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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ドア用スライド移動装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240213BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
E05D15/06 119
E05D15/06 121
E05F5/02 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020565518
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2019000037
(87)【国際公開番号】W WO2019158265
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】102018000002616
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102018000009360
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519206287
【氏名又は名称】テルノ・スコレヴォリ・エスピーエー・ユニペルソナレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルノ、ジョバンニ
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519924(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009011919(DE,A1)
【文献】独国実用新案第202016105495(DE,U1)
【文献】特開2014-125760(JP,A)
【文献】特開2015-190290(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019415(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
E05F 3/00- 5/12
E05F 17/00
E05C 17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワードローブ(12)用ドア及び各ドアにそれぞれ固定された1又は複数のキャリッジ(22,80)によってそれぞれのガイドに沿って前記ドアをスライドさせる装置(10,10')であって、
弾性クランプ(44,98)が搭載されたピストン(40,104)を収容する支持体(30,100)を備え、
前記ワードローブ(12)は、当該ワードローブの上部ベース(20,60)の前端近くに固定され、各平行ガイド(18,18')に沿ってスライドする少なくとも2つのドア(14,16,62,64,66)を有し、
前記装置(10)は、
少なくとも1つのローラ(32)を備え、前記各ドアの内側前面或いは夫々の上端近くに固定された一対のキャリッジ(22)と、
キャリッジ(22)の少なくとも1つを前記ドアに直接取り付けるための板状素子(22')と、
ローラ(32)を支持し、逆U字形状断面を有する少なくとも1つのフレーム(46,46',68,70)と、
平行ガイド(18)の端及び/又は前記ガイド自体に対向して固定され、前記キャリッジ並びにそれぞれのドアの閉鎖、開放、及び、中間位置において、キャリッジ(22)のローラ(32)を最終ストロークでクッション停止させるようにスライドさせるエアピストン(24)と、を備え、
支持体(30,100)は、逆U字形状断面を有するフレーム(46,46',68,70)の少なくとも1つに固定されているドア用スライド移動装置。
【請求項2】
キャリッジ(22)の板状素子(22')の少なくとも1つに、ねじ又はリベットで取り付けられた成形本体(50)を備え、
この成形本体には、楔形付属物(48)が設けられ、前記楔形付属物は、右向き或いは左向きに配置され、かつ、支持体(30)によって支えられた前記弾性クランプと連動するように設計されている請求項1に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項3】
逆U字形状断面を有するフレーム(46,46',68,70)は、2つの平行な垂直壁(47,49)を規定し、垂直壁(47)は、その高さが高く、かつ、ドア(14,16,66)の内面への取付面を構成し、前記フレームは、内部ドア(14)を越えるような高さを有している請求項1に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項4】
逆U字形状断面を有する前記フレームの少なくとも1つの垂直壁(49)の露出面には、プレート(33)と組み合わされたローラ(32)から構成されるキャリッジの1つが固定されている請求項3に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項5】
ピストン(40)及び弾性クランプ(44,98)を搭載した支持体(30,100)は、逆U字形状断面を有するフレーム(46,46',68,70)の少なくとも1つの垂直壁(49)の内面に固定されている請求項1に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項6】
逆U字形状断面を有するフレーム(46,46',68,70)及び成形本体(50)には、エアピストン(24)の作動用に当接部(56,56')が設けられている請求項5に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項7】
支持体(30)は、2つの補完的な半殻(34,36)で構成され、各半殻の下側には、ピストン(40)を位置決めして安定化させる座部を構成するように水平方向に延在した半円形輪郭の凹部(38)が設けられている請求項5に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項8】
前記ドアのキャリッジ(80)には、少なくとも1つのヘッド上において、弾性クランプ(98)の口(102)から始まって当該弾性クランプの平行アームと弾性アームとの間に係合するように構成された楔形付属物(96)が一体的に設けられた上部アーム(94)を、前記キャリッジに接続するのに適合した複数のネジ(92)のために、垂直に延びる2又はそれ以上の孔(90)が規定された延出部(88)が設けられている請求項1に記載のドア用スライド移動装置装置(10')。
【請求項9】
ネジ(92)は、上部アーム(94)の孔(90')に上から補完的に挿入される請求項8に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項10】
弾性クランプ(98)は、前記ドアのエンドストップ又はその近くに固定され、弾性クランプ(98)の下でピストン(104)、軸(106)を支える支持体(100)に接続され、前記軸は、キャリッジ(80)に対面する方向に突出し、その端部に弾性先端(108)を備えている請求項8に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項11】
弾性クランプ(98)は、リベット(118)で接続された2つの対向する半殻(114,116)を備え、それぞれにピストン(104)の本体の一部を収容して安定させる半円形状座部が構成され、半殻(114,116)の外面には、金属又は他の適切な材料の補強プレート(114',116')が固定されている請求項10に記載のドア用スライド移動装置。
【請求項12】
楔形付属物(96)を支える上部アーム(94)は、その下のキャリッジ(80)に係合するように下に向かって延出し、かつ、ピストン(104)の弾性先端(108)が通過するための窓(112)が設けられた一体的延長部(110)を備えている請求項8に記載のドア用スライド移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア及びワードローブドア用スライド移動装置に関する。
より詳細には、本発明は、特に、家具或いはワードローブドアのスライド移動、及び、当該ドアの精密な開閉位置を実現する手段により装置に統合するのに適している。
本発明に係る装置は、個々のドアを動かすためのハンドルやグリップが互いに接触するのを防いだり、同時に、1又は複数のドアを開閉する際にユーザの指がそれらの間で押し潰されるのを防いだりするという意味で、二重機能を実行するのに適している。
本発明に係る装置は、実際、平行線上に配置されたガイドレールに沿ってスライドする2又はそれ以上のドアを備える家具或いはワードローブでの使用に適している。
【背景技術】
【0002】
他の実施形態において、スライディングドア(引き戸)やワードローブドアに設けられた革新的なブレーキ及び結合手段は、スライディングドアと同じ目的で有利に使用され、必要に応じて2つの隣接するスペース間の通路を閉じるように設置される。
【0003】
既知なものとして、広く普及しているワードローブは、ドアが片持ちで開かず、片側でドアを支持するヒンジで回転するが、代わりに、一対のガイドレールに沿って移動する上部キャリッジと下部キャリッジのおかげで、正面にスライドさせることで交互に開閉させて、ワードローブ自体の各区画にアクセスするようになっている。なお、上部ガイドレールは、ワードローブの上部閉鎖パネルの前端近く、或いは、頂部に固定されている。
【0004】
この場合、ドアの1つを開くと、ドアが重なってスライドする。これは、キャリッジのガイドレールが独立し、互いに接近しつつ平行になっていることで可能になる。従って、ドアが2つだけ取り付けられたワードローブでは、外側ドアと内側ドアとが識別され、これらのドアは、互いに独立して、完全に又は部分的にのみ開けることができる。
【0005】
開閉時の移動を可能にするために、外側ドア及び内側ドアには、それぞれハンドル或いはグリップが設けられ、当該ハンドル或いはグリップは、反対側の垂直側面の一方又は両方によって規定された端部で最適な高さで突出するように、外側ドア及び内側ドアに固定されている。
【0006】
理想的な使用条件下では、それぞれのドアのハンドルが互いにぶつかることはない。なぜなら、内側ドアは外側ドアが完全に閉じられているときにのみ開き、その逆も同様である。開閉時において、ストロークの終わりに達するドアには、クッションタイプ或いはハサミタイプとすることが可能な伝統的な止め具要素がある。各々のドアには、2つの止め具が用意され、1つは開位置用で、もう1つは閉位置用である。
【0007】
このような止め具は、通常、ドアのスライドガイドを構成するレールの端に固定されている。3ドアのワードローブの場合、開くドアは、残りの2つのドアが完全に閉じているときにのみ開ける必要がある。
【0008】
しかしながら、どちらの場合も、一方のドアが完全に閉じられていないときに、一方のドアが動かされると、それぞれのハンドルが激しくぶつかって破損する虞がある。このとき、ユーザの指がハンドルの間にぶつかったときに、ハンドルの間でユーザの指が押し潰される虞もある。これらのドアは時にかなりの重量があるので、この場合、ユーザが重傷を負う虞がある。
【0009】
このような欠点を克服するために、ドアの往復ストロークを制限するデバイスが設計されている。これらの装置は、通常、ドアが接続されているキャリッジに固定される要素で構成され、ハンドルが互いに接触するのを防ぐ。しかし、審美的にワードローブの他の部分と一致していないことに加えて、かなりのノイズを引き起こすという欠点がある。
【0010】
本発明の目的は、上記の不備を解消することである。より詳細には、本発明の目的は、ハンドルが互いに接触するのを防ぐのに適したスライディングドアを備えたワードローブ用のハンドル節約装置を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、ワードローブの他方のドアが完全に閉じられていないときに、ワードローブの一方のドアが開かれた場合でも、ハンドル間の接触を防ぐことができる上記の装置を提供することである。
【0012】
本発明の重要な目的は、ドアを開くためのストロークに対するエンドストップを同時に構成するのに適したワードローブのスライディングドア用のハンドルセービング(handle-saving)装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、高レベルの抵抗並びに長期に亘る信頼性を確保するのに適したハンドルセービング装置をユーザに利用可能にすることであり、加えて、容易かつ経済的になされるなどである。
【0014】
これらの及び他の目的は、主請求項による本発明のワードローブのドア用スライド移動装置によって達成される。
【0015】
本発明のワードローブのドア用スライド移動装置の構造並びに機能的特徴は、好ましい非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照する以下の詳細な説明からより明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、例えば2つのスライディングドアと本発明の装置とが取り付けられたワードローブを背面から概略的に示す不等角投影図である。
図2図2は、両方のドアが完全に閉じられた状態のワードローブを概略的に示す上面図である。
図3図3は、図1のA,B,Cで示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図4図4は、図1のA,B,Cで示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図5図5は、図1のA,B,Cで示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図6図6は、本発明の装置の介入により、内側ドアが完全に閉じられ、外側ドアが完全に開かれた状態における図1のワードローブを上面から概略的に見た図である。
図7図7は、本発明の装置の介入により、各ドアが図6に従って配置されているときのハンドルの位置を強調して示す部分拡大図である。
図8図8は、図6の表示に従って各ドアが配置されたワードローブを背面から概略的に示す不等角投影図である。
図9図9は、図8のA3,B3,C3で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図10図10は、図8のA3,B3,C3で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図11図11は、図8のA3,B3,C3で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図12図12は、内側ドアが開位置にあり、外側ドアが閉位置にあるワードローブを上面から概略的に見た図である。
図13図13は、本発明の装置の介入の結果として、各ドアが図12に従って配置されているときにハンドルがとる想定位置を強調して示す部分拡大図である。
図14図14は、図12の表示に従って各ドアが配置されたワードローブを背面から概略的に示す不等角投影図である。
図15図15は、図14のA2,B2,C2で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図16図16は、図14のA2,B2,C2で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図17図17は、図14のA2,B2,C2で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図18図18は、図16と同様の詳細図において、本発明の装置をより良く強調するために、ホイールを支える要素が欠如された図である。
図19図19は、内側ドアと外側ドアの双方が部分的に開けることが可能な位置にあるワードローブを上面から概略的に見た図である。
図20図20は、本発明の装置の介入の結果として、各ドアが図19に従って配置されているときにハンドルがとる想定位置を強調して示す部分拡大図である。
図21図21は、図19の表示に従って各ドアが配置されたワードローブを背面から概略的に示す不等角投影図である。
図22図22は、図21のA4,B4,C4で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図23図23は、図21のA4,B4,C4で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図24図24は、図21のA4,B4,C4で示された細部を拡大して示す不等角投影図である。
図25図25は、図23と同様の詳細図において、本発明の装置をより良く強調するために、ホイールを支える要素が欠如された図である。
図26図26は、本発明のハンドルセービング(handle-saving)装置を概略的に示す分解図である。
図27図27は、組み立てられた同装置の不等角投影図である。
図28図28は、ワードローブのドアが設けられるキャリッジの1つに接近し、ストップクランプ並びにそれに関連付けられたピストンを強調表示しつつ、本発明のハンドルセービング装置における異なる位置での不等角投影図である。
図29図29は、ワードローブのドアが設けられるキャリッジの1つに接近し、ストップクランプ並びにそれに関連付けられたピストンを強調表示しつつ、本発明のハンドルセービング装置における異なる位置での不等角投影図である。
図30図30は、例えば3つのドアを備えたワードローブに適用される本発明のハンドルセービング装置を概略的に示す図である。
図31図31は、例えば3つのドアを備えたワードローブに適用される本発明のハンドルセービング装置を概略的に示す図である。
図32図32は、例えば3つのドアを備えたワードローブに適用される本発明のハンドルセービング装置を概略的に示す図である。
図33図33は、例えば3つのドアを備えたワードローブに適用される本発明のハンドルセービング装置を概略的に示す図である。
図34図34は、例えば3つのドアを備えたワードローブに適用される本発明のハンドルセービング装置を概略的に示す図である。
図35図35は、家具或いはワードローブのスライディングドア(引き戸)に設けられた革新的なブレーキ及び結合手段が、当該スライディングドアを支持するのに適した従来のキャリッジと組み合わされた他の実施形態に係る本発明の装置を概略的に示す分解図である。
図36図36は、構成部品が組み立てられた図35の装置を概略的に示す不等角投影図である。
図37図37は、クランプ並びにそれに関連付けられたピストンを備える同装置を概略的に示す分解図である。
図38図38は、図36の装置を上面から概略的に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る識別センサについて、添付図面を参照して説明する。
図1~5、図10に示すように、本発明のハンドルセービング(handle-saving)装置は、その全体が図26,27,28の参照符号10で示され、図1,2に例示されたワードローブ12に関連付けられている。ワードローブ12は、例えば、2つのスライディングドア(引き戸)として四角形の内側ドア14及び外側ドア16を備え、内側ドア14及び外側ドア16は、それ自体が既知の形状輪郭から成る一対のガイド18,18'に沿って移動する。
【0018】
ガイド18,18'は、ワードローブ12の前端近くにおいて、当該ワードローブ12の頂部又は上部ベース20に固定されている。ガイド18,18'の上を既知のキャリッジ22のホイール又はローラ32がスライドする。キャリッジ22の詳細は、以下で述べるように、図28,29において成形本体50を備える実施形態に概略的に示されている。
【0019】
キャリッジ22は、好ましくは、内側ドア14に直接取り付けるための板状部材22'を備えている。外側ドア16に関して、キャリッジ22は、例えば図4,9に示すように、プレート33と組み合わされたローラ32で構成することが有利である。
【0020】
プレート33は、逆U字形状断面を有するフレーム46,46'にリベット又は同様のもので固定されている。各々のフレーム46,46'は、例えば図5,10に示すように、2つの平行な垂直壁47,49を規定し、垂直壁47は、その高さが高いことが好ましく、かつ、その上端において外側ドア16の内面への取付面を構成している。逆U字形のフレーム46,46'は、外側ドア16の上側の両端に固定されている。
【0021】
識別を容易にするために、参照符号46は、外側ドア16の後端に位置するフレームを示し、そのキャリッジは、最終ストロークストップ(end-stroke stop)と協働するように設計されている。 参照符号46'は、他のフレームを示しており、同じ外側ドア16の反対側の前端に配置されている。上記したフレームは、例えば図10に示すように、内側ドア14を越えるのに十分な高さを有している。
【0022】
プレート33と組み合わされたローラ32によって構成されたキャリッジ22は、上記したフレーム46の垂直壁49の露出面に固定されている。このため、上記したローラ32は、成形された輪郭18,18'の1つに載っている。特に、フレーム46に接続されたローラ32は、ワードローブ12の頂部20の最も内側に配置された内側ガイド18の上をスライドする。一方、他のガイド即ち外側ガイド18'は、ドア14,16により接近し、その上を、内側ドア14に固定されたキャリッジ22のローラ32がスライドする。
【0023】
このような配置は、例えば図4,5で確認することができる。内側及び外側ドア14,16は、それぞれ、2つのキャリッジを備え、上記したドアの上側の両端近くの位置に拘束されている。特に図2によれば、ワードローブ12の露出された前面には、内側ドア14即ちワードローブ12の本体に接近したドアと、外側ドア16とが、前者に対して片持ちになっていることが分かる。
【0024】
図6,12にそれぞれ概略的に示されているように、ワードローブ12を半分開けたとき、外側ドア16は、内側ドア14を乗り越えるように配置され、即ち、後者は、外側ドア16の下に配置される。従来のキャリッジ22のホイール又はローラ32がスライドする成形ガイド輪郭18の端には、それ自体既知の装置が、上記したドアの開閉時の最終ストロークでのクッション停止のために固定されている。この装置は、例えば、内側ドア14に関係した図3,9並びに外側ドア16に関連した図11,17に示されたエアピストン24或いは同タイプの既知の手段で構成され、フレーム46,46'並びに成形本体50にそれぞれ構成された当接部56,56'との接触により駆動される。
【0025】
エアピストン24は、クッション性を有する革新的なブレーキングを確保し、ドア14,16が自然の最終ストロークに達する際に、キャリッジ22の損傷或いは不要な変位を引き起こす危険性を伴うことを防止する。エアピストン24を駆動するフレーム46'の当接部は、例えば図10,16において参照符号56で示されている。
【0026】
内側及び外側ドア14,16の双方には、これらドアの開閉移動のための把持ハンドルが設けられている。図示された実施形態において、当該把持ハンドルは、真っ直ぐに延長された一片或いは成形品で構成され、これらは、外側に片持ちで突出し、かつ、上記したドアの両端で垂直に延びている。一片或いは成形品は、内側ドア14については参照符号26で示され、外側ドア16については参照符号28で示され、上記したドアの全体の高さに亘って延在させることが好ましい。
【0027】
エアピストン24のようなクッション性停止装置は、ドアの開閉時に、上記したドアが各エンドストップに激しく当接するのを防止するが、特定の条件下において、一片或いは成形品で構成されるドアの把持ハンドルが、互いに衝突したり密接したりして、ユーザの指を押し潰す危険性を排除するものではない。
【0028】
本発明の装置10は、かかる問題を防ぐことが可能であり、図26,27,28,29に詳細に示されている。キャリッジ22は、以下で詳述するように、プラスチック又は金属で成形された支持体30を備え、支持体30は、外側ドア16のキャリッジ22に固定されるように設計されている。
【0029】
図26に示すように、支持体30は、2つの補完的な半殻34,36で構成され、各半殻の下側には、例えばガイド輪郭18の端部に固定されたエアピストン24と同様に、ピストン40を位置決めして安定化させる座部を構成するように水平方向に延在した半円形輪郭の凹部38が設けられている。凹部38の上方には、半殻34,36から突出した付属物42が成形され、これら半殻34,36がネジ又は同等の手段で互いに結合されることで、図27のハサミ或いは弾性クランプ44が構成される。
【0030】
このように成形された支持体30は、特に図4,9,16,18から分かるように、逆U字状を有するフレーム46'に、特にローラ32を支持する垂直壁49の内面に、既存のネジで接続されている。成形支持体30によって支えられた弾性クランプ44は、キャリッジ22の1つの楔形付属物48と協働するように設計されている。特に、楔形付属物48は、成形本体50から突出し、成形本体50は、フレーム46により支えられたキャリッジ22の板状部材22'に一般的なネジ又はリベットで固定され、フレーム46は、外側ドア16の後端に位置し、かつ、外側ドア16の反対側の前端にあるフレーム46'の方向に向けられている。
【0031】
本発明のハンドルセービング(handle-saving)装置の動作に関しては、以下に明記されるように、楔形状は、楔形付属物48の弾性クランプ44への挿入を容易にする。本発明の装置の一体部分である成形本体50は、図5,10,17に示すように、成形支持体30が存在しないフレーム46に固定されたキャリッジ22と組み合わされる。ローラ32の一部を覆う成形本体50は、必要に応じて楔形付属物48を右向き或いは左向きに配置するために、2つの代替位置でキャリッジ22に固定することができる。
【0032】
これは、例えば図3図5とを比較すると、一方のキャリッジ22の楔形付属物48は、他方のキャリッジ22の楔形付属物に対面している。上記した成形本体50は、本発明に関係のない解決策に関連し、独立して保護されるロッカーアームのストロークを区切る機能を有するアーチ状に通された凹部52を備えている。同様のことは、特に図29に示されたホイール54にも当てはまる。
【0033】
外側ドア16には、2つの反転した「ITフレーム46,46'」が設けられ、これにより内側ドア14を越えて、各ローラ32をガイド輪郭18の1つに当接させる。上記したフレームは、外側ドア16の両側の近くで、その上端に沿って、対向する成形品26に近い位置に配置されている。特に、成形支持体30は、ピストン40とその上にある弾性クランプ44とを支え、逆U字状フレーム46'の垂直壁49の内面に固定されている。
【0034】
内側ドア14と外側ドア16の開放動作は、以下に説明する方法で行われる。
図2には、内側ドア14と外側ドア16の両方が完全に閉じた位置にある初期状態が示され、双方のドアは、エアピストン24の格納されたステム(stem)によって定義される各最終ストロークに当接している(図2、特に図3,5)。
【0035】
外側ドア16が全開で、内側ドア14が完全に閉まっている場合(図6~10)、フレーム46'に固定された支持体30で支えられたピストン40のステムと、内側ドア14の最終ストロークにあるキャリッジ22に属する成形本体50の当接部56'とが接触し、同時に、図28,29の表現から推測できるように、同じ支持体30に支えられたハサミ44は、上記したキャリッジ22の楔形付属物48と結合する。
【0036】
実際、開放段階では、外側ドア16を、内側ドア14へのストロークを緩和するように導く。このとき、図6,7に示すように、ハサミ44と楔形付属物48の係合は、完全に重なり合わない上記したドア相互間の所定位置を決定する。従って、各成形品或いはハンドル26,28は、十分な間隔を空けたままで、互いに衝突せず、ユーザの指を潰さない状態に維持される。
【0037】
内側ドア14と外側ドア16の両方が完全に閉じられた位置で、各最終ストロークに当接している同じ状態から開始し、内側ドア14の開放に至る段階について検討する(図12~18)。この状態では、上記とは反対のことが起こる、即ち、外側ドア16上で緩和されるのは内側ドア14となる。実際、この動きは、内側ドア14のキャリッジ22を導いて、このキャリッジに取り付けられた楔形付属物48と、フレーム46'に固定された支持体30のハサミ44とを係合させる。
【0038】
同時に、成形本体50に配置された当接部56'により、キャリッジ22は、上記した支持体30のピストン40のステムを押し、開放時の内側ドア14の緩衝効果を実現する。上記した状況については、図12,13に示すように、ハサミ44内への楔形付属物48の係合は、完全に重ならないドア相互間の位置を決定する。これにより、各成形品或いはハンドル26,28は、十分な間隔を空けたままとなり、かくして、それらは衝突せず、ユーザの指を押し潰すリスクを回避させる。
【0039】
更に、内側及び外側ドア14,16の双方が部分的に開いている場合、本発明の装置は、上記と同様の機能を再び発揮する。実際、図19~25では、同時の開放動作によって、2つの内側ドア14と外側ドア16を、どのようにワードローブ12の開口面の中央領域に移動させるのかが分かる。フレーム46'に固定された支持体30は、続いて、外側ドア16に接続し、スライド移動中に内側ドア14のキャリッジ22を遮断する。このため、上記したキャリッジの成形本体50に支えられた楔形付属物48は、上記した支持体30のハサミ44に係合する。
【0040】
これにより、内側ドア14及び外側ドア16は、互いに安定する。同時に、上記した支持体30のピストン40のステムは、成形本体50上に設けられた当接部56'によって押圧され、上記したドア相互間にクッション性の制動効果を生じさせる。この場合、特に図20,25から分かるように、上記したドアのハンドルは、互いに十分に離間された状態に維持され、それらの移動中に衝突しないので、ユーザの指を押し潰す危険性が回避される。
【0041】
図31~34は、本発明のハンドルセービング装置が3ドアのワードローブに適用された実施例を示している。この種のワードローブにおいて、2つドアは互いに整列され、一旦閉じられると、それらドアはワードローブの両端に位置付けられる。代わりに、第3のドアが他のドアよりも前方に突出し、ワードローブの中央部分を閉鎖します。
【0042】
また、ワードローブの頂部又は上部ベースには、ドア14,16に成形された輪郭18,18'を参照しつつ特に図30に概略的に示されたものと同様に、各キャリッジのための2つの平行なスライドガイドが設けられている。次に、この図は、完全に閉じられた3つのドアを備えたワードローブの状態を示しており、頂部又は上部ベースは参照符号60で示され、両側に閉じられたサイドドアは参照符号62,64で示され、これらドアに対して外側に突出している中央ドアは参照符号66で示されている。
【0043】
本実施形態によれば、上記したように閉鎖配置された3つのドアを備えたワードローブを参照すると、突出した中央ドア66は、頂部60に対面する内面に沿って当該上部に設けられ、ピストン40及びハサミ44を備えた本発明の装置10は、逆U字形状断面を有するフレーム68,70に支持される。この装置は、図23の実施形態のようにフレーム68の内側に、又は、図10の実施形態のようにフレーム70の外側に固定される。
【0044】
図2,3,5のピストン40と同様に、エアピストン72が設けられ、装置10は、成形輪郭18に沿って逆U字形のフレーム70の外側をスライドする。この結果、図30,31に示すように、双方の内側ドア62,64が閉じられると、外側ドア66が停止して、ピストン72へのそのストロークを緩和する。
【0045】
図32に示すように、内側ドア62を開くと、そのストロークは、逆U字形状のフレーム68によって支えられた装置10によって、停止及び緩衝される。一方、図33に示すように、内側ドア64を開くと、そのストロークは、逆U字形状のフレーム70によって支えられた装置10によって、停止及び緩衝される。最後に、外側ドア66と内側ドアの1つ例えば内側ドア62の両方が部分的に開いている状態では、図19~25に関して前述した状況と同様に、クッション性ブレーキで互いに安定して緩衝する。このように、3つのドアのワードローブに係る実施形態においても、結果として、それぞれのハンドルは互いに十分に離れたままであり、取り扱い中に衝突せず、ユーザの指を押し潰すリスクを回避する。
【0046】
図35~38には、他の実施形態が示され、家具或いはワードローブのスライディングドア(引き戸)に設けられた革新的なブレーキ及び結合手段は、スライディングドアのために図35において参照符号10'で全体的に示された装置において有利に使用され、上記したドアを支持及び移動するのに適した従来のキャリッジと組み合わされる。図35,36で参照された当該他の実施形態によれば、上記され並びに特に図28,29に示された実施形態におけるハサミ44の1つ及び補完的な楔形付属物48の1つは、スライディングドア(図示しない)を支持するために用いられる既知のタイプのキャリッジと組み合わされる。
【0047】
図35,36で参照符号80にて示された上記キャリッジは、通常、ガイド輪郭内でスライド可能な2対のホイール又はローラ82を有する。下部ベースは、ピン84の通路のための長手方向に延びるスロットを備え、キャリッジ80の下方に突出し、上記したピンに接続されたプレート86によってドア或いはワードローブドアの上端に接続される。キャリッジ80は、少なくとも1つのヘッド上において、一対の車輪82の相互間で水平方向に延出する延出部88と、垂直方向に延びる2つ又はそれ以上の孔90とを有し、孔90は、これに対応する孔90'が一端部に設けられた上部アーム94をキャリッジ80に接続するための複数のネジ92を収容するように配置されている。
【0048】
ネジ92は、上から上部アーム94の各孔90'に挿入される。上部アーム94の反対側の端部からは、上記した実施形態の楔形付属物48と同様に、楔形付属物96で終わる一体型拡張部が延びており、楔形付属物96は、ハサミ或いは弾性クランプ98の平行アームと弾性アームとの間で係合するように設計されている。これは上記した実施形態の弾性クランプ44に非常に類似し、上記した弾性クランプ98は、スライディングドアのエンドストップ又はその近くに固定された支持体100によって支持されている。
【0049】
ハサミ或いは弾性クランプ98の図35において、参照符号102として示された口(mouth)は、楔形付属物96の挿入並びにその後の保持を容易にするように、隙間形状(slotted shape)を規定している。ハサミ或いは弾性クランプ98の支持体100には、上記ハサミの下に、例えば空気タイプのピストン104が固定され、当該ピストンの軸(stem)106は、キャリッジ80に対面する方向に突出し、その突出端に弾性先端108を支持している。
【0050】
かかるピストン104は、上記した実施形態のピストン40に実質的に対応する。弾性先端108は、孔90が設けられた延出部88の反対側の壁でキャリッジ80に隣接している。図35の好ましい実施形態によれば、楔形付属物96を支持するアーム94は、一体的延長部110を備え、一体的延長部は、下方に延在し、その端部がキャリッジ80の方向に折り返されている。
【0051】
この一体的延長部は、ネジ92に加えて、キャリッジの本体の下に係合する際のアーム94の安定化要素を規定する。当該一体的延長部110には、窓112が設けられ、それを通してピストン40の弾性先端108がキャリッジ80に当接し、スライド移動が徐々に制動され、これに伴って、アーム94の楔形付属物96がハサミ或いは弾性クランプ98に嵌め込まれる。
【0052】
一例として、図36には、ネジ92によってキャリッジ80に拘束されたアーム94が示され、図37には、リベット118又は同等の手段で接続された2つの対向するアーム又は半殻114,116から成るハサミ98の分解図が示されている。それぞれの半殻において、長手方向に延在し、ピストン104の本体の一部を収容して安定させる半円形輪郭の座部(seat)が構成され、半殻114,116の外面には、金属又は他の適切な材料の補強プレート114',116'が固定されることが好ましい。
【0053】
図38は、上から見た図で、スライドドアを支持するキャリッジ80がエンドストップに到達し、楔形付属物96がハサミ或いは弾性クランプ98に嵌め込まれ、そして、ピストン104の軸(stem)106が前記キャリッジに当接し、そのストロークを徐々に制動している状態を示している。この状態によれば、スライディングドアは、エンドストップに激しく当接することはなく、楔形付属物96がハサミ或いは弾性クランプ98で区画された凹部に挿入された後、適切に安定する。スライディングドアは、キャリッジ80を既知の方法、典型的には無頭ネジ(grub screw)120でスライドさせる従来の押し出しプロファイルによって安定化される。
【0054】
上記から分かるように、本発明が達成する利点は明らかである。本発明の装置は、ワードローブのドアが2つ又は3つであっても、全体的或いは部分的な開閉を効果的に安定化させると同時に、クッション性を有する革新的なブレーキングが実行されることを可能にする。
【0055】
ハサミ44並びに補完的な楔形付属物48の有利な存在の結果として、上記したドアの安定化に加えて、ドアの正確な相互の位置決め確保され、これにより、各グリップ26,28が互いに適切に離間されたままであって衝撃を与えず、その結果、ユーザの指を押し潰すリスクが回避される。上記した実施形態によれば、本発明の装置は、スライディングドアのクッション性を有する革新的なブレーキングと、エンドストップでのドアの安定化の双方を可能にする。
【0056】
図35~38の実施形態において、本発明の装置は、スライディングドアがエンドストップに激しく当接しないようにし、ハサミ或いは弾性クランプで区画された凹部に楔形付属物を挿入した後、スライディングドアを適切に安定させる。
【0057】
非限定的な例として、本発明に係る実施形態を説明したが、当業者にとって種々の変更並びに変形が可能であることは明らかでる。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲に含まれる全ての変更並びに変形を包含することを目指すものである。
図1
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図5
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