(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】試薬状態を表示するための装置及び方法並びに組織処理装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G01N35/00 A
G01N35/00 C
G01N35/00 E
(21)【出願番号】P 2021516691
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2019079937
(87)【国際公開番号】W WO2020089441
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】201811300958.7
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(72)【発明者】
【氏名】チャン、バオ
(72)【発明者】
【氏名】シェ、リンジュン
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096916(JP,A)
【文献】特開2013-140022(JP,A)
【文献】国際公開第2015/005356(WO,A1)
【文献】特開2003-028769(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051672(WO,A1)
【文献】米国特許第05389339(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示する装置であって、
試薬状態を検出するよう構成された検出器、
試薬状態に基づいて制御信号を生成するよう構成された制御器、及び、
制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成するよう構成された表示器
を含む
こと、
表示器は複数の表示モジュールを含み、該複数の表示モジュールは、組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にあること、
複数の表示モジュールは、夫々対応する複数の試薬容器のバックライトモジュールの役を果たすこと
を特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の装置において、
複数の表示モジュールは夫々少なくとも1つの信号ランプを含み、該少なくとも1つの信号ランプは制御信号に基づいて所定の光を放出するよう構成されていること
を特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の装置において、
前記所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅周波数で点滅する光の1つを含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の装置において、
試薬状態が閾値範囲内にある場合、制御器は第1制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第1制御信号に基づいて前記第1の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されていること;
試薬状態が予警告閾値範囲内にある場合、制御器は第2制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第2制御信号に基づいて前記第2の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されていること;及び、
試薬状態が警告閾値範囲内にある場合、制御器は第3制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第3制御信号に基づいて前記所定の点滅周波数で点滅する光を放出するよう構成されていること
を特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1~
4の何れかに記載の装置において、
表示器は複数のブザーを含み、該複数のブザーは組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にあり、該複数のブザーは制御信号に基づいて予設定周波数を有する音響信号を放出するよう構成されていること
を特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1~
5の何れかに記載の装置において、
検出器は、更に、試薬容器が組織処理装置に配置されているか否か検出するよう構成されていること;
制御器は、更に、試薬容器が組織処理装置に配置されていないことを検出した場合、ターンオフ信号を生成するよう構成されていること;
表示器は、更に、該ターンオフ信号に基づいて試薬状態を表示するための信号をオフにするよう構成されていること
を特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1~
6の何れかに記載の装置において、
試薬状態を表示するための信号を同期的に表示するよう構成されたタッチ式制御スクリーンを更に含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項8】
組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示する方法であって、
試薬状態を検出すること、
試薬状態に基づいて制御信号を生成すること
、
制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成すること、
及び、
組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にある複数の表示モジュールによって夫々対応する複数の試薬容器のバックライトを生成すること
を含む、方法。
【請求項9】
請求項
8に記載の方法において、
制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成することは、
制御信号に基づいて所定の光を放出すること
を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法において、
前記所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅周波数で点滅する光の1つを含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の方法において、
制御信号に基づいて所定の光を放出することは、
試薬状態が閾値範囲内にある場合、前記第1の所定のカラーを有する光を放出すること;
試薬状態が予警告閾値範囲内にある場合、前記第2の所定のカラーを有する光を放出すること;及び、
試薬状態が警告閾値範囲内にある場合、前記所定の点滅周波数で点滅する光を放出すること
を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項
8~
11の何れかに記載の方法において、
制御信号に基づいて試薬状態を表示する信号を生成することは、
制御信号に基づいて予設定周波数を有する音響信号を放出すること
を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項
8~
12の何れかに記載の方法において、
試薬容器が組織処理装置に配置されているか否か検出すること;
試薬容器が組織処理装置に配置されていないことを検出した場合、ターンオフ信号を生成すること;
該ターンオフ信号に基づいて試薬状態を表示するための信号をオフにすること
を更に含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項1~
7の何れかに記載の装置を含む、組織処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織処理装置の技術分野に関し、より詳細には、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための装置、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための方法、及び、組織処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組織処理装置は、試料(複数)を(当該装置の)処理室(処理レトルト:processing retort)内の一連の試薬に自動的に暴露することにより試料を処理(例えば固定、脱水、洗浄、包埋等)するための装置である。しかしながら、試薬(複数)は試料を処理する工程中に消費される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、関連技術の問題の少なくとも1つを少なくともある程度解決することを目的とする。
【0005】
従って、本開示の第1の目的は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための装置を提供することである。該装置は、オペレータが試薬を適時にかつ正確に交換し、試薬交換エラーを回避できるよう、オペレータに試薬状態を直観的に表示することが望ましい。
【0006】
本開示の第2の目的は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための方法を提供することである。
【0007】
本開示の第3の目的は、組織処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点により、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示する装置が提供される。
該装置は、
試薬状態を検出するよう構成された検出器、
試薬状態に基づいて制御信号を生成するよう構成された制御器、及び、
制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成するよう構成された表示器
を含むこと、
表示器は複数の表示モジュールを含み、該複数の表示モジュールは、組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にあること、
複数の表示モジュールは、夫々対応する複数の試薬容器のバックライトモジュールの役を果たすこと
を特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示する方法が提供される。
該方法は、
試薬状態を検出すること、
試薬状態に基づいて制御信号を生成すること、
制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成すること、及び、
組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にある複数の表示モジュールによって夫々対応する複数の試薬容器のバックライトを生成すること
を含むこと、
を特徴とする(形態8)。
本発明の第3の視点により、上記の何れかの装置を含む組織処理装置が提供される(形態14)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の装置において、
複数の表示モジュールは夫々少なくとも1つの信号ランプを含み、該少なくとも1つの信号ランプは制御信号に基づいて所定の光を放出するよう構成されていることが好ましい。
(形態3)形態2の装置において、
前記所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅周波数で点滅する光の1つを含むことが好ましい。
(形態4)形態3の装置において、
試薬状態が閾値範囲内にある場合、制御器は第1制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第1制御信号に基づいて前記第1の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されていること;
試薬状態が予警告閾値範囲内にある場合、制御器は第2制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第2制御信号に基づいて前記第2の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されていること;及び、
試薬状態が警告閾値範囲内にある場合、制御器は第3制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第3制御信号に基づいて前記所定の点滅周波数で点滅する光を放出するよう構成されていることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの装置において、
表示器は複数のブザーを含み、該複数のブザーは組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にあり、該複数のブザーは制御信号に基づいて予設定周波数を有する音響信号を放出するよう構成されていることが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかの装置において、
検出器は、更に、試薬容器が組織処理装置に配置されているか否か検出するよう構成されていること;
制御器は、更に、試薬容器が組織処理装置に配置されていないことを検出した場合、ターンオフ信号を生成するよう構成されていること;
表示器は、更に、該ターンオフ信号に基づいて試薬状態を表示するための信号をオフにするよう構成されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかの装置において、
試薬状態を表示するための信号を同期的に表示するよう構成されたタッチ式制御スクリーンを更に含むことが好ましい。
(形態8)上記本発明の第2の視点参照。
(形態9)形態8の方法において、
制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成することは、
制御信号に基づいて所定の光を放出すること
を含むことが好ましい。
(形態10)形態9の方法において、
前記所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅周波数で点滅する光の1つを含むことが好ましい。
(形態11)形態10の方法において、
制御信号に基づいて所定の光を放出することは、
試薬状態が閾値範囲内にある場合、前記第1の所定のカラーを有する光を放出すること;
試薬状態が予警告閾値範囲内にある場合、前記第2の所定のカラーを有する光を放出すること;及び、
試薬状態が警告閾値範囲内にある場合、前記所定の点滅周波数で点滅する光を放出すること
を含むことが好ましい。
(形態12)形態8~11の何れか方法において、
制御信号に基づいて試薬状態を表示する信号を生成することは、
制御信号に基づいて予設定周波数を有する音響信号を放出すること
を含むことが好ましい。
(形態13)形態8~12の何れかの方法において、
試薬容器が組織処理装置に配置されているか否か検出すること;
試薬容器が組織処理装置に配置されていないことを検出した場合、ターンオフ信号を生成すること;
該ターンオフ信号に基づいて試薬状態を表示するための信号をオフにすること
を更に含むことが好ましい。
(形態14)上記本発明の第3の視点参照。
【0010】
上記の目的を実現するために、本開示の実施形態は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示する装置を提供する。該装置は、検出器、制御器及び表示器を含む。検出器は、試薬状態を検出するよう構成されている。制御器は、試薬状態に基づいて制御信号を生成するよう構成されている。表示器は、制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成するよう構成されている。
【0011】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、表示器は複数の表示モジュールを含む。該複数の表示モジュールは、組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にある。
【0012】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、複数の表示モジュールは夫々少なくとも1つの信号ランプを含む。該少なくとも1つの信号ランプは制御信号に基づいて所定の光を放出するよう構成されている。
【0013】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、前記所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅(フラッシュ)周波数で点滅(フラッシュ)する光の1つを含む。
【0014】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、試薬状態が(所定の)閾値範囲内にある場合、制御器は第1制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第1制御信号に基づいて前記第1の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されており;試薬状態が予警告(forewarning)閾値範囲内にある場合、制御器は第2制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第2制御信号に基づいて前記第2の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されており;及び、試薬状態が警告(alarm)閾値範囲内にある場合、制御器は第3制御信号を生成するよう構成されており、かつ、少なくとも1つの信号ランプは該第3制御信号に基づいて前記所定の点滅周波数で点滅する光を放出するよう構成されている。
【0015】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、複数の表示モジュールは、夫々対応する複数の試薬容器のバックライトモジュールの役を果たす。
【0016】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、表示器は複数のブザーを含む。該複数のブザーは組織処理装置の複数の試薬容器と一対一の関係にある。該複数のブザーは制御信号に基づいて所定の(予設定)周波数を有する音響信号を放出するよう構成されている。
【0017】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、検出器は、更に、試薬容器が組織処理装置に配置されているか否か検出するよう構成されており;制御器は、更に、試薬容器が組織処理装置に配置されていないことを検出した場合、ターンオフ(turn-off)信号を生成するよう構成されており;表示器は、更に、該ターンオフ信号に基づいて試薬状態を表示するための信号をオフにするよう構成されている。
【0018】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、本装置は、試薬状態を表示するための信号を同期的に(synchronously)表示するよう構成されたタッチ式制御スクリーンを更に含む。
【0019】
上記の目的を達成するために、本開示の実施形態は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示する方法を提供する。該方法は、試薬状態を検出すること;試薬状態に基づいて制御信号を生成すること;及び、制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成すること、を含む。
【0020】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成することは、制御信号に基づいて所定の光を放出すること、を含む。
【0021】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、前記所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅(フラッシュ)周波数で点滅(フラッシュ)する光の1つを含む。
【0022】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、制御信号に基づいて所定の光を放出することは、試薬状態が(所定の)閾値範囲内にある場合、前記第1の所定のカラーを有する光を放出すること;試薬状態が予警告(forewarning)閾値範囲内にある場合、前記第2の所定のカラーを有する光を放出すること;及び、試薬状態が警告(alarm)閾値範囲内にある場合、前記所定の点滅周波数で点滅する光を放出すること、を含む。
【0023】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、制御信号に基づいて試薬状態を表示する信号を生成することは、制御信号に基づいて予設定(preset)周波数を有する音響信号を放出すること、を含む。
【0024】
本開示の少なくとも1つの一実施形態では、本方法は、試薬容器が組織処理装置に配置されているか否か検出すること;試薬容器が組織処理装置に配置されていないことを検出した場合、ターンオフ(turn-off)信号を生成すること;該ターンオフ信号に基づいて試薬状態を表示するための信号をオフにすること、を更に含む。
【0025】
最後に、本開示の実施形態は、上記の装置の何れかを含む、組織処理装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の一実施形態による組織処理装置の一例の正面図。
【
図2】本開示の一実施形態による組織処理装置における試薬容器内の試薬状態を表示するための装置の一例を説明するブロック図。
【
図3】本開示の他の一実施形態による組織処理装置における試薬容器内の試薬状態を表示するための装置の一例を説明するブロック図。
【
図4】本開示の一実施形態による組織処理装置の一例の背面図。
【
図5】本開示の更に他の一実施形態による組織処理装置における試薬容器内の試薬状態を表示するための装置の一例を説明するブロック図。
【
図6】本開示の他の一実施形態による組織処理装置の一例の正面図。
【
図7】本開示の更に他の更なる一実施形態による組織処理装置における試薬容器内の試薬状態を表示するための装置の一例を説明するブロック図。
【
図8】本開示の一実施形態による組織処理装置における試薬容器内の試薬状態を表示するための方法の一例を示すフローチャート。
【
図9】本開示の一実施形態による組織処理装置の一例を説明するブロック図。
【実施例】
【0027】
本開示の実施形態(複数)を詳細に説明する。本開示の実施形態(複数)は図面で説明されるが、図面においては、同じ又は類似の構成要素及び同じ又は類似の機能を有する構成要素は図面全体を通じて同様の図面参照符号で示される。図面に基づき本書で説明される実施形態(複数)は例示及び説明を目的としており、本開示を限定するものとは解すべきではない。
【0028】
図1は、本開示の一実施形態による組織処理装置の一例の模式図である。
図1に示されているように、組織処理装置1は、本体11、処理室(処理チャンバないし処理レトルト)12及び試薬管理装置13を含むことができる。試薬管理装置13は、複数の試薬容器131を収容することができる。複数の試薬容器131には、夫々異なる試薬、例えば100%エタノール、90%エタノール、80%エタノール、75%エタノール、キシレン、パラフィン等が充填される。少なくとも1つの分注(分取)バルブ及び複数の分注管(不図示)も組織処理装置1に設けられる。試薬容器131内の試薬は、対応する分注バルブ及び分注管を介して処理室12に流入する。試料は、固定、脱水、洗浄、包埋等のような処理を実現するために処理室12において一連の試薬に自動的に暴露されることができる。処理室12における一連の試薬は、対応する分注管を介して組織処理装置1から除去(排出)されること又は対応する分注管を介して順次試薬容器(複数)131に戻されることができる。
【0029】
組織処理装置1には他の装置(複数)、例えばカセットかご、保護装置等も設けることができる。組織処理装置1のこれらの装置は本開示の実施形態の理解に実質的な影響を及ぼさないので、これらについては本書では省略し、詳細には説明しない。
【0030】
試料が処理室12内の一連の試薬に自動的に暴露されると、処理室12に分注された試薬は消費される(消耗する)。例えば、脱水では、試料内の水分子は試薬の分子で置換される、例えば試料内の水分子はエタノール分子で置換されるが、それによって、試料内の水分子は試薬に流入することができ、かつ、試薬の分子は試料内に流入することができる。その結果、試薬の濃度は低下する。他の例では、試薬は試料に付着して、試薬の濃度の低下を引き起こし得る。試薬の濃度が或る閾値に低下すると、プロセス(処理)の結果(効果)に(悪)影響を及ぼす。従って、オペレータは試薬容器内の消耗ないし劣化した試薬を交換する必要がある。オペレータは、試薬を含む試薬容器131を試薬管理装置13から取り出し、試薬容器131内の消耗ないし劣化した試薬を廃棄し、試薬容器131を洗浄し、試薬容器131を新鮮な試薬で充填し、新鮮な試薬を含む試薬容器131を試薬管理装置13に戻す。
【0031】
試薬交換の上記のプロセスでは、容易に操作エラーが引き起こされる。例えば、オペレータは消耗ないし劣化した試薬の適時の(時間内の)交換に失敗したり、又は、オペレータは誤った試薬を試薬容器に入れたりする。オペレータが適時に試薬状態に気付くことができるようオペレータに直観的に表示するために、本開示の実施形態は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための装置を提供する。
【0032】
図2は、本開示の一実施形態による組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための装置の一例を説明するブロック図である。
図2に示されているように、装置10は、検出器101、制御器102及び表示器103を含む。検出器101は、試薬状態を検出するよう構成されている。制御器102は、試薬状態に基づいて制御信号を生成するよう構成されている。表示器103は、制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成するよう構成されている。
【0033】
本開示の一実施形態では、試薬状態は、正常状態、オペレータの注意を要する状態、又は消耗ないし劣化状態を含むことができる。検出器101は、異なる状態を、異なる論理コードのような異なるデジタル情報で表し、該デジタル情報を制御器102へ送信することができる。制御器102は、該デジタル情報を認識し、対応する制御信号を生成し、該制御信号を表示器103へ送信することができる。表示器103は、該制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号を生成することができる。
【0034】
本開示の該実施形態による装置によって、試薬状態を表示するために表示器によって生成された信号に基づいてオペレータに試薬状態を直観的に表示することができ、それによって、オペレータは試薬を適時かつ正確に交換することができ、試薬交換エラーを回避することができる。
【0035】
本開示の一実施形態では、検出器101は、濃度計を用いて試薬の濃度値を検出することができる。制御器102は、検出された濃度値に基づいて試薬状態を決定することができる。
【0036】
本開示の一実施形態では、検出器101は、更に、試薬が処理した第1の試料数を計算し、試薬が処理可能な第2の試料数を獲得し、第1の試料数及び第2の試料数に基づいて試薬状態を決定することができる。例えば、或る試薬について、この試薬が処理可能な試料数は3000であるとすれば、検出器101が0~1500の試料数を算出する場合、試薬状態は正常状態として決定されることができる;検出器101が1501~2500の試料数を算出する場合、試薬状態はオペレータの注意を要する状態として決定されることができる;検出器101が2501(以上)の試料数を算出する場合、試薬状態は消耗ないし劣化状態として決定されることができる。なお、上記の例は単に当業者に本開示の実施形態を理解可能にすることを意図したものに過ぎず、本開示の範囲の限定を意図したものではないことを理解すべきである。
【0037】
本開示の一実施形態では、制御器102は、組織処理装置1の中央制御器に設けられること、又は、組織処理装置1の適切な位置に、例えば本体11の内壁に独立して配置されることができる。
【0038】
本開示の一実施形態では、表示器103は、試薬容器131に対応して配置されることができる。
【0039】
検出器101、制御器102及び表示器103の配置は夫々の具現化(具体的構成)に関わる。
【0040】
本開示の一実施形態では、試薬状態を表示するための信号は視覚的(ビジュアル)信号とすることができる。例えば、
図3に示されているように、表示器103は、複数の表示モジュール1031を含む。各表示モジュール1031は少なくとも1つの信号ランプを含む。例えば、
図3の実施形態では、各表示モジュール1031は1つの信号ランプを含む。信号ランプは発光ダイオード(LED)とすることができる。なお、具現化のシナリオに応じて、各表示モジュール1031は、2つの信号ランプ、3つの信号ランプ等を含むことも可能であるが、本開示の実施形態によってこれらに限定されないことは、当業者であれば理解することができる。
【0041】
上記の実施形態によって、試薬状態は視覚的かつ直感的にオペレータに表示されることができ、そのため、オペレータは試薬を適時かつ正確に交換することができ、試薬交換エラーは回避される。
【0042】
複数の表示モジュール1031は、複数の試薬容器131と一対一の関係にある。本開示の一実施形態では、
図4に示されているように、1つの表示モジュール1031が1つの試薬容器131に対応している。複数の表示モジュール1031は、夫々対応する試薬容器131のバックライト(backlight)モジュールの役割を果たす(として機能する)。各表示モジュール1031の信号ランプは、対応する試薬容器131を照明するために制御信号に基づいて異なる光を放出することができる。
【0043】
本開示の一実施形態では、少なくとも1つの信号ランプは、制御信号に応じて所定の光を放出するよう構成されている。該所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光及び所定の点滅(フラッシュ)周波数で点滅(フラッシュ)する光の1つを含む。制御信号は、電流信号又は電圧信号とすることができる。信号ランプは、異なる電流信号又は異なる電圧信号に基づき異なるカラーを有する光を放出する。制御信号は、パルス電流信号又はパルス電圧信号とすることも可能である。信号ランプは、パルス電流信号又はパルス電圧信号に基づいて所定の点滅周波数で点滅する光を放出する。
【0044】
本開示の一実施形態では、制御器102は、試薬状態が(所定の)閾値範囲内にあるとき、第1制御信号を生成するよう構成されている。少なくとも1つの信号ランプは、第1制御信号に基づいて第1の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されている。例えば、エタノール濃度の低下の差異(度合い)が0.1%~1%の範囲内の場合、試薬状態は正常状態として決定されることができる。制御器102は、第1制御信号を生成する。少なくとも1つの信号ランプは、第1制御信号に基づいて緑色光又は青色光を放出する。
【0045】
本開示の一実施形態では、制御器102は、試薬状態が予警告(forewarning)閾値範囲内にあるとき、第2制御信号を生成するよう構成されている。少なくとも1つの信号ランプは、第2制御信号に基づいて第2の所定のカラーを有する光を放出するよう構成されている。例えば、エタノール濃度の低下の差異(度合い)が1%~5%の範囲内の場合、試薬状態はオペレータの注意を要する状態として決定されることができる。制御器102は、第2制御信号を生成する。少なくとも1つの信号ランプは、第2制御信号に基づいて橙色光又は赤色光を放出する。
【0046】
本開示の一実施形態では、制御器102は、試薬状態が警告(alarm)閾値範囲内にあるとき、第3制御信号を生成するよう構成されている。少なくとも1つの信号ランプは、第3制御信号に基づいて所定の点滅周波数で点滅する光を放出するよう構成されている。例えば、エタノール濃度の低下の差異(度合い)が5%超のとき、試薬状態は消耗又は劣化状態として決定されることができる。制御器102は、第3制御信号を生成する。少なくとも1つの信号ランプは、第3制御信号に基づいて所定の点滅周波数で点滅する光を放出する。
【0047】
なお、上記の数値例は専ら当業者に本開示の実施形態を理解可能にさせることを意図したものであり、本開示の範囲の限定を意図したものではないと、理解されるべきである。
【0048】
本開示の一実施形態では、
図5に示されているように、本装置10は、タッチ式制御スクリーン104を含むことも可能である。タッチ式制御スクリーン104は、試薬状態を表示するための信号を同期的に(synchronously)表示するよう構成されている。
図6に示されているように、タッチ式制御スクリーン104は、オペレータの便宜のために、処理室12の上方に設置されることができる。
図6に示されているように、表示器103によって生成された信号2は、タッチ式制御パネル(スクリーン)104に表示される信号2’として同期化される。なお、タッチ式制御スクリーン104は、ここでは詳細には説明しない組織処理装置1の他のオペレーション及び対応する状態等を表示することも可能であると、理解されるべきである。
【0049】
本開示の一実施形態では、試薬状態を表示するための信号は、可聴信号とすることができる。例えば、
図7に示されているように、表示器103は、複数のブザー1032を含む。複数のブザー1032は、複数の試薬容器131と一対一の関係にある。複数のブザー1032は、夫々対応する試薬容器131の前方に配置されている。各ブザー1032は、制御信号に基づいて予設定周波数を有する音響信号を放出するよう構成されている。
【0050】
上記の実施形態によって、試薬状態は、音響的かつ直感的にオペレータに表示されることができ、そのため、オペレータは、試薬を適時にかつ正確に交換することができ、試薬交換エラーは回避される。
【0051】
本開示の一実施形態では、制御器102は、試薬状態が(所定の)閾値範囲内にあるとき、第1制御信号を生成するよう構成されている。ブザー1032は、第1制御信号に基づいて第1予設定周波数を有する音響信号を放出するよう構成されている。例えば、エタノール濃度の低下の差異(度合い)が0.1%~1%の範囲内の場合、試薬状態は正常状態として決定されることができる。制御器102は、第1制御信号を生成する。ブザー1032は、第1制御信号に基づいて正常な「ドリップ(drip)」音を放出する。
【0052】
本開示の一実施形態では、制御器102は、試薬状態が予警告(forewarning)閾値範囲内にあるとき、第2制御信号を生成するよう構成されている。ブザー1032は、第2制御信号に基づいて第2予設定周波数を有する音響信号を放出するよう構成されている。第2予設定周波数は、第1予設定周波数よりも大きい。例えば、エタノール濃度の低下の差異(度合い)が1%[超]~5%の範囲内の場合、試薬状態はオペレータの注意を要する状態として決定されることができ、制御器102は、第2制御信号を生成する。ブザー1032は、第2制御信号に基づいて少々より高い周波数の「ドリップ(drip)」音を放出する。
【0053】
本開示の一実施形態では、制御器102は、試薬状態が警告(alarm)閾値範囲内にあるとき、第3制御信号を生成するよう構成されている。ブザー1032は、第3制御信号に基づいて第3予設定周波数を有する音響信号を放出するよう構成されている。第3予設定周波数は、第2予設定周波数よりも大きい。例えば、エタノール濃度の低下の差異(度合い)が5%超のとき、試薬状態は消耗ないし劣化状態として決定されることができる。制御器102は、第3制御信号を生成する。ブザー1032は、第3制御信号に基づいてより高い周波数の「ドリップ(drip)」音を放出する。
【0054】
上記の実施形態を具現化するために、本開示の実施形態は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための方法を提供する。
【0055】
図8は、本開示の一実施形態による組織処理装置における試薬容器内の試薬状態を表示するための方法の一例を示すフローチャートである。
図8に示されているように、本方法は、以下のオペレーションを含む。
【0056】
ブロック801において、試薬状態が検出される。
【0057】
ブロック802において、試薬状態に基づいて制御信号が生成される。
【0058】
ブロック803において、制御信号に基づいて試薬状態を表示するための信号が生成される。
【0059】
本開示の実施形態による方法によって、試薬状態を表示するための信号に基づいてオペレータに試薬状態を直観的に表示することができ、そのため、オペレータは、試薬を適時にかつ正確に交換することができ、試薬交換エラーを回避することができる。
【0060】
本開示の一実施形態では、試薬状態を表示するための信号は、制御信号に基づいて、以下のように、生成される。所定の光は、制御信号に基づいて放出される。
【0061】
本開示の一実施形態では、所定の光は、第1の所定のカラーを有する光、第2の所定のカラーを有する光、及び所定の点滅(フラッシュ)周波数で点滅(フラッシュ)する光の1つを含む。
【0062】
本開示の一実施形態では、所定の光は、制御信号に基づいて、以下のように、放出される。試薬状態が(所定の)閾値範囲内にあるときは、第1の所定のカラーを有する光が放出される。試薬状態が予警告(forewarning)閾値範囲内にあるときは、第2の所定のカラーを有する光が放出される。試薬状態が警告(alarm)閾値範囲内にあるときは、所定の点滅周波数で点滅する光が放出される。
【0063】
本開示の一実施形態では、試薬状態を表示するための信号は、制御信号に基づいて、以下のように、生成される。制御信号に基づいて、予設定周波数を有する音響信号が放出される。
【0064】
本開示の一実施形態では、本方法は、更に、以下のオペレーションを含む。試薬容器が組織処理装置に配置されているか否かが検出される。試薬容器が組織処理装置に配置されていないことが検出された場合、ターンオフ(turn-off)信号が生成される。試薬状態を表示するための信号がターンオフ信号に基づいてオフにされる。
【0065】
上記の方法の特定の具現化については、本装置の上記の実施形態を参照することができるが、これについてはここでは詳細には説明しない。
【0066】
更に、
図9に示されているように、本開示の実施形態は、組織処理装置の試薬容器内の試薬状態を表示するための上記の装置10を含む組織処理装置も提供する。
【0067】
本開示の実施形態による組織処理装置によって、試薬状態を表示するための表示器により生成された信号に基づいてオペレータに試薬状態を直観的に表示することができ、そのため、オペレータは試薬を適時にかつ正確に交換することができ、試薬交換エラーを回避することができる。
【0068】
本開示の説明において、「第1」及び「第2」のような用語は本書においては説明の目的のために使用されているのであって、相対的な重要性ないし有意性を明示ないし示唆することは意図されていないと、理解されるべきである。従って、「第1」及び「第2」によって特定される特徴は当該特徴を1つ以上含み得る。本開示の説明において、「複数の」は、別段の明示がない限り、2つ又は3つ以上を意味する。
【0069】
本考案(ないし本発明)において、別段の明示ないし限定がない限り、用語「取り付けられる」、「結合される」、「連結される」、「固定される」等は広義に使用されるものとし、例えば、固定的な結合、分離可能な結合又は一体的な結合であり得る;更に、機械的又は電気的結合であり得る;更に、直接的結合又は介在的構造を介した間接的結合であり得る;更に、2つの構成要素の内的連絡であり得る。これらは特定の状況に応じて当業者によって理解可能なものである。
【0070】
本開示では、別段の明示ないし限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上(on)」又は「下(under)」にあるとは、第1の特徴と第2の特徴の関係が直接的又は媒介物を介した間接的な取り付け、結合、連結であり得ることを意味する。更に、第1の特徴が第2の特徴の「上(on)」、「上側(above)」、「上方(over)」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上にあること又は第2の特徴の斜め上方にあることを意味するものとし、或いは、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴の水平高さより高いことを意味するものとする。第1の特徴が第2の特徴の「下側(below)」又は「下方(under)」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真下にあること又は第2の特徴の斜め下方にあることを意味するものとし、或いは、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴の水平高さより低いことを意味するものとする。
【0071】
本明細書全体おいて「或る実施形態」、「幾つかの実施形態」、「1つの実施形態」、「他の(実施)例」、「或る(実施)例」、「1つの特定の(実施)例」又は「幾つかの(実施)例」に言及する場合、これは、該実施形態又は(実施)例に関連して説明される特定の特徴、構造、材料又は特性が本考案(ないし本発明)の少なくとも1つの実施形態又は(実施)例に含まれることを意味するものとする。従って、本明細書全体の様々な部位に現れる(記載されている)「幾つかの実施形態では」、「1つの実施形態では」、「或る実施形態では」、「他の実施形態では」、「1つの(実施)例では」、「1つの特定の(実施)例では」又は「幾つかの(実施)例では」のような用語は、必ずしも本考案(ないし本発明)の同じ実施形態又は(実施)例を意味しないものとする。更に、特定の特徴、構造、材料又は特性は、1つ以上の実施形態又は(実施)例において任意の好適な態様で組み合わせされることができる。
【0072】
例示的実施形態(複数)を示しかつ説明したが、上記の実施形態は本考案(ないし本発明)を限定するものと解し得ないこと、及び、本考案[本発明]の要旨、原理及び範囲から逸脱することなく実施形態において種々の変更、置換及び修正をなし得ることは、当業者であれば分かるであろう。