(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】インスリンペプチドおよびEGF(A)ペプチドを含む二官能性化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 14/62 20060101AFI20240213BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240213BHJP
C07K 14/485 20060101ALI20240213BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240213BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240213BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20240213BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20240213BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20240213BHJP
【FI】
C07K14/62
C07K19/00 ZNA
C07K14/485
A61P3/10
A61P3/06
A61K38/28
A61K38/18
A61K47/55
(21)【出願番号】P 2021518432
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2019076889
(87)【国際公開番号】W WO2020070276
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ヴェルナー・ボルクセニウス・ミュンツェル
(72)【発明者】
【氏名】スサンネ・ホストロプ
(72)【発明者】
【氏名】グロ・クリットガード・ポールセン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ボーグラム・ケルスン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア・ウルリク・ヒョリンハード
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・マセン
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/117401(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/121850(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/022006(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00- 15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリンペプチド、EGF(A)ペプチド、スペーサー、および置換基を含む融合タンパク質であって、
i.前記インスリンペプチドが、ヒトインスリン(配列番号2および3)もしくは
1~5個の変異を有するヒトインスリンの類似体であり、
ii.前記EGF(A)ペプチドが
、LDL-
RのEGF(A)ドメインの類似体であ
って、前記EGF(A)ドメインが、LDL-Rの293~332位のアミノ酸(配列番号1)からなり、前記類似体が、1~5個の変異を有し、
iii.前記スペーサーが、(GAQP)nもしくは(GQAP)n(ここで、n=
2~
10)のセグメントを含み、前記インスリン類似体B鎖のN末端を、前記EGF(A)類似体のC末端と接続するペプチドリンカーであり、
iv.前記置換基が、式(I):Acy-AA2
m-AA3
p-を有し、式中、
Acyは
、16
~20個の炭素原子を含む脂肪二酸であり、
AA2は、酸性アミノ酸残基であり、式中、mは、1~10の範囲の整数であり、
AA3は、中性のアルキレングリコール含有アミノ酸残基であり、pは、1~10の範囲の整数であり
、
前記AA2残基およびAA3残基は、任意の順序で現れてもよい、融合タンパク質、またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステル。
【請求項2】
前記EGF(A)類似体が、301Lを含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記EGF(A)類似体が、309R
、[309R,312E]
、または[309R、312E、321E]をさらに含む、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記EGF(A)類似体配列が、301L、309R、312Eおよび321Eである、請求項1~3のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記インスリン類似体が、desB30を含む、請求項1~
4のいずれかに記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記置換基が、前記
融合タンパク質内の前記インスリン配列中のLys/Kアミノ酸残基を介して結合される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記置換基が、前記
融合タンパク質の前記インスリン配列中のLys/Kアミノ酸残基B29Kを介して結合される、請求項
6に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記Acyが、1,16-ヘキサデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、および1,20-エイコサン二酸から選択される脂肪二酸基
である、請求項
7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記融合タンパク質が、実施例1~24の化合
物:
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.1)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]10-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.2)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.3)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.4)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-OEG)、desB30)(Chem.5)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.6)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.7)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQAP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.8)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]3-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.9)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]3-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.10)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]4-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.11)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]4-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.12)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.13)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.14)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-OEG)、desB30)(Chem.15)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30(Chem.16)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]8-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.17)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]12-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.18)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.19)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.20)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.21)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.22)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(A14E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.23)
●EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B3E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)(Chem.24)
からなる群から選択される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む薬剤。
【請求項11】
糖尿病および糖尿病に関連する脂質異常症の治療で使用するための、請求項
10に記載の薬剤。
【請求項12】
糖尿病の治療を必要とする患者における糖尿病の治療のための医薬組成物であって、請求項1~
9のいずれか一項に記載の治療有効量の融合タンパク質を、薬学的に許容される担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項13】
糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、および糖尿病性脂質異常症の治療または予防のための薬剤の製造のための、請求項1~
9のいずれか一項に記載の融合タンパク質の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン類似体またはその誘導体、およびEGF(A)類似体を含む新規の二官能性融合ペプチド、ならびにそれらの医薬用途に関する。さらに、本発明は、かかる二官能性融合ペプチドを含む医薬組成物、ならびに糖尿病に関連する医学的状態および糖尿病に関連する脂質異常症の治療または予防のためのかかる融合ペプチドの使用に関する。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子形式の配列表と共に提出される。配列表の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、グルコースを利用する能力が部分的または完全に失われる代謝障害である。世界人口の5%超が糖尿病を抱えており、さらに数百万人がこの疾患を発症するリスクがある。糖尿病の治療のためのインスリン療法は数十年間使用されており、毎日数回のインスリン注射の投与を伴う。かかる療法は通常、1日1回または2回、長時間作用性基礎注射、および食事時の速効型インスリン(すなわち、食事時インスリン)の注射の投与を伴う。2型糖尿病患者は、高血糖症に加えて、多くの場合、現在のインスリン療法が有する有益な効果が限定的でしかない、代謝機能障害、例えば、脂質異常症、肥満、および循環器合併症などを患う。LDL-c(低密度リポタンパク質コレステロール)上昇、低HDL、およびトリグリセリドの上昇を特徴とする糖尿病性脂質異常症は、心血管疾患(CVD)の確立された原動力である。
【0004】
スタチンは、脂質異常症の治療に数十年間使用されており、その投与は、許容される安全性プロファイルを有する心血管事象の実質的かつ一貫した低減を示す。スタチンおよびその他の高脂血症治療薬の有効性および幅広い使用にもかかわらず、多くの患者では、その標的LDL-Cレベルに達せず、CVDの発症については高リスクのままである。
【0005】
PCSK9(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/Kexinタイプ9)は、肝臓のLDL-R(LDL受容体)分解を促進し、それによって肝臓のLDL-Rの表面発現を減少させ、その結果としてLDL粒子のクリアランスを減少させる。逆に、PCSK9を遮断すると、LDL-Cのクリアランス、ならびに中間密度リポタンパク質およびレムナント粒子などの他のアテローム性リポタンパク質のクリアランスが増加する。この追加のクリアランスは、LDL低減のみによってもたらされるものを超える治療効果を有し得る。
【0006】
LDL-RのEGF(A)(上皮細胞増殖因子様ドメインA)配列(40アミノ酸)(LDL-R-(293-332))は、PCSK9結合のための部位として周知である。単離された野生型EGF(A)ペプチドは、LDL-Rに対するPCSK9の結合を低いμM範囲におけるIC50で阻害することが示されてきた(Biochemical and Biophysical Research Communications 375(2008)69-73)。この不十分な結合親和性のため、EGF(A)ペプチドの実用的な医薬使用が妨げられる。
【0007】
WO2012/177741およびJ.Mol.Biol.(2012)422,685-696は、EGF(A)の類似体およびそのFc融合を開示するとされている。WO 2015/127273は、抗PCSK9とGLP-1の融合を開示するとされている。
【0008】
WO2017/121850は、脂肪酸置換基を有するEGF(A)類似体を開示するとされている。
【0009】
近年、2つの抗PCSK9抗体、アリロクマブ(Praluent(登録商標)、Sanofi-Aventis)およびエボロクマブ(Repatha(登録商標)、Amgen Europe BV)が、2週間毎の皮下注射によって投与される、高LDL-Cレベルの治療用に承認された。
【0010】
インスリン療法は、糖尿病患者における血糖値を調節するために確立されている。CVDのリスクが高い患者が、微小血管合併症(腎症、網膜症、ニューロパチーなど)を発症するリスクがあることも周知である。現在の療法では、糖尿病患者の約50%がなお、心血管疾患で死亡している。したがって、現在、血糖降下とLDLコレステロールの低減との効果を組み合わせることができる治療を提供することが強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】WO2012/177741
【文献】WO2017/121850
【文献】WO2017/032798
【文献】WO2009/115469
【文献】WO2009/022006
【非特許文献】
【0012】
【文献】J.Mol.Biol.(2012)422,685-696
【文献】Remington:The Science and Practice of Pharmacy
【文献】Glendorf T et al.(2008)Biochemistry 47 4743-4751
【文献】Volund A(1978)Biometrics 34 357-365
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
最も広い態様では、本発明は、インスリンをEGF(A)と組み合わせることに関する。
【0014】
別の態様では、本発明の化合物は、インスリンペプチドまたはその類似体、EGF(A)ペプチドまたはその類似体、スペーサー、および置換基を含む。
【0015】
別の態様では、本発明の化合物は、インスリンペプチドまたはその類似体、EGF(A)ペプチドまたはその類似体、スペーサー、および置換基を含む融合タンパク質である。
【0016】
別の態様では、本発明の融合タンパク質は、インスリンペプチド、EGF(A)ペプチド、スペーサー、および置換基を含み、
i.前述のインスリンペプチドが、ヒトインスリン(配列番号2および3)もしくはヒトインスリンの類似体であり、
ii.前述のEGF(A)ペプチドが、LDL-R(293-332)(配列番号1)のEGF(A)ドメインの類似体であり、
iii.前述のスペーサーが、(GAQP)nもしくは(GQAP)n(ここで、n=1~20)のセグメントを含み、インスリン類似体B鎖のN末端をEGF(A)類似体のC末端と接続するペプチドリンカーであり、
iv.前述の置換基が、式(I):Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、
Acyは、約16~約20個の炭素原子を含む脂肪二酸であり、
AA2は、酸性アミノ酸残基であり、式中、mは、1~10の範囲の整数であり、
AA3は、中性のアルキレングリコール含有アミノ酸残基であり、pは、1~10の範囲の整数であり、
AA2残基およびAA3残基の最大数は、10であり、
AA2残基およびAA3残基は、任意の順序で現れてもよいか、
またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステルを含む。
【0017】
インスリン投与を必要とする糖尿病患者は高CVDリスク群に入るため、インスリン化合物中にLDLc低下特性を含むことによって、糖尿病患者のための改善された療法を提供し、特にコレステロールを低下させ、脂質異常症を治療し、かつCVDリスクを低下させる。
【0018】
一態様では、本発明の二官能性融合タンパク質は、血糖値を低下させ、PCSK9に結合し、それによって肝臓における機能的LDL-Rの発現を増強する。
【0019】
一態様では、本発明は、インスリン受容体の活性化およびPCSK9への結合の両方が可能な、すなわち、血糖降下とLDLコレステロール低減との効果を組み合わることが可能な、新規の二官能性融合タンパク質を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明の二官能性融合ペプチドは、血糖値を低下させ、PCSK9に結合し、それによって肝臓における機能的LDL-Rの発現を増強する。
【0021】
別の態様では、本発明の融合ペプチドは、血糖値を低減する。
【0022】
別の態様では、本発明の融合ペプチドは、LDLコレステロールを低減する。
【0023】
別の態様では、本発明は、本発明による融合ペプチドを含む医薬組成物に関する。
【0024】
別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための本発明による融合ペプチドに関する。
【0025】
別の態様では、本発明は、糖尿病および糖尿病に関連する脂質異常症の治療で使用するための、本発明による融合ペプチドに関する。
【0026】
別の態様では、本発明は、本発明による融合ペプチドの医学的用途(複数可)に関する。
【0027】
本発明は、例示的な実施形態の開示から明らかになるさらなる問題も解決し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施例4、9、および14の化合物の血糖降下効果を示し、すべてオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖、および異なる長さのGQAP/GAQPスペーサーを有する。
【
図2】
図2は、本発明の実施例2、12、17、18、および19の化合物の血糖降下効果を示し、すべてオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖、および異なる長さのGQAP/GAQPスペーサーを有する。
【
図3】
図3は、異なる長さのGQAP/GAQPスペーサーを有する本発明の実施例4および17の化合物の血糖降下効果を、GQEPスペーサーを有する対照薬化合物1および2(すべてオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する)およびビヒクルの血糖降下効果と比較して示す。
【
図4】
図4は、異なる長さのGQAP/GAQPスペーサーを有する本発明の実施例3、11、および13の化合物の血糖降下効果を、GQEPスペーサーを有する対照薬化合物1および2(すべてオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する)およびビヒクルの血糖降下効果と比較して示す。
【
図5】
図5は、2xGQEPスペーサーを有する対照薬化合物1の血糖降下効果と比較した、2xGQAP/GAQPスペーサーを有する本発明の実施例4および8の化合物の血糖降下効果を示し、すべてオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する。
【
図6】
図6は、4xGQEPスペーサーを有する対照薬化合物4の血糖降下効果と比較した、4xGAQPスペーサーを有する本発明の実施例11および12の化合物の血糖降下効果を示し、すべてオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する。
【
図7】
図7は、2xGQEPスペーサーを有する対照薬化合物1の血糖降下効果と比較した、2xGAQPスペーサーを有する本発明の実施例3、4、および5の化合物の血糖降下効果を示し、すべての化合物がオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する。
【
図8】
図8は、6xGQEPスペーサーを有する対照薬化合物6の血糖降下効果と比較した、6xGAQPスペーサーを有する本発明の実施例13、14、および15の化合物の血糖降下効果を示し、すべてC18側鎖を有する。
【
図9】
図9は、2xまたは8xGQEPスペーサーを有する対照薬化合物5および7の血糖降下効果と比較した、2xGAQPスペーサーを有する本発明の実施例1の化合物の血糖降下効果を示し、すべてヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する。
【
図10】
図10は、6xGQEPスペーサーを有する対照薬化合物3の血糖降下効果と比較した、6xGAQPスペーサーを有する本発明の実施例16の化合物の血糖降下効果を示し、両方ともエイコサンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する。
【
図11】
図11は、「インスリンのみ」の対照薬化合物8の血糖降下効果と比較した、2xGAQPを有する本発明の実施例4の化合物の血糖降下効果を示し、両方ともオクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG側鎖を有する。
【
図12】
図12は、t=0分でi.v.投与された実施例3(0、3、10、30、および100nmol/kg)の化合物、続いて、t=15分でのビヒクルまたはhPCSK9のi.v.投与の用量反応を示す。糖尿病マウスへのビヒクルまたは実施例3の化合物の投与、続いて、ビヒクルまたはhPCSK9の投与の後の肝臓LDL-rタンパク質の発現。
【
図13】
図13は、t=0分でi.v.投与された実施例3(0、3、10、30、および100nmol/kg)の化合物、続いて、t=15分でのビヒクルまたはhPCSK9のi.v.投与の用量反応を示す。糖尿病マウスへのビヒクルまたは実施例3の化合物の投与後の血糖プロファイル。
【
図14】
図14は、糖尿病マウスへのt=0分でi.v.投与された実施例3および13(0および10nmol/kg)の化合物の投与、続いて、t=15分でのビヒクルまたはhPCSK9のi.v.投与を示す。糖尿病マウスへのビヒクル、実施例3および13の化合物、またはEGF(A)誘導体(対照薬化合物10)の投与、続いて、hPCSK9の投与の後の肝臓LDL-rタンパク質の発現。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、インスリン受容体を活性化し、PCSK9に結合する二官能性化合物に関する。
【0030】
一実施形態では、本発明は、インスリンペプチドおよびEGF(A)ペプチドを含む融合タンパク質に関する。
【0031】
一実施形態では、本発明は、インスリン類似体およびEGF(A)類似体を含む融合タンパク質に関し、前述のインスリン類似体は、ヒトインスリン(配列番号2および3)の類似体であり、前述のEGF(A)類似体は、LDL-R(293-332)(配列番号1)のEGF(A)ドメインの類似体である。
【0032】
別の実施形態では、EGF(A)ペプチドは、配列番号1のペプチドの類似体である。
【0033】
一実施形態では、インスリン類似体は、インスリン類似体B鎖のN末端アミノ酸残基を介して、EGF(A)ペプチド類似体のC末端アミノ酸と融合される。
【0034】
一実施形態では、本発明は、インスリンペプチド、EGF(A)ペプチド、スペーサー、および置換基を含む融合タンパク質であって、
i.前述のインスリンペプチドが、ヒトインスリン(配列番号2および3)もしくはヒトインスリンの類似体であり、
ii.前述のEGF(A)ペプチドが、LDL-R(293-332)(配列番号1)のEGF(A)ドメインの類似体であり、
iii.前述のスペーサーが、(GAQP)nもしくは(GQAP)n(ここで、n=1~20)のセグメントを含み、インスリン類似体B鎖のN末端をEGF(A)類似体のC末端と接続するペプチドリンカーであり、
iv.前述の置換基が、式(I):Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、
Acyは、約16~約20個の炭素原子を含む脂肪二酸であり、
AA2は、酸性アミノ酸残基であり、式中、mは、1~10の範囲の整数であり、
AA3は、中性のアルキレングリコール含有アミノ酸残基であり、pは、1~10の範囲の整数であり、
AA2残基およびAA3残基の最大数は、10であり、
AA2残基およびAA3残基は、任意の順序で現れてもよい、融合タンパク質、
またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステルに関する。
【0035】
一実施形態では、インスリン類似体は、インスリン類似体N末端B鎖のB1アミノ酸残基を介して、EGF(A)ペプチド類似体のC末端アミノ酸と融合される。
【0036】
一実施形態では、インスリン類似体は、スペーサーを介して、インスリン類似体B鎖のN末端アミノ酸残基を介して、EGF(A)ペプチド類似体のC末端アミノ酸と融合される。
【0037】
一実施形態では、インスリン類似体は、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~19)のセグメントを含むスペーサーを介して、インスリン類似体B鎖のN末端アミノ酸残基を介して、EGF(A)ペプチド類似体のC末端アミノ酸と融合される。
【0038】
インスリン投与を必要とする糖尿病患者は高CVDリスク群に入るため、インスリン融合ペプチド中にLDLc低下特性を含むことによって、糖尿病患者のための改善された療法を提供し、CVDリスクを低下させる。
【0039】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、血糖値を低減する。
【0040】
別の実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GQEP)nを含む対照薬融合ペプチドと比較して、優れた血糖低減を示す。
【0041】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、血糖降下とLDLコレステロールの低減との効果を組み合わせる。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、本発明による融合ペプチドを含む医薬組成物に関する。
【0043】
別の実施形態では、本発明は、本発明の融合ペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、薬剤として使用するための本発明による融合ペプチドに関する。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、糖尿病および糖尿病に関連する脂質異常症の治療で使用するための、本発明による融合ペプチドに関する。
【0046】
別の実施形態では、本発明は、本発明による融合ペプチドの医学的用途に関する。
【0047】
一般的な定義
「化合物」という用語は、分子実体を指すために本明細書で使用され、したがって、「化合物」は、各化合物または化合物の群に対して定義される最小要素以外の異なる構造要素を有してもよい。化合物が定義された構造および/または機能的要素を含む限り、化合物は、融合化合物/ペプチドまたはその誘導体であってもよいということになる。「化合物」という用語はまた、本明細書の薬学的に意義のある形態を含むことを意味し、すなわち、本発明は、本明細書に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステルに関する。
【0048】
「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、例えば、本発明の文脈で使用される場合、アミド(またはペプチド)結合によって相互接続された一連のアミノ酸を含む化合物を指す。特定の実施形態では、ペプチドは、ペプチド結合によって相互接続されたアミノ酸からなる。
【0049】
「類似体」という用語は一般に、配列が参照アミノ酸配列と比較したときに1つ以上のアミノ酸変化を有するペプチドを指す。ある特定の変化を「含む」類似体は、それらの参照配列と比較したときにさらなる変化を含み得る。特定の実施形態では、類似体は、特定の変化を「有する」または「含む」。他の特定の実施形態では、類似体は、変化「からなる」。「なる」または「なっている」という用語が類似体との関連で使用される場合、例えば、類似体が、特定のアミノ酸突然変異の群からなるか、またはなっている場合、特定のアミノ酸突然変異が、類似体における唯一のアミノ酸突然変異であることが理解されるべきである。対照的に、特定のアミノ酸突然変異の群を「含む」類似体は、さらなる突然変異を有し得る。本出願の文脈において、「類似体」という用語はまた、EGF(A)ヒトインスリン融合タンパク質の類似体も示す。
【0050】
「誘導体」という用語は一般に、化学修飾によって、特に1つ以上の置換基の共有結合によって、天然ペプチドまたはその類似体から調製され得る化合物を指す。誘導体は、アシル化類似体とも称され得る。
【0051】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質原性(または天然)アミノ酸(その中でも、20個の標準アミノ酸)、並びに非タンパク質原性(または非天然)アミノ酸を含む。タンパク質原性アミノ酸は、タンパク質に天然に組み込まれるものである。標準アミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸である。非タンパク質構成アミノ酸は、タンパク質中に見られないか、標準の細胞機構によって産生されないかのいずれかである(例えば、これらは翻訳後修飾を受けた可能性がある)。
【0052】
一般に、本明細書で使用されるアミノ酸残基(ペプチド/タンパク質配列)は、それらの完全名、それらの1文字コード、および/またはそれらの3文字コードによって識別され得る。これら3つの方法は、完全に同等であり、互換性がある。下文において、光学異性体が記載されていない本発明のペプチドの各アミノ酸は、(別段の指定がない限り)L異性体を意味すると理解されるべきである。アミノ酸は、アミノ基およびカルボン酸基、ならびに任意選択で、側鎖と呼ばれる場合が多い1つ以上の追加の基を含有する分子である。本明細書では、「アミノ酸残基」という用語は、形式上、ヒドロキシ基がカルボキシ基から除去されており、かつ/または形式上、水素原子がアミノ基から除去されている、アミノ酸である。
【0053】
「融合」および「融合された」という用語は、ペプチド結合によって、またはペプチドスペーサー(同様にペプチド結合によって接続される)によって接続される、2つの個々に定義されたペプチド/タンパク質配列を含む化合物に関連して使用される。
【0054】
インスリン
本明細書で使用される場合、「ヒトインスリン」という用語は、その構造および特性が周知のヒトインスリンホルモンを意味する。ヒトインスリンは、A鎖およびB鎖と称される2つのポリペプチド鎖を有する。A鎖は、21個のアミノ酸のペプチドであり、B鎖は、30個のアミノ酸のペプチドであり、2つの鎖は、ジスルフィド架橋によって接続され、第1の架橋は、A鎖の7位のシステインとB鎖の7位のシステインとの間であり、第2の架橋は、A鎖の20位のシステインとB鎖の19位のシステインとの間である。第3の架橋は、A鎖の6位のシステインとA鎖の11位のシステインとの間に存在する。
【0055】
ヒトインスリンA鎖は、以下の配列:GIVEQCCTSICSLYQLENYCN(配列番号2)を有する一方、B鎖は、以下の配列:FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号3)を有する。
【0056】
人体では、このホルモンは、プレペプチド-B-Arg Arg-C-Lys Arg-A(式中、Cは、31個のアミノ酸の接続ペプチドである)の立体配置にある、24個のアミノ酸のプレペプチドに続いて86個のアミノ酸を含むプロインスリンからなる一本鎖前駆体プロインスリン(プレプロインスリン)として合成される。Arg-ArgおよびLys-Argは、A鎖およびB鎖からの接続ペプチドの切断のための切断部位である。
【0057】
本発明による「インスリン」は、本明細書では、ヒトインスリンまたはブタもしくはウシインスリン等の別の種由来のインスリンとして理解されるべきである。
【0058】
「インスリンペプチド」、「インスリン化合物」、または「インスリン」という用語は、本明細書で使用される場合、インスリン活性を有する、すなわち、インスリン受容体を活性化する、ヒトインスリンまたはその類似体もしくは誘導体のいずれかであるペプチドを意味する。
【0059】
インスリン類似体
本明細書で使用される「インスリン類似体」という用語は、インスリンの1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されており、かつ/または1つ以上のアミノ酸残基がインスリンから欠失しており、かつ/または1つ以上のアミノ酸残基がインスリンに付加および/または挿入されている、修飾されたヒトインスリンを意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「変異」という用語は、ヒトインスリンの配列内のアミノ酸の置換または欠失を意味する。変異という用語は、ヒトインスリンの配列への付加、伸長、または延長を含まない。インスリン分子における変異は、鎖(AまたはB)、位置、および天然アミノ酸残基を置換するアミノ酸残基に対する1文字コードまたは3文字コードを記載して示される。
【0061】
本明細書で使用される場合、インスリン類似体に対する任意の変異は、インスリンペプチド単独に対する変異を意味し、インスリンペプチド/類似体に結合されたいかなるスペーサーペプチドも含まない。
【0062】
「接続ペプチド」または「C-ペプチド」とは、一本鎖プロインスリン分子のB-C-Aポリペプチド配列の接続部分「C」を意味する。ヒトインスリン鎖では、C-ペプチドは、B鎖の30位およびA鎖の1位を接続し、35個のアミノ酸の残基長である。ヒトインスリンにおいて、接続ペプチドは、2つの末端二塩基性アミノ酸配列、例えば、Arg-ArgおよびLys-Argを含み、これらは、A鎖およびB鎖から接続ペプチドを切断して、二本鎖インスリン分子を形成するための切断部位として機能する。
【0063】
「desB30」または「B(1-29)」とは、B30アミノ酸を欠く天然インスリンB鎖またはその類似体を意味し、「A(1-21)」とは、天然インスリンA鎖を意味する。したがって、例えば、desB30ヒトインスリンは、B鎖の30位のアミノ酸が欠失しているヒトインスリン類似体である。
【0064】
本明細書では、A1、A2、およびA3などの用語は、(N末端から数えて)インスリンのA鎖のそれぞれ1位、2位、および3位などのアミノ酸を示す。同様に、B1、B2、およびB3などの用語は、(N末端から数えて)インスリンのB鎖のそれぞれ1位、2位、および3位などのアミノ酸を示す。アミノ酸について一文字コードを使用して、A21A、A21G、およびA21Qなどの用語は、A21位におけるアミノ酸がそれぞれA、G、およびQであることを示す。アミノ酸について三文字コードを使用して、対応する表現は、それぞれA21Ala、A21Gly、およびA21Glnである。
【0065】
一実施形態では、本発明のヒトインスリンの類似体または誘導体は、血糖値を低減する能力を有する。
【0066】
一実施形態では、本発明のヒトインスリンの類似体または誘導体は、インスリン受容体を活性化する。
【0067】
一実施形態では、本発明のヒトインスリンの類似体または誘導体は、血糖を低下させる。
【0068】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、ヒトインスリンの類似体またはその誘導体を含む。
【0069】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、最大12個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0070】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、最大10個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0071】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、1~6個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0072】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、1~3個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0073】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、1個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0074】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、2個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0075】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、3個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0076】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、4個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0077】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、5個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0078】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、6個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0079】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、7個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0080】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、8個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0081】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、9個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0082】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、10個の変異を含むヒトインスリンの類似体を含む。
【0083】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、ヒトインスリンを含む。
【0084】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体を含む。
【0085】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、A14Eを含むインスリン類似体を含む。
【0086】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、B3Eを含むインスリン類似体を含む。
【0087】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、A14E、desB30を含むインスリン類似体を含む。
【0088】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、B3E、desB30を含むインスリン類似体を含む。
【0089】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに9個の変異を含む。
【0090】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに8個の変異を含む。
【0091】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに7個の変異を含む。
【0092】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに6個の変異を含む。
【0093】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに5個の変異を含む。
【0094】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに4個の変異を含む。
【0095】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに3個の変異を含む。
【0096】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに2個の変異を含む。
【0097】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、desB30を含むインスリン類似体、および前述のインスリン類似体におけるさらに1個の変異を含む。
【0098】
EGF(A)
「EGF(A)化合物」または「EGF(A)ペプチド」という用語は、一般的にEGF(A)ペプチドを含む融合タンパク質を指すために本明細書で使用され、配列番号1およびその類似体によって定義されるwt-LDL-R(293-332)を包含する。EGF(A)化合物という用語は、EGF-(A)ペプチドの誘導体およびその類似体を包含し、すなわち、本明細書に記載されるアシル部分を有するEGF(A)ペプチド類似体は、EGF(A)化合物の典型的な例である。本明細書において、「EGF(A)類似体」という用語は、LDL-R(293-332)(配列番号1)の修飾されたEGF(A)ドメインを指す。
【0099】
「LDL-R」、「LDL-R(293-332)」、「天然LDL-R(293-332)」、「EGF(A)(293-332)」、「野生型EGF(A)」、「wt-EGF(A)」、または「天然EGF(A)」の「EGF(A)」ドメインという用語は、配列番号1からなるペプチドを指し、これは、
【0100】
Gly-Thr-Asn-Glu-Cys-Leu-Asp-Asn-Asn-Gly-Gly-Cys-Ser-His-Val-Cys-Asn-Asp-Leu-Lys-Ile-Gly-Tyr-Glu-Cys-Leu-Cys-Pro-Asp-Gly-Phe-Gln-Leu-Val-Ala-Gln-Arg-Arg-Cys-Gluである。
【0101】
この式において、アミノ酸残基の番号付けは、LDL-R(293~332)のEGF(A)ドメインの番号付けに従い、式中LDL-RのEGF(A)ドメインの最初の(N末端)アミノ酸残基は、位置番号293に番号付けされ、またはその位置と一致され、後続のC末端に向かうアミノ酸残基は、最後の(C末端)アミノ酸残基まで294、295、296などと番号付けされ、これはLDL-RのEGF(A)ドメインでは、番号332がGluである。
【0102】
番号付けは、配列表では別の方法で行われ、配列番号1の最初のアミノ酸残基(Gly)には、番号1が割り当てられ、最後の(Glu)は40である。同じことが配列表の他の配列に対しても適用され、すなわちN末端アミノ酸には、LDL-R(293-332)に関して293Glyまたは293置換アミノ酸残基に対するその位置決めに関係なく、番号1が割り当てられる。しかしながら、本明細書では、アミノ酸位置の番号付けは、上で説明したとおりLDL-R(293-332)に関する。
【0103】
EGF(A)類似体
「EGF(A)類似体」という用語は一般に、配列が参照アミノ酸配列と比較したときに1つ以上のアミノ酸変化を有するペプチドを指す。
【0104】
「LDL-R(293-332)のEGF(A)ドメイン」、「配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメイン」、「LDL-R(293-332)類似体」、「EGF(A)類似体」、または「配列番号1の類似体」は、本明細書で使用される場合、配列が変異、すなわち、配列番号1に対するアミノ酸置換または欠失を含むペプチドとみなされ得る。
【0105】
本明細書で使用される場合、EGF(A)類似体に対する任意の変異は、EGF(A)ペプチド単独に対する変異を意味し、EGF(A)ペプチド/類似体に結合されたいかなるスペーサーペプチドも含まない。
【0106】
一実施形態では、配列番号1によるLDL-R(293-332)のEGF(A)ドメイン、またはその類似体は、ヒト低密度リポタンパク質受容体(LDL-R)へのPCSK9結合を阻害することができる。
【0107】
一実施形態では、配列番号1によるLDL-R(293-332)のEGF(A)ドメイン、またはその類似体は、LDL-RへのPCSK9結合を阻害する能力を有する。
【0108】
一実施形態では、配列番号1によるLDL-R(293-332)のEGF(A)ドメイン、またはその類似体は、LDL-RへのPCSK9結合を阻害し、かつ血中のLDLレベルを低減する能力を有する。
【0109】
一実施形態では、配列番号1によるLDL-R(293-332)のEGF(A)ドメイン、またはその類似体は、血中LDLレベルを低減する。
【0110】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、配列番号1と比較して1~15個のアミノ酸変異を含む。
【0111】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、配列番号1と比較して1~10個のアミノ酸変異を含む。
【0112】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、配列番号1と比較して1~8個のアミノ酸変異を含む。
【0113】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、配列番号1と比較して1~6個のアミノ酸変異を含む。
【0114】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、1~5個の変異を含む。
【0115】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、1個の変異を含む。
【0116】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、2個の変異を含む。
【0117】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、3個の変異を含む。
【0118】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、4個の変異を含む。
【0119】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、5個の変異を含む。
【0120】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、6個の変異を含む。
【0121】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、7個の変異を含む。
【0122】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、8個の変異を含む。
【0123】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、9個の変異を含む。
【0124】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のLDL-R(293-332)類似体のEGF(A)ドメインを含み、前述のEGF(A)類似体は、10個の変異を含む。
【0125】
言い換えれば、ペプチド類似体は、天然LDL-R(293-332)EGF(A)ペプチド、すなわち、天然LDL-R(293-332)EGF(A)(配列番号1)と比較したときに多数のアミノ酸残基が変化しているその類似体を参照することによって記述されてもよい。これらの変化は、独立して、1つ以上のアミノ酸変異を表し得る。
【0126】
本発明の融合ペプチドに組み込まれたEGF(A)類似体は、以下のLDL-R(293-332)EGF(A)類似体と呼ばれてもよい:(301Leu、309Arg、312Glu、321Glu)LDL-R(293-332)EGF(A)、または(Leu301、Arg309、Glu312、Glu321)-LDL-R(293-332)EGF(A)、または(301L、309R、312E、321E)LDL-R(293-332)、または(L301、R309、E312、E321)LDL-R(293-332)。これは、この類似体が天然LDL-R(293-332)とアライメントされているとき、それがi)アライメントに従って天然LDL-R(293-332)EGF(A)の301位に対応する類似体の位置におけるLeu、ii)天然LDL-R(293-332)EGF(A)の309位に対応する類似体の位置におけるArg、iii)天然LDL-R(293-332)EGF(A)の312位に対応する類似体の位置におけるGlu、iv)天然LDL-R(293-332)EGF(A)の321位に対応する類似体の位置におけるGluを有することを意味する。
【0127】
一定の特定された変化を「含む」類似体は、配列番号1と比較したときに、さらなる変化を含み得る。
【0128】
本発明の融合ペプチド内のEGF(A)ペプチド類似体は、AsnからLeuまでのアミノ酸残基301のアミノ酸残基のアミノ酸置換を含み、Asn301Leu、301Leu、または単に301Lとも記述される。
【0129】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、301Leuを含む。
【0130】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、309Rを含む。
【0131】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、312Eを含む。
【0132】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、321Eを含む。
【0133】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、301Lおよび309Rを含む。
【0134】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、301L、309R、および312Eを含む。
【0135】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、前述のEGF(A)類似体は、301L、309R、312E、および321Eを含む。
【0136】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、配列番号1のEGF(A)類似体を含み、EGF(A)ペプチド類似体は、以下に列挙される群i~viiのいずれかによって表されるアミノ酸変異を含む。
i.301Leu
ii.301Leuおよび309Arg
iii.301Leuおよび312Glu
iv.301Leuおよび321Glu
v.301Leu、309Arg、312Glu
vi.301Leu、309Argおよび321Glu
vii.301Leu、309Arg、312Gluおよび321Glu。
【0137】
EGF(A)インスリン融合タンパク質
本発明の化合物または融合ペプチドは、インスリンペプチド、EGF(A)ペプチド、およびスペーサーを含み、
i.前述のインスリンペプチドは、ヒトインスリン(配列番号2および3)またはヒトインスリンの類似体であり、
ii.前述のEGF(A)ペプチドは、LDL-R(293-332)(配列番号1)のEGF(A)ドメインの類似体であり、かつ
iii.前述のスペーサーは、インスリン類似体B鎖のN末端をEGF(A)類似体のC末端と接続するペプチドリンカーである。
【0138】
本発明の化合物または融合タンパク質は、融合タンパク質のアミノ酸残基に結合した置換基をさらに含む。
【0139】
EGF(A)インスリン融合タンパク質の名称は、上で詳述したように、EGF(A)およびヒトインスリンタンパク質に対する類似体および誘導体として与えられる。2つのタンパク質と融合タンパク質に結合した置換基とを接続するスペーサーの命名は、以下で詳述される。
【0140】
本発明の化合物は、互換的に「本発明(the invention)の化合物」、「本発明(the present invention)の化合物」、「二官能性化合物」、「本発明(the invention)の融合タンパク質」、「本発明(the present invention)の融合タンパク質」と呼ばれてもよい。
【0141】
スペーサー
しばしば、融合ペプチド/タンパク質は、2つのペプチド/タンパク質の末端に存在する任意の機能性が、他のペプチド/タンパク質の近接によって妨害されないことを確実にするためのスペーサーを含む。
【0142】
一実施形態では、スペーサーは、ペプチドであり、本明細書において、スペーサーペプチド、またはペプチドスペーサー、またはペプチドリンカーと称される。様々なスペーサーペプチドが当該技術分野において既知であり、融合化合物を得るためにインスリン類似体とEGF(A)類似体との間に配置されてもよい。
【0143】
2つのペプチドセグメントが融合されるとき、その順序は、結果として生じる融合化合物の機能性、およびそれを含む誘導体に影響を与え得る。
【0144】
本発明の一実施形態では、N末端から始まるEGF(A)類似体およびインスリン類似体の順序は、EGF(A)類似体、続いて、インスリン類似体であり、任意選択でスペーサーペプチドにより分離される。一実施形態では、EGF(A)類似体のC末端は、インスリン類似体B鎖のN末端と融合される。
【0145】
一実施形態では、スペーサーは、ペプチド結合を介して接続された4~80個のアミノ酸からなるペプチドセグメントである。
【0146】
一実施形態では、スペーサーは、以下のアミノ酸残基のうちの1つ以上を含む:Ala(A)、Gly(G)、Pro(P)、Gln(Q)。
【0147】
驚くべきことに、本発明者らは、スペーサーのアミノ酸組成が、血糖値を低減する化合物の能力に影響を与えたことを発見した。非荷電スペーサー(GQAP)nまたは(GAQP)nを含む本発明の化合物は、(GQEP)nなどの荷電スペーサーを含む対照薬化合物と比較して、優れた血中の低減を示した。さらに、スペーサーの長さが、血糖値を低減する化合物の能力に影響を与えたこともわかった。
【表1】
【0148】
実施例4のEGF(A)-インスリン融合タンパク質誘導体内のスペーサーは、[GAQP]2と命名され、EGF(A)ペプチドのC末端残基をインスリンB鎖のN末端残基と接続するスペーサーが、配列(GAQP)2を有することを意味し、GAQPGAQPまたは2xGAQPまたは[GAQP]2または2x(GAQP)とも表示され得る。アミノ酸残基は、その完全な名称、1文字のコード、および/または3文字のコードによって識別され得る。これら3つの方法は、完全に同等であり、互換性がある。
【0149】
同様に、実施例2のEGF(A)-インスリン融合タンパク質誘導体内のスペーサーは、[GAQP]10と命名され、EGF(A)ペプチドのC末端残基をインスリンB鎖のN末端残基と接続するスペーサーが、配列(GAQP)10を有することを意味し、10xGAQP、[GAQP]10、10x(GAQP)、またはGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPとも表示され得る。
【0150】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、(GQEP)nを含む対照薬化合物と比較して、優れた血糖低減を示す。
【0151】
一実施形態では、スペーサーが(GAQP)nまたは(GQAP)nを含む本発明の融合タンパク質は、(GQEP)nを含む対照薬化合物と比較して、優れた血糖低減を示す。
【0152】
別の態様では、スペーサーが(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=1~20)を含む本発明の融合タンパク質は、(GQEP)nを含む対照薬化合物と比較して、優れた血糖低減を示す。
【0153】
別の態様では、スペーサーが(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~19)を含む本発明の融合タンパク質は、(GQEP)nを含む対照薬化合物と比較して、優れた血糖低減を示す。
【0154】
別の実施形態では、スペーサーが(GAQP)n(ここで、n=2~10)を含む本発明の融合タンパク質は、(GQEP)nを含む対照薬化合物と比較して、優れた血糖低減を示す。
【0155】
別の実施形態では、スペーサーが(GAQP)n(ここで、n=2~10)を含む本発明の融合タンパク質は、(GQEP)nを含む対照薬化合物および(GAQP)n(n=12~19)を含む化合物の両方と比較して、優れた血糖低減を示す。
【0156】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=1~20)を含むスペーサーを含む。
【0157】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~19)を含むスペーサーを含む。
【0158】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~12)を含むスペーサーを含む。
【0159】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~10)を含むスペーサーを含む。
【0160】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~8)を含むスペーサーを含む。
【0161】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~6)を含むスペーサーを含む。
【0162】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、=2~4)を含むスペーサーを含む。
【0163】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=4~6)を含むスペーサーを含む。
【0164】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2)を含むスペーサーを含む。
【0165】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=3)を含むスペーサーを含む。
【0166】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=4)を含むスペーサーを含む。
【0167】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=5)を含むスペーサーを含む。
【0168】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=6)を含むスペーサーを含む。
【0169】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=7)を含むスペーサーを含む。
【0170】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=8)を含むスペーサーを含む。
【0171】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=9)を含むスペーサーを含む。
【0172】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=10)を含むスペーサーを含む。
【0173】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=11)を含むスペーサーを含む。
【0174】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=12)を含むスペーサーを含む。
【0175】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=13)を含むスペーサーを含む。
【0176】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=14)を含むスペーサーを含む。
【0177】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=15)を含むスペーサーを含む。
【0178】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=16)を含むスペーサーを含む。
【0179】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=17)を含むスペーサーを含む。
【0180】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=18)を含むスペーサーを含む。
【0181】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=19)を含むスペーサーを含む。
【0182】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=20)を含むスペーサーを含む。
【0183】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nもしくは(GQAP)n(ここで、n=2~19)、または[(GAQP)nもしくは(GQAP)n](ここで、n=2~10)からなるスペーサーを含む。
【0184】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、(GAQP)nもしくは(GQAP)n(ここで、n=2~19)、または[(GAQP)nもしくは(GQAP)n](ここで、n=2~6)からなるスペーサーを含む。
【0185】
置換基
一実施形態では、置換基/アシル部分は、本発明の融合タンパク質(すなわち、二官能性インスリンEGF(A)融合化合物または二官能性化合物)に結合される。
【0186】
置換基は、EGF(A)ペプチドの機能性に対する効果がないかまたは最小であり、インスリン機能性に対して期待される効果、すなわち、EGF(A)ペプチドなしでインスリンにアシル部分を結合する効果と類似したインスリン受容体親和性の低減を有することが望ましい。
【0187】
一実施形態では、アシル部分は、インスリン類似体配列内のLys/Kアミノ酸残基を介して結合される。
【0188】
一実施形態では、本発明の化合物に結合される置換基は、一般式(I):Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、
Acyは、約16~約20個の炭素原子を含む脂肪二酸であり、
AA2は、酸性アミノ酸残基であり、式中、mは、1~10の範囲の整数であり、
AA3は、中性のアルキレングリコール含有アミノ酸残基であり、pは、1~10の範囲の整数であり、
AA2残基およびAA3残基の最大数は、10であり、
AA2残基およびAA3残基は、任意の順序で現れてもよいか、
またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステルを有する。
【0189】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、前述のAcyは、1,16-ヘキサデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、および1,20-エイコサン二酸から選択される脂肪二酸基を含む。
【0190】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、前述のAcyは、脂肪二酸基1,16-ヘキサデカン二酸を含む。
【0191】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、前述のAcyは、脂肪二酸基1,18-オクタデカン二酸を含む。
【0192】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、前述のAcyは、脂肪二酸基1,20-エイコサン二酸を含む。
【0193】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2
m-AA3
p-を有し、式中、前述のAA2
mはgGluを含み、以下の構造によって表されるガンマグルタミン酸残基を表す。
【化1】
【0194】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2
m-AA3
p-を有し、式中、前述のAA3
pは、[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル、またはアミノ酸残基8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸-NH(CH
2)
2O(CH
2)
2OCH
2CO-を含み、以下の構造によって表される。
【化2】
【0195】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、AA2m-AA3p-は独立して、gGlu-OEGまたはgGlu-OEG-OEGによって表される。
【0196】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、AA2m-AA3p-は、gGlu-OEGによって表される。
【0197】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、AA2m-AA3p-は、gGlu-OEG-OEGによって表される。
【0198】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、以下によって独立して表される:
i.C16二酸-gGlu、
ii.C18二酸-gGlu-OEG、
iii.C18二酸-gGlu-2xOEG、または
iv.C20二酸-gGlu-2xOEG。
【0199】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、C16二酸-gGluによって表される。
【0200】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、C18二酸-gGlu-OEGによって表される。
【0201】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、C18二酸-gGlu-2xOEGによって表される。
【0202】
一実施形態では、置換基は、式(I)Acy-AA2m-AA3p-を有し、C20二酸-gGlu-2xOEGによって表される。
【0203】
別の実施形態では、本発明の融合ペプチドに結合したアシル部分は、一般式Acy-AA2m-AA3p-(I)を有し、式中、AA2は、L-またはD-gGlu、L-またはD-Glu、L-またはD-Asp、L-またはD-ホモGluから選択される。
【0204】
AA2と指定される酸性アミノ酸残基は、2つのカルボン酸基と、1つの一次または二次アミノ基とを含む、最大約200Daの分子量のアミノ酸である。
【0205】
AA3と指定される中性アルキレングリコール含有アミノ酸残基は、アルキレングリコール部分であり、任意選択で、一方の末端にカルボン酸官能基、および他方の末端にアミノ基官能基を含有するオリゴまたはポリアルキレングリコール部分である。
本明細書において、アルキレングリコール部分という用語は、モノ-アルキレングリコール部分ならびにオリゴ-アルキレングリコール部分を含む。モノおよびオリゴアルキレングリコールは、モノおよびオリゴエチレングリコール系、モノおよびオリゴプロピレングリコール系、ならびにモノおよびオリゴブチレングリコール系鎖、すなわち、反復単位CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、または-CH2CH2CH2CH2O-に基づく鎖を含む。アルキレングリコール部分は、単分散である(明確に定義された長さ/分子量を有する)。モノアルキレングリコール部分は、各末端に異なる基を含有する-OCH2CH2O-、-OCH2CH2CH2O-、または-OCH2CH2CH2CH2O-を含む。
【0206】
本明細書で言及されるように、AA2およびAA3が式(I)(Acy-AA2m-AA3p-)でアシル部分に現れる順序は、独立して交換され得る。結果として、式Acy-AA2m-AA3p-はまた、例えば、式Acy-AA2m-AA3p-、式Acy-AA2-AA3n-AA2-、および式Acy-AA3p-AA2m-などの部分も含み、式中、AcyAA2、AA3、n、m、およびpは、本明細書に定義されるとおりである。
【0207】
本明細書で言及されるように、部分Acy、AA2、および/またはAA3との間の接続は、それらが形式的に構築される親化合物から水を除去することによって、アミド結合(ペプチド結合)形成(-CONH-)によって形式的に得られる。これは、式(I)(Acy-AA2m-AA3p-(式中、Acy、AA2、AA3、m、およびpは本明細書に定義されるとおりである))を有するアシル部分の完全な式を得るために、形式的に、Acy、AA2、およびAA3という用語に対して与えられる化合物をとり、それらから水素および/またはヒドロキシルを除去して、形式的に、そのようにして得られた構築ブロックを遊離末端で接続しなければならないことを意味する。
【0208】
置換基の命名について、ある場合では、IUPAC命名法に従って命名が行われ、他の場合では、命名は、ペプチド命名法として行われる。
【0209】
一例として、以下の構造の実施例2の化合物のアシル部分:
【化3】
は、例えば、「オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG」、「オクタデカンジオイル-gGlu-(OEG)
2」、「オクタデカンジオイル-γGlu-2xOEG」、「オクタデカンジオイル-γGlu-(OEG)
2」、「1,18-オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG」、「(C18二酸)-gGlu-2xOEG」、「C18d-gGlu-2xOEG」などと命名され得、ここで、γGlu(およびgGlu)は、L-配置のアミノ酸ガンマグルタミン酸の略記であり、「2x」は、後に続く残基が2回繰り返されることを意味する。
【0210】
ガンマGlu、γGlu、およびgGluは、L配置のアミノ酸ガンマグルタミン酸、H2N-CH(CO2H)-CH2CH2-CO2H(アルファアミノ基を介して、およびガンマ(側鎖)カルボキシ基を介して接続される)の略記である。
【0211】
OEGは、アミノ酸残基8-アミノ-3,6-ジオキサ-オクタン酸、NH2(CH2)2O(CH2)2OCH2CO2Hの略記である。
【0212】
一実施形態では、式(I)Acy-AA2
m-AA3
p-の置換基は、以下によって表される。
【化4】
【0213】
一実施形態では、式(I)Acy-AA2
m-AA3
p-の置換基は、以下によって表される。
【化5】
【0214】
一実施形態では、式(I)Acy-AA2
m-AA3
p-の置換基は、以下によって表される。
【化6】
【0215】
一実施形態では、式(I)Acy-AA2
m-AA3
p-の置換基は、以下によって表される。
【化7】
【0216】
式Acy-AA2m-AA3p-の置換基の上記の非限定的な例のいずれも、本発明の化合物のいずれかに存在するリジン残基のイプシロンアミノ基に結合され得、それによって本発明のアシル化化合物のさらなる特定の実施例を与える。式Acy-AA2m-AA3p-の所望の基は、任意の便利な方法によって導入され得、かかる反応について多くの方法が先行技術に開示されている。
【0217】
上記で詳述した命名法を組み合わせて、実施例1のEGF(A)-インスリン融合化合物誘導体は、「EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)」と命名されて、EGF(A)ペプチドが、天然EGF(A)に対して置換301L、309R、312E、321Eを含有し、インスリンペプチドが、置換B3EおよびdesB30を含有し、インスリンB29位置のリジンが、ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG部分で誘導体化(アシル化)されていることを示す。EGF(A)ペプチドのC末端残基をインスリンB鎖のN末端残基と接続するスペーサーは、配列(GAQP)2を有し、GAQPGAQPまたは2xGAQPまたは[GAQP]2とも表示され得る。
【0218】
同様に、実施例2のEGF(A)-インスリン融合タンパク質誘導体は、EGF(A)301L、309R、312E、321E)-[GAQP]10-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)と命名されて、EGF(A)ペプチドが、天然EGF(A)に対して置換301L、309R、312E、321Eを含有し、インスリンペプチドが、置換desB30を含有し、インスリンB29位置のリジンが、オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG部分で誘導体化(アシル化)されていることを示す。EGF(A)ペプチドのC末端残基をインスリンB鎖のN末端残基と接続するスペーサーは、配列(GAQP)10を有し、10xGAQP、[GAQP]10、またはGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPGAQPとも表示され得る。
【0219】
本出願全体を通して、本発明の好ましい化合物の式および名称の両方が与えられる。
【表2】
【0220】
一実施形態では、本発明は、実施例1~24の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0221】
一実施形態では、本発明は、実施例1の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0222】
一実施形態では、本発明は、2~5、8~15、および17~21から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0223】
一実施形態では、本発明は、6、7、16、22、23、および24から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0224】
一実施形態では、本発明は、1~4、5~14、および16~24から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0225】
一実施形態では、本発明は、1~18から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0226】
一実施形態では、本発明は、1および3~17から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0227】
一実施形態では、本発明は、1および3~16から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0228】
一実施形態では、本発明は、1および3~12から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0229】
一実施形態では、本発明は、1および3~8から独立して選択される実施例の融合タンパク質の群から選択される化合物に関する。
【0230】
一実施形態では、本発明は、実施例1:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.1によって表される融合ペプチドに関する。
【0231】
一実施形態では、本発明は、実施例3:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.3によって表される融合ペプチドに関する。
【0232】
一実施形態では、本発明は、実施例4:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.4によって表される融合ペプチドに関する。
【0233】
一実施形態では、本発明は、実施例5:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-OEG)、desB30)であり、Chem.5によって表される融合ペプチドに関する。
【0234】
一実施形態では、本発明は、実施例6:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.6によって表される融合ペプチドに関する。
【0235】
一実施形態では、本発明は、実施例7:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.7によって表される融合ペプチドに関する。
【0236】
一実施形態では、本発明は、実施例8:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQAP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.8によって表される融合ペプチドに関する。
【0237】
一実施形態では、本発明は、実施例9:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]3-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.9によって表される融合ペプチドに関する。
【0238】
一実施形態では、本発明は、実施例10:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]3-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.10によって表される融合ペプチドに関する。
【0239】
一実施形態では、本発明は、実施例11:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]4-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.11によって表される融合ペプチドに関する。
【0240】
一実施形態では、本発明は、実施例12:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]4-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.12によって表される融合ペプチドに関する。
【0241】
一実施形態では、本発明は、実施例13:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.13によって表される融合ペプチドに関する。
【0242】
一実施形態では、本発明は、実施例14:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.14によって表される融合ペプチドに関する。
【0243】
一実施形態では、本発明は、実施例15:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-OEG)、desB30)であり、Chem.15によって表される融合ペプチドに関する。
【0244】
一実施形態では、本発明は、実施例16:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30であり、Chem.16によって表される融合ペプチドに関する。
【0245】
一実施形態では、本発明は、実施例17:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]8-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30であり、Chem.17によって表される融合ペプチドに関する。
【0246】
一実施形態では、本発明は、実施例18:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]12-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.18によって表される融合ペプチドに関する。
【0247】
一実施形態では、本発明は、実施例19:
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.19によって表される融合ペプチドに関する。
【0248】
一実施形態では、本発明は、実施例20:
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.20によって表される融合ペプチドに関する。
【0249】
一実施形態では、本発明は、実施例21:
EGF(A)301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.21によって表される融合ペプチドに関する。
【0250】
一実施形態では、本発明は、実施例22:
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.22によって表される融合ペプチドに関する。
【0251】
一実施形態では、本発明は、実施例23:
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(A14E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.23によって表される融合ペプチドに関する。
【0252】
一実施形態では、本発明は、実施例24:EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B3E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)であり、Chem.24によって表される融合ペプチドに関する。
【0253】
中間生成物
本発明はさらに、本発明の置換基が結合され、本発明の融合ペプチドをもたらす、新規の骨格の形態の中間生成物に関する。
【0254】
本発明はまた、以下からなる群から選択される、本発明の融合ペプチドの新規の骨格の形態の中間生成物に関する:
【表3】
【0255】
二官能性
異なる機能性が、インスリン類似体およびEGF(A)類似体という2つの類似体に関連している。本発明の融合化合物誘導体において2つの類似体を組み合わせる場合、類似体が機能的なままであること、すなわち、インスリン類似体がインスリン受容体を活性化する能力を有し、EGF(A)類似体がPCSK9に結合することが好ましい。かかる化合物の機能性は、以下に記載されるように試験され得る。
【0256】
インスリン機能
ヒトインスリン受容体(IR)に対するインスリン類似体の相対結合親和性は、実施例25に記載されるように、シンチレーション近接アッセイ(SPA)での競合結合によって決定され得る。
【0257】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、インスリン受容体に結合する能力を有する。
【0258】
実施例26に記載される脂質生成アッセイは、インスリン類似体の機能的(アゴニスト)活性の尺度として使用され得る。
【0259】
一実施形態では、インスリン類似体を含む本発明の融合ペプチドは、インスリン受容体に結合し、それを活性化する能力を有する。
【0260】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、血糖値を低減する能力を有する。
【0261】
本発明の融合ペプチドは、実施例29および30に記載されるように、薬物動態パラメータおよび/またはインスリン関連薬力学特性について試験され得る。
【0262】
本発明の融合ペプチドは、ラットへの皮下投与によって、例えば、このプロトコルに従って対照薬融合化合物および/または類似のB29Kアシル化インスリン類似体と比較することによって試験され得る。
【0263】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、血糖値を低下させる。
【0264】
別の実施形態では、本発明の融合ペプチドは、類似のB29Kアシル化インスリン類似体と比較して同程度の血糖低減を示す。
【0265】
本発明の融合ペプチドは、非荷電スペーサー(GQAP)nまたは(GAQP)nを有するスペーサーを含み、荷電スペーサー(GQEP)nを含む対照薬化合物と比較して驚くほど優れた血糖低減を有する。
【0266】
スペーサー(GQAP)nまたは(GAQP)n(ここで、n=2~10)を含む本発明の融合ペプチドが、グルコース降下効果に関して等しい効力を有する一方で、nが10を超えるスペーサーについては、効果はそれほど顕著ではないことがわかった(
図1~2)。
【0267】
スペーサー(GQAP)nまたは(GAQP)n(ここで、n=2~8)を含む本発明の融合ペプチドが、(GQEP)n(ここで、n=2~8)を含む試験した全ての対照薬化合物よりも優れた血糖降下効果を示すことがわかった(
図3~11)。
【0268】
スペーサー(GQAP)nまたは(GAQP)n(ここで、n=2)を含む本発明の融合ペプチドが、用量依存的血糖降下を示すことがわかった(
図13)。
【0269】
EGF(A)関数
EGF(A)ペプチド類似体は、PCSK9に結合する能力を有する。こうした結合は、本明細書における実施例27に記載したアッセイを使用して評価され得る。
【0270】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、PCSK9阻害剤である。
【0271】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、ヒト低密度リポタンパク質受容体(LDL-R)に対するPCSK9結合を阻害する。
【0272】
一実施形態では、本発明は、配列番号1のEGF(A)ペプチド類似体を含む融合タンパク質を提供し、融合タンパク質は、ヒト低密度リポタンパク質受容体(LDL-R)に対するPCSK9結合を阻害することができる。
【0273】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL-RへのPCSK9結合を阻害する能力を有する。
【0274】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL-RへのPCSK9結合を阻害し、かつ血中のLDLレベルを低減する能力を有する。
【0275】
一実施形態では、本発明の融合ペプチドは、血中LDLレベルを低減する。
【0276】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、天然LDL-R(293-332)((配列番号1、天然EGF-(A))と比較してPCSK9に結合する能力が改善されている。一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL-R(293-332)EGF(A)類似体:(301Leu、309Arg、312Glu、321Glu)(対照薬融合タンパク質9)と比較して、PCSK9に結合する同程度の能力を有する
【0277】
一実施形態では、PCSK9-LDL-R結合競合ELISAアッセイで測定した、本明細書に記載される本発明の融合タンパク質のKiは、20nM未満、例えば15nM未満、または例えば10nM未満、または例えば5nM未満である。
【0278】
別の実施形態では、PCSK9-LDL-R結合競合ELISAアッセイで測定した、本明細書に記載される本発明の融合タンパク質のKiは、5nM未満である。
【0279】
本発明の融合タンパク質内のEGF(A)類似体およびその誘導体の機能性は、本明細書の実施例28に記載されているものなど、これらがLDL取り込みを改善する能力によってさらに特徴付けられ得る。
【0280】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、PCSK9の存在下でLDL取り込みを増加させる。
【0281】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、PCSK9媒介性のLDL取り込みの減少を逆転または低減することができる。
【0282】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定したように、1500nM未満、例えば1000nM未満、例えば500nM未満、または例えば200nM未満のEC50を有する。
【0283】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定したように、1500nM未満のEC50を有する。
【0284】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定したように、500nM未満のEC50を有する。
【0285】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定したように、200nM未満のEC50を有する。
【0286】
マウスに投与されたhPCSK9が、肝臓LDL受容体タンパク質のほぼ完全な下方制御をもたらしたことがわかった(
図12)。インスリン-EGF(A)融合タンパク質は、用量依存的な方法でLDLrタンパク質のこのPCSK9媒介性下方制御を効果的に防止した。さらに、2つのインスリン-EGF(A)融合タンパク質が、EGF(A)誘導体のみで見られたものと同様に、LDLrタンパク質のhPCSK9媒介性下方制御を防止することができたことが示された(
図14)。
【0287】
二官能性
二官能性または二重活性を実証するために、本発明の選択された化合物を、実施例31に記載されるインビボモデルで試験した。二重活性は、インスリン-EGF(A)系抗PCSK9ペプチドで静脈内注射hPCSK9の作用を阻害することによるマウス肝臓におけるLDL受容体発現レベルの上昇、および分子のインスリン部分によるグルコース降下効果を意味する。
【0288】
選択した化合物は、EGF(A)誘導体単独で見られたものと同様に、血糖を低下させ、LDLrタンパク質のhPCSK9媒介性下方制御を防止することがわかった。
【0289】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、インスリン受容体を活性化する。
【0290】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、血糖を低下させる。
【0291】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、対照薬融合タンパク質と比較して、優れた血糖低減を示した。
【0292】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、対照薬融合タンパク質と比較して、改善された血糖低減を示した。
【0293】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、PCSK9に結合する。
【0294】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL-RへのPCKS9結合を阻害する。
【0295】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、野生型EGF(A)と比較して、PCSK9に結合する能力の改善を示す。
【0296】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、PCSK9-LDL-R結合競合ELISAアッセイで測定した場合に、20nM未満のKiを有する。
【0297】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、PCSK9-LDL-R結合競合ELISAアッセイで測定した場合に、5nM未満のKiを有する。
【0298】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みを増加させる。
【0299】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定した場合に、1000nM未満のEC50を有する。
【0300】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定した場合に、500nM未満のEC50を有する。
【0301】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質は、LDL取り込みアッセイで測定した場合に、200nM未満のEC50を有する。
【0302】
上述のように、本発明の二官能性融合タンパク質は、インビトロアッセイにおいて、インスリン受容体およびPCSK9の両方に結合して、インスリン応答の活性化およびPCSK9結合の防止、およびそれによってLDLRの分解をもたらすことがわかった。さらに、発明者らは驚くべきことに、インビボでのグルコース降下(インスリン効果)および肝臓LDLR発現の増強(PCSK9i効果)に対する複合効果を発見した。
【0303】
さらに、驚くべきことに、非荷電スペーサーを含む本発明の融合タンパク質が、荷電スペーサー(GQEP)nを含む対照薬融合タンパク質と比較して、優れた血糖低減を示すこと、さらに、低減のレベルが、前述の非荷電スペーサーの長さに依存することさえもわかった。
【0304】
医薬組成物
本発明はまた、例えば、本発明の融合タンパク質、またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステルを含む本発明の化合物、および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(複数可)を含む医薬組成物に関する。かかる組成物は、当該技術分野において既知のとおりに調製され得る。
【0305】
「賦形剤」という用語は、広く、活性治療成分(複数可)以外の任意の成分を指す。賦形剤は、不活性物質、非活性物質、および/または医薬的に活性でない物質であり得る。賦形剤は、例えば担体、媒体、希釈剤、錠剤補助剤として様々な目的を果たし、および/あるいは活性物質の投与および/または吸収を改善するように機能し得る。賦形剤の非限定的な例は、溶媒、希釈剤、緩衝液、防腐剤、張性調節剤、キレート剤および安定剤である。様々な賦形剤を伴った薬学的活性成分の製剤化は、当該技術分野において既知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(例えば、第21版(2005)および任意のその後の版)を参照されたい。
【0306】
本発明の組成物は、液体製剤、すなわち、水を含む水性製剤の形態であってもよい。液体製剤は、溶液または懸濁液であってもよい。あるいは、これは、固形製剤、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥した組成物であってもよい。
【0307】
本発明の医薬組成物は、併用療法の場合に投与を簡略化し得る治療剤など、第2の有効成分をさらに含み得る。
【0308】
本発明の組成物は、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射によって実施される非経口投与用であってもよい。
【0309】
薬学的適応
糖尿病
「糖尿病(diabetes)」または「糖尿病(diabetes mellitus)」という用語には、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病(妊娠中)、および高血糖症を引き起こす他の状態が含まれる。この用語は、膵臓が不十分な量のインスリンを産生するか、または身体の細胞がインスリンに適切に応答できず、したがって細胞がグルコースを吸収するのを妨げる、代謝障害に使用される。結果として、グルコースは、血液中に蓄積する。
【0310】
インスリン依存性糖尿病(IDDM)および若年発症糖尿病とも呼ばれる1型糖尿病は、通常は絶対的インスリン欠乏をもたらすB細胞破壊によって引き起こされる。
【0311】
非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)および成人発症糖尿病としても既知の、2型糖尿病は、主なインスリン抵抗性、したがって相対的なインスリン欠乏および/またはインスリン抵抗性を伴う主なインスリン分泌不全に関連している。
【0312】
他の適応
一実施形態では、本発明による融合タンパク質は、ストレス誘発性高血糖症を含む高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病の治療または予防のための薬剤の調製に使用される。
【0313】
別の実施形態では、本発明による融合タンパク質は、2型糖尿病の疾患進行を遅延または予防するための薬剤として使用される。
【0314】
本発明の一実施形態では、融合タンパク質は、ストレス誘発性高血糖症を含む高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病の治療または予防のための薬剤として使用するためのものである。
【0315】
さらなる実施形態では、本発明は、ストレス誘発性高血糖症を含む高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病の治療または予防のための方法に関し、方法は、かかる治療を必要としている患者に、かかる治療のための有効量の本発明による融合タンパク質を投与することを含む。
【0316】
一実施形態では、本発明の融合タンパク質またはその組成物は、以下のために糖尿病患者において使用され得る:
(i)脂質パラメータの改善、例えば、脂質異常症の予防および/または治療、総血清脂質の低下、LDL-Cの低下、HDLの増加、小型高密度LDLの低下、VLDLの低下、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下。別の実施形態では、本発明は、以下のための糖尿病患者における治療のための方法に関する:
i.脂質パラメータの改善、例えば、脂質異常症の予防および/または治療、総血清脂質の低下、HDLの増加、LDL-Cの低下、小型高密度LDLの低下、VLDL-Cの低下、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下。ここで、薬学的に活性な量の本発明による融合タンパク質、例えば、本発明によるペプチド類似体または誘導体が、糖尿病患者に投与される。
【0317】
一実施形態では、本発明は、薬剤の製造で使用するのための本明細書に記載される融合タンパク質の使用に関する。
【0318】
本発明は、薬剤として、または薬剤の製造で使用するための、本発明の融合タンパク質またはその医薬組成物に関する。
【0319】
投与方法
「治療」という用語は、参照される疾患、障害、または状態の予防および最小化の両方を含むことを意味する(すなわち、「治療」は、文脈によって別段の指示がないか、または明確に矛盾しない限り、本発明の融合タンパク質または本発明の融合タンパク質を含む組成物の予防的および治療的投与の両方を指す。
【0320】
投与経路は、本発明の融合タンパク質を、非経口的に、例えば、皮下、筋肉内、または静脈内などで体内の望ましい場所または適切な場所に効果的に輸送する任意の経路であり得る。あるいは、本発明の融合タンパク質は、経口、肺、直腸内、経皮、口腔内、舌下、または経鼻で投与することができる。
【0321】
本明細書では、本発明の特定の特徴が例示および説明されているが、当業者には多数の修正、置換、変更、および同等物が思い浮かぶであろう。したがって、添付の実施形態が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるようなかかる全ての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
【0322】
実施形態
【0323】
1.インスリンペプチド、EGF(A)ペプチド、スペーサー、および置換基を含む融合タンパク質であって、
i.前述のインスリンペプチドが、ヒトインスリン(配列番号2~3)もしくはヒトインスリンの類似体であり、
ii.前述のEGF(A)ペプチドが、LDL-R(293-332)(配列番号1)のEGF(A)ドメインの類似体であり、
iii.前述のスペーサーが、(GAQP)nもしくは(GQAP)n(n=2~19)のセグメントを含み、インスリン類似体B鎖のN末端をEGF(A)類似体のC末端と接続するペプチドリンカーであり、
iv.前述の置換基が、式(I):Acy-AA2m-AA3p-を有し、式中、
Acyは、約16~約20個の炭素原子を含む脂肪二酸であり、
AA2は、酸性アミノ酸残基であり、式中、mは、1~10の範囲の整数であり、
AA3は、中性のアルキレングリコール含有アミノ酸残基であり、pは、1~10の範囲の整数であり、
AA2残基およびAA3残基の最大数は、10であり、
前記AA2残基およびAA3残基は、任意の順序で現れてもよい、融合タンパク質、
またはその薬学的に許容される塩、アミド、もしくはエステル。
【0324】
2.EGF(A)ペプチド類似体が、EGF(A)類似体のC末端アミノ酸残基を介してインスリン類似体B鎖のN末端に融合される、実施形態1に記載の融合タンパク質。
【0325】
3.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~15個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1または2に記載の融合タンパク質。
【0326】
4.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~13個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~3のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0327】
5.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~11個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0328】
6.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~9個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~5のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0329】
7.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~7個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~6のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0330】
8.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~5個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~7のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0331】
9.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1~3個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0332】
10.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して1個または2個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0333】
11.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して8個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~10のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0334】
12.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して7個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~11のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0335】
13.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して6個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~12のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0336】
14.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して5個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~13のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0337】
15.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して4個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~14のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0338】
16.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して3個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~15のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0339】
17.EGF(A)類似体が、配列番号1と比較して2個のアミノ酸変異(複数可)を含む、実施形態1~16のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0340】
18.EGF(A)類似体が、301Lを含む、実施形態1~17のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0341】
19.EGF(A)類似体が、309Rを含む、実施形態1~18のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0342】
20.EGF(A)類似体が、312Eを含む、実施形態1~19のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0343】
21.EGF(A)類似体が、321Eを含む、実施形態1~20のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0344】
22.EGF(A)類似体が、以下の組み合わせのうちの1つを含む、実施形態1~21のいずれかに記載の融合タンパク質。
a.301Leuおよび309Arg
b.301Leu、309Argおよび312Glu
c.301Leu、309Arg、312Gluおよび321Glu
【0345】
23.EGF(A)類似体が、301Lおよび309Rを含む、実施形態22に記載の融合タンパク質。
【0346】
24.EGF(A)類似体が、301L、309R、および312Eを含む、実施形態22に記載の融合タンパク質。
【0347】
25.EGF(A)類似体が、301L、309R、312E、および321Eを含む、実施形態22に記載の融合タンパク質。
【0348】
26.EGF(A)類似体が、301L、309R、312E、321Eである、実施形態22に記載の融合タンパク質。
【0349】
27.インスリン類似体/誘導体が、0~10個の変異を含むヒトインスリンの類似体/誘導体である、実施形態1~26のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0350】
28.インスリンが、1~10個の変異を含む、実施形態27に記載の融合タンパク質。
【0351】
29.インスリンが、1~8個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0352】
30.インスリンが、1~6個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0353】
31.インスリンが、5個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0354】
32.インスリンが、1~4個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0355】
33.インスリンが、4個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0356】
34.インスリンが、1~3個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0357】
35.インスリンが、1個または2個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0358】
36.インスリンが、1個の変異を含む、実施形態28に記載の融合タンパク質。
【0359】
37.インスリン類似体が、以下の組み合わせのうちの1つを含む、実施形態1~36のいずれかに記載の融合タンパク質。
a.A14E
b.B3E
c.desB30
d.A14E、desB30
e.B3E、desB30
【0360】
38.前述のインスリン類似体が、desB30を含む、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0361】
39.前述のインスリン類似体が、B3Eを含む、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0362】
40.前述のインスリン類似体が、A14E、desB30を含む、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0363】
41.前述のインスリン類似体が、B3E、desB30を含む、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0364】
42.前述のインスリン類似体が、A14E、desB30である、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0365】
43.前述のインスリン類似体が、B3E、desB30である、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0366】
44.前述のインスリン類似体が、インスリンdesB30ヒトインスリンである、実施形態37に記載の融合タンパク質。
【0367】
45.融合タンパク質が、インスリン受容体を活性化し、PCSK9に結合する、実施形態1~44のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0368】
46.前述の融合タンパク質が、EGF(A)類似体とインスリン類似体/誘導体とを接続するスペーサーを含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0369】
47.スペーサーが、アミド結合を含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0370】
48.スペーサーが、4~80個のアミノ酸残基を含む、実施形態1~47のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0371】
49.スペーサーが、以下のアミノ酸残基:Ala(A)、Gly(G)、Pro(P)、および/またはGln(Q)のうちの1つ以上を含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0372】
50.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=1~20)を含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0373】
51.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~19)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0374】
52.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~12)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0375】
53.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~10)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0376】
54.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~8)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0377】
55.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~6)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0378】
56.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2~4)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0379】
57.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=2)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0380】
58.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=3)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0381】
59.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=4)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0382】
60.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=5)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0383】
61.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=6)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0384】
62.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=7)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0385】
63.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=8)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0386】
64.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=10)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0387】
65.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=12)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0388】
66.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=14)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0389】
67.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=16)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0390】
68.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=18)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0391】
69.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=19)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0392】
70.スペーサーが、(GAQP)nまたは(GQAP)n(ここで、n=20)を含む、実施形態50に記載の融合タンパク質。
【0393】
71.前述の融合タンパク質が、1つの置換基を含む、実施形態1~70のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0394】
72.前述の置換基が、Lys/Kアミノ酸残基を介して結合される、実施形態1~71のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0395】
73.前述の置換基が、前述の融合タンパク質のインスリン配列内のLys/Kアミノ酸残基B29Kを介して結合される、実施形態1~72のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0396】
74.AA2およびAA3が式中に現れる順序が、独立して交換され得る、実施形態1~73のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0397】
75.式(I):Acy-AA2m-AA3p-のAcyが、1,16-ヘキサデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、および1,20-エイコサン二酸から選択される脂肪二酸基を含む、実施形態1~74のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0398】
76.Acyが、脂肪二酸基1,16-ヘキサデカン二酸を含む、実施形態75に記載の融合タンパク質。
【0399】
77.Acyが、脂肪二酸基1,18-オクタデカン二酸を含む、実施形態75に記載の融合タンパク質。
【0400】
78.Acyが、脂肪二酸基1,20-エイコサン二酸を含む、実施形態75に記載の融合タンパク質。
【0401】
79.式(I):Acy-AA2
m-AA3
p-の前述のAA2
mが、gGluを含み、これが、以下の構造によって表されるガンマグルタミン酸残基を表す、実施形態1~78のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【化8】
【0402】
80.式(I):Acy-AA2
m-AA3
p-の前述のAA3
pが、1xOEG、または[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]アセチル、またはアミノ酸残基8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸-NH(CH
2)
2O(CH
2)
2OCH
2を含み、以下の構造によって表される、実施形態1~79のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【化9】
【0403】
81.式(I):Acy-AA2m-AA3p-の前述のAA3pが、2xOEGを含む、実施形態1~80のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0404】
82.式(I):Acy-AA2m-AA3p-のAA2m-AA3p-が、gGlu-OEGまたはgGlu-OEG-OEGによって独立して表される、実施形態1~81のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【0405】
83.式(I):Acy-AA2m-AA3p-のAA2m-AA3p-が、gGlu-OEGによって表される、実施形態82に記載の融合タンパク質。
【0406】
84.式(I):Acy-AA2m-AA3p-のAA2m-AA3p-が、gGlu-OEG-OEGによって表される、実施形態82に記載の融合タンパク質。
【0407】
85.前述の置換基Acy-AA2
m-AA3
p-が、以下によって表される、実施形態1~84のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
【化10】
86.前述の置換基Acy-AA2
m-AA3
p-が、以下から選択される、実施形態85に記載の融合タンパク質。
【化11】
【0408】
87.前述の置換基Acy-AA2m-AA3p-が、以下によって独立して表される、実施形態1~86のいずれか1つに記載の融合タンパク質。
i.C16二酸-gGlu-2xOEG
ii.C18二酸-gGlu-OEG
iii.C18二酸-gGlu-2xOEG
iv.C20二酸-gGlu-2xOEG
【0409】
88.前述の置換基Acy-AA2m-AA3p-が、C16二酸-gGlu-2xOEGによって独立して表される、実施形態87に記載の融合タンパク質。
【0410】
89.前述の置換基Acy-AA2m-AA3p-が、C18二酸-gGlu-OEGによって独立して表される、実施形態87に記載の融合タンパク質。
【0411】
90.前述の置換基Acy-AA2m-AA3p-が、C18二酸-gGlu-2xOEGによって独立して表される、実施形態87に記載の融合タンパク質。
【0412】
91.前述の置換基Acy-AA2m-AA3p-が、C20二酸-gGlu-2xOEGによって独立して表される、実施形態87に記載の融合タンパク質。
【0413】
92.融合タンパク質が、インスリン受容体を活性化する、実施形態1~91のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0414】
93.融合タンパク質が、血糖を低下させる能力を有する、実施形態1~92のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0415】
94.融合タンパク質が、対照薬融合タンパク質と比較して、優れた血糖低減を示した、実施形態1~93のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0416】
95.融合タンパク質が、対照薬融合タンパク質と比較して、改善された血糖低減を示した、実施形態1~94のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0417】
96.融合タンパク質が、PCSK9に結合する、実施形態1~95のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0418】
97.融合タンパク質が、LDL-RへのPCKS9結合を阻害する、実施形態1~96のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0419】
98.融合タンパク質が、野生型EGF(A)と比較して、PCSK9に結合する改善された能力を有する、実施形態1~97のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0420】
99.PCSK9-LDL-R結合競合ELISAアッセイで測定したときの融合タンパク質のKiが、20nM未満である、実施形態1~98のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0421】
100.PCSK9-LDL-R結合競合ELISAアッセイで測定したときの融合タンパク質のKiが、5nM未満である、実施形態1~99のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0422】
101.融合タンパク質が、LDL取り込みを増加させる、実施形態1~100のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0423】
102.融合タンパク質が、LDL取り込みアッセイで測定した場合に、1000nM未満のEC50を有する、実施形態1~101のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0424】
103.融合タンパク質が、LDL取り込みアッセイで測定した場合に、500nM未満のEC50を有する、実施形態1~102のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0425】
104.融合タンパク質が、LDL取り込みアッセイで測定した場合に、200nM未満のEC50を有する、実施形態1~103のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0426】
105.前述の融合タンパク質が、実施例1~24の融合タンパク質によって表される、実施形態1~104のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0427】
106.前述の融合タンパク質が、実施例1の融合タンパク質によって表される、実施形態1~105のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0428】
107.前述の融合タンパク質が、実施例1~24の融合タンパク質によって表される、実施形態1~106のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0429】
108.前述の融合タンパク質が、実施例2~5、8~15、および17~21の融合タンパク質によって表される、実施形態1~107のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0430】
109.前述の融合タンパク質が、実施例6、7、16、22、23、および24の融合タンパク質によって表される、実施形態1~108のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0431】
110.前述の融合タンパク質が、実施例1~4、5~14、および16~24の融合タンパク質によって表される、実施形態1~109のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0432】
111.前述の融合タンパク質が、実施例1~18の融合タンパク質によって表される、実施形態1~110のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0433】
112.前述の融合タンパク質が、実施例1および3~17の融合タンパク質によって表される、実施形態1~111のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0434】
113.前述の融合タンパク質が、実施例1および3~16の融合タンパク質によって表される、実施形態1~112のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0435】
114.前述の融合タンパク質が、実施例1および3~12の融合タンパク質によって表される、実施形態1~113のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0436】
115.前述の融合タンパク質が、実施例1および3~8の融合タンパク質によって表される、実施形態1~114のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0437】
116.薬剤として使用するための、実施形態1~115のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0438】
117.糖尿病患者における循環器疾患の予防または治療で使用するための、実施形態1~116のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0439】
118.糖尿病患者における脂質パラメータを改善するための方法で使用するための、実施形態1~117のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0440】
119.以下からなる群から選択される、本発明の融合ペプチドの新規の骨格の形態の中間生成物。
【表4】
【0441】
120.糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、および/または脂質異常症の治療または予防で使用するための、実施形態1~115のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0442】
121.脂質パラメータの改善、例えば、脂質異常症の予防および/もしくは治療、総血清脂質の低下、HDL-Cの増加、LDL-Cの低下、小型高密度LDL-Cの低下、VLDL-Cの低下、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下、またはアポリポタンパク質A(apo(A))の生成の阻害のための、糖尿病患者における治療方法で使用するための、実施形態1~115のいずれかに記載の融合タンパク質。
【0443】
122.実施形態1~115のいずれかに記載の融合タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0444】
123.皮下投与のための、実施形態122に記載の医薬組成物。
【0445】
124.糖尿病の治療を必要とする患者における糖尿病の治療のための医薬組成物であって、実施形態1~115のいずれか1つに記載の治療有効量の融合タンパク質を、薬学的に許容される担体と共に含む、医薬組成物。
【0446】
125.薬剤として使用するための、実施形態122に記載の医薬組成物。
【0447】
126.糖尿病および高いリスクの循環器疾患を有する患者の治療で使用するための、実施形態122に記載の医薬組成物。
【0448】
127.糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症の治療または予防のための薬剤の製造のための、実施形態1~115のいずれか1つに記載の融合タンパク質の使用。
【0449】
128.脂質パラメータを改善するための方法であって、糖尿病患者において、実施形態1~115のいずれかに記載の薬学的に活性な量の融合タンパク質を投与するステップを含む、方法。
【0450】
129.脂質異常症の予防および/または治療、総血清脂質の低下、HDLの増加、LDL-Cの低下、小型高密度LDL-Cの低下、VLDL-Cの低下、非_HDL-C、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下など、糖尿病患者における脂質パラメータを改善するための方法であって、実施形態1~115のいずれかに記載の薬学的に活性な量の融合タンパク質を投与するステップを含む、方法。
【0451】
130.脂質パラメータの改善、例えば、脂質異常症の予防および/または治療、総血清脂質の低下、HDL-Cの増加、LDL-Cの低下、小型高密度LDL-Cの低下、VLDL-Cの低下、トリグリセリドの低下、コレステロールの低下、リポタンパク質a(Lp(a))の血漿レベルの低下、またはアポリポタンパク質A(apo(A))の生成の阻害、ならびに循環器疾患の予防および/または治療のための、糖尿病患者における治療方法で使用するための、実施形態1~115のいずれかに記載のインスリン類似体。
【0452】
131.糖尿病患者における循環器疾患の予防および/または治療のための方法であって、薬学的に活性な量の実施形態1~115のいずれかに記載の融合タンパク質を投与するステップを含む、方法。
【0453】
132.糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖症、脂質異常症の治療または予防のための方法であって、実施形態1~115のいずれか1つに記載の治療有効量の融合タンパク質の投与を必要とする対象に投与を行うことを含む、方法。
【実施例】
【0454】
【表5】
本発明は、以下の実施例を参照しながらさらに説明されるが、決して請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0455】
類似体、すなわち、二鎖非アシル化インスリンEGF(A)融合タンパク質は、以下にさらに記載されるように、e-coliまたは酵母のいずれかで発現され得る。
【0456】
E.coliおよび精製におけるEGF(A)インスリン融合化合物類似体の組み換え発現
EGF(A)インスリン融合タンパク質類似体は、封入体(IB)としてE.coli中で良好に発現され得る。
【0457】
インスリン-EGF(A)融合タンパク質類似体のcDNAをpET11b由来ベクターにサブクローニングし、次いで、プラスミドをBL21(DE3)由来宿主株に形質転換した。既知組成培地中において、流加(fed-batch)プロセスで発酵を行った。
【0458】
インスリン-EGF(A)融合タンパク質類似体を、以下のようにさらに精製した。
【0459】
細胞を採取し、細胞粉砕器を使用して、150mMのNaClを含む20mMのpH8.0トリス緩衝液中で溶解した。融合タンパク質のIBを含有する不溶性画分を回収し、500mMのNaClを含む20mMのpH8.0トリス緩衝液およびH2Oで順次洗浄した。次いで、20mMのトリス、6Mの尿素、10mMのDTT、pH9.0を使用して、IBを室温(20~25℃)で10mg/mLの濃度に可溶化した。可溶化後、リフォールディングのために、溶液を20mMのグリシン、1mMのシステイン、10mMのCaCl2、pH10.5で10倍に希釈し、リフォールディングは、室温において6~10時間で完了する。浄化(遠心分離または深層濾過)の後、Qセファロースビッグビーズ(20mMのトリス、10mMのCaCl2、10% EtOH、pH8.0)を使用して、タンパク質を捕捉した。その後、溶出プールを室温で3~4時間、1:1000の比率でALPによって処理した。次いで、切断されたタンパク質を、分離のためにSource 30RPCに適用した。最終精製工程として、緩いNaCl勾配を使用したSource 30Q(20mMのトリス、10mMのCaCl2、10% EtOH、pH8.0)を用いた。より長いスペーサー(すなわち、6回以上の反復)を有する類似体については、pH8.5を使用して、両方のアニオン交換ステップで結合を促進するべきである。
【0460】
酵母および精製におけるEGF(A)インスリン融合化合物の組み換え発現
EGF(A)インスリン融合類似体は、例えば、WO2017/032798に開示されているような周知の技術によって発現および培養される。より具体的には、インスリン-EGF(A)融合タンパク質は、以下のように調製および精製される。
【0461】
SPセファロースBB上での前駆体の捕捉:
酵母上清を、SPセファロースBBで充填されたカラム上に10~20cv/時間の流量で装填した。0.1Mのクエン酸、pH3.5による洗浄、および40% EtOHによる洗浄を行った。類似体を0.2MのNa-酢酸塩pH5.5/35% EtOHで溶出した。
【0462】
ジスルフィド架橋の再シャフリング:
SPプールをpH9に調整した。再シャフリング試薬を最終濃度まで添加し(システイン2,5mM、シスチン0,25mM、およびCaCl2 25mM)、UPLCで追跡した。
【0463】
ALP消化:
再シャフリングプールをpH9に調整し、ALP酵素を1:100(w/w)添加した。UPLCで反応を追跡した。RPHPLC精製用に調製するために、ALP切断プールをpH2.5に調整し、2倍に希釈した。
【0464】
RPHPLC精製:
精製をRPHPLC C18によって以下のように実施した。
カラム:15um C18 50×250mm 200Å
緩衝液:
A:25mMのCaCl2、0,2%ギ酸、5% EtOH
B:0,2%ギ酸、50% EtOH
勾配:20~55% B緩衝液
勾配:20CV
流量 20CV/時間
装填g 約5g/L樹脂
【0465】
分画をUPLCによって分析し、プールし、凍結乾燥させた。
【0466】
総論
以下の実施例および一般的手順は、本明細書および合成スキームにおいて特定される最終生成物に言及する。本発明の化合物の調製について、以下の実施例を使用して詳細に記載しているが、記載の化学反応は、本発明の化合物の調製に対するそれらの一般的適用可能性に関して開示されている。
【0467】
時には、本発明の開示された範囲内に含まれる各化合物に対して、反応が記載どおりには適用可能でないこともあり得る。これが生じる化合物は、当業者によって容易に認識されるであろう。これらの場合、当業者に既知の従来の修正によって、すなわち、干渉する基の適切な保護、他の従来の試薬への変更、または反応条件の通例の修正によって、反応を首尾よく実行することができる。
【0468】
代替的には、本明細書に開示される他の反応または別の従来の反応が、本発明の対応する化合物の調製に適用されることとなる。すべての調製方法では、すべての出発物質は既知であるか、または既知の出発物質から容易に調製され得る。すべての温度は摂氏温度で表されており、別段の指示がない限り、収率に言及する場合すべての部および割合は重量によるものであり、また溶媒および溶離液に言及する場合すべての部は体積によるものである。
分析方法:
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0469】
置換基の合成:
置換基を、例えばWO2009/115469に記載されるように、溶液中または固相上で合成した。
【0470】
本発明のインスリン-EGF(A)融合タンパク質のアシル化に関する一般的手順:
インスリン-EGF(A)融合タンパク質を水性緩衝液中に溶解し、任意選択で有機共溶媒(例えば、EtOH、アセトニトリル、DMSO、またはNMP)を添加し、pHを11.2に調整する。NMP(100mg/mL)中の活性化側鎖の溶液を、1M NaOHの添加によってpHを約11.2に維持しながら滴下し、反応の進行をLC-MSによってモニタリングする。反応完了時に、TFA、酢酸、または1M HClを混合物に添加する。水で希釈した後、混合物を分取HPLCによって精製する。純粋な画分をプールし、凍結乾燥させて、本発明の化合物を得る。
【0471】
この一般的手順は、以下の実施例1でさらに例示される。本発明の他のすべての化合物を同様に調製した。
【0472】
実施例1
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.1:
【化12】
EGF(A)301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、desB30)(48mL、2.44mg/mL、117mg)の溶液を、20mMのトリス、pH8.0、10mMのCaCl2、10% EtOH、50mMのNaClからなる緩衝液中に溶解した。1M NaOHでpHを11.1に上昇させた。ヘキサデカンジオイル-Glu-2xOEG-OSuの溶液(0.5mLのNMP中24mg)を、1M NaOHを使用してpHを一定の11.1に維持しながら滴下した。最終反応後、混合物に、pH1.6になるまでTFAを添加した。アセトニトリル(14mL)を混合物に添加し、その後、水で100mLにした。混合物を、RP-HPLCによって精製した。
カラム:Phenomenex Gemini、5μM 5u C18 110Å、30x250mm
流量:20mL/分
緩衝液A:MilliQ水中0.1% TFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%のTFA
勾配:20% B~50% B、線形
勾配時間:40分
画分サイズ:6mL
純粋な画分をプールし、凍結乾燥させて、表題の化合物56mgを得た。
LC-MS 38(エレクトロスプレー):m/z=1873.28(M+6)/6。計算値:1873.27。
Rt=1.67分
【0473】
実施例2
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]10-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.2:
【化13】
LC-MS 38(エレクトロスプレー):m/z=1597.35(M+9)/9。計算値:1597.00
Rt=1.75分
【0474】
実施例3
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.3:
【化14】
LC-MS 27(TOF):m/z=11552.89。計算値:11552.00
【0475】
実施例4
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.4:
【化15】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1924.39(M+6)/6。計算値:1923.83
Rt=2.13分
【0476】
実施例5
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-OEG)、desB30)
Chem.5:
【化16】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1902.01(M+6)/6。計算値:1902.1
Rt=1.8分
【0477】
実施例6
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B3E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.6:
【化17】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー): m/z=1930.74(M+6)/6。計算値:1931.02
Rt=1.89分
【0478】
実施例7
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]2-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.7:
【化18】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1928.67(M+6)/6。計算値:1928.51
Rt=2.27分
【0479】
実施例8
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQAP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.8:
【化19】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1924.33(M+6)/6。計算値:1923.83
Rt=1.87分
【0480】
実施例9
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]3-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.9:
【化20】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1983.44(M+6)/6。計算値:1982.72
Rt=2.00分
【0481】
実施例10
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]3-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.10:
【化21】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1977.18(M+6)/6。計算値:1977.05
Rt=1.8分
【0482】
実施例11
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]4-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.11:
【化22】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1527.13(M+8)/8。計算値:1527-2
Rt=1.78分
【0483】
実施例12
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]4-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.12:
【化23】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1749.96(M+7)/7。計算値:1750.10
Rt=1.71分
【0484】
実施例13
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.13:
【化24】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1845.9(M+7)/7。計算値:1846.2
Rt=1.74分
【0485】
実施例14
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.14:
【化25】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1851.01(M+7)/7。計算値:1851.07
Rt=2.07分
【0486】
実施例15
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-OEG)、desB30)
Chem.15:
【化26】
LC-MS方法4(TOF):m/z=12771.82。計算値:12771.26
【0487】
実施例16
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]6-インスリン(A14E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30
Chem.16:
【化27】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1850.16(M+7)/7。計算値:1850.21
Rt=1.98分
【0488】
実施例17
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]8-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.17:
【化28】
LC-MS方法2(エレクトロスプレー):m/z=1708.15(M+8)/8。計算値:1708.15
Rt=1.74分
【0489】
実施例18
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]12-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.18:
【化29】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1884.76(M+8)/8。計算値:1884.84
Rt=2.04分
【0490】
実施例19
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.19:
【化30】
LC-MS方法3(TOF):m/z=17545.17。計算値:17544.34
【0491】
実施例20
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.20:
【化31】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1947.0(M+9)/9。計算値:1946.6
Rt=1.73分
【0492】
実施例21
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B3E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.21:
【化32】
LC-MS方法3(TOF):m/z=17559.93。計算値:17559.35
【0493】
実施例22
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.22:
【化33】
LC-MS方法3(TOF):m/z=17573.37。計算値:17572.39
【0494】
実施例23
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(A14E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.23:
【化34】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー): m/z=1462.45(M+12)/12。計算値:1462.53
Rt=1.84分
【0495】
実施例24
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GAQP]19-インスリン(B3E、B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
Chem.24:
【化35】
LC-MS方法3(TOF):m/z=17587.97。計算値:17587.40
【0496】
対照薬化合物1
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]2-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化36】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1943.59(M+6)/6。計算値:1943.18
Rt=2.09分
【0497】
対照薬化合物2
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]8-インスリン(A14E、B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化37】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1566.29(M+9)/9。計算値:1566.27
Rt=1.79分
【0498】
対照薬化合物3
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]4-インスリン(B29K(エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化38】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1787.19(M+7)/7。計算値:1787.28
Rt=2.16分
【0499】
対照薬化合物4
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]4-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化39】
LC-MS方法3(TOF):m/z=12473。計算値:12475
【0500】
対照薬化合物5
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]2-インスリン(B29K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化40】
LC-MS方法3(TOF):m/z=11625.00。計算値:11625.00
【0501】
対照薬化合物6
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]6-インスリン(B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化41】
LC-MS方法3(TOF):m/z=13296。計算値:13298
【0502】
対照薬化合物7
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)-[GQEP]8-インスリン(A14E、B29K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30)
【化42】
LC-MS方法1(エレクトロスプレー):m/z=1758.57(M+8)/8。計算値:1758.43
Rt=1.67分
【0503】
対照薬化合物8
B29K(オクタデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン
【化43】
これは、WO2009/022006、実施例1に開示されている先行技術の分子である。
【0504】
対照薬化合物9
EGF(A)(301L、309R、312E、321E)
【化44】
この化合物を、WO2017/121850に記載されるように調製した。
【0505】
対照薬化合物10
EGF(A)(301L、309R、312E、321E、328K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、330K(ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG))
【化45】
これは、WO2017/121850、実施例151に開示されている分子である。
【0506】
実施例25
可溶化受容体上で測定した、本発明の選択されたインスリン誘導体のインスリン受容体親和性
ヒトインスリン受容体(IR)に対する本発明のインスリン誘導体の相対的結合親和性を、シンチレーション近接アッセイ(SPA)における競合結合(Glendorf T et al.(2008)Biochemistry 47 4743-4751に従うもの)によって決定する。
【0507】
簡潔には、ヒトインスリン標準および試験されるインスリン類似体の希釈系列を96ウェルOptiplate(Perkin-Elmer Life Sciences)で行い、その後、100mM HEPES(pH7.8)、100mM NaCl、10mM MgSO4、および0.025%(v/v)Tween 20からなる結合緩衝液中、[125I-A14Y]-ヒトインスリン、抗IRマウス抗体83-7、可溶化ヒトIR-A(IR-Aホロ受容体を過剰発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞由来の小麦胚芽凝集素クロマトグラフィーにより半精製されたもの)、およびSPAビーズ(抗マウスポリビニルトルエンSPAビーズ、GE Healthcare)を添加する。プレートを、穏やかに振盪しながら22℃で22~24時間インキュベートし、2000rpmで2分間遠心分離し、TopCount NXT(Perkin-Elmer Life Sciences)で計数する。
【0508】
SPAからのデータを、4パラメータロジスティックモデル(Volund A(1978)Biometrics 34 357-365)に従って分析し、類似体の結合親和性を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準の結合親和性と比較して計算する。
【0509】
結合緩衝液が、より生理学的な状態を模倣するために1.5% HSA(w/v)(Sigma A1887)を含有する、関連アッセイも使用する。
【0510】
本発明の選択されたインスリン類似体のインスリン受容体親和性および他のインビトロデータを、以下の表3に提示し、対照薬化合物に関するデータを以下の表4に提示する。
【0511】
実施例26
ラット脂肪細胞における脂質生成
本発明のインスリンのインビトロ効力の尺度として、脂質生成を使用することができる。初代ラット脂肪細胞を精巣上体脂肪パッドから単離し、例えば、1%の脂肪を含まないHSAおよび標準(ヒトインスリン、HI)または本発明のインスリンのいずれかを含有する緩衝液中3H-グルコースとインキュベートする。標識グルコースを用量依存的方法で抽出可能な脂質に変換し、完全濃度反応曲線を得る。結果を、標準(HI)と比較した本発明のインスリンの95%信頼限界での相対的効力(%)として表す。
【0512】
データを以下の表3および4に示す。
【表10】
【表11】
【0513】
本発明の化合物および対照薬化合物のインスリン受容体結合(および脂質生成効力)は異なっておらず、したがって、リンカーの組成(電荷)とは無関係であることがわかる。これは、本発明の化合物と比較して荷電GQEPリンカーを含有する対照薬化合物の効力がかなり弱い、インビボ効力の観察された差異(実施例30)と著しい対照をなしている。
【0514】
また、HSAの非存在下および1.5% HSAの存在下の両方において、ペプチドリンカーを介してEGF(A)ペプチドをインスリンのN末端に付加することによって、インスリン受容体親和性をほぼ半減させることもわかる。
【0515】
実施例27
PCSK9-LDL-R結合競合(ELISA)
このアッセイの目的は、EGF(A)化合物のPCSK9に対する見かけの結合親和性を測定することである。
【0516】
LDL-RとのPCSK9の相互作用を阻害する能力により、本発明の化合物はPCSK9阻害剤と呼ばれることもある。
【0517】
実験前日、組換えヒト低密度リポタンパク質受容体(rhLDL-R;NSO由来;R&D systems#2148-LDまたは自社生産)を50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)に1μg/mLで溶解した後、100μLの溶液をアッセイプレート(Maxisorp 96、NUNC #439454)の各ウェルに加え、4℃で一晩覆った。実験当日、ビオチン化PCSK9(0.5ug/mL、BioSite/BPSBioscienceカタログ番号71304または自社生産)を含有するEGF(A)化合物の8点濃度曲線を複製して作製した。EGF(A)化合物およびビオチン化PCSK9の混合物を製造し、25mm Hepes、pH7.2(15630-056、100mL、1M)、150mm NaCl(Emsure 1.06404.1000)1% HSA(Sigma A1887-25G)0.05% Tween 20(Calbiochem 655205)2mm CaCl2(Sigma 223506-500G)を含有するアッセイ緩衝液中で室温で1時間培養した。次に、覆われたアッセイプレートを200μLアッセイ緩衝液で4回洗浄した後、100μLのEGF(A)化合物とビオチン化PCSK9の混合物をプレートに加え、室温で2時間培養した。プレートを、200μLのアッセイ緩衝液で4回洗浄した後、ストレプトアビジン-HRP(25ng/mL;VWR #14~30-00)と共に室温で1時間培養した。反応は、50μLのTMB-on(KEM-EN-TEC)を加えて、暗所で10分間培養することにより検出される。次に、混合物に50μLの4M H3PO4を電子マルチピペッティングによって加えることによって反応を停止した。次に、プレートを1時間以内に450nmおよび620nmでSpectramaxで読み取った。620nmの読取値をバックグラウンド除去法用に使用した。IC50値は、Graphpad Prismを使用して、非線形回帰対数(阻害剤)と反応-変数勾配(4パラメータ)によって計算され、以下の式を使用してKi値に変換した:Ki=IC50/(1+(ビオチン-PCSK9)/(kd(ビオチン-PCSK9)))、式中、ビオチン-PCSK9のKdは、1.096727714μg/mLであり、[ビオチン-PCSK9]=0,5(μg/mL)である。
【0518】
本発明の化合物の結果を以下の表5に示し、対照薬化合物のデータを以下の表5に示す。Ki値が高くなると、PCSK9に対する見かけの結合親和性が低く反映され、その逆もそうである。一般に、多数の試験したEGF(A)化合物が、低いnM範囲でhLDL-Rへの結合におけるPCSK9を阻害する能力を示した。
【表12】
【表13】
【0519】
本発明の化合物および対照薬化合物のPCSK9結合は異なっておらず、したがって、リンカーの組成(電荷)とは無関係であることがわかる。
【0520】
また、リンカーおよびインスリンをEGF(A)ペプチドのC末端に付加することが、PCSK9への結合を変化させないことも観察され得る。
【0521】
実施例28
HepG2細胞におけるLDL取り込みアッセイ
PCSK9ペプチドおよびその誘導体の阻害強度を決定するための代替アッセイおよびHepG2細胞内におけるLDLの取り込みの測定を以下に記載する。
【0522】
アッセイ原則:LDL取り込みは、主に内因的に発現されるhLDL-Rによって媒介され、したがってLDL取り込み能力は、LDL-R発現の間接的尺度である。hLDL-Rは、用量依存的に外因性PCSK9と共に培養することにより下方制御することができる。したがって、PCSK9培養は、細胞がLDL分子を取り込む能力を減少させる。次に、LDL取り込みのこの下方制御は、PCSK9/LDL-R結合を中和または阻害する化合物の添加によって拮抗され得る。したがって、PCSK9阻害剤は、それらがPCSK9の存在下でLDL取り込みを増加する、例えばPCSK9媒介性hLDL-R下方制御を妨げる能力に基づいて特徴付けることができる。
【0523】
アッセイは、10%リポタンパク質欠損ウシ胎児血清(Sigma Aldrich #S5394)中で培養されたHepG2細胞(Sigma Aldrich ECACC:Acc no.85011430)を使用して実施され、細胞がBODIPY蛍光標識されたLDL粒子(Life technologies Europe BV #L3483)を取り込む能力が測定される。
【0524】
アッセイプロトコル:96ウェルプレート(Perkin Elmer、ViewPlate-96 Black #60005182)が、インキュベーター内で37℃において1時間、ポリ-D-リシンで被覆された(10mg/L、Sigma Aldrich #P6407、PBS Gibco #14190-094に溶解)。次に、プレートを100μLのPBS(Gibco #14190-094)で2回洗浄した。EGF(A)化合物の8点濃度曲線のための試験組成物をアッセイ培地(DMEM(Gibco #31966-021)中で希釈したPCSK9(10μg/mL、自社生産)、10%リポタンパク質欠損ウシ胎児血清(Sigma Aldrich #S5394)および1%ペンストレップ(Cambrex #DE17-602E)をすべて含めて製造し、50μL/ウェルの体積でプレート上に添加した。
【0525】
30~60分後、50.000個のHepG2細胞(Sigma-Aldrich:ECACC:ATCC no.85011430、ロット:13B023)をアッセイ培地で希釈したものを50μL/ウェルの量で加え、プレートをCO2透過性プラスチックバッグ(Antalis Team、LDPEバッグ120/35x300x0,025mm #281604)内で20時間(37℃、5%CO2で)インキュベートした。この後、プレートを空にし、その直後に、アッセイ媒体中10μg/mLの濃度の50μLのFL-LDL(Life technologies Europe BV #L3483)を各ウェルに加え、プレートを、光から保護するために蓋の上に黒いカバーを使用したCO2透過性プラスチックバッグ内で2時間(37℃、5%CO2で)インキュベートした。プレートを空にし、100μLのPBS(Gibco #14190-094)で2回洗浄した。次に、100μLのPBS(Gibco #14190-094)を加え、その後15分以内に、SpecktraMax M4(Molecular Probes、Invitrogen Detection Technologies)上でフィルターEx(515nm)/Em(520nm)を使用してプレートを読み取った(底部読み取り)。
【0526】
最後に、GraphPad Prism、非線形回帰曲線フィット、S字状用量応答(可変勾配)を使用してEC50値を計算した。
結果を上記の表に示す。より低いEC50値は、LDL取り込みのPCSK9を媒介した下方制御を逆転する能力がより高いことを反映し、より高いEC50値は、LDL取り込みのPCSK9を媒介した下方制御を阻害する能力がより低い化合物であることを示す。
示されるように、試験した化合物は、LDL取り込みアッセイで100~200nMのEC50を示し、LDL取り込みのPCSK9を媒介した下方制御を逆転する能力が高い化合物であることを示している。
【0527】
実施例29
ラット薬物動態、静脈内ラットPK:
意識のある非絶食雄Sprague-Dawleyラット、~300グラムに、様々な用量のインスリン類似体を静脈内(i.v.)投与し、用いた化合物の血漿濃度を、免疫測定法または質量分析法を使用して、投与後最大48時間にわたって所定の間隔で測定する。続いて、WinNonLin Professional(Pharsight Inc.,Mountain View,CA,USA)を使用して、薬物動態パラメータを計算する。
【表14】
【表15】
【0528】
本発明の化合物は、類似の対照薬化合物と類似のPKプロファイルを有すると結論付けられる。したがって、PKデータは、本発明の化合物と比較して荷電GQEPリンカーを含有する対照薬化合物の効力がかなり弱い、インビボ効力の観察された驚くべき差異(実施例30)を説明することができない。
【0529】
実施例30
Sprague Dawleyラットにおける本発明および先行技術のインスリン類似体の皮下PK/PDプロファイル
本発明の融合ペプチド誘導体は、ラットへの皮下投与によって、例えば、このプロトコルに従って先行技術の類似のB29Kアシル化インスリン類似体と比較することによって試験され得る。誘導体は、薬物動態および/または薬力学パラメータについて試験され得る。
【0530】
インビボプロトコール
これらの実験には、意識のある非絶食雄Sprague-Dawleyラット、~350グラムを使用する。試験期間中(投与後最大30時間)、ラットは水および食物への自由なアクセスを有する。ラットの首に、NovoPen Echo(登録商標)を使用して皮下投与する(90nmol/kg、600μMのインスリン誘導体の製剤)。0分(投与前)ならびにインスリン誘導体の投与後15分、1、2、4、5.5、7、24、29/30時間、および最終的には毎日最大30時間の時点で、血液試料を採取し(舌下静脈、200μLをmicrovette(登録商標)200 EDTA管に注入)、血漿を回収する。グルコースおよび最終的にはインスリン誘導体の血漿濃度を、BIOSENアナライザーおよび免疫測定法/LCMS分析のそれぞれを使用して定量化する。
【0531】
図1および
図2から、スペーサー2xGAQP、3xGAQP、4xGAQP、6xGAQP、8xGAQP、および10xGAQPが同等のインスリン効力を付与している一方、より長いスペーサー12xGAQPおよび19xGAQPは、インスリン効力を損なうと結論付けられる。
【0532】
図3を観察すると、スペーサー2xGAQPおよび8xGAQPが同等のインスリン効力を付与している一方、スペーサー2xGQEPおよび8xGQEPは、インスリン効力を驚くほどかつ著しく損なうと結論付けられる。
【0533】
図4を観察すると、インスリン置換A14EまたはB3Eを有するリンカー2xGAQP、4xGAQP、および6xGQAPを含有する化合物の血糖降下効果は、等しい効力を有し、かつそれぞれリンカー2xGQEPおよび8xGQEPを含有する対照薬化合物1および2、ならびにビヒクルの血糖降下効果よりも優れていると結論付けられる。
【0534】
図5を観察すると、スペーサー2xGAQPおよび2xGQAPが同等のインスリン効力を付与している一方、スペーサー2xGQEPは、インスリン効力を驚くほど損なうと結論付けられる。
【0535】
図6を観察すると、スペーサー4xGAQPについて、インスリン置換desB30、およびA14E、desB30が同等のインスリン効力を付与している一方、スペーサー4xGQEPは、インスリン効力を驚くほど損なうと結論付けられる。
【0536】
図7を観察すると、インスリン置換desB30、およびB3E、desB30は、等しいインスリン効力を付与しており、1つおよび2つのOEG部分を含有する側鎖が同等のインスリン効力を付与している一方、スペーサー2xGQEPは、スペーサー2xGAQPを有する類似の化合物と比較して、インスリン効力を驚くほど損うと結論付けられる。
【0537】
図8を観察すると、インスリン置換desB30、およびA14E、desB30は、等しいインスリン効力を付与しており、1つおよび2つのOEG部分を含有する側鎖が同等のインスリン効力を付与している一方、スペーサー6xGQEPは、スペーサー6xGAQPを有する類似の化合物と比較して、インスリン効力を驚くほど損うと結論付けられる。
【0538】
図9を観察すると、実施例1の側鎖ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG、スペーサー2xGAQPを有するインスリンが、スペーサー2xGQEPおよび8xGQEPよりもはるかに高いインスリン効力を驚くべきことに付与していると結論付けられる。
【0539】
図10を観察すると、エイコサンジオイル-gGlu-2xOEG、スペーサー6xGAQPを有するインスリンが、スペーサー4xGQEPよりもはるかに高いインスリン効力を驚くべきことに付与していると結論付けられる。
【0540】
図11を観察すると、非荷電リンカーを介して本発明のEGF(A)部分をインスリンに付加すると、インスリン単独の効力と比較して、類似の糖力学的効力を有する化合物がもたらされると結論付けられる。本発明の融合タンパク質は、基礎インスリンに有利である作用の開始が遅い。
【0541】
実施例31
概念モデルの急性インビボ試験 ストレプトゾトシン誘発性糖尿病マウスにおけるヒトPCSK9(hPCSK9)攻撃接種モデル
このモデルの目的は、インスリン-EGF(A)融合タンパク質の二重活性を実証することである。二重活性は、インスリン-EGF(A)系抗PCSK9ペプチドで静脈内注射hPCSK9の作用を阻害することによるマウス肝臓におけるLDL受容体発現レベルの上昇、および分子のインスリン部分によるグルコース降下効果を意味する。
【0542】
方法:健康な雄BalBCマウス(Charles River,Germany)を、単回の高皮下(s.c.)用量のストレプトゾトシン(230~250mg/kg)によって糖尿病の状態にした。5~7日後、糖尿病動物を指定された処置群に無作為化した。実験当日、動物に、ビヒクル、EGF(A)誘導体、またはインスリン-EGF(A)融合タンパク質を、t=0分において静脈内(i.v.)注射した(グラフ上の1回目の投与)。t=15分において、hPCSK9またはビヒクルを0.4mg/kgの用量でi.v.注射した(グラフ上の2回目の投与)。血糖値を、時間=0、15、45、および75分において測定した。hPCSK9の注射の60分後(t=75分)、動物をイソフルランで麻酔し、頚椎脱臼によって安楽死させた。肝臓を速やかに切除し、液体窒素中で凍結させた。肝臓試料を分析まで摂氏-80度に保った。肝臓試料中のLDL-rタンパク質を、ELISAによって定量化した。
【0543】
マウスLDL-R ELISA:肝臓片(10mg)を、鋼ビーズを使用して、TissueLyser上で2.5分、30Hzにおいて、500uLのPBS中で均質化した。次いで、組織を、500uLの2X Lysis Buffer 2(R&D systemsカタログ番号895347)を添加することによって溶解し、シェーカー(500rpm)上で1時間インキュベートした。肝臓溶解物を20000g、4℃で10分間遠心分離した。透明上清を、キャリブレーター希釈剤で50倍に希釈し、50uLを、mLDL-R ELISA(RD Systems MLDLR0)上での分析に使用した。肝臓溶解物中のLDL-R濃度の値を、同じ試料中のタンパク質濃度で正規化した。溶解物をPBS中で20倍に希釈し、25uLを、Pierce BCA Protein Assay Kit(カタログ番号23225)に従った2つの複製におけるタンパク質定量に使用した。
【0544】
ストレプトゾトシン糖尿病マウスへの化合物の投与後の血糖変化および肝臓LDL-rタンパク質の発現を調査することによって、インスリン-EGF(A)融合タンパク質に対するインビボ二重活性が実証された。実施例3のインスリン-EGF(A)融合タンパク質を0、3、10、30、および100nmol/kgで投与した(n=1群当たり5~6匹の動物)。
図12は、マウスに投与されたhPCSK9が、肝臓LDL受容体タンパク質のほぼ完全な下方制御をもたらしたことを示す。インスリン-EGF(A)融合タンパク質は、用量依存的な方法でLDLrタンパク質のこのPCSK9媒介性下方制御を効果的に防止した。さらに、インスリン-EGF(A)融合タンパク質は、血糖を用量依存的に低下させた(
図13)。さらに、2つのインスリン-EGF(A)融合タンパク質が、EGF(A)誘導体のみで見られたものと同様に、LDLrタンパク質のhPCSK9媒介性下方制御を防止することができたことが示された(
図14)。
【配列表】