(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】包装材、包装材原反ロール、包装袋及び包装材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 65/32 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
B65D65/32
(21)【出願番号】P 2021159640
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2021-09-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100214938
【氏名又は名称】樋熊 政一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】西本 浩司
【審判官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-71157(JP,U)
【文献】特開2019-55783(JP,A)
【文献】特開2003-341715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包囲可能で、被包装物と対面する内面及び当該内面と反対側の外面を有するシート本体と、
前記シート本体の端縁に開放しない切り込みが前記シート本体に形成されることにより当該シート本体の切断を可能とする開封片と、
前記外面の側に配置される保護シートと、
前記シート本体が折り込まれて前記被包装物を外部から封鎖して包装する際に、前記封鎖する箇所に貼り付けて包装状態を保持するための、前記保護シートとは別体のテープと、を備え、
前記保護シートは、前記開封片を含む前記外面に接着されて少なくとも前記切り込みを外部から隔てる保護部と、前記外面に接着されず、かつ、前記保護部に連続する開封部と、を含み、
前記開封片を介して切断される前記シート本体の切断方向に延在し、その切断の際に生じる切れ目を確保するカットテープが、前記内面及び前記外面のうちの少なくとも一方に配置され、
前記カットテープは、前記切り込みの両側に一対の状態で配置され、かつ、前記切れ目が生じたときに当該切れ目の内側に配置され、
前記シート本体が被包装物を包囲した包装状態で、前記開封部は、その略全体が、前記シート本体の略平坦な状態となっている部分の前記外面に近接して対向している、包装材。
【請求項2】
前記保護部は、その全領域が前記外面に接着される、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記保護部は、前記切り込みの周囲の前記外面に接着される接着部と、前記切り込みに接着しない非接着部と、を有する、請求項1に記載の包装材。
【請求項4】
前記カットテープの延在方向と略平行に延在する少なくとも一対の帯状シート部のそれぞれが、前記カットテープの両側に配置され、かつ、前記内面及び前記外面のうちの少なくとも一方に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材の前記シート本体が袋状に形成された袋体を含み、当該袋体の内部に被包装物が収容される、包装袋。
【請求項6】
前記シート本体が折り込まれて前記袋体が立方体形状に形成される、請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
請求項4に記載の包装材が、前記帯状シート部の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反が、ロール状に巻かれている、包装材原反ロール。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材を製造する方法であって、
複数の前記シート本体を形成し得るシート本体原反を所定の搬送方向に搬送しながら、 前記シート本体原反に区画されて前記シート本体となり得る1つ1つのシート本体部に、前記切り込みを順次形成して前記開封片を形成する工程と、
前記シート本体部のそれぞれに、前記保護シートの保護部を接着する工程と、を備える、包装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材、包装材原反ロール、包装袋及び包装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おにぎりやサンドイッチ、調理パン等の塊状の食品を、手掴みの状態で衛生的に食することができるようにするフィルム状の包装材が知られている。例えば特許文献1には、食品を包装した状態で外部に配置される開封片を摘まんで包装材を引き裂くことにより、帯状の開口が形成されて開封できるようにした包装材が開示されている。その包装材には、引き裂きを誘導する切り込みによって開封片が形成されるとともに、切り込みを塞ぐ保護シートが内側に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記保護シートは、切り込みから包装材の内部への異物の浸入を防止する。しかし、開封後においては、包装材の内側に接着されている保護シートが帯状の開口の端部に残存する。包装材の内側に残存する保護シートが食品を食する際に邪魔になる場合があり、改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、開封前の切り込みを塞ぐ保護シートが邪魔にならずに食品を食することができる包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の包装材は、被包装物を包囲可能で、被包装物と対面する内面及び当該内面と反対側の外面を有するシート本体と、前記シート本体の端縁に開放しない切り込みが前記シート本体に形成されることにより当該シート本体の切断を可能とする開封片と、前記外面の側に配置される保護シートと、を備え、前記保護シートは、前記開封片を含む前記外面に接着されて少なくとも前記切り込みを外部から隔てる保護部と、前記外面に接着されず、かつ、前記保護部に連続する開封部と、を含む。
【0007】
(2)(1)において、前記保護部は、その全領域が前記外面に接着される形態を含む。
【0008】
(3)(1)において、前記保護部は、前記切り込みの周囲の前記外面に接着される接着部と、前記切り込みに接着しない非接着部と、を有してもよい。
【0009】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記開封片を介して切断される前記シート本体の切断方向に延在し、その切断の際に生じる切れ目を確保するカットテープが、前記内面及び前記外面のうちの少なくとも一方に配置されていると好ましい。
【0010】
(5)(4)において、前記カットテープの延在方向と略平行に延在する少なくとも一対の帯状シート部のそれぞれが、前記カットテープの両側に配置され、かつ、前記内面及び前記外面のうちの少なくとも一方に配置されている、請求項4に記載の包装材。
【0011】
(6)本発明の包装袋は、(1)~(5)のいずれかに記載の包装材の前記シート本体が袋状に形成された袋体を含み、当該袋体の内部に被包装物が収容される。
【0012】
(7)(6)において、前記シート本体が折り込まれて前記袋体が立方体形状に形成されてもよい。
【0013】
(8)本発明の包装材原反ロールは、(5)に記載の包装材が、前記帯状シート部の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反が、ロール状に巻かれている。
【0014】
(9)本発明の包装材の製造方法は、(1)~(5)のいずれかの包装材を製造する方法であって、複数の前記シート本体を形成し得るシート本体原反を所定の搬送方向に搬送しながら、前記シート本体原反に区画されて前記シート本体となり得る1つ1つのシート本体部に、前記切り込みを順次形成して前記開封片を形成する工程と、前記シート本体部のそれぞれに、前記保護シートの保護部を接着する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開封前の切り込みを塞ぐ保護シートが邪魔にならずに食品を食することができる包装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】実施形態の包装材で食品を包装した状態を示す斜視図である。
【
図5】実施形態の包装材を開封している状態を示す斜視図である。
【
図6】実施形態の保護シートの別形態を示す平面図である。
【
図7】実施形態に係る包装材を加工して得た包装袋の一例を示す斜視図である。
【
図8】実施形態に係る包装材原反ロールを示す斜視図である。
【
図9】実施形態に係る包装材の製造方法を実施する製造ラインを模式的に示す側面図である。
【
図11】変形例の包装材で被包装物のおにぎりを包装した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(包装材)
図1は、実施形態に係る包装材1を外面1b側から見た正面図、
図2は、包装材1の斜視図、
図3は、包装材1の分解斜視図である。
図4は、包装材1で食品5を包装した状態を示す斜視図、
図5は、包装材1を開封している状態を示す斜視図である。
包装材1は、例えば
図4に示すように、後述する突き上げ包装によって被包装物としての直方体形状の食品5を包装する。
【0019】
図1~
図3に示すように、実施形態に係る包装材1は、包装材1の主体をなすシート本体10と、開封片20と、保護シート30と、を備える。なお、
図1~
図3においては、包装材1及びシート本体10の長さ方向をLで示し、幅方向をWで示している。以下の長さ方向及び幅方向は、それぞれ
図1~
図3のL及びWで示す方向をいう。
【0020】
図1~
図3に示すように、シート本体10は、長手方向及び幅方向を有する長方形形状に形成された樹脂フィルムである。シート本体10は、被包装物と対面する内面1aと、内面1aと反対側の外面1bと、を有する。シート本体10は、被包装物の全面を包囲可能な大きさを有する。
【0021】
シート本体10の幅方向中央部であって、長さ方向の一端側(
図1で上端側)寄りの所定箇所には、切り込み11が形成されている。切り込み11は、外面1bから内面1aに貫通するスリットである。切り込み11は、シート本体10の四辺の端縁には開放していない。
図1に示すように、切り込み11は、偏平な逆U字状に形成されている。切り込み11は、幅方向に延びる先端部11aと、先端部11aの幅方向両側から長さ方向他端側(
図1で下側)にそれぞれ延びる一対のガイド部11bと、を含む。
【0022】
開封片20は、切り込み11が形成されることによりシート本体10の一部に設けられる。開封片20は、シート本体10の切り込み11で囲まれた部分であって、シート本体10の一部を外面1b側にめくることができるようにした部分である。開封片20が外面1b側にめくられると、切り込み11の両側のガイド部11bを起点として、シート本体10が長さ方向他端側に切り裂かれることが可能なようになっている。
【0023】
保護シート30は、幅方向に長い長方形状のフィルムである。保護シート30は、その一部が、シート本体10の外面1bに接着されている。開封片20は、保護シート30を介して外面1b側にめくられる。
【0024】
保護シート30は、保護部31と、開封部32と、を含む。
保護部31は、開封片20を含む外面1bに接着されており、切り込み11を覆っている。保護部31は、開封片20の全領域と、開封片20の周囲部分とに、接着剤によって接着されている。保護部31は、その全領域が外面1bに接着されており、この保護部31により、切り込み11が塞がれている。したがって、切り込み11は保護部31により外部から隔てられる。開封部32は、保護部31の長さ方向一端側に連続する部分であって、外面1bに接着されていない。開封部32は、手指で摘まんで外面1b側にめくることが可能となっている。
【0025】
保護シート30は、めくった開封部32を保護部31側に強く引っ張ると、切り込み11よりも開封部32側の保護部31の部分が、外面1bから剥離する。引き続き保護シート30を引っ張ると、開封片20が保護シート30に追従してめくられ、次いで、切り込み11の各ガイド部11bの延長線上に、
図5に示すように切れ目12が生じる。これにより、シート本体10が長さ方向に沿って引き裂かれていき、包装材1が開封される。すなわちシート本体10は、開封片20を介して引き裂かれ、切断される。開封の作用については後で詳述する。
【0026】
なお、保護シート30の保護部31は、
図6に示すように、切り込み11には接着されない形態としてもよい。この場合の保護部31は、切り込み11の周囲の外面1bに接着される接着部31aと、切り込み11に接着しない非接着部31bと、を有する。切り込み11は、非接着部31bで覆われる。このため、保護部31の接着剤が切り込み11を通じて内面1a側に侵入する事態を抑制できる。
【0027】
図1~
図3に示すように、シート本体10の内面1aには、長さ方向に延びる一対のカットテープ40が配置される。カットテープ40は、シート本体10の内面1aに、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段で貼着される。一対のカットテープ40は、切り込み11の幅方向両側に配置される。換言すると、一対のカットテープ40の幅方向内側に切り込み11が配置される。各カットテープ40は、切り込み11の両端部の各ガイド部11bに近接している。
【0028】
上述したようにシート本体10が開封片20を介して引き裂かれるとき、シート本体10には切り込み11の各ガイド部11bの延長上に切れ目12が生じ、これら一対の切れ目12が進展してシート本体10が引き裂かれる。一対のカットテープ40は、各切れ目12の内側に配置されることになる。このため、切れ目12が内側のカットテープ40側によれて進展しても、その切れ目12はカットテープ40に当たってそれ以上内側に切れ込むことなく、カットテープ40に沿って進展する。このため、各カットテープ40の両側に形成される一対の切れ目12は、消滅することなく確保される。
なお、カットテープ40は、シート本体10の外面1bに配置されてもよく、内面1aと及び外面1bの双方に配置されてもよい。
【0029】
図1~
図3に示すように、シート本体10の内面1aには、長さ方向に延びる一対の帯状シート部50が配置される。帯状シート部50は、シート本体10の内面1aに、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段で貼着される。帯状シート部50は、カットテープ40と略平行である。一対の帯状シート部50のそれぞれは、一対のカットテ-プ40よりも幅方向外側に、カットテープ40から所定距離をおいて配置されている。
なお、帯状シート部50は、シート本体10の外面1bに配置されてもよく、内面1aと及び外面1bの双方に配置されてもよい。
【0030】
シート本体10、保護シート30、カットテープ40及び帯状シート部50のそれぞれは、可撓性を有する合成樹脂製の透明もしくは半透明のフィルムで構成される。当該樹脂フィルムは、ヒートシールを容易とする点で、熱溶着性を有すると好ましい。当該樹脂フィルムとしては、単層あるいは多層の合成樹脂フィルムが用いられる。単層の場合は、例えば、(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂フィルムである。多層の場合は、例えば、湿気を遮断するバリア層となるPVDC(ポリ塩化ビニリデン)コートを含んだポリプロピレン等の合成樹脂フィルムが使用でき、具体的には、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)等が好適に使用される。
【0031】
シート本体10、保護シート30、カットテープ40及び帯状シート部50を形成する樹脂フィルムの厚みは、同じであってもよい。しかし、保護シート30は、開封の際に手指で摘まむ開封部32がちぎれないようにする点から、比較的厚みが大きいものが用いられることが望ましい。シート本体10は、包装状態が保持される厚みを有し、かつ、開封の際には容易に引き裂かれる厚みを有することが望ましい。
【0032】
包装材1は、例えば
図4に示すように、被包装物としての直方体状の食品5を内面1aの略中央に押し当て、包装材1を食品5の外形形状に沿って変形させて包み込む、いわゆる突き上げ包装によって、当該食品5を包装する。食品5を包装した包装材1は、
図5では見えない食品5の裏面側において折り込まれて食品5を外部から封鎖し、テープ等を貼って包装状態が保持される。食品5を包装した包装材1は、その長さ方向が食品5の長さ方向と略平行な状態となり、表面側の中央やや一端側寄りに、外面1bに接着された保護シート30が配置される。
【0033】
包装材1を開封する際の作用を説明する。
保護シート30の開封部32をめくり、その開封部32を、
図5に示す矢印Mで示す保護部31側に引っ張ると、開封片20よりも開封部32側の部分の保護部31が外面1bから剥離する。引き続き開封部32を引っ張ると、保護部31に接着して重なっている開封片20が保護部31に追従して外面1b側にめくられ、M側に引っ張られる。これによりシート本体10は、切り込み11の幅方向両側のガイド部11bの延長上に切れ目12が入り、幅方向両側の一対の切れ目12の間に、長さ方向に延びる帯状の開封開口13が形成される。この開封開口13により包装材1は左右に分割され、食品5を手掴みした状態で、開封開口13から当該食品5を食することができる。あるいは、開封開口13から食品5を取り出すことができる。
(包装袋)
【0034】
実施形態に係る包装材1による包装形態は、
図4に示す突き上げ包装に限られない。
例えば、
図7に示すように、包装材1を、幅方向両端部を互いに貼り合わせて背貼り部14aを形成するとともに、長さ方向他端側(
図7で下端側)の互いに対向する端部どうしを貼り合わせて底部シール部14bを形成することで、開口部14cを残したいわゆる合掌包装の形態に折り込んだ包装袋14を得ることができる。この包装袋14は、長方形状の袋体14dを含む。包装袋14には、例えば、液体状、粉状、粒状等の被包装物を収容して包装することができる。被包装物を収容した後に、開口部14cを気密的にシールして密閉する。
【0035】
このように、包装材1から包装袋14を形成する場合、この包装袋14を多数製造し、供給先において包装袋14に任意の被包装物を収容して密閉することができる。
【0036】
(包装材原反ロール)
実施形態に係る上記包装材1は、
図8に示す実施形態に係る包装材原反ロール1Rから、多数を連続的に得ることができる。
【0037】
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、多数の包装材1が長さ方向に沿って連続するように一体化された長尺な包装材原反1Gが、ロール状に巻かれたものである。包装材原反ロール1Rに設けられる切断境界1cを切断することにより、多数の包装材1を順次得ることができる。
【0038】
包装材原反1Gは、樹脂フィルムからなる長尺帯状のシート本体原反10Gを主体とする。シート本体原反10Gには、1枚1枚のシート本体10となる多数のシート本体部10Aを区画する切断境界1cが設けられる。シート本体部10Aの1つ1つに、切り込み11による開封片20がそれぞれ設けられているとともに、切り込み11を塞ぐ保護シート30が外面1bに設定される側の面にそれぞれ接着されている。保護シート30は、保護部31がシート本体原反10Gに接着剤により剥離可能に接着される。
【0039】
包装材原反ロール1Rにおいては、シート本体原反10Gの、包装材1における外面1bに設定される側に配置される保護シート30は、シート本体原反10Gに接着されない開封部32がロール巻元側に配置され、シート本体原反10Gに接着される保護部31がロール巻き出し側に配置される。
【0040】
また、一対のカットテープ40及び一対の帯状シート部50となるそれぞれの原反、すなわちカットテープ原反40G及び帯状シート部原反50Gが、内面1aに設定される側の面にそれぞれ貼着されている。包装材原反ロール1Rは、保護シート30が貼着される内面1aが外周面の側に配置されるようにロール状に巻かれる。したがって、カットテープ原反40G及び帯状シート部原反50Gは内周面の側に配置される。
【0041】
包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出しつつ、切断境界1cを順次切断していくことにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。また、包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出す使用時には、保護シート30はシート本体原反10Gに接着される保護部31から先に巻き出され、接着されていない開封部32は後から出てくる。このため、保護シート30の開封部32がめくれたり折れて重なったりするおそれが生じず、作業を円滑に行うことができる。
【0042】
(製造方法)
上記包装材原反ロール1R及び包装材1は、例えば
図9に示す製造ライン60により製造される。製造ライン60により、本発明の製造方法の一例を実施することができる。
【0043】
図9に示す製造ライン60は、シート本体原反ロール10Rから上記シート本体原反10Gが概ねH方向に巻き出されて搬送される。シート本体原反ロール10Rから巻き出された直後のシート本体原反10Gの外面側に、カットテープ原反ロール40Rから巻き出された上記カットテープ原反40Gと、帯状シート部原反ロール50Rから巻き出された上記帯状シート部原反50Gとが、所定箇所にそれぞれ重ねられる。次に、シール部51で、カットテープ原反40Gと帯状シート部原反50Gとがシート本体原反10Gに貼着される。シール部51は、超音波シールやヒートシール等の貼着手段を有するが、貼着された部分及びその周辺に皺が生じにくい点で、超音波シールが好ましい。
【0044】
次いで、切り込み形成部52で、シート本体原反10Gに切り込み11が形成される。切り込み11は、切り込み11の形状を有する図示しないカッターでシート本体原反10Gを打ち抜くことによって形成される。切り込み11は、上記切断境界1cによってシート本体原反10Gに区画される1つ1つの包装材1の領域の所定箇所に間欠的に形成される。
【0045】
次に、保護シート貼着部53で、シート本体原反10Gの内面側に保護シート30が接着される。保護シート30は、保護シート30が一定間隔おきに台紙に貼られている保護シート原反ロール30Rから、1枚1枚剥離されて、シート本体原反10Gの切り込み11を塞ぐ所定箇所に間欠的に接着される。
【0046】
以上のようにしてシート本体原反10Gにカットテープ原反40G及び帯状シート部原反50Gが貼着されるとともに、切り込み11が形成されてその切り込み11に保護シート30が接着された
図8に示す包装材原反1Gが製造され、さらに包装材原反1Gが巻き取られて包装材原反ロール1Rを得る。そして、包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出し、シート本体部10Aを切断境界1cで切断することにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。
【0047】
実施形態に係る包装材原反1Gは、幅方向両端部近傍に、長さ方向に延びる一対の帯状シート部原反50Gが貼着されている。これにより、一対のカットテープ原反40Gや保護シート30によって幅方向中央部の厚みが大きくなる厚みの偏りが抑えられ、幅方向の厚みを全体的に均一化することができる。その結果、包装材原反1Gを巻き取って包装材原反ロール1Rを得る場合、厚みの偏りによるヨレが生じて巻き取り不良が起こることが抑えられる。
【0048】
以下、実施形態で奏される効果について説明する。
実施形態に係る包装材1は、被包装物を包囲可能で、被包装物としての食品5と対面する内面1a及び内面1aと反対側の外面1bを有するシート本体10と、シート本体10の端縁に開放しない切り込み11がシート本体10に形成されることによりシート本体10の切断を可能とする開封片20と、外面1bの側に配置される保護シート30と、を備え、保護シート30は、開封片20を含む外面1bに接着されて少なくとも切り込み11を外部から隔てる保護部31と、外面1bに接着されず、かつ、保護部31に連続する開封部32と、を含む。
【0049】
これにより、保護シート30の開封部32を引っ張ることにより開封片20を起点としてシート本体10を引き裂いて包装材1を開封することができ、保護シート30は、食品5を包装しているシート本体10側に残存しない。このため、開封前の切り込み11を塞ぐ保護シート30が邪魔にならずに食品5を食することができる。
【0050】
実施形態に係る包装材1において、保護部31は、その全領域がシート本体10の外面1bに接着されている。
【0051】
これにより、切り込み11が保護部31で確実に塞がれ、切り込み11からの異物の侵入を効果的に防止することができる。
【0052】
実施形態の包装材1においては、保護部31は、切り込み11の周囲の外面1bに接着される接着部31aと、切り込み11に接着しない非接着部31bと、を有してもよい。
【0053】
これにより、保護部31を外面1bに接着する接着剤が、切り込み11を通じて内面1a側に侵入することを抑えることができる。
【0054】
実施形態に係る包装材1においては、開封片20を介して切断されるシート本体10の切断方向に延在し、その切断の際に生じる切れ目12を確保するカットテープ40が、内面1a及び外面1bのうちの少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
【0055】
これにより、カットテープ40に沿って切れ目12が消滅することなく確実に形成され、一対の切れ目12の間に形成される開封開口13の幅が確保されるので、包装材1を確実、かつ安定して開封することができる。
【0056】
実施形態に係る包装材1においては、カットテープ40の延在方向と略平行に延在する少なくとも一対の帯状シート部50のそれぞれが、カットテープ40の両側に配置され、かつ、内面1a及び外面1bのうちの少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
【0057】
これにより、包装材1の幅方向の全体的な厚みに偏りが生じることを抑えることができる。このため、包装材1の原反(上記包装材原反1G)をロール状に巻き取った場合、厚みの偏りによる巻き取り不良を抑えることができる。
【0058】
実施形態に係る包装袋14は、包装材1のシート本体10が袋状に形成された袋体14dを含み、袋体14dの内部に被包装物が収容される。
【0059】
これにより、包装材1をそのままの状態で突き上げ包装により被包装物を包装できることに加え、包装材1を包装袋14に加工し、その包装袋14に、液体状、粉状、粒状等の多様な形態の被包装物を収容して包装することができる。
【0060】
実施形態に係る包装袋14は、シート本体10が折り込まれて袋体14dが立方体形状に形成される形態を含む。
【0061】
これにより、シート本体10の折り込み方に応じて、袋体14dを多様な形状とすることができる。
【0062】
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、包装材1が、帯状シート部50の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反1Gが、ロール状に巻かれている。
【0063】
これにより、包装材原反1Gから多数の包装材1を切り出して当該包装材1を容易に製造することができる。また、帯状シート部50が延在することにより、幅方向厚みが全体的に均一化し、厚みの偏りによる巻き取り不良を抑えることができる。
【0064】
実施形態に係る包装材1の製造方法は、複数のシート本体10を形成し得るシート本体原反10Gを所定の搬送方向に搬送しながら、シート本体原反10Gに区画されてシート本体10となり得る1つ1つのシート本体部10Aに、切り込み11を順次形成して開封片20を形成する工程と、シート本体部10Aのそれぞれに、保護シート30の保護部31を接着する工程と、を備える。
【0065】
これにより、実施形態に係る包装材1を好適に製造できる。
【0066】
図10は、包装材1の変形例を示している。この変形例の包装材1は、上記実施形態と構成は同じであるが、サイズが異なっている点で上記実施形態と相違している。したがって以下では、同一の構成要素には上記実施形態と同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0067】
図10に示す変形例の包装材1は、上記実施形態の包装材1と同様に長方形状であるが、シート本体10及び保護シート30のサイズが上記実施形態の包装材1よりも小さく、切り込み11も小さい。また、長さ方向と幅方向の比率(縦横比)も異なり、実施形態よりも幅方向に対する長さ方向の比率が大きい縦長である。また、一対のカットテープ40の間隔も小さい。
【0068】
この変形例の包装材1は、
図11に示すように、被包装物として略円形状の平面視形状を有するおにぎり6が好適とされる。この場合、包装材1は、おにぎり6を内面1aの略中央に押し当てた状態で包み込む突き上げ包装によって、当該おにぎり6を包装する。
【0069】
この包装材1も、
図6に示したように保護シート30の開封部32を手指で摘まみ、保護シート30を開封方向に引っ張ることにより、シート本体10を引き裂いて開封することができる。
【0070】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、保護シート30の開封部32のめくれを防ぐために、開封部32をシート本体10に部分的に接着するポイントシールを施してもよい。
カットテープ40は一対ではなく、1つのカットテープ40を幅方向中央部に延在させてもよい。
シート本体10の形状は矩形状に限定されず、被包装物の形状等に応じて例えば円形状、三角形状等であってよい。
シート本体10の材質は、樹脂フィルムの他に、紙素材、紙素材の内面に耐水性のための樹脂がコーティングされたもの等であってよい。
【符号の説明】
【0071】
1 包装材
1a 内面
1b 外面
1G 包装材原反
1R 包装材原反ロール
5 食品(被包装物食品)
6 おにぎり(被包装物食品)
10 シート本体
10A シート本体部
10G シート本体原反
11 切り込み
12 切れ目
14 包装袋
14d 袋体
20 開封片
30 保護シート
31 保護部
31a 接着部
31b 非接着部
32 開封部
40 カットテープ
50 帯状シート部