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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電池モジュール及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20240213BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240213BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20240213BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240213BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M50/20
H02J7/02 H
H02J7/10 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020150269
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022044890
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】草間 知枝
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 知子
(72)【発明者】
【氏名】吉間 一臣
(72)【発明者】
【氏名】原田 康宏
(72)【発明者】
【氏名】高見 則雄
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009552(JP,A)
【文献】特開2011-259545(JP,A)
【文献】特開2009-100644(JP,A)
【文献】特開2018-032560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 - 10/48
H01M 50/20 - 50/298
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電池と、
前記第1の電池に電気的に直列に接続され、前記第1の電池と2直列部分を形成する第2の電池と、
を備える3個以上の電池を具備し、
3個以上の前記電池は、前記第1の電池及び前記第2の電池のそれぞれの電圧の代わりに、前記第1の電池及び前記第2の電池の前記2直列部分の電圧に基づいて、充電及び放電が制御され、
前記第1の電池及び前記第2の電池が配置される空間では、3個以上の前記電池の中の前記第1の電池及び前記第2の電池以外の1つ以上が、前記第1の電池と前記第2の電池との間に配置される、
電池モジュール。
【請求項2】
前記空間において3個以上の前記電池は、配列方向に沿って配列される、請求項1の電池モジュール。
【請求項3】
前記空間では、(2n+1)個の前記電池が前記配列方向に沿って配列され、
前記配列方向の一方側から数えて、前記第1の電池はk番目に配置され、前記第2の電池は(2n+2-k)番目に配置される、
請求項2の電池モジュール。
ここで、nは、自然数である。kは、n以下の自然数のいずれか1つである。
【請求項4】
(2n+1)個の前記電池では、前記配列方向の前記一方側から数えてi番目の電池と(2n+2-i)番目の電池とが2直列部分を形成することにより、前記第1の電池と前記第2の電池との前記2直列部分を含むn個の2直列部分が形成され、
(2n+1)個の前記電池は、前記配列方向の前記一方側から数えて(n+1)番目の電池以外の電池のそれぞれの電圧の代わりに、n個の前記2直列部分のそれぞれの電圧に基づいて、前記充電及び前記放電が制御される、
請求項3の電池モジュール。
ここで、iは、n以下の自然数である。
【請求項5】
前記空間では、2n個の電池が前記配列方向に沿って配列され、
前記配列方向の一方側から数えて、前記第1の電池はk番目に配置され、前記第2の電池は(2n+1-k)番目に配置される、
請求項2の電池モジュール。
ここで、nは、2以上の自然数である。kは、(n-1)以下の自然数のいずれか1つである。
【請求項6】
2n個の前記電池では、前記配列方向の前記一方側から数えてi番目の電池と(2n+1-)番目の電池とが2直列部分を形成することにより、前記第1の電池と前記第2の電池との前記2直列部分を含むn個の2直列部分が形成され、
2n個の前記電池は、前記電池のそれぞれの電圧の代わりに、n個の前記2直列部分のそれぞれの電圧に基づいて、前記充電及び前記放電が制御される、
請求項5の電池モジュール。
ここで、iは、n以下の自然数である。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項の電池モジュールと、
前記第1の電池及び前記第2の電池のそれぞれの前記電圧の代わりに、前記第1の電池及び前記第2の電池の前記2直列部分の前記電圧に基づいて、前記3個以上の電池の前記充電及び前記放電を制御するコントローラと、
を具備する制御システム。
【請求項8】
前記電池モジュールが搭載される電池搭載機器をさらに具備する、請求項7の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池モジュール及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、車両、定置用電源装置、ロボット及びドローン等の電池搭載機器に、電池モジュールが搭載される。電池モジュールには、リチウムイオン電池等の電池が複数設けられ、電池モジュールでは、複数の電池が電気的に接続される。このような電池モジュールの充電及び放電は、電池搭載機器に搭載されるコントローラ、及び、電池搭載機器とは別体の制御装置等のいずれかによって制御され、電池モジュールの充電及び放電を制御する制御システムが形成されている。
【0003】
また、電池モジュールにおいて2つの電池によって2直列部分が形成される場合は、制御装置等の処理の複雑化の抑制、及び、制御系に掛かるコストの削減の観点から、2つの電池のそれぞれの電圧の代わりに、2直列部分の電圧に基づいて、電池モジュールの充電及び放電を制御する制御システムが開発されている。このような制御システムでは、2直列部分を形成する2つの電池の間での温度のばらつきを小さく抑えることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-143185号公報
【文献】特開2015-60829号公報
【文献】特開2000-231911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、2つの電池の2直列部分の電圧に基づいて充電及び放電が制御され、2直列部分を形成する電池の間での温度のばらつきが小さく抑えられる電池モジュールを提供することにある。また、この電池モジュールを備える制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電池モジュールは、3個以上の電池を備える。3個以上の電池は、第1の電池及び第2の電池を備える。第2の電池は、第1の電池に電気的に直列に接続され、第1の電池と2直列部分を形成する。3個以上の電池は、第1の電池及び第2の電池のそれぞれの電圧の代わりに、第1の電池及び第2の電池の2直列部分の電圧に基づいて、充電及び放電が制御される。第1の電池及び第2の電池が配置される空間では、3個以上の電池の中の第1の電池及び第2の電池以外の1つ以上が、第1の電池と第2の電池との間に配置される。
【0007】
実施形態によれば、前述の電池モジュール及びコントローラを備える制御システムが、提供される。コントローラは、第1の電池及び第2の電池のそれぞれの電圧の代わりに、第1の電池及び第2の電池の2直列部分の前記電圧に基づいて、3個以上の電池の充電及び放電を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る制御システムを示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るコントローラによって電池モジュールの充電において行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、第1の実施形態の電池モジュールにおける2n個の電池の配置を示す概略図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る制御システムを示す概略図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るコントローラによって電池モジュールの充電において行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の実施形態の電池モジュールにおける(2n+1)個の電池の配置を示す概略図である。
図7図7は、ある変形例の電池モジュールにおける9個の電池の配置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る制御システムの一例として第1の実施形態に係る制御システム1を示す。図1に示すように、制御システム1は、電池モジュール2及びコントローラ3を備える。電池モジュール2は、電池搭載機器5に搭載される。電池搭載機器5としては、スマートフォン、車両、定置用電源装置、ロボット及びドローン等が挙げられ、電池搭載機器5となる車両としては、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車及び電動バイク等が、挙げられる。また、電池モジュール2が搭載されるロボットとしては、工場等で使用される無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)等の搬送ロボットが挙げられる。
【0011】
本実施形態では、電池モジュール2は、2n個(nは2以上の自然数)の電池A1~An,B1~Bnを備える。電池モジュール2では、偶数個の電池A1~An,B1~Bnが互いに対して電気的に直列に接続される。電池モジュール2の使用開始時では、電池A1~An,B1~Bnにおいて、容量、サイズ及び重量等が互いに対して同一及び略同一である。
【0012】
電池A1~An,B1~Bnのそれぞれは、単セル(単電池)であってもよく、複数の単セルが電気的に接続されたセルブロックであってもよい。電池A1~An,B1~Bnのそれぞれが複数の単セルから形成されるセルブロックである場合、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれにおいて、複数の単セルは、互いに対して電気的に直列に接続されてもよく、互いに対して電気的に並列に接続されてもよい。また、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれにおいて、複数の単セルが直列に接続される直列接続構造、及び、複数の単セルが並列に接続される並列接続構造の両方が形成されてもよい。
【0013】
単セルは、例えば、リチウムイオン二次電池を形成する電池セルである。単セルは、電極群を備え、電極群は、正極及び負極を備える。電極群では、正極と負極との間にセパレータが介在する。セパレータは、電気的絶縁性を有する材料から形成され、正極を負極に対して電気的に絶縁する。セパレータとしては、これらに限定されるものではないが、合成樹脂製の多孔質フィルム及び不織布等が用いられる。
【0014】
正極は、正極集電箔等の正極集電体と、正極集電体の表面に担持される正極活物質含有層と、を備える。正極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。正極活物質含有層は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極活物質は、例えば、二酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物、硫酸鉄、及びバナジウム酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含む。また、正極集電体は、正極活物質含有層が未担持の部分として、正極集電タブを備える。
【0015】
負極は、負極集電箔等の負極集電体と、負極集電体の表面に担持される負極活物質含有層と、を備える。負極集電体は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は銅箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素質物等が挙げられる。負極活物質となる金属酸化物としては、チタン含有酸化物が挙げられる。そして、負極活物質となるチタン含有酸化物には、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン含有複合酸化物、ニオブチタン含有複合酸化物及びナトリウムニオブチタン含有複合酸化物が、含まれる。また、負極活物質となる炭素質物としては、グラファイト等が挙げられる。負極集電体は、負極活物質含有層が未担持の部分として、負極集電タブを備える。
【0016】
電極群では、例えば、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間でセパレータが挟まれた状態で、正極、負極及びセパレータが捲回軸を中心として捲回され、電極群は捲回構造を有する。別のある一例では、電極群は、複数の正極及び複数の負極が交互に積層されるスタック構造を有し、正極と負極との間にはセパレータが設けられる。
【0017】
また、単セルでは、電極群に、電解液が保持(含浸)される。電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液であってもよく、電解質を水系溶媒に溶解させた水溶液等の水系電解液であってもよい。また、電解液の代わりに、電解液と高分子材料とを複合化させたゲル状電解質が用いられてもよい。また、電解液の代わりに、又は、電解液に加えて、固体電解質が用いられてもよい。固体電解質が電解質として用いられる場合、電極群において、セパレータの代わりに固体電解質を、正極と負極との間に介在させてもよい。この場合、固体電解質により、正極が負極に対して電気的に絶縁される。
【0018】
また、単セルでは、電極群が外装部材の内部に収納される。外装部材としては、ラミネートフィルム製の袋状容器及び金属製容器のいずれかを用いることができる。ラミネートフィルムとしては、例えば、多層フィルムが用いられ、多層フィルムは、複数の樹脂層と、樹脂層同士の間に配置される金属層とを含む。ラミネートフィルムの厚さは、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。金属製容器は、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄から成る群から選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されることが、好ましい。金属製容器の肉厚は、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。
【0019】
また、単セルは、一対の電極端子を備える。電極端子の一方が、正極集電タブに電気的に接続される正極端子であり、電極端子の正極端子とは別の一方が、負極集電タブに電気的に接続される負極端子である。電極端子は、外装部材の内部に形成される内部端子であってよく、外装部材の外表面に形成される外部端子であってもよい。電極端子は、導電材料から形成され、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄からなる群より選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成されていることが好ましい。
【0020】
図1に示すように、制御システム1には、電源及び負荷(符号6で示す)が設けられる。電源は、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)に電力を供給可能であり、電池モジュール2は、電源等から電力が供給されることにより、充電される。負荷には、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)から電力を供給可能であり、電池モジュール2は、負荷等に電力を供給することにより、放電する。電源としては、電池モジュール2とは別の電池、及び、発電機等が挙げられる。負荷としては、電動機及びライト等が挙げられる。ある一例では、負荷の代わりに、又は、負荷に加えて、電池モジュール2から電力が供給される蓄電器が設けられてもよい。この場合、電池モジュール2は、蓄電器に電力を供給することにより、放電する。そして、蓄電器は、電池モジュール2から供給された電力を蓄電可能である。また、別のある一例では、電動発電機が設けられてもよい。この場合、電池モジュール2から電動発電機に電力を供給可能であるとともに、電動発電機から電池モジュール2へ電力を供給可能である。すなわち、電動発電機は、電源及び負荷の両方として機能する。なお、図1では、電源及び負荷は、電池搭載機器5に搭載されているが、これに限るものではない。電池モジュール2は、電池搭載機器5の外部の負荷に電力を供給可能であってもよく、電池搭載機器5の外部の電源から電池モジュール2に電力を供給可能であってもよい。
【0021】
コントローラ3は、電池モジュール2の充電及び放電を制御する等、電池モジュール2の制御及び管理を行う。図1の一例では、コントローラ3は、電池搭載機器5に搭載され、電池搭載機器5において処理装置(コンピュータ)を構成する。コントローラ3は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ等が挙げられる。コントローラ3では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つであってもよく、複数であってもよい。コントローラ3では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。また、コントローラ3では、プロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。
【0022】
また、コントローラ3は、電池搭載機器5の外部に設けられてもよい。この場合、コントローラ3は、例えば、電池搭載機器5の外部のサーバであり、電池搭載機器5に搭載される処理装置(コンピュータ)とネットワークを介して通信可能である。この場合も、コントローラ3は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。また、コントローラ3の処理は、電池搭載機器5に搭載される処理装置及び電池搭載機器5の外部のサーバ(処理装置)が協働して行ってもよい。この場合、例えば、電池搭載機器5の外部のサーバ等がマスターの制御装置となり、電池搭載機器5に搭載される処理装置等がスレーブの制御装置となる。別のある一例では、コントローラ3の処理が、クラウド環境に構成されるクラウドサーバによって行われてもよい。ここで、クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。このため、クラウドサーバがコントローラ3として機能する行う場合、仮想プロセッサによって処理が行われ、クラウドメモリに処理に必要なデータ等が記憶される。また、コントローラ3の処理は、電池搭載機器5に搭載される処理装置及びクラウドサーバが協働して行ってもよい。この場合、電池搭載機器5に搭載される処理装置(コンピュータ)は、クラウドサーバと通信可能である。
【0023】
制御システム1には、駆動回路7が設けられる。コントローラ3は、駆動回路7の駆動を制御することにより、電池モジュール2から負荷への電力供給、及び、電源から電池モジュール2への電力供給を制御する。すなわち、コントローラ3は、駆動回路7の駆動を制御することにより、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)の充電及び放電を制御する。駆動回路7は、電池モジュール2からの電力の出力、及び、電池モジュール2への電力の入力を切替えるリレー回路を備える。また、駆動回路7は、変換回路を備え、変換回路は、電源からの電力を電池モジュールに供給される直流電力に変換する。また、変換回路は、電池モジュールからの直流電力を負荷に供給される電力に変換する。変換回路は、変圧回路、DC/AC変換回路、及び、AC/DC変圧回路等を含むことができる。
【0024】
また、電池モジュール2では、n個の2直列部分C1~Cnが形成される。ここで、2直列部分Ci(iはn以下の自然数)は、電池Aiと電池Biとによって形成され、2直列部分Ciでは、電池Biが電池Aiに電気的に直列に接続される。例えば、2直列部分C1は、電池A1,B1が形成する2直列部分であり、2直列部分Cnは、電池An,Bnが形成する2直列部分である。
【0025】
また、制御システム1には、電流検出回路8及び電圧検出回路9が設けられるとともに、2直列部分C1~Cnと同一の数だけ、すなわち、n個の電圧検出回路D1~Dnが設けられる。電流検出回路8、電圧検出回路9及び電圧検出回路D1~Dnは、例えば、電池搭載機器5に搭載される計測回路を形成する。計測回路によって、電池モジュール2に関連するパラメータが検出及び計測される。電流検出回路8は、電池モジュール2の充電及び放電等のそれぞれにおいて、電池モジュール2に流れる電流、すなわち、電池A1~An,B1~Bn(直列部分C1~Cn)に流れる電流を検出する。電圧検出回路9は、電池モジュール2の充電及び放電等のそれぞれにおいて、電池モジュール2全体の電圧を検出する。
【0026】
電圧検出回路Diは、2直列部分Ciに対して電気的に並列に接続され、電池モジュール2の充電及び放電等のそれぞれにおいて、2直列部分Ciの電圧を検出する。例えば、電圧検出回路D1は、2直列部分C1の電圧を検出し、電圧検出回路Dnは、2直列部分Cnの電圧を検出する。本実施形態では、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧、すなわち、電池単体の電圧は検出されない。そして、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに、2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧が検出される。
【0027】
コントローラ3は、電流検出回路8及び電圧検出回路9のそれぞれの検出結果に基づいて電池モジュール2の充電及び放電を制御するとともに、電圧検出回路D1~Dnのそれぞれの検出結果に基づいて電池モジュール2の充電及び放電を制御する。したがって、コントローラ3は、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに、2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧に基づいて、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)の充電及び放電を制御する。
【0028】
図2は、電池モジュール2の充電においてコントローラ3によって行われる処理の一例を示す。ここで、2直列部分Ciの電圧Viを規定する。例えば、2直列部分C1では、電圧V1が規定され、2直列部分Cnでは、電圧Vnが規定される。図2の処理において、コントローラ3は、駆動回路7の駆動を制御することにより、電池モジュール2に電流(充電電流)を供給し、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)を充電する(S101)。この際、コントローラ3は、例えば、電池モジュール2に入力される電流、すなわち、電池A1~An,B1~Bnに流れる電流を経時的に一定に保つ定電流制御を行う。そして、コントローラ3は、電圧検出回路D1~Dnから、電圧V1~Vnの検出結果を取得する(S102)。
【0029】
そして、コントローラ3は、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vα以上であるか否かを判断する(S103)。図2の一例では、基準電圧値Vαは、充電を終了する基準として設定される。電圧V1~Vnのいずれもが基準電圧値Vαより低い場合は(S103-No)、処理はS101に戻る。そして、コントローラ3は、S101以降の処理を順次実施する。すなわち、コントローラ3は、電池モジュール2の充電を継続する。一方、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vα以上の場合は(S103-Yes)、コントローラ3は、電池モジュール2への電流(充電電流)の供給を停止し、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)の充電を停止する(S104)。したがって、図2の一例では、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに、2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧に基づいて、電池モジュール2の充電が制御される。
【0030】
また、別のある一例では、電池モジュール2の充電を開始すると、コントローラ3は、電池モジュール2に入力される電流を経時的に一定に保つ定電流制御を行う。そして、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vα以上になると、コントローラ3は、定電流制御から定電圧制御に切替える。ここで、電圧Vl(lはn以下の自然数のいずれか1つ以上)が基準電圧値Vα以上になったとすると、定電圧制御において、コントローラ3は、2直列部分Clの電圧Vlを基準電圧値Vαで経時的に一定に保つ制御を行う。そして、定電圧制御を行っている状態において、電池モジュール2を流れる電流が基準電流値Iα以下になったことに基づいて、コントローラ3は、電池モジュール2の充電を停止する。この一例では、基準電圧値Vαは、定電流制御から定電圧制御へ切替える基準として設定され、充電を終了する基準として前述の基準電流値Iαが設定される。
【0031】
また、本実施形態では、電池モジュール2からの放電についても、電池モジュール2の充電と同様に、2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧、すなわち、電圧V1~Vnに基づいて、コントローラ3は制御を行う。ある一例では、電池モジュール2からの放電において、コントローラ3は、電池モジュール2から出力される電流、すなわち、電池A1~An,B1~Bnに流れる電流を経時的に一定に保つ定電流制御を行う。また、コントローラ3は、電池モジュール2からの放電において、電圧検出回路D1~Dnから電圧V1~Vnの検出結果を取得する。そして、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vβ以下の場合は、コントローラ3は、電池モジュール2からの電流(放電電流)の出力を停止し、電池モジュール2(電池A1~An,B1~Bn)からの放電を停止する。この一例では、放電を終了する基準として基準電圧値Vβが設定され、基準電圧値Vβは、充電において設定される基準電圧値Vαより低い。
【0032】
また、コントローラ3は、2直列部分C1~Cnの一部のみを充電又は放電し、電圧V1~Vnのばらつきが小さくなる状態に電圧V1~Vnを調整してもよい。例えば、2直列部分Cl(lはn以下の自然数のいずれか1つ以上)の電圧Vlが他の2直列部分の電圧(V1~VnのVl以外)に比べて過度に低い場合は、コントローラ3は、2直列部分Cl(電池Al,Bl)のみを充電する。一方、2直列部分Clの電圧Vlが他の2直列部分の電圧(V1~VnのVl以外)に比べて過度に高い場合は、コントローラ3は、2直列部分Cl(電池Al,Bl)のみから放電する。この場合、制御システム1には、バランス回路(図示しない)が設けられ、コントローラ3は、バランス回路の駆動を制御することにより、2直列部分C1~Cnの中から2直列部分Clのみを充電又は放電する。
【0033】
図3は、電池モジュール2における電池A1~An,B1~Bnの配置を示す。図3に示すように、電池モジュール2では、電池A1~An,B1~Bnは、配列方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)に沿って空間に配列される。電池A1~An,B1~Bnは、互いに対して積層される等して、一列に配列される。本実施形態では、前述のように、2直列部分Ci(iはn以下の自然数)が電池Ai,Biによって形成されることにより、n個の2直列部分C1~Cnが形成される。
【0034】
電池A1~An,B1~Bnが配置される空間では、配列方向の一方側(矢印X1側)から数えて、電池Aiはi番目に配置され、電池Biは(2n+1-i)番目に配置される。そして、配列方向の一方側から数えてi番目の電池Aiと(2n+1-i)番目の電池Biとが2直列部分Ciを形成し、電池モジュール2の充電及び放電は、電池Ai,Biのそれぞれの電圧の代わりに2直列部分Ciの電圧に基づいて、制御される。なお、配列方向の一方側から数えて、電池A1は1番目に配置され、電池B1は2n番目に配置される。また、配列方向の一方側から数えて、電池A2は2番目に配置され、電池B2は(2n-1)番目に配置される。そして、配列方向の一方側から数えて、電池Anはn番目に配置され、電池Bnは(n+1)番目に配置される。
【0035】
また、2直列部分Ck(kは(n-1)以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkについては、以下の関係が成り立つ。すなわち、配列方向の一方側(矢印X1側)から数えて、電池(第1の電池)Akはk番目に配置され、電池(第2の電池)Bkは(2n+1-k)番目に配置される。また、電池A1~An,B1~Bnが配置される空間では、2n個の電池A1~An,B1~Bnの中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配列方向について電池Ak,Bkの間に配置される。例えば、配列方向について電池A1,B1の間には、電池A2~An,B2~Bnが配置される。また、配列方向について電池An-1,Bn-1の間には、電池An,Bnが配置される。
【0036】
また、電池(第3の電池)Ak+1は、電池Akに対して電池Bkが位置する側(配列方向の内側)に隣り合って配置され、電池(第4の電池)Bk+1は、電池Bkに対して電池Akが位置する側(配列方向の内側)に隣り合って配置される。そして、2直列部分Ck+1は、電池Ak+1,Bk+1が形成する。例えば、2直列部分C2は、電池A1に対して電池B1が位置する側に隣り合う電池A2、及び、電池B1に対して電池A1が位置する側に隣り合う電池B2が、形成する。また、2直列部分Cnは、電池An-1に対して電池Bn-1が位置する側に隣り合う電池An、及び、電池Bn-1に対して電池An-1が位置する側に隣り合う電池Bnが、形成する。
【0037】
また、2直列部分Ckが2直列部分C1以外の場合は、以下の関係が成り立つ。すなわち、電池(第5の電池)Ak-1は、電池Akに対して電池Bkとは反対側(配列方向の外側)に隣り合って配置され、電池(第6の電池)Bk-1は、電池Bkに対して電池Akとは反対側(配列方向の外側)に隣り合って配置される。そして、2直列部分Ck-1は、電池Ak-1,Bk-1が形成する。例えば、2直列部分C1は、電池A2に対して電池B2とは反対側に隣り合う電池A1、及び、電池B2に対して電池A2とは反対側に隣り合う電池B1が、形成する。また、2直列部分Cn-2は、電池An-1に対して電池Bn-1とは反対側に隣り合う電池An-2、及び、電池Bn-1に対して電池An-1とは反対側に隣り合う電池Bn-2が、形成する。
【0038】
本実施形態では、前述のように、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧に基づいて、電池モジュール2の充電及び放電が制御される。すなわち、電圧V1~Vnに基づいて、電池モジュール2の充電及び放電が制御される。このため、コントローラ3の処理の複雑化が抑制される。また、制御システム1において制御系に掛かるコストが、削減される。
【0039】
また、本実施形態では、2直列部分Ck(kは(n-1)以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkに関しては、電池A1~An,B1~Bnの中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配列方向について電池Ak,Bkの間に配置される。すなわち、電池Ak,Bkは、隣り合って配置されていない。このため、電池モジュール2の運転時(使用時)等において、電池Ak,Bkの間での温度のばらつきが小さく抑えられる。これにより、電池モジュール2の使用開始からある程度の期間が経過した状態でも、電池Ak,Bkの間での劣化度合いのばらつきが小さく抑えられる。電池Ak,Bkの間での劣化度合いのばらつきが小さくなることにより、2直列部分Ckの電圧に基づいて電池モジュール2の充電及び放電が制御されても、電池Ak,Bkの一方の過充電及び過放電が、有効に防止される。
【0040】
また、前述のように電池A1~An,B1~Bnが空間に配列される電池モジュール2の運転時等では、配列方向について外側の領域に配置される電池と配列方向について内側の領域に配置される電池との間で、温度差が大きくなる傾向にある。本実施形態では、配列方向の一方側から数えてi番目(iはn以下の自然数)の電池Aiと(2n+1-i)番目の電池Biとが2直列部分Ciを形成する。このため、例えば、2直列部分C1は、配列方向について外側の領域に配置される電池A1,B1同士から形成される。一方、2直列部分Cnは、配列方向について内側の領域に配置される電池An,Bn同士から形成される。前述のようにAi,Biが配置されるため、2直列部分Ciでは、電池モジュール2の運転時(使用時)等において、電池Ai,Biの間での温度のばらつきが適切に小さく抑えられる。すなわち、2直列部分C1~Cnのそれぞれにおいて、2つの電池の間での温度のばらつきが、適切に小さく抑えられる。
【0041】
(第1の実施形態の変形例)
なお、ある変形例では、2直列部分Ck(kは(n-1)以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkを空間において第1の実施形態と同様に配置し、電池Ak,Bk以外の電池のいずれかを第1の実施形態とは異なる位置に配置してもよい。この場合も、配列方向の一方側(矢印X1側)から数えて、電池(第1の電池)Akはk番目に配置され、電池(第2の電池)Bkは(2n+1-k)番目に配置される。このため、電池A1~An,B1~Bnが配置される空間では、2n個の電池A1~An,B1~Bnの中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配列方向について電池Ak,Bkの間に配置される。本変形例でも、第1の実施形態等と同様に、電池モジュール2の運転時等において、2直列部分Ckを形成する電池Ak,Bkの間での温度のばらつきが、小さく抑えられる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態等と同様の構成等については、説明を省略する。
【0043】
図4は、第2の実施形態に係る制御システム1を示す。図4に示すように、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、制御システム1は、電池モジュール2及びコントローラ3を備え、電池モジュール2は、電池搭載機器5に搭載される。制御システム1は、第1の実施形態等と同様に、電源及び負荷(符号6で示す)、駆動回路7、電流検出回路8及び電圧検出回路9が設けられる。
【0044】
ただし、本実施形態では、電池モジュール2は、(2n+1)個(nは自然数)の電池A1~An+1,B1~Bnを備える。本実施形態の電池モジュール2では、奇数個の電池A1~An+1,B1~Bnが互いに対して電気的に直列に接続される。電池モジュール2の使用開始時では、電池A1~An+1,B1~Bnにおいて、容量、サイズ及び重量等が互いに対して同一及び略同一である。
【0045】
本実施形態の電池モジュール2でも、n個の2直列部分C1~Cnが形成される。そして、第1の実施形態と同様に、2直列部分Ci(iはn以下の自然数)は、電池Aiと電池Biとによって形成され、2直列部分Ciでは、電池Biが電池Aiに電気的に直列に接続される。本実施形態でも、電圧検出回路D1~Dnが設けられ、電圧検出回路Diは、電池モジュール2の充電及び放電等のそれぞれにおいて、2直列部分Ciの電圧を検出する。また、本実施形態では、制御システム1に電圧検出回路Dn+1が設けられ、電圧検出回路Dn+1は、電池An+1に対して電気的に並列に接続される。電圧検出回路Dn+1は、電池モジュール2の充電及び放電等のそれぞれにおいて、電池An+1の電圧を検出する。
【0046】
本実施形態でも、コントローラ3は、電流検出回路8及び電圧検出回路9のそれぞれの検出結果に基づいて電池モジュール2の充電及び放電を制御する。また、コントローラ3は、電圧検出回路D1~Dn+1のそれぞれの検出結果に基づいて電池モジュール2の充電及び放電を制御する。したがって、コントローラ3は、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに、2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧に基づいて、電池モジュール2(電池A1~An+1,B1~Bn)の充電及び放電を制御するとともに、電池An+1の電圧に基づいて、電池モジュール2の充電及び放電を制御する。
【0047】
図5は、電池モジュール2の充電においてコントローラ3によって行われる処理の一例を示す。ここで、第1の実施形態と同様に、2直列部分Ciの電圧Viを規定する。また、電池An+1の電圧Vn+1を規定する。図5の処理においても、前述した図2の処理と同様に、コントローラ3は、駆動回路7の駆動を制御することにより、電池モジュール2に電流(充電電流)を供給し、電池モジュール2(電池A1~An+1,B1~Bn)を充電する(S111)。この際、コントローラ3は、例えば、前述した定電流制御を行う。そして、コントローラ3は、電圧検出回路D1~Dnから、電圧V1~Vnの検出結果を取得するとともに、電圧検出回路Dn+1から電圧Vn+1を取得する(S112)。
【0048】
そして、コントローラ3は、図2の一例と同様に、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vα以上であるか否かを判断する(S113)。ただし、図5の一例では、電圧V1~Vnのいずれもが基準電圧値Vαより低い場合は(S113-No)、処理はS114に進む。一方、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vα以上の場合は(S113-Yes)、コントローラ3は、電池モジュール2への電流(充電電流)の供給を停止し、電池モジュール2(電池A1~An+1,B1~Bn)の充電を停止する(S115)。
【0049】
S114においてコントローラ3は、電圧Vn+1が基準電圧値Vαの半値(Vα/2)以上であるか否かを判断する。電圧Vn+1が基準電圧値Vαの半値(Vα/2)以上である場合は(S114-Yes)、コントローラ3は、電池モジュール2への電流(充電電流)の供給を停止し、電池モジュール2の充電を停止する(S115)。一方、電圧Vn+1が基準電圧値Vαの半値(Vα/2)より低い場合は(S114-No)、処理はS111に戻る。そして、コントローラ3は、S111以降の処理を順次実施する。すなわち、コントローラ3は、電池モジュール2の充電を継続する。前述のように、図5の一例では、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに、2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧に基づいて、電池モジュール2の充電が制御される。また、電圧V1~Vnに加えて電池An+1の電圧Vn+1に基づいて、電池モジュール2の充電が制御される。
【0050】
また、別のある一例では、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vα以上になると、コントローラ3は、第1の実施形態において前述したように、定電流制御から定電圧制御に切替える。また、電圧Vn+1が基準電圧値Vαの半値(Vα/2)以上になった場合も、コントローラは、定電流制御から定電圧制御へ切替える。ここで、電圧Vl(lはn以下の自然数のいずれか1つ以上)が基準電圧値Vα以上になったとすると、定電圧制御において、コントローラ3は、2直列部分Clの電圧Vlを基準電圧値Vαで経時的に一定に保つ制御を行う。また、電圧Vn+1が半値(Vα/2)以上になったとすると、定電圧制御において、コントローラ3は、電池An+1の電圧Vn+1を半値(Vα/2)で経時的に一定に保つ制御を行う。そして、第1の実施形態で前述したように、定電圧制御を行っている状態において、電池モジュール2を流れる電流が基準電流値Iα以下になったことに基づいて、コントローラ3は、電池モジュール2の充電を停止する。
【0051】
また、本実施形態では、電池モジュール2からの放電についても、電池モジュール2の充電と同様に、2直列部分C1~Cn及び電池An+1のそれぞれの電圧、すなわち、電圧V1~Vn+1に基づいて、コントローラ3は制御を行う。ある一例では、電圧V1~Vnのいずれか1つ以上が基準電圧値Vβ以下の場合、コントローラ3は、第1の実施形態で前述したように、電池モジュール2からの電流(放電電流)の出力を停止し、電池モジュール2(電池A1~An+1,B1~Bn)からの放電を停止する。また、電圧V1~Vnのいずれもが基準電圧値Vβより高くても、電圧Vn+1が基準電圧値Vβの半値(Vβ/2)以下の場合は、コントローラ3は、電池モジュール2からの電流(放電電流)の出力を停止し、電池モジュール2からの放電を停止する。
【0052】
また、コントローラ3は、第1の実施形態で前述したように、2直列部分C1~Cnの一部のみを充電又は放電し、電圧V1~Vnのばらつきが小さくなる状態に電圧V1~Vnを調整してもよい。また、電圧Vn+1の2倍値(2Vn+1)が電圧V1~Vnに対して大きくばらつく場合は、電池An+1のみを充電又は放電してもよい。
【0053】
図6は、電池モジュール2における電池A1~An+1,B1~Bnの配置を示す。図6に示すように、本実施形態の電池モジュール2でも、電池A1~An+1,B1~Bnは、配列方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)に沿って空間に配列される。本実施形態でも、前述のように、2直列部分Ci(iはn以下の自然数)が電池Ai,Biによって形成されることにより、n個の2直列部分C1~Cnが形成される。
【0054】
本実施形態では、電池A1~An+1,B1~Bnが配置される空間において、配列方向の一方側(矢印X1側)から数えて、電池Aiはi番目に配置され、電池Biは(2n+2-i)番目に配置される。そして、配列方向の一方側から数えてi番目の電池Aiと(2n+2-i)番目の電池Biとが2直列部分Ciを形成し、電池モジュール2の充電及び放電は、電池Ai,Biのそれぞれの電圧の代わりに2直列部分Ciの電圧に基づいて、制御される。なお、配列方向の一方側から数えて、電池A1は1番目に配置され、電池B1は(2n+1)番目に配置される。また、配列方向の一方側から数えて、電池A2は2番目に配置され、電池B2は2n番目に配置される。そして、配列方向の一方側から数えて、電池Anはn番目に配置され、電池Bnは(n+2)番目に配置される。また、配列方向の一方側から数えて、電池An+1は(n+1)番目に配置される。
【0055】
また、2直列部分Ck(kはn以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkについては、以下の関係が成り立つ。すなわち、配列方向の一方側(矢印X1側)から数えて、電池(第1の電池)Akはk番目に配置され、電池(第2の電池)Bkは(2n+2-k)番目に配置される。また、電池A1~An+1,B1~Bnが配置される空間では、(2n+1)個の電池A1~An+1,B1~Bnの中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配列方向について電池Ak,Bkの間に配置される。例えば、配列方向について電池A1,B1の間には、電池A2~An+1,B2~Bnが配置される。また、配列方向について電池An,Bnの間には、電池An+1が配置される。
【0056】
また、2直列部分Ckが2直列部分Cn以外の場合は、以下の関係が成り立つ。すなわち、電池(第3の電池)Ak+1は、電池Akに対して電池Bkが位置する側(配列方向の内側)に隣り合って配置され、電池(第4の電池)Bk+1は、電池Bkに対して電池Akが位置する側(配列方向の内側)に隣り合って配置される。そして、2直列部分Ck+1は、電池Ak+1,Bk+1が形成する。例えば、2直列部分C2は、電池A1に対して電池B1が位置する側に隣り合う電池A2、及び、電池B1に対して電池A1が位置する側に隣り合う電池B2が、形成する。また、2直列部分Cnは、電池An-1に対して電池Bn-1が位置する側に隣り合う電池An、及び、電池Bn-1に対して電池An-1が位置する側に隣り合う電池Bnが、形成する。
【0057】
また、2直列部分Ckが2直列部分C1以外の場合は、以下の関係が成り立つ。すなわち、電池(第5の電池)Ak-1は、電池Akに対して電池Bkとは反対側(配列方向の外側)に隣り合って配置され、電池(第6の電池)Bk-1は、電池Bkに対して電池Akとは反対側(配列方向の外側)に隣り合って配置される。そして、2直列部分Ck-1は、電池Ak-1,Bk-1が形成する。例えば、2直列部分C1は、電池A2に対して電池B2とは反対側に隣り合う電池A1、及び、電池B2に対して電池A2とは反対側に隣り合う電池B1が、形成する。また、2直列部分Cn-1は、電池Anに対して電池Bnとは反対側に隣り合う電池An-1、及び、電池Bnに対して電池Anとは反対側に隣り合う電池Bn-1が、形成する。
【0058】
本実施形態でも、前述のように、電池A1~An,B1~Bnのそれぞれの電圧の代わりに2直列部分C1~Cnのそれぞれの電圧に基づいて、電池モジュール2の充電及び放電が制御される。このため、第1の実施形態等と同様に、コントローラ3の処理の複雑化が抑制され、制御システム1において制御系に掛かるコストが、削減される。
【0059】
また、本実施形態では、2直列部分Ck(kはn以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkに関しては、電池A1~An+1,B1~Bnの中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配列方向について電池Ak,Bkの間に配置される。すなわち、電池Ak,Bkは隣り合って配置されていない。このため、第1の実施形態等と同様に、電池モジュール2の運転時(使用時)等において、電池Ak,Bkの間での温度のばらつきが小さく抑えられる。したがって、第1の実施形態等と同様に、2直列部分Ckの電圧に基づいて電池モジュール2の充電及び放電が制御されても、電池Ak,Bkの一方の過充電及び過放電が、有効に防止される。
【0060】
本実施形態では、配列方向の一方側から数えてi番目(iはn以下の自然数)の電池Aiと(2n+2-i)番目の電池Biとが2直列部分Ciを形成する。このため、例えば、2直列部分C1は、配列方向について外側の領域に配置される電池A1,B1同士から形成される。一方、2直列部分Cnは、配列方向について内側の領域に配置される電池An,Bn同士から形成される。前述のようにAi,Biが配置されるため、2直列部分Ciでは、電池モジュール2の運転時(使用時)等において、電池Ai,Biの間での温度のばらつきが適切に小さく抑えられる。したがって、第1の実施形態と同様に、2直列部分C1~Cnのそれぞれにおいて、2つの電池の間での温度のばらつきが、適切に小さく抑えられる。
【0061】
(第2の実施形態の変形例)
なお、ある変形例では、2直列部分Ck(kはn以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkを空間において第2の実施形態と同様に配置し、電池Ak,Bk以外の電池のいずれかを第1の実施形態とは異なる位置に配置してもよい。この場合も、配列方向の一方側(矢印X1側)から数えて、電池(第1の電池)Akはk番目に配置され、電池(第2の電池)Bkは(2n+2-k)番目に配置される。このため、電池A1~An+1,B1~Bnが配置される空間では、(2n+1)個の電池A1~An+1,B1~Bnの中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配列方向について電池Ak,Bkの間に配置される。本変形例でも、第2の実施形態等と同様に、電池モジュール2の運転時等において、2直列部分Ckを形成する電池Ak,Bkの間での温度のばらつきが、小さく抑えられる。
【0062】
(その他の変形例)
なお、前述の実施形態等では、電池モジュール2において、3個以上の電池(A1~An,B1~Bn又はA1~An+1,B1~Bn)が一列に配列されているが、ある変形例では、空間において、電池モジュール2の3個以上の電池によって、複数の列が形成されてもよい。ただし、この場合も、2直列部分Ck(kはn以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkの間には、3個以上の電池(A1~An,B1~Bn又はA1~An+1,B1~Bn)の中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配置される。このため、前述の実施形態等と同様に、電池モジュール2の運転時等において、2直列部分Ckを形成する電池Ak,Bkの間での温度のばらつきが、小さく抑えられる。
【0063】
例えば、図7に示す変形例では、電池モジュール2は、9個の電池A1~A5,B1~B4を備え、空間において電池A1~A5,B1~B4は、3列に配列される。本変形例では、2直列部分Ci(iは4以下の自然数)が電池Ai,Biによって形成され、4個の2直列部分C1~C4が形成される。本変形例でも、電池モジュール2の充電及び放電は、電池Ai,Biのそれぞれの電圧の代わりに2直列部分Ciの電圧に基づいて、制御される。また、本変形例では、2直列部分C1~C4の電圧V1~V4に加えて電池A5の電圧V5に基づいて、電池モジュール2の充電及び放電が制御される。
【0064】
本変形例でも、2直列部分Ck(kは4以下の自然数のいずれか1つ)を形成する電池Ak,Bkの間には、電池A1~A5,B1~B4の中の電池Ak,Bk以外の1つ以上が、配置される。例えば、2直列部分C1を形成する電池A1,B1の間には、電池A4が配置され、2直列部分C4を形成する電池A4,B4の間には、電池A5が配置される。このため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、電池モジュール2の運転時等において、2直列部分Ckを形成する電池Ak,Bkの間での温度のばらつきが、小さく抑えられる。
【0065】
前述の少なくとも一つの実施形態又は実施例では、電池モジュールの3個以上の電池において、第1の電池と第2の電池とが、2直列部分を形成する。3個以上の電池は、第1の電池及び第2の電池のそれぞれの電圧の代わりに、第1の電池及び第2の電池の2直列部分の電圧に基づいて、充電及び放電が制御される。第1の電池及び第2の電池が配置される空間では、3個以上の電池の中の第1の電池及び第2の電池以外の1つ以上が、第1の電池と第2の電池との間に配置される。これにより、2つの電池の2直列部分の電圧に基づいて充電及び放電が制御され、2直列部分を形成する電池の間での温度のばらつきが小さく抑えられる電池モジュールを提供することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…制御システム、2…電池モジュール、3…コントローラ、5…電池搭載機器、A1~An+1,B1~Bn…電池、C1~Cn…2直列部分、D1~Dn…電圧検出回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7