(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】メモリシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20240213BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20240213BHJP
G06F 12/06 20060101ALI20240213BHJP
G11C 5/04 20060101ALI20240213BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G01R31/28 U
G01R31/28 B
G06F12/00 550K
G06F12/06 524
G11C5/04 200
H01L23/12 Q
(21)【出願番号】P 2020146386
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古牧 広昭
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0116668(US,A1)
【文献】特許第6742461(JP,B1)
【文献】特開2016-012693(JP,A)
【文献】実開平05-055074(JP,U)
【文献】特開2010-097686(JP,A)
【文献】実開昭62-147026(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
G06F 12/00-12/06、
13/16-13/18、
G11C 5/00、
5/02、
5/04、
5/06、
5/14、
29/00、
H01L 23/12-23/14、
25/00-25/16、
H10B 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面の反対面である第2面とを有すると共に、第1端部と前記第1端部の反対側の第2端部とを有する基板と、
前記第1面に配された半導体メモリ及びコントローラと、
ホスト装置と接続可能であり前記第1端部に配されたエッジコネクタ部と、
前記第2端部に配され、それぞれが前記第1面から前記第2面まで貫通し、それぞれの内側面が導電膜で覆われた複数のスルーホール部と、
前記第2端部における前記第2面に配された複数のパッド電極と、
を備え、
前記複数のスルーホール部の一部は前記コントローラに電気的に接続され、
前記複数のパッド電極の一部は前記コントローラに電気的に接続されて
おり、
前記基板は、前記第2端部の両端に第1の角部及び第2の角部を有し、前記第1の角部及び前記第2の角部との間に切り欠き部を有し、
前記複数のスルーホール部は、前記第1の角部及び前記切り欠き部の間に配された第1スルーホール部と前記切り欠き部及び前記第2の角部の間に配された第2スルーホール部とを含む
メモリシステム。
【請求項2】
第1面と前記第1面の反対面である第2面とを有すると共に、第1端部と前記第1端部の反対側の第2端部とを有する基板と、
前記第1面に配された半導体メモリ及びコントローラと、
ホスト装置と接続可能であり前記第1端部に配されたエッジコネクタ部と、
前記第2端部に配され、それぞれが前記第1面から前記第2面まで貫通し、それぞれの内側面が導電膜で覆われた複数のスルーホール部と、
前記第2端部における前記第2面に配された複数のパッド電極と、
を備え、
前記複数のスルーホール部の一部は前記コントローラに電気的に接続され、
前記複数のパッド電極の一部は前記コントローラに電気的に接続されており、
前記複数のパッド電極の数は、前記複数のスルーホール部の数より多い
メモリシステム。
【請求項3】
前記複数のパッド電極は、前記複数のスルーホール部に近接して配されている
請求項1
又は請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記パッド電極それぞれは、前記複数のスルーホール部のうち対応するスルーホール部の導電膜に電気的に接続されている
請求項
3に記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記パッド電極それぞれは、前記複数のスルーホール部の導電膜から電気的に絶縁されている
請求項
3に記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記基板は、前記第2端部の両端に第1の角部及び第2の角部を有し、
前記複数のスルーホール部は、前記第1の角部に近接して配された第1スルーホール部と、前記第2の角部に近接して配された第2スルーホール部とを含む
請求項
2に記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記基板は、前記第2端部の両端に第1の角部及び第2の角部を有し、前記第1の角部及び前記第2の角部との間に切り欠き部を有し、
前記第1の角部及び前記切り欠き部の間に配された第1スルーホール部の数と、前記切り欠き部及び前記第2の角部の間に配された第2スルーホール部の数とは、互いに異なる
請求項
2に記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記複数のスルーホール部それぞれの開口径は、ばね式のテストピンの最大平面幅に対応しており、
前記複数のパッド電極それぞれの平面寸法は、ポゴピンの先端部の平面幅に対応している
請求項1
又は請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項9】
前記第1スルーホール部の数と、前記第2スルーホール部の数とは、互いに異なる
請求項1に記載のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、メモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ及びコントローラを備えるメモリシステムでは、出荷後において、使用中に不具合が発生することがある。半導体メモリ及びコントローラは単体のパッケージ又は個別のパッケージに封入される。このようなパッケージに封入された半導体メモリ及びコントローラは、メモリシステムの基板に実装される。このとき、半導体メモリ及びコントローラが基板に実装されたメモリシステムの不具合解析の容易化が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-12693号公報
【文献】特開2010-97686号公報
【文献】特許第5548966号公報
【文献】米国特許出願公開第2017/0083427号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、不具合解析を容易化できるメモリシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、基板と半導体メモリ及びコントローラとエッジコネクタ部と複数のスルーホール部と複数のパッド電極とを有するメモリシステムが提供される。基板は、第1面と第2面とを有すると共に、第1端部と第2端部とを有する。第2面は、第1面の反対面である。第2端部は、第1端部の反対側の端部である。半導体メモリ及びコントローラは、第1面に配されている。エッジコネクタ部は、ホスト装置と接続可能である。エッジコネクタ部は、第1端部に配されている。複数のスルーホール部は、第2端部に配されている。複数のスルーホール部のそれぞれは、第1面から第2面まで貫通している。複数のスルーホール部は、それぞれの内側面が導電膜で覆われている。複数のパッド電極は、第2端部における第2面に配されている。複数のスルーホール部の一部は、コントローラに電気的に接続されている。複数のパッド電極の一部は、コントローラに電気的に接続されている。基板は、第2端部の両端に第1の角部及び第2の角部を有する。基板は、第1の角部及び第2の角部との間に切り欠き部を有する。複数のスルーホール部は、第1スルーホール部と第2スルーホール部とを含む。第1スルーホール部は、第1の角部及び切り欠き部の間に配される。第2スルーホール部は、切り欠き部及び第2の角部の間に配される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるメモリシステムの構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるメモリシステムに対するオンサイトのテスト動作を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態におけるスルーホール構造へのテストピンの挿入を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるメモリシステムに対する回収後のテスト動作を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態におけるパッド電極へのポゴピンの接触を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第1の変形例にかかるメモリシステムの構成を示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第2の変形例にかかるメモリシステムの構成を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第2の変形例におけるパッド電極へのポゴピンの接触を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるメモリシステムを詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態にかかるメモリシステムは、電子部品が実装された基板を備え、この基板の一端にホスト装置へ接続されるためのエッジコネクタが配されて構成される。
【0009】
このメモリシステムは、出荷後において、使用中に不具合が発生することがある。不具合の連絡を受けた作業者はユーザの使用場所へ不具合対応に派遣され、作業者がメモリシステムをユーザの使用場所(オンサイト)で不具合解析することがある。オンサイトで不具合解析できない場合、作業者は、不具合の発生したメモリシステムを持ち帰って不具合解析する事がある。この場合、迅速に不具合箇所を特定することが困難である。
【0010】
例えば、オンサイトでの不具合解析を可能にするために、メモリシステムの基板におけるエッジコネクタと反対側の端部に、テスト専用のエッジコネクタとも言えるゴールドフィンガーが設けられた第1の構成が考えられる。第1の構成では、ゴールドフィンガーに対応したテスト専用のソケットを接続する必要があるが、エッジコネクタはホスト装置に取り付けられた状態のため、テスト用パッドにソケットを接続しづらい。ユーザのホスト装置での接続形態によってはオンサイトではソケットを接続する事ができない。
【0011】
また、第1の構成では、ゴールドフィンガーとソケットとの接触による摩擦を起因とした接点の劣化が起きやすく、耐用回数が少ない。このため、不具合の発生したメモリシステムを回収して、より高度な不具合解析が可能な高性能で高価なテスト治具に適用した場合には多くの回数を使用する事が出来ない。
【0012】
また、メモリシステムの基板におけるエッジコネクタと反対側の端部に、汎用のテストピンを挿入できるように基板のある面からその反対面まで貫通し内側面が導電膜で覆われたスルーホール構造が設けられた第2の構成が考えられる。第2の構成では、汎用のテストピンでテスト治具を接続できるため、オンサイトにおける簡易な不具合解析が可能である。
【0013】
しかし、第2の構成では、導電膜とテストピンとの接触による摩耗を起因とした接点の劣化が起きやすく、スルーホール構造の耐用回数が少ない。このため、不具合の発生したメモリシステムを回収して、より高度な不具合解析が可能な高性能で高価なテスト治具に適用した場合には多くの回数を使用する事が出来ない。
【0014】
一方、回収後の詳細な不具合解析を可能にするために、メモリシステムの基板のある面にテスト用のパッド電極が設けられた第3の構成が考えられる。第3の構成では、テストピンをパッド電極に接触させるための位置決めが必要となり、例えばカメラ(イメージセンサーなど)でメモリシステム場所を把握してサーボ制御で位置合わせをおこなうなど、テスト治具として規模の大きな装置が必要となる。
【0015】
そこで、本実施形態では、メモリシステムにおいて、基板におけるエッジコネクタが設けられた端部と反対側の端部に、基板の第1面から第2面まで貫通し内側面が導電膜で覆われたスルーホール構造を設け、第2面におけるスルーホール構造の付近にパッド電極を設けることで、オンサイト及び回収後の双方における不具合解析の容易化およびそのための治具・装置の簡素化を目指す。
【0016】
具体的には、メモリシステムを出荷した後の使用中に不具合が発生した場合、オンサイトの不具合解析は、スルーホール構造を用いて行われる。メモリシステムをエッジコネクタによりユーザの装置に装着した状態でテストピンをスルーホール構造に挿入することで、テストピンをスルーホール構造に確実に接触できる。この状態で、スルーホール構造及びテストピン経由でメモリシステムの動作解析に必要なデータを取得することで、オンサイトであっても不具合解析をおこなう事ができる。ユーザの装置上で取得したデータを元に、発生した不具合内容を解析して対策をおこなうため、不具合発生から対策までの期間を短縮できるとともに、回収後の不具合の再現が可能となる。
【0017】
また、回収後の不具合解析は、パッド電極及びスルーホール構造を用いて行われる。この不具合解析では、ポゴピンの付近に位置決めピンが配されたテスト治具が用いられる。このテスト治具の位置決めピンをスルーホール構造に挿入してメモリシステムを治具に押し当てることで、ポゴピンの先端をパッド電極に確実に接触できる。この状態で、パッド電極及びポゴピン経由でメモリシステムの動作解析に必要なデータを取得することで、オンサイトと同様または、時間をかけてより複雑な不具合解析をおこなう事ができる。更に、ポゴピン及びパッド電極の耐用回数は、テストピン及びスルーホール構造の耐用回数より多いため、回収後に使用する高機能で高価なテスト治具を多くの回数使用する事ができる。
【0018】
より具体的には、メモリシステム1は、
図1に示すように構成される。
図1は、メモリシステム1の構成を示す平面図である。
図1(a)は、メモリシステム1を基板3の第1面3a側から見た平面図であり、
図1(b)は、メモリシステム1を基板3の第2面3b側から見た平面図である。以下では、メモリシステム1が備える基板3におけるカバー2が配置される面を第1面3aとし、基板3における第1面3aと反対側の面を第2面3bとする。基板3の第1面3a又は第2面3bに垂直な方向をZ方向とし、基板3の長手方向をX方向とし、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向とする。Y方向は、基板3の短手方向である。
【0019】
メモリシステム1は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。メモリシステム1は、ホスト装置(図示せず)と通信可能に接続され、ホスト装置に対する外部記憶媒体として機能し得る。ホスト装置は、例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置、携帯電話、撮像装置であってもよいし、タブレットコンピュータやスマートフォンなどの携帯端末であってもよいし、ゲーム機器であってもよいし、カーナビゲーションシステムなどの車載端末であってもよいし、移動体通信システムの基地局などの通信インフラ装置であってもよいし、クラウドコンピューティングのストレージを形成するデータサーバであってもよい。ホスト装置からは電源が供給され、ホスト装置とメモリシステム1と間にはリセットを含む制御信号およびデータ通信をおこなうためのSATAまたはPCIeの汎用高速シリアルバスが接続される。
【0020】
メモリシステム1は、カバー2、基板3、エッジコネクタ4、複数のスルーホール構造5(5-1~5-11)、及び複数のパッド電極6(6-1~6-11)を有する。
【0021】
カバー2は、半導体集積回路が搭載された半導体チップのパッケージ等の部品を覆うように配置される。例えば、
図1(a)に実線で示すカバー2は、
図1(a)に点線で示す半導体メモリのパッケージ2a~2c、コントローラを含むSoC(System on Chip)のパッケージ2d、他の電子部品2eなどを覆うように配置される、カバー2にはメモリシステム1の製造・販売メーカー名、製品名、及びメモリ容量などの情報が印刷される。半導体メモリは、NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであってもよい。
【0022】
基板3は、XY平面視において、X方向を長手方向としXY方向に延びた略矩形に沿った形状を有する。基板3は、端部31及び端部32を有する。端部31及び端部32は、基板3における互いに反対側の端部であり、カバー2を間にして互いに反対側に配されている。端部31は、基板3における-X側の端部であり、端部32は、基板3における+X側の端部である。端部32は、Y方向における両端に角部321,322を有し、Y方向における中央付近に切り欠き部323を有する。角部321は、端部32における+Y側の領域に配される。角部322は、端部32における-Y側の領域に配される。切り欠き部323は、XY平面視において、略半円形状を有する。切り欠き部323は、メモリシステム1の基板3がホスト装置の筐体(図示せず)にネジ止めされる際にネジのガイドとなる部分である。切り欠き部323により、基板3の固定だけでなく、電気回路の基準電位(グランドレベル)を合わせること、メモリシステム1の発熱をホスト装置へ放熱すること、が可能となる。
【0023】
エッジコネクタ4は、基板3の端部31に配されている。エッジコネクタ4は、基板3上(例えば第1面3a上)の配線を介して基板3上の各部品に電気的に接続され得る。エッジコネクタ4は、フォームファクタ規格(例えば、M.2-2280規格)の仕様に応じた形状を有している。エッジコネクタ4は、フォームファクタ規格における「Mキー」の位置にノッチ状の切り欠き41が設けられる。メモリシステム1は、エッジコネクタ4を介して、ホスト装置に実装されたソケットへ装着可能である。エッジコネクタ4は、ソケットへ装着された際に、ソケットに設けられた突起が切り欠き41に嵌まるように構成されている。切り欠き41は、短手方向(Y方向)の中央からずれた位置にある。これにより、ホスト装置に対してメモリシステム1が第1面と第2面とで逆に取り付けられることを防ぐことができる。コントローラは、エッジコネクタ4を介してホストとシリアル通信規格(例えば、PCIe規格又はSATA規格)に準拠した通信を行う。メモリシステム1は、ホスト装置のソケットにエッジコネクタ4を介して接続されると共に、切り欠き部323をガイドとしてホスト装置にネジ止め固定される。
【0024】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、複数のスルーホール構造5-1~5-11は、基板3の端部32に配されている。複数のスルーホール構造5-1~5-11は、切り欠き部323と角部321との間に配されたスルーホール構造5-1~5-5と、切り欠き部323と角部322との間に配されたスルーホール構造5-6~5-11とを含む。これにより、基板3の端部32に効率的に多数のスルーホール構造を配置できる。
【0025】
複数のスルーホール構造5-1~5-11のうち、スルーホール構造5-1は、基板3の角部321の付近に配され、スルーホール構造5-11は、基板3の角部322の付近に配される。これにより、回収後のテストにおいて各スルーホール構造5に位置決めピン201(
図4(b)参照)が挿入された際に、基板3のZ軸周りの回転を抑制でき、基板3を容易に位置決めできる。
【0026】
複数のスルーホール構造5-1~5-11のうち、切り欠き部323と角部321との間に配されたスルーホール構造5-1~5-5の数と、切り欠き部323と角部322との間に配されたスルーホール構造5-6~5-11の数とは、互いに異なる。これにより、オンサイトのテストにおいて各スルーホール構造5にテストピン101(
図2(a)参照)が挿入される際に、テスト治具104(
図2(a)参照)が適正な向きと逆向きに装着されることを防止できる。
【0027】
各スルーホール構造5は、基板3の第1面3aから第2面3bまで貫通した略円筒形状を有する。各スルーホール構造5は、その内側に貫通孔52が配されている。各スルーホール構造5の開口径W52は、オンサイトのテストで使用されるばね式のテストピン101の最大平面幅W101(
図3(a)参照)に対応しているとともに、回収後のテストで使用される位置決めピン201の直径D201(
図5(a)参照)に対応している。各スルーホール構造5の開口径W52は、テストピン101の最大平面幅W101及び位置決めピン201の直径D201との間で数式1を満たしていてもよい。
D201<W52<W101・・・数式1
実施形態では、一例として、汎用的な数値である以下の値を取る。
D201=0.65mm
W52 =0.85mm
W101=解放時0.95mm、最小値0.60mm
【0028】
各スルーホール構造5は、内側面が導電膜51(
図3(a)参照)で覆われている。導電膜51は、貫通孔52の+Z側の縁部53及び-Z側の縁部54をさらに覆っていてもよい。導電膜51における縁部53を覆う部分は、XY平面視において中抜き円盤状に延び、導電膜51における内側面を覆う部分の+Z側の端部に電気的に接続されている。導電膜51における縁部54を覆う部分は、XY平面視において中抜き円盤状に延び、導電膜51における内側面を覆う部分の-Z側の端部に電気的に接続されている。導電膜51は、XZ断面視において、互いにX方向に離間し互いに反対側に開口した2つの略横U字形状を有する。
【0029】
導電膜51は、銅又ははんだなどの導電物質で形成され得る。各スルーホール構造5は、カバー2に覆われたコントローラの端子に電気的に接続されている。スルーホール構造5が接続されているコントローラの端子は、テストに有用な端子である。この端子は、例えば、メモリシステム1の動作モードの設定、およびコントローラの内部状態や半導体メモリに記憶されたデータを読み出すためのシリアルI/F-AおよびシリアルI/F-Bと言った端子である。
【0030】
基板3の外縁は、略矩形に沿った複数の辺3c,3d,3eを含む。辺3cは、他の辺3d,3eより+Y側に配され、X方向に沿って延びている。辺3dは、他の辺3c,3eに対してY方向における間の位置に配され、Y方向に沿って延びている。辺3eは、他の辺3c,3dより-Y側に配され、X方向に沿って延びている。複数のスルーホール構造5-1~5-11は、端部31における辺3dの付近に配され、辺3dに沿って配列されている。
【0031】
図1(b)に示すように、複数のパッド電極6-1~6-11は、基板3の第2面3bに配されている。複数のパッド電極6-1~6-11それぞれは、基板3の第2面3bにおいて、複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに近接して配されている。複数のパッド電極6-1~6-11は、基板3の端部32における辺3dの付近で、辺3dに沿ってY方向に配列されている。複数のパッド電極6-1~6-11は、Y方向に互いに離間しており、互いに電気的に絶縁されている。複数のパッド電極6-1~6-11それぞれは、複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに対応している。各パッド電極6と辺3dとの間には、対応するスルーホール構造5が配されている。
【0032】
各パッド電極6の平面寸法W6(
図5(b)参照)は、回収後のテストで使用されるポゴピン202の先端部202aの平面寸法W202に対応している。各パッド電極6の平面寸法W6は、ポゴピン202の先端部202aの平面寸法W202との間で次の数式2を満たしていてもよい。
W202≦W6・・・数式2
【0033】
なお、各パッド電極6のY方向の平面寸法及びX方向の平面寸法は、それぞれ、スルーホール構造5の開口径と同程度であってもよいし、数式2を満たしつつスルーホール構造5の開口径より小さい値であってもよい。
【0034】
各パッド電極6は、銅又ははんだなどの導電物質で形成され得る。各パッド電極6は、対応するスルーホール構造5の導電膜51に電気的に接続されている。各パッド電極6は、スルーホール構造5の導電膜51を介して、カバー2に覆われたコントローラの端子に電気的に接続されている。パッド電極6が接続されているコントローラの端子は、テストに有用な端子である。この端子は、例えば、メモリシステム1の動作モードの設定、およびコントローラの内部状態や半導体メモリに記憶されたデータを読み出すためのシリアルI/F-AおよびシリアルI/F-Bと言った端子である。
【0035】
メモリシステム1に対するオンサイトの不具合解析は、例えば、
図2に示すようなテスト動作で行われる。
図2は、メモリシステム1に対するオンサイトのテスト動作を示す図である。オンサイトの不具合解析は、メモリシステム1がエッジコネクタ4を介してホスト装置に接続された状態で行われる。
【0036】
図2(a)に示すオンサイトのテスト動作では、テスト治具104を含むテスト装置100が用意される。テスト治具104は、メモリシステム1における複数のスルーホール構造5-1~5-11に接続される。テスト装置100は、テスト治具104及び制御用コンピュータ105を有する。テスト治具104は、複数のテストピン101(101-1~101-11)、フレキ変換治具102、フレキケーブル103を有する。フレキケーブル103は、テストピン101-1~101-11に対応した複数の配線を含む。フレキ変換治具102は、各テストピン101-1~101-11を、対応する配線にメモリシステム1を取り付けたままで電気的に接続する。フレキケーブル103における複数の配線は、制御用コンピュータ105に電気的に接続されている。
【0037】
複数のテストピン101-1~101-11それぞれは、メモリシステム1における複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに対応している。テストピン101-1~101-5それぞれはスルーホール構造5-1~5-5それぞれに挿入され、テストピン101-6~101-11それぞれはスルーホール構造5-6~5-11それぞれに挿入される。このとき、メモリシステム1における切り欠き部323と角部321との間に配されたスルーホール構造5-1~5-5の数と、切り欠き部323と角部322との間に配されたスルーホール構造5-6~5-11の数とは、互いに異なる。これにより、各スルーホール構造5にテストピン101が挿入される際に、テスト治具104が適正な向きと逆向きに装着されることを防止できる。
【0038】
図3(a)に示すように、各テストピン101は、XZ側面視において、先端側が略V字状に折り曲げられた形状を有し、ばね式のテストピンとして構成されている。
図3(a)は、テストピン101のスルーホール構造5への挿入前の状態を示す図である。
図3(a)は、XY平面視におけるスルーホール構造5の略中央部でのX方向の断面図である。X方向において、各テストピン101の最大平面幅W101は、スルーホール構造5の開口径W52より若干大きくなっている。Y方向において、図示しないが、各テストピン101の平面幅は、スルーホール構造5の開口径より小さくなっている。実施形態では、一例として、汎用的な数値であるが、各テストピン101の直径はφ=0.3mmである。
【0039】
各テストピン101がXZ面内で先端側が略V字状に折り曲げられた形状であることに応じて、スルーホール構造5の開口形状は、XY平面視において、X方向に長軸を有する略楕円に沿った形状であってもよい。テスト装置100は、テストピン101として汎用のテストピンを用いることができるので、テストコストを容易に低減できる。
【0040】
図2(b)に示すオンサイトのテスト動作では、フレキ変換治具102は、
図2(a)に示す+X側の面が、
図2(b)では、+Z側を向く姿勢にされる。このとき、各テストピン101は、その先端がフレキ変換治具102に対して-Z側に位置する状態になる。そして、
図3(a)に示すように、各テストピン101をスルーホール構造5の貫通孔52に挿入して、
図3(b)に示すように、テストピン101をスルーホール構造5の内側面の導電膜51に接触させる。このとき、テストピン101の先端側が略V字形状のばねになっているので、テストピン101の先端がスルーホール構造5の導電膜51に押し付けられる。これにより、テストピン101の先端をスルーホール構造5の導電膜51に確実に接触させることができる。
図3(b)は、テストピン101のスルーホール構造5への挿入状態を示す図である。
図3(b)は、XY平面視におけるスルーホール構造5の略中央部でのX方向の断面図である。
図2(b)では、フレキ変換治具102及び複数のテストピン101-1~101-11が基板3に装着された状態を示している。この状態で、
図2(b)に示す制御用コンピュータ105は、メモリシステム1にフレキケーブル103、フレキ変換治具102、テストピン101、スルーホール構造5の導電膜51経由でテスト信号を供給する。制御用コンピュータ105は、メモリシステム1からスルーホール構造5の導電膜51、テストピン101、フレキ変換治具102、フレキケーブル103経由でテスト結果を取得する。
【0041】
使用中に不具合が発生した際に、例えば、制御用コンピュータ105は、スルーホール構造5-1~5-5及びテストピン101-1~101-5の当該信号を介して、メモリシステム1の動作モードを「動作モード設定-A」に切り替え、コントローラにおける「シリアルI/F-A」からコントローラの内部状態を取得する。
【0042】
これに加えて、制御用コンピュータ105は、スルーホール構造5-6~5-8及びテストピン101-6~101-8の当該信号を介して、メモリシステム1の動作モードを「動作モード設定-B」に切り替え、コントローラにおける「シリアルI/F-B」から半導体メモリの内部状態を取得する。
【0043】
さらに、制御用コンピュータ105は、スルーホール構造5-9~5-11及びテストピン101-9~101-11の当該信号を介して、メモリシステム1の動作モードを「動作モード設定-C」に切り替え、メモリシステム1内の各電子部品と通信してテスト条件の設定や状他の確認をおこなう。
【0044】
ここで、各テストピン101は、汎用のテストピンが用いられ得る。複数のテストピン101-1~101-11として複数の汎用のテストピンを含むテスト治具104は、安価なテスト治具といえる。
【0045】
制御用コンピュータ105は、このテスト結果に応じて、デバッグを行うことなどにより、オンサイトでの不具合解析を、簡易に行うことができる。
【0046】
なお、
図2(b)では、テストピン101を基板3の第1面3a側から挿入する場合を例示しているが、ユーザのメモリシステム1の実装方法が第1面及び第2面とで逆である場合などには、テストピン101を基板3の第2面3b側から挿入してテストが行われてもよい。
【0047】
また、メモリシステム1に対する回収後の不具合解析は、例えば、
図4に示すようなテスト動作で行われる。
図4は、メモリシステム1に対する回収後のテスト動作を示す図である。
図4(a)及び
図4(b)は、XY平面視におけるスルーホール構造5の略中央部でのX方向の断面図である。
【0048】
図4(a)に示す回収後のテスト動作では、テスト治具204を含むテスト装置200が用意される。テスト治具204は、メモリシステム1における複数のスルーホール構造5-1~5-11及び複数のパッド電極6-1~6-11に接続される。テスト装置200は、テスト治具204及び制御用コンピュータ205を有する。テスト治具204は、複数の位置決めピン201(201-1~201-11)、複数のポゴピン202(202-1~202-11)、治具本体203を有する。治具本体203は、複数のポゴピン202-1~202-11に対応した複数の配線を含む。治具本体203における複数の配線は、制御用コンピュータ205に電気的に接続されている。治具本体203において、複数のポゴピン202-1~202-11は、複数の位置決めピン201-1~201-11に近接して配されている。各ポゴピン202は、銅などの導電物で形成されている。各位置決めピン201は、導電物又は絶縁物などの任意の材質で形成され得る。各位置決めピン201は、互いに電気的に独立した状態(すなわち、互いに電気的に絶縁された状態)である。
【0049】
複数の位置決めピン201-1~201-11それぞれは、複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに対応している。複数のポゴピン202-1~202-11それぞれは、複数のパッド電極6-1~6-11それぞれに対応している。位置決めピン201-1~201-11それぞれは、スルーホール構造5-1~5-11それぞれに挿入される。このとき、メモリシステム1において、複数のパッド電極6-1~6-11それぞれは、複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに近接して配されている。これにより、各スルーホール構造5に位置決めピン201が挿入される際に、ポゴピン202がパッド電極6の位置に容易に位置合わせされ得る。
【0050】
図5(a)に示すように、各ポゴピン202は先端部202a及びベース部202bを有する。
図5(a)に示すように、XZ断面視において、先端部202aは略逆U字形状を有している。先端部202aとベース部202bとは接続されて一体に形成されている。先端部202aがシリンダ204における+Z側の開口から膨出するとともに先端部202aに接続されたベース部202bがシリンダ204内に収容される。ベース部202bは、シリンダ204内でバネ203により+Z側に付勢されている。
図5(a)は、ポゴピン202のパッド電極6への接触前の状態を示す図である。
図5(a)は、XY平面視におけるポゴピン202の略中央部でのX方向の断面図である。
【0051】
図4(b)に示す回収後のテスト動作では、各位置決めピン201は、各スルーホール構造5の貫通孔52に挿入されている。この状態では、
図5(b)に示すように、各ポゴピン202は、各パッド電極6の位置に位置決めされるとともに、各ポゴピン202の先端部202aが各パッド電極6に接触される。このとき、先端部202a及びベース部202bが押し下げられることで、バネ203によって先端部202a及びベース部202bが上向きに押し返される。このため、先端部202aをパッド電極6に強固に加圧することができ、ポゴピン202をパッド電極6に確実に接触させることができる。
図5(b)は、ポゴピン202のパッド電極6への接触状態を示す図である。
図5(b)は、XY平面視におけるポゴピン202の略中央部でのX方向の断面図である。ここで、パッド電極6の平面寸法W6は、ポゴピン202の先端部202aの平面寸法W202より大きければよい。パッド電極6の平面寸法W6はスルーホール構造5の開口径W52と同程度の寸法であってもよい。
【0052】
この状態で、
図4(b)に示す制御用コンピュータ205は、メモリシステム1にエッジコネクタ4を介してオンサイトにおけるユーザのホスト装置を模擬して不具合を再現させる。
【0053】
制御用コンピュータ205は、メモリシステム1からパッド電極6、ポゴピン202、治具本体203内の配線経由で動作モードの設定および内部状態の取得をおこなう。
【0054】
オンサイトにおけるユーザのホスト装置とは異なり、
図4(b)に示す制御用コンピュータ205は回収後の不具合解析で用いられるテスト治具であるため、不具合を効率よく再現するためにメモリシステム1の接続するホスト装置を包含する事ができる。
【0055】
例えば、制御用コンピュータ205からエッジコネクタ4に対してオンサイトで発生した不具合に起因するホスト装置の動作を抽出したものをテストパターンとしてメモリシステム1を動作させる事ができる。
【0056】
メモリシステム1に不具合が再現した際に、例えば、制御用コンピュータ205は、パッド電極6-1~6-5及びポゴピン202-1~202-5の当該信号を介して、メモリシステム1の動作モードを「動作モード設定-A」に切り替え、コントローラにおける「シリアルI/F-A」からコントローラの内部状態を取得する。
【0057】
これに加えて、制御用コンピュータ205は、パッド電極6-6~6-8及びポゴピン202-6~202-8の当該信号を介して、メモリシステム1の動作モードを「動作モード設定-B」に切り替え、コントローラにおける「シリアルI/F-B」から半導体メモリの内部状態を取得する。
【0058】
さらに、制御用コンピュータ205は、パッド電極6-9~6-11及びポゴピン202-9~202-11の当該信号を介して、メモリシステム1の動作モードを「動作モード設定-C」に切り替え、メモリシステム内の各ICと通信してテスト条件の設定や状他の確認をおこなう。
【0059】
ここで、ポゴピン202及びパッド電極6の耐用回数は、テストピン101及びスルーホール構造5の耐用回数より多い。例えば、テストピン101及びスルーホール構造5の耐用回数が数10回であるのに対して、ポゴピン202及びパッド電極6の耐用回数は、数1000回程度確保できる。また、ポゴピン202及びパッド電極6の耐用回数は、ゴールドフィンガー及びソケットの耐用回数より多い。例えば、ゴールドフィンガー及びソケットの耐用回数が数100回であるのに対して、ポゴピン202及びパッド電極6の耐用回数は、数1000回程度確保できる。複数のポゴピン202-1~202-11を含むテスト治具204は、高耐久、高安定性の評価冶具といえる。
【0060】
すなわち、制御用コンピュータ205は、ユーザのホスト装置上で発生した不具合を模擬して効率よく再現させる事ができるため容易且つ迅速な不具合解析が可能である。さらに制御用コンピュータ205は、失敗学的な見地から類推される未来の不具合が発生しないかをテストする事が可能である。
【0061】
ここで、ユーザのホスト装置上で発生した不具合を模擬するために、オンサイトにて不具合発生時に取得したメモリシステム1の内部状態が使用される。
【0062】
以上のように、本実施形態では、メモリシステム1において、基板3におけるエッジコネクタ4と反対側の端部32に、第1面3aから第2面3bまで貫通し内側面が導電膜51で覆われたスルーホール構造5を設け、第2面3bにおけるスルーホール構造5の付近にパッド電極6を設ける。これにより、ユーザの使用場所(オンサイト)では、メモリシステム1をホスト装置に接続した状態で、耐久性は低いが安価で簡素な治具を用いて不具合解析がおこなえ、回収後(戻入品)では耐久性の高い高価・高機能な治具を用いて不具合解析がおこなう事ができる。オンサイト及び回収後の双方における不具合解析を容易化でき適切化(例えば、最適化)できる。
【0063】
なお、メモリシステム1において、各パッド電極6は、テストが可能なようにカバー2内のコントローラの端子に電気的に接続されていれば、対応するスルーホール構造5の導電膜51から電気的に絶縁されていてもよい。例えば、各パッド電極6は、対応するスルーホール構造5に近接した位置で且つ対応するスルーホール構造5の導電膜51から-X方向に離間した位置に配されていてもよい。
【0064】
また、メモリシステム1iにおいて、
図6に示すように、基板3の第2面3bのパッド電極6i(6i-1~6i-11)は、スルーホール構造5の開口径より大きい平面寸法で構成されてもよい。
図6は、実施形態の第1の変形例にかかるメモリシステム1iの構成を示す平面図である。
図6は、メモリシステム1iを基板3の第2面3b側から見た平面図である。
【0065】
各パッド電極6iは、Y方向の平面寸法がスルーホール構造5の開口径以下であるが、X方向の平面寸法がスルーホール構造5の開口径より大きい。各パッド電極6iは、XY平面視において、X方向に延びた略短冊形状を有する。これにより、テスト治具における位置決めピンとポゴピンとがある程度離間していてもテストを行うことができ、位置決めピンに対するポゴピンの配置の自由度を向上できる。すなわち、回収後のテストに使用するテスト治具として、位置決めピンとポゴピンとがある程度離間したものも用いることができ、テスト治具204の設計自由度が広がり、汎用品などの安価なポゴピンが使用可能になる。
【0066】
あるいは、メモリシステム1jにおいて、
図7に示すように、パッド電極6の数は、スルーホール構造5より多くてもよい。
図7は、実施形態の第2の変形例にかかるメモリシステム1jの構成を示す平面図である。
図7では、スルーホール構造5の数が11個であり、パッド電極6jの数はパッド電極6j-1~6j-33の33個である場合が例示されている。
【0067】
複数のスルーホール構造5-1~5-11が辺3dに沿って1列で配列されているのに対して、複数のパッド電極6j-1~6j-33が辺3dに沿って複数列(
図7では3列)で配列されている。複数のパッド電極6j-1~6j-33は、XY方向に互いに離間しており、互いに電気的に絶縁されている。1列目のパッド電極6j-1~6j-11それぞれは、複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに対応している。1列目の各パッド電極6は、対応する各スルーホール構造5に電気的に接続されている。2列目のパッド電極6j-12~6j-22それぞれは、1列目のパッド電極6j-1~6j-11及び複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに対応している。2列目の各パッド電極6は、対応する1列目の各パッド電極6jから電気的に絶縁され、対応する各スルーホール構造5から電気的に絶縁されている。3列目のパッド電極6j-23~6j-33それぞれは、1列目のパッド電極6j-1~6j-11及び2列目の各パッド電極6j-12~6j-22それぞれに対応すると共に、複数のスルーホール構造5-1~5-11それぞれに対応している。3列目の各パッド電極6は、対応する1列目の各パッド電極6jから電気的に絶縁され、対応する2列目の各パッド電極6jから電気的に絶縁され、対応する各スルーホール構造5から電気的に絶縁されている。
【0068】
パッド電極6の数がスルーホール構造5より多いので、
図8に示すように、回収後のテスト動作でテストできる信号の数を容易に増やすことができる。
図8は、実施形態の第2の変形例にかかるメモリシステム1に対する回収後のテスト動作を示す図である。
図8(a)及び
図8(b)は、XY平面視におけるスルーホール構造5の略中央部でのX方向の断面図である。
【0069】
図8(a)に示す回収後のテスト動作では、テスト治具204jを含むテスト装置200jが用意される。テスト治具204jは、複数のパッド電極6j(6j-1~6j-33)に対応した複数のポゴピン202j(202j-1~202j-33)を有する。複数のポゴピン202j-1~202j-33それぞれが複数の位置決めピン201-1~201-11それぞれに近接して配されている点は、
図4(a)に示すテスト治具204と同様である。これにより、各スルーホール構造5に位置決めピン201が挿入される際に、各ポゴピン202jが各パッド電極6jの位置に容易に位置合わせされ得る。
【0070】
図8(b)に示す回収後のテスト動作では、各位置決めピン201は、各スルーホール構造5の貫通孔52に挿入されている。この状態では、各ポゴピン202jは、各パッド電極6jの位置に位置決めされるとともに、各ポゴピン202jの先端部202aが各パッド電極6jに接触される(
図5(b)参照)。この状態で、
図8(b)に示す制御用コンピュータ205は、メモリシステム1jにエッジコネクタ4を介してオンサイトにおけるユーザのホスト装置を模擬して不具合を再現させる。制御用コンピュータ205は、メモリシステム1jからパッド電極6j、ポゴピン202j、治具本体203内の配線経由でテスト結果を取得する。
【0071】
このとき、複数のパッド電極6j-1~6j-11及び複数のポゴピン202j-1~202j-11経由で
図4(b)のテスト動作と同様のテスト結果の信号を取得できる。さらに、複数のパッド電極6j-12~6j-33及び複数のポゴピン202j-12~202j-33経由で追加的に他のテスト結果の信号を取得できる。
【0072】
例えば、スルーホール構造5で取得できるテスト結果の信号に加えて、コントローラ(SoC)の内部状態を示す信号、高速シリアル通信(例えば、PCIe)用インターフェースの内部状態を示す信号、コントローラにおけるメモリインターフェースの状態を示す信号、計測用のトリガ―信号などをテスト結果の信号として取得することができる。
【0073】
これにより、回収後のテストにおいて、より多くのテスト条件の設定、より多くの内部状態の観測・取得、各種計測機器との連携が可能となるため、より詳細かつ広範囲な不具合解析を迅速かつ容易に行うことができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1,1i,1j メモリシステム、2 パッケージ、3 基板、4 エッジコネクタ、5,5-1~5-11 スルーホール構造、6,6-1~6-11,6i,6i-1~6i-33、6j,6j-1~6j-33 パッド電極。