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特許7434193めっきされたカーボンナノチューブ要素を使用した同軸ケーブルおよびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】めっきされたカーボンナノチューブ要素を使用した同軸ケーブルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 9/02 20060101AFI20240213BHJP
   H01B 5/02 20060101ALI20240213BHJP
   H01B 11/18 20060101ALI20240213BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01B9/02 C
H01B5/02 A
H01B11/18 Z
C23C26/00 B
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020572739
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019039181
(87)【国際公開番号】W WO2020006042
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】62/789,138
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/449,015
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/691,320
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518139683
【氏名又は名称】カーライル・インターコネクト・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・エー・スーダーズ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ピッツォ
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0162300(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0025907(US,A1)
【文献】特開2009-187943(JP,A)
【文献】特表2011-524604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 9/02
H01B 5/02
H01B 11/18
C23C 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの内方導体と、
前記内方導体を囲む絶縁層と、
外方導電性層であって、
対向面表面およびエッジを有するカーボンナノチューブ基体、ならびに
金属被覆されたカーボンナノチューブ基体を形成するために前記カーボンナノチューブ基体の前記対向面表面およびエッジに連続導電性層として施される複数の金属層の層を含む、外方導電性層と、
を備え、
前記連続導電性層は、銀および銅を含む導電性層を形成するために、前記カーボンナノチューブ基体に層として施されるの連続層と前記カーボンナノチューブ基体に層として施された銅の連続層と、を含み、
前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体は、最外層としての銀および銅の導電性層、前記カーボンナノチューブ基体、および前記絶縁層上の最内層としての銀および銅の導電性層を有する前記外方導電性層を形成するために前記絶縁層および中心導体を囲むように巻き付けられる、ケーブル。
【請求項2】
前記連続導電性層の少なくとも1つの金属層は前記カーボンナノチューブ基体の対向面表面およびエッジに対して施された電気めっき層である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記内方導体は、中実導体または編組導体の少なくとも一方である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体は、前記外方導電性層を形成するために前記絶縁層および前記内方導体を囲むように重畳様式で巻き付けられる、請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
前記巻き付けられた外方導電性層は、50パーセント以上の重畳部をもたらすように巻き付けられる、請求項4に記載のケーブル。
【請求項6】
前記巻き付けられた外方導電性層は、40~50度の範囲内の角度で巻き付けられる、請求項1に記載のケーブル。
【請求項7】
前記巻き付けられた外方導電性層は、42.5~47.5度の範囲内の角度で巻き付けられる、請求項6に記載のケーブル。
【請求項8】
前記外方導電性層は、30~150マイクロインチの範囲内の厚さを有する銅層と、40~150マイクロインチの範囲内の厚さを有する銀層とからなる、請求項1に記載のケーブル。
【請求項9】
少なくとも1つの金属層は、30~300マイクロインチの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブ基体は、0.0010~0.0020インチの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項11】
前記カーボンナノチューブ基体は、0.300~0.500インチの範囲内の幅を有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項12】
前記絶縁層および前記中心導体の周囲には、前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体が、前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体の引張強度に基づくテープ張力にて巻き付けられている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項13】
前記外方導電性層を覆って位置決めされた編組層であって、前記編組層は、複数のカーボンナノチューブヤーン要素から織成され、各カーボンナノチューブヤーン要素は、複数のカーボンナノチューブフィラメントを含む、編組層をさらに備え、
前記カーボンナノチューブヤーン要素の前記カーボンナノチューブフィラメントのそれぞれが、カーボンナノチューブ芯と、金属被覆されたカーボンナノチューブフィラメントを形成するために前記カーボンナノチューブ芯上に層として施された少なくとも1つの金属と、を備え、
前記カーボンナノチューブヤーン要素は、前記編組層を形成するために織成される、請求項1に記載のケーブル。
【請求項14】
前記カーボンナノチューブフィラメントのそれぞれが、前記カーボンナノチューブ芯に対して層として施された複数の金属を含む、請求項13に記載のケーブル。
【請求項15】
前記少なくとも1つの金属は、電気めっきプロセスにより前記カーボンナノチューブ芯上に層として施される、請求項13に記載のケーブル。
【請求項16】
層として施された前記少なくとも1つの金属は、銅または銀の少なくとも一方を含む、請求項13に記載のケーブル。
【請求項17】
前記カーボンナノチューブフィラメントのそれぞれが、前記カーボンナノチューブ芯上に層として施された複数の金属を含む、請求項13に記載のケーブル。
【請求項18】
前記少なくとも1つの内方導体は、複数のカーボンナノチューブヤーン要素を備え、各ヤーン要素が、複数のカーボンナノチューブフィラメントを備え、
前記ヤーン要素の前記カーボンナノチューブフィラメントのそれぞれが、カーボンナノチューブ芯と、金属被覆されたカーボンナノチューブフィラメントを形成するために前記カーボンナノチューブ芯上に層として施された少なくとも1つの金属と、を備える、請求項1に記載のケーブル。
【請求項19】
前記カーボンナノチューブフィラメントのそれぞれが、前記カーボンナノチューブ芯上に層として施された複数の金属を含む、請求項18に記載のケーブル。
【請求項20】
前記金属層は、前記カーボンナノチューブ芯上に施された電気めっき層である、請求項19に記載のケーブル。
【請求項21】
層として施された前記少なくとも1つの金属は、銅または銀の少なくとも一方を含む、請求項18に記載のケーブル。
【請求項22】
前記カーボンナノチューブフィラメントのそれぞれが、前記カーボンナノチューブ芯上に層として施された複数の金属を含む、請求項18に記載のケーブル。
【請求項23】
少なくとも1つの内方導体と、
前記内方導体を囲む絶縁層と、
前記内方導体および前記絶縁層を囲む外方導電性層であって、
銅の下位層および銀の下位層を含む、少なくとも第1の金属層、
対向面表面を有する、カーボンナノチューブ基体、
銅の下位層および銀の下位層を含む、少なくとも第2の金属層
を含み、前記銅および銀の下位層は、前記第1の金属層と前記第2の金属層との間に前記カーボンナノチューブ基体を捕捉するために、かつ金属被覆されたカーボンナノチューブ基体を形成するために、前記カーボンナノチューブ基体の対向面表面のそれぞれに連続導電性層を形成する、外方導電性層と、
を備える、ケーブル。
【請求項24】
前記カーボンナノチューブ基体は、エッジを備え、前記カーボンナノチューブ基体の前記エッジは、銅の層および銀の層を含む金属層であって、前記第1の金属層および前記第2の金属層に結合する、金属層を備える、請求項23に記載のケーブル。
【請求項25】
前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体を形成するために施された前記銅および銀の層は、最初に層として施された銅の下位層と、前記銅の層に施された銀の下位層と、を含む、請求項23に記載のケーブル。
【請求項26】
前記第1の金属層および前記第2の金属層の少なくとも一方が、30~300マイクロインチの範囲内の厚さを有する、請求項23に記載のケーブル。
【請求項27】
前記第1の金属層および前記第2の金属層の少なくとも一方が、複数の金属下位層を有する、請求項23に記載のケーブル。
【請求項28】
前記カーボンナノチューブ基体は、0.0010~0.0020インチの範囲内の厚さを有する、請求項23に記載のケーブル。
【請求項29】
ケーブルを製造するための方法であって、
少なくとも1つの内方導体を用意するステップと、
前記内方導体を囲むように絶縁層を設けるステップと、
金属被覆されたカーボンナノチューブ基体を形成するために、カーボンナノチューブ基体の対向面表面およびエッジに連続導電性層として複数の金属層を施すステップと、
外方導電性層を形成するために、前記絶縁層および中心導体を囲むように前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体を巻き付けるステップと、
を備え、
前記連続導電性層は、銀および銅を含む導電性層を形成するために、前記カーボンナノチューブ基体に層として施される銅の連続層と、前記カーボンナノチューブ基体に層として施された銀の連続層と、を含み、
前記外方導電性層は、最外層としての銀および銅の導電性層と、前記カーボンナノチューブ基体、および前記絶縁層上の最内層としての銀および銅の導電性層を有する、方法。
【請求項30】
前記連続導電性層の少なくとも1つの金属層を、前記金属被覆されたカーボンナノチューブ基体を形成するための電気めっきプロセスにより前記カーボンナノチューブ基体の対向面表面およびエッジに対して施すステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記金属層を、連続電気めっきプロセスにより前記カーボンナノチューブ基体に対して施すステップを含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本願は、2018年6月28日に出願された米国特許仮出願第62/691,320号(係属中)および2019年1月7日に出願された米国特許仮出願第62/789,138号(係属中)の出願日に基づく優先権および利益を主張した、2019年6月21日に出願された米国特許出願第16/449,015号(係属中)に基づき優先権の利益を主張するものである。これらの出願および開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的にはケーブルに関し、詳細にはカーボンナノチューブ(CNT)要素を組み込んだ内方導体要素と外方層またはシールド層とを有するケーブルに関する。
【背景技術】
【0003】
同軸ケーブル、および2つの内方導体を有するツインアキシャルケーブル(ツイナックスケーブル)または4つ、8つ、もしくは他の個数の内方導体を有するケーブルなどの複数の導体を有する他のケーブルが、多数の様々な電気システムおよび電気機器に対して使用される。一般的に、そのようなケーブルは、絶縁層により隔てられた1つまたは複数の内方導体と1つまたは複数の外方導電性層または外方導体とを備える電気ケーブルである。これらの導体を覆って、シールド、強化層、およびジャケットなどの追加の層が使用される場合がある。内方導体が中実ワイヤまたは撚り線であり得る一方で、外方導電性層または外方導体は、しばしば絶縁層または内方導体の周囲に巻き付けられる金属フォイルである。複数の外方導電性層または外方導体が存在することが可能である。導体同士の間の内方絶縁層は、ケーブル内に物理的支持を与え、内方導体と外方導電性層との間の空間を保持し、さらに2つの電気構成要素を電気的に絶縁状態に維持する、適切な誘電材料から形成される。
【0004】
内方導体要素、絶縁層、および外方導電性層/外方導体はいずれも、インピーダンス特性および減衰特性などのケーブルの電気特性に対して著しい影響を及ぼす。また、外方導電性層は、様々な点でシールドとしての機能を果たし、ケーブル中で伝送される信号がケーブル内部に保持されることと、他の外部信号が排除されることとを確保する。また、外方導電性層は、信号伝送における二次導体または接地としての役割を果たす。そのようなケーブルは、広帯域信号または他の高周波信号を伝達するための高周波伝送線においてしばしば使用される。
【0005】
外方導電性層または外方導体に対してしばしば使用される1つの特定の材料は、銀めっきされた銅材料から形成され得るフォイル材料である。かかる材料は、理解されるように高重量である。複数のケーブルが束ねられる場合の用途においては、その重量は、特定の用途に対してかなりのものとなり得る。例えば、航空機用途の場合には、多数の電力ケーブルおよび通信ケーブルによる重量が特に懸念事項となることは明らかである。外方導電性層用のかかるフォイルの電気/機械特性は、その材料が加工され焼鈍される方法に大きく左右される。そのため、そのプロセスは、開始から終了に至るまでしばしば非常に可変的である。さらに、かかる銅ベースフォイルが、周囲を銀めっきされた銅ワイヤからしばしば形成されさらに平坦状にされるため、このフォイルの表面仕上げは、均一ではなく、反射性不連続性を有し得る。これは、ケーブルの性能に悪影響を及ぼす可能性があり、信号源に戻る望ましくない信号反射を最小限に抑えるために一貫した特徴のインピーダンス制御が必要となる。
【0006】
さらに、露出された銅はいずれも腐食リスクを有し、これはケーブルの電気性能を徐々に低下させる可能性を有し得る。さらに、フォイルは、より高い剛性が実現されるように著しく厚くなる場合があるが、それにより内方導体および任意の絶縁層の周囲に巻き付けられるときに良好な電気接触を実現するには柔軟性がより低いものとなり得ることに加えて、ケーブルの重量を著しく高めてしまう場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、現行の設計を上回る改良された性能特徴を有する頑丈で可撓性を有し軽量のケーブルを実現する、1つまたは複数の内方導体が1つまたは複数の外方導電性層または導体により囲まれた改良されたケーブル設計に対する需要が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ケーブルが、内方導体と、内方導体の外部を囲む絶縁層とを備える。外方導電性層が、絶縁層および内方導体を囲む。外方導電性層は、CNT基体を備える。1つまたは複数の金属層が、基体の両面にめっきを有するめっきされたCNT基体を形成するための連続電気めっきプロセスによりCNT基体に対して施される。代替的な実施形態では、内方導体は、複数のカーボンナノチューブヤーン要素を備え、各ヤーン要素が、複数のカーボンナノチューブフィラメントを備える。カーボンナノチューブフィラメントは、カーボンナノチューブ芯と、めっきされたカーボンナノチューブフィラメントを形成するための電気めっきプロセスによりカーボンナノチューブ芯に対して施された少なくとも1つの金属層とを備える。別の代替的な実施形態では、編組層が、外方導電性層の外部上において使用され、めっきされたカーボンナノチューブフィラメントを備える複数のカーボンナノチューブヤーン要素から形成される。カーボンナノチューブヤーン要素は、織成されて編組層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態により形成されたケーブルの部分断面斜視図である。
図1A図1のケーブルの断面図である。
図2A】本発明のさらなる実施形態によるケーブルのための内方導体要素を示す断面図である。
図2B】本発明のさらなる実施形態によるケーブルのための内方導体要素を示す断面図である。
図2C】本発明のさらなる実施形態によるケーブルのための内方導体要素を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態による図1Aに示す図の分解断面図である。
図4】本発明の一実施形態による金属被覆されたCNT基体の断面図である。
図4A】本発明の一実施形態による金属被覆されたCNT基体の断面図である。
図5】金属被覆されたCNT基体の巻付けを示す本発明の一実施形態によるケーブルの形成を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による巻付け角度の特徴を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態により形成されたケーブルの部分断面斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による金属被覆されたCNTフィラメントの断面図である。
図9図8に示すような金属被覆されたCNTフィラメントを有するCNTヤーンの側方斜視図である。
図10】本発明の別の実施形態により形成されたケーブルの部分断面斜視図である。
図11A】本発明の実施形態によるある撚り構造を有するCNT内方導体要素の斜視図である。
図11B】本発明の実施形態による別の撚り構造を有するCNT内方導体要素の斜視図である。
図11C】本発明の実施形態によるさらに別の撚り構造を有するCNT内方導体要素の斜視図である。
図12】本発明の別の実施形態により形成されたケーブルの部分断面斜視図である。
図13】本発明の実施形態による金属被覆されたCNT基体およびCNTフィラメントを形成するための電気めっきシステムの概略図である。
図14図13のシステムにおいて使用するためのシールド要素の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の基本原理を示す様々な特徴の幾分か簡略化したものを示している点に留意されたい。例えば様々な図示される構成要素の具体的な寸法、配向、位置、および形状などを含む、本明細書において開示されるような動作シーケンスの具体的な設計特徴は、部分的には特定の意図される用途および使用環境によって決定される。図示される実施形態のいくつかの特徴は、視覚化および明確な理解を容易にするために他に比べて拡大または変形されている。具体的には、薄い特徴物が、例えば明瞭化または例示を目的として厚くされる場合がある。
【0011】
図1は、一実施形態によるおよび本発明の特徴を組み込んだケーブル構造物またはケーブル10を示す。具体的には、図1のケーブル構造物10は、同軸ケーブルとして示され、電流を運ぶための少なくとも1つの内方導体12を備える。図1は、単一の内方導体要素を示すが、複数の内方導体要素が共に使用され構成されることによりケーブルの内方導体12を形成する場合がある。例えば、図2A図2B、および図2Cを参照すると、本発明によるおよび本発明の特徴を使用するケーブル構造物は、図2Aに示すような2つの要素12a、12bなどの複数の内方導体要素を使用してもよい。次いで、かかる内方導体は、1つまたは複数の絶縁層14と、本発明による図2Cに示され本明細書において説明されるような他の様々な層構成要素により囲まれる。図2Aに示すようなケーブル構造物は、ツインアキシャルケーブルまたはツインアックスケーブルとしばしば呼ばれる。他方で、図2Bおよび図2Cは、絶縁層14、外方導体層16、および説明されるような他の層により囲まれる4つの内方導体要素12a、12b、12c、および12dを示す。このケーブルは、クアドラックスケーブルと呼ばれる場合がある。当業者には容易に理解されるように、より多数の内方導体要素が、本発明の特徴を使用したケーブルにおいて使用されてもよい。したがって、本発明は、そのケーブル設計において使用される種々の内方導体要素12の個数に対して具体的に限定されない。簡略化を目的として、本発明の様々な実施形態が、単一の内方導体要素を有するケーブルに関連して説明および図示されるが、本発明はそのようなものに限定されず、外方導体および他の要素に関連して本明細書において開示される具体的構造物は、種々の図面にて本明細書で示されるものよりも多数の内方導体要素と共に使用されてもよい。例えば、図2Cは、図1Aと同様の、しかし複数の導体を有する一実施形態を示す。
【0012】
本発明の様々な実施形態によれば、ケーブル10は、異なる構造物を有する内方導体要素または内方導体を組み込み得る。例えば、図1に示すような内方導体12は、中実導体であってもよい。あるいは、内方導体は、銅または何らかの他の適切な導電性を有する金属などの適切な導電性材料から作製された撚り導体であってもよい。本発明の別の実施形態によれば、本明細書において開示されるように、内方導体12は、金属被覆されたCNT要素を組み込んでもよい。例えば、内方導体は、所望の電流を運ぶために金属層で十分に金属被覆された個別のフィラメントを備えるツイストCNT金属被覆ヤーン構造物を組み込んでもよい。これらの内方導体要素は、0.010~0.020インチの範囲内の全体直径を有してもよい。本明細書において指摘されるように、ケーブルは、外方導電性層およびまたはシールド層もしくは「シールド」の様々な種々の組合せを組み込む。開示されるようなかかるケーブル構造物は、従来的な中実のもしくは撚られた金属内方導体を使用してもよく、または撚り内方導体もしくは説明されるような内方導体のための開示される金属被覆CNT技術を用いたものを使用してもよい。
【0013】
再び図1Aを参照すると、本発明のケーブルの一実施形態が示される。既述のように、内方導体12は、中実もしくは撚られた金属導体か、または撚られた金属被覆されたCNT導体であり得る。内方導体12の外部を囲むのは、内方導体と本明細書において論じられるような外方導体層またはシールド層20との間に構造物および電気的絶縁の両方をもたらすための絶縁層14である。図1Aに示す実施形態は、図示するようにシールド層20を実装しない。しかし、図7に示すような別の実施形態は、編組シールドなどのシールド層20を使用し得る。本明細書において論じられるように、シールド層20は、従来的な金属シールドであってもよく、または本発明による金属被覆されたCNT要素を使用してもよい。指摘されるように、図1図1Aの実施形態の構造は、図2Cに示すような複数の内方導体要素と共に適用することもまた可能である。絶縁された内方導体を有するかかるケーブル構造物は、一般的に知られており、絶縁層14は、内方導体上に押出成形されたまたは巻き付けられた層であってもよく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテフロン(登録商標)などの任意の個数の適切な絶縁材料およびまたは誘電材料を含んでもよい。理解されるように、例示を目的として、1つのみの層14が図示されるが、絶縁層14は、2つ以上の層を組み込んでもよい。この(これらの)絶縁層は、例えば0.002~0.010インチの範囲内の厚さを有し得る。
【0014】
本発明の一態様によれば、外方導電性層または外方導体16が、絶縁層14および内方導体要素12を囲むことによりケーブル外方導体を形成する。図1および図1Aに示すような本発明の一実施形態では、外方導体層16は、1つまたは複数の金属層で金属被覆されたカーボンナノチューブ(CNT)基体要素を備える。完全に被覆されたまたは金属被覆されたCNT基体を一般的に形成するために、めっきが、基体の大きな面およびエッジの両方を共に含む基体の対向面表面およびエッジに対して適用される。具体的には、本発明の一実施形態では、CNT基体は、基体に対して1つの層として適用されることにより金属被覆されたCNT基体を形成する少なくとも1つの金属を有する。例えば、電気めっきプロセスが、外方導電性層16として使用されることとなる金属被覆されたCNT基体を作製するために利用され得る。そのようにすることで、本発明による外方導電性層16を形成するために内方導体要素12および絶縁層14を囲むように巻き付けられ得る金属被覆されたCNT基体要素が形成される。本明細書において説明されるように、金属被覆されたCNT基体は、本明細書において説明されるような連続電気めっきプロセスに通されてもよく、完全に被覆されることにより他の層の周囲にテープと同様に巻き付くための金属被覆されたCNT基体を形成する。そのため、この金属被覆されたCNT基体は、CNT基体の側面に1つずつ、2つの金属導電性層を形成する。
【0015】
図1に示すように、外方導電性層または外方導体16は、めっきされたCNT基体の重畳ラップにより形成される。この金属被覆プロセスにより、CNT基体は、少なくとも1つまたは複数の金属層でほぼ完全に覆われ、したがってケーブル構造物内において従来の外方導体として機能する外方導電性層16を形成する。この金属被覆されたCNT基体は、CNT基体材料の重量特性により軽量である。この結果として、ケーブル設計において従来のフォイル外方導体に比べて大幅な軽量化が実現される。したがって、本発明の構造物を使用するケーブル10は、外方導電性層16の重量およびかかる外方導電性層を使用したケーブル10全体の重量を大幅に低下させる。
【0016】
図示される様々な層の図示される厚さおよび層同士の間の相対的な厚さは、例示のためのものであり、本発明において限定的なものではないことを理解されたい。むしろ、これらの層は、相互に対する相対的な位置決めと、絶対寸法ではなく層の相互作用とを示すために図示される。したがって、様々な異なる厚さが、本発明の構造において使用される場合がある。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、外方導電性層16は、CNT基体に対して連続的になど層として施された複数の導電性金属を含む。これらの導電性層はそれぞれ、施される特定の金属層に対して向けられる本明細書において説明されるようなCNT基体上に連続電気めっきプロセスを介して施され得る。具体的な一実施形態では、銅層が、最初に所望の厚さにてCNT基体上に施される。次いで、銀層が、この施された銅層の外部上に施される。ニッケルまたはスズなどのオプションの外方層が、銅層および銀層の安定化のために使用されてもよい。また、これらの層の順序は、銀が最初に施されまたは蒸着され、その後に銅が施されるように変更されてもよい。論じられる実施形態は、CNT基体上にめっきされることが可能な金属として銅および銀を挙げるが、他の金属が本発明の特徴にしたがって使用されてもよい。
【0018】
図3および図4に関連して本明細書において論じられるように、層として施される金属は、複数の層または下位層として連続的に施されることにより大きな金属導電性層全体を形成する複数の金属からなるものであってもよい。そのため、本明細書における「層」という用語は、単一の層構造に限定されず、より大きな導電性層を構成する複数の下位層を有してもよい。
【0019】
一実施形態では、CNT基体は、不織の積層されたCNT基体である。一例の構成では、CNTフィラメントは、化学気相蒸着により生成され、次いである表面上に噴霧されることにより不織積層CNTシートまたは基体を形成する。このシート/基体は、基体の所望の仕上げ幅で形成されるか、より大きなシートとして形成され次いで共に接合されることとなるより細い基体ストリップへと切断されるかのいずれかであってもよい。一実施形態では、CNT基体は、約25オーム/フィートの接触抵抗を有する。本明細書において指摘されるように、金属被覆されたCNT基体は、テープラップまたはフォイルラップと同様の外方導電性層または外方導体を形成するためにケーブルの構成要素または層の周囲に巻き付けられ得る、基本的に薄く可撓性の導電性テープ構造物として形成される。したがって、CNT基体は、1つまたは複数の金属層で金属被覆される場合に、基体が外方導電性層16を形成するために巻き付けるのに適したものとなるように適切な厚さを有してもよい。金属被覆されたCNT基体は、本明細書において論じられるようなラッピングパラメータに注意しながら巻き付けられる。なぜならば、この金属被覆されたCNT基体は、かかるケーブル構造物内に使用され得る典型的な絶縁性または金属製のフォイルテープと同様に一般的に降伏、伸張、または屈曲しないからである。そのため、不均衡な巻付けは、金属被覆されたCNT基体の金属エッジにて変形を引き起こす場合があり、これにより結果として金属被覆されたエッジのひび割れまたは破損が生じる場合がある。本明細書において指摘されるように、金属被覆されたCNT基体のエッジにおけるかかる不連続性は、完成したケーブルの電気性能に著しい影響を及ぼし得る。したがって、本発明においては、本発明の金属被覆されたCNT基体が本発明のケーブルの作製中においてひだを生じる、破断する、または他の欠陥を被ることがないようにするために、特定のラッピングパラメータが考慮される。
【0020】
本発明の一態様によれば、巻付け張力は、垂直面および水平面の両方において許容公差内で均衡化される。本発明の一実施形態では、CNT基体の巻き付けられた外方導電性層は、ケーブルの長手方向軸に対して40度~50度の範囲内の角度で巻き付けられる。具体的な一実施形態では、外方導電性層は、45度±2.5度の範囲内の角度(42.5~47.5度)にて巻き付けられる。本発明者らは、かかる巻付け角度を利用することにより、これらの巻付け張力が垂直面および水平面の両方において許容公差内でより良好に均衡化されることを発見した。次に図5を参照すると、望ましい45度巻付け角度からの逸脱により、垂直面および水平面における張力変化が生じ得る。かかる変化は、この張力変化に対応するために金属被覆されたCNT基体のエッジを変形させる傾向を有する場合がある。かかる変形により、金属被覆されたCNT基体は、自体の上に折れ重なって、外方導電性層16中に大きな不連続部を形成することになる。したがって、金属被覆されたCNT基体は、本明細書において指摘されるように注意深く施される。
【0021】
再び図1Aを参照すると、本発明の一実施形態によるケーブル10の断面図が図示され、内方導体要素12と、内方導体要素12を囲む絶縁層14と、金属被覆されたCNT基体を備える巻き付けられた外方導電性層または外方導体16とを備える。また、シールドまたはシールド層が、この構造物中に実装されてもよい。例えば、図7に示すような実施形態は、編組シールド20を使用した一実施形態を示す。また、ジャケット層18などの他の層が、同軸ケーブルのさらなる絶縁および保護のために使用されてもよい。かかるジャケット層18は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの適切な絶縁材料または誘電材料であってもよく、層16およびまたは他の層の外部上に押出成形されてもよく、または当技術において知られているように巻き付けられてもまたは他の方法で施されてもよい。外方ジャケットは、0,002~0.020インチの範囲内の厚さを有し得る。本明細書において開示されるような本発明の様々な実施形態は、金属被覆されたCNT基体層16に加えて編組シールド層を使用してもよく、すべての層が、外方ジャケット層18により覆われる。
【0022】
図3および図4を参照すると、断面が、CNT基体30と、金属被覆されたCNT基体を形成するためにCNT基体30に対して層として施された1つまたは複数の金属とを備える、外方導電性層16の固有の構造を示す。図3に示すように、金属層が、CNT基体の両面または両側に施される。したがって、金属被覆されたCNT基体が巻き付けられる場合に、この金属被覆されたCNT基体は、少なくとも第1の金属層と、次いでCNT基体と、次いで少なくとも第2の金属層とからなる外方導電性層16を形成する。本明細書において指摘されるように、図5に示すような1つの望ましい巻付け構造は、層16の形成において50%重畳部を備える。理解されるように、図3の断面図は、例示の簡略化を目的としてそのような重畳部を示さないが、理解されるように、重畳部は、ケーブルの長さ方向に沿って巻き付けられた外方導電性層16中の特定の箇所にて複数の重畳された金属層を形成することになる。
【0023】
図4は、本発明において使用されるおよび巻付け前の金属被覆されたCNT基体16を示し、この金属被覆されたCNT基体16は、内方CNT基体30と、このCNT基体に対して施されたまたはCNT基体を被覆する金属層とを備える。本明細書において説明されるような本発明では、2つの金属層が、CNT基体30に対して施される。しかし、本発明は、CNT基体に対して施されたこれらの金属層の個数に限定されない。
【0024】
図4の断面を見た場合に、外方導電性層16は、第1の金属層31、CNT基体30、および第2の金属層33を備える。これらの層31、33は、銅もしくは銀などの単一の金属であってもよく、または種々の金属からなる複数の下位層32、34から実際に形成されてもよい。一実施形態によれば、これらの金属層31、33は、CNT基体30全体を覆う連続層として金属を施すことによって形成される。理解されるように、テープの形態などのCNT基体は、対向面表面35、37およびほぼ対向側に位置するエッジ39を備える(図4Aを参照)。少なくとも1つの金属が、CNT基体30の対向面表面35、37およびエッジ39を覆う連続層として施されて、図4Aに示すような金属被覆されたCNT基体を形成する。この金属は、例えばCNT基体30のすべての表面を覆うための電気めっきプロセスにおいて施されてもよい。金属層31、33が複数の金属層または下位層32、34からなるように、複数の金属が複数の層として施されてもよい。例えば、本発明のケーブル10の構成内において、適宜、1つの層が施されてもよく、または複数の層32、34が施されてもよい。複数の層32、34は、これらの面表面35、37上に位置し間にCNT基体を捕捉する金属層31、33の全厚を形成するような累積的なものである。
【0025】
本発明の一実施形態では、内方のまたは第1の金属下位層32は、銅から形成され、外方のまたは第2の金属下位層34は、銅下位層32を覆って施された銀から形成される。また、これらの下位層の順序は、銀が最初に下位層32にて施され、次いで銅が下位層34にて施されるように逆転されてもよい。あるいは、指摘されるように、層31、33は単一の金属であってもよい。図4および図4Aの断面から分かるように、基本的には、金属被覆されたCNT基体が、本発明の外方導電性層16を形成するために内方導体および絶縁体を覆って使用され巻き付けられる平坦状金属被覆構造物を形成するように、CNT基体30の両面が金属被覆される。図示しないさらなる層が、導電性の銅金属層およびまたは銀金属層の上にめっきされてもよい。例えば、ニッケル層またはスズ層が、導電性層の安定化のために使用されてもよい。そのため、金属層31、33は、複数の異なる金属または下位層からなるものであってもよい。
【0026】
本発明の別の態様によれば、固有の金属被覆されたCNT基体が、内方導体、絶縁層、および外方導電性層の内部の任意の他の層の周囲に巻き付けられた導電性層に対して使用される、導電性CNT基体を形成する。層16は、別個のフォイル層を必要とすることなく外方導体として機能する。したがって、導電性外方層16は、本発明の金属被覆されたCNT基体を使用する単一の巻付けプロセスで形成され得る。層16を作製するための使用される金属被覆されたCNT基体は、作製されるときに特定の引張強度を有し、この引張強度は、外方導電性層16が内方導体要素および任意の他の中間層の周囲に巻き付けられる場合に考慮されなければならないものである。さらに、金属被覆されたCNT基体16は、典型的なフォイルおよびフォイルテープとは異なる、したがって注意深く施されなければならない固有の要素を形成する。なぜならば、この固有の要素は、従来のフォイル要素の基本的な降伏、伸張、または屈曲をもたらすものではないからである。さらに、ケーブル全体の電気性能に対して大きな影響を及ぼし得るエッジにおける金属の著しいひび割れまたは破損を回避するために、CNT基体の金属被覆されたエッジの変形を防止するように注意を払わなければならない。
【0027】
本発明の実施形態は、金属フォイルまたはフォイル層を使用する典型的なケーブル構造に比べて著しい利点をもたらす。一態様では、本発明は、従来のフォイルを有するケーブルに比べて大幅な重量削減をもたらす。これは、航空宇宙産業用途などの重量に関して敏感な用途において重要となる。さらに、本発明は、CNT材料を使用するだけの場合に比べてシールディングにおける大幅な改善をもたらし、CNT層との組合せにおいてフォイル層を追加する追加的な製造ステップを不要にする。本発明の金属被覆されたCNT基体は、信号損失を減少させる一方で、この金属被覆されたCNT基体の機械強度は、従来のフォイルケーブルに比べてケーブルの機械的撓曲性寿命を高める。さらに、金属被覆されたCNT基体は、さらなる高温でケーブルを保護する熱伝導性をもたらす。さらに、本発明は、連続金属層として連続性シナリオを改善し、金属エッジは、端部だけではなく金属被覆されたCNT層の全長部分に対するはんだ付け性をもたらす。
【0028】
したがって、本発明者らは、本発明のケーブルの構造における様々な固有の特徴に対処しなければならなかった。標準的なフォイル層は、83度のテープ巻付け角度にて巻き付けられ得るが、本発明者らは、かかる典型的なテープ巻付け角度が本発明の場合には適さないことに気づいた。そのため、本発明は、めっきされた基体がケーブル作製中にひだを生じる、破断する、または他のめっき不良を被ることがないように、本発明の金属被覆されたCNT基体を使用した固有の作製プロセスを提供する。これを目的として、指摘されるように、本発明者らは、ケーブルの長手方向軸に対する40~50度の範囲内のおよびさらに具体的には45度±2.5度の範囲内の巻付け角度が、望ましいケーブル構造物をもたらすとともに、金属被覆されたCNT基体およびその巻付けに関連して上述した課題のいくつかを回避させることを発見した。
【0029】
図5を参照すると、金属被覆されたCNT基体は、幅Wを有し、めっきされた基体のエッジがケーブル10の長さLに沿った外方導電性層16の形成において著しく変形する必要がないように、45度±2.5度の巻付け角度にて施される。さらに具体的には、図6に示すように、本発明の45度の巻付け角度からの逸脱は、金属被覆されたCNT基体のエッジが図5に示すようにテープ張力T内の張力変化に対処するために著しく変形しなければならなくなるという状況をもたらすことになる。かかる変形により、巻き付けられた金属被覆されたCNT基体は、自体の上に折れ重なり、外方導電性層中に大きな不連続部を形成することになる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、本発明者らは、巻付け角度の望ましい範囲を実現するために金属被覆されたCNT基体の寸法と内方導体芯の直径とを考慮した本発明において利用される巻付け角度の関係を判定した。具体的には、等式1は、適切な基体の幅および厚さの反復判定のために45度巻付け角度を使用するための一例の公式を示す。
【0031】
【数1】
【0032】
基体またはテープの幅および厚さならびに巻き付けられることとなる内方導体芯の直径を用いて等式1を利用することにより、反復技術が所望の巻付け角度を実現するために利用される。本明細書において指摘されるように、所望の巻付け角度を有するケーブル構造を実現するために実装され得る種々の幅および厚さを有するCNT基体。例えば、本発明のこれらの態様によれば、ある幅および厚さを有する特定のテープが使用されることとなる場合に、内方導体12および絶縁層または誘導体14により確定されるような芯は、45度の巻付け角度を維持するように設計されなければならないことになる。代替的には、この芯は、既知のものまたは選択されたものであってもよく、次いでテープ幅およびテープ厚さが、45度の巻付け角度または本明細書において指摘されるような何らかの巻付け角度範囲を維持するように設計されてもよい。本発明の別の特徴によれば、巻付け角度は、本発明に従いCNT基体の幅を選択し次いで金属層厚さを調節することにより所望量へと巻付け角度を改善することによって微調整され得る。代替的には、CNT基体の厚さは、既知であってもよく、次いで基体の幅および芯直径が、望ましい巻付け角度を実現するために判定され得る。
【0033】
本発明の別の態様によれば、外方導電性層を形成するために使用されるような金属被覆されたCNT基体の固有の構造により、かかる基体を適用する最中の張力もまた対処されなければならない。CNT基体によっては、あらゆる脆弱箇所が、破損を防止するために図5に示されるような適切な巻付け張力Tによって対処されなければならない。例えば、本発明のためのものであり得るCNT基体に関する一例の実施形態によれば、CNTシートが、形成され、次いで細長いおよび連続長さの基体を形成するために共に重畳されることとなる所望幅のストリップへと切断される。そのため、CNT基体の構造中に脆弱箇所が存在し得る。本発明の金属被覆めっきプロセスにより、さらなる脆弱部がもたらされ得る。巻付けプロセス中の破損を回避するために、適切なテープ張力が本発明に従って実現されなければならない。本発明者らは、層16の形成において金属被覆されたCNT基体の最適な巻付けを実現するための張力を制御するために、および破損を最小限に抑えるために、巻付け張力またはテープ張力が金属被覆されたCNT基体の最終的な引張強度または破壊強度に基づき分別的に判定され得ると判断した。すなわち、巻付け張力またはテープ張力は、基体の引張強度に比例する。めっきされた基体の引張強度を判定するために、引張試験機が用意されてもよい。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、テープ張力は、等式2により以下のように求められ得る。
【0035】
【数2】
【0036】
次いで、めっきされた基体を巻き付けるために使用される任意の装置が、製品の巻付けに適した範囲内にとどまるように張力を制御する。さらに、巻付けプロセスは、巻付けプロセス内のあらゆる抗力または張力スパイクを低減させ他の方法で巻付け変化を制御するために最適化され得る。
【0037】
一般的に、金属被覆されたCNT基体は、層を囲むために重畳様式で巻き付けられる。外方導電性層16の形成においてケーブル構成要素を適切に覆うために、金属被覆されたCNT基体は、図5における重畳巻付けに示されるように50パーセント以上の重畳をもたらすように巻き付けられる。
【0038】
図7は、本発明の代替的な一実施形態を示し、ケーブル10aは、さらなる導電性層またはシールドとして外方導電性層16の頂部を覆う編組層20を使用する。一実施形態では、編組層20は、いくつかの既存のケーブル設計において使用されるような金属被覆されたKevlarの編組層であってもよい。この編組層は、金属被覆されたCNT外方導体16を覆って織成されるまたは施される。本発明の代替的な一実施形態では、編組層20は、本明細書において説明されるように形成および構成される金属被覆されたCNTヤーンを使用して形成される。そのため、いくつかの実施形態については、ケーブルは、金属被覆されたCNT外方導体16および金属被覆されたCNTフィラメント編組体の両方を備え得る。他の実施形態では、図7に示すような外方導電性層16は、従来的な金属フォイルであってもよく、編組層20は、本発明による金属被覆されたCNTフィラメントを使用する。具体的には、編組層20を形成するヤーンが、複数のCNTフィラメントを備えることになる。次いで、銅金属層および銀金属層などの1つまたは複数の金属層が、フィラメントに対して施される。本明細書において、フィラメントという用語は、累積的に一体化されることによりさらに大きな「ヤーン」を形成することになる基本的なCNT繊維の単位を指すために使用される。「フィラメント」または「ヤーン」という用語は、本発明に対する限定的なものではない。個別の金属被覆されたフィラメントは、ヤーンへと構成され、これらのヤーンは、図示するように編組層20を形成するために使用される。編組層は、一般的には様々な金属被覆されたCNTヤーンを平行に配置して適切なリボン構造物21またはリボンを形成することによって、CNTめっきヤーンを使用して形成され、次いでこれらのリボンは、図7に示すように織成されて編組構造物が形成される。編組構造物のかかる形成は、他の編組シールド層の形成において当業者に理解されるような様式で実施される。理解されるように、リボン構造物21はそれぞれ、所望のリボン幅およびある特定サイズのケーブルの編組層20に関する最終的に所望の全体直径を実現するのに適した個数のヤーンを組み込み得る。例えば、編組層20のそれぞれが、所望の幅および最終直径の編組層を実現するために1つのリボンあたり8~96個のヤーンを備えてもよい。金属被覆されたCNT編組層20は、図7に示すようにケーブル内において編組シールド層として機能する。
【0039】
本発明の一態様によれば、図7に示されるように編組層内において使用されるヤーンはそれぞれ、本発明による導電性層で金属被覆された複数の個別のより細いCNTフィラメントからなる。具体的には、図8を参照すると、本発明のケーブルの構成要素において使用するための被覆されたまたはめっきされた金属被覆フィラメント92の断面が示され、細いフィラメントとして形成されるCNT芯82を備える。CNTフィラメント82は、10~50ミクロンの直径を有し得る。次いで、各フィラメント82が、銅層84およびまたは銀層86などの層として施された1つまたは複数の金属を有する。図8に示される実施形態は、金属層88を形成する2つの下位層84、86を示すが、単一の金属が層88を形成してもよい。ニッケルまたはスズの外方層などの追加の外方層が、安定化のために本明細書において論じられるように使用されてもよい。そのため、フィラメントは、金属被覆されたCNT基体に関連して論じたように1つまたは複数の金属で金属被覆されてもよい。
【0040】
図9を参照すると、複数の細いCNTフィラメント92からなるCNTヤーン90が図示される。図8に示すように適切な導電性層88または84、86でCNTフィラメントを金属被覆するためには、個別のフィラメント92が、ツイストを戻されまたは緩く束ねられて、各フィラメントに幾分かの分離をもたらしてもよい。本発明の一実施形態では、フィラメント(緩い束内などの)は、本明細書において開示されるような適切な電気めっきプロセスに通されることにより、フィラメント上に適切な金属の連続施工がなされ、図8に示すような金属被覆されたフィラメント断面が実現される。次いで、金属被覆されたCNTフィラメントは、編組層20において使用されることとなるまたは本明細書において開示されるような撚り内方導体要素を形成するために使用されることとなる適切なヤーンへとツイストされ得るまたは他の方法で束ねられ得る。
【0041】
フィラメント92の束である金属被覆されたCNTヤーン90は、ツイストされ、編組ワイヤ導体に対してしばしば利用されるような編組パターンを利用するなど様々な異なる様式で形成されてもよい。例えば、すべての被覆されたCNTフィラメント92が、束ねられ、単純に共にツイストされることによりヤーンを形成してもよい。代替的には、ヤーンが構成されるときに単一のフィラメントが6個のフィラメントにより囲まれ、次いで12個のフィラメントにより囲まれて層を形成する(6-6-12設計としばしば呼ばれる)等の同心状編組パターンが利用されてもよい。一例では、それぞれの後続するヤーン層が、前の編組ヤーン層とは異なる方向にツイストされてもよい。代替的には、編組ヤーン層のそれぞれが、同一方向にツイストされることによりヤーン90を形成してもよい。次いで、金属被覆されたCNTヤーン90は、図7に示すように編組層20を形成するために、およびさらに本明細書において論じられるようなCNT内方導体要素12を形成するために、他のヤーン90と一体になされることとなる構成ブロックとして機能する。
【0042】
各ヤーン内のフィラメントの個数は、1~1000個の範囲内であってもよい。編組層20または内方導体要素12などのヤーンで作製される要素によっては、構成要素を形成するために使用されるヤーンの直径を拡大または縮小するために、適宜、種々の個数のフィラメントによりそのヤーンを構成してもよい。一実施形態では、各CNTフィラメントが金属被覆されることにより、ヤーンを形成するために共にツイストされると、各金属被覆されたCNTフィラメント同士の間に良好な電気接触が形成される。一般的には、編組層20を形成するために共に織成されるリボンを形成するために使用されるヤーンは、内方導体12を作製および形成するために使用されるヤーンよりも小さくてもよい。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、個別のヤーン90が、ほぼ平行に配置されて1つまたは複数のリボン21を形成し得る。このリボン21は、既存の編成方法により図10に示すように編組層20を編成するために使用される。しかし、そのような編組層20の重量は、金属被覆されたCNTフィラメントを構造内に使用することにより大幅に軽減される。
【0044】
編組層20用のリボンを形成するために使用される複数のヤーンは、1~50個の範囲内のヤーンであり得る。次いで、各リボン21が、外方編組層20を形成するために相応に編成される。指摘されるように、本発明の一実施形態によれば、金属被覆されたCNT基体内方導電性層16との組み合わせにおいて本明細書において説明されるような金属被覆されたCNT編組層20を組み込んだシールド層20が構成される。さらに具体的には、図10を参照すると、図示されるケーブル10bは、内方導体12、絶縁層14、外方導電性層16、およびそれらの層を覆って位置決めされた編組層20を有する。かかる実施形態では、内方導電性層16および編組層20は共に、本明細書においては金属被覆されたCNT技術を組み込む。したがって、本発明のケーブル実施形態は、金属被覆されたCNT外方導電性層16に加えて金属被覆されたCNT編組層20を実装する。
【0045】
本発明の別の態様によれば、本発明に従って形成された金属被覆されたCNTヤーン90は、本明細書において示されるようなケーブル実施形態の中の1つまたは複数に対して内方導体要素12を形成するために使用されてもよい。すなわち、様々な金属被覆されたCNTヤーン90は、多本撚り構造内の撚り線としてそれら自体が共にツイストされるまたは束ねられることにより、撚り内方導体要素12が形成され得る。図11A図11Cおよび図12を参照すると、様々なヤーン90が、多本撚り構造へと共にツイストされて、本明細書において説明される様々なケーブル実施形態内で使用するための完成した撚り内方導体要素12が作製され得る。例えば、図11Aは、2本のヤーンが共にツイストされた2本撚り構造を示す。代替的には、図11Bは、3本撚り構造を示し、図11Cは、4本撚り構造を示す。理解されるように、適切な直径の内方導体要素12を作製するための実装されるヤーンの個数およびヤーンのサイズは、図11A図11Cの例示の図に示されるような特定の個数およびサイズに限定されない。CNT編組層20に関して、図11A図11Cのヤーン90を構成する各フィラメント92は、本明細書において説明され図8に示される金属被覆されるようなCNTフィラメントである。次いで、これらのそれぞれの金属被覆されたCNTフィラメントは、ヤーン90を形成するために多数の種々の既知の合撚技術を利用して適切にツイストされまたは束ねられる。各ヤーンは、再度共にツイストされてまたは束ねられて、適切な寸法のおよび適切な電流処理能力を有する撚り内方導体要素12を形成する。図7図10、および図12は、ケーブル用の撚り内方導体の例を示す。さらに、それらの内方導体12は、それらのケーブル構造のそれぞれのための中実内方導体であってもよい。撚り内方導体を形成するために、1~1000個の範囲内の複数のフィラメント92を有するヤーンが使用されてもよい。
【0046】
図12は、適切なケーブル10cの断面図であり、このケーブル10cは、金属被覆されめっきされたCNT外方導電性層16と、本明細書において開示されるように金属被覆されたCNTフィラメントから形成された金属被覆されたCNT編組層20とを組み込み、撚られた金属被覆されたCNT内方導体12をさらに組み込み得る。そのため、ケーブル10cは、金属被覆されたCNT外方導電性層に加えて金属被覆されたCNTフィラメント内方導体要素12および編組層20の両方を組み込むことにより、金属内方導体要素、フォイル層、および編組層を使用する既存のケーブルに代わる適切な電気特性を有する頑丈かつ非常に軽量なケーブルを実現する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、本発明の金属被覆されたCNT要素は、金属被覆されたフィラメントまたは金属被覆された基体のいずれであるかにかかわらず、CNT基体の全表面または連続金属層中のフィラメントの周囲全体をめっきするための例えばバイアス印加された電気接触ローラおよび様々な浸漬された電極を使用した電気めっきプロセスなどの連続金属被覆プロセスにより固有に形成される。
【0048】
図13は、電気めっきプロセスを利用した本発明による1つのシステムを示し、CNT基体または個別のCNTフィラメントを有するCNTヤーンのスプール50が、1つまたは複数の適切なローラ52を通過し、1つまたは複数の金属アノード58が中に浸漬された適切な電解質溶液56を収容するめっき槽54内へと巻き出される。CNT基体30またはCNTフィラメント92は、めっき槽54を通り送られ、特定の配向でローラ60上を進み、次いで1つまたは複数の追加のローラ64の上を進んで巻取りスプール62へと戻される。基体は、タンク内でアノード間を連続的に移動することにより連続金属層が形成される。理解されるように、CNT基体またはCNTフィラメントがめっき槽54内に導かれ次いで巻き取られる方法は、図13に示す特定の構成に限定されない。槽54の寸法ならびに電気めっきプロセスに使用される様々なカソードおよびアノードの配置に応じて、CNT基体の移動に関する他の種々の構成および角度が実施され得る。
【0049】
図13を参照すると、電気接触要素70は、CNT基体30/CNTフィラメント92が槽54を通過するときにこのCNT基体30/CNTフィラメント92に係合される。これらの電気接触要素は、CNT基体/CNTフィラメントにバイアス印加し、槽54の電気めっきプロセス内で電極またはカソード素子を生成するように機能する。これらの電気接触要素は、静的なものであってもよく、またはローラ同様に旋回してもよい。同様に、CNT基体/CNTフィラメント上にめっきされることとなる金属に応じて、1つまたは複数の金属アノード素子または金属アノード構造物58が、CNT基体/CNTフィラメントの両面の近傍に位置決めされ、さらに電極またはアノード素子として機能するようにバイアス印加される。図13に示すように、アノード素子58は、基体/フィラメントを被覆または金属被覆するために電解質溶液内に金属を提供する金属ブリック構造物からなるものであってもよい。銅、銀、または何らかの他の金属層材料であってもよい金属アノード素子58は、面表面をめっきしCNT基体/CNTフィラメント全体をほぼめっきするためにCNT基体/CNTフィラメントの両側に位置決めされるのが図示される。これらのアノード素子およびカソード素子は、適切な電源79に結合される。一般的に、めっきされたCNT基体/CNTフィラメントの形成において、この基体/フィラメントは、望ましいライン速度にて望ましい電流設定でめっき槽54を通過し電極へと送られて、CNT要素上に十分な金属層厚さの施工を実現する。ケーブルの外方導電性層として金属被覆されたCNT基体を使用するためにまたは内方導体要素もしくは編組層内にフィラメント/ヤーンを使用するために、本発明に関して必要な導電性を実現することが望ましい。過剰な金属が蒸着されることによりめっきされたCNT要素が過剰に剛直および脆弱となりケーブル形成における使用が困難にならないようにするために、注意が払われる。図13のシステムは、適切な制御システム80により制御されてもよく、この制御システム80は、フィードシステム(50、62)および/または電源79に適切に結合されて、槽を通過する基体またはフィラメントのライン速度と、このプロセスのためにアノード素子およびカソード素子を介して送達される電力とを制御し得る。
【0050】
例示のCNT基体30は、0.0010~0.0020インチの範囲内の厚さと、0.300~0.500インチの範囲内の幅とを有し得る。ある適切な基体は、Nanocomp Technologies of Merrimack、NHのMiralon(登録商標)基体である。例えば、幅が0.3125インチまたは0.500インチである厚さ0.0015インチの基体が、本発明のためのCNT基体30として使用されてもよい。本発明の例示の一実施形態によれば、30~300マイクロインチの範囲内の厚さの金属層が施工され得る。さらに、複数の金属を使用する例示の一実施形態では、電気めっきされた銀層が、30~150マイクロインチの範囲内で電気めっきされた銅層を覆って使用されてもよく、銀層は、40~150マイクロインチの範囲内の厚さを有し、一実施形態では金属被覆された基体に適切な耐腐食性を与えるために約40マイクロインチの厚さを有する。
【0051】
例示のフィラメント92は、10~50ミクロンの範囲内の直径を有し得る。フィラメントの1つの適切なヤーンは、DexMat of Flouston、TXから市販されている。施工された金属層84、86は、30~400マイクロインチの厚さを有し得る。一実施形態では、金属層82は、30~150マイクロインチの範囲内の厚さの銅層と、40~150マイクロインチの範囲内の厚さの銀層84とを備え得る。
【0052】
図13の電気めっきシステムのための処理パラメータは、制御システム80を介した最適なめっきのために変更され得る。例示の一実施形態では、銅層をめっきするために0.5~1フィート/分のライン速度で2~3アンペアの電気めっき電流設定を利用した。同様に、銀層については、0.5~1フィート/分のライン速度で約0.25~8アンペアの電流設定を利用した。一実施形態では、金属被覆されたCNT基体のDC抵抗は、0.3~1オーム/フィートの範囲内であった。代替的には、ファイバまたは個々のフィラメントのツイストされていない束のDC抵抗は、1~50オーム/フィートの範囲内であった。この場合に、金属被覆された基体または金属被覆されたフィラメントは、双円錐状スプールなどの適切なスプール上へと巻き取られ得る。指摘された電流設定およびライン速度は、電気めっきシステム内の構成およびタンクの寸法、CNT基体の幅および厚さ、フィラメントの直径等に応じて変更されてもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0053】
本発明のこれらの態様によれば、金属層が、CNT基体の両側または両面表面とエッジとの上に施される。好ましくは、この層は、ケーブル構造内における適切な巻付きと重畳巻付けをされた層の均一な接触とをもたらす、均一な厚さの連続層である。このために、金属被覆されたCNT基体を形成する場合に、本発明は、CNT基体のエッジ上における金属の過剰な形成を防止する。図13を参照すると、1つまたは複数のシールド92が、槽54内で使用され、それぞれのアノード58とCNT基体30との間に位置決めされる。一般的に、かかるシールドは、本発明のCNT基体30のめっきにおいてのみ使用される。このシールドは、基体30のエッジ39への電気アノード経路を物理的に阻止するために構成される。好ましくは、シールド92が、基体30の両側において使用され、図13に示すようにアノード58とCNT基体30との間に位置決めされることになる。このシールドは、エッジ39の優先めっきまたは過剰めっきを防止するためにエッジのみにてアノードの経路をほぼ阻止するように機能する。
【0054】
これを目的として、図14に示すように、ある特定のシールド92が図示される。このシールド92は、プレキシガラス、アクリル、または他のプラスチック材料もしくは非導電性材料などの非導電性材料から好ましくは形成される。シールド92は、かかる材料のシートの形態であってもよい。図示されるように、シールド92は、基体30のエッジ39を越えて延在するエッジ阻止セクション94を組み込む。これを目的として、部分94は、アノードの経路からのエッジの物理的阻止を与える。2つのエッジ部分94は、接続部分100により共に結合され得る。次いで、シールド92は、槽54内においてCNT基体30およびアノード58に対して適切に固定され得る。指摘されるように、一般的に、シールド92は基体30の両側に位置決めおよび実装される。これらのシールド92は、適切な取付け構造物(図示せず)により槽54内における適切な位置決めのために適宜固定される。
【0055】
代替的には、シールド92のシールド部分94は、同様の阻止機能またはシールド機能を果たすために基体のエッジ39の近傍に個別に取り付けられる2つの別個のストリップ部分であり得る。そのため、シールド92の具体的な形状は、シールドの部分94が両エッジにおける金属の過剰堆積を防止するのに適切な長さおよび適切な幅でエッジ39を超えて延在する限りにおいては本発明にとって重要ではない。基体の長さ方向におけるシールド92の長さおよびエッジ39に対する部分94の幅もまた、エッジの過剰めっきが防止されることを確実にするために適した寸法を有することになる。
【0056】
様々な実施形態の説明により本発明を示し、幾分か詳細にこれらの実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲をかかる詳細に制限またはいかなる意味においても限定することは、本発明者らの意図するものではない。したがって、さらなる利点および修正が当業者には容易に明らかになろう。本発明の様々な特徴は、ユーザのニーズおよび嗜好に応じて単独でまたは任意の組合せにおいて使用され得る。
【符号の説明】
【0057】
10 ケーブル構造物、ケーブル
10a ケーブル
10b ケーブル
10c ケーブル
12 内方導体、内方導体要素、CNT内方導体、CNT内方導体要素
12a 内方導体要素
12b 内方導体要素
12c 内方導体要素
12d 内方導体要素
14 絶縁層、誘導体
16 外方導体層、外方導体、導電性外方層、外方導電性層、金属被覆されたCNT外方導電性層、金属被覆されたCNT外方導体、内方導電性層、金属被覆されたCNT基体内方導電性層、金属被覆されたCNT基体層、金属被覆されたCNT基体
18 ジャケット層、外方ジャケット層
20 シールド層、編組シールド、編組層、外方編組層、金属被覆されたCNT編組層
21 リボン構造物、リボン
30 CNT基体
31 第1の金属層
32 下位層、第1の金属下位層、銅下位層
33 第2の金属層
34 下位層、第2の金属下位層
35 面表面
39 エッジ
42 角度
50 スプール、フィードシステム
52 ローラ
54 めっき槽
56 電解質溶液
58 アノード、アノード素子、金属アノード素子、金属アノード、金属アノード構造物
60 ローラ
62 フィードシステム、巻取りスプール
64 ローラ
70 電気接触要素
79 電源
80 制御システム
82 CNT芯、CNTフィラメント、金属層
84 下位層、銅層、銀層、導電性層、金属層
86 下位層、銀層、導電性層、金属層
88 金属層、導電性層
90 CNTヤーン、金属被覆されたCNTヤーン、
92 被覆またはめっきされた金属被覆されたフィラメント、細いCNTフィラメント、金属被覆フィラメント、シールド
94 エッジ阻止セクション、部分、エッジ部分、シールド部分
100 接続部分
図1
図1A
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14