(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】コヒーレンスゲーテッド光音響リモートセンシング(CG-PARS)
(51)【国際特許分類】
G01N 21/00 20060101AFI20240213BHJP
G01N 21/45 20060101ALI20240213BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240213BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240213BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20240213BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240213BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240213BHJP
【FI】
G01N21/00 A
G01N21/45 Z
A61B10/00 E
A61B1/00 526
A61B1/00 530
A61B1/00 525
A61B1/00 510
A61B1/313 510
A61B1/313
A61B1/045 617
A61B1/00 511
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2020561953
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 IB2018057585
(87)【国際公開番号】W WO2019145764
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-09-17
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520277531
【氏名又は名称】イルミソニックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ILLUMISONICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゼンプ, ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ハジ レザ, パーシン
(72)【発明者】
【氏名】ベル, ケヴァン
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-519281(JP,A)
【文献】特開2001-228122(JP,A)
【文献】特開2014-073207(JP,A)
【文献】特開2013-244122(JP,A)
【文献】特開2016-007256(JP,A)
【文献】特開2015-161527(JP,A)
【文献】特開2014-002318(JP,A)
【文献】特表2002-505427(JP,A)
【文献】特開平03-269346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00- G01N 21/01
G01N 21/17- G01N 21/61
G01N 29/00- G01N 29/52
A61B 1/00- A61B 1/32
A61B 3/10
A61B 8/00- A61B 8/15
A61B 10/00
A61B 34/20
G01B 9/02- G01B 9/029
G01B 11/00- G01B 11/30
G01B 17/00- G01B 17/08
G02B 21/00
G02B 21/06- G02B 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル内の詳細を可視化するコヒーレンスゲーテッドセンシングシステムであって、
励起位置において前記サンプル内の信号を生成する少なくとも1つの励起ビームを生成するように構成された1つ以上のレーザ源と、
前記1つ以上のレーザ源は、インタロゲーション位置において前記サンプルに入射する少なくとも1つのインタロゲーションビームを生成するようにも構成され、生成された前記信号を示す前記少なくとも1つのインタロゲーションビームの一部が、前記サンプルから戻り、
励起位置において前記サンプルに前記少なくとも1つの励起ビームを
集束させ、か
つ前記インタロゲーション位置においてサンプル経路に沿って前記サンプルに前記少なくとも1つのインタロゲーションビームを集束させる光学システムであって、
前記励起位置及び前記インタロゲーション位置は、前記サンプルの表面の下にあり、及び前記サンプル内にある、前記光学システムと、
前記1つ以上のレーザ源は、参照経路に沿って参照ビームを生成するようにも構成されており、
前記少なくとも1つのインタロゲーションビームと前記参照ビームとの間の相対的な位相シフトまたはシフトを比較するように構成された干渉計と、
を備えた、コヒーレンスゲーテッドセンシングシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のレーザ源は、前記参照ビームに対して位相シフトされた1つ以上の追加の参照ビームを生成するように構成され、前記干渉計は、前記参照ビーム及び前記1つ以上の追加の参照ビームを使用して、戻り部分を分離し、前記1つ以上の追加の参照ビームは、異なる経路長、遅延ライン、1つ以上の波長板、離散補正媒体、または1つ以上の循環機のうちの少なくとも1つによって位相シフトされ、前記1つ以上の追加の参照ビームは、前記少なくとも1つのインタロゲーションビームと並んで検出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
組み合わされた参照経路及びサンプル経路を検出するように構成された検出器と、
前記サンプルから戻る前記少なくとも1つのインタロゲーションビームの一部を前記参照ビームと比較するように構成された少なくとも1つの光学コンバイナと
を更に備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
励起ビームにより信号が生成される前の第1のインタロゲーションイベントにおいて、前記サンプルから戻る前記少なくとも1つのインタロゲーションビームの一部と前記参照ビームとの間の比較を解釈し、
励起ビームにより信号が生成される間又は後に発生する第2のインタロゲーションイベントにおいて、前記サンプルから戻る前記少なくとも1つのインタロゲーションビームの一部と前記参照ビームとの間の比較を解釈し、
前記第1のインタロゲーションイベント及び前記第2のインタロゲーションイベントの解釈に基づいて、深度分解光吸収を決定するプロセッシングユニットを更に備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記生成された信号は、熱信号および/または圧力信号を含むとともに、超音波信号および/または光音響信号のうちの少なくとも1つを含み、前記サンプルから戻る前記インタロゲーションビームの一部により、前記生成された信号が、強度変化、偏波変化、位相変化、蛍光変化、非線形散乱の変化、または非線形吸収の変化のうちの1つまたは複数として符号化され、媒体を結合する超音波が使用されておらず、少なくとも1つのレーザ源は、(i)パルス状インタロゲーション源、急速変調連続波源、または掃引レーザ源、および(ii)狭帯域パルス源または広帯域パルス源、または強度変調された狭帯域連続波源または広帯域連続波源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前臨床腫瘍モデルについて血管新生を撮像すること、
多波長光音響励起を用いて酸素飽和度を推定すること、
パルス酸素飽和度測定を使用することができない場合に静脈酸素飽和度を推定すること、
脳静脈酸素飽和度および/または中心脈酸素飽和度を推定すること、
酸素流量および/または酸素消費量を推定すること、
組織の領域に及び組織の領域から流れる血管における血流を推定すること、
マイクロ循環及びマクロ循環並びに色素細胞の臨床イメージング、
眼のイメージング、
蛍光眼底血管造影検査を増強または置き換えること、
皮膚病変のイメージング、
悪性黒色腫のイメージング、
基底細胞癌のイメージング、
血管腫のイメージング、
乾癬のイメージング、
湿疹のイメージング、
皮膚炎のイメージング、
モース手術のイメージング、
腫瘍境界切除を検証するためのイメージング、
末梢血管疾患のイメージング、
糖尿病および/または圧迫潰瘍のイメージング、
熱傷のイメージング、
形成外科、
顕微鏡手術、
腫瘍細胞の循環のイメージング、
悪性黒色腫細胞のイメージング、
リンパ節血管新生のイメージング、
光力学的療法に対する応答のイメージング、
血管除去機構を有する光線力学的療法に対する応答のイメージング、
化学療法に対する応答のイメージング、
血管新生抑制薬に対する応答のイメージング、
放射線治療に対する応答のイメージング、
血管床並びにバレット食道および/または大腸癌における浸潤の深度のイメージング、
脳外科手術の間の機能イメージング、
内出血及び/または焼灼検証の評価、
臓器及び/または臓器移植のかん流の充足レベルのイメージング、
膵島移植の周りの血管形成のイメージング、
植皮のイメージング、
血管新生及び/または免疫拒絶を評価する組織スキャフォールド及び/または生体材料のイメージング、
顕微鏡手術を支援するイメージング、
血管及び/または神経を切除することを回避する案内、
臨床または事前臨床用途における造影剤のイメージング、
歩哨リンパ節の識別、
リンパ節内の腫瘍の非侵襲的または低侵襲的同定、
遺伝的に符号化されたレポータのイメージング、遺伝的に符号化されたレポータは、事前臨床または臨床分子イメージング用途のためのチロシナーゼ、色素タンパク、および/または蛍光タンパク質を含む、
分子イメージングに関して能動的または受動的に標的化された光学吸収ナノ粒子のイメージング、
凝血のイメージング、
凝固の期間の診断、
カテーテル治療手順の置き換え、
消化器の用途、
視野全体にわたる単一励起パルスイメージング、
組織のイメージング、
細胞のイメージング、
散乱光の吸収誘起変化のイメージング、または
光吸収の非接触イメージング
のうちの1つまたは複数のために使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
蛍光マイクロスコピ、2光子及び共焦点蛍光マイクロスコピ、コヒーレント反ラマンストークスマイクロスコピ、ラマンマイクロスコピ、または光学コヒーレンストモグラフィと組み合わせて、請求項1に記載のコヒーレンスゲーテッドセンシングシステムを備えたシステム。
【請求項8】
前記システムは、深度依存コントラストを提供するように構成され、前記深度依存コントラストは、前記少なくとも1つの励起ビームの光吸収に正比例する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのインタロゲーションビームのコヒーレンス長は、前記少なくとも1つの励起ビームの焦点の深度よりも短い、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、OCT信号を使用して初期圧力と関連付けられた屈折率変化を検出するように構成され、前記システムは、複数の検出器により直列または並列のいずれかで、少なくとも2つの取得したものを使用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
励起パルスによりまたは励起パルスなしにOCTAスキャンを取得するように構成された分光器を更に備え、前記分光器は、ナノ秒スケールの吸収によって誘起される屈折率の変化を捕捉するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのインタロゲーションビームは、捕捉時間が100ナノ秒(100ns)未満となるように十分に短いパルスを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのインタロゲーションビームの戻り部分に基づいて前記サンプルの画像を計算するプロセッサと、
励起ビームにより前記サンプル内の信号が生成された後の所定の時間に生成された信号を検出するように構成された時間ゲーティングシステムと、
をさらに備え、前記所定の時間は、生成された信号が所定の空間分解能まで伝搬する時間以下である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のレーザ源は、前記少なくとも1つの励起ビームを生成するように構成された励起ビーム源と、前記少なくとも1つのインタロゲーションビームを生成するように構成されたインタロゲーションビーム源とを含み、前記時間ゲーティングシステムは、
前記生成された信号を検出するためのゲーテッドカメラ露光、
前記励起ビームにより信号が生成された後、所定の数ナノ秒以内に前記生成された信号を測定するように構成されたパルスシーケンサおよび取得システム、
ナノ秒スケールの応答時間の間に所定の時間ウインドウ内で前記インタロゲーションビームの戻り部分のみを捕捉するように構成された光シャッタもしくは電子シャッタ、または
時間領域信号を電子的に捕捉するように構成されたフォトダイオードアレイを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
励起ビームにより信号が生成されない第1のインタロゲーションイベントと、励起ビームにより信号が生成される第2のインタロゲーションイベントとの間の差に基づいて深度分解光吸収を決定するように構成されたプロセッサを更に備えた、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2018年1月26日に出願された米国仮特許出願第62/622,816に対する米国特許法第119条の下での優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は、光学イメージングの分野に関し、特に、生体内、生体外、または試験管内の生物組織の非接触イメージングに対するレーザベースの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に示される米国特許及び米国特許出願公開の全体は、参照によって明確に組み込まれる。
光音響イメージングは、高空間分解能による光学コントラストをもたらす新たなハイブリッドイメージング技術である。組織に出射されたナノ秒またはピコ秒のレーザパルスは、熱弾性誘導音響波を発射し、それは、高分解能画像を形成するよう検出及び再構築される。
【0004】
光音響トモグラフィ(PAT)、音響分解能光音響マイクロスコピ(AR-PAM)と称されることがある光音響マイクロスコピ(PAM)、及び光学分解能光音響マイクロスコピ(OR-PAM)を主に含む、複数の具体化に光音響イメージングが発展してきた。PATでは、信号は、複数のトランスデューサ位置から収集され、超音波(US)またはX線コンピュータ処理トモグラフィ(CT)と同様の方式においてトモグラフィ画像を形成するよう再構築される。PATと他の2つの様式との間の差の1つは、再構築を促進するために、サンプルに関する推定が行われることであり、典型的に、これは、サンプル内で音響伝播速度を推定することを伴う。PAMでは、典型的には、音響集束をもたらす光音響信号を収集するために、単一要素集束高周波数超音波トランスデューサが使用される。このトランスデューサは、励起ビームに沿って、体積イメージングを実行するよう、サンプルの周りで横方向にスキャンされることがある。PAT及びPAMの両方は典型的には、非集束励起ビームを使用して実装される。両方の様式は、音響制限された分解能を提供し、表面光学露光制限及び音響減衰によって制限された侵入深度を有する。OR-PAMは典型的には、光学集束及び音響集束の両方を利用し、基本的な光伝送によって制限された更に減少した侵入深度(~1ミリメートル)、すなわち、光学焦点を合理的に維持することができる距離において分解能を更に改善する(~3マイクロメートル)。全ての3つの具体化では、音響信号は典型的には、音響的に結合されたトランスデューサのまたは他の音響共振器もしくは音響光学共振器を通じて収集される。全てのケースでは、光音響信号は、励起波長においてサンプルにおける光吸収を表す2Dまたは3D光音響画像を形成するために様々な位置に対して記録されることがある。様々な記録されたピークの振幅は、局所的光吸収を暗示し、相対的な時間遅延は、音響伝播に対して必要とされる時間からの深度を推論する。
【0005】
光音響マイクロスコピは、マクロ血管から微小血管までの血管構造を撮像する著しい可能性を示してきた。それはまた、ナノ粒子の造影剤のイメージング及び遺伝子発現のイメージングを含む、機能的及び分子イメージングについての大きな展望を示してきた。多波長光音響イメージングは、既知の酸素及び脱酸素ヘモグロビンモル吸光スペクトルを使用することによって、血液酸素飽和度のマッピングなど、スペクトルアンミキシングに対して使用されてきた。従来の光音響イメージングがサンプルへの音響結合を必要とするので、創傷治癒、熱傷診断、外科などの多くの臨床的用途、及び多くの内視鏡的手順に対して技術が適切でない。ここで、物理的接触、結合、または浸水は、望ましくなくまたは実用的でない。いくつかの非接触光音響検出戦略が報告されてきた。
【0006】
しかしながら、最近まで、共焦点分解能及び光吸収による反射モードにある実用的な非接触生体内マイクロスコピをコントラスト機構として証明した技術はなかった。ほとんどの以前のアプローチは、乏しい感度の影響を受け、高品質の生体内イメージングに対して効果的でなかった干渉計測法により表面振動を検出してきた。光音響信号を検知する低コヒーレンス干渉計測法の一例は、30マイクロメートルの横方向分解能をもたらす、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)システムと組み合わされることになると提案されてきた(Gurton et al.,米国特許出願公開第2014/0185055号明細書)。結合剤を必要とすることなく、生物組織の生体内または生体外の非接触イメージングに対する非接触光音響イメージングシステムを説明する、「Biological Tissue Inspection Method and System」と題する別のシステムが説明されている(Rousseau et al.,米国特許出願公開第2012/0200845号明細書)。他のシステムは、音響(非光学)分解能により光音響信号を検出し、ファントムの光音響画像を形成するよう光増幅によるファイバベースの干渉計を使用する。しかしながら、それらのシステムは、乏しい信号対雑音比の影響を受ける。更に、生体内イメージングが証明されておらず、光学分解能励起が証明されていない。
【0007】
光音響リモートセンシング(PARS)マイクロスコピとして既知の最近報告された光音響技術(Haji Reza et al.,米国特許出願公開第2016/0113507号明細書、及びHaji Reza et al.,米国特許出願公開第2017/0215738号明細書)は、その検出機構を通じてそれらの感度問題の多くを解決することが可能であった。PARSは、大きな光音響初期圧力が局所的屈折率の材料内の重要な変調を生じさせる弾性光学効果を利用する。励起スポットにより連続波インタロゲーションビームを共集束させることによって、後方反射された時間変動強度のインタロゲーションビームは、この弾性光学変調に関する情報を符号化し、弾性光学変調は次いで、励起スポットにおけるサンプル内の局所的光吸収に直接関連する、生じた光音響初期圧力の規模を暗示する。よって、PARSは、共焦点マイクロスコピ(~600ナノメートル)と同等の横方向分解能による、従来の接触ベースのOR-PAMに対して、感度及び分解能特性を改善したことを更に証明してきた。しかしながら、いくつかの例では、深度感度を改善することができる。PARSが励起スポットの近くの大きな初期光音響圧力に唯一感度が高いことがあるので、時間領域情報は、深度を示さない。これは、3D体積を記録するときに三次元光学スキャニングを必要とすることがある。PARSが実装されてきたので、いくつかの例では、低コヒーレンス超発光ダイオード(SLD)を検出源として使用して、低コヒーレンス干渉計を実装することによっていくつかの利点を得ることができる。
【0008】
光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、サンプルからの深度分解光散乱情報を捕捉する手段を提供する。これは概して、低コヒーレンス干渉計測の使用によって達成される。技術の2つの共通した具体化は、時間領域光学コヒーレンストモグラフィ(TD-OCT)として既知の時間領域アプローチ、及び周波数領域光学コヒーレンストモグラフィ(FD-OCT)またはスペクトル領域光学コヒーレンストモグラフィ(SD-OCT)として既知の周波数領域アプローチを伴う。TD-OCTは概して、サンプル経路及び参照経路に分割される単一の広帯域連続波インタロゲーション源により実装され、参照経路の総経路長は、低コヒーレンス干渉計測がサンプル経路に沿って様々な深度において実行されるようにスキャンされる。この様式はなお、体積を捕捉する3Dボクセルベースのスキャンを必要とすることがある。SD-OCTは概して、広帯域源または変調された周波数源のいずれかにより実装され、イメージングは一般的に、固定された参照経路長により実行され、深度情報は、収集されたスペクトルデータのフーリエ変換を通じて取得される。ここで、体積スキャニングは単に、全深度分解情報が単一の取得イベントにより収集されるので、横方向スキャニングを必要とすることがある。定量的光吸収測定を提供するOCT分野内での多くの一連の研究が存在してきた。これは、目の眼底の周りの酸素飽和度測定を必要とする、眼科用イメージングコミュニティ内に特有の関心事である。このトピックに関するいくつかの目立った研究が存在してきたが、最新のアプローチはなお、直接光吸収測定を管理することが可能ではない(光音響様式とは異なり)。むしろ、光吸収は、サンプルへの侵入深度を大きく制限することがある視認可能プローブ源の使用を通じて推定される必要がある。結果として生じるOCT画像は、光吸収をもたらす減光曲線に適合する。改善した光吸収様式を供給することが、生物医学イメージングコミュニティに対して有益である。
【0009】
非PARSベースの非接触光音響及びOCTの多様式実装を提供するいくつかの目立った試みが存在してきた。それらは、(Wang,米国特許出願公開第2014/0185055号明細書、Johnson et al.,米国特許出願公開第2014/0275942号明細書、及びOde,米国特許第9335253号)を含むがそれらに限定されない。しかしながら、それらの研究の全ては、それらが単に非接触PAT及びOCTシステムを別個に提供する点で、ここで提示される動作の同一の方法を提供しない。提案されるアプローチは、それら自体に明白な伝播した音響波をサンプル外面における僅かな振動として検出することを目的とした以前のOCTベースの光音響検出方法とは混同されないことになる。代わりに、提案されるアプローチは、それらの表面下の起点において直接光吸収誘導初期圧力を局所的に検出する。加えて、各々の光音響成分は特に、横方向トモグラフィ再構築が必要とされ、音響分解能が提供される点で、PATシステムと類似している。
【0010】
PARSとOCTとの間のそれらの相補的特性を仮定すると、様々なコヒーレンスゲーテッド検出機構によりPARSを増補することに対する明確な利点が存在する。しかしながら、更なる章において議論される理由により、本開示において対処されるそれらの実装により多くの技術的課題が生じる。
【発明の概要】
【0011】
一態様に従って、従来のPARSよりも著しい軸-分解能特性をもたらす、コヒーレンス拡張光音響リモートセンシング(CEPARS)マイクロスコピとして既知のサンプル内の表面下構造を撮像するコヒーレンスゲーテッド光音響リモートセンシングシステム(CG-PARS)が提供される。これは、サンプル経路と新たに含まれる参照経路との間の低コヒーレンス干渉計の追加を通じて達成されてもよく、低コヒーレンス干渉計測によって、参照経路長よりも著しく長いまたは短い(広帯域インタロゲーション源のコヒーレンス長と比較したときの)経路長と関連付けられた信号が拒絶される。これは、励起位置においてサンプル経路内で超音波信号を生成するように構成された励起ビームと、励起位置においてサンプルに入射するインタロゲーションビームであって、インタロゲーションビームの部分は、生成された超音波信号を示すサンプルから戻る、インタロゲーションビームと、様々な位相オフセットまたは光学直角位相検出器を提供することができる単一の参照経路または複数の参照経路と、後方反射されたサンプルビームを単一の参照経路と比較する光学コンバイナ、または後方反射されたサンプルビームを複数の参照経路と比較する複数のコンバイナと、組み合わされたビームを収集する単一の検出器または複数の検出器と、収集された結果を解釈するプロセシングユニットと、を含んでもよい。
【0012】
別の態様に従って、従来の内視鏡的PARSよりも著しい軸-分解能特性を提供することができる、内視鏡的CEPARSが提供される。これは、入力端及び検出端を有する光ファイバケーブルと、励起位置においてサンプル経路内で超音波信号を生成するように構成された光ファイバの入力端への入力に結合された励起ビームと、励起位置においてサンプルに入射する光ファイバの入力端に結合されたインタロゲーションビームであって、インタロゲーションビームの部分は、生成された超音波信号を示す光ファイバに沿ってサンプルから再度戻る、インタロゲーションビームと、様々な位相オフセットを提供することができる単一の参照経路または複数の参照経路と、後方反射されたサンプルビームを単一の参照経路と比較する光学コンバイナ、または後方反射されたサンプルビームを複数の参照経路と比較する複数のコンバイナと、組み合わされたビームを収集する単一の検出器または複数の検出器と、収集された結果を解釈するプロセシングユニットと、を含んでもよい。
【0013】
別の態様に従って、従来のPARS及び上述したCEPARSよりもイメージング速度を大幅に改善する単一の高速パルストレイン内でサンプル内の全深度分解光吸収を撮像する能力を提供するスペクトル領域コヒーレンスゲート光音響リモートセンシング(SDCG-PARS)マイクロスコピとして既知の、サンプル内の表面下構造を撮像するCG-PARSシステムが提供される。これは、サンプル経路と参照経路との間の低コヒーレンス干渉計の追加、組み合わされた参照経路及びサンプル経路のスペクトルコンテンツを検出することが可能な検出器、並びにパルスインタロゲーション源、急速に変調された連続波(CW)源、フォトダイオードアレイ、急速シャダなどの急速(<100ナノ秒)インタロゲーション機構の追加を通じて達成される。これは、サンプルが光音響励起を受ける前、及び光音響励起を受けた直後の両方の深度分解散乱プロファイルの取得を可能にする。それらの2つの散乱プロファイルの間の差は、光吸収を示す。これは、励起位置においてサンプル経路内で超音波信号を生成するように構成された励起ビームと、励起位置においてサンプルに入射するインタロゲーションビームであって、インタロゲーションビームの部分は、サンプルから戻り、スペクトルは、生成された超音波信号を示す、インタロゲーションビームと、様々な位相オフセットを提供することができる参照経路と、後方反射されたサンプルビームを参照ビームと比較する光学コンバイナと、それ自体によって、または他の構成要素によって短いインタロゲーション時間(<100ナノ秒)が可能なスペクトル検出器と、収集された結果を解釈するプロセシングユニットと、を含んでもよい。
【0014】
別の態様に従って、全深度分解取得を提供する内視鏡的SDCG-PARSが提供される。これは、入力端及び検出端を有する光ファイバケーブルと、励起位置においてサンプル経路内で超音波信号を生成するように構成された光ファイバの入力端への入力に結合された励起ビームと、励起位置においてサンプルに入射する光ファイバの入力端に結合されたインタロゲーションビームであって、インタロゲーションビームの部分は、スペクトルが生成された超音波信号を示す光ファイバに沿ってサンプルから再度戻る、インタロゲーションビームと、様々な位相オフセットを提供することができる参照経路と、後方反射されたサンプルビームを参照ビームと比較する光学コンバイナと、それ自体によって、または他の構成要素によって短いインタロゲーション時間(<100ナノ秒)が可能なスペクトル検出器と、収集された結果を解釈するプロセシングユニットと、を含んでもよい。
【0015】
CEPARS及びSDCG-PARSの他の実施形態について、励起源は、パルス状であり、またはCW及び変調された単一または複数の源から構成されてもよい。励起源は、狭帯域であってもよく、より広いスペクトルを個々にもたらす広範囲の波長または広帯域をカバーしてもよい。この様々な励起スペクトルコンテンツは、サンプル内の様々なターゲット種の吸収コントラストスペクトルアンミキシングを実装する手段を提供する。インタロゲーション源は同様に、パルス状であり、またはCW及び変調された単一または複数の源から構成されてもよい。インタロゲーション源は、狭帯域であってもよく、より広いスペクトルを個々にもたらす広範囲の波長または広帯域をカバーしてもよい。この様々なインタロゲーションスペクトルコンテンツは、インタロゲーションビームの励起(それによって、侵入)を制御する手段、及びデバイスの軸-分解能を決定付ける有効コヒーレンス長を制御する手段を提供する。光学ビームコンバイナは、バルク光学系の実装のためのビーム分割キューブもしくはファイバベースの実装のためのファイバカプラ、あるいはバルクベースもしくはファイバベースのマイケルソン干渉計、一般的な経路干渉計(特別に設計された干渉計対物レンズを使用した)、フィゾー干渉計、ラムジー干渉計、ファブリ-ペロー干渉計、またはマッハ-ツェンダ干渉計などのいくつかの種類の干渉計などの光学カプラから構成されてもよい。インタロゲーション位置のスキャニングは、ガルバノミラー、MEMSミラー、共振スキャナ、ポリゴンスキャナなどの光学スキャニングを通じて、または単一もしくは複数の軸線形、または回転ステージを使用した光学系もしくはサンプルのいずれかの機械的スキャニングを通じて実行されてもよい。関連する信号データの抽出は、プログラムの実装において唯一、関連する回路ベースのプロセッサに対して、または2つのいくつかの組み合わせを通じて実行されてもよい。
【0016】
CEPARSは、位相変動が偏波状態(循環偏波など)に含まれる単一の参照経路を使用して実装されてもよく、複数の取得が実行されることを必要としてもよく、または異なる経路長の使用を通じて位相変動を本質的にもたらす複数の参照経路を使用して実装されてもよい。様々な組み合わされたビームの検出は、フォトダイオード、平衡フォトダイオード、アバランチフォトダイオードなど、CCD、EMCCD、iCCD、CMOSなど、または上述した検出器のアレイなどの光学強度検出器のいくつかの方式によって実行されてもよい。
【0017】
SDCG-PARSインタロゲーションは、CCD、EMCCD、iCCDなどのいくつかの形式のサンプルホールド検出器アレイを使用するときに変調されるパルス源もしくはCW源のいずれかを使用して実装されてもよく、あるいはシャッタもしくは光学スイッチなどのいくつかの形式の急速光学切り替えを使用するとき、またはフォトダイオード、平衡フォトダイオード、アバランチフォトダイオードなどのより高帯域幅の検出器アレイを使用するときにCW源を使用して実装されてもよい。
【0018】
CEPARSは、(1)パルス励起レーザの使用を含んでもよく、(2)光吸収コントラストに高い感度を有することがある点で、時間領域光学コヒーレンストモグラフィ(TD-OCT)とは明確に異なる。CEPARSは、1つの動作がサンプルを励起することであり、もう一方の動作がサンプル内で摂動を検出することであるように、少なくとも2つの光学ビームの使用を必要とすることがある。CEPARSシステムは、(1)1つ以上の参照経路、(2)位相内(遅延参照を有しないサンプル)ビーム及び直角位相(遅延した参照を有するサンプル)を分離する手段、及び(3)それらのビームの少なくとも2つを検出する手段を含んでもよい点で、PARSとは明確に異なってもよい。
【0019】
SDCG-PARSは、(1)パルス励起レーザの使用、(2)パルスインタロゲーションレーザ、または急速に変調された連続波レーザ、または音響伝播が無視できるような十分に短い時間スケールで信号を検出するゲーテッドカメラ露光の使用とあわせた連続波レーザの使用、(3)励起パルスの前及び直後の深度分解散乱分散を減算するシステム、を含んでもよい点で、及び(4)取得の間の差が深度分解光吸収分散を推論するように、取得位置ごとに少なくとも2つの明確に異なるインタロゲーションイベントを必要とすることがある点で、スペクトル領域光学コヒーレンストモグラフィ(SD-OCT)及びPARSとは明確に異なってもよい。SDCG-PARSは、1つの動作がサンプルを励起することであり、もう一方の動作がサンプル内の摂動を検出することであるように、少なくとも2つの光学ビームの使用を必要とすることがある。
【0020】
他の態様が、以下の説明及び請求項から明らかになるであろう。他の態様では、本明細書で説明される態様は、当業者によって認識されるようにいずれかの合理的な組み合わせで共に組み合わされてもよい。
【0021】
光学分解能によりサンプル内の表面下構造を撮像するコヒーレンスゲーテッド光音響リモートセンシングシステムは、励起位置においてサンプル内の超音波信号を誘導する励起ビームを生成するように構成された励起ビーム源と、インタロゲーション位置においてサンプルに入射するインタロゲーションビームを生成するように構成されたインタロゲーションビーム源であって、インタロゲーションビームの部分は、生成された超音波信号を示すサンプルから戻り、インタロゲーションビームは、低コヒーレントビームである、インタロゲーションビーム源と、励起位置においてサンプルに励起ビームを集束させ、インタロゲーション位置においてサンプルにインタロゲーションビームを集束させる光学システムであって、少なくともインタロゲーション位置は、サンプルの表面の下にあり、及びサンプル内にある、光学システムと、サンプルのインタロゲーションイベントに対応する、インタロゲーションビームの戻り部を分離する低コヒーレンス干渉計と、を含んでもよい。
【0022】
システムは、参照経路に沿って進行する参照ビームを生成するように構成された参照ビーム源を含んでもよく、低コヒーレンス干渉計は、参照ビームを使用して、戻り部を分離する。参照ビーム源は、参照ビームに対して位相シフトされた1つ以上の追加の参照ビームを生成するように構成され、低コヒーレンス干渉計は、参照ビーム及び1つ以上の追加の参照ビームを使用して、戻り部を分離する。1つ以上の追加の参照ビームは、異なる経路長、1つ以上の波長板、及び1つ以上の循環機のうちの少なくとも1つによって位相シフトされる。1つ以上の追加の参照ビームは、参照ビームと並列または直列のいずれかで検出される。励起ビーム及びインタロゲーションビームは、パルス状にされ、または強度変調される。励起位置及びインタロゲーション位置は各々、サンプルの表面の下にあり、及びサンプル内にある。励起位置及びインタロゲーション位置のうちの少なくとも1つは、サンプルの表面の1ミリメートル内にある。励起位置及びインタロゲーション位置のうちの少なくとも1つは、サンプルの表面の下で1マイクロメートルよりも大きい。励起位置及びインタロゲーション位置は、少なくとも部分的に重なる焦点である。システムは、インタロゲーションビームの戻り部に基づいて、サンプルの画像を計算するプロセッサを含む。インタロゲーションビームは、音響伝播が無視できる十分に短いパルスを有する。検出位置ごとに、システムは、1つよりも多い周波数、帯域幅、位相シフト、またはそれらの組み合わせを有する励起ビームを印加する。光学システムは、インタロゲーション位置ごとに、非励起状態において、励起ビームがサンプルを励起した後にサンプルを調査する。励起ビーム源は、複数の周波数、複数の帯域幅、またはそれらの組み合わせによりサンプルを励起する1つ以上の励起ビームを生成するように構成されている。
【0023】
システムを使用する方法は、脳外科手術の間の機能イメージング、内出血及び焼灼検証の評価、臓器及び臓器移植のかん流の充足レベルのイメージング、膵島移植の周りの血管形成のイメージング、植皮のイメージング、血管新生及び/もしくは免疫拒絶を評価する組織スキャフォールド及び生体材料のイメージング、顕微鏡手術を支援するイメージング、または重要な血管及び神経を切除することを回避する案内のための手順、を含んでもよい。請求項のシステムを使用する方法は、蛍光マイクロスコピ、2光子及び共焦点蛍光マイクロスコピ、コヒーレント反ラマンストークスマイクロスコピ、ラマンマイクロスコピ、または光学コヒーレンストモグラフィと組み合わされてもよい。
【0024】
方法は、システムによりマイクロ循環イメージングを実行すること、または血液酸素化パラメータイメージングを実行することを更に含んでもよい。
内視鏡は、システムを含んでもよい。
【0025】
外科用顕微鏡は、システムを含んでもよい。
サンプルをリモートセンシングする方法は、励起ビーム及びインタロゲーションビームを含むコヒーレンスゲーテッド光音響リモートセンシングシステムを提供することであって、インタロゲーションビームは、低コヒーレントビームである、提供することと、励起ビームに、励起位置においてサンプル内で超音波信号を誘導させることと、インタロゲーションビームに、インタロゲーション位置においてサンプルを調査させることであって、インタロゲーションビームの部分は、生成された超音波信号を示すサンプルから戻り、インタロゲーション位置は、サンプルの表面の下にあり、及びサンプル内にある、調査させることと、インタロゲーションビームの戻り部を分離して、サンプルのインタロゲーションイベントを達成するために低コヒーレンス干渉計を使用することと、のステップを含んでもよい。
【0026】
方法は、参照経路に沿って進行する参照ビームを提供することを更に含んでもよく、低コヒーレンス干渉計は、参照ビームを使用して戻り部を分離する。方法は、参照ビームに対して位相シフトされた1つ以上の追加の参照ビームを提供するステップを更に含んでもよく、低コヒーレンス干渉計は、参照ビーム及び1つ以上の追加の参照ビームを使用して戻り部を分離する。1つ以上の追加の参照ビームは、異なる経路長、1つ以上の波長板、及び1つ以上の循環機のうちの少なくとも1つによって位相シフトされる。1つ以上の追加の参照ビームは、参照ビームと並列または直列のいずれかで検出される。励起ビーム及びインタロゲーションビームは、パルス状にされ、または強度変調される。励起位置及びインタロゲーション位置は各々、サンプルの表面の下にあり、及びサンプル内にある。励起位置及びインタロゲーション位置のうちの少なくとも1つは、サンプルの表面の1ミリメートル内にある。励起位置及びインタロゲーション位置のうちの少なくとも1つは、サンプルの表面の下で1マイクロメートルよりも大きい。励起位置及びインタロゲーション位置は、少なくとも部分的に重なる焦点である。方法は、インタロゲーションビームの戻り部に基づいて、サンプルの画像を計算するステップを更に含む。インタロゲーションビームは、音響伝播が無視できる十分に短いパルスを有する。検出位置ごとに、励起ビームは、1つよりも多い周波数、帯域幅、位相シフト、またはそれらの組み合わせを提供するよう動作する。方法は、インタロゲーション位置ごとに、非励起状態において、励起ビームがサンプルを励起した後に調査するステップを更に含む。励起ビームは、複数の周波数、複数の帯域幅、またはそれらの組み合わせによりサンプルを励起する1つ以上の励起ビームを含む。
【0027】
それらの特徴及び他の特徴は、添付図面への参照が行われる以下の説明から更に明らかになり、図面は例示のみを目的とし、限定することを何ら意図していない。
本明細書では、用語「備える(comprising)」は、非限定的な意味においてその用語に従う項目が含まれるが、特に言及されなかった項目が排除されないことを意味するために使用される。不定冠詞「a」による要素への参照は、要素のうちの1つ及び1つのみが存在することを必要としない。
【0028】
以下の請求項の範囲は、上記実施例及び図面において示された好ましい実施形態によって限定されるべきでないが、説明と一貫した最も広義の解釈が全体として与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】インタロゲーション経路の概略概観図を表す。
【
図5】ビームコンバイナの実施態様の概略図を表す。
【
図6】ビームコンバイナの更なる別の実施態様の概略図を表す。
【
図9】CEPARSについてのイメージング処理フローチャートを表す。
【
図10】CEPARSについての実施例のシステムレイアウト(並列)の概略図である。
【
図11】CEPARSについての別の実施例のシステムレイアウト(並列)の概略図である。
【
図12】CEPARSについての更なる別の実施例のシステムレイアウト(直列)の概略図である。
【
図13】CEPARSについての実施例の内視鏡的システムレイアウトの概略図である。
【
図14】重要な処理が実行される相対時間を主にハイライトする、SDCG-PARS検出機構のアウトラインのグラフ表現である。
【
図15】光音響励起の前及び後の両方のSDCG-PARSスペクトルの実施例のグラフ表現及び拡大である。
【
図16】SDCG-PARSについてのイメージング処理フローチャートである。
【
図17】SDCG-PARSについての実施例のシステムレイアウトの概略図である。
【
図18】SDCG-PARSについての実施例の内視鏡的システムレイアウトの概略図である。
【
図19】直角位相干渉計によるCEPARSについてのシステムレイアウトの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、励起経路の高レベル概観図を示す。これは主に、光学励起源(1)、光学スキャニングシステム(2)、及び対物レンズなどの集束光学系(3)から構成され、集束光学系(3)は、光をサンプル(4)に集束させる。励起経路の目的は、サンプル内で光音響励起を生じさせるよう、サンプルに励起源を案内することである。
【0031】
図2は、インタロゲーション経路の高レベル概観図を示す。概して、これは、光学インタロゲーション源(5)、光学コンバイナ(6)、光学参照経路(7)、光学検出器(8)から構成され、
図1にあるように、同一の光学スキャニングシステム(2)、集束光学系(3)、及びサンプル(4)に案内される。インタロゲーション経路の主要な目的は、インタロゲーション源の部分をサンプルに案内することであり、別の部分は、所望の参照経路長を提供し、次いで、サンプル経路及び参照経路からのビームを組み合わせてビームコンバイナにおいて低コヒーレンス干渉計測を実行するよう参照経路に案内される。それらの組み合わされた光信号は次いで、所望の情報を抽出するよう検出器において適切に処理される。
【0032】
図3は、それらのそれぞれの出力において共に結合されたファイバ(102)である1つ以上の光波長(1,2,…,N)の1つ以上のパルス状または変調された光放射源(101)から構成される、(1)励起源または(5)インタロゲーション源の1つの考えられる実施態様を示す。光ファイバは、マルチモード、シングルモード、偏波保持、非線形などのいずれかのタイプの光ファイバであってもよい。
【0033】
図4は、ビームコンバイナまたはダイクロイックミラーなどの自由空間光学系(103)を通じて共に結合された1つ以上の光波長(1,2,…,N)の1つ以上のパルス状または変調された光放射源(101)から構成される、(1)励起源または(5)インタロゲーション源の1つの考えられる実施態様を示す。
【0034】
図5は、ファイバベースの干渉計またはファイバベースのカプラなどの(11)ファイバベースのデバイスから構成される(6)ビームコンバイナの1つの考えられる実施態様を示す。
【0035】
図6は、マイケルソン干渉計レイアウトにおける(10)自由空間光学ビームコンバイナから構成される(6)ビームコンバイナの1つの考えられる実施態様を示す。一般的な経路干渉計(特別に設計された干渉計対物レンズを使用した)、フィゾー干渉計、ラムジー干渉計、ファブリ-ペロー干渉計、及びマッハ-ツェンダ干渉計などの他の自由空間干渉計レイアウトが使用されてもよいことに留意されたい。
【0036】
図7は、PARS機構の態様をハイライトする。十分に短い励起パルスが吸収されると(熱及び応力制限条件が満たされるような、典型的には100ナノ秒よりも短い)、励起波長において局所的光吸収に比例した急速な加熱が行われる。この加熱は次いで、
【0037】
【数1】
に従った熱弾性拡張を通じて光音響初期圧力として既知の著しい圧力を生じさせ、η
thは、変換効率係数であり、Γは、グリュナイゼンパラメータとして既知の材料特性であり、φは、励起ビームの集束フルエンスであり、μ
aは、所与の励起波長における媒体の光吸収である。それらの圧力は、ANSI光学露光制約内で励起パルスに対して100メガパスカルを実質的に容易に上回ることがある。それらの重要な圧力は、
【0038】
【数2】
に従った弾性光学効果を通じて局所的屈折率n
0における変調δnを生じさせることがあり、n
*は、新たな屈折率プロファイルであり、εは、弾性光学係数であり、ρは、質量密度であり、v
sは、音響伝播速度である。特定のPARSイメージングの実施形態では、それらの屈折率変調は、励起位置に共集束される連続波インタロゲーションビームを使用して測定されてもよい。これは、インタロゲーションスペクトルからの全ての位相情報が拒絶されるようにフォトダイオード上で測定された総強度として検出される。これは、インタロゲーション位置からの反射性ΔRにおける変化として単純に表されてもよく、インタロゲーション位置は、小さい摂動δn(それら自体が光吸収μ
aと比例した)について、近似関係ΔR∝δn(n
1-n
2(参照によってその内容が本明細書に組み込まれる、Haji Reza et al.,Light:Science & Applications volume 6、 page 16278(2017))を得るように、2つの媒体n
1及びn
2の間の摂動反射性
【0039】
【0040】
【数4】
との間の差である。この結果の1つの解釈は、励起された境界面からの強度反射性が、本質的な散乱コントラスト(n
1-n
2)及び光吸収に直接関連することである。
【0041】
CEPARSでは、焦点から離れて生じた信号を排除することが望ましいことがある。以前に、従来のPARSの具体化により、集束光学系により定められた光学セクションによって軸特性が唯一提供されている。しかしながら、軸性能がこの値よりも容易にはるかに悪化することがあることが実験的に発見されてきた。これを改善するために、CEPARSは、参照経路長よりも著しく長くまたは短い(インタロゲーション源のコヒーレンス長によって定められた)経路長から生じた信号が排除されるように、低コヒーレンス干渉計測を追加することができる。言い換えると、参照経路長とは異なる閾値量よりも長い経路長から生じた信号は、排除されてもよい。しかしながら、これは、2つの経路がなお、ある程度の量の脱構築的な干渉を経験した信号をもたらすことがあるので、受信された信号内での曖昧さにつながる。これを克服するために、CEPARSは、異なる参照経路長を伴ういくつかの(少なくとも2つの)低コヒーレンス干渉計測信号を捕捉する。一実施例は、サンプル信号の半分を1つの参照経路と比較し、サンプルのもう半分を参照経路と比較することであり、位相は、π/2によってオフセットされている。受信された信号の完全な特徴付けのために、0、π/2、π、及び3π/2などの適切な位相オフセットを有する少なくとも4つの成分が、直角位相干渉計測に従って必要とされる。これは、望ましくない自干渉効果及び参照経路信号を拒絶することによって位相内信号及び直角位相信号の両方を同時に励起することを可能にし、その結果、位相由来の曖昧さを除去することができる。
【0042】
図8(CEPARS信号)は、上記説明された信号の例を示す。単一の光散乱がサンプル経路(E
s(t,v)内のある位置に存在し、平均参照経路長が約その同一の距離でスキャンされ、次いで、以下の2つの信号が取得されると推定する場合、参照経路1(E
r(t,v))(遅延が加えられていない)の間の干渉について、対応する測定された強度信号が、
【0043】
【数5】
を提供するように処理され、同様に、参照経路2(E
r2(t,v))(π/2の遅延が加えられた)の間の干渉について、対応する測定された強度信号が、
【0044】
【数6】
を提供するように処理され、I
cは、校正強度であり、vは、光周波数であり、E
s、E
r、E
r2は、広スペクトルコンテンツを有すると考えられる。これは、サンプル内での小さな自干渉効果を推定するので近似する。それらの信号は次いで、残りの平均信号オフセットを取り除くよう高域通過フィルタリングを受け、それらは整流され、次いで最後に、それらの2乗が合計されて最終時間領域信号Sig(t)を生成する。それらのステップが
図9においてハイライトされる。近似または校正なしにSig(t)を捕捉するために、0、π/2、π、及び3π/2のそれぞれのサンプル参照経路遅延に対応する、例えば、I
0、I
π/2、I
π、I
3π/2の測定値をもたらす全直角位相検出が実装されてもよい。ここから、完全な低コヒーレンス光学直角位相を、Sig(t)=(I
0-I
π)
2+(I
π/2-I
3π/2)
2として判定することができる。この処理は、急速時間スケール内での低コヒーレンス情報の取得を可能にする。これは、サンプルを適切に特徴付けるために散乱にわたって軸スキャニングを一般的に必要とすることがある、時間領域光学コヒーレンストモグラフィ(TD-OCT)などの他の低コヒーレンス方法とは対照的である。そのようなTD-OCTアプローチは、取得時間及び反復性の懸念事項を伴う問題に大いに起因して、PARS機構を捕捉するために効果的でない。
【0045】
図10は、CEPARSの1つの考えられる実施態様をハイライトする。偏波インタロゲーション源(1001)は、ビームスプリッタ(1008)に供給され、ビームスプリッタ(1008)は、ビームの部分をサンプル経路に案内し、別の部分を参照ミラー(1005)に案内する。インタロゲーションのサンプル経路は次いで、適切なダイクロイックミラー(1009)を使用して励起経路と組み合わされる。2つのビームは次いで、スキャニングミラー(1019)及び対物レンズ(1020)のセットを使用してサンプル(1022)に案内される。ここで、スキャニングも、目的物の視野制約を克服するよう、機械的スキャニングステージ(1021)を使用して実行されてもよい。参照経路は、循環偏波状態をもたらす1/8波長板(1006)を2回通り、総経路長は、参照ミラーの位置によって制御される。この循環偏波状態は、2つの所望の参照位相を本質的にもたらす。サンプルから戻る線形偏波サンプル経路は次いで、ビームスプリッタにおいて循環参照経路と組み合わされる。ダイクロイックミラーを通じて透過した過剰な励起光は更に、狭域フィルタ(1010)の使用によって拒絶される。最後に、2つの偏波状態は、偏波ビームスプリッタ(1013)を使用して分割され、次いで、個々の検出が実行される。このデバイスが本質的に、サンプル内の偏波依存散乱に感度が高いので、相対的な受信された値を適切に調節することができるように遮断された参照経路により所与のインタロゲーション位置を最初に特徴付けることも必要になることがある。
【0046】
図11は、CEPARSの別の考えられる実施態様をハイライトする。この実施態様は、ファイバベースの光学系に主に特色をなし、サンプルにおける偏波依存感度を回避するために、ランダムな偏波インタロゲーション源を利用する。インタロゲーション源(1101)は、従来のように、参照通路とサンプル通路との間で分割される(1110)。ここで、参照経路は更に、所望の追加された位相オフセットを提供するよう分割される(1114)。偏波独立循環機(1113、1115、1116)は次いで、参照経路(R1、R2)をそれぞれのビームカプラ(1106、1107)にリダイレクトし、ビームカプラ(1106、1107)において、それらは、サンプル経路成分(S1、S2)と組み合わされる。
【0047】
図12は、CEPARSの別の考えられる実施態様をハイライトする。この実施態様は、並列捕捉を利用する、
図10及び11において表されたのとは反対に、直列取得に特色をなす。直列CEPARSは、単一の低コヒーレンス干渉計のみを必要とすることができるが、複数の取得を必要とすることがある。その上、後続の取得は、可変の参照経路長により実行される必要がある。例えば、二重取得は、圧電装着ミラー(1205)によって提供される最初の取得と比較して、π/2位相オフセットによる1つの取得を考慮してもよい。このようにして、位相内データ及び直角位相データをなおも捕捉することができる。
【0048】
図13は、CEPARSの更なる別の考えられる実施態様をハイライトする。この実施態様は、
図12に提示された直列取得に特色をなす。しかしながら、自由空間光学系によりサンプルに直接集束させるのではなく、これに関するインタロゲーションビームの励起及びサンプル経路は、内視鏡的プローブを通じて供給されるファイバに結合される。遠位端において、光学的集束がGRINレンズ(1327)によって提供され、光学スキャニングがMEMSミラー(1319)のセットによって提供される。これは、課題の場所を評価することが可能なコンパクトな実施態様を表す。
【0049】
図19は、CEPARSの更なる別の考えられる実施態様をハイライトする。この実施態様は、全光学-直角位相検出経路を利用する。他のアーキテクチャ及びより簡潔に説明されたアーキテクチャとは異なり、この実施態様は、追加の較正を必要としないことがあり、小さい自干渉条件の推定を必要としないことがあり、組織のより完全な特徴付けを提供する複数の取得イベントを必要としないことがある。検出通路は、偏波(1905)及び分割(1903)されるインタロゲーション源(1901)を含む。サンプル経路は、偏波感受型スプリッタ(1923)を透過し、循環的に偏波され(1/4波長板1925によって)、励起経路と組み合わされ(ダイクロイックミラー1926において)、サンプルに案内される。後方反射された部分は、線形偏波状態に再度変換され(1/4波長板1925において)、フィルタ(1924)によって取り除かれた残りの励起を有し、光は、公正な偏波状態を保証するよう線形偏光子(1922)を通過する。参照経路は、1/4波長板(1910)及びPBS(1911)を使用した同様の非相互通路から構成される。離散細胞(1909)は、サンプル-経路離散を補償するよう追加されてもよい。この経路の長さは、サンプル内の適切な深度選択のために参照ミラー(1908)の位置を変更することによって制御されてもよい。この光は、循環的に偏波され(1/4波長板1912によって)、1つの軸に沿ったπ/2位相シフトに貢献し、非偏波スプリッタ(1917)内のサンプル経路と再度組み合わされる。複数の偏波状態から構成されるそれらの2つの経路は更に、2つのPBS(1916、1921)に分離され、4つのセンサ(1913、1915、1918、1920)にわたる全直角位相検出のためのサンプル経路及び参照経路位相遅延の所望の組み合わせを得る。センサ1913、1915、1918、及び1920は、例えば、単一のフォトダイオード、フォトダイオードのアレイ、CCDなどの光学センサであってもよい。次いで、収集されたデータは、PARS変調直角位相情報を抽出するよう処理される。
【0050】
SDCG-PARSのいくつかの実施形態では、1つの目標は、軸光学スキャニングを必要とすることなく、サンプルの全深度分解光吸収プロファイルをもたらすことである。概念的に、これは、SD-OCTをどのように動作させるかと同様である。しかしながら、技術は相互に高度に明確に異なる。最初に、光学セクションをいくつかの空間分布における(z方向に沿った)理想的な反射器の集合と考えることができ、その結果、それをrs(z)として表すことができると推定される。一般的に掃引源または静止広帯域スペクトル源のいずれかとして実装された、光周波数の範囲によりサンプルを調査することによって、それぞれの反射スペクトルを収集することができる。これは、干渉フリンジが光学セクション内の光散乱の位置を符号化することができるように、参照によりサンプルから後方反射された光を組み合わせることを伴う。次いで、空間反射分布の回復は、収集されたスペクトルに対して周波数変換を実行することを単純に伴う。PARS機構が、励起パルスによる光音響励起の前及び直後の両方の散乱の分布を比較することによって、それらの変調が光吸収の位置に対応するサンプル内の光分散特性の変調を伴うので、所与の位置における差は、光学的に吸収しているPARS変調領域に対応する。しかしながら、高帯域幅検出器がそのようなタスクに対して理想的であるが、それらは、実装に対してあまり実用的でないことを証明することがあり、よって、それらの2つの明確に異なるインタロゲーションをもたらす手段についての要件が存在する。1つの提案される方法は、サンプルからの後方反射された光がアレイに入射する時間量を減少させることによって、CCDアレイなどのより低い帯域幅検出器に対してインタロゲーション時間を効果的に短くすることができる、短い(<100ナノ秒)パルス状または変調されたインタロゲーションレーザの使用である。この方法は、励起及びインタロゲーションパルスの相対的タイミング並びにインタロゲーションの期間にわたる適切な制御を可能にする。
【0051】
図14は、サンプル内の所与の波長の反射特性と励起及びインタロゲーションパルスとの間の相対的タイミングの例を示す。励起されたサンプルに対応する第2のインタロゲーションパルスは、摂動されたサンプルを全て利用するように計測される必要がある。この正確なタイミングは、考慮されるサンプル、励起の時間発展特性、及びインタロゲーションの時間発展特性などの全ての利用可能なパラメータを仮定して著しく変化する。概して、インタロゲーションの立ち上がりエッジは、励起の立ち上がりエッジから1マイクロ秒未満である。インタロゲーションパルスの期間も、1マイクロ秒未満である。
【0052】
図15は、2つの収集されたスペクトルの例を示す。スペクトルの1つは、摂動されていないインタロゲーションイベントと関連付けられ、もう一方は、励起されたインタロゲーションイベントと関連付けられる。スペクトルの間の小さい差Δnは、PARS変調領域と関連付けられる。
【0053】
図16は、SDCG-PARSに関与する収集及び処理のフローチャートを示す。2つの収集されたスペクトルは、元のスペクトルコンテンツS(v)により最初に逆畳み込みされる。ここで、ノイズの効果及び他の望ましくない効果を減少させる他の処理ステップが取られてもよい。スペクトルは次いで、所与の深度r
s(z)における光散乱の相対強度を表す物理的分布に再度変換される。各々の散乱分布のエンベロープが取られ、次いで、2つのエンベロープは、SDCG-PARS Aラインを形成するよう相互に減算される。2つの元のエンベロープの1つも、従来のSD-OCTのAラインを生成するために使用されてもよい。
【0054】
図17は、ファイバベースのSDCG-PARSの実施例のシステムを示す。パルスインタロゲーション源(1701)が分割され(スプリッタ1703によって)、その結果、部分は、パルスツーパルス一貫性を特徴付けるよう検出器(1704)において収集される。他の部分は、サンプル経路及び参照経路に分割される。参照経路は、総経路長が低コヒーレンス干渉計測を促進する総サンプル経路長と適切に同等であるように参照ミラー(1711)に案内される。サンプル経路は、マルチプレクサ(1713)を通じてパルス状励起源と組み合わされる。2つのビームは次いで、ガルバノミラー(1725)及び適切な対物レンズ(1726)のセットによりサンプルの表面に沿ってスキャンされる。参照経路及びサンプル経路からの後方反射された光は次いで、それらが相互に干渉するようにファイバカプラ(1706)において組み合わされる。この結果として生じる光は次いで、スペクトルの検出のためにCCDベースの分光器(1705)に供給される。
【0055】
図18は、SDCG-PARSの別の実施例を示し、ここでは、内視鏡的実施態様である。この実施形態と前の実施形態との間の主要な相違は、マルチプレクサ(1813)の後、組み合わされたビームが内視鏡的ケーシング(1812)に供給されることである。最終焦点の位置付けは、サンプル(1817)上でのインタロゲーションスポットの横方向スキャニングを提供するMEMSミラー(1816)を通じて集束しているファイバの遠位端におけるGRINレンズ(1815)の使用によって制御される。
【0056】
同様の結果を達成するよう、異なる構成要素により他の実施例が設計されてもよいことが明らかである。他の代替は、様々なコヒーレンス長源、平衡した光検出器の使用、インタロゲーションビーム変調、光増幅器の戻り信号経路への組み込みなどを含んでもよい。
【0057】
生体内イメージング実験の間、媒体を結合する薬剤または超音波が必要とされない。しかしながら、非接触イメージングセッションの前に、水または油などのいずれかの液体とターゲットが調合されることがある。イメージングセッションの間にターゲットを保持するために、特殊ホルダまたは固定化が必要とされない。
【0058】
構造に固有の他の利点が当業者によって明らかである。本明細書で説明される実施形態は例示的であり、明細書を全体として考慮して解釈されることになる請求項の範囲を限定することを意図していない。
【0059】
励起ビームは、レーザまたは他の光源を含む電磁気放射のいずれかのパルス状または変調源であってもよい。一実施例では、ナノ秒のパルス状レーザが使用されている。励起ビームは、サンプルの光(または、他の電磁気)吸収を利用するために適切ないずれかの波長に設定されてもよい。源は、単色性または多色性であってもよい。
【0060】
インタロゲーションビームは、レーザまたは他の光源を含む電磁気放射のいずれかのパルス状または変調源であってもよい。用途に応じたインタロゲーションの目的のためにいずれかの波長が使用されてもよい。
【0061】
CG-PARSは、一般的な経路干渉計(特別に設計された干渉計対物レンズを使用した)、マイケルソン干渉計、フィゾー干渉計、ラムジー干渉計、ファブリ-ペロー干渉計、マッハ-ツェンダ干渉計、及び光学-直角位相検出などのいずれかの干渉計測設計を使用してもよい。基本原理は、プロービング受信機ビームにおける位相(及び、振幅の場合がある)振動が、干渉計測を使用して検出されてもよく、様々な検出器を使用してAC、RF、または超音波周波数において検出されてもよいことである。
【0062】
一実施例では、励起ビーム及び受信機ビームの両方が組み合わされてもよく、スキャンされてもよい。このようにして、光音響励起は、それらが生成されるとの同一であり、それらが最大であるエリアにおいて検知されてもよい。受信機ビームを固定されたままにすると共に、励起ビームをスキャニングすること、またはその逆であることを含む、他の配列も使用されてもよい。ガルバノメータ、MEMSミラー、ポリゴンスキャナ、及びステッパ/DCモータは、励起ビーム、プローブ/受信機ビーム、またはその両方をスキャンする手段として使用されてもよい。
【0063】
励起ビーム及び検知/受信機ビームは、ダイクロイックミラー、プリズム、ビームスプリッタ、偏波ビームスプリッタなどを使用して組み合わされてもよい。それらはまた、異なる光学経路を使用して集束されてもよい。
【0064】
反射光は、フォトダイオード、アバランチフォトダイオード、フォトチューブ、光電子増倍管、CMOSカメラ、CCDカメラ(EM-CCD、増強CCD、裏面入射型及び冷却CCDを含む)などによって収集されてもよい。検出された信号は、RF増幅器、ロックイン増幅器、トランスインピーダンス増幅器、または他の増幅器構成によって増幅されてもよい。また、検出の前に受信機ビームから励起ビームをフィルタリングするために、異なる方法が使用されてもよい。CG-PARSは、検出された信号を増幅するために光学増幅器を使用してもよい。
【0065】
テーブルトップ、ハンドヘルド、内視鏡的、外科用顕微鏡、または眼科CG-PARSシステムは、本分野において既知の原理に基づいて構築されてもよい。CG-PARSは、生体内、生体外、またはファントム研究のためのAスキャン、Bスキャン、またはCスキャン画像に対して使用されてもよい。
【0066】
CG-PARSは、2D及び3DまたはOR-CG-PARSイメージングの焦点の深度を改善するための多焦点設計を利用するために最適化されてもよい。コリメートレンズ及び対物レンズのペアにおける色収差は、各々の波長が僅かに異なる深度位置に集束されるように、ファイバからの光を対象に再集束させるために使用されてもよい。それらの波長を同時に使用することは、CG-PARS画像の視野の深度及び信号対雑音比(SNR)を改善するために使用されてもよい。CG-PARSイメージングの間、波長同調による深度スキャニングが実行されてもよい。
【0067】
CG-PARSシステムは、蛍光マイクロスコピ、2光子及び共焦点蛍光マイクロスコピ、コヒーレント反ラマンストークスマイクロスコピ、ラマンマイクロスコピ、光学コヒーレンストモグラフィ、他の光音響及び超音波システムなどの他のイメージング様式と組み合わされてもよい。このシステムは、各々のシステムの光学経路を統合するよう、光学コンバイナを設計することによって組み合わされてもよい。また、プロセッサは、必要な場合に結果を同期させ、別個にまたは組み合わせのいずれかで結果を分析する。それらの統合された様式は、相補的イメージングコントラストをもたらすことができる。これは、マイクロ循環のイメージング、血液酸素化パラメータイメージング、及び他の分子的に特有のターゲットの同時イメージング、蛍光ベースのマイクロスコピのみにより実装することが困難な潜在的に重要なタスクを許容する。多波長視認可能レーザ源も、機能的または構造的イメージングのために光音響信号を生成するよう実装されてもよい。
【0068】
偏波アナライザは、検出された光をそれぞれの偏波状態に分解するために使用されてもよい。各々の偏波状態において検出された光は、超音波組織相互作用に関する情報を提供することができる。
【0069】
用途
本明細書で説明されるシステムが、上記説明されたそれらの目的などの様々な方式において使用されてもよく、上記説明された態様を利用する他の方式においても使用されてもよいことが理解されよう。用途の非包括的なリストは、以下で議論される。
【0070】
システムは、異なる事前臨床腫瘍モデルについての血管新生を撮像するために使用されてもよい。
システムはまた、(1)目、潜在的な蛍光眼底血管造影検査の増強または置き換え、(2)悪性黒色腫、基底細胞癌、血管腫、乾癬、湿疹、皮膚炎を含む皮膚病変のイメージング、モース手術のイメージング、腫瘍境界切除を検証するためのイメージング、(3)末梢血管疾患、(4)糖尿病及び圧迫潰瘍、(5)熱傷イメージング、(6)形成外科及び顕微鏡手術、(7)腫瘍細胞、特に悪性黒色腫細胞の循環のイメージング、(8)リンパ節血管新生のイメージング(9)血管除去機構によるものを含む光線力学的治療への応答のイメージング、(10)血管新生抑制薬を含む化学療法への応答のイメージング、(11)放射線療法への応答のイメージングなどの用途のための使用において発見することができる、マイクロ循環及びマクロ循環並びに色素細胞の臨床イメージングのために使用されてもよい。
【0071】
システムは、(1)脳静脈酸素飽和度及び中心静脈酸素飽和度を推定することを含む、パルス酸素飽和度測定を使用することができない静脈酸素飽和度を推定することを含む、多波長光音響励起並びにCG-PARS検出及び用途を使用して酸素飽和度を推定する際に有益であることがある。これは、特に小さい子供及び幼児に対して危険となり得るカテーテル治療手順を潜在的に置き換えることができる。
【0072】
酸素流量及び酸素消費も、酸素飽和度を推定するCG-PARSイメージング、並びに組織の領域に及び組織の領域から流れる欠陥における血流を推定する補助的方法を使用することによって推定されてもよい。
【0073】
システムはまた、血管床並びにバレットの食道及び大腸癌における浸潤の深度のイメージングなど、いくつかの消化器の用途を有してもよい。浸潤の深度は、予後診断及び潜在的な代謝に対して重要である。消化器の用途は、組み合わされてもよく、臨床内視鏡からピギーバックされてもよく、小型CG-PARSシステムは、スタンドアロン内視鏡として設計されてもよく、または臨床内視鏡のアクセサリチャネル内で適合するかのいずれかであってもよい。
【0074】
システムは、脳外科手術、内出血の評価のための使用、及び焼灼検証の間の機能イメージング、臓器及び臓器移植のかん流の充足レベルのイメージング、膵島移植の周りの血管形成のイメージング、植皮のイメージング、血管新生及び免疫拒絶を評価する組織スキャフォールド及び生体材料のイメージング、顕微鏡手術を支援するイメージング、重要な血管及び神経を切除することを回避する案内など、いくつかの外科的用途を有してもよい。
【0075】
用途の他の例は、臨床または事前臨床用途における造影剤のCG-PARSイメージング、歩哨リンパ節の識別、リンパ節内の腫瘍の非浸潤または最小浸潤識別、遺伝的に符号化されるレポータ、例えば、事前臨床または臨床分子イメージング用途のためのチロシナーゼ、色素タンパク、蛍光タンパク質、分子イメージングのためのナノ粒子を光学的に吸収することを能動的または受動的に目的としたイメージング、並びに凝血及び凝固の期間の潜在的な診断のイメージングを含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、例えば、OCTなどのいずれかの適切な技術が、CG-PARSによるイメージングの前の表面トポロジのために使用されてもよい(光音響リモートセンシング技術のための一定深度または可変深度集束)のために使用されてもよい。
【0077】
少なくともいくつかの実施形態では、本開示のシステムは、可変焦点長レンズを含んでもよい(音声コイル駆動、MEMSベース、圧電ベース、及び同調可能音響勾配連レンズを含んでもよい)。更に、本開示のシステムは、単一モードファイバからサンプルに励起光(及び/またはインタロゲーション光)を配信するが、ダブルクラッドファイバのマルチモードクラッディングを使用してインタロゲーション光を収集する、OCT及びPARSマイクロスコピ(CG-PARSを含む)の両方のためのダブルクラッドファイバカプラを含んでもよい。本開示のシステムはまた、血管造影検査またはドップラーにより使用されてもよい。
【0078】
本開示の実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を含んでもよい。
1.提案されるCG-PARSは、励起レーザの光吸収に正比例した深度依存コントラストを提供する。例えば、CW CE-PARSは、高域通過フィルタまたは帯域通過フィルタを使用して、信号の変調成分を抽出する。パルスCE-PARSまたはSD-CG-PARSと関連付けられたパルス検出システムは、励起パルスによりまたは励起パルスなしに検出された信号における差を使用する。
【0079】
2.源のコヒーレンス長は好ましくは、サンプルへのインタロゲーションビームの焦点の深度よりも短く、より好ましくは、著しく短い。このようにして、コヒーレンスゲーティングの使用によって改善された深度分解能を達成することができる。
【0080】
3.提案されるSD-CG-PARSシステムは、分光器を組み込み、励起パルスによりまたは励起パルスなしに(または、異なるパルスエネルギーにより)エンベロープ化されたAスキャンを検出することが可能である。システムは、励起パルスによりまたは励起パルスなしに(または、異なるパルスエネルギーにより)エンベロープ化されたAスキャンにおける差を抽出するためにプロセッサを使用する。
【0081】
4.提案されるCE-PARSシステムでは、2つ以上の干渉計、または2つ以上の連続した参照経路位相シフトにより順次調査する方法、及びエンベロープ信号の時間変調を抽出するよう直列もしくは並列取得を組み合わせるプロセッサが存在してもよい。
【0082】
5.提案されるCG-PARS方法は、初期圧力と関連付けられた屈折率変化を検出するためにOCT信号を使用し、少なくとも2つの取得(複数の検出器により直列または並列のいずれかで)を使用する。SD-CG-PARSでは、AスキャンOCTエンベロープ取得は、励起パルスによりまたは励起パルスなしに得られ、各々のAスキャンは、分光器により取得される。CE-PARSでは、信号の位相内成分及び直角位相成分が取得される。
【0083】
6.述べられたように、SD-CGPARS方法は、分光器を使用する。加えて、SD-CG-PARSは、励起パルスによりまたは励起パルスなしに(または、異なるパルスエネルギーにより)エンベロープ化されたOCTAスキャンを検出するために使用されてもよい。検出された信号における位相は、エンベロープを形成するよう取り除かれてもよい。SD-CG-PARSについて、プロセッサは、励起パルスにより及び励起パルスなしに(または、異なるパルスエネルギーにより)エンベロープ化されたAスキャンにおける差を抽出するために使用されてもよい。
【0084】
リモートセンシングシステムの特定の実施例が以下のように説明されてもよい。
1.スペクトル領域コヒーレンスゲーテッドPARSトモグラフィ(SD-CG-PARSトモグラフィ)システムは、以下を有する。
【0085】
a.パルス励起電磁気放射源
b.低コヒーレンスインタロゲーション光源であって、コヒーレンス長は、深度分解能の主要な決定因子である。典型的には、インタロゲーション波長及び励起波長は、スペクトル的に明確に異なるが、任意選択の実施形態では、励起源及びインタロゲーション源は、1つで同一である。
【0086】
c.パルス励起ビーム及びインタロゲーションビームを組み合わせて、両方のビームの共スキャニングを有効にするコンバイナ
d.それぞれのビームまたは組み合わされたビームを集束させ、サンプルからインタロゲーション光を収集する集束レンズ(複数可)。
【0087】
e.インタロゲーションビームを参照経路及び信号経路に分割するスプリッタを有する干渉計であって、参照経路は、調節可能経路長を有し、信号経路は、参照経路光と干渉するよう収集された信号を再度戻す。
【0088】
f.分光器(様々なタイプの分散素子、グレーティング、プリズムなどを有する)及び検出器アレイ(CCD、CMOS、フォトダイオードアレイ)から構成される光分析モジュール。
【0089】
g.励起パルスの後に記録された光信号が、それらの起点から遠くに伝播する前に短い(<数十ナノ秒)時間スケール内で読み出されることを保証する時間ゲーティングシステム。特に、インタロゲーション読み出し時間にわたる伝播の音響距離は、所望の軸空間分解能または横方向空間分解能よりも著しく大きくなるべきではない。この時間ゲーティングは、(1)励起源の後のナノ秒内に信号を読み出すよう慎重に計測されたフェムト秒-マイクロ秒スケールのパルスインタロゲーション源及びパルスシーケンサ及び取得電子機器、(2)所望の時間ウインドウ内でインタロゲーション光のみを捕捉することが可能なナノ秒スケールの応答時間を有する光学シャッタまたは電気シャッタ、(3)各々の要素から時間領域信号を電気的に捕捉し、第1のT時間サンプルのみを捕捉する高速フォトダイオードアレイ、を使用して達成される。
【0090】
h.スキャン位置ごとに少なくとも2つのOCTAスキャンラインを形成するパルスシーケンサ及び取得システムであって、1つが励起パルスを有し、1つが励起パルスを有さず、または1つがもう一方とは異なる励起パルスエネルギーを有する、パルスシーケンサ及び取得システム。
【0091】
i.励起源のパルスツーパルス変動及びインタロゲーション源における変動を説明する任意選択の参照フォトダイオード測定サブシステム。
j.スキャンの間の参照経路長を調節し、または所望の深度セクショニングを調節する任意選択のプログラム可能コントローラ及びアクチュエータ。
【0092】
k.分光器検出器によって検出される励起レーザ波長を拒絶する任意選択のフィルタ。
l.各々の深度位置において光吸収に比例したコントラストによりCG-PARS Aスキャンを形成するよう、OCT RF Aスキャンラインを処理する(励起パルスによりまたは励起パルスなしに、任意選択で、参照経路長シフトにより及び参照経路長シフトなしに)プロセッサ。1つのそのようなプロセッサの実施形態は、各々のOCT Aスキャンのエンベロープを形成すること、並びに励起レーザパルスにより及び励起レーザパルスなしにAスキャンのエンベロープを減算することを含む。この戦略は、望ましくない位相ノイズ感度を除去する利点を有するが、光音響初期圧力と関連付けられた屈折率変化をなおも捕捉する。
【0093】
m.OCT及びCG-PARS画像をレンダリング及び表示するプロセッシングシステム。
2.コヒーレンス拡張PARS(CE-PARS)マイクロスコピシステムは以下を有する。
【0094】
a.パルス励起光源。
b.低コヒーレンスインタロゲーションレーザであって、コヒーレンス長は、深度分解能の主要な決定因子である。典型的には、インタロゲーション波長及び励起波長は、スペクトル的に明確に異なるが、任意選択の実施形態では、励起源及びインタロゲーション源は、1つで同一である。
【0095】
c.パルス状励起ビーム及びインタロゲーションビームを組み合わせて、両方のビームの共スキャニングを有効にするコンバイナ
d.それぞれのビームまたは組み合わされたビームを集束させ、サンプルからインタロゲーション光を収集する集束レンズ(複数可)。
【0096】
e.インタロゲーションビームを参照経路及び信号経路に分割するスプリッタを有する干渉計であって、参照経路は、調節可能経路長を有し、信号経路は、参照経路光と干渉するよう収集された信号を再度戻す、干渉計。
【0097】
f.関連する任意選択の増幅器及びフィルタ、例えば、フォトダイオード(複数可)または平衡フォトダイオード(複数可)を含む光検出モジュール(複数可)。フィルタは、CWインタロゲーションビームのケースでは、DC散乱光を拒絶し、変調成分のみを収集するよう含まれてもよい。パルスインタロゲーション光についてのモジュールの説明を以下に参照されたい。
【0098】
g.(1)直列して、ポイントスキャン、横方向スキャン、深度スキャン、またはCスキャンを実行し、次いで、π/2位相によって参照経路長を調節し、次いで、再度スキャニングすることによって、(2)並列して、他の干渉計の参照経路からのπ/2だけ異なる参照経路との追加の干渉計を使用することによって、の2つの方法の1つを使用して、干渉光から位相内及び直角位相複合エンベロープ信号を効果的に取得する方法。この並列干渉計は、別個の光学経路により、または共通経路構成として実装されてもよい。この直角位相サンプリングスキームは、正確な深度セクション内で効果的なPARS画像を生成するために完全な深度スキャン(Aスキャン)を取得する必要なく、特定の深度ゲーティング(または、深度範囲)におけるCスキャニングまたはen-faceスキャニングの柔軟性を提示する。Aスキャンが取得される場合、Aスキャンライン内の深度サンプルごとに励起パルスが存在するはずであり、それは、スキャンされたビームのケースと比較して、望ましくない永続的なレーザ露光につながる。
【0099】
h.エンベロープ、または特に、励起パルスによる及び励起パルスなし(または、異なる強度の励起パルスによる)ケースに対する複合エンベロープ信号の大きさを推定するプロセッサ。
【0100】
i.各々のスキャン位置において光吸収に比例したコントラストを有するCE-PARS信号を形成するよう、OCT RFエンベロープ信号を処理する(励起パルスにより及び励起パルスなし、または異なるパルスエネルギーにより)プロセッサ。1つのそのようなプロセッサの実施形態は、各々のOCT信号のエンベロープを形成すること、並びに励起レーザパルスにより及び励起レーザパルスなしにエンベロープを減算することを含む。この戦略は、望ましくない位相-ノイズ感度を除去する利点を有するが、光音響初期圧力と関連付けられた屈折率変化をなおも捕捉する。
【0101】
j.励起パルスの後に記録された光信号が、それらの起点から遠くに伝播する前に短い(<数十ナノ秒)時間スケール内で読み出されることを保証する時間ゲーティングシステム。特に、インタロゲーション読み出し時間にわたる伝播の音響距離は、所望の軸空間分解能または横方向空間分解能よりも著しく大きくなるべきではない。この時間ゲーティングは、(1)励起源の後のナノ秒内に信号を読み出すよう慎重に計測されたナノ秒スケールのパルスインタロゲーション源及びパルス-シーケンサ及び取得電子機器、(2)所望の時間ウインドウ内でインタロゲーション光のみを捕捉することが可能なナノ秒スケールの応答時間を有する光学シャッタまたは電気シャッタ、(3)時間の関数としてフォトダイオード信号を取得し、次いで、最初の数十から数百ナノ秒のみサンプリングし、または(4)パルスごとにピーク(エンベロープ)信号もしくはピークツーピーク(エンベロープ)信号を抽出するよう、アナログまたはデジタルピーク検出器を使用する、ことによって達成される。
【0102】
k.OCT及びCG-PARS画像をレンダリング及び表示するプロセシングシステム。
3.励起パルスによりまたは励起パルスなしの両方で(または、異なるパルスエネルギーにより)サンプルからのインタロゲーションパルス状信号を捕捉し(参照ビーム干渉によりまたは参照ビーム干渉なしに)、それぞれの信号を減算し、または励起パルスが存在しないOCT信号に対して正規化されたそれらの相対差を推定することを伴うパルスインタロゲーション検出サブシステム。これは、アナログ-デジタル変換器により増幅されたフォトダイオード信号を記録し、減算(任意選択で、除算)演算をデジタル的に行うことによって行われてもよい。それはまた、アナログ電子機器により行われてもよい。
4.(1)異なる励起波長または(2)異なるパルス幅(例えば、ピコ秒パルス及びナノ秒パルス)を使用して順次パルスを伴う機能イメージングシステム。(1)及び(2)の両方のケースでは、PARS初期圧力信号は、光吸収に比例し、上記説明されたCG-PARSシステムを使用して、または前に説明された干渉計もしくは非干渉計PARSシステムを使用して、インタロゲーションビームを使用して光学的に検出される。
【0103】
リモートセンシングの方法の実施例は、以下のように説明されてもよい。
a.(SDCG-PARS)サンプルの光学特性を調査する方法は、
サンプル内の光音響信号を生成する方法と、
光音響信号を検出するために使用される低コヒーレンス干渉計と、
所与の位置においてサンプルに光を案内する方法と、
所与の位置においてサンプルから光を収集する方法と、
光学スペクトル検出器と、
複数の光学スペクトルを収集するプロセッサと、
複数の光学スペクトルの間の差を抽出するプロセッサと、
を含む。
【0104】
I.サンプル内の光音響信号を生成する方法は、強度変調されたパルス源または連続波源の1つである、狭帯域または広帯域電磁気源を含む、ステートメントaの方法。
i.励起源の部分は、パルスツーパルス変動を説明するようフォトダイオードによって検出される、ステートメントIの方法。
【0105】
II.低コヒーレンス干渉計は、強度変調されたパルス源または連続波源の1つである広帯域電磁気源、参照経路及びサンプル経路にこのビームを分割する方法、並びに参照経路及びサンプル経路から戻るビームを組み合わせる方法を含む、ステートメントaの方法。
【0106】
i.光学スペクトル検出器は、1つ以上の分散素子(グレーティング、プリズムなど)及び1つ以上の検出器アレイ(CCD、CMOS、フォトダイオードなど)を含む、ステートメントIIの方法。
【0107】
ii.インタロゲーション源の部分は、パルスツーパルス変動を説明にするようフォトダイオードによって検出される、ステートメントIIの方法。
III.低コヒーレンス干渉計は、広帯域連続波源電磁気源、参照経路及びサンプル経路にこのビームを分割する方法、並びに参照経路及びサンプル経路から戻るビームを組み合わせる方法を含む、ステートメントaの方法。
【0108】
i.光学スペクトル検出器は、1つ以上の分散素子(グレーティング、プリズムなど)及び1つ以上の高帯域幅検出器アレイ(フォトダイオード、アバランチフォトダイオードなど)を含む、ステートメントIIIの方法。
【0109】
ii.インタロゲーション源の部分は、電力及び変動を説明するようフォトダイオードによって検出される、ステートメントIIIの方法。
IV.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントaの方法。
【0110】
V.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光ガイド(光ファイバ、ダブルクラッドファイバ、光ファイババンドルなど)、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントaの方法。
【0111】
VI.複数の光学スペクトルを収集し、複数の光学スペクトルの間の差を抽出するプロセッサは、電子デバイスとして実装される、ステートメントaの方法。
b.(並列CEPARS)サンプルの光学特性を調査する方法は、
サンプル内の光音響信号を生成する方法と、
光音響信号を検出するために使用される2つ以上の光学低コヒーレンス干渉計と、
所与の位置においてサンプルに光を案内する方法と、
所与の位置においてサンプルから光を収集する方法と、
干渉計からのデータチャネルを組み合わせるプロセッサと、
エンベロープ信号の時間変調を抽出するプロセッサと、
を含む。
【0112】
I.サンプル内の光音響信号を生成する方法は、強度変調されたパルス源または連続波源の1つである、狭帯域または広帯域電磁気源を含む、ステートメントbの方法。
i.励起源の部分は、パルスツーパルス変動を説明するようフォトダイオードによって検出される、ステートメントIの方法。
【0113】
II.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントbの方法。
【0114】
III.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光ガイド(光ファイバ、ダブルクラッドファイバ、光ファイババンドルなど)、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントbの方法。
c.(直列QSCG-PARS)サンプルの光学特性を調査する方法は、
サンプル内の光音響信号を生成する方法と、
光音響信号を検出するために使用される低コヒーレンス干渉計であって、参照位相は、順次取得の間で調節される必要がある、低コヒーレンス干渉計と、
所与の位置においてサンプルに光を案内する方法と、
所与の位置においてサンプルから光を収集する方法と、
複数の取得を必要とする取得の方法と、
干渉計から直列データチャネルを組み合わせるプロセッサと、
エンベロープ信号の時間変調を抽出するプロセッサと、
を含む。
【0115】
I.サンプル内の光音響信号を生成する方法は、強度変調されたパルス源または連続波源の1つである、狭帯域または広帯域電磁気源を含む、ステートメントcの方法。
ii.励起源の部分は、パルスツーパルス変動を説明するようフォトダイオードによって検出される、ステートメントIの方法。
【0116】
II.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントcの方法。
【0117】
III.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光ガイド(光ファイバ、ダブルクラッドファイバ、光ファイババンドルなど)、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントcの方法。
d.(直角位相CEPARS)サンプルの光学特性を調査する方法は、
サンプル内の光音響信号を生成する方法と、
光学直角位相検出器と、
所与の位置においてサンプルに光を案内する方法と、
所与の位置においてサンプルから光を収集する方法と、
直角位相検出器からのデータチャネルを組み合わせるプロセッサと、
エンベロープ信号の時間変調を抽出するプロセッサと、
を含む。
【0118】
I.サンプル内の光音響信号を生成する方法は、強度変調されたパルス源または連続波源の1つである、狭帯域または広帯域電磁気源を含む、ステートメントdの方法。
i.励起源の部分は、パルスツーパルス変動を説明するようフォトダイオードによって検出される、ステートメントIの方法。
【0119】
II.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントdの方法。
【0120】
III.サンプルに及びサンプルから案内する方法は、光ガイド(光ファイバ、ダブルクラッドファイバ、光ファイババンドルなど)、光学スキャナ(ガルバノミラー、共振ミラー、MEMSミラー、ポリゴンスキャナなどのうちの1つ以上)、集束光学系サブシステム(対物レンズ、反射目的物、放物面ミラー、GRINレンズ)、及び検出経路に沿った励起波長を拒絶する光学フィルタのシステムから構成される、ステートメントdの方法。