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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】測定装置及び成膜装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20240213BHJP
   C23C 14/54 20060101ALI20240213BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G01M11/00 T
C23C14/54 E
C23C14/54 F
G01N21/27 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020136715
(22)【出願日】2020-08-13
(62)【分割の表示】P 2020021413の分割
【原出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021128142
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】村山 徹也
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0364160(US,A1)
【文献】特開平11-108824(JP,A)
【文献】特開2002-236076(JP,A)
【文献】特開2019-138743(JP,A)
【文献】特開2000-199731(JP,A)
【文献】米国特許第04703187(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0015146(US,A1)
【文献】米国特許第9243953(US,B1)
【文献】米国特許第6392749(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01M 11/00
C23C 14/00 - C23C 14/58
G02B 1/115
G02B 5/20 - G02B 5/28
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムに光を照射し、前記フィルムで透過又は反射した光を測定する測定部と、
前記測定部を前記フィルムの搬送方向と交差する第1方向に移動可能とする移動機構と、
を備え、
前記測定部は、前記フィルムに光を照射する投光部と、前記フィルムからの光を集光する積分球と、前記積分球で集光した光を受光する受光部と、を備え、
前記投光部は、集光レンズを備え、
前記投光部は、前記積分球に固定され、
前記集光レンズと前記フィルムの光照射面との距離は、前記集光レンズの焦点距離より短い値である、測定装置。
【請求項2】
前記積分球は、前記フィルムと非接触である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記積分球の開口面に照射される外光の照度が、1.0Lux以下である、請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記フィルムを前記フィルムの光照射面と反対側から支持する金属製のロールと、をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記金属製のロールの反射率が1.0%以下である、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
真空中でフィルムに成膜する成膜部と、
前記成膜部で成膜されたフィルムを測定する請求項1~5のいずれか一項に記載の測定装置と、
前記測定装置の受光部で受光した光を分光する分光器と、
前記分光器の測定結果に基づき、前記フィルムに成膜された膜を評価し、前記成膜部に成膜条件をフィードバックする演算部と、を備える、成膜装置。
【請求項7】
機能膜を有するフィルムの製造方法であって
真空中でフィルムに機能膜を成膜する成膜工程と、
成膜されたフィルムの光学特性を測定する工程と、を少なくとも有し、
光学特性を測定する工程が
前記フィルムに光を照射し、前記フィルムで透過又は反射した光を測定する測定部と、
記測定部を前記フィルムの搬送方向と交差する第1方向に移動可能とする移動機構と
有する測定装置によって行われ、
前記測定装置において、
前記測定部は、前記フィルムに光を照射する投光部と、前記フィルムからの光を集光する積分球と、前記積分球で集光した光を受光する受光部と、を備え、
前記投光部は、集光レンズを備え、
前記投光部は、前記積分球に固定され、
前記集光レンズと前記フィルムの光照射面との距離は、前記集光レンズの焦点距離よりも短くなるようにされた
機能膜を有するフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記測定装置が、前記フィルムを前記フィルムの光照射面と反対側から支持する金属製のロールをさらに備える、請求項7に記載の機能膜を有するフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記金属製のロールの反射率が1.0%以下である、請求項8に記載の機能膜を有するフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び成膜装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸着やスパッタリング等によりフィルムの表面に薄膜を成膜し、反射防止等の機能を付与した光学フィルムが知られている。光学フィルムの特性は、薄膜の成膜条件等により変動するため、成膜される薄膜を正確に評価することが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内周面が球状の拡散反射面の集光手段を有し、搬送されるフィルムを評価する光学特性測定装置が記載されている。また特許文献2には、ステージ上に載置された平面基板をin-situで評価できる光学特性測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-199731号公報
【文献】特開2002-236076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の光学特性測定装置は、フィルムの任意の箇所の評価を行うことができず、例えば、フィルムの幅方向に特性のムラがあった場合に、その特性のムラを検知することができない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、搬送フィルムの任意の箇所の光学特性を高精度に測定できる測定装置及び成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0008】
第1の態様にかかる測定装置は、フィルムに光を照射し、前記フィルムで透過又は反射した光を集光する測定部と、前記測定部を前記フィルムの搬送方向と交差する第1方向に移動可能とする移動機構と、を備え、前記測定部は、前記フィルムに光を照射する投光部と、前記フィルムからの光を集光する積分球と、前記積分球で集光した光を受光する受光部と、有する。
【0009】
上記態様にかかる測定装置において、前記積分球は、前記フィルムと非接触であってもよい。
【0010】
上記態様にかかる測定装置において、前記積分球の開口面に照射される外光の照度が、1.0Lux以下であってもよい。
【0011】
上記態様にかかる測定装置は、前記フィルムの光照射面と反対側から前記フィルムを支持する支持体をさらに備え、前記支持体の反射率が1.0%以下であってもよい。
【0012】
上記態様にかかる測定装置は、前記フィルムの前記第1方向の側方にさらに校正板を備えてもよい。
【0013】
第2の態様に係る成膜装置は、真空中でフィルムに成膜する成膜部と、前記成膜部で成膜されたフィルムを測定する上記態様に係る測定装置と、前記測定装置の受光部で受光した光を分光する分光器と、前記分光器の測定結果に基づき、前記フィルムに成膜された膜を評価し、前記成膜部に成膜条件をフィードバックする演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
上記態様にかかる測定装置及び成膜装置によれば、搬送フィルムの任意の箇所の光学特性を高精度に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態にかかる成膜装置の模式図である。
図2】第1実施形態にかかる測定装置の測定部の拡大図である。
図3】第1実施形態にかかる測定装置の積分球近傍の拡大図である。
図4】第1実施形態にかかる測定装置の測定部の近傍の断面図である。
図5】第1実施形態にかかる測定装置の測定部の近傍の別の例の断面図である。
図6】第1実施形態にかかる測定装置の測定部の近傍の別の例の断面図である。
図7】第1実施形態にかかる測定装置の支持体及び校正板の模式図である。
図8】ロールの反射率の推移を示すグラフである。
図9】第1実施形態にかかる測定装置の支持体の別の例の模式図である。
図10】第1実施形態にかかる測定装置の構成板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0017】
「成膜装置」
図1は、第1実施形態にかかる成膜装置200の模式図である。成膜装置200は、測定装置100と成膜部110と分光器120と演算部130と駆動装置140とを有する。成膜装置200は、例えば、隔壁150で区分された真空環境と大気環境とに亘っている。測定装置100及び成膜部110は、真空環境にある。分光器120及び演算部130は、例えば、大気環境にある。駆動装置140は、例えば、真空環境と大気環境に亘っている。
【0018】
成膜部110は、フィルムFの表面に機能膜を積層する。機能膜は、例えば、複数層の誘電体層が積層された反射防止膜である。成膜部110は、例えば、蒸着法、スパッタリング法等によりフィルムFの表面に機能膜を積層する。
【0019】
機能膜が積層されたフィルムFは、測定装置100へ搬送される。以下、成膜部110から測定装置100へのフィルムFの搬送方向をx方向、フィルムFの幅方向をy方向、x方向及びy方向に直交する方向をz方向と称する。測定装置100は、フィルムFの光学特性を測定する。測定装置100の詳細は、後述する。
【0020】
駆動装置140は、移動機構20により測定部10をy方向に動かす。測定部10がy方向に動くことで、測定部10をフィルムFの任意の位置に移動させ、任意の位置のフィルムFの光学特性を測定できる。駆動装置140は、例えば、制御部141とモーター142とからなる。制御部141は、モーター142を制御する。
【0021】
フィルムFの測定結果は、測定部10から例えば光ファイバを経由して分光器120に送られる。分光器120は、フィルムFの透過又は反射光のスペクトルを取得する。取得されたスペクトルは、演算部130に送られる。
【0022】
演算部130は、測定部10で実測したスペクトルから機能膜の光学特性を算出する。
演算部130は、算出した光学特性に基づき、成膜部110での成膜条件をフィードバックする。算出された光学特性が設計特性と異なる場合は、成膜部110での成膜条件を変更する。
【0023】
「測定装置」
測定装置100は、例えば、測定部10と移動機構20と支持体30と校正板40とを備える。測定部10は、移動機構20によってy方向に移動可能である。支持体30は、測定部10と対向する。校正板40は、支持体30のy方向の側方にある。
【0024】
図2は、第1実施形態にかかる測定装置100の測定部10を拡大した図である。測定部10は、積分球11と投光ファイバ12と受光ファイバ13とを少なくとも備える。投光ファイバ12は、光源に接続されている。受光ファイバ13は、分光器120に接続されている。投光ファイバ12及び受光ファイバ13は、例えば、それぞれ屈曲できるファイバ12A,13Aと固定部12B,13Bとを有する。固定部12B、13Bは、積分球11と例えばねじ止めされる。屈曲しない固定部12B,13Bを積分球11としっかり固定することで、測定部10が移動しても振動による影響を抑制できる。測定部10は、フィルムFに光を照射し、フィルムFで透過又は反射した光を測定する。
【0025】
積分球11の大きさは、特に問わない。積分球11の直径は、例えば、後述する移動機構20の動作の妨げにならない限りにおいて、任意に選択することができる。
【0026】
積分球11は、移動機構20に直接固定される場合に限られない。例えば、積分球11を別途設けた筐体内に設置し、筐体を介して移動機構20に固定しても良い。
【0027】
図3は、積分球11を拡大した図である。積分球11には、投光部12Cと受光部13Cとが接続されている。投光部12Cは、投光ファイバ12の一部である。受光部13Cは、受光ファイバ13の一部である。積分球11は、内壁に反射率が高く拡散性に優れたコーティングが施されている。積分球11は、例えば、フィルムFと非接触であり、フィルムFを傷つけない。
【0028】
投光部12Cは、フィルムFに光を照射する。フィルムFの光照射面F1に照射された光は、光照射面F1で拡散反射される。拡散反射された光は、積分球11の内壁にあたり、拡散反射を繰り返す。積分球11は、フィルムFからの光を集光する。受光部13Cは、積分球11内で拡散反射を繰り返し、略均一な明るさとなった光を受光する。受光部13Cは、積分球11で集光した光を受光する。受光した光は、光照射面F1での正反射成分と拡散反射成分を含む。
【0029】
投光部12Cは、例えば、集光レンズ12Dを備える。集光レンズ12DとフィルムFの光照射面F1との距離FLは、例えば、集光レンズ12Dの焦点距離からずれている。
集光レンズ12DとフィルムFの光照射面F1との距離FLは、例えば、集光レンズ12Dの焦点距離より短い。集光レンズ12DとフィルムFと距離を近づけることで、光照射面F1の照射スポットサイズが大きくなる。照射スポットサイズは、例えば、5mmφである。照射スポットサイズが大きくなると、光照射面F1から反射する光の拡散成分が多くても、測定面が平均化され、安定した測定が可能となる。また集光レンズ12DとフィルムFと距離を近づけることで、投光ファイバ12をフィルムF側に近づけることができ、測定部10が小型化される。
【0030】
また図4は、第1実施形態にかかる測定装置100の測定部10の近傍の拡大図である。測定部10は、積分球11の開口面11Aの周囲を囲む遮蔽部材16を有してもよい。遮蔽部材16は、外光Lが積分球11内に入るのを遮蔽する。外光Lは、測定データの外乱の原因となる。遮蔽部材16は、例えば、積分球11の開口面11Aに照射される外光Lの照度を1.0Lux以下とする。
【0031】
遮蔽部材16は、例えば、支持板16Aと遮蔽板16Bとを有する。支持板16Aは、遮蔽板16Bを支持する。支持板16Aは、積分球11の外面に沿って広がる。遮蔽板16Bは、外光Lが積分球11内に入るのを遮蔽する。遮蔽板16Bは、例えば、積分球11の外面から起立する。遮蔽板16Bで囲まれる領域の面積は、例えば、フィルムFに向かうに従い小さくなってもよい。遮蔽板16Bの内径がフィルムFに向って縮径することで、外光Lの積分球11への入射をより抑制できる。また例えば、遮蔽板16Bの一部は、フィルムFと一定の距離を保ち、フィルムFに沿って延在してもよい。
【0032】
また図5に示すように、積分球11を囲む筐体15に遮蔽部材16を設けてもよい。遮蔽部材16は、積分球11に直接設けられていない。例えば、積分球11を筐体15に設けた場合には、筐体15の開口部15Aの周囲に遮蔽部材16を設ける。
【0033】
積分球11内に入る外光Lを少なくする手段は、遮蔽部材16に限られない。例えば、隔壁150で囲まれる真空環境を全て暗室化してもよい。また例えば、図6に示すように、測定部10と支持体30とを囲む囲みBを設けてもよい。筐体15の開口面15Aに照射される外光の照度は、例えば、1.0Lux以下とすることが好ましく、0.3Lux以下とすることがより好ましい。
【0034】
移動機構20は、測定部10をy方向に移動させる。測定部10は、例えば、フィルムFの幅方向、第1校正板41及び第2校正板42に渡って移動できる。移動機構20は、例えば、y方向への直動機構である。移動機構20は、例えば、リニアアクチュエーター、ボールねじである。
【0035】
図7は、第1実施形態にかかる測定装置100の支持体30及び校正板40の模式図である。支持体30は、例えば、ロール31と軸心32とを有する。ロール31は、y方向に延び、軸心32を中心に回転する。フィルムFは、ロール31の外表面に沿って搬送される。
【0036】
ロール31は、例えば、反射率が1.0%以下であり、好ましくは0.4%未満である。ロール31の反射率が低いことで、投光ファイバ12からフィルムFに照射された光がロール31の表面で反射することを抑制できる。ロール31の表面からの反射光は、測定対象のフィルムF以外からの反射であり、外光Lの一因となる。
【0037】
またロール31は、例えば、黒色のゴムロール、金属ロールである。ロール31は、例えば、金属製のブラックロールが好ましい。金属製のブラックロールは、例えば、アルマイト処理された金属ロール、クロム製の金属ロール、黒メッキ処理された金属ロールである。メッキは、例えば、クロムメッキ、亜鉛メッキ、ニッケルメッキである。
【0038】
図8は、ロールの反射率の推移を示すグラフである。図8(a)は、使用前のゴムロールの反射率であり、図8(b)は、使用後のゴムロールの反射率であり、図8(c)は、使用前の金属製のブラックロールの反射率であり、図8(d)は、使用後の金属製のブラックロールの反射率である。使用後とは、例えば、フィルムFを40万メートル搬送後のゴムロール又はブラックロールである。グラフの横軸は、ロール31のy方向の位置であり、縦軸は、ロール31の周方向の異なる4点(A,B,C,D)の反射率である。異なる4点(A,B,C,D)は、それぞれロール31の軸心32を中心に90°ずつ、ずれている。
【0039】
図8に示すように、ゴムロールは使用前の反射率の平均が0.45であり、使用後の反射率の平均は1.22まで増加する。これに対し、金属製のブラックロールは、使用前の反射率の平均が0.27であり、使用後の反射率の平均が0.29である。金属製のブラックロールは、反射率の変化が小さく、安定した測定が可能である。また金属製のブラックロールは、成膜屑の残りの付着が少なく、フィルムFへの悪影響を低減できる。
【0040】
また軸心32も、例えば、反射率が1.0%以下とし、好ましくは0.4%未満とする。軸心32の反射率を低減することで、積分球11に入射する外光Lを低減できる。軸心32は、例えば、表面を黒色加工した金属とする。
【0041】
図8では、支持体30がロール31を有する例を示したが、支持体はこの例に限られない。例えば、図9は、第1実施形態にかかる測定装置の支持体の別の例の模式図である。図9に示す支持体35は、フィルムFの光照射面F1を、光照射面F1の反対側の面を支持する。支持体35は、例えば、反射率が1.0%以下であり、好ましくは0.4%未満である。
【0042】
校正板40は、例えば、第1校正板41と第2校正板42とを有する(図7参照)。第1校正板41及び第2校正板42は、例えば、搬送されるフィルムFのy方向の側方にある。第1校正板41は、リファレンス測定用の標準反射板である。第2校正板42は、ダーク測定用である。
【0043】
第2校正板42を別途設けることで、フィルムFの測定環境とほぼ同様の環境でのダーク測定が可能となる。
【0044】
第1校正板41及び第2校正板42を、フィルムFの側方に設置することで、校正を定期的に行うことが容易になる。例えば、ロールトゥロールで成膜される長尺フィルムの場合、例えば温度等の様々な条件が変化すると校正が乱れる場合があり、定期的な校正が重要である。
【0045】
図10は、第1実施形態にかかる測定装置100の校正板40の側面図である。第1校正板41は、測定部10からの光の照射方向と直交する。測定部10からの光の照射方向とは、例えば、積分球15の開口面15Aと直交する方向である。第2校正板42は、測定部10からの光の照射方向と直交する仮想面に対して傾いている。第2校正板42を仮想面に対して傾けることで、第2校正板42での反射光が測定部10に戻ることを抑制でき、外光Lの影響をより低減できる。
【0046】
上述のように、第1実施形態にかかる測定装置100によれば、搬送フィルムの任意の箇所の光学特性を高精度に測定できる。また第1実施形態にかかる成膜装置200によれば、製造途中でもフィルムFの光学特性を測定でき、その結果を成膜部110での成膜条件にフィードバックできる。
【0047】
また幅の広いフィルムFの場合、幅方向の場所によって成膜条件がばらつく場合がある。測定部10がフィルムFの幅方向に移動できることで、幅方向における成膜条件のバラつきを評価できる。またその評価結果を成膜部110にフィードバックすることで、フィルムFの幅方向の位置毎に成膜条件を変えることも可能であり、より光学特性が均質なフィルムを作製することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 測定部、11 積分球、12 投光ファイバ、13 受光ファイバ、12A,13A ファイバ、12B,13B 固定部、12C 投光部、13C 受光部、12D 集光レンズ、15 筐体、15A 開口面、16 遮蔽部材、16A 支持板、16B 遮蔽板、20 移動機構、30,35 支持体、31 ロール、32 軸心、40 校正板、41 第1校正板、42 第2校正板、100 測定装置、110 測定部、120 分光器、130 演算部、140 駆動装置、141 制御部、141 モーター、150 隔壁、200 成膜装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10