(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】無線操作システム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20240213BHJP
B25J 9/22 20060101ALI20240213BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20240213BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B25J19/00 K
B25J9/22 Z
G05B19/42 J
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021075187
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石榑 克範
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030078(JP,A)
【文献】特開2008-059017(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140001(WO,A1)
【文献】特開2008-197856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
G05B 19/42 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動機械の動作を制御する制御コントローラと、
前記自動機械の動作に関する教示内容の入力を前記制御コントローラに対して無線通信にて行う教示装置と、を備えた無線操作システムであって、
前記制御コントローラには、SSIDが予め設定されており、
前記教示装置には、
前記制御コントローラと無線通信可能であり、前記制御コントローラと同一のSSIDが予め設定されているアクセスポイントと、
前記アクセスポイントのSSIDと一致するSSIDが設定されている前記制御コントローラに対して、当該制御コントローラが前記アクセスポイントの無線通信エリア内に存在するとIPアドレスを自動割り当てするDHCPサーバと、が内蔵されており、
前記教示装置は、前記無線通信エリア内に存在する前記制御コントローラから送信される応答情報
が予め設定された文字列であるか否かを判定し、予め設定された文字列であると判定すると、当該制御コントローラのIPアドレスに基づいた前記アクセスポイントを介した前記制御コントローラとの無線通信
を行うことを特徴とする無線操作システム。
【請求項2】
前記教示装置は、前記無線通信エリア内に存在する前記制御コントローラから送信される応答情報を受信すると、当該制御コントローラのIPアドレスを無線通信対象として登録し、前記無線通信エリア内に存在していた前記制御コントローラが前記無線通信エリア外に位置した段階で、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消することを特徴とする請求項1に記載の無線操作システム。
【請求項3】
前記制御コントローラは、
前記教示装置へ応答情報を送信するコントローラ応答送信部と、
前記教示内容に関する教示情報を含む通信情報を前記教示装置との間で送受信するコントローラ通信送受信部と、を有し、
前記教示装置は、
前記コントローラ応答送信部から送信された応答情報を受信する教示装置応答受信部と、
前記コントローラ通信送受信部と前記通信情報を送受信する教示装置通信送受信部と、を有し、
前記制御コントローラは、予め設定された所定の間隔置きに前記コントローラ応答送信部から前記教示装置へ前記応答情報を送信し、
前記教示装置は、前記コントローラ応答送信部から送信される前記応答情報を前記教示装置応答受信部にて受信するべく予め設定された所定の間隔置きに待機するとともに、前記教示装置応答受信部が前記応答情報を受信すると、前記教示装置通信送受信部から前記コントローラ通信送受信部へ教示情報を送信し、
前記制御コントローラは、前記教示装置通信送受信部から送信される教示情報を前記コントローラ通信送受信部にて受信するべく常時待機していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、自動機械の動作を制御する制御コントローラと、自動機械の動作に関する教示内容の入力を制御コントローラに対して有線通信にて行う教示装置と、を備えたシステムが開示されている。このように、教示装置からの自動機械の動作に関する教示内容の入力を制御コントローラに対して有線通信にて行う場合、制御コントローラと教示装置とが接続ケーブルによって接続されることになる。したがって、作業者が、制御コントローラから離れて作業を行いたい場合であっても、接続ケーブルの長さよりも制御コントローラから離れて作業を行うことができないという問題がある。また、制御コントローラの数が増えるほど、接続ケーブルの数も増えることになるため、システムの構成が複雑化する。そこで、特許文献1には、教示装置からの自動機械の動作に関する教示内容の入力を無線通信にて行うことも開示されている。これによれば、制御コントローラと教示装置との間が無線化されるため、作業者は、接続ケーブルの長さよりも制御コントローラから離れて作業を行うことが可能となる。
【0003】
ところで、特許文献1にも開示されているように、無線通信の方式としては、インフラストラクチャモード及びアドホックモードが一般的に知られている。インフラストラクチャモードは、アクセスポイントを介して制御コントローラと教示装置との間で無線通信を行う方式である。一方、アドホックモードは、アクセスポイントを介さずに制御コントローラと教示装置とが一対一で接続されて無線通信を行う方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、インフラストラクチャモードにおいては、アクセスポイントの位置が固定であると、アクセスポイントの無線通信エリア内に制御コントローラを設置する必要があり、制御コントローラの設置場所に制約が生じる。また、作業者は、アクセスポイントの無線通信エリア内で教示装置を操作する必要があるため、教示装置の操作位置に制約が生じる。したがって、例えば、作業者が、自動機械の動作を目視できる位置で教示装置を操作することが困難となる場合がある。一方で、例えば、アドホックモードでは、制御コントローラの数が増えるほど、通信帯域が狭くなってしまうことが知られており、制御コントローラと教示装置との間での無線通信の応答性が低下するという問題が生じ得る。
【0006】
また、インフラストラクチャモードで制御コントローラと教示装置との間で無線通信を行うためには、制御コントローラにIPアドレスを手作業で設定する必要があり、作業が面倒である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する無線操作システムは、自動機械の動作を制御する制御コントローラと、前記自動機械の動作に関する教示内容の入力を前記制御コントローラに対して無線通信にて行う教示装置と、を備えた無線操作システムであって、前記制御コントローラには、SSIDが予め設定されており、前記教示装置には、前記制御コントローラと無線通信可能であり、前記制御コントローラと同一のSSIDが予め設定されているアクセスポイントと、前記アクセスポイントのSSIDと一致するSSIDが設定されている前記制御コントローラに対して、当該制御コントローラが前記アクセスポイントの無線通信エリア内に存在するとIPアドレスを自動割り当てするDHCPサーバと、が内蔵されており、前記教示装置は、前記無線通信エリア内に存在する前記制御コントローラから送信される応答情報が予め設定された文字列であるか否かを判定し、予め設定された文字列であると判定すると、当該制御コントローラのIPアドレスに基づいた前記アクセスポイントを介した前記制御コントローラとの無線通信を行う。
【0008】
上記無線操作システムにおいて、前記教示装置は、前記無線通信エリア内に存在する前記制御コントローラから送信される応答情報を受信すると、当該制御コントローラのIPアドレスを無線通信対象として登録し、前記無線通信エリア内に存在していた前記制御コントローラが前記無線通信エリア外に位置した段階で、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消するとよい。
【0009】
上記無線操作システムにおいて、前記制御コントローラは、前記教示装置へ応答情報を送信するコントローラ応答送信部と、前記教示内容に関する教示情報を含む通信情報を前記教示装置との間で送受信するコントローラ通信送受信部と、を有し、前記教示装置は、前記コントローラ応答送信部から送信された応答情報を受信する教示装置応答受信部と、前記コントローラ通信送受信部と前記通信情報を送受信する教示装置通信送受信部と、を有し、前記制御コントローラは、予め設定された所定の間隔置きに前記コントローラ応答送信部から前記教示装置へ前記応答情報を送信し、前記教示装置は、前記コントローラ応答送信部から送信される前記応答情報を前記教示装置応答受信部にて受信するべく予め設定された所定の間隔置きに待機するとともに、前記教示装置応答受信部が前記応答情報を受信すると、前記教示装置通信送受信部から前記コントローラ通信送受信部へ教示情報を送信し、前記制御コントローラは、前記教示装置通信送受信部から送信される教示情報を前記コントローラ通信送受信部にて受信するべく常時待機しているとよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、自動機械の動作を目視できる位置で教示装置を操作することが容易になるとともに、制御コントローラと教示装置との間での無線通信の応答性が低下することもなく、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態における無線操作システムを示す模式図。
【
図2】無線操作システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図3】コントローラCPUの制御を説明するためのフローチャート。
【
図4】コントローラCPUの制御を説明するためのフローチャート。
【
図5】教示装置CPUの制御を説明するためのフローチャート。
【
図6】教示装置CPUの制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、無線操作システムを具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。本実施形態の無線操作システムは、自動機械である電動アクチュエータが複数設置された工場内で用いられている。
【0013】
(無線操作システム10の全体構成)
図1に示すように、無線操作システム10は、制御コントローラ20と、教示装置30と、を備えている。制御コントローラ20は、各電動アクチュエータ40に対して1つずつ設けられている。したがって、無線操作システム10は、制御コントローラ20を複数備えている。各制御コントローラ20は、各電動アクチュエータ40の動作を制御する。各制御コントローラ20と各電動アクチュエータ40とは電気的に接続されている。各制御コントローラ20と各電動アクチュエータ40とは、接続ケーブル50によって接続されている。
【0014】
(制御コントローラ20の構成)
図2に示すように、各制御コントローラ20は、コントローラCPU21を備えている。また、各制御コントローラ20は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、コントローラCPU21の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるコントローラメモリ22を備えている。また、各制御コントローラ20は、コントローラタイマ23を備えている。コントローラメモリ22には、SSIDが予め記憶されている。したがって、各制御コントローラ20には、SSIDが予め記憶されている。
【0015】
各制御コントローラ20には、コントローラ無線LAN回路24が内蔵されている。コントローラ無線LAN回路24は、コントローラCPU21と電気的に接続されている。コントローラ無線LAN回路24は、コントローラCPU21からの制御信号を受信する。コントローラ無線LAN回路24は、コントローラ応答送信部25と、コントローラ通信送受信部26と、をそれぞれ有している。コントローラ応答送信部25は、教示装置30へ応答情報を送信する。なお、応答情報とは、予め設定された文字列である。コントローラ通信送受信部26は、教示内容に関する教示情報を含む通信情報を教示装置30との間で送受信する。
【0016】
コントローラメモリ22には、予め設定された所定の間隔置きにコントローラ応答送信部25から教示装置30へ応答情報を送信する応答情報送信プログラムが予め記憶されている。したがって、制御コントローラ20は、予め設定された所定の間隔置きにコントローラ応答送信部25から教示装置30へ応答情報を送信する。予め設定された所定時間は、コントローラタイマ23によって計測される。予め設定された所定時間とは、例えば、10秒である。
【0017】
コントローラメモリ22には、教示装置30から送信される教示情報をコントローラ通信送受信部26にて受信するべく常時待機するプログラムが予め記憶されている。また、コントローラメモリ22には、コントローラ通信送受信部26に教示情報が正常に受信された旨の通信情報である肯定応答情報を教示装置30へ送信するプログラムが予め記憶されている。コントローラCPU21は、接続ケーブル50を介して電動アクチュエータ40に電気的に接続されている。そして、コントローラCPU21は、コントローラ通信送受信部26で受信した教示情報に基づいて電動アクチュエータ40の動作を制御する。
【0018】
(教示装置30の構成)
教示装置30は、各電動アクチュエータ40の動作に関する教示内容の入力を各制御コントローラ20に対して無線通信にて行う。教示装置30は、教示装置CPU31を備えている。また、教示装置30は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、教示装置CPU31の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成される教示装置メモリ32を備えている。また、教示装置30は、教示装置タイマ33を備えている。
【0019】
教示装置30は、操作部30aを備えている。操作部30aは、例えば、タッチパネルである。そして、作業者によって操作部30aが操作されることにより、電動アクチュエータ40の動作に関する教示内容の入力が、制御コントローラ20に対して無線通信にて行われる。操作部30aは、教示装置CPU31に電気的に接続されている。操作部30aの操作情報は、教示装置CPU31に教示情報として送信される。
【0020】
教示装置30には、教示装置無線LAN回路34が内蔵されている。教示装置無線LAN回路34は、教示装置CPU31と電気的に接続されている。教示装置無線LAN回路34は、教示装置CPU31からの制御信号を受信する。教示装置無線LAN回路34は、教示装置応答受信部35と、教示装置通信送受信部36と、を有している。教示装置応答受信部35は、コントローラ応答送信部25から送信された応答情報を受信する。教示装置通信送受信部36は、コントローラ通信送受信部26と通信情報を送受信する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、教示装置30には、アクセスポイント37と、DHCPサーバ38と、が内蔵されている。アクセスポイント37は、制御コントローラ20と無線通信可能である。アクセスポイント37は、無線通信エリア39を形成する。無線通信エリア39は、電波により形成されるセルである。そして、アクセスポイント37は、無線通信エリア39内に存在する制御コントローラ20と無線通信を行う。無線通信エリア39内の電波は、アクセスポイント37に近いほど強く、アクセスポイント37から離れるほど弱くなる。
【0022】
アクセスポイント37には、各制御コントローラ20と同一のSSIDが予め設定されている。DHCPサーバ38は、アクセスポイント37のSSIDと一致するSSIDが設定されている制御コントローラ20に対して、当該制御コントローラ20がアクセスポイント37の無線通信エリア39内に存在するとIPアドレスを自動割り当てする。教示装置30は、無線通信エリア39内に存在する制御コントローラ20から送信される応答情報を受信すると、当該制御コントローラ20のIPアドレスに基づいたアクセスポイント37を介した制御コントローラ20との無線通信が可能となる。したがって、本実施形態の無線操作システム10では、アクセスポイント37を介して制御コントローラ20と教示装置30との間で無線通信を行う方式であるインフラストラクチャモードを採用している。
【0023】
DHCPサーバ38から各制御コントローラ20に自動割り当てされたIPアドレスは、各制御コントローラ20においてコントローラメモリ22に記憶される。DHCPサーバ38から各制御コントローラ20に自動割り当てされたIPアドレスは、各制御コントローラ20の電源が切断された時点でコントローラメモリ22から削除されるように予め設定されている。なお、DHCPサーバ38から各制御コントローラ20に自動割り当てされたIPアドレスは、一定期間経過後にコントローラメモリ22から削除されるように予め設定されていてもよい。
【0024】
教示装置メモリ32には、教示装置応答プログラムが予め記憶されている。教示装置応答プログラムでは、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信するべく予め設定された所定の間隔置きに待機する。したがって、教示装置30は、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信するべく予め設定された所定の間隔置きに待機する。ここで、予め設定された所定時間は、教示装置タイマ33によって計測される。予め設定された所定時間とは、例えば、100m秒である。
【0025】
教示装置応答プログラムでは、無線通信エリア39内に存在する制御コントローラ20から送信される応答情報を受信すると、当該制御コントローラ20のIPアドレスを無線通信対象として登録する。当該IPアドレスは、教示装置メモリ32に登録される。さらに、教示装置応答プログラムでは、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置した段階で、無線通信対象として教示装置メモリ32に登録されていたIPアドレスを一旦抹消する。したがって、教示装置30は、無線通信エリア39内に存在する制御コントローラ20から送信される応答情報を受信すると、当該制御コントローラ20のIPアドレスを無線通信対象として登録する。そして、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置した段階で、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消する。
【0026】
教示装置メモリ32には、教示装置応答受信部35が応答情報を受信すると、教示装置通信送受信部36からコントローラ通信送受信部26へ教示情報を送信するプログラムが予め記憶されている。したがって、教示装置30は、教示装置応答受信部35が応答情報を受信すると、教示装置通信送受信部36からコントローラ通信送受信部26へ教示情報を送信する。また、教示装置メモリ32には、コントローラ通信送受信部26から送信される肯定応答情報を教示装置通信送受信部36にて受信するべく常時待機するプログラムが予め記憶されている。
【0027】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
各制御コントローラ20には、SSIDが予め設定されており、アクセスポイント37にも各制御コントローラ20と同一のSSIDが予め設定されている。そして、アクセスポイント37のSSIDと一致するSSIDが設定されている制御コントローラ20が、アクセスポイント37の無線通信エリア39内に存在すると、DHCPサーバ38が制御コントローラ20に対してIPアドレスを自動割り当てする。
【0028】
図3に示すように、各コントローラCPU21は、初期化が行われた後、コントローラ応答送信部25及びコントローラ通信送受信部26の設定が完了すると、応答情報送信プログラムを実行する。コントローラCPU21は、まず、ステップS11において、予め設定された所定時間をコントローラタイマ23により計測する。次に、各コントローラCPU21は、コントローラタイマ23により予め設定された所定時間を計測した後、ステップS12において、コントローラ応答送信部25から教示装置30へ応答情報を送信する。その後、各コントローラCPU21は、ステップS11に移行し、ステップS11以降の処理を繰り返し行う。したがって、各制御コントローラ20は、予め設定された所定の間隔置きにコントローラ応答送信部25から教示装置30へ応答情報を送信する。
【0029】
図4に示すように、各コントローラCPU21は、応答情報送信プログラムの実行と同期して、教示装置通信送受信部36から送信される教示情報をコントローラ通信送受信部26にて受信するべく常時待機している。そして、各コントローラCPU21は、ステップS21において、教示装置通信送受信部36から送信される教示情報をコントローラ通信送受信部26にて受信したか否かを判定する。各コントローラCPU21は、ステップS21において、教示装置通信送受信部36から送信される教示情報をコントローラ通信送受信部26にて受信していないと判定した場合、ステップS21の処理を繰り返し行う。
【0030】
一方で、各コントローラCPU21は、ステップS21において、教示装置通信送受信部36から送信される教示情報をコントローラ通信送受信部26にて受信していると判定した場合、ステップS22に移行する。そして、各コントローラCPU21は、ステップS22において、コントローラ通信送受信部26に教示情報が正常に受信された旨の情報である肯定応答情報を教示装置30へ送信する。その後、各コントローラCPU21は、ステップS21に移行し、ステップS21以降の処理を繰り返し行う。
【0031】
教示装置CPU31は、初期化が行われた後、教示装置応答受信部35及び教示装置通信送受信部36の設定が完了すると、教示装置応答プログラムを実行する。なお、教示装置応答プログラムは、DHCPサーバ38によってIPアドレスが自動割り当てされた制御コントローラ20に対応して各々実行される。以下の説明では、1つの制御コントローラ20に対する教示装置応答プログラムについて説明する。
【0032】
図5に示すように、教示装置CPU31は、まず、ステップS31において、予め設定された所定時間を教示装置タイマ33により計測する。また、教示装置CPU31は、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信するべく待機している。そして、教示装置CPU31は、教示装置タイマ33により予め設定された所定時間を計測した後、ステップS32において、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信したか否かを判定する。
【0033】
教示装置CPU31は、ステップS32において、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信したと判定すると、ステップS33に移行する。そして、教示装置CPU31は、ステップS33において、教示装置応答受信部35が受信した応答情報が、予め設定された文字列であるか否かを判定する。教示装置CPU31は、ステップS33において、教示装置応答受信部35が受信した応答情報が、予め設定された文字列ではないと判定した場合、ステップS31に移行し、ステップS31以降の処理を繰り返し行う。
【0034】
一方で、教示装置CPU31は、ステップS33において、教示装置応答受信部35が受信した応答情報が、予め設定された文字列であると判定した場合、ステップS34に移行する。教示装置CPU31は、ステップS34において、応答情報を送信した制御コントローラ20のIPアドレスを無線通信対象として登録する。その後、教示装置CPU31は、ステップS31に移行し、ステップS31以降の処理を繰り返し行う。
【0035】
教示装置CPU31では、ステップS32において、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信したか否かの判定を所定時間経過するまで実行している。なお、ステップS32での所定時間の計測は、教示装置タイマ33により行われる。そして、教示装置CPU31は、ステップS32において、所定時間経過しても、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信していないと判定すると、ステップS35に移行する。ステップS32において、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信していない場合、その制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置していることを意味する。
【0036】
そして、教示装置CPU31は、ステップS35において、当該制御コントローラ20のIPアドレスが無線通信対象として教示装置メモリ32に登録されていた場合に、そのIPアドレスを一旦抹消する。したがって、教示装置CPU31は、ステップS35において、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置した段階で、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消する。その後、教示装置CPU31は、ステップS31に移行し、ステップS31以降の処理を繰り返し行う。
【0037】
図6に示すように、教示装置CPU31は、教示装置応答プログラムの実行と同期して、まず、ステップS41において、操作部30aの操作情報を教示情報として受信したか否かを判定する。なお、操作部30aの操作情報には、作業者が、複数の電動アクチュエータ40のうち、どの電動アクチュエータ40を教示対象として選択したかが把握可能な情報を含む。教示装置CPU31は、ステップS41において、教示情報を受信していないと判定した場合、ステップS41の処理を繰り返し行う。
【0038】
一方で、教示装置CPU31は、ステップS41において、教示情報を受信したと判定した場合、ステップS42に移行する。そして、教示装置CPU31は、作業者が教示対象として選択した電動アクチュエータ40を制御する制御コントローラ20のIPアドレスが無線通信対象として登録されているか否かをステップS42において判定する。ここで、例えば、教示装置CPU31が、作業者が教示対象として選択した電動アクチュエータ40を制御する制御コントローラ20のIPアドレスが無線通信対象として登録されていないとステップS42で判定したとする。この場合、教示装置CPU31は、ステップS41に移行し、ステップS41以降の処理を繰り返し行う。
【0039】
一方で、例えば、教示装置CPU31が、作業者が教示対象として選択した電動アクチュエータ40を制御する制御コントローラ20のIPアドレスが無線通信対象として登録されているとステップS42で判定したとする。この場合、教示装置CPU31は、ステップS43において、教示装置通信送受信部36からコントローラ通信送受信部26へ教示情報を送信する。
【0040】
教示装置CPU31は、コントローラ通信送受信部26から送信される肯定応答情報を教示装置通信送受信部36にて受信するべく常時待機している。そして、教示装置CPU31は、ステップS44において、コントローラ通信送受信部26から送信される肯定応答情報を教示装置通信送受信部36にて受信したか否かを判定する。教示装置CPU31は、ステップS44において、教示装置通信送受信部36にて肯定応答情報を受信していないと判定した場合、ステップS43に移行し、ステップS43以降の処理を繰り返し行う。
【0041】
一方で、教示装置CPU31は、ステップS44において、教示装置通信送受信部36にて肯定応答情報を受信したと判定した場合、ステップS41に移行し、ステップS41以降の処理を繰り返し行う。そして、制御コントローラ20において、コントローラ通信送受信部26で受信した教示情報に基づいた電動アクチュエータ40の動作の制御が行われる。
【0042】
(効果)
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)アクセスポイント37が教示装置30に内蔵されているため、アクセスポイント37が教示装置30と共に移動可能になっている。したがって、例えば、アクセスポイント37の位置が固定である場合のように、アクセスポイント37の無線通信エリア39内に制御コントローラ20を設置しないといけないといった制御コントローラ20の設置場所の制約が生じ得ない。また、教示装置30自体がアクセスポイント37の無線通信エリア39の中心に常に存在する。このため、例えば、アクセスポイント37の位置が固定である場合のように、アクセスポイント37の無線通信エリア39内で教示装置30を操作する必要があることが要因となる教示装置30の操作位置の制約が生じ得ない。その結果、例えば、作業者が、電動アクチュエータ40の動作を目視できる位置で教示装置30を操作することが容易となる。
【0043】
また、制御コントローラ20には、SSIDが予め設定されており、アクセスポイント37にも制御コントローラ20と同一のSSIDが予め設定されている。ここで、アクセスポイント37のSSIDと一致するSSIDが設定されている制御コントローラ20が、教示装置30に内蔵されているアクセスポイント37の無線通信エリア39内に存在しているとする。すると、DHCPサーバ38が制御コントローラ20に対してIPアドレスを自動割り当てする。したがって、制御コントローラ20にIPアドレスをそれぞれ手作業で設定する必要が無いため、作業効率の向上を図ることができる。
【0044】
そして、教示装置30は、無線通信エリア39内に存在する制御コントローラ20から送信される応答情報を受信すると、その制御コントローラ20のIPアドレスに基づいたアクセスポイント37を介した制御コントローラ20との無線通信が可能となる。これにより、教示装置30からの電動アクチュエータ40の動作に関する教示内容の入力が制御コントローラ20に対して無線通信にて行われる。したがって、アクセスポイント37を介して制御コントローラ20と教示装置30との間で無線通信を行う方式であるインフラストラクチャモードを採用できる。よって、アクセスポイント37を介さずに制御コントローラ20と教示装置30とが一対一で接続されて無線通信を行う方式であるアドホックモードを採用する必要が無い。その結果、制御コントローラ20の数が増えても、アドホックモードのように、通信帯域が狭くなって、制御コントローラ20と教示装置30との間での無線通信の応答性が低下してしまうといった問題が生じ得ない。
【0045】
以上により、電動アクチュエータ40の動作を目視できる位置で教示装置30を操作することが容易になるとともに、制御コントローラ20と教示装置30との間での無線通信の応答性が低下することもなく、作業効率の向上を図ることができる。
【0046】
(2)教示装置30は、無線通信エリア39内に存在する制御コントローラ20から送信される応答情報を受信すると、当該制御コントローラ20のIPアドレスを無線通信対象として登録する。そして、教示装置30は、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置した段階で、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消する。これによれば、教示装置30は、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置した段階で、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消するため、教示装置30の負荷を低減することができる。
【0047】
(3)制御コントローラ20は、予め設定された所定の間隔置きにコントローラ応答送信部25から教示装置30へ応答情報を送信する。教示装置30は、コントローラ応答送信部25から送信される応答情報を教示装置応答受信部35にて受信するべく予め設定された所定の間隔置きに待機する。さらに、教示装置30は、教示装置応答受信部35が応答情報を受信すると、教示装置通信送受信部36からコントローラ通信送受信部26へ教示情報を送信する。制御コントローラ20は、教示装置通信送受信部36から送信される教示情報をコントローラ通信送受信部26にて受信するべく常時待機している。これによれば、例えば、制御コントローラ20において、コントローラ応答送信部25とコントローラ通信送受信部26とが共通化されている場合のように、コントローラ応答送信部25が常に教示装置30へ応答情報を送信してしまうことが無い。したがって、制御コントローラ20において、コントローラ通信送受信部26の処理に負荷がかかってしまうことを回避することができる。また、例えば、教示装置30において、教示装置応答受信部35と教示装置通信送受信部36とが共通化されている場合のように、教示装置応答受信部35がコントローラ応答送信部25から送信される応答情報を受信しようと常時待機することが無い。したがって、教示装置30において、教示装置通信送受信部36の処理に負荷がかかってしまうことを回避することができる。
【0048】
(4)制御コントローラ20には、SSIDが予め設定されており、アクセスポイント37にも制御コントローラ20と同一のSSIDが予め設定されている。したがって、第三者のネットワークのSSIDを利用した場合に必要となる制御コントローラ20及びアクセスポイント37の暗号化キーの設定が不要になるため、セキュリティの堅牢性を向上させることができる。
【0049】
(変更例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・実施形態において、制御コントローラ20は、例えば、コントローラ応答送信部25とコントローラ通信送受信部26とが共通化されている構成であってもよい。
・実施形態において、教示装置30において、例えば、教示装置応答受信部35と教示装置通信送受信部36とが共通化されている構成であってもよい。
【0051】
・実施形態において、教示装置30は、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置しても、無線通信対象として登録されていたIPアドレスを一旦抹消しなくてもよい。要は、教示装置30は、無線通信エリア39内に存在していた制御コントローラ20が無線通信エリア39外に位置しても、当該制御コントローラ20のIPアドレスの登録を維持した状態にするようにしてもよい。
【0052】
・実施形態において、各制御コントローラ20に、コントローラ無線LAN回路24を内蔵したが、これに限らず、例えば、各制御コントローラ20に無線アダプタを接続するようにしてもよい。
【0053】
・実施形態において、無線操作システム10は、制御コントローラ20を1つだけ備えているものであってもよい。要は、制御コントローラ20の数、すなわち、電動アクチュエータ40の数は特に限定されるものではない。
【0054】
・実施形態において、自動機械としては、電動アクチュエータ40に限らず、その他の自動機械であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…無線操作システム、20…制御コントローラ、25…コントローラ応答送信部、26…コントローラ通信送受信部、30…教示装置、35…教示装置応答受信部、36…教示装置通信送受信部、37…アクセスポイント、38…DHCPサーバ、39…無線通信エリア、40…自動機械である電動アクチュエータ。