(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】窒素酸化物還元用触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 35/50 20240101AFI20240213BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240213BHJP
B01J 23/63 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B01J35/02 A
B01D53/94 223
B01J23/63 A ZAB
B01J35/02 P
(21)【出願番号】P 2021506763
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2019074860
(87)【国際公開番号】W WO2020058265
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-05
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リュディガー・ホイアー
(72)【発明者】
【氏名】半沢 公也
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-119075(JP,A)
【文献】特開2012-152702(JP,A)
【文献】特表2014-509241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面aと第2の端面bとの間に延在する長さLの支持基材と、異なる組成の触媒活性材料ゾーンA、B、及びCと、を含む
、リーンバーン内燃機関の排気ガス中に含まれる窒素酸化物を還元するための触媒であって、
-材料ゾーンAは、白金又は白金及びパラジウム、1つ以上のアルカリ土類化合物、並びに酸化セリウムを含有し、
-材料ゾーンBは、白金又は白金及びパラジウム、並びに酸化セリウムを含有し、
-材料ゾーンCは、白金又は白金及びパラジウム、並びに更にロジウム及び酸化セリウムを含有しており、
-材料ゾーンAが、端面bから開始して長さLの30~90%の長さにわたって延在し、
-材料ゾーンBが、端面aから開始して長さLの10%~70%の長さにわたって延在し、
-材料ゾーンCが、材料ゾーンAの上に配置され、端面bから開始して長さLの30~90%にわたって延在
し、
前記排気ガスは前記第1の端面aから前記第2の端面bへと導かれる、触媒。
【請求項2】
前記触媒が、材料ゾーンB及びCの上に前記長さL全体の少なくとも50%にわたって延在し、白金又は白金及びパラジウムをPt/Pd>5/1の比で含有する材料ゾーンDを有することを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
材料ゾーンAが白金
及びパラジウムを含有し、
白金とパラジウムとの重量比がPt/Pd>5/1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
材料ゾーンBが白金を含有し、パラジウムを含有しないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
材料ゾーンCが白金及びロジウムを含有し、パラジウムを含有しないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
材料ゾーンDが白金を含有し、パラジウムを含有しないことを特徴とする、請求項
2に記載の触媒。
【請求項7】
材料ゾーンAが酸化セリウム及びアルカリ土類化合物として酸化バリウムを含有し、酸化マグネシウムを含有しないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
リーンバーン機関で運転する自動車の排気ガス中のNO
xを変換するための方法であって、前記排気ガスを、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒上へ導くことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーンバーン内燃機関の排気ガス中に含まれる窒素酸化物を還元するための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル機関などのリーンバーン内燃機関で運転される自動車の排気ガスは、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)に加えて、シリンダーの燃焼室内における燃料の不完全燃焼に起因する成分も含有する。通常は主にガス形態で存在する残留炭化水素(HC)に加えて、これらは「ディーゼルすす」又は「すす粒子」とも称される粒子排出物を含む。これらは、主に炭素質粒子状物質及び付着性液相からの複合アグロメレートであり、通常は主に長鎖炭化水素凝集物からなる。固体成分に付着する液相は「可溶性有機成分SOF」又は「揮発性有機成分VOF」とも呼ばれる。
【0003】
このような排気ガスを浄化するためには、特定の成分を、できる限り完全に無害な化合物へと変換しなければならず、これは、好適な触媒を使用することによってのみ実現可能である。
【0004】
窒素酸化物を取り除くためには、「リーンNOxトラップ」又はLNTという用語が一般的な、いわゆる窒素酸化物吸蔵触媒が既知である。これらの触媒の浄化作用は、機関のリーン運転段階において窒素酸化物が吸蔵触媒の吸蔵材料によって硝酸塩の形態で吸蔵され、この硝酸塩が後続の機関のリッチ運転段階において再び分解され、それにより放出された窒素酸化物が、吸蔵触媒中の排気ガス還元成分によって窒素、二酸化炭素、及び水に還元されることで変換されるという事実に基づく。この運転原理は、例えばSAE文書SAE950809に記載されている。
【0005】
吸蔵材料としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルカリ金属、希土類金属の酸化物、炭酸塩、若しくは水酸化物、又はそれらの混合物が特に考慮される。これらの化合物は、そのアルカリ性という特性の結果として、排気ガスの酸性窒素酸化物と共に硝酸塩を形成し、そうすることで窒素酸化物を吸蔵することができる。吸蔵材料は、排気ガスとの大きな相互作用表面をもたらすために、好適な担体物質上に、可能な限り最も高度に分散した形態で堆積される。通例では、窒素酸化物吸蔵触媒は、触媒活性成分として、白金、パラジウム、及び/又はロジウムなどの貴金属も含有する。これらの触媒の課題は、一方ではリーン条件下において、NOをNO2に酸化し、またCO及びHCをCO2へと酸化し、他方では窒素酸化物吸蔵触媒が再生されるリッチ運転段階中、放出されるNO2を窒素へと還元することである。
【0006】
酸素の存在下で、排気ガスから窒素酸化物を除去するための別の方法は、好適な触媒上でのアンモニアによる選択的接触還元(SCR(selective catalytic reduction)法)である。この方法では、排気ガスから除去されるべき窒素酸化物が、アンモニアを使用して窒素及び水に変換される。還元剤として使用されるアンモニアは、アンモニア前駆体化合物、例えば尿素、カルバミン酸アンモニウム、又はギ酸アンモニウムを排気システム中に送給し、その後の加水分解によって利用可能にすることができる。
【0007】
例えば、特定の金属交換ゼオライトをSCR触媒として使用することができ、利用分野によって、特に、鉄交換されたβゼオライト及び銅交換された小孔ゼオライト(例えば、斜方沸石)が使用される。また、いわゆる複合酸化物触媒もSCR触媒として使用される。これらは特に、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び任意選択で更なる酸化物含有化合物であり、一般的に酸化物担体として二酸化チタンを含む。
【0008】
Euro 6d及び将来の排気ガス基準を満たすためには、広い温度範囲にわたり高いCO及びNOx変換率を示す排気システムを使用しなければならない。このようなシステムは、窒素酸化物吸蔵触媒とSCR触媒との組み合わせであってもよく、特に、窒素酸化物吸蔵触媒は厳しい要件を満たす必要がある。したがって、特に排気温度が200℃を超えない都市走行では、効率的なNOx貯蔵及び変換が大きな課題となる。また窒素酸化物吸蔵触媒は、SCR触媒による効果的なNOx変換のために、十分なNO2を供給する必要がある。
【0009】
例えば、窒素酸化物吸蔵触媒は、触媒の異なる構成要素又は機能が空間的に分離されることで望ましくない相互作用が回避されると、最良の活性を示すことが既に示されている。
したがって、国際公開第2011/154913号は、触媒基材上に重ね合わされた3つの層からなる触媒を開示しており、最下層は窒素酸化物吸蔵材料を含有し、中間層は窒素酸化物を反応させるための材料を含有し、上層は炭化水素吸蔵材料を含有する。
国際公開第2017/191099号は、3つの材料ゾーンが支持体上に特定の様式で配置されている触媒を記載している。
少なくとも2層からなる更なる窒素酸化物吸蔵触媒は、欧州特許出願公開第0885650(A2)号、国際公開第2009/158453(A1)号、同第2012/029050(A1)号、同第2014/108362(A1)号、同第2017/134065(A1)号、及び同第2017/144426(A1)号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特に低温でのNOx吸蔵及び低温での効率的な脱硫が確実な、より発展した窒素酸化物吸蔵触媒が将来的に必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の端面aと第2の端面bとの間に延在する長さLの支持基材と、異なる組成の触媒活性材料ゾーンA、B、及びCと、を含む窒素酸化物吸蔵触媒に関し、
-材料ゾーンAは、白金又は白金及びパラジウム、1つ以上のアルカリ土類化合物、並びに酸化セリウムを含有する。白金又は白金及びパラジウムの量は、例えば、触媒体積に基づいて20~50g/ft3(0.71~1.77g/l)であり、酸化セリウム含有量は20~70g/lである。アルカリ土類酸化物含有量は、例えば、触媒体積に基づいて10~20g/lである。
-材料ゾーンBは、白金又は白金及びパラジウム、並びに酸化セリウムを含有する。貴金属量は、例えば、触媒体積に基づいて20~50g/ft3(0.71~1.77g/l)であり、酸化セリウム含有量は60~120g/lである。
-材料ゾーンCは、白金又は白金及びパラジウム、並びに更にロジウム及び酸化セリウムを含有する。貴金属量は、例えば、触媒体積に基づいて20~60g/ft3(0.71~1.12g/l)であり、酸化セリウム含有量は60~120g/lである。
-材料ゾーンAは、端面bから開始して長さLの30~90%、好ましくは50~80%の長さにわたって延在し、
-材料ゾーンBは、端面aから開始して長さLの10%~70%、好ましくは20~50%の長さにわたって延在し、
-材料ゾーンCは、材料ゾーンAの上に配置され、長さLの30~90%、好ましくは50~80%にわたって延在する。
【0012】
本発明による窒素酸化物吸蔵触媒の一実施形態は、材料ゾーンB及びC上に材料ゾーンDを含み、白金又は白金及びパラジウムを、Pt/Pd>5/1の比で、好ましくはPt/Pd>10/1で含有する。白金又は白金及びパラジウムの量は、例えば、触媒体積に基づいて、10~40g/ft3(0.35~1.41g/l)である。材料ゾーンDは、好ましくは、触媒の全長にわたって延在する。
本発明の一実施形態では、材料ゾーンAは白金を含有し、パラジウムを含有しない。しかしながら、白金及びパラジウムを含有する場合、重量比はPt/Pd>2/1、好ましくはPt/Pd>5/1である。
【0013】
本発明の一実施形態では、材料ゾーンBは白金を含有し、パラジウムを含有しない。しかしながら、白金及びパラジウムを含有する場合、重量比はPt/Pd>2/1、好ましくはPt/Pd>5/1である。
【0014】
本発明の一実施形態では、材料ゾーンCは白金及びロジウムを含有し、パラジウムを含有しない。
【0015】
本発明の一実施形態では、材料ゾーンDは白金を含有し、パラジウムを含有しない。
【0016】
材料ゾーンA中のアルカリ土類化合物としては、特に、マグネシウム、ストロンチウム、及び/又はバリウムの酸化物、炭酸塩、及び/又は水酸化物、特に酸化マグネシウム及び酸化バリウムが好適である。
全ての材料ゾーンにおいて、貴金属白金又は白金及びパラジウムは、通常、好適な担体材料上に存在する。したがって、特に、30~250m2/g、好ましくは100~200m2/gのBET表面積(DIN66132に従って決定)を有する酸化物、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタンだけでなく、アルミニウム/シリコン複合酸化物及びセリウム/ジルコニウム複合酸化物などの複合酸化物も使用される。
本発明の実施形態では、酸化アルミニウムは、白金又は白金及びパラジウムの貴金属の担体材料として使用され、特に、このような酸化アルミニウムは、1~6重量%、特に、4重量%の酸化ランタンによって安定化される。
使用される酸化セリウムは、市販の品質、すなわち90~100重量%の酸化セリウム含有量を有してもよい。好ましいのは、1150℃で6時間の焼成後であっても、少なくとも10m2/gの表面積を有する酸化セリウムである。これらの表面特性を有する酸化セリウムは既知であり、例えば、欧州特許第1 527 018(B1)号に記載されている。
【0017】
触媒活性材料ゾーンA、B、C及びDを、支持体に通例の浸漬コーティング法又はポンプ及び吸引コーティング(pump and suction coating)法に従って、所望の長さで塗布し、その後熱による後処理(焼成及び可能であればフォーミングガス又は水素を使用する還元)を行う。これらの方法は、従来技術から十分に知られている。
必要なコーティング懸濁液は、当業者に既知の方法に従って得ることができる。このようにして、個々の材料ゾーンの成分は、対応する量の水でスラリー化され、好適なミル、特にボールミル中で、d50=3~5μmの粒径に粉砕される。
本発明による窒素酸化物吸蔵触媒は、ディーゼル機関などのリーンバーン機関で運転する自動車の排気ガス中のNOxの変換にとって著しく好適である。これらの触媒は、高温においてNOxの変換率に悪影響を及ぼすことなく、およそ200~450℃の温度において良好なNOx変換率を達成する。したがって、本発明による窒素酸化物吸蔵触媒は、Euro 6の用途にとって好適である。
したがって、本発明はまた、ディーゼル機関などのリーンバーン機関で運転する自動車の排気ガス中のNOxを変換する方法にも関し、この方法は、排気ガスを、本発明の端面aから端面bへの窒素酸化物吸蔵触媒上へ導くことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】放出された硫黄の量を温度の関数として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、以下の実施例及び図面においてより詳細に説明する。
比較例1-比較触媒RK1
【0020】
比較触媒を生成するために、まず11.17g/lのPtを、水性懸濁液中の白金塩溶液から20g/lの酸化アルミニウムに吸着させる。続いて、50g/lの酸化セリウム、0.12g/lのPdを硝酸Pdとして、及び2.5g/lの酸化マグネシウムを酢酸マグネシウムとして懸濁液に添加する。加えて、10重量%のCeO2及び17重量%のBaOでコーティングされた125g/lのアルミン酸マグネシウムを懸濁液に添加する。このウォッシュコート懸濁液199g/lを材料ゾーンAとして支持体に塗布する。次いで、触媒を乾燥させ、550℃で2時間焼き戻しする。
材料ゾーンCを生成するために、まず1.17g/lのPtを、水溶液中で20g/lの酸化アルミニウムに吸着させる。次いで、90g/lの酸化セリウム並びに0.12g/lのPd及び0.18g/lのRhを、硝酸塩として懸濁液に添加する。この懸濁液112g/lを材料ゾーンCとして、既に存在する材料ゾーンAに塗布し、触媒を乾燥させ、550℃で2時間焼き戻しする。
比較例2-比較触媒RK2
【0021】
この触媒を製造するために、材料ゾーンDを触媒RK1に加える。材料ゾーンDは酸化アルミニウム担体粉末上に白金及びパラジウムを含有し、材料ゾーンAの上に配置され、長さL全体にわたって延在する。
【0022】
実施例1-本発明による触媒K1
本発明による触媒K1を調製するために、材料ゾーンA用のウォッシュコートが、端面bから開始して基材の長さの2/3にわたってのみ塗布される。
ウォッシュコートCは、ウォッシュコートC1及びC2に分けられており、ウォッシュコートC1は材料ゾーンC用のウォッシュコートに対応している。ウォッシュコートC2は、ロジウムを含有しないという点でのみウォッシュコートC1と異なる。
次いで、ウォッシュコートC2が、端面aから開始して基材の長さの1/3にわたって塗布され、材料ゾーンBを形成する、その後、端面bから開始するウォッシュコートC1によるコーティングを、支持体の長さの2/3にわたって実施し、材料ゾーンCを形成する。
【0023】
実施例2-本発明による触媒K2
この触媒を製造するために、材料ゾーンDが触媒K1に加えられる。材料ゾーンDは酸化アルミニウム担体粉末上に白金及びパラジウムを含有し、材料ゾーンB及びCの上に配置され、長さL全体にわたって延在する。
【0024】
触媒活性を試験するために、サンプルをまず、酸素10%、水10%、及び窒素80%の雰囲気にて、800℃での熱前処理に16時間曝露する。
触媒を試験する前に、触媒をまず、酸素8%、水10%、及び二酸化炭素10%、及び残りは窒素からなるリーン排気条件下で、650℃に加熱する。触媒を、そこでまず、窒素中2%のCOからなるリッチ排気ガス10秒、及び窒素中1%のO2からなるリーン排気ガス10秒の各10サイクルで、100秒間コンディショニングする。窒素中で350℃まで冷却した後、前述したように、リッチ排気ガス20秒及びリーン排気ガス20秒で各3サイクル、触媒を再度コンディショニングする。その後、NOx吸蔵能力を試験する温度まで窒素中で冷却する。
【0025】
そして、表1に示すようなNOx濃度c(NOxin)を有するガス混合物を触媒に通し、触媒下流のガス流路中のNOx濃度c(NOxout)をFTIRによって測定する。
NOxトラップ速度を、以下の式に従って計算する。
NOxトラップ速度[%]=100x(c(NOxin)-c(NOxout))/c(NOxout)
【0026】
【0027】
図1は、触媒の上流側の温度を測定し、150℃(上段グラフ)、250℃(中段グラフ)、及び350℃(下段グラフ)の触媒の運転温度について、既に吸蔵されているNOx量の関数としてのNOxトラップ速度を示す。K1は白い正方形、K2は白い菱形、RK1は黒い正方形及びRK2は黒い菱形で示されている。
【0028】
見て分かるように、本発明による触媒は、同一のNOx負荷でより高いNOxトラップ速度Rを有し、以下のようになる。
RK2>RK1>RK2>RK1
【0029】
同じ触媒に、SO2をガス流に添加することによって、触媒体積1リットル当たり1gの硫黄を担持させる。この目的のために、触媒サンプルを350℃に加熱し、窒素中にSO2 100pm、O2 10%、H2O 10%及びCO2 10%のガス混合物を、対応する硫黄の量に達するまで適用する。次いで、表2に示すガス雰囲気下で触媒を10K/分の加熱速度で加熱し、リッチ排気ガスを15秒間、リーン排気ガスを5秒間交互に適用し、放出されたH2S及びSO2を質量分析計で測定する。
【0030】
【0031】
図2は、放出された硫黄の量を温度の関数として示す。各触媒がどの曲線へ割り当てられているかは、
図1のものに対応する。
【0032】
同じ温度での放出硫黄の量m
sは、脱硫性の尺度であり、600℃では
図2より以下の結果が得られる。
m
K1>m
K2>m
RK1>m
RK2
【0033】
したがって、本発明による触媒は、比較触媒よりも脱硫性が良好で、より高いNOxトラップ速度を有することが示されている。