(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】マニピュレータ上の手術器具及びアダプタの存在を決定する検出ピン
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B34/35
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021191215
(22)【出願日】2021-11-25
(62)【分割の表示】P 2019124989の分割
【原出願日】2015-03-17
【審査請求日】2021-12-22
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モリセット,タイラー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ダッチス セカンド,グレゴリー ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】シェナ,ブルース マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チャグハジェルディ,アミル
(72)【発明者】
【氏名】スマビー,ニールズ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/126129(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0213383(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0032444(KR,A)
【文献】特開2010-022415(JP,A)
【文献】米国特許第06331181(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/34-34/37
A61B 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具が器具無菌アダプタ(ISA)に取り付けられていない状態において手術システムの器具キャリッジに
前記IS
Aを取り付けることを含む方法であって、
前記器具キャリッジへの前記ISAの取り付け状態において、前記ISAは、その上に
取り外し可能に取り付けられた
前記器具を有するように構成され、前記器具を前記器具キャリッジに連結するように構成され、
前記器具キャリッジに前記ISAを取り付けることは、第1の位置から第2の位置への検出ピンの移動を引き起こし、
前記第2の位置において前記検出ピンを感知することは、前記ISAが前記器具キャリッジに取り付けられていることを前記手術システムに決定させる、
方法。
【請求項2】
当該方法は、前記器具キャリッジへの前記ISAの取り付け状態において、前記ISAに器具を取り付けることを更に含み、
前記ISAに前記器具を取り付けることは、前記第2の位置から第3の位置への前記検出ピンの移動を引き起こし、
前記第3の位置において前記検出ピンを感知することは、前記器具が前記ISAに取り付けられていることを前記手術システムに決定させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記器具キャリッジは、前記検出ピンを含み、
前記ISAは、プレゼンスピンを含み、該プレゼンスピンは、第1の端部分と、第2の端部分とを含み、
前記器具キャリッジに前記ISAを取り付けることは、前記プレゼンスピンの前記第1の端部分が前記検出ピンを押すことの結果として、前記検出ピンを移動させ、
前記ISAに前記器具を取り付けることは、前記器具が前記プレゼンスピンの前記第2の端部分を押して前記プレゼンスピンを移動させることの結果として、前記検出ピンを移動させる、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出ピンを感知することは、前記検出ピンの磁石によって生成される磁場を感知することと、該磁場を感知することに基づいてセンサ出力を生成することとを含み、
前記ISAが前記器具キャリッジに取り付けられていることを決定することは、前記センサ出力が第1の閾値基準を満たしていることを決定することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記器具が前記ISAに取り付けられていることを決定することは、前記センサ出力が第2の閾値基準を満たしていることを決定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、前記ISAに器具を取り付けることを更に含み、
前記ISAに前記器具を取り付けることは、第3の位置から第4の位置への第2の検出ピンの移動を引き起こし、
前記第4の位置において前記第2の検出ピンを感知することは、前記器具が前記ISAに取り付けられていることを前記手術システムに決定させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
器具が器具無菌アダプタ(ISA)に取り付けられていない状態において手術システムの器具キャリッジから
前記IS
Aを取り外すことを含む方法であって、
前記器具キャリッジへの前記ISAの取り付け状態において、前記ISAは、その上に
取り外し可能に取り付けられた
前記器具を有するように構成され、前記器具を前記器具キャリッジに連結するように構成され、
前記器具キャリッジから前記ISAを取り外すことは、第2の位置から第1の位置への
前記器具キャリッジの検出ピンの移動を引き起こし、
前記第1の位置において前記検出ピンを感知することは、前記ISAが前記器具キャリッジから取り外されていることを前記手術システムに決定させる、
方法。
【請求項8】
当該方法は、前記ISAが前記器具キャリッジと取り付けられている状態において前記ISAから器具を取り外すことを更に含み、
前記ISAから前記器具を取り外すことは、第3の位置から前記第2の位置への前記器具キャリッジの前記検出ピンの移動を引き起こし、
前記第2の位置において前記検出ピンを感知することは、前記器具が前記ISAから取り外されていることを前記手術システムに決定させる、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ISAは、プレゼンスピンを含み、該プレゼンスピンは、前記器具が、前記プレゼンスピンを制約するように、並びに、前記プレゼンスピンが、前記検出ピンを前記第1の位置に向かって付勢する付勢力に抗して、前記検出ピンを前記第3の位置に制約するように、前記ISAが前記器具キャリッジと取り付けられている状態において前記検出ピンと係合し、前記器具が前記ISAと取り付けられている状態において前記器具と係合する、ように構成され、
前記ISAから前記器具を取り外すことは、前記器具が前記プレゼンスピンを制約するのを止め、前記検出ピン及び前記プレゼンスピンを移動させる前記付勢力が可能にされるように、前記器具を前記ISAから離れるように移動させることを含み、前記プレゼンスピンは、前記検出ピンを制約して前記第2の位置で停止させる、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
当該方法は、前記ISAが前記器具キャリッジと取り付けられている状態において前記ISAから器具を取り外すことを更に含み、
前記ISAから前記器具を取り外すことは、第4の位置から第3の位置への前記器具キャリッジの第2の検出ピンの移動を引き起こし、
前記第3の位置において前記第2の検出ピンを感知することは、前記器具が前記ISAから取り外されていることを前記手術システムに決定させる、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記検出ピンを感知することは、前記検出ピンの磁石によって生成される磁場を感知することと、該磁場を感知することに基づいてセンサ出力を生成することとを含み、
前記ISAが前記器具キャリッジから取り外されていることを決定することは、前記センサ出力が第1の閾値基準を満たしていないことを決定することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
フレームと、該フレームに連結されるプレゼンスピンとを含む、
器具無菌アダプタ(ISA)であって、
前記フレームは、第1のインターフェースと、第2のインターフェースとを含み、前記第1のインターフェースは、前記ISAを手術システムの器具キャリッジに取り外し可能に取り付けるよう、前記手術システムの前記器具キャリッジと取り外し可能に係合可能であり、前記第2のインターフェースは、医療器具を前記ISAに取り外し可能に取り付けるよう、前記医療器具と取り外し可能に係合可能であり、
前記プレゼンスピンは、前記第1のインターフェースを前記器具キャリッジと係合させるプロセスが、前記プレゼンスピンに、前記器具キャリッジの検出ピンを第1の位置から第2の位置に移動させるように、前記フレームに連結され、
前記第1のインターフェースが前記器具キャリッジと係合させられる間に、前記第2のインターフェースを前記器具と係合させるプロセスが、前記器具に、前記プレゼンスピンを移動させて、前記器具キャリッジの前記検出ピンを前記第2の位置から第3の位置に移動させる、
ISA。
【請求項13】
前記プレゼンスピンは、第1の端部分と、第2の端部分とを含み、
前記プレゼンスピンの前記第1の端部分は、前記第1のインターフェースを前記器具キャリッジと係合させる前記プロセス中に前記検出ピンを押して、前記検出ピンを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、ように構成され、
前記プレゼンスピンの前記第2の端部分は、前記第1のインターフェースが前記器具キャリッジと係合させられる間に前記第2のインターフェースを前記器具と係合させる前記プロセス中に前記器具によって押されて、前記プレゼンスピンを移動させ、前記プレゼンスピンの該移動に応答して、前記検出ピンを前記第2の位置から前記第3の位置に移動させる、ように構成される、
請求項12に記載のISA。
【請求項14】
前記プレゼンスピンは、第4の位置と第5の位置との間で前記フレームに対して移動可能であり、
前記第1のインターフェースを前記器具キャリッジと係合させる前記プロセス中に、前記プレゼンスピンは、前記第5の位置に向かって移動させられ、
前記第1のインターフェースが前記器具キャリッジと係合させられる間に前記第2のインターフェースを前記器具キャリッジと係合させる前記プロセス中に、前記プレゼンスピンは、前記第4の位置に向かって移動させられる、
請求項12に記載のISA。
【請求項15】
前記プレゼンスピンは、第1の端部分と、第2の端部分とを含み、
前記プレゼンスピンの前記第1の端部分は、前記第1のインターフェースを前記器具キャリッジと係合させる前記プロセス中に前記検出ピンと接触するように構成され、該接触は、前記プレゼンスピンを前記第5の位置に向かって移動させ、前記検出ピンを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、
前記プレゼンスピンの前記第2の端部分は、前記第1のインターフェースが前記器具キャリッジとの係合させられる間に前記第2のインターフェースを前記器具と係合させる前記プロセス中に前記器具と接触するように構成され、該接触は、前記プレゼンスピンを前記第4の位置に向かって移動させ、前記検出ピンを前記第2の位置から前記第3の位置に移動させる、
請求項14に記載のISA。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、以下の先に出願された出願の優先権の権利を主張する。
米国 61/954,497 2014年3月17日(17-03-2014)
米国 61/954,502 2014年3月17日(17-03-2014)
米国 61/954,557 2014年3月17日(17-03-2014)
米国 61/954,571 2014年3月17日(17-03-2014)
米国 61/954,595 2014年3月17日(17-03-2014)
米国 62/019,318 2014年6月30日(30-06-2014)
米国 62/103,991 2015年1月15日(15-01-2015)
米国 62/104,306 2015年1月16日(16-01-2015)
これらの出願の各々を、許容される最大の程度まで、ここに参照として特に援用する。
【0002】
本発明の実施態様は、手術器具アダプタの分野に関し、より具体的には、遠隔操作マニピュレータ上の手術器具及び器具アダプタの存在を決定する検出ピンに関する。
【背景技術】
【0003】
診断的又は外科的な処置の間に損傷させられることがある外来組織(extraneous tissue)の量を減少させ、それにより、患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を減少させるために、最小侵襲的な医療技法が用いられている。従来的な形態の最小侵襲的な手術は、内視鏡検査を含む。より一般的な形態の内視鏡検査の1つは、腹腔鏡検査であり、腹腔鏡検査は、腹腔内の最小侵襲的な検査又は手術である。従来的な腹腔鏡手術では、患者の腹腔にガスが通気され、カニューレスリーブが患者の腹部の筋系にある小さな(約12mm)の切開部に通されて、腹腔鏡手術器具を封止された仕方で通し得る進入ポートを提供する。
【0004】
腹腔鏡手術器具は、一般的には、手術野及びエンドエフェクタを有する手術器具を見るための腹腔鏡を含む。典型的な手術エンドエフェクタは、例えば、クランプ(clamps)、グラスパ(graspers)、鋏(scissors)、ステープル(staples)、及び針ホルダ(needle holders)を含む。手術器具は、例えば、操作者がエンドエフェクタを手術部位に導入し且つ患者の体の外側から手術部位に対するエンドエフェクタの動きを制御するのを可能にするために、各手術器具の作業端又はエンドエフェクタが約30cmの長さの延長チューブによってそのハンドルから分離される点を除き、従来的な(観血)手術において用いられるものと類似する。
【0005】
エンドエフェクタの改良された制御をもたらすために、遠隔操作アクチュエータで手術器具を制御することが望ましいことがある。外科医は、遠隔操作アクチュエータに接続される器具を間接的に操作するためにコンソールにある制御装置を作動させることがある。手術器具を別個に殺菌し、遂行されるべき外科処置のための必要とされる器具として使用のために選択し得るよう、手術器具は遠隔操作アクチュエータに取り外し可能に連結される。一連の手術の間に手術器具を交換してよい。
【0006】
遠隔操作手術器具を用いて手術を執り行うことは新たな挑戦を生む。1つの挑戦は、患者に隣接する領域を無菌状態に維持する必要である。しかしながら、典型的には、手術器具を制御するのに必要なモータ、センサ、エンコーダ、及び電気接続部を、従来的な方法、例えば、蒸気、熱及び圧力、又は化学物質を用いて殺菌し得ない。何故ならば、それらは殺菌プロセス中に損傷させられ或いは破壊されるからである。
【0007】
遠隔操作手術システムの他の挑戦は、多数の接続部が手術器具と遠隔操作アクチュエータ及びそのコントローラとの間に必要とされることである。接続部は、アクチュエータ力、電気信号、及びデータを送信することが要求される。これは遠隔操作アクチュエータ及びそのコントローラへの手術器具の取付けを複雑にする。
【0008】
遠隔操作で作動させられる遠隔操作手術システムの更に他の挑戦は、手術室が精密な機械的アセンブリを準備するための理想的な環境でないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
無菌アダプタ及び/又は手術器具が遠隔操作マニピュレータ上に存在するか否かを決定する方法を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
遠隔操作で作動させられる手術システムは、手術器具と、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータと、器具無菌アダプタ(ISA)とを含む。ISAは、1つの手術器具を他の出術器具と交換する必要があるときに、無菌連結地点を提供するために、手術器具と遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータとの連結の間に配置される。遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータのキャリッジ部分は、ISA及び手術器具の存在(プレゼンス)を検出するために用いられる、複数の検出ピンを含む。
【0011】
ここにおいて、本開示は、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータとのISAの係合及びISAとの手術器具の係合を確実に検出することに関する。加えて、実施態様の1つ又はそれよりも多くは、1つの機構(例えば、複数の検出ピン及び対応するセンサ)を用いて、両方の係合の確実な検出を達成する。1つの実施態様では、ISAの存在を検出するために、第1のセットの1つ又はそれよりも多くの検出ピンが用いられてよいのに対し、手術器具の存在を検出するために、第2のセットの1つ又はそれよりも多くの検出ピンが用いられてよい。代替的に、ISA及び手術器具の両方の存在を検出するために、第1のセットの1つ又はそれよりも多くの検出ピンが用いられてよい。
【0012】
1つの実施態様において、ISAの存在の検出は、アナログホール効果センサと検出ピンの近位端に取り付けられる磁石との間の距離を決定することによって達成されてよい。アナログホール効果センサと磁石の面との間の距離が、第1の範囲内にあるとき、アナログホール効果センサは、ISAの存在を識別する第1の所定の電圧を出力してよい。加えて、第1の所定の電圧の出力は、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータのキャリッジとのISA300の表面の係合を示してよい。アナログホール効果センサと磁石の面との間の距離が、第1の範囲よりも小さい第2の範囲内にあるとき、アナログホール効果センサは、手術器具の存在を識別する第2の所定の電圧を出力してよい。加えて、第2の所定の電圧の出力は、ISAとの手術器具の係合を示してよい。本発明の他の構成及び利点は、添付の図面から並びに以下に続く詳細な記述から明らかであろう。
【0013】
本発明の他の構成及び利点は、添付の図面から並びに以下に続く詳細な記述から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、本発明の実施態様を非限定的に一例として例示するために用いられる後続の記述及び添付の図面を参照することによって、最良に理解されることがある。図面において、同等の参照番号は類似の要素を示す。
【
図1】患者の開口部(port)を通じて挿入される遠隔操作で制御される手術器具を備える遠隔操作で作動させられる手術システムの簡略化された斜視図である。
【
図2】遠隔操作アクチュエータと共に使用する手術器具の平面図である。
【
図3A】手術器具、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータのキャリッジ、及び器具無菌アダプタ(ISA)の連結の例示的な実施態様の例示である。
【
図3B】部品が分離された状態の
図3Aの連結器システムの例示である。
【
図4】複数の検出ピンを含む上から下への眺めからの
図1のキャリッジの制御面の例示的な実施態様の例示である。
【
図5】回路板561及びセンサに対する検出ピンの例示的な実施態様の例示である。
【
図6A】
図4の断面線6A-6Aに沿って取られた、ISAがキャリッジと係合する前の、手術器具、ISA、及び回路板に対する、
図4のキャリッジの複数の検出ピンの断面図である。
【
図6B】
図4の断面線6A-6Aに沿って取られた、ISAがキャリッジと係合した後の、ISA及び回路板に対する、
図4のキャリッジの複数の検出ピンの断面図である。
【
図6C】
図4の断面線6A-6Aに沿って取られた、手術器具がISAと係合した後の、手術器具、ISA及び回路板に対する、
図4のキャリッジの複数の検出ピンの断面図である。
【
図7】磁石とアナログホール効果センサとの間の距離の関数としての例示的なアナログホール効果センサのデジタル出力を示すグラフである。
【0015】
【
図8A】検出ピンの例示的な実施態様についての複数の押下げ状態を示す図である。
【
図8B】検出ピンの例示的な実施態様についての複数の押下げ状態を示す図である。
【
図8C】検出ピンの例示的な実施態様についての複数の押下げ状態を示す図である。
【
図8D】検出ピンの例示的な実施態様についての複数の押下げ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記述には、数多くの具体的な詳細が示される。しかしながら、本発明の実施態様は、これらの具体的な詳細がなくても実施されてよいことが理解されよう。他の場合には、この記述の理解を曖昧にしないために、周知の回路、構造、及び技法を詳細に示さない。
【0017】
以下の記述では、本発明の幾つかの実施態様を例示する添付の図面を参照する。他の実施態様が利用されてよく、本開示の精神及び範囲から逸脱せずに、機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的な変更が行われてよい。以下の詳細な記述は、限定的な意味において理解されてならず、本発明の実施態様の範囲は、発効する特許の請求項によってのみ定められる。
【0018】
ここにおいて用いる用語法は、特定の実施態様を記載する目的のためだけであり、本発明を限定することを意図しない。「下」(“beneath”)、「下方」(“below”)、「下方」(“lower”)、「上方」(“above”)、「上方」(“upper”)、及び同等物のような、空間的に相対的な用語は、図面中に例示するような1つの要素又は構造に対する他の要素の又は構造の関係を記載する記述の容易さのために、ここにおいて用いられることがある。空間的に相対的な用語は、図面中に描写される向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することを意図する。例えば、図面中のデバイスが反転させられるならば、他の要素又は構成の「下」(“beneath”)又は「下方」(“below”)にあるものとして記載される要素は、他の要素又は構成の上方(“above”)に向けられる。よって、例示的な用語「下方」(“below”)は、上方及び下方の向きの両方を包含し得る。デバイスをその他の向きにしてよく(例えば、90度回転させ或いは他の向きにしてよく)、ここで用いる空間的に相対的な記述子(descriptors)は、相応して解釈される。
【0019】
ここにおいて用いるとき、文脈がその他のことを示さない限り、単数形の形態である「a」、「an」、及び「the」は、複数形の形態も含むことが意図される。「含む」(“comprises”)及び/又は「含む」(“comprising”)という用語は、述べられている構成、ステップ、動作、要素、及び/又は構成部品(コンポーネント)の存在を特定するが、1つ又はそれよりも多くの他の構成、ステップ、動作、要素、構成部品、及び/又はそれらの群(グループ)の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。
【0020】
「物体」(“object”)という用語は、構成部品(“component”)又は構成部品の群(グループ)を概ね指す。例えば、物体は、明細書又は請求項内のディスクのポケット又はボスのいずれかを指してよい。明細書及び請求項を通じて、「物体」、「構成部品」、「部分」(“portion”)、「部品」(“part”)、及び「ピース」(“piece”)という用語は、置換可能に用いられる。
【0021】
最後に、ここにおいて用いるとき、「又は」及び「及び/又は」という用語は、内包的である或いはいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを意味するものとして解釈されなければならない。従って、「A、B又はC」或いは「A、B及び/又はC」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、A、B及びCのいずれかを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップ又は行為の組み合わせが、何らかの方法において固有に相互に排他的であるときにのみ起こる。
【0022】
図1は、本発明の実施態様に従った、遠隔操作手術システムの例示的な患者側部分100の図である。患者側部分100は、支持アセンブリ110と、各支持アセンブリの端にある1つ又はそれよりも多くの手術器具マニピュレータ112とを含む。支持アセンブリ110は、手術のために患者に対して手術器具マニピュレータ(複数の手術器具マニピュレータ)112を位置付けるために用いられる、1つ又はそれよりも多くの電力供給されない係止可能なセットアップ関節を任意的に含む。描写されるように、患者側部分100は、フロアの上に位置する。他の実施態様において、患者側部分は、壁に、天井に、患者の体122も支持する手術台126に、或いは他の手術室機器に取り付けられてよい。更に、患者側部分100は、4つのマニピュレータ112を含むものとして示されているが、より多い又はより少ないマニピュレータ112が用いられてよい。一層更には、患者側部分100は、図示のような単一のアセンブリで構成されてよく、或いは、患者側部分100は、各々が様々な可能な方法において任意的に取り付けられる、2つ又はそれよりも多くの別個のアセンブリを含んでよい。
【0023】
各手術器具マニピュレータ112は、患者の体122中の手術部位で作動する、1つ又はそれよりも多くの手術器具120を支持する。各マニピュレータ112は、関連する手術器具が1つ又はそれよりも多くの機械的な自由度(例えば、全部で6つのデカルト自由度、5つ以下のデカルト自由度など)で動くのを可能にする、様々な形態において提供されてよい。典型的には、機械的な又は制御的な制約は、各マニピュレータ112が、患者に対して静止的なままである器具の運動の中心の周りで、その関連する手術器具を動かすのを制限し、この運動の中心は、典型的には、器具が体に入る位置にあるように配置される。
【0024】
「手術器具」という用語は、ここでは、患者の体の中に挿入されるように構成され且つ外科処置又は診断処置を実施するために用いられる医療デバイスを記載するために用いられる。手術器具は、典型的には、鉗子(forceps)、持針器(needle driver)、剪断器(shears)、バイポーラ焼灼器(bipolar cauterizer)、組織安定器(tissue stabilizer)又は開創器(retractor)、クリップアプライヤ(clip applier)、吻合デバイス(anastomosis device)、撮像デバイス(imaging device)(例えば、内視鏡又は超音波プローブ)、及び同等物のような、1つ又はそれよりも多くの手術タスクと関連付けられるエンドエフェクタを含む。本発明の実施態様と共に用いられる幾つかの手術器具は、エンドエフェクタの位置及び向きを器具のシャフトに対する1つ又はそれよりも多くの機械的な自由度を伴って操作し得るよう、エンドエフェクタ用の(「リスト」と呼ぶこともある)関節式に作動する支持体を更に提供する。更に、多くの手術エンドエフェクタは、開閉するジョー、ある経路に沿って並進するナイフのような、機能的な機械的な自由度を含む。手術器具は、恒久的であってよい或いは手術システムによって更新可能であってよい(例えば器具の内側の半導体メモリに)格納される情報を含んでもよい。従って、システムは、器具と1つ又はそれよりも多くのシステム構成部品との間の一方向の又は双方向の情報通信をもたらすことがある。
【0025】
機能的な遠隔操作手術システムは、一般的には、操作者が患者の体122の外側から手術部位を見るのを可能にするビジョンシステム部分(図示せず)を含む。ビジョンシステムは、典型的には、ビデオ画像キャプチャ機能128(「カメラ器具」)と、キャプチャ画像を表示する1つ又はそれよりも多くのビデオディスプレイとを有する、手術器具を含む。幾つかの手術システム構成において、カメラ器具128は、画像をカメラ器具128の近位端から患者の体122の外側の1つ又はそれよりも多くの撮像センサ(例えば、CCD又はCMOSセンサ)に移転する光学(optics)を含む。代替的に、撮像センサ(複数の撮像センサ)は、カメラ器具128の近位端に位置付けられてよく、センサ(複数のセンサ)によって生成される信号は、処理及びビデオディスプレイでの表示のために、リード線に沿って或いは無線式に送信されてよい。例示的なビデオディスプレイは、Intuitive Surgical, Inc., Sunnyvale, Californiaによって商品化されている手術システム中の外科医コンソール上の立体視ディスプレイである。
【0026】
機能的な遠隔操作手術システムは、手術器具が患者の内側にある間に手術器具120の動きを制御するための制御システム部分(図示せず)を更に含む。制御システム部分は、手術システム内の単一の場所にあってよく、或いは、制御システム部分は、手術システム内の2つ又はそれよりも多くの場所に分散させられてよい(例えば、制御システム部分構成部品は、システムの患者側部分内に、専用システム制御コンソール内に、或いは別個の機器ラック内にあってよい)。遠隔操作マスタ/スレーブ制御は、所望の制御の程度、制御される手術器具の大きさ、及び他の要因に依存して、様々な方法において行われてよい。幾つかの実施態様において、制御システム部分は、ジョイスティック、外骨格グローブ、電動及び重力補償マニピュレータ、又は同等物のような、1つ又はそれよりも多くの手動操作入力装置を含む。これらの入力デバイスは、遠隔操作モータを制御し、次に、遠隔操作モータは、手術器具の動きを制御する。
【0027】
遠隔操作モータによって生成される力は、ドライブトレーン機構を介して伝達され、ドライブトレーン機構は、遠隔操作モータからの力を手術器具120に伝達する。幾つかの遠隔手術の実施態様において、マニピュレータ(複数のマニピュレータ)を制御する入力装置は、患者が配置される部屋の内側又は外側のいずれかで、患者から離れた場所に設けられてよい。次に、入力装置からの入力は、制御システム部分に送信される。遠隔操縦、遠隔操作、及びテレプレゼンス手術に熟知した人々は、Intuitive Surgical, Inc.によって商品化されているda Vinci(登録商標)Surgical System及びComputer Motion, Inc.によって元来製造されているZeus(登録商標)Surgical System並びにそのようなシステムの様々な例示的な構成部品のような、そのようなシステム及びそれらの構成部品について知っている。
【0028】
図示のように、手術器具120及び任意的な入力ガイド124(例えば、患者の腹部内のカニューレ)の両方が、手術器具120が入力ガイド124を通じて挿入された状態で、マニピュレータ112の近位端に取り外し可能に連結される。マニピュレータ112内の遠隔操作アクチュエータは、手術器具120を全体的に動かす。マニピュレータ112は、器具キャリッジ130を更に含む。手術器具120は、器具キャリッジ130に取り外し可能に接続される。器具キャリッジ130内に収容される遠隔操作アクチュエータは、手術器具120が手術器具のエンドエフェクタの様々な動きに変換する、多数のコントローラ動作をもたらす。よって、器具キャリッジ130内の遠隔操作アクチュエータは、手術器具120を全体的に動かすよりもむしろ、手術器具120の1つ又はそれよりも多くの構成部品のみを動かす。器具全体又は器具の構成部品のいずれかを制御する入力は、外科医によって制御システム部分に提供される入力(「マスタ」命令)が手術器具による対応する作用(「スレーブ」応答)に変換されるような入力である。
【0029】
図2は、手術器具120の例示的な実施態様の側面図であり、手術器具120は、細長いチューブ210によって連結される、近位部分250及び遠位制御機構240を含む。手術器具120の近位部分250は、図示の鉗子254、持針器、焼灼装置、切断ツール、撮像装置(例えば、内視鏡又は超音波プローブ)、又は様々なツール及び撮像装置の組み合わせを含む組み合わせ装置のような、様々なエンドエフェクタのいずれかを提供してよい。図示の実施態様において、エンドエフェクタ254は、エンドエフェクタの向きが器具チューブ210に対して操作されるのを可能にする「リスト」252(手関節)によって、細長いチューブ210に連結される。
【0030】
図3Aを参照すると、連結状態において例示された、手術器具120、遠隔操作で作動させられる手術器具キャリッジ130の制御面310、及び器具無菌アダプタ(ISA)300が示されている。制御面310は、手術器具120と連結させられて、手術器具の制御をもたらす。ISA300は、器具キャリッジ130の制御面310に亘り、手術器具120と直接的に接触する制御面の使い捨て可能な無菌均等物を提供する。
【0031】
図3Bを参照すると、
図3Aの連結器システムの例示的な実施態様が提供されている。連結プロセスの第1の段階において、ISA300の下側(underside)は、キャリッジ130の上側(topside)にある制御面310と連結される。具体的には、キャリッジドライバ320が、対応するISA連結器330の下側と噛み合う。次に、手術器具120が、ISA300の上側と連結される。ISA連結器330の上側が、対応する器具ドライバ(図示せず)と噛み合う。
【0032】
しかしながら、手術器具120と遠隔操作で作動させられる手術器具キャリッジ130の連結の間のISA300の追加は、器具無菌アダプタが存在し、遠隔操作で作動させられる手術器具と適切に係合させられているか否かを決定する必要を生み出す。同様に、手術器具120が存在し且つ器具無菌アダプタ300と適切に係合させられているか否かを決定する必要がある。
【0033】
(器具無菌アダプタ及び手術器具の装着)
図4を参照すると、検出ピン410A~410Dを含む頂面眺望からのキャリッジ130の制御面310の例示的な実施態様が示されている。検出ピン410A~410Dは、1つの構成において示されている。しかしながら、他の実施態様において、検出ピン410A~410Dは、当業者によって認識されるような他の構成において提供されてよい。
【0034】
図5を参照すると、回路板561及びセンサ560A~560Dに対する検出ピン410A~410Dの例示的な実施態様の例示が示されている。検出ピン410Aは、感知先端510Aを備える遠位端411Aと、近位端412Aと、シャフト520Aと、シャフト520Aのショルダ521A(肩部)と、バネ530Aと、上方ストップ540A(upstop)と、磁石ハウジング550Aとを含む。磁石ハウジング550Aは、磁石面551Aを有する磁石を含み、磁石面551Aは、センサ560Aに面する。検出ピン410B~410Dの各々は、検出ピン410Aと同じ構成部品を含む。
【0035】
シャフト520A及び磁石ハウジング550Aは、上方ストップ540A及び遠位端411Aブッシング(bushing)内で単一のアセンブリとして動く。上方ストップ540Aは、近位端412Aでのシャフト520Aのより大きな直径が上方ストップを通じて進み得ない地点で、シャフト520A及び磁石ハウジング550Aの上向き移動を制限する。
【0036】
バネ530Aは、上方ストップ540Aとシャフト520Aのショルダ521Aとの間に捕捉される。結果的に、バネ530Aは、シャフト520Aを遠位端411Aに向かって上向きに付勢する。下向きの力をシャフト520Aの遠位端411Aに加えて、シャフト及び取り付けられる磁石ハウジング550Aをセンサ560Aに向かって動かし得る。検出ピン410C~410Dの遠位端411C~411Dは、(
図6Aに最良に見える)キャリッジ井戸420C~420D(carriage well)内に全体的に又は部分的に収容されてよく、キャリッジ井戸は、検出ピンを損傷し得る横向きの力の適用から検出ピンを守る。
【0037】
図4の断面線6A-6Aに沿って取った
図6A~6Cに例示するように、検出ピンの一部410A~410Bは、検出ピンの他のもの410C~410Dよりも、長さが短くてよい。1つの実施態様において、より短い検出ピン410A~410Bは、より長い検出ピン410C~410Dよりも、例えば、約1.25ミリメートル(0.050インチ)短くてよい。
【0038】
器具キャリッジ130に機械的に固定される回路板561は、アナログホール効果センサ560A~560D(以下「センサ」と呼ぶ)を含み、それらは、磁石とセンサ560A~560Dとの間の距離に応答する信号をもたらす。ホール効果センサ560A~560Dは、ホール効果によって生成されるアナログ信号に基づくデジタル信号を提供する回路構成を含んでよい。1つの実施態様において、各々の検出ピン410A~410Bの磁石の間の距離は、ISA300が存在し、キャリッジ130と係合させられているか否かの決定を可能にする。例えば、センサ560Aは、磁石によって生成される磁場の振幅を感知してよく、検出ピン410Aの磁石面とセンサ560Aとの間の距離に応答する出力電圧又はデジタル値をもたらしてよい。その距離が増大するに応じて、出力電圧又はデジタル値が増大することがある。
【0039】
そのような実施例では、センサ560A~560Bの両方の出力閾値が第1の所定の閾値を越えるときに、ISA300が存在し且つキャリッジ130と完全に係合させられていると考えられてよい。
【0040】
そのような実施例において、センサ560C~560Dは、磁石とセンサ560C~560Dとの間の距離を決定してよい。検出ピン410C~410Dの各々の検出ピンの磁石の間の距離は、手術器具120が存在し、ISA300と係合させられているか否かの決定を可能にする。
【0041】
1つの実施態様において、センサ560A~560Dは、器具キャリッジ130の組立中の較正手続きの一部として較正されてよい。一例として、組立中、検出ピン410A~410Dを既知の量だけ押し下げるよう、較正ブロックが器具キャリッジ130の制御面310の上に配置されてよい。次に、較正ブロックの適用後にセンサ560A~560Dによってもたらされる出力電圧又はデジタル値は、キャリッジコントローラ340内に格納されて、ISA300又は手術器具120が存在し、係合させられているか否かを決定する閾値として用いられてよい。
【0042】
図6Aを参照すると、ISA300がキャリッジ130の制御面と係合する前の、手術器具120、ISA300、及び回路板561に対する、
図4のキャリッジ130の複数の検出ピン410A~410Dの例示的な実施態様が示されている。検出ピン410A~410Dは、器具キャリッジ130に連結され、器具キャリッジ130は、検出ピンの動きが参照される機械的地面(mechanical ground)を提供する。回路板561及び取り付けられるホール効果センサ560A~560Dも、器具キャリッジ130に機械的に取り付けられて、検出ピンの動きがセンサに参照されるのを可能にする。検出ピン410Aの遠位端411Aは、制御面310から感知先端510Aまで延びる。
図6Aの実施態様において、キャリッジ130は検出ピン410A~410Dを含むが、検出ピン410A及び410C~410Dのみが見える。1つの実施態様において、検出ピン410A~410Bは、ISA300の存在及び係合を検出するために用いられてよく、検出ピン410C~410Dは、手術器具120の存在及び係合を検出するために用いられてよい。
【0043】
図6A~6Cにおいて、上方ストップ540A~540Dは、器具キャリッジ130に固定されて示されている。従って、上方ストップ540A~540Dは、センサ560Aから離れる方向の磁石面551Aの上向きの移動を既知の距離に制限する、固定的な基準地点をもたらす。
【0044】
図6Bを参照すると、ISA300がキャリッジ130の制御面310と係合した後の、ISA300及び回路板561に対する、
図4のキャリッジ130の複数の検出ピン410A~410Dの例示的な実施態様が示されている。ISA300は、ISA300がキャリッジ130の制御面310と係合した後に検出ピン410Aの感知先端510Aと接触するようになる、平坦面610Aを含む。キャリッジ130の制御面130とのISA300の係合の結果として、ISA300の表面は、検出ピン410A~410Bをキャリッジ井戸420A~420B内に押し下げる。上述のように、検出ピン410A~410Bは、それらがISA300上で接触する表面の高さに適合するよう、検出ピン410C~410Dよりも、長さがより短くてよい。
【0045】
ISA300は、ISA300の係合後に検出ピン410C~410Dと接触するように構成される、プレゼンスピン610C~610D(presence pins)も含む。
図6Aにおいて見られるように、プレゼンスピン610C~610Dは、ISA300がキャリッジ130の制御面310と係合させられないときに、それらの最低位置にある。ISA300の係合は、
図6Bにおいて見られるように、ISA300内でプレゼンスピン610C~610Dを持ち上げる。
【0046】
検出ピン410A~410Bは同様に動作するので、
図6Bの以下の議論は、その他のことが記されない限り、簡潔性のために、検出ピン410Aの動作に言及する。検出ピン410Aの押下げは、シャフト520Aのショルダ521Aから適用される力の故に、バネ530Aを圧縮させ、検出ピン410Aの近位端412Aに向かう圧力を適用する。バネ530Aは、上で議論したように、キャリッジ130に固定される、上方ストップ540Aを圧迫する。検出ピン410AがISA300の係合によって押し下げられると、検出ピン410Aは上方ストップ540Aを通じてスライドする。検出ピン410Aの近位端412Aがセンサ560Aに接近すると、磁石ハウジング550A内に収容される磁石によって生成される磁場は、センサ560Aの出力電圧又はデジタル値を増大させる。検出ピン410A~410Bにそれぞれ対応する、センサ560A~560Bの両方の出力電圧又は値が、上述のように較正プロセスによって設定される閾値であってよい第1の所定の閾値を越えるとき、ISA300は、存在し且つキャリッジ130の制御面310と完全に係合させられていると考えられる。
【0047】
図6Cを今や参照すると、手術器具120がISA300と係合した後の、手術器具120、ISA300の表面300、及び回路板561に対する、
図4のキャリッジ130の複数の検出ピン410A~410Dの例示的な実施態様が示されている。手術器具120がISA300と係合すると、手術器具120は、プレゼンスピン610C~610Dと接触し、それらを押し下げる。次に、プレゼンスピン610C~610Dの押下げは、キャリッジ130の制御面310上の検出ピン410C~410Dを押し下げる。検出ピン410C~410Dとの接触後、プレゼンスピン610C~610Dは、検出ピン410C~410Dをキャリッジ井戸420C~420D内に押し下げる。
【0048】
検出ピン410C~410Dが、ISA300との手術器具120の係合によって押し下げられると、検出ピン410C~410Dは、それぞれ、上方ストップ540C~540Dを通じてスライドする。次に、各々の検出ピン410C~410Dの近位端412C~412Dは、センサ560C~560Dのうちの対応するセンサに接近する。検出ピン410C~410Dの近位端412C~412Dがセンサ560C~560Dに接近すると、磁石面551C~551Dによって生成される磁場は、センサ560C~560Dの出力電圧又はデジタル値を増大させる。両方のセンサ560C~560Dの出力電圧が、上述のように較正プロセスによって設定される閾値であってよい第2の所定の閾値を越えるとき、手術器具120は、存在し且つISA300と完全に係合させられていると考えられる。
【0049】
ISA又は手術器具の存在を単一の検出ピン又はセンサによって検出し得ることが理解されるであろう。受け面に対してある角度でのISA又は手術器具との部分的な係合が検出され得るよう、2つの検出ピン又はセンサが用いられてよい。システム保守の必要を示すことがある、2つのセンサからの矛盾する出力を検出するために、2つの検出ピン又はセンサが用いられてもよい。
【0050】
図7は、ホール効果センサの1つの実施態様からのデジタル出力の応答を例示している。磁石がセンサにより近づくと、アナログホール効果センサの感度は増大する。磁石面551Aとセンサ560Aとの間の距離が増大すると、例えば、ISA300がキャリッジ130の制御面310と係合していると、デジタル出力値を備えるセンサについて、1マイクロメートルの移動当たりの解像度のビット数は増大する。例えば、例示するセンサの実施態様について、磁石面551Aとセンサ560Aとの間の距離が2mmよりも大きいとき、デジタル出力値における1ビットの変化は、1マイクロメートルよりも多い移動を表す。磁石面551Aとセンサ560Aとの間の距離が1mm未満であるとき、1マイクロメートルの移動は、デジタル出力値において1ビットよりも多い変化をもたらす。
【0051】
図8A~8Dを参照すると、検出ピンの複数の状態が示されている。
図8Aは、最上方状態、例えば、第1の状態801での、検出ピンの感知先端510を例示している。第1の状態801は、第1の押下げ地点と呼ぶこともある、その最上方位置における検出ピンの感知先端510を表すことがある。
図8Bは、第2の押下げ地点、例えば、第2の状態802での、検出ピンの感知先端510を例示している。
図8Cは、第3の押下げ地点、例えば、第3の状態803での、検出ピンの感知先端510を例示している。
図8Dは、第4の押下げ状態、例えば、第4の状態804での、検出ピンの感知先端510を例示している。磁石面551Aがセンサ560Aに接近するに応じて、4つの押下げ状態はますます互いにより近づき、出力値の解像度が増大することが分かるであろう。4つの押下げ状態は、出力値における差が各対の隣接する押下げ状態の間で概ね等しいように選択されてよい。
【0052】
多数の状態の検出に基づき、本発明は、ISA300及び手術器具120の両方を検出するために、4つの検出ピンというよりもむしろ2つの検出ピンを用いて実施されてよい。多数の状態の検出は、手術器具を内視鏡カメラから区別することのように、異なる器具又は器具アダプタ種類の検出を更に可能にすることがある。
【0053】
第2乃至第4の状態802~804は、(i)ISA300との係合の一部が完了させられたこと、(ii)ISA300がキャリッジ130の制御面310と完全に係合させられていること、(iii)手術器具120とISA300との間の係合プロセスの一部が完了させられたこと、(iv)手術器具120とISA300との間の係合プロセスが完了させられたこと、(v)手術器具120と異なる第2の手術器具がISA300との係合プロセスの一部を完了したこと、及び/又は(vi)第2の手術器具がISA300との係合プロセスを完了したことのうちの1つ又はそれよりも多くを表してよい。加えて、それらの状態のうちの1つ又はそれよりも多くは、第2の手術器具、手術器具120、及び/又はISA300が、キャリッジ130の制御面から分離している或いは完全に分離させられたことを示してよい。
【0054】
2つの検出ピンのみを用いる例示的な実施例として、第1の状態801は、キャリッジ130の制御面と接触が行われていないことを示してよい。1つの実施態様において、検出ピン410C~410Dとの接触後、プレゼンスピン610C~610Dは、ISA300内の最上方位置まで上昇させられる。ISA300がキャリッジ130の制御面310と係合すると、プレゼンスピン610C~610Dは、ISA内のそれらの移動の上向き限界に達し、検出ピン410A~410Bを第2の状態802に押し下げる。両方の検出ピンが第2の状態802にあるとき、ISA300は存在し、且つキャリッジ130の制御面130と完全に係合させられていることがある。
【0055】
手術器具120がISAと係合すると、手術器具120はプレゼンスピン610C~610Dと接触し、それらを押し下げる。次に、プレゼンスピン610C~610Dの押下げは、キャリッジ130の制御面310上で検出ピン410C~410Dを押し下げる。両方のプレゼンスピン610C~610Dが第3の状態803にあるとき、手術器具120は存在し、ISA300と完全に係合させられてよい。両方の検出ピンが第4の状態804にあるとき、第2の種類の手術器具が存在し、ISA300と完全に係合させられてよい。
【0056】
加えて、1つの実施態様において、手術器具120は、無線IC(FRID)タグを含んでよい。そのような実施態様では、係合プロセスの開始後に、RFIDタグは、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータに、手術器具120の識別情報を提供してよい。手術器具120がISA300と完全に係合させられていると見做すのに、上で議論したような検出ピンのどの状態が必要であるかを決定するために、そのような識別情報が用いられてよい。例えば、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、手術器具120のRFIDタグを読み取り、検出ピン410C~410Dが第3の状態803で少なくとも第1の所定の量の時間に亘って押し下げられることを要求して、手術器具120がISA300と係合させられていることを結論付けてよい。代替的に、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、第2の手術器具のRFIDタグを読み取り、検出ピン410C~410Dが第4の状態804で少なくとも第2の所定の量の時間に亘って押し下げられることを要求して、第2の手術器具がISA300と完全に係合させられていることを結論づけてよい。ここにおいて、第1の所定の量の時間及び第2の所定の量の時間は、等しい長さであってよく、或いは等しい長さでなくてもよい。
【0057】
(手術器具及び器具無菌アダプタの取外し)
手術器具120の装着と同様に、手術器具120を取り外すときには、読取りが検出ピン410C~410Dの両方から行われてよい。1つの実施態様にでは、手術器具が取り外されたことを決定する第3の閾値より下の出力電圧を提供するために、センサ560C~560Dの両方が必要とされる。第3の閾値は、手術器具の存在を決定するために用いられる第2の閾値よりも小さい所定の量として設定されてよい。第2の閾値と第3の閾値との間の差は、手術器具の存在を検出した検出ピンが、手術器具の取外しを検出する前に、上向きに有意な距離だけ動かなければならない、ヒステリシス効果をもたらしてよい。
【0058】
1つの実施態様において、手術器具120の取外しは、3段階システム(three-phase system)を用いて、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータによって検出されてよい。第1に、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、センサ560C~560Dからの出力電圧の変化を検出する。第2に、手術器具120は、上で議論したような、RFIDタグを含んでよい。手術器具120がキャリッジ130の制御面310から分離し、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータから離れる方向に動くと、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、最終的には、もはやRFIDタグを検出し得ない。第3に、手術器具120は、磁石を含んでよい。遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータがRFIDタグを検出する能力を有さないことに続き、手術器具120がキャリッジ130の制御面310から離れる方向に動かされると、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、最終的には、もはや磁石を検出し得ない。従って、3段階検出システムを利用する実施例において、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、(i)第3の閾値より下である両方のセンサ560C~560Dの両方による出力電圧の変化、(ii)手術器具120がRFIDタグを読み取る能力を有しないこと、及び(iii)手術器具120の磁石を検出する能力を有さないことを検出した後にのみ、手術器具120が手術器具マニピュレータから取り外されたことを決定する。
【0059】
加えて、ISA300の取外しの検出は、類似の方法において行われる。遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、センサ560A~560Bの出力電圧の変化を検出する。センサ560A~560Bの両方が第4の閾値よりも下の出力電圧をもたらすとき、遠隔操作で作動させられる手術器具マニピュレータは、ISA300がキャリッジ130の制御面から完全に分離させ且つ取り外されたことを検出してよい。手術器具検出のための第2及び第3の閾値との関係において議論したように、第1の閾値と第4お式位置との間の差は、ISAの存在及び取外しを検出することにおいてヒステリシスをもたらすことがある。上で議論したように、手術器具120は、取外しプロセスの検出においてRFIDタグを利用してよい。同様に、ISA300は、取外しプロセスにおける利用のためにもRFIDタグを含んでよい。
【0060】
上述の複数の閾値が全て等しいことは必要でなく、複数の閾値のうちの1つ又はそれよりも多くが等しいことは必要でない。しかしながら、1つの実施態様では全ての閾値が等しくてよく、第2の実施態様では1つ又はそれよりも多くが等しくてよく、第3の実施態様では全てが異なってよい。
【0061】
特定の例示的な実施態様を記載し且つ添付の図面中に示したが、そのような実施態様は例示的であるに過ぎず、広義の発明を限定しないこと、並びに、この発明は、図示され且つ記載される特定の構造及び配置に限定されないことが、理解されるべきである。何故ならば、様々な他の修正が当業者の心に思い浮かぶことがあるからである。よって、本記述は限定的なものと考えられるべきでなく、例示的なものと考えられるべきである。