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特許7434290とりわけ灌漑用だがそれに限るわけではない伸張可能な可撓性ホースおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】とりわけ灌漑用だがそれに限るわけではない伸張可能な可撓性ホースおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/10 20060101AFI20240213BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20240213BHJP
   B32B 5/04 20060101ALI20240213BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20240213BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20240213BHJP
   A01G 25/02 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
F16L11/10 A
B32B1/08 B
B32B5/04
B32B27/02
B32B27/12
A01G25/02 601B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021512451
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 IB2019058219
(87)【国際公開番号】W WO2020065601
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】102018000009028
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521083577
【氏名又は名称】エムティーピー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グビトーサ,マウリツィオ
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-346253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0045342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/10
B32B 1/08
B32B 5/04
B32B 27/02
B32B 27/12
A01G 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
休止直径(D1)を有する休止状態から始まって放射膨張状態になるように、長手方向軸(X)に沿って伸張されることに適合された弾性高分子材料からなる内側管(1)と、
前記内側管(1)に対して緩く、かつ前記長手方向軸(X)に対して同軸になるように、前記内側管(1)の外側に配置されている伸張可能パターンの管状の織物の外側層(2)であって、さらに外側の層がないホースの外側表面を画定するように適合されている、前記外側層(2)と、
前記内側管(1)と前記外側層(2)とを第1および第2共通端で相互に一体的にするために、前記内側管(1)および前記外側層(2)における前記第1共通端および前記第2共通端にそれぞれ配置され、前記内側管を流体の送給源および流体送達ノズルに流体的に接続する各々のコネクタ部材と、を備え、
前記ホースは、前記休止状態に対して長手方向に伸張した状態の前記内側管(1)の周りに直に沿うように織物糸を編組することによって前記外側層(2)が得られ、管状の前記外側層(2)が、前記休止状態の前記内側管(1)の前記休止直径に対応し、かつ前記長手方向軸(X)の方向における該外側層の織物のパターンの軸方向における最大圧縮により得られる最大直径を有し、前記外側層(2)の織物の材料が、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、パラ系アラミドの繊維の材料、またはそれらの組み合わせの中から選択された、非弾性糸またはほとんど弾性ではない糸であることを特徴とする、
加圧流体を輸送するための伸張可能な可撓性ホース。
【請求項2】
前記内側管(1)の伸張状態は、前記内側管が前記休止状態よりも3~4倍長い状態である、
請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記内側管(1)は、6mm~10mmの内径および8mm~14mmの外径を有する、
請求項1または2に記載のホース。
【請求項4】
前記弾性高分子材料は、20~70ShAの硬度を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のホース。
【請求項5】
前記弾性高分子材料は、天然ゴムもしくは合成ゴム、TPE、TPE-S、TPE-SEBS、TPE-O、PP/SEBS、PP/EPDM、シリコンの材料、またはそれらの組み合わせの中から選択される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のホース。
【請求項6】
前記糸は、1100dtexの線密度および60~100のねじり力を有するポリプロピレンからなる、
請求項5に記載のホース。
【請求項7】
前記糸は、減摩物質で裏打ちされている、
請求項5または6に記載のホース。
【請求項8】
内側管(1)が休止直径(D1)を有する休止状態から始まって放射膨張状態になるように、長手方向軸(X)に沿って伸張するように適合された弾性高分子材料からなる内側管(1)を送給するステップと、
側層(2)が、前記内側管(1)に対して緩く配置され、かつ前記長手方向軸(X)の方向における織物のパターンの軸方向における最大圧縮により得られる最大直径が前記休止状態の前記内側管(1)の前記休止直径(D1)に対応するように、伸張状態の前記内側管(1)の周りに管状の外側層(2)を伸張可能パターンで編組するステップと、
前記外側層(2)の織物の材料が、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、パラ系アラミド繊維の材料、またはそれらの組み合わせの中から選択された、非弾性糸またはほとんど弾性のない糸であり、前記休止状態を回復させるステップと、
外側層(2)および内側管(1)の組立体を切断することによって所望の長さの切片を得るステップと、
前記内側管と前記外側層とを第1および第2共通端で相互に一体的にするように、前記切片の前記第1共通端および前記第2共通端に前記内側管を流体の送給源および流体送達ノズルに流体的に接続するためのコネクタ部材をそれぞれ適用するステップと、を含む、
加圧流体を輸送するための伸張可能な可撓性ホースを製造するための方法。
【請求項9】
前記内側管(1)の伸張状態は、前記内側管が前記休止状態よりも3~4倍長い状態である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記外側層(2)は、垂直軸(X’)を有する回転編組機で編組され、前記内側管(1)が、その長手方向軸(X)が機械の前記垂直軸(X’)と一致する状態で送給される、
請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
編組角は、15°~20°である、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ灌漑のために使用することが意図されるがそれに限るわけではない伸張可能な可撓性ホースの分野に関し、より具体的には、このようなホースのための新しい構成および関連の生産プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性ホースは、圧力下の流体、主に灌漑用水などの液体の通過用で知られ、その構成は、その中に液体の圧力を受けるとホース自体のかなりの(および自動的な)伸展を確実にし、次にこの圧力が止むと、すなわち管が空になると、元のサイズまたは休止サイズに再処理するといったものである。このように、使用していないときのホースの取り扱いは、全体的な寸法の縮小により極めて簡単でより好都合である。
【0003】
このような性能を果たすことができる、既知のホースの中で、互いに概念上異なる、異なる技術的ソリューションを見出すことができ、主要なものは、以下の通りである。
-波形構造で、それにより蛇腹のような様式で伸張可能であるホースを提供するソリューション、
-一般的にプラスチックからなるワイヤがホースの胴体(高分子弾性材料の)に沿って螺旋状パターンで走り、流体圧に応じて延伸し、ホースの伸展を引き起こす一方、圧力が止むと短縮状態に戻る、螺旋状ホース、
-織物材料の層が単一構造体を形成するように高分子弾性材料の2つの層間に挟み込まれているホースであって、織物材料が上述の螺旋状ワイヤの延伸と同様なホース延伸の制御を発揮するように、弾性的に伸張可能である、ホース。概ね編み、織り、または結びによって得られる上述の織物層が、2つの高分子層間の挟み込みで共押し出しされ、溶接される、この種のホース構造は、特許文献EP3323468に開示されている。
-高分子弾性材料からなる内側管が、内側管よりもかなり長く、それにより休止状態ではしわの寄った管状織物層内に緩く挿入されているだけであるが、内側管(流体圧を受ける)の放射状膨張に応じて、さらなる放射状膨張を防止し、それによって内側管を伸びやかに延伸させる剛性障壁を形成するまで伸張する、複合ホース。
【0004】
特に生産コストの低減を伴ってこの目立った伸展能力が得られることから、非常に関心を引くこの後者のタイプのソリューションに焦点を当てるが、それでもなお、いくつかの顕著な利点を挙げることができる。
【0005】
そもそも、延伸機構は、初めに膨張し、外側層からの止め作用に出くわすようになる段階で、内側管と外側層との間の摩損作用を判定するといったものである。このような摩損が、ホースの継続的な使用により繰り返すのにつれて、ホースの急速な劣化が続き、同じホースが早期破損に至る。さらにより顕著であるのは、端に位置付けられ、使用には欠かせない接続具の弱さである。述べたように、内側管は、圧力下の液体が通るとその直径が大きくなり、織物層からの封じ込め障壁に出くわし、内側管は、それ以上膨張することができなくなり、それにより、内側管を長くさせる押し付けが長手方向に生じるようにする。ただし、液体の通過の最初の段階で、また管の中の液体の流れの中断および再開の後続のいずれの時点でも、管は、端接合点で激しく影響を与えるすべてのその延伸で突然の膨張を受け、高い損傷のリスクをもたらす。この点で、実際には、材料は、劣化して裂け目が生じるようになるまで、結合の強固さを損なう可能性がある特定のストレスを受け、この障害リスクは、使用可能性および所望の性能を維持する可能性の明らかな制限を伴う。
【0006】
さらに、ホース休止状態における外側層のしわの寄った開始状態は、この状態だけではなく伸展段階中でも、その経路またはその使用環境にある突起にホースが引っ掛かる可能性をもたらす。しわはまた、ホースがより簡単に汚れ、きれいにするのがより難しくなる欠点をもたらし、当然この欠点は、ホースの外壁を形成する材料の粘着性により、非織物外装を有する他のタイプの既知の伸張可能なホースによっても提示される。
【0007】
さらに、一般的に、通過ダクトの直径が、稼働状態で、休止状態の直径よりも多かれ少なかれ2倍であるように、上述の伸張可能なホースが構造化されることを考慮する必要がある。外側管状層との複合ホースでは、その延伸システムにより、外側層の直径(すでに述べた通り、事実上膨張可能ではない)は、内側管の稼働径に明らかに対応し、それにより、休止状態でも極めて大きい。そのため、ホースは、稼働状態でも休止状態でさえも、かなり扱いにくい。
【0008】
比較的安価であるが(生産技術の視点からはそれほど精巧ではないため)、管状外側層への内側管の手作業挿入による組立プロセスには、複雑さおよび生産時間の長期化(ならびに経費)が依然として伴うことを見落としてはならない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、その延伸能力の面で特殊な性能を有すると同時に、同様の既知のホースに対して耐久性および確実性を確実に向上させる、とりわけ散水流体用だがそれに限るわけではない、可撓性の伸張可能なホースを提供することよって当該欠点を克服することである。
【0010】
本発明の特定の目的は、休止状態ならびに稼働状態で、最小限のスペースで足りる上述のタイプの可撓性の伸張可能なホースを提供することである。
【0011】
本発明の別の特定の目的は、使用される環境において外部要素に引っ掛かりにくい、上述のタイプの可撓性の伸張可能なホースを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる特定の目的は、環境から汚れを集め、かつ/または吸着する傾向が低減され、いずれの場合でも容易に首尾よく洗浄可能である、上記のタイプの可撓性の伸張可能なホースを提供することである。
【0013】
本発明のなおさらなる目的は、単段生産プロセスにより、およびそれにより生産時間ならびに生産コストを縮小して製造され得る、上述のタイプの可撓性の伸張可能なホースを提供することである。
【0014】
本発明によれば、これらの目的は、本発明による可撓性の伸張可能なホースおよびその製造プロセスによって成し遂げられ、その不可欠な特徴が本明細書に添付の請求項1~9によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明による可撓性の伸張可能なホースおよびその製造プロセスのさらなる特徴および利点は、以下の添付図面を参照して、例示であり、限定する目的ではない、以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
図1】その1つにハンドスプリンクラが装着されているその関連のエンドコネクタを備える、本発明によるホースの斜視図である。
図2】休止状態における、その構成を示すように切断された、本発明によるホース片の斜視図である。
図3】キャリパ工具がその直径を示す、休止状態におけるホース切片の側面図であり、図3aは、同じ図3の拡大詳細図である。
図4】キャリパ工具がその直径を示す、延伸状態または稼働状態のホース切片の側面図であり、図4aは、同じ図4の拡大詳細図である。
図5】編組機における本発明によるホースの製造プロセスのステップを斜視図で表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上の図を参照すると、本発明によるホースは、押し出しによって得られた、1つ以上の層に、弾性高分子材料、通常、どのような場合も好ましくは20~70Sh Aの硬度を備える、天然ゴムもしくは合成ゴム、またはTPE、TPE-S、TPE-SEBS、TPE-O、PP/SEBS、PP/EPDM、シリコンの材料など、好適な性質を有する他の同様の材料、から成る内側管1を備える。内側管1は、以下でより詳しく説明するように、内側管1のすぐ周りに、軸方向に伸張可能なパターンを生み出すように、また結果として、休止状態の内側管1に事実上接触するが粘着しないように適合された、編組プロセスにより作られる、織物材料から成る管状外側層2によって緩く被覆されている。
【0017】
外側層2を編組するのに使用される織物繊維が、ポリプロピレンから成るのが好ましい(非限定的な例として、1100dtexの線密度および60~100のねじれ力を有する)。好適な糸は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、パラ系アラミド繊維、および傾向として弾性がないか、そうでなければ弾性が無視できる程度である、他の繊維とすることもできる。糸が、例えば、ポリウレタン、または同様の性質を有し、かつこの目的に好的な他の材料などのコーティング物質により、その摩損性を低減し、それによりその劣化を遅くするように、予防浴を受けるのが有利であり得る。
【0018】
とりわけ図5を参照して、ホースを製造する際のプロセスにさらに詳しく入っていくと、内側管には様々な寸法があり得るが、例えば、管には内径として6mm~10mm(通常約8mm)、外径として8mm~14mm(通常約11mm)の寸法があり得る。このような管は、その中心軸または長手方向軸Xに沿って、織物外側層の具体化をもたらす、例えば24個の紡錘で、管状コードを作るのに既知の型の閉編組機Mに送給される。述べたように、ここで考えられる場面と全く異なる場面で採用されるとしても(例えば、結束ロープの生産の場面)、それ自体既知の機械であると仮定すると、完全な図も詳細な描写も必要なく、実際には、閉編組機のいくつかの部品が図5に表されている。好適な機械は、例えば、市場で入手可能な数ある中でも、イタリアの会社ETK s.r.l.(www.etkstl.it)の120 Stitchモデルなどの垂直回転編組機とすることができる。
【0019】
送給運動では、内側管のX軸は、編組機の稼働/送給軸X’、すなわち、紡錘(およびそれにより、糸を編組領域に向かって斜めに送給する回転糸巻きR)が上がる平面に直角の軸、に沿って配置されている(垂直に)。
【0020】
本発明の態様によれば、内側管1は、量的に小さくすることもできるが、有利には、大抵、休止時では3~4倍の長さ、好ましくは約3.7倍の長さである、伸展を引き起こすように、編組領域を含む少なくとも切片では伸張配置(常に軸Xに沿って斜めに)に、好適な伸張デバイスを通してさらに保たれる。この伸張は、約5~6mmの外径の薄化に対応するが(上記に示した基本寸法の観点から)、通常、開始直径に応じて、場合によっては3mm~10mmでバラツキがある。また、所望の伸張程度に応じて異なる個数パラメータ、構成パラメータ、および作動パラメータで分散された具体的にはローラシステムを含む伸張デバイスが、言うまでもなく、すでに編組機に使用されている技術に従って考案または配置され得る。
【0021】
内側管1に粘着せず、完全に緩んだままであり、およびさらなる層がないホースの外側表面をそれ自体画定するようになる、外側管状構造体2の形態の織物層は、それにより、このように薄化された内側管の周りに構築されている。このように、休止時の内側管の外径D1とほぼ同じ最大直径(最大圧縮の、または「閉」糸パターンで、すなわち中心軸Xに直交する平面にできる限り近い繊維で得られる直径)を帯びるように適合されている外側管状層2が作られている。このために、本発明の有利な態様によれば、編組角αが約15°~20°に設定されている(すなわち、交絡点に送給されると糸が座る円錐表面の半開き角度)。均一な角度変化を促し、同時に編組領域の高さを制御し、ホースを集めるためのデバイスに対する機械的干渉を避けるのに役立つ、それが一定距離離れたままであることを確実にすることによって、異なる角度に、どのような場合も20°よりも大きな角度に糸巻きから来るワイヤの束をその内径で留める、機械軸X’に同軸に配置された環によって、例えば図5に示される実施形態に従って、この仕組みが得られる。
【0022】
このようにして作り出された管状外側層は、休止状態の直径D1を超える内側管の放射状膨張を防止することができ、それにより、そのパターン(X軸に直交する平面に対してより角度が付いた糸)の拡張および開きで、その伸展を促進し、助ける。この態様は、以下でより詳しく考察し、ホースの稼働挙動を説明する。製造プロセスに戻ると、編組機からの出口で内側管1がもはや伸張せず、弾性的に後退し、休止状態の長さおよび直径を再び帯びる。同様に、薄化された内側管上のその形成時に、より開き、同時に内側管の外側に対して一定の自由空間または隙間を残している外側層2のパターンは、一定の長手方向の後退および放射状膨張により、それ自体コンパクトであり、その最大放射状膨張度における外側層自体は、滑らかで均質の見かけの内側管の外側を覆う被覆の特性を呈する(図2)。
【0023】
内側管1および外側層2の組立によってこの時点で表される半製品が、ホース切片10を形成するのに所望の長さに切断され、管1と層2とを相互に一体的にするコネクタ部材3、4がその端(図1参照)に設けられ(ホースの自動延伸を確実にするのに必要な条件)、加圧水の供給への、および分注ハンドピースEへの油圧接続を可能にする。2.5~4BARの液圧を受けると、休止時の元の長さの約2倍に自動的に延伸することができる実際のホースが得られる。
【0024】
とりわけ関連の拡大図3aおよび図4aとともに図3および図4を参照すると、休止状態では(図3および図3a)、ホースの外径が、述べたように、休止時の内側管1の直径D1と一致している(この場合、外側層の追加の厚みによる、11mmの内側管の外径にも関わらず約13mmm)ことが分かり、さらに、閉パターンで糸がX軸に対してほとんど直交するように向けられている、外側層2の比較的滑らかでコンパクトな構造に気付くことができる。図4および図4aは、代わりに、パターン(この場合、X軸に直交する平面に対してより角度が付けられた繊維/糸)の一定の開きにより、その直径を縮小する、この延伸をもたらした外側層で、ホースが延伸した稼働状態を示す。したがって、これは、本発明の対象のさらなる態様である、長手方向に延伸した使用状態であり、わずかな引き力でオペレータによってもたらされた場合、ホースは、自分の元の長さの3倍になるまで、なお延伸する。それでも使用中、ホースは、内部の油圧がその働きを止めた場合、空にする時間の休止時、その元の長さにまで自動的に起こる自然な縮み傾向をいずれも示さない。
【0025】
上記から、導入部で述べた外側織物層が緩く配置されている、既知のホースに関する本発明の顕著な利点に気が付くことができる。
【0026】
第一に、内側管と外側層との間の動的な相互作用は、外側層が休止状態と使用状態との間で、急激にかつ巨視的には長くならないことから、目立った摩損現象を引き起こさず、当然、内側管の長手方向延伸を伴い、助けるようになる、といったものである。これは結果として、破損のリスクを低くし、持続時間をより長くする。第二に、平らですでに休止状態にある外側層のコンパクト構成(放射方向および軸方向の両方)により、もつれ現象またはねじれ現象が回避され、ホースが特に汚れた環境、例えば泥だらけの環境で使用される場合、簡単で事実上の洗浄性を好む場合、汚れが溜ることを防止する。
【0027】
その構造によりまた、圧力下の液体が通る内側管では、直径が大きくなる傾向にあるが、外側織物層によって生じる抵抗に即座に出くわし、それによりすぐに、休止の直径とほとんど等しく直径を維持しながら、長くなり始め(本発明の特権であり、既知の伸張可能な管に対して目立った違いを示す)、管は、休止中および使用中の両方で嵩が縮小され、それにより、より都合よく使用することができ、収納がより容易になる。
【0028】
これにより、本発明の伸張可能なホースの製造は、ホース製造ラインを、織物外側層を具体化する機械と組み合わせる、単段生産プロセスで行われる。これにより、結果として経済的で生産がスピードアップし、ホース構築作業のほとんどを自動化することを可能にし、製品の経費とその技術上および質的特性の確かな安定性とに明らかな利点をもたらす。
【0029】
本発明によるホースは、一般的に、非変形であり、捩れやすくないか、または結び目を形成しやすくない。内部の液体の通過が常に保証されている。液体が流れるとき、隘路または邪魔な折り目も作り出されることはない。高圧に対する耐性は、内側管を覆う織物パターンにより発揮される強い封じ込めにより高い(灌漑部門で通常採用されるホースの規格と比較して)。使用される材料およびそれらが組み合わされる方法により、ホースは、依然として非常に軽く、それにより、特定の物理的な強度を伴わずに、ユーザでも容易に取り扱うことができる。
【0030】
EP3333488に示されるホースおよび製造技法と比較して、本発明は、完全に異なる性質の生産技法を適合し、本発明の場合、実際には、高分子管の共押出に対する、および繊維層が不可逆的に挟み込まれ、その1つがホースの外側層を表す、2つの高分子層間に組み込まれて目に見えない一体構造体を具体化するための織物層の同時具体化に対する複雑さおよび高価な機械ラインがない。外側層が高分子層であるという正にその事実が、具体的には一定の使用後、結果として触るのが不快になる、この既知のホースの急速な劣化または少なくとも汚れやすさを引き起こす。また、伸展の面で、このタイプの既知のホースは、どのような場合も、本発明によるホースの性能を確実にすることができない。
【0031】
構築段階で選択される、具体的には編組ステップで内側管に課される伸張程度を含む、作業パラメータに応じて、ホースの性能は、明らかに異なり、特定の稼働要件に応じて好適に最適化され得る。この点では、送給ステップにおける内側管1のわずかな伸張でも、述べた高延伸性能には達しないが、なお適度に伸張可能であり、常に少なくとも部分的にではあるが、いずれにせよかなり、上述の生産および作業上の利点をもたらすホースを得る可能性が依然としてあることに留意されたい。本発明によるホースがとりわけ好適である用途を依然として表す灌漑に加えて、ホースは、一般的に、液体だけではなく、さらにより一般的には圧縮空気などの流体の通過/分配に対するどのような同様の要件にも有益に使用され得る。
【0032】
これまでその好ましい実施形態に関連して本発明を述べてきた。この点では、上述のサイズおよび材料が例示的な示度を表し、本発明がそれらに限定されるものではないことが明らかであり、一般的に、添付の特許請求の範囲によって示される保護の範囲内にある、同じ発明の概念を指す他の実施形態があり得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図3a
図4
図4a
図5