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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240213BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
E02F9/00 D
B60R16/04 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020209243
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096244
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 貴大
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-182990(JP,A)
【文献】特開平11-213704(JP,A)
【文献】特開2020-029136(JP,A)
【文献】特開2020-183624(JP,A)
【文献】特開2002-227241(JP,A)
【文献】特開平11-050491(JP,A)
【文献】実開昭56-143948(JP,U)
【文献】国際公開第2014/167979(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/073661(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に搭載されたキャビンと、
少なくとも1つのバッテリパックと、
前記バッテリパックから供給される電力を用いて駆動される作業装置と、
予め設定された操作情報又は外部から受信する操作情報に基づいて前記作業装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記キャビンに運転者が搭乗することなく動作する遠隔操作型又は自律型の電動作業機であって、
前記キャビンの内部は、複数の側壁とルーフによって外部と仕切られ、
前記キャビンは、当該キャビンの内部に対して出入りするための出入口と、前記出入口を開閉するドアと、を有し、
前記ドアが開いた状態で露わになる前記キャビンの内部の位置に、前記バッテリパックが1つ以上搭載されている電動作業機。
【請求項2】
記キャビンの内部に、運転者が着座する運転席又は前記運転席に着座した運転者によって操作される操作装置が搭載される代わりに、前記バッテリパックが1つ以上搭載されている請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記キャビンの内部に搭載される前記バッテリパックは、前記ドアが開いた状態で前記出入口を通じて前記キャビンの内部に対して搬入出可能に構成されている請求項1又は2に記載の電動作業機。
【請求項4】
外部の電源から前記バッテリパックに充電するための充電ケーブルが着脱される充電口を備え、
前記充電口は、前記ドアが開いた状態で前記出入口を通じて前記充電ケーブルを着脱可能な前記キャビンの内部の位置に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項5】
記バッテリパックは、当該バッテリパックを他の装置と接続するための電気配線が接
続される端子部を有し、
前記キャビンの内部に搭載された前記バッテリパックは、前記ドアが開いた状態で前記出入口を通じて前記電気配線を前記端子部に着脱可能な位置に搭載されている請求項1~のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記バッテリパックからの電力を調整するインバータと、
前記バッテリパックと前記インバータとを接続状態と切断状態とに切り替える接続切替装置と、を備え、
前記インバータ及び前記接続切替装置のうち少なくとも一方が前記キャビンの内部に搭載されている請求項1~のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記バッテリパックから前記インバータを介して供給される電力により駆動される電動モータと、
前記電動モータの動力により駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプが吐出する作動油により駆動されて前記作業装置を動作させる油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を制御する制御弁を有したコントロールバルブと、を備え、
前記制御装置は、前記操作情報に基づいて前記電動モータ、前記油圧ポンプ、および前記制御弁の動作を制御する請求項に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記バッテリパックから供給される電力を所定の低電圧に変換する電圧変換装置と、
前記電圧変換装置から供給される電力により充電される低圧バッテリと、
前記低圧バッテリから供給される電力により駆動される電装品と、を備え、
前記電圧変換装置は、前記キャビンの内部に搭載されている請求項1~7のいずれか1項に記載の電動作業機。
【請求項9】
前記キャビンの内部の空調を行う空調装置を備えた請求項1~のいずれか1項に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電力で動作する電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、旋回フレームの前部にキャビンを搭載し、旋回フレーム上のキャビンの後方に油圧ポンプ、電動モータ、及び主バッテリを配置し、旋回フレーム上のキャビンの側方に補助バッテリを配置した電動バックホーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-237943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機において、作業可能時間を長くするには、バッテリのサイズ又は搭載数を増大させて、電力源の電気容量を多くする必要がある。
しかしながら、特許文献1の技術では、限られた機体内のスペースにおいて、バッテリサイズを大きくしたり搭載数を増やしたりするのは難しい。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、電動作業機の電力源の電気容量を容易に増加することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電動作業機は、機体と、機体に搭載されたキャビンと、少なくとも1つのバッテリパックと、前記バッテリパックから供給される電力を用いて駆動される作業装置と、予め設定された操作情報又は外部から受信する操作情報に基づいて前記作業装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記キャビンに運転者が搭乗することなく動作する遠隔操作型又は自律型の電動作業機であって、前記キャビンの内部は、複数の側壁とルーフによって外部と仕切られ、前記キャビンは、当該キャビンの内部に対して出入りするための出入口と、前記出入口を開閉するドアと、を有し、前記ドアが開いた状態で露わになる前記キャビンの内部の位置に、前記バッテリパックが1つ以上搭載されている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、電動作業機の電力源の電気容量を容易に増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の電動作業機の電気ブロック図である。
図2】第1実施形態の電動作業機の油圧回路図である。
図3A】第1実施形態の電動作業機の全体側面図である。
図3B】第1実施形態の電動作業機の全体側面図である。
図4】第2実施形態の電動作業機の全体側面図である。
図5】第3実施形態の電動作業機の要部の概略平面図である。
図6】第4実施形態の電動作業機の全体側面図である。
図7】第5実施形態の電動作業機の電気ブロック図である。
図8】第6実施形態の電動作業機の全体側面図である。
図9】第7実施形態の電動作業機の電気ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以降の実施形態において、同一又は対応する部分には、同一符号を付している。
まず、第1実施形態の電動作業機1について、図1図3Bを参照しながら説明する。
図3Aは、第1実施形態の電動作業機1の全体側面図である。
第1実施形態の電動作業機1は、遠隔操作型の電動作業機であり、運転者が搭乗しない無人のバックホーから構成されている。電動作業機1は、機体(旋回台)2と走行装置10と作業装置20等を備えている。
【0009】
なお、図3Aに示す矢印A1方向を前方、矢印A2方向を後方として説明する。また、その前後方向に直交する水平方向を幅方向として説明する。さらに、機体2から前方A1に向いた状態で、左側を左方、右側を右方として説明する。後述する図3B図4図6、及び図8も同様である。
走行装置10は、機体2を走行させる装置であって、走行フレーム11と走行機構12とを有する。走行フレーム(トラックフレーム)11は、周囲に走行機構12を取り付け、且つ上部に機体2を支持する構造体である。
【0010】
走行機構12は、例えばクローラ式の走行機構である。走行機構12は、走行フレーム11の左側と右側にそれぞれ設けられている。走行機構12は、アイドラ13と、駆動輪14と、複数の転輪15と、無端状のクローラベルト16と、走行モータML、MRとを有している。
アイドラ13は、走行フレーム11の前部に配置されている。駆動輪14は、走行フレーム11の後部に配置されている。複数の転輪15は、アイドラ13と駆動輪14との間に設けられている。クローラベルト16は、アイドラ13、駆動輪14、及び転輪15に亘って巻掛けられている。
【0011】
左用走行モータMLは、走行フレーム11の左側にある走行機構12に含まれている。右用走行モータMRは、走行フレーム11の右側にある走行機構12に含まれている。これら走行モータML、MRは、油圧モータから構成されている。各走行機構12では、走行モータML、MRの動力により、駆動輪14が回転駆動して、クローラベルト16を周方向に循環回走させる。
【0012】
走行装置10の前部には、ドーザ装置18が装着されている。ドーザ装置18は、ドーザシリンダC5の伸縮によって上下に揺動する。ドーザシリンダC5は、支持フレーム11に取り付けられている。ドーザシリンダC5は、油圧シリンダから構成されている。
機体2は、走行フレーム11上に旋回ベアリング3を介して、旋回軸心X回りに回転可能に支持されている。機体2の内部には、旋回モータMTが設けられている。旋回モータMTは、油圧モータ(油圧機器Mに含まれる油圧アクチュエータ)から構成されている。機体2は、旋回モータMTの動力により旋回軸心X回りに旋回する。
【0013】
作業装置20は、機体2の前部に支持されている。作業装置20は、ブーム21と、アーム22と、バケット(作業具)23と、油圧シリンダC1~C5を有する。ブーム21の基端側は、スイングブラケット24に横軸(機体2の幅方向に延伸する軸心)廻りに回動可能に枢着されている。このため、ブーム21は上下方向(鉛直方向)に揺動可能になっている。アーム22は、ブーム21の先端側に横軸廻りに回動可能に枢着されている。このため、アーム22は、前後方向或いは上下方向に揺動可能になっている。バケット23は、アーム22の先端側にスクイ動作及びダンプ動作が可能に設けられている。
【0014】
電動作業機1は、バケット23に代えて、或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。この他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等が例示できる。
スイングブラケット24は、機体2内に備えられたスイングシリンダC1の伸縮によって左右に揺動する。ブーム21は、ブームシリンダC2の伸縮によって上下(前後)に揺動する。アーム22は、アームシリンダC3の伸縮によって上下(前後)に揺動する。バケット23は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C4の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作を行う。スイングシリンダC1、ブームシリンダC2、アームシリンダC3、及びバケットシリンダC4は、油圧シリンダから構成されている。
【0015】
作業機1は、上述した走行モータML、MRや油圧シリンダC1~C5を有する走行装置10や作業装置20や旋回モータMTにより作業を行う。走行モータML、MRや旋回モータMTや油圧シリンダC1~C5といった油圧アクチュエータは、油圧機器に含まれる。走行装置10も作業機1に備わる作業装置である。
機体2上には、キャビン6が搭載されている。キャビン6は、支柱6a、梁6b、ルーフ6c、及び側壁6dを有している。支柱6aは、機体2の前後方向(図3AでA1、A2方向)及び左右方向(A1、A2方向に直交する水平方向)に所定の間隔をおいて、機体2上に複数(4本以上)立設されている。
【0016】
梁6bは、前後方向に並ぶ複数の支柱6aの上部に連結されている。図3Aでは、機体2の左部にある2本の支柱6aと1本の梁2bしか示していないが、機体2の右部にも同様に2本の支柱6aと1本の梁2bが設けられている。機体2の前部や後部にあって左右方向に並ぶ複数の支柱6aの上部にも、梁6bが連結されていてもよい。つまり、梁2bは複数設けられていて、各支柱6aの上部を拘束している。ルーフ6cは、各支柱6aの上部と各梁6bに取り付けられている。
【0017】
側壁6dは、機体2の前側、後ろ側、右側、及び左側にそれぞれ面するように、複数(4枚以上)設けられている。図3Aでは、機体2の左側に面する側壁6dだけ示している。各側壁6dは、複数の支柱6aの互いに対向する側部に取り付けられている。また、各側壁6dは、ルーフ6cの前端部、後端部、右端部、及び左端部にもそれぞれ取り付けられている。
【0018】
上記のような支柱6a、梁6b、ルーフ6c、及び側壁6dにより、キャビン6の内部の空間が外部と仕切られている。つまり、キャビン6は部屋状に構築されている。各側壁6dの全部又は一部は、キャビン6の内部から周囲を目視可能に透明になっている。つまり、各側壁6dには窓が設けられている。機体2の左側に面する側壁6dには、キャビン6の内部に対して出入りするための出入口6eと、当該出入口6eを開閉するドア6fが設けられている。なお、各側壁6dの全部又は一部を不透明な材質で構成し、ドア6fを閉じたときに、外部からキャビン6の内部を視認できない構成としてもよい。
【0019】
図1は、第1実施形態の電動作業機1の電気ブロック図である。
電動作業機1に備わる制御装置7は、CPU7aと記憶部7bとを有している。CPU7aは、電動作業機1に備わる各部の動作を制御する。記憶部7bはメモリ等から構成されている。CPU7aが各部の動作を制御するための情報、データ、及びプログラム等は、記憶部7bに読み書き可能に記憶されている。
【0020】
電動モータ9は、電動作業機1の動力源であって、例えば永久磁石埋込式の三相交流同期モータから構成されている。インバータ38は、電動モータ9を駆動させるモータ駆動装置である。インバータ38は、電動モータ9及びジャンクションボックス39と接続されている。
ジャンクションボックス39は、インバータ38の他に、バッテリユニット30とDC-DCコンバータ40と充電口41とに接続されている。ジャンクションボックス39は、バッテリユニット30から出力された電力をインバータ38やDC-DCコンバータ40に出力する。ジャンクションボックス39は接続切替装置である。
【0021】
インバータ38は、バッテリユニット30からジャンクションボックス39を経由して入力された直流電力を三相交流電力に変換し、当該三相交流電力を電動モータ9に供給する。これにより、電動モータ9が駆動する。また、インバータ38は、電動モータ9に供給する電力の電流や電圧を任意に調整可能である。制御装置7は、インバータ38の動作を制御して、電動モータ9を駆動させたり停止させたりする。
【0022】
DC/DCコンバータ40は、バッテリユニット30からジャンクションボックス39を経由して入力された直流電流の電圧を、異なる電圧に変換する電圧変換装置である。本実施形態では、DC/DCコンバータ40は、バッテリユニット30の高電圧を、電動作業機1に備わる電装品に応じた所定の低電圧に変換する降圧コンバータである。DC/DCコンバータ40は、電圧変換後に低圧バッテリ33へ電力を供給する。上記電装品には、例えば制御装置7や、後述するファンモータ35a、37a、42bや、その他の電気機器17、35a、37a、41a、42、46~49、58、PV1~PV6等が含まれている。
【0023】
充電口41は、充電ケーブル(図示省略)が嵌合されるコネクタ(図示省略)と、接続検出装置41aとを有している。充電口41には、充電ケーブルを経由して外部電源(商用電源等)に接続される。接続検出装置41aは、充電口41に充電ケーブルが嵌合されて、外部電源が接続されたことを検出するセンサ等から成る。
ジャンクションボックス39は、外部の電源から充電ケーブルを経由して充電口41より入力された電力を、バッテリユニット30に出力する。バッテリユニット30は、その充電口41からジャンクションボックス39を経由して入力された電力で充電される。
【0024】
バッテリユニット30は、複数のバッテリパック31、32を有している。各バッテリパック31、32は、少なくとも1つのバッテリから構成されたリチウムイオン電池等の二次電池(蓄電池)である。各バッテリパック31、32を複数のバッテリから構成した場合、当該複数のバッテリは電気的に直列及び/又は並列に接続される。また、各バッテリパック31、32を構成するバッテリは、内部に複数のセルを有しており、当該複数のセルが電気的に直列及び/又は並列に接続されて構成されている。各バッテリパック31、32は、電動作業機1の各部を所定時間稼働可能な電気容量を有している。
【0025】
図1では、バッテリユニット30は2つのバッテリパック31、32を有しているが、バッテリユニット30が有するバッテリパックの数は2つに限定されず、3つ以上でもよい。また、バッテリパック31、32同士は、並列に接続されていが、直列に接続されていてもよい。
各バッテリパック31、32には、接続切替部31a、32aが設けられている。各接続切替部31a、32aは、例えばリレー又はスイッチ等から構成されていて、接続状態と遮断状態とに切り替わり可能である。
【0026】
制御装置7は、接続切替部31a、32aのうち、一方の接続切替部を接続状態に切り替えて、他方の接続切替部を遮断状態に切り替えることにより、複数のバッテリパック31、32のうち、一方のバッテリパックからジャンクションボックス39に電力を出力し、他方のバッテリパックからの電力の出力を停止する。つまり、制御装置7は、各バッテリパック31、32の電力の出力と出力停止とを制御する。
【0027】
また、制御装置7は、ジャンクションボックス39の内部の接続状態を切り替えて、各バッテリパック31、32に対してインバータ38、DC-DCコンバータ40、又は充電口41を接続したり切断したりする。ジャンクションボックス39は、各バッテリパック31、32に対するインバータ38、DC-DCコンバータ40、及び充電口41の接続と切断とを切り替える。
【0028】
また、各バッテリパック31、32には、BMU(battery management unit;バッテリ監視装置)31b、32bが設けられている。図1では、BMU31b、32bは対応するバッテリパック31、32内に設けられているが、BMU31b、32bは対応するバッテリパック31、32に内蔵されていてもよいし、又はバッテリパック31、32の外側に設置されていてもよい。
【0029】
BMU31bは、対応するバッテリパック31を監視及び制御する。BMU32bは、対応するバッテリパック32を監視及び制御する。具体的には、BMU31b、32bは、バッテリパック31、32の内部に備わるリレーの開閉を制御して、バッテリパック31、32からの電力供給の開始及び停止を制御する。また、BMU31b、32bは、バッテリパック31、32の温度、電圧、電流、又は内部のセルの端子電圧等を検出する。
【0030】
さらに、BMU31b、32bは、例えばバッテリパック31、32の内部のセルの端子電圧に基づいて、電圧測定方式によりバッテリパック31、32の残容量を検出する。なお、バッテリパック31、32の残容量の検出方法は、電圧測定方式に限定されず、クーロン・カウンタ方式、電池セル・モデリング方式、インピーダンス・トラック方式などのような他の方式であってもよい。また、バッテリパック31、32の残容量を検出する容量検出部を、BMU31b、32bとは別に設けてもよい。
【0031】
低圧バッテリ33は、バッテリユニット30より低電圧の蓄電池である。低圧バッテリ33は、DC/DCコンバータ40から供給される電力により充電される。低圧バッテリ33は、電動作業機1に備わる電装品に電力を供給する。容量検出装置34は、低圧バッテリ33の残容量を検出する電気回路から成る。
ラジエータ35は、電動モータ9、インバータ39、DC/DCコンバータ40、及びバッテリユニット30等の高発熱型の電気機器を冷却するための冷却水を冷却する。高発熱型の電気機器とは、電力で動作することにより、電動作業機1に備わる他の電気機器より高い熱を発する電気機器のことである。冷却水は、単なる水ではなく、例えば寒冷地でも凍らないような液体から構成されている。
【0032】
ラジエータ35は、ファンモータ35aと、当該ファンモータ35aの動力により回転駆動するラジエータファン(図示省略)と、熱交換部(図示省略)とを有している。ラジエータファンは、ラジエータ35の熱交換部に冷却風を送風する。ファンモータ35aは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。冷却用ポンプ36は、ラジエータ35及び上記の高発熱型の電気機器と共に、機体2内に配設された冷却水路(図示省略)に設けられている。冷却用ポンプ36は、その冷却水路に対して冷却水を吐出及び循環させる。
【0033】
冷却水が冷却水路を循環することで、電動モータ9、インバータ39、DC/DCコンバータ40、及びバッテリユニット30等の熱が冷却水に移動する。これにより温められた冷却水は、ラジエータ35の熱交換部やラジエータファンにより冷却される。つまり、温められた冷却水の熱がラジエータ35の熱交換部で、周囲の空気に移動する。
オイルクーラ37は、前述した油圧アクチュエータML、MR、MT、C1~C5や、後述する油圧ポンプP1、P2及びコントロールバルブV(図2等に図示)といった油圧機器を通過した作動油を冷却する。オイルクーラ37は、ファンモータ37aと、当該ファンモータ37aの動力により回転駆動するオイルクーラファン(図示省略)と、熱交換部(図示省略)とを有している。オイルクーラファンは、オイルクーラ37の熱交換部に冷却風を送風する。ファンモータ37aは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
【0034】
上記の油圧機器ML、MR、MT、C1~C5、V、P1、P2等が発する熱で温められた作動油は、オイルクーラ37の熱交換部やオイルクーラファンにより冷却される。つまり、温められた作動油の熱がオイルクーラ37の熱交換部で、周囲の空気に移動する。
電磁弁58、PV1、PV2、PV3、PV4、PV5、PV6は、それぞれ内蔵するソレノイドに対して励磁又は消磁されることにより作動する。
【0035】
電動暖房装置42は、低圧バッテリ33の電力により駆動して、保護機構6の内部の暖房を行う。電動暖房装置42は、電気ヒータから構成され、電熱線42aとファンモータ42bと暖房ファン(図示省略)を有している。電熱線42aは、通電されることにより高熱を発する。ファンモータ42bは、暖房ファンを回転駆動させる。暖房ファンは、電熱線42aにより暖められた周囲の空気をキャビン6の内部に向かって送風する。ファンモータ42bは、低圧バッテリ33の電力で駆動する。
【0036】
電動冷房装置46は、例えばエアコンから構成されている。電動冷房装置46は、低圧バッテリ33の電力により駆動して、キャビン6の内部の冷房を行う。電動暖房装置42と電動冷房装置46とは、キャビン6の内部の空調を行う空調装置である。
油温検出装置47は、作動油の温度(油温)を検出するセンサから成る。室温検出装置48は、キャビン6の内部の温度(室温)を検出するセンサから成る。水温検出装置49は、冷却水の温度(水温)を検出するセンサから成る。
【0037】
通信装置17は、機体2に設けられていて、アンテナと通信回路(図示省略)等から構成されている。通信装置17は、遠隔操作装置19と無線で通信する。遠隔操作装置19は、電動作業機1の作業装置20、10等を遠隔操作するための装置であって、機体2には設けられていない。遠隔操作装置19には、操作者が操作する操作部、通信装置17と通信する通信部、及び制御部等が備わっている。
【0038】
作業者は、電動作業機1の機体2等から離れた場所(遠隔地)で、電動作業機1の周囲を見ながら遠隔操作装置19の操作部を操作する。すると、遠隔操作装置19の制御部は、操作部の操作状態に応じた遠隔操作信号(操作情報を示した信号)を生成して、当該遠隔操作信号を通信部により通信装置17に送信する。
通信装置17が遠隔操作装置19からの遠隔操作信号を受信すると、制御装置7は、当該遠隔操作信号に基づいて、電動モータ9、油圧ポンプP1、P2、及び油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT等を駆動して、作業装置20と走行装置10の動作を制御する。また、制御装置7は、遠隔操作装置19から送信されて通信装置17により受信した遠隔操作信号、又は検出装置47~49の検出結果等に基づいて、電動作業装置1に備わる電装品やその他各部の動作を制御する。
【0039】
他の例として、機体2側に電動作業機1の周囲を監視するカメラを備え、当該カメラが撮像した画像を表示するディスプレイ等の表示部を遠隔操作装置19に備えてもよい。この場合、制御装置7は、カメラにより撮像された画像のデータを通信装置17により遠隔操作装置19に送信する。遠隔操作装置19は、当該画像のデータを通信部により受信すると、制御部により当該データを処理して、当該データに基づく画像を表示部に表示させる。これにより、作業者は、遠隔操作装置19の表示部に表示された画像を見て、操作部を操作することにより、作業装置20や走行装置10やその他電動作業機1の各部を操作し易くなる。
【0040】
図2は、第1実施形態の電動作業機1の油圧回路図である。
電動作業機1に備わる油圧回路Kには、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、コントロールバルブV、油圧ポンプP1、P2、作動油タンクT、オイルクーラ37、操作弁PV1~PV6、アンロード弁58、及び油路50等の油圧機器が設けられている。
【0041】
複数設けられた油圧ポンプP1、P2のうち、一方は作動用油圧ポンプP1であり、他方はコントロール用油圧ポンプP2である。これらの油圧ポンプP1、P2は、電動モータ9の動力により駆動する。
作動用油圧ポンプP1は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後、コントロールバルブVに向かって作動油を吐出する。図2では、便宜上、作動用油圧ポンプP1を1つ図示しているが、これに限らず、各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに作動油を供給可能に作動用油圧ポンプP1を適宜数設ければよい。
【0042】
コントロール用油圧ポンプP2は、作動油タンクTに貯留された作動油を吸引した後吐出することにより、信号用又は制御用等の油圧を出力する。即ち、コントロール用油圧ポンプP2はパイロット油を供給(吐出)する。コントロール用油圧ポンプP2も適宜数設けられればよい。
コントロールバルブVは、複数の制御弁V1~V8を有している。各制御弁V1~V8は、油圧ポンプP1、P2から各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに出力する作動油の流量を制御(調整)を調整する。
【0043】
具体的には、スイング制御弁V1は、スイングシリンダC1に供給する作動油の流量を制御する。ブーム制御弁V2は、ブームシリンダC2に供給する作動油の流量を制御する。アーム制御弁V3は、アームシリンダC3に供給する作動油の流量を制御する。バケット制御弁V4は、バケットシリンダC4に供給する作動油の流量を制御する。ドーザ制御弁V5は、ドーザシリンダC5に供給する作動油の流量を制御する。左用走行制御弁V6は、左側の走行モータMLに供給する作動油の流量を制御する。右用走行制御弁V7は、右側の走行モータMRに供給する作動油の流量を制御する。旋回制御弁V8は、旋回モータMTに供給する作動油の流量を制御する。
【0044】
操作弁PV1~PV6は、前述した電磁弁(図1)から成り、制御装置7により作動を制御される。各操作弁PV1~PV6の作動量に比例して、パイロット油が各制御弁V1~V8に作用することで、各制御弁V1~V8のスプールが動かされる。そして、各制御弁V1~V8のスプールの動かされた量に比例する量の作動油が、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される。さらに、各油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTが、各制御弁V1~V8からの作動油の供給量に応じて駆動する。
【0045】
つまり、制御装置7が操作弁PV1~PV6を操作することで、制御弁V1~V8に作用する作動油(パイロット油)が調整されて、制御弁V1~V8が制御される。そして、制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される作動油の量が調整されて、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTの駆動と停止とが制御される。
【0046】
油路50は、例えばホース又は金属等の材料で形成された管から構成されている。油路50は、油圧回路Kに設けられた各部を接続し、各部に対して作動油又はパイロット油を流す流路である。油路50には、第1油路51、第2油路52、第1吸引油路54、第2吸引油路55、及び制限油路57が含まれている。
第1吸引油路54は、作動用油圧ポンプP1が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。第2吸引油路55は、コントロール用油圧ポンプP2が作動油タンクTから吸引した作動油を流す流路である。
【0047】
第1油路51は、作動用油圧ポンプP1が吐出した作動油をコントロールバルブVの制御弁V1~V8に向かって流す流路である。第1油路51は、コントロールバルブV内で複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。
第2油路52は、制御弁V1~V8を通過した作動油を作動油タンクTに向かって流す流路である。作動油タンクTは作動油を貯留する。第2油路52には、往復油路52aと排出油路52bとが含まれている。
【0048】
往復油路52aは、各制御弁V1~V8と制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTとを2本1対で接続するように複数設けられている。往復油路52aは、接続された制御弁V1~V8から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに作動油を供給したり、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTから制御弁V1~V8に作動油を戻したりする流路である。排出油路52bの一端側は複数に分岐して、各制御弁V1~V8に接続されている。排出油路52bの他端部は、作動油タンクTに接続されている。
【0049】
第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の一部は、当該制御弁V1~V8を通過して往復油路52aの一方を通り、制御対象の油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに供給される。そして、その油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTから排出された作動油は、往復油路52aの他方を通って接続された制御弁V1~V8に戻り、当該制御弁V1~V8を通過して、排出油路52b流れる。
【0050】
また、第1油路51を通っていずれかの制御弁V1~V8に流れた作動油の他部は、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTへ供給されることなく、当該制御弁V1~V8を通過して排出油路52bに流れる。排出油路52bには、オイルクーラ37が設けられている。オイルクーラ37は、いずれかの制御弁V1~V8から排出油路52bを通って流れて来た作動油を冷却する。
【0051】
オイルクーラ37で冷却された作動油は、排出油路52bを通って作動油タンクTに戻る。上述したように、油路54、51、52は、作動油を作動油タンクTと油圧ポンプP1とコントロールバルブVの制御弁V1~V8と(一部の作動油は油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTも)に対して循環させるように配設されている。
制限油路57は、コントロール用油圧ポンプP2が吐出した作動油を操作弁PV1~PV6に流す流路である。制限油路57の一端部は、コントロール用油圧ポンプP2に接続され、他端側は複数に分岐して、各操作弁PV1~PV6の一次側のポート(一次ポート)に接続されている。
【0052】
制限油路57には、アンロード弁58が設けられている。アンロード弁58は、前述した電磁弁(図1)から成る。アンロード弁58は、コントロール用油圧ポンプP2から操作弁PV1~PV6に対して作動油を供給し又は供給停止する。
制御装置7は、操作弁PV1~PV6とアンロード弁58の作動を制御することにより、制御弁V1~V8を動作させて、作動用油圧ポンプP1から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに対して作動油を供給し又は供給停止して、作業装置20や走行装置10を制御する。
【0053】
詳しくは、制御装置7がアンロード弁58を供給位置に切り替えることで、コントロール用油圧ポンプP2から制限油路57に吐出された作動油が操作弁PV1~PV6に供給される。そして、制御装置7が操作弁PV1~PV6の作動量を制御することで、操作弁PV1~PV6を経由した作動油の油圧により、制御弁V1~V8のスプールが操作されて、作動用油圧ポンプP1から制御弁V1~V8を経由した作動油が油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTに対して供給又は供給停止される。これにより、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTが動作可能になり、作業装置20及び走行装置10も動作可能となる。
【0054】
また、制御装置7がアンロード弁58を遮断位置に切り替えることで、コントロール用油圧ポンプP2から制限油路57に吐出された作動油が作動油タンクTに排出されて、操作弁PV1~PV6に供給されなくなる(供給停止)。これにより、操作弁PV1~PV6を介した制御弁V1~V8のスプールの操作が禁止又は制限され、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT、作業装置20、及び走行装置10の動作が禁止又は制限される。
【0055】
図3Bは、第1実施形態の電動作業機1の全体側面図であって、キャビン6のドア6fを開いた状態を示している。
電動作業機1は、遠隔操作型の無人の作業機であるため、キャビン6の内部に運転席や操作装置を搭載しなくてもよい。そこで、電動作業機1では、キャビン6の内部に運転席や操作装置が搭載される代わりに、図3Bに示すように複数のバッテリパック31、32がキャビン6の内部に搭載されている。
【0056】
バッテリパック31、32は、キャビン6内において、前方A1寄りの位置にあって、上下方向に積載されている。各バッテリパック31、32の一側面には、当該バッテリパック31、32を他の装置と接続するためのハーネス(電気配線、図示省略)が接続される端子部31c、32cが設けられている。
各端子部31c、32cは、複数の接続端子(詳細図示省略)を有している。そのうち、各バッテリパック31、32内蔵されたバッテリや接続切替部31a、32aと接続された一方の接続端子には、給電用ハーネス(図示省略)の一端が接続されている。当該給電用ハーネスの他端は、ジャンクションボックス39(図1)に接続されている。また、各バッテリパック31、32内蔵されたBMU31b、32bと接続された他方の接続端子には、信号用ハーネス(図示省略)の一端が接続されている。当該信号用ハーネスの他端は、制御装置7(図1)に接続されている。
各バッテリパック31、32と上記他の装置39、7とは、端子部31c、32cと上記ハーネスを介して電力あるいは各種信号を入出力する。キャビン6のドア6fを開けた状態で、出入口6eを通じて上記ハーネスを端子部31c、32cに着脱可能なキャビン6の内部の位置に、各バッテリパック31、32が搭載されている。より詳しくは、端子部31c、32cが出入口6eを向くように、各バッテリパック31、32はキャビン6の内部に搭載されている。
【0057】
また、キャビン6の内部には、インバータ38、ジャンクションボックス39、DC-DCコンバータ40、電動暖房装置42、及び電動冷房装置46も搭載されている。
他の例として、これらの電装品38、39、40、42、46のうち、バッテリパック31、32と接続する必要があるジャンクションボックス39を少なくともキャビン6の内部に搭載し、これ以外の電装品38、40、42、46を機体2の内部(機体2の筐体を構成するボンネットの内側)に搭載してもよい。また、ジャンクションボックス39も機体2の内部に搭載してもよい。比較的大型であるバッテリパック31、32が機体2の内部に搭載されていないので、電動作業機1に備わるその他の電装品(図1参照)を機体2の内部に配置し易くなる。
【0058】
また、キャビン6のドア6fを開けた状態で、出入口6eを通じて外部電源からの給電用の充電ケーブルを着脱可能なキャビン6の内部の位置に、充電口41を配置してもよい。また、キャビン6の内部に搭載されるバッテリパック31、32は、出入口6eを通じてキャビン6の内部に対して搬入出可能なサイズや形状であってもよい。
上述した第1実施形態では、2つのバッテリパック31、32をキャビン6の内部に搭載した例を示したが、これ以外に、例えば図4に示す第2実施形態や図5に示す第3実施形態のように、3つ以上のバッテリパック31、32、31x、32xをキャビン6の内部に搭載してもよい。バッテリパック31x、32xの機能や用途や構造等は、バッテリパック31、32と同様である。
【0059】
図4は、第2実施形態の電動作業機1Bの全体側面図である。第2実施形態では、キャビン6の内部において、バッテリパック31、32の上にバッテリパック31xが搭載されている。また、バッテリパック31、32、31xの後方に、バッテリパック32xが搭載されている。
図5は、第3実施形態の電動作業機1Cの要部(機体2とキャビン6)の概略平面図である。第3実施形態では、キャビン6の内部において、バッテリパック31とバッテリパック32が、機体2の左右方向に並ぶように搭載されている。また、バッテリパック31、32の後方に、バッテリパック31xが搭載されている。
【0060】
図3B図4、及び図5に示した以外にも、任意の姿勢や向きで1つ以上のバッテリパックをキャビン6の内部に搭載してもよい。
また、図6に示す第4実施形態の電動作業機1Dのように、キャビン6の内部にバッテリパック31、32を搭載するだけでなく、機体2の内部にもバッテリパック31y、32yを搭載してもよい。バッテリパック31y、32yは、機体2の内部で左右方向に並んで搭載されている。バッテリパック31y、32yの機能や用途や構造等は、バッテリパック31、32と同様である。
【0061】
図1に示した実施形態では、遠隔操作型の電動作業機1を例に示したが、これ以外に、例えば図7に示すような自律型の電動作業機1Eにおいても、例えば図3B図6に示したように、複数のバッテリパック31、32をキャビン6の内部に搭載してもよい。また、自律型の電動作業機1Eにおいて、例えば図6に示したように、機体2の内部にもバッテリパック31x、32xを搭載してもよい。
【0062】
図7は、第5実施形態の電動作業機1Eの電気ブロック図である。
電動作業機1Eは、自律型の電動作業機であって、運転者が搭乗しない無人のバックホーから構成されている。電動作業機1Eは監視装置25を備えている。監視装置25は、電動作業機1Eの周囲を監視する装置であって、カメラ25aとセンサ25bとを有している。カメラ25aは、電動作業機1Eの周囲を撮像する撮像装置である。センサ25bは、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)等から構成され、電動作業機1の周囲にある物や人等を検出する。
【0063】
電動作業機1Eの通信装置17は、管理装置26と無線で通信する。管理装置26は、電動作業機1から離れた場所にある。管理装置26には、操作者が操作する操作部、通信装置17と通信する通信部、ディスプレイから成る表示部、及び制御部等が備わっている。
電動作業機1Eの制御装置7は、予め記憶部7bに記憶された操作情報と監視装置25の監視結果とに基づいて、電動モータ9、油圧ポンプP1、P2、及び油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MT等を駆動して、作業装置20、10の動作を制御する。また、制御装置7は、監視装置25の監視結果と検出装置47~49の検出結果等とに基づいて、電動作業装置1に備わる電装品やその他各部の動作を制御する。
【0064】
さらに、制御装置7は、カメラ25aにより撮像された画像のデータと、電動作業機1Eの動作状況を示す情報を、通信装置17により管理装置26に送信する。管理装置26は、通信装置17により送信された画像のデータや情報を通信部により受信すると、制御部により当該データや情報を処理して、当該データに基づく画像や電動作業機1Eの動作状況を示す情報を表示部に表示させる。これにより、作業者は、管理装置26の表示部の表示内容を見て、電動作業機1Eの作業状況や周囲状況等を認識可能となる。上記以外の図6に示す各部の機能は、図1に示した電動作業機1の各部の機能と同様である。
【0065】
図8は、第6実施形態の電動作業機1Fの全体側面図である。
電動作業機1Fは、遠隔操作型若しくは自律型の無人の電動作業機、又は有人の電動作業機である。電動作業機1Fのキャビン6の内部には、運転席4と操作装置5が搭載されている。操作装置5は、運転席4に着座した運転者が操作可能になっている。操作装置5が有する操作レバーや操作スイッチを操作することで、作業装置20や走行装置10やその他の電動作業機1Fの各部が動作する。
【0066】
このように運転席4や操作装置5がキャビン6の内部に搭載された電動作業機1Fにおいても、バッテリパック31をキャビン6の内部に搭載してもよい。また、電動作業機1Fの機体2の内部にも、バッテリパック31yを搭載してもよい。
他の例として、キャビン6の内部に、運転席4や操作装置5と共に、複数のバッテリパックを搭載し、機体2の内部には、バッテリパックを搭載しないようにしてもよい。
【0067】
以上の実施形態では、ルーフ6cと側壁6d等で外部と内部とを仕切った部屋状のキャビン6を例に示したが、これに代えて、例えば支柱と梁等の骨格だけで構築されたキャビンの内部に、バッテリパックを1つ以上搭載してもよい。また、キャビンの内部だけでなく、キャビンの上方等の外部にもバッテリパックを搭載してもよい。さらに、図3B等に示したように、キャビン6が機体2の上方に搭載されるだけでなく、機体の側方にキャビンが搭載されてもよい。
【0068】
さらに、以上の実施形態では、バッテリパック31、32からの電力で電動モータ9を駆動させ、電動モータ9の動力で油圧ポンプP1、P2を駆動させ、油圧ポンプP1、P2から吐出される作動油により油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTを駆動させ、油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTの動力で作業装置20、10を駆動させる構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、図9に示す第7実施形態の電動作業機1Gのように、作業装置20、10に設けるアクチュエータのうち一部又は全部を電動アクチュエータ20a、10aで構成し、当該電動アクチュエータ20a、10aをバッテリパック31、32の電力で駆動させて、当該電動アクチュエータ20a、10aの動力で作業装置20、10を駆動させる構成にしてもよい。そして、電動作業機1Gに備わるバッテリパック31、32のうち少なくとも1つをキャビン6の内部に搭載してもよい。
【0069】
図9に示す電動作業機1Gは、遠隔操作型の電動作業機であり、運転者が搭乗しない無人のバックホーから構成されている。図9では、作動油に関連する装置を図示していないが、電動作業機1Gは、作動油に関連する装置(油圧機器やオイクーラやセンサ等)を備えていてもよいし又は備えていなくてもよい。
また、図7に示したような自律型の電動作業機において、作業装置に設けるアクチュエータのうち一部又は全部を電動アクチュエータで構成し、当該電動アクチュエータをバッテリパック31、32の電力で駆動させて、当該電動アクチュエータの動力で作業装置を駆動させる構成にしてもよい。そして、当該自律型の電動作業機に備わる複数のバッテリパックのうち少なくとも1つをキャビン6の内部に搭載してもよい。
【0070】
本実施形態の電動作業機1、1B~1F(1B、1C、1D、1E、1F)は、以下の効果を奏する。
本実施形態の電動作業機1、1B~1F、1Gは、機体2と、機体2に搭載されたキャビン6と、少なくとも1つのバッテリパック31、32、31x、32x、31y、32yと、バッテリパック31、32、31x、32x、31y、32yから供給される電力を用いて駆動される作業装置と、を備え、バッテリパック31、32、31x、32xの少なくとも1つがキャビン6の内部に搭載されている。
【0071】
上記の構成によれば、キャビン6の内部に1つ以上のバッテリパック31、32、31x、32xを搭載して、電動作業機1、1B~1Gの電力源の電気容量を容易に増大することができる。この結果、電動作業機1、1B~1Gの稼働時間を延長することが可能となる。また、バッテリの搭載数を増やすため、機体2を後方や側方に延長する必要がないので、電動作業機1、1B~1G自体の重心が移動して電動作業機1、1B~1Gが転倒し易くなったり、機体2の旋回時等に機体2が周囲物と衝突し易くなったりすることもない。また、キャビン6の内部にバッテリパック31、32、31x、32xを搭載することで、バッテリパック31、32、31x、32xを保護し、キャビン6の外部にある異物や人等がバッテリパック31、32、31x、32xに意図せず接触するのを防止することができる。
【0072】
また、電動作業機1、1B~1Gは、予め設定された操作情報または外部から受信する操作情報に基づいて作業装置20、10(作業装置20、走行装置10)の動作を制御する制御装置7を備え、キャビン6の内部に運転席4又は操作装置5が搭載される代わりに、バッテリパック31、32、31x、32xが1つ以上搭載されている。これにより、本来運転席4や操作装置5が搭載されるキャビン6の搭載スペースに、1つ以上のバッテリパック31、32、31x、32xを容易に搭載して、電動作業機1、1B、1C、1D、1E、1Fの電力源の電気容量をより増大することができる。
【0073】
また、図1等に示した実施形態では、電動作業機1は、外部との通信を行う通信装置17を備え、制御装置7は、通信装置17より外部から前記操作情報を受信する。これにより、外部から受信した操作情報に基づいて作業装置20、10を動作させる電動作業機1において、電力源の電気容量を容易に増大することができ、稼働時間を延長することが可能となる。
【0074】
また、図7に示した実施形態では、電動作業機1Eは、周囲を撮像する撮像装置(カメラ)25aを備え、制御装置7は、撮像装置25aにより撮像された画像のデータを通信装置17により外部に送信する。これにより、電動作業機1Eの撮像装置(カメラ)25aで撮像された周囲の画像を、遠隔地にある表示装置に表示させて、電動作業機1Eの周囲の状況を確認することができる。また、電動作業機1Eの電力源の電気容量を容易に増大して、作業装置20、10と撮像装置25aと通信装置17の稼働時間を延長することが可能となる。
【0075】
また、図1図7等に示した実施形態では、電動作業機1、1Eは、バッテリパック31、32から供給される電力により駆動される電動モータ9と、電動モータ9の動力により駆動される油圧ポンプP1、P2と、油圧ポンプP1、P2が吐出した作動油の油圧により駆動されて作業装置20、10を動作させる油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTと、油圧ポンプP1、P2から油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTへの作動油の供給状態を制御する制御弁V1~V8を有したコントロールバルブVと、を備え、制御装置7は、前記操作情報に基づいて電動モータ9、油圧ポンプP1、P2、および制御弁V1~V8の動作を制御する。これにより、予め記憶された操作情報又は外部から受信した操作情報に基づいて、制御装置7が油圧機器P1、P2、C1~C5、ML、MR、MT、V、V1~V8を介して、作業装置20、10の動作を制御することができる。また、電動作業機1、1Eの電力源の電気容量を容易に増大することができ、稼働時間を延長することが可能となる。
【0076】
また、図9に示した実施形態では、電動作業機1Gは、バッテリパック31、32から供給される電力により駆動されて、作業装置20、10を動作させる電動アクチュエータ20a、10aを備え、制御装置7は、前記操作情報に基づいて電動アクチュエータ20a、10aの動作を制御する。これにより、バッテリパック31、32の電力で電動アクチュエータ20a、10aを介して作業装置20、10を動作させる電動作業機1Gの電力源の電気容量を容易に増大することができ、電動アクチュエータ20a、10a及び作業装置20、10の稼働時間を延長することが可能となる。
【0077】
また、図3B図8に示した実施形態では、電動作業機1、1Fは、キャビン6の内部の空調を行う空調装置42、46を備えている。これにより、必要に応じて、電動冷房装置46によりキャビン6の内部を冷房することで、キャビン6の内部に搭載されたバッテリパック31、32、31x、32xを冷却したり、電動暖房装置42によりキャビン6の内部を暖房することで、キャビン6の内部に搭載されたバッテリパック31、32、31x、32xを暖機したりすることができる。
【0078】
また、図3B図4図6、及び図8に示した実施形態では、キャビン6は、当該キャビン6の内部に対して出入りするための出入口6eと、出入口6eを開閉するドア6fと、を有し、キャビン6の内部に搭載されたバッテリパック31、32、31xは、当該バッテリパック31、32、31xを他の装置(ジャンクションボックス39、制御装置7)と接続するための電気配線が接続される端子部31c、32cを有し、出入口6eを通じて電気配線を端子部31c、32cに着脱可能なキャビン6の内部の位置に、バッテリパック31、32、31xが搭載されている。これにより、キャビン6の内部に搭載したバッテリパック31、32、31xの端子部31c、32cに対して電気配線を容易に着脱(接続及び接続解除)することができる。また、バッテリパック31、32、31xの交換やその他のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、図1図3B等に示した実施形態では、電動作業機1は、バッテリパック31、32からの電力を調整するインバータ38と、バッテリパック31、32とインバータ38とを接続状態と切断状態とに切り替える接続切替装置(ジャンクションボックス)39と、を備え、インバータ38及び接続切替装置39のうち少なくとも一方がキャビン6の内部に搭載されている。これにより、キャビン6の内部に搭載されたインバータ38又は接続切替装置39を、同じくキャビン6の内部に搭載されたバッテリパック31、32と共にメンテナンスすることができる。特に、接続切替装置39をキャビ6の内部に搭載することで、バッテリパック31、32と接続切替装置39との接続部分を容易にメンテナンスすることができる。
【0080】
また、図3B図4、及び図5に示した実施形態では、バッテリパックは機体2の内部に搭載されていない。これにより、バッテリパック31、32、31x、32x以外の電動作業機1、1B、1Cに備わる装置や機器等を、機体2の内部に容易に配置することができる。また、図6図8に示すように、機体2の内部にバッテリパック31y、32yを搭載した電動作業機1D、1Fよりも、図3A図4、及び図5に示す電動作業機1、1B、1Cでは、機体2の後方A2への突出長を短くして、機体2を小型化することができる。このため、電動作業機1、1B、1Cにおいては、機体2の旋回時等に、機体2が周囲物と衝突する等の事故を防止することが可能となる。また、電動作業機1、1B、1Cの重心を旋回軸心Xの近傍に位置させて、電動作業機1、1B、1C全体のバランスを取り易くすることが可能となる。
【0081】
また、図6及び図8に示した実施形態では、バッテリパックは機体2の内部にも搭載されている(バッテリパック31y、32y)。これにより、キャビン6と機体2の内部とに複数のバッテリパック31、32、31x、32x、31y、32yを搭載して、電動作業機1D、1Fの電力源の電気容量を一層多くすることができる。
また、図1図3Bに示した実施形態では、電動作業機1は、作業装置20、10を遠隔操作する遠隔操作装置19を備え、制御装置7は、遠隔操作装置19から送信されて通信装置17により受信した遠隔操作信号(操作情報)に基づいて、電動モータ9、油圧ポンプP1、P2、及び油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTを駆動して、作業装置20、10の動作を制御する。これにより、遠隔操作型の電動作業機1の電力源の電気容量を容易に増大することができ、稼働時間を延長することが可能となる。
【0082】
さらに、図7に示した実施形態では、電動作業機1Eは、当該電動作業機1Eの周囲を監視する監視装置25を備え、制御装置7は、監視装置25の監視結果と予め記憶部7bに記憶された操作情報とに基づいて、電動モータ9、油圧ポンプP1、P2、及び油圧アクチュエータC1~C5、ML、MR、MTを駆動して、作業装置20、10の動作を制御する。これにより、自律型の電動作業機1Eの電力源の電気容量を容易に増大することができ、稼働時間を延長することが可能となる。
【0083】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、本発明をバックホー等の電動作業機に適用する場合の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限らず、例えば、ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の他の電動建設機械に適用してもよく、トラクター、コンバイン、田植機、芝刈機等の電動農業機械に適用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1、1B、1C、1D、1E、1F、1G 電動作業機
2 機体
4 運転席
5 操作装置
6 キャビン
6e 出入口
6f ドア
7 制御装置
9 電動モータ
10 走行装置(作業装置)
17 通信装置
20 作業装置
25a カメラ(撮像装置)
31、31x、31y、32、32x、32y バッテリパック
31c、32c 端子部
38 インバータ
39 ジャンクションボックス(接続切替装置)
42 電動暖房装置(空調装置)
46 電動冷房装置(空調装置)
C1~C5、ML、MR、MT 油圧アクチュエータ
P1、P2 油圧ポンプ
V コントロールバルブ
V1~V8 制御弁
10a、20a 電動アクチュエータ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9