(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】オゾンガス生成装置
(51)【国際特許分類】
C01B 13/11 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
C01B13/11 K
(21)【出願番号】P 2021051134
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西村 真一
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203582(JP,A)
【文献】特開平06-127906(JP,A)
【文献】特開平08-198602(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167389(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を含む原料ガスからオゾンガスを生成するオゾンガス生成装置であって、
放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、前記放電空間に原料ガスを通過させることによりオゾンガスを発生するオゾンガス発生処理を実行するオゾンガス発生器と、
オゾンガスの濃度を測定して測定オゾン濃度を取得するオゾン濃度測定処理を実行するオゾン濃度計と、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出して不純物含有量を得るガス分析処理を実行するガス分析器と、
外部より原料ガスを受ける供給部と、
前記供給部と前記オゾンガス発生器との間に設けられ、前記オゾンガス発生器に原料ガスを供給するためのガス供給経路と、
前記オゾンガス発生器、前記オゾン濃度計及び前記ガス分析器を制御して、前記オゾンガス発生処理、前記オゾン濃度測定処理及び前記ガス分析処理を実行させる制御部とを備え
、
前記ガス分析器は前記ガス供給経路上に設けられ、
前記ガス分析器は、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する第1のガス分析器と、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する第2のガス分析器とを含み、
前記第1及び第2の不純物は互いに異なり、前記ガス分析処理は前記第1及び第2のガス分析処理を含み、
前記第1及び第2のガス分析器は前記ガス供給経路上に設けられる、
オゾンガス生成装置。
【請求項2】
酸素を含む原料ガスからオゾンガスを生成するオゾンガス生成装置であって、
放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、前記放電空間に原料ガスを通過させることによりオゾンガスを発生するオゾンガス発生処理を実行するオゾンガス発生器と、
オゾンガスの濃度を測定して測定オゾン濃度を取得するオゾン濃度測定処理を実行するオゾン濃度計と、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出して不純物含有量を得るガス分析処理を実行するガス分析器と、
外部より原料ガスを受ける供給部と、
前記供給部と前記オゾンガス発生器との間に設けられ、前記オゾンガス発生器に原料ガスを供給するためのガス供給経路と、
前記オゾンガス発生器、前記オゾン濃度計及び前記ガス分析器を制御して、前記オゾンガス発生処理、前記オゾン濃度測定処理及び前記ガス分析処理を実行させる制御部と、
前記供給部に接続され前記ガス供給経路と分離して設けられる分離ガス経路とを備え、
前記ガス分析器は前記分離ガス経路上に設けられ、
前記ガス分析器は、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する第1のガス分析器と、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する第2のガス分析器とを含み、
前記第1及び第2の不純物は互いに異なり、前記ガス分析処理は前記第1及び第2のガス分析処理を含み、
前記第1及び第2のガス分析器は前記分離ガス経路上に設けられる、
オゾンガス生成装置。
【請求項3】
請求項
2記載のオゾンガス生成装置であって、
前記第1及び第2のガス分析器は前記分離ガス経路上に直列に設けられる、
オゾンガス生成装置。
【請求項4】
請求項
2記載のオゾンガス生成装置であって、
前記分離ガス経路は第1及び第2の分離ガス経路を含み、前記第1及び第2の分離ガス経路は前記供給部に対し互いに並列に設けられ、
前記第1のガス分析器は前記第1の分離ガス経路上に設けられ、
前記第2のガス分析器は前記第2の分離ガス経路上に設けられる、
オゾンガス生成装置。
【請求項5】
酸素を含む原料ガスからオゾンガスを生成するオゾンガス生成装置であって、
放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、前記放電空間に原料ガスを通過させることによりオゾンガスを発生するオゾンガス発生処理を実行するオゾンガス発生器と、
オゾンガスの濃度を測定して測定オゾン濃度を取得するオゾン濃度測定処理を実行するオゾン濃度計と、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出して不純物含有量を得るガス分析処理を実行するガス分析器と、
外部より原料ガスを受ける供給部と、
前記供給部と前記オゾンガス発生器との間に設けられ、前記オゾンガス発生器に原料ガスを供給するためのガス供給経路と、
前記オゾンガス発生器、前記オゾン濃度計及び前記ガス分析器を制御して、前記オゾンガス発生処理、前記オゾン濃度測定処理及び前記ガス分析処理を実行させる制御部と、
前記供給部に接続され前記ガス供給経路と分離して設けられる分離ガス経路とを備え、
前記ガス分析器は前記分離ガス経路上に設けられ、
前記ガス分析器は、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する第1のガス分析器と、
原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する第2のガス分析器とを含み、
前記第1及び第2の不純物は互いに異なり、前記ガス分析処理は前記第1及び第2のガス分析処理を含み、
前記第1のガス分析器は前記分離ガス経路上に設けられ、
前記第2のガス分析器は前記ガス供給経路上に設けられる、
オゾンガス生成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のうち、いずれか1項に記載のオゾンガス生成装置であって、
前記不純物は、窒素、アルゴン、炭素化合物、水分、フッ素及び塩素のうち、少なくとも一つを含む、
オゾンガス生成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のうち、いずれか1項に記載のオゾンガス生成装置であって、
前記第1の不純物は窒素、アルゴン、炭素化合物、メタン、フッ素及び塩素のうち、いずれか一つであり、前記第2の不純物は水分、炭素化合物及びフッ素のうち、いずれか一つである、
オゾンガス生成装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のうち、いずれか1項に記載のオゾンガス生成装置であって、
前記制御部の制御下で前記不純物含有量を指示する不純物含有量情報を視覚認識可能に表示する表示装置をさらに備える、
オゾンガス生成装置。
【請求項9】
請求項
8記載のオゾンガス生成装置であって、
前記制御部の制御下で前記不純物含有量の経時変化を含有量経時変化情報として記憶する記憶装置をさらに備え、
前記表示装置は、前記制御部の制御下で、前記記憶装置に記録された前記含有量経時変化情報を視覚認識可能にさらに表示する、
オゾンガス生成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項
9のうち、いずれか1項に記載のオゾンガス生成装置であって、
前記制御部の制御下で前記不純物含有量が正常範囲外である時、警告情報を出力する警報装置をさらに備える、
オゾンガス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素を含む原料ガスからオゾンガスを生成するオゾンガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンガス生成装置は、紫外線を用いた方式、電気分解を用いた方法、放電現象を利用した放電式などを採用している。高濃度なオゾンガスを生成するようなオゾンガス生成装置では一般的に放電式を採用したオゾンガス生成装置が使用される。放電式を採用したオゾンガス生成装置として例えば特許文献1に開示されたオゾンガス供給システムがある。
【0003】
放電式のオゾンガス生成装置は、オゾンガスを発生用の電源供給を行うオゾン用電源と、オゾンガス生成用の放電セル(オゾン発生セル)を内蔵したオゾンガス発生器との組合せで構成される。放電セルは誘電体を介した放電空間を有しており、オゾン用電源からオゾンガス発生器に高電圧のオゾン発生用交流電圧を印加することにより、放電セルの放電空間内で誘電体バリア放電(無声放電)を発生させる。その結果、オゾンガス発生器は、誘電体バリア放電が発生している放電空間を通過する原料ガスに放電エネルギーを与えることにより、酸素ガスを含む原料ガスから高濃度のオゾンガスを発生することができる。
【0004】
高濃度オゾンガスを供給できるオゾンガス生成装置は半導体成膜分野の酸化膜の成膜処理に利用される。
【0005】
例えば、高濃度オゾンガスを用いた熱方式の成膜方法(以下、単に「オゾン熱成膜方法」と略記する)は基板にシリコン酸化膜や金属酸化膜を成膜する際に用いられる。オゾン熱成膜方法は、他の酸化源を使用した熱方式や、光方式、またはプラズマ方式など成膜方法の一種として使用される。
【0006】
オゾン熱成膜方法は、オゾンガスを酸化源としており、通常の熱方式の酸素源となる酸素や水をオゾンガスに変更している。オゾンガスによる酸化反応は、酸素や水よる酸化反応より良好なため、オゾン熱成膜方法では成膜処理を比較的低温度で実行することができる。また、オゾン熱成膜方法は、通常の熱方式と同程度の温度で行うと、成膜時間が短縮できる利点がある。
【0007】
さらに、オゾン熱成膜方法は、プラズマ方式と比較して成膜対象となる基材(基板)へのダメージを少なくすることができるという利点もある。
【0008】
一方、半導体素子の高性能化、サイズダウン化に伴い、配線層等の線幅の微細化が進んでいる。この場合、オゾンガスに含まれる不純物に関し、今までは許容できた不純物含有量でも、製造される半導体素子の歩留まりに直結する傾向が生じている。このため、オゾンガス生成装置側に対し、不純物の比率をより抑制した高純度のオゾンガスを生成することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
放電式のオゾンガス生成方式は放電部(放電空間)に流れるガスの影響で放電部の状態が変わることが考えられる。この場合、放電部の状態が変わることで正常な放電ができなくなり、所望のオゾンガス濃度を生成できない第1の懸念現象がある。
【0011】
また、供給する原料ガスに酸素以外の不純物が含まれた場合、オゾン生成過程で新たに不純物が生成される可能性がある。すなわち、原料ガス中の酸素以外の不純物によって、オゾンガス生成装置にて生成されるオゾンガスの品質を損ね、品質が劣化されたオゾンガスが供給先に供給されてしまうという第2の懸念現象がある。
【0012】
また、原料ガスにおける酸素ガスの純度は仕様書等に明記されているが、原料ガスとして、仕様書に記載された内容と比較して純度が劣った酸素ガスが供給されるという第3の懸念現象も考えられる。第3の懸念現象が発生すると、オゾンガスの生成効率が落ちるだけでなく、オゾンガスの分解を促進したり、オゾン供給先の装置に支障を与えるような不純物が供給されたりする。
【0013】
従来のオゾンガス生成装置は、供給される原料ガスの品質を分析する機能を有していないため、使用者は、上述した第1~第3の懸念現象の発生を認識することができない。このため、従来のオゾンガス生成装置の使用者は、オゾンガス発生処理が正常に実行するように、オゾンガス生成装置を管理することができないという問題点があった。
【0014】
本開示は上記問題点を解決するためになされたもので、オゾンガス発生器が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、管理することが可能なオゾンガス生成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示のオゾンガス生成装置は、酸素を含む原料ガスからオゾンガスを生成するオゾンガス生成装置であって、放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、前記放電空間に原料ガスを通過させることによりオゾンガスを発生するオゾンガス発生処理を実行するオゾンガス発生器と、オゾンガスの濃度を測定して測定オゾン濃度を取得するオゾン濃度測定処理を実行するオゾン濃度計と、原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出して不純物含有量を得るガス分析処理を実行するガス分析器と、外部より原料ガスを受ける供給部と、前記供給部と前記オゾンガス発生器との間に設けられ、前記オゾンガス発生器に原料ガスを供給するためのガス供給経路と、前記オゾンガス発生器、前記オゾン濃度計及び前記ガス分析器を制御して、前記オゾンガス発生処理、前記オゾン濃度測定処理及び前記ガス分析処理を実行させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示のオゾンガス生成装置は、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出するガス分析処理を実行するガス分析器を有している。このため、本開示のオゾンガス生成装置の制御部は、測定オゾンガス濃度と原料ガスに含まれる不純物含有量との関連性を常に認識することができる。
【0017】
その結果、使用者は、オゾンガス発生器が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、本開示のオゾンガス生成装置を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1の第1の変形例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1の第2の変形例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態2の基本例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態2の第1の変形例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態2の第2の変形例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態2の第3の変形例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態2の第4の変形例であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態3であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態3であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】実施の形態3であるオゾンガス生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】一酸化炭素によるオゾン量変化を示すグラフである。
【
図13】アルゴンによるオゾン量変化を示すグラフである。
【
図14】二酸化炭素によるオゾン量変化を示すグラフである。
【
図15】シクロヘキサンによるオゾン量変化を示すグラフである。
【
図16】水分によるオゾン量変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施の形態1>
(基本例)
図1は本開示の実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aの構成を示すブロック図である。
図1及び以降の図面(
図2~
図11)において、実線は原料ガスまたはオゾンガスの流通経路を示し、破線で接続されるブロックは制御部14A等の制御対象を示している。
【0020】
同図に示すように、オゾンガス生成装置1Aは、ガス供給設備70から酸素を含む原料ガスを受け、オゾンガス発生器12で発生したオゾンガスをオゾン供給先80に供給している。
【0021】
同図に示すように、オゾンガス生成装置1Aは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13及び制御部14Aを主要構成要素として含んでいる。さらに、オゾンガス生成装置1Aは、外部のガス供給設備70より原料ガスを受ける供給部20と、外部のオゾン供給先80にオゾンガスを出力する出力部28と、供給部20とオゾンガス発生器12との間に設けられ、オゾンガス発生器12に原料ガスを供給するためのガス供給経路となる単一ガス供給経路50とを有している。
【0022】
ガス供給設備70より供給される原料ガスは、供給部20及び単一ガス供給経路50を介してオゾンガス発生器12に供給される。オゾンガス発生器12は、放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、この放電空間に原料ガスを通過させることによりオゾンガスを発生するオゾンガス発生処理を実行する。
【0023】
なお、放電空間に誘電体バリア放電を発生させるには、オゾン用電源より高電圧がオゾンガス発生器12に付与される必要があるが、オゾン用電源は既存技術であるため、本開示では図示及び説明を省略している。
【0024】
オゾンガス発生器12の後段にオゾン(ガス)濃度計13が設けられる。オゾン濃度計13は、オゾンガス発生器12より発生されたオゾンガスの濃度を測定して測定オゾン(ガス)濃度を取得するオゾン濃度測定処理を実行する。したがって、オゾンガスはオゾン濃度計13によるオゾン濃度測定処理がなされた後、出力部28から出力される。
【0025】
単一ガス供給経路50上にガス分析器11が設けられる。ガス分析器11は、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出して不純物含有量を得るガス分析処理を実行する。したがって、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスはガス分析器11によるガス分析処理がなされた後、オゾンガス発生器12に供給される。
【0026】
制御部14Aは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12及びオゾン濃度計13を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理及びガス分析処理を実行させる。したがって、制御部14Aはガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0027】
実施の形態1の基本例のオゾンガス生成装置1Aは、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出するガス分析処理を実行するガス分析器11を有している。
【0028】
このため、基本例のオゾンガス生成装置1Aの制御部14Aは、オゾン濃度計13で得た測定オゾン濃度と、ガス分析器11で得た不純物含有量との関連性を常に認識することができる。
【0029】
その結果、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、基本例のオゾンガス生成装置1Aを管理することができる。
【0030】
例えば、出力部28から出力されるオゾンガスが所望する品質(主としてオゾン濃度)を満足しない場合、その原因がオゾンガス生成装置1A自体であるか、ガス供給設備70から供給される原料ガスの品質であるのかを、比較的容易に認識することができる。
【0031】
そして、不純物含有量の正常範囲が予め設定されており、不純物含有量が正常範囲外であることが認識された場合、オゾンガスの品質劣化の原因は原料ガスの品質にあることを認識することができる。
【0032】
その後、使用者は、オゾンガス生成装置1Aの使用を速やかに停止し、不純物含有量が正常範囲となる原料ガスが供給できるようにガス供給設備70を変更した後、オゾンガス生成装置1Aの使用を再開することができる。
【0033】
このように、使用者は、オゾンガス生成装置1Aを管理することにより、酸素の純度の高い良質の原料ガスをオゾンガス発生器12に常時供給することができる。
【0034】
なお、不純物含有量の正常範囲の設定は、制御部14Aと情報授受可能で、オゾンガス生成装置1Aに装備された図示しないタッチパネル等を用いて行うことができる。
【0035】
さらに、基本例のオゾンガス生成装置1Aにおいて、ガス分析器11は単一ガス供給経路50上に設けられるため、オゾンガス発生器12に実際に供給される原料ガスを分析対象とすることにより、精度良く不純物含有量を検出することができる。
【0036】
(第1の変形例)
図2は本開示の実施の形態1の第1の変形例であるオゾンガス生成装置1Bの構成を示すブロック図である。
【0037】
以下、
図1で示した基本例のオゾンガス生成装置1Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、オゾンガス生成装置1Bの特徴部分を中心に説明する。
【0038】
図2に示すように、オゾンガス生成装置1Bは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13並びに制御部14Bを主要構成要素として含んでいる。
【0039】
単一ガス供給経路50上に2つのガス分析器11A及び11Bがガス分析器11A及びガス分析器11Bの順で直列に設けられた点が、第1の変形例の特徴部分である。すなわち、ガス分析器11Aが第1のガス分析器となり、ガス分析器11Bが第2のガス分析器となる。
【0040】
第1のガス分析器であるガス分析器11Aは、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する。
【0041】
第2のガス分析器であるガス分析器11Bは、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する。
【0042】
なお、ガス分析器11Aにより検出される第1の不純物と、ガス分析器11Bにより検出される第2の不純物とは互いに異なる。
【0043】
したがって、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスは、ガス分析器11Aによる第1のガス分析処理がなされ、その後、ガス分析器11Bによる第2のガス分析処理がなされた後、オゾンガス発生器12に供給される。
【0044】
制御部14Bは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12並びにオゾン濃度計13を制御して、上述した第1及び第2のガス分析処理、オゾンガス発生処理、並びにオゾン濃度測定処理実行させる。したがって、制御部14Bはガス分析器11A及び11Bより第1及び第2の不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0045】
実施の形態1の第1の変形例のオゾンガス生成装置1Bは、原料ガスに含まれる酸素以外の第1及び第2の不純物を検出する第1及び第2のガス分析処理を実行するガス分析器11A及び11Bを有している。
【0046】
したがって、オゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、オゾンガス生成装置1Bを管理することができる。
【0047】
さらに、第1の変形例のオゾンガス生成装置1Bは、互いに異なる第1及び第2の不純物の第1及び第2の不純物含有量の組合せに基づき、原料ガスの品質を多面的に監視することができる効果をさらに奏する。
【0048】
(第2の変形例)
図3は本開示の実施の形態1の第2の変形例であるオゾンガス生成装置1Cの構成を示すブロック図である。
【0049】
以下、
図1で示した基本例のオゾンガス生成装置1Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、オゾンガス生成装置1Cの特徴部分を中心に説明する。
【0050】
図3に示すように、オゾンガス生成装置1Cは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13、制御部14C及びガス流量制御器21を主要構成要素として含んでいる。
【0051】
オゾンガス生成装置1Cでは、供給部20とオゾンガス発生器12との間に設けられ、オゾンガス発生器12に原料ガスを供給するための2つのガス供給経路として、ガス供給主要経路51及びガス供給補助経路52を有している点が、単一ガス供給経路50を有するオゾンガス生成装置1Aと異なっている。
【0052】
ガス供給主要経路51が第1のガス供給経路となり、ガス供給補助経路52が第2のガス供給経路となる。
【0053】
第1のガス供給経路であるガス供給主要経路51は供給部20とオゾンガス発生器12とを直結する経路となっている。したがって、ガス供給主要経路51を流れる原料ガスはそのままオゾンガス発生器12に供給される。
【0054】
一方、第2のガス供給経路であるガス供給補助経路52上にガス流量制御器21及びガス分析器11が直列に設けられる。
【0055】
すなわち、ガス供給補助経路52上においてガス分析器11の前段にガス流量制御器21が設けられる。ガス流量制御器21は、ガス供給補助経路52を流れる原料ガスのガス流量を制限するガス流量制限処理を実行する。したがって、ガス供給補助経路52を流れる原料ガスは、ガス流量制御器21によるガス流量制限処理がなされ、その後、ガス分析器11によるガス分析処理がなされた後、オゾンガス発生器12に供給される。
【0056】
制御部14Cは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13及びガス流量制御器21を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理、ガス分析処理及びガス流量制限処理を実行させる。したがって、制御部14Cはガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0057】
実施の形態1の第2の変形例のオゾンガス生成装置1Cは、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出するガス分析処理を実行するガス分析器11を有している。
【0058】
したがって、オゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、オゾンガス生成装置1Cを管理することができる。
【0059】
ガス分析器11として、ガス分析処理が実行できる原料ガスの流量の流量上限値が制限されている流量制限ガス分析器を用いる場合がある。流量制限ガス分析器に流量上限値を超える流量の原料ガスが供給された場合、流量制限ガス分析器はガス分析処理を実行することができない。
【0060】
例えば、ガス供給設備70から供給される原料ガスの流量が50SLM以上の大流量の場合、ガス分析処理が実行できないガス分析器11は多数種存在する。
【0061】
この場合でも、オゾンガス生成装置1Cは、前段に設けられたガス流量制御器21により、ガス供給補助経路52を流れる原料ガスのガス流量を上記流量上限値以下に制限することができる。したがって、第2の変形例のオゾンガス生成装置1Cは、ガス分析器11として流量制限ガス分析器を用いても、支障なくガス分析処理を実行することができる。
【0062】
<実施の形態2>
(基本例)
図4は本開示の実施の形態2の基本例であるオゾンガス生成装置2Aの構成を示すブロック図である。
【0063】
同図に示すように、オゾンガス生成装置2Aは、ガス供給設備70から酸素を含む原料ガスを受け、オゾンガス発生器12で発生したオゾンガスをオゾン供給先80に供給している。さらに、オゾンガス生成装置2Aは、原料ガスの一部を排気設備90に排出している。
【0064】
同図に示すように、オゾンガス生成装置2Aは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13及び制御部15Aを主要構成要素として含んでいる。
【0065】
以下、
図1で示した実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態2の基本例であるオゾンガス生成装置2Aの特徴部分を中心に説明する。
【0066】
オゾンガス生成装置2Aは、外部より原料ガスを受ける供給部20と、外部にオゾンガスを出力する出力部28と、外部に原料ガスを排出する排出部29とを有している。
【0067】
さらに、オゾンガス生成装置2Aは、供給部20とオゾンガス発生器12との間に設けられ、オゾンガス発生器12に原料ガスを供給するためのガス供給経路となる単一ガス供給経路50と、供給部20と排出部29との間に設けられる単一排気経路55とを有している。単一ガス供給経路50がガス供給経路となり、単一排気経路55は一端が供給部20に接続され、単一ガス供給経路50と分離して設けられる分離ガス経路となる。
【0068】
単一排気経路55上にガス分析器11が設けられる。一方、単一ガス供給経路50は供給部20とオゾンガス発生器12とを直結している。したがって、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスはそのままオゾンガス発生器12に供給される。
【0069】
ガス分析器11は、単一排気経路55を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出して不純物含有量を得るガス分析処理を実行する。したがって、単一排気経路55を流れる原料ガスはガス分析器11によるガス分析処理がなされた後、排出部29から排出される。
【0070】
制御部15Aは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12及びオゾン濃度計13を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理及びガス分析処理を実行させる。したがって、制御部15Aはガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0071】
実施の形態2の基本例のオゾンガス生成装置2Aは、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出するガス分析処理を実行するガス分析器11を有している。
【0072】
したがって、実施の形態1のオゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、実施の形態2の基本例のオゾンガス生成装置2Aを管理することができる。
【0073】
なお、ガス分析器11として、ガス分析処理の実行時に試薬を用いたり、ガス分析処理の実行時に原料ガスである酸素ガスと反応させたりして、原料ガスに影響を与え、原料ガスの品質を変化させてしまう恐れのあるガス分析器を用いる場合がある。
【0074】
また、光(紫外光等)を用いて原料ガスを分析するタイプのガス分析器11の場合、ガス分析処理後の酸素ガスの一部がオゾンガスに変化し、オゾンガス発生器12より前段の機器に悪影響を与える可能性がある。
【0075】
以下、上述したように、原料ガスやオゾンガスの品質に悪影響を与える恐れなるあるガス分析器を「悪影響ガス分析器」と呼ぶ。
【0076】
上述した悪影響ガス分析器に分類されるガス分析器11のガス分析処理によって単一排気経路55を流れる原料ガスの品質を損ねてしまう恐れがある。しかしながら、実施の形態2のオゾンガス生成装置2Aでは、単一排気経路55とは異なる単一ガス供給経路50を介してオゾンガス発生器12に原料ガスを供給している。すなわち、単一排気経路55を流れる原料ガスはオゾンガス発生器12には供給されない。
【0077】
その結果、実施の形態2の基本例のオゾンガス生成装置2Aは、オゾンガス発生器12に供給される原料ガスがガス分析器11のガス分析処理の影響を受けることはないため、ガス分析器11として悪影響ガス分析器を用いても、品質を劣化させることなくオゾンガスを生成することができる。
【0078】
(第1の変形例)
図5は本開示の実施の形態2の第1の変形例であるオゾンガス生成装置2Bの構成を示すブロック図である。
【0079】
以下、
図4で示した基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、オゾンガス生成装置2Bの特徴部分を中心に説明する。
【0080】
図5に示すように、オゾンガス生成装置2Bは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13並びに制御部15Bを主要構成要素として含んでいる。
【0081】
単一排気経路55上に2つのガス分析器11A及び11Bが直列に設けられた点が、第1の変形例な特徴部分である。すなわち、ガス分析器11Aが第1のガス分析器となり、ガス分析器11Bが第2のガス分析器となり、ガス分析器11A及び11Bは分離ガス経路である単一排気経路55上に、ガス分析器11A及びガス分析器11Bの順で直列に設けられる。
【0082】
第1のガス分析器であるガス分析器11Aは、単一排気経路55を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する。
【0083】
ガス分析器11Bは、単一排気経路55を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する。
【0084】
なお、ガス分析器11Aにより検出される第1の不純物と、ガス分析器11Bにより検出される第2の不純物とは互いに異なる。
【0085】
したがって、単一排気経路55を流れる原料ガスは、ガス分析器11Aによる第1のガス分析処理がなされ、その後、ガス分析器11Bによる第2のガス分析処理がなされた後、排出部29から排出される。
【0086】
制御部15Bは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、並びにオゾン濃度計13を制御して、上述した第1及び第2のガス分析処理、オゾンガス発生処理、並びにオゾン濃度測定処理を実行させる。したがって、制御部15Bはガス分析器11A及び11Bより第1及び第2の不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0087】
実施の形態2の第1の変形例のオゾンガス生成装置2Bは、原料ガスに含まれる酸素以外の第1及び第2の不純物を検出する第1及び第2のガス分析処理を実行するガス分析器11A及び11Bを有している。
【0088】
したがって、実施の形態1のオゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、オゾンガス生成装置2Bを管理することができる。
【0089】
また、オゾンガス生成装置2Bは、基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な理由により、ガス分析器11A及び11Bのうち少なくとも一つに悪影響ガス分析器を用いても、品質を劣化させることなくオゾンガスを生成することができる。
【0090】
さらに、オゾンガス生成装置2Bは、互いに異なる第1及び第2の不純物の第1及び第2の不純物含有量の組合せに基づき、原料ガスの品質を多面的に監視することができる効果を奏する。
【0091】
加えて、オゾンガス生成装置2Bは、分離ガス経路となる単一排気経路55の数を必要最小限の“1”に抑えることにより、比較的コンパクトに装置を構成することができる。
【0092】
(第2の変形例)
図6は本開示の実施の形態2の第2の変形例であるオゾンガス生成装置2Cの構成を示すブロック図である。
【0093】
以下、
図4で示した基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、オゾンガス生成装置2Cの特徴部分を中心に説明する。
【0094】
図6に示すように、オゾンガス生成装置2Cは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13並びに制御部15Cを主要構成要素として含んでいる。
【0095】
オゾンガス生成装置2Cは、供給部20と排出部29との間に設けられる第1及び第2の分離ガス経路として、排気用第一経路56及び排気用第二経路57を有している。
【0096】
第1の分離ガス経路である排気用第一経路56と第2の分離ガス経路である排気用第二経路57とは供給部20に対し互いに並列に設けられる。
【0097】
そして、第1のガス分析器であるガス分析器11Aは、前記第1の分離ガス経路となる排気用第一経路56上に設けられ、第2のガス分析器となるガス分析器11Bは第2の分離ガス経路となる排気用第二経路57上に設けられる。
【0098】
排気用第一経路56及び排気用第二経路57を有し、排気用第一経路56上にガス分析器11Aが設けられ、排気用第二経路57上にガス分析器11Bが設けられた点が、第2の変形例な特徴部分である。
【0099】
第1のガス分析器であるガス分析器11Aは、排気用第一経路56を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する。
【0100】
第2のガス分析器であるガス分析器11Bは、排気用第二経路57を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する。
【0101】
なお、ガス分析器11Aにより検出される第1の不純物と、ガス分析器11Bにより検出される第2の不純物とは互いに異なる。
【0102】
したがって、排気用第一経路56を流れる原料ガスは、ガス分析器11Aによる第1のガス分析処理がなされた後に排出部29から排出され、排気用第二経路57を流れる原料ガスはガス分析器11Bによる第2のガス分析処理がなされた後、排出部29から排出される。
【0103】
制御部15Cは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、並びにオゾン濃度計13を制御して、上述した第1及び第2のガス分析処理、オゾンガス発生処理、並びにオゾン濃度測定処理を実行させる。したがって、制御部15Cはガス分析器11A及び11Bより第1及び第2の不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0104】
実施の形態2の第2の変形例であるオゾンガス生成装置2Cは、原料ガスに含まれる酸素以外の第1及び第2の不純物を検出する第1及び第2のガス分析処理を実行するガス分析器11A及び11Bを有している。
【0105】
したがって、実施の形態1のオゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、オゾンガス生成装置2Cを管理することができる。
【0106】
また、オゾンガス生成装置2Cは、基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な理由により、ガス分析器11A及び11Bのうち少なくとも一つに悪影響ガス分析器を用いても、品質を劣化させることなくオゾンガスを生成することができる。
【0107】
さらに、オゾンガス生成装置2Cは、オゾンガス生成装置2Bと同様、互いに異なる第1及び第2の不純物の第1及び第2の不純物含有量の組合せに基づき、原料ガスの品質を多面的に監視することができる効果を奏する。
【0108】
第2の変形例のオゾンガス生成装置2Cにおいて、第1のガス分析器であるガス分析器11Aは排気用第一経路56上に設けられ、第2のガス分析器であるガス分析器11Bは排気用第一経路56と異なる排気用第二経路57上に設けられている。
【0109】
したがって、ガス分析器11Aは、ガス分析器11Bによる第2のガス分析処理の影響を受けることなく第1のガス分析処理を実行することができ、ガス分析器11Bは、ガス分析器11Aによる第1のガス分析処理の影響を受けることなく第2のガス分析処理を実行することができる。
【0110】
その結果、第2の変形例のオゾンガス生成装置2Cは、原料ガスの品質を多面的、かつ精度良く監視することができる。
【0111】
(第3の変形例)
図7は本開示の実施の形態2の第3の変形例であるオゾンガス生成装置2Dの構成を示すブロック図である。
【0112】
以下、
図4で示した基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、オゾンガス生成装置2Dの特徴部分を中心に説明する。
【0113】
図7に示すように、オゾンガス生成装置2Dは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13、制御部15D及びガス流量制御器21を主要構成要素として含んでいる。
【0114】
オゾンガス生成装置2Dにおいて、分離ガス経路である単一排気経路55上にガス流量制御器21及びガス分析器11が直列に設けられる。すなわち、単一排気経路55上においてガス分析器11の前段にガス流量制御器21が設けられる。ガス流量制御器21は、単一排気経路55を流れる原料ガスのガス流量を制限するガス流量制限処理を実行する。
【0115】
したがって、単一排気経路55を流れる原料ガスは、ガス流量制御器21によるガス流量制限処理がなされ、その後、ガス分析器11によるガス分析処理がなされた後、排出部29から排出される。
【0116】
制御部15Dは、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13及びガス流量制御器21を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理、ガス分析処理及びガス流量制限処理を実行させる。したがって、制御部15Dはガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0117】
実施の形態2の第3の変形例のオゾンガス生成装置2Dは、原料ガスに含まれる酸素以外の不純物を検出するガス分析処理を実行するガス分析器11を有している。
【0118】
したがって、実施の形態1のオゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、オゾンガス生成装置2Dを管理することができる。
【0119】
また、オゾンガス生成装置2Dは、基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な理由により、ガス分析器11として悪影響ガス分析器を用いても、品質を劣化させることなくオゾンガスを生成することができる。
【0120】
ガス分析器11として、ガス分析処理が実行できる原料ガスの流量の流量上限値が制限されている流量制限ガス分析器を用いる場合がある。この場合でも、オゾンガス生成装置2Dは、前段に設けられたガス流量制御器21により、単一排気経路55を流れる原料ガスのガス流量を上記流量上限値以下に制限することができる。
【0121】
したがって、第3の変形例のオゾンガス生成装置2Dは、ガス分析器11として流量制限ガス分析器を用いても、支障なくガス分析処理を実行することができる。
【0122】
なお、分離ガス経路である単一排気経路55を流れる原料ガスは排出部29を介して外部の排気設備90に排出されている。したがって、単一排気経路55を流れる原料ガスのガス流量がガス流量制御器21によって制限されても、ガス供給経路である単一ガス供給経路50から供給される原料ガスのガス流量が影響を受けることはない。このため、オゾンガス生成装置2Dのオゾンガス発生器12はオゾンガス発生処理を正常に実行することができる。
【0123】
(第4の変形例)
図8は本開示の実施の形態2の第4の変形例であるオゾンガス生成装置2Eの構成を示すブロック図である。
【0124】
以下、
図4で示した基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、オゾンガス生成装置2Eの特徴部分を中心に説明する。
【0125】
図8に示すように、オゾンガス生成装置2Eは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13並びに制御部15Eを主要構成要素として含んでいる。
【0126】
オゾンガス生成装置2Eは、供給部20と排出部29との間に設けられる単一排気経路55上に第1のガス分析器であるガス分析器11Aを設けている。オゾンガス生成装置2Eはさらに単一ガス供給経路50上に第2のガス分析器であるガス分析器11Bを設けている。
【0127】
第1のガス分析器であるガス分析器11Aは、単一排気経路55を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第1の不純物を検出して第1の不純物含有量を得る第1のガス分析処理を実行する。したがって、単一排気経路55を流れる原料ガスはガス分析器11Aによるガス分析処理がなされた後、排出部29から排出される。
【0128】
第2のガス分析器であるガス分析器11Bは、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスを分析して、原料ガスに含まれる酸素以外の第2の不純物を検出して第2の不純物含有量を得る第2のガス分析処理を実行する。したがって、単一ガス供給経路50を流れる原料ガスはガス分析器11Bによるガス分析処理がなされた後、オゾンガス発生器12に供給される。
【0129】
なお、ガス分析器11Aにより検出される第1の不純物と、ガス分析器11Bにより検出される第2の不純物とは互いに異なる。
【0130】
制御部15Eは、ガス分析器11A及び11B、オゾンガス発生器12、並びにオゾン濃度計13を制御して、上述した第1及び第2のガス分析処理、オゾンガス発生処理、並びにオゾン濃度測定処理を実行させる。したがって、制御部15Eはガス分析器11A及び11Bより第1及び第2の不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得することができる。
【0131】
実施の形態2の第4の変形例であるオゾンガス生成装置2Eは、原料ガスに含まれる酸素以外の第1及び第2の不純物を検出する第1及び第2のガス分析処理を実行するガス分析器11A及び11Bを有している。
【0132】
したがって、実施の形態1のオゾンガス生成装置1Aと同様の理由により、使用者は、オゾンガス発生器12が正常にオゾンガス発生処理を実行するように、オゾンガス生成装置2Eを管理することができる。
【0133】
また、オゾンガス生成装置2Eは、基本例のオゾンガス生成装置2Aと同様な理由により、ガス分析器11Aとして悪影響ガス分析器を用いても、品質を劣化させることなくオゾンガスを生成することができる。
【0134】
なお、ガス分析器11Bは単一ガス供給経路50上に設けられるため、悪影響ガス分析器や流量制限ガス分析器に該当しないガス分析器を用いることが望ましい。
【0135】
さらに、オゾンガス生成装置2Eは、オゾンガス生成装置2B及び2Cと同様、互いに異なる第1及び第2の不純物の第1及び第2の不純物含有量の組合せに基づき、原料ガスの品質を多面的に監視することができる効果を奏する。
【0136】
さらに、単一排気経路55上に設けられるガス分析器11Aは、単一ガス供給経路50上に設けられるガス分析器11Bによる第2のガス分析処理の影響を受けることなく第1のガス分析処理を実行することができる。同様に、ガス分析器11Bは、ガス分析器11Aによる第1のガス分析処理の影響を受けることなく第2のガス分析処理を実行することができる。
【0137】
その結果、第4の変形例のオゾンガス生成装置2Eは、オゾンガス生成装置2Cと同様、原料ガスの品質を多面的、かつ精度良く監視することができる。
【0138】
加えて、オゾンガス生成装置2Eは、分離ガス経路となる単一排気経路55の数を必要最小限の“1”に抑えることにより、比較的コンパクトに装置を構成することができる。
【0139】
<実施の形態3>
図9は本開示の実施の形態3あるオゾンガス生成装置3の構成を示すブロック図である。
【0140】
同図に示すように、オゾンガス生成装置3は、ガス供給設備70から酸素を含む原料ガスを受け、オゾンガス発生器12で発生したオゾンガスをオゾン供給先80に供給している。
【0141】
同図に示すように、オゾンガス生成装置3は、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13、ディスプレイ30及び制御部16を主要構成要素として含んでいる。
【0142】
以下、
図1で示した実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態3であるオゾンガス生成装置3の特徴部分を中心に説明する。
【0143】
表示装置であるディスプレイ30は、制御部16の制御下で、不純物含有量情報及びオゾン濃度情報を視覚認識可能に表示する表示処理を実行する。不純物含有量情報は、ガス分析器11より取得した不純物含有量を指示する情報であり、オゾン濃度情報は、オゾン濃度計13より取得した測定オゾン濃度を指示する情報である。
【0144】
このように、実施の形態3のオゾンガス生成装置3はディスプレイ30をさらに備えたことを特徴としている。
【0145】
制御部16は、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13及びディスプレイ30を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理、ガス分析処理及び表示処理を実行させる。
【0146】
したがって、制御部16はガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得して、不純物含有量を示す不純物含有量情報やオゾン濃度を示す測定オゾン濃度情報をディスプレイ30上に表示させることができる。
【0147】
実施の形態3のオゾンガス生成装置3は、表示装置であるディスプレイ30上に不純物含有量情報及びオゾン濃度情報を視覚認識可能に表示するため、使用者はディスプレイ30上に表示される不純物含有量情報及び測定オゾン濃度情報を参照して、原料ガス及びオゾンガスの品質を常に監視することができる。
【0148】
例えば、使用者は、ディスプレイ30で表示される不純物含有量情報を参照して、不純物含有量が正常範囲外であると認識した場合、速やかにオゾンガス生成装置3の動作を停止させることにより、不純物含有量が正常範囲外でのオゾンガス生成装置3の動作期間を最小限に抑えることができる。その結果、オゾンガス生成装置3の装置寿命を延ばすことができる。
【0149】
(その他)
なお、実施の形態3では、実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aを基本構成としてディスプレイ30を追加しているが、この構成に限定されない。すなわち、オゾンガス生成装置1Aに代えて、実施の形態1のオゾンガス生成装置1B及び1C並びに実施の形態2のオゾンガス生成装置2A~2Eのうち、一のオゾンガス生成装置を基本構成としてディスプレイ30を追加しても良い。
【0150】
<実施の形態4>
図10は本開示の実施の形態4あるオゾンガス生成装置4の構成を示すブロック図である。
【0151】
同図に示すように、オゾンガス生成装置4は、ガス供給設備70から酸素を含む原料ガスを受け、オゾンガス発生器12で発生したオゾンガスをオゾン供給先80に供給している。
【0152】
同図に示すように、オゾンガス生成装置4は、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13、ディスプレイ30、記憶装置33及び制御部17を主要構成要素として含んでいる。
【0153】
以下、
図1で示した実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態4であるオゾンガス生成装置4の特徴部分を中心に説明する。
【0154】
記憶装置33は、制御部17の制御下で、ガス分析器11で検出される不純物含有量の経時変化を含有量経時変化情報として記憶する記憶処理を実行する。
【0155】
表示装置であるディスプレイ30は、実施の形態3のオゾンガス生成装置3と同様、制御部17の制御下で、不純物含有量情報及びオゾン濃度情報を視覚認識可能に表示する第1の表示処理を実行する。
【0156】
さらに、ディスプレイ30は、制御部17の制御下で、記憶装置33に記録された前記含有量経時変化情報を視覚認識可能に表示する第2の表示処理を実行する。すなわち、ディスプレイ30が実行する表示処理は上述した第1及び第2の表示処理を含んでいる。
【0157】
このように、実施の形態4のオゾンガス生成装置4はディスプレイ30及び記憶装置33をさらに備えたことを特徴としている。
【0158】
制御部17は、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13、ディスプレイ30及び記憶装置33を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理、ガス分析処理、第1及び第2の表示処理並びに記憶処理を実行させる。
【0159】
したがって、制御部17はガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得して、記憶装置33より含有量経時変化情報を取得することができる。
【0160】
そして、制御部17の制御下で上述した第1及び第2の表示処理を実行させることにより、現在の不純物含有量を示す不純物含有量情報、不純物含有量の経時変化を示す含有量経時変化情報、及び、測定オゾン濃度を示すオゾン濃度情報をディスプレイ30上に表示させることができる。
【0161】
実施の形態4のオゾンガス生成装置4は、不純物含有量情報及びオゾン濃度情報に加え、含有量経時変化情報をディスプレイ30上に視覚認識可能に表示するため、実施の形態3の効果に加え、原料ガスの品質の経時変化を常時監視することができる。
【0162】
例えば、ディスプレイ30上に不純物含有量の経時変化を常時グラフ化して表示させることにより、使用者は不純物含有量の経時変化を比較的容易に認識することができる。
【0163】
(その他)
なお、実施の形態4では、実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aを基本構成としてディスプレイ30及び記憶装置33を追加しているが、実施の形態3と同様、この構成に限定されない。すなわち、オゾンガス生成装置1Aに代えて、実施の形態1のオゾンガス生成装置1B及び1C並びに実施の形態2のオゾンガス生成装置2A~2Eのうち、一のオゾンガス生成装置を基本構成としてディスプレイ30及び記憶装置33を追加しても良い。
【0164】
<実施の形態5>
図11は本開示の実施の形態5あるオゾンガス生成装置5の構成を示すブロック図である。
【0165】
同図に示すように、オゾンガス生成装置5は、ガス供給設備70から酸素を含む原料ガスを受け、オゾンガス発生器12で発生したオゾンガスをオゾン供給先80に供給している。
【0166】
同図に示すように、オゾンガス生成装置5は、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13、警報装置31及び制御部18を主要構成要素として含んでいる。
【0167】
以下、
図1で示した実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aと同様な構成部は同一の参照符号を付して説明を適宜省略し、実施の形態5であるオゾンガス生成装置5の特徴部分を中心に説明する。
【0168】
警報装置31は、制御部18の制御下で、不純物含有量が正常範囲外である時、警告情報を出力する警報処理を実行する。警告情報は例えば音声情報として出力される。この場合、警報装置31としてスピーカー等の音声出力装置が用いられる。実施の形態5のオゾンガス生成装置5は警報装置31をさらに備えたことを特徴としている。
【0169】
制御部18は、ガス分析器11、オゾンガス発生器12、オゾン濃度計13及び警報装置31を制御して、上述したオゾンガス発生処理、オゾン濃度測定処理、ガス分析処理及び警報処理を実行させる。
【0170】
したがって、制御部18はガス分析器11より不純物含有量を取得し、オゾン濃度計13より測定オゾン濃度を取得して、不純物含有量が正常範囲外である場合、警報装置31に警報処理を実行させることができる。
【0171】
なお、不純物含有量の正常範囲の具体例については、後述する<不純物とガス分析器>の欄で説明している。
【0172】
実施の形態5のオゾンガス生成装置5は警報装置31から警告情報を出力するため、ガス分析器11により検出された不純物含有量が正常範囲外であることを容易に周知させることができる。
【0173】
したがって、使用者は警告情報を認識することにより、オゾンガス生成装置5を停止させる等の対応処理を速やかに行うことができるため、不純物含有量が正常範囲外でのオゾンガス生成装置5の動作期間を最小限に抑えることができる。その結果、オゾンガス生成装置5の装置寿命を延ばすことができる。
【0174】
さらに、使用者は、警告情報の出力時におけるオゾン濃度情報を認識することにより、不純物含有量が正常範囲外である場合のオゾン濃度低下度合を比較的容易に認識することができる。
【0175】
(その他)
なお、実施の形態5では、実施の形態1の基本例であるオゾンガス生成装置1Aを基本構成として警報装置31を追加しているが、実施の形態3及び実施の形態4と同様、この構成に限定されない。すなわち、オゾンガス生成装置1Aに代えて、実施の形態1のオゾンガス生成装置1B及び1C並びに実施の形態2のオゾンガス生成装置2A~2Eのうち、一のオゾンガス生成装置を基本構成として警報装置31を追加しても良い。
【0176】
また、実施の形態5のオゾンガス生成装置5において、実施の形態3及び実施の形態4のように、ディスプレイ30や記憶装置33をさらに追加しても良い。
【0177】
<不純物とガス分析器>
(不純物)
実施の形態1~実施の形態5の構成要素であったガス分析器11(11A,11B)の詳細について説明する。
【0178】
以下、全ての実施の形態のオゾンガス生成装置1A~1C、2A~2E、3~5を総称する場合は、単に「オゾンガス生成装置1」と称し、ガス分析器11,11A及び11Bを総称する場合は「ガス分析器11」を代表して説明する。
【0179】
酸素を含む原料ガスに対して悪影響を与える恐れがある不純物として、窒素、アルゴン、炭素化合物、水分、フッ素及び塩素が考えられる。また、炭素化合物として、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、シクロヘキサン(cyclohexane)等が考えられる。
【0180】
これらの不純物が原料ガスに含まれた場合に想定される現象が以下のように分類される。
【0181】
窒素、アルゴン、炭素化合物、フッ素、塩素及び水分…原料ガスに含まれると、オゾンガス発生器12で発生されるオゾンガスのオゾン濃度を低くする第1の性質を有する。
水分、炭素化合物、フッ素…原料ガスに含まれると、オゾンガス発生器を劣化させてしまう第2の性質を有する。
【0182】
例えば原料ガスに含まれる水分が多くなると、オゾンガス発生器12において放電空間を形成する放電セルへのダメージが増加するという上述した第2の性質を呈する。また、原料ガスに含まれる炭素化合物が多くなると、オゾンガスが分解しやすくなる結果、オゾンガス発生器12で生成されるオゾンガスのオゾン濃度を低くしてしまう上述した第1の性質を呈する。
【0183】
また、炭化化合物に含まれる炭素水素がオゾンガス発生器12のオゾンガス発生処理に悪影響を与えることが知られている。
【0184】
図12は一酸化炭素(CO)によるオゾン量変化を示すグラフである。同図において、横軸が原料ガスに含まれる炭素化合物である一酸化炭素(CO)の割合(%)であり、縦軸がキロワット時におけるオゾン生成量(g/kWh)を示している。
【0185】
図12に示すオゾン生成量曲線L1から一酸化炭素の原料ガス内における割合が低い程、高いオゾン生成量が得られていることがわかる。なお、オゾン生成量はオゾン濃度と密接な関係があるため、オゾン濃度もオゾン生成量と同様な性質を有すると推測される。
図13以降で示すグラフにおいても同様なことが推測される。
【0186】
図13はアルゴン(Ar)によるオゾン量変化を示すグラフである。同図において、横軸が原料ガスに含まれるアルゴン(Ar)の割合(%)であり、縦軸がキロワット時におけるオゾン生成量(g/kWh)を示している。
【0187】
図13に示すオゾン生成量曲線L2からアルゴンの原料ガス内における割合が低い程、高いオゾン生成量が得られていることがわかる。
【0188】
図14は二酸化炭素(CO
2)によるオゾン量変化を示すグラフである。同図において、横軸が原料ガスに含まれる炭素化合物である二酸化炭素(CO
2)の割合(%)であり、縦軸がキロワット時におけるオゾン生成量(g/kWh)を示している。
【0189】
図14に示すオゾン生成量曲線L3から二酸化炭素の原料ガス内における割合が低い程、高いオゾン生成量が得られていることがわかる。
【0190】
図15はシクロヘキサン(cyclohexane)(C
6H
12)によるオゾン量変化を示すグラフである。同図において、横軸が原料ガスに含まれる炭化水素(炭素化合物)であるシクロヘキサン(C
6H
12)の割合(vol%)であり、縦軸が1時間当たりのオゾン生成モル量×10
3(mole/hr×10
3)を示している。
【0191】
図15に示すオゾン生成量曲線L4からシクロヘキサンの原料ガス内における割合が低い程、高いオゾン生成量が得られていることがわかる。
【0192】
図16は水分によるオゾン量変化を示すグラフである。同図において、横軸が原料ガスに含まれる水分の露点(℃)であり、縦軸がキロワット時におけるオゾン生成量(g/kWh)を示している。なお、
図16に示すように、露点から水分の比率(ppm)を求めることができる。
【0193】
図16に示すオゾン生成量曲線L5から水分の原料ガス内における割合が低い程、高いオゾン生成量が得られていることがわかる。
【0194】
図12~
図16から、アルゴン、炭素化合物及び水分は、原料ガス内における割合が低い程、不純物濃度が高いオゾンガスの生成が期待できることがわかる。なお、図示は省略しているが、窒素、フッ素及び塩素においても、原料ガス内における割合が低い程、不純物濃度が高いオゾンガスの生成が期待できると推測される。
【0195】
加えて、窒化化合物、フッ素化合物及び塩素化合物は、オゾンによって生成される性質も有しているため、これらの不純物含有量を抑制することにより、より一層オゾンガスのオゾン濃度を高めることが期待できる。
【0196】
加えて、炭素化合物の含有量が多くなると、オゾンガスを分解しやすくなり、オゾン濃度を低下させてしまう性質を有している。
【0197】
このように、窒素、アルゴン、炭素化合物、フッ素、塩素及び水分は、原料ガスに含まれると、オゾンガス発生器12で発生されるオゾンガスのオゾン濃度を低くする第1の性質を有している。
【0198】
上述した第1の性質を考慮して、ガス分析器11の検出対象となる不純物は、窒素、アルゴン、炭素化合物、フッ素、塩素及び水分のうち、少なくとも一つを含んでいる。
【0199】
したがって、オゾンガス生成装置1のガス分析器11にて検出対象となる不純物が、窒素、アルゴン、炭素化合物、フッ素、塩素及び水分のいずれかである場合、不純物含有量を監視して、不純物含有量を抑制する処置を講じることにより、オゾンガスを一定のオゾン濃度で安定に供給することができる。
【0200】
不純物含有量の具体的な監視方法としては、実施の形態3や実施の形態4のオゾンガス生成装置3及び4のようにディスプレイ30を設けたり、実施の形態5のオゾンガス生成装置5のように警報装置31を設けたりする方法が考えられる。
【0201】
また、前述したように、水分、炭素化合物及びフッ素は、原料ガスに含まれると、オゾンガス発生器12を劣化させてしまう第2の性質を有している。
【0202】
したがって、オゾンガス生成装置1のガス分析器11にて検出対象となる不純物が、水分、炭素化合物及びフッ素のいずれかである場合、不純物含有量を監視して、不純物含有量を抑制する処置を講じることにより、オゾンガス発生器12の劣化を防止することができる。
【0203】
その結果、オゾンガス生成装置1は、オゾンガス発生器12の劣化を防止することにより、長寿命化を図ることができる。
【0204】
(装置タイプ)
原料ガスから上述した不純物を検出するガス分析器11の装置タイプは以下のように分類される。
【0205】
窒素…窒素化合物測定器
アルゴン…希ガス測定器
炭素化合物…炭素化合物測定器
フッ素…フッ素化合物測定器
塩素…塩素化合物測定器
水分…水分測定器(水分計;露点計)
【0206】
なお、上述したガス分析器11の各装置タイプは既存技術であるため、各測定器の構成及び動作の説明は省略する。
【0207】
このように、検出対象となる不純物に応じてガス分析器11となる専用の装置タイプが決定される。例えば、窒素化合物測定器ではNO、やNO2の検出に適しており、COやSO等の検出には不適である。したがって、原料ガスに含まれる複数のガス種に応じた専用の測定器をガス分析器11として設置する必要がある。したがって、原料ガスの品質を多面的に分析するためには、複数のガス分析器11を設置することが望ましい。
【0208】
上述した装置タイプのガス分析器11を用いて、原料ガスに含まれる不純物の割合の正常範囲は例えば以下のように決定される。
【0209】
窒素…0.2ppm以下
アルゴン…0.1ppm以下
一酸化炭素…0.03ppm以下
二酸化炭素…0.03ppm以下
メタン…0.03ppm以下
水分…1.0ppm以下(露点が-76℃以下)
【0210】
なお、水分が1.0ppm以下の場合、原料ガスに含まれる酸素ガス濃度は、6N(99.9999%)相当であると推測できる。
【0211】
また、フッ素及び塩素についても上述した不純物の正常範囲と同様、所定の割合以下を正常範囲として設定することができる。このように、原料ガスに含まれる不純物の種類に応じて正常範囲を設定することにより、不純物の種別に応じて不純物含有量の良否を切り分けることができる。
【0212】
例えば、オゾンガス生成装置1が所望のオゾン濃度のオゾンガスを生成しない場合、不純物含有量が正常範囲内であれば、原因はオゾンガス生成装置1自体にあり、不純物含有量が正常範囲外であれば、原因は原料ガスにあると切り分けることができる。
【0213】
(実施の形態における具体例)
(2つのガス分析器11A及び11Bを有する構成)
実施の形態1のオゾンガス生成装置1B、実施の形態2のオゾンガス生成装置2B、2C及び2Eでは、2つのガス分析器11A及び11Bを有している。以下、オゾンガス生成装置1Bを代表して説明する。
【0214】
オゾンガス生成装置1Bのガス分析器11Aに窒素化合物測定器を用い、ガス分析器11Bに水分測定器を用いる第1の組合せが考えられる。
【0215】
上述した第1の組合せでは、ガス分析器11Aによって原料ガスに含まれる窒素量を抑制する処置を講じることにより、窒素レスオゾンガスをオゾンガス発生器12から発生させることができる。その結果、オゾンガス発生器12からオゾン濃度の高いクリーンなオゾンガスを発生させて、オゾン供給先80に供給することができる。
【0216】
さらに、第1の組合せでは、ガス分析器11Bによって原料ガスに含まれる水分量を抑制する処置を講じることにより、オゾンガス発生器12の劣化を抑制してオゾンガス生成装置1Bの長寿命化を図ることができる。
【0217】
このように、オゾンガス生成装置1Bは、ガス分析器11A及び11Bの第1の組合せを採用することにより、オゾン供給先80にクリーンなオゾンガスを長期間供給することができる。
【0218】
また、オゾンガス生成装置1Bにおいて、ガス分析器11Aに窒素化合物測定器を用い、ガス分析器11Bに炭素化合物測定器を用いる第2の組合せが考えられる。
【0219】
上述した第2の組合せにおいても、ガス分析器11Aによって、第1の組合せと同様、オゾン濃度の高いクリーンなオゾンガスをオゾン供給先80に供給することができる。
【0220】
さらに、第2の組合せでは、ガス分析器11Bによって原料ガスに含まれる炭素化合物量を抑制する処置を講じることにより、オゾンガス発生器12の劣化を抑制して、オゾンガス生成装置1Bの長寿命化を図ることができる。
【0221】
このように、オゾンガス生成装置1Bは、ガス分析器11A及び11Bの第2の組合せを採用することにより、オゾン供給先80にクリーンなオゾンガスを長期間供給することが期待できる。
【0222】
さらに、オゾンガス生成装置1Bにおいて、ガス分析器11Aに窒素化合物測定器を用い、ガス分析器11Bにフッ素化合物測定器を用いる第3の組合せが考えられる。
【0223】
オゾンガス生成装置1Bは、ガス分析器11A及び11Bの第3の組合せを採用することにより、第1及び第2の組合せと同様、オゾン供給先80にクリーンなオゾンガスを長期間供給することが期待できる。
【0224】
上述した第1~第3の組合せは、ガス分析器11Aの検出対象である第1の不純物として、窒素、アルゴン、炭素化合物、フッ素、塩素及び水分のうち、いずれか一つを採用し、ガス分析器11Bの検出対象となる第2の不純物として水分、炭素化合物及びフッ素のうち、いずれか一つを採用していることになる。
【0225】
上述したように、上述した第1~第3の組合せは以下の効果を奏する。第1のガス分析器であるガス分析器11Aにより得られる第1の不純物含有量を監視して、オゾンガスのオゾン濃度を高い状態で維持することができる。そして、第2のガス分析器であるガス分析器11Bにより得られる第2の不純物含有量を監視して、原料ガスにおけるオゾンガス発生器の劣化成分量を抑制することができる。
【0226】
また、窒素化合物測定器には試料ガスとして吸収液を通過させ、吸収液が不純物となる窒素化合物を吸収する性質を利用して、吸収液に含まれる窒素化合物の吸収度を測定する要試料ガス測定器が存在する。例えば、NOXが要試料ガス測定器で測定されることが知られている。また、要試料ガス測定器には、試薬を用いて原料ガスを反応させることにより不純物を測定する測定器も存在する。
【0227】
このような要試料ガス測定器は、原料ガスに悪影響を与える悪影響ガス分析器に分類される。したがって、要試料ガス測定器を用いる場合、オゾンガス生成装置2Aのガス分析器11、オゾンガス生成装置2Bのガス分析器11A及び11B、オゾンガス生成装置2Cのガス分析器11A及び11B、オゾンガス生成装置2Dのガス分析器11、オゾンガス生成装置2Eのガス分析器11Aとして用いることが望ましい。
【0228】
例えば、オゾンガス生成装置2Aの場合、オゾンガス発生器12に供給される原料ガスがガス分析器11のガス分析処理の影響を受けることは全くないからである。
【0229】
なお、実施の形態1のオゾンガス生成装置1B等では、2つのガス分析器11A及び11Bを有する構成を示したが、3つ以上のガス分析器を有する構成に拡張することも勿論可能である。
【0230】
<その他>
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0231】
1A~1C,2A~2E,3~5 オゾンガス生成装置
11,11A,11B ガス分析器
12 オゾンガス発生器
13 オゾン濃度計
14A~14C,15A~15E,16~18 制御部
20 供給部
28 出力部
29 排出部
30 ディスプレイ
31 警報装置
33 記憶装置
50 単一ガス供給経路
51 ガス供給主要経路
52 ガス供給補助経路
55 単一排気経路
56 排気用第一経路
57 排気用第二経路
70 ガス供給設備
80 オゾン供給先
90 排気設備