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特許7434254シート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】シート搬送装置、シート処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20240213BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240213BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20240213BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H05K7/00 F
B65H7/14
B65H9/00 Z
B41J29/00 C
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021183831
(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2023071218
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 晋弥
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-29575(JP,U)
【文献】実公昭42-14672(JP,Y1)
【文献】実開昭53-36741(JP,U)
【文献】実開昭60-172380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
B65H 7/14
B65H 9/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
導体と、前記導体を被覆する絶縁被覆と、を有する電線と、
前記筐体に取付けられ、前記電線をガイドするガイド部材と、
を備えたシート搬送装置であって、
前記ガイド部材は、金属材料からなる線材の曲げ加工物であり、
前記電線及び前記ガイド部材の少なくとも一方が他方に巻き付いた状態で、前記電線は前記ガイド部材に沿って配線されている、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記筐体は、電気的に接地された導電性部材を有し、
前記ガイド部材は、前記導電性部材と接触している、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記筐体は、開口部が形成された壁部材を有し、
前記シート搬送装置は、前記開口部を利用してシートを検知可能に構成されたセンサを更に備え、
前記ガイド部材は、前記壁部材に沿って前記開口部の周囲を通る部分を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記ガイド部材の一部を前記導電性部材に圧接させるための弾性力を発生させる弾性形状を有する、
ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記電線の一部をガイドする第1のガイド部材であり、
前記シート搬送装置は、前記電線の他の一部をガイドする第2のガイド部材を更に備え
前記第1のガイド部材は、前記導電性部材と接触しており、
前記第2のガイド部材は、前記第1のガイド部材と接触しており、前記第1のガイド部材を介して電気的に接地されている、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の少なくとも一方は、前記第1のガイド部材の一部と前記第2のガイド部材の一部とを圧接させるための弾性力を発生させる弾性形状を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートの有無に応じた検知信号を発するセンサと、
前記検知信号に基づいて前記シート搬送装置を制御する制御部と、
を更に備え、
前記電線は、前記センサと前記制御部とを電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記センサを第1のセンサとして、
前記シート搬送装置は、シートの有無に応じた検知信号を発する第2のセンサを更に備え、
前記電線は、前記第1のセンサに接続された第1枝線と、前記第2のセンサに接続された第2枝線と、前記第1枝線及び前記第2枝線が合流した幹線と、を有し、
前記ガイド部材は、前記第1枝線、前記第2枝線及び前記幹線のいずれか1つをガイドする第1のガイド部材であり
前記シート搬送装置は、前記第1枝線、前記第2枝線及び前記幹線の他の1つをガイドする第2のガイド部材を更に備え、
前記第1枝線、前記第2枝線及び前記幹線のうち前記第1のガイド部材によってガイドされるものと、前記第1のガイド部材と、の少なくとも一方が他方に巻き付いており、
前記第1枝線、前記第2枝線及び前記幹線のうち前記第2のガイド部材によってガイドされるものと、前記第2のガイド部材と、の少なくとも一方が他方に巻き付いている、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが取付けられる壁部材を有し、
前記第1枝線は、前記壁部材に沿って第1の方向に配線され、
前記幹線は、前記壁部材に沿って前記第1の方向と交差する第2の方向に配線され、
前記第1のガイド部材は、前記第1の方向に延伸して前記第1枝線をガイドし、
前記第2のガイド部材は、前記第2の方向に延伸して前記幹線をガイドする、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記壁部材に対して前記筐体の外側に突出し、前記筐体から排出されたシートが積載される積載部を更に備え、
前記第1のセンサは、前記積載部に積載されたシートの有無に応じた検知信号を発するように構成され、
前記第2のセンサは、前記壁部材にもたれた状態のシートの有無に応じた検知信号を発するように構成されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記積載部に配置され、前記積載部に積載されたシートに押圧されて揺動する第1移動部材と、
前記筐体に配置され、前記第1移動部材に押圧されて揺動する第2移動部材と、
を更に備え、
前記第1のセンサは、前記第2移動部材によって遮光されるフォトセンサであり、
前記第2のセンサは、前記壁部材から前記積載部の上方の空間に光を発してシートからの反射光を検知するフォトセンサである、
ことを特徴とする請求項10に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
前記積載部は、前記筐体に対して昇降可能に設けられ、
前記シート搬送装置は、前記壁部材に上下方向にスライド可能に支持され前記積載部の昇降に追従して移動するスライド部材と、軸方向を前記上下方向に向けて配置され前記スライド部材を上方に付勢するコイルバネと、を更に備え、
前記第1枝線は、前記第1のセンサと前記コイルバネとの間の空間を通って配線されている、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載のシート搬送装置。
【請求項13】
前記ガイド部材は、断面が円形の線材で形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項14】
前記筐体は、前記ガイド部材の一方の端部を保持する第1保持部と、前記ガイド部材の他方の端部を保持する第2保持部と、を有し、
前記ガイド部材は、前記一方の端部が前記第1保持部に保持され、前記他方の端部が前記第2保持部に保持されていない状態で、前記電線及び前記ガイド部材の少なくとも一方を他方に巻き付けることが可能な形状からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項15】
前記ガイド部材は、前記電線の配線方向を軸方向とする螺旋形状を有し、前記螺旋形状により前記電線に巻き付いている、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項16】
前記ガイド部材は、巻き数が1以上の前記螺旋形状をそれぞれ有し前記配線方向に互いに離れて配置された複数の螺旋部と、前記複数の螺旋部を接続して前記配線方向に延びた延伸部と、を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載のシート搬送装置。
【請求項17】
前記ガイド部材は、前記電線の配線方向に沿って前記配線方向と交差する所定方向の凹凸が繰り返し形成された波形状を有し、
前記配線方向及び前記所定方向の双方と交差する方向に見た場合に前記配線方向に沿って前記電線が前記ガイド部材の手前側と奥側を交互に通過するように、前記ガイド部材の波形状と前記電線とが互いに巻き付いている、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項18】
前記ガイド部材は、前記電線の配線方向に沿って直線状に延びた直線部を有し、
前記電線は、前記直線部に螺旋状に巻き付いている、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項19】
前記筐体は、前記ガイド部材を保持する突起を有し、
前記ガイド部材は、前記突起に沿って屈曲した形状を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項20】
前記突起は、前記筐体の側面の少なくとも一部を構成する壁部材と共に、樹脂材料で一体成型されている、
ことを特徴とする請求項19に記載のシート搬送装置。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートに処理を施す処理手段と、
を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、シートに処理を施すシート処理装置、及び、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置やその付属装置は、シートを搬送するシート搬送装置を備えている。シート搬送装置は、モータ等のアクチュエータ又はシート検知センサ等のセンサと、これらを制御する制御基板又は電力を供給する電源基端と、を電気的に接続する電線を備えている。このような電線の配線方法として、配線経路に沿った形状で成型された樹脂製のガイド部材を筐体に取付け、ガイド部材に設けられた脱落防止用のフックに電線を保持させる方法が用いられる場合がある。また、特許文献1には、スキャナからプリンタに画像情報を伝送するためのケーブルの配線構造として、プリンタの背面カバーに設けた突起対にケーブルを挟持させ、或いはL字状の突起にケーブルを引っ掛けて配線することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-116114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、樹脂製のガイド部材を用いる場合、ガイド部材の強度を確保し、ガイド部材に対する配線作業用の作業性を確保する等の理由で、ガイド部材自体の大きさ及びガイド部材の周辺の空間が必要となり、装置の大型化につながる。一方、上記文献の配線構造では、筐体に設けられた多数の突起の各々に電線を挟持させたり引っ掛けたりする煩わしさがあり、配線作業の作業性の改善が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、配線に必要な空間を小さくしつつ、配線作業の作業性を向上可能なシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、筐体と、導体と、前記導体を被覆する絶縁被覆と、を有する電線と、前記筐体に取付けられ、前記電線をガイドするガイド部材と、を備えたシート搬送装置であって、前記ガイド部材は、金属材料からなる線材の曲げ加工物であり、前記電線及び前記ガイド部材の少なくとも一方が他方に巻き付いた状態で、前記電線は前記ガイド部材に沿って配線されている、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線に必要な空間を小さくしつつ、配線作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略図。
図2】第1実施形態に係る下排出部の断面図。
図3】第1実施形態に係る積載壁の斜視図。
図4】第1実施形態に係る配線構造を示す斜視図。
図5】第1実施形態に係るガイド部材を示す斜視図。
図6】第2実施形態に係るガイド部材を示す斜視図。
図7】第2実施形態に係る配線構造の一部を示す斜視図。
図8】第2実施形態に係るガイド部材による束線の保持について説明するための図(a、b)。
図9】第2実施形態に係るガイド部材による束線の保持について説明するための図(a、b)。
図10】第2実施形態に係るガイド部材による束線の保持について説明するための図。
図11】第3実施形態に係るガイド部材を示す斜視図。
図12】第3実施形態に係る配線構造の一部を示す斜視図。
図13】第4実施形態に係る配線構造の一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
《第1実施形態》
まず、第1実施形態に係る画像形成システム(画像形成装置)の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の概略図である。画像形成システム1は、画像形成装置本体100、画像読取装置2、原稿送り装置3及び後処理装置200によって構成される。画像形成システム1は、記録材であるシートに画像を形成し、必要に応じて後処理装置200によってシートに処理を施して出力する。以下、各装置の簡単な動作を説明した後、後処理装置200について詳細な説明を行う。
【0011】
原稿送り装置3は、原稿トレイ18に載置された原稿を画像読取部16、19に搬送する。画像読取部16、19はそれぞれ原稿面から画像情報を読み取るイメージセンサであり、1度の原稿搬送で原稿の両面の読み取りが行われる。画像情報を読み取られた原稿は原稿排出部に排出される。また、画像読取装置2は駆動装置17により画像読取部16を往復移動させることで、原稿台ガラスにセットされた静止原稿(ブックレット原稿などの原稿送り装置3が使用できない原稿を含む)から画像情報を読み取ることができる。
【0012】
画像形成装置本体100は、直接転写方式の画像形成部1Bを備えた電子写真装置である。画像形成部1Bは、感光ドラム21を備えたカートリッジ20と、カートリッジ20の上方に配置されたレーザスキャナユニット40と、を備えている。画像形成動作を行う場合、回転する感光ドラム21の表面が帯電させられ、レーザスキャナユニット40が画像情報に基づいて感光ドラム21を露光することでドラム表面に静電潜像を書き込む。感光ドラム21に担持された静電潜像は帯電したトナー(現像剤)によってトナー像に現像され、感光ドラム21と転写ローラ22とが対向する転写部にトナー像が搬送される。画像形成装置本体100のコントローラは、画像読取部16,19によって読み取られた画像情報又は外部のコンピュータからネットワークを介して受信した画像情報に基づいて画像形成部1Bによる画像形成動作を実施する。
【0013】
画像形成装置本体100は、記録材としてのシートを収納する収納庫10と、収納庫10から1枚ずつシートを給送する給送装置11と、を備えている。給送装置11から給送されたシートはレジストレーションローラにて斜行を補正された後に転写部に搬送され、転写部において、感光ドラム21に担持されたトナー像を転写される。シート搬送方向における転写部の下流には定着ユニット30が配置されている。定着ユニット30は、シートを挟持して搬送する回転体対と、トナー像を加熱するためのハロゲンランプ等の発熱体とを有し、シート上のトナー像を加熱及び加圧することで画像の定着処理を行う。
【0014】
定着ユニット30を通過したシートは、後処理装置200に搬送される。なお、両面印刷において第1面の画像形成が終了したシートの場合、定着ユニット30を通過したシートは画像形成装置本体100の内部で反転搬送され、再びレジストレーションローラ7に搬送される。そして、再び転写部及び定着ユニット30を通過することで第2面に画像を形成された後、後処理装置200に搬送される。
【0015】
上記の画像形成部1Bはシートに画像を形成する画像形成手段の一例であり、感光体に形成したトナー像を中間転写体を介してシートに転写する中間転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。また、インクジェット方式やオフセット印刷方式の印刷ユニットを画像形成手段として用いてもよい。
【0016】
(後処理装置)
後処理装置200は、画像形成装置本体100によって画像形成されたシートに処理を施すシート処理装置である。後処理装置200は、シートを搬送するシート搬送装置の一例である。本実施形態の後処理装置200は、シートに綴じ処理を施す綴じ処理部220を有し、画像形成装置本体100から受け取ったシートに綴じ処理を施してシート束として排出する。また、後処理装置200は、画像形成装置本体100から受け取ったシートに綴じ処理を施さずに単に排出することもできる。
【0017】
後処理装置200は、シートの搬送路210と、搬送路210に沿って配置されシートを搬送する搬送部材としての複数の搬送ローラ対と、搬送路210を通過するシートを検知するセンサと、上排出トレイ301及び下排出トレイ401とを有する。搬送路210は、後処理装置200の筐体201の内部で分岐しており、上排出トレイ301に向かう排出パス及び下排出トレイ401に向かう排出パスを含む。複数の搬送ローラ対は、上排出トレイ301にシートを排出する上排出ローラ229と、下排出トレイ401にシートを排出する下排出ローラ230と、を含む。
【0018】
綴じ処理部220は、下排出トレイ401に向かう搬送経路上に設けられている。本実施形態では、下排出トレイ401に向かうシートは、上排出ローラ229によって反転搬送されて綴じ処理部220に向けて搬送され、綴じ処理部220を経由して下排出トレイ401に排出される構成となっている。
【0019】
綴じ処理部220は、画像形成装置本体100から受け取った複数枚のシートが積載される中間積載部221と、中間積載部221に積載され整合されたシートを綴じるステイプラ222と、を有する。ステイプラ222によって綴じられたシート束は、ガイド駆動部223によって駆動される押出ガイド224によって中間積載部221から押し出され、下排出ローラ230に受け渡される。なお、綴じ処理を行わずにシートを下排出トレイ401に排出する場合、中間積載部221に排出されたシートはそのまま押出ガイド224によって下排出ローラ230に受け渡される。
【0020】
後処理装置200は、搬送ローラ対や上排出トレイ301及び下排出トレイ401の昇降を駆動する複数のモータMと、搬送路210に沿って配置された少なくとも1つのシートセンサ209と、後述するシート有無センサ442及びもたれセンサ450を含む。シートセンサ209としては、光を用いてシートの有無に応じた検知信号を発する光電センサ(フォトインタラプタ、フォトリフレクタ)を用いることができる。
【0021】
これらのアクチュエータ及びセンサは、後処理装置200に搭載された制御部250からの指令信号に基づいて動作し、又は検知信号を制御部250に入力する。従って、後処理装置200は、後述する束線Wを含め、制御部250とアクチュエータ又はセンサとを電気的に接続する電線を備える。また、後処理装置200は、アクチュエータ及びセンサに電力を供給する電源基板とアクチュエータ又はセンサとを接続する電線や、後処理装置200の制御部250と画像形成装置本体100の制御部とを通信可能に接続する電線を備える。
【0022】
制御部250は、少なくとも1つのプロセッサと、制御プログラムを格納した記憶装置と、を有する。プロセッサは、記憶装置から制御プログラムを読み出して実行することで、後処理装置200を制御する。本実施形態の制御部250は、画像形成装置本体100の制御部と相互に通信可能に接続され、画像形成装置本体100の制御部から通知される情報及びセンサの検知信号等に基づいてアクチュエータの動作を制御する。
【0023】
後処理装置200は、シートの排出先として、上排出部300及び下排出部400を備えている。上排出部300には、上排出トレイ301が設けられ、下排出部400には下排出トレイ401が設けられている。上排出トレイ301及び下排出トレイ401は、いずれも後処理装置200の筐体201に対して上下に移動可能(昇降可能)である。
【0024】
制御部250は、上排出トレイ301及び下排出トレイ401におけるシートの上面位置(シートの積載高さ)を検知するシート面検知センサを備えており、いずれかのセンサがシートを検知すると、対応するトレイをA2,B2方向に下降させる。また、上排出トレイ301又は下排出トレイ401のシートが取り除かれたことをシート面検知センサによって検知すると、そのトレイをA1,B1方向に上昇させる。従って、上排出トレイ301及び下排出トレイ401は、積載されたシートの上面を一定に保つように、シートの積載量に応じて昇降制御される。本実施形態において、第1の積載部としての上排出トレイ301及び第2の積載部としての下排出トレイ401は、それぞれモータ駆動により昇降制御されるものとするが、例えばバネ等の付勢手段により昇降可能な構成としてもよい。
【0025】
以下の説明及び図面において、Z軸方向とは、後処理装置200が水平面に設置された場合の鉛直方向(重力方向)を表す。X軸方向とは、Z軸方向と直交する方向であって、上排出トレイ301及び下排出トレイ401が設けられた後処理装置200の側面に沿った方向を表す。Y軸方向とは、Z軸方向及びX軸方向の双方と直交する方向を表す。X軸方向は、上排出トレイ301又は下排出トレイ401に排出されるシートのシート幅方向と言える。また、後処理装置200に対して筐体201に対して着脱される部材の形状や位置関係等は、筐体201に装着された状態を基準として説明する。
【0026】
(下排出部)
上排出部300と下排出部400は、実質的に同じ構成を備えている。そのため、以下では下排出部400について説明するが、上排出部300も同様の構成を備える。
【0027】
図2は、下排出部400を示す後処理装置200の断面図であり、後処理装置200をX軸方向に垂直な平面で切断した様子を表す。図3は、下排出トレイ401を取り外した後処理装置200の側面を示す斜視図である。図4は、図3に示す後処理装置200の側面を筐体201の内側から見た斜視図である。
【0028】
図2に示すように、下排出部400は、下排出ローラ230と、積載壁430と、下排出トレイ401と、シート有無レバー440と、シート有無フラグ441、シート有無センサ442と、シートもたれセンサ450と、を有する。
【0029】
下排出ローラ230は、後処理装置200の内部を搬送されてきたシート(束)を、Y軸方向に向かって上方に傾斜したシート排出方向Dsに搬送し、後処理装置200の筐体201の外部に排出する。下排出ローラ230は、それぞれX軸方向に延びるローラ軸を中心に回転するローラ対である。また、綴じ処理部220で綴じ処理されたシート束を排出可能とするため、下排出ローラ230は、図中上側のローラが下側のローラに対して接近及び離間するように移動することでニップ部を開閉可能に構成される。
【0030】
下排出トレイ401は、後処理装置200の筐体201からY軸方向に突出している。下排出トレイ401は、筐体201の内部から外部に排出されたシートが積載される積載部である。下排出トレイ401は、下排出ローラ230によって排出されたシート(束)が積載される積載面401a(シート支持面)を有する。積載面401aは、Y軸方向に筐体201から離れる側に向かって上方に傾斜している。
【0031】
下排出トレイ401は、筐体201内に配置されたモータの駆動力により、筐体201に対して昇降可能に構成されている。具体的な構成例としては、筐体201内に上下方向にベルトを張架し、下排出トレイ401を支持するフレームをベルトに連結すると共に、モータの駆動力でベルトプーリを駆動する。
【0032】
積載壁430は、筐体201のY軸方向の側面(壁面)の少なくとも一部を構成する壁部材であり、Y軸方向及びZ軸方向に広がっている。なお、筐体201は、後処理装置200の枠体と外装部材とを含む略直方体状の構造体(ケーシング、装置本体)である。
【0033】
図3に示すように、積載壁430は、筐体201の枠体を構成する前フレーム201Fと後フレーム201Rとの間に設けられている。前フレーム201F及び後フレーム201Rは、上方から見て筐体201の角部に位置し、いずれもZ軸方向に延びる柱部材である。前フレーム201FはX軸方向における画像形成システム1の正面側に位置し、後フレーム201RはX軸方向における画像形成システム1の背面側に位置する。
【0034】
図3に示すように、積載壁430には下排出トレイ401と共に昇降可能なスライド部材としてのスライド壁432が設けられている。スライド壁432は、下排出トレイ401に積載されたシートの後端(シート排出方向Dsの上流端)と当接する当接面を有する。シートの後端と当接するスライド壁432が下排出トレイ401と共に昇降することで、下排出トレイ401の昇降時にシートの後端が積載壁430と擦れてダメージを受ける可能性が低減される。
【0035】
図4に示すように、スライド壁432は積載壁430に対して略Z軸方向にスライド可能に取付けられ、引張バネ433によって上方に付勢されている。引張バネ433は、軸方向を上下方向(Z軸方向)に向けて配置されたコイルバネである。下排出トレイ401が下降する場合、スライド壁432は、トレイ当接部432aを下排出トレイ401によって押圧されることで下排出トレイ401に追従して下方に移動する。下排出トレイ401が上昇する場合、スライド壁432は、引張バネ433の付勢力によって下排出トレイ401に追従して上方に移動する。
【0036】
トレイ当接部432aの高さは、スライド壁432が下排出トレイ401に追従し始める位置を規定する。本実施形態において、4つのスライド壁432の内、X軸方向(シート幅方向)における内側の一組と外側の一組とでトレイ当接部432aの高さが異なっている。このため、下排出トレイ401が初期位置から所定距離下降すると、内側の一組のスライド壁432が下排出トレイ401に追従し始める。その後、下排出トレイ401が更に下降すると、外側の一組のスライド壁432も下排出トレイ401に追従するようになる。このような構成により、より多くのシートが積載された状態でも、下排出トレイ401の昇降時にシートの後端が積載壁430と擦れてダメージを受ける可能性を低減できる。
【0037】
シート有無レバー440、シート有無フラグ441、シート有無センサ442、シートもたれセンサ450は、下排出部400におけるシートの状態を検知するために設けられている。シート有無センサ442は本実施形態における第1のセンサであり、シートもたれセンサ450は本実施形態における第2のセンサである。
【0038】
(シート有無検知)
まず、下排出トレイ401上のシートの有無を検知する検知機構としてのシート有無レバー440、シート有無フラグ441、シート有無センサ442について説明する。
【0039】
図2及び図4に示すように、シート有無レバー440は、シート当接部440a、フラグ当接部440b及び揺動軸440cを有する。シート有無レバー440は、揺動軸440cを介して下排出トレイ401に支持され、揺動軸440cを中心にして揺動可能に設けられている。シート有無レバー440は、下排出トレイ401に設けられ、下排出トレイ401上のシートに押圧されて移動する移動部材(揺動部材、第1移動部材)である。
【0040】
シート当接部440aは、シート有無レバー440の揺動により、下排出トレイ401の積載面401aの上方に突出する突出位置(上方位置)と、積載面401aと同じ高さまで退避する退避位置(下方位置)とに移動可能である。フラグ当接部440bは、シート当接部440aが突出位置から退避位置へ移動する場合に、シート有無フラグ441を押圧する。
【0041】
図2及び図4に示すように、シート有無フラグ441は、レバー当接部441a、センサ遮光部441b及び揺動軸441cを有する。シート有無フラグ441は、揺動軸441cを介して積載壁430に支持され、揺動軸441cを中心にして揺動可能に設けられている。シート有無フラグ441は、筐体201に設けられ、シート有無レバー440(第1移動部材)に連動して移動する第2移動部材である。
【0042】
レバー当接部441aは、シート有無レバー440のフラグ当接部440bに当接される部分である。レバー当接部441aは、シート有無フラグ441の揺動に応じて、スリット430a(図3)を介してY軸方向に筐体201の外側へ突出した待機位置と、待機位置から筐体201の内側に向かって移動した作動位置とに移動可能である。スリット430aは、積載壁430に設けられた開口部である。図2はシート有無フラグ441が待機位置にある様子を表す。センサ遮光部441bは、シート有無センサ442によって検知される被検知部である。
【0043】
シート有無センサ442は、積載壁430に取付けられ、シート有無フラグ441の揺動を検知するセンサである。シート有無センサ442は、下排出トレイ401上におけるシートの有無に応じた検知信号を発するように構成される。
【0044】
本実施形態では、シート有無センサ442として、シート有無フラグ441のセンサ遮光部441bによって遮光されるフォトインタラプタ(透過型フォトセンサ)を使用する。具体的には、シート有無センサ442は、互いに対向する発光部(LED等の発光素子)と受光部(フォトダイオード等の受光素子)とを有する。受光部が発する信号(電圧値)は、受光部の受光量に応じて変化する。
【0045】
シート有無フラグ441は、レバー当接部441aをシート有無レバー440に押圧されていない状態ではセンサ遮光部441bが発光部から受光部への光路を遮るように配置される。また、シート有無フラグ441は、レバー当接部441aをシート有無レバー440に押圧されている状態ではセンサ遮光部441bが発光部から受光部への光路から退避するように配置される。また、下排出トレイ401が図2に示す初期位置(ホームポジション)に位置する場合、シート有無レバー440のフラグ当接部440bはシート有無フラグ441のレバー当接部441aと対向する。
【0046】
この構成により、図2に示すように下排出トレイ401が初期位置に位置する状態で、シート有無センサ442は下排出トレイ401上のシートの有無に応じた信号を出力する。即ち、下排出トレイ401上にシートが1枚も積載されていない場合、シート有無レバー440のシート当接部440aは突出位置にあり、シート有無フラグ441のセンサ遮光部441bはシート有無センサ442を遮光する。この場合、シート有無センサ442の受光部は遮光状態の信号を出力する。一方、下排出トレイ401上にシートが積載された場合、シート有無レバー440のシート当接部440aはシートに押圧されて退避位置へ移動し、シート有無フラグ441のセンサ遮光部441bはシート有無センサ442を遮光しない位置へ移動する。この場合、シート有無センサ442の受光部は透光状態の信号を出力する。後処理装置200の制御部250(図1)は、シート有無センサ4442の検知信号に基づいて、下排出トレイ401上に積載されたシートの有無を判断することができる。
【0047】
(シートもたれ検知)
次に、下排出部400においてシートの「もたれ」が発生したことを検知する検知機構としてのシートもたれセンサ450について説明する。
【0048】
図2及び図4に示すように、シートもたれセンサ450は、積載壁430に取付けられている。シートもたれセンサ450は、下排出トレイ401に排出されたシートの後端部が積載壁430にもたれかかっているか否かに応じた検知信号を発するように構成される。
【0049】
本実施形態では、シートもたれセンサ450として、積載壁430の外側に光を発する発光部(LED等の発光素子)と、シートからの反射光を検知する受光部(フォトダイオード等の受光素子)とを有するフォトリフレクタ(反射型フォトセンサ)を用いる。積載壁430には、シートもたれセンサ450の発光部からの光及びシートからの反射光を透過させる窓部430b(開口部)が設けられている。受光部が発する信号(電圧値)は、受光部の受光量に応じて変化する。
【0050】
シートもたれセンサ450は、下排出ローラ230のニップ部を通過してシートが排出される軌跡よりも下方に配置される。また、シートもたれセンサ450は、初期位置に位置する下排出トレイ401の積載面401aよりも上方でシートを検知するように配置される。本実施形態では、シートもたれセンサ450は、下排出ローラ230の下端付近に配置される。
【0051】
積載壁430にもたれたシート(もたれシート)が有る場合、シートもたれセンサ450の発光部が発した光はシートによって反射され、受光部に入射する。一方、積載壁430にもたれたシートが無い場合、シートもたれセンサ450にはシートからの反射光が入射しないため、少なくとももたれシートが有る場合に比べて受光部の受光量が減少する。受光部は、受光量に応じたアナログ信号、又は受光量が所定の閾値より多いか否かに応じて二値化した信号を出力するように構成される。いずれの場合も、後処理装置200の制御部250(図1)は、シートもたれセンサ450の検知信号に基づいて下排出トレイ401上におけるもたれシートの有無を判断することができる。
【0052】
なお、シートもたれセンサ450は、所定の高さ位置でシートの有無を検知する構成であるので、シートの後端部が所定の高さ位置を超えたか否かに応じて検知信号を発するセンサ(シート上面高さセンサ)としても機能する。
【0053】
(制御例)
シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450を用いた下排出トレイ401の制御方法の一例を説明する。画像形成システム1がシートに画像を形成して下排出トレイ401に排出する一連の動作(画像形成ジョブ)の開始時点で、下排出トレイ401は初期位置に位置するものとする。制御部250は、シート有無センサ442の検知信号に基づいて、下排出トレイ401上にシートが無いことを確認できる。
【0054】
画像形成ジョブが開始され、1枚目のシートが下排出トレイ401に排出されると、シート有無センサ442の検知信号が切り替わる。これにより、制御部250は、下排出トレイ401上にシートが積載されたことを検知する。その後、制御部250は、下排出トレイ401に排出されたシートの枚数が所定の枚数だけ増える度に、下排出トレイ401を所定距離下降させるように下排出トレイ401の昇降モータに指示を出す。これにより、下排出トレイ401上に積載されたシートの上面高さが略一定に保たれる。
【0055】
一方、画像形成ジョブの実行中にシートもたれセンサ450がシートを検知したことを表す信号を発した場合、制御部250は下排出トレイ401を下降させるように昇降モータに指示を出す。その後、シートもたれセンサ450の発する信号がシートを検知していないことを表す信号に切り替わると、制御部250は下排出トレイ401の下降を停止させる。これにより、下排出ローラ230から排出されるシートがもたれシートに衝突して下排出トレイ401から脱落したり下排出トレイ401上のシートの位置を乱したりすることを抑制できる。
【0056】
なお、以上は制御部250が行う制御の一例であり、制御部250は、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450以外のセンサからの検知信号も参照しながら下排出トレイ401の制御を行うことができる。
【0057】
(その他のセンサ)
上述したシート有無センサ442は、下排出トレイ401上のシートの有無に応じた検知信号を発するセンサの一例である。シート有無フラグ441によって遮光されるフォトセンサに限らず、シート有無フラグの移動を検知するセンサ(一例として、機械式スイッチ、静電容量式近接センサ)はシート有無センサ442として用いることができる。
【0058】
また、シート有無レバー440に連動して移動するシート有無フラグ441の移動を検知するセンサに代えて、シート有無レバー440の移動を直接検知するセンサを用いることもできる。例えば、本実施形態におけるシート有無レバー440のフラグ当接部440bにより遮光される位置にフォトインタラプタを配置することが考えられる。
【0059】
更に、下排出トレイ401上のシートの有無に応じた検知信号を発するシート有無センサを、下排出トレイ401に配置してもよい。具体的には、シート有無レバー440の一部によって遮光されるフォトインタラプタ、又は、積載面401aの上方に向けて光を発してシートからの反射光を検知するフォトリフレクタを下排出トレイ401の内部に配置することが考えられる。この場合、下排出トレイ401の昇降に伴うシート有無センサ442の位置変化を許容するように、以下で説明するシート有無センサ442と接続される束線Wの長さに余裕を持たせる。
【0060】
また、上述したシートもたれセンサ450は、下排出トレイ401におけるシートのもたれの有無に応じた検知信号を発するセンサの一例である。他の構成として、例えば積載壁430から突出するフラグの揺動を検知するフォトセンサや、下排出ローラ230よりも上方に配置され最上位のシートの後端部までの高さ方向の距離を検知する測距センサをシートもたれセンサとして用いてもよい。
【0061】
(センサの配線経路)
上述したシート有無センサ442及びシートもたれセンサ450の配線経路について説明する。図4に示すように、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450は、積載壁430の裏面(筐体201内側の面)に取付けられている。シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450は、積載壁430に沿って配線された束線Wを介して、後処理装置200の制御部250と電気的に接続されている。
【0062】
束線Wは、信号又は電力を伝送する導体と、導体を被覆する絶縁体と、を有する電線の一例である。本実施形態の束線Wは、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450が発する信号を制御部250へ伝送する信号線、及び、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450に電力を供給する電源線(電力供給線)を含む。
【0063】
束線Wは、幹線W0と、分岐部Wbにおいて幹線W0から分岐した第1枝線W1及び第2枝線W2と、を有する分岐ケーブルである。第1枝線W1は、シート有無センサ442と接続され、第2枝線W2は、シートもたれセンサ450と接続される。
【0064】
本実施形態において、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450は、X軸方向における積載壁430の中央部に上下に並んで配置される。つまり、X軸方向におけるシート有無センサ442のセンサ基板の設置範囲とX軸方向におけるシートもたれセンサ450のセンサ基板の設置範囲とが重複しており、シート有無センサ442がシートもたれセンサ450よりも下方に位置する。Z軸方向に見たとき、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450は少なくとも部分的にオーバーラップする。
【0065】
束線Wの第1枝線W1はシート有無センサ442のコネクタ部から上方に延び、第2枝線W2はシートもたれセンサ450のコネクタ部から下方に延びている。そして、第1枝線W1及び第2枝線W2は、分岐部Wbにおいて合流して幹線W0となる。幹線W0は、積載壁430に沿ってX軸方向に延び、中継コネクタ等を経由して制御部250と接続される。
【0066】
幹線W0は、X軸方向における積載壁430の端部から、更に後フレーム201Rに沿って屈曲しながら這い回されている。本実施形態の後フレーム201Rは、上面視でL字状の断面形状を有し、積載壁430に対して略垂直にY軸方向に延びる第1部分201Raと、第1部分201Raに対して略垂直にX軸方向に延びる第2部分201Rbと、を有する。従って、幹線W0は、積載壁430と後フレーム201Rの第1部分201Raとの角部(出隅)及び後フレーム201Rの第1部分201Raと第2部分201Rbとの角部(入隅)に沿って配線される。
【0067】
(束線ガイド)
束線Wを上述した配線経路に沿って配線するための構成について説明する。本実施形態では、屈曲された金属線(線加工品、ワイヤーフォーミング)で形成されるガイド部材に束線Wを保持させ、該ガイド部材を筐体201に取付けることで束線Wを配線する。
【0068】
本実施形態では、ガイド部材として、例えば線径0.5mm~1.0mmの断面円形の金属線をワイヤフォーミングマシン等で加工したワイヤーガイドを用いる。ワイヤーガイドを構成する金属材料は特に限定されないが、例えばアルミ線、鉄線、ステンレス線、真鍮又はリン青銅等の銅合金線を用いることができる。また、ワイヤーガイドの曲げ剛性は、少なくともガイドする電線の曲げ剛性よりも高いものとする。
【0069】
図4に示すように、本実施形態では、束線Wの第1枝線W1をガイドする第1ワイヤーガイド460と、束線Wの幹線W0をガイドする第2ワイヤーガイド470を使用する。第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470の各々は、1本の金属線を塑性変形させることで形成された曲げ加工物(線細工品、ワイヤーフォーミング)である。ここでいう曲げ加工には、直角曲げや、滑らかな曲線に沿った曲げや、螺旋状の曲げ(コイリング)が含まれる。曲げ加工物の一部に、曲げ加工以外の加工(例えばねじ切り、穴あけ、面取り等)が施されていてもよい。第1ワイヤーガイド460は、電線の一部をガイドする第1のガイド部材として機能し、第2ワイヤーガイド470は、電線の他の一部をガイドする第2のガイド部材として機能する。
【0070】
金属材料からなる線材の曲げ加工物のガイド部材を用いて、電線及びガイド部材の少なくとも一方が他方に巻き付いた状態とすることで、ガイド部材に電線を保持させ、ガイド部材を筐体に取付けることで電線を配線する。これにより、以下で詳しく説明するように、配線に必要な空間を小さくしつつ、配線作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0071】
以下、本実施形態に係るワイヤーガイドの詳細を説明する。図4に示すように、第1ワイヤーガイド460は、略鉛直方向(Z軸方向)に延伸する鉛直ガイド部464を有し、鉛直ガイド部464の延伸方向に沿って束線Wの第1枝線W1をガイドする。第2ワイヤーガイド470は、略水平方向(X軸方向)に延伸する水平ガイド部473を有し、水平ガイド部473の延伸方向に沿って束線Wの幹線W0をガイドする。即ち、本実施形態における第1枝線W1の主な配線方向(第1の方向)は上下方向(Z軸方向)であり、幹線W0の主な配線方向(第2の方向)は水平方向(X軸方向)である。
【0072】
なお、束線Wの第2枝線W2は短いため、本実施形態では第2枝線W2をガイドするガイド部材を設けていない。第2枝線W2の長さ(分岐部Wbからシートもたれセンサ450のコネクタ部までの第2枝線W2の中心線に沿った長さ)が大きい場合には、例えば第2枝線W2をガイドするワイヤーガイドを追加してもよい。
【0073】
(1)第1ワイヤーガイド460
図5は、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470が積載壁430に取付けられ、かつ、束線W、シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450の図示を省略した状態を示している。
【0074】
図5に示すように、第1ワイヤーガイド460は、フレーム接点部461と、鉛直部462と、水平部463と、鉛直ガイド部464と、少なくとも1つの螺旋部465と、加圧接触部466と、を有する。
【0075】
第1ワイヤーガイド460のフレーム接点部461は、シート有無センサ442が装着される積載壁430の装着部431aの下方に位置する。フレーム接点部461は、積載壁430に対して、金属線の端460aから下方に向かって積載壁430から離れる方向(Y軸方向に図中手前側の方向)に斜めに延びた後、2回略垂直に屈曲して積載壁430に戻ってくる略コの字形状を有する。
【0076】
フレーム接点部461は、積載壁430が筐体201の一部として組付けられると、後処理装置200の枠体を構成する板金フレーム201M(図2参照)と接触するように配置されている。板金フレーム201Mは、電気的に接地された導電性部材の一例であり、導電性部材は例えば金属メッキ処理が施された樹脂部材や、枠体に装着された金属のシート材又は線材であってもよい。
【0077】
板金フレーム201Mは、積載壁430に対して筐体201の内側に配置され、Y軸方向に積載壁430と対向する位置に配置される。また、板金フレーム201Mは、電気的に接地されている。従って、第1ワイヤーガイド460は、Y軸方向の弾性を有するフレーム接点部461により、Y軸方向に積載壁430と対向する板金フレーム201Mとの電気的な導通が確保される。そして、第1ワイヤーガイド460は、板金フレーム201Mを介して電気的に接地される。つまり、フレーム接点部461の略コの字形状は、フレーム接点部461(ガイド部材の接触部)を板金フレーム201M(導電性部材)に圧接させるための弾性力を発生させる弾性形状の一例である。
【0078】
ガイド部材の接触部を導電性部材に圧接させるための弾性形状はこれに限らず、例えば第1ワイヤーガイド460の端部を、鉛直部462から下方に向かって積載壁430から離れるように鉛直部462に対して屈曲した単純な屈曲形状としてもよい。また、フレーム接点部461をY軸方向に伸縮可能なコイルバネとして形成してもよい。
【0079】
鉛直部462は、フレーム接点部461から略鉛直方向上方に延びて、シート有無センサ442とシート有無フラグ441が通るスリット430aとの間を通っている。水平部463は、シート有無センサ442が装着される装着部431aに沿って略水平(X軸方向)に延びている。
【0080】
鉛直ガイド部464は、水平部463から略鉛直方向上方に延びている。鉛直ガイド部464には、2つの螺旋部465が配置されている。螺旋部465の各々は、材料である金属線を螺旋状に少なくとも1巻き以上(360°以上)巻いた螺旋形状(コイリング加工部)である。鉛直ガイド部464の螺旋部465以外の部分は、第1枝線W1の配線方向である鉛直方向に延びた延伸部である。
【0081】
螺旋部465は、第1ワイヤーガイド460が第1枝線W1に巻き付くことで第1枝線W1を保持する部分である(図4参照)。ここで、「巻き付く」とは、略同一方向に延伸する2本の細長い部材(線状部材)が、延伸方向と交差する任意の方向に相対移動させようとしても容易に分離しないように絡み合っている状態を指す。つまり、2本の線状部材A,Bの一方(A)が他方(B)に巻き付いた状態とは、A,Bの延伸方向と直交する平面内の360°いずれの方向から見ても、Bの手前側でAがBと交差した箇所が少なくとも1つ存在することを指す。
【0082】
螺旋部465の各々の巻き数を1以上とすることで、螺旋部465が第1枝線W1に巻き付いた状態で第1枝線W1が第1ワイヤーガイド460に保持された状態を実現できる。即ち、第1枝線W1に螺旋部465が巻き付いた状態では、第1ワイヤーガイド460の鉛直ガイド部464の延伸方向(Z軸方向)と交差する方向に第1枝線W1を移動させようとしても、螺旋部465により第1枝線W1の離脱が阻止される。
【0083】
螺旋部465の巻き数を増やすことで、螺旋部465における第1枝線W1の傾きを制限して、第1枝線W1が第1ワイヤーガイド460からより脱落しにくくすることができる。一方、螺旋部465の1箇所当たりの巻き数や螺旋部465を配置する数を余りに多くすると、螺旋部465を第1枝線W1に巻き付ける作業の手間が増える。
【0084】
本実施形態では、2巻き程度の螺旋部465を互いに離間させて2箇所に配置したことで、螺旋部465の巻き数や配置数を抑制しつつ、螺旋部465により第1枝線W1を強固に保持させて第1枝線W1の脱落を防ぐことができる。1箇所当たりの螺旋部465の巻き数は、例えば1巻き以上5巻き以下とすると好適であり、更に1.5巻き以上3巻き以下とすると好適である。なお、鉛直ガイド部464に3つ以上の螺旋部465を配置してもよく、鉛直ガイド部464の全体を連続した1つの螺旋形状としてもよい。
【0085】
加圧接触部466は、鉛直ガイド部464の上端からX軸方向に屈曲して延びた部分に設けられている。加圧接触部466は、第1ワイヤーガイド460を構成する金属線の弾性を利用して、第2ワイヤーガイド470と接触して電気的な導通を確保する部分である。本実施形態の加圧接触部466は、ねじりコイルバネの形状とし、第1ワイヤーガイド460の端460bを積載壁430のバネ掛け部430cに引っ掛けることで積載壁430から反力を得る構造としている。つまり、加圧接触部466のねじりコイルバネ形状は、第1ワイヤーガイド(第1のガイド部材)と当接部472(接点部)とを圧接させるための弾性力を発生させる弾性形状の一例である。
【0086】
なお、第1のガイド部材と第2のガイド部材の接点部とを圧接させるための弾性形状はねじりコイルバネに限らない。例えば加圧接触部466をゼムクリップ等のワイヤークリップ形状に形成し、第2ワイヤーガイド470の当接部472を挟持させてもよい。また、加圧接触部466をフレーム接点部461のような屈曲形状とし、屈曲形状の先端部を積載壁430に設けたリブに引っ掛けることで当接部472への当接圧を生じさせるようにしてもよい。また、当接部472を第1ワイヤーガイド460に圧接させるための弾性形状を、第2ワイヤーガイド470に配置してもよい。
【0087】
(2)第2ワイヤーガイド470
図5に示すように、第2ワイヤーガイド470は、水平部471と、当接部472と、水平ガイド部473と、少なくとも1つの螺旋部475と、フック部474(図4)と、を含む。
【0088】
水平部471は、積載壁430の穴に引っ掛けられた第2ワイヤーガイド470の端部から、装着部431bに装着されるシートもたれセンサ450と積載壁430との間の空間を通って略水平方向(X軸方向)に延びる部分である。当接部472は、水平部471から下方にクランク状に屈曲して再び略水平方向に延びた部分である。当接部472は、第1ワイヤーガイド460の加圧接触部466に接触される部分である。当接部472が加圧接触部466と接触することで、第2ワイヤーガイド470と第1ワイヤーガイド460の電気的な導通が確保され、第2ワイヤーガイド470は第1ワイヤーガイド460を介して電気的に接地される。
【0089】
水平ガイド部473は、当接部472から略水平方向(X軸方向)に延びる部分である。水平ガイド部473には、3つの螺旋部475が互いに離間して配置されている。螺旋部475の各々は、材料である金属線を螺旋状に少なくとも1巻き以上(360°以上)巻いたコイル形状(コイリング加工部)である。水平ガイド部473の螺旋部475以外の部分は、略水平方向に直線状に延びている。
【0090】
螺旋部475は、第2ワイヤーガイド470が幹線W0に巻き付くことで第1枝線W1を保持する部分である(図4参照)。本実施形態では、2巻き程度(1巻き以上3巻き以下)の螺旋部475を互いに離間させて3箇所に配置したことで、螺旋部475を可能な限り少なくしつつ、螺旋部475により幹線W0を強固に保持させて幹線W0の脱落を防ぐことができる。なお、水平ガイド部473に4つ以上又は2つ以下の螺旋部475を配置してもよく、水平ガイド部473の全体を連続した1つの螺旋部475としてもよい。
【0091】
フック部474は、水平ガイド部473の先端に設けられている(図4)。フック部474は、第2ワイヤーガイド470の端部を筐体201の一部に引っ掛けて固定するための鉤形状である。
【0092】
(3)ワイヤーガイド取付け用のリブ
積載壁430には、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470を筐体201に取付けるための突起として複数のリブ435a~435kが設けられている(図4図5)。これらのリブ435a~435kは、積載壁430と共通の樹脂材料により積載壁430と一体成型することができる。
【0093】
図5に示すように、リブ435aは、シート有無センサ442の装着部431aとシート有無フラグ441用のスリット430aとの間に設けられ、第1ワイヤーガイド460の鉛直部462のX軸方向の位置を規制する。リブ435bは、第1ワイヤーガイド460の水平部463と鉛直ガイド部464の間の屈曲部の位置を規制する。リブ435cは、第1ワイヤーガイド460の2つの螺旋部465の間で、かつ、鉛直ガイド部464とスライド壁用の引張バネ433との間に設けられ、鉛直ガイド部464のX軸方向の位置を規制する。リブ435d,435eは、第1ワイヤーガイド460の鉛直ガイド部464と加圧接触部466との間の屈曲部の位置を規制する。リブ435fは、バネ掛け部430cと共に、第1ワイヤーガイド460の加圧接触部466のX軸方向の位置を規制する。これらのリブ435a~435f及びバネ掛け部430cにより、第1ワイヤーガイド460は積載壁430から脱落することなく保持される。
【0094】
第1ワイヤーガイド460の鉛直ガイド部464は、リブ435b、435c、435dにX軸方向の両側から挟まれることでX軸方向に位置決めされる。また、鉛直ガイド部464は、リブ435b,435dに屈曲部を保持されることでZ軸方向に位置決めされる。更に、鉛直ガイド部464は、第1ワイヤーガイド460の両端部が後述するように積載壁430に対して固定されることで、Y軸方向に関して積載壁430に接触又は近接した位置に位置決めされる。
【0095】
このように鉛直ガイド部464が積載壁430に対して位置決めされることで、鉛直ガイド部464にガイドされる束線Wの配線経路が定まる。なお、鉛直ガイド部464がリブ435b~435dに直接当接して位置決めされる構成に限らず、鉛直ガイド部464に保持される束線Wがリブ435b~435dに当接することで鉛直ガイド部464及び束線Wが位置決めされるようにしてもよい。
【0096】
鉛直ガイド部464に沿って配置されるリブ435b~435dの高さ(積載壁430に対するY軸方向の突出高さ)は、鉛直ガイド部464を安定して保持可能な限りで低い方が好ましい。例えばリブ435b~435dの高さを螺旋部465の外径と同程度又はそれ以下とすることができる。これにより、リブ435b~435dの存在により束線Wの配線に必要な空間が実質的に大きくなることを抑制できる。
【0097】
また、図5に示すように、リブ435e,435fは、第2ワイヤーガイド470の当接部472のZ軸方向の位置を規制する。リブ435g,435hは、第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473を下から支えてZ軸方向の位置を規制する。図4に示すように、リブ435iは、第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473を上方から押さえる面及びY軸方向に積載壁430と対向する面を有し、水平ガイド部473のZ軸方向及びY軸方向の位置を規制する。リブ435jは、第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473を上方から押さえて、水平ガイド部473のZ軸方向の位置を規制する。リブ435kは、第2ワイヤーガイド470のフック部474が引っ掛けられる部分である。これらのリブ435e~435kにより、第2ワイヤーガイド470は積載壁430から脱落することなく保持される。
【0098】
第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473は、リブ435g,435hに下面を支持され、リブ435i,435jに上方から押さえられることでZ軸方向に位置決めされる。また、水平ガイド部473は、フック状のリブ435iにより、Y軸方向に積載壁430に接触又は近接した位置に位置決めされる。更に、水平ガイド部473は、第2ワイヤーガイド470の両端部が後述するように積載壁430に対して固定されることで、X軸方向に位置決めされる。このように水平ガイド部473が積載壁430に対して位置決めされることで、水平ガイド部473にガイドされる束線Wの配線経路が定まる。なお、水平ガイド部473がリブ435g~435jに直接当接して位置決めされる構成に限らず、水平ガイド部473に保持される束線Wがリブ435g~435jに当接することで水平ガイド部473及び束線Wが位置決めされるようにしてもよい。
【0099】
水平ガイド部473に沿って配置されるリブ435g~435jの高さ(積載壁430に対するY軸方向の突出高さ)も、水平ガイド部473を安定して保持可能な限りで低い方が好ましい。例えばリブ435g,435h,435jの高さは、螺旋部475の外径と同程度又はそれ以下とする。これにより、435g,435h,435jの存在により束線Wの配線に必要な空間が実質的に大きくなることを抑制できる。
【0100】
上記のようにガイド部材を固定するための突起(リブ435a~435k)の少なくとも一部(好ましくは全部)を積載壁430と一体成型したため、積載壁430とは別にガイド部材を固定するための部材を設ける場合に比べて製造コストや工数を削減できる。また、突起(リブ435a~435k)が占有する空間は非常に小さいので、積載壁430とは別にガイド部材を固定するための部材を設ける場合に比べて束線Wの配線に必要な空間を更に節約することができる。
【0101】
第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470は、リブ435a~435kによって規定される組付け後の形状に従って予め曲げ加工された部材である。例えば第1ワイヤーガイド460は、積載壁430への取付け後の状態でリブ435b,435d,435eの角部に対応する位置において略直角に曲げ加工した屈曲部を有する。上述した螺旋部465,475も、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470の作成時にコイリング加工された形状である。
【0102】
(束線及びワイヤーガイドの取付方法)
積載壁430に対し、シートもたれセンサ450、シート有無センサ442、第1ワイヤーガイド460、第2ワイヤーガイド470及び束線Wを組付ける方法について、図4及び図5を参照して説明する。
【0103】
(1)最初に、積載壁430に第2ワイヤーガイド470の一方の端部を取付ける(第2ワイヤーガイド470の仮固定)。即ち、積載壁430の裏面側から第2ワイヤーガイド470の水平部471を積載壁430の穴430dに通すことで、第2ワイヤーガイド470の一方の端部を積載壁430に固定する。これにより、第2ワイヤーガイド470の一方の端部が第1保持部としての穴430dに保持された状態となる。また、第2ワイヤーガイド470の当接部472を積載壁430の裏面に当て、水平ガイド部473を積載壁430の裏面に沿って略X軸方向に延ばした状態とする。このとき、第2ワイヤーガイド470の他方の端部に位置するフック部474は、積載壁430に固定せずに自由にしておく。
【0104】
(2)第1枝線W1を第1ワイヤーガイド460に取付ける(第1枝線W1と第1ワイヤーガイド460の一体化)。即ち、第1枝線W1をシート有無センサ442のコネクタ部と接続した束線Wを把持し、第1枝線W1の分岐部Wbに近い部分に第1ワイヤーガイド460の上側の螺旋部465を巻き付かせる。具体的には、螺旋部465の開放部分に第1枝線W1を嵌め込んだ後、第1枝線W1及びシート有無センサ442を螺旋部465の螺旋方向に旋回させながら第1枝線W1を螺旋部465の内側に押し込んでいく。これにより、第1枝線W1に螺旋部465が巻き付いた状態となる。同様の作業をもう一つの螺旋部465についても行う。これにより、第1枝線W1に螺旋部465の各々が巻き付いた状態で、第1枝線W1が第1ワイヤーガイド460に保持される。
【0105】
(3)積載壁430に第1ワイヤーガイド460の一方の端部を取付ける(第1ワイヤーガイド460の仮固定)。即ち、第1ワイヤーガイド460のフレーム接点部461をシート有無センサ442の装着部431aの下方に位置させ、鉛直部462を装着部431aの側方に位置させ、水平部463を装着部431aの上方に位置させる。
【0106】
(4)積載壁430にシート有無センサ442を取付ける。即ち、上記(3)のように第1ワイヤーガイド460のフレーム接点部461等を位置決めした状態で、シート有無センサ442を装着部431aに対してネジ止め又はスナップフィット等の方法で固定する。これにより、第1ワイヤーガイド460の一方の端部が積載壁430の壁面と装着部431aとシート有無センサ442との間の空間(第1保持部)に保持された状態となる。
【0107】
(5)積載壁430に第1ワイヤーガイド460の残りの部分を取付ける(第1ワイヤーガイド460の本固定)。即ち、第1枝線W1を保持している第1ワイヤーガイド460の鉛直ガイド部464をリブ435b~435dに沿って這い回す。そして、第1ワイヤーガイド60の加圧接触部466を第2ワイヤーガイド470の当接部472に重ねた状態で、第1ワイヤーガイド460の端部を積載壁430のバネ掛け部430cに引っ掛けて固定する。これにより、第1ワイヤーガイド460の他方の端部が第2保持部としてのバネ掛け部430cに保持された状態となる。また、ねじりコイルバネである加圧接触部466のバネ掛け部430cとは反対側の腕部が当接部472に圧接し、第1ワイヤーガイド460と第2ワイヤーガイド470の導通が確保される。また、第1ワイヤーガイド460の両端部が固定されたことで、第1枝線W1は鉛直ガイド部464にガイドされて積載壁430に沿って配線された状態となる。
【0108】
(6)積載壁430にシートもたれセンサ450を取付ける。即ち、シートもたれセンサ450を、積載壁430の装着部431bにネジ止め又はスナップフィット等の方法で固定する。
【0109】
(7)幹線W0を第2ワイヤーガイド470に取付ける(幹線W0と第2ワイヤーガイド470の一体化)。即ち、第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473に設けられた螺旋部475の各々を、束線Wの幹線W0に巻き付かせる。このとき、第2ワイヤーガイド470の他方の端部(フック部474)は積載壁430に固定されていないため、上記(2)で説明したのと同様の方法で、幹線W0に螺旋部475を容易に巻き付けることができる。これにより、幹線W0に螺旋部475の各々が巻き付いた状態で、幹線W0が第2ワイヤーガイド470に保持される。
【0110】
(8)積載壁430に第2ワイヤーガイド470の残りの部分を取付ける(第2ワイヤーガイド470の本固定)。即ち、幹線W0を保持している第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473を、リブ435g~435jに沿って這い回す。そして、第2ワイヤーガイド470のフック部474を第2保持部としてのリブ435kに引っ掛けて固定する。第2ワイヤーガイド470の両端部が固定されたことで、幹線W0は水平ガイド部473にガイドされて積載壁430に沿って配線された状態となる。
【0111】
(本実施形態の利点)
以上説明した通り、本実施形態では、電線(束線W)を金属材料の線材からなる曲げ加工物であるガイド部材(第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470)に保持させ、ガイド部材を筐体201に取付けることで電線を配線する。取付け状態において、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470は、束線Wに巻き付いた状態で束線Wを保持する。従って、例えば束線Wの配線経路に沿って断面コの字状が連続する形状の樹脂製ガイドを用いる場合に比べて、束線Wの配線に必要な空間を小さくすることができる。
【0112】
また、束線Wに第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470の螺旋部465,475を巻き付けて第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470を筐体201に取付けることで、筐体201に束線Wを配線することができる。従って、束線Wを、筐体201に設けた多数の突起の各々に挟持させたり引っ掛けたりする構成に比べて、束線Wの配線作業の作業性が向上する。
【0113】
特に、本実施形態では、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470が束線Wを保持する部分(鉛直ガイド部464及び水平ガイド部473)の占有体積は、螺旋部465,475と同じ外径の円筒の体積と同程度である。このため、束線Wの配線に必要な空間をより小さくすることができる。
【0114】
また、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470は、いずれも、一方の端部が積載壁430に保持され他方の端部が積載壁430に保持されていない状態で、螺旋部465,475を束線Wに巻き付けることが可能な形状に形成される。即ち、螺旋部465の形状(ピッチや巻き数)が、第1枝線W1に対して第1ワイヤーガイド460の他方の端部を旋回させることで容易に第1枝線W1に螺旋部465を巻き付けられるように設定される。同様に、螺旋部475の形状(ピッチや巻き数)が、幹線W0に対して第2ワイヤーガイド470の他方の端部を旋回させることで容易に幹線W0に螺旋部475を巻き付けられるように設定される。このような構成により、積載壁430から離れた位置で第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470に束線Wを保持させる作業を行うことができるので、作業スペースの確保が容易になって作業性が向上する。
【0115】
また、図5に示すように本実施形態では第1枝線W1とスライド壁432用の引張バネ433が近接する配置となっている。スライド壁432と第1枝線W1の接続先のシート有無センサ442は、いずれも多様なサイズのシートに対応するため、X軸方向における積載壁430の中央付近に配置することが好ましい。このような配置において、本実施形態では第1枝線W1の配線に必要な空間が小さく済むので、X軸方向におけるシート有無センサ442と引張バネ433の間の空間を通って第1枝線W1を配線することができる。
【0116】
また、第1枝線W1にスライド壁432が近接する配置においては、スライド壁432の移動時に第1枝線W1がスライド壁432と接触すると、例えば第1枝線W1の絶縁被覆が摩耗して、内部の導線が露出し、ショートする懸念がある。この点に関して、本実施形態では、第1枝線W1を2つの螺旋部465の内側を通って配線することで、第1枝線W1を引張バネ433と略平行に保持することができる。これにより、第1枝線W1とスライド壁432の接触を防いで、可動部である引張バネ433から第1枝線W1を保護することができる。
【0117】
また、第2ワイヤーガイド470の水平ガイド部473の背後にはシート処理装置の不図示の板金フレームが近接している。この板金フレームのエッジから束線Wを保護するために、水平ガイド部473の途中に螺旋部475を3か所設けている。水平ガイド部473は第1ワイヤーガイド460の鉛直ガイド部464より長いため、螺旋部475を3か所に増やして螺旋部間での束線Wのたるみを防止している。このような構成により、螺旋部475の表面に板金フレームのエッジが触れたとしても、螺旋部475を内側を通る幹線W0が板金フレームのエッジに接触して損傷することを防ぐことができる。
【0118】
ところで、螺旋部465の内径は、第1枝線W1の直径に若干のゆとりを持たせた寸法に設定する。螺旋部465の外径は、内径に第1ワイヤーガイド460の材料として用いた線材の線径の2倍を加算した値である。
【0119】
樹脂製ガイドの場合、積載壁430に装着されるガイドのベース部分の厚みと、ベース部分から突出するフック形状の厚みと、ベース部分とフック形状の間の束線を通す空間と、の合計が配線に必要な厚みとなる。ベース部分とフック形状の厚みは、要求される強度や難燃性等によって変わるが、例えば1.0mmから1.6mm程度であった。このため直径3mmの束線を使用する場合は、束線を通す空間の幅を4mmとし、ベース部分とフック形状の厚みを1.6mmとして、7.2mmの厚みが束線の配線に必要であった。フック部の強度を確保するために補強リブを形成した場合には更に厚みが大きくなる。
【0120】
これに対し、本実施形態では例えば線径0.5mmのワイヤーで第1ワイヤーガイド460を形成し、螺旋部465で第1枝線W1を保持する。この場合、螺旋部465の内径を前述のベース部分とフック形状との間の幅と同じ4mmに設定しても螺旋部465の厚みは5.0mmで済むため、2.2mmの厚み削減が可能となる。積載壁430の裏面には後処理装置200の板金フレームや装置内部の機構が配置されるため、束線Wの配線に必要な厚み(Y軸方向の占有幅)が小さければ束線Wを保護しつつ筐体201内の空間を有効活用できる。
【0121】
また、本実施形態では、第1ワイヤーガイド460を筐体201の板金フレーム201Mと接触させて接地している。金属線からなる第1ワイヤーガイド460を接地するので、第1ワイヤーガイド460に静電気放電(Electro-Static Discharge:ESD)対策機能を持たせることができる。また、第2ワイヤーガイド470も第1ワイヤーガイド460を介して接地させているので、第2ワイヤーガイド470にもESD対策機能を持たせることができる。
【0122】
具体的に、本実施形態では、積載壁430に形成された開口部(スリット430a及び窓部430b)を利用して積載壁430外側のシートを検知可能に構成されたセンサ(シート有無センサ442及びシートもたれセンサ450)を用いている。このような構成において、第1ワイヤーガイド460に、束線Wをガイドする部分(鉛直ガイド部464)とは別に積載壁430に沿って開口部(スリット430a)の周囲を通る部分(鉛直部462)を設けている。また、第2ワイヤーガイド470にも、束線Wをガイドする部分(水平ガイド部473)とは別に積載壁430に沿って開口部(窓部430b)の周囲を通る部分(水平部471)を設けている。
【0123】
このような構成により、例えば帯電したユーザの体の一部が積載壁430の開口部に接近して開口部を介して筐体201内に静電気放電が侵入する場合でも、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470により電流を接地電位に逃がすことができる。従って、シート有無センサ442、シートもたれセンサ450、制御部250及びその他の電子部品を静電気放電から保護することができる。また、第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470に弾性形状を設けたことで、接地電位への導通経路をより確実に確保することができる。
【0124】
また、本実施形態のガイド部材である第1ワイヤーガイド460及び第2ワイヤーガイド470は、金属線をワイヤフォーミングマシン等で多方向から曲げて製造される曲げ加工物であり、樹脂成型用の金型は不要である。このため、樹脂製のガイド部材を用いる場合に比べて初期投資を抑えることができる。
【0125】
また、束線Wの配線長や配線経路を微調整したい場合、樹脂製のガイド部材では金型の削りや溶接を伴う修正を行わなければならず、改修費用は大きくなる傾向がある。これに対し、金属線の曲げ加工物である本実施形態のガイド部材は、ワイヤフォーミングマシンのプログラミング変更と調整を行うことで比較的低コストで対応可能である。
【0126】
また、樹脂製のガイド部材では、ガイド部材が束線の絶縁被覆を傷つけることが無いように、金型のキャビ、コアの合わせ目で生じるバリや段差を所定の基準(例えば0.1mm以下)で厳しく管理する必要があり、定期的な金型メンテナンスが必要である。また、樹脂製のガイド部材では金型に丸みをつけてエッジを無くした形状とするが、スライドの合わせ部など丸みをつけられない箇所がある。このような箇所が束線の配線経路上に生じないように配慮しなければならない等、製造上や設計上の制約がある。
【0127】
これに対し、金属線の曲げ加工物である本実施形態のガイド部材は、金型のような合わせ目の管理やメンテナンスは不要であり、金属線両端の切断面以外に製造時にエッジが発生することは通常起こらない。このため、束線の損傷リスクを低く抑えることができる。特に、材料として断面が円形の線材を用いることで、束線の損傷リスクをより低く抑えることができる。
【0128】
(変形例)
上述した螺旋部465,475は円筒状に形成されているが、軸方向に見て多角形を描くように屈曲を繰り返すことで螺旋形状を形成させてもよい。例えば、螺旋部45,475を、軸方向(束線Wの配線方向)に見て正方形を描くように線材を屈曲させた四角柱状としてもよい。
【0129】
また、本実施形態において、第1ワイヤーガイド460によってガイドされる第1枝線W1はZ軸方向に略直線状に延び、第2ワイヤーガイド470によってガイドされる幹線W0はX軸方向に略直線状に延びている。これに限らず、ガイド部材は屈曲又は湾曲した配線経路に沿って電線をガイドするものであってもよい。その場合、螺旋部465,475は、配線経路に沿った位置及び向きで適宜配置される。
【0130】
《第2実施形態》
第2実施形態に係るガイド部材について説明する。本実施形態のガイド部材は、形状が第1実施形態に係るガイド部材と異なっている。以下、第1実施形態と共通の参照符号を付した要素は、第1実施形態で説明したものと実質的に同一の構成及び作用を有するものとし、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0131】
図6は、本実施形態に係る第2ワイヤーガイド480を備えた後処理装置200の配線構造を積載壁430の裏側から見た斜視図であり、束線Wを取付けていない状態を示す。図7は、束線Wを取付けた第2ワイヤーガイド480を積載壁430に取付けた状態を示す斜視図である。
【0132】
図6に示すように、本実施形態の第2ワイヤーガイド480は、束線W(幹線W0)の主な配線方向(X軸方向)に沿って配線方向と交差する所定方向(Z方向)の凹凸が繰り返し形成された波形状を有する。より具体的には、本実施形態の第2ワイヤーガイド480は、直角曲げによって形成されるクランク形状(矩形波状)からなる連結部486を有する。
【0133】
連結部486は、配線方向に連続して配置された少なくとも2つのクランク部485を含む。クランク部485(矩形波1つ分)は、水平ガイド部483の延伸方向(X軸方向)に延びた延伸部から直角曲げで上方に立ち上がる立ち上げ部485aと、2つ目の直角曲げで延伸方向と平行に延びる平行部485bとを含む。また、クランク部485は、3つ目の直角曲げで下方に向かって戻る戻り部485cを含み、4つ目の直角曲げで水平ガイド部483の延伸部に戻る。このようなクランク部485を、少なくとも水平ガイド部483の2か所に設ける。
【0134】
そして、図7に示すように、束線W(幹線W0)が、配線方向(X軸方向)の一方側から他方側に向かって立ち上げ部485aの前を通過した後、戻り部485cの裏を通って戻ることを繰り返すように、束線Wとクランク部485を絡み合わせる。つまり、束線Wの配線方向(X軸方向)及び所定方向(Z軸方向)の双方と交差する方向(Y軸方向)に見た場合に、配線方向に沿って束線Wが第2ワイヤーガイド480の手前側と奥側を交互に通過する状態とする。
【0135】
束線Wを中心に考えると、配線方向に沿って束線Wの周りを第2ワイヤーガイド40の連結部486が周回している。そして、配線方向(X軸方向)と直交する平面内の360°いずれの方向から見ても、束線Wの手前側で第2ワイヤーガイド40が束線Wと交差した箇所が少なくとも1つ存在する。つまり、本実施形態の第2ワイヤーガイド480と束線Wの関係は、2本の線状部材の一方が他方に巻き付く態様の一つであると言える。なお、第2ワイヤーガイド40を中心に考えると、配線方向に沿って第2ワイヤーガイド40の周りを束線Wが周回しているため、本実施形態において束線Wと第2ワイヤーガイド40は互いに巻き付いていると言うこともできる。
【0136】
ここで、ガイド部材に束線を保持させるガイド部材と束線の接触箇所(交差箇所)がいくつ必要になるか説明する。図8(a)のように1箇所の接触(交差)では、ガイド部材から束線は容易に離脱してしまう(図8(b))。図9(a)のように2箇所の接触(交差)では、束線の図中右端が奥へ向かい図中左端が手前に向かうような回転が規制されていないので、束線は比較的容易に離脱してしまう(図9(b))。図10のように3箇所で接触(交差)していると、中央の接触箇所を中心にして両方向の回転が規制された状態になっているので、束線はガイド部材から容易に離脱しない。
【0137】
本実施形態では、図6及び図7に示すように、クランク部485を連続して少なくとも2つ配置した連結部486を設けている。図示した例では、2つのクランク部485からなる連結部486を水平ガイド部483に3つ配置している。連結部486の間において、水平ガイド部483は束線Wの配線方向(X軸方向)と略平行に直線状に延びた延伸部となっている。Y字方向に見て1つの連結部486が束線Wと交差する回数(立ち上げ部485aと戻り部485cの合計の数)は、3以上であるものとする。一方、束線Wを連結部486に絡み合わせる作業が煩雑とならないよう、1つの連結部486が束線Wと交差する回数は、例えば10以下とし、好ましくは6以下とする。ただし、水平ガイド部483の全体をクランク部485が連続した一つの波形状としてもよい。
【0138】
このように少なくとも2つのクランク部485を含む連結部486に束線Wを絡み合わせると、図7に示すように、1つの連結部486において束線Wが第2ワイヤーガイド480と3箇所以上で交差する。これにより、Z軸方向に見て第2ワイヤーガイド480に対して束線Wが回転することはない。また、束線Wの延伸方向(X軸方向)と交差する任意の方向に束線Wを移動させようとしても、束線Wがクランク部485のいずれかの部分と干渉する。そのため、束線Wは第2ワイヤーガイド480から脱落せずに保持された状態となる。
【0139】
本実施例においても、第2ワイヤーガイド480の一方の端部を積載壁430に保持させた状態で、第2ワイヤーガイド480の他方の端部を束線Wに対して旋回させながら連結部486に束線Wを絡み合わせることができる。つまり、第2ワイヤーガイド480を束線Wに対して旋回させることで束線Wがクランク部485に容易に絡み合うように、クランク部485の幅や高さが設定されている。
【0140】
第2ワイヤーガイド480を積載壁430に取付ける方法は、基本的に第1実施形態と共通である。なお、第1ワイヤーガイド460は、第1実施形態と同様のものを用いてもよく、螺旋部465に代えてクランク形状を有する第1ワイヤーガイド460を用いてもよい。
【0141】
このように、本実施形態においても、金属材料の線材からなるガイド部材に電線を保持させてガイド部材を筐体に取付けることで、電線の配線に必要な空間を小さくしつつ、配線作業の作業性を向上させることができる。
【0142】
本実施形態の利点として、第2ワイヤーガイド480の作成がより容易になることが挙げられる。即ち、第1実施形態のガイド部材は螺旋形状の螺旋部465,475が直線部と連続しており、ワイヤーフォーミングの加工条件を慎重に調整する必要がある場合がある。これに対し、本実施形態の第2ワイヤーガイド480は束線Wを保持するための形状として直角曲げで構成されたクランク部485を有するので、曲げ加工がより容易になる。
【0143】
また、本実施形態では、束線Wが第2ワイヤーガイド480のクランク部485を縫うように配線されるので、配線方向に束線Wを引っ張るとクランク部485から受ける摩擦力によって束線Wの移動が規制される。このため、束線Wを第2ワイヤーガイド480に保持させた後に束線Wを引張るような外力を加えても、束線Wが第2ワイヤーガイド480に対して位置ずれしにくい。
【0144】
《第3実施形態》
第3実施形態に係るガイド部材について説明する。本実施形態のガイド部材は、第2実施形態に係るガイド部材の変形例である。以下、第1実施形態と共通の参照符号を付した要素は、第1実施形態で説明したものと実質的に同一の構成及び作用を有するものとし、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0145】
図11は、本実施形態に係る第2ワイヤーガイド490を備えた後処理装置200の配線構造を積載壁430の裏側から見た斜視図であり、束線Wを取付けていない状態を示す。図12は、束線Wを取付けた第2ワイヤーガイド490を積載壁430に取付けた状態を示す斜視図である。
【0146】
第2実施形態では、第2ワイヤーガイド480の直角クランク状(矩形波状)の連結部486に束線Wを絡ませる方法を用いたが、本実施形態では、三角クランク状(三角波状)の連結部496を備えた第2ワイヤーガイド490を用いる。図11に示すように、連結部496は、束線Wの配線方向(X軸方向)に連続する少なくとも2つの三角クランク部495を含む。
【0147】
三角クランク部495は、水平ガイド部493の延伸方向(X軸方向)に延びた延伸部から鈍角曲げで上方に立ち上がる立ち上げ部495aと、立ち上げ部から鋭角曲げ)に折れて下方に延びる戻り部495bと、を含む。三角クランク部495は、戻り部495bから2つ目の鈍角曲げで延伸部に戻る。鈍角曲げと鋭角曲げの角度は、例えば屈曲部の内側の角度で120°と60°である。
【0148】
つまり、本実施形態の連結部496は、束線W(幹線W0)の主な配線方向(X軸方向)に沿って配線方向と交差する所定方向(Z方向)の凹凸が繰り返し形成された波形状の他の例として、三角波状に形成される。
【0149】
そして、図12に示すように、束線W(幹線W0)が、配線方向(X軸方向)の一方側から他方側に向かって立ち上げ部495aの前を通過した後、戻り部495bの裏を通って戻ることを繰り返すように、束線Wと三角クランク部495を絡み合わせる。つまり、束線Wの配線方向(X軸方向)及び所定方向(Z軸方向)の双方と交差する方向(Y軸方向)に見た場合に、配線方向に沿って束線Wが第2ワイヤーガイド490の手前側と奥側を交互に通過する状態とする。本実施形態の第2ワイヤーガイド490と束線Wの関係も、2本の線状部材の一方が他方に巻き付く態様の一つであると言える。
【0150】
このように少なくとも2つの三角クランク部495を含む連結部496に束線Wを絡み合わせると、図12に示すように、1つの連結部496において束線Wが第2ワイヤーガイド490と3箇所以上で交差する。これにより、Z軸方向に見て第2ワイヤーガイド490に対して束線Wが回転することはない。また、束線Wの延伸方向(X軸方向)と交差する任意の方向に束線Wを移動させようとしても、束線Wが三角クランク部495のいずれかの部分と干渉する。そのため、束線Wは第2ワイヤーガイド490から脱落せずに保持された状態となる。
【0151】
本実施形態においても、第2ワイヤーガイド490の一方の端部を積載壁430に保持させた状態で、第2ワイヤーガイド490の他方の端部を束線Wに対して旋回させながら連結部496に束線Wを絡み合わせることができる。つまり、第2ワイヤーガイド490を束線Wに対して旋回させることで束線Wが三角クランク部495に容易に絡み合うように、三角クランク部495の幅や高さが設定されている。
【0152】
第2ワイヤーガイド490を積載壁430に取付ける方法は、基本的に第1実施形態と共通である。なお、第1ワイヤーガイド460は、第1実施形態と同様のものを用いてもよく、螺旋部465に代えて三角クランク形状を有する第1ワイヤーガイド460を用いてもよい。
【0153】
このように、本実施形態においても、金属材料の線材からなるガイド部材に電線を保持させてガイド部材を筐体に取付けることで、電線の配線に必要な空間を小さくしつつ、配線作業の作業性を向上させることができる。
【0154】
(変形例)
第2実施形態及び第3実施形態の第2ワイヤーガイド490の連結部486,496は、配線方向に沿って所定方向の凹凸が連続する波形状の例に過ぎず、例えば上に凸の半円と下に凸の半円が連続する波形状の連結部を用いてもよい。
【0155】
《第4実施形態》
第4実施形態に係るガイド部材について説明する。以下、第1実施形態と共通の参照符号を付した要素は、第1実施形態で説明したものと実質的に同一の構成及び作用を有するものとし、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0156】
図13は、束線Wを取付けた本実施形態の第2ワイヤーガイド500を積載壁430に取付けた状態を示す斜視図である。本実施形態の第2ワイヤーガイド500の水平ガイド部503は、束線W(幹線W0)の主な配線方向であるX軸方向と略平行に直線状に形成されている。
【0157】
束線Wは、水平ガイド部503に対して螺旋状に巻き付けられている。そのため、配線方向(X軸方向)と直交する平面内の360°いずれの方向から見ても、束線Wの手前側で第2ワイヤーガイド500が束線Wと交差した箇所が少なくとも1つ存在する。つまり、本実施形態の第2ワイヤーガイド500と束線Wの関係は、2本の線状部材の一方が他方に巻き付く態様の一つであると言える。
【0158】
束線Wを水平ガイド部503に何回、どの程度の間隔で巻き付けるかは、束線Wの本数と水平ガイド部503の長さなどを勘案して決める。束線Wのほつれやばらけが起きる場合は、束線Wに予め撚りを施しておくと良い。
【0159】
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、後処理装置200において制御部250とシート有無センサ442及びシートもたれセンサ450とを接続する束線Wの配線構造を説明した。本開示に係る技術は、これに限らず、シート搬送装置に用いられる配線一般に適用可能である。シート搬送装置とは、シート材を搬送する装置一般を指し、例えばシートを搬送しながらシート上に画像を形成する画像形成装置本体や、シートを搬送しながら画像情報を読み取る画像読取装置であってもよい。
【0160】
例えば、シート搬送装置には、シートの搬送制御や搬送異常の検知、積載量の検知等を目的に種々のセンサが配置されている。一例として、後処理装置200の搬送路上でシートを検知するシートセンサ209(図1)や、排出トレイ上のシートの積載量が上限に達したことを検知する満載検知センサがある。また、シート搬送装置には、シートを搬送するローラ対やベルト等の搬送部材を駆動するモータ、積載部を昇降させるモータ、ローラ対のニップ部を開閉させるためのソレノイド等の、種々のアクチュエータが搭載される。これらのセンサ又はアクチュエータとシート搬送装置の制御部とを接続する電線の配線構造として本開示に係る技術を適用可能である。
【0161】
また、センサ又はアクチュエータと制御部とを接続する電線に限らず、電源基板とこの電源基板から電力供給を受ける機器とを接続する電線や、制御部と中継基板を接続する電線の配線構造として本開示に係る技術を適用可能である。
【符号の説明】
【0162】
200…シート搬送装置(後処理装置)/201…筐体/201M…導電性部材(板金フレーム)/250…制御部/430…壁部材(積載壁)/442…センサ、第1のセンサ(シート有無センサ)/450…センサ、第2のセンサ(シートもたれセンサ)/460…ガイド部材、第1のガイド部材(第1ワイヤーガイド)/470,480,490…ガイド部材、第2のガイド部材(第2ワイヤーガイド)/W…電線(束線)/W0…幹線/W1…第1枝線/W2…第2枝線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図13