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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240213BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240213BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240213BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240213BHJP
   F21Y 105/18 20160101ALN20240213BHJP
【FI】
F21S2/00 311
G01N21/84 E
F21S2/00 439
F21V19/00 450
F21Y115:10 500
F21Y115:10 100
F21Y105:18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020200030
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022087901
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】戸川 拓三
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-294631(JP,A)
【文献】特開2005-122918(JP,A)
【文献】特開2012-117943(JP,A)
【文献】特開2017-147180(JP,A)
【文献】特開2002-083506(JP,A)
【文献】特開2007-179896(JP,A)
【文献】中国実用新案第201513772(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 8/00
F21V 19/00 - 19/06
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1検査軸まわりに配置された複数の第1LED及びこれら第1LEDを搭載する第1基板を備えた第1光源ユニットと、
所定の第2検査軸まわりに配置された複数の第2LED及びこれら第2LEDを搭載する第2基板を備えた第2光源ユニットと、
前記各光源ユニットを積層状態で収容する共通のケーシングと、
前記各光源ユニットの検査軸線同士が合致するように位置決めする位置決め構造とを備え
前記位置決め構造が、前記第1光源ユニットに設けられた係合部と、前記第2光源ユニットに設けられ、前記係合部に係合する被係合部とを備えたものであることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記第1光源ユニットと前記第2光源ユニットとのタイプが異なることを特徴とする請求項1記載の光照射装置。
【請求項3】
前記係合部が、前記第1基板の反LED搭載面に形成されており、前記被係合部が、前記第2LEDに形成されていることを特徴とする請求項記載の光照射装置。
【請求項4】
前記第1基板が前記第1検査軸と直交するように配置されており、前記第2LEDがその光射出面を前記第2検査軸に向けて周回配置された砲弾型のものにおいて、
前記係合部が、前記第1基板の反LED搭載面に設けられた凹部に形成されており、前記被係合部が、前記第2LEDの基端部に設けられた鍔部に形成されていることを特徴とする請求項記載の光照射装置。
【請求項5】
前記第1基板が金属製または金属を主体としたものであることを特徴とする請求項3又は4記載の光照射装置。
【請求項6】
前記第1光源ユニットが拡散板を備え、前記係合部が前記拡散板に形成されていることを特徴とする請求項記載の光照射装置。
【請求項7】
前記第1光源ユニットが前記第1検査軸と同方向から光を射出するタイプのものであり、前記第2光源ユニットがローアングル光を射出するタイプのものであり、前記第1光源ユニットの光射出側に前記第2光源ユニットが積層されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの傷検査や印字検査などに用いられる光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光照射装置として、検査軸と同方向から光を照射するタイプのものや、前記検査軸の周囲から光を照射するリングタイプのものなどが開発されており、検査目的に応じたタイプの光照射装置が選べるようになっている。なお、検査軸とは、光照射装置の中心軸のことである。光照射装置を挟んでその発光面側の検査軸上にワークを設置し、反発光面側の検査軸上にカメラ等を設置することにより、光を照射されたワークをカメラ等で適切に検査することができる。
【0003】
このような光照射装置の基本的な構造としては、複数のLED及びこれらLEDが搭載されたLED基板からなる光源ユニットと、この光源ユニットを内蔵するケーシングとが設けられているところ、近時では、ワークに対して異なる検査を一挙に行えるようにすべく、異なるタイプの光照射装置をそれぞれの検査軸を合致させて積み重ねたものが考えられている。
【0004】
しかしながら、単純に光照射装置を積み重ねたのでは、ケーシングも積み重なるので、全体の厚みが大きくなる。そうすると、前述のように、検査は、光照射装置越しにカメラや目視等でワークを観測して行うところ、光照射装置を積み重ねて全体の厚みが大きくなれば、その分、カメラ等をワークから遠ざけざるを得ず、検査精度が落ちることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4079852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ワークに対して異なる検査を一挙に行うことができる一方で、厚みを可及的に小さくでき、検査精度を担保できる光照射装置を提供することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る光照射装置は、
所定の第1検査軸まわりに配置された複数の第1LED及びこれら第1LEDを搭載する第1基板を備えた第1光源ユニットと、
所定の第2検査軸まわりに配置された複数の第2LED及びこれら第2LEDを搭載する第2基板を備えた第2光源ユニットと、
前記各光源ユニットを積層状態で収容する共通のケーシングと、
前記各光源ユニットの検査軸線同士が合致するように位置決めする位置決め構造とを備えているものである。
【0008】
このような構成であれば、積層させた各光源ユニットが共通のケーシングに収容されているので、背景技術で述べたようなケーシングまでもが積み重なっている構造のものに比べて、装置全体の厚みを小さくでき、検査時にカメラ等をワークWから遠ざけることなく検査精度を担保することが可能になる。
【0009】
また、例えば第1光源ユニットと第2光源ユニットとのタイプを異ならせておけば、積層されたこれら光源ユニットの検査軸は合致しているので、該検査軸上にワークWを設置しさえすれば、そのワークWを動かすことなく、第1光源ユニットと第2光源ユニットとの切り替えにより、異なる検査を一挙に行うことができる。
【0010】
前記位置決め構造が、前記第1光源ユニットに設けられた係合部と、前記第2光源ユニットに設けられ、前記係合部に係合する被係合部とを備えたものであれば、位置決めのための専用の部材を別途設ける必要がないので、構造の簡単化やコンパクト化を図ることができる。
【0011】
より好ましくは、前記係合部が、前記第1基板の反LED搭載面に形成されており、前記被係合部が、前記第2LEDに形成されているものがよい。このようなものであれば、第1LEDと第2LEDとが第1基板を挟み込むように配置されるので、両LEDを積層方向に可及的に近づけることができ、装置全体の厚みをさらに小さくできるからである。
【0012】
その具体的な実施態様としては、前記第1基板が前記第1検査軸と直交するように配置されたものであり、前記第2LEDがその発光面を前記第2検査軸に向けて周回配置された砲弾型のものであって、前記係合部が、前記第1基板の反LED搭載面に設けられた円環状をなす凹部に形成されており、前記被係合部が、前記第2LEDの基端部に設けられた鍔部に形成されているものを挙げることができる。
【0013】
前記第1基板が金属製のものであれば、第1光源ユニットの発光によって生じる熱を効率良く放熱できるとともに、さらに第1基板に係合している第2光源ユニットの発光によって生じる熱も効率良く放熱できる。
他の好ましい実施態様としては、前記第1光源ユニットが拡散板を備え、前記係合部が前記拡散板に形成されているものを挙げることができる。
【0014】
前記第1光源ユニットが前記第1検査軸と同方向から光を射出するタイプのものであり、前記第2光源ユニットがローアングル光を射出するタイプのものにおいては、前記第1光源ユニットの光射出側に前記第2光源ユニットが積層されていることが好ましい。第2光源ユニットがリングタイプであり、第1光源ユニットの光を邪魔せずに通過させることができるからである。
【発明の効果】
【0015】
以上に述べた本発明に係る光照射装置によれば、ワークに対して異なる検査を一挙に行うことができる一方で、厚みを可及的に小さくでき、検査精度を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態における光照射装置を示す斜視図である。
図2】同実施形態の光照射装置を示す縦断面図である。
図3】同実施形態の光照射装置の分解縦断面図である。
図4】同実施形態の第1光源ユニットを示す平面図である。
図5】同実施形態の第2光源ユニットを示す平面図である。
図6】同実施形態の光照射装置の位置決め構造を示す部分拡大断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態における光照射装置を示す斜視図である。
図8】同実施形態の光照射装置を示す縦断面図である。
図9】同実施形態の光照射装置の位置決め構造を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る光照射装置の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
【0018】
本実施形態の光照射装置100は、図1に示すように、その裏面から検査対象となるワークWに検査光を照射するものである。この光照射装置100には、光を透過する観測孔Hが厚み方向に貫通させてあり、前記検査光が照射されているワークWを、光照射装置100の表面側から、該観測孔Hを通じてカメラ等の観測手段CAによって観測し検査することができるようにしてある。なお、以下の説明において、「表」とは、前記観測手段CA側のことを指し、「裏」とはワークW側、すなわちこの光照射装置100の光射出方向のことを指すものとする。
次に、この光照射装置100について詳述する。
この光照射装置100は、図2等に示すように、第1光源ユニットL1及び第2光源ユニットL2と、これらを収容するケーシング3と備えている。
【0019】
前記第1光源ユニットL1は、図2図4等に示すように、円板状をなす導光板11と、該導光板11の周囲に配置され、その側周面から内部に向かって光を射出する複数の第1LED12と、これら第1LED12を搭載した第1基板13とを備えたものである。なお、前記導光板11の中心軸が、当該第1光源ユニットL1の検査軸(以下、第1検査軸C1ともいう。)である。
【0020】
前記導光板11は、透明なガラスや樹脂等で形成されたもので、その表面11aには多数の微細な光散乱部(図示しない)が設けられており、側周面から内部に導入された光を前記光散乱部で散乱して裏面11bから射出する機能を有する。光散乱部としては、例えば微細な傷や塗着された微細な散乱ドットなどを挙げることができる。
前記第1LED12は、表面実装型のものであり、ここでは、その光射出面に直交するように電極が配置された横置きタイプのものが採用されている。
【0021】
前記第1基板13は、その裏面側に金属層、表面側に薄い配線層を配した円環状をなすものであり、その中心孔は、表側から順に、前記導光板11と略同径の大径部13aと、前記導光板11より小径の小径部13bとが形成された段形状をなすものである。
この第1基板13の表面には、前記中心孔の周囲に、複数の第1LED12がその光射出面を該第1基板13の中心に向けた姿勢で周回配置されている。
【0022】
前記大径部13aには導光板11が嵌め入れられており、この大径部13aと前記小径部13bとの段差部分によって、導光板11を抜け落ちないように保持している。
【0023】
上述した構成によって、この第1光照射ユニットL1は、各第1LED12から射出され、導光板11の側周面からその内部に導かれた光を、前記光散乱部で散乱して、該導光板11の裏面11b(より正確には、前記小径部13bで囲まれた部位である発光面)から、第1検査光である光(本実施形態では拡散光)をワークWに照射する。なお、第1光照射ユニットL1の表側からは、前記中心孔及び導光板11を介して、第1検査光が照射されているワークWを観測することができる。
【0024】
前記第2光源ユニットL2は、図2図3図5に示すように、先端の光射出面を内側に、底面を外側に向けて等間隔で円状に配置された複数の第2LED22と、これら第2LED22を保持搭載する第2基板23とを備えたものである。なお、これら第2LED22が形成する円の中心軸が、この第2光源ユニットL2の第2検査軸C2である。
【0025】
前記第2LED22は、図6に示すように、先端部位に半球状の光射出面22a、中間部位に円柱状の胴部22b、基端部位に前記胴部22bから突出する鍔部22cがそれぞれ形成された透明樹脂製の本体部と、この本体部内に埋設されたLEDチップ(図示しない)と、前記本体部の底面から突出するリード22dとを備えたいわゆる砲弾型のものである。
【0026】
前記第2基板23は、帯状をなすフレキシブル配線基板を丸めて短尺円筒状となるように形成したものである。その内面には、前記第2LED22が、その光軸を前記第2検査軸C2に向けるようにして配置されている。
【0027】
当該第2光源ユニットL2は、絶縁体でありながら熱伝導性に富む伝熱体24をさらに備えている。この伝熱体24は、第2基板23の外周を覆うように配置された粘弾性を有する円環状のものであり、ケーシング3に接触させてある。
【0028】
この伝熱体24には、第2基板23を貫通した前記リード22dが埋没させてあり、このリード22dを介して第2LED22の熱が伝熱体24に伝導するように構成されている。
【0029】
この第2光照射ユニットL2は、上述した構成によって、ワークWに対し、各第2LED22から出た第2検査光であるローアングル光を照射する。なお、前記第2LED22に囲まれて形成された貫通孔2aを介して、第2検査光が照射されているワークWを表側から観測することができる。
前記ケーシング3は、短尺円筒状をなす側周板31と、該側周板31の両端開口をそれぞれ覆う円形状の表板32及び裏板33とを備えたものである。
【0030】
前記側周板31は、その内周面に段差がつくように、反光射出側(表側)を薄肉部、光射出側(裏側)を厚肉部としたものであり、前記薄肉部で囲まれた大径収容空間3aと前記厚肉部で囲まれた小径収容空間3bとを形成する。
【0031】
前記表板32及び裏板33には、その中央にそれぞれ円形の窓が開口させてある。表板32の窓が、カメラ等による観測が行われる観測窓3cであり、裏板33の窓が検査光を射出する発光窓3dである。
【0032】
さて、このケーシング3において、第1光源ユニットL1は、前記大径収容空間3aに収容され、前記第2光源ユニットL2は、それよりも裏側(ワークW側)の前記小径収容空間3bに収容されて、これらが積層状態となっている。
【0033】
そして、第1光源ユニットL1から射出された第1検査光は、第2光源ユニットL2の前記貫通孔2a及びケーシング裏板33の発光窓3dを通って、ワークWに照射されるようにしてある。
他方、第2光源ユニットL2から射出された第2検査光は、ケーシング裏板33の発光窓3dを通って、ワークWに照射されるようにしてある。
【0034】
この収容状態において、第1光源ユニットL1及び第2光源ユニットL2は、ケーシング3の表板32及び裏板33に挟まれて、積層方向(軸方向)にガタなく保持されている。なお、図中、符号4は、前記観測窓3cに設けられた透明カバー、符号5は、環状スペーサ5であり、これら透明カバー4及び環状スペーサ5を介して、前記表板32は、第1光源ユニットL1の第1基板13を押しつけている。
【0035】
また、この収容状態においては、前記大径収容空間3aに前記第1基板13が径方向にガタなく嵌まり込んで、第1光源ユニットL1の検査軸C1がケーシング3の中心軸Cと合致するように構成されている。
【0036】
しかして、第2光源ユニットL2は、次に述べる位置決め構造6によって、前記第1光源ユニットL1と、互いの検査軸C1、C2が合致するように積層させてある。
【0037】
この位置決め構造6は、前記第1光源ユニットL1に形成された係合部61と、第2光源ユニットL2に形成された被係合部62とによって構成されたものである。
前記係合部61は、前記第1基板13の反LED搭載面に設けられた凹部たる円環状の溝である。
前記被係合部62は、前記第2LED22の鍔部22cがその機能を担うようにしてある。
【0038】
そして、ケーシング3内での収容状態では、前記各第2LED22の鍔部22cが、前記溝61に嵌まり込むことによって第1光源ユニットL1と第2光源ユニットL2との検査軸C1、C2を合致させている。
【0039】
より具体的には、前記溝61の内側周面と各鍔部22cの前面とが当接することにより、これら第1光源ユニットL1と第2光源ユニットL2とが、径方向に位置決めされるようにしてある。
【0040】
また、同収容状態では、第2光源ユニットL2における第2LED22、より具体的には、その胴部22bの表側部位が、前記第1基板13の裏面に当接し、かつ、前記伝熱体24が、該第1基板13における溝61の底面にも接触するようにしてある。
【0041】
しかして、このように構成した本光照射装置100によれば、それぞれではケーシングを有さない各光源ユニットL1、L2が、共通のケーシング3に収容されているので、背景技術で述べたようなケーシングまでもが積み重なっている構造のものに比べて、装置全体の厚みを小さくでき、検査時にカメラ等をワークWから遠ざけることなく検査精度を担保することが可能になる。
【0042】
また、積層されたこれら光源ユニットL1、L2の検査軸C1、C2が合致しているので、該検査軸C1(C2)上にワークWを設置しさえすれば、そのワークWを動かすことなく、第1光源ユニットL1と第2光源ユニットL2との切り替えだけで、異なる検査、すなわちローアングル光での検査と、検査軸C1と同方向からの拡散光での検査を一挙に行うことができる。
【0043】
さらに、前記位置決め構造6が、前記第1光源ユニットL1及び第2光源ユニットL2に直接的に設けられており、位置決めのための専用の部材を別途設けてはいないので、構造の簡単化やコンパクト化を図ることができる。
【0044】
特にこの実施形態では、第1LED12と第2LED22とが第1基板13を挟み込むように配置されているので、両LED12、22を積層方向に可及的に近づけることができ、装置全体の厚みをより小さくできる。
【0045】
また、本実施形態では、金属製または主として金属製の第1基板13の裏面をケーシング3の段差部分で保持してこれに接触させることにより、該第1LED12の熱を第1基板13を介してケーシング3から放熱できるようにしているところ、この第1基板13に第2LED22及び/又はその伝熱体24をも接触させているので、第2LED22の熱も第1基板13を介して外部に放出することができる。
<第2の実施形態>
【0046】
本実施形態に係る光照射装置100は、第2光源ユニットL2は前記第1実施形態と同様であるが、第1光源ユニットL1が異なり、またそれに応じてケーシング3の形状も異なっているので、以下では、主として、第1光源ユニットL1及びケーシング3について説明する。なお、第1実施形態に対応する部材、部位には同一の符号を付してある。
【0047】
前記第1光源ユニットL1は、中心に円孔13eが設けられた正方形状をなす第1基板13と、この第1基板13の裏面に敷設された表面実装型の複数の第1LED12と、前記第1基板13から所定距離隔離して配置された、正方形状をなす拡散板14とを備えたものである。
【0048】
この拡散板14の中心には、前記第1基板13の円孔13eと平面視同じ位置に円孔14aが設けられている。なお、この円孔14aの中心軸が、当該第1光源ユニットL1の検査軸たる第1検査軸C1である。
【0049】
この第1光照射ユニットL1は、上述した構成によって、各第1LED12から射出された光を拡散板14で拡散し、その裏面から、第1検査光である拡散光をワークWに照射する。なお、第1光照射ユニットL1の表側からは、前記円孔13e、14aを介して、第1検査光が照射されているワークWを観測することができる。
前記ケーシング3は、短尺正方環状をなす側周板31と、該側周板31の両端開口をそれぞれ覆う表板32及び裏板33とを備えたものである。
【0050】
前記側周板31の内周面には、周回する2つの溝が設けてあり、これら溝に前記第1基板13及び拡散板14が嵌まり込んで、これらがガタなく収容保持されている。他方、当該側周板31の前記溝よりも裏側(ワークW側)は、平面視円形状にしてあり、ここに前記第2光源ユニットL2が収容保持されている。
【0051】
表板32及び裏板33は、正方形状をなすものであり、前記第1実施形態同様、その中央にそれぞれ円形の窓が開口させてある。表板32の窓が、カメラ等による観測が行われる観測窓3cであり、裏板33の窓が検査光を射出する発光窓3dとなる。
収容状態においては、第1光源ユニットL1及び第2光源ユニットL2は、積層方向(軸方向)にガタなく保持されている。
【0052】
しかしてこの実施形態においては、前記第1光源ユニットL1における拡散板14の裏面に、前記第1実施形態同様の円環状の溝61(係合部)が形成されており、この溝61に前記第2LED22の鍔部22c(被係合部62)が嵌まり込んで、これら第1光源ユニットL1と第2光源ユニットL2との検査軸を合致させる位置決め構造6としての機能を担う。
【0053】
しかしてこのような光照射装置100であれば、第1実施形態同様、装置全体の厚みを小さくでき、検査時にカメラ等をワークWから遠ざけることなく検査精度を担保することが可能になる。また、積層されたこれら光源ユニットL1、L2の検査軸C1、C2が合致しているので、該検査軸C1,C2上にワークWを設置しさえすれば、そのワークWを動かすことなく、第1光源ユニットL1と第2光源ユニットL2との切り替えだけで、異なる検査、すなわちローアングル光での検査と、検査軸C1と同方向からの拡散光での検査を一挙に行うことができる。
【0054】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
例えば第1光源ユニットと第2光源ユニットとの間に専用の部材を介在させ、その部材によって位置決めするように構成してもよい。
【0055】
係合部は、第1光源ユニットを構成する第1基板や拡散板以外の部材によって形成してもよく、例えば第1LEDや導光板によって形成してもよい。また、被係合部は、第2光源ユニットを構成する第2LED以外の部材によって形成してもよく、例えば第2基板によって形成してもよい。
【0056】
前記各実施形態では、拡散タイプの光源ユニット(第1光源ユニット)にリングタイプの光源ユニット(第2光源ユニット)を積層しているが、3以上の光源ユニットが積層したものでもよい。また、異なるタイプの光源ユニットではなく、同一タイプの光源ユニットを積層させても構わない。例えば、リングタイプの光源ユニット(第2光源ユニット)を複数積層させれば、ワークに対する検査光のアングルを変えることができる。
光源ユニットとしては、拡散タイプやリングタイプ以外のものでもよい。例えば同軸落射タイプなどに本発明を適用しても構わない。
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるし、開示した各実施形態の一部同士を組み合わせるなどしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
W ワーク
100 光照射装置
L1 第1光源ユニット
11 導光板
12 第1LED
13 第1基板
L2 第2光源ユニット
22 第2LED
23 第2基板
24 伝熱体
6 位置決め構造
61 溝(係合部)
62(22c) 鍔部
3 ケーシング
14 拡散板

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9