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特許7434177骨アンカーを骨プレートに固着するためのねじ付き係止構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】骨アンカーを骨プレートに固着するためのねじ付き係止構造体
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B17/80
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020560839
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 IB2019052952
(87)【国際公開番号】W WO2019211681
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】15/966,047
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ボシャール・サイモン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ロッチ・ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】マガーク・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デュード・ステファン
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-536427(JP,A)
【文献】特表2009-502336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0207194(US,A1)
【文献】特表2016-529998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨プレートであって、
骨から離れる方向に面するように構成された上面と、前記骨に面するように構成された反対側の下面と、
中心孔軸に沿って前記骨プレートを通って前記上面から前記下面まで延在する少なくとも1つの孔と、を含み、前記中心孔軸は、前記中心孔軸の軸方向に沿って配向され、前記少なくとも1つの孔は前記骨プレートの内面によって画定され、前記内面は、前記内面の周囲に順次配置された複数の列と、前記列の間に周方向に位置する複数の凹部と、を更に画定し、前記列のそれぞれは、複数のねじ山セグメントを画定し、
前記ねじ山セグメントのそれぞれは、谷底と、前記谷底から第1の頂部まで延在する第1のねじ山表面と、前記谷底から第2の頂部まで延在する第2のねじ山表面と、を画定し、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面の少なくとも一部分は、ねじ山角度で互いにオフセットされ、
前記ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つの前記ねじ山角度は30度であり、
前記ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つは、前記軸方向に沿ってそれぞれの前記第1の頂部と前記第2の頂部との間にねじ山ピッチを画定し、それぞれの前記第1の頂部及び前記第2の頂部の一方又は両方は、非破壊的に撓むように構成されている、骨プレート。
【請求項2】
前記ねじ山セグメントの少なくとも大部分のねじ山頂部は、前記列の中心線と一致し、前記中心線は、前記中心孔軸を含む平面に沿って延在する、請求項に記載の骨プレート。
【請求項3】
前記中心線は、前記中心孔軸に対して第1の角度で配向され、前記第1の角度は、10度~20度の範囲である、請求項に記載の骨プレート。
【請求項4】
前記列の前記複数のねじ山セグメントは、1つ以上の螺旋状経路に沿って延在する、請求項に記載の骨プレート。
【請求項5】
前記1つ以上の螺旋状経路は、ダブルリード螺旋状経路を含む、請求項に記載の骨プレート。
【請求項6】
それぞれの前記第1の頂部及び前記第2の頂部の一方又は両方は、前記ねじ山ピッチの半分に等しい前記軸方向に沿った距離まで、非破壊的に撓むように構成されている、請求項に記載の骨プレート。
【請求項7】
骨プレートであって、
骨から離れる方向に面するように構成された上面と、前記骨に面するように構成された反対側の下面と、
中心孔軸に沿って前記骨プレートを通って前記上面から前記下面まで延在する少なくとも1つの孔と、を含み、前記中心孔軸は、前記中心孔軸の軸方向に沿って配向され、前記少なくとも1つの孔は前記骨プレートの内面によって画定され、前記内面は、前記内面の周囲に順次配置された複数の列と、前記列の間に周方向に位置する複数の凹部と、を更に画定し、前記列のそれぞれは、複数のねじ山セグメントを画定し、
前記ねじ山セグメントのそれぞれは、谷底と、前記谷底から第1の頂部まで延在する第1のねじ山表面と、前記谷底から第2の頂部まで延在する第2のねじ山表面と、を画定し、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面の少なくとも一部分は、ねじ山角度で互いにオフセットされ、
前記ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つの前記ねじ山角度は、25度~35度の範囲であり、
前記ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つは、前記軸方向に沿ってそれぞれの前記第1の頂部と前記第2の頂部との間にねじ山ピッチを画定し、それぞれの前記第1の頂部及び前記第2の頂部の一方又は両方は、非破壊的に撓むように構成されており、
前記ねじ山セグメントの少なくとも大部分のねじ山頂部は、前記列の中心線と一致し、前記中心線は、前記中心孔軸を含む平面に沿って延在し、
前記列の前記複数のねじ山セグメントは、1つ以上の螺旋状経路に沿って延在し、
前記1つ以上の螺旋状経路は、各ねじ山セグメントの前記第1の頂部及び前記第2の頂部のうちの少なくとも1つと一致し、各ねじ山セグメントの前記谷底は、前記中心孔軸の周りの第2の経路に沿って延在し、前記第2の経路の曲率半径は、前記列から離れた位置にある前記複数の凹部の曲率半径よりも大きい、骨プレート。
【請求項8】
前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面はそれぞれ、第1の部分及び第2の部分を画定し、前記第1の部分は、前記谷底から前記第2の部分に向かって延在し、前記第2の部分は、前記第1の部分からそれぞれの前記第1の頂部又は前記第2の頂部に向かって延在し、
前記ねじ山角度は、それぞれの前記第1の部分の間で測定された第1のねじ山角度であり、
それぞれの前記第2の部分は、前記第1のねじ山角度とは異なる第2のねじ山角度で互いにオフセットされている、請求項に記載の骨プレート。
【請求項9】
前記第2のねじ山角度は45度~90度の範囲である、請求項に記載の骨プレート。
【請求項10】
記第2のねじ山角度は60度である、請求項に記載の骨プレート。
【請求項11】
前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面はそれぞれ、前記第2の部分から前記それぞれの第1の頂部又は第2の頂部まで延在する第3の部分を画定し、
それぞれの前記第3の部分は、前記第2のねじ山角度とは異なる第3のねじ山角度で互いにオフセットされている、請求項に記載の骨プレート。
【請求項12】
前記第3のねじ山角度は70度~179度の範囲である、請求項11に記載の骨プレート。
【請求項13】
記第2のねじ山角度は60度であり、前記第3のねじ山角度は90度である、請求項11に記載の骨プレート。
【請求項14】
前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面はそれぞれ、前記谷底と前記それぞれの第1の頂部又は第2の頂部との間のそれぞれのインボリュート曲線に沿って延在し、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面は、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面とそれぞれ交差する、一対の接線の間で測定される様々なねじ山角度を画定し、前記様々なねじ山角度は、前記谷底に隣接する5度から前記第1の頂部又は第2の頂部における179度の範囲で変化する、請求項11に記載の骨プレート。
【請求項15】
各列の前記第1の頂部及び前記第2の頂部のうち少なくとも1つの頂部は、前記少なくとも1つの孔に挿入された係止ねじの少なくとも1つのねじ山とねじ係合することに応答して、前記中心孔軸から前記軸方向に垂直な径方向に沿って外向きに変形するように構成されている、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項16】
前記複数の列は3つの列を含み、前記複数の凹部は3つの凹部を含む、請求項1に記載の骨プレート。
【請求項17】
前記凹部のそれぞれは、前記中心孔軸から前記軸方向に垂直な径方向に沿って離間した凹部軸を画定し、各凹部軸は前記中心孔軸と平行である、請求項16に記載の骨プレート。
【請求項18】
前記凹部軸は前記中心孔軸から等距離であり、各凹部は、それぞれの前記凹部軸と一致する中心円錐軸を有する円錐台形形状の一部分を画定し、前記円錐台形形状は、直円錐の錐台である、請求項17に記載の骨プレート。
【請求項19】
前記少なくとも1つの孔は、別の孔と交差し、前記少なくとも1つの孔及び前記別の孔は、組み合わせ孔を共同で画定する、請求項18に記載の骨プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、Bosshardらの名で、2018年3月20日に出願された米国特許出願第15/926,390号、及びBosshardらの名で2018年3月29日に出願された米国特許出願第15/940,761号に関連し、これらのそれぞれの開示は、本明細書にその全体が記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、骨プレート及び骨プレートに結合するための骨アンカーに関し、特に、骨アンカーの頭部と係止するための骨プレートの固定孔内に画定されたねじ付き係止構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
骨折の内部固定のための骨プレートシステムは周知である。従来の骨プレートシステムは、骨折の治癒を促進するのに特によく適している。骨ねじなどの骨アンカーは、骨プレートの固定開口部又は孔を通って挿入され、骨にねじ込まれて、骨折端部を一緒に圧縮、中和、バットレス、張力屈曲、及び/又はブリッジする。1つの骨折した骨部分からプレートを越えてプレートに対して骨を引くことなく別の骨折した骨部分の上に荷重を伝達するために、またプレートに関して骨ねじを緩める又は引く(これは、不十分なアライメント及び不十分な臨床結果につながる可能性がある)ことを回避するために、骨プレートを係止することができる骨ねじを用いることができる。そのようなねじの1つの既知の実施形態は、ねじをプレートに係止するために、固定孔の内面上の対応するねじ山と係合するための雄ねじを有するねじ頭を用いる。これらのねじは、以下、「係止ねじ」又は「係止圧迫ねじ」と称され、中心ねじ軸が中心孔軸と実質的に整列されている、実質的に「公称」配向でのみ固定孔内に係止するように構成された標準型係止ねじ、並びに中心ねじ軸がそれぞれの中心孔軸に対して鋭角をなして配向される、公称配向又は「角度付けされた」配向のいずれかで固定孔内に係止するように構成された「可変角度」(VA)係止ねじを含み得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態によれば、骨プレートは、軸方向に沿って配向された中心孔軸に沿って、骨プレートを通って上部プレート表面から下部プレート表面まで延在する少なくとも1つの孔を含む。少なくとも1つの孔は、骨プレートの内面によって画定される。内面は、内面の周囲に順次配置された複数の列と、列の間に周方向に位置する複数の凹部と、を更に画定する。各列は、それぞれが谷底と、谷底から第1の頂部まで延在する第1のねじ山表面と、谷底から第2の頂部まで延在する第2のねじ山表面と、を画定する複数のねじ山セグメントを画定する。第1のねじ山表面及び第2のねじ山表面の少なくとも一部分は、ねじ山角度で互いにオフセットされている。ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つのねじ山角度は、約5度~約59度の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
前述の概要、並びに本出願の例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付される図面と共に読まれることで、よりよく理解されるであろう。本出願の係止構造を例示する目的で、図面に例示的な実施形態が示されている。しかし、本出願が示される正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。図面は、以下のとおりである。
図1】本開示の一実施形態による、骨プレートと、骨プレートの係止孔内に配設された複数の係止ねじと、を含む骨固定システムの斜視図である。
図2】複数の骨セグメントに固着した、図1の切断線2-2に沿って取られた骨固定システムの断面側面図である。
図3図1及び2の骨プレートの係止孔の断面斜視図である。
図4図3の係止孔の別の断面斜視図である。
図5図3の係止孔の上面図である。
図6】係止孔の内面によって画定されたねじ付き係止構造体を示す、図5の切断線6-6に沿って取られた係止孔の側断面図であり、ねじ付き係止構造体は、係止骨ねじと係止するように構成されている。
図7図6に示されるねじ付き係止構造体の拡大断面図である。
図8】係止孔のうちの1つの内部で図1の骨プレートに係止されるように構成された可変角度(VA)係止ねじの頭部の側面図である。
図9】係止中の、図8に示されるVA係止ねじの頭部の雄ねじと図6に示される係止構造体の雌ねじとの間の、ねじ込み係合及び「タイミングエラー」補償を示す側断面図である。
図10】係止後の、VA係止ねじの頭部の雄ねじと図6に示される係止構造体の雌ねじとの間の、別のねじ込み係合並びに塑性及び弾性変形を示す側断面図である。
図11図6に示される係止孔内で公称配向で係止されている間の、図8のVA係止ねじの頭部の側断面図である。
図12図11の領域Nの拡大図であり、公称配向での係止中の、係止構造体の雌ねじのVA係止ねじの頭部の雄ねじに対する変形を示す。
図13図6に示される係止孔内で15度の角度で係止されている間の、図8のVA係止ねじの頭部の側断面図である。
図14図13の領域Nの拡大図であり、係止中の、係止構造体の雌ねじのVA係止ねじの頭部の雄ねじに対する変形を示す。
図15図6に示される係止孔内で15度の反対角度で係止されている間の、図8のVA係止ねじの頭部の側断面図である。
図16図15の領域Nの拡大図であり、係止中の、係止構造体の雌ねじのVA係止ねじの頭部の雄ねじに対する変形を示す。
図17】本開示の別の実施形態による、係止孔の側断面図である。
図18図17に示される係止孔の雌ねじの断面輪郭図である。
図19図17に示される係止孔内で公称配向で係止された、図8のVA係止ねじの頭部の部分側断面図である。
図20図17に示される係止孔内で15度の角度で係止された、VA係止ねじの頭部の部分側断面図である。
図21図17に示される係止孔内で15度の反対角度で係止された、VA係止ねじの頭部の部分側断面図である。
図22】本開示の別の実施形態による、係止孔の雌ねじの断面輪郭図である。
図23】本開示の別の実施形態による、係止孔の雌ねじの断面輪郭図である。
図24】雌ねじ山の谷底のねじ山経路が示されている、本開示の別の実施形態による係止孔の平面図である。
図25図3に示される可変角度係止孔と、可変角度係止孔部分に対して開放している圧縮孔と、を含む、組み合わせ孔を有する骨プレートの斜視図である。
図26図17に示される可変角度係止孔と、可変角度係止孔部分に対して開放している圧縮孔と、を含む、組み合わせ孔を有する骨プレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連する以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示は、本明細書に記載する及び/又は示す特定の装置、方法、用途、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を記載する目的のためだけのものであり、本開示の範囲を制限することを意図するものではないことを理解されたい。また、添付の請求項を含む明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含み、特定の数値への言及は、文脈により明確に別様に指示されない限り、少なくともこの特定の値を含む。
【0007】
「複数」という用語は、本明細書で使用される場合、1つよりも多いことを意味する。値の範囲が表されている場合、別の実施形態においては、ある特定の値から、及び/又は他の特定の値までが含まれる。同様に、先行する「約」によって値が近似の形式で表現された場合、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。範囲はいずれも包括的であり、組み合わせが可能である。
【0008】
寸法、角度、及び他の形状に関して本明細書で使用される場合、用語「約」及び「実質的に」は、製造公差を考慮する。更に、用語「約」及び「実質的に」は、規定の寸法又は角度よりも10%大きい又は小さいものを含むことができる。更に、用語「約」及び「実質的に」は、規定された特定の値にも等しく適用することができる。
【0009】
標準型係止ねじ及びVA係止ねじは両方とも、本明細書で「タイミングエラー」と称される現象を受けやすく、それによって、骨プレーティング処置に関する要因は、骨プレートを通って延在する係止孔の対応する雌ねじに対する、骨ねじの頭部の雄ねじ間の軸方向の位置ずれを生じさせる可能性がある。更に、VA係止ねじは、特に、VA係止ねじが角度付けされた配向で係止孔に挿入される場合、それらが挿入される係止孔内に交差ねじ切りを生じさせる傾向がある。交差ねじ切りは、係止孔の雌ねじ内に嵌合せず、したがって係止孔の雌ねじを交差ねじ切りする、ねじ頭上の雄ねじによって引き起こされ得る。ねじ頭ねじ山の頂部と雌ねじの一部との間の接触領域、特に雌ねじの頂部又はその付近の接触領域は、特に、交差ねじ切りを受けやすい可能性がある。タイミングエラー及び交差ねじ切りは、開口の雌ねじとねじ頭ねじ山との間の締まり嵌め(「形状嵌合」とも称される)を低減し、ねじ頭と係止孔との間の安定性を低下させ得るため、問題となる。本明細書に開示される実施形態は、係止孔内で使用される係止構造体に関するものであり、この係止構造体は、ねじ頭頂部との接触を回避又は少なくとも低減することができる幾何学的形状を有する雌ねじを画定する。雌ねじはまた、タイミングエラーに応答して、孔の中心軸に沿った方向に変形することができる。このようにして、本明細書に記載されるねじ付き係止構造体は、標準型及びVA係止ねじの両方の頭部と、交差ねじ切りを阻害する又は少なくとも低減する方法で係止することができる。
【0010】
図1を参照すると、骨固定システム2は、可変角度(VA)係止孔6などの1つ以上の固定孔を画定するプレート本体5を有する骨プレート4を含む。VA係止孔6は、骨プレート4を骨の1つ以上の部分に固着するように構成された、例えば係止ねじ8などのアンカー部材を受容するように構成されている。プレート本体5は、VA係止孔6内に雌ねじ9を画定する。したがって、雌ねじ9は、「プレート孔ねじ」又は単に「プレートねじ」又は「孔ねじ」とも称され得る。孔ねじ山9は、VA係止孔6内に画定された列26などの係止構造体を横断する。したがって、係止構造体及び列26は、それぞれ「ねじ付き係止構造体」及び「ねじ付き列」と称され得る。ねじ付き列26は、VA係止孔6内に係止ねじ8を挿入する間、係止ねじ8のねじ軸25が列26を迂回するように構成されており、これにより、以下により詳細に記載されるように、係止ねじ8と骨プレート4との間の係止係合を強化する方法で、係止ねじ8のねじ頭27上の雄ねじ29と係合する。
【0011】
骨プレート4は、示されるように、ブリッジプレートであり得るが、他の骨プレートの種類及び構成は、本開示の範囲内である。プレート本体5は、長手方向Xに沿って互いに離間された第1の端部10及び第2の端部12と、長手方向Xに対して実質的に垂直な横方向Yに沿って互いに離間された第1の側面14及び第2の側面16と、を画定することができる。骨プレート4はまた、骨から離れる方向に面するように構成された上部プレート表面18と、骨に面するように構成された反対側の下部プレート表面20と、を画定することができる。上部プレート表面18及び下部プレート表面20は、長手方向X及び横方向Yの各々に対して実質的に垂直な垂直方向Zに沿って互いに離間されている。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「長手方向」、「長手方向に」、及びその派生語は、長手方向Xを指し、用語「横方向」、「横方向に」、及びそれらの派生語は、横方向Yを指し、用語「垂直」、「垂直に」、及びそれらの派生語は、垂直方向Zを指すことを理解されたい。
【0013】
VA係止孔6は、中心孔軸22に沿って、上部プレート表面18から下部プレート表面20まで軸方向に延在する。図示した実施形態では、中心孔軸22は垂直方向Zに沿って配向されるが、他の実施形態では、VA係止孔6のうちの1つ以上の中心孔軸22は、垂直方向Zに対して斜めの角度で配向され得る。本明細書で使用するとき、「軸方向」は、中心孔軸22が延在する方向として定義される。更に、方向用語「軸方向」、「軸方向に」、及びそれらの派生語は、軸の方向を指す。したがって、本明細書で使用される場合、方向用語「軸方向上方」及びその派生語は、下部プレート表面20から上部プレート表面18に向かう軸方向を指す。逆に、用語「軸方向下方」及びその派生語は、上部プレート表面18から下部プレート表面20に向かう軸方向を指す。したがって、「軸方向上方」及び「軸方向下方」はそれぞれ、双方向である「軸方向」の単方向成分である。
【0014】
プレート本体5及び係止ねじ8は各々、非限定的な例として、チタン、チタン合金(例えば、チタン-アルミニウム-ニオブ(TAN)合金、例えばTi-6Al-7Nb)、ステンレス鋼、コバルト基合金、複合材料、並びにポリマー材料及び/又はセラミック材料などの、1つ以上の生体適合性材料を含むことができる。好ましくは、プレート本体5の材料は、係止ねじ8の材料よりも硬くない。このパラメータは、以下で説明する係止特性に寄与する。1つの例示的な実施形態では、プレート本体5は、主に又は全体的にチタンを含み、係止ねじ8は、主に又は全体的にTANを含む。
【0015】
ここで図2を参照すると、VA係止孔6は、必要に応じて、医師が骨プレート4を1つ以上の骨又は骨セグメントに埋め込むことを可能にするように、それぞれが任意で様々な長さを有する標準型係止ねじ8a及びVA係止ねじ8bなどの複数のタイプの係止ねじ8との強化された固着を提供するように構成することができる。非限定的な例として、示されるように、骨プレート4は、骨の骨折したセグメント101、102を一緒に固着する様式で、係止ねじ8a、8bを介して長骨100に連結され得る。本明細書に記載されるVA係止孔6は、公称配向で標準型係止ねじ8aと係止することができ、それによってその中心ねじ軸23は、中心孔軸22と実質的に整列する。VA係止孔6は、中心ねじ軸23がそれぞれの中心孔軸22に対して鋭角A1に配向される、公称配向又は「角度付けされた」配向のいずれかで、VA係止ねじ8bと係止することもできる。鋭角A1はまた、「角度付けの角度」又は単に「角度付け」と称され得る。両方のタイプの係止ねじ8a、8b、及びそれらの係止機能は、上記で参照された米国特許出願第15/926,390号及び第15/940,761号と共に、Chanらの名義で2016年4月19日に発行された米国特許第9,314,284号(「Chan Reference」)においてより完全に記載されており、この開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
骨プレーティングの手術中、係止ねじ8のねじ軸25は、VA係止孔6のうちの1つを通って挿入され、下にある骨100内に打ち込まれ得る。具体的には、係止ねじ8の回転により、そのねじ付きねじ頭27がVA係止孔6とねじ式に嵌合する。その結果、ねじ頭27は、下にある骨100に対する圧縮力を骨プレート4に実質的に加えることなく、骨プレート4を下にある骨100に締結する。骨プレート4は、ねじ付きねじ頭27に係止された際、下にある骨100から離間していてもよい。あるいは、骨プレート4は、ねじ付きねじ頭27に係止された際、下にある骨100に当接してもよい。
【0017】
プレーティング手術中、VA係止孔6のうちの1つを通って下にある骨100内に挿入される第1の係止ねじ8は、ねじ頭ねじ山29の頂部が孔ねじ山9のトラフに実質的に沿って螺旋状に前進するように、孔ねじ山9と概ね嵌合することができるという利益を有することを理解されたい。しかしながら、第1の係止ねじ8が骨プレート4に係止され、それによってプレート4を下にある骨100に締結すると、後続の係止ねじ8は、多くの場合、孔ねじ山9のトラフに沿って、それらの雄ねじ山の頂部を螺旋状に前進させる能力を欠く。この結果は、これらの後続の係止ねじ8のねじ軸25がVA係止孔6を通って前進し、下にある骨100にねじ込まれると、ねじ頭ねじ山29及び孔ねじ山9の相対的な軸方向位置は、実質的に、下にある骨100とのねじのねじ込み手がかりの関数であるためである。ねじ頭ねじ山29の孔ねじ山9に対する軸方向のずれは、本明細書では「タイミングエラー」と称される。以下により詳細に記載されるように、ねじ付き列26、したがって孔ねじ山9は、係止ねじ8に関連するタイミングエラーに対応するように軸方向に変形するように構成することができる。そのような変形は、VA係止孔6内の交差ねじ切りを抑制するか、又は少なくとも低減することができる。
【0018】
ここで図3及び4を参照すると、VA係止孔6のそれぞれは、プレート本体5の内面24によって画定することができる。あるいは、内面24は、プレート本体5の軸方向開口部内に適合されたインサートによって画定され得る。典型的には、内面24の少なくとも一部分は、軸方向下方に延在するにつれてテーパ状になる。したがって、内面24は、ねじ頭27がVA係止孔6を完全に通過することを防止するように構成されている。
【0019】
内面24は、列26を画定することができる。列26は、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間で軸方向に延在する。VA係止孔6のそれぞれ(又は少なくとも一部)内で、列26は、内面24の周囲に順次配置される。内面24はまた、列26の間に周方向に順次配置された複数の凹部28を画定する。凹部28は、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間で軸方向に延在する。列26及び凹部28は、VA係止孔6内の内面24の周囲に均等に離間配置され得る。しかしながら、他の実施形態では、列26及び/又は凹部28は、VA係止孔6の周囲に不均等に離間配置されてもよい。
【0020】
内面24は、上部プレート表面18との境界面において、VA係止孔6の上部外周部30と、下部プレート表面20との境界面において、VA係止孔6の下部外周部32と、を画定することができる。上部外周部30及び下部外周部32は、それぞれ円形状であり得るが、他の形状も本開示の範囲内である。内面24はまた、上部外周部30から1つ以上の列26まで軸方向下方にテーパ状になる導入面34を画定することができる。図示されるように、導入面34は、1つ以上の凹部28によって周方向に中断され得る。あるいは、導入面34は、周方向に連続的に、かつ中心孔軸22を中心とした完全な一周に沿って途切れずに延在することができる。内面24はまた、下部外周部32から軸方向上方にテーパ状になるアンダーカット面36を画定することができる。アンダーカット面36は、周方向に連続的に、かつ中心孔軸22を中心とした完全な一周に沿って途切れずに延在することができる。あるいは、アンダーカット面36は、1つ以上の凹部28によって周方向に中断され得る。
【0021】
ここで図5及び6を参照すると、例示的な実施形態では、VA係止孔6は、中心孔軸22の周りに均等に離間配置された3つの列26及び3つの凹部28を含むことができる。列26は、第1の列26aと、第2の列26bと、中心孔軸22の周りに均等に離間配置された第3の列26cと、を含むことができる。凹部28は、第1の列26aと第2の列26bとの間に周方向に位置する第1の凹部28aと、第2の列26bと第3の列26cとの間に周方向に位置する第2の凹部28bと、第3の列26cと第1の列26aとの間に周方向に位置する第3の凹部28cと、を含むことができる。他の実施形態では、それぞれ3つ未満又は3つを超える列26及び凹部28があり得ることを理解されたい。
【0022】
図5に示されるように、第1の凹部28aは第1の凹部軸37aを画定することができ、第2の凹部28bは第2の凹部軸37bを画定することができ、第3の凹部28cは第3の凹部軸37cを画定することができる。各凹部軸37a~37cは、中心孔軸22と平行であり得るが、凹部軸37a~37cの他の配向も可能である。各凹部軸37a~37cもまた、中心孔軸22から径方向距離R1だけ径方向に離間されてもよい。凹部28a~28cのそれぞれは、それぞれの凹部軸37a~37cと一致する中心円錐軸を画定する、下向きにテーパ状となる円錐台形形状の一部分を画定することができる。凹部28a~28cの円錐台形形状は、実質的に同一であってよい。図示された実施形態では、円錐台形形状はそれぞれ、直円錐の錐台であるが、他の凹部形状を採用することもできる。各凹部28は、径方向最外領域又はトラフ39を画定する。各トラフ39は、中心孔軸22も含む平面内に位置し得る。図6の1つのそのような平面に示されるように、トラフ39は、中心開口軸22に対して約5度~約30度の範囲内の鋭角A2で配向され得る。凹部28は、VA係止孔6を通って延在し、かつ中心孔軸22に直交する任意の基準平面で測定したときに、トラフ39がVA係止孔6の径方向最外位置を画定するように構成され得る。
【0023】
各列26は、中心孔軸22に実質的に面する第1の表面42を画定することができる。第1の表面42はまた、列26の「最内表面」とも称され得る。列26の第1の表面42は、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間で概ね軸方向に延在することができる。各列26の第1の表面42はまた、列26の第1の面44と周方向に対向する第2の面45との間に延在することができる。各列26の第1の面44及び第2の面45は、列26と周方向に隣接する凹部28との間の境界面を画定することができる。例えば、第1の列26aの第1の面44は、第1の列26aと第3の凹部28cとの間の境界面を画定することができる。第1の列26aの第2の面45は、第1の列26aと第1の凹部28aとの間の境界面を画定することができ、第2の列26bの第1の面44は、第2の列26bと第1の凹部28aとの間の境界面を画定することができ、以下、内面24の周囲に沿って同様である。列26の第1の表面42は、中心孔軸22と一致する中心円錐軸を画定する、別の下向きにテーパ状になる円錐台形形状のセグメントを集合的に画定することができる。
【0024】
孔ねじ山9は、列26及び凹部28の少なくとも一部を通って、上部プレート表面18と下部プレート表面20との間の1つ以上のねじ山経路に沿って延在する。1つ以上のねじ山経路は、単一のねじ山経路(すなわち、シングルリード)、一対の交差していないねじ山経路(すなわち、ダブルリード)、又は3つ以上のねじ山経路(例えば、トリプルリードなど)であり得る。ねじ山経路は螺旋状であってもよい。凹部28の一部は、図示されるように、VA係止孔6の周囲に離間配置された複数のねじ付き領域50を画定するように、任意で孔ねじ山9を周方向に中断することができる。各ねじ付き領域50は、ねじ山経路に沿って延在する1つ以上のねじ山セグメント52を担持する。ねじ山セグメント52のうちの軸方向に整列されたものは、列ねじ山54を画定するように、列26の対応する1つを横断することができる。
【0025】
図6を参照すると、各列26の第1の表面42は、列26の第1の面44と第2の面45との間に周方向に均等に配置された列中心線46を画定することができる。列26の列中心線46は、中心孔軸22も含むそれぞれの平面内に位置することができる。各列において、列中心線46は、列ねじ山54の頂部56に沿って延在することができる。したがって、列中心線46はまた、それぞれの列ねじ山54の「頂部中心線」とも称され得る。谷底中心線48は、列ねじ山54の谷底58に沿って延在し得る。各列26において、頂部中心線46及び谷底中心線48は両方とも、孔軸22を含む単一の平面内に位置することができる。頂部中心線46は、中心開口軸22に対して約5度~約30度の範囲の鋭角A3で配向され得る。谷底中心線48も、中心開口軸22に対して約5度~約30度の範囲の鋭角A4で配向され得る。頂部中心線46及び谷底中心線48は、図示されるように平行であり得る。列ねじ山54はまた、頂部中心線46及び谷底中心線48並びに中心孔軸22を有する共通の平面内に位置することができるねじ山中央線60を画定することができる。ねじ山中央線60は、中心開口軸22に対して約5度~約30度の範囲の鋭角A5を画定することができる。図示された実施形態では、ねじ山中央線60は、頂部中心線46及び谷底中心線48に平行であり、かつそれらの間で均等に離間配置されている。他の実施形態では、列26の頂部中心線46及び谷底中心線48は、互いに対して斜めの角度で配向され得ることを理解されたい。
【0026】
頂部中心線46は、中心孔軸22に直交しかつVA係止孔6の垂直中心に位置する基準平面Mに沿って測定される径方向距離R2だけ、中心孔軸22から径方向に離間され得る。したがって、基準平面Mは、VA係止孔6の軸方向「中間平面」として特徴付けることができる。ねじ山中央線60は、孔中間平面Mに沿って測定される距離R3だけ中心孔軸22から径方向に離間配置され得る。谷底中心線48は、孔中間平面Mに沿って測定される距離R4だけ中心孔軸22から径方向に離間配置され得る。距離R2は、列ねじ山54の平均頂部半径として特徴付けることができる。距離R3は、列ねじ山54の平均半径として特徴付けることができる。距離R4は、列ねじ山54の平均谷底半径として特徴付けることができる。
【0027】
ここで図7を参照すると、ねじ山セグメント52のそれぞれは、谷底58、谷底58から第1の、軸方向上方頂部56まで延在する第1のねじ山表面55を画定することができる。各ねじ山セグメント52はまた、谷底58から第2の、軸方向下方頂部56まで延在する第2のねじ山表面57を画定することができる。第1のねじ山表面55及び第2のねじ山表面57は、列ねじ山54のねじ山角度を画定する角度A6で互いにオフセットされている。ねじ山角度A6は、約20度~約40度の範囲、好ましくは約25度から約35度の範囲、より好ましくは約30度であり得る。
【0028】
孔ねじ山9がダブルリードねじである実施形態では、列ねじ山54は、それぞれ軸方向に沿って測定される、0.2mm~約0.6mmの範囲、好ましくは約0.4mmのねじ山ピッチP、及び約0.4mm~約1.2mmの範囲、好ましくは約0.8mmのねじ山リードLを画定することができる。列ねじ山54はまた、頂部中心線46から径方向Rに沿って谷底中心線48まで測定されるねじ山深さDを画定することができる。孔ねじ山9のピッチP及びリードLは、好ましくは、ねじ頭ねじ山29のピッチ及びリードに等しい。
【0029】
ここで図8を参照すると、上記のVA係止孔6は、標準型係止ねじ8a(図2)及びVA係止ねじ8bのねじ頭27との有益な嵌合特性を提供するように構成され得る。VA係止ねじ8bのねじ頭27は、雄ねじ頭ねじ山29を画定する概ね球状の外面66を有し得る。VA係止ねじ8bの雄ねじ頭ねじ山29は、ねじ山谷底75で測定される第1のねじ山輪郭74と、ねじ山頂部77で測定される第2のねじ山輪郭76と、を画定する。図示されるように、VA係止ねじ8bのねじ山輪郭74、76は、概ね球状であり、これはVA係止孔6内で前進するとき、ねじ頭27に係止機能を提供する。雄ねじ頭ねじ山29は、約60度のねじ山角度を有する。
【0030】
図9図17を参照して、VA係止孔6とVA係止ねじ8bとの間のねじ係合についてここで説明する。ねじ頭ねじ山29と孔ねじ山9との間のねじ係合の以下の説明は、単一のねじ付き列26を参照してなされるが、VA係止孔6の他の列26は、同様の協働的な方法でねじ頭ねじ山29と係合することができることを理解されたい。
【0031】
ここで図9を参照すると、列ねじ山54の軸方向の変形が示されており、これは、VA係止孔6とVA係止ねじ8bとの間のタイミングエラーを補償することができる。この例では、タイミングエラーにより、ねじ頭ねじ山29は軸方向下向きの力を列ねじ山54に伝達する。本明細書に開示される列ねじ山54は、特にその頂部56において、軸方向の可撓性を有するように構成されている。これにより、列ねじ山54は、伝達された軸方向下向きの力に応答して軸方向に変形することが可能になる。列ねじ山54の頂部56のうちの1つ以上は、ねじ山ピッチPの半分又はねじ山リードLをリード数で割ったものの半分に少なくとも実質的に等しい最大軸方向変形距離Z1において、下向き又は上向きに、そして非破壊的に変形するように構成することができる。したがって、最大軸方向変形距離Z1は、式:Z1=0.5(P)=0.5(L)/(Nリード)によって表すことができる。例示的な一実施形態によれば、リードLは0.8mmであり、ピッチPは0.4mmであり、列ねじ山54はダブルリード(N=2)であり、ねじ山頂部56の結果として生じる最大軸方向変形Z1は0.2mmである。列ねじ山54の軸方向の変形性は、タイミングエラーを回避するか、又は少なくとも低減することができ、したがって、VA係止孔6内での交差ねじ切りの発生を回避するか、又は少なくとも低減することができる。
【0032】
ここで図10を参照すると、例えば、VA係止ねじ8bを骨プレート4に係止するためなどの、列ねじ山54の径方向外側への変形が示されている。この実施例では、タイミングエラーは存在しない。VA係止孔6内へのねじ挿入の間、列ねじ山54は、VA係止孔6内の形状嵌合を実質的に達成するように、相互に連結する方法でねじ頭ねじ山29と係合する。この形状嵌合では、孔ねじ山9とねじ頭ねじ山29との間の接触は、主に、列ねじ山54のうちの1つ以上の頂部56と、1つ以上の関連するねじ頭ねじ山29の谷底75と、の間の係合を介して生じ得る。この種の頂部56から谷底75への接触は、少なくとも部分的に、ねじ頭ねじ山29のねじ山角度に対する列ねじ山54の浅いねじ山角度A6によってもたらされる。
【0033】
形状嵌合が達成されると、列ねじ山54に対するVA係止ねじ8bの更なる回転前進は、1つ以上の列ねじ山54の変形を、好ましくは頂部56で開始することができる。この変形は主に径方向外側に生じるが、軸方向及び/又は周方向の変形のいくつかの尺度は、ほとんどの場合タイミングエラーが存在するときに生じ得る。更に、径方向の変形は、1つ以上の列ねじ山54を、主にその谷底75において、関連するねじ頭ねじ山29に対して反作用圧縮力を及ぼす方法で圧縮する、塑性変形及び弾性変形を含むことができる。列ねじ山54の塑性及び弾性の径方向の変形性も、VA係止孔6内の交差ねじ切りを低減することができる。加えて、ねじ山角度A6及びねじ山深さDは、列ねじ山54内のねじ頭頂部77のクリアランスを提供することができ、これにより、列ねじ山54とねじ頭頂部77との間の接触を低減することができ、それによって交差ねじ切りを更に低減することができる。
【0034】
更に、1つ以上の列ねじ山54が径方向に変形すると、列ねじ山54(頂部56並びに上面55及び下面57を含む)とねじ頭ねじ山29(谷底75並びに上面78及び下面79を含む)との間の合計係合表面積が増加する。このようにして、列ねじ山54とねじ頭ねじ山29との間、したがってプレート4とVA係止ねじ8bとの間の物理的境界面も増加し、より安定した骨固定システム2を提供する。ねじ頭ねじ山29の谷底75との係合を介して列ねじ山54の頂部56を変形させるこの原理は、少なくともある程度は、上述のように、プレート本体5材料の硬度と比較してより硬い係止ねじ8材料を使用することによって達成される。
【0035】
図11図16を参照して、様々な角度付けでのVA係止孔6とVA係止ねじ8bとの間の係合についてここで説明する。
【0036】
ここで図11を参照すると、VA係止ねじ8bは、本実施形態のVA係止孔6内に公称配向で係止され得、その結果、プレート孔ねじ山9のねじ山頂部56は、適用された係止トルクに応じて弾性及び塑性変形を受ける。図11に示されるように、適用された係止トルクは依然として小さく、ねじ山頂部56の変形がちょうど始まったところである。ねじ8bがその中心ねじ軸23に沿って更に前進すると、係止トルク及びねじ山頂部56の変形は更に増加する。更に、図12の拡大図でより明確に示されるように、そのような係止は、干渉領域99に示されるように、頂部中心線46でねじ頭ねじ山29と接触している列26のねじ山セグメント52のうちの1つから始まり、2つまで続き得る。この有益な係止機構は、ねじ頭ねじ山29との接触に応答する、列ねじ山(単数又は複数)54の塑性及び弾性の径方向の変形によって少なくともある程度提供される。VA係止孔6は、ほぼ同様の方法で公称配向で挿入された標準型係止ねじ8aの頭部27と係合することができることを理解されたい。
【0037】
ここで図13及び14を参照すると、VA係止孔6は、VA係止ねじ8bが約15度の角度付けで挿入され、ねじ軸25が列26に向かって延在するとき、列26の列ねじ山54の上面55が、ねじ頭ねじ山29のうちの関連するものの上面78と実質的に平行であり得るように構成することができる。このような協働ねじ配向は、列ねじ山角度A6が約30度であり、ねじ頭ねじ山角度が約60度であるときに生じ得る。上述したように、頂部中心線角度A3及びねじ山深さDは、列ねじ山角度A6と協働して、ねじ頭ねじ山頂部77と列ねじ山54の谷底58との間のクリアランスを増大させることができる。更に、図示された角度付けでは、列ねじ山54とねじ頭ねじ山29との間の接触は、主に列ねじ山頂部56において、又は少なくともそれに近接して生じ得る。図14に示されるように、列ねじ山頂部56のそれぞれは、ねじ頭27との係合をもたらす方法で、干渉領域99においてねじ頭ねじ山29の一部に対して変形し得る。
【0038】
ここで図15及び16を参照すると、VA係止孔6は、VA係止ねじ8bが約15度の角度付けで挿入され、ねじ軸25が列26の反対側の凹部28のトラフ39に向かって延在するとき、列26の列ねじ山54の下面57が、ねじ頭ねじ山29のうちの関連するものの下面79と実質的に平行であり得るように構成することができる。前述したように、頂部中心線角度A3及びねじ山深さDは、列ねじ山角度A6と協働して、ねじ頭ねじ山頂部77と列ねじ山54の谷底58との間のクリアランスを増大させることができる。更に、図示された角度付けでは、列ねじ山54とねじ頭ねじ山29との間の接触は、主に列ねじ山頂部56において、又は少なくともそれに近接して生じ得る。図16に示されるように、列ねじ山頂部56のそれぞれは、ねじ頭27との係合をもたらす方法で、干渉領域99においてねじ頭ねじ山29の部分に対して変形し得る。
【0039】
非限定的な例として、頂部中心線角度A3、平均半径R2、R3、R4、ねじ山角度A6、ねじ山深さD、ねじ山ピッチP、及びねじ山リードLなどの、列26の特性の1つ以上が、所望の係止特性を提供するために必要に応じて調整され得ることを理解されたい。例えば、形状嵌合を低減するねじ形状の調整は、列ねじ山54の径方向の変形を増加させる調整によって相殺することができ、逆もまた同様である。
【0040】
次に図17~23を参照して、VA係止孔6の更なる実施形態について説明する。簡潔にするために、以下の説明は、主に、これらの実施形態と図1図16を参照して上述された実施形態との間の相違点に注目する。以下の説明は単一のねじ付き列26に焦点を当てているが、この説明は、VA係止孔6の他の列26に適用することができることを理解されたい。
【0041】
ここで図17及び18を参照すると、別の実施形態では、列ねじ山54は、複数のねじ山角度を画定することができる。例えば、各ねじ山セグメント52の第1のねじ山表面55及び第2のねじ山表面57はそれぞれ、第1の部分81及び第2の部分82を画定することができる。第1のねじ山表面55及び第2のねじ山表面57の第1の部分81は、谷底58からそれぞれの第2の部分82まで延在することができる。第2の部分82は、それぞれの第1の部分81からそれぞれの頂部56に向かって延在することができる。第1の部分81間の軸方向空間は、「谷底くぼみ」と称され得る。この実施形態では、第2の部分82間の軸方向空間は、「頂部領域」と称され得る。第1の部分81は第1のねじ山角度A7を画定することができ、第2の部分82は第2のねじ山角度A8を画定することができる。「谷底くぼみ角度」とも称され得る第1のねじ山角度A7は、約20度~約40度、又は約25度~約35度の範囲であり得る。第2のねじ山角度A8は、約45度~約90度の範囲であり得る。図示されるように、第1のねじ山角度A7は約30度であってよく、第2のねじ山角度A8は約60度であってよい。この実施形態の列ねじ山54は、「二重角度」ねじとして特徴付けることができる。
【0042】
本実施形態では、列26の設計は、任意で、図6及び7を参照して説明したものと実質的に同様であり得、主な違いは、本実施例の頂部56が図6及び7に示されるものに対して切頭されていることである。別の言い方をすれば、図16及び17に示される列26を提供する1つの方法は、図6及び7に示される列26から始め、頂部平均半径R2を増加させ第2のねじ山角度A8でねじ山部分82を形成するように、頂部56で本体4の材料を除去することである。したがって、本実施形態におけるねじ山深さDは、上述したものよりも浅いものとすることができる。これを補正するために、頂部中心線46は、ねじ山頂部56であまり変形が生じないため、任意で、上記実施形態よりも中心孔軸22から径方向に遠くに位置することができる。
【0043】
図19~21に示されるように、二重角度列ねじ山54の、特に頂部領域における幾何学的形状は、上記の実施形態と比較して、改善された形状嵌合を提供することができる。例えば、図19に示されるように、公称の角度付けでは、ねじ付き係止係合は、実質的に完全に形状嵌合による。谷底くぼみにおける幾何学的形状は、様々な角度で列ねじ山谷底58と頭部ねじ山頂部77との間にクリアランスを提供することができる。谷底のくぼみはまた、例えばVA係止ねじ8bがタイミングエラーで挿入されたときなどに、列ねじ山54が下向き又は上向きに変形することを可能にする軸方向変形性を列ねじ山54に提供することができる。しかしながら、本実施形態では、軸方向変形性は、上記実施形態におけるものよりも、頂部56においてあまり大きくない可能性がある。図20及び21に示されるように、列26に向かって15度離れた角度付けにおいて、列ねじ山54は、ねじ頭27との係止圧入を達成するように、干渉領域99において径方向外側に変形することができる。
【0044】
ここで図22を参照すると、更なる実施形態では、列ねじ山54は第3のねじ山角度A9を画定することができる。例えば、ねじ山セグメント52の第1のねじ山表面55及び第2のねじ山表面57はそれぞれ、それぞれの第2の部分82からそれぞれの頂部56まで延在する第3の部分83を画定することができる。この実施形態では、第3の部分83間の軸方向空間は、「頂部領域」と称され得る。第3のねじ山角度A9は、約70度~約179度、又は約80度~約100度の範囲であり得る。例示的な一実施形態では、第1のねじ山角度A7は約30度であってよく、第2のねじ山角度A8は約60度であってよく、第3のねじ山角度A9は約90度であってよい。
【0045】
ここで図23を参照すると、列ねじ山54は、頂部中心線46及び中心孔軸22を含む基準平面内に、弓形の輪郭を任意で画定することができる。例えば、非限定的な例として、第1のねじ山表面55及び第2のねじ山表面57はそれぞれ、非限定的な例として、インボリュート輪郭経路などの弓形輪郭経路に沿って、谷底中心線48から頂部中心線46まで径方向内側に延在することができる。このようにして、本実施形態の列ねじ山54は、谷底中心線48と頂部中心線46との間に様々なねじ山角度A10を画定する。谷底中心線48と頂部中心線46との間の任意の径方向位置RDにおける様々なねじ山角度A10は、以下のように定義することができる。様々なねじ山角度A10は、ねじ山中央線60に平行であり径方向位置RDと一致する基準線L3に沿ったそれぞれの位置L1、L2で第1のねじ山表面55及び第2のねじ山表面57と交差する一対の接線T1、T2間の角度である。そのような実施形態では、様々なねじ山角度A10は、例えば、頂部56として、谷底58に隣接する約5度の角度から、頂部56としての約179度の角度A10まで変化し得る。
【0046】
図22及び23に示される実施形態は、本明細書に開示される他の実施形態よりも軸方向変形性が低く、これらは、より良好な形状嵌合性並びにより低い塑性変形及び弾性変形を提供する。
【0047】
ここで図24を参照すると、更なる実施形態では、孔ねじ山9の谷底58は、頂部56が続くねじ山経路とは異なる谷底ねじ山経路150に従うことができる。具体的には、谷底ねじ山経路150は、中心孔軸22に直交する基準平面内で非円形スプライン輪郭を画定するように、中心孔軸22の周りを回転することができる。そのような一実施例において、基準平面で見たときのスプラインの曲率半径は、列26(RC1)においての方が、例えば凹部トラフ39のような、列26から離れた位置(RC2)においてよりも大きい。別の言い方をすれば、この実施例では、谷底ねじ山経路150は、多円錐スプラインに従い、谷底ねじ山経路150の曲率は、谷底中心線48などの列26において「平坦化」される。したがって、列26内で、ねじ頭ねじ山頂部77とねじ山谷底58との間の任意の接触は、より接線になる。このようにして、列26内の交差ねじ切りを更に低減又は回避することができる。
【0048】
ここで図25~26を参照すると、骨プレート4は、圧縮孔92と組み合わせて上述したVA係止孔6のうちの1つを含む、組み合わせ孔90(「コンビ孔」とも称される)を含むことができる。したがって、組み合わせ孔90の内面24は、それぞれ上部プレート表面18から下部プレート表面22まで延在するVA係止孔6及び圧縮孔92の両方を画定することができる。組み合わせ孔90のVA係止孔6及び圧縮孔92は、VA係止孔6の中心孔軸22及び圧縮孔92の中心孔軸94のうちの一方又は両方に垂直である方向に沿って、互いに対して開放していてもよい。組み合わせ孔90のVA係止孔6の中心孔軸22と圧縮孔92の中心孔軸94とは、長手方向Lに沿って、又は必要に応じて任意の好適な代替の方向に沿って、相互に整列され得る。
【0049】
したがって、骨プレート4の内面24はまた、組み合わせ孔90の圧縮孔92の圧縮面96を画定することができる。したがって、上部外周部30は、VA係止孔6及びVA係止孔6に対して開放しているねじ山のない圧縮孔92の各々に対する上部開口部を画定することができる。同様に、下部外周部32は、VA係止孔6及びVA係止孔6に対して開放しているねじ山のない圧縮孔92の各々に対する下部開口部を画定することができる。
【0050】
圧縮面96の少なくとも一部分から最大で全体は、ねじ山がなくてもよい。したがって、圧縮ねじのねじ山のない圧縮頭部は、骨プレート4に対して下にある骨100に向かって圧縮力を加えるように、骨プレート4、特に圧縮孔92内の圧縮面96に当接するように構成されている。
【0051】
一実施例では、圧縮面96は、圧縮孔92の中心孔軸94に対して軸方向に凹状であってもよい。例えば、圧縮面96は、皿形状又は球状であり得る。したがって、圧縮面96は、圧縮ねじの圧縮ヘッドと表面接触して配置されるように構成され得る。あるいは、圧縮面96は、中心孔軸94に向かって径方向内向きにテーパ状になるにつれて、軸方向に直線状であってもよい。組み合わせ孔90の更なる詳細、並びに組み合わせ孔における圧縮ねじの動作は、上記の米国特許出願第15/926,390号及び同第15/940,761号に記載されている説明に従うことができる。
【0052】
本開示を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、代用、及び改変を行い得る点を理解されたい。更に、本開示の範囲は、明細書に記載される特定の実施形態に限定されるものではない。当業者がそのプロセスから容易に理解するように、本明細書において説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発される機械、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本開示に従って利用され得る。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 骨プレートであって、
骨から離れる方向に面するように構成された上面と、前記骨に面するように構成された反対側の下面と、
中心孔軸に沿って前記骨プレートを通って前記上面から前記下面まで延在する少なくとも1つの孔と、を含み、前記中心孔軸は軸方向に沿って配向され、前記少なくとも1つの孔は前記骨プレートの内面によって画定され、前記内面は、前記内面の周囲に順次配置された複数の列と、前記列の間に周方向に位置する複数の凹部と、を更に画定し、前記列のそれぞれは、複数のねじ山セグメントを画定し、
前記ねじ山セグメントのそれぞれは、谷底と、前記谷底から第1の頂部まで延在する第1のねじ山表面と、前記谷底から第2の頂部まで延在する第2のねじ山表面と、を画定し、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面の少なくとも一部分は、ねじ山角度で互いにオフセットされ、
前記ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つの前記ねじ山角度は、約5度~約59度の範囲である、骨プレート。
(2) 前記ねじ山角度は約25度~約35度の範囲である、実施態様1に記載の骨プレート。
(3) 前記ねじ山セグメントの少なくとも大部分の前記ねじ山頂部は、前記少なくとも列の中心線と一致し、前記中心線は、前記中心孔軸を含む平面に沿って延在する、実施態様2に記載の骨プレート。
(4) 前記中心線は、前記中心孔軸に対して第1の角度で配向され、前記第1の角度は、約10度~約20度の範囲である、実施態様3に記載の骨プレート。
(5) 前記列の前記複数のねじ山セグメントは、1つ以上の螺旋状経路に沿って延在する、実施態様3に記載の骨プレート。
【0054】
(6) 前記1つ以上の螺旋状経路は、ダブルリード螺旋状経路を含む、実施態様5に記載の骨プレート。
(7) 前記ねじ山セグメントのうちの少なくとも1つは、前記軸方向に沿ってそれぞれの前記第1の頂部と前記第2の頂部との間にねじ山ピッチを画定し、それぞれの前記第1の頂部及び前記第2の頂部の一方又は両方は、前記ねじ山ピッチの半分に等しい前記軸方向に沿った距離まで、非破壊的に撓むように構成されている、実施態様6に記載の骨プレート。
(8) 前記1つ以上の螺旋状経路は、各ねじ山セグメントの前記第1の頂部及び前記第2の頂部のうちの少なくとも1つと一致し、各ねじ山セグメントの前記谷底は、前記中心孔軸の周りの第2の経路に沿って延在し、前記第2の経路の曲率半径は、前記列から離れた位置においてよりも前記列において大きい、実施態様5に記載の骨プレート。
(9) 前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面はそれぞれ、第1の部分及び第2の部分を画定し、前記第1の部分は、前記谷底から前記第2の部分に向かって延在し、前記第2の部分は、前記第1の部分からそれぞれの前記第1の頂部又は前記第2の頂部に向かって延在し、
前記ねじ山角度は、それぞれの前記第1の部分の間で測定された第1のねじ山角度であり、
それぞれの前記第2の部分は、前記第1のねじ山角度とは異なる第2のねじ山角度で互いにオフセットされている、実施態様2に記載の骨プレート。
(10) 前記第2のねじ山角度は約45度~約90度の範囲である、実施態様9に記載の骨プレート。
【0055】
(11) 前記第1のねじ山角度は約30度であり、前記第2のねじ山角度は約60度である、実施態様9に記載の骨プレート。
(12) 前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面はそれぞれ、前記第2の部分から前記それぞれの第1の頂部又は第2の頂部まで延在する第3の部分を画定し、
それぞれの前記第3の部分は、前記第2のねじ山角度とは異なる第3のねじ山角度で互いにオフセットされている、実施態様9に記載の骨プレート。
(13) 前記第3のねじ山角度は約70度~約179度の範囲である、実施態様12に記載の骨プレート。
(14) 前記第1のねじ山角度は約30度であり、前記第2のねじ山角度は約60度であり、前記第3のねじ山角度は約90度である、実施態様12に記載の骨プレート。
(15) 前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面はそれぞれ、前記谷底と前記それぞれの第1の頂部又は第2の頂部との間のそれぞれのインボリュート曲線に沿って延在し、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面は、前記第1のねじ山表面及び前記第2のねじ山表面とそれぞれ交差する、一対の接線の間で測定される様々なねじ山角度を画定し、前記様々なねじ山角度は、前記谷底に隣接する約5度から前記頂部における179度の範囲で変化する、実施態様12に記載の骨プレート。
【0056】
(16) 各列の少なくとも1つの頂部は、前記少なくとも1つの孔に挿入された係止ねじの少なくとも1つのねじ山とねじ係合することに応答して、前記中心孔軸から前記軸方向に垂直な径方向に沿って外向きに変形するように構成されている、実施態様1に記載の骨プレート。
(17) 前記複数の列は3つの列を含み、前記複数の凹部は3つの凹部を含む、実施態様1に記載の骨プレート。
(18) 前記凹部のそれぞれは、前記中心孔軸から前記軸方向に垂直な径方向に沿って離間した凹部軸を画定し、各凹部軸は前記中心孔軸と平行である、実施態様17に記載の骨プレート。
(19) 前記凹部軸は前記中心孔軸から等距離であり、各凹部は、それぞれの前記凹部軸と一致する中心円錐軸を有する円錐台形形状の一部分を画定し、前記円錐台形形状は、直円錐の前記錐台である、実施態様18に記載の骨プレート。
(20) 前記少なくとも1つの孔は、別の孔と交差し、前記少なくとも1つの孔及び前記別の孔は、組み合わせ孔を共同で画定する、実施態様19に記載の骨プレート。
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