏音を放音する。
【0090】
電子打楽器装置EP2は、カラオケ装置Kによる楽曲Xのカラオケ演奏が終了するまで(ステップ26でYの場合)、ステップ23からステップ25の処理を繰り返し行う。
【0091】
このように、本実施形態に係る電子打楽器装置EP2は、操作子を有する。電子打楽器装置EP2は、利用者の出身地情報を取得する取得部600と、取得した出身地情報に基づいて、カラオケ装置Kから放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する決定部700と、操作子が操作された場合、音源手段20dを制御し、当該操作に応じた演奏情報、及び決定した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成し、カラオケ装置Kに対して送信する信号送信部800と、を有する。
【0092】
このような電子打楽器装置EP2によれば、利用者の出身地情報に基づいて音色情報が自動的に決定され、且つ音色情報に基づいて生成した打楽器演奏音信号がカラオケ装置Kに送信される。従って、カラオケ装置Kは、電子打楽器装置EP2を使用する利用者の操作に伴って、その利用者が慣れ親しんだ音色の打楽器音を放音することができる。また、利用者は、電子打楽器装置EP2の操作子を操作するだけでよいため、操作に不慣れな利用者であっても、気軽且つ容易に使用することができる。すなわち、本実施形態に係る電子打楽器装置EP2によれば、電子打楽器装置の操作に不慣れな利用者であっても、利用者が慣れ親しんだ音色の打楽器音を楽しむことができる。
【0093】
<その他>
第1実施形態の構成と第2実施形態の構成を適宜組み合わせてカラオケシステム1としてもよい。
【0094】
たとえば、電子打楽器装置EP2において、カラオケ装置Kから送信された音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成する構成としてもよい。この場合、第2実施形態における電子打楽器装置EP2の制御手段20fは信号送信部800として機能する。
【0095】
カラオケ装置Kの決定部200は、取得部100が取得した出身地情報に基づいて、放音する打楽器演奏音の音色を示す音色情報を決定する。そして、決定部200は、決定した音色情報を電子打楽器装置EP2に送信する。信号送信部800は、音源手段20dを制御し、操作子の操作に応じた演奏情報、及び受信した音色情報に基づいて打楽器演奏音信号を生成し、カラオケ装置Kに対して送信する。音色情報の送受信には、MIDI形式のプログラム・チェンジ情報を用いることができる。この場合、カラオケ装置KのMIDI OUT端子と、電子打楽器装置EP2のMIDI IN端子とがMIDIケーブルで接続される。
【0096】
また、上記実施形態において、取得した複数名の出身地情報が異なる場合(たとえば一の利用者の出身地情報が「中東」であり、他の利用者の出身地情報が「インド」の場合)もありうる。この場合、取得部100は、いずれか一の出身地情報を選択し、決定部200に出力する。一の出身地情報の選択は、様々な手法を用いることができる。たとえば、取得部100は、撮影手段60から入力された利用者毎の画像データのうち、電子打楽器装置EP1が映っている画像データに基づいて出身地情報を取得することができる。この場合、カラオケ装置Kは、電子打楽器装置EP1を使用する可能性の高い利用者にとって慣れ親しんだ音色の打楽器音を放音することができる。逆に、取得部100は、撮影手段60から入力された利用者毎の画像データのうち、マイク40が映っている画像データに基づいて出身地情報を取得することができる。この場合、カラオケ装置Kは、カラオケ歌唱を行う可能性の高い利用者にとって慣れ親しんだ音色の打楽器音を放音することができる。
【0097】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 カラオケシステム
60 撮影手段
100、600 取得部
200、700 決定部
300 予約部
400 信号生成部
500 信号処理部
800 信号送信部
EP1、EP2 電子打楽器装置
K カラオケ装置