(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】充放電管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0226 20230101AFI20240213BHJP
【FI】
G06Q30/0226
(21)【出願番号】P 2021112829
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2022-08-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】最相 美穂
(72)【発明者】
【氏名】谷口 喜代太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由紀
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 克史
(72)【発明者】
【氏名】神足 昌人
(72)【発明者】
【氏名】巽 宏之
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115087(JP,A)
【文献】特開2014-137751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電スポット毎に、前記充放電スポットに紐づいたインセンティブを設定する設定部と、
前記充放電スポット毎に設定された前記インセンティブを、電動車両を使用するユーザに提示する提示部と、
予め設定された複数の前記充放電スポットのそれぞれを巡回充放電スポットとしたとき、複数の前記巡回充放電スポットで充放電したときに付与される巡回インセンティブを設定する巡回設定部と、
複数の前記巡回充放電スポットのうち、ユーザが電動車両に対して充放電していない前記巡回充放電スポット、および、前記巡回インセンティブを、前記電動車両を使用するユーザに提示する巡回提示部と、
を備え、
前記インセンティブは、前記充放電スポットに設置された充放電装置を使用した際にユーザに付与されるインセンティブである、充放電管理システム。
【請求項2】
前記充放電スポットに設置された充放電装置に前記電動車両を接続して、充放電を開始したときの、接続先の前記充放電スポットの情報である接続スポット情報を取得する取得部と、
前記電動車両の充放電完了時に、前記取得部によって取得された前記接続スポット情報に含まれる前記充放電スポットに設定されたインセンティブを付与する付与部と、
を備えた、請求項1に記載された充放電管理システム。
【請求項3】
前記充放電スポットの管理者が入力した入力インセンティブを取得するインセンティブ取得部を備え、
前記設定部は、前記インセンティブ取得部によって取得された前記入力インセンティブを前記充放電スポットの前記インセンティブに設定する、請求項1または2に記載された充放電管理システム。
【請求項4】
前記電動車両に関する所定の場所から前記充放電スポットまでの距離に応じた距離インセンティブを設定する距離設定部と、
前記距離インセンティブを、前記電動車両を使用するユーザに提示する距離提示部と、
を備えた、請求項1から
3までの何れか1つに記載された充放電管理システム。
【請求項5】
前記距離インセンティブは、前記所定の場所から前記充放電スポットまでの距離が長い程、高く設定されている、請求項
4に記載された充放電管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電管理システムに関する。詳しくは、電動車両に対する充放電を管理する充放電管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電気自動車用の充電ステーションにおいて、電気自動車を充電ステーションへ勧誘する自動車勧誘装置が開示されている。この自動車勧誘装置では、電力需要バランスを判定し、電気自動車を充電ステーションに勧誘する要求の大きさを判定する。当該要求の大きさが大きいほど、勧誘に応じたときに得られるインセンティブを大きくする。このことで、電力需要バランスをとり易くすることができる。
【0003】
例えば特許文献2には、特定のエリアにおける電力余剰または電力不足を緩和させるための電力マネジメントシステムが開示されている。この電力マネジメントシステムでは、電力余剰または電力不足が発生したエリアで、電気自動車の充放電を実行したときに得られるインセンティブ条件をユーザに通知する。インセンティブ条件に応じた充放電を行ったユーザに対してインセンティブを付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-41324号公報
【文献】特開2015-32286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された自動車勧誘装置、および、特許文献2に開示された電力マネジメントシステムでは、全体の電力需要バランスをとるためにインセンティブを設定して電動車両を勧誘しているが、特定の充電ステーションなどの充放電スポットに電動車両を勧誘するものではない。充放電スポットの管理者には、自身の充放電スポットをより多くのユーザに使用して欲しいという要望が潜在的に存在していると推察される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで提案される充放電管理システムは、充放電スポット毎に、充放電スポットに紐づいたインセンティブを設定する設定部と、充放電スポット毎に設定されたインセンティブを、電動車両を使用するユーザに提示する提示部と、を備えている。
【0007】
ここで提案される充放電管理システムによれば、充放電スポット毎に、充放電スポットに紐づいたインセンティブが設定されている。ユーザは、電動車両を充放電する際、インセンティブの内容を考慮して、充放電スポットを選択することができる。よって、インセンティブの内容に応じて、充放電スポットの使用を促進することができる。
【0008】
ここで提案される充放電管理システムは、取得部と、付与部とを備えていてもよい。取得部は、充放電スポットに設置された充放電装置に電動車両を接続して、充放電を開始したときの、接続先の充放電スポットの情報である接続スポット情報を取得してもよい。付与部は、電動車両の充放電完了時に、取得部によって取得された接続スポット情報に含まれる充放電スポットに設定されたインセンティブを付与してもよい。
【0009】
ここで提案される充放電管理システムは、充放電スポットの管理者が入力した入力インセンティブを取得するインセンティブ取得部を備えていてもよい。設定部は、インセンティブ取得部によって取得された入力インセンティブを充放電スポットのインセンティブに設定してもよい。
【0010】
ここで提案される充放電管理システムは、巡回設定部と、巡回提示部とを備えていてもよい。巡回設定部は、予め設定された複数の充放電スポットのそれぞれを巡回充放電スポットとしたとき、複数の巡回充放電スポットで充放電したときに付与される巡回インセンティブを設定してもよい。巡回提示部は、複数の巡回充放電スポットのうち、ユーザが電動車両に対して充放電していない巡回充放電スポット、および、巡回インセンティブを、電動車両を使用するユーザに提示してもよい。
【0011】
ここで提案される充放電管理システムは、距離設定部と、距離提示部とを備えていてもよい。距離設定部は、電動車両に関する所定の場所から充放電スポットまでの距離に応じた距離インセンティブを設定してもよい。距離提示部は、距離インセンティブを、電動車両を使用するユーザに提示してもよい。距離インセンティブは、上記所定の場所から充放電スポットまでの距離が長い程、高く設定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る充放電管理システムと、電動車両、ユーザの端末、充放電装置および管理者の端末との関係を示した概念図である。
【
図2】実施形態に係る充放電管理システム、ユーザの端末、充放電装置、管理者の端末を示すブロック図である。
【
図3】充放電スポット毎のインセンティブを設定する手順を示したフローチャートである。
【
図4】充放電スポット毎のインセンティブを付与する手順を示したフローチャートである。
【
図5】巡回インセンティブを付与する手順を示したフローチャートである。
【
図6】距離インセンティブを付与する手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ここで開示される充放電管理システムの一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略されるものとする。
【0014】
図1は、本実施形態に係る充放電管理システム50の接続関係を示す概念図である。本実施形態に係る充放電管理システム50は、電動車両10に対する充電または放電(ここでは、充放電という。)を管理するシステムである。図示は省略するが、この充放電管理システム50は、電力が貯蓄される蓄電装置を備えている。充放電管理システム50は、蓄電装置に貯蓄された電力で電動車両10に充電すること、および、電動車両10から放電された電力を蓄電装置に貯蓄することを管理する。蓄電装置に貯蓄された電力は、電力会社などの特定の業者に売られる。充放電管理システム50は、電力を売買する、すなわち売電および買電する際に使用されるシステムであり得る。
【0015】
ここでは、充放電管理システム50を管理する者を、システム管理者という。システム管理者は、アグリゲーターとも呼ばれる。システム管理者は、電力の需要と供給とのバランスを保つように電力の需要量を制御する。例えばシステム管理者は、電力会社などの特定の業者の要求に応じて、電力を調達し、特定の業者に電力を供給する。そのため、システム管理者は、必要な電力量を確保するために、充放電管理システム50を用いて、電動車両10のユーザと、充放電装置22を管理する管理者と、より多く契約することが好ましい。例えば充放電管理システム50には、電動車両10を使用する、または、所有するユーザが1つまたは複数登録され、かつ、電動車両10に充放電を行う充放電装置22を管理する管理者が1つまたは複数登録されている。なお、充放電管理システム50には、電動車両10自体、充放電装置22自体が登録されていてもよい。充放電管理システム50は、充放電装置22から電動車両10へ電力を供給(ここでは充電)したり、電動車両10から充放電装置22へ電力を供給(ここでは放電)したりすることで、電力をマネジメントする。
【0016】
本実施形態において、電動車両10には、電動自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの電力をエネルギー源とした車が含まれる。電動車両10は、四輪車であってもよいし、二輪車であってもよい。ここで、1つまたは複数の充放電装置22は、充放電スポット20に設置されている。1つの充放電スポット20に設置される充放電装置22の数は、特に限定されない。1つの充放電スポット20は、所定の管理者によって管理されている。すなわち、1つの充放電スポット20に設置されている1つまたは複数の充放電装置22は、同一の管理者によって管理されている。充放電スポット20とは、充放電装置22が設置された駐車場のことであり得る。駐車場には、商品を販売する店舗の駐車場、美容院などのサービスを提供する店舗の駐車場、商業施設の駐車場、住宅の駐車場などが含まれる。
【0017】
充放電スポット20の管理者は、充放電スポット20と併用する店舗や商業施設を運営する者であり得る。充電スポット20の管理者は、充放電スポット20を使用するユーザに店舗や商業施設へ訪れてもらうために、充放電装置22を設置していると推察される。電動車両10のユーザは、充放電スポット20で電動車両10に対して放電することで、例えば放電した電力量に応じてお金を得ることができる。そのため、ユーザは、電動車両10の電力に余裕があれば、電動車両10に対して放電したいと推察される。よって、店舗や商業施設に充放電装置22を設置することで、放電したい電動車両10のユーザに、店舗や商業施設に訪れる動機付けを与えることができる。
【0018】
ところで、充放電装置22を設置するには設置コストを要する。店舗や商業施設へ訪れる機会を増やして売り上げを多くすることで、当該設置コストを回収することができる。そのため、充放電スポット20の管理者は、充放電スポット20の使用頻度を高めて、店舗や商業施設へ訪れる頻度を高めたいものである。
【0019】
そこで、本実施形態では、充放電スポット20毎に、充放電スポット20に紐づいたインセンティブを設定し、充放電スポット20に設置された充放電装置22を使用したユーザに対して、インセンティブを付与する。このことで、管理者の管理対象の充放電スポット20の使用を促進することができる。インセンティブを付与されたいユーザを獲得することでき、その結果、充放電スポット20の使用頻度を高めて、店舗や商業施設へ訪れる頻度を高めることができる。
【0020】
本実施形態では、充放電管理システム50は、例えばクライアントサーバシステムのサーバによって実現される。ただし、充放電管理システム50は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよい。
図1に示すように、充放電管理システム50は、電動車両10を使用するユーザの端末15と、充放電スポット20の管理者の端末25と、充放電スポット20に設置された充放電装置22とに、通信可能に接続されている。
【0021】
図2は、充放電管理システム50などを示すブロック図である。
図2に示すように、充放電管理システム50は、制御装置55を備えている。制御装置55の構成は特に限定されない。ここでは、制御装置55は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置55は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。充放電管理システム50は、単一のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータが協働で実現されるものであってもよい。
【0022】
本実施形態では、充放電管理システム50の制御装置55は、記憶部60と、第1通信部61と、第2通信部62と、第3通信部63と、インセンティブ取得部71と、設定部73と、提示部75と、取得部77と、付与部79とを備えている。制御装置55は、更に巡回設定部81と、巡回提示部83と、巡回取得部85と、巡回登録部87と、巡回付与部89と、距離設定部91と、距離提示部93と、距離取得部95と、距離付与部97とを備えている。充放電管理システム50における制御装置55の各部60~97は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0023】
第1通信部61は、電動車両10を使用するユーザの端末15と通信可能に構成されている。ここで、ユーザの端末15は、例えば電動車両10に搭載されたカーナビゲーションシステムであってもよいし、ユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末、デスクトップ型やラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。ユーザの端末15は、画面16と、タッチパネル、キーボードまたはマウスなどのユーザが操作して入力する入力手段17と、端末制御装置18とを備えている。端末制御装置18は、画面16および入力手段17と通信可能に接続されている。ここでは、端末制御装置18が、第1通信部61と通信可能に接続されている。
【0024】
第2通信部62は、充放電スポット20の管理者の端末25と通信可能に構成されている。ここで、管理者の端末25は、例えば管理者が使用するスマートフォン、タブレット端末、デスクトップ型やラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。管理者の端末25は、画面26と、タッチパネル、キーボードまたはマウスなどの管理者が操作して入力する入力手段27と、端末制御装置28とを備えている。端末制御装置28は、画面26および入力手段27と通信可能に接続されている。ここでは、端末制御装置28が、第2通信部62と通信可能に接続されている。
【0025】
第3通信部63は、充放電スポット20に設置された充放電装置22と通信可能に構成されている。
【0026】
設定部73は、充放電スポット20毎に、充放電スポット20に紐づいたインセンティブを設定する。ここで、「充放電スポット20に紐づいたインセンティブ」とは、充放電スポット20を特定する情報(例えば固有のIDや名称)に紐づいたインセンティブのことである。以下、充放電スポット20に紐づいたインセンティブのことを、充放電スポット20毎のインセンティブともいう。インセンティブとは、ユーザに与えられるものであり、ユーザが優遇されるものをいう。インセンティブの具体的な種類は、特に限定されない。例えばインセンティブは、ポイント、クーポン、優待券、商品の取得、電気料金の割引などであってもよい。ここで、ポイントとは、電動車両10に充電する際の支払いに使用できるポイントであってもよい。例えば充放電スポット20は、上述のように、美容室などのサービスを受ける店舗の駐車場や、商品を購入する店舗の駐車場であり得る。ポイントは、充放電スポット20の店舗に支払う際に使用できるポイントであってもよい。ポイントは、特産品などの商品と引き換えできるポイントであってもよい。クーポンとは、電動車両10に充電する際の割引クーポンであってもよいし、電動車両10から放電する際に得られる料金を割り増しできるクーポンであってもよい。またクーポンは、充放電スポット20の店舗に支払う料金を割り引きできるクーポンであってもよい。クーポンは、紙のクーポンであってもよいし、電子クーポンであってもよい。優待券とは、例えば充放電スポット20の店舗がサービスを提供する場合、サービスの優先予約や、順番待ちを飛ばせるなどの優遇がなされる券のことである。
【0027】
本実施形態では、設定部73で設定される充放電スポット20に紐づいたインセンティブは、充放電スポット20の管理者が自ら決定することが可能である。ただし、充放電スポット20毎のインセンティブは、充放電管理システム50のシステム管理者によって付与されるものであってもよいし、例えば人工知能を用いて自動的に設定されるものであってもよい。充放電スポット20毎のインセンティブには、付与されることが可能な期間が設定されてもよいし、充放電スポット20を使用した回数に応じたインセンティブであってもよい。
【0028】
次に、充放電スポット20の管理者が充放電スポット20のインセンティブを設定する手順について
図3のフローチャートに沿って説明する。まず
図3のステップS11では、
図2のインセンティブ取得部71は、充放電スポット20の管理者が入力した入力インセンティブを取得する。ステップS12では、
図3の設定部73は、インセンティブ取得部71によって取得された入力インセンティブを、管理者が管理する充放電スポット20のインセンティブに設定する。
【0029】
本実施形態では、設定部73によって設定された充放電スポット20のインセンティブは、スポットデータベースDB1(
図2参照)で管理される。このスポットデータベースDB1は、記憶部60に予め記憶されている。スポットデータベースDB1には、充放電スポット20と、設定部73によって設定されたインセンティブとが関連付けられている。
図3のステップS12において、設定部73が充放電スポット20のインセンティブを設定したとき、このスポットデータベースDB1に、インセンティブが登録される。
【0030】
なお、
図3のステップS11において、インセンティブ取得部71が取得する入力インセンティブを管理者が入力する手段は特に限定されない。
図2に示すように、例えば管理者の端末25には、画面26と、タッチパネル、キーボードまたはマウスなどの入力手段27が設けられている。画面26には、例えば入力インセンティブ入力画面(図示せず)が表示される。管理者は、入力手段27を操作して、上記入力インセンティブ入力画面に、管理者が設定したい入力インセンティブを入力する。入力インセンティブが決定されると、管理者の端末25の端末制御装置28から第2通信部62を介して、充放電管理システム50の制御装置55に、入力インセンティブが送信される。そして、インセンティブ取得部71は、制御装置55に送信された入力インセンティブを取得する。
【0031】
本実施形態では、電動車両10のユーザは、電動車両10に対して充放電をする際、充放電スポット20毎のインセンティブを考慮して、充放電先を決定することができる。ここでは、
図2に示す充放電管理システム50の提示部75は、充放電スポット20毎に設定されたインセンティブを、電動車両10を使用するユーザに提示する。なお、充放電スポット20毎に設定されたインセンティブをユーザに提示する具体的な手段は、特に限定されない。例えばユーザの端末15の画面16(
図2参照)に、充放電スポット20と、充放電スポット20のインセンティブとを関連付けたインセンティブ表(図示せず)を表示してもよい。このとき、ユーザの現在地から充放電スポット20までの距離なども上記インセンティブ表に含まれてもよい。上記インセンティブ表は、並び替えの機能を有していてもよい。例えば上記インセンティブ表は、充放電スポット20までの距離や、インセンティブの種類に応じて並び替える機能を有する。また、充放電先の充放電スポット20をユーザが決定したとき、決定した充放電先の充放電スポット20までの道順を示してもよいし、当該充放電スポット20までの道順を案内する機能を有していてもよい。
【0032】
次に、ユーザに対してインセンティブが付与される手順について、
図4に示すフローチャートに沿って説明する。ここでは、例えばユーザの電動車両10に対して充放電されたとき、電動車両10に対して充放電を行った充放電装置22が設置された充放電スポット20に設定されたインセンティブがユーザに付与される。ここでは、まずユーザは、電動車両10を使用して充放電スポット20まで行く。そして、ユーザは、充放電スポット20に設置された充放電装置22に、電動車両10を接続して充放電を開始する。このとき、
図4のステップS21では、
図2の取得部77は、充放電スポット20に設置された充放電装置22に電動車両10を接続したときの、接続先の充放電スポット20に関する情報(以下、接続スポット情報という。)を取得する。接続スポット情報には、少なくとも充放電スポット20を特定する情報、例えば充放電スポット20に対する固有IDや、充放電スポット20の名称などが含まれている。ここでは、充放電が開始されたときに、充放電装置22から接続スポット情報が、第3通信部63を介して充放電管理システム50の制御装置55に送信される。取得部77は、制御装置55に送信された接続スポット情報を取得する。
【0033】
本実施形態では、電動車両10の充放電が完了したときに、
図4のステップS22では、ユーザに充放電スポット20のインセンティブが付与される。ここでは、
図2の付与部79は、電動車両10の充放電完了時に、取得部77によって取得された接続スポット情報に含まれる充放電スポット20に設定されたインセンティブを付与する。ここで、電動車両10の充放電完了時とは、例えば電動車両10が充放電装置22から取り外されたときであってもよいし、電動車両10と充放電装置22との接続が解除されたときであってもよいし、充放電が完了し、料金の支払いや、料金の受け取りが完了したタイミングであってもよい。
【0034】
ここで、付与部79などが「インセンティブを付与する」とは、例えば記憶部60に記憶されたスポットデータベースDB1において、ユーザとインセンティブが関連付けられて、ユーザに対してインセンティブが登録されることをいう。ただし、例えばインセンティブが電子的にやり取りできるもの、例えば電子クーポンなどであった場合、電子クーポンをユーザの端末15に送信することを、インセンティブを付与するとしてもよい。
【0035】
以上、本実施形態では、
図2に示すように、充放電管理システム50は、充放電スポット20毎に、充放電スポット20に紐づいたインセンティブを設定する設定部73と、充放電スポット20毎に設定されたインセンティブを、電動車両10を使用するユーザに提示する提示部75とを備えている。このことによって、充放電スポット20毎にインセンティブを設定することで、ユーザは、電動車両10を充放電する際、インセンティブの内容を考慮して、充放電スポット20を選択することができる。よって、インセンティブの内容に応じて、充放電スポット20の使用を促進することができる。
【0036】
本実施形態では、充放電管理システム50は、取得部77と、付与部79とを備えている。取得部77は、充放電スポット20に設置された充放電装置22に電動車両10を接続して、充放電を開始したときの、接続先の充放電スポット20の情報である接続スポット情報を取得する。付与部79は、電動車両10の充放電完了時に、取得部77によって取得された接続スポット情報に含まれる充放電スポット20に設定されたインセンティブを付与する。このことによって、充放電装置22による充放電が完了したタイミングで、ユーザにインセンティブを付与することができる。
【0037】
本実施形態では、充放電管理システム50は、充放電スポット20の管理者が入力した入力インセンティブを取得するインセンティブ取得部71を備えている。設定部73は、インセンティブ取得部71によって取得された入力インセンティブを充放電スポット20のインセンティブに設定する。このことによって、充放電スポット20の管理者の希望に応じたインセンティブを、管理対象の充放電スポット20に対して設定することができる。例えばユーザにとって魅力的なインセンティブを管理者が自ら設定することで、管理対象の充放電スポット20の使用を促進することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、充放電スポット20毎のインセンティブ以外のインセンティブを設定することが可能である。例えば充放電管理システム50は、巡回インセンティブを設定することが可能である。この巡回インセンティブとは、予め定められた複数の充放電スポット20(以下、巡回充放電スポット20A(
図1参照)という。)で充放電したときに付与されるインセンティブのことである。巡回インセンティブとは、いわゆるスタンプラリーの要素を取り入れたものであり、複数の巡回充放電スポット20Aで電動車両10を充放電したときに付与されるインセンティブである。なお、
図1の例では、全ての充放電スポット20が、巡回充放電スポット20Aでもあるとしているが、複数の充放電スポット20のうちの一部の充放電スポット20を、巡回充放電スポット20Aとしてもよい。
【0039】
ここでは、
図2に示す充放電管理システム50の巡回設定部81は、複数の巡回充放電スポット20Aで充放電したときに付与される巡回インセンティブを設定する。ここで、複数の巡回充放電スポット20Aは、例えば各充放電スポット20の使用頻度に応じて、充放電管理システム50のシステム管理者が設定するものであってもよい。巡回インセンティブは、システム管理者によって設定されてもよいし、人工知能などによって自動で設定されるものであってもよい。
【0040】
例えば複数の巡回充放電スポット20Aに設定された充放電スポット20は、同一の管理者によって管理されているスポットであってもよい。この場合、巡回インセンティブは、充放電スポット20毎のインセンティブと同様に、管理者の端末25を使用して、管理者が自ら設定されるものであってもよい。
【0041】
本実施形態では、巡回設定部81によって設定された巡回インセンティブは、巡回データベースDB2(
図2参照)で管理される。この巡回データベースDB2は、記憶部60に予め記憶されている。巡回設定部81が巡回インセンティブを設定したとき、この巡回データベースDB2に、巡回インセンティブが登録される。
【0042】
図2に示す充放電管理システム50の巡回提示部83は、複数の巡回充放電スポット20Aのうち、ユーザが電動車両10に対して充放電したことがない巡回充放電スポット20A(以下、非巡回充放電スポットという。)、および、巡回インセンティブを、電動車両10を使用するユーザに提示する。この非巡回充放電スポット、および、巡回インセンティブをユーザに提示する具体的な手段は、特に限定されず、充放電スポット20毎のインセンティブと同様に、ユーザの端末15の画面16(
図2参照)に、非巡回充放電スポットの一覧表と、巡回インセンティブを表示してもよい。
【0043】
次に、巡回インセンティブを付与する手順について
図5に示すフローチャートに沿って説明する。まずステップS31では、
図2の巡回取得部85は、巡回充放電スポット20Aに設置された充放電装置22に電動車両10を接続して、充放電を開始したときの巡回充放電スポット20Aに関する情報である巡回スポット情報を取得する。次に、ステップS32では、巡回登録部87は、電動車両10の充放電完了時に、巡回取得部85によって取得された巡回スポット情報に含まれる巡回充放電スポット20Aを巡回データベースDB2に登録する。
【0044】
次に、ステップS33では、ユーザが複数の巡回充放電スポット20Aを充放電で使用したか否かを判定する。ここで、ユーザが使用していない巡回充放電スポット20Aがある場合には、ステップS33における判定をNOとする。この場合、巡回インセンティブは付与されない。
【0045】
一方、ユーザが使用していない巡回充放電スポット20Aがない場合には、ステップS33における判定をYESとして、次にステップS34に進む。ステップS34では、巡回付与部89は、記憶部60に記憶された巡回データベースDB2において、複数の巡回充放電スポット20Aをユーザが使用したときに、巡回インセンティブをユーザに付与する。ここでは、例えば巡回データベースDB2に、巡回インセンティブが付与されたことが登録されることで、巡回インセンティブをユーザに付与したことになる。
【0046】
このように、本実施形態では、複数の巡回充放電スポット20Aで電動車両10を充放電することで、巡回インセンティブが付与されることができる。よって、使用を促進したい充放電スポット20が複数存在する場合、使用を促進したい複数の充放電スポット20を巡回充放電スポット20Aに設定し、巡回充放電スポット20Aに対して巡回インセンティブを付与する。このことによって、複数の巡回充放電スポット20Aの使用を促進することができる。
【0047】
例えば電動車両10に対して充放電する際、出来るだけ距離が短い充放電スポット20を使用したいものである。そのため、距離が長い充放電スポット20は、使用され難い傾向にある。そこで、距離が長い充放電スポット20の使用を促進するために、充放電管理システム50は、距離インセンティブを設定することが可能である。ここで、距離インセンティブが設定される充放電スポット20のことを、距離充放電スポット20B(
図1参照)という。なお、
図1の例では、全ての充放電スポット20が、距離充放電スポット20Bでもあるとしているが、複数の充放電スポット20のうちの一部の充放電スポット20を、距離充放電スポット20Bとしてもよい。
【0048】
距離インセンティブは、電動車両10に関する所定の場所から、距離充放電スポット20Bまでの距離に応じて設定されるインセンティブである。ここで、電動車両10に関する所定の場所とは、例えば電動車両10の車庫証明に登録された場所であってもよいし、ユーザの住所や居所であってもよい。また電動車両10に関する所定の場所とは、電動車両10がいる現在の場所であってもよい。
【0049】
本実施形態では、
図2に示す充放電管理システム50の距離設定部91は、電動車両10に関する所定の場所から距離充放電スポット20Bまでの距離に応じた距離インセンティブを設定する。距離インセンティブは、充放電管理システム50のシステム管理者が設定するものであってもよいし、人工知能などによって自動で設定されるものであってもよい。また、距離インセンティブは、充放電スポット20毎のインセンティブと同様に、距離充放電スポット20Bの管理者の端末25を使用して、管理者が自ら設定されるものであってもよい。
【0050】
本実施形態では、距離インセンティブは、電動車両10に関する所定の場所から距離充放電スポット20Bまでの距離が長い程、高く設定される。言い換えると、距離インセンティブは、上記所定の場所から距離充放電スポット20Bまでの距離が短い程、低く設定される。ここで、距離インセンティブが高いとは、よりお得感が増しているインセンティブのことをいう。例えば、距離インセンティブがポイントの場合、より多くのポイントが付与される場合、距離インセンティブが高いという。
【0051】
本実施形態では、距離設定部91によって設定された距離インセンティブは、距離データベースDB3(
図2参照)で管理される。この距離データベースDB3は、記憶部60に予め記憶されている。距離設定部91が距離インセンティブを設定したとき、この距離データベースDB3に、距離インセンティブが、距離充放電スポット20Bと関連付けられて登録される。
【0052】
図2に示す充放電管理システム50の距離提示部93は、電動車両10を使用するユーザに、距離充放電スポット20B毎の距離インセンティブを提示する。この距離インセンティブをユーザに提示する具体的な手段は特に限定されず、充放電スポット20毎のインセンティブと同様に、ユーザの端末15の画面16に、距離充放電スポット20Bと、距離インセンティブとを関連付けた表(図示せず)を表示してもよい。
【0053】
例えばユーザの電動車両10が、距離充放電スポット20Bで充放電したとき、距離充放電スポット20Bに設定された距離インセンティブがユーザに付与される。次に、距離インセンティブを付与する手順について
図6に示すフローチャートに沿って説明する。まずステップS41では、
図2の距離取得部95は、距離充放電スポット20Bに設置された充放電装置22に電動車両10を接続したときの距離充放電スポット20Bに関する情報である距離スポット情報を取得する。
【0054】
距離充放電スポット20Bにて充放電が完了したとき、ユーザに距離インセンティブが付与される。ステップS42では、
図2の距離付与部97は、距離充放電スポット20Bにおいて、電動車両10の充放電完了時に、距離取得部95によって取得された距離スポット情報に含まれる距離充放電スポット20Bに設定された距離インセンティブを付与する。ここで、距離インセンティブを付与するとは、例えば記憶部60に記憶された距離データベースDB3において、ユーザに対して距離インセンティブが登録されたことをいう。
【0055】
このように、本実施形態では、電動車両10に関する所定の場所からの距離に応じて、距離インセンティブが設定されている。ここでは、距離インセンティブは、電動車両10に関する所定の場所からの距離が長い程、高く設定されている。このことによって、電動車両10の所定の場所(例えばユーザの住所や居所)から遠い場所の距離充放電スポット20Bに対して使用を促進することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 電動車両
20 充放電スポット
20A 巡回充放電スポット
20B 距離充放電スポット
22 充放電装置
50 充放電管理システム
71 インセンティブ取得部
73 設定部
75 提示部
77 取得部
79 付与部
81 巡回設定部
83 巡回提示部
91 距離設定部
93 距離提示部