(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】過圧を防ぐための安全機能を備えたキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20240213BHJP
B65D 81/26 20060101ALI20240213BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D81/26 B
C09K3/10 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021094336
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エラスムス・フォーグル
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・タウプ
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0018494(KR,A)
【文献】実開昭62-125751(JP,U)
【文献】米国特許第02602559(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0033099(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
B65D 81/26
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(3)を閉鎖するためのねじ山(2)付きのキャップ(1)であって、
前記キャップ内で前記キャップの内壁(5)に取り付けられた少なくとも1つのメッシュ(4)であって、2mm~20mmのメッシュフィラメント間の隔離距離を有するメッシュ(4)と、
前記メッシュ(4)に取り付けられた少なくとも1つの発泡ポリマー層(6
)であって、前記発泡ポリマー層(6)は、前記発泡ポリマー層(6)に所定の圧力がかけられた場合に前記容器(3)から前記メッシュ(4)へ向かう方向において前記メッシュ(4)の開放領域の中へ移動することができ、前記発泡ポリマー層(6)は、前記発泡ポリマー層(6)から前記圧力が除去された場合に前記容器(3)が再度閉鎖されるように前記方向とは反対の方向に移動できる、発泡ポリマー層(6)と、
前記発泡ポリマー層(6)に取り付けられ、且つ容器アパーチャ(8)を閉鎖する少なくとも1つのさらなるポリマー層(7)と、
を含むキャップ(1)。
【請求項2】
前記メッシュ(4)内で、円形であるメッシュフィラメントの直径が0.2mm~5mmであることを特徴とする、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記発泡ポリマー層(6)が、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、低密度ポリプロピレン(LDPP)、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、または、ビニリデン(ジ)フルオリドに基づく他の発泡部分フッ素化若しくは過フッ素化炭化水素、またはこれらの発泡ポリマーのフッ素化発泡ポリマーの混合物の群から選択される少なくとも1種類のポリマーを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記発泡ポリマー層(6)の密度が45~450kg/m
3であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記ポリマー層(7)が、ポリテトラフルオロエチレンから構成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項6】
前記発泡ポリマー層(6)を前記ポリマー層(7)に接続するために接着剤が使用されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項7】
使用される前記接着剤が、シアノアクリレート、メチルメタクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリスルフィド、ビスマレイミド、及び1成分及び2成分の縮合架橋シリコーン、及びグルテングルー又はこれらの接着剤の混合物、に基づくことを特徴とする、請求項6に記載のキャップ。
【請求項8】
前記メッシュ(4)がポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)またはこれらのポリマーの混合物から構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項9】
前記容器アパーチャ(8)の縁(12)にシールがあり、前記シールはポリエチレンで構成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項10】
前記キャップ(1)がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)またはこれらのポリマーの混合物から構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のキャップを含む容器。
【請求項12】
前記容器が、液体ジメチルジカルボネートで少なくとも部分的に充填されていることを特徴とする、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
前記容器のアルミニウム含有量が、前記キャップを除く前記容器の合計重量に基づいて95重量%以上であることを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の容器。
【請求項14】
容器を閉鎖するための請求項1~10のいずれか一項に記載のキャップの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのメッシュ、1つの発泡ポリマー及び少なくとも1つのさらなるポリマーを含む容器を閉鎖するためのキャップに関し、及び本発明のキャップを備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例として化学物質の輸送及び保管のために使用されるタイプの閉鎖された、特に不透明であるが透明でもある容器の中間ユーザ又はエンドユーザは、容器内に過度の圧力が発生する可能性を回避したいと考えることが多い。物質が長期間保管されている場合、又は高温にさらされることによって保管が損なわれている可能性がある場合、特に過度の圧力が発生する可能性がある。
【0003】
安全性に関して決定的に重要な上記の例は、例えば、保管期間中又は輸送中に容器内に望ましくない変化が生じる可能性がある場合である。例として、ガス状物質の放出の可能性を伴う、分解しやすい数多くの化学物質又は物質混合物が存在する。別の既知の可能性は、物質又は物質混合物自体が、標準条件下でガス状の物質に解離することである。例えば輸送中の危険性を排除するために、容器は漏れ防止性でなければならないため、結果として生じるガスは逃げることができない。したがって、特定の状況では、蓄積されたガスが容器内の内圧を上昇させる可能性がある。制御されない未知の内圧は、多くの望ましくない影響をもたらす。
【0004】
例として、開封時に急激な減圧が生じる。この結果、容器内に存在する物質が液体である場合、液体が同時に解放され、意図せずに環境に放出され、人々やその周辺を汚染する可能性がある。
【0005】
別の可能性は、開封手順中に蓄積されたガスが意図せず自発的に膨張した結果、物体、例えばクロージャ自体が高度の加速度にさらされ、人に怪我をさせたり、周辺の物体に損傷を与えたりすることである。
【0006】
別の可能性は、発生した内圧の結果として、容器内に存在する液体がガスで高度に飽和することである。これは、一例として、開封中の減圧の結果として、物質の強力な放出を伴う突然の発泡につながる可能性がある。
【0007】
別の可能性は、開封手順を行わなくても、発生した内圧が容器及び各包装の機械的安定性に悪影響を及ぼすことである。容器は望ましくなく変形するか、又は実際に破裂する可能性がある。破裂中の破片の機械的加速は、さらなる怪我又は損傷を引き起こす可能性があり、例えば、ガラス製容器及び結果として生じるガラス断片の場合、これは非常に容易く、より高度で深刻なレベルの人身傷害につながる可能性がある。
【0008】
バーストディスクは、過剰な圧力を簡単且つ確実に回避するための従来技術で知られている最も単純な装置である。これらは、多種多様な実施形態で販売されており、例えば、Fike Deutschland(Innstrasse 28,68199 Mannheim)によって販売されている。残念なことに、圧力が上昇すると、ディスクが降伏して破損するため、容器の完全性が犠牲になる。したがって、有毒である恐れのある化学物質が放出される危険性がある。さらに、バーストディスクの製造は複雑である。さらに、既存の包装ソリューションへのバーストディスクの組み込みは、非常に複雑であることが多く、コスト上の理由から、スクリューキャップを備えた液体に使用されるボトル型の器の多くで商業的に利用できない。
【0009】
より大きな容器、例えばタンクの場合、従来技術は、容器の完全性を犠牲にすることなく安全に圧力を解放できる過圧弁を開示している。しかしながら、設計上の理由から、このような過圧弁は、より小さい器、例えば飲料業界で使用されるタイプの250、330、500、1000又は2000mlの容量のポリエチレンテレフタレート製の透明ボトル向けに知られていない。それというのも、これらは、ポリエチレン又はポリプロピレン製の単純なスクリューキャップでのみ閉鎖され、そしてこれらは過圧弁を含む設計に簡単に一体化できないからである。同様に、プラスチック製のスクリュークロージャを備えたアルミニウムボトル又はガラスボトル向けに知られている過圧弁を用いた単純なソリューションも存在しない。
【0010】
(特許文献1)は、表面が構造化され、例えばくぼみを有し得る、発泡ポリマー及び2つの不透過性プラスチック層で作られた通気ライナを開示している。次に、これらの積層されたプラスチック製の本体を打ち抜いてディスクを作製し、クロージャキャップに取り付ける。過剰な圧力が発生した場合、圧入構造を通過するキャビティが形成されることで解放が達成され、これらは圧力を散逸するために利用され、ねじ山によって圧力の均等化をもたらす。このタイプの通気は、比較的高い圧力を解放する場合にのみ適している。さらに、プラスチック層の製造は技術的に複雑なプロセスを必要とし、したがって非経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のことにより、プラスチック、ガラス又は金属で作られ且つ液体の漏れを防ぐようにスクリュークロージャによって閉鎖される既存のボトルの設計を変えることなく過圧が逃げることを可能にし得るクロージャシステムを見出すという目標が生まれた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、キャップ内でキャップの内壁に取り付けられた少なくとも1つのメッシュと、メッシュに取り付けられた少なくとも1つの発泡ポリマー層と、発泡ポリマー層に取り付けられ、且つ容器アパーチャを閉鎖する少なくとも1つのさらなるポリマー層とを含む、容器を閉鎖するためのねじ山付きのキャップを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】メッシュフィラメント(10)及び(11)を有するメッシュ(4)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
キャップは、ポリマー又は金属から構成されることが好ましい。キャップを構成し得る金属としては、ステンレス鋼及びアルミニウムが好ましくは使用される。キャップを構成し得るポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)またはこれらのポリマーの混合物が好ましくは使用される。特に好ましくは、キャップは、光学的に透明、不透明又は着色されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、またはこれらのポリマーの混合物から構成される。キャップがポリエチレンから構成されることがさらに好ましい。上述のタイプのキャップの製造は当業者に知られている。一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)製のキャップは市販されている。
【0016】
キャップ自体は、キャップ内でキャップの内壁に取り付けられた少なくとも1つのメッシュと、メッシュに取り付けられた少なくとも1つの発泡ポリマー層と、発泡ポリマー層に取り付けられ、且つ容器アパーチャを閉鎖する少なくとも1つのさらなるポリマー層を有する本発明のインサートなしに、商業的に入手可能なスクリュークロージャ付きのキャップ又はそれぞれ蓋である。「スクリュークロージャ付きのキャップ」及び「スクリュークロージャ付きの蓋」という表現は、本発明のプロセスのために同義的に使用される。
【0017】
キャップは、キャップを容器のアパーチャ上にねじ留めできるねじ山を有する。
【0018】
好ましくは、キャップはまた、安全リングによって改造することもできる。安全リングは、ボトルの最初の開封を示す働きをし、例えば国際公開第A-9213773号パンフレットから知られている。好ましくは、安全リングは、キャップを構成する材料から構成される。
【0019】
容器という用語は好ましくはボトルを指す。容器の容量は好ましくは250、330、500、1000、2000、6000、10,000ml又は40,000mlである。特に好ましくは、容器の容量は2000mlから40,000mlである。容器はポリマー、例えば好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン又はポリエチレン、または金属、例えば好ましくはアルミニウム及びステンレス鋼、又はガラスから構成されることができる。特に好ましくは、容器は、クロージャを除く容器の合計重量に基づいて、少なくとも95重量%のアルミニウム又はガラスから構成される。本発明は同様に本発明のキャップを含む容器を提供する。本発明のキャップを有する容器は、好ましくは、化学物質の輸送及び保管、特に好ましくは液体ジメチルジカルボネートの輸送及び保管に使用される。本発明のキャップによる圧力の散逸は、特に部分的にのみ充填された容器の場合に特に奏効することがさらに分かっている。
【0020】
したがって、本発明は、容器が部分的又は完全に液体ジメチルジカルボネートで充填された本発明のキャップを有する容器を同様に包含している。容器は好ましくは部分的に充填されている。
【0021】
メッシュは寸法的に安定的であり得る、又は弾性特性を有し得る。それは例えばまた発泡ポリマーから構成される。
【0022】
メッシュは好ましくはポリマー又は金属から構成される。メッシュを構成し得る金属としては、ステンレス鋼及びアルミニウムが好ましくは使用される。メッシュを構成し得るポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはこれらのポリマーの混合物が好ましくは使用される。特に好ましくは、メッシュはポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)またはこれらのポリマーの混合物から構成される。
【0023】
メッシュのメッシュフィラメントの形状は、長方形又は円形であり得、又はそれらは任意の他の形状を有し得る。メッシュのメッシュフィラメントの形状は好ましくは円形である。
【0024】
メッシュフィラメントは好ましくは互いに垂直に配置することができるが、他の角度を呈することもでき、好ましい例は55°~65°、85°~95°又は110°~130°である。特に好ましくは、メッシュフィラメントは互いに85°~95°の角度で配置される。
【0025】
実質的に長方形のメッシュフィラメントの場合、メッシュのメッシュフィラメントは好ましくは0.2mm~5mmの幅及び0.2mm~5mmの高さを有する。特に好ましくは、実質的に長方形のメッシュフィラメントの場合、メッシュのメッシュフィラメントは0.5mm~2mmの幅及び0.5mm~2mmの高さを有する。両方のメッシュフィラメントは5%の誤差の範囲内で、同じ幅及び高さを有すると好ましい。実質的に円形のメッシュフィラメントの場合、メッシュのメッシュフィラメントは好ましくは0.2mm~5mmの直径、特に好ましくは0.5mm~2mmの直径を有する。メッシュフィラメント間の隔離距離は好ましくは2mm~20mmである。メッシュフィラメントの直径対メッシュフィラメント間の間隔の比率は好ましくは1:7~1:12である。好ましくは、メッシュは2mmの直径及び10mmの隔離間隔を有する円形のメッシュフィラメントを有するポリエチレンメッシュであり、好ましくは互いに直角に配向される。
【0026】
メッシュは様々な方法で製造することができる。例として、ポリマーで作られたメッシュは、押出しプロセスによって製造することができる。さらにポリマーメッシュは、適切に成形されたロールを用いてロールプロセスによって製造することができる。さらにポリマーメッシュは、ミーリングプロセスによってプラスチック層から製造することができる。ウェブ又は接着プロセスが等しく適切である。ポリマーで作られたメッシュは、例として、HaGa-Welt GmbH&Co.KG(Lange Str.5,31171 Nordstemmen,Germany)から市販されている。金属で作られたメッシュは、例として、鋳造プロセス又はワイヤ腐食プロセスによって製造することができる。
【0027】
メッシュは円形の形状を有し、その結果、実質的に正確なフィット性で、キャップの内壁に適合できると好ましい。メッシュの直径は好ましくは2cm~10cmである。特に好ましくは、メッシュの直径は、6.6cm±0.2cmである。特に好ましくは、メッシュは10mm±0.5mmのメッシュ隔離距離で2mm±0.1mmの直径のメッシュフィラメントを有する。メッシュは境界エッジを有することができ、その結果、キャップの内壁に対して漏れ防止性の接続を形成する。好ましくは、この境界エッジはメッシュを構成するポリマーと同じポリマーから構成される。好ましくは、メッシュはそのような境界エッジを一切有さない。
【0028】
本発明の目的のために、「実質的」には、比較される2つの構成要素間のサイズ差が5%以内、好ましくは1%以内であることを意味する。
【0029】
発泡ポリマー層を構成できる適切な発泡ポリマーは、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、低密度ポリプロピレン(LDPP)、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、またはフッ素化発泡ポリマー、例えば好ましくはDIN ISO 1629に準拠するフッ素ゴム(FKM)及びASTM D1418に準拠するフッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はビニリデン(ジ)フルオリドに基づく他の発泡部分フッ素化若しくは過フッ素化炭化水素またはこれらの発泡ポリマーの混合物である。発泡ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン又はポリプロピレンを使用するのが好ましい。発泡ポリマーの製造は従来技術から知られており、したがって既知の方法を使用する。特に好ましくは、発泡ポリマー層は、発泡ポリエチレン又は発泡ポリプロピレンから構成される。
【0030】
発泡ポリマーの密度は好ましくは45~450kg/m3、特に好ましくは100kg/m3~250kg/m3である。
【0031】
好ましくは、発泡ポリマー層の形状は円形であり、その結果、メッシュに対して正確なフィット性で実質的に適合することができる。発泡ポリマー層の直径は好ましくは2cm~10cmである。特に好ましくは、発泡ポリマー層の直径は6.6cm±0.2cmである。発泡ポリマー層の厚さは好ましくは0.2mm~5mmである。特に好ましくは、発泡ポリマー層の厚さは3mm±0.15mmである。
【0032】
さらなるポリマー層は発泡ポリマー層に取り付けられる。このポリマー層は好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から構成される。しかしながら、他のポリマーを使用することも可能である。これらのポリマーは発泡ポリマー層を容器内容物から分離する特性、したがってシールとして作用する特性を有する必要がある。
【0033】
好ましくは、さらなるポリマー層の形状は円形であり、その結果、発泡ポリマー層に対して正確なフィット性で実質的に適合することができる。さらなるポリマー層の直径は好ましくは2cm~10cmである。特に好ましくは、さらなるポリマー層の直径は6.6cm±0.2cmである。このポリマー層の厚さは好ましくは0.01mm~4mmである。特に好ましくは、さらなるポリマー層の厚さは0.5mm±0.025mmである。このポリマー層は発泡ポリマー層の上に置くことによって発泡ポリマー層と接触させることができ、この際さらに固定されることはない。好ましくは、さらなるポリマー層は発泡ポリマー層に固定される。
【0034】
好ましくは、発泡ポリマー層をさらなるポリマー層に接続するために接着剤が使用される。
【0035】
使用される接着剤は、好ましくは、シアノアクリレート、メチルメタクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリスルフィド、ビスマレイミド、及び1成分及び2成分の縮合架橋シリコーンに基づく接着剤である。
【0036】
好ましくは、発泡ポリマー層及びさらなるポリマー層は複合体の形態で使用される。好ましくは、複合体は、接着剤の存在下に発泡ポリマー層とさらなるポリマー層を積層することにより作られる。特に好ましくは、シアノアクリレート接着剤が接着剤として使用される。
【0037】
複合体は好ましくはメッシュの上に置かれる。
【0038】
シール又はシールリングを容器アパーチャとポリマー層との間に配置することができる。シールは好ましくはポリエチレンから構成される。シールは好ましくは、実質的にさらなるポリマー層の直径と同じ直径を有する。シールは好ましくは、実質的にさらなるポリマー層の厚さと同じ厚さを有する。このシールは好ましくは同様に接着剤によってさらなるポリマー層に固定される。ポリマー層及び容器アパーチャに対する、特に容器の縁に対するシールの固定は、キャップにより容器アパーチャの閉鎖に作用する機械的な力を介して、すなわちシールの収縮を介して等しく達成することができる。好ましくは、シールは容器アパーチャとポリマー層との間に導入されない。好ましくは、ポリマー層は容器アパーチャのクロージャ層を形成する。ポリマー層は好ましくはシールとして働く。
【0039】
好ましくは、容器アパーチャに対する発泡ポリマー層、さらなるポリマー層及びメッシュの固定は、キャップによる容器の閉鎖を介して達成される。
【0040】
好ましくは、本発明のキャップによる容器の閉鎖は、最大締め付けトルクMにより達成され、ここで最大締め付けトルクMは以下に従う:好ましくは4Nm≦M≦8Nm、特に好ましくは5Nm≦M≦7Nm。
【0041】
本発明のキャップの使用により、1.2バール以上の圧力を散逸することができる。
【0042】
以下、本発明を図面を参照してより詳細に説明するが、本発明の一般概念を制限することはない。
【0043】
【0044】
図1は容器(3)を閉鎖するためのねじ山(2)を有する本発明のキャップ(1)をここで示し、キャップ(1)は、キャップ内でキャップの内壁(5)に取り付けられた少なくとも1つのメッシュ(4)と、メッシュ(4)に取り付けられた少なくとも1つの発泡ポリマー層(6)と、発泡ポリマー層(6)に取り付けられ且つ容器アパーチャ(8)を閉鎖する少なくとも1つのさらなるポリマー層(7)とを備える。
【0045】
容器(3)は好ましくは、メッシュ(4)、発泡ポリマー層(6)及びさらなるポリマー層(7)を有するキャップ(1)を容器(3)に押し付けることによって閉鎖される。
【0046】
図2は本発明のさらなる実施形態を示し、ここでは、容器アパーチャ(8)の縁(12)でアパーチャを追加的にシールするシール(9)が使用される。この実施形態では、ポリマー層(7)はシール(9)の上に置かれる。ポリマー層(7)及びシール(9)は互いに接続されることが好ましい。これは好ましくは接着によって達成される。
【0047】
圧力により、発泡ポリマー層(6)は、メッシュ(4)の開放領域へ移動することができる。さらなるポリマー層(7)は、発泡ポリマー層(6)の移動に追従し、したがって、ボトルアパーチャの縁(12)でいくつかの領域を解放し、容器アパーチャとキャップとの間の空隙(13)によって圧力の解放を許容する。
【0048】
図3はメッシュフィラメント(10)及び(11)を有するメッシュ(4)を示す。
【0049】
本発明は、極めて低いコストで、及びキャップの構造変化なしに、メッシュ及び互いに異なる2つのポリマー及びこれらポリマーの複合体の単なる挿入によって、過剰圧力の防止の組み込みを可能にする。キャップに構造的な対策を実装する必要はなく、したがってかなりのコスト及び資源が節約される。
【0050】
本設計は、包装の完全性を一切犠牲にすることなく、過剰圧力の確実な回避を提供することができる。
【実施例1】
【0051】
実施例1
ポリエチレンで作られた円形メッシュ(直径6.6cm、メッシュフィラメントの直径2mm、方形メッシュにおけるメッシュフィラメント間の隔離距離:10mm)と、発泡ポリエチレン(PE)(厚さ:3mm、密度:194kg/m3、直径:6.6cm)及び厚さ0.5mm(直径:6.6cm)のポリテトラフルオロエチレン層(PTFE)で作られた複合体とを、ねじ山付きの直径6.6cmの市販のポリエチレンクロージャキャップに挿入した。キャップはさらに、開封前の損傷の存在を示す安全リングを有していた。
【0052】
6リットルの容量の空のアルミニウム製ボトルを6.7Nmの締め付けトルクで上記キャップで閉鎖し、圧縮された空気を加えることによってボトル内の圧力を1.5バールまで徐々に増大した。ボトルに組み込まれたマノメータによってボトル内の圧力を測定した。1.5バールに達した時、圧力の解放が観察され、圧力によって発泡ポリマー層(6)はメッシュの開放領域の中へ移動することができた。ポリテトラフルオロエチレン層(7)は、発泡ポリマー層(6)の動きに追従し、したがって、ボトルアパーチャの縁(12)でいくつかの領域を解放し、これにより容器アパーチャとキャップとの間の空隙(13)によって圧力が解放される。15分以内に、圧力は1.5バールから1.2バールに減少した。
【0053】
圧力の適切な解放が達成されると、ポリマー層は再び密閉を提供する。
【0054】
実施例2
ポリエチレンで作られた円形メッシュ(直径6.6cm、メッシュフィラメントの直径2mm、方形メッシュにおけるメッシュフィラメント間の隔離距離:10mm)と、発泡ポリエチレン(PE)(厚さ:3mm、密度:194kg/m3、直径:6.6cm)及び厚さ0.5mm(直径:6.6cm)のポリテトラフルオロエチレン層(PTFE)で作られた複合体とを、ねじ山付きの直径6.6cmの市販のポリエチレンクロージャキャップに挿入した。キャップはさらに、開封前の損傷の存在を示す安全リングを有していた。
【0055】
6リットルの容量のアルミニウム製ボトルを6.7Nmの締め付けトルクで上記キャップで閉鎖した。ボトルは6kgのジメチルジカルボネート(Velcorin,Lanxesss Deutschland GmbH、バッチCHWV5547、純度>99.8%)を含有していた。充填及び閉鎖後、ボトルを室温で12か月保管した。次いでボトルを50℃で6か月保管した。次いでボトルを開封した。開封時、ボトルは損傷がなく、1.2バール以上の圧力の増加を検出することはできなかった。DMDCの純度はこの段階までにわずか90%だった。本発明のキャップにより、DMDCの部分的な分解の間に形成されたCO2は逃げることができた。
【0056】
実験を3kgのジメチルジカルボネートを含有する3リットルのガラスボトルで繰り返した。この場合においても、開封時に1.2バール以上の圧力の増加を観察することはできず、ボトルは損傷がないままだった。
【0057】
比較例1
6リットルの容量のアルミニウム製ボトルをねじ山付きの市販のキャップで6.7Nmのトルクで閉鎖した。圧縮された空気を使用して1.5バールの圧力を生成し、発生し得る圧力の低下を3日間にわたって観察した。ボトル内の圧力をボトルに一体化されたマノメータによって測定した。圧力の解放は測定されなかった。
【0058】
比較例2
実施例1の発泡ポリエチレン(PE)(6)及びポリテトラフルオロエチレン層(PTFE)(7)を含む複合体が挿入されるが追加メッシュ(4)を含まないキャップを使用して、3リットルのジメチルジカルボネート及び1リットルの水を含有する30リットルのガラスボトルを6.7Nmのトルクで閉鎖した。圧力増大の24時間後、ガラスは10バールの圧力で砕け散った。
【符号の説明】
【0059】
1 キャップ
2 ねじ山
3 容器
4 メッシュ
5 内壁
6 発泡ポリマー層
7 さらなるポリマー層
8 容器アパーチャ
9 シール
10 メッシュフィラメント
11 メッシュフィラメント
12 縁
13 空隙