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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240213BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20240213BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240213BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240213BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240213BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240213BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20240213BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240213BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/35
G09F9/30 339
G02F1/1368
G02F1/13357
G02F1/1334
G02F1/13 505
G02F1/1337
H01L29/78 613Z
H01L29/78 612Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020554604
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(86)【国際出願番号】 IB2019058965
(87)【国際公開番号】W WO2020089728
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2018207225
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】石谷 哲二
(72)【発明者】
【氏名】山下 晃央
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-316295(JP,A)
【文献】特開2018-010291(JP,A)
【文献】特開2008-058374(JP,A)
【文献】特開2003-271112(JP,A)
【文献】特開2008-310180(JP,A)
【文献】特開2006-184737(JP,A)
【文献】特開2009-175564(JP,A)
【文献】国際公開第2012/005038(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/025996(WO,A1)
【文献】特開2015-087459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0002640(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1713262(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101206321(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/13-1/1334
1/1339-1/141
G09F9/00-9/46
G09G3/18
3/36
H01L21/336
29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号線、第2の信号線、第1のゲート線、第2のゲート線、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第1の容量素子、第2の容量素子、及び液晶素子を有する画素を有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のゲート線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第1の信号線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第1の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のゲート線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第2の信号線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第1の容量素子の他方の電極と、前記第2の容量素子の一方の電極と、前記液晶素子の画素電極と、に電気的に接続され、
前記画素は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域上に位置する領域と、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域上に位置する領域とを有する第1の絶縁層と
前記第1の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記第1のトランジスタと電気的に接続する第1の導電層と、
前記第1の絶縁層上に位置する領域を有する第2の導電層と、
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、前記第1の導電層上、及び前記第2の導電層上に位置する領域を有する第2の絶縁層と、を有し、
前記画素電極は、前記第2の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記第2の絶縁層を介して前記第1の導電層及び前記第2の導電層のそれぞれと重なる領域を有し、
前記液晶素子の液晶材料を含む層は、前記画素電極上に位置する領域を有し、
前記液晶素子の共通電極は、前記液晶材料を含む層上に位置する領域を有し、
前記共通電極は、前記液晶材料を含む層及び前記画素電極を介して、前記第1の導電層と重なる領域を有し、
前記第1の導電層、前記第2の導電層、前記画素電極、及び前記共通電極それぞれ、可視光を透過する機能を有する、表示装置。
【請求項2】
第1の信号線、第2の信号線、第1のゲート線、第2のゲート線、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第1の容量素子、第2の容量素子、及び液晶素子を有する画素を有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1のゲート線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第1の信号線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第1の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、前記第2のゲート線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第2の信号線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第1の容量素子の他方の電極と、前記第2の容量素子の一方の電極と、前記液晶素子の画素電極と、に電気的に接続され、
前記画素は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域上に位置する領域と、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域上に位置する領域とを有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上面に接する領域を有し、且つ前記第1のトランジスタと電気的に接続する第1の導電層と、
前記第1の絶縁層の上面に接する領域を有する第2の導電層と、
前記第1のトランジスタ上、前記第2のトランジスタ上、前記第1の導電層上、及び前記第2の導電層上に位置する領域を有する第2の絶縁層と、を有し、
前記画素電極は、前記第2の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記第2の絶縁層を介して前記第1の導電層及び前記第2の導電層のそれぞれと重なる領域を有し、
前記第1の導電層は、前記第1の容量素子の一方の電極としての機能を有し、
前記第2の導電層は、前記第2の容量素子の他方の電極としての機能を有し、
前記液晶素子の液晶材料を含む層は、前記画素電極上に位置する領域を有し、
前記液晶素子の共通電極は、前記液晶材料を含む層上に位置する領域を有し、
前記第1の導電層、前記第2の導電層、前記画素電極、及び前記共通電極のそれぞれは、可視光を透過する機能を有する、表示装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記画素電極と前記共通電極との間に電圧を印加している状態に比べて、前記画素電極と前記共通電極との間に電圧を印加していない状態の方が、前記液晶材料を含む層における可視光の透過率が高い、表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記液晶材料を含む層は、高分子材料を有し、
前記高分子材料は、多官能モノマーと単官能モノマーとの共重合体であり、
前記多官能モノマーは、安息香酸フェニル骨格を有し、
前記単官能モノマーは、シクロヘキシルベンゼン骨格を有する、表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一において、
前記画素は、前記第1の絶縁層の上面に接する領域を有する第3の導電層を有し、
記第1の導電層と前記第3の導電層とは、互いに電気的に絶縁されており、
記画素電極は、前記第3の導電層と接する領域を有し、
前記第3の導電層は、前記第2のトランジスタの半導体層と接する領域を有する、表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか一において、
前記第1の絶縁層は、平坦化機能を有する、表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一において、
フィールドシーケンシャル駆動方式により表示する機能を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置、表示モジュール、及び電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサなど)、入出力装置(例えば、タッチパネルなど)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
表示装置として、液晶表示装置や発光表示装置に代表されるフラットパネルディスプレイが広く用いられている。これらの表示装置を構成するトランジスタの半導体材料には主にシリコンが用いられているが、近年、金属酸化物を用いたトランジスタを表示装置の画素に用いる技術も開発されている。
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、半導体材料に金属酸化物を用いたトランジスタを、表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が開示されている。
【0005】
また、オフ電流が極めて低いトランジスタをメモリセルに用いる構成の記憶装置が特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【文献】特開2011-119674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、可視光の透過性が高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、開口率が高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、消費電力の低い表示装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、広い温度範囲で安定した動作が可能な表示装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、利便性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、画素に、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第1の絶縁層、第2の絶縁層、第1の導電層、画素電極、液晶材料を含む層、及び共通電極を有する、表示装置である。第1の絶縁層は、第1のトランジスタのチャネル形成領域上に位置する。第1の導電層は、第1の絶縁層上に位置する。第2の絶縁層は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第1の絶縁層、及び第1の導電層上に位置する。画素電極は、第2の絶縁層上に位置する。液晶材料を含む層は、画素電極上に位置する。共通電極は、液晶材料を含む層上に位置する。共通電極は、液晶材料を含む層及び画素電極を介して、第1の導電層と重なる領域を有する。画素は、さらに、第1の接続部と、第2の接続部と、を有する。第1の接続部では、第1の導電層が第1のトランジスタと電気的に接続される。第2の接続部では、画素電極が第2のトランジスタと電気的に接続される。第1の導電層、画素電極、及び共通電極は、それぞれ、可視光を透過する機能を有する。
【0010】
画素は、さらに、第2の導電層を有することが好ましい。第1の導電層と第2の導電層とは、同一表面上に位置することが好ましい。第1の導電層と第2の導電層とは、互いに電気的に絶縁されていることが好ましい。共通電極は、液晶材料を含む層及び画素電極を介して、第2の導電層と重なる領域を有することが好ましい。
【0011】
画素電極と共通電極との間に電圧を印加している状態に比べて、画素電極と共通電極との間に電圧を印加していない状態の方が、液晶材料を含む層における可視光の透過率が高いことが好ましい。
【0012】
液晶材料を含む層は、高分子材料を有することが好ましい。高分子材料は、多官能モノマーと単官能モノマーとの共重合体であることが好ましい。多官能モノマーは、安息香酸フェニル骨格を有することが好ましい。単官能モノマーは、シクロヘキシルベンゼン骨格を有することが好ましい。
【0013】
第1の接続部では、第1のトランジスタは、可視光を透過する機能を有することが好ましい。
【0014】
第2の接続部では、第2のトランジスタは、可視光を透過する機能を有することが好ましい。
【0015】
画素は、さらに、第3の導電層を有することが好ましい。第1の導電層と第3の導電層とは、同一表面上に位置することが好ましい。第1の導電層と第3の導電層とは、互いに電気的に絶縁されていることが好ましい。第2の接続部では、画素電極が第3の導電層と接する領域を有し、第3の導電層が第2のトランジスタのソースまたはドレインと接する領域を有することが好ましい。
【0016】
第2のトランジスタのソースまたはドレインは、可視光を透過する機能を有することが好ましい。
【0017】
第1の絶縁層は、第1のトランジスタ上に位置することが好ましい。また、第1の絶縁層は、平坦化機能を有することが好ましい。
【0018】
第1のトランジスタのゲート、ソース、及びドレイン、並びに、第2のトランジスタのゲート、ソース、及びドレインのうち少なくとも一つは、第1の層と、第1の層上の第2の層と、を有することが好ましい。第2の層は、第1の層よりも抵抗値が小さいことが好ましい。
【0019】
または、第1のトランジスタのゲート、ソース、及びドレイン、並びに、第2のトランジスタのゲート、ソース、及びドレインのうち少なくとも一つは、第1の層と、第1の層上の第2の層と、第2の層上の第3の層と、を有することが好ましい。第2の層は、第1の層よりも抵抗値が小さいことが好ましく、第3の層は、第2の層よりも可視光の反射率が低いことが好ましい。第2の層と第3の層とは、同じ金属元素を少なくとも一つ含むことが好ましい。
【0020】
本発明の一態様の表示装置は、フィールドシーケンシャル駆動方式により表示する機能を有することが好ましい。
【0021】
本発明の一態様は、上記いずれかの構成の表示装置と、発光素子を有する発光装置と、を積層して有する、表示モジュールである。発光装置は、画像を表示する機能を有する。発光素子が発する光は、表示装置を介して取り出される。
【0022】
本発明の一態様は、上記いずれかの構成の表示装置を有し、フレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuit、以下、FPCと記す)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクタが取り付けられたモジュール、またはCOG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等のモジュールである。
【0023】
本発明の一態様は、上記のモジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、及び操作ボタンのうち少なくとも一つと、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、可視光の透過性が高い表示装置を提供できる。または、本発明の一態様により、開口率が高い表示装置を提供できる。または、本発明の一態様により、消費電力の低い表示装置を提供できる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い表示装置を提供できる。または、本発明の一態様により、広い温度範囲で安定した動作が可能な表示装置を提供できる。または、本発明の一態様により、利便性の高い表示装置を提供できる。
【0025】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A図1Bは表示装置の一例を示す断面図である。
図2は画素の一例を示す回路図である。
図3Aは表示モジュールの一例を示す上面図である。図3Bは表示モジュールの一例を示す断面図である。
図4は画素の一例を示す上面図である。
図5A図5B図5C図5Dは表示モジュールの一例を示す断面図である。
図6は表示モジュールの一例を示す断面図である。
図7は画素の一例を示す上面図である。
図8は表示モジュールの一例を示す断面図である。
図9は表示モジュールの一例を示す断面図である。
図10は表示モジュールの一例を示す断面図である。
図11は表示モジュールの一例を示す断面図である。
図12A図12B図12C図12Dは電子機器の一例を示す図である。
図13A図13B図13C図13Dは電子機器の一例を示す図である。
図14A図14B図14Cは電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0029】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0030】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置及び表示モジュールについて、図1図11を用いて説明する。
【0032】
本発明の一態様の表示装置は、1つの画素に、液晶素子と、2つのトランジスタと、を少なくとも有する。本発明の一態様の表示装置は、画像信号に補正信号を付加するための機能を有する。当該補正信号は、容量結合によって画像信号に付加され、液晶素子に供給される。したがって、液晶素子では補正された画像を表示することができる。
【0033】
画像信号に補正信号を付加することで、画像信号のみを用いる場合に比べて、高い電圧をかけて液晶素子を駆動させることができる。これにより、駆動電圧が比較的高い構成の液晶素子を駆動させることが容易になる。
【0034】
また、当該補正によって、例えば、液晶素子は、画像信号のみを用いて表現できる階調よりも多くの階調を表現することができる。
【0035】
また、当該補正によって、ソースドライバの出力電圧よりも高い電圧で、液晶素子を駆動させることができる。画素内で、液晶素子に供給する電圧を所望の値に変えることができるため、既存のソースドライバを転用でき、ソースドライバを新規に設計するコストなどを削減することができる。また、ソースドライバの出力電圧が高くなることを抑制でき、ソースドライバの消費電力を低減することができる。
【0036】
高い電圧をかけて液晶素子を駆動させることで、表示装置を広い温度範囲で使用することができ、低温環境及び高温環境のいずれにおいても信頼性高く表示を行うことができる。例えば、本発明の一態様の表示装置を車載用またはカメラ用の表示装置として利用することができる。
【0037】
また、高い電圧をかけて液晶素子を駆動させることができるため、液晶素子に印加する電圧を一時的に高くして液晶の配向を速く変化させるオーバードライブ駆動により液晶の応答速度を向上させることもできる。
【0038】
補正信号は、例えば、外部機器にて生成され、各画素に書き込まれる。補正信号の生成は、外部機器を用いてリアルタイムで行ってもよいし、記録媒体に保存されている補正信号を読み出して画像信号と同期させてもよい。
【0039】
本発明の一態様の表示装置では、供給する画像信号は変化させず、補正信号を供給した画素で新たな画像信号を生成することができる。外部機器を用いて新しい画像信号そのものを生成する場合に比べて、外部機器にかかる負荷を低減することができる。また、新たな画像信号を画素で生成するための動作は少ないステップで行うことができ、画素数が多く水平期間の短い表示装置でも対応することができる。
【0040】
また、本発明の一態様の表示装置において、液晶素子は、一対の電極と、液晶材料を含む層と、を有する。本発明の一態様の表示装置では、代表的には、一対の電極間に電圧が印加されていないとき(オフ状態)に、液晶材料を含む層が可視光を透過する状態を示し、一対の電極間に電圧が印加されているとき(オン状態)に、液晶材料を含む層が可視光を散乱する状態を示すモード(リバースモードともいう)を用いる。これにより、表示装置が画像を表示していない状態における、表示装置の可視光の透過性を高めることができる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、例えば、透明ディスプレイ(シースルーディスプレイともいう)として用いることができる。
【0041】
リバースモードを適用する場合、液晶材料を含む層は、液晶材料及び高分子材料を有することが好ましい。具体的には、液晶材料を含む層には、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、高分子安定化液晶等を用いることができる。
【0042】
リバースモードを適用する場合、液晶素子の駆動電圧が比較的高くなりやすい。上記の通り、本発明の一態様の表示装置は、高い電圧をかけて液晶素子を駆動させることができるため、リバースモードを適用する際に好適な構成である。
【0043】
また、本発明の一態様の表示装置は、1つの画素に、少なくとも2つの容量素子を有することが好ましい。2つの容量素子はいずれも可視光を透過する材料で形成される。これにより、画素は、高い開口率と、大きな保持容量と、を両立することができる。
【0044】
表示装置の開口率(画素の開口率ともいえる)を高めることで、表示装置における可視光の透過性を高めることができるため、シースルーディスプレイとして好適に用いることができる。また、開口率を高めることで、光取り出し効率(または画素の透過率)を高めることができる。これにより、表示装置の消費電力を低減させることができる。
【0045】
画素の保持容量を大きくすることで、液晶素子等のリーク電流が大きくても安定した表示を行うことができる。また、容量の大きい液晶材料を駆動させることができる。そのため、液晶材料の選択の幅を広げることができる。
【0046】
画素の保持容量を大きくすることで、画素の階調を長時間にわたって保持することができる。具体的には、画素の保持容量を大きくすることで、1フレーム期間ごとに画像信号の書き換えを行わずに前の期間に書きこんだ画像信号を保持させることができ、例えば数フレームまたは数10フレームの期間にわたって画素の階調を保持することが可能となる。
【0047】
また、トランジスタが有する電極と、容量素子または液晶素子が有する電極と、の接続部は、可視光を透過する機能を有することが好ましい。これにより、画素の開口率を高めることができる。
【0048】
また、本発明の一態様の表示装置は、偏光板を設けなくてもよい。これにより、表示装置における可視光の透過率を高めることができる。
【0049】
また、本発明の一態様の表示装置は、ブラックマトリクスなどの遮光層を設けなくてもよい。これにより、画素の透過率を向上させることができる。
【0050】
<表示装置の断面構成例>
図1Aに、表示装置10の断面図を示す。図1Aに示す表示装置10は、基板131、トランジスタSW11、トランジスタSW12、絶縁層215、導電層115a、導電層115b、絶縁層121、画素電極111a、液晶材料を含む層112、共通電極113、及び基板132を有する。
【0051】
表示装置10は、画素に、液晶素子110と、2つのトランジスタ(トランジスタSW11及びトランジスタSW12)と、2つの容量素子(容量素子Cw及び容量素子Cs)と、を有する。
【0052】
トランジスタSW11及びトランジスタSW12は、それぞれ、基板131上に位置する。絶縁層215は、トランジスタSW11上及びトランジスタSW12上に位置する。導電層115a及び導電層115bは、それぞれ、絶縁層215上に位置する。絶縁層121は、トランジスタSW11、トランジスタSW12、絶縁層215、導電層115a、及び導電層115b上に位置する。画素電極111aは、絶縁層121上に位置する。液晶材料を含む層112は、画素電極111a上に位置する。共通電極113は、液晶材料を含む層112上に位置する。基板132は、共通電極113上に位置する。
【0053】
共通電極113は、液晶材料を含む層112及び画素電極111aを介して、導電層115aと重なる領域を有する。導電層115aはトランジスタSW11のソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極111aはトランジスタSW12のソースまたはドレインと電気的に接続される。導電層115a、導電層115b、画素電極111a、及び共通電極113は、それぞれ、可視光を透過する機能を有する。
【0054】
画素電極111a、液晶材料を含む層112、及び共通電極113は、液晶素子110として機能することができる。画素電極111aと共通電極113とは、液晶材料を含む層112を介して互いに積層されている。
【0055】
導電層115a、絶縁層121、及び画素電極111aは、1つの容量素子Cwとして機能することができる。また、導電層115b、絶縁層121、及び画素電極111aは、1つの容量素子Csとして機能することができる。
【0056】
容量素子Cwの容量は、容量素子Csの容量よりも大きいことが好ましい。例えば、画素電極111aと導電層115aとが重なる領域の面積は、画素電極111aと導電層115bとが重なる領域の面積より大きいことが好ましい。
【0057】
表示装置10の構成は、タッチパネルに適用することもできる。図1Bに示すタッチパネル11は、図1Aに示す表示装置10にタッチセンサTCを搭載した例である。タッチセンサTCを表示装置10の表示面に近い位置に設けることで、タッチセンサTCの感度を高めることができる。
【0058】
本発明の一態様のタッチパネルが有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い。指やスタイラスなどの被検知体の近接または接触を検知することのできる様々なセンサを、検知素子として適用することができる。
【0059】
センサの方式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0060】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0061】
本発明の一態様のタッチパネルは、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせる構成、表示素子を支持する基板及び対向基板の一方または双方に検知素子を構成する電極等を設ける構成等、様々な構成を適用することができる。
【0062】
<画素の回路構成例>
表示装置10は、m行n列(m、nはそれぞれ1以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素15を有する。図2に、画素15(i,j)(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)の回路図を示す。
【0063】
画素15(i,j)は、トランジスタSW11、トランジスタSW12、容量素子Cw、容量素子Cs、及び液晶素子110(i,j)を有する。なお、本明細書等では、トランジスタSW11、トランジスタSW12、容量素子Cw、及び容量素子Csをまとめて、画素回路120(i,j)と記す。
【0064】
トランジスタSW11のソースまたはドレインの一方は、容量素子Cwの一方の電極と電気的に接続される。容量素子Cwの他方の電極は、トランジスタSW12のソースまたはドレインの一方、容量素子Csの一方の電極、及び液晶素子110の一方の電極と電気的に接続される。
【0065】
ここで、トランジスタSW11のソースまたはドレインの一方及び容量素子Cwの一方の電極が接続されるノードをノードNSとする。容量素子Cwの他方の電極、トランジスタSW12のソースまたはドレインの一方、容量素子Csの一方の電極、及び液晶素子110の一方の電極が接続されるノードをノードNAとする。
【0066】
トランジスタSW11のゲートは、配線GL1(i)と電気的に接続される。トランジスタSW12のゲートは、配線GL2(i)と電気的に接続される。トランジスタSW11のソースまたはドレインの他方は、配線SL1(j)と電気的に接続される。トランジスタSW12のソースまたはドレインの他方は、配線SL2(j)と電気的に接続される。
【0067】
容量素子Csの他方の電極は、配線CSCOMと電気的に接続される。液晶素子110の他方の電極は、配線VCOMと電気的に接続される。配線CSCOM及び配線VCOMにはそれぞれ任意の電位を供給することができる。
【0068】
配線GL1(i)及び配線GL2(i)はそれぞれ走査線と呼ぶことができ、トランジスタの動作を制御する機能を有する。配線SL1(j)は、画像信号を供給する信号線としての機能を有する。配線SL2(j)は、ノードNAにデータを書き込むための信号線としての機能を有する。
【0069】
図2に示す各トランジスタは、ゲートと電気的に接続されたバックゲートを有するが、バックゲートの接続はこれに限定されない。また、トランジスタにバックゲートを設けなくてもよい。
【0070】
トランジスタSW11を非導通とすることで、ノードNSの電位を保持することができる。また、トランジスタSW12を非導通とすることで、ノードNAの電位を保持することができる。また、トランジスタSW12を非導通とした状態で、トランジスタSW11を介してノードNSに所定の電位を供給することで、容量素子Cwを介した容量結合により、ノードNSの電位の変化に応じてノードNAの電位を変化させることができる。
【0071】
画素15(i,j)において、配線SL2(j)からノードNAに書き込まれた補正信号は、配線SL1(j)から供給される画像信号と容量結合され、液晶素子110に供給される。したがって、液晶素子110では補正された画像を表示することができる。
【0072】
トランジスタSW11にオフ電流の極めて低いトランジスタを用いることで、ノードNSの電位を長時間保持することができる。同様に、トランジスタSW12にオフ電流の極めて低いトランジスタを用いることで、ノードNAの電位を長時間保持することができる。オフ電流の極めて低いトランジスタとしては、例えば、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)が挙げられる。また、画素が有するトランジスタに、シリコンをチャネル形成領域に有するトランジスタ(以下、Siトランジスタ)を適用してもよい。Siトランジスタとしては、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリコン(代表的には、低温ポリシリコンや、単結晶シリコン)を有するトランジスタなどが挙げられる。または、OSトランジスタと、Siトランジスタとの両方を用いてもよい。
【0073】
例えば、1フレーム期間ごとに補正信号及び画像信号を書き換える場合、トランジスタSW11及びトランジスタSW12には、OSトランジスタを用いてもよく、Siトランジスタを用いてもよい。ノードNSまたはノードNAの電位を長時間保持する必要がある場合、トランジスタSW11及びトランジスタSW12には、SiトランジスタよりもOSトランジスタを用いることが好ましい。
【0074】
<表示モジュールの構成例1>
図3Aに、表示モジュール50の上面図を示し、図3Bに、表示モジュール50の断面図を示す。
【0075】
図3A図3Bに示す表示モジュール50は、表示装置と、表示装置に接続されたフレキシブルプリント回路基板(FPC)と、ライトユニット30(図3Aでは省略)と、を有する。
【0076】
表示装置は、表示領域100、ゲートドライバGD_L、及びゲートドライバGD_Rを有する。
【0077】
表示領域100は、複数の画素15を有し、画像を表示する機能を有する。
【0078】
図3Aに示すように、画素15(i,j)は、配線GL1(i)、配線GL2(i)、配線SL1(j)、及び配線SL2(j)と電気的に接続されている。
【0079】
図3Bに示すように、画素15(i,j)は、図2に示す画素回路120(i,j)と、液晶素子110(i,j)と、が積層された構成を有する。画素回路120(i,j)は、ゲートドライバGD(図3Aに示すゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rに対応)と電気的に接続されている。
【0080】
液晶素子110(i,j)における光の散乱または透過を制御することで、表示モジュール50は、画像を表示することができる。具体的には、液晶素子110(i,j)が、ライトユニット30から射出された光32を散乱し、散乱光34を外部に射出することで、表示モジュール50は、画像を表示することができる。
【0081】
ライトユニット30は、少なくとも光源を有する。光源としては、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electroluminescence)素子等を用いることができる。光源として、例えば、赤色、緑色、青色の3色のLEDを用いることができる。
【0082】
ライトユニット30は、導光機能を有する構造体及び光拡散機能を有する構造体の一方又は双方を有していてもよい。例えば、ライトユニット30は、導光板(ライトガイドともいう)、輝度上昇フィルム、光拡散フィルム、及び光拡散板のうち、少なくとも一つを有していてもよい。例えば、光源が発した光は、導光板及び光拡散フィルムを介して、表示装置に入射することが好ましい。
【0083】
表示モジュール50は、光源として、エッジライト型のライトを用いるため、直下型のバックライトを用いる場合に比べて、表示装置における可視光を透過する領域を広くすることができ、また、表示装置における可視光の透過性を高めることができる。これにより、表示モジュール50を介して、表示モジュール50の後ろの風景を見ることができる。例えば、図3Bに示すように、画素15(i,j)に入射した外光35の少なくとも一部は、表示モジュール50を通過し、表示モジュール50の外部に射出される。
【0084】
また、本発明の一態様の表示装置は、フィールドシーケンシャル駆動方式により表示する機能を有することが好ましい。フィールドシーケンシャル駆動方式は、時分割によりカラー表示を行う駆動方式である。具体的には、赤色、緑色、青色等の各色の発光素子を、時間をずらして順次点灯し、これと同期させて画素を駆動し、継時加法混色法に基づいてカラー表示を行う。
【0085】
フィールドシーケンシャル駆動方式を適用する場合、1つの画素を複数の異なる色の副画素で構成する必要がないため、画素の開口率を大きくすることができる。また、表示装置の高精細化も可能である。また、カラーフィルタなどの着色層を設ける必要がないため、着色層による光の吸収がなく、画素の透過率を向上させることができる。これにより、必要な輝度を少ない電力で得ることができるため、低消費電力化が実現できる。また、表示装置の作製工程を簡略化し、作製コストを低減できる。
【0086】
フィールドシーケンシャル駆動方式を適用する場合、高いフレーム周波数が求められる。本発明の一態様の表示装置は、1つの画素に2つの容量素子を有するため、画素の保持容量が大きく、液晶素子に高い電圧を供給することができるため、液晶素子の応答速度を向上させることができる。例えば、液晶素子に印加する電圧を一時的に高くして液晶の配向を速く変化させるオーバードライブ駆動により、液晶素子の応答速度を向上させることができる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、高いフレーム周波数が求められるフィールドシーケンシャル駆動方式を適用する際に好適な構成であるといえる。
【0087】
また、本発明の一態様の表示装置は、単色表示であってもよい。単色表示の表示装置においても、1つの画素を複数の異なる色の副画素で構成する必要がないため、画素の開口率を大きくすることができる。また、表示装置の高精細化も可能である。また、カラーフィルタなどの着色層を設ける必要がないため、着色層による光の吸収がなく、画素の透過率を向上させることができる。これにより、必要な輝度を少ない電力で得ることができるため、低消費電力化が実現できる。また、表示装置の作製工程を簡略化し、作製コストを低減できる。
【0088】
また、本発明の一態様の表示装置は、1つの画素が複数の異なる色の副画素で構成されていてもよい。例えば、赤色を呈する副画素、緑色を呈する副画素、及び青色を呈する副画素によって1つの画素ユニットが構成されることで、表示領域100ではフルカラーの表示を行うことができる。なお、副画素が呈する色は、赤、緑、及び青に限られない。画素ユニットには、例えば、白、黄、マゼンタ、またはシアン等の色を呈する副画素を用いてもよい。
【0089】
表示装置は、走査線駆動回路(ゲートドライバ)、信号線駆動回路(ソースドライバ)、及びタッチセンサ用の駆動回路のうち一つまたは複数を内蔵していてもよい。また、これらのうち一つまたは複数が外付けされていてもよい。図3A図3Bに示す表示モジュール50は、ゲートドライバを内蔵しており、ソースドライバを有する集積回路(IC)が外付けされる構成である。
【0090】
ゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rは、表示領域100を挟んで向かい合う位置に設けられている。配線GL1(i)は、ゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rの双方から同時に選択信号が供給される。同様に、配線GL2(i)は、ゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rの双方から同時に選択信号が供給される。1つの配線に、ゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rの双方から同時に選択信号を供給することで、当該配線への選択信号の供給能力を高めることができる。なお、目的などに応じて、ゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rの一方を省略してもよい。
【0091】
ゲートドライバGD_L及びゲートドライバGD_Rには、FPCを介して外部から信号及び電力が供給される。
【0092】
ソースドライバSDは、COG(Chip on glass)法またはCOF(Chip on Film)法などを用いて、表示装置が有する端子に電気的に接続される。配線SL1(j)及び配線SL2(j)は、それぞれ、ソースドライバSDから画像信号または補正信号などの信号が供給される。
【0093】
≪画素の上面レイアウト例1≫
図4に、画素15(i,j)の上面図を示す。図4は、配線GL1(i)から画素電極111aまでの積層構造を画素電極111a側から見た上面図である。
【0094】
画素は、接続部71と接続部72を有する。接続部71では、導電層115aがトランジスタSW11と電気的に接続されている。具体的には、導電層115aと導電層222pとが電気的に接続されている。接続部72では、画素電極111aがトランジスタSW12と電気的に接続されている。具体的には、画素電極111aと導電層222fとが電気的に接続されている。
【0095】
接続部71及び接続部72は、それぞれ、可視光を透過する領域を有することが好ましい。例えば、トランジスタSW11及びトランジスタSW12において、ソースまたはドレインとして機能する導電層(図4では、導電層222p及び導電層222f)に、可視光を透過する導電性材料を用いることで、接続部71及び接続部72に、可視光を透過する領域を設けることができ、画素15(i,j)の開口率を高めることができる。これにより、表示装置10における可視光の透過性を高めることができる。また、画素15(i,j)の可視光を透過する領域を広くすることができる。
【0096】
図4に示すように、信号線として機能する配線SL1(j)は、導電層222qを介して、半導体層231bと電気的に接続される。なお、導電層222qを設けず、配線SL1(j)と半導体層231bとが接していてもよい。
【0097】
同様に、信号線として機能する配線SL2(j)は、導電層222gを介して、半導体層231aと電気的に接続される。また、導電層222gを設けず、配線SL2(j)と半導体層231aとが接していてもよい。
【0098】
可視光を透過する導電性材料は、銅やアルミニウムなどの可視光を遮る導電性材料と比較して抵抗率が大きいことがある。走査線及び信号線などのバスラインは、信号遅延を防ぐため、銅やアルミニウムなどの抵抗率が小さい導電性材料(金属材料)を用いて形成することが好ましい。これにより、バスラインの幅の縮小またはバスラインの薄膜化が可能となる。ただし、画素の大きさや、バスラインの幅、バスラインの厚さなどによっては、バスラインに可視光を透過する導電性材料を用いることができる。
【0099】
具体的には、信号線として機能する配線SL1(j)及び配線SL2(j)は、抵抗率が小さい導電性材料を用いて形成されることが好ましい。また、ゲート及び走査線として機能する配線GL1(i)及び配線GL2(i)は、抵抗率が小さい導電性材料を用いて形成されることが好ましい。抵抗率が小さい導電性材料としては、金属、合金等が挙げられる。バックゲートとして機能するゲート223a及びゲート223bは、可視光を遮る導電性材料を用いて形成されてもよい。
【0100】
ゲート223a及びゲート223bに可視光を遮る導電層を用いることで、光源の光及び外光が半導体層231a及び半導体層231bのチャネル形成領域に照射されることを抑制できる。このように、半導体層のチャネル形成領域を、可視光を遮る導電層と重ねると、光によるトランジスタの特性変動を抑制できる。これにより、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0101】
また、ゲート223a及びゲート223bに、金属酸化物を用いてもよい。ゲート223a及びゲート223bに金属酸化物を用いることで、半導体層231a及び半導体層231bのチャネル形成領域から酸素が引き抜かれることを抑制することができる。これにより、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0102】
≪表示モジュールの断面構成例1≫
図5Aに、表示モジュール50の断面図を示す。なお、画素の部分は、図4に示す一点鎖線G1-G2間及びG3-G4間の断面図に相当する。
【0103】
図5Aに示す表示モジュール50は、表示装置にFPCが接続された構成である。
【0104】
本発明の一態様の表示モジュールは、偏光板を有していないため、可視光の透過率が高い。また、図5A以降に示す断面図では、光源の図示を省略するが、本発明の一態様の表示モジュールは、エッジライト型のライトを用いるため、直下型のバックライトを用いる場合に比べて、表示モジュールにおける可視光を透過する領域を広くできる。したがって、本発明の一態様の表示モジュールは、可視光の透過性が高く、当該表示モジュールを介して、当該表示モジュールの後ろの風景を見ることができる。
【0105】
図5Aに示す表示モジュール50は、基板131、基板132、トランジスタSW11、トランジスタSW12、絶縁層215、導電層115a、導電層115b、導電層115c、絶縁層121、画素電極111a、液晶材料を含む層112、共通電極113、配向膜114a、配向膜114b、接着層141、スペーサKB等を有する。
【0106】
表示モジュール50は、フィールドシーケンシャル駆動方式を用いてカラー画像を表示することができる。そのため、図5Aに示す表示モジュール50は、カラーフィルタなどの着色層を有さない。さらに、表示モジュール50は、ブラックマトリクスなどの遮光層も有さない。したがって、画素の透過率を向上させることができる。
【0107】
基板131上にトランジスタSW11及びトランジスタSW12が位置する。
【0108】
トランジスタSW11は、ゲート221b、ゲート絶縁層211、半導体層231b、導電層222p、導電層222q、絶縁層213、絶縁層214、及びゲート223bを有する。導電層222p及び導電層222qのうち一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。絶縁層213及び絶縁層214はゲート絶縁層として機能する。さらに、導電層222bを、トランジスタSW11の構成要素としてもよい。導電層222bは、導電層222qと接続されている。
【0109】
ここで、ゲート221bと配線GL1(i)とは同一の導電層で構成されている。1つの導電層が、ゲート221bとして機能する部分と、配線GL1(i)として機能する部分を有するといえる。導電層222bは、配線SL1(j)の一部に相当する。
【0110】
トランジスタSW12は、ゲート221a、ゲート絶縁層211、半導体層231a、導電層222f、導電層222g、絶縁層213、絶縁層214、及びゲート223aを有する。導電層222f及び導電層222gのうち一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。絶縁層213及び絶縁層214はゲート絶縁層として機能する。さらに、導電層222aを、トランジスタSW12の構成要素としてもよい。導電層222aは、導電層222gと接続されている。
【0111】
ここで、ゲート221aと配線GL2(i)とは同一の導電層で構成されている。1つの導電層が、ゲート221aとして機能する部分と、配線GL2(i)として機能する部分を有するといえる。導電層222aは、配線SL2(j)の一部に相当する。
【0112】
導電層222f、222g、222p、222qは、可視光を透過する材料で形成される。したがって、図5Aに示す外光35の少なくとも一部は、導電層222fと導電層115cの接続部(図4の接続部72に相当)を透過して、表示モジュールの外部に射出される。同様に、導電層222pと導電層115aの接続部(図4の接続部71に相当)も、可視光を透過することができる。これにより、画素の開口率を高めることができ、表示モジュールにおける可視光の透過性を高めることができる。
【0113】
図5Bに示すように、トランジスタのソース及びドレインは、可視光を遮る材料で形成されていてもよい。導電層222eは、導電層222aと同一の材料、同一の工程で形成することができる。
【0114】
図5Bに示すように、画素電極111aは導電層115cを介さずに、トランジスタのソース又はドレイン(ここでは導電層222e)と直接接続されていてもよい。
【0115】
図5C図5Dに示すように、トランジスタのゲートは、積層構造であってもよい。また、トランジスタのソース、ドレイン、さらには、走査線、信号線などの配線についても、それぞれ、積層構造とすることができる。これらトランジスタの電極及びトランジスタと電気的に接続される配線は、それぞれ、抵抗値が小さいことが好ましい。例えば、これら電極及び配線には、それぞれ、銅やアルミニウムなどの抵抗率が小さい金属材料を用いることが好ましい。
【0116】
ここで、銅を用いる場合、下地(基板や絶縁層など)の材料によっては密着性が低くなるため、下地との密着性の高い膜上に、銅膜を積層することが好ましい。また、銅が他の層に拡散することを抑制するため、バリア性の高い膜と、銅膜とを積層することが好ましい。
【0117】
図5Cに示すゲート221m、導電層222m、及びゲート223mは、それぞれ、チタン、モリブデン、マンガン、及びアルミニウムのうち少なくとも一つを有することが好ましい。また、ゲート221n、導電層222n、及びゲート223nは、それぞれ、銅及びアルミニウムのうち一方または双方を有することが好ましい。
【0118】
なお、ゲート221m、221n、導電層222m、222n、ゲート223m、223nの材料は上記に限られない。例えば、ゲート221nは、ゲート221mよりも抵抗値が小さいことが好ましい。例えば、導電層222nは、導電層222mよりも抵抗値が小さいことが好ましい。例えば、ゲート223nは、ゲート223mよりも抵抗値が小さいことが好ましい。
【0119】
また、金属材料は、反射率が高い場合がある。したがって、金属膜の表面に酸化処理などを施し、反射率を抑制することが好ましい。これにより、表示面側から視認した場合において、外光の反射による視認性の低下を抑えることができる。
【0120】
図5Dに示すゲート221s、導電層222s、及びゲート223sは、それぞれ、チタン、モリブデン、マンガン、及びアルミニウムのうち少なくとも一つを有することが好ましい。また、ゲート221t、導電層222t、及びゲート223tは、それぞれ、銅を有することが好ましい。また、ゲート221u、導電層222u、及びゲート223uは、それぞれ、酸化銅を有することが好ましい。
【0121】
なお、ゲート221s、221t、221u、導電層222s、222t、222u、ゲート223s、223t、223uの材料は上記に限られない。例えば、ゲート221tは、ゲート221sよりも抵抗値が小さいことが好ましい。導電層222tは、導電層222sよりも抵抗値が小さいことが好ましい。ゲート223tは、ゲート223sよりも抵抗値が小さいことが好ましい。ゲート221uは、ゲート221tよりも可視光の反射率が低いことが好ましい。導電層222uは、導電層222tよりも可視光の反射率が低いことが好ましい。ゲート223uは、ゲート223tよりも可視光の反射率が低いことが好ましい。ゲート221tとゲート221uとは、同じ金属元素を少なくとも一つ含むことが好ましい。導電層222tと導電層222uとは、同じ金属元素を少なくとも一つ含むことが好ましい。ゲート223tとゲート223uとは、同じ金属元素を少なくとも一つ含むことが好ましい。
【0122】
図5Aでは、トランジスタSW11、SW12がバックゲート(図5Aではゲート223a、223b)を有する例を示したが、バックゲートを有していなくてもよい。
【0123】
図4に示すように、トランジスタが有する2つのゲートは、電気的に接続されていることが好ましい。2つのゲートが電気的に接続されている構成のトランジスタは、他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速動作が可能な回路を作製することができる。さらには回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示装置を大型化、または高精細化して配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することが可能である。また、回路部の占有面積を縮小できるため、表示装置の狭額縁化が可能である。また、このような構成を適用することで、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0124】
本実施の形態では、半導体層231a及び半導体層231bに金属酸化物を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0125】
半導体層231a、231bと接するゲート絶縁層211及び絶縁層213は酸化物絶縁層であることが好ましい。なお、ゲート絶縁層211または絶縁層213が積層構造である場合、少なくとも半導体層231a、231bと接する層が酸化物絶縁層であることが好ましい。これにより、半導体層231a、231bに酸素欠損が生じることを抑制でき、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0126】
絶縁層214は窒化物絶縁層であることが好ましい。これにより、半導体層231a、231bに不純物が入り込むことを抑制でき、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0127】
絶縁層215は、平坦化機能を有することが好ましく、例えば、有機絶縁層であることが好ましい。なお、絶縁層215は形成しなくてもよく、絶縁層214上に接して導電層115a等を形成してもよい。
【0128】
絶縁層215上に導電層115cが位置し、導電層115c上に絶縁層121が位置し、絶縁層121上に画素電極111aが位置する。画素電極111aは、導電層222fと電気的に接続されている。具体的には、導電層222fは導電層115cと接し、導電層115cは画素電極111aと接する。
【0129】
絶縁層215上に導電層115aが位置する。導電層115aは、導電層222pと接しており、電気的に接続されている。
【0130】
導電層115aと画素電極111aとは、絶縁層121を介して重なる部分を有する。導電層115a、絶縁層121、及び画素電極111aは、1つの容量素子Cwとして機能することができる。
【0131】
絶縁層215上に導電層115bが位置する。導電層115bと画素電極111aとは、絶縁層121を介して重なる部分を有する。導電層115b、絶縁層121、及び画素電極111aは、1つの容量素子Csとして機能することができる。
【0132】
このように、表示モジュール50は、1つの画素に2つの容量素子を有する。したがって、画素の保持容量を大きくすることができる。
【0133】
また、2つの容量素子はいずれも可視光を透過する材料で形成され、かつ、互いに重なる領域を有する。これにより、画素は、高い開口率と、大きな保持容量と、を両立することができる。
【0134】
容量素子Cwの容量は、容量素子Csの容量よりも大きいことが好ましい。そのため、画素電極111aと導電層115aとが重なる領域の面積は、画素電極111aと導電層115bとが重なる領域の面積より大きいことが好ましい。
【0135】
絶縁層121上には、画素電極111aが設けられている。画素電極111a上には、配向膜114aが設けられている。基板132には、共通電極113が設けられており、共通電極113に接してスペーサKBが設けられている。そして、スペーサKB及び共通電極113を覆うように配向膜114bが設けられている。液晶材料を含む層112は、配向膜114aと配向膜114bとの間に設けられている。
【0136】
液晶材料には、誘電率の異方性(Δε)が正であるポジ型の液晶材料と、負であるネガ型の液晶材料がある。本発明の一態様では、どちらの材料を用いることもでき、適用するモード及び設計に応じて最適な液晶材料を用いることができる。
【0137】
液晶素子110の駆動電圧を低くするためには、液晶材料の誘電率の異方性(Δε)の絶対値が大きいことが好ましい。ポジ型は、ネガ型に比べて、誘電率の異方性(Δε)の絶対値を大きくしやすいため、ポジ型の液晶材料を用いると、液晶材料の選択の幅が広がり好ましい。
【0138】
液晶材料の屈折率の異方性が大きいと、光を散乱する効果が高められ、液晶材料を含む層112を薄くすることができる。これにより、駆動電圧を低減することができる。
【0139】
本発明の一態様の表示装置では、一対の電極(画素電極111a及び共通電極113)間に電圧が印加されていないとき(オフ状態)に、液晶材料を含む層112が可視光を透過する状態を示し、一対の電極間に電圧が印加されているとき(オン状態)に、液晶材料を含む層112が可視光を散乱する状態を示すモード(リバースモード)を適用することが好ましい。これにより、表示モジュール50が画像を表示していない状態における、表示モジュール50の可視光の透過性を高めることができる。そのため、表示モジュール50を、シースルーディスプレイとして用いることができる。
【0140】
このようなモードを適用する場合、液晶材料を含む層112は、液晶材料及び高分子材料を有することが好ましい。
【0141】
液晶材料としては、ネマティック液晶を用いることが好ましい。
【0142】
高分子材料は、多官能モノマーと単官能モノマーとの共重合体であることが好ましい。
【0143】
単官能モノマーとしては、アクリレート、メタクリレートなどが挙げられる。多官能モノマーとしては、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどが挙げられる。
【0144】
多官能モノマーは、安息香酸フェニル骨格を有することが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、安息香酸フェニル骨格を有するジアクリレートが挙げられる。
【0145】
多官能モノマーとして用いることができる材料としては、例えば、構造式(1)~(3)で表される材料が挙げられる。
【0146】
【化1】
【0147】
単官能モノマーは、シクロヘキシルベンゼン骨格を有することが好ましい。単官能モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルベンゼン骨格を有するアクリレートが挙げられる。
【0148】
単官能モノマーとして用いることができる材料としては、例えば、構造式(4)~(6)で表される材料が挙げられる。
【0149】
【化2】
【0150】
例えば、液晶材料を含む層112は、液晶材料、モノマー、及び光重合開始剤を含む材料層を、光を照射して硬化することで、形成することができる。
【0151】
なお、本発明の一態様の表示装置で用いる液晶素子は、リバースモードに限られず、様々なモードを適用することができる。
【0152】
本実施の形態の表示装置は、透過型の液晶表示装置であるため、一対の電極(画素電極111a及び共通電極113)の双方に、可視光を透過する導電性材料を用いる。また、導電層115a、115b、115cも可視光を透過する導電性材料を用いて形成することで、容量素子Cw及び容量素子Csを設けても画素の開口率が低下することを抑制できる。なお、容量素子の誘電体として機能する絶縁層121には、窒化シリコン膜が好適である。
【0153】
可視光を透過する導電性材料としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種以上を含む材料を用いるとよい。具体的には、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などが挙げられる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。
【0154】
また、可視光を透過する導電膜は、酸化物半導体を用いて形成することができる(以下、酸化物導電層ともいう)。酸化物導電層は、例えば、インジウムを含むことが好ましく、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHf)を含むことがさらに好ましい。
【0155】
酸化物半導体は、膜中の酸素欠損、及び膜中の水素、水等の不純物濃度のうち少なくとも一方によって、抵抗を制御することができる半導体材料である。そのため、酸化物半導体層へ酸素欠損及び不純物濃度の少なくとも一方が増加する処理、または酸素欠損及び不純物濃度の少なくとも一方が低減する処理を選択することによって、酸化物導電層の有する抵抗率を制御することができる。
【0156】
なお、このように、酸化物半導体を用いて形成された酸化物導電層は、キャリア密度が高く低抵抗な酸化物半導体層、導電性を有する酸化物半導体層、または導電性の高い酸化物半導体層ということもできる。
【0157】
基板131と基板132は接着層141によって貼り合わされている。
【0158】
FPCは、導電層221cと電気的に接続されている。具体的には、FPCは接続体139と接し、接続体139は導電層222cと接し、導電層222cは導電層221cと接する。導電層221cは、基板131上に形成され、導電層222cはゲート絶縁層211上に形成されている。導電層221cは、ゲート221a、221bと同一の工程、同一の材料で形成することができる。導電層222cは、導電層222a、222bと同一の工程、同一の材料で形成することができる。
【0159】
≪タッチパネル≫
本発明の一態様では、タッチセンサが搭載された表示装置または表示モジュール(以下、タッチパネルとも記す)を作製することができる。
【0160】
図6に、表示モジュール51の断面図を示す。表示モジュール51は、表示モジュール50の構成に、タッチセンサを追加した構成を有する。
【0161】
基板180と基板132とは、接着層186によって貼り合わされている。基板180の基板132側には、電極181及び電極182が設けられている。電極181と電極182とは、絶縁層185によって互いに電気的に絶縁されている。基板180の端部に近い領域には、接続部が設けられている。接続部では、配線187が、導電層188及び接続体189を介してFPC2と電気的に接続されている。
【0162】
タッチセンサが有する電極及び配線が、画素の開口部(表示に用いられる部分)と重なる位置に設けられる場合、当該電極及び配線には、可視光を透過する材料を用いる。また、画素の開口部と重ならない位置に設けられる場合は、当該電極及び配線に、可視光を遮る材料を用いることができる。したがって、電極181、182に、金属等の抵抗率の低い材料を用いることができる。例えば、タッチセンサの配線及び電極として、メタルメッシュを用いることが好ましい。これにより、タッチセンサの配線及び電極の抵抗を下げることができる。また、大型の表示装置のタッチセンサとして好適である。なお、一般的に金属は反射率が大きい材料であるが、酸化処理などを施すことにより暗色にすることができる。したがって、表示面側から視認した場合においても、外光の反射による視認性の低下を抑えることができる。
【0163】
また、当該配線及び当該電極を、金属層と反射率の小さい層(以下、暗色層と記す)の積層で形成してもよい。暗色層の一例としては、酸化銅を含む層、塩化銅または塩化テルルを含む層などがある。また、暗色層を、Ag粒子、Agファイバー、Cu粒子等の金属微粒子、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン等のナノ炭素粒子、並びに、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子などを用いて形成してもよい。
【0164】
≪構成要素の材料≫
次に、本実施の形態の表示装置及び表示モジュールの各構成要素に用いることができる材料等の詳細について、説明を行う。
【0165】
表示装置が有する基板の材質などに大きな制限はなく、様々な基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、半導体基板、セラミック基板、金属基板、またはプラスチック基板等を用いることができる。
【0166】
厚さの薄い基板を用いることで、表示装置の軽量化及び薄型化を図ることができる。さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示装置を実現できる。
【0167】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれの構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0168】
トランジスタに用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、半導体特性を有する金属酸化物(酸化物半導体ともいう)、シリコン、ゲルマニウム等が挙げられる。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0169】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0170】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0171】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0172】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Inの原子数比がMの原子数比以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0173】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0174】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0175】
ゲートドライバGD_L、GD_Rが有するトランジスタと表示領域100が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。ゲートドライバが有するトランジスタは、全て同じ構造であってもよく、2種類以上の構造が組み合わせて用いられていてもよい。同様に、表示領域100が有するトランジスタは、全て同じ構造であってもよく、2種類以上の構造が組み合わせて用いられていてもよい。
【0176】
表示装置が有する絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、有機絶縁材料及び無機絶縁材料が挙げられる。有機絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。無機絶縁層としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等が挙げられる。
【0177】
トランジスタのゲート、ソース、ドレインのほか、表示装置が有する各種配線及び電極等の導電層は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属の少なくとも一つを主成分とする合金のうち、一つ又は複数を用いて、単層構造または積層構造で構成することができる。例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、モリブデン膜上に銅膜を積層した二層構造、モリブデンとタングステンを含む合金膜上に銅膜を積層した二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。例えば、導電層を三層構造とする場合、一層目及び三層目には、チタン、窒化チタン、モリブデン、タングステン、モリブデンとタングステンを含む合金、モリブデンとジルコニウムを含む合金、または窒化モリブデンでなる膜を形成し、二層目には、銅、アルミニウム、金または銀、或いは銅とマンガンの合金等の低抵抗材料でなる膜を形成することが好ましい。なお、ITO、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、ITSO等の透光性を有する導電性材料を用いてもよい。なお、酸化物半導体の抵抗率を制御することで、酸化物導電層を形成してもよい。
【0178】
接着層141としては、熱硬化樹脂、光硬化樹脂、または2液混合型の硬化性樹脂などの硬化性樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、またはシロキサン樹脂などを用いることができる。
【0179】
接続体139としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、または異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0180】
表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、それぞれ、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法の例として、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法及び熱CVD法等が挙げられる。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法が挙げられる。
【0181】
表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、それぞれ、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット印刷、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
【0182】
表示装置を構成する薄膜は、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成してもよい。または、ナノインプリント法、サンドブラスト法、もしくはリフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法と、がある。
【0183】
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光としては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、及びこれらを混合させた光が挙げられる。そのほか、紫外線、KrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。露光に用いる光としては、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra-violet)及びX線等が挙げられる。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
【0184】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウエットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
【0185】
≪金属酸化物≫
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0186】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0187】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
【0188】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSを用いることができる。
【0189】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0190】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0191】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0192】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0193】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0194】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0195】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0196】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0197】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0198】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(V:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0199】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0200】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0201】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0202】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0203】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0204】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0205】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、PLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0206】
<表示モジュールの構成例2>
図7に、画素16(i,j)の上面図を示す。図7は、配線GL1(i)から画素電極111aまでの積層構造を画素電極111a側から見た上面図である。
【0207】
図8に、表示モジュール52の断面図を示す。なお、画素の部分は、図7に示す一点鎖線G1-G2間及びG3-G4間の断面図に相当する。
【0208】
図7及び図8に示す構成は、トランジスタの構造が、図4及び図5Aに示す構成とは異なる。以降では、先に記載された構成例と共通の部分については、説明を省略することがある。
【0209】
図7及び図8に示すトランジスタSW11は、ゲート221b、ゲート絶縁層211、半導体層231b、導電層222p、導電層222q、ゲート絶縁層225、及びゲート223bを有する。導電層222p及び導電層222qのうち一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0210】
図7及び図8に示すトランジスタSW12は、ゲート221a、ゲート絶縁層211、半導体層231a、導電層222f、導電層222g、ゲート絶縁層225、及びゲート223aを有する。導電層222f及び導電層222gのうち一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0211】
半導体層231a、231bは、それぞれ、一対の低抵抗領域231nと、一対の低抵抗領域231nの間に挟持されたチャネル形成領域231iと、を有する。
【0212】
チャネル形成領域231iは、ゲート絶縁層211を介してゲート221aまたはゲート221bと重なり、ゲート絶縁層225を介してゲート223aまたはゲート223bと重なる。
【0213】
導電層222f、222g、222p、222qは、可視光を透過する材料で形成される。したがって、図8に示す外光35の少なくとも一部は、導電層222fと導電層115cの接続部(図7の接続部72に相当)を透過して、表示モジュールの外部に射出される。同様に、導電層222pと導電層115aの接続部(図7の接続部71に相当)も、可視光を透過することができる。これにより、画素の開口率を高めることができ、表示モジュールにおける可視光の透過性を高めることができる。
【0214】
上述の通り、本実施の形態では、半導体層231a及び半導体層231bに金属酸化物を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0215】
チャネル形成領域231iと接するゲート絶縁層211及びゲート絶縁層225は酸化物絶縁層であることが好ましい。なお、ゲート絶縁層211またはゲート絶縁層225が積層構造である場合、少なくともチャネル形成領域231iと接する層が酸化物絶縁層であることが好ましい。これにより、チャネル形成領域231iに酸素欠損が生じることを抑制でき、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0216】
絶縁層214は窒化物絶縁層であることが好ましい。これにより、半導体層231a、231bに不純物が入り込むことを抑制でき、トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0217】
絶縁層215は、平坦化機能を有することが好ましく、例えば、有機絶縁層であることが好ましい。
【0218】
図8に示すように、ゲート絶縁層225は、低抵抗領域231nとチャネル形成領域231iとの双方と重なっていてもよい。図8に示すゲート絶縁層225は、ゲート223a、223bをマスクに用いてゲート絶縁層225を加工する工程を削減できる、絶縁層214の被形成面の段差を低くできる等のメリットを有する。なお、図9に示すように、ゲート絶縁層225は、チャネル形成領域231i上にのみ形成され、低抵抗領域231nと重ならなくてもよい。
【0219】
低抵抗領域231nは、チャネル形成領域231iよりも抵抗率が低い。ゲート223a、223bをマスクとして、不純物を添加することで、低抵抗領域231nを形成してもよい。当該不純物としては、例えば、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、フッ素、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム、シリコンなどが挙げられ、当該不純物は、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて添加することができる。また、上記不純物以外にも、半導体層231a、231bの構成元素の一つである、インジウムなどを添加することで低抵抗領域231nを形成してもよい。インジウムを添加することで、チャネル形成領域231iよりも低抵抗領域231nの方が、インジウムの濃度が高くなる場合がある。
【0220】
ゲート絶縁層225が加熱により酸素を放出する機能を有する酸化物膜である場合、加熱により低抵抗領域231nに酸素が供給され、キャリア密度の低減、電気抵抗の上昇が生じる恐れがある。そこで、ゲート絶縁層225を介して半導体層の一部に不純物を添加することで低抵抗領域231nを形成することが好ましい。これにより、ゲート絶縁層225中にも不純物が添加される。加熱により酸素を放出する機能を有する酸化物膜に不純物を添加することで、放出される酸素の量を低減することができる。したがって、加熱によりゲート絶縁層225から低抵抗領域231nに酸素が供給されることを抑制でき、低抵抗領域231nの電気抵抗が低い状態を維持することができる。
【0221】
また、ゲート絶縁層225及びゲート223a、223bを形成した後に、半導体層231a、231bの一部の領域に接するように第1の層を形成し、加熱処理を施すことにより、当該領域を低抵抗化させ、低抵抗領域231nを形成することができる。
【0222】
第1の層としては、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロム、及びルテニウムなどの金属元素の少なくとも一を含む膜を用いることができる。特に、アルミニウム、チタン、タンタル、及びタングステンの少なくとも一を含むことが好ましい。または、これら金属元素の少なくとも一を含む窒化物、またはこれら金属元素の少なくとも一を含む酸化物を好適に用いることができる。特に、タングステン膜、チタン膜などの金属膜、窒化アルミニウムチタン膜、窒化チタン膜、窒化アルミニウム膜などの窒化物膜、酸化アルミニウムチタン膜などの酸化物膜などを好適に用いることができる。
【0223】
第1の層の厚さは、例えば0.5nm以上20nm以下、好ましくは0.5nm以上15nm以下、より好ましくは0.5nm以上10nm以下、さらに好ましくは1nm以上6nm以下とすることができる。代表的には、5nm程度、または約2nm程度とすることができる。第1の層がこのように薄い場合であっても、十分に半導体層231a、231bを低抵抗化できる。
【0224】
低抵抗領域231nは、チャネル形成領域231iよりもキャリア密度の高い領域とすることが重要である。例えば低抵抗領域231nは、チャネル形成領域231iよりも水素を多く含む領域、または、チャネル形成領域231iよりも酸素欠損を多く含む領域とすることができる。酸化物半導体中の酸素欠損と水素原子とが結合すると、キャリアの発生源となる。
【0225】
半導体層231a、231bの一部の領域に第1の層を接して設けた状態で、加熱処理を行うことで、当該領域中の酸素が第1の層に吸引され、当該領域中に酸素欠損を多く形成することができる。これにより、低抵抗領域231nを極めて低抵抗な領域とすることができる。
【0226】
このように形成された低抵抗領域231nは、後の処理で高抵抗化しにくいといった特徴を有する。例えば、酸素を含む雰囲気下での加熱処理や、酸素を含む雰囲気下での成膜処理などを行っても、低抵抗領域231nの導電性が損なわれる恐れがないため、電気特性が良好で、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0227】
加熱処理を経た後の第1の層が導電性を有する場合には、加熱処理後に第1の層を除去することが好ましい。一方、第1の層が絶縁性を有する場合には、これを残存させることで第1の層を保護絶縁膜として機能させることができる。
【0228】
FPCは、導電層222cと電気的に接続されている。具体的には、FPCは接続体139と接し、接続体139は導電層111bと接し、導電層111bは導電層222cと接する。導電層222cは絶縁層214上に形成され、導電層111bは、絶縁層121上に形成されている。導電層222cは、導電層222a及び導電層222bと同一の工程、同一の材料で形成することができる。導電層111bは、画素電極111aと同一の工程、同一の材料で形成することができる。
【0229】
図9に示すように、表示装置は、可視光を透過する導電層222f、222g、222p、222q(図7及び図8参照)を有していなくてもよい。これにより、表示装置の作製工程を簡略化することができる。
【0230】
図9では、導電層115cと半導体層231a(の低抵抗領域231n)とが互いに接しており、導電層115aと半導体層231b(の低抵抗領域231n)とが互いに接している。例えば、半導体層231a及び半導体層231bに、可視光を透過する材料(金属酸化物など)を用いることで、容量素子CwとトランジスタSW11とのコンタクト部、及び、液晶素子110とトランジスタSW12とのコンタクト部に、可視光を透過する領域を設けることができる。
【0231】
図9では、半導体層231a(の低抵抗領域231n)と可視光を遮る導電層222aとが互いに接しており、半導体層231b(の低抵抗領域231n)と可視光を遮る導電層222bとが互いに接している。
【0232】
図9において、低抵抗領域231nは、半導体層231a、231bのうち絶縁層214と接する領域である。絶縁層214は、窒素または水素を有することが好ましい。これにより、絶縁層214中の窒素または水素が低抵抗領域231nに入り込み、低抵抗領域231nのキャリア濃度を高めることができる。
【0233】
<表示モジュールの構成例3>
図10に示す表示モジュール55及び図11に示す表示モジュール57は、それぞれ、液晶表示装置と発光装置とを積層して有する。表示モジュール55、57は、それぞれ、発光装置が発する光33を、液晶表示装置を介して、外部に射出する構成である。また、液晶表示装置は、エッジライト型のライトから光が入射し、液晶材料を含む層で当該光を散乱させ、散乱光34を外部に射出する構成である。
【0234】
図10及び図11に示す液晶表示装置の構成は、図5Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0235】
図10に示す表示モジュール55は、発光装置54を有する。発光装置54は、接着層169によって、液晶表示装置に貼り合わされている。発光装置54は、カラーフィルタ方式が適用されたトップエミッション構造の発光装置である。発光素子150は、着色層を介して、液晶表示装置側に光を射出する(光33参照)。
【0236】
発光装置54は、基板161、接着層163、絶縁層165、トランジスタSW13、発光素子150、接着層167、絶縁層168、着色層CF1、及び着色層CF2等を有する。
【0237】
トランジスタSW13としては、液晶表示装置に用いることができるトランジスタを適用できる。液晶表示装置が有するトランジスタと発光装置54が有するトランジスタは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0238】
発光素子150としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)やQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。また、発光素子150として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0239】
発光素子150は、画素電極151、EL層152、及び共通電極153を有する。画素電極151は、トランジスタSW13のソースまたはドレインと電気的に接続されている。画素電極151は、可視光を反射することが好ましい。画素電極151の端部は、絶縁層155によって覆われている。EL層152は、複数の副画素に共通して用いられる。EL層152は、少なくとも発光物質を含む。共通電極153は、可視光を透過する。
【0240】
発光装置54は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子150を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。
【0241】
発光装置の精細度は、液晶表示装置の精細度と同じであってもよく、異なっていてもよい。発光装置54と液晶表示装置の精細度が同じ場合、液晶表示装置の1つの画素に、発光装置54の1つの画素(複数の副画素)が重なる。
【0242】
発光素子150が発した光は、着色層を介して、発光装置54から射出される。例えば、着色層CF1を介して、第1の色の光が取り出され、着色層CF2を介して、第2の色の光が取り出される。
【0243】
FPC3は、接続体139を介して、導電層222dと電気的に接続されている。
【0244】
絶縁層165及び絶縁層168としては、防水性の高い絶縁層を用いることが好ましい。これにより、発光素子150に水などの不純物が入り込むことを抑制し、発光素子150の信頼性を高めることができる。絶縁層165及び絶縁層168は、それぞれ、無機絶縁膜を有することが好ましい。
【0245】
接着層163、167、169としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0246】
基板161の材質などに大きな制限はなく、様々な基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、半導体基板、セラミック基板、金属基板、またはプラスチック基板等を用いることができる。
【0247】
基板161としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等の樹脂基板を用いることが好ましい。これにより、発光装置54の薄型化及び軽量化を図ることができる。
【0248】
図11に示す表示モジュール57は、発光装置56を有する。
【0249】
発光装置56は、主に、着色層CF1、着色層CF2、絶縁層168、接着層169を有さず、保護層154を有し、EL層152が副画素ごとに作り分けられている点で、発光装置54と異なる。発光装置54と共通の構成については説明を省略する。
【0250】
EL層152が副画素ごとに作り分けられているため、発光装置56は、着色層が不要である。また、共通電極153上に保護層154を有することで、発光素子150の信頼性を高めることができる。保護層154は、防水性の高い無機膜を有することが好ましい。
【0251】
以上のように、本発明の一態様の表示装置は、画像信号に補正信号を付加するための機能を有するため、高い電圧で、液晶素子を駆動させることができる。したがって、駆動電圧の高い液晶素子を表示装置に用いることができる。例えば、リバースモードで駆動する液晶素子、液晶材料と高分子材料を含む液晶素子などを用いた表示装置であっても、画像を良好に表示することができる。
【0252】
また、本発明の一態様の表示装置は、トランジスタと画素電極とが電気的に接続される接続部が、可視光を透過する機能を有するため、画素の開口率をさらに高めることができる。
【0253】
また、本発明の一態様の表示装置は、フィールドシーケンシャル駆動方式により表示する機能を有するため、画素の開口率をさらに高めることができ、また、カラーフィルタ等の着色層を不要にできるため、画素の透過率を高めることができる。
【0254】
本発明の一態様の表示装置は、シースルーディスプレイとして好適な構成である。
【0255】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0256】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について図12図14を用いて説明する。
【0257】
本実施の形態の電子機器は、表示部に、本発明の一態様の表示装置を有する。これにより、電子機器の表示部は、高品質な映像を表示することができる。また、広い温度範囲で信頼性高く表示を行うことができる。
【0258】
本実施の形態の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、2K、4K、8K、16K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
【0259】
本発明の一態様の表示装置を用いることができる電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置などが挙げられる。また、本発明の一態様の表示装置は、携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、VR(Virtual Reality)機器、AR(Augmented Reality)機器などにも好適に用いることができる。
【0260】
本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0261】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイオンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。
【0262】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0263】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0264】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0265】
さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画または動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部または電子機器に内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能等を有することができる。なお、本発明の一態様の電子機器が有する機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0266】
図12Aに、テレビジョン装置1810を示す。テレビジョン装置1810は、表示部1811、筐体1812、スピーカ1813等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0267】
テレビジョン装置1810は、リモコン操作機1814により、操作することができる。
【0268】
テレビジョン装置1810が受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波などが挙げられる。また放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(約300MHz~3GHz)またはVHF帯(30MHz~300MHz)のうちの特定の周波数帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示部1811に表示させることができる。例えば、4K、8K、16K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
【0269】
また、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)などのコンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信された放送のデータを用いて、表示部1811に表示する画像を生成する構成としてもよい。このとき、テレビジョン装置1810にチューナーを有さなくてもよい。
【0270】
図12Bは円柱状の柱1822に取り付けられたデジタルサイネージ1820を示している。デジタルサイネージ1820は、表示部1821を有する。
【0271】
表示部1821が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部1821が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0272】
表示部1821にタッチパネルを適用することで、表示部1821に静止画または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0273】
図12Cはノート型のパーソナルコンピュータ1830を示している。パーソナルコンピュータ1830は、表示部1831、筐体1832、タッチパッド1833、接続ポート1834等を有する。
【0274】
タッチパッド1833は、ポインティングデバイスや、ペンタブレット等の入力手段として機能し、指やスタイラス等で操作することができる。
【0275】
また、タッチパッド1833には表示素子が組み込まれている。図12Cに示すように、タッチパッド1833の表面に入力キー1835を表示することで、タッチパッド1833をキーボードとして使用することができる。このとき、入力キー1835に触れた際に、振動により触感を実現するため、振動モジュールがタッチパッドl833に組み込まれていてもよい。
【0276】
図12Dに示す情報端末1840は、表示部1841、筐体1842、検知部1843等を有する。
【0277】
表示部1841にタッチパネルを適用することで、指やスタイラスなどを用いて、情報端末1840を操作することができる。
【0278】
検知部1843には、照度センサ、撮像装置、姿勢検出装置、圧力センサ、人感センサなどのうち少なくとも一つを用いることができる。
【0279】
図13A図13Bに、携帯情報端末800を示す。携帯情報端末800は、筐体801、筐体802、表示部803、表示部804、及びヒンジ部805等を有する。
【0280】
筐体801と筐体802は、ヒンジ部805で連結されている。携帯情報端末800は、図13Aに示すように折り畳んだ状態から、図13Bに示すように筐体801と筐体802を開くことができる。
【0281】
例えば表示部803及び表示部804に、文書情報を表示することができ、電子書籍端末としても用いることができる。また、表示部803及び表示部804に静止画像や動画像を表示することもできる。
【0282】
このように、携帯情報端末800は、持ち運ぶ際には折り畳んだ状態にできるため、汎用性に優れる。
【0283】
なお、筐体801及び筐体802には、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク等を有していてもよい。
【0284】
図13Cに携帯情報端末の一例を示す。図13Cに示す携帯情報端末810は、筐体811、表示部812、操作ボタン813、外部接続ポート814、スピーカ815、マイク816、カメラ817等を有する。
【0285】
携帯情報端末810は、表示部812にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部812に触れることで行うことができる。
【0286】
また、操作ボタン813の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部812に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
【0287】
また、携帯情報端末810の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯情報端末810の向き(縦か横か)を判断して、表示部812の画面表示の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部812を触れること、操作ボタン813の操作、またはマイク816を用いた音声入力等により行うこともできる。
【0288】
携帯情報端末810は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。携帯情報端末810は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0289】
図13Dに、カメラの一例を示す。カメラ820は、筐体821、表示部822、操作ボタン823、シャッターボタン824等を有する。またカメラ820には、着脱可能なレンズ826が取り付けられている。
【0290】
ここではカメラ820として、レンズ826を筐体821から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ826と筐体が一体となっていてもよい。
【0291】
カメラ820は、シャッターボタン824を押すことにより、静止画、または動画を撮像することができる。また、表示部822はタッチパネルとしての機能を有し、表示部822をタッチすることにより撮像することも可能である。
【0292】
なお、カメラ820は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することができる。または、これらが筐体821に組み込まれていてもよい。
【0293】
図14Aに、本発明の一態様の表示装置を車載用ディスプレイとして搭載した一例を示す。表示部1100及び表示部1110はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメータ、走行距離、燃料計、ギア状態、空調の設定などを表示することで、様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。本発明の一態様の表示装置は、広い温度範囲で使用することができ、低温環境及び高温環境のいずれにおいても信頼性高く表示を行うことができる。したがって、本発明の一態様の表示装置を車載用のディスプレイとして利用することで、走行の安全性を高めることができる。
【0294】
本発明の一態様の表示装置は、画素の開口率が高く、光を遮る領域が少ないため、当該表示装置を介して、当該表示装置の後ろの風景を見ることができる。そのため、本発明の一態様の表示装置は、車のフロントガラス、建造物の窓、ショーウィンドウ、AR(Augmented Reality)向け機器などに用いることができる。
【0295】
図14Bに、本発明の一態様の表示装置を建造物の窓に用いた一例を示す。窓全体に表示装置1200を設けてもよく、窓の一部に表示装置1200を設け、他の部分にはガラスを用いてもよい。表示装置1200は、室内または屋外に向けて画像1210を表示することができる。また、表示装置1200に画像1210を表示しない場合、表示装置1200が光を透過するため、表示装置1200を介して、室内及び屋外の一方から他方を見ることができる。つまり、表示装置1200を、従来の窓ガラスのように扱うことができる。
【0296】
図14Cに、本発明の一態様の表示装置をショーウィンドウのケースに用いた一例を示す。ケースの一面全体に表示装置1300を設けてもよく、一部に表示装置1300を設け、他の部分にはガラスを用いてもよい。表示装置1300は、ケースの外側に向けて画像1310を表示することができる。画像1310としては、例えば、ケースの内側の被装飾体1320(商品など、図14Cではバッグ)を飾る画像(図14Cではリボン)が挙げられる。また、画像1310には、商品の説明や宣伝の文章が含まれていてもよい。
【0297】
以上示したとおり、本発明の一態様の表示装置を適用して電子機器を得ることができる。表示装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用できる。
【0298】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0299】
CF1:着色層、CF2:着色層、CSCOM:配線、GL1:配線、GL2:配線、SL1:配線、SL2:配線、SW11:トランジスタ、SW12:トランジスタ、SW13:トランジスタ、VCOM:配線、10:表示装置、11:タッチパネル、15:画素、16:画素、30:ライトユニット、32:光、33:光、34:散乱光、35:外光、50:表示モジュール、51:表示モジュール、52:表示モジュール、54:発光装置、55:表示モジュール、56:発光装置、57:表示モジュール、71:接続部、72:接続部、100:表示領域、110:液晶素子、111a:画素電極、111b:導電層、112:液晶材料を含む層、113:共通電極、114a:配向膜、114b:配向膜、115a:導電層、115b:導電層、115c:導電層、120:画素回路、121:絶縁層、131:基板、132:基板、139:接続体、141:接着層、150:発光素子、151:画素電極、152:EL層、153:共通電極、154:保護層、155:絶縁層、161:基板、163:接着層、165:絶縁層、167:接着層、168:絶縁層、169:接着層、180:基板、181:電極、182:電極、185:絶縁層、186:接着層、187:配線、188:導電層、189:接続体、211:ゲート絶縁層、213:絶縁層、214:絶縁層、215:絶縁層、221a:ゲート、221b:ゲート、221c:導電層、221m:ゲート、221n:ゲート、221s:ゲート、221t:ゲート、221u:ゲート、222a:導電層、222b:導電層、222c:導電層、222d:導電層、222e:導電層、222f:導電層、222g:導電層、222m:導電層、222n:導電層、222p:導電層、222q:導電層、222s:導電層、222t:導電層、222u:導電層、223a:ゲート、223b:ゲート、223m:ゲート、223n:ゲート、223s:ゲート、223t:ゲート、223u:ゲート、225:ゲート絶縁層、231a:半導体層、231b:半導体層、231i:チャネル形成領域、231n:低抵抗領域、800:携帯情報端末、801:筐体、802:筐体、803:表示部、804:表示部、805:ヒンジ部、810:携帯情報端末、811:筐体、812:表示部、813:操作ボタン、814:外部接続ポート、815:スピーカ、816:マイク、817:カメラ、820:カメラ、821:筐体、822:表示部、823:操作ボタン、824:シャッターボタン、826:レンズ、1100:表示部、1110:表示部、1200:表示装置、1210:画像、1300:表示装置、1310:画像、1320:被装飾体、1810:テレビジョン装置、1811:表示部、1812:筐体、1813:スピーカ、1814:リモコン操作機、1820:デジタルサイネージ、1821:表示部、1822:柱、1830:パーソナルコンピュータ、1831:表示部、1832:筐体、1833:タッチパッド、1834:接続ポート、1835:入力キー、1840:情報端末、1841:表示部、1842:筐体、1843:検知部
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C