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特許7434269樹脂成形材料とその製造方法および樹脂部材等の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】樹脂成形材料とその製造方法および樹脂部材等の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240213BHJP
   C08K 5/378 20060101ALI20240213BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/378
C08J3/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021502271
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2020007483
(87)【国際公開番号】W WO2020175474
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019032977
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 恒太郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 功治
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/174788(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/021664(WO,A1)
【文献】特開2017-132948(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08J 3/00-3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
200℃以上の温度での加熱工程において使用される樹脂成形材料であって、
チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体および樹脂を含有し、
前記樹脂成形材料が、ペレット、マスターバッチ又はコンパウンドであり、
前記樹脂が熱可塑性樹脂であり、
前記2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、下記式(I):
【化1】
(式中、R 1 ~R 9 はそれぞれ独立に、下記式(i):
【化2】
(式(i)中、R 10 は芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R 11 はmが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R 12 は、次式(j):
【化3】
(式中、Xは水素原子が置換されていてもよい2価の脂肪族炭化水素基、Yは水素原子が置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基、Zは窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z 1 又は酸素原子及び硫黄原子から選ばれる2価のヘテロ原子Z 2 のいずれかを示し、o、p、qは0以上の整数を示す。o個のXとp個のYとq個のZはそれぞれ独立し、X、Y、Zの並び順は任意である。oとpの少なくともいずれかは1以上の整数である。)で表される基である。)を示す。lは0又は1の整数を示し、mは0~3の整数を示す。)で表わされるチオエーテル含有基、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R 1 ~R 9 のうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。R 1 ~R 9 のうち少なくとも1つは上記式(i)で表わされるチオエーテル含有基である。)で表わされる、樹脂成形材料。
【請求項2】
式(i)において、lは0であり、mは0であり、
式(j)は、-X-Z-X-H、-X-Z-Y-H、-Y-Z-X-H、又は-Y-Z-Y-Hで表される基であり、
Zは、二重結合を有する窒素含有基又は酸素含有基であり、
前記二重結合を有する2価の窒素含有基は、アミド基、尿素基、ウレタン基、イミド基、カルボジイミド基、アゾ基、ピリジン基、イミダゾール基、トルイジン基、又はニトロアルキル基であり、
前記二重結合を有する2価の酸素含有基は、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、オキサゾール基、カルバメート基、又はカルバモイル基である、請求項1に記載の樹脂成形材料。
【請求項3】
Zはエステル基である、請求項2に記載の樹脂成形材料。
【請求項4】
式(j)において、Xは、水素原子が置換されない2価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子が置換されない2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基である、請求項2又は3に記載の樹脂成形材料。
【請求項5】
式(I)において、5位のR 9 に式(i)で表わされる1価の硫黄含有基を有し、R 6 、R 7 、R 8 がいずれも水素原子であり、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 は、水素原子又は、炭素数1~10の炭化水素基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種の置換基である、請求項2~4のいずれか一項に記載の樹脂成形材料。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂、エーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体、およびエステル系樹脂から選ばれるいずれかである、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂成形材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂成形材料の製造方法であって、前記チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体と前記熱可塑性樹脂を200℃以上の温度で加熱溶融混練し、前記ペレット、マスターバッチ又はコンパウンドとする、樹脂成形材料の製造方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂成形材料を200℃以上の温度で加熱溶融混練し、樹脂部材、樹脂成形物、又は樹脂成形品を得る、樹脂部材、樹脂成形物、又は樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融混練等の加熱工程において使用される樹脂成形材料とその製造方法および樹脂部材等の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂部材は紫外線の作用により劣化し、変色や機械的強度の低下等の品質劣化を引き起こして長期の使用を阻害する。このような品質劣化を防止したり、あるいは透過光の波長を制御したりするために、樹脂部材に紫外線吸収剤を配合することが一般に行われている。
【0003】
従来、2-フェニルベンゾトリアゾール骨格を持つ化合物として、特許文献1、2の化合物等が開示されているが、360~400nm付近の有害な長波長の紫外線吸収効率は低いものであり、これを補うために添加量を増量すると360~400nmの波長光を吸収するが、同時に400nm以上の波長光も吸収し、黄色化が生じる問題があった。また、加熱加工時に昇華し、設備を汚染する問題もあった。
【0004】
本発明者らは、特に、380~400nmまでの有害光を効率よく十分に吸収し、かつ初期の黄色化の要因となる400nm以上の波長光の吸収を抑制する紫外線吸収剤として、硫黄含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体を提案した(特許文献3、4)。この紫外線吸収剤は、その光学的特性から、250~400nmまでの波長領域の光を十分に吸収することができ、しかも、紫外線吸収効果(モル吸光係数)が高く、少量の添加で、その波長光を効率よく吸収でき、さらに、350~390nmの吸収ピークの傾きが従来の紫外線吸収剤よりも大きく400nm付近以上の波長光の吸収を抑制し、配合した部材の初期の黄色化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-061078号公報
【文献】特開平9-95658号公報
【文献】国際公開第2016/021664号
【文献】国際公開第2016/174788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機系の紫外線吸収剤は、ペレット、マスターバッチ、コンパウンド等の樹脂成形材料の製造、使用において、紫外線吸収剤を加熱下で樹脂等に加熱溶融混練し、樹脂成形材料を得る工程(1次加工)および、紫外線吸収剤を含む樹脂成形材料を、または、その樹脂成形材料と他の樹脂等を加熱溶融混練し、樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品を得る工程(2次加工)や、得られた樹脂部材、樹脂成形物や樹脂成形品を加熱加工する際に紫外線吸収剤が昇華し、樹脂部材の紫外線吸収能の低下、そして、透明樹脂部材の場合、その透明性を損ない、さらには、成形、加工装置内を汚染させる可能性があり、低昇華性である有機系の紫外線吸収剤が求められている。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、高温の加工を要する加熱溶融混練時(1次加工、2次加工)やその他の加熱加工においても紫外線吸収剤の昇華が少ないため、紫外線吸収剤の損失が低減でき、設備の汚染が少なく、380~400(420)nmまでの波長領域の有害光を効率よく吸収し、かつ初期の黄色化の要因となる400(420)nm以上の波長光の吸収を抑制することで有害光の影響が少なく外観に優れた部材を得ることができる樹脂成形材料とその製造方法および樹脂部材等の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の樹脂成形材料は、加熱工程において使用される樹脂成形材料であって、チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体および樹脂を含有することを特徴としている。ここで、樹脂成形材料は、特に限定されないが、例えば、ペレット、マスターバッチ、コンパウンド等が挙げられ、粉状、粒状又は円筒状のものとすることができる。加熱工程は、特に限定されないが、例えば、加熱溶融混練等を含む。
【0009】
上記本発明の樹脂成形材料を製造するに際して、その方法は特に限定しないが、好ましい態様において、樹脂成形材料の製造方法は、チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体と樹脂を加熱溶融混練することを特徴としている。
【0010】
上記本発明の樹脂成形材料を用いた、樹脂部材、樹脂成形物又は樹脂成形品を得る製造方法は、前記樹脂成形材料を加熱溶融混練することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂成形材料とそれを用いた樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品の製造方法によれば、高温の加工を要する加熱溶融混練時(1次加工、2次加工)や得られた樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品の加熱加工においても紫外線吸収剤の昇華が少ないため、紫外線吸収剤の損失が低減でき、設備の汚染が少なく、用途によって要求される波長にもよるが、380~400(420)nmまでの波長領域の有害光を効率よく吸収し、かつ初期の黄色化の要因となる400(420)nm以上の波長光の吸収を抑制することで有害光の影響が少なく外観に優れた部材を得ることができる。
【0012】
本発明の樹脂成形材料の製造方法および樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品の製造方法によれば、高温の加工を要する溶融混練時においても紫外線吸収剤の昇華が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1~5における化合物1~5の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図2】実施例6~9における化合物6~9の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図3】実施例10~14における化合物10~14の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図4】実施例15、16、比較例1における化合物15~17の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図5】実施例57における加工前、樹脂成形材料1、樹脂成形材料2の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を詳細に説明する。
[置換基等]
本発明において、「芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基」には、耐熱性、屈折率、融点、耐光性、樹脂に対する相溶性等を調整できる基が含まれ、例えば、次のものが挙げられる。
【0015】
芳香族基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環を含み、炭素数が好ましくは6~18、より好ましくは6~14である。1価の芳香族基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-プロピルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、4-ブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ビフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基等が挙げられる。2価の芳香族基としては、特に限定されないが、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、1,8-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、1,3-ナフチレン基、9,10-アントラセニレン基、1,8-アントラセニレン基、2,7-アントラセニレン基、2,6-アントラセニレン基、1,4-アントラセニレン基、1,3-アントラセニレン基等が挙げられる。
【0016】
不飽和基は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-酸素二重結合(カルボニル基、アルデヒド基、エステル基、カルボキシ基、カルバメート基、尿素基、アミド基、イミド基、カルバモイル基、ウレタン基等)、炭素-窒素二重結合(イソシアネート基等)、炭素-窒素三重結合(シアノ基、シアナト基等)等の炭素-炭素又は炭素-ヘテロ原子の不飽和結合を含み、炭素数が好ましくは1~10、より好ましくは1~8である。不飽和基としては、特に限定されないが、例えば、アクリロイル基、メタクロイル基、マレイン酸モノエステル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、アルデヒド基、エステル基、カルボキシ基、カルバメート基、尿素基、アミド基、イミド基、カルバモイル基、アクリロニトリル基、シアノ基、シアナト基、イソシアネート基、ウレタン基等が挙げられる。
【0017】
窒素含有基は、シアノ基、ニトロ基又は1~3級アミノ基を含み、炭素数が好ましくは0~10である。窒素含有基としては、特に限定されないが、例えば、シアノ基、シアナト基、イソシアネート基、ニトロ基、ニトロアルキル基、アミド基、尿素基、ウレタン基、イミド基、カルボジイミド基、アゾ基、ピリジン基、イミダゾール基、アミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミノアルキル基、3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミジルメチル基、2-[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル-)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール-イル]-メチル基等が挙げられる。
【0018】
硫黄含有基は、チオール基、チオエーテル基、スルフィド基、ジスルフィド基、チオエステル基、チオアミド基、スルホニル基、スルホ基、チオカルボニル基、又はチオ尿素基を含み、炭素数が好ましくは0~10である。硫黄含有基としては、特に限定されないが、例えば、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ-n-プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ-n-ブトキシ基、チオ-t-ブトキシ基、チオフェノキシ基、p-メチルチオフェノキシ基、p-メトキシチオフェノキシ基、チオフェン基、チアゾール基、チオール基、チオエーテル基、スルホ基、スルフィド基、ジスルフィド基、チオエステル基、チオアミド基、スルホニル基、チオカルボニル基、チオ尿素基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基等が挙げられる。
【0019】
酸素含有基は、芳香環基又は脂環式基を含む場合には炭素数が好ましくは6~12、芳香環基又は脂環式基を含まない場合には炭素数が好ましくは0~18である。酸素含有基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、アセトキシ基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、オキサゾール基、モルホリン基、カルバメート基、カルバモイル基、尿素基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ポリオキシエチレン基等が挙げられる。
【0020】
リン含有基は、ホスフィン基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、又はリン酸エステル基を含み、芳香環基又は脂環式基を含む場合には炭素数が好ましくは6~22、芳香環基又は脂環式基を含まない場合には炭素数が好ましくは0~6である。リン含有基としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基、トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基、メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。
【0021】
脂環式基は、炭素数が好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。脂環式基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基やこれらを骨格として含む基等が挙げられる。
【0022】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0023】
本発明において2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、例えば下記式(I)で表される。
【0024】
【化1】
式中、R1~R9はそれぞれ独立に、下記式(i)で表わされるチオエーテル含有基、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R1~R9のうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。R1~R9のうち少なくとも1つは下記式(i)で表わされるチオエーテル含有基である。
【0025】
【化2】
式(i)中、R10は芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R11はmが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R12は水素原子を示すか、又は-(R13n-R14で表される基(R13は芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R14は、水素原子を示すか、又はベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸エステル、及びトリアジンから選ばれるいずれか1つの骨格を含む置換基を示す。nは0又は1の整数を示す。)を示す。lは0又は1の整数を示し、mは0~3の整数を示す。
【0026】
式(i)において、R10は芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3の2価の炭化水素基を示す。
【0027】
10の2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0028】
2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。
【0029】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0030】
式(i)において、lは0又は1の整数を示し、好ましくは、lは0である。
【0031】
式(i)において、R11はmが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3の2価の炭化水素基を示す。
【0032】
11の2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0033】
2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。
【0034】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0035】
式(i)において、mは0~3の整数を示し、好ましくは、mは0又は1であり、より好ましくは、mは0である。
【0036】
式(i)において、R12は水素原子を示すか、又は-(R13n-R14で表される基(R13は芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R14は、水素原子を示すか、又はベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸エステル、及びトリアジンから選ばれるいずれか1つの骨格を含む置換基を示す。nは0又は1の整数を示す。)を示す。
【0037】
13の2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0038】
13の2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0039】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0040】
14がベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸エステル、及びトリアジンから選ばれるいずれか1つの骨格を含む置換基である場合、ベンゾトリアゾールを含む置換基としては例えば下記式(A)で表わされる基が挙げられ、ベンゾフェノンを含む置換基としては例えば下記式(B)で表わされる基が挙げられ、安息香酸エステルを含む置換基としては例えば下記式(C)で表わされる基が挙げられ、トリアジンを含む置換基としては例えば下記式(D)で表わされる基が挙げられる。
【0041】
【化3】
式(A)において、R16a~R24aのうちいずれか1つは式(i)のR13又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR16a~R24aは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R16a~R24aのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。
【0042】
【化4】
式(B)において、R15b~R24bのうちいずれか1つは式(i)のR13又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR15b~R24bは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R15b~R24bのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。
【0043】
【化5】
式(C)において、R15c~R24cのうちいずれか1つは式(i)のR13又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR15c~R24cは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R15c~R24cのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。
【0044】
【化6】
式(D)において、R20d~R22dは次の[1]、[2]のいずれかを示す。
【0045】
[1]R20d~R22dのうち少なくとも1つは式(i)のR13又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR20d~R22dは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子、及び次の式(d)で表わされる基:
【0046】
【化7】
(式中、R23d~R27dは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R23d~R27dのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。)から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R20d~R22dのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。すなわち式(I)で表わされる基がトリアジン環に1~3個結合していてもよい。
【0047】
[2]R20d~R22dのうち少なくとも1つは次の式(d')で表わされる基:
【0048】
【化8】
(R28d~R32dのうち少なくとも1つは式(i)のR13又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR28d~R32dは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R28d~R32dのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。)を示し、それ以外のR20d~R22dは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す(2価の基である場合、R28d~R32dのうちいずれか2つが一緒になって環を形成する。)。すなわち上記式(d')で表わされるベンゼン環には式(I)で表わされる基が1~5個結合していてもよい。
【0049】
式(A)~(D)、(d)及び(d')において、R16a~R24a、R15b~R24b、R15c~R24c、R20d~R27d、R28d~R32dが炭化水素基である場合、この炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。特に限定されないが、具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、2-メチルブタン-1-イル基、ヘキサン-1-イル基、2-メチルペンタン-1-イル基、3-メチルペンタン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、3-エチルペンタン-1-イル基、2-メチルヘキサン-イル基、3-メチルヘキサン-イル基、オクタン-1-イル基、2-メチルへプタン-1-イル基、3-メチルへプタン-1-イル基、4-メチルへプタン-1-イル基、2-エチルヘサン-1-イル基、3-エチルヘキサン-1-イル基、1,1,3,3-テトラメチルブチルノナン-1-イル基、3-エチルへプタン-1-イル基、4-エチルヘプタン-1-イル基、2-メチルオクタン-1-イル基、3-メチルオクタン-1-イル基、4-メチルオクタン-1-イル基、デカン-1-イル基、4-プロピルへプタン-1-イル基、3-エチルオクタン-1-イル基、4-エチルオクタン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、2-メチルウンデカン-1-イル基、2-エチルデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基がより好ましい。
【0050】
16a~R24a、R15b~R24b、R15c~R24c、R20d~R27dが芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0051】
式(i)において、より具体的には、R12として次式(j)で表される基が挙げられる。
【0052】
【化9】
上記式中、Xは水素原子が置換されていてもよい2価の脂肪族炭化水素基、Yは水素原子が置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基、Zは窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1又は酸素原子及び硫黄原子から選ばれる2価のヘテロ原子Z2のいずれかを示し、o、p、qは0以上の整数を示す。o個のXとp個のYとq個のZはそれぞれ独立し、X、Y、Z並び順は任意である。一つの例では、X、Y、Zの少なくともいずれかが2個以上の場合、X同士、Y同士、Z同士は隣接しない。oとpの少なくともいずれかは1以上の整数である。
【0053】
2価の脂肪族炭化水素基Xは、炭素数が1~20、好ましくは1~12であり、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、直鎖又は分岐のアルキニレン基等が挙げられる。特に限定されないが、具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-イル基、テトラデカン-1,14-イル基、ペンタデカン-1,15-イル基、ヘキサデカン-1,16-イル基、ヘプタデカン-1,17-イル基、オクタデカン-1,18-イル基、ノナデカン-1,19-イル基、エイコサン-1,20-イル基等が挙げられる。これらの中でも、水素原子が置換されない脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、直鎖のアルキレン基がさらに好ましい。
【0054】
2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yのうち、芳香族炭化水素基は、炭素数が6~18、好ましくは6~14である。芳香族炭化水素基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環を含み、芳香環の水素原子が脂肪族炭化水素基等で置換されていてもよい。特に限定されないが、具体的には、例えば、フェニレン基(1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基等)、ナフチレン基(1,8-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、1,3-ナフチレン基等)、アントラセニレン基(9,10-アントラセニレン基、1
,8-アントラセニレン基、2,7-アントラセニレン基、2,6-アントラセニレン基、1,4-アントラセニレン基、1,3-アントラセニレン基等)等が挙げられる。これらの中でも、水素原子が置換されない芳香族炭化水素基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
【0055】
2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yのうち、脂環式炭化水素基は、炭素数が好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。脂肪族環を含み、脂肪族環の水素原子が脂肪族炭化水素基等で置換されていてもよい。具体的には、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基(1,4-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,2-シクロヘキシレン等)、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。これらの中でも、水素原子が置換されない脂環式炭化水素基が好ましく、シクロヘキシレン基がより好ましい。
【0056】
Zのうち、2価のヘテロ元素含有基Z1は、窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、リン含有基から選ばれ、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられ、二重結合を有する窒素含有基、酸素含有基がより好ましい。
【0057】
二重結合を有する2価の基Z1としては、例えば、前記[置換基等]の欄に例示したもののなかで二重結合を有する2価の基が挙げられる。
【0058】
二重結合を有する2価の窒素含有基としては、アミド基、尿素基、ウレタン基、イミド基、カルボジイミド基、アゾ基、ピリジン基、イミダゾール基、トルイジン基、ニトロアルキル基等が挙げられる。
【0059】
二重結合を有する2価の酸素含有基としては、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、オキサゾール基、カルバメート基、カルバモイル基等が挙げられる。
【0060】
二重結合を有する2価の硫黄含有基としては、チオエステル基、チオアミド基、スルホニル基、スルホキシド基、チオカルボニル基、チオ尿素基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオフェン基、チアゾール基等が挙げられる。
【0061】
二重結合を有する2価のリン含有基としては、リン酸エステル基、ホスホン酸エステル等が挙げられる。
【0062】
また、Zのうち、2価のヘテロ原子Z2は、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、酸素原子が好ましい。
【0063】
2価の脂肪族炭化水素基X、2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yの水素原子が置換されていてもよい置換基としては、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子が挙げられ、これらの具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0064】
2価の脂肪族炭化水素基X、2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yの水素原子が置換される場合、置換基の数は、特に限定されないが、その例としては、2個以下、あるいは1個以下が挙げられる。
【0065】
式(j)において、2価の脂肪族炭化水素基Xを含む場合、oは好ましくは1~3、より好ましくは1~2、さらに好ましくは1である。pは好ましくは0~2、より好ましくは0~1、さらに好ましくは0である。qは好ましくは0~2、より好ましくは0~1、さらに好ましくは0である。式(j)の好ましい例としては、-X-H、-X-Y-H、-Y-X-H、-X-Z-H、-X-Z-X-H、-X-Z-Y-H、-Y-Z-X-Hが挙げられる。
【0066】
式(j)において、2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yを含む場合、pは好ましくは1~3、より好ましくは1~2、さらに好ましくは1である。oは好ましくは0~2、より好ましくは0~1である。qは好ましくは0~2、より好ましくは0~1、さらに好ましくは0である。式(j)の好ましい例としては、-Y-H、-Y-X-H、-X-Y-H、-Y-Z-H、-Y-Z-Y-H、-Y-Z-X-H、-X-Z-Y-Hが挙げられる。
【0067】
式(j)において、Zの数qは、好ましくは0~3、より好ましくは0~2、さらに好ましくは0~1である。
【0068】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、水素原子が置換されない2価の脂肪族炭化水素基Xを有する。この場合、好ましい一例では、R12のp、qが0である。好ましい別の一例では、R12が、水素原子が置換されない2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yを有する。この場合、好ましい一例では、R12のpが1、qが0、oが0又は1である。これら全ての場合において、好ましい一例では、R12のqが1又は2である。この場合、好ましい一例では、R12が、窒素含有基及び酸素含有基から選ばれるいずれかの2価のヘテロ元素含有基Z1を有する。
【0069】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xを有する。この場合、好ましい一例では、R12は、oが1個又は2個である。
【0070】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yを有する。この場合、好ましい一例では、R12は、pが1個又は2個である。
【0071】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、qが1~4個の2価の窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1を有する。この場合、好ましい一例では、R12は、qが1個又は2個である。
【0072】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xと、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yを有する。この場合、好ましい一例では、R12は、oが1個又は2個であり、pが1個又は2個である。
【0073】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xと、qが1~4個の2価の窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1を有する。この場合、好ましい一例では、R12は、pが1個又は2個であり、qが1個又は2個である。
【0074】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yと、qが1~4個の2価の窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1を有する。この場合、好ましい一例では、R12は、oが1個又は2個であり、qが1個又は2個である。
【0075】
式(j)において、好ましい一例では、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xと、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yと、qが1~4個の2価の窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1を有する。この場合、好ましい一例では、R12は、oが1個又は2個であり、pが1個又は2個であり、qが1個又は2個である。
【0076】
式(j)において、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xを有する場合、Xの炭素数は1~20であり、好ましくは1~12、より好ましくは1~7である。
【0077】
式(j)において、R12が、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yを有する場合、Yの炭素数は、好ましくは6~20であり、より好ましくは、6~14である。
【0078】
式(j)において、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xと、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yを有する場合、Xの炭素数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~7であり、Yの炭素数は、好ましくは6~20であり、より好ましくは、6~14である。
【0079】
式(j)において、R12が、oが1~4個の2価の脂肪族炭化水素基Xと、qが1~4個の2価の窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1を有する場合、好ましくはoが1~2個、qが1~2個であり、より好ましくはoが2個、qが1個又はoが1個、qが2個であり、更に好ましくはoが1個、qが1個である。
【0080】
式(j)において、R12が、pが1~4個の2価の芳香族炭化水素基又は脂環式炭化水素基Yと、qが1~4個の2価の窒素含有基、酸素含有基、硫黄含有基及びリン含有基から選ばれる2価のヘテロ元素含有基Z1を有する場合、好ましくはpが1~2個、qが1~2個であり、より好ましくはpが2個、qが1個又はpが1個、qが2個であり、更に好ましくは、pが1個、qが1個である。
【0081】
2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体は、式(I)において、R1~R9のうち少なくとも1つは式(i)で表わされるチオエーテル含有基である。その中でも、実際の合成の容易性、吸収特性やコスト、耐熱性等を考慮すると、R1~R9のうち1~2個が式(i)で表わされるチオエーテル含有基であることが好ましく、1個が式(i)で表わされるチオエーテル含有基であることがより好ましい。
【0082】
式(I)における式(i)で表わされる1価の硫黄含有基の位置は、特に限定されるものではなく、式(i)で表される1価の硫黄含有基は、式(I)のR6~R9のうちのいずれかに有することが好ましく、R6、R9の位置がより好ましい。
【0083】
式(I)において、R1~R9が式(i)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基である場合、水素原子、炭化水素基、芳香族基、不飽和基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基を示す。
【0084】
1~R9が炭化水素基である場合、この炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。その中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。特に限定されないが、具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、2-メチルブタン-1-イル基、ヘキサン-1-イル基、2-メチルペンタン-1-イル基、3-メチルペンタン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、3-エチルペンタン-1-イル基、2-メチルヘキサン-イル基、3-メチルヘキサン-イル基、オクタン-1-イル基、2-メチルへプタン-1-イル基、3-メチルへプタン-1-イル基、4-メチルへプタン-1-イル基、2-エチルヘサン-1-イル基、3-エチルヘキサン-1-イル基、1,1,3,3-テトラメチルブチルノナン-1-イル基、3-エチルへプタン-1-イル基、4-エチルヘプタン-1-イル基、2-メチルオクタン-1-イル基、3-メチルオクタン-1-イル基、4-メチルオクタン-1-イル基、デカン-1-イル基、4-プロピルへプタン-1-イル基、3-エチルオクタン-1-イル基、4-エチルオクタン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、2-メチルウンデカン-1-イル基、2-エチルデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基がより好ましい。
【0085】
1~R9が芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。2価の基である場合、R1~R9のうちいずれか2つ(好ましくは隣接する2つ)が一緒になって環を形成する。
【0086】
式(I)において、5位のR9に式(i)で表わされる1価の硫黄含有基を有する場合、式(i)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基として、R6、R7、R8がいずれも水素原子であることが好ましい。また、R1、R2、R3、R4、R5の組み合わせのうち好ましい例を挙げると次のとおりである。
[1] 炭素数1~18の炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基を含む炭素数2~18の炭化水素基を含む。)、ヒドロキシ基、炭素数6~18の芳香族基、炭素数1~18のエーテル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のエステル基、(メタ)アクリロイルオキシ基及び/又は炭素数1~20のポリオキシエチレン基、又はそれらの置換基で水素原子が置換されるか、基端が中断されるか炭素-炭素結合が中断されてもよい炭素数1~18の炭化水素基から選ばれる置換基を1つ以上含む。
[2] [1]において、置換基が炭素数1~10の炭化水素基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
[3] [2]において、置換基が炭素数1~8の炭化水素基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
[4] [1]~[3]のいずれかにおいて、置換基の炭化水素基が直鎖又は分岐のアルキル基である。
[5] [4]において、置換基がメチル基、t-ブチル基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種である。
[6] [5]において、置換基がメチル基、t-ブチル基、及びヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、かつヒドロキシ基は1つ以下である。
[7] [1]から[6]のいずれかにおいて、置換基の数が2~4個である。
[8] [1]から[7]のいずれかにおいて、R1~R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1~R5は水素原子である。
[9] [1]から[8]のいずれかにおいて、R1、R2、R4のいずれかの位置に置換基を有し、それ以外のR1~R5は水素原子である。
[10] [9]において、R1はヒドロキシ基、R2はt-ブチル基、R4はメチル基であり、R3、R5は水素原子である。
【0087】
本発明のチオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体を用いた樹脂成形材料により得られる樹脂部材は、2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体の相溶性による樹脂の透明性に加えて、紫外線吸収のピークの特性から、黄色化を抑制しながら長波長領域の波長の吸収を可能とする。具体的には、紫外線吸収能の特性から400~500nm(可視域)をカットすることなく、UV-A領域でも、より長波長の360~400nm付近の紫外線をシャープにカットすることが可能である。このため、樹脂部材は、黄色着色が抑制された、外観に優れるものが得られる。すなわち、その光学的特性から、250~400(420)nmまでの波長領域の光を十分吸収することができる。しかも、紫外線吸収効果(モル吸光係数)が高く、少量の添加で、その波長光を十分吸収でき、クロロホルム溶液中で350~390nmの吸収ピークの傾きが従来の紫外線吸収剤よりも大きいことから、樹脂部材の黄色化を抑制することができる。~400(420)nmまでの幅広い波長領域の有害光を吸収し、黄色化の要因となる400(420)nm付近以上の波長光の吸収を抑制し、黄色化を抑え外観に優れた樹脂部材を得るためには、100μMクロロホルム溶液における光の吸収ピークが350~390nmにあることが好ましく、360~380nmにあることがより好ましく、特に360~375nmにあることが好ましい。また、それらの波長領域にある吸収ピークは、最大吸収波長(λmax)であることが好ましい。さらに、その波長ピークは、400nm付近よりも長波長の光の吸収を抑制するために、長波長側の吸収スペクトルはシャープな方が(傾きの絶対値が大きい方が)良く、吸収ピークの長波長側の傾き(吸収ピークと長波長側の吸収スペクトルのピークエンドを結んだ直線の傾きの絶対値)が0.025以上であることが好ましく、0.030以上がより好ましく、0.040以上がさらに好ましく、0.042以上が特に好ましく、0.043以上が殊更好ましい。また、少量で効率よく吸収するためには、上記の350~390nmの吸収ピークのモル吸光係数(最大モル吸光係数:ελmax)は、17000L/(mol・cm)以上が好ましく、18000L/(mol・cm)以上がより好ましく、20000L/(mol・cm)以上がさらに好ましく、21000L/(mol・cm)以上が特に好ましい。
【0088】
式(I)で表わされるベンゾトリアゾール化合物を製造する際には、特に限定されないが、後述の実施例の開示と公知の技術が参照される。
【0089】
(樹脂成形材料)
本発明の樹脂成形材料は、チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体および樹脂を含み、樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品等の原料となるものであり、樹脂成形材料の製造、加工および他の樹脂との加熱溶融混練などの加熱工程において、紫外線吸収剤の昇華が少ない。
【0090】
本発明の樹脂成形材料は、溶融混練、押出成形、射出成形、ブロー成形などにおいて使用される樹脂成形材料であり、特に限定されないが、例えば、樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品の原料となる紫外線吸収能を付与したペレット、マスターバッチ、コンパウンド等が挙げられる。特に形状は限定されないが、例えば、粉状、粒状又は円筒状が好ましい。
【0091】
本発明の樹脂成形材料は、溶融混練して当該材料を製造する際や、溶融混練して成形、加工する際に紫外線吸収剤の昇華が少ないため、成形、加工装置内を汚染しにくく、さらに、紫外線吸収剤の減少による樹脂部材の紫外線吸収能の低下が抑えられ、紫外線吸収能を保持できる。また、透明樹脂部材の場合、その透明性の低下を抑制する。
【0092】
樹脂成形材料の樹脂は、特に限定されないが、従来公知のものを広く使用することができ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられ、それぞれ1種の繰り返し単位を有する重合体、複数の繰り返し単位を含む共重合体が含まれる。
【0093】
本明細書において、熱可塑性樹脂(重合体および共重合体)および熱硬化性樹脂(重合体および共重合体)の用語は、下記に例示したような個別の種類の当該樹脂において、当該樹脂の一般的な用語の意義における本来の繰り返し単位に加え、当該樹脂の全量に対してその他の繰り返し単位を20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下含むことを許容する。また、そのような当該樹脂と、その他の樹脂との混合物であり、その他の樹脂の含有量が混合物の全量に対して20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下であることを許容する。
【0094】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、重合体としては、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、エーテル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリマレイミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、共重合体としては、ブタジエン-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-スチレン系共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン系共重合体、スチレン-アクリル酸系共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-アクリロニトリル系共重合体等が挙げられる。
【0095】
熱可塑性樹脂の重合体としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
【0096】
(メタ)アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0097】
オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2、3-ジメチルブタジエン)、ポリシクロヘキサジエン、ポリシクロペンタジエン、ポリジシクロペンタジエン、ポリクロロプレン、ポリノルボルネン、環状オレフィン系高分子等が挙げられる。
【0098】
スチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン等が挙げられる。
【0099】
エステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸等が挙げられる。
【0100】
エーテル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0101】
塩化ビニル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、等が挙げられる。
【0102】
フッ素系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0103】
ビニル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルスルホン酸およびその塩等が挙げられる。
【0104】
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0105】
ポリアミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。
【0106】
ポリイミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミド等が挙げられる。
【0107】
ポリアミドイミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミドイミド等が挙げられる。
【0108】
ポリマレイミド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリマレイミド、ポリN-フェニルマレイミド等が挙げられる。
【0109】
ポリビニルピロリドン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0110】
ポリウレタン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン等が挙げられる。
【0111】
ポリスルホン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリスルホン等が挙げられる。
【0112】
ポリフェニレンサルファイド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。
【0113】
シクロオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
【0114】
熱可塑性樹脂の共重合体としては、上記に挙げた重合体の原料モノマーを複数含むものが挙げられ、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
【0115】
ブタジエン-スチレン系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、ブタジエン-スチレン共重合体等が挙げられる。
【0116】
アクリロニトリル-スチレン系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル-スチレン共重合体等が挙げられる。
【0117】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等が挙げられる。
【0118】
スチレン-イソプレン系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン-イソプレン共重合体等が挙げられる。
【0119】
スチレン-アクリル酸系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0120】
塩化ビニル-塩化ビニリデン-アクリロニトリル系共重合体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル-塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
【0121】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、重合体としては、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、エピスルフィド系樹脂、共重合体としては、アクリルメラミン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0122】
熱硬化性樹脂の重合体としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
【0123】
フェノール系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0124】
尿素系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、尿素樹脂等が挙げられる。
【0125】
メラミン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0126】
不飽和ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0127】
アルキド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アルキド樹脂等が挙げられる。
【0128】
エポキシ系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0129】
エピスルフィド系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0130】
熱硬化性樹脂の共重合体としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
【0131】
アクリルメラミン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリルメラミン樹脂等が挙げられる。
【0132】
アクリルウレタン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
【0133】
上記樹脂の中でも熱可塑性樹脂が好ましく、特に限定されないが、例えば、上記記載の樹脂等が挙げられる。
【0134】
その中でも、好ましくは、スチレン系樹脂(ポリスチレン)、エーテル系樹脂(ポリアセタール)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリル樹脂)、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート系樹脂(ポリカーボネート)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミド系樹脂(ポリアミド)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂)、エステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、より好ましくは、スチレン系樹脂(ポリスチレン)、(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル樹脂)、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート系樹脂(ポリカーボネート)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂)、エステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、さらに好ましくは、スチレン系樹脂(ポリスチレン)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリル樹脂)、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート系樹脂(ポリカーボネート)、特に好ましくは、スチレン系樹脂(ポリスチレン)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリル樹脂)、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)である。
【0135】
なお、特に限定されないが、例えば、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、高屈折率剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を添加してもよい。
【0136】
溶融状態での製造については、特に限定されないが、混練機を用いて、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等が使用できる。押出機による溶融混練については、特に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上使用できる。
【0137】
本発明の樹脂成形材料を溶融混練し、樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品を成形する方法は、特に限定されないが、樹脂の溶融温度以上の加熱下で紫外線吸収剤と樹脂を混合する方法であればよく、特に限定されないが、例えば、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、圧縮成形法等が挙げられる。フィルム状の樹脂部材の場合、押出機を使用する場合は、押出機によりフィルム化するか、あるいは押出機により原反を作製し、その後、1軸又は2軸に延伸してフィルムにする方法で樹脂部材を製造することができる。
【0138】
本発明の樹脂成形材料は、低昇華性の紫外線吸収剤を使用するため、紫外線吸収剤を加熱下で樹脂等に溶融混練し、樹脂形成材料を得る工程(1次加工)および、本発明の紫外線吸収剤を含む樹脂成形材料を、または、その樹脂成形材料と他の樹脂等を加熱溶融混練し、樹脂部材、樹脂成形物、樹脂成形品を得る工程(2次加工)や、本発明の樹脂成形材料から部材や、成形物、成形品を加熱加工する工程において、設備を汚染しない点で有用である。また、本発明の樹脂成形材料は、低昇華性の紫外線吸収剤を使用し、200℃以上の高温を要する樹脂の加工、成形工程下においても紫外線吸収剤の減量率が抑えられ、紫外線吸収能を発現、保持する。
【0139】
本発明の樹脂成形材料において、チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体の含有量は、特に限定されない。従来の樹脂成形材料における紫外線吸収剤の含有量と同様な範囲としてもよい。例えば、樹脂成形材料の全量に対して0.4質量%以上でもよく、10質量%以上でもよく、30質量%以上でもよい。また70質量%以下でもよく、50質量%以下でもよい。
【実施例
【0140】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.紫外線吸収剤の合成
<合成例1> 化合物1の合成
【0141】
【化10】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(50.0g,0.158mol)、オクタンチオール(46.3g,0.316mol)、炭酸カリウム(48.1g,0.348mol)およびヨウ化カリウム(1.8g,0.011mol)を、DMF125g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、メタノール洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物1を得た。
FT-IR(KBr):2956cm-1:O-H伸縮振動 1445, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 662cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.89 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S) , 1.33 (m, 8H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3(CH2)4CH 2(CH2)2-S), 1.73 (quin, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.02 (t, 2H, CH3(CH2)5CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)7-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.6 (CH3 CH2(CH2)5CH2-S), 28.7 (CH3CH2(CH2)4CH2CH2-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.8 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 33.8 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 35.4 (CH3(CH2)5CH2 CH2-S), 113.6, 117.5, 119.3, 128.7, 129.2 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
【0142】
<合成例2> 化合物2の合成
【0143】
【化11】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g,79.2mmol)、ベンゼンチオール(17.4g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g,174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.9g,5.5mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、メタノール洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物2を得た。
FT-IR(KBr):3000cm-1:O-H伸縮振動 1445, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動 665cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (s, 1H), 7.38 (d, 4H), 7.48 (s, 2H), 7.68 (s, 1H), 7.83 (d, 1H), 8.03 (d, 1H), (insg.10arom. CH), 11.55 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 116.8, 118.0, 119.3, 128.3, 128.8, 129.6, 132.7 (CHarom), 125.5, 141.2, 143.2 (Carom), 129.8 (C arom-CH3), 139.2 (C arom-S) , 139.2 (S-C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
【0144】
<合成例3> 化合物3の合成
【0145】
【化12】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、p-トルエンチオール(19.7g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、メタノール洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物3を得た。
FT-IR(KBr):3000cm-1:O-H伸縮振動 1444, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 2.40 (s, 3H, CH 3-Ph-S-) , 7.16 (s, 1H), 7.23 (s, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.43 (s, 2H), 7.56 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 21.2 (CH3-Ph-S-), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 115.3, 117.8, 119.3, 128.7, 129.3 130.5, 133.7(CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.9(C arom-S) , 138.7(S -C arom), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
【0146】
<合成例4> 化合物4の合成
【0147】
【化13】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、4-イソプロピルベンゼンチオール(24.1g, 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、メタノール洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物4を得た。
FT-IR(KBr):3000cm-1:O-H伸縮振動 1446, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 666cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.30 (d, 6H, (CH 3)2CH-Ph-S-), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 2.95 (m, 1H, (CH3)2CH-Ph-S-), 7.16 (s, 1H), 7.28 (s, 2H), 7.36 (d, 1H), 7.45 (s, 2H), 7.57 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 23.9 ((CH3)2CH-Ph-S-), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.9 ((CH3)2 CH-Ph-S-), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.3, 117.8, 119.3, 127.9, 128.7, 129.2, 129.6, 133.6 (CHarom), 125.4, 141.4, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 138.5 (S -C arom), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH), 149.7 (Carom-CH)
【0148】
<合成例5> 化合物5の合成
【0149】
【化14】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g,79.2mmol)、4-tert-ブチルベンゼンチオール(26.3g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g,174.2mmol)およびヨウ化カリウム(0.9g,5.5mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、メタノール洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、化合物5を得た。
FT-IR(KBr):3000cm-1:O-H伸縮振動 1444, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動 668cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.36 (s, 9H, -S-Ph-C(CH 3)3), 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.16 (s, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.44 (s, 4H), 7.59 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.3 (-S-Ph-C(CH3)3), 34.8 (-S-Ph-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.4, 117.8, 119.3, 126.8, 128.8, 129.2, 133.2 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.3 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.5 (C arom-S), 138.5 (S -C arom), 139.1, 152.0 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
【0150】
<合成例6> 化合物6の合成
【0151】
【化15】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(18.82g 59.6mmol)、6-メルカプト-1-ヘキサノール(12.00g 89.4mmol)、炭酸カリウム(18.21g 131.1mmol)及び、ヨウ化カリウム(0.69g 4.17mmol)を、DMF60mL中で、10時間135~140℃で加熱撹拌を行った。反応終了後、pH調整、濾過、メタノール洗浄を行い、再結晶、カラム精製することにより、化合物6を得た。
FT-IR(KBr):2956cm-1:O-H伸縮振動 1445, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 662cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.49 (m, 17H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, HOCH2(CH 2)3CH2CH2-S), 1.78 (quin, 2H, HO(CH2)4CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.03 (t, 2H, HO(CH2)5CH 2-S), 3.65 (t, 2H, HOCH 2(CH2)5-S), 7.16 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 25.3 (HO(CH2)3 CH2(CH2)2-S), 28.7 (HOCH2(CH2)2(CH2)3-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 32.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.2 (HO(CH2)4 CH2CH2-S), 35.4 (HO(CH2)5 CH2-S), 62.8 (HOCH2(CH2)5-S), 113.8, 117.6, 119.3, 128.6, 129.3 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 137.8 (C arom-S), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
【0152】
<合成例7> 化合物7の合成
【0153】
【化16】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g 79.2mmol)、4-ヒドロキシベンゼンチオール(20.0g 158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1g, 174.2mmol)及びヨウ化カリウム(0.92g 5.54mmol)を、DMF66mL中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、メタノール洗浄、水洗を行い、再結晶、カラム精製をすることにより、淡黄色固体の中間体1を得た。
【0154】
中間体1(0.40g 0.99mmol)、アセチルクロリド(0.16g 1.97mmol)とトリエチルアミン(0.17g 2.18mmol)を塩化メチレン30mL中で、18時間室温で撹拌を行った。反応終了後、水、クロロホルムを加え酸処理、水洗を行い、有機層をエバポレートすることで粗生成物を得た。このようして得られた粗生成物をカラム精製及び再結晶することで、化合物7を得た。
FT-IR(KBr):2968cm-1:O-H伸縮振動 1762cm-1:C=O伸縮振動 1448, 1367cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 2.32 (s, 3H, CH 3-C=O-O-), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 7.12 (d, 2H), 7.17(s, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.48 (d, 2H), 7.70 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.54 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 21.1 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 35.4 (CH3-C(=O)-O-), 116.9, 118.1, 119.4, 122.9, 128.9, 129.7, 133.9 (CHarom), 125.4, 141.7, 143.2 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 130.9 (C arom-S), 137.1 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH), 150.8(C arom-O-), 169.1 (CH3-C(=O)-O-)
【0155】
<合成例8> 化合物8の合成
【0156】
【化17】
上記中間体1(0.40g 0.99mmol)、塩化ベンゾイル(0.28g 1.97mmol)とトリエチルアミン(0.17g 2.18mmol)を塩化メチレン30mL中で、18時間室温で撹拌を行った。反応終了後、水、クロロホルムを加え酸処理、水洗を行い、有機層をエバポレートすることで粗生成物を得た。このようして得られた粗生成物をカラム精製及び再結晶することで、淡黄色固体の化合物8を得た。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):2962cm-1:O-H伸縮振動 1738cm-1:C=O伸縮振動 1487, 1355cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 7.16 (s, 2H), 7.25(d, 2H), 7.36 (d, 1H), 7.50~7.56 (m, 4H), 7.63 (t, 1H), 7.72 (s, 1H), 8.04 (s, 1H), 8.20 (d, 1H), (insg.14arom. CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 116.9, 118.1, 119.4, 123.1, 128.7 , 128.9, 129.7 , 130.2, 133.8, 134.0 (CHarom), 125.4, 141.7, 143.2 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 129.3(C arom-C(=O)-O-Ph), 131.0 (C arom-S), 137.1 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.8(C arom-OH), 151.1(Ph-C(=O)-O-C arom), 164.9 (Ph-C(=O)-O-)
【0157】
<合成例9> 化合物9の合成
【0158】
【化18】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(3.15g 9.97mmol)、4-アセトアミドベンゼンチオール(2.50g 14.96mmol)、炭酸カリウム(3.03g 21.94mmol)及びよう化カリウム(0.12g 0.7mmol)を、DMF30g中で、135℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整し、濾過、水洗を行い、数回再結晶することで、淡黄色固体の化合物9を得た。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr): FT-IR(KBr):2963cm-1:O-H伸縮振動 1653cm-1:C=O伸縮振動 1445, 1396cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 2.21 (s, 3H, CH 3-C=O-NH-), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 7.17(s, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.48 (d, 2H), 7.56 (d, 3H), 7.79 (d, 1H), 8.02 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.54 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 24.7 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 35.4 (CH3-C(=O)-NH-), 115.6, 117.9, 119.3, 120.7, 127.9, 128.8, 134.5 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.2 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 129.1 (C arom-S), 138.4 (C arom-S), 138.2 (C arom-NH),139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH), 168.3 (CH3-C(=O)-NH-)
【0159】
<合成例10> 化合物10の合成
【0160】
【化19】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(32.3g, 0.102mol)、シクロヘキサンチオール(23.8g, 0.205mol)、炭酸カリウム(31.1g, 0.225mol)及びヨウ化カリウム(1.2g, 0.007mol)を、DMF100g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pH調整、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることによって、化合物10を得た。
FT-IR(KBr):2930cm-1:O-H伸縮振動 1450, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.40 (m, 4H, CH2(CH 2)2(CH2)2CH-S), 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.54 (m, 2H, CH 2(CH2)2(CH2)2CH-S), 1.83 (m, 2H, CH2(CH2)2CH2CH 2CH-S), 2.06 (m, 2H, CH2(CH2)2CH 2CH2CH-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.29 (m, 1H, CH2CH2CH2CH-S), 7.17 (s, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 8.06 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 25.7 (CH2(CH2)2 (CH2)2CH-S), 26.0 (CH2(CH2)2 (CH2)2CH-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.1 (CH2(CH2)2(CH2)2CH-S), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 46.3 (CH2(CH2)2 (CH2)2 CH-S), 117.2, 117.5, 119.3, 128.3, 128.8 (CHarom), 141.5, 143.2 (C arom), 125.4 (C arom-N), 131.2 (C arom-CH3), 136.1 (C arom-S), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
【0161】
<合成例11> 化合物11の合成
【0162】
【化20】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(20.0g, 63.3mmol)、ベンジルメルカプタン(15.7g,126.6mmol)、炭酸カリウム(19.3g, 139.4mmol)及びヨウ化カリウム(0.74g, 4.5mmol)を、DMF50.0g中で、125℃、9時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物11を得た。
FT-IR(KBr):2960cm-1:O-H伸縮振動 1441, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 664cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 4.24 (s, 2H, Ph-CH 2-S-) , 7.16 (s, 1H), 7.26~7.38 (m, 6H), 7.72 (s, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.04 (d, 1H), (insg.10arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 38.6 (Ph-CH2-S-), 115.4, 117.6, 119.3, 128.7, 128.8, 128.8, 129.7, 137.0(CHarom), 125.4, 141.4, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 136.5(C arom CH2-S-) , 138.7(S -C arom), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
【0163】
<合成例12> 化合物12の合成
【0164】
【化21】
上記化合物6(0.50g 1.21mmol)、アセチルクロリド(0.18g 0.18mmol)とトリエチルアミン(0.19g 2.46mmol)を塩化メチレン15mL中で、18時間室温で撹拌を行った。反応終了後、水、クロロホルムを加え酸処理、水洗を行い、有機層をエバポレートすることで粗生成物を得た。このようして得られた粗生成物をカラム精製及び再結晶することで、淡黄色固体の化合物12得た。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3011cm-1:O-H伸縮振動 1744cm-1:C=O伸縮振動 1448, 1361cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 2.05 (s, 3H, CH 3-C=O-O-), 2.39 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.28 (t, 2H, -C=O-O-CH2CH 2-S) , 4.33 (t, 2H, -C=O-O-CH 2CH2-S), 7.18 (d, 2H), 7.74(s, 1H), 7.83 (d, 1H), 7.87 (s, 1H), 8.06 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.8 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 32.2 (-C=O-O-CH2 CH2-S), 35.4 (CH3-C(=O)-O-), 62.5 (-C=O-O-CH2CH2-S), 115.8, 118.0, 119.4, 128.4, 135.8 (CHarom), 125.4, 141.6, 143.3 (C arom), 128.9 (Carom-CH3), 129.7 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.8(C arom-OH), 170.7 (CH3-C=O-O-)
【0165】
<合成例13> 化合物13の合成
【0166】
【化22】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(18.82g 59.6mmol)、2-メルカプトエタノール(6.98g 89.4mmol)、炭酸カリウム(18.21g 131.1mmol)及び、よう化カリウム(0.69g 4.17mmol)を、DMF60mL中で、10時間135~140℃で加熱撹拌を行った。反応終了後、pH調整、濾過、MeOH洗浄を行い、再結晶をすることで、淡黄色固体の中間体2を得た。
中間体2(2.00g 5.59mmol)、塩化ベンゾイル(1.18g 8.39mmol)とトリエチルアミン(0.89g 11.19mmol)を塩化メチレン30mL中で、18時間室温で撹拌を行った。反応終了後、水、クロロホルムを加え酸処理、水洗を行い、有機層をエバポレートすることで粗生成物を得た。このようして得られた粗生成物をカラム精製及び再結晶することで、淡黄色固体の化合物13を得た。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):2963cm-1:O-H伸縮振動 1719cm-1:C=O伸縮振動 1449, 1357cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.50 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 2.39 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.41 (t, 2H, -C=O-O-CH2CH 2-S) , 4.59 (t, 2H, -C=O-O-CH 2CH2-S)7.19 (s, 1H), 7.38(t, 2H), 7.45 (d, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.91~7.96 (m, 3H), 8.05 (s, 1H), (insg.10arom. CH), 11.54 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 32.5 (-C=O-O-CH2 CH2-S) , 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 63.4 (-C=O-O-CH2CH2-S)116.3, 118.0, 119.4, 128.3 , 128.9, 129.8 , 133.1, 135.8 (CHarom), 125.4, 141.6, 143.3 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 129.7 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.8(C arom-OH), 166.3 (Ph-C(=O)-O-)
【0167】
<合成例14> 化合物14の合成
【0168】
【化23】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(5.00g 15.8mmol)、4-アミノベンゼンチオール(2.97g 23.8mmol)、炭酸カリウム(4.81g, 34.8mmol)及びよう化カリウム(0.18g1.11mmol)を、DMF30g中で、135℃、3時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、水洗、MeOH洗浄を行い、再結晶することにより、淡黄色固体の中間体3を得た。
中間体3(0.50g 1.24mmol)と塩化ベンゾイル(0.26g 1.86mmol)を塩化メチレン10mL中で、18時間室温で撹拌を行った。反応終了後、反応溶液にメタノールを添加し、析出物を濾過することで、黄色の粗生成物を得た。このようして得られた粗生成物を再結晶することで、淡黄色固体の化合物14を得た。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr): FT-IR(KBr):2955m-1:O-H伸縮振動 1654cm-1:C=O伸縮振動 1449, 1396cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 7.90 (m, 1H, Ph-C(=O)NH-), 7.16(s, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.50-7.57 (m, 5H), 7.63 (s, 1H), 7.73 (d, 2H), 7.82 (d, 1H), 7.90 (m, 2H), 8.04 (s, 1H), (insg.14arom. CH), 11.55 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.8, 118.0, 119.3, 121.1, 127.0 , 128.4, 128.9 , 132.1, 134.5 (CHarom), 125.4, 141.5, 143.2 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 128.8(C arom-C(=O)NH-), 129.2 (C arom-S), 138.1 (C arom-S), 138.5(Ph-C(=O)NH-C arom), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.8(C arom-OH), 165.7 (Ph-C(=O)NH-)
【0169】
<合成例15> 化合物15の合成
【0170】
【化24】
中間体3(1.00g 2.47mmol)とイソシアン酸エチル(1.18g 16.54mmol)、DMF20mL中で、16時間100℃で加熱攪拌を行った。反応終了後、トルエンと水を加え、水洗し、有機層を減圧留去することで、黄色の固体を得た。このようにして得られた粗生成物をカラム精製、再結晶することで、薄黄色の固体化合物15を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr): FT-IR(KBr):2968cm-1:O-H伸縮振動 1639cm-1:C=O伸縮振動 1436, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.13 (t, 3H, CH 3CH2-NH-C(=O)NH-), 1.41 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.30 (m, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.26 (quin, 2H, CH3CH 2-NH-C(=O)NH-), 4.63 (m, 1H, CH3CH2-NHC(=O)NH-), 6.31 (m, 1H, CH3CH2-NHC(=O)NH-), 7.08(s, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.30 (d, 2H), 7.38 (m, 2H), 7.49 (d, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), (insg.9arom. CH), 11.47 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3400MHz): δ14.1 (CH3CH2-HNC(=O)NH-), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (CH3 CH2-HNC(=O)NH-), 115.3, 117.9, 119.3, 121.1, 126.2, 128.8, 134.9 (CHarom), 125.3, 141.4, 143.2 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 128.9 (C arom-S), 138.7 (C arom-S), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 139.1 (C arom-NH), 146.7(C arom-OH), 154.8 (CH3CH2-HNC(=O)NH-)
【0171】
<合成例16> 化合物16の合成
【0172】
【化25】
中間体3(1.00g 2.47mmol)とイソシアン酸フェニル(0.31g 2.60mmol)、DMF20mL中で、8時間100℃で加熱攪拌を行った。反応終了後、水を加え析出した結晶を濾過することで、黄色の固体を得た。このようにして得られた粗生成物をカラム精製、再結晶することで、薄黄色の固体化合物16を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr): FT-IR(KBr):2961cm-1:O-H伸縮振動 1659cm-1:C=O伸縮振動 1444, 1396cm-1:トリアゾール環伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.36 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 6.60 (m, 1H, -Ph-NHC(=O)NH-), 6.73 (m, 1H, -Ph-NHC(=O)NH-), 7.16(m, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.38 (m, 4H), 7.44 (m, 4H), 7.57 (s, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.02 (s, 1H), (insg.14arom. CH), 11.55 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.5, 117.9, 119.3, 121.1, 121.9, 128.8, 129.0, 129.7, 129.6, 134.7(CHarom), 125.0, 141.5, 143.2 (C arom), 128.3 (Carom-CH3), 125.4 (Ph-S-C arom), 127.2 (C arom-S-Ph), 139.1(C arom-C(CH3)3), 137.5(Ph-HN-C(=O)-NH-C arom), 138.4(C arom-HN-C(=O)-NH-Ph), 146.7(C arom-OH), 152.7 (-HN-C(=O)-NH-)
【0173】
化合物17は、東京化成工業(株)製の試薬を用いた。
【0174】
化合物18~21は特開平9-95658に記載の方法で得た。
【0175】
2.紫外吸収剤の光学特性
化合物1~17をクロロホルムで100μMに溶解して、10mm石英セルに収容し、紫外可視分光光度計(日本分光社製 V-550)を用いて吸収スペクトルを測定した(図1~4)。
【0176】
350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値は、各化合物の吸収ピークにおける長波長側の吸収スペクトルとベースライン(400~500nmの吸収スペクトルの傾きが0のライン)との交点をピークエンドとして(例:図1)、下記式により求めた(表1A、1B)。
|350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾き|=|(ピークエンドの吸光度-350~390nmの波長領域にある吸収ピークの吸光度)/(ピークエンドの吸収波長-350~390nmの波長領域にある吸収ピークの波長)|
【0177】
また、モル吸光係数は、350~390nmの波長領域の吸収ピーク(最大吸収波長:λmax)の吸光度を読み取り、下記式で求めた(表1A、1B)。
モル吸光係数:εmax(L/(mol・cm)=A:吸光度/[c:モル濃度(mol/L)×l:セルの光路長(cm)]
【0178】
化合物1~16のいずれも、一般的な長波長吸収タイプの紫外線吸収剤の化合物17と比較して、360~375nmに最大吸収波長の吸収ピークがあり、長波長領域の紫外線吸収能に優れ、吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値は、0.030以上であり、特に、化合物2,4,5,6,7,8,9,12,13,14,15,16の傾きは0.040以上、さらに、化合物4,5,6,14,15,16の傾きは0.042以上で、樹脂成形材料、樹脂部材に対する黄色抑制効果が高いことが示唆された。
モル吸光係数については、化合物1~16の化合物は、20000L/(mol・cm)以上であり、化合物17と比較して、少量で効率良く、長波長領域の紫外線を吸収し、黄色抑制効果が高いことを確認した。
【0179】
【表1A】
【0180】
【表1B】
3.紫外線吸収剤の昇華性評価A
化合物1~17を、それぞれ0.01g、18mm×18mmのスライドガラスに載せた。このスライドガラスを融点測定装置の上に設置し、スライドガラスの両脇にガラス管を、さらに、その上に18mm×18mmカバーガラス(上部カバーガラス)を置き、スライドガラスとカバーガラスの間に2~3mmの空間を確保し、これを昇華性評価の測定サンプルとした。
【0181】
この測定サンプルを、約10℃/minで、260℃まで昇温して、各温度で上部カバーガラスへの化合物の付着を観察し、次のように評価した。
○:昇華性なし(上部カバーガラスに結晶の析出なし)
×:昇華性あり(上部カバーガラスに結晶が析出)
【0182】
表2A、2Bに昇華性評価結果を示した。従来の紫外線吸収剤の化合物17は180℃において上部カバーガラスに結晶が付着した。付着した化合物をNMR測定した結果、化合物17と同様のチャートで構造に変化はなく、化合物17の昇華性を確認した。一方、化合物1~16は、260℃の高温条件でも、カバーガラスに結晶の付着は無く、昇華性が見られなかった。これらの結果より、実施例のチオエーテル基を含有する紫外線吸収剤は、樹脂の1、2次加工、さらにその後の熱加工において、昇華による装置内の汚染を抑制する効果、成形材料の光学特性の保持性が高いことが示唆された。
【0183】
【表2A】
【0184】
【表2B】
【0185】
4.紫外線吸収剤の昇華性評価B
化合物1~21をTG/DTAを用いて、空気中、室温から5℃/minで昇温を行い、210℃で30分間ホールドし、減量率(%)を測定することによって、紫外線吸収剤の耐昇華性を評価した。
【0186】
表3A、3Bに結果を示した。従来の紫外線吸収剤の化合物17及び化合物18~21は減量率が0.9%以上であったが、化合物1~16は、減量率が0.8%以下であった。特に、化合物1、2、3、6、9、12、14は、減少率が0.6%以下であり、耐昇華性に優れていた。これらの結果より、実施例のチオエーテル基を含有する紫外線吸収剤は、加熱時の減量率が少なく、優れた耐昇華性を有していることが認められた。
【0187】
【表3A】
【0188】
【表3B】
5.樹脂成形材料中における紫外線吸収剤の昇華性の評価
ポリスチレン樹脂(PS)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(アクリル)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)を溶融温度(PS:100℃、アクリル:160℃、PC:220℃、ABS:220℃、PET:260℃、COP:100℃)以上に加熱して各樹脂を溶融させた後、紫外線吸収剤が5%となるように混合し、樹脂成形材料1を得た。得られた樹脂成形材料をTG/DTAを用いて、樹脂成形材料の加熱中に含まれる紫外線吸収剤の残存率を測定し、昇華性を評価した。最初に、紫外線吸収剤を含有しない樹脂について、昇温10℃/min、保持時間1h、保持温度:表4記載(~260℃)で減量率は≦0.1%であることを確認した。次に、上記の樹脂成形材料1について、同様の条件で、各温度における紫外線吸収剤に伴う減量率を測定し、紫外線吸収剤の残存率を算出した(表4)。
【0189】
表4に示すように、比較例の紫外線吸収剤の化合物17の残存率と比較して、化合物1~8の方が、残存率が高く、樹脂成形材料中の紫外線吸収剤は昇華性が小さく、樹脂の加熱成形、加工時に、昇華による装置内の汚染を抑制する効果、樹脂成形材料の光学特性の保持性に優れることを確認した。また、化合物1~8を混合した樹脂成形材料1は、加熱前後とも、いずれも透明性を保持していた。
【0190】
さらにポリアセタール樹脂(PA)、ポリアミド樹脂(ポリアミド)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を溶融温度(PA:180℃、ポリアミド:260℃、PPS:260℃)以上に加熱して各樹脂を溶融させた後、上記と同様の条件で試験を行った結果、いずれの樹脂とも比較例の紫外線吸収剤の化合物17の残存率と比較して、化合物1、2の方が、2~10%以上残存率が高い結果となった。
【0191】
さらに、各樹脂において、上記の紫外線吸収剤を5%含有する樹脂成形材料1を溶融温度以上に加熱溶融し、紫外線吸収剤の濃度が1%となるように新たに樹脂を加えて混合し、樹脂成形材料2を得た。上記と同様に、樹脂成形材料2の紫外線吸収剤の残存率を測定し、昇華性を評価した(表4)。
【0192】
実施例の化合物1~8を含有する樹脂成形材料2のいずれも、比較例の樹脂成形材料2より、高い残存率となり、1,2次加工及びその後の熱加工(成形)時に、紫外線吸収剤の昇華性が低い樹脂成形材料であることを示し、設備の汚染を抑制し、光学特性の保持に優れた材料であった。また、得られた樹脂成形材料2は、加熱前後とも、いずれも透明性を保持していた。また、上記の各樹脂成形材料1,2の残存率(実施例49~56)は、総体的にPS、アクリル、COP>PC>ABS>PETの順であった。
【0193】
また、本発明の樹脂成形材料において、スチレン系樹脂(ポリスチレン:残存率99%以上)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリル樹脂:残存率99%以上)、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー:残存率99%以上)、ポリカーボネート系樹脂(ポリカーボネート:残存率85%以上)で昇華性がなく、スチレン系樹脂(ポリスチレン:残存率99%以上)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリル樹脂:残存率99%以上)、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー:残存率99%以上)でより昇華性がないことを確認した。
【0194】
さらにポリアセタール樹脂(PA)、ポリアミド樹脂(ポリアミド)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を溶融温度(PA:180℃、ポリアミド:260℃、PPS:260℃)以上に加熱して各樹脂を溶融させた後、上記と同様の条件で試験を行った結果、いずれの樹脂とも比較例の紫外線吸収剤の化合物17の残存率と比較して、化合物1、2の方が、残存率が高い結果となった。
【0195】
【表4】
実際に、樹脂加工試作機を使用して化合物1、17のそれぞれを樹脂と溶融混練し、樹脂成形材料を作製したところ、化合物17と比較して化合物1の昇華による機械の汚染が少なく、また、黄色抑制され、長波長吸収に優れた樹脂成形材料が得られ、チオエーテル含有基を有する2-フェニルベンゾトリアゾール誘導体を用いた樹脂成形材料の耐昇華性、光学特性による有効性を確認した。
【0196】
また、化合物1、上記で得られた化合物1を含むPETの樹脂成形材料1,2のそれぞれについて、クロロホルムに溶解し、吸収スペクトルを測定した(図5、実施例57)。化合物1のピークに対して樹脂成形材料中1,2の化合物1由来のピークに変化はなく、1次加工以降の熱加工において、本発明品の光学特性の保持性を確認した。
図1
図2
図3
図4
図5