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特許7434260適応限外濾過速度を使用した閉ループ透析処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】適応限外濾過速度を使用した閉ループ透析処理
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240213BHJP
   A61M 60/113 20210101ALN20240213BHJP
   A61M 60/279 20210101ALN20240213BHJP
   A61M 60/37 20210101ALN20240213BHJP
【FI】
A61M1/16 110
A61M60/113
A61M60/279
A61M60/37
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195264
(22)【出願日】2021-12-01
(62)【分割の表示】P 2020536009の分割
【原出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2022033860
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】62/612,037
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/927,769
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・リーグランド・バレット
(72)【発明者】
【氏名】ケン・チ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ヤッズ
(72)【発明者】
【氏名】トム・メリクス
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・ダウド
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-097781(JP,A)
【文献】特表2021-506525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0085951(US,A1)
【文献】特開2007-130300(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0239409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 60/113
A61M 60/279
A61M 60/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループ透析処理を行うための透析システムの作動方法であって、
前記透析システムが、最初の限外濾過速度および限外濾過ポンプに関連付けられたヒステリシスを決定し、前記決定された最初の限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
前記透析システムが、前記最初の限外濾過速度に基づいて、総血液量変化を測定することと、
前記透析システムが、血液量の目標変化に基づいて、前記測定された総血液量変化のベンチマーク血液量しきい値を決定することと、
前記透析システムが、前記ヒステリシスおよび前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することと、
前記透析システムが、総透析処理時間経過に基づいて、前記閉ループ透析処理を停止することと、
を備える、作動方法。
【請求項2】
前記総血液量変化を測定することは、複数の測定された総血液量変化を決定するために、あるサンプリング速度で前記総血液量変化を周期的にサンプリングすることを備え、ここにおいて、前記複数の測定された総血液量変化のそれぞれは、異なる経過処理時間に関連付けられ、
前記ベンチマーク血液量しきい値を決定することは、前記複数の測定された総血液量変化のそれぞれの新しいベンチマーク血液量しきい値を決定することを備える、
請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記新しいベンチマーク血液量しきい値を決定することは、
前記複数の測定された総血液量変化のうち特定の総血液量変化について、前記特定の総血液量変化の経過処理時間を決定することと、
前記経過処理時間、総透析処理時間、および前記血液量の目標変化に基づいて、前記特定の総血液量変化の前記新しいベンチマーク血液量しきい値を決定することと、
を備える、請求項2に記載の作動方法。
【請求項4】
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、前記複数の測定された総血液量変化のそれぞれの前記決定された新しいベンチマーク血液量しきい値に基づいて、前記限外濾過ポンプに関連付けられた最小ポンプ速度と前記最初の限外濾過速度との間で前記限外濾過ポンプをサイクルさせることを備える、請求項2に記載の作動方法。
【請求項5】
前記総血液量変化を測定する前に、第2の総血液量変化を測定することと、
第2のベンチマーク血液量しきい値を前記第2の総血液量変化と比較することに基づいて、最小ポンプ速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
をさらに備え、
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記最小ポンプ速度から前記最初の限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することを備える、請求項1に記載の作動方法。
【請求項6】
前記総血液量変化を測定する前に、第2の総血液量変化を測定することと、
第2のベンチマーク血液量しきい値を前記第2の総血液量変化と比較することに基づいて、最小ポンプ速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
をさらに備え、
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、
前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記最小ポンプ速度から、前記最小ポンプ速度を上回り前記最初の限外濾過速度とは異なる限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することを備える、
請求項1に記載の作動方法。
【請求項7】
前記血液量の目標変化は、処理プロファイルの第1の時間間隔に関連付けられ、
前記処理プロファイルは、前記血液量の目標変化に関連付けられた前記第1の時間間隔と少なくとも1つの他の血液量の目標変化に関連付けられた少なくとも1つの他の時間間隔とを含む、少なくとも2つの別個の時間間隔を示し、
前記測定された総血液量変化の前記ベンチマーク血液量しきい値を決定することは、前記血液量の目標変化と前記第1の時間間隔とに基づいて、血液量の中間地点を決定することを備える、
請求項1に記載の作動方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの他の時間間隔の第2の時間間隔内に第2の総血液量変化を測定することと、
前記第2の時間間隔と前記少なくとも1つの他の血液量の目標変化の第2の血液量の目標変化とに基づいて、第2の血液量の中間地点を決定することと、ここにおいて、前記血液量の目標変化は前記第2の血液量の目標変化とは異なり、
前記第2の血液量の中間地点を前記測定された第2の総血液量変化と比較することに基づいて、第2のポンプ速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
をさらに備える請求項に記載の作動方法。
【請求項9】
閉ループ透析処理を行うための透析システムであって、
限外濾過ポンプと、
プロセッサと、
プロセッサ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備え、ここにおいて、前記プロセッサ実行可能命令は、前記プロセッサにより実行されたとき、
最初の限外濾過速度および前記限外濾過ポンプに関連付けられたヒステリシスを決定し、前記決定された最初の限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
前記最初の限外濾過速度に基づいて、総血液量変化を測定することと、
血液量の目標変化に基づいて、前記測定された総血液量変化のベンチマーク血液量しきい値を決定することと、
前記ヒステリシスおよび前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することと、
総透析処理時間経過に基づいて、閉ループ透析処理を停止することと、
を容易にする、
透析システム。
【請求項10】
前記総血液量変化を測定することは、複数の測定された総血液量変化を決定するために、あるサンプリング速度で前記総血液量変化を周期的にサンプリングすることを備え、ここにおいて、前記複数の測定された総血液量変化のそれぞれは異なる経過処理時間に関連付けられ、
前記ベンチマーク血液量しきい値を決定することは、前記複数の測定された総血液量変化のそれぞれの新しいベンチマーク血液量しきい値を決定することを備える、
請求項に記載の透析システム。
【請求項11】
前記新しいベンチマーク血液量しきい値を決定することは、
前記複数の測定された総血液量変化のうち特定の総血液量変化について、前記特定の総血液量変化の経過処理時間を決定することと、
前記経過処理時間、総透析処理時間および前記血液量の目標変化に基づいて、前記特定の総血液量変化の前記新しいベンチマーク血液量しきい値を決定することと、
を備える、請求項10に記載の透析システム。
【請求項12】
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、前記複数の測定された総血液量変化のそれぞれの前記決定された新しいベンチマーク血液量しきい値に基づいて、前記限外濾過ポンプに関連付けられた最小ポンプ速度と前記最初の限外濾過速度との間で前記限外濾過ポンプをサイクルさせることを備える、請求項10に記載の透析システム。
【請求項13】
前記プロセッサ実行可能命令は、前記プロセッサにより実行されたとき、
前記限外濾過ポンプに関連付けられたヒステリシスを決定することをさらに容易にし、
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、前記測定された総血液量変化を前記ヒステリシスおよび前記決定されたベンチマーク血液量しきい値と比較することに基づく、
請求項に記載の透析システム。
【請求項14】
前記プロセッサ実行可能命令は、前記プロセッサにより実行されたとき、
前記総血液量変化を測定する前に、第2の総血液量変化を測定することと、
第2のベンチマーク血液量しきい値を前記第2の総血液量変化と比較することに基づいて、最小ポンプ速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
をさらに容易にし、
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記最小ポンプ速度から前記最初の限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定すること
を備える、
請求項に記載の透析システム。
【請求項15】
前記プロセッサ実行可能命令は、前記プロセッサにより実行されたとき、
前記総血液量変化を測定する前に、第2の総血液量変化を測定することと、
第2のベンチマーク血液量しきい値を前記第2の総血液量変化と比較することに基づいて、最小ポンプ速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
をさらに容易にし、
前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することは、
前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記最小ポンプ速度から、前記最小ポンプ速度を上回り前記最初の限外濾過速度とは異なる限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することを備える、
請求項に記載の透析システム。
【請求項16】
前記血液量の目標変化は、処理プロファイルの第1の時間間隔に関連付けられ、
前記処理プロファイルは、前記血液量の目標変化に関連付けられた前記第1の時間間隔と少なくとも1つの他の血液量の目標変化に関連付けられた少なくとも1つの他の時間間隔とを含む、少なくとも2つの別個の時間間隔を示し、
前記測定された総血液量変化の前記ベンチマーク血液量しきい値を決定することは、前記血液量の目標変化と前記第1の時間間隔とに基づいて、血液量の中間地点を決定することを備える、
請求項に記載の透析システム。
【請求項17】
プロセッサ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プロセッサ実行可能命令は、プロセッサにより実行されたとき、
最初の限外濾過速度を決定し、前記決定された最初の限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、
前記最初の限外濾過速度に基づいて、総血液量変化を測定することと、
血液量の目標変化に基づいて、前記測定された総血液量変化のベンチマーク血液量しきい値を決定することと、
前記決定されたベンチマーク血液量しきい値を前記測定された総血液量変化と比較することに基づいて、前記限外濾過ポンプのポンプ速度を制御することと、
総透析処理時間経過に基づいて、閉ループ透析処理を停止することと、
を容易にここにおいて、
前記血液量の目標変化は、処理プロファイルの第1の時間間隔に関連付けられ、
前記処理プロファイルは、前記血液量の目標変化に関連付けられた前記第1の時間間隔と少なくとも1つの他の血液量の目標変化に関連付けられた少なくとも1つの他の時間間隔とを含む、少なくとも2つの別個の時間間隔を示し、
前記測定された総血液量変化の前記ベンチマーク血液量しきい値を決定することは、前記血液量の目標変化と前記第1の時間間隔とに基づいて、血液量の中間地点を決定することを備える、
記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本国際出願は、2017年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/612,037号の優先権を主張する、2018年3月21日に出願された米国特許出願第15/927,769号に対する優先権を主張する。前述の特許出願の両方は、その全体が参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 腎不全または部分的腎不全の患者は、典型的に、多くの場合血液透析治療センターで腎臓透析を受ける。健康なとき、腎臓は、水分およびミネラル(例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、リン、マグネシウム、および硫酸塩)の体内平衡を維持する。腎不全の患者は、血中および組織に実質的に余分な水分および毒素(例えば、尿素、アンモニア)を蓄積する傾向にあり、深刻なミネラル不均衡を経験し得る。腎臓はまた、内分泌系の一部としても機能してホルモンエリスロポエチンならびに他のホルモンを産生する。血液透析は、腎臓の内分泌機能には対処しないので、部分的に腎機能に代わる不完全な処理である。
【0003】
[0003] 血液透析では、血液は、特定のアクセス部位(例えば、腕、大腿、鎖骨下動脈領域等)の動脈から血液を抜く吸入針(またはカテーテル)を通して患者から引き出される。次いで動脈血は、典型的には蠕動ポンプを介して体外チューブを通して圧送され、次いで「透析器」と呼ばれる特別なフィルタを通して圧送される。透析器は、尿素、窒素、カリウムなどの毒素、および余分な水分を血液から除去するように設計されている。血液が透析器に入ると、血液は、透析器の全長に延びる何千もの小径のストロー状のほぼ平行な繊維に分配される。各繊維の壁は、無数の小孔を有する半透膜材料から形成される。化学薬品と水の溶液である透析液が、この繊維の網目の外側の空間の透析器を通り、一般に血液の流れと反対の方向に流れる(すなわち向流)。透析液が透析器を流れるとき、繊維を浸して取り囲む。繊維膜中のこれらの細孔は、水および水媒介不純物(ミネラル、尿素、および他の小分子を含む)を通すくらいに大きいが、赤血球を通すほどには大きくない。したがって、新しい透析液は、膜を介した拡散によって通過する余分な不純物を蓄積し、また膜を介した静圧差により(すなわち、透析液と比較して血液のより高い静圧により)限外濾過(UF)プロセスを通して余分な水分も収集する。
【0004】
[0004] このプロセス中、血中の比較的大きい細胞およびより大きいタンパク質の多くは、身体に再循環されて戻るように繊維内に留まる。使用済みの透析液は、出力チューブを介して余分な体液および毒素と共に透析器を出て、したがって透析器を通って流れる血液および赤血球量を浄化する。次いで、浄化され、透析された血液は、透析器から流出し、チューブおよび針(またはカテーテル)を介して患者に(例えば同じアクセス部位の隣接する静脈中に)戻る。血液透析中に赤血球が凝固するのを防止するために、ヘパリンドリップまたはポンプが、体外血流ループに沿って設けられるときもある。血液透析と限外濾過を組み合わせることによって、典型的な数時間の処理において、数リットルの余分な体液が患者から除去されることができる。米国では、慢性腎不全の患者は、通常、週に3回、月曜日-水曜日-金曜日のスケジュールまたは火曜日-木曜日-土曜日のスケジュールのいずれかで、透析センターで血液透析治療を受ける。これらの治療は、透析器を通る血流量が典型的には300ml/分以上と比較的高く設定されて、典型的には3~4時間にわたって完了する。米国における限外濾過速度は、典型的には1時間あたり1~3リットルの間の範囲に及び、周期的な「停止」最小期間は0リットル/hrに近づく。他の国では、処理のための流量および時間は、一般に、それぞれより低く長くなる。より低い血流量または限外濾過速度は、身体からの毒素および水分の同じレベルのクリアランスを達成するのにより長い処理時間を必要とする。
【0005】
[0005] 透析を実行する現在の方法は、規則的な処理のための到着時の患者の体重と、身長、体重、および他の生理学的条件などの要因を使用して容認されたアルゴリズムによって決定される患者の「目標」体重と、処理のための医師の指示に基づいて患者から除去されることができる体液の量の推定値に基づく。
【0006】
[0006] 腎不全患者は、正常な排泄によって余分な体液を除去することができない。この余分な体液の多くは、代わりに、血液から、筋組織の周囲を含む間質組織空間に入る。透析のプロセスは、部分的に、血管空間から除水し、間質組織に蓄積された体液が浸透および静水圧効果によって血流中に移行して戻ることを促進するように設計される。この間質組織から血液中に移動する体液の自然なプロセスは、「リフィリング(re-filling)」と呼ばれ、透析の成功を評価するときに考慮されるべきである。
【0007】
[0007] 透析の課題は、処理によって除去されたボリュームをボディメカニクスがリフィリングで補えるくらいに十分な体液を血流から除去することである。透析プロセスがあまりにも迅速に除水しすぎると、身体がリフィリングを通じて維持できないか、または患者に貯留された体液がもうなく「リフィリング」するものがないので、血液量は過度に低下することになる。この状態は、痙攣、嘔気、および患者にとってより深刻な可能性のある状態が生じる病的事象をもたらす場合がある。
【0008】
[0008] 透析プロセスによって血流から除去される体液が不十分である場合、間質組織から血管系への体液の移動がなくなり、処理はむしろ効果がなくなる。したがって透析の目標は、透析が、不要な間質液を除去するくらい十分に患者の血管系ボリュームに挑戦し、同時に患者の病的状態に寄与しない均衡を見出すことである。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 例示的な実施形態では、本開示は、閉ループ透析処理を行うための方法を提供し、本方法は、最初の限外濾過速度を決定し、前記決定された限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、血液量の総変化を測定することと、血液量の変化率がしきい値を超えたかどうかを決定することと、前記血液量の変化率が前記しきい値を超えたとき、前記限外濾過ポンプを最小ポンプ速度に設定することと、前記血液量の変化率が前記しきい値を下回るとき、前記決定された限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、血液量の累積変化が目標しきい値を上回るとき、前記閉ループ透析処理を停止することと、を備える。
【0010】
[0010] 例示的な実施形態では、本開示は、閉ループ透析処理を行うための方法を提供し、本方法は、(a)限外濾過速度を決定することと、(b)アクティブ持続時間の間、前記決定された限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、(c)血液量の総変化を測定することと、(d)リバウンド持続時間の間、前記限外濾過ポンプを最小ポンプ速度に設定することと、(e)血液量のリバウンド変化を測定することとを備える。本方法はさらに、回帰セットを取得するためにステップ(b)~(e)を第1の回数繰り返すことと、前記回帰セットは、いくつかの対の値を備え、ここにおいて、各対の値は、前記血液量の総変化の測定値および前記血液量のリバウンド変化の測定値であり、(f)前記回帰セットを使用して前記限外濾過速度を更新することと、(g)ステップ(b)~(e)を繰り返すことによって前記回帰セットを更新することと、ステップ(f)および(g)を第2の回数繰り返すこととを備え、ここにおいて、1+前記第1の回数および1+前記第2の回数の合計持続時間が処理期間である。
【0011】
[0011] 例示的な実施形態では、本開示は、閉ループ透析処理を行うための方法を提供し、本方法は、(a)限外濾過速度を決定することと、(b)アクティブ持続時間の間、前記決定された限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、(c)血液量中間地点が満たされたときを決定するために、前記アクティブ持続時間の間、血液量の総変化を測定することと、(d)リバウンド持続時間の間、前記限外濾過ポンプを最小ポンプ速度に設定することと、(e)前記リバウンド持続時間の間、血液量のリバウンド変化を測定することと、(f)前記血液量中間地点を更新することとを備える。本方法はさらに、回帰セットを取得するためにステップ(b)~(f)を第1の回数繰り返すことと、前記回帰セットは、いくつかの対の値を備え、ここにおいて、各対の値は、前記血液量の総変化の測定値および前記血液量のリバウンド変化の測定値であり、(g)前記回帰セットを使用して、ドライウェイト目標を満たすためのドライウェイト時間を決定することと、(h)前記処理期間が前記ドライウェイト目標に達するのに十分であるかどうかを決定することとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012] ブラックボックスの工学的概念を例示する。
図2】[0013] 本開示の一実施形態による臨床現場で血液透析を受ける患者を例示する。
図3】[0014] 本開示の一実施形態による、血液透析を受ける患者に適用されているブラックボックスの概念を例示する。
図4】[0015] 本開示の一実施形態による血液量モニタの透析装置の流量入力および出力(例えばCrit-Line(登録商標)センサを使用して測定される)を例示する。
図5】[0016] 本開示の一実施形態による、血液量モニタの透析装置の流量入力および出力を例示する。
図6】[0017] 本開示の一実施形態による、透析中の血液量の変化を示すモニタのスクリーンショットを例示する。
図7】[0018] 本開示の一実施形態による、既定のUFプロファイルの選択肢を示すモニタのスクリーンショットを例示する。
図8】[0019] 本開示の一実施形態によるUF駆動の単一のサイクルを例示する。
図9】[0020] 本開示の時間ベースの実施形態による、透析を受ける患者のための処理プロファイルを例示する。
図10】[0021] 本開示の一実施形態による、一定の時間間隔を使用する透析処理のプロセスフローチャートである。
図11】[0022] 予め確立されたBV中間地点に到達することに基づいて処理時間を評価するために一定のUF速度を使用する透析を受ける患者のための例示的な処理プロファイルを例示する。
図12】[0023] 本開示の一実施形態による、一定のUF速度を使用する透析処理のプロセスフローチャートである。
図13】[0024] 本開示の一実施形態による透析処理のプロセスフローチャートである。
図14】[0025] 本開示の一実施形態による透析処理のプロセスフローチャートである。
【詳細な説明】
【0013】
[0026] 最適な透析処理を提供する際の課題は、水分および毒素が患者から除去されるときに体液の動態(fluid dynamics)に生じる変化である。体内の体液レベルが変化すると、患者の間質空間および血管も変化する。これらの変化を測定またはモデル化する効果的なリアルタイムの方法がなかったので、標準的な実践は、身長、体重、および医者によって確立された他の生理学的パラメータに基づいて、患者のための固定モデルを仮定することであった。
【0014】
[0027] 透析において、1つの目標は、患者の体液レベルを、多くの場合「ドライウェイト」と呼ばれるものにすることであり、これは一般に、患者の腎臓が完全に機能的であれば体内に存在することになる体液の量を指す。完全な腎機能の人々でさえ、食事、行動、ホルモン、および流体摂取に基づいて体液レベルが著しく変化するので、任意の所与の日の「ドライウェイト」をいかに定量化するかが課題である。
【0015】
[0028] 一実施形態では、本開示は、透析中の血液量の実際の変化をモニタリングする方法を提供する。本方法は、UFポンプ速度(透析の除水を駆動するエンジン)をその最小設定まで減少させ、この「リバウンド期間」中モニタリングして、身体のリフィリングのみに基づく血液量増加(上向き勾配によって証明される)を決定することによって、患者がどのくらいドライウェイトに近いかを決定することを含む。リフィリングがある場合、余分な間質液が存在する。血液量トレースがこの期間中比較的平坦(ゼロの勾配)のままである場合、患者はその日についてほぼドライウェイトである。
【0016】
[0029] 本開示の目的のために、「ドライウェイト」という用語は、透析システムの除水エンジンがその最小レベルに設定されたときに、血管空間内の血液量が実質的に一定(ほぼゼロの勾配)のままである状態を示す。換言すれば、間質組織からの貯留された体液による血管系の顕著なリフィリングはない。
【0017】
[0030] 本開示の実施形態は、フレゼニウスメディカルケアのCrit-Line(登録商標)モニタなどの血液量モニタをセンサとして使用して、患者の以前は未知であったリアルタイムの体液の動態の測定値に基づいて、リアルタイムで透析パラメータを調整する手法を提供する。
【0018】
[0031] 未知のシステムのエンジニアリング解析は、いくつかの方法で達成されることができる。4つの端子を有するブラックボックス法の1つの変形例が図1に示される。2つの端子(左)はブラックボックスへの入力信号を構成し、2つの端子(右)はブラックボックスからの出力信号を構成する。従来の電気的な意味では、ブラックボックスは、多くの場合、内部構成要素がアクセス不可能で規定されていない未知の電気回路をシミュレートする。振幅、時間、および周波数が制御された既知の信号のレジームを用いてブラックボックスの入力を駆動し、同時にブラックボックスの出力側で対応する出力を測定することによって、どの特定の電気素子がブラックボックス内に含まれているかさえも知ることなく、ブラックボックスの内部回路の挙動を特徴付ける関数を導出することができる。式1は、伝達関数H(A,t,f)、またはブラックボックスが所与の入力に対してどのように振る舞うかの特性を示す。Out(A,t,f)は、所与の入力駆動関数In(A,t,f)に対してブラックボックスの出力側で感知される出力である。A、t、およびfは、それぞれ、振幅、時間(位相も含意する)、および周波数を示す。
【0019】
【数1】
【0020】
[0032] 本開示の実施形態によれば、ブラックボックスアプローチは、透析プロセスによる血管空間の刺激の反応をモニタリングするために使用される。本開示の実施形態によれば、ブラックボックスアプローチは、処理中の透析患者のリアルタイムの体液の動態を決定するために使用される。一実施形態では、透析は、患者の血管空間の刺激に対する反応に基づいて調整される。別の実施形態では、患者の動態は、その日の透析処理のための患者のドライウェイトを目標とするようにモデル化される。
【0021】
[0033] 図1に関して説明された電気回路と同様に、修正されたブラックボックス分析が、患者の生理液反応を評価するために実行されることができる。リアルタイムの患者の体液の動態(出力)を測定することによって、熟練した医師によって設定された特定の目標となる除水目標を達成するように、またはその日のドライウェイトに近づくように、処理(入力)を合わせることが可能である。
【0022】
[0034] 図2は、本開示の一実施形態による、臨床現場で血液透析を受けている患者を例示する。透析装置12は、患者10に処理を施す。透析プロセスの結果としてのヘマトクリット値(HCT)および血液量の計算された変化(ΔBV)の割合が測定され、血液量(BV)モニタ14に表示される。BV測定の機能は、透析装置12のサブシステム(単数または複数)に統合されることができるが、明確にするために例示的な開示では別個のユニットとして示されていることが理解される。
【0023】
[0035] 透析中、血液は、患者の外科的に埋め込まれたアクセスに挿入された針16を介して患者10から除去される。血液は、医師の指示の下で、指定された血流量に設定された蠕動ポンプ20によって駆動されるチューブ18を通して送られる。血液は、チューブ18を通って血液チャンバ32(HCTおよびΔBVの測定に使用される)に進み、透析器22へと通され、次いでチューブ24および針26を通って患者の体内に戻る。除水(および血液浄化)は透析器22で行われる。透析器は、より小さい分子および水分が繊維壁を通ることを可能にする細孔を有する多数の内部繊維を含有するが、細孔は、より大きい赤血球およびより大きいタンパク質が通ることを可能にするには小さい。透析液溶液は、別個に、チューブ28を通して透析器22へと圧送され、透析器22内の繊維を取り囲む。体液は老廃物として血液から透析液溶液中に通過し、当該透析液溶液は、チューブ30によって透析器から出て廃棄される。このプロセスは、透析システムの限外濾過(UF)機能を備える。別個のUFポンプが、透析液流体を回路内に圧送するために使用される。UF速度は、(繊維内部の血液と比較して)透析液溶液の相対的な化学物含有量によって確立される濃度勾配と共に、余分な体液の血液から膜を介した移動を促す。UFポンプ速度および透析液溶液の構成は、医師の指示下にある。
【0024】
[0036] 本開示の実施形態は、BVモニタ14を使用してBVの変化をモニタリングする方法を提供する。一実施形態では、モニタ14の光センサ34が血液チャンバ32に取り付けられ、ここで血液チャンバ32の観察窓を通過するときに特定の波長の光が血液に照射される。血液成分によるこれらの波長の吸収および散乱から、ヘマトクリット値(HCT)および酸素飽和度(SAT)が、モニタ14の計算システム35部分によって測定される。血液量のリアルタイム測定が可能なモニタの例示的なモデルは、Crit-Line(登録商標)およびCrit-Line in Clip(CLiC(登録商標))が統合されたデバイスである。
【0025】
[0037] いくつかの実施形態におけるΔBV測定は、いくつかの従来の測定システムに勝る利点を提供する。従来のシステムは、処理の開始時に単一波長で血液を通過する開始信号レベルのみに基づいている。次いで、処理中の連続的な信号強度が測定されて比を作成し、表示のためにパーセントに変換される。UFを制御するためのフィードバックループを作成する目的のためには、このアプローチを利用する従来のシステムは、提供される測定値が、任意の実際の血液成分または較正されたパラメータと関連付けられていないので、不十分である。さらに、単一波長の光学システムは、透析システム自体からの偽信号の影響を受けやすいことが示されている。このような偽信号の1つの例は、透析システムが、処理を通じて透析液のナトリウム濃度を繰り返し測定することによって「導通試験」を行う場合に生じ得、単一波長システムにおける大きい負のスパイクが、アーチファクトとして現れる。そのようなシステムがUFを制御するために使用された場合、誤調整されたUFが透析液の導通試験中に生じる可能性があり、患者にリスクを提示する。
【0026】
[0038] 本明細書の例示的な実施形態では、Crit-Line(登録商標)およびCLiC(登録商標)システムは、較正されたHCTを測定するために二重光波長を使用する。二重波長システムは、「導通試験」に誤って反応せず、結果として生じるHCTは、血液の状態の較正された指標である。さらに、透析器フィルタ(赤血球が失われない)を通して提供される物質収支を使用すると、HCT(赤血球容積と全血液量の比)は、ΔBV指標をUFに数学的に結び付けるための理想的なパラメータである。ΔBVを導出するための任意の制御システムは、それがUF制御のために使用される場合、1つまたは複数の較正された血液パラメータに数学的にトレース可能であるべきである。
【0027】
[0039] 患者の最初のHCT0を測定し、次いで透析中の連続的なHCTm読取値を比較することによって、透析プロセスにおいて赤血球が失われず、および赤血球容積が物質収支にとどまると仮定して、血液量の実際の変化を計算することが可能である。HCTの規定から、HCTに基づく血液量の変化率は、式2によって与えられる。
【0028】
【数2】
【0029】
ここで、ΔBV(%)は、処理の開始からの血液量のHCTベースの相対変化であり、HCT0は、処理の開始HCTであり、HCTmは、処理中にリアルタイム測定されたHCTである。
【0030】
[0040] 患者に処理を施す透析システム(制御された信号入力)および結果として生じる血液量変化をモニタリングするCrit-Line(登録商標)システム(出力信号)を用いて、図3に示されるように、ブラックボックス法が患者に適用されることができる。ブラックボックスは、患者の内部体液動態系を表し、そうでない場合、外部手段によって容易に特徴付けられることができない。前述の電気的ブラックボックス分析に類似したアプローチを使用して、患者の体液の動態状態は、UF調整に基づいて透析処理を通してシステムを駆動し、同時に、結果として生じる血液量変化におけるその駆動の効果をモニタリングすることによって、測定され、したがって特徴付けられることができる。
【0031】
[0041] 血液パラメータベースの測定値を使用して患者のブラックボックスの体液モデルからの透析処理出力(例えば較正されたHCTに基づくΔBV)を特徴付けることによって、このリアルタイム測定値が、透析システムの入力パラメータ(単数または複数)(例えば、UF、処理時間、透析液中のナトリウム等)を閉ループで制御するために使用されることができ、処理にきている患者または処理中の患者の体内で生じ得る正確な体液の動態の不確実性によって制限の一部がもたらされるのを回避する。以下の実施例は、本開示の実施形態をさらに例示するが、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0032】
実施例1-単一目標の線形血液量減少
[0042] 例示的な実施形態では、患者の除水プロファイルが十分な履歴データに基づいて推定されることができる方法が開示される。患者に影響を及ぼす医学的要因のタイプから、医師は、患者の透析処理のための除水目標を決定するために、計算、アルゴリズム、および/または経験に基づく判断を使用する。実施形態では、医師は、継続的に、患者の推定されたドライウェイトを達成して維持する処理を提供しようとする。医師は、除水のための目標ΔBVを処方し、患者のケアを管理する臨床スタッフにそれを指定する。例えば、医師は、必要な血液量除去が、3時間の処理を通して15%であると推定し得る。このシナリオでは、最初の推定UF速度が、やはり医師の指示によって指示されたように臨床医によって閉ループ透析システムにプログラムされる。
【0033】
[0043] 本実施例では、血液量モニタ14(図2に図示)は、1時間当たり線形5%の血液量を除去するようにプログラムされる。血液量モニタ14は、医師の指示どおりに3時間の処理の終了時に15%の血液量が除去されるまで、除水が線形軌道をたどることを保証するようにUFポンプ速度を制御する。図4は、ヘマトクリットベースの血液量モニタ14上に現れ得る、結果として生じる血液量トレースを例示する。このトレースは、UFポンプのデューティサイクル制御のためにリアルタイムで使用される。本実施例では、透析装置12にプログラムされたUFポンプのデューティサイクルを変化させることによって、UFポンプ動作時間および休止時間は、指定された目標トレースに除水を駆動する。(このプロセスは図13のフローチャートに例示されており、詳細は後述される。) [0044] 異なる方法を使用して、ΔBVトレースの軌道は、やはりコンピュータ制御下で、透析器22のための透析液システム28、30を駆動する、実際のUFポンプ速度を通して調整されることができる。これは、UFレベルが固定速度に保持されたまま、UFポンプをオンおよびオフにサイクルさせる代替方法である(図4に図示)。両方のアプローチとも、血液量モニタ14、およびモニタリングシステムフィードバック信号をポンプコントローラに結合し調節するコントローラからのフィードバックに依存する。異なる適用例では、サイクル時間およびUF速度の両方を一緒に調整して、除水の所望の軌道に適合するようにUF速度およびタイミングを制御することができる。例えば、モニタリングのリフィリングサイクル中のUFポンプの休止により患者の身体が予想速度よりも速い速度でリフィリングしていることが明らかになったら、UFポンプは次いで、より速い速度で作動するように構成され得、透析器の浸透圧を増加させ、患者の血流からより多くの体液を引き出す。このUF速度の変化は、システムによって自動的に行われ得るか、または提示されたデータに基づく所望の行動方針として臨床医によって確認され得る。
【0034】
[0045] 別の実施形態では、UFパラメータ、ならびに透析器にわたる逆浸透のために使用される透析液中のナトリウム濃度が、除水速度に影響を及ぼし指定された目標を満たすように調整されることができる。ナトリウムモデリングを使用するために、ナトリウムの変動に対する患者の許容度が、安全境界条件を確立するために使用される。血液量のみをフィードバックとして使用するUFポンプ例を制御するための直接フィードバックとは異なり、ナトリウム修正アプローチは、自動化されたナトリウムフィードバックの実施より前に、繰り返される患者治療分析を通して医師によってよく規定されるように患者の既知のナトリウム反応メカニズムモデリングを利用するか、または何らかの形態の直接の血液ナトリウム測定値が、血液量ベースのフィードバックを増強するために使用される。
【0035】
[0046] 本実施例1-UFポンプ制御の線形軌道フィードバックを使用する単一目標線形の実施形態では、線形軌道は、患者にとって最良の進路であると仮定され、処理中の様々な時間における患者の生理機能または患者の身体の体液の動態の差を考慮しようとはしない。
【0036】
[0047] 指定された最終血液量への軌道がプログラムされるフィードバックシステムを使用するとき、血液量モニタ14によるリアルタイム測定値は、規則的な間隔で(例えば秒ごとに)軌道に沿った時間ベースの目標と比較される。測定された血液量が所望の軌道点に非常に近くなると、透析装置12の血液ポンプに振動が生じ、ポンプおよびコントローラ回路に過度の摩耗および断裂を引き起こす。動的な血液量パラメータは絶えず変化しており、そのパラメータが現在の目標レベルに接近または達すると、それはさらなる調整なしにはそのレベルに留まらない。
【0037】
[0048] 図4の例に示されるUFポンプ動作のプロットでは、ヒステリシス帯がグラフに示されている。点線は、理想的な目標軌道点のプロットであり、実線は、理想的な目標点辺りのプログラムされた許容可能ヒステリシスに基づく予期される実際の血液量軌道を示す。UFポンプのサイクルオン時間は、目標点線の負のほうにわずかに越えることが示されており、サイクルオフ時間の間、トレースは、目標点線のわずかに正の側へのリフィリングを可能にすることが示されていることに留意されたい。本実施例に提示されるような閉ループ様式で動作するように設計されたシステムは、許容できないUFポンプの振動がサンプル点において「オンおよびオフ」になることを防止するために、絶対目標値辺りの許容可能なヒステリシス帯をプログラムする能力を有し得る。
【0038】
実施例2-軌道推定に基づく複数の目標血液量
[0049] 例示的な実施形態では、十分な履歴データに基づいて患者の体液および処理プロファイルが推定されることができる方法が開示される。実施例1のように、余分な体液がどのように除去されるべきかを決定するために、前述の医学的要因が、計算、アルゴリズムおよび/または経験に基づく判断において医師によって使用される。
【0039】
[0050] 実施例1は、血液量の指定された変化が、その目標を達成するために、単一のΔBV軌道を有する単純な除水の線形関数に従うと仮定した。実施例1では、身体は、一定速度の血液量減少に耐えることができると仮定され、したがって、除水は、単一のボリューム除去ラインをたどる。
【0040】
[0051] 実際的には、患者の体液互換性は、除水されるにつれて変化する。最低でも、組織空間は変化し、体液を移送する血管系の能力は体液の動態に反応して変化する。医師は、継続的に、患者の推定されたドライウェイトを達成し維持しようとする。医師は、専門的判断および/または患者の体液交換能力の以前の経験からのデータに基づいて、透析処理がどのように完了されるべきかを最良に推定するために、除水に影響を及ぼすための処理中の複数の目標を処方し得る。次いで医師は、臨床スタッフに対して、処理の持続期間を通したこれらのマイルストーン目標を指定する。一例では、医師は、除去されるべき必要な血液量全体が、3時間の処理を通して12%であると推定し得る。しかしながら、図4の線形フィードバックアプローチとは異なり、この患者のUFを許容する能力の経験、および処理日に取られたメトリクスを通して来院時に検査室で測定された他のパラメータに基づいて、医師は、患者が許容できる除去速度を推定する。次いで、医師は、患者への影響を最小限にするための透析レジーム(すなわちプロファイル)を処方する。
【0041】
[0052] 本実施例では、医師は、1.2L/時間のUF速度で実行して、患者の身体が初めの1時間にわたって7%除去の血液量減少を許容することができると推定し指定する。第2の1時間で、さらに3%の減少が目標とされる。最後の1時間の間に、さらに2%が除去される。
【0042】
[0053] 血液量モニタ14(図2参照)は、概略の軌道プロファイルに従うようにプログラムされ、全体で12%の血液量が3時間の終了までに除去されるまで除水がこの軌道をたどることを保証するように、UFサイクル時間を制御する。別の実施形態では、モニタリングシステムは、独立して、または透析装置12のUF動作のサイクル時間と併せて、UF速度を変更することができる。図5は、処方された軌道をたどるようにUF速度がオンおよびオフにサイクルされる、説明されるサンプルの事例を例示する(図14のフローチャートおよび後述のその詳細な説明を参照)。図5は、指定された目標に除水を駆動するようにUFサイクル時間を制御するために透析装置12およびヘマトクリットベースの血液量モニタ14を使用する、UFサイクル制御に基づく結果として生じる血液量トレースを例示する。軌道は、透析装置12の透析器22のための透析液システム28、30を駆動するUF速度を調整することによって制御されることができる。代替的に、UFは、固定された速度でオンおよびオフにサイクルされることができる。軌道を満たすようにUF速度およびポンプサイクル時間を適切なアルゴリズムと組み合わせることも可能である。すべてのアプローチは、血液量モニタ14からのコントローラおよびソフトウェアフィードバックに依存する。
【0043】
[0054] 実施例2と同様に、別の実施形態は、適切かつ安全にモデル化される場合、透析液中のナトリウム濃度を変化させ得る。このアプローチは、単独で、またはUF速度(および/またはUF時間)の変動と併せて使用されることができる。ナトリウムモデリングを使用するために、ナトリウムの変動に対する患者の許容度が、安全境界条件を確立するために利用される。血液量のみをフィードバックとして使用するUFポンプ例を制御するための直接フィードバックとは異なり、ナトリウム修正アプローチは、自動化されたナトリウムフィードバックの実施より前に繰り返される患者治療分析を通して医師によってよく規定されるように患者の既知のナトリウム反応メカニズムモデリングを利用するか、または何らかの形態の直接の血液ナトリウム測定値が、血液量ベースのフィードバックを増強するために使用される。
【0044】
[0055] 本実施例2の実施形態では、プログラムされた軌道における処理の中間地点は、現在の処理について患者のための除水の最良の進路を表すように医師によって指定される。ライフスタイルの変化または容易にモデル化されない他の生理学的要因により、任意の所与の日の患者の状態を特徴付けることは完全には可能でないこともある。例えば、図5に例示される説明された処理レジームは、金曜日のセッション中に患者に対して使用され得、処理レジームは患者の身体要件に非常によく適合する。次いで患者は、通常よりも良い気分で帰宅し得る。週末にかけて、患者は結果として暴飲および/または暴食するかもしれない。患者が月曜日に診療所に戻ったとき、処理プロファイルの軌道は、金曜日にうまくいったものとは根本的に異なる必要があり得る。しかしながら、処理軌道全体に沿って異なる間隔で異なる目標を使用することは、患者が許容できるものの目標が正確である場合、実施例1で説明されたような単純な線形アプローチよりも良いと推定される。
【0045】
[0056] 患者集団における病的事象および死亡の分析を通して、実施例2の複数目標のアプローチを支持する証拠がある。これらのデータは、処理中の特定の時間における除水の特定のパーセント範囲が、他の推定方法よりも患者の健康を保つのに有効であることを示唆する。したがって、特定のΔBV目標ゾーンが、各1時間の終わりの目標とされ得る。
【0046】
[0057] ΔBV軌道を適応的にたどることは、従来の方法に勝るいくつかの利点を提示する。従来の方法は、血液透析中、臨床医が透析システムをモニタリングすることを必要とする。例えば、透析システムは、図6に示されるような、患者のΔBV(またはHCT)プロファイルに関して患者の除水の進行を示す画面表示を有し得る。図示されるように、画面表示は、操作者がBV警告レベルを設定することが可能であることを示すので、ΔBVがBV警告レベルを下回る場合、介入のためにアラームが鳴らされる。警告レベルに達した場合、血液量モニタ14からのフィードバックは、透析装置12内のUFポンプを無効にして、処理全体の間に体液が除去されすぎて病的事象を引き起こす可能性を防止することができる。
【0047】
[0058] 画面は、ΔBVの変化率を示すプロファイルを表示する。少なくとも3つの条件を画面から収集することができ、それらは、UF目標を満たすために除去される体液が少なくなりすぎるくらいに患者のリフィリングが速すぎるかどうか、目標とするUF目標を満たすことが可能な速度で除水される許容範囲にUF速度があるかどうか、および血液量の変化が除去目標(単数または複数)を越え、患者が痙攣または嘔気などの病的事象を経験し始める恐れがあるくらいにUF速度が速すぎるかどうか、である。
【0048】
[0059] 実施例2の複数目標の実施形態の下でUFプロファイルが広い患者ベースに対して繰り返せることが判明した場合、透析装置12は、図7に示されるような患者処理セットアップ中に臨床医によって選択される既定のUFプロファイルを用いて構成されることができる。プロファイル変化間のタイミングおよびUFポンプ速度は、透析装置12のベースラインのUFポンプ動作を提供するが、血液量モニタ14は、処理中に軌道目標を満たすように、この基本プロファイルを修正し適応させる。最初の最大UF速度は、UF目標およびUF時間に基づいて計算される。血液量モニタ14によるベースラインプリセットのリアルタイムの修正を伴う透析装置12におけるプリセットプロファイルは、実施例2の1つの実施形態であり、実施例1にも適用されることができる。
【0049】
[0060] 交互の実施形態は、透析装置12において設定されている最初のUF速度を単に利用し、血液量モニタ14は、完全にソフトウェア制御下で、全体的なプロファイル、およびプログラムされた軌道に沿った目標へのUF速度の適応を制御する。
【0050】
[0061] 従来の方法では、透析システムは、BVの変化が既定のBV警告レベルを超えたときにアラームを鳴らすことができるが、アラームへの対応には、血液量を増加させるためにUFポンプ速度を変更するかまたは生理食塩水ボーラスを投与することによってΔBV速度を調整する、操作者による手動介入を必要とする。しかしながら、生理食塩水ボーラスを投与することは、後で除去される必要がある追加の体液量を加えるので、最適ではない。
【0051】
[0062] 透析装置12上で利用可能である場合、時間にわたってUF速度を減少させる、図7のUFポンププロファイル1、2、および3は、処理の終了近くでの血液量の大幅な低下を防止しながら、ベースライン軌道目標達成として使用するのに最も好適であると思われる。
【0052】
[0063] すべての透析装置が既定のUFポンププロファイルを含むわけではない。好ましい実施形態は、リアルタイムでのUFポンプ特性のBVモニタ14によるソフトウェア制御を通してプログラム軌道目標の達成を制御することである。このフィードバックシステムの1つの利点は、処理中の臨床医の手動介入を排除することである。
【0053】
実施例3-リアルタイムの患者の体液の動態に基づく血液量制御
[0064] 実施例1および2は、血液量除去の特定の目標まで閉ループ透析を施し、ここで、目標は、患者がドライウェイトに近づくために必要とするものの最良の推定値である。これらの推定値は、患者の病歴、検査室測定値(lab measurements)、透析処理にきている時点の体重などに基づく。患者の体液状態の動態により、推定値は、以前の日における通常の食料および飲料摂取からの逸脱と同じくらい単純なものにより、特定の日の処理に対する患者の必要なことを表すことも表さないこともある。
【0054】
[0065] 例示的な実施形態では、患者の身体への入力の制御されたリアルタイムの変化(透析UFポンプパラメータ)を刺激し、除水されたときの血液量測定値の変化がモニタリングされた出力として患者の血管系の反応をもたらす方法が開示される。これらの差分の測定により、臨床医は、患者の体液の動態を具体的に確立し、処理中にさらなる評価を行うことが可能となる。患者の動態系のこの差分ブラックボックス分析の一般式は、式3に与えられる。
【0055】
【数3】
【0056】
[0066] H’(UFR,t)は、ブラックボックス出力が所与の入力に対してどのように振る舞うかの伝達関数(特性)である。Out(UFR,t)は、所与の対の入力に対して出力ピンで感知される出力であり、In(UFR,t)は、振幅、時間(位相も含意する)、および周波数を有する入力駆動関数である。In(UFR,t)関数は、透析装置のUFポンプコントローラを使用して患者の身体への駆動の特定の繰り返すプロファイルを設定することによって生成され得、これは、血液量モニタによって測定される、刺激された血液量反応Out(UFR,t)をもたらす。これは、利用可能な場合、透析装置12のプロファイルのプリセットによって制御されることができるか、または血液量モニタ14のソフトウェア制御によって管理されることができる。このアプローチによって生成される十分なサンプルが、除水自体によって引き起こされる結果として生じる変化を含む、透析中の身体の体液の動態の進行中のリアルタイム測定を可能にする。
【0057】
[0067] 一例では、医師は、患者から除去されるべき総体液量に基づいて、指定されたUF速度Qfを処方し得る。処理は3時間の期間にわたって行われる。最初のQf速度の確立は、過去の患者の処理許容度、検査室測定値、身体検査、透析にきている時点での体重などを含む、実施例1および2で説明されたものと同じ基準に基づく。一実施形態では、透析処理は、患者が処理を受けるときはいつでも、患者は前回の処理以降の行動および食料/飲料摂取に基づいて開始条件が変化している可能性があることを認識しながら、その特定の日のためのドライウェイトに患者を可能な限り近づけることを伴う。
【0058】
[0068] 一実施形態では、患者の身体は、UFポンプ速度Qfで、指定された時間期間(
【0059】
【数4】
【0060】
(以下、本翻訳文において、「T」の斜体を便宜上「」と表記する))にわたって固定速度で透析することによって刺激される。血液量の変化はモニタリングおよび記録される。期間の終了時に、UFポンプ速度Qfは、ゼロまたは可能な最小レベル(透析装置の設計に基づく)に設定される。次いで、UF駆動機能を伴わない血液量の変化(患者の生理機能のリフィリング反応)が、固定の時間期間(T)の間、測定および記録される。図8は、一実施形態によるUF駆動の単一のサイクルを例示する。図8では、UF速度は、最小UFポンプ速度Qf=0とUF速度Qf=Xとの間でサイクルされる。理想的な反応では、血液量モニタ上のUFオフトレース(T)の間の内部組織からの血管系のリフィリングは、上昇傾向なく一定(平坦)のままとなる(リフィリングが起きない(ドライウェイトにあるか、ほぼドライウェイト))。UFオフトレースの間のこの理想的な反応は、停止条件として使用されることができる。
【0061】
[0069] 実施例3は、他のフィードバックベースの透析技法とは異なる。例えば、身体の体液の動態は、実施例1において一定速度の血液量減少に耐えることができ、または体液の動態および患者の許容度は、実施例2において処理ごとに推定された。実施例3では、図8に示されるようなサイクルで処理を適用し、透析装置は、時間の間に特定の速度Qfで血液量を除去することによってUF駆動機能を提供する。図3のブラックボックスは、患者の体液の動態の未知の特性を表す。図3において、ブラックボックスの入力側は、透析装置の限外濾過からの刺激を示し、ブラックボックスの出力側は、血液量モニタ14によって血液チャンバ32で測定される出力信号を示す。図8に対応するプロファイルを有するUFポンプ駆動機能が、いくつかの透析装置においてプログラム可能である。ブラックボックスの出力信号は、例えば、Crit-Line(登録商標)または他のヘマトクリットベースの血液量モニタによって測定される、時間Tの間の血液量の変化によってモニタリングされる。次いで、透析処理を通じてサイクルが繰り返される。
【0062】
[0070] 一例では(およびTは他の値とすることができることが認識される)、=15分で、T=5分である。図8の波形についての総サイクル時間は20分であり、したがって、これらのサイクルが3つ、処理の1時間ごとに生じる。の値は、ΔBVのゼロではない変化減少でUFが身体を刺激するのに十分な長さとなるように選択される。時間Tは、時間の間のUF刺激によるリフィリング反応を観察するのに十分な長さであるべきである。
【0063】
[0071] 医師による除水指示は、本実施例では、(実施例1および2に概説した同様の基準に基づいて)3時間の処理にわたって速度Q0で除水することである。このQ0の値は、実施例3で説明されるように、様々な実施形態における使用のために調整され得る。UFが、時間およびTの選択に基づいて1時間のうち45分のみアクティブとなるので、最初のUF速度Qfは、3時間の処理の場合、式4にしたがって調整される。
【0064】
【数5】
【0065】
[0072] 例えば、当初処方されたUF速度Q0が1500ml/hrと指定された場合、図8に示される提案された駆動機能では、調整された最初の限外濾過速度Qfは、2000ml/hrに設定されることになる。処理時間を通して、2000ml/hrでの15分間の限外濾過と、最小(約0L/min)での5分間の限外濾過との間で透析処理を交互させることは、図3に示される患者のブラックボックスの体液生理モデルによって表される。図3では、図8の駆動UF波形が患者の身体に適用され、ヘマトクリットベースの血液量モニタによって反応が測定される。
【0066】
[0073] 患者のブラックボックスの体液生理機能の出力は、最小UFRでの5分間の反応期間中の血液量の変化に反映されるように、UFRステップ駆動機能に対する反応に現れる。図9は、この概念の一例を例示する。図9において、時間期間P1~P9は、持続時間がすべて15分間である。時間期間A~Iは、持続時間がすべて5分間である。P1~P9およびA~Iの合計時間は、透析処理の指定された3時間の期間に及ぶ。3時間の処理期間が一例として使用されるが、処理期間はより長くてもよく、おそらく米国以外の国ではさらに8時間までになり得る。図9において、限外濾過速度Qfは、限外濾過時間期間の修正されたデューティサイクルにより、1.5L/hrという当初の限外濾過速度Q0によって指定された初めの除水目標を満たすために最初に2L/hr(式4参照)に設定される。最初の2L/hrは、本開示の一実施形態による処理についての出発点である。
【0067】
[0074] 透析処理は、患者が腎機能を有する近似点まで除水することを目的とするので、リバウンド期間Iにおける血液量の変化の目標は、ΔBV(I)=0である。ΔBV(I)=0の平坦なリバウンド測定値は、患者の内部組織に貯留された体液による血管空間内へのリフィリングが最小であるかまたは全くないことを示す。いくつかの実施形態では、患者は、ゼロリバウンド率を許容することができないので、ゼロではない許容可能なリバウンド勾配目標が期間Iで設定される。他の実施形態では、患者の許容度に依存して、数日、数週間、またはさらには数か月の延長した期間にわたってドライウェイト目標を達成するために、さらなる以後の処理を利用し得る。
【0068】
[0075] 簡単にするために、期間I中のゼロリバウンドが望ましいと仮定する。以下の説明は、処理中に患者の測定された体液の動態を統合するために図9の処理プロファイルがどのように使用されることができるかの実施形態を提供する。時間ベースの実施形態では、図9に示される3つの連続するサイクルの所与のセット(サイクルP1とA、P2とB、およびP3とCで始まる)についての式3の関数H’(UFR,t)を決定するための一連の連続する回帰によってゼロリバウンド目標に達する。本実施例では、H’(UFR,t)は、3つの順序対のデータ点を利用する2次多項式としてモデル化される。15分間の処理間隔および5分間の休止間隔を有する実施例では、3つの順序対のデータ点が、1時間にわたって生じる。当業者の洞察に基づいて、他の時間間隔が使用されてもよい。しかしながら、この実施形態の場合、時間間隔は、一旦規定されると一定に保持される。
【0069】
[0076] 最初の3つのサイクルについての横座標数は、アクティブUFの各期間で測定された血液量変化の合計となる。第1の回帰では、第1のX値X1は、期間P1における血液量の変化となる。第2のX値X2は、X1に、期間P2で測定された血液量の変化を加えた和となる。第3のX値X3は、X2に、期間P3で測定された血液量の変化を加えた和となる。
【0070】
[0077] 最初の3つのサイクルについての縦座標数は、UFがアクティブでないときに測定された血液量の個々の変化となる。第1の回帰では、第1のY値Y1は、期間Aにおける血液量の個々のリバウンド変化となる。第2のY値Y2は、期間Bにおける血液量の個々のリバウンド変化となる。第3のY値Y3は、期間Cにおける血液量の個々のリバウンド変化となる。
【0071】
[0078] H1’(UFR,t)を求める第1の解は、患者のリフィリング速度が透析処理に起因する血液量の連続変化にどのように反応しているかを特徴付ける2次多項式を生成する数値解析法を使用して、順序対(X1,Y1)、(X2,Y2)、および(X3,Y3)を回帰することによって求められる。
【0072】
[0079] 結果として得られる多項式は、以下の形式となる。
【0073】
【数6】
【0074】
[0080] Yは、所望の目標リバウンドである(ゼロは、ほぼドライウェイトの指標である)。Xは、時間×UF速度に比例する%ΔBVとして、Crit-Line(登録商標)または同様のデバイスで測定される除水の相対パーセントである。Yについてゼロに等しく(5)を設定することによって(リバウンドなしほぼドライウェイト)、Xを解くことができる。時間期間Iまでの処理において残っている時間でXを割ると、必要とされるUF速度を解き、装置上で調整することができる。これは、手動で、またはソフトウェア制御によって行われることができる。
【0075】
[0081] X値(アクティブUFによる患者の血液量全体の変化)は、所与の期間内のトレースとゼロ軸との間に見られる面積であることに留意されたい。この面積は、UF速度Qfおよび経過時間(例えば、P1、P2、…P9)の関数である。したがって、透析される量は、UF速度およびUFがアクティブである時間期間の関数である。この実施形態では、時間期間は固定されたままであるが、UFポンプ速度は可変であると考えられる。
【0076】
[0082] 回帰されたH1’(UFR,t)多項式に基づいて、期間Iにおける予想される体液リバウンドが決定されることができる。体液リバウンドは、患者が腎機能を有している場合のような正常な血液量レベルを上回ってどれだけの体液が体内に残っているかの尺度である。リバウンド量は、透析プロセス下で身体からどれだけ除水されたかの関数である。したがって、回帰関数H1’(UFR,t)は、血管リフィリングによって引き起こされたリバウンドを、これらの測定が行われる時点までの透析処理によって除去された体液の量に関連させる。
【0077】
[0083] リバウンドレベルがゼロ(ドライウェイト目標)よりも多いまたは少ない場合、期間Iにおけるリバウンド値(ドライウェイト目標)についてゼロに等しく回帰式を設定し、期間Iまでの合計期間にわたって除去する必要がある累積ΔBV量を解く。この累積ΔBV量およびP9までの処理の残りの間に残っているアクティブUF時間から、新しい修正されたUF速度Qf2が計算され、次いで透析装置上で調整される。この実施形態では時間期間が固定されているものとして指定されるので、Qf2調整は、処理で残っているアクティブUF期間にわたって、分析におけるこの時点までの3つのアクティブUF期間の総ΔBVに配分することに基づく。
【0078】
[0084] X1~X3およびY1~Y3を回帰して分析し、Qf2を調整した後、P4中に除去された血液量および期間Dにおけるリバウンド量についてのデータを得て、透析の次のサイクルが完了される。これらの測定値は、別の順序対(X4,Y4)を形成し、ここで、X4は、X3に、P4からの血液量変化を加えた和であり、Y4は、期間DにおいてUFが非アクティブ状態で測定されたリバウンド値である。
【0079】
[0085] 次いで、順序対(X1,Y1)を分析からドロップし、次いで、順序対(X2,Y2)、(X3,Y3)、および(X4,Y4)を回帰して、第2の解H2’(UFR,t)を求める。回帰されたH2’(UFR,t)多項式に基づいて、期間Iにおける予想される体液リバウンドを再び解くことができる。リバウンドレベルがゼロ(ドライウェイト目標)より多いまたは少ない場合、累積ΔBV量は、回帰式に基づいて期間IにおけるT期間リバウンドについてゼロ値をもたらすように導出される。この累積ΔBV量およびP9までの処理の残りの間に残っているアクティブUF時間から、新しい修正されたUF速度Qf3が計算され、透析装置上で調整される。本実施例のための時間期間は、固定されたままであるように指定されるので、Qf3調整は、処理において残っている残りのアクティブUF期間にわたって、分析におけるこの時点までの3つのアクティブUF期間の総除去血液量に配分することに基づく。
【0080】
[0086] 透析および回帰分析のサイクルは、すべての連続する期間にかけて、すなわちP9およびIまで継続し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、回帰は、H6’(UFR,t)の解までしか意味がなく、これは期間Iの結果に影響を及ぼす調整が、この時間期間の後に行われることができないからである。
【0081】
[0087] この最後の期間までに、期間IにおけるUFオフ時間中のリバウンドはゼロに近くなる。医師が処理の終了までにゼロ以外のリバウンド量を許容することを選択した場合、連続的に回帰される固有方程式H1’(UFR,t)~H6’(UFR,t)の解は、交互のQf値を適切に得ることによって、UFオフ期間I中の指定されたリバウンド勾配を目標とすることができる。図9では、P1~P3は同じQf=2L/hrを有するが、P4~P9の各々は、異なるQfの値、つまりH1’(UFR,t)~H6’(UFR,t)に基づくQf2~Qf7を有することに留意されたい。
【0082】
[0088] 実施例3は、患者のリアルタイムの体液の動態を所与の日の透析処理に組み込むために、ヘマトクリットベースのBVモニタリングを用いて透析がどのように適応されることができるかの実施形態を提供する。リアルタイムの体液の動態を組み込むことは、結果の改善、患者へのストレスの低減、およびより効率的な限外濾過速度の調節方法を提供する。
【0083】
[0089] さらに、いくつかの実施形態では、患者の体液の動態フィードバックによって導出される回帰データは、他の情報を収集するために使用されることができる。回帰H1’(UFR,t)~H6’(UFR,t)の式5に示される形態の式の係数a、b、およびcは、患者および処理タイムスライスによって表にされることができる。複数の処理にわたるこれらの係数の分析が、特定の患者のための処理時間にわたる一般的な体液の動態を特徴付けるために使用されることができる。次いで、これらのデータは、処理許容度およびプロファイルに関するそれぞれの患者の生理機能をよりよく理解するために、医師によって使用されることができる。
【0084】
[0090] 図10は、本開示の一実施形態による閉ループ透析処理のフローチャートである。段階1002において、透析システム12は、式4による最初のQf0に基づいて最初のUF速度Qfを決定する。段階1004において、透析システム12は、アクティブ時間の間、UFポンプを、決定されたUF速度Qfに設定し、アクティブ時間の終了時にΔBVを測定する。段階1006において、透析システム12は、UFポンプを、いくつかの実施形態では150ml/hrまたは10ml/hrである、最小速度Qminに設定する。UFポンプは、リバウンド時間Tの間Qminにあり、リバウンド時間の間ΔBVが測定される。段階1008において、最初の回帰セットを取得するために、段階1004および1006が繰り返される。例えば、最初の回帰セットは、前述のように3つの測定期間を伴い得る。最初の回帰セットは、アクティブ時間の各々における累積ΔBVの3つの値と、リバウンド時間の各々についてのΔBVの3つの値との順序対を保持する。
【0085】
[0091] 段階1010において、透析システム12は、段階1008の回帰セットを使用して次のUF速度Qfを決定する。前述のように、患者のリフィリング速度が血液量の連続変化にどのように反応するかを特徴付けるために、2次多項式が使用されることができる。回帰されたH’(UFR,t)多項式に基づいて、最後の処理期間における予想される体液リバウンドを解くことができ、予想される体液リバウンドに到達するための次のUF速度Qfが決定される。
【0086】
[0092] 段階1012において、透析システムは、アクティブ時間の間、UFポンプを次のUF速度Qfに設定し、アクティブ時間の終了時にΔBVを測定する。段階1014において、透析システム12は、リバウンド時間Tの間、UFポンプを最小速度Qminに設定し、リバウンド時間の間ΔBVを測定する。段階1016において、段階1012および1014からの新しい測定値が回帰セットに組み込まれ、最も古いΔBV測定値は回帰セットからドロップされる。例えば、図9に関して上述されたように、X1~X3およびY1~Y3が回帰され、Qf2が調整された後、期間P4およびDの間の測定値は、次の回帰で使用される順序対(X4,Y4)を作成し、一方、順序対(X1,Y1)は、次の回帰からドロップされた。段階1018において、段階1010~1016は、目標リバウンドが達成されるまで、または所定の処理時間に達するまで繰り返される。
【0087】
[0093] 先に概説されたように、病的事象および死亡事象の分析を通して、処理中の特定時間におけるある特定の範囲の除水が、患者の健康を保つのに他の推定方法よりも効率的であることを示唆する証拠がある。アクティブUF時間についてのΔBV累積量目標は、達成可能な最良のドライウェイト近似値を取得しようと依然として努力しながら、患者の身体へのストレスを最小限にするように指定されることができる。
【0088】
[0094] 実施例3の交互の除水の実施形態では、リバウンドに基づいて固定時間間隔についてのUFポンプ速度を変化させる代わりに、UFポンプが可変長の時間にわたって固定の除去レベルで動作されるプロファイルが説明されることができる。例えば、患者の以前の経験および既往歴から、医師が透析処理の終了時にドライウェイトに近づくように推定値として1800ml/hrのUF速度を指定すると仮定する。UFポンプは同じUF速度に保たれるが、リバウンドが可変間隔でチェックされる。例示的な実施形態では、固定された間隔(例えば5分)の間のリフィリングリバウンドは、%ΔBVが-2%の漸進的な差に達するときはいつでも、UFが最小に設定されて測定されることができる。他の差分値を使用することができ、-2%を一例として使用していることが理解される。リフィリングリバウンドを測定するための他の間隔を使用することができ、固定された5分間隔を一例として使用していることも理解される。
【0089】
[0095] 図11は、処理が行われるにつれて-2%の差を使用するサンプルの進行を示す。利用可能な余分な体液の変化および血管系の変化により、透析が進行するにつれて、体液を産出する身体の能力は変化し、一般には低下するので、処方された目標(または-2%の中間地点)を満たすための時間期間は、通常、一定ではなくなる。図11のサンプル進行は、図12のフロー図を用いて説明される。図12は、本開示の実施形態による一定のUF速度を使用する透析処理のプロセスフローチャートである。段階1202において、最初のUF速度が決定され、これは、一例として、医師によって決定された、1800ml/hrとすることができる。
【0090】
[0096] 段階1204において、透析システム12は、UFポンプを、決定されたUF速度Qfに設定し、-%ΔBV中間地点が達成されたときを測定し、-%ΔBV中間地点を達成するための経過時間を記録する。段階1204において、図11は、-%ΔBVが-2%に達するのに必要な時間が時間期間P1であることを示す。この時点で、透析システム12は、指定されたリバウンド時間の間、UFポンプを、最小UF速度Qminに設定し、リバウンド時間中ΔBVを測定する。一例では、リバウンド時間は、固定された5分間であり得る。最小UF速度は、透析システム12のアーキテクチャに基づいており、透析器フィルタ内の安全な膜間圧力差を維持するために、最小UF速度をめったにゼロにはできない。この時間の間のリバウンド容量Aが段階1206において測定される。除去された体液の量、すなわち、ΔBVが-2%のΔBVだけ減少するためのUFアクティブ期間中の経過時間をUF速度Qfに乗じたものが、透析によって除去された血液量として決定される。この量はX1として記憶され、測定されたリバウンド量AはY1として記憶される。5分間のリバウンド時間の終了時に、ΔBVの現在のレベルが測定され、前回の中間地点から2%を減じることによって新しい中間地点が確立される。新しい中間地点が一旦確立されると、UFポンプは、その中間地点に到達するまで、UF速度Qfで透析システム12によって再起動される。
【0091】
[0097] 中間地点が達成されると、UF速度は、固定の持続時間の間、例えば5分間、Qminに再び減少され、リフィリングBが測定される。透析システム12は、患者から除去された総量を決定し、この量を変数X2として記憶する。除去された総量は、X1と、UF速度Qf×UFポンプが新しい中間地点に移動するために作動していた経過時間との和として決定される。5分間のリバウンドBはY2として記録される。5分間のリバウンド時間の終了時に、ΔBVの現在のレベルが測定され、前回の中間地点から2%を減じることによって新しい中間地点が確立される。次いで、UFポンプは、新しい中間地点に到達するまで再起動される。中間地点が達成されると、UF速度は、固定された5分の間隔の間、透析システム12によってQminに再度減少され、リフィリングCが測定される。次いで透析システム12は、患者から除去された総量を決定し、この量を変数X3として記憶する。除去された総量は、X2と、UF速度Qf×UFポンプが新しい中間地点に移動するために作動していた経過時間との和として決定される。5分間のリバウンドCはY3として記録され、(X1,Y1)、(X2,Y2)、および(X3,Y3)を含む最初の回帰セットが取得されたので、段階1208と競合する。3つのデータセットが一例として使用されているが、3つより多くのデータセットが最初の回帰セットとして提供されてもよい。
【0092】
[0098] 段階1010と同様に、段階1210において、透析システム12は、患者のリフィリング速度が透析処理に基づく血液量の連続除去期間にどのように反応しているかを特徴付ける2次多項式を生成する数値解析法を使用して、順序対(X1,Y1)、(X2,Y2)、および(X3,Y3)を回帰することによって、H1’(UFR,t)を求めるための第1の解を決定する。結果として生じる多項式は、式5と同じ形態となる。
【0093】
[0099] 式5において、Yは、所望の目標リバウンドである(ゼロは、ほぼドライウェイトの指標である)。Xは、時間×UF速度に比例する%ΔBVとして、Crit-Line(登録商標)または同様のデバイスで測定される除水の相対パーセントである。Yについてゼロに等しく(5)を設定することによって(リバウンドなしほぼドライウェイト)、Xを解くことができる。Xを固定UF速度で割ると、Y目標を達成するのに必要な時間を解くことができ、したがって段階1210を完了する。
【0094】
[0100] X値(アクティブUFによる患者の血液量全体の変化)は、UFがアクティブである間のトレースとゼロ軸との間に見られる面積であることに留意されたい。この面積は、UF速度Qf、例えば1800ml/hrと、経過したアクティブUF時間(例えば、P1、P2、…Pn)との関数である。したがって、透析される量は、UF速度およびUFがアクティブである時間期間の関数である。この実施形態では、UFポンプ速度は固定されたままであり、時間期間P1~Pnは、処理の開始時に確立された全体の-%ΔBV目標を達成するために可変であると考えられる。
【0095】
[0101] (X1,Y1)、(X2,Y2)、および(X3,Y3)を用いて導出された回帰されたH1’(UFR,t)多項式に基づいて、最終処理時間の終わりについて、予想される体液リバウンドが予測されることができる。体液リバウンドは、患者が腎機能を有している場合のような正常な血液量レベルを上回ってどれだけの体液が体内に残っているかの尺度である。リバウンド量は、透析プロセス下でどれだけの量の総体液が身体から除去されたか、および身体がブラックボックスであるかのように患者の体液の動態がそれにどのように反応するかの関数である。したがって、回帰関数H1’(UFR,t)は、血管リフィリングによって引き起こされたリバウンドを、これらの測定が行われる時点までの透析処理によって除去された体液の量に関連させる。
【0096】
[0102] リバウンドレベルがゼロ未満である場合、臨床的介入が必要とされる場合があるが、通常の予想ではない。リバウンドがゼロ(ドライウェイト目標)よりも大きい場合、段階1212において、回帰式がゼロに等しく設定され、処理の終了がゼロリバウンド(ドライウェイト目標)に到達するための時間が、固定のUF速度に基づいて計算される。その時間が患者のための通常の指定処理時間(典型的には米国では3時間)未満である場合、患者は、その日は早く透析を終了すると思われる(段階1214)。段階1216において、ゼロリバウンド点に到達する時間が残りの処理時間よりも長いと予測される場合、目標を次の透析処理に持ち越すことができるが、プロセスはより高いUF速度で繰り返される。段階1216は、オプション(A)として処理の長さが増加され得ること、オプション(B)として準最適リバウンドが許容され得ること、またはゼロリバウンド点に到達する時間がスケジュールされる処理時間内となるように、回帰セットに基づいて次の処理のためのUF速度が調整され得ることを示す。
【0097】
[0103] 各中間地点に到達した後、BVの2%の減少(または他の指定された中間地点差分値)のために、同じデータ収集レジームに従う。次のデータは、血液量除去率のためのX4と、関連付けられた5分間のリバウンドのためのY4とを含むことになる。段階1218において、第1の順序対のX1、Y1がドロップされ、順序対のデータ(X2,Y2)、(X3,Y3)、および(X4,Y4)を使用して回帰が繰り返される。(X4,Y4)が、段階1220に示される段階1204および1206を繰り返した後に取得されることに留意されたい。段階1220では、回帰セットが既に取得されているので、段階1208において処方された反復は行われない。したがって、段階1220は、段階1204、1206、1210、1212、1214、1216、および1218を繰り返すことを伴う。これらの回帰が進行するにつれて、患者の体液の動態の変化が考慮され、固定されたUF速度がわかる式5においてY値をゼロに設定することは、ゼロリバウンド(ドライウェイト)に到達するのに必要とされる時間の新しい予測を可能にする。5分間のリバウンド時間は一例として使用されており、リバウンド時間値が一定で、および任意のリフィリングが透析システム12によって測定されるのに十分な長さである限り、他のリバウンド時間値を使用することができる。
【0098】
[0104] いくつかの実施形態では、予測されたドライウェイトを超える限られた量の体液を身体に残すことが望ましく、患者にとってより快適である。当業者および様々な透析シナリオにおける実際の処理の経験者は、回帰式を解く際にゼロに置き換えることができるリフィリング速度を規定することができる。このゼロの置換えは、固定時間および/または固定UF速度の実施形態に適用されることができる。
【0099】
[0105] 図13は、本開示の一実施形態による実施例1の原理にしたがう透析処理の詳細なフローチャートである。段階1302において、透析システム12は、最初のUF速度、透析処理の長さ、UFポンプ不確実性のためのヒステリシス、および目標ΔBVを受信する。最初のUF速度、透析処理の長さ、および目標ΔBVは、患者の以前の治療履歴および/または臨床医による患者の評価された状態に基づいて決定され得る。UFポンプ不確実性のためのヒステリシスは、UFポンプの以前に識別された感度に基づいて決定され得る。
【0100】
[0106] 段階1304において、透析システム12は、UF速度を最初のUF速度に設定し、累積ΔBVパーセントをゼロに初期化し、UFポンプをオンにして透析処理を開始し、UFポンプがオンにされたときの開始時間を保存する。段階1306において、透析システム12は、累積ΔBVパーセントを周期的にサンプリングする。例えば、透析システム12は、秒ごとに累積ΔBVパーセントの1つのサンプルを取得する。
【0101】
[0107] 段階1308において、透析システム12は、サンプルごとに、ベンチマークΔBVパーセントを計算する。一実施形態では、ベンチマークΔBVパーセントを、式6にしたがって取得することができる。
【0102】
【数7】
【0103】
[0108] 段階1310において、透析装置12は、透析処理が完了するかどうかを決定する。透析処理は、現在の時間が処理の長さに等しいかまたはそれを超えるときに完了する。透析処理が完了した場合、透析装置12は、段階1370においてUFポンプを遮断し、透析処理が完了していない場合、透析装置12は、段階1320においてUFポンプの状態を決定する。段階1320において、UFポンプの状態、累積ΔBVパーセント、ベンチマークΔBVパーセント、およびUFポンプのためのヒステリシスに基づいて、透析装置12は、UFポンプの現在の状態を保つか、またはUFポンプの状態を変更する。
【0104】
[0109] 段階1320において、UFポンプがオフである場合、段階1330において、透析装置12は、累積ΔBVパーセントがベンチマークΔBVパーセントとヒステリシスとの和以上であるかどうかを決定する。累積ΔBVがベンチマークΔBVパーセントとヒステリシスとの和以上である場合、段階1350において、透析装置12は、UFポンプをオンにしてから段階1306において累積ΔBVパーセントをサンプリングし続け、そうでない場合、透析装置12は、UFポンプをオフに保ちながら、段階1306において累積ΔBVパーセントをサンプリングし続ける。
【0105】
[0110] 段階1320において、UFポンプがオンである場合、段階1340において、透析装置12は、累積ΔBVパーセントが、ベンチマークΔBVパーセントとヒステリシスの差以下であるかどうかを決定する。累積ΔBVがベンチマークΔBVパーセントとヒステリシスの差以下である場合、段階1360において、透析装置12は、UFポンプをオフにしてから段階1306において累積ΔBVパーセントをサンプリングし続け、そうでない場合、透析装置12は、UFポンプをオンに保ちながら、段階1306において累積ΔBVパーセントをサンプリングし続ける。
【0106】
[0111] 図14は、本開示の一実施形態による実施例2の原理にしたがう透析処理のフローチャートである。段階1402において、透析システム12は、開始UF速度、UFポンプ不確実性のためのヒステリシス、および透析処理の時間nごとの目標ΔBVパーセント値を受信する。段階1404において、透析システム12は、UF速度を開始UF速度に設定し、ベースラインΔBVパーセントをゼロに初期化し、UFポンプをオンにして透析処理を開始し、UFポンプがオンにされたときの開始時間を保存する。
【0107】
[0112] 段階1406において、透析システム12は、サンプリングされたΔBVパーセントを周期的に測定する。サンプリングされたΔBVパーセントは、時間n中の累積ΔBVパーセントから時間n中のベースラインΔBVパーセントを引いたものである。例えば、図5において、時間1の間、透析システム12は、秒毎に累積ΔBVパーセントの1つのサンプルを取得し、時間1についてのベースラインΔBVパーセントを減じる。図5では、時間1についてのベースラインΔBVパーセントは0であり、時間2については-7%であり、時間3については-10%である。いくつかの実施形態では、ベースラインΔBVパーセントは、1時間の開始時の累積ΔBVパーセントである。
【0108】
[0113] 段階1408において、透析システム12は、時間nにおける現在の時間に関連付けられた除去プロファイル目標ΔBVパーセントの関数として、中間地点ΔBVパーセントを計算する。例えば、図5は、3時間の期間にわたって-12%の総除去を取得するために、それぞれ時間1、2、および3に関連付けられた、-7%、-3%、および-2%の除去プロファイル目標を示す。図5の各1時間の間、中間地点ΔBVパーセントは、その1時間に関連付けられた目標ΔBVパーセントの関数としてサンプルごとに計算される。中間地点ΔBVパーセントを、式7にしたがって計算することができ、
【0109】
【数8】
【0110】
ここで、nは処理のうちの1時間であり、目標%ΔBV(n)は時間nについての目標である。
【0111】
[0114] 段階1410において、透析装置12は、透析処理が完了するかどうかを決定する。透析処理は、n時間の処理が完了したときに完了する。処理の持続時間に基づいて、持続時間がn時間以上であると透析装置12が決定した場合、UFポンプは遮断され、透析処理は段階1470において終了する。段階1410において、透析処理が完了していない場合、透析装置12は、段階1420において、UFポンプの状態を決定する。段階1420において、UFポンプの状態、サンプリングされたΔBVパーセント、中間地点ΔBVパーセント、およびUFポンプのためのヒステリシスに基づいて、透析装置12は、UFポンプの現在の状態を保つか、またはUFポンプの状態を変更する。
【0112】
[0115] 段階1420において、UFポンプがオフである場合、段階1430において、透析装置12は、サンプリングされたΔBVパーセントが中間地点ΔBVパーセントとヒステリシスとの和以上であるかどうかを決定する。サンプリングされたΔBVが中間地点ΔBVパーセントとヒステリシスとの和以上である場合、段階1450において、透析装置12は、UFポンプをオンにしてから段階1406において次のサンプリングされたΔBVパーセントの測定を続け、そうでない場合、透析装置12は、UFポンプをオフに保ちながら、段階1406においてサンプリングされたΔBVパーセントを測定し続ける。
【0113】
[0116] 段階1420において、UFポンプがオンである場合、段階1440において、透析装置12は、サンプリングされたΔBVパーセントが、中間地点ΔBVパーセントとヒステリシスの差以下であるかどうかを決定する。サンプリングされたΔBVがベンチマークΔBVパーセントとヒステリシスの差以下である場合、段階1460において、透析装置12は、UFポンプをオフにしてから段階1406において次のサンプリングされたΔBVパーセントを測定し続け、そうでない場合、透析装置12は、UFポンプをオンに保ちながら、段階1406においてサンプリングされたΔBVパーセントを測定し続ける。
【0114】
[0117] 本開示の実施形態におけるΔBVパーセントは、透析中の除水に関連する変化である。したがって、ある特定の実施形態は、ΔBVを絶対値として説明し、他の実施形態は、処理が進行し、UFポンプがオンであるとき、患者の血液量の変化が減少していることを示す負の符号を提供する。負の値または絶対値の使用は、本開示の範囲を限定するものではない。
【0115】
[0118] 本明細書で説明される実施形態または実装形態は、本明細書で説明されるシステムに関連する適切な組合せで互いに組み合わされ得る。加えて、いくつかの事例では、フロー図、フローチャート、および/または説明されるフロー処理におけるステップの順序は、適切な場合、修正され得る。システムは、ユーザおよび/または他のコンピュータとの好適なインターフェースを提供するためのディスプレイまたは他のコンピュータ構成要素をさらに含み得る。本明細書で説明されるシステムの態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組合せ、および/または説明された特徴を有し、説明された機能を実行する他のコンピュータ実装またはコンピュータ制御のモジュールまたはデバイスを使用して実装または制御され得る。システムの構成要素への、構成要素からの、および構成要素間のデータ交換および/または信号伝送は、有線またはワイヤレス通信を使用して実行されてもよく、インターネット等のネットワークを介して、および/またはWiFi、Bluetooth(登録商標)、もしくは他の短距離伝送プロトコルなどのローカルエリアネットワーク(LAN)、またはモバイル電気通信ネットワークなどの広域ネットワーク(WAN)を使用して、情報を安全に伝送する、1つまたは複数の送信機または受信機構成要素の使用を含んでもよい。
【0116】
[0119] 本明細書で説明されるシステムの態様のソフトウェア実装形態は、コンピュータ可読媒体に記憶され、1つまたは複数のプロセッサによって実行される実行可能コードを含み得る。コンピュータ可読媒体は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含んでもよく、例えば、コンピュータハードドライブ、ROM、RAM、フラッシュメモリ、ポータブルコンピュータ記憶媒体、SDカード、フラッシュドライブ、または例えばユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを有する他のドライブ、および/または実行可能コードがプロセッサによって記憶および実行され得る任意の他の適切な有形もしくは非一時的コンピュータ可読媒体あるいはコンピュータメモリを含んでもよい。本明細書で説明されるシステムは、任意の適切なオペレーティングシステムと接続して使用され得る。本明細書で説明される本発明(単数または複数)の任意の方法ステップの意味は、異なる意味が明示的に提供されない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは複数の当事者またはエンティティにステップを実行させる任意の好適な方法を含むことが意図される。
【0117】
[0120] したがって、いくつかの実施形態では、透析システムが説明される。いくつかの実施形態では、透析システムは、閉ループ透析システムである。いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所でさらに説明されるものによる要素および技法を使用して、透析システムは、最初の限外濾過速度を決定する限外濾過速度構成要素と、血液量の総変化を測定する測定センサと、実装構成要素とを備える。ある特定の実施形態では、本明細書で説明されるセンサおよび構成要素は、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組合せ、および他のコンピュータ実装またはコンピュータ制御のモジュールまたはデバイスのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0118】
[0121] いくつかの実施形態では、透析システムは、透析装置と、本明細書の他の箇所で説明されたソフトウェア制御のステップのうちの1つまたは複数など、様々なソフトウェア制御のステップを実行するプロセッサとを備える。ある特定の実施形態では、プロセッサによって実行されるソフトウェア制御のステップは、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体に対の値を記憶することと、記憶された対の値を限外濾過速度を決定するために使用することとを含む。他の実施形態では、記憶された対の値は、患者がドライウェイトを達成する時間を決定するためにプロセッサによって使用される。ある特定の実施形態では、プロセッサによって実行されるソフトウェア制御のステップは、記憶された対の値を多項式を取得するために使用することを含む。
【0119】
[0122] いくつかの実施形態では、透析装置は、プロセッサを介してポンプ制御信号を受信する。ある特定の実施形態では、プロセッサを介して提供されたポンプ制御信号は、透析装置内の限外濾過ポンプがオンにされるかオフにされるかを調節する。ある特定の実施形態では、ポンプ制御信号は、限外濾過ポンプのためのポンプ速度をさらに決定する。
【0120】
[0123] いくつかの実施形態では、プロセッサは、ユーザインターフェースから最初の設定を受信し、最初の設定は、透析処理期間、限外濾過ポンプのためのアクティブ時間、限外濾過ポンプのためのリバウンド時間、および透析処理プロファイルのうちの1つまたは複数を含む。最初の設定は、本明細書で説明されたコンピュータ可読媒体に記憶されることができる。
【0121】
[0124] 本明細書で引用される、刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々に具体的に示され、その全体が本明細書に記載されたのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0122】
[0125] 本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。1つまたは複数の項目のリストが後続する用語「少なくとも1つ」の使用(例えば「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(AまたはB)、または列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組合せ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」、および「包含する」という用語は、別段の断りがない限り、制限のない用語(すなわち「含むが、それに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、その範囲内に入る各別個の値を個々に言及する省略方法として役立つことを単に意図しており、各別個の値は、本明細書において個々に記載されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に説明されるすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行されることができる。本明細書で提供されるあらゆる例、または例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、請求項に記載されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0123】
[0126] 本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書で説明される。これらの好ましい実施形態の変形物は、先の説明を読めば当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形物を使用することを予想し、本発明者らは、本明細書で具体的に説明されたものとは別の方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正物および同等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形物における上記の要素の任意の組合せは、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
閉ループ透析処理を行うための方法であって、
最初の限外濾過速度を決定し、前記決定された限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、
血液量の総変化を測定することと、
血液量の変化率がしきい値を超えたかどうかを決定することと、
前記血液量の変化率が前記しきい値を超えたとき、前記限外濾過ポンプを最小ポンプ速度に設定することと、
前記血液量の変化率が前記しきい値を下回るとき、前記決定された限外濾過速度に前記限外濾過ポンプを設定することと、
血液量の累積変化が目標しきい値を上回るとき、前記閉ループ透析処理を停止することと
を備える、方法。
[C2]
前記血液量の変化率が前記しきい値を超えたかどうかを決定することは、
血液量のベンチマーク変化を決定することと、
前記測定された血液量の総変化が前記血液量のベンチマーク変化を超えたかどうかを決定することと
を備える、C1に記載の方法。
[C3]
前記限外濾過ポンプのためのヒステリシスを設定することをさらに備え、前記限外濾過ポンプのための前記ヒステリシスは、前記測定された血液量の総変化が前記血液量のベンチマーク変化を超えたかどうかを決定するときに考慮される、
C2に記載の方法。
[C4]
処理期間が経過したときに前記閉ループ透析処理を停止することをさらに備える、
C1に記載の方法。
[C5]
血液量の変化率がしきい値を超えたかどうかを決定することは、
処理プロファイルの現在の時間期間に関連付けられた血液量の中間地点変化を決定することと、
前記血液量の総変化と前記現在の時間についてのベースライン血液量の差が前記血液量の中間地点変化を超えたかどうかを決定することと
を備える、C1に記載の方法。
[C6]
前記処理プロファイルは3つの時間期間を備え、第1の時間期間は第1の目標血液量しきい値を有し、第2の時間期間は第2の目標血液量しきい値を有し、第3の時間期間は前記目標しきい値を有し、
前記第1の時間期間についてのベースライン血液量はゼロであり、前記第2の時間期間についてのベースライン量は前記第1の目標血液量しきい値であり、前記第3の時間期間についてのベースライン量は前記第2の目標血液量しきい値である、C5に記載の方法。
[C7]
閉ループ透析処理を行うための方法であって、
(a)限外濾過速度を決定することと、
(b)アクティブ持続時間の間、前記決定された限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、
(c)血液量の総変化を測定することと、
(d)リバウンド持続時間の間、前記限外濾過ポンプを最小ポンプ速度に設定することと、
(e)血液量のリバウンド変化を測定することと、
回帰セットを取得するためにステップ(b)~(e)を第1の回数繰り返すことと、前記回帰セットは、いくつかの対の値を備え、ここにおいて、各対の値は、前記血液量の総変化の測定値および前記血液量のリバウンド変化の測定値であり、
(f)前記回帰セットを使用して前記限外濾過速度を更新することと、
(g)ステップ(b)~(e)を繰り返すことによって前記回帰セットを更新することと、
ステップ(f)および(g)を第2の回数繰り返すことと、ここにおいて、1+前記第1の回数、および1+前記第2の回数の合計持続時間が処理期間である、
を備える、方法。
[C8]
回帰セットを取得するためにステップ(b)~(e)を第1の回数繰り返すことは、
前記回帰セットを取得するためにステップ(b)~(e)を2回繰り返すことを備える、C7に記載の方法。
[C9]
ステップ(a)は、
前記透析処理中に除去されるべき総体液量、
過去の患者の処理許容度、
検査室測定値、
身体検査、および/または
透析にきているときの体重
から前記限外濾過速度を決定することを備える、C7に記載の方法。
[C10]
ステップ(a)は、前記限外濾過速度が、前記処理期間中に前記限外濾過が前記最小ポンプ速度であると予想される時間量に基づく因数を最初の限外濾過速度に乗じたものであることを決定することを備える、C7に記載の方法。
[C11]
前記処理期間が3時間であり、前記リバウンド持続時間が5分間であり、前記アクティブ持続時間が15分間である、C7に記載の方法。
[C12]
ステップ(f)は、
多項式を取得するために、前記回帰セットにおける前記対の値を回帰することと、
前記多項式に基づいて、前記処理期間の終了時の血液量の予想されるリバウンド変化を解くことと、
前記処理期間の終了時の前記血液量の予想されるリバウンド変化に基づいて前記限外濾過速度を更新することと
を備える、C7に記載の方法。
[C13]
ステップ(g)は、前記回帰セットから最も過去の対の値をドロップすることによって、前記回帰セットを更新することをさらに備える、C7に記載の方法。
[C14]
閉ループ透析処理を行うための方法であって、
(a)限外濾過速度を決定することと、
(b)アクティブ持続時間の間、前記決定された限外濾過速度に限外濾過ポンプを設定することと、
(c)血液量中間地点が満たされたときを決定するために、前記アクティブ持続時間中、血液量の総変化を測定することと、
(d)リバウンド持続時間の間、前記限外濾過ポンプを最小ポンプ速度に設定することと、
(e)前記リバウンド持続時間の間、血液量のリバウンド変化を測定することと、
(f)前記血液量中間地点を更新することと、
回帰セットを取得するためにステップ(b)~(f)を第1の回数繰り返すことと、前記回帰セットは、いくつかの対の値を備え、ここにおいて、各対の値は、前記血液量の総変化の測定値および前記血液量のリバウンド変化の測定値であり、
(g)前記回帰セットを使用して、ドライウェイト目標を満たすためのドライウェイト時間を決定することと、
(h)前記処理期間が前記ドライウェイト目標に達するのに十分であるかどうかを決定することと
を備える、方法。
[C15]
前記処理期間が前記ドライウェイト目標に達するのに十分であることに基づいて、前記回帰セットにおける最も過去の対の値をドロップすることと、
ステップ(b)~(f)を繰り返すことによって前記回帰セットを更新することと、
ステップ(g)および(h)を繰り返すことと
をさらに備える、C14に記載の方法。
[C16]
前記処理期間が前記ドライウェイト目標に達するのに十分でないことに基づいて、前記閉ループ透析処理を停止することをさらに備える、
C14に記載の方法。
[C17]
前記処理期間が前記ドライウェイト目標に達するのに十分でないことに基づいて、前記回帰セットにおける最も過去の対の値をドロップすることと、
前記限外濾過速度を調整することと、
ステップ(b)~(f)を繰り返すことによって前記回帰セットを更新することと、
ステップ(g)および(h)を繰り返すことと
をさらに備える、C14に記載の方法。
[C18]
前記回帰セットを使用して、前記ドライウェイト目標を満たすための前記ドライウェイト時間を決定することは、
多項式を取得するために、前記回帰セットにおける前記対の値を回帰することと、
前記多項式に基づいて、前記処理期間の終了時の血液量の予想されるリバウンド変化を解くことと、
前記処理期間の終了時の前記血液量の予想されるリバウンド変化に基づいて前記ドライウェイト時間を更新することと
を備える、C14に記載の方法。
[C19]
前記処理期間が3時間であり、前記リバウンド持続時間が5分間である、C14に記載の方法。
[C20]
前記血液量中間地点を更新することは、固定パーセントだけ前記血液量中間地点を増加させることを備える、C14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図14