(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20240213BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240213BHJP
F01P 5/04 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
E02F9/22 Z
E02F9/00 M
F01P5/04 C
(21)【出願番号】P 2020137175
(22)【出願日】2020-08-15
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 太樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮太
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕朗
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-048570(JP,A)
【文献】特開2018-204588(JP,A)
【文献】特開2000-303838(JP,A)
【文献】特開2012-002161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
E02F 9/00
F01P 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機の動力により駆動される油圧ポンプと、
前記原動機の動力及び前記油圧ポンプから吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファンを有する冷却装置と、
前記原動機の実際の回転数である原動機実回転数が低下した場合に前記冷却ファンの目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、前記減少制御後に前記ファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記復帰制御における前記ファン目標回転数の上昇度合いと、前記減少制御における前記ファン目標回転数の減少度合いとを異ならせる
制御を行い、
さらに、前記制御装置は、前記原動機実回転数が閾値回転数よりも低下した場合に前記減少制御を行い、前記原動機実回転数が前記閾値回転数よりも低下していない場合に前記ファン目標回転数を設定する第1設定部と、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第2設定部と、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第3設定部とを含む作業機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記復帰制御における前記ファン目標回転数の上昇度合いを、前記減少制御における前記ファン目標回転数の減少度合いよりも小さくする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第2設定部は、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数である第2ファン目標回転数を、前記第1設定部で設定された前記ファン目標回転数である第1ファン目標回転数よりも小さく設定し、
前記第3設定部は、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数である第3ファン目標回転数を、前記第2ファン目標回転数以上且つ前記第1ファン目標回転数未満に設定する請求項
1または2に記載の作業機。
【請求項4】
作業機を循環する冷却水の水温及び作動油の油温の少なくともいずれかを測定する測定装置を備え、
前記第1設定部、前記第2設定部、前記第3設定部のぞれぞれは、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかに基づいて、
前記第1ファン目標回転数、
前記第2ファン目標回転数及び
前記第3ファン目標回転数のそれぞれを設定する請求項
3に記載の作業機。
【請求項5】
前記第3設定部は、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかが大きくなるにつれて、前記第3ファン目標回転数の上昇幅を大きくする請求項
4に記載の作業機。
【請求項6】
前記第3設定部は、前記第3ファン目標回転数を、前記第2ファン目標回転数以上且つ前記第1ファン目標回転数未満の間で、複数設定する請求項3~
5のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温に基づいて設定される前記ファン目標回転数と、作業機を循環する作動油の油温に基づいて設定される前記ファン目標回転数とのうちの高い方の前記ファン目標回転数を選択する請求項1~
6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温または作動油の油温が一定以上の場合は、前記減少制御を行わない請求項1~
7のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項9】
前記冷却装置は、前記作動油によって前記冷却ファンを回転させる油圧モータと、前記油圧モータの入側及び出側に接続されたバイパス油路と、前記バイパス油路に流れる作動油の流量を調節する油圧調整部とを有し、
前記油圧調整部によって前記作動油の流量を調節することで、前記ファン目標回転数を変更する請求項1~
8のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、原動機の動力を利用して駆動する作業装置や走行装置を有し、これらの装置によって作業を行う。また、作業機は、原動機の動力により駆動する油圧ポンプを有し、該油圧ポンプから吐出する作動油によって、オイルクーラ、ラジエータ等の冷却対象を冷却する冷却装置を駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、原動機にかかる負荷が大きな重負荷作業において、冷却装置によって馬力が消費されることにより、作業装置や走行装置に充てる馬力が低下する。その結果、作業性の低下に繋がっている。
本発明は、前記問題点に鑑み、作業性の向上を図ることができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業機は、原動機と、前記原動機の動力により駆動される油圧ポンプと、前記原動機の動力及び前記油圧ポンプから吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファンを有する冷却装置と、前記原動機の実際の回転数である原動機実回転数が低下した場合に前記冷却ファンの目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、前記減少制御後に前記ファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記復帰制御における前記ファン目標回転数の上昇度合いと、前記減少制御における前記ファン目標回転数の減少度合いとを異ならせる制御を行い、さらに、前記制御装置は、前記原動機実回転数が閾値回転数よりも低下した場合に前記減少制御を行い、前記原動機実回転数が前記閾値回転数よりも低下していない場合に前記ファン目標回転数を設定する第1設定部と、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第2設定部と、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第3設定部とを含む。
【0006】
また、前記制御装置は、前記復帰制御における前記ファン目標回転数の上昇度合いを、前記減少制御における前記ファン目標回転数の減少度合いよりも小さくする。
【0007】
また、前記第2設定部は、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数である第2ファン目標回転数を、前記第1設定部で設定された前記ファン目標回転数である第1ファン目標回転数よりも小さく設定し、前記第3設定部は、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数である第3ファン目標回転数を、前記第2ファン目標回転数以上且つ前記第1ファン目標回転数未満に設定する。
【0008】
また、作業機を循環する冷却水の水温及び作動油の油温の少なくともいずれかを測定する測定装置を備え、前記第1設定部、前記第2設定部、前記第3設定部のぞれぞれは、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかに基づいて、前記第1ファン目標回転数、前記第2ファン目標回転数及び前記第3ファン目標回転数のそれぞれを設定する。
また、前記第3設定部は、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかが大きくなるにつれて、前記第3ファン目標回転数の増加幅を大きくする。
【0009】
また、前記第3設定部は、前記第3ファン目標回転数を、前記第2ファン目標回転数以上且つ前記第1ファン目標回転数未満の間で、複数設定する。
前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温に基づいて設定される前記ファン目標回転数と、作業機を循環する作動油の油温に基づいて設定される前記ファン目標回転数とのうちの高い方の前記ファン目標回転数を選択する。
【0010】
また、前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温または作動油の油温が一定以上の場合は、前記減少制御を行わない。
また、前記冷却装置は、前記作動油によって前記冷却ファンを回転させる油圧モータと、前記油圧モータの入側及び出側に接続されたバイパス油路と、前記バイパス油路に流れる作動油の流量を調節する油圧調整部とを有し、前記油圧調整部によって前記作動油の流量を調節することで、前記ファン目標回転数を変更する。
【発明の効果】
【0011】
上記の作業機によれば、原動機に所定以上の過負荷がかかる作業を行ったときに、ファン目標回転数を抑制して作業に充てる馬力を増加させることにより、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】作業機の油圧制御システムを示す回路図である。
【
図3】エンジン実回転数とファン目標回転数の相関図である。
【
図4A】エンジン指示回転数とエンジンドロップ量との関係を示すグラフである。
【
図4B】エンジン指示回転数とエンジンドロップ量との関係を示すグラフである。
【
図5A】作動油温度とエリア毎のファン目標回転数との相関図である。
【
図5B】作動油温度とエリア毎のファン目標回転数との他の例を示す相関図である。
【
図5C】冷却水温度とエリア毎のファン目標回転数との相関図である。
【
図7】エンジン実回転数とファン目標回転数の相関図である。
【
図8】他の実施形態のエンジン実回転数とファン目標回転数の相関図である。
【
図9】他の実施形態のエンジン実回転数とファン目標回転数の相関図である。
【
図10】他の実施形態に係る冷却装置及びエンジン等の側面図である。
【
図11】他の実施形態に係る冷却装置の詳細図である。
【
図12】他の実施形態に係るエンジン実回転数とファン目標回転数の相関図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図13は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。
図13では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機1はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0014】
図13に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、一対の走行装置5とを備えている。
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3の室内にはオペレータが着座する運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。一対の走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機6が搭載されている。
【0015】
本実施形態においては、作業機1の運転席8に着座したオペレータの前側(
図13の左側)を前方、オペレータの後側(
図13の右側)を後方、オペレータの左側(
図13の手前側)を左方、オペレータの右側(
図13の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2の幅方向の中心部に近づく方向である。
【0016】
作業装置4は、油圧駆動型の装置であって、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
【0017】
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
【0018】
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
【0019】
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
【0020】
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
【0021】
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の管材とを接続する装置である。
【0022】
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
一対の走行装置5は、油圧駆動型の装置であって、油圧モータで構成される走行モータM1で駆動される。一対の走行装置5のうち、一方の走行装置5は機体2の左側に設けられ、他方の走行装置5は機体2の右側に設けられている。一対の走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
【0023】
原動機6は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関、電動モータ等である。この実施形態では、原動機6は、ディーゼルエンジンであるが限定はされない。以下、原動機6をエンジンという。
次に、作業機1の油圧制御システムH1について説明する。
図1に示すように、油圧制御システムH1は、第1ポンプP1(第1油圧ポンプ)と、第2ポンプP2(第2油圧ポンプ)とを備えている。第1ポンプP1及び第2ポンプP2は、エンジン6の動力によって駆動される定容量型のギヤポンプであって、作動油を貯留したタンクから作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプである。第1ポンプP1は、油圧アクチュエータを駆動する作動油を吐出する油圧ポンプである。第1ポンプP1から吐出される作動油によって駆動される油圧アクチュエータは、例えば、作業装置4のブームシリンダ14及びバケットシリンダ15や、走行装置5の走行モータM1や、バケット11の代わりに装着される
図1に示すアタッチメント33に装備される油圧アクチュエータ等である。第2ポンプP2から吐出される作動油は、信号用や制御用の作動油を供給するために使用される。説明の便宜上、信号用や制御用の作動油のことをパイロット油、当該パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。
【0024】
図1に示すように、油圧制御システムH1は、アタッチメント33を制御する制御弁(SP制御弁という)30と、予備用電磁弁(第1電磁弁という)31,32とを備えている。
SP制御弁30は、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁であり、パイロット圧によって中立位置35aと第1位置35bと第2位置35cとに切換自在である。SP制御弁30は、バネによって中立位置35aに戻される。
【0025】
SP制御弁30には、第1ポンプP1の吐出油路e1に連通する作業系供給油路f1が接続されている。また、SP制御弁30には、排油路k1を介してバイパス油路h1が接続され、タンク側に戻るドレン油路g1も接続されている。
また、SP制御弁30と接続部材50との間には、作動油供給路39が接続されている。作動油供給路39は、2つの流路から構成されており、一方の流路39iは、第1逃がし路m1を介してバイパス油路h1に接続され、他方の流路39jは、第2逃がし路n1を介してバイパス油路h1に接続されている。第1,第2逃がし路m1,n1には、それぞれリリーフ弁40,41が設けられている。
【0026】
接続部材50は、SP制御弁30とアタッチメント33とを接続するものであって、作動油供給路39及び油圧ホース等を介してSP制御弁30とアタッチメント33とを接続する。接続部材50は、
図13示すように、ブーム10の前寄りに設けられた油圧カプラ50aと、油圧カプラ50aをブーム10に支持する支持部材(取付ステー)50bとで構成されている。
【0027】
第1電磁弁31,32は、SP制御弁30を操作する一対の電磁弁である。
図1に示すように、一方の第1電磁弁31は、第1パイロット油路q1を介してSP制御弁30の受圧部42aに接続されている。他方の第1電磁弁32は、第2パイロット油路r1を介してSP制御弁30の受圧部42bに接続されている。第1電磁弁31,32には、後述する第3油路t1を介して第2ポンプP2からのパイロット油(圧油)が供給可能である。
【0028】
したがって、一方の第1電磁弁31によって、SP制御弁30を第1位置35bに切り換えると、一方の流路39iからアタッチメント33へと第1ポンプP1からの作動油が供給されると共にアタッチメント33からの戻りの油が他方の流路39jから排油路k1に流れる。
また、他方の第1電磁弁32によって、SP制御弁30を第2位置35cに切り換えると、他方の流路39jからアタッチメント33へと第1ポンプP1からの作動油が供給されると共にアタッチメント33からの戻りの油が一方の流路39iから排油路k1に流れる。
【0029】
第1電磁弁31,32及びSP制御弁30を作動させることによって、アタッチメント33を作動させることができる。
図1に示すように、第2ポンプP2には、当該第2ポンプP2から吐出した作動油が流れる流路である油路s1(第1油路s1という)が接続されている。この第1油路s1における第2ポンプP2よりも下流側には、冷却装置66が設けられている。冷却装置66は、作動油を冷却するオイルクーラ67、エンジン6の冷却水を冷却するラジエータ68等の冷却対象69を冷却する装置であって、第2ポンプ(油圧ポンプ)P2から吐出した作動油によって駆動される。
【0030】
言い換えると、冷却装置66はエンジン6の動力を利用して駆動される装置であって、エンジン6の動力によって駆動される油圧ポンプ(第2ポンプP2)によって発生する油圧によって駆動される装置である。
冷却装置66は、回転して冷却風を起こす冷却ファン61と、冷却ファン61を回転駆動するファンモータ60と、ファンモータ60をバイパスして作動油を流すバイパス回路70と、ファンモータ60及びバイパス回路70を収容するモータハウジング71とを有している。
【0031】
なお、バイパス回路70は、モータハウジング71の外部に配置して該モータハウジング71とは別体のバルブハウジングに収容してもよい。
ファンモータ60は、油圧モータによって構成され、第2ポンプP2からの作動油によって駆動する。詳しくは、
図2に示すように、モータハウジング71の入口ポートP10に第1油路s1が接続され、入口ポートP10とファンモータ60の入側(一次側)とが接続油路(第1接続油路という)72で接続され、モータハウジング71の出口ポートS10とファンモータ60の出側(二次側)とが接続油路(第2接続油路という)73で接続されている。入口ポートP10に流入した作動油は、第1接続油路72を介してファンモータ60に流入し、ファンモータ60を通った作動油は、第2接続油路73を介して出口ポートS10へ流れる。このファンモータ60を通過する作動油によってファンモータ60が駆動されて冷却ファン61が回転する。
【0032】
図1に示すように、バイパス回路70は、ファンモータ60の入側及び出側に接続されたバイパス油路74と、バイパス油路74に介装されていて該バイパス油路74を流れる作動油の流量を調節する油圧調整部(バイパスリリーフ弁)64とを有する。
図2に示すように、バイパス油路74は、第1接続油路72と油圧調整部64とを接続する上流油路75と、第2接続油路73と油圧調整部64とを接続する下流油路76とを有している。
【0033】
油圧調整部64は、ファンモータ60に供給される作動油の流量を調節する。厳密に言えば、油圧調整部64は、第2ポンプP2から吐出されてファンモータ60に供給される作動油圧力を規定するバルブであって、ファンモータ60に供給される作動油圧力を制御(調節)することで、結果としてバイパス油路74を流れる作動油流量を調節する。
油圧調整部64は、本実施形態では、可変ソレノイド64aを有する電磁式の比例弁(可変リリーフ弁)によって構成されている。油圧調整部64は、可変ソレノイド64aを消磁することで全閉となり、入口ポートP10に流入した殆どの作動油がファンモータ60へ流入する。これにより、冷却ファン61の回転数であるファン回転数が最高回転数となる。
【0034】
また、油圧調整部64の可変ソレノイド64aに電流を印加することで該油圧調整部64が開いてファンモータ60の入側へ流れる作動油がバイパス油路74を介してファンモータ60の出側へ流れ、ファン回転数が低下する。詳しくは、可変ソレノイド64aに印加する電流値を増加させていって油圧調整部64を開いていくことでファン回転数が低下していく。そして、油圧調整部64を全開することでファン回転数が最低回転数(零回転数を含む)となる。
【0035】
以上のように、油圧調整部64の開度を全閉から全開の間で変更することによって、ファンモータ60へ流入する作動油の流量が変化し、冷却ファン61の回転数を変更することができる。
つまり、油圧調整部64の開度を調節することにより、ファンモータ60に供給される作動油の流量を調節している。
【0036】
言い換えると、油圧調整部64でファンモータ60の一次側と二次側との圧力差(ファンモータ60の作動油供給側の圧力)を設定し、第2ポンプP2からの作動油が上記設定した圧力を超えることにより生じる余剰油が上流油路75→油圧調整部64→下流油路76を通って流れてファンモータ60をバイパスすることで、ファンモータ60に供給される作動油の流量を制御している。
【0037】
図1に示すように、出口ポートS10には、油路u1(第2油路u1という)が接続され、この第2油路u1には作動油を濾過するフィルタ62が接続され、このフィルタ62の下流側には、第1電磁弁31,32に作動油を供給する油路t1(第3油路t1)が接続されている。
図1に示すように、油圧制御システムH1は、制御装置51を有している。制御装置51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータを利用して構成される。制御装置51には、アタッチメント操作部材25aと、エンジン回転設定部材(原動機回転設定部材)25bとが接続されている。アタッチメント操作部材25a及びエンジン回転設定部材25bは、スイッチやレバー等により構成されている。アタッチメント操作部材25aは、アタッチメント33を操作する操作部材である。
【0038】
エンジン回転設定部材25bは、エンジン6の目標回転数であるエンジン目標回転数(原動機目標回転数)を操作する操作部材である。詳しくは、エンジン回転設定部材25bは、オペレーターがエンジン目標回転数を指示するための部材であって、指示する回転数であるエンジン指示回転数(原動機指示回転数)に対応する操作信号を制御装置51に出力する。
【0039】
図1に示すように、制御装置51には、エンジン6が接続されている。制御装置51は、エンジン6の実際の回転数であるエンジン実回転数(原動機実回転数)を取得可能である。
また、制御装置51は、エンジン目標回転数の制御を行う。つまり、制御装置51には、エンジン回転設定部材25bの操作信号(操作量)が入力され、制御装置51は、エンジン回転設定部材25bの操作量に応じた回転数であるエンジン目標回転数を設定する制御信号を、エンジン6に出力する。エンジン6は、この制御信号を受けてエンジン回転設定部材25bで指示された指示回転数であるエンジン指示回転数に対応するエンジン目標回転数になるように該エンジン目標回転数を制御する。
【0040】
図1に示すように、制御装置51には、作業機1を循環する作動油の油温及び冷却水の水温のいずれか一方又は両方を測定する測定装置77が接続されている。制御装置51は、作動油の温度及び冷却水の温度のいずれか一方又は両方を取得可能である。
図1に示すように、制御装置51には、油圧調整部64の可変ソレノイド64aが接続されている。つまり、制御装置51は、可変ソレノイド64aを消磁又は可変ソレノイド64aに電流を印加して油圧調整部64の開度を制御する。また、制御装置51には、第1電磁弁31,32のソレノイド36a,37aが接続されている。制御装置51は、第1電磁弁31,32を制御する。
【0041】
ところで、従来、エンジン6にかかる負荷が大きな重負荷作業において、冷却装置66によって馬力が消費されることにより、作業装置4や走行装置5に充てる馬力が低下し、作業性の低下に繋がっているという問題がある。
本実施形態では、作業性の向上を図るために、エンジン6にかかる負荷が大きくなってエンジン実回転数が低下した場合に、制御装置51は、冷却ファン61の目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行っている。詳しくは、制御装置51は、エンジン6にかかる負荷が大きくなってエンジン実回転数がエンジン目標回転数に対して閾値回転数よりも低下した場合に、減少制御を行っている。重負荷作業にて、ファン目標回転数を減少させて冷却装置66が消費する消費馬力を抑制することで、作業装置4や走行装置5に充てる馬力を増加させることができ、延いては作業性を向上させることができる。
【0042】
なお、エンジン目標回転数と比較しないでエンジン実回転数が閾値回転数よりも低下した場合に、ファン目標回転数を減少させる減少制御を行うようにしてもよい。
また、エンジン実回転数が閾値回転数以上に上昇すると、ファン目標回転数を高めて冷却ファン61による冷却性能を高めるべく、制御装置51は、減少制御後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う。
【0043】
例えば、
図3に示すように、制御装置51は、減少制御では、ファン目標回転数をエリアA1に対応する回転数からエリアA2に対応する回転数に減少させ、復帰制御では、ファン目標回転数をエリアA2に対応する回転数から、エリアA3、A4、A5のそれぞれに対応する回転数の順に上昇(復帰)させる復帰制御を行っている。
次に、ファン目標回転数の減少制御、復帰制御について、
図2、
図3を参照して詳細に説明する。
図2は、冷却装置66の制御系を示す。
図3は、エンジン実回転数とファン目標回転数の相関関係を示す図であって、横軸にエンジン実回転数を示し、縦軸にファン目標回転数(=バイパスリリーフ弁の差圧設定)を示している。
【0044】
図2に示すように、制御装置51は、エンジン実回転数が閾値回転数よりも低下していない場合にファン目標回転数を設定する第1設定部51aと、減少制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第2設定部51bと、復帰制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第3設定部51cとを含む。
第1設定部51aは、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1(
図3参照)に設定する。第2設定部51bは、減少制御を行う場合の第2ファン目標回転数X2(
図3参照)を、第1設定部51aで設定された第1ファン目標回転数X1よりも小さく設定する。本実施形態では、第2設定部51bは、ファン目標回転数を最低回転数である第2ファン目標回転数X2に設定する。ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に設定する制御としては、油圧調整部64を全開する。第3設定部51cは、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2以上且つ第1ファン目標回転数X1未満の回転数である第3ファン目標回転数X3(
図3参照)に設定する。ファン目標回転数を第3ファン目標回転数X3に設定する制御としては、油圧調整部64の開度を全開と全閉との間で調節する。
【0045】
図3において、回転数Aは閾値回転数を示す。回転数B~回転数Eは、閾値回転数とエンジン目標回転数Fとの間に設定された複数の復帰エンジン実回転数(復帰原動機実回転数)を示す。回転数Bは、複数の復帰エンジン実回転数のうちの最小回転数である。回転数Eは、複数の復帰エンジン実回転数のうちの最大回転数である。回転数C、回転数Dは、最大回転数(回転数E)と最小回転数(回転数B)との間に設けられた中間回転数である。中間回転数は、少なくとも1つあればよく、3つ以上あってもよい。
【0046】
次に、ファン目標回転数の減少制御について詳しく説明する。
図3に示すように、エンジン実回転数がエンジン目標回転数Fから回転数A(閾値回転数)になるまでは、ファン目標回転数はエリアA1に滞在し、制御装置51(第1設定部51a)は、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1に維持して冷却性能を高める。
【0047】
なお、エンジン実回転数が低下すると、実際のファン回転数は、エンジン実回転数の低下に起因して低下する。したがって、本実施形態では、
図3の縦軸の「ファン目標回転数」は油圧調整部64であるバイパスリリーフ弁(可変リリーフ弁)の差圧設定であり、説明の都合上、ファン目標回転数という語を使用している。
エンジン6に過負荷がかかり、エンジン実回転数が回転数Aに落ちると、制御装置51(第2設定部51b)は、ファン目標回転数をエリアA2に切り換える。エリアA2では、制御装置51(第2設定部51b)は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に設定する。これにより、冷却装置66が消費していた馬力を作業装置4や走行装置5に充てることができ、作業性を向上させることができる。エリアA2において、エンジン実回転数が回転数Aよりも低い場合は、制御装置51は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に維持する。
【0048】
上記の減少制御では、エンジン6の負荷が小さいときに、冷却ファン61の回転を高くして冷却対象69の温度上昇を抑えておき、エンジン6の負荷が高くなるときに冷却ファン61の回転を下げる余力を残しておくことで、外気高温環境下でも本制御を作動させることができる。
次に、ファン目標回転数の復帰制御について詳しく説明する。
【0049】
制御装置51(第3設定部51c)は、復帰制御を行う場合のファン目標回転数である第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2以上且つ第1ファン目標回転数X1未満に設定する。本実施形態では、第3設定部51cは、第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2と第1ファン目標回転数X1との間で、複数設定する。つまり、本実施形態の復帰制御では、ファン目標回転数を段階状に復帰させている。
【0050】
したがって、減少制御では、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1から第2ファン目標回転数X2まで一気に落としているが、復帰制御では、ファン目標回転数の変化速度を、減少制御に比べて緩やかに設定している。言い換えれば、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合い(上昇幅)W2,W3,W4,W5と、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合い(減少幅)W1と、を異ならせている。
【0051】
図3に示すように、本実施形態では、第3設定部51cが設定する複数の第3ファン目標回転数X3は、小さい回転数から順に、第3aファン目標回転数3Xa、第3bファン目標回転数3Xb、第3cファン目標回転数3Xcである。つまり、第3aファン目標回転数3Xaは第2ファン目標回転数X2よりも大で第3bファン目標回転数3Xbよりも小さく、第3bファン目標回転数3Xbは第3cファン目標回転数3Xcよりも小さく、第3cファン目標回転数3Xcは第1ファン目標回転数X1よりも小さい。
【0052】
本実施形態では、複数の復帰エンジン実回転数のうちの最小回転数から順にファン目標回転数を段階状に上げる復帰制御を行っている。これについて、以下に、詳細に説明する。
エリアA2において、エンジン実回転数が回転数Aから回転数Bまで復帰(上昇)すると、制御装置51は、エリアA3に移行するようにファン目標回転数を切り換える。エリアA3では、制御装置51(第3設定部51c)は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2から第3aファン目標回転数X3aに上昇させる。その後、エンジン実回転数が回転数Cまで復帰すると、制御装置51(第3設定部51c)は、エリアA4に移行するようにファン目標回転数を切り換える。エリアA4では、制御装置51(第3設定部51c)は、ファン目標回転数を第3aファン目標回転数X3aから第3bファン目標回転数X3bに上昇させる。その後、エンジン実回転数が回転数Dまで復帰すると、制御装置51は、エリアA5に移行するようにファン目標回転数を切り換える。エリアA5では、制御装置51(第3設定部51c)は、ファン目標回転数を第3bファン目標回転数X3bから第3cファン目標回転数X3cに上昇させる。その後、エンジン実回転数が回転数Eまで復帰すると、制御装置51(第3設定部51c)は、エリアA1に移行するようにファン目標回転数を切り換え、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1に復帰(上昇)させる。
【0053】
また、制御装置51は、復帰制御を行う際においてエンジン実回転数が低下した場合は、エンジン実回転数が閾値回転数(回転数A)に到達するまでは現状のファン目標回転数を維持し、エンジン実回転数が閾値回転数(回転数A)以上低下した場合にファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に減少させる(
図3の点線参照)。具体的には、エリアA3~エリアA5でエンジン実回転数が低下した場合は、エンジン実回転数が回転数Aまで低下するまでは、現状のエリアA3,エリアA4,エリアA5でのファン目標回転数を維持し、回転数Aに到達した時点でエリアA2に移行する。
【0054】
以上のように、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合いW2,W3,W4,W5と、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合いW1とを異ならせている。具体的には、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合いW2,W3,W4,W5を、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合いW1よりも小さくしている。さらに、詳しくは、ファン目標回転数の変化速度は、減少制御では(他のエリア(エリアA1、エリアA3、エリアA4、エリアA5)からエリアA2へ移行する場合は)、速く設定し、復帰制御では(エリアA2→エリアA3→エリアA4→エリアA5→エリアA1に移行する場合は)、緩やかに設定している。言い換えると、復帰制御では、ファン目標回転数の変化速度を緩やかに復帰させている。
【0055】
復帰制御において、エンジン実回転数が回転数Aまでドロップした後にファン目標回転数を復帰させる場合に、緩やかに復帰させること、つまり、冷却装置66によって消費される馬力を抑えることで、エンジン6の復帰を早めることが可能となる。その結果、作業性を向上させることができる。
次に、回転数Eと回転数A~回転数D、エンジン目標回転数F及びエンジン指示回転数との関係を数値を挙げて説明する。なお、下記に示した数値は一例を示したものであり、該数値は限定されない。
【0056】
本実施形態にあっては、
図3に示すように、回転数Eと回転数Aとの差である第1回転数差RD1は、350rpmに設定され、回転数Eと回転数Bとの差である第2回転数差RD2は、150rpmに設定され、回転数Eと回転数Cとの差である第3回転数差RD3は、100rpmに設定され、回転数Eと回転数Dとの差である第4回転数差RD4は、50rpmに設定されている。これら第1回転数差RD1~第4回転数差RD4は、固定値である。
【0057】
エンジン目標回転数Fと回転数Eとの差である第5回転数差RD5も固定値であってもよい。しかしながら、第5回転数差RD5が固定値であると、エンジン指示回転数が高い時と低い時の性能を両立するのが困難な場合がある。
例えば、第5回転数差RD5を350rpmに設定すると、エンジン目標回転数Fと回転数Aとの差である減少制御時のドロップ量DA1は、700rpmとなる。エンジン指示回転数にかかわらずに、第5回転数差RD5が固定であると、エンジン指示回転数が2400rpmのときには、約30%のドロップ量でエンジン目標回転数Fが回転数Aに低下するのに対し、エンジン指示回転数が1150rpmのときにあっては、エンジン目標回転数Fが約60%ドロップしなければ回転数Aまで達しないこととなり、エンジンストールし易くなるおそれがある。
【0058】
そこで、本実施形態では、
図2に示すように、制御装置51は、エンジン指示回転数の変化に応じて第5回転数差RD5を変化させる変更部51dを有している。エンジン指示回転数と第5回転数差RD5との関係は、
図4Aに示している。
図4Aは、横軸にエンジン指示回転数を示し、縦軸に第5回転数差RD5(回転数Eにおけるエンジンドロップ量)を示している。
【0059】
制御装置51は、
図4Aに示すように、エンジン指示回転数が2400rpmのときの第5回転数差RD5を350rpmに設定し、エンジン指示回転数が1150rpmのときの第5回転数差RD5を50rpmに設定し、エンジン指示回転数が1150rpm~2400rpmまでは、第5回転数差RD5を、エンジン指示回転数に応じて50rpm~350rpmまで比例的に変化させている。
【0060】
ここで、第1回転数差RD1~第4回転数差RD4は固定値であることから、第5回転数差RD5を変化させると、閾値回転数である回転数Aが変化する。つまり、制御装置51は、エンジン回転設定部材25bによって設定されるエンジン指示回転数の変化に応じて回転数A(閾値回転数)を変化させる。詳しくは、制御装置51は、エンジン指示回転数が小さくなるにつれて閾値回転数(回転数A)を小さくする。したがって、閾値回転数(回転数A)をエンジン指示回転数に応じて最適な値に変化させることができ、エンジンストールを抑制することができる。
【0061】
図4Bは、エンジン指示回転数と、エンジン目標回転数Fと回転数Aとの差である減少制御時のドロップ量DA1(回転数Aにおけるエンジンドロップ量)との関係を示している。
図4Bに示すように、エンジン指示回転数が2400rpmのときのドロップ量DA1は700rpmであり、エンジン指示回転数が1150rpmのときのドロップ量DA1は400rpmであり、エンジン指示回転数が1150rpm~2400rpmまでは、ドロップ量DA1はエンジン指示回転数に応じて400rpm~700rpmまで比例的に変化する。グラフの傾きは、
図4Aと同じである。
【0062】
本実施形態では、第1回転数差RD1は350rpmであり第2回転数差RD2は150rpmであることから、回転数Aと回転数Bとの差である第6回転数差RD6は、200rpmである。また、回転数Bと回転数Cとの差である第7回転数差RD7、回転数Cと回転数Dとの差である第8回転数差RD8、第4回転数差RD4は、それぞれ50rpmである。つまり、閾値回転数(回転数A)と復帰エンジン実回転数の最小回転数(回転数B)との差は、最小回転数(回転数B)と該最小回転数(回転数B)に隣り合う復帰エンジン実回転数の中間回転数(回転数C)との差及び隣り合う中間回転数の差(回転数D-回転数C、回転数E-回転数D)よりも十分に大きい。
【0063】
回転数Aと回転数Bとの差を十分に大きくする、本実施形態では、200rpmに保つことで、エンジン実回転数が回転数Aと回転数Bとの間を行き来することによる制御のハンチングを抑制することができる。
上記では、エンジン実回転数の変化に対するファン目標回転数の制御について述べたが、制御装置51は、冷却対象69の温度の変化に対してもファン目標回転数の制御を行っている。
【0064】
次に、
図5Aを参照して、冷却対象69の温度の変化に対するファン目標回転数の制御について説明する。下記の例では、油温に基づいてファン目標回転数を制御する場合について述べるが、水温に基づいてファン目標回転数を同様の制御を行ってもよい。つまり、第1設定部51a、第2設定部51b及び第3設定部51cのそれぞれは、測定装置77で測定された油温及び水温のいずれかに基づいて、ファン目標回転数を制御するようにしてもよい。
【0065】
また、測定装置77で測定された水温及び油温の両方に基づいてファン目標回転数を制御してもよく、その場合は、作業機1を循環する冷却水の水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、作業機1を循環する作動油の油温に基づいて設定されるファン目標回転数とのうちの高い方のファン目標回転数を選択するようにしてもよい。
図5Aは、油温(作動油温度)とエリアA1,A2,A3,A4,A5ごとのファン目標回転数との相関関係を示す図であって、横軸に作動油の温度を示し、縦軸にファン目標回転数を示している。第1設定部51a、第2設定部51b及び第3設定部51cのそれぞれは、
図5Aに示すエリアA1,A2,A3,A4,A5と油温に基づいて、ファン目標回転数の設定を行う。なお、下記に示した数値にあっても一例を示したものであり、該数値は限定されない。
【0066】
図5Aに示すように、油温が60℃以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数である。
エリアA1のファン目標回転数を設定するラインL1では、油温が60℃(点b1)~70℃(点b2)までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が70℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0067】
エリアA5のファン目標回転数を設定するラインL5では、油温が60℃(点b1)~70℃(点b9)までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数よりも低い回転数Y5まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が70℃(点b9)~80℃(点b10)までは、ファン目標回転数を回転数Y5に固定し、油温が80℃(点b10)~90℃(点b3)までは、ファン目標回転数を回転数Y5から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が90℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0068】
エリアA4のファン目標回転数を設定するラインL4では、油温が60℃(点b1)~70℃(点b7)までは、ファン目標回転数を回転数Y5より低い回転数Y4まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が70℃(点b7)~80℃(点b8)までは、ファン目標回転数を回転数Y4に固定し、油温が80℃(点b8)~90℃(点b3)までは、ファン目標回転数を回転数Y4から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が90℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0069】
エリアA3のファン目標回転数を設定するラインL3では、油温が60℃(点b1)~70℃(点b5)までは、ファン目標回転数を回転数Y4より低い回転数Y3まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が70℃(点b5)~80℃(点b6)までは、ファン目標回転数を回転数Y3に固定し、油温が80℃(点b6)~90℃(点b3)までは、ファン目標回転数を回転数Y3から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が90℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0070】
エリアA2のファン目標回転数を設定するラインL2では、油温が85℃(点b4)に上昇するまではファン目標回転数を最低回転数に維持し、油温が85℃(点b4)~90℃(点b3)までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が90℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0071】
図5Aに示すように、ラインL2においてファン目標回転数が最低回転から上昇し始める点b4の温度は、点b6、点b8及び点b10の温度よりも高く設定されている。
上記の制御では、冷却対象69の温度が高くなった場合、初めはエリアA3,エリアA4,エリアA5のファン目標回転数を上昇させ、冷却対象69の温度上昇を緩和する。
その後、更に温度上昇した場合、エリアA2のファン目標回転数を上昇させる。
【0072】
最終的には、エリアA1~エリアA5のファン目標回転数を全て最高回転数に固定する。つまり、制御装置51は、油温(または水温)が一定以上の場合は、減少制御を行わない。これにより、オーバーヒートを防止する。
図5Aに示すように、第1設定部51aは、油温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインL1において所定温度に対応する値を第1ファン目標回転数X1に設定する。第2設定部51bは、油温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインL2において所定温度に対応する値を第2ファン目標回転数X2に設定する。なお、ラインL1において点b1から点b2までの区間は、傾斜していることから第1ファン目標回転数X1と、第2ファン目標回転数X2との差である減少幅W1は、温度が低くなるにつれて小さくなる。
【0073】
第3設定部51cは、油温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインL3、L4、L5のそれぞれにおいて、所定温度に対応する値を第3ファン目標回転数X3に設定する。
なお、ラインL2において、点b1、点b4、点b3までの区間で設定される第2ファン目標回転数X2と、ラインL3において、点b1、点b5、点b6、点b3までの区間で設定される第3aファン目標回転数X3aとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W2に設定する。
【0074】
ラインL3において、点b1、点b5、点b6、点b3までの区間で設定される第3aファン目標回転数X3aと、ラインL4において、点b1、点b7、点b8、点b3までの区間で設定される第3bファン目標回転数X3bとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W3に設定する。
ラインL4において、点b1、点b7、点b8、点b3までの区間で設定される第3bファン目標回転数X3bと、ラインL5において、点b1、点b9、点b10、点b3までの区間で設定される第3cファン目標回転数X3cとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W4に設定する。
【0075】
ラインL5において、点b1、点b9、点b10、点b3までの区間で設定される第3cファン目標回転数X3cと、ラインL1において、点b1、点b2、点b3までの区間で設定される第1ファン目標回転数X1との差を、第3設定部51cは、上昇幅W5に設定する。
つまり、上記制御によれば、第1設定部51a、第2設定部51b、第3設定部51cのぞれぞれは、測定装置77で測定された油温に基づいて、第1ファン目標回転数X1、第2ファン目標回転数X2及び第3ファン目標回転数X3のそれぞれを設定する。
【0076】
また、
図5Aにおいて、60℃-70℃間の温度範囲をみると、第3設定部51cは、測定装置77で測定された油温が大きくなるにつれて、第3ファン目標回転数X3の上昇幅W2,W3,W4,W5を大きくしている。
また、70℃-80℃間の温度範囲では、油温が大きくなっても第3ファン目標回転数X3の上昇幅W2,W3,W4,W5を略一定としており、80℃-90℃間の温度範囲では、油温が大きくなるにつれて、第3ファン目標回転数X3の上昇幅W2,W3,W4,W5は小さくしている。
【0077】
図5Bは、油温(作動油温度)とエリアA1,A2,A3,A4,A5ごとのファン目標回転数との相関関係の他の例を示している。なお、下記に示した数値にあっても一例を示したものであり、該数値は限定されない。
図5Aに示す例では、油温が60℃以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数であるのに対し、この
図5Bに示す例にあっては、油温が40℃以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数で、油温が40℃を超えると、エリアA1、A3、A4、A5においてファン目標回転数を70℃まで温度上昇に応じて比例的に上昇させている。その他は、
図5Aに示す例と同様に制御される。
【0078】
図5Cは、水温(冷却水温度)とエリアA1,A2,A3,A4,A5ごとのファン目標回転数との相関関係を示している。
図5Cに示すように、水温が、例えば、約83℃(点c1)の温度以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数である。点c1の温度は、サーモスタットの開き始める温度よりも高く設定される。エンジン6の冷却水は、エンジン6内のサーモスタットが開くことでエンジン6からラジエータ68へ流動するので、サーモスタットが開き始める温度以下の水温では、冷却ファン61を回しても無駄なので、例えば、冷却ファン61を回さないような設定にしている。
【0079】
また、エリアA1のファン目標回転数を設定するラインR1では、水温が点c1での温度~点c2での温度(例えば、約95℃)までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
エリアA5のファン目標回転数を設定するラインR5では、水温が点c1での温度よりも少し高い点c3での温度(例えば、約84℃)~点c2での温度までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が約95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0080】
エリアA4のファン目標回転数を設定するラインR4では、水温が点c3での温度よりも少し高い点c4での温度(例えば、約85℃)~点c2での温度までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が約95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
エリアA3のファン目標回転数を設定するラインR3では、水温が点c4での温度よりも少し高い点c5での温度(例えば、約86℃)~点c2での温度までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が約95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
【0081】
エリアA2のファン目標回転数を設定するラインR2では、水温が点c6での温度(例えば、約90℃)~点c2での温度までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が約95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
点c2の温度は、サーモスタットが全開になる温度より高く設定される。つまり、サーモスタットが全開となる温度を超える範囲でファン目標回転数を最高回転数に固定している。サーモスタットの全開温度は、例えば、点c5の温度と点c2の温度の間にある。即ち、点c5の温度と点c2の温度の間にサーモスタットの全開温度がくるように、点c5及び点c2が設定される。
【0082】
ここで、
図5Cと
図5A、5Bとを比較すると、点c1の温度は、点b1の温度よりも高く設定されている。また、点c1の温度は、点b2、点b5、点b7及び点b9の温度よりも高く設定されている。また、点c2の温度は、点b3の温度よりも高く設定されている。また、点c6の温度は、点b4の温度よりも高く設定されている。
図5Cに示すように、第1設定部51aは、水温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインR1において所定温度に対応する値を第1ファン目標回転数X1に設定する。第2設定部51bは、水温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインR2において所定温度に対応する値を第2ファン目標回転数X2に設定する。なお、ラインR1において点c1から点c2までの区間は、傾斜していることから第1ファン目標回転数X1と、第2ファン目標回転数X2との差である減少幅W1は、温度が低くなるにつれて小さくなる。
【0083】
第3設定部51cは、水温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインR3、R4、R5のそれぞれにおいて、所定温度に対応する値を第3ファン目標回転数X3に設定する。
なお、ラインR2において、点c5、点c6、点c2までの区間で設定される第2ファン目標回転数X2と、ラインR3において、点c5-点c3での区間で設定される第3aファン目標回転数X3aとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W2に設定する。
【0084】
ラインR3において、点c5-点b2での区間で設定される第3aファン目標回転数X3aと、ラインR4において、点c4-点c2での区間で設定される第3bファン目標回転数X3bとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W3に設定する。
ラインR4において、点b4-点b2での区間で設定される第3bファン目標回転数X3bと、ラインR5において、点b3-点c2での区間で設定される第3cファン目標回転数X3cとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W4に設定する。
【0085】
ラインR5において、点c3-点c2での区間で設定される第3cファン目標回転数X3cと、ラインR1において、点c1-点c2での区間で設定される第1ファン目標回転数X1との差を、第3設定部51cは、上昇幅W5に設定する。
つまり、上記制御によれば、第1設定部51a、第2設定部51b、第3設定部51cのぞれぞれは、測定装置77で測定された水温に基づいて、第1ファン目標回転数X1、第2ファン目標回転数X2及び第3ファン目標回転数X3のそれぞれを設定する。
【0086】
御装置51は、測定装置77で測定された水温及び油温のいずれか一方に基づいてファン目標回転数を制御してもよいし、測定装置77で測定された水温及び油温の両方に基づいてファン目標回転数を制御してもよい。
制御装置51は、測定装置77で測定された水温及び油温の両方に基づいてファン目標回転数を制御する場合、作業機1を循環する冷却水の水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、作業機1を循環する作動油の油温に基づいて設定されるファン目標回転数とのうちの高い方のファン目標回転数を選択する。つまり、制御装置51は、水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、油温に基づいて設定されるファン目標回転数とを比較して、数値が高い方のファン目標回転数を採用して、冷却ファン61の回転数の制御を行う。
【0087】
図6は、冷却装置66の変形例を示している。
この変形例に係る冷却装置66にあっては、油圧調整部(バイパスリリーフ弁)64は、上記と同様の電磁式の比例弁(可変リリーフ弁)64Aのほか、電磁式の開閉弁(アンロード弁)64Bを有している。つまり、油圧調整部64は、比例弁64Aとアンロード弁64Bとを有して構成されている。アンロード弁64Bは、全閉位置78と全開位置79との2位置に切り換え可能な弁であって、例えば、ソレノイド80が消磁されているときには、バネ81によって全閉位置78に保持され、ソレノイド80が励磁されると全開位置79に切り換えられる。アンロード弁64Bのソレノイド80は制御装置51に接続されている。
【0088】
バイパス油路74の上流油路75は、第1接続油路72と比例弁64Aとを接続する第1ライン75aと、第1ライン75aとアンロード弁64Bとを接続する第2ライン75bとを有して構成されている。
バイパス油路74の下流油路76は、第2接続油路73と比例弁64Aとを接続する第3ライン76aと、第3ライン76aとアンロード弁64Bとを接続する第4ライン76bとを有して構成されている。
【0089】
この変形例にあっては、
図7に示すように、エリアA2では、アンロード弁64Bが作動し(全開位置79となり)、ファン目標回転数が第2ファン目標回転数X2となる。このとき、例えば、冷却ファン61は、停止する(若干回転するようになっていてもよい)。エリアA3では、アンロード弁64Bを全閉位置78にして閉じる。このとき、比例弁64Aは開いていて、ファン目標回転数は第3aファン目標回転数X3aになる。その後は、アンロード弁64Bが閉じた状態(全閉位置78)であると共に、エンジン実回転数が復帰するにつれて、比例弁64Aの開度を制御することで、ファン目標回転数を第3aファン目標回転数X3a→第3bファン目標回転数X3b→第3cファン目標回転数X3c→第1ファン目標回転数X1に上げていく。
【0090】
なお、この
図6に示す冷却装置66にあっても、比例弁64A、アンロード弁64B、バイパス油路74を含むバイパス回路70は、モータハウジング71の外部に配置して該モータハウジング71とは別体のバルブハウジングに収容してもよい。
その他の構成は、上記実施形態と同様に構成される。
図8及び
図9は、ファン目標回転数の減少制御、復帰制御の他の形態を示している。この他の形態にあっては、エンジン実回転数が閾値回転数(回転数A)以上に低下してファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に減少させた後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御が異なる。
【0091】
図8に示す形態は、エンジン実回転数が回転数Bに復帰すると、ファン目標回転数を第3aファン目標回転数X3aに上昇させ、エンジン実回転数が回転数Cまで復帰するまでは第3aファン目標回転数X3aを維持し、エンジン実回転数が回転数Cから回転数Eまで復帰する際は、ファン目標回転数を第3aファン目標回転数X3aから第1ファン目標回転数X1までエンジン実回転数の上昇(復帰)に応じて連続的に上昇させる。つまり、この
図8に係る実施形態における第3設定部51cにあっては、エンジン実回転数が回転数Cから以降に復帰する場合の第3ファン目標回転数X3である第3dファン目標回転数X3dを、第3aファン目標回転数X3aから第1ファン目標回転数X1の間で無段階に設定する。
【0092】
また、この
図8に係る形態の場合も復帰制御を行う際においてエンジン実回転数が低下した場合は、エンジン実回転数が閾値回転数(回転数A)に到達するまでは現状のファン目標回転数を維持し、エンジン実回転数が閾値回転数(回転数A)以上低下した場合にファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に減少させる。
図9に示す形態は、エンジン実回転数が回転数Bに復帰するまでは、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に維持し、エンジン実回転数が回転数Bから回転数Eまで復帰する際は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2から第1ファン目標回転数X1までエンジン実回転数の上昇に応じて連続的に上昇させる。つまり、この
図9に係る形態における第3設定部51cにあっては、第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2と第1ファン目標回転数X1との間で無段階に設定する。
【0093】
また、この
図9に係る形態の場合も、復帰制御を行う際においてエンジン実回転数が低下した場合は、上記
図8に係る形態の場合と同様である。
上述した実施形態にあっては、冷却装置66は、油圧駆動型の装置を例示したが、これに限定されることはなく、冷却装置66は、エンジン(原動機)6の動力を利用して駆動される装置であって、エンジン6の動力によって直接駆動される装置であってもよい。つまり、冷却装置66は、エンジン(原動機)6の動力を利用して駆動される装置であればよい。
【0094】
図10、
図11は、他の実施形態に係る冷却装置66であって、エンジン(原動機)6の動力によって直接駆動される冷却装置66を示している。
図10に示すように、冷却装置66は、エンジン6を動力源として駆動する装置であって、粘性の流体を用いた粘性式のクラッチファンである。冷却装置66は、回転軸90と、ロータ98と、ハウジング(ケース)91と、流体設定部(流体設定装置)96と、冷却ファン61とを有している。
【0095】
ロータ98、ハウジング91、流体設定部96及びハウジング91内に封入された流体(シリコン油)は、回転軸90の動力を、ハウジング91内の流体を介して冷却ファン61に伝達する流体クラッチを構成している。
回転軸90は、エンジン6の出力軸92の回転動力により回転する軸である。例えば、エンジン6の出力軸92には、当該出力軸92と共に回転するプーリ93が設けられている。また、回転軸90にも、当該回転軸90と共に回転するプーリ94が設けられている。プーリ93とプーリ94とには、ベルト(駆動ベルト)95が掛けられ、プーリ93の回転動力が駆動ベルト95を介してプーリ94に伝達される。即ち、回転軸90は、エンジン6の出力軸92の回転動力によって回転する。
【0096】
図11に示すように、ロータ98は、回転軸90に固定されていて、回転軸90と共に回転する。ロータ98は、円盤状であって、外面に環状のラビリンス部(溝部)98aが形成されている。ロータ98はハウジング91に収容されている。
ハウジング91は、回転軸90に軸受97を介して回転自在に支持されている。ハウジング91の外側には、複数枚の羽根を有する冷却ファン61が装着されている。したがって、ハウジング91を回転させることによって冷却ファン61を回転させることができる。
【0097】
ハウジング91は、ロータ98のラビリンス部98aに近接する壁部91aを有している。ハウジング91の壁部91aと、ロータ98のラビリンス部98aとの間には、ギャップ(作動ギャップ)91bが形成されている。ギャップ91bに粘性の流体(例えば、シリコン油)を導入することによって、ロータ98の回転動力がハウジング91に伝達される。ハウジング91はロータ98の回転動力によって回転する。
【0098】
ハウジング91は、貯蔵室91cと、流路91dとを有している。貯蔵室91cは、シリコン油を一時的に貯蔵する室であって、回転軸90の先端側に設けられている。流路91dは、貯蔵室91cとギャップ91bとを連通する循環型の流路である。即ち、流路91dは、ギャップ91bの出側91b1と貯蔵室91cとを繋ぎ、ギャップ91bの入側91b2と貯蔵室91cとを繋ぐ流路である。したがって、ギャップ91bに導入されたシリコン油は、流路91dを通過して貯蔵室91cに入った後、貯蔵室91cから流路91dに入って、ギャップ91bに戻ることが可能である。
【0099】
流体設定部(流体設定装置)96は、ギャップ91bに導入するシリコン油の導入量を設定する装置である。流体設定部96は、流路91dの中途部を閉鎖可能な電磁弁である。即ち、流体設定部96は、コイル(ソレノイド)と、コイルの励磁によって移動可能なピンと、ピンの先端に設けられた弁体とを有している。流体設定部96のピン及び弁体は、流路91d内に設けられ、ビンの移動によって流路91dの内部を開放又は閉鎖可能である。流体設定部96を作動させて開度を変更すれば、貯蔵室91cから流体設定部96を通過してギャップ91bに導入される導入量を調整することができる。
【0100】
ギャップ91bに入ったシリコン油は、流路91dを通過して貯蔵室91cに入る。ここで、流体設定部96によって流路91dを完全に閉鎖した状態では、シリコン油は、貯蔵室23からギャップ91bに流入することができない。流体設定部96の弁体を開けば、貯蔵室91cのシリコン油は、流体設定部96を通過して、ギャップ91bに流入することができる。ギャップ91bに導入されたシリコン油の導入量(流体クラッチのスリップ率)によって、冷却ファン61(ハウジング91)の回転数を変更することができる。
【0101】
例えば、ギャップ91bへのシリコン油の導入量を多くすることによって、冷却ファン61の実際の回転数(ファン実回転数)を、エンジン実回転数と略一致するまで上昇させることができる。また、ギャップ91bへのシリコン油の導入量を少なくすることによって、回転軸90からロータ98を介してハウジング91に伝達するトルクが小さくなる。即ち、ギャップ91bへのシリコン油の導入量を少なくすることによって、エンジン実回転数に対するファン実回転数の比率が減少する。
【0102】
冷却装置66の制御(冷却ファン61の回転制御)は、CPU等で構成された制御装置51で行う。制御装置51は、流体設定部96に制御信号を出力して当該流体設定部96の開度を変更することによって、冷却ファン61の回転数を制御する。
詳しくは、
図11に示すように、この他の実施形態にあっても、制御装置51は、エンジン実回転数が閾値回転数よりも低下していない場合にファン目標回転数を設定する第1設定部51aと、減少制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第2設定部51bと、復帰制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第3設定部51cとを有し、
図12に示すように、減少制御では、ファン目標回転数をエリアA1に対応する回転数からエリアA2に対応する回転数に減少させ、復帰制御では、ファン目標回転数をエリアA2に対応する回転数から、エリアA3、A4、A5のそれぞれに対応する回転数の順に上昇(復帰)させる復帰制御を行う。
【0103】
ファン目標回転数の減少制御、復帰制御の詳細については、上述した実施形態と略同様であるので説明を省略する。
図12は、エンジン実回転数とファン目標回転数の相関関係を示す図であって、横軸にエンジン実回転数を示し、縦軸にファン目標回転数(=流体クラッチのスリップ率(ロック率))を示している。
【0104】
流体クラッチのスリップ率は、入力側(回転軸90)と出力側(冷却ファン61)間の回転数の損失を表し、回転軸の90の回転数をそのまま冷却ファン61に伝える場合は、スリップ率は0%(ロック率は100%)になる。また、冷却ファン61の回転を低下させるために、回転軸90の回転数を冷却ファン61に伝えないときは、スリップ率は100%(ロック率は0%)になる。ただし、第1ファン目標回転数X1が絶対にスリップ率0%(ロック率100%)にならなければならないわけではない。また、第2ファン目標回転数X2も同様にスリップ率100%(ロック率0%)にならなければならないわけではない。
【0105】
この
図12の縦軸の「ファン目標回転数」は流体クラッチのスリップ率であり、この他の実施形態にあっても、説明の都合上、ファン目標回転数という語を使用している。
また、
図11に示すように、制御装置51は、エンジン指示回転数の変化に応じて第5回転数差RD5を変化させる変更部51dを有している。
変更部51dによる制御は、上述した実施形態と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0106】
また、
図11に示すように、制御装置51には、第1検出装置(原動回転検出装置)99と、第2検出装置100とが接続されている。制御装置51は、第1検出装置99及び第2検出装置100の検出情報を取得可能である。第1検出装置99は、エンジン実回転数を検出する装置である。即ち、第1検出装置99は、出力軸92の付近に設けられ、エンジン6の出力軸92の実回転数(エンジン実回転数)を検出する。第2検出装置100は、冷却ファン61(ハウジング91)の実回転数を検出する装置である。即ち、冷却ファン61又はハウジング91の近傍に設けられ、冷却ファン61の実回転数を検出する。
【0107】
また、制御装置51は、比例制御部51eと、積分制御部51fと、微分制御部51gとを備えている。比例制御部51e、積分制御部51f及び微分制御部51gは、制御装置51を構成する電気・電子部品、当該制御装置51に組み込まれたプログラム等から構成されている。
制御装置51は、第2検出装置100で検出されたファン実回転数と、ファン目標回転数との差分を求める。比例制御部51eは、ファン実回転数とファン目標回転数との差分に対して、予め設定された設定された比例ゲインを掛けて(乗算して)比例制御を行う。
【0108】
積分制御部51fは、ファン実回転数とファン目標回転数との差分に対して、積分開始タイミング変更処理が実行されて設定された積分ゲイン(0か正の定数)を掛けて(乗算して)積分制御(I制御)を行う。
微分制御部51gは、ファン実回転数とファン目標回転数との差分に対して、予め設定された設定された微分ゲインを掛けて(乗算して)微分制御(D制御)を行う。
【0109】
このように、制御装置51は、PID制御によって制御値(操作量)を決定して、当該制御値に対応する制御信号を流体設定部96のコイルに出力することにより、冷却ファン61の回転を設定する。なお、制御信号は、制御値に応じてデューティ比が設定された信号であって、制御装置51は、PWM制御によって、流体設定部96の開度を設定する。
なお、この
図10、
図11に示す他の実施形態にあっても、
図5A,
図5B,
図5Cに示す、温度(油温、水温)に基づくファン目標回転数の制御が行われる。この場合、この他の実施形態にあっては、
図5A,
図5B,
図5Cにおける縦軸はファン目標回転数(=流体クラッチのスリップ率(ロック率))となる。
【0110】
また、
図10、
図11に示す他の実施形態にあっても、
図8、
図9に示す形態でファン目標回転数の減少制御、復帰制御を行うようにしてもよい。この場合も、この他の実施形態にあっては、
図8、
図9における縦軸はファン目標回転数(=流体クラッチのスリップ率(ロック率))となる。
本実施形態の作業機1は、原動機(エンジン6)と、原動機6の動力により駆動される油圧ポンプP2と、原動機6の動力及び油圧ポンプP2から吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファン61を有する冷却装置66と、原動機6の実際の回転数である原動機実回転数が低下した場合に冷却ファン61の目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、減少制御後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置51と、を備え、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合いW2,W3,W4,W5と、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合いW1とを異ならせる。
【0111】
この構成によれば、原動機6に所定以上の過負荷がかかる作業を行ったときに、ファン目標回転数を抑制して作業に充てる馬力を増加させることにより、作業性の向上を図ることができる。
また、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合いW2,W3,W4,W5を、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合いW1よりも小さくする。
【0112】
この構成によれば、ファン目標回転数を緩やかに復帰させることで原動機6の復帰を早めることができる。
また、制御装置51は、前記原動機実回転数が閾値回転数(回転数A)よりも低下した場合に減少制御を行い、原動機実回転数が閾値回転数よりも低下していない場合にファン目標回転数を設定する第1設定部51aと、減少制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第2設定部51bと、復帰制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第3設定部51cと含む。
【0113】
この構成によっても、原動機6に所定以上の過負荷がかかる作業を行ったときに、ファン目標回転数を抑制して作業に充てる馬力を増加させることができる。
また、第2設定部51bは、減少制御を行う場合のファン目標回転数である第2ファン目標回転数X2を、第1設定部51aで設定されたファン目標回転数である第1ファン目標回転数X1よりも小さく設定し、第3設定部51cは、復帰制御を行う場合のファン目標回転数である第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2以上且つ第1ファン目標回転数X1未満に設定する。
【0114】
この構成によれば、ファン目標回転数を緩やかに復帰させることができ、それによって原動機6の復帰を早めることができる。
また、作業機1を循環する冷却水の水温及び作動油の油温の少なくともいずれかを測定する測定装置77を備え、第1設定部51a、第2設定部51b、第3設定部51cのぞれぞれは、測定装置77で測定された水温及び油温の少なくともいずれかに基づいて、第1ファン目標回転数X1、第2ファン目標回転数X2及び第3ファン目標回転数X3のそれぞれを設定する。
【0115】
この構成によれば、冷却装置66の冷却対象の温度上昇を緩和することができる。
また、第3設定部51cは、測定装置77で測定された水温及び油温の少なくともいずれかが大きくなるにつれて、第3ファン目標回転数X3の上昇幅を大きくする。
この構成によれば、冷却装置66の冷却対象のオーバーヒートを抑制することができる。
【0116】
また、第3設定部51cは、第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2以上且つ第1ファン目標回転数X1未満の間で、複数設定する。
この構成によれば、復帰制御の際のファン目標回転数を緩やかにすることができる。
制御装置51は、作業機1を循環する冷却水の水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、作業機1を循環する作動油の油温に基づいて設定されるファン目標回転数とのうちの高い方のファン目標回転数を選択する。
【0117】
この構成によれば、オーバーヒートを抑制することができる。
また、制御装置51は、作業機1を循環する冷却水の水温または作動油の油温が一定以上の場合は、減少制御を行わない。
この構成によれば、オーバーヒートを抑制することができる。
また、冷却装置66は、作動油によって冷却ファン61を回転させる油圧モータ60と、油圧モータ60の入側及び出側に接続されたバイパス油路74と、バイパス油路74に流れる作動油の流量を調節する油圧調整部64とを有し、油圧調整部64によって作動油の流量を調節することで、ファン目標回転数を変更する。
【0118】
この構成によれば、作動油の流量調節によってファン目標回転数を変更する冷却装置66を採用した作業機1において、原動機6に所定以上の過負荷がかかる作業を行ったときに、ファン目標回転数を抑制して作業に充てる馬力を増加させることができる。
また、本実施形態の作業機1は、原動機(エンジン6)と、原動機6の動力により駆動される油圧ポンプP2と、原動機6の動力及び油圧ポンプP2から吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファン61を有する冷却装置66と、原動機6の実際の回転数である原動機実回転数が閾値回転数(回転数A)よりも低下した場合に冷却ファン61の目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、減少制御後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置51と、制御装置51に、原動機6の目標回転数である原動機目標回転数(エンジン目標回転数F)を指示する操作信号を出力する原動機回転設定部材25bと、を備え、制御装置51は、原動機回転設定部材25bで指示された指示回転数である原動機指示回転数に基づいて原動機目標回転数を制御すると共に、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を変化させる。
【0119】
この構成によれば、原動機6に所定以上の過負荷がかかる作業を行ったときに、ファン目標回転数を抑制して作業に充てる馬力を増加させることにより、作業性の向上を図ることができる。
また、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を変化させることで、原動機指示回転数が高い時と低い時の性能を両立させることができる。
【0120】
また、制御装置51は、原動機指示回転数が小さくなるにつれて前記閾値回転数を小さくする。
この構成によれば、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を最適な値に変化させることができる。
また、制御装置51は、閾値回転数と原動機目標回転数との間に複数の復帰原動機実回転数(回転数B~回転数E)を設定し、複数の復帰原動機実回転数のうちの最小回転数(回転数B)から順にファン目標回転数を段階状に上げる復帰制御を行い、且つ複数の復帰原動機実回転数のうちの最大回転数(回転数E)と閾値回転数との差を固定値として最大回転数と原動機目標回転数との差を原動機指示回転数の変化に応じて変化させる。
【0121】
この構成によっても、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を最適な値に変化させることができる。
また、制御装置は、最大回転数と原動機目標回転数との差を原動機指示回転数の変化に応じて比例的に変化させる。
この構成によっても、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を最適な値に変化させることができる。
【0122】
また、複数の復帰原動機実回転数は、最大回転数と最小回転数との間に少なくとも1つの中間回転数(回転数C,回転数D)を有し、閾値回転数と最小回転数との差は、最小回転数と該最小回転数に隣り合う中間回転数との差よりも大きい。
この構成によれば、閾値回転数と最小回転数との差を大きくすることで、閾値回転数と最小回転数との間を行き来することによる制御のハンチングを抑制することができる。
【0123】
また、制御装置51は、復帰制御を行う際において原動機実回転数が低下した場合は、原動機実回転数が閾値回転数に到達するまでは現状のファン目標回転数を維持し、原動機実回転数が閾値回転数よりも低下した場合にファン目標回転数を減少させる。
この構成によっても、制御のハンチングを抑制することができる。
また、減少制御は、ファン目標回転数を零回転数を含む最低回転数にする制御である。
【0124】
この構成によれば、原動機6に過負荷がかかったときに、ファン目標回転数が消費する馬力を十分に抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
6 原動機(エンジン)
51 制御装置
51a 第1設定部
51b 第2設定部
51c 第3設定部
60 油圧モータ
61 冷却ファン
64 油圧調整部
66 冷却装置
74 バイパス油路
77 測定装置
A 閾値回転数(回転数A)
P2 油圧ポンプ
W1 減少度合い
W2 上昇度合い
W3 上昇度合い
W4 上昇度合い
W5 上昇度合い
X1 第1ファン目標回転数
X2 第2ファン目標回転数
X3 第3ファン目標回転数