(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】印刷制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240213BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240213BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B41J29/38 401
B41J29/38 701
G06F3/12 322
G06F3/12 305
G06F3/12 387
G06F3/12 357
H04N1/00 127A
(21)【出願番号】P 2020123282
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-05-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】佐光 律人
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-056720(JP,A)
【文献】特開2006-323508(JP,A)
【文献】特開2020-052777(JP,A)
【文献】特開2019-202502(JP,A)
【文献】特開2020-088759(JP,A)
【文献】特開2018-206406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0140285(US,A1)
【文献】特開2005-189506(JP,A)
【文献】特開2018-024181(JP,A)
【文献】特開2010-178069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリージョンの夫々で提供されるクラウドプリントサービスのうちの1つと接続することができるプリンターであって、
前記プリンターに設定されている情報に基づいて、前記複数のリージョンのうちの1つのリージョンに対応する送信先を決定する決定手段と、
決定された送信先を変更することができる設定画面に対応するWebページをクライアント端末に提供する提供手段と、
前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターを登録する処理を開始する指示と、前記設定画面を介して変更された送信先と、を受信することで、前記
変更された送信先へ前記プリンターの情報を送信する送信手段と、
送信された前記プリンターの情報を受信した前記
変更された送信先から送信される応答を受信する受信手段と、を有し、
受信した前記応答に含まれているコードがWebページを介してユーザーにより入力されたことに基づき、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とするプリンター。
【請求項2】
前記複数のリージョンには、第1のリージョンと第2のリージョンが含まれ、前記第1のリージョンのための前記送信先は、前記第2のリージョンのための前記送信先と異なる送信先であることを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項3】
前記プリンターに設定されている情報は仕向け情報であり、前記仕向け情報とは消費地域または出荷地域を特定するための情報であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリンター。
【請求項4】
前記プリンターの情報には、少なくとも前記プリンターを識別するためのデバイス識別情報が含まれており、前記クラウドプリントサービスにデバイス識別情報が登録されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項5】
前記受信したコードが前記Webページを介してユーザーにより入力されたことに応じて、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項6】
前記受信したコードが、前記クラウドプリントサービスによって提供される前記Webページを介してユーザーにより入力されたことに基づき、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項7】
前記送信先とは、前記1つのリージョンに前記プリンターを登録するためのURL(Uniform Resource Locator)で特定される送信先であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項8】
前記受信したコードが、前記クラウドプリントサービスによって提供される前記Webページを介してユーザーにより入力され、かつユーザーアカウントが入力されたことで
前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項9】
前記ユーザーアカウントとは、前記クラウドプリントサービスを利用するためのユーザーアカウントであることを特徴とする請求項8に記載のプリンター。
【請求項10】
前記コードは、前記プリンターを特定するためのコードであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項11】
前記コードは、前記プリンターを登録するためのコードであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載のプリンター。
【請求項12】
複数のリージョンの夫々で提供されるクラウドプリントサービスのうちの1つと接続することができるプリンターの制御方法であって、
前記プリンターに設定されている情報に基づいて、前記複数のリージョンのうちの1つのリージョンに対応する送信先を決定する決定ステップと、
決定された送信先を変更することができる設定画面に対応するWebページをクライアント端末に提供する提供ステップと、
前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターを登録する処理を開始する指示と、前記設定画面を介して変更された送信先と、を受信することで、前記
変更された送信先へ前記プリンターの情報を送信する送信ステップと、
送信された前記プリンターの情報を受信した前記
変更された送信先から送信される応答を受信する受信ステップと、を含み、
受信した前記応答に含まれているコードがWebページを介してユーザーにより入力されたことに基づき、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
前記複数のリージョンには、第1のリージョンと第2のリージョンが含まれ、前記第1のリージョンのための前記送信先は、前記第2のリージョンのための前記送信先と異なる送信先であることを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記プリンターに設定されている情報は仕向け情報であり、前記仕向け情報とは消費地域または出荷地域を特定するための情報であることを特徴とする請求項12または13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記プリンターの情報には、少なくとも前記プリンターを識別するためのデバイス識別情報が含まれており、前記クラウドプリントサービスにデバイス識別情報が登録されることを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項16】
前記受信したコードが前記Webページを介してユーザーにより入力されたことに応じて、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項17】
前記受信したコードが、前記クラウドプリントサービスによって提供される前記Webページを介してユーザーにより入力されたことに基づき、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする請求項12乃至16の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項18】
前記送信先とは、前記1つのリージョンに前記プリンターを登録するためのURL(Uniform Resource Locator)で特定される送信先であることを特徴とする請求項12乃至17の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項19】
前記受信したコードが、前記クラウドプリントサービスによって提供される前記Webページを介してユーザーにより入力され、かつユーザーアカウントが入力されたことで
前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする請求項12乃至18の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項20】
前記ユーザーアカウントとは、前記クラウドプリントサービスを利用するためのユーザーアカウントであることを特徴とする請求項19に記載の制御方法。
【請求項21】
前記コードは、前記プリンターを特定するためのコードであることを特徴とする請求項12乃至20の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項22】
前記コードは、前記プリンターを登録するためのコードであることを特徴とする請求項12乃至21の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項23】
請求項12乃至22の何れか1項に記載の制御方法をプリンターに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドプリントサービスと通信する印刷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウド経由で印刷ジョブを投入し、印刷装置に印刷ジョブを送信するクラウドプリントの仕組みが普及し始めている(特許文献1)。このような印刷システムでは、まず管理者が印刷装置を、管理者が所属するクラウドプリントサービス(以降、CPSとも呼ぶ)へ登録する。その後、CPSの使用を許可されているユーザは、それぞれのクライアント端末を使用して、CPSに登録されたプリンタを出力プリンタとして選択し、所望の印刷設定を行い、CPSに対して印刷ジョブを送信する。印刷ジョブを受信したCPSは印刷装置に対して当該印刷ジョブを転送する。印刷装置は当該転送された印刷ジョブに基づき印刷を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年セキュリティ意識の向上に伴い、個人情報等を含む情報の取扱い規定、規約が増えてきている。例えば、ドイツではドイツ連邦情報セキュリティ庁により、政府やその関連団体に適用すべきクラウドセキュリティの監査標準が設けられている。当該標準はクラウドコンピューティングコンプライアンスコントロールカタログ(C5)と呼ばれ、パブリッククラウドソリューションを導入する際の必要最低限のクラウドセキュリティが定められている。C5の監査標準は、民間企業でも導入が進んでいる。このように、国や、地域ごとに異なる情報セキュリティの基準が策定されることが増えてきている。
【0005】
一方、クラウドプリントサービス等のサービスを提供するクラウドプラットフォームでは、特定のリージョンに設置されたデータセンターのリソースで実現され、全世界に提供されることが一般的であった。
【0006】
しかしながら、データセンターが設置されているリージョンが停電やネットワーク障害によって停止してしまうと、ほかのリージョンへのサービス提供も停止してしまう。また、国や地域ごとに情報セキュリティの基準や規約が異なるにも関わらず、クラウドプラットフォームを提供するリージョン毎に、情報の取扱い方を異ならせることができない。具体的には、データの保存場所、データの主権、コンプライアンス要件等を、各リージョンの実リソースとしてのデータセンターが設置される地域ごとに異ならせることができない。このため、リージョン毎に、そのデータの主体地やサービスが消費される地域ごとの情報セキュリティの基準に合ったデータの取扱い方で、適切にクラウドサービスを提供することができない。
【0007】
とりわけ、クラウドプリントサービスの場合は、国ごと、地域ごとに策定された情報セキュリティの基準によっては、国外へ個人情報を含む印刷データを集約することが禁止されるような場合もある。この場合、特定のリージョンに設置されたデータセンターのリソースで共通のクラウドプリントサービスを提供すると、印刷制御装置が設置される国や地域ごとに策定された情報セキュリティの基準を満たせないといった問題が発生する恐れがある。
【0008】
本発明は上述の問題点の少なくとも1つを鑑みなされたものである。本発明の1つの側面としては、印刷制御装置をクラウドプリントサービスに登録する場合に、登録先のリージョンを設定するための仕組みを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の少なくとも1つの目的を達成するために本発明の1つの側面としてのプリンターは複数のリージョンの夫々で提供されるクラウドプリントサービスのうちの1つと接続することができるプリンターであって、前記プリンターに設定されている情報に基づいて、前記複数のリージョンのうちの1つのリージョンに対応する送信先を決定する決定手段と、決定された送信先を変更することができる設定画面に対応するWebページをクライアント端末に提供する提供手段と、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターを登録する処理を開始する指示と、前記設定画面を介して変更された送信先と、を受信することで、前記変更された送信先へ前記プリンターの情報を送信する送信手段と、送信された前記プリンターの情報を受信した前記変更された送信先から送信される応答を受信する受信手段と、を有し、受信した前記応答に含まれているコードがWebページを介してユーザーにより入力されたことに基づき、前記1つのリージョンで提供されるクラウドプリントサービスに前記プリンターが登録されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の1つの側面によれば、印刷制御装置をクラウドプリントサービスに登録する場合に、登録先のリージョンを設定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】MFP101のハードウェア構成の一例である。
【
図3】MFP101のソフトウェア構成の一例である。
【
図4】操作部116に表示される画面の一例である。
【
図5】第1の実施形態における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】仕向け地情報とCPSのリージョンの関係を説明する模式図である。
【
図8】第3の実施形態において操作部116に表示される画面の一例である。
【
図9】第3の実施形態における制御の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】第4の実施形態において操作部116に表示される画面の一例である。
【
図11】第4の実施形態における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第5の実施形態において操作部116に表示される画面の一例である。
【
図13】第5の実施形態における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第6の実施形態における制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて、本発明に係る印刷システムの構成を説明する。本実施形態に係る印刷システムは、MFP101、クラウドプリントサービスやグループウェアサービス等を提供するクラウドプラットフォームAを含む。本実施形態では、AWS(登録商標)、Azure(登録商標)、GoogleCloudPlatform(登録商標)等のクラウドプラットフォーム上の1サービスとしてCPSが提供されることを想定している。
【0014】
また、クラウドプラットフォームAを提供するベンダは、全世界に適切にサービスを提供すべく複数の提供地域(リージョンとも呼ぶ)にデータセンターを配置し、リージョン毎に物理的に異なるインスタンスで、クラウドサービスを展開する。なお、リージョンとは、国を単位とした地域を示すものであっても良いし、「南米」のように地理的にまとめられた複数の国を含む地域や、「欧州連合」のように政治的にまとめられた複数の国を含む地域であっても良い。更には、1つの国を複数のリージョンに分けることも可能である。
【0015】
本実施形態では、地域ごとの特殊な情報セキュリティの基準や規約を設けていないグローバルリージョン102a向けにクラウドプラットフォームAの各クラウドサービスが展開されている場合を例示している。また、各国ごとの基準や規約に基づき適切にデータを取り扱うべく、物理的に異なるリソースを用いて提供されるリージョン102b~d向けのプラットフォームAの各クラウドサービスが別途展開されている場合を例示している。DEリージョン102cはドイツ国内にクラウドサービスを提供すべく設けられたインスタンスである。このインスタンスは、C5の監査基準に準拠すべく、ドイツ国内がデータ所在地となるよう、ドイツ国内に設置されたデータセンターのリソースを用いて実現される。また、当該DEリージョン102c向けに提供されるクラウドプラットフォーム上では、C5に準拠する固有のデータトラスティモデルによって、データのアクセスと制御が厳格に管理される。CNリージョン102dやUSリージョン102b向けのインスタンスについても、各国法や各国のセキュリティ基準に合わせて適切なデータのアクセスと制御が行えるよう、グローバルリージョンとは異なるデータセンターでインスタンスが動作している。
【0016】
即ち、リージョン102b~102dで提供されるクラウドプラットフォームのデータやサービスは、データの保存場所、主権、およびコンプライアンス要件が地理的な境界であるリージョン内の基準や規約が確実に守られるように設計されている。
【0017】
ところで、クラウドプラットフォームをユーザに提供する事業者が、クラウドプリントサービスをユーザに提供することが考えられる。しかしながら、従来知られているクラウドプリントサービスでは、リージョンについては考慮されていなかった。即ち、従来は、クラウドプリントサービスは特定のリージョン(例えば、グローバルリージョン)向けのデータセンターのリソースで実現され、全世界に提供されることが一般的であった。
【0018】
ここで、国ごと、地域ごとに策定された情報セキュリティの基準によっては、国外へ個人情報を含む印刷データを集約することが禁止されるような場合もある。この場合、特定のリージョンに設置されたデータセンターのリソースで共通のクラウドプリントサービスを提供すると、印刷制御が設置される国や地域ごとに策定された情報セキュリティの基準を満たせないといった問題が発生する恐れがある。
【0019】
本実施形態では、上述の問題点の少なくとも1つを鑑み、印刷制御装置をクラウドプリントサービスに登録する場合に、登録先のリージョンを異ならせることを可能とする仕組みを提供する。以下具体的に説明する。
【0020】
MFP(Multi Function Peripheral)101は、ネットワークを経由してインターネット上のクライアントやクラウドプリントサービスと通信する。後述する登録処理が実行されると、MFP101は、特定のリージョン向けに提供されるクラウドプリントサービスの出力先プリンタとして登録される。当該登録の後、クラウドプリントサービスを経由した印刷が行えるようになる。
【0021】
ネットワークはLAN、WANなどの通信ネットワーク、セルラネットワーク(例えば、LTEや5Gなど)、IEEE802.11に準拠する無線ネットワークなどを組み合わせて構成されてもよい。すなわち、ネットワークはデータの送受信が可能に構成されていればよく、物理レイヤの通信方式はいずれの方式を採用してもよい。
【0022】
MFP101は、スキャナを用いて読み取って得られた画像に基づくデータを外部に送信するスキャン機能や、外部装置から受信した印刷ジョブに基づき紙などのシートに画像を印刷する印刷機能、コピー機能を有する。また、MFP101は事前登録されたCPSを経由して印刷ジョブを受信し、印刷を行うこともできる。本実施形態では、印刷制御装置の一例として複数の機能を有するMFPを例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、印刷機能のみを有する単機能の印刷制御装置などであってもよい。また、印刷制御装置は、受信した印刷データを配下の印刷装置に転送するプリントサーバ等であってもよい。
【0023】
続けてクラウドプラットフォームAにより顧客に提供されるクラウドサービスについて説明する。クラウドプラットフォームAは、クラウドプリントサービス1023、グループウェアサービス1022、Webメール、ドキュメント作成、編集のためのサービスを企業などの組織に提供するサービスプラットフォームである。また、クラウドプラットフォームAには、各種サービスを利用するユーザやデバイスを認証、管理するための認証サービス1201も含まれている。
【0024】
認証サービスは、テナントごとにユーザやユーザグループの認証、管理を行う。クラウドプラットフォームAでは、テナント毎にクラウドサービスの利用権限の管理や顧客データへのアクセス管理を行う。ここで、テナントとは、クラウドプラットフォームの利用単位である。具体的には、クラウドサービスプラットフォームの利用契約を結んだ組織ごと(例えば、企業ごとや組織ごと)に異なるテナントが割り当てられているものとする。クラウドプリントサービスの仮想プリンタオブジェクトもテナント毎に管理される。即ち、印刷データやCPSの実現のために必要なデータ、ユーザ認証のためのユーザDB等を含むユーザデータ1024は、テナントごとに管理される。
【0025】
仮想プリンタオブジェクトは、外部から受信した印刷ジョブを一時的にスプールする機能と、スプールした印刷ジョブを、後段のMFP等の印刷制御装置に転送する機能を提供するソフトウェアモジュールである。
【0026】
CPSは図示省略のクライアント端末から印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを対応する仮想プリンタオブジェクトに受け渡す。仮想プリンタオブジェクトは、自身の管理するスプール領域に印刷ジョブを格納する。続けて、CPSに登録されたMFPに対して印刷ジョブが入稿されたことを通知する。当該通知を受け取ったMFPは仮想プリンタオブジェクトのスプール領域から印刷ジョブを取得し、取得した印刷ジョブに基づく印刷を実行する。
【0027】
<MFPの構成>
本実施形態における印刷制御装置の一例であるMFP101のハードウェア構成について
図2を用いて説明する。
図2は、MFP101のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0028】
CPU(Central Processing Unit)111を含む制御部110は、MFP101全体の動作を制御する。CPU111は、ROM(Read Only Memory)112又はストレージ114に記憶された制御プログラムを読み出して、印刷制御や読取制御などの各種制御を行う。ROM112は、CPU111で実行可能な制御プログラムを格納する。RAM(Random Access Memory)113は、CPU111がアクセスする主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ114は、印刷ジョブ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。このように、CPU111、ROM112、RAM113、ストレージ114等のハードウェアは、いわゆるコンピュータを構成している。
【0029】
なお、本実施形態のMFP101では、1つのCPU111が1つのメモリ(RAM113)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば複数のプロセッサ、メモリ、及びストレージを協働させて後述するフローチャートに示す各処理を実行することもできる。また、ハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしてもよい。
【0030】
プリンタI/F(インタフェース)119は、プリンタ120(プリンタエンジン)と制御部110とを接続する。MFP101は、印刷ジョブに基づきプリンタ120に転送する印刷画像及び印刷制御コマンドを生成する。プリンタ120は、プリンタI/F119を介して入力された印刷画像や印刷制御コマンドに基づいて、不図示の給紙カセットから給紙されたシートに画像を印刷する。印刷の方式はトナーを紙に転写して定着させる電子写真方式であってもよいし、紙にインクを吐出して印刷するインクジェット方式であってもよい。
【0031】
スキャナI/F117は、スキャナ118と制御部110とを接続する。スキャナ118は、図示省略の原稿台に載置された原稿を読み取り、そして画像データを生成する。スキャナ118が生成した画像データは、プリンタ120で印刷されたり、ストレージ114に記憶されたり、ネットワークI/F121を介して外部装置に送信されたりする。
【0032】
操作部I/F115は、操作部116と制御部110とを接続する。操作部116には、タッチパネル機能を有する液晶表示部や各種ハードキーなどが備えられている。操作部116は、ユーザに情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。CPU111は、操作部116と協働して情報の表示制御やユーザ操作の受け付け制御を行う。
【0033】
ネットワークI/F121には、ネットワークケーブルが接続され、ネットワーク上やインターネット上の外部装置と通信を実行することができる。本実施形態では、ネットワークI/F121がイーサネット(登録商標)に準拠する有線通信を行う通信インタフェースである場合を想定しているがこれに限定されるものではない。例えば、IEEE802.11シリーズに準拠する無線通信インタフェースであってもよい。また、CDMA等の3G回線、LTEなどの4G回線、5G NRなどの移動体通信を行う通信インタフェースであってもよい。
【0034】
GPSモジュール122は、GPS(Global Positioning System)用のアンテナ、位置の測位を行う演算器を有するモジュールであり、GPS衛星からの信号を受信し測位や時刻情報の算出のための演算を行う。演算結果は制御部110に通知される。
【0035】
図3はMFP101のソフトウェア構成を説明するための図である。
図3に示す各機能部は、MFP101のCPU111がRAM113に展開された制御プログラムを実行することで実現される。
【0036】
操作制御部300は、設定画面などの画面情報を生成し、当該画面データに基づき操作部116上に操作画面を表示する機能を提供する。また、操作制御部300は、操作部116が備えるタッチパネルやハードウェアキー等を介してなされたユーザ操作を検知し、受け付けた操作を他の機能部に通知したり、操作に基づき画面表示を更新したりする。
【0037】
クラウドプリント登録制御部301はCPSに対してMFP101を登録する処理を制御する。登録処理により、いずれかのリージョンのCPSにMFP101が登録されると、そのリージョンのCPS経由での印刷が可能となる。登録処理が成功すると、クラウドプラットフォームA上のユーザテナントのリソースにアクセスするためのアクセストークンや、CPSとの通信に利用するURL情報が設定DB305に格納される。
【0038】
設定DB305には、登録先のリージョンが指定された登録宛先の設定を示す情報や、リージョンごとの宛先URL(Uniform Resource Locator)が記憶される。また、登録処理に用いられるデバイスIDなども当該DBに記憶される。設定DB305に記憶された情報は、適宜後述のフローチャートで参照されたり、変更されたりする。
【0039】
クラウドプリント印刷制御部302は、設定DB305に格納されたアクセストークンやURL情報を用いて、クラウドプリントサービスから印刷ジョブを受信する機能を提供する。CPSから印刷ジョブが入稿された旨の通知を受信した印刷制御部302は、CPSから印刷ジョブを受信する。続けて制御部302は、印刷ジョブに含まれるPDL(Page-Description Language)データとレンダリングの指示を画像処理部306に転送する。PDLデータとレンダリングの指示を受信した画像処理部306は、当該指示に基づき印刷用画像データを生成する。生成された印刷データは、印刷処理部307に転送される。印刷処理部307は、画像処理部306によってレンダリングされた印刷画像データと、プリンタ120を制御する制御コマンドを印刷部I/F119を介してプリンタ120に送信し、プリンタ120に対して印刷処理を実行させる。
【0040】
WebUI制御部303はHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバとして機能する。制御部303はクライアント端末上のWebブラウザにMFP101の設定等を行うためのWebページを提供する。管理者等のユーザは、MFP101のIPアドレスやホスト名などをWebブラウザに入力することで、制御部303が提供するWebページにアクセスすることができる。
【0041】
位置情報推定部304は、GPSモジュール122と協働して、経度緯度情報を推定する。また、位置情報推定部は、経度緯度情報からMFP101が設置されている国を推定する機能を提供する。当該推定結果はリージョンを特定するために用いられる。
【0042】
<リージョンの変更方法>
続けて、
図4及び
図5を用いて、クラウドプリントサービスの登録時に、使用するリージョンを切り替える具体的な方法について説明する。
図4(A)、(B)は、WebUI制御部303がクライアント端末のWebブラウザに提供するWebUIの一例であり、クラウドプリント機能に関する設定変更画面の一例を示している。なお、本実施形態では、Webページをクライアント端末のWebブラウザに供給し、当該Webブラウザを介して設定変更の指示を受け付ける場合を例示しているがこれに限定されるものではない。操作制御部300が操作部116に画面401に相当する設定画面を表示し、MFP101が備える操作部116を介して設定変更を行うよう構成することもできる。
【0043】
画面401は、MFP101が備える所定のクラウドプリント機能に関する設定、登録を行うための画面の一例である。以降所定のクラウドプリント機能を第1のクラウドプリント機能、第1の種類のクラウドプリント機能とも呼ぶ。画面401は、MFP101の管理者権限を有するユーザに対して提供されるものとする。
【0044】
項目402は、第1の種類のクラウドプリント機能が有効であるか無効であるかを示しス表示アイテムである。画面401は、第1の種類のクラウドプリント機能が有効な場合を例示している。項目403はクラウドプリントサービス上でプリンタを識別するために用いられるプリンタ名を示している。項目404はクラウドプリント登録時に使用する登録宛先を示している。ここでは、登録宛先のデフォルト値であるグローバルリージョン102aに対応するURLが設定されている場合を例示している。項目407は、第1の種類のクラウドプリント機能の登録状況を示している。画面401では、未登録状態を例示している。表示アイテム406は、MFP101を第1の種類のクラウドプリントサービスに登録する場合に使用するキーである。
【0045】
表示アイテム405は、クラウドプリント機能の設定を変更する際に使用するキーである。表示アイテム405が選択されたことを検知したクライアント端末のWebブラウザは、当該表示アイテムの選択イベントに対応する情報をMFP101に送信する。当該情報を受信したMFP101は、Webブラウザ上に表示する画面を
図4(B)に示す画面411に切り替える制御を行う。ユーザは、画面411の項目412に対応するチェックボックスを介して第1の種類のクラウドプリント機能の有効、無効を切り替えることができる。また、ユーザは、項目413に対応するテキストボックスを介してプリンタ名の変更を行うことができる。
【0046】
また、ユーザは、項目414に対応するテキストボックスを介して、CPSに対するプリンタ登録要求の送信先として用いられる登録宛先(エンドポイント)を変更することができる。管理者等のユーザは、MFP101が設置される国や地域を鑑み、リージョン102aから102dやその他リージョンに対応する宛先を示すURLを入力することができる。その他リージョンは、例えば、政府組織などのために別途設けられたプライベートクラウドリージョンなどが想定される。エンドポイントは、クラウドプラットフォームAにアプリケーションや印刷制御装置などのデバイスを新規登録するためのエンドポイントである。
【0047】
表示アイテム415は、設定変更を適用する場合に使用するキーである。表示アイテム415が選択されたことを検知すると、クライアント端末は、画面411を介してなされた設定を示す情報をMFP101に送信する。当該情報を受信したMFP101のWebUI制御部303は、当該情報に基づく設定値を設定DB305に記憶する。
【0048】
この処理により、登録要求の送信宛先のリージョンを管理者等のユーザ操作で変更することができるようになる。
【0049】
第1の実施形態におけるMFP101の制御について
図5のフローチャートを用いて説明する。
図5のフローチャートに示す各動作(ステップ)は、CPU111がROM112またはストレージ114に記憶された制御プログラムを実行することにより実現される。なお、また、処理の主体を明確にしたいケースにおいては、CPU111により実行されるソフトウェアモジュールを主語として説明する。以降、後述する
図6、9、11、13、14のフローチャートについても同様にCPU111がROM112またはストレージ114に記憶された制御プログラムを実行することにより実現されるものとする。
【0050】
また、CPU111は、データの送受信の制御に関しては、ネットワークI/F121と協働して実現する。また、設定画面の表示制御やユーザ操作の受け付け等については、図示省略のクライアント端末上のプロセッサや表示部と協働して実現されるものとする。
【0051】
また、
図5では、登録要求の送信宛先としての登録宛先の変更、登録処理、登録後の印刷処理等といった、クラウドプリントサービスの登録、使用に関する制御を抜粋して説明する。
【0052】
S500において、CPU111は、クライアント端末からの要求に応じて設定画面に相当するWebデータをクライアント端末に提供し、クライアント端末のWebブラウザ上に設定画面を表示する。クライアント端末を所持するユーザは、設定画面を介して設定変更の操作を行う。
【0053】
S501において、CPU111は、クライアント端末のWebブラウザから登録宛先の設定変更を示す情報を受信したか否かを判断する。CPU111は、Webブラウザから受信した情報に登録宛先の設定変更を示す情報が含まれている場合、処理をS502に進め、登録宛先の設定変更を示す情報が含まれていない場合、処理をS503に進める。
【0054】
S502において、WebUI制御部303は、Webブラウザから受信した登録宛先を示す文字列情報に基づく登録宛先を設定DB305に保存する。例えば、画面411に例示した受付状態で、表示アイテム415を選択するユーザ操作を受け付けた場合、登録宛先が「https://login.abccloudprint.example.de」に変更される。この処理により、登録要求の送信先となる登録宛先をDEリージョン102cに変更することができる。続けて、WebUI制御部303は、設定画面に対応するWebデータを生成し設定画面を更新する。更新が完了すると処理をS504に進める。
【0055】
一方、S503において、CPU111は、必要に応じてその他の変更処理(例えば、プリンタ名の変更や第1の種類のCPSの有効/無効の設定変更処理)を行って、処理をS504に進める。
【0056】
S504において、CPU111は、登録開始のユーザ操作を受け付けたか否かを判断する。制御部303は、クライアント端末のWebブラウザから、表示アイテム406が選択されたことを契機として発生する当該表示アイテムが選択されたことに対応する情報を受信した場合に、登録開始のユーザ操作を受け付けたと判断し、処理をS505に進める。当該情報を受信していない場合は、登録開始のユーザ操作を受け付けていないと判断し、S500に処理を進め、第1の種類のCPSに対する設定変更操作や登録開始の操作を待ち受ける。
【0057】
S505において、登録制御部301は、設定DB305を参照し、登録宛先を取得する。続けて、登録宛先にMFP101を識別可能なデバイスIDを含む登録要求を送信する。S506において、登録制御部301は、図示省略のクライアント端末のWebブラウザ、登録宛先に対応するリージョンで提供されるクラウドプラットフォームと協働して、クラウドプリントサービスにMFP101を登録する処理が実行される。具体的には、登録要求に対する応答には、登録のための一時的なURLと、登録のワンタイムパスワードとして機能するユーザコードが含まれる。管理者等のユーザは、当該URLをWebブラウザに入力し、クラウドプリントサービスが提供するWebページにアクセスする。当該Webページを介して、管理者などのユーザは、自身が所属するテナント(MFP101をクラウドプリンタとして利用したいテナント)の管理者アカウントと、ユーザコードを入力する。CPSは、当該管理者アカウントに基づきCPSにユーザをログインさせる。また、ユーザコードに基づき登録対象のMFP(例えばMFP101)を特定し、当該MFPに印刷ジョブを送信するための仮想プリンタオブジェクトを生成する。この処理により、CPSのテナントにMFP101に対応するクラウドプリンタが登録される。MFP101は、この一連の登録のシーケンスで、ユーザテナントにアクセスするためのアクセストークンや、CPSからイベントやジョブの入稿を示す通知を受信するためのURL情報等といったCPSと通信するための情報を獲得する。
【0058】
図5の説明に戻り、S507において、登録制御部301は、登録宛先に対応するリージョンのCPSにMFP101を登録する処理に成功したかどうかを判断する。登録する処理に成功した場合は、処理をS509に進め、登録する処理に失敗した場合は、処理をS508に進める。
【0059】
S508において、登録制御部301は、クライアント端末のWebブラウザにエラーを通知し、一連の処理を終了する。一方、S509において、登録制御部301は、登録処理で得られたCPSと通信するための情報を設定DB305に記憶する。以降、印刷制御部302が、設定DB305に記憶されたCPSと通信するための情報を用いてCPS上のユーザテナントの情報にアクセスできるようになる。即ち、登録処理で登録を行ったリージョンのCPSに入稿された印刷ジョブの確認や取得が可能となる。
【0060】
S510において、印刷制御部302は、CPSから印刷ジョブの入稿通知を受信したかどうかを判定する。印刷ジョブの入稿通知を受け付けた場合、処理をS511に進め、受け付けていない場合、印刷ジョブの入稿を待つ。
【0061】
S511において、印刷制御部302は、印刷ジョブを取得する。続けて、制御部302は、画像処理部306、印刷処理部307と協働して、取得した印刷ジョブに基づく印刷画像をシートに印刷する。印刷画像が印刷されたシートは、図示省略の排紙トレイに排出される。印刷が完了すると一連の制御を終了する。
【0062】
以上説明した一連の制御により、MFP101をクラウドプリントサービスに登録する場合に、登録先のリージョンを異ならせることができるようになる。
【0063】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した各処理に加えて、登録宛先のデフォルト値をMFP101が工場出荷時点で記憶している仕向け地情報に基づき異ならせる方法について説明する。第1の実施形態では、登録宛先のデフォルト値にグローバルリージョン102aのURLが設定されている場合を例示した。第2の実施形態では登録宛先の初期値(デフォルト値)を未設定状態としておき、初回起動時や、画面411を表示するユーザ操作を受け付けた場合に、仕向け地情報に基づいて登録宛先の設定値を変更する仕組みについて説明する。
【0064】
なお、第2の実施形態におけるハードウェア構成並びにソフトウェアモジュールの構成は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
具体的な制御について、
図6、
図7を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態におけるMFP101の制御の一例を示すフローチャートである。
図7(A)、(B)は、仕向け地情報とCPSのリージョンの関係を説明する模式図である。
【0066】
まず、
図7(A)を用いて仕向け地情報について説明する。MFP101には工場出荷のタイミング、又は売買・リース契約が成立し、客先にMFPを納入する前段階で、仕向け地情報が事前登録される。仕向け地情報は消費地域(販売地域)や出荷地域を特定するために設けられている。また、出荷地域ごとに各国の動向や文化に合わせた機能カスタマイズ処理を行うために設けられている。
【0067】
図7(A)は、MFP101に記憶される仕向け地情報の候補を例示している。ここでは一部を抜粋して示している。MFP101の設定DB305には、US、DE、IT、CN、JP、KR等の仕向け地情報のうちいずれか1つの仕向け地情報が設定されているものとする。
【0068】
図7(B)は、仕向け地情報とクラウドプリントサービスへの登録処理に使用する宛先の対応関係を示す図である。当該対応関係は設定DB305に記憶されているものとする。
図7(B)の情報とMFP101に予め記憶された仕向け情報とを用いて登録宛先の設定値を変更する方法について
図6のフローチャートを用いて説明する。
図6のフローチャートは画面411を表示するユーザ操作を受け付けたタイミングで実行されるものとする。
【0069】
S601において、WebUI制御部303は、設定DB305を参照し、登録宛先を示す設定値が未設定の状態(NULL状態又は空欄状態)であるか否かを判断する。未設定状態であると判断すると処理をS602に進める。未設定状態でないと判断すると、第1の実施形態のS500の処理に進める。
【0070】
S602において、WebUI制御部303は、設定DB305を参照し、仕向け地情報を取得する。続けて、S603において、WebUI制御部303は、仕向け地情報に基づきクラウドプラットフォームに対する登録要求に使用する宛先URLを特定する。
【0071】
図7(B)を用いて具体的に説明する。WebUI制御部303は、仕向け地情報を検索キーとして、対応する宛先URLが設定DB305に登録されているかどうかを検索する。検索の結果、仕向け地情報に対応する宛先URLが登録されている場合、当該宛先URLを選択する。例えば、仕向け地情報が「DE」を示している場合、DEリージョン102cに対応する宛先URLが選択される。一方、仕向け地情報が「US」を示している場合、USリージョン102bに対応する宛先URLが選択される。仕向け地情報が「CN」を示している場合、CNリージョン102dに対応する宛先URLが選択される。一方、仕向け地情報に対応する宛先URLがない場合、「Other」に対応する宛先URLが選択される。S602に示した決定処理で宛先URLを決定することができる。
【0072】
最後にS604において、制御部303は、S603の処理で特定した宛先URLを登録宛先として設定し、設定DB305を更新する。更新処理が完了すると処理をS500に進める。
【0073】
なお、第2の実施形態では、画面401の表示指示を受け付けたタイミングで
図6で説明した変更処理を実行する場合を例示したが、変更のタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、工場出荷後にMFP101が初めて起動したタイミング(例えば、顧客の設置場所にMFP101が着荷し、MFP101に電源が投入されたタイミング)で
図6の処理を実行するようにすることもできる。また、本実施形態では、仕向け地の情報が国単位である場合を例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、欧州、アジア、オセアニア、中国、北米などの大まかな区分の仕向け地情報から宛先URLを特定するよう構成してもよい。この場合、「欧州」の場合DEリージョンに対応する宛先URLが選択され、「北米」の場合にUSリージョンに対応する宛先URLが選択される。「中国」の場合に、CNリージョンに対応する宛先URLが選択される。その他の区分の場合、グローバルリージョンに対応する宛先URLが選択されるものとする。
【0074】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態で説明した各制御に加えて、変更後の登録宛先を用いて、登録要求のエンドポイントに適切にアクセスできるかどうか接続テストを行って検証する仕組みを提供する。第3の実施形態におけるハードウェアの構成、ソフトウェアモジュールの構成は第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0075】
図8の画面801は、WebUI操作部により提供される画面の一例であり、第1の実施形態における画面401に代えて表示される画面を例示している。画面401と同様の構成については説明を省略する。画面401とは、表示アイテム802、通知領域803が存在する点で相違している。表示アイテム802は、設定されている登録宛先との間で通信テストを行う場合に使用するキーである。通知領域803は接続テストの結果を示す通知が表示される領域である。
【0076】
続けて、接続テストについて
図9のフローチャートを用いて説明する。
図9のフローチャートに示す各処理は、Webブラウザ上で、表示アイテム802が選択されたことに起因して発生する情報をMFP101が受信した場合に実行される。
【0077】
S901において、WebUI制御部303は、登録制御部301に登録処理の試行を依頼する。登録制御部301は、設定DB305からデバイスIDや設定済みの登録宛先を取得する。続けてS902において、登録制御部301は、S901で取得したデバイスIDを含む登録要求のデータを生成する。S903において、登録制御部301は、S901で取得した登録宛先に生成した登録要求のデータを送信する。
【0078】
S904においてWebUI制御部303は、登録制御部301と協働して成功応答(登録のためのワンタイムURLとワンタイムキーを含む応答)が取得できたかどうかを判断する。具体的に説明する。制御部301は、制御部303に依頼された登録要求に対する結果を制御部303に通知する。何らかの応答を受信できた場合、その応答(登録処理を進めるためのワンタイムURLとワンタイムキーであるユーザコードを含む成功応答、又は失敗応答)が通知される。一方、宛先にたどり着けなかった場合、失敗応答が通知される。当該通知を受信したWebUI制御部303は、プリンタ登録用のワンタイムURLと、ワンタイムキーであるユーザコードが取得できた場合、処理をS905に進め、取得できなかった場合処理をS906に進める。
【0079】
S905において、WebUI制御部303は、クライアント端末にOK通知を表示するよう指示する。当該指示を受信したクライアント端末は、Webデータとしてサーバから供給されたJavaScript(登録商標)等のスクリプトを用いて画面を更新する。スクリプトは、Webブラウザが提供するスクリプトエンジンにより実行され、画面に対応するDOM(Document Object Model)インタフェースを操作し、通知領域803の通知を検証に成功したことを示す通知に更新する。
【0080】
一方、S906において、WebUI制御部303は、クライアント端末と協働して画面801の通知領域803にNG通知を表示する。表示の具体的な制御はS905と同様のため説明を省略する。通知が完了すると、一連の接続テスト処理を終了する。
【0081】
以上説明した処理により、変更後の登録URLを用いて、登録処理の次のステップに進むことができるかどうかを適切に検証することができるようになる。
【0082】
なお、本実施形態では、検証を行うための表示アイテム802が選択されたことに従って接続テストを行う場合を例示したが、接続テストを行うタイミングは、これに限定されるものではない。例えば、
図4で説明した表示アイテム415が選択されたタイミングで接続テストを行うようにしてもよい。この場合、
図9の各処理で接続テストに成功した場合に登録宛先の上書きを許可し、接続テストに失敗した場合、登録宛先の上書きを禁止するよう制御すればよい。また、項目414に対する入力操作が完了し、登録宛先として設定される候補の文字列が確定したタイミングで接続テストを行うようにしてもよい。
【0083】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、第1乃至3の実施形態の各処理に加えて、登録宛先の設定値を初期化する機能を提供する仕組みについて、
図10、
図11を用いて説明する。
【0084】
図10の画面1001は、画面801に代えて表示される画面の一例である。画面801と同様の構成については説明を省略する。画面801とは、表示アイテム1002が存在する点で相違している。表示アイテム1002は、登録宛先を初期化する場合に使用するキーである。
【0085】
続けて、登録宛先を初期化する処理について
図11(A)及び(B)のフローチャートを用いて説明する。
図11(A)又は(B)のフローチャートに示す各処理は、編集画面411の取得要求をMFP101が受信した場合に実行される。
【0086】
図11(A)は、第1の実施形態並びに第1の実施形態に加えて、第3の実施形態における確認制御を行う場合に適用される初期化処理である。
図11(A)の処理を行うと、グローバルリージョンに対応する宛先URLが登録宛先に設定される。
【0087】
一方、
図11(B)は、第2の実施形態、或いは、第2の実施形態に加えて第3の実施形態における確認処理を行う場合に適用される初期化処理である。
図11(B)の処理を行うと、仕向け地情報に対応する宛先URLが登録宛先に設定される。
【0088】
まず
図11(A)の各制御について説明する。S1101において、WebUI制御部303は、クライアント端末上で表示アイテム1002が選択されたことに起因し発生するリセット操作が行われたこと示す情報を受信したか否かを判断する。リセット操作が行われたこと示す情報を受信していない場合、処理をS500に進め、リセット操作が行われたことを示す情報を受信した場合、処理をS1102に進める。
【0089】
S1102において、WebUI制御部303は、設定DBを参照し、グローバルリージョンに対応する宛先URLを取得する。続けて、設定DBの登録宛先を当該取得したグローバルリージョンに対応する宛先URLで上書きする。最後に、クライアント端末に提供する画面を更新する指示を行う。クライアント端末は当該指示に基づき画面を更新し、一連の処理を終了する。
【0090】
続いて、第2の実施形態、或いは、第2の実施形態に加えて第3の実施形態における確認処理を行う場合に適用される初期化処理について、
図11(B)を用いて具体的に説明する。S1111で、制御部303は、クライアント端末と協働して、リセット操作を受け付けたかどうかを判断する。具体的な判断の内容はS1101と同様のため省略する。リセット操作を受け付けたと判断した場合、処理を第2の実施形態で説明したS602の処理に進める。一方、リセット操作を受け付けていないと判断した場合、処理をS500に進める。
【0091】
以上説明した処理により、登録宛先の入力時に入力ミスが発生した場合等に適切に登録宛先をデフォルト値に簡単にリセットすることが可能になる。なお、
図10で説明した初期化の方法に加え、下記の方法で登録宛先のリセットを行うよう構成することもできる。例えば、MFP101の本体設定を、工場出荷値に初期化する操作を受け付けた場合に、その他設定値の初期化を行うとともに、
図11相当のリセット処理を行うように構成してもよい。
【0092】
<第5の実施形態>
第5の実施形態では、第1及び第2の実施形態の処理に加えて、登録宛先をより簡単に選択するユーザインタフェースを提供する仕組みについて説明する。
【0093】
図12の画面1201は、
図4の画面411に代えて表示される画面の一例である。画面411とは、ラベル1202と、領域1203に複数の表示アイテムが表示される点で相違している。ラベル1202には、リージョン(エンドポイント)を選択することを促すメッセージが表示される。項目1204に対応するテキストボックスは、送信宛先のURLを直接入力することで変更する場合に使用される。これは第1の実施形態と同様である。
【0094】
領域1203には、第2の実施形態の
図7(B)で説明したリージョン(エンドポイント)の一覧が表示される。具体的には領域1203には、USA、Germany、China、Globalといった、それぞれのリージョン(エンドポイント)を表す複数の表示アイテムが表示される。
【0095】
ユーザは、領域1203に表示される複数の表示アイテムの中から1の表示アイテムを選択することができる。画面1201では、CNリージョンに対応する表示アイテムが選択された後の画面を例示している。
【0096】
具体的な制御方法について
図13のフローチャートを用いて説明する。S1300において、WebUI制御部303は、クライアント端末と協働してCPSで使用するリージョンを選択するための表示アイテムを含む画面1201を、Webブラウザ上に表示する。クライアント端末は、当該画面を介してリージョンを選択するユーザ操作を受け付けることができる。
【0097】
S1301において、WebUI制御部303は、クライアント端末上に表示した画面1201にリージョンを選択する操作が受け付けられたことに起因して発生するリージョンの選択操作を特定する情報を受信したかどうかを判断する。リージョンの選択操作を特定する情報を受信した場合、処理をS1302に進め、リージョンの選択操作を特定する情報を受信していない場合、処理をS504に進める。
【0098】
S1302において、WebUI制御部303は、リージョンの選択操作を特定する情報に基づき、設定DB305の登録宛先を変更する。例えば、「China」の表示アイテムが選択され、当該表示アイテムが選択されたことを示す情報を受信した場合、CNリージョン102dに対応する宛先URLで登録宛先を上書きする。続けて、WebUI制御部303は、クライアント端末と協働して、画面1012の表示を更新する。更新が完了すると、MFP101は、処理をS504に進める。
【0099】
以上説明した表示制御処理により、印刷制御装置をクラウドプリントサービスに登録する場合に、より簡単に登録先のリージョンを切り替える仕組みを提供できるようになる。
【0100】
なお、
図13では、一例としてクライアント端末、MFP101間で、通知領域1203に対する選択操作に伴い、HTTP等の通信を行って画面を更新する場合を例示したがこれに限定されるものではない。例えば、国を識別する情報とリージョンに対応するURLの対応関係と、Webコンテンツを操作するためのJavaScript(登録商標)等のスクリプトをクライアントに送信しておき、クライアントサイドで画面の動的更新を行うよう構成してもよい。この場合、クライアント端末のWebブラウザは、画面1201のOKボタンが選択されたことに従い、Webフォームである各項目に入力された情報をMFP101に対してサブミットする。この場合、MFP101は、当該サブミットされた情報に基づき、登録宛先を更新するかどうかを切り替えるようにすればよい。
【0101】
また、第3の実施形態で説明した接続テストの制御や第4の実施形態で説明したリセット制御の動作に第5の実施形態を組み合わせることもできる。
【0102】
<第6の実施形態>
第6の実施形態では、第1の実施形態に代えて、MFP101が設置されている位置を推定し、当該推定した位置情報に基づき登録宛先のデフォルト値を設定する動作について説明する。第2の実施形態とハードウェア構成、ソフトウェア構成は同様であるため説明を省略する。
【0103】
具体的な制御について
図14のフローチャートを用いて説明する。
図14のフローチャートは、第2の実施形態における
図6のフローチャートに示される処理に代えて実行される処理を示している。S1401において、WebUI制御部303は、登録宛先が未設定であるかどうかを判定する。登録宛先が未設定であると判断した場合、処理をS1402に進め、登録宛先が未設定でないと判断した場合、処理をS500に進める。
【0104】
S1402において、WebUI制御部303は、GPSモジュール122、位置情報推定部304と協働して、GPSモジュール122の測定結果を用いたMFPの設置位置(経度、緯度)の推定を行う。推定が完了すると処理をS1403に進める。S1404において、WebUI制御部303は、当該経度緯度に基づきMFP101が設置されている国を推定する。続けて、当該推定された国の情報に基づき
図7(B)で例示した対応関係を参照し、宛先URLを特定する。例えば、国がDEであると推定された場合、DEリージョン102cに対応する宛先URLが選択される。国がCNであると推定された場合、CNリージョン102dに対応する宛先URLが選択される。国がUSであると推定された場合、USリージョン102bに対応する宛先URLが選択される。推定された国がその他の国である場合、グローバルリージョン102aに対応する宛先URLが選択される。最後にWebUI制御部303は、特定された宛先URLで設定DB305の登録宛先を上書きすることで、当該設定を更新する。制御部303は、更新が完了すると、当該更新した情報に基づき設定画面に対応するWebデータを生成し、クライアント端末に送信する。
【0105】
以上説明した処理により、MFPの設置位置に基づいて登録宛先を適切に異ならせることが可能となる。なお、登録宛先の更新のタイミングはこれに限定されるものではない。
図4で説明した設定画面に「現在地を更新する」等の表示アイテムを更に配置するよう構成してもよい。この場合、「現在地を更新する」等の表示アイテムが選択されたことを契機として、
図14の更新処理を実行するよう構成すればよい。
【0106】
更に、本実施形態では、MFP101の設置位置を推定する方法の一例としてGPSを用いた方法を例示したがこれに限定されるものではない。例えば、GeoIP2等のグローバルIPアドレスからクライアントの位置を特定する方法などを用いてMFP101の設置位置を推定するよう構成することもできる。
【0107】
<変形例>
国ごと地域ごとの監査基準や、規定は、今後も各地域で増加していくことが考えられる。従って、MFP101のファームウェアを更新する場合に、
図7(B)で示した対応関係を更新する仕組みを設けてもよい。
【0108】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASICやFPGA)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0109】
101 印刷装置
111 CPU
102 クラウドプラットフォーム