(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】風力タービンを海上の下部構造体の上に設置するための多機能クランプ、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F03D 13/25 20160101AFI20240213BHJP
E04H 12/34 20060101ALI20240213BHJP
B66C 1/62 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
F03D13/25
E04H12/34
B66C1/62 E
(21)【出願番号】P 2021540438
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2020050378
(87)【国際公開番号】W WO2020148719
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516208282
【氏名又は名称】サイペム エスピーアー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】セクストン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ストークス,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,ヴィンセント
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-002751(JP,A)
【文献】国際公開第2010/023743(WO,A1)
【文献】特開2011-112045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0168654(US,A1)
【文献】特開2016-173096(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139918(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/25
F03D 13/20
F03D 13/10
E04H 12/34
B66C 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンを海上の下部構造体の上に、リフティングクレーンを含むクレーン船を用いて設置するための多機能クランプであって、前記多機能クランプ(7)が、
-前記風力タービン(2)のタワー(12)を選択的にクランプ及びアンクランプするように構成され、且つ、前記クレーン船(5)に対する前記タワー(12)のための所与の位置を画定するように前記クレーン船(5)と連結する形状にされた本体(27)と、
-前記本体(27)から延在する複数のフッキング部材(31)と、を備え、前記複数のフッキング部材(31)が、前記多機能クランプ(7)を前記リフティングクレーン(6)により持ち上げるために前記リフティングクレーン(6)のリギングアセンブリ(11)の自由端を前記本体(27)に固定及び解放するように構成されている、多機能クランプ。
【請求項2】
複数のジョー(29)を備えた前記多機能クランプであって、前記複数のジョー(29)が、前記本体(27)より内側に延在し、且つ、前記タワー(12)を選択的にクランプ及びアンクランプするように構成され、且つ、前記多機能クランプが、前記ジョー(29)を制御するための複数の第1アクチュエータ(30)を備えている、請求項1に記載の多機能クランプ。
【請求項3】
各前記フッキング部材(31)が、それぞれ位置合わせされた穴を有する2つのフランジと、両方の穴に挿入されるように構成されたピンと、前記フランジの一方に取り付けられた第2アクチュエータ(33)とを含む、請求項1又は2に記載の多機能クランプ。
【請求項4】
前記本体(27)が環状であり、且つ
、第3アクチュエータ(37)により、開放状態に開放可能であり且つ閉鎖状態に閉鎖可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多機能クランプ。
【請求項5】
前記本体(27)が、第1セクタ、第2セクタ及び第3セクタ(34,35,36)を含み、前記第2セクタ及び前記第3セクタ(35,36)が、前記第1セクタ(34)の対向側にヒンジ連結されたそれぞれの第1端部と、互いに選択的にロック可能なそれぞれの第2端部とを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の多機能クランプ。
【請求項6】
前記第1セクタ(34)が、前記クレーン船(5)に対する前記多機能クランプ(7)の所与の位置を画定するように、前記クレーン船(5)に連結するために存在する平行な穴(28)を含む、請求項5に記載の多機能クランプ。
【請求項7】
風力タービンを海上の下部構造体の上に設置するためのシステムであって、前記風力タービン(2)が、タワー(12)と、ナセル(13)及びハブ(15)を含むサブアセンブリ(17)と、多数のブレード(16)と含み、前記システム(1)が、
-メインデッキ(19)及び少なくとも1つのリフティングクレーン(6)を含むクレーン船(5)と、
-請求項1~6のいずれか一項に記載の多機能クランプ(7)と、
-前記クレーン船(5)に搭載され且つ前記多機能クランプ(7)に連結してタワー(12)を支持するように構成されたデッキ拡張モジュール(10)と、を備えたシステム(1)。
【請求項8】
前記デッキ拡張モジュール(10)が、前記タワー(12)の下端を拘束及び支持するためのピット(24)を含む下部デッキ(21)を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記デッキ拡張モジュール(10)が上部デッキ(22)を含み、前記上部デッキ(22)が、前記ピット(24)と位置合わせされた多機能クランプ(7)を保持するために前記多機能クランプ(7)と形状的に連結するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記上部デッキ(22)と前記多機能クランプ(7)とが、前記上部デッキ(22)の上の前記多機能クランプ(7)の位置が所与の軸に沿って画定されるように相互連結のための複数の凹部及び突起(25)を含む、請求
項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記タワー(12)の上部を選択的にクランプ及びアンクランプするように構成された安定フレーム(8)を備えた、請求項7~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記デッキ拡張モジュール(10)が、前記安定フレーム(8)を静止位置で支持するように構成された上部構造体(23)を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記リフティングクレーン(6)が、巻上げライン(45)を含むリギングアセンブリ(11)を備え、前記巻上げライン(45)が、前記多機能クランプ(7)に固定され、且つ、前記風力タービン(2)を持ち上げるために前記安定フレーム(8)に連結される、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
海上の下部構造体の上に風力タービンを設置するための方法であって、
-風力タービン(2)のタワー(12)を、請求項1~5のいずれか一項に記載の多機能クランプ(7)を用いて、直立位置でクランプするステップと、
-前記多機能クランプ(7)が前記タワー(2)を直立状態に保持した状態で、前記風力タービン(2)を、前記クレーン船(5)のリフティングクレーン(6)を用いて組み立てるステップと、
-前記リフティングクレーン(6)のリギングアセンブリ(11)を多機能クランプ(7)に固定することにより前記風力タービン(2)を持ち上げるステップと、
-前記風力タービン(2)を前記海上の下部構造体(3)上に降下させるステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記リギングアセンブリ(11)の部品を、前記タワー(12)の上部にクランプされた安定フレーム(8)のガイド(50)内に拘束するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リギングアセンブリ(11)の部品を、前記タワー(12)の上部にクランプされた安定フレーム(8)のガイド(50)内に拘束する前記ステップが、
-前記リギングアセンブリ(11)の第1リギング(39)を、前記クレーン船(5)の第1リフティングクレーン(6)により、前記第1リギング(39)の部品を前記安定フレーム(8)の第1の側から前記安定フレーム(8)の前記ガイド(50)に挿入するように制御するステップと、
-第2リギング(39)を、前記クレーン船(5)の第2リフティングクレーン(6)を用いて、前記第2リギング(11)の部品を前記安定フレーム(8)の第2側から前記安定フレーム(8)の前記ガイド(50)に挿入するように制御するステップと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
-風力タービン(2)のタワー(12)を、前記クレーン船(5)に取り付けられたデッキ拡張モジュール(10)の上に配置するステップを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
-前記クレーン船(5)の前記リフティングクレーン(6)を用いて、前記タワー(12)を前記デッキ拡張モジュール(10)の下部デッキ(21)のピット(24)内に配置するステップと、
-前記デッキ拡張モジュール(10)の上部デッキ(22)の上の前記ピット(24)に位置合わせして保持された前記多機能クランプ(7)を用いて前記タワー(12)をクランプするステップと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記多機能クランプ(7)を前記上部デッキ(22)に、前記多機能クランプ(7)のための前記上部デッキ(22)に沿った所与の位置を画定する協働手段により選択的に連結するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記多機能クランプ(7)に電力を供給するステップと、前記多機能クランプ(7)及び前記クレーン船(5)に接続されたアンビリカル(60)により、前記クレーン船(5)と前記多機能クランプ(7)との間で信号を交換するステップと、を含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記リフティングクレーン(6)に吊り下げられたときの前記多機能クランプ(7)の位置を、前記クレーン船(5)から制御されるタッガ線(61)を用いて制御するステップを含む、請求項14~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記リフティングクレーン(6)に吊り下げられた1つのブレード(16)の位置を、さらなるタッガ線(64)と、前記リフティングクレーン(6)の上に取り付けられたブレード安定フレーム(9)とにより制御するステップを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
選択的に、前記ブレード安定フレーム(9)を動作状態に延在させ、前記ブレード安定フレーム(9)を静止状態に後退させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記多機能クランプ(7)が前記タワー(12)を直立位置に保持している間に、前記クレーン船(5)のリフティングクレーン(6)を用いて前記風力タービン(2)を組み立てるステップが、さらに
-ナセル(13)及びハブ(15)を備えた1つのサブアセンブリ(17)を前記タワー(12)の上部に、前記サブアセンブリを前記タワー(12)の上部に取り付けるために持ち上げるステップと、
-水平位置にある1つのブレード(16)を前記ハブ(15)まで、前記ブレード(16)を前記ハブ(15)に取り付けるために持ち上げるステップと、
-前記風力タービン(2)の全ての前記ブレード(16)を前記ハブ(15)に取り付けるために上述のステップを繰り返すステップと、を含む、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
複数のタワー(12)、複数のサブアセンブリ(17)、及び複数のブレード(16)を前記クレーン船(5)のメインデッキ(19)に格納するステップを含む、請求項14~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
-前記複数のタワー(12)、前記複数のサブアセンブリ(17)、及び前記複数のブレード(16)を、移送船(18)により陸上の建設現場(4)から前記クレーン船(5)に輸送するステップと、
-前記複数のタワー(12)、前記複数のサブアセンブリ(17)、及び前記複数のブレード(16)を、前記移送船(18)から前記メインデッキ(19)に、前記クレーン船(5)の1つのリフティングクレーン(6)を用いて移送するステップと、を含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年1月17日に出願された欧州特許出願第19152411.5号の優先権を主張し、その開示内容の全てを援用して本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、海上の下部構造体の上に風力タービンを設置するための多機能クランプに関する。
【0003】
また、本発明は、海上の下部構造体の上に風力タービンを設置するための多機能クランプを利用するシステム及び方法に関する。
【0004】
本発明のために、用語「風力タービン」は、タワーと、タワーの上部に取り付けられたナセルと、ハブ及び完全なブレードのセットを含むナセルに取り付けられたロータとを含む風力タービンを示す。
【0005】
用語「タワー」は、細長い鉛直の構造物を示し、用語「ナセル」は、発電機を収容し、且つ、タワーの軸を中心に回転可能にタワーの上に取り付けられるように構成された構造体を示す。用語「ロータ」は、ナセルに回転可能に装着されるハブを含むアセンブリを示す。
【0006】
用語「海上の下部構造体」は、水域の海底に荷重を伝達するための支持構造物及び基礎を示す。
【背景技術】
【0007】
海上風力タービンに関する現在のトレンドは、風力タービンの電力出力の増大化を検討し続け、風力タービンの大型化を必要としている。現在試験中のいわゆるハイパワー(高電力出力)風力タービンは、ロータ直径が240mに達する可能性がある。
【0008】
海上風力発電は、風力タービンを設置場所まで船で運び、風力タービンを海上のそれぞれの下部構造体に設置することを必要とする。これらの作業は複雑であり、風力タービンのサイズが大きくなるほど複雑性が増す。
【0009】
問題の1つは、風力タービンの部品のうち、どれだけの個数の部品を陸上の作業場/港で事前に組み立てることができ、そして、どれだけの個数の部品を海上の場所で組み立て得るかということである。
【0010】
ハイパワー風力タービンを設置する場所は、通常、海上に位置するため、輸送のために高スペックの船が必要であり、従って、一日当たりの費用が高くなり得る。
【0011】
海上風力タービンの設置に関する主な問題点を記載した特許文献が幾つかある。
【0012】
例えば、特許文献1は、カンチレバーマストを備えた設置用ジャッキアップ船を開示しており、カンチレバーマストは、風力タービン部品をジャッキアップ船のデッキから海上の設置場所に移送し、そして、風力タービン部品の望ましくない揺動を防止するように移送をガイドするために用いられる。
【0013】
別の実施形態において、風力タービン部品の、ジャッキアップ船から海上設置場所への移送及びガイドを行うために、メインクレーンがガイドアームと協働するように使用される。
【0014】
別の実施形態において、組み立てられた複数の完全な風力タービンが、ジャッキアップ船から設置場所に移送される。
【0015】
特許文献2は、ブレードを陸上からジャッキアップ船に移送し、2つの上部ブレードを、保持及び組立フレームを用いて組み立て、3つ目のブレードを組み立て、ナセルを完全なロータと共にタワーより上に持ち上げ、そしてナセルをタワーの上部に取り付けることを開示している。
【0016】
設置場所が水深の深い場所である間、設置用ジャッキアップ船の代わりにDP制御(DP-controlled)船が用いられる。
【0017】
特許文献3は、以下のステップを含む設置方法を開示している。すなわち、
-DP制御船のデッキ上に、1枚のブレードが取り付けられてデッキ上に水平に配置されたタワーと、ナセルと、ナセルに取り付けられ、且つハブ及びバニーイヤー型の2枚のブレードを含むロータと、を搭載するステップと、
-ブレードが取り付けられたタワーを垂直に立てるステップと、
-タワー及び前記ブレードを海上の下部構造体の上に設置するステップと、
-ナセル及びロータをタワーより上に持ち上げてナセルをタワーの上部に連結させるステップと、である。
【0018】
特許文献4は、風力タービンを、水域水底に設置された基礎と、風力タービンを収容するためのソケットとを備えた海上の下部構造体に、船を用いて設置することを開示している。船は、風力タービンを、船のデッキ上にてリクライニングポジションで移送するように構成されており、Aフレーム(風力タービンを下部構造体より上に立設して風力タービンをソケットにネスティングするようにウインチにより操作される)を備えている。
【0019】
一般的に、風力タービンを海上に設置する際には複数の問題が生じ、これらは、幾つかの部品(例えば、通常ガラス繊維で作られたブレード)の繊細な構造、及び、時代と共に増大する風力タービンの形状及びサイズによるものである。
【0020】
上述の問題は、設置場所の水深が深く、また、波や風により現場での風力タービンの組み立て及びその他の何等かの設置に関する作業が妨害される場合にさらに顕著になる。
【0021】
水深が深い場所でハイパワー風力タービンを組み立てる場合、さらなる問題に直面する。すなわち、タワーを海上の下部構造体付近にて所与の直立位置に保持すること、そして、風力タービンをこの位置から海上の下部構造体まで安全に移動させることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】欧州特許出願公開第2,275,340号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/195,768号明細書
【文献】欧州特許第2,219,986号明細書
【文献】英国特許出願公開第2,423,108号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の1つの目的は、深海においても風力タービンを海上の下部構造体の上に安全で簡易に設置するための多機能クランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、風力タービンを海上の下部構造体の上に、リフティングクレーンを含むクレーン船を用いて設置するための多機能クランプが提供される。前記多機能クランプは、
-前記風力タービンのタワーを選択的にクランプ及びアンクランプするように構成され、且つ、前記クレーン船に対する前記タワーのための所与の位置を画定するように前記クレーン船と連結する形状にされた本体と、
-前記本体から延在する複数のフッキング部材と、を備え、前記複数のフッキング部材は、前記多機能クランプを前記リフティングクレーンにより持ち上げるために前記リフティングクレーンのリギングアセンブリの自由端を前記本体に固定及び解放するように構成されている。
【0025】
このようにして、前記多機能クランプは、前記タワーを前記クレーン船に対して直立位置に保ち、前記風力タービンの安全な組み立てを可能にし、前記風力タービンを前記海上の下部構造体の上に設置するために前記風力タービンを昇降させる機能を有する。
【0026】
詳細には、前記多機能クランプは複数のジョーを備え、前記複数のジョーは、前記本体より内側に延在し、且つ、前記タワーを選択的にクランプ及びアンクランプするように構成されている。前記多機能クランプは、前記ジョーを制御するための複数の第1アクチュエータを備えている。
【0027】
このようにして、前記多機能クランプのクランピング及びアンクランピングが、遠隔操作可能なアクチュエータにより行われる。
【0028】
詳細には、各前記フッキング部材は、それぞれ位置合わせされた穴を有する2つのフランジと、両方の穴に挿入されるように構成されたピンと、前記フランジの一方に取り付けられた第2アクチュエータとを含む。
【0029】
このようにして、リギングアセンブリとの接続を遠隔位置から制御できる。
【0030】
詳細には、前記本体は環状であり、且つ、好ましくは第3アクチュエータにより、開放状態に開放可能であり且つ閉鎖状態に閉鎖可能である。
【0031】
このようにして、前記タワーを前記クランプの内部に簡単に挿入できる。
【0032】
詳細には、前記本体は、第1セクタ、第2セクタ及び第3セクタを含み、前記第2セクタ及び前記第3セクタは、前記第1セクタの対向側にヒンジ連結されたそれぞれの第1端部と、互いに選択的にロック可能なそれぞれの第2端部とを含む。
【0033】
このようにして、前記クランプは前記風力タービンの高負荷を安全に保持できる。
【0034】
詳細には、前記第1セクタは、前記クレーン船に対する前記多機能クランプの所与の位置を画定するように、前記クレーン船に連結するために存在する平行な穴を含む。
【0035】
このようにして、前記第1セクタが前記多機能クランプの所与の位置を画定した状態で前記第2セクタ及び前記第3セクタを開閉できる。
【0036】
本発明の別の目的は、深海においても風力タービンを海上の下部構造体の上に安全で簡易に設置するためのシステムを構築することである。
【0037】
本発明によれば、風力タービンを海上の下部構造体に設置するためのシステムが提供され、前記風力タービンは、タワーと、ナセル及びハブを含むサブアセンブリと、多数のブレードとを含む。前記システムは、
-メインデッキ及び少なくとも1つのリフティングクレーンを含むクレーン船と、
-本発明に開示された多機能クランプと、
-前記クレーン船に搭載され、且つ前記多機能クランプに連結してタワーを支持するように構成されたデッキ拡張モジュールと、を備えている。
【0038】
このようにして、前記デッキ拡張モジュールは、リフティングクレーンの操作のための、及び、前記風力タービンを前記クレーン船から前記海上の下部構造体へ移送するための好ましい位置に配置されることができ、前記クレーン船の前記メインデッキは、前記風力タービンの部品を格納するために空いた状態である。
【0039】
詳細には、前記デッキ拡張モジュールは、前記タワーの下端を拘束及び支持するためのピットを含む下部デッキを含む。
【0040】
このようにして、前記リフティングクレーンは前記タワーをピット内に降下させ、そして前記風力タービンを前記ピットから持ち上げる。
【0041】
詳細には、前記デッキ拡張モジュールは上部デッキを含み、前記上部デッキは、前記ピットと位置合わせされた多機能クランプを保持するために前記多機能クランプと形状的に連結するように構成されている。
【0042】
このようにして、前記多機能クランプの位置が前記上部デッキに沿って画定され、前記タワーは前記ピット及び前記多機能クランプにより相互に位置合わせして拘束される。
【0043】
すなわち、前記上部デッキと前記多機能クランプとは、前記上部デッキの上の前記多機能クランプの位置が所与の軸に沿って画定されるように相互連結のための複数の凹部及び突起を含む。
【0044】
このようにして、前記リフティングクレーンに対する前記タワーの位置が良好に画定される。
【0045】
詳細には、前記システムは、前記タワーの上部を選択的にクランプ及びアンクランプするように構成された安定フレームを備えている。
【0046】
前記安定フレームは、前記風力タービンが、前記風力タービンの重心より下の前記タワーの下部にクランプされた前記多機能クランプにより前記ピットから持ち上げられる際に必要である。
【0047】
前記風力タービンの組み立て中は静止位置であり、前記デッキ拡張モジュールは、前記安定フレームを前記静止位置で支持するように構成された上部構造体を含む。
【0048】
詳細には、前記リフティングクレーンは、巻上げラインを含むリギングアセンブリを備え、前記巻上げラインは前記多機能クランプに固定され、且つ、前記風力タービンを持ち上げるために前記安定フレームに連結される。
【0049】
このように、前記風力タービンはリフティングクレーンのリギングアセンブリに直接接続されず、海上の前記下部構造体に設置されるときに前記多機能クランプをアンクランプして開放することにより解放され得る。
【0050】
本発明の別の目的は、深海においても風力タービンを海上の下部構造体の上に安全で簡易に設置するための方法を提供することである。
【0051】
本発明によれば、海上の下部構造体の上に風力タービンを設置するための方法が提供され、この方法は、
-風力タービンのタワーを、本発明に開示された多機能クランプを用いて、直立位置でクランプするステップと、
-前記多機能クランプが前記タワーを直立状態に保持した状態で、前記風力タービンを、前記クレーン船のリフティングクレーンを用いて組み立てるステップと、
-前記リフティングクレーンのリギングアセンブリを多機能クランプに固定することにより前記風力タービンを持ち上げるステップと、
-前記風力タービンを前記海上の下部構造体の上に降下させるステップと、を含む。
【0052】
本発明の方法は、前記風力タービンの組み立て中に前記タワーを前記クレーン船に対して所与の位置に保持する前記多機能クランプの機能と、前記風力タービンを前記クレーン船から海上の前記下部構造体に移送する機能の証拠を示す。
【0053】
詳細には、前記方法は、前記リギングアセンブリの部品を、前記タワーの上部にクランプされた安定フレームのガイド内に拘束するステップを含む。
【0054】
これにより、前記多機能クランプが前記風力タービンの重心よりも低い前記タワーの下部にクランプされていても、前記クレーンが前記風力タービンを、前記多機能クランプに固定されたリギングアセンブリを用いて持ち上げる際に、荷重が安定して制御される。
【0055】
詳細には、前記リギングアセンブリの部品を、前記タワーの上部にクランプされた安定フレームのガイド内に拘束する前記ステップが、
-前記リギングアセンブリの第1リギングを、前記クレーン船の第1リフティングクレーンにより、前記第1リギングの部品を前記安定フレームの第1の側から前記安定フレームの前記ガイドに挿入するように制御するステップと、
-第2リギングを、前記クレーン船の第2リフティングクレーンを用いて、前記第2リギングの部品を前記安定フレームの第2側から前記安定フレームの前記ガイドに挿入するように制御するステップと、を含む。
【0056】
これにより、前記リギングアセンブリの前記ガイドへの挿入が、より簡単になる。
【0057】
詳細には、前記方法は、風力タービンのタワーを、前記クレーン船に取り付けられたデッキ拡張モジュールの上に配置するステップを含む。
【0058】
これにより、前記クレーン船の前記メインデッキは、風力タービンの部品を格納するために空いた状態である。
【0059】
詳細には、前記方法は、
-前記クレーン船の前記リフティングクレーンを用いて、前記タワーを前記デッキ拡張モジュールの下部デッキのピット内に配置するステップと、
-前記デッキ拡張モジュールの上部デッキの上の前記ピットに位置合わせして保持された前記多機能クランプを用いて前記タワーをクランプするステップと、を含む。
【0060】
このようにして、前記タワーに対し、受動的な拘束及び積極的な拘束が、前記タワーに沿った異なる位置で行われる。
【0061】
詳細には、前記方法は、前記多機能クランプを前記上部デッキに、前記多機能クランプのための前記上部デッキに沿った所与の位置を画定する協働手段により選択的に連結するステップを含む。
【0062】
このようにして、前記多機能クランプは、前記デッキに沿った所与の位置を有し、自重により安定する。
【0063】
詳細には、前記方法は、前記多機能クランプに電力を供給するステップと、前記多機能クランプ及び前記クレーン船に接続されたアンビリカルにより、前記クレーン船と前記多機能クランプとの間で信号を交換するステップと、を含む。
【0064】
これにより、前記多機能クランプを遠隔位置から制御することが可能である。
【0065】
詳細には、前記方法は、前記リフティングクレーンに吊り下げられたときの前記多機能クランプの位置を、前記クレーン船から制御されるタッガ線を用いて制御するステップを含む。
【0066】
前記タッガ線は、前記クレーン船の上に配置されたウインチにより制御され、荷物の揺れを制限できる。
【0067】
詳細には、前記方法は、前記リフティングクレーンに吊り下げられた1つのブレードの位置を、さらなるタッガ線と、前記リフティングクレーンの上に取り付けられたブレード安定フレームとにより制御するステップを含む。
【0068】
前記ブレード安定フレームは、前記タッガ線を前記ブレードの付近にガイドすることにより、前記ブレードの位置の制御を向上させる。
【0069】
詳細には、前記方法は、選択的に前記ブレード安定フレームを動作状態に延在させ、前記ブレード安定フレームを静止状態に後退させるステップを含む。
【0070】
このようにして、前記ブレード安定フレームは、前記クレーンが前記ブレードの取り付け以外の作業を行う際に前記静止位置に後退され得る。
【0071】
詳細には、前記多機能クランプが前記タワーを直立位置に保持している間に、前記クレーン船のリフティングクレーンを用いて前記風力タービンを組み立てるステップが、さらに、
-ナセル及びハブを備えた1つのサブアセンブリを前記タワーの上部に、前記サブアセンブリを前記タワーの上部に取り付けるために持ち上げるステップと、
-水平位置にある1つのブレードを前記ハブまで、前記ブレードを前記ハブに取り付けるために持ち上げるステップと、
-前記風力タービンの全ての前記ブレードを前記ハブに取り付けるために上述のステップを繰り返すステップと、を含む。
【0072】
このようにして、部品の輸送が最適化される。
【0073】
詳細には、前記方法は、複数のタワー、複数のサブアセンブリ、及び複数のブレードを前記クレーン船のメインデッキに格納するステップを含む。
【0074】
従って、前記クレーン船の組み立て作業が長期間中断されることはない。
【0075】
詳細には、前記方法は、前記複数のタワー、前記複数のサブアセンブリ、及び前記複数のブレードを、移送船により陸上の建設現場から前記クレーン船に輸送するステップと、
-前記複数のタワー、前記複数のサブアセンブリ、及び前記複数のブレードを、前記移送船から前記メインデッキに、前記クレーン船の1つのリフティングクレーンを用いて移送するステップと、を含む。
【0076】
このようにして、前記クレーン船は深海に留まることができ、前記風力タービンの供給が、少なくとも1つの運搬船(carried vessel)により行われ得る。
【0077】
本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面を参照し、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】本発明による、海上の下部構造体に風力タービンを設置するためのシステムを、簡明化のために一部を除いて示した斜視図である。
【
図2】本発明によるシステムの詳細を、簡明化のために一部を除いて示した斜視図である。
【
図3】本発明によるシステムの詳細を、簡明化のために一部を除いて示した斜視図である。
【
図4】本発明による多機能クランプの、簡明化のために一部を除いて上から見た斜視図である。
【
図5】
図5の多機能クランプの、簡明化のために一部を除いて下から見た斜視図である。
【
図6】本発明によるシステムの詳細を、簡明化のために一部を除いて示した斜視図である。
【
図7】
図6の詳細を、簡明化のために一部を除いて拡大した斜視図である。
【
図8】海上の下部構造体の上に風力タービンを降ろす前の
図1のシステムの詳細を、簡明化のために一部を除いて示した斜視図である。
【
図9】
図1のシステムのさらなる詳細を、簡明化のために一部を除いて示した斜視図である。
【
図10】
図9の詳細を、簡明化のために一部を除いて示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1の番号1は、風力タービン2を海上の下部構造体(サブストラクチャ)3に設置するためのシステムを示している。
【0080】
本発明によれば、風力タービン2の設置は、
-風力タービン2の部品を陸上の建設現場4から海上の現場に移送するステップと、
-クレーン船5を用いて風力タービン2を組み立てるステップと、
-クレーン船5を用いて風力タービン2を海上のそれぞれの下部構造体3に設置するステップと、を含む。
【0081】
システム1は、
-クレーン船5(添付図面において2つのリフティングクレーン6が並んで動作する「デュアルクレーン船」(“dual crane vessel”)、例えばデュアルクレーン船「SAIPEM7000」と、
-風力タービン2を把持するための多機能クランプ7と、
-クレーン船5が風力タービン2を安全に移送することを補助するための安定フレーム8と、
-風力タービン2の組み立てを補助するためのブレード安定フレーム9と、
-風力タービン2を組み立てるためのデッキ拡張モジュール10と、
-クレーン船5により操作されるリギングアセンブリ11(
図6)であって、安定フレーム8及び多機能クランプ7と協働して風力タービン2を持ち上げるように構成されているリギングアセンブリ11と、を含む。
【0082】
風力タービン2は、長手方向軸A1に沿って延在するタワー12と、タワー12の上部に回転可能に取り付けられたナセル13と、ナセル13に回転可能に取り付けられたロータ14とを備えている。ロータ14は、さらに、ハブ15と、ハブ15から半径方向に延在するブレード16とを含む。
【0083】
本発明によれば、陸上建設現場4が、タワー12、ブレード16、及び、サブアセンブリ17(各々が1つのナセル13と1つのハブ15を含む)を配送する。
【0084】
多数のタワー12、ブレード16、及びサブアセンブリ17がクレーン船5に、キャリア船18により供給される。
【0085】
クレーン船5はメインデッキ19を備え、これは、移送船18からメインデッキ19上に1台のリフティングクレーン6により移送された多数のタワー12、ブレード16及びサブアセンブリ17を一時的に格納するためにある。
【0086】
ブレード16は、安全な支持及び輸送のためにブレードラック20内に配置されている。
【0087】
各風力タービン2は、クレーン船5上で、具体的には、クレーン船5に載置されたデッキ拡張モジュール10上で組み立てられる。
【0088】
図2及び
図3を参照すると、デッキ拡張モジュール10は、直立位置にあるタワー12(
図3)のための受動的拘束を規定する下部デッキ21と、同一タワー12(
図3)のための能動的拘束を規定する多機能クランプ7を受け入れるための上部デッキ22とを備えている。
【0089】
デッキ拡張モジュール10は、安定フレーム8(
図3)を支持するための、上部デッキ22から上昇された上部構造体23を備えている。
【0090】
下部デッキ21は、タワー12(
図3)の下端を拘束する寸法につくられたピット24を含む。
【0091】
上部デッキ22はU字状であり、多機能クランプ7(
図3)と協働して多機能クランプ7を所与の位置に配置するための突起25(
図2)を備えている。
【0092】
デッキ拡張モジュール10は格子構造体26を備え、格子構造体26は、下部デッキ21、上部デッキ22及び上部構造体23をクレーン船5と解放可能に接続するように支持する。
【0093】
示されている例において、上部デッキ22はメインデッキ19と同じ高さである。
【0094】
図4及び
図5を参照すると、多機能クランプ7は、タワー12の下部周囲に配置されるように構成された本体27を含み、本体27は、デッキ拡張モジュール10の突起25(
図2)と形状的に連結するように、且つ、多機能クランプ7を上部デッキ22に沿って拘束するように形成されている。
【0095】
詳細には、突起25(
図2)は円筒状であり、本体27に、突起25を収容するための凹部、具体的には穴28(
図5)、より具体的にはブラインドホールが設けられ、これにより、多機能クランプ7の上部デッキ22に対する横方向の移動を制限し、尚且つ、上部デッキ22に対する垂直方向の自由な移動を可能にしている。
【0096】
多機能クランプ7は、本体27より内側に延在する複数のジョー29を備え、ジョー29は、タワー12をクランプするための伸長位置と、タワー12を解放するための後退位置との間で移動可能である。また、多機能クランプ7は、ジョー28を制御するためのアクチュエータ30を備えている。
【0097】
図4を参照すると、多機能クランプ7は、本体27から延在する複数のフッキング部材31を備えている。フッキング部材31は、クレーン6のリギングアセンブリ11の端部を多機能クランプ7に固定するように構成されている(
図6)。各フッキング部材31は、それぞれの位置合わせされた穴を有する2つのフランジ32と、両方の穴に挿入されるように構成されたピンとを備え、前記フランジ28の一方に取り付けられたアクチュエータ33により制御される。
【0098】
本体27は環状であり、開放状態に開放可能であり(
図4)、閉鎖状態に閉鎖可能である(
図5)。
【0099】
本体27は3つのセクタ34,35,36を含み、セクタ35とセクタ36とは、セクタ34の対向側でセクタ34にヒンジ連結されており、閉鎖位置において互いに連結可能である。
【0100】
多機能クランプ7は、セクタ34に対するセクタ35及びセクタ36の位置を制御するためのアクチュエータ37と、セクタ33とセクタ34とを互いにラッチすることにより閉鎖位置にロックするためのアクチュエータ38とを備えている。
【0101】
図6を参照すると、リギングアセンブリ11は、それぞれのリフティングクレーン6(
図1)により操作される2つのリギング39を含む。各リギング39が、リフティングクレーン6(
図1)に接続するための1つの上部ブロック40と、二重スリング41と、さらなるブロック42と、ブロック42をスプレッダバー44に接続するための2つのスリング43と、2本の巻き上げ線45とを備えている。
【0102】
各巻き上げ線45がスプレッダバー44に吊り下げられており、各巻き上げ線45はその遠位端に、多機能クランプ7のそれぞれのフッキング部材31に固定されるためのアイレット46を有する。
【0103】
各巻上げ線45は、細長い可撓性ロープと、ロープに接続されたバー又は管である中間剛性セクション47とを含み、中間剛性セクション47は、使用時に安定フレーム8と協働するように構成されている。すなわち、剛性セクション47は、使用時に、矢印Fにより示されているリフティングクレーン6(
図1)の回転により安定フレーム8に挿入される。
【0104】
図7を参照すると、安定フレーム8は、使用時にタワー12の周囲に取り付けられるように構成されたU字状の本体48と、風力タービン2のタワー12の周囲に本体48を選択的に固定及び解放するために本体48に取り付けられたクランプアセンブリ49とを備えている。
【0105】
安定フレーム8は、本体48から外側に延在する複数のガイド50を含み、ガイド50は、リギング39の部品、詳細にはリギング39の剛性セクション47(
図6)をガイド及び収容するように構成されている。
【0106】
各ガイド50は2本のバー51を含み、バー51は、リギング39(
図2)のガイド50への挿入を容易にするためのフレア状の自由端を有する。示されている例において、安定フレーム8は、本体48の対向する側面に沿って2つずつ配置された4つのガイド50を含む。
【0107】
クランプアセンブリ49は、本体48に取り付けられて本体48から内側に延在する2つのアイドルジョー52と、2つの作動ジョー53とを備えている。作動ジョー53は、後退位置とアイドルジョー52に向かう内側突出位置との間でアクチュエータ54により作動されるように構成されている。
【0108】
代替的な実施形態によれば、安定フレーム8をタワー12に固定するためには1つのアイドルジョーで十分である。
【0109】
示されている実施形態においては、安定フレーム8は2つのアクチュエータ54を、各作動されるジョー53に対して備えている。
【0110】
各作動されるジョー53のこれらのアクチュエータ54は並列に動作され、当該2つのアクチュエータ54のうちの一方が故障した場合には単独で動作するように設計されている。
【0111】
各作動されるジョー53は、A字状フレーム55に関節接続されており、A字状フレーム55は本体48に関節接続されており、各アクチュエータ54は、A字状フレーム55及び本体48に関節接続されている。
【0112】
安定フレーム8には支持脚56が設けられ、支持脚56はリフティングクレーン6により変位される、この目的のために、安定フレーム8には、安定フレーム8をリフティングクレーン6(
図1)に連結するために本体48に取り付けられた2つのフッキング部材57が設けられている。
【0113】
安定フレーム8は、デュアルクレーン船5(
図8)のウインチ(図示せず)から操作されるタッガ線59のための2つのアタッチメント58を含む。
【0114】
多機能クランプ7(
図4)の アクチュエータ30,33,37,38、及び、安定フレーム8(
図7)のアクチュエータ54は油圧シリンダである。
【0115】
使用時に、多機能クランプ7及び安定フレーム8はリフティングクレーン6(
図8)により変位されることができ、システム1は、多機能クランプ7(
図4)のアクチュエータ30,33,37及び38と安定フレーム8(
図7)のアクチュエータ54とを、使用中にこれらが取り得る任意の位置に制御するように構成されている。
【0116】
図8を参照すると、システム1は、多機能クランプ7及び安定フレーム8を遠隔位置から制御するように構成されており、この目的のために、油圧回路及び制御システムを備えている。これらの回路及びシステムはクレーン船5上で、一部が安定フレーム8に沿って、一部が多機能クランプ7に沿って延在している。詳細には、油圧回路は、クレーン船5内に配置された第1部分と、多機能クランプ7上に取り付けられた第2部分と、安定フレーム8に取り付けられた部分と、第1部分を第2部分に、及び、第1部分を第3部分に選択的に接続するためのアンビリカル60とを含む。
【0117】
図8を参照すると、システム1は、さらなるウインチ(図示せず)をクレーン船5上に含み、これらは、多機能クランプ7に接続されるように構成されたタッガ線61を操作するためにある。
【0118】
図9を参照すると、ブレード安定フレーム9は、クレーンブーム62上に設置されるように構成された伸縮可能な多関節フレームであり、このフレームは、ブレード16を持ち上げるときにリギングアセンブリ11をガイドし、また、ブレード16の設置中にブレード16の位置を制御するためのタッガ線64用のシーブ(滑車)63を支持し、クレーン船5上のウインチ(図示せず)により制御される。
【0119】
図10に、ブレード安定フレーム9が、部分的に収縮した状態で示されている。ブレード安定フレーム9は、ヒンジ付きビーム65(すなわち、ヒンジにより接続されたスチール製のボックスセクション)と、ブレード安定フレーム9を伸縮させるために使用される機構とを備え、この機構は、ラックアンドピニオンシステムをボックスセクション上のトラックに沿って駆動させるための電気モータ(図示せず)を含む。
【0120】
ブレード安定フレーム9はクレーンブーム62上に、ブーム62上のクランプ又はパディ(図示せず)を介して、ブームレストにおける第1リフティングクレーン6を使用して行われる。第2リフティングクレーン6が、リフティングクレーン6への迅速な設置、リフティング船5の迅速な再構築のための取り外しのために機能し、これらを容易にする。
【0121】
図1を参照すると、使用時、キャリア船18は、多数のタワー12、サブアセンブリ17及びブレード16を、陸上の建設現場4から、海上の下部構造体3内又はその付近に配置されたクレーン船5に輸送する。
【0122】
タワー12、サブアセンブリ17及びブレード16は、キャリア船18からクレーン船5のメインデッキ19にリフティングクレーン6を用いて移送され、1つのタワー12がデッキ拡張モジュール10上にリフティングクレーン6により配置される。タワー12の下端が下部デッキ21のピット24に載置されて、多機能クランプ7(ピット24と軸方向に位置合わせされた上部デッキ22により支持されている)によりクランプされる。
【0123】
リフティングクレーン6はタワー12を解放し、サブアセンブリ17をメインデッキ19から、タワー12の上端よりも上方に持ち上げ、そしてサブアセンブリ17をタワー12の上部に降ろして接続する。
【0124】
リフティングクレーン6は、1つのブレード16をメインデッキ19からハブ15のブレード接続フランジへと持ち上げる。
【0125】
ブレード16の位置は、リフティングクレーン6と、ブレード安定フレーム9上に取り付けられたシーブ63によりガイドされるタッガ線64との組み合わせにより制御される。
【0126】
全てのブレード16がハブ15に組み付けられると、風力タービン2は完成して、海上の下部構造体3に設置され得る。
【0127】
リフティングクレーン6は安定フレーム8を持ち上げてタワー12に近づけ、安定フレーム8はタワー12の上部付近でタワー12にクランプされる。
【0128】
図6を参照すると、リギングアセンブリ11を備えたリフティングクレーン6が巻上げライン45を、安定フレーム8のガイド50と、多機能クランプ7のフッキング部材31のアイレット46に引き込む。
【0129】
フッキング部材31がアイレット46を多機能クランプ7に固定する。
【0130】
リフティングクレーン6は風力タービン2を持ち上げて海上の下部構造体3に移送する。風力タービンが海上の下部構造体3に組み付けられたならば、アクチュエータ38が多機能クランプ7のロックを解除し、アクチュエータ37が多機能クランプ7を開く。
【0131】
リフティングクレーン6は巻上げライン45を安定フレーム8のガイド50から解放し、多機能クランプ7を上部デッキ22上の所与の位置に運び、もう1つのタワー12を受け入れるための開放状態にする。
【0132】
リフティングクレーン6は安定フレーム8に固定され、安定フレーム8は、設置された風力タービン2のタワー12からアンクランプされ、デッキ拡張モジュール10の上部構造体23上に運ばれる。
【0133】
本発明は、具体的に記載されていない変型例を含み、これらが以下の特許請求項の保護の範囲に入ることは明らかである。
【符号の説明】
【0134】
1 システム
2 風力タービン
5 クレーン船
6 リフティングクレーン
7 多機能クランプ
8 安定フレーム
9 ブレード安定フレーム
10 デッキ拡張モジュール
11 リギングアセンブリ
12 タワー
24 ピット
25 突起
27 本体
29 ジョー
30 第1アクチュエータ
31 フッキング部材
33 第2アクチュエータ
45 巻上げライン