(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】脊椎固定のための外科用装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B17/70
(21)【出願番号】P 2021544369
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 IB2020050707
(87)【国際公開番号】W WO2020157679
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブズ・サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ホール・マーク
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/022769(WO,A1)
【文献】特表2001-513391(JP,A)
【文献】特開平04-231949(JP,A)
【文献】国際公開第2017/140984(WO,A1)
【文献】米国特許第06514255(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0231704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0215268(US,A1)
【文献】特開2002-095674(JP,A)
【文献】国際公開第2012/023909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎固定システムであって、
少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されている受容器であって、前記受容器が、前記少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されているチャネルを間に有する対向するアームによって画定された第1の端部、及び第2の端部を有し、前記第2の端部が、骨の一部分と係合するように構成されている開放部分を有するフック部材に動作可能に結合されている、受容器と、
前記受容器に取り付け可能であ
る第1の端部、及び、第2の端部を有するケーブルであって、前記骨を貫通することなく前記受容器を前記骨に緊締するために、前記開放部分を横切って延在するように前記骨を取り囲むように構成されているケーブルと、
前記受容器の前記対向するアームの間に挿入可能であり、前記固定部材を前記受容器内へ圧縮するように構成されている閉鎖部材と、を備え
、
前記フック部材が、前記開放部分の縁部を形成する最遠位ブレード部分を有し、前記最遠位ブレード部分が、前記ケーブルの前記第2の端部を取り付け可能であるケーブル取り付け部を有する、脊椎固定システム。
【請求項2】
前記最遠位ブレード部分の前記ケーブル取り付け部が、前記ケーブルの
前記第2の端部を受容
可能であり、前記
最遠位ブレード部分を通るチャネル
である、請求項1に記載の脊椎固定システム。
【請求項3】
前記ケーブルが椎弓板の周囲を通過するように構成されるように、前記ケーブルが、予め湾曲されている、請求項1に記載の脊椎固定システム。
【請求項4】
前記対向するアームの
一方が、前記ケーブルの
前記第1の端部を、内部を通して受容するように構成されているループを有する、請求項1に記載の脊椎固定システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの固定部材が、脊椎ロッドを備え、前記閉鎖部材が、止めねじを備える、請求項1に記載の脊椎固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、脊椎固定のための外科用装置、システム、及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
様々な固定装置は、患者内の様々な骨構造体間の所望の関係を整列及び/又は固定するために、手術において一般的に使用される。例えば、脊椎固定装置は、隣接する椎体間の所望の関係を達成するために整形外科手術で使用される。このような固定装置は、典型的には、固定ロッドなどの1つ又は2つ以上の脊椎固定要素を含み、これは、椎体に埋め込まれたフック、ボルト、ワイヤ、ねじなどのような様々な骨固着装置に取り付けることによって、隣接する椎体に結合することができる。いくつかの例では、ねじ又はナットなどの閉鎖要素を使用して、固定装置を様々な骨固着装置に結合することができる。
【0003】
しかしながら、アンカーアセンブリは、多くの場合、ねじ、ボルトなどで骨を貫通することによって骨に緊締される。骨の貫通は、患者にとって有害であり得る。例えば、感染症、ねじの破損、ねじの誤配置、沈下、骨折の伝播、及び他の合併症を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、脊椎固定要素を骨に緊締するための外科用器具、方法、及びシステムに対する必要性が依然として存在する。
【0005】
したがって、本明細書では、骨の解剖学的構造体に緊締されるように構成された脊椎固定システム、例えば、骨を貫通させる必要なく緊締され得る脊椎固定システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
脊椎固定要素を骨に緊締するための外科用器具、方法、及びシステムが提供される。第1の態様では、少なくとも1つの固定部材を受容するように構成された受容器を含む脊椎固定システムが提供される。受容器は、間に少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されたチャネルを間に有する対向するアームによって画定された第1の端部と、フック部材に動作可能に結合された第2の端部と、を有する。フック部材は、骨の一部分と係合するように構成された開放部分を有する。ケーブルは、受容器に取り付け可能であり、骨を貫通することなく受容器を骨に緊締するために、開放部分を横切って延在するように骨を取り囲むように構成されている。閉鎖部材は、受容器の対向するアームの間に挿入可能であり、固定部材を受容器内へ圧縮するように構成されている。
【0007】
脊椎固定システムは、多くの変形例を有することができる。例えば、フック部材は、開放部分の縁部を形成する最遠位ブレード部分を有することができ、ブレード部分は、ケーブルの第1の端部を受容するための、ブレード部分を通るチャネルを有することができる。別の実施例では、ケーブルが予め湾曲されることにより、ケーブルに椎弓板の周囲を通過させるように構成されている。受容器はまた、ケーブルの対応する第1の端部及び第2の端部を受容するように構成された、少なくとも第1の受容部材及び第2の受容部材をその上に有することができ、ケーブルの第1の端部及び第2の端部は、圧着されて、第1の受容部材及び第2の受容部材内にそれらを緊締するように構成され得る。別の例では、対向するアームの各々は、その上にケーブルの端部を、内部を通して受容するように構成されたループを有することができる。いくつかの例では、少なくとも1つの固定部材は、脊椎ロッドを含むことができ、閉鎖部材は、止めねじを含み得る。
【0008】
別の態様では、少なくとも1つの固定部材を受容するように構成された受容器を有する脊椎固定システムが提供される。受容器は、少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されたチャネルを間に有する対向するアームによって画定された第1の端部、及び第2の端部を有し得る。フック部材は、受容器の第2の端部に動作可能に結合されており、フック部材は、骨を貫通することなく受容器を骨に緊締するために骨の一部分と係合するように構成された開放部分を有する。フック部材は、骨が開放部分に受容されたときに、骨の解放を可能にする開放位置から、骨を確実に把持する閉鎖位置まで、受容器に対して移動するように構成することができる。システムはまた、受容器の対向するアームの間に挿入可能な閉鎖部材を有し、固定部材を受容器内へ圧縮するように構成されている。
【0009】
脊椎固定システムは、多くの変形例を有することができる。例えば、フック部材は、ねじ山付きシャフトを通して受容器に動作可能に結合することができ、フック部材は、ねじ山付きシャフトの回転によって、開放位置から閉鎖位置まで受容器に対して移動させるように構成され得る。脊椎固定システムはまた、フック部材を開放位置から閉鎖位置まで受容器に対して移動させるように構成されたカム機構を含み得る。別の実施例では、カム機構は、アームを有することができ、アームは、アームが近位位置から遠位位置へと枢動するときに、カム機構を作動させるように構成されている。一実施例では、脊椎固定システムはまた、カム機構がフック部材を閉鎖位置に移動させた後に、カム機構の解放を防止するように構成されたカム係止部を含み得る。いくつかの実施例では、カム係止部は、カム係止部が受容器内に受容された固定部材と接触するときに、カム機構の解放を防止するように構成され得る。脊椎固定システムはまた、フック部材を開放位置から閉鎖位置まで受容器に対して移動させるように構成されたラチェット機構を含み得る。一実施例では、ラチェット機構は、アーム及びばねを含むことができ、アームは、フック部材が開放位置にある係合解除位置から、フックが閉鎖位置にある係合位置へと枢動するように構成され得る。ばねは、アームの移動に抵抗するように構成されている。別の例では、フック部材は、フック部材の開放位置に面して、フック部材の非骨係合面よりも粗い骨係合面を有することができる。骨係合面は、それに接して受容された骨を把持するように構成され得る。
【0010】
別の態様では、受容器の遠位端上のフック部材の開放部分に骨を挿入することを含む脊椎固定方法が提供される。本方法はまた、ケーブルが開放部分を横切って延在するように、骨を貫通することなくフック部材を骨に緊締するために、受容器に取り付けられたケーブルで骨を取り囲むことを含む。本方法はまた、外科用装置の受容器の近位端上の対向するアームによって画定されたチャネル内に脊椎ロッドを挿入することと、対向するアームの間で止めねじを回転させて、脊椎ロッドをチャネル内に緊締することと、を含む。
【0011】
本方法は、多数の変形例を有することができる。例えば、本方法はまた、ケーブルの第1の端部及び第2の端部を受容器上の受容部材に通して通過させることも含み得る。別の実施例では、本方法は、第1の端部及び第2の端部を受容部材に通して通過させた後、第1の端部及び第2の端部の各々を圧着して、ケーブルを受容器に、かつ受容器を骨に緊締することを含み得る。本方法はまた、フック部材の最遠位ブレード部分に形成されたチャネルを通して、ケーブルの第1の端部を通過させることを含み得、チャネルは受容部材のうちの1つであり得る。いくつかの実施例では、ケーブルが、予め湾曲されたケーブルであり、ケーブルで骨を取り囲むことが、ケーブルを、フック部材の遠位端上の第1の緊締係合を通して、骨の下側及び周囲を、患者の脊椎の後部に沿って、かつ受容器の第2の緊締係合を通して、通過させることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
上述した実施形態は、添付の図面と併せて説明する以下の詳細な説明から更に十分に理解されよう。図面は、一定の縮尺で描かれることを意図していない。説明を明瞭にするために、全ての図面では、構成要素全てが、必ずしも符号付けされていない場合がある。図面は、以下のとおりである。
【
図1A】脊椎固定システム構成要素の一実施形態の斜視図である。
【
図1B】椎弓板の一部分に緊締された、
図1Aの脊椎固定システム構成要素の側面図である。
【
図1D】脊椎ロッド及び止めねじを有する
図1Aの脊椎固定システム構成要素の背面図である。
【
図1E】椎弓板の一部分に緊締された、
図1Aの脊椎固定システム構成要素の断面側面図である。
【
図2A】脊椎固定システム構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図2D】
図2Aの脊椎固定システム構成要素と同様の脊椎固定システム構成要素の別の実施形態を上から見た部分断面図である。
【
図3A】脊椎固定システム構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図3D】脊椎ロッドに取り付けられた
図3Aの脊椎固定システム構成要素の側面図である。
【
図4A】脊椎固定システム構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図5A】脊椎固定システム構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図5D】
図5Aの脊椎固定システム構成要素の断面側面図である。
【
図6A】脊椎固定システム構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図6C】
図6Aの脊椎固定システム構成要素を上から見た図である。
【
図7A】脊椎固定システム構成要素の別の実施形態の斜視図である。
【
図7C】
図7Aの脊椎固定システム構成要素の上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に図示される。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に図示される装置及び方法が、非限定的な典型的な実施形態であること、並びに本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0014】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で使用される対象の解剖学的構造、システム及び装置が使用される構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が使用される方法及び処置に依存し得る。
【0015】
脊椎解剖学的構造体を貫通することなく、患者の椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の1又は2つ以上の部分に固定システムを緊締するための様々な例示的な方法、装置、及びシステムが提供される。脊椎及び整形外科手術で使用される脊椎固定装置は、典型的には、様々なアンカーアセンブリ内に取り付けられ緊締された結果、隣接する椎骨に結合され得る、固定ロッドなどの1つ又は2つ以上の脊椎固定要素を含む。アンカーアセンブリは、ナットなどの様々なインプラント、緊締手段、又は締結部材の使用によって脊椎固定要素に緊締され得るねじ、ボルトなどを含み得る。アンカーアセンブリは、多くの場合、ねじ、ボルトなどによって脊椎解剖学的構造体を貫通することによって脊椎解剖学的構造体に緊締される。貫通によって緊締されることにより、アンカーアセンブリと脊椎解剖学的構造体との間に強固な固定を提供することができる。しかしながら、場合によっては、この貫通は、脊椎解剖学的構造体を潜在的に弱める可能性があるか、又は感染症、ねじの破損、ねじの誤配置、並びに患者及び外科医に対して他の合併症を引き起こす可能性がある。したがって、本明細書では、脊椎解剖学的構造体に緊締されるように構成された脊椎固定システムが提供され、システムの一部は、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく緊締されるように構成されている。
【0016】
例示的な脊椎固定システムは、近位端及び遠位端を有する受容器を有する。受容器の近位端は、その中に脊椎ロッド及び止めねじなどの様々な固定部材を受容するように構成される。受容器の遠位端は、それに動作可能に結合されたフック部材を有し、椎骨又は患者の脊椎脊柱上の様々な他の要素、例えば椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分をその中に受容するように構成された開口部を画定するように構成されている。フック部材は、以降に考察されるように、様々な手段によって、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく脊椎解剖学的構造体に緊締されるように構成されている。
【0017】
図1A~
図1Eは、脊椎固定システム100を椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分に緊締するのを補助するように構成されたケーブル140を有する脊椎固定システム100の一実施形態を図示する。脊椎固定システム100は、受容器ヘッド104及びフック部材120を有する受容器102を有し、フック部材120は、受容器ヘッド104から遠位方向に延在し、脊椎解剖学的構造体の一部分をその開放部分で受容するように構成された開口部122を画定している。ケーブル140は、開口部122を横切って延在するように構成され、このため、脊椎解剖学的構造体の一部分が開口部122に受容されたときに、ケーブル140が開口部122を横切って締着され、脊椎解剖学的構造体を貫通することなくフック部材120を脊椎解剖学的構造体に緊締するように構成される。
【0018】
図1A~
図1Eに示す例示的な実施形態では、受容器ヘッド104は、脊椎ロッドなどの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されており、フック部材120と一体的に形成されている。したがって、受容器ヘッド104は、その近位端に対向するアーム106を有し、脊椎固定部材を受容するように構成されているアーム106の間にチャネル108を有する。対向するアーム106は、チャネル108に面する表面にねじ山を有しており、脊椎固定部材がその中に受容された後に、止めねじなどの様々な閉鎖部材と係合するように構成されている。受容器ヘッド104はまた、その上に、ケーブル140の少なくとも一端を受容するように構成された少なくとも1つのケーブル係合機構を有する。
図1A~
図1Eに図示されているように、係合機構は、受容器ヘッド104の対向する側面上のループ110の形態である。しかしながら、受容器ヘッド104上の係合機構は、様々なループ、ピン、クロージャ、フックなどのような様々な他の形態をとることができる。
【0019】
上述したように、フック部材120は、椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分をその中に受容するように構成された開口部を画定する形状のものである。フック部材120は、受容器ヘッド104から遠位方向に延在するフックアーム121と、フックアームの遠位端にあり、フックアームに対して角度αで延在して開口部122の一方の縁部を形成するブレード124と、を含む。ブレード124は、任意の好適な角度でフックアーム121に対して配向され得る。およそ90度の角度が
図1A~
図1Eに示されているが、当業者であれば、角度αが約45度から約130度までの範囲の任意の角度になり得ることを理解するであろう。
図1A~
図1Eの実施形態では、フック部材120は、受容器ヘッド104と一体であるが、当業者であれば、フック部材120は、受容器ヘッド104とは別個に形成され得ることを理解するであろう。ブレード124はまた、開口部122内に受容されることとなる脊椎解剖学的構造体に面する骨係合面128を有する。
図1A~
図1Eに示す骨係合面128及び開口部122を横切って骨係合面128に対向する骨係合面129は滑らかであるが、骨係合面は、骨把持能力を高めるための粗面化された表面部分を含み得、脊椎解剖学的構造体とフック部材との間の静的摩擦及び動的摩擦を増加して、フック部材が移植された後の滑りを防止する。例えば、骨係合面は、グリットブラスト加工され得る。
【0020】
フック部材120は、その上に、ケーブル140の少なくとも一端を受容するように構成された少なくとも1つのケーブル係合機構を有する。
図1A~
図1Eに図示されるように、係合機構は、ブレード124の前面からその背面まで延在するチャネル126の形態である。しかしながら、係合機構はこれに限定されず、様々なループ、ピン、クロージャ、フックなどの形態をとることができる。
【0021】
ケーブル140は、脊椎解剖学的構造体がその中に受容され、ケーブルが締着されたときに、開口部122を閉じることによって、フック部材120を脊椎解剖学的構造体に緊締するように構成されている。図示されるように、ケーブル140の一端は、受容器ヘッド104上の少なくとも1つのケーブル係合機構、及びフック部材120上の少なくとも1つのケーブル係合機構内に受容され得る。例えば、
図1A~
図1Eに図示されているように、ケーブル104は、受容器ヘッド104上に形成されたループ110と、フック部材120にあるブレード124のチャネル126とのうちの一方に受容される第1の端部及び第2の端部142、144を有する。しかしながら、ケーブル140は、開口部122を閉じるために、受容器102上の様々な機構と係合することができる。第1の端部及び第2の端部142、144は、ループ110及びチャネル126を通して通過した後に圧着されて閉じられ、ケーブル140が締着される。図示のように、ケーブルの第1の端部及び第2の端部は、ケーブルの本体に対して拡大されてもよいか、又はケーブルは、端子キャップを含んでもよい。接着剤、溶接、クリップなどのような様々な緊締手段を使用することができることを理解されたい。様々な実施形態では、ケーブルは、骨の解剖学的構造体下に挿入するのを支援する、及び/又は患者の身体の様々な部分からケーブルを離して湾曲させるなど、配置を支援するために予め湾曲させることができる。例えば、ケーブルは、脊髄を含む神経要素からは離れて後側に湾曲させることができる。
【0022】
使用中、脊椎固定システム100は、患者の身体内に挿入される。
図1Bに図示されている椎弓板160の一部分などの脊椎解剖学的構造体の選択された部分が、フック部材120の開口部122に挿入される。ケーブル140は、脊椎解剖学的構造体の周囲に巻き付けられ、第1の端部及び第2の端部142、144の各々は、ケーブル140を、開口部122を横切らせてきつく引っ張り、脊椎解剖学的構造体と緊締係合した後、受容器102に緊締される。第1の端部及び第2の端部142、144を、ループ110及びチャネル126を通して通過させて、他方の側に圧着し、ケーブル140を、受容器102及び脊椎解剖学的構造体に対して定位置に緊締された状態に保つ。ケーブル140は、図示された実施形態では、脊椎解剖学的構造体の周囲を1回通過するだけであるが、特に脊椎解剖学的構造体にかかるあらゆる負荷を分散させるために、ケーブル140を脊椎解剖学的構造体の周囲と受容器102を通して、必要に応じて複数回通過させ得る。
図1Dに図示されているような脊椎ロッド150などの脊椎固定部材がチャネル108に挿入され、
図1Dに図示されているような止めねじ152などの閉鎖部材が対向するアーム106の間に螺合される。次いで、閉鎖部材を、固定部材と緊締係合するように回転させて、固定部材を受容器102及び閉鎖部材に対して緊締する。予め湾曲されたケーブルを有する実施形態では、椎弓板の一部分などの脊椎解剖学的構造体の選択された部分が、依然としてフック部材に挿入される。次いで、ケーブルを、ブレードのチャネル、椎弓板の下、隣接するレベルの椎弓板間の脊椎管の外を通して、ねじ込ませることによって導入される。次いで、ケーブルは、受容器ヘッドの上側のループを通して通過させられ、ここでケーブルが圧着される。
【0023】
図1A~
図1Eの実施形態では、受容器ヘッド104及びフック部材120は、互いに対して不動であるが、他の実施形態では、フック部材は受容器ヘッドに対して移動するように構成することができる。例えば、
図2A~
図2Cは、脊椎固定システム100と同様の脊椎固定システム200の他の実施形態を図示している。しかしながら、脊椎固定システム200は、フック部材220の移動によって脊椎固定システム200を椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分に緊締するように、受容器ヘッド204に対して移動可能に構成されたフック部材220を有する。脊椎固定システム200は、受容器ヘッド204及びフック部材220を有する受容器202を有し、フック部材220は、受容器ヘッド204から遠位方向に延在し、脊椎解剖学的構造体の一部分をその開放部分で受容するように構成された開口部222を画定している。フック部材220は、脊椎解剖学的構造体が開口部222内に受容されると、フック部材220と受容器ヘッド204との間の開口部222内でフック部材220が脊椎解剖学的構造体を確実に把持して、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく受容器200を脊椎解剖学的構造体に緊締するように、受容器ヘッド204に向かって近位方向に移動するように構成される。
【0024】
図2A~
図2Cに示す例示的な実施形態では、受容器ヘッド204は、脊椎ロッドなどの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されている。したがって、受容器ヘッド204は、脊椎固定部材を受容するように構成されたアーム206の間にチャネル208を有する対向するアーム206をその近位端に有する。対向するアーム206は、チャネル208に面する表面にねじ山を有しており、脊椎固定部材がその中に受容された後に、止めねじなどの様々な閉鎖部材と係合するように構成されている。
【0025】
受容器ヘッド204はまた、フック部材220が近位方向に移動したときに、フック部材220の近位端を受容するように構成されている。したがって、受容器ヘッド204は、そこに関連付けられたフランジの形態であり得るフック係合部分205を有する。係合部分205は、内部に形成された空洞を有することができ、それは、フック部材220の一部分との係合を容易にするように構成されている。フック係合部分205の空洞は、内部を通るチャネルを有し、それは、以下に詳細に考察されるねじ山付きシャフト240を受容するように構成されている。フック係合部分205がフック部材220と整列されている間、受容器ヘッド204はフック部材220から角度βで角度オフセットされている。受容器ヘッド204は、任意の好適な角度でフック部材220に対して配向され得る。およそ45度の角度が
図2A~
図2Cに示されているが、当業者であれば、角度βが約0度から約90度までの範囲の任意の角度になり得ることを理解するであろう。
【0026】
フック部材120と同様に、フック部材220は、椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分をその中に受容するように構成された開口部を画定する形状のものである。フック部材220は、受容器ヘッド204から遠位方向に延在するフックアーム221と、フックアームの遠位端にあり、フックアームに対してある角度で延在して開口部222の一方の縁部を画定するブレード224と、を含む。ブレード224の図示された角度はおよそ90度であるが、ブレード224は、
図1A~
図1Eに関して上で考察される角度αと同様の様々な角度で延在することができる。ブレード224は、骨係合面、すなわち、開口部222の一部分を画定する面を有し、フック部材220が受容器ヘッド204内に近位方向に移動するときに、開口部222内の椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分を確実に把持する。図示された骨係合面は滑らかであるが、グリットブラスト加工などの処理から生じるテクスチャ加工された表面を有するなど、脊椎解剖学的構造体をより良好に把持するために、周囲の表面よりも粗面化することができる。
【0027】
上述したように、フック部材220は、受容器ヘッド204内に近位方向に移動して、開口部222内に受容された脊椎解剖学的構造体と係合し、これに近接するように構成され、フック部材と受容器ヘッドとの間の相対的な移動を可能にするように、受容器ヘッド204とは一体化されていない。フック部材220は、その中に画定されたチャネル226を有し、それは、フック係合部分205のチャネルと軸方向に整列され、またねじ山付きシャフト240をその中に受容するように構成されている。チャネル226の内面は、ねじ山付きシャフト240上の対応するねじ山と係合するように少なくとも部分的にねじ山が付けられており、フック部材220は、ねじ山付きシャフト240が一方向又は他方向に回転すると、受容器ヘッド204に対して近位及び遠位方向に移動するように構成されている。チャネル226の内面はその上にねじ山を有しているが、当業者であれば、滑らかな内面を維持しつつ、ねじ山付きシャフト240に係合する対応するねじ山を提供するために、ナットなどの様々なねじ山付き部品をチャネル226に追加することができることを理解するであろう。
【0028】
前述したように、ねじ山付きシャフト240は、フック部材220と受容器ヘッド204との間の相対的な移動を引き起こすように構成されており、そのため、フック係合部分の表面に対して収まる駆動可能なヘッドと、受容器ヘッド204及びフック部材220のチャネルを通して延在する細長いねじ山付き本体と、を有する。ドライバツールがねじ山付きシャフト240のヘッドを回転させるために使用されると、ねじ山付き本体は、回転され、回転方向に応じて、近位方向又は遠位方向のいずれかに、受容器ヘッド204とフック部材220との間の相対的な移動を引き起こすように構成される。いくつかの実施形態では、ねじ山付きシャフトは、フック部材と受容器ヘッドとが互いに係合解除されることを防止するために、スエージ又はナットの遠位端を有することができる。
【0029】
使用中、脊椎固定システム200は、患者の体内に挿入される。椎弓板など、脊椎解剖学的構造体の選択された部分が、フック部材220の開口部222に挿入される。ドライバツールを使用してねじ山付きシャフト240を回転させ、これによりフック部材220を受容器ヘッド204に向かって後退させる。フック部材220のチャネル226のねじ山は、ねじ山付きシャフト226上のねじ山と係合して、フック部材を回転方向に応じて上下に並進させる。ねじ山付きシャフト226が回転すると、フック部材220は開放位置から、開口部222内の脊椎解剖学的構造体が受容器ヘッド204とフック部材220との間に緊締される閉鎖位置へと移動する。脊椎ロッドなどの脊椎固定部材は、チャネル208内に挿入され、止めねじなどの閉鎖部材は、対向するアーム206の間に螺合される。任意の必要な脊椎調節が行われると、次に、閉鎖部材は、固定部材が受容器202又は閉鎖部材に対して移動することができないように固定部材と緊締係合するように回転される。
【0030】
図2Dは、脊椎固定システム200と同様の脊椎固定システム250の別の実施形態を図示する。例えば、脊椎固定システム250は、フック部材270の移動によって脊椎固定システム250を椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分に緊締するように、受容器ヘッド254に対して移動可能に構成されたフック部材270を有する。脊椎固定システム250は、受容器ヘッド254及びフック部材270を有する受容器252を有し、受容器ヘッド254は、脊椎ロッド282などの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されている。脊椎固定システム250は、その近位端に対向するアーム256を有し、これらアームの間に止めねじ280を受容するように構成されている。受容器ヘッド254は、フック部材270の一部分との係合を容易にするように構成された空洞が内部に形成されたフック係合部分255を有する。フック係合部分255の空洞は、ねじ山付きシャフト260を受容するように構成された内部を通るチャネルを有し、フック部材270は、その中に画定されるチャネル276を有し、それは、フック係合部分255のチャネルと軸方向に整列され、またねじ山付きシャフト260をその中に受容するように構成されている。チャネル276の内面は、ねじ山付きシャフト260上の対応するねじ山と係合するように少なくとも部分的にねじ山が付けられており、フック部材270は、ねじ山付きシャフト260が一方向又は他方向に回転すると、受容器ヘッド254に対して近位及び遠位方向に移動するように構成されている。しかしながら、脊椎固定システム200とは異なり、ねじ山付きシャフト260は、スエージ遠位端261を有し、骨係合面275は、脊椎解剖学的構造体をより良好に把持するために周囲の表面よりも粗い。
【0031】
フック部材は、上述したもの以外の様々な様式で受容器ヘッドに対して移動することができる。例えば、
図3A~
図3Dは、脊椎固定システム200と同様の脊椎固定システム300の別の実施形態を図示している。しかしながら、脊椎固定システム300は、カム機構によって受容器ヘッド304に対して移動可能であるように構成されたフック部材320を有する。脊椎固定システム300は、受容器ヘッド304及びフック部材320を有する受容器302を有し、フック部材320は、受容器ヘッド304から遠位方向に延在し、脊椎解剖学的構造体をその開放部分で受容するように構成された開口部322を画定している。カム機構340は、受容器ヘッド304及びフック部材320の両方に係合し、カム機構340の作動は、受容器ヘッド304に対するフック部材320を近位方向に移動させて、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく開口部322内の脊椎解剖学的構造体を確実に把持するように構成される。
【0032】
図3A~
図3Dに示される例示的な実施形態では、受容器ヘッド304は、脊椎ロッド370などの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されている。したがって、受容器ヘッドは、その近位端上に対向するアーム306を有し、脊椎固定部材を受容するように構成されているアーム306の間にチャネル308を有する。対向するアーム306は、チャネル308に面する表面にねじ山を有しており、脊椎固定部材がその中に受容された後に、止めねじなどの様々な閉鎖部材と係合するように構成されている。
【0033】
受容器ヘッド304はまた、フック部材320が近位方向に移動したときに、フック部材320の近位端を受容するように構成されている。したがって、受容器ヘッド304は、その遠位部分310上でカム機構340と係合する。長手方向開口部360が、受容器ヘッド304の遠位部分310内に画定され、これにより、以下で考察されるフック部材320のカムバー350が、カム機構340の作動及びフック部材320の相対的な移動の間に、長手方向開口部360に沿って摺動することを可能にするように構成されている。
【0034】
フック部材320は、椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分をその中に受容するように構成された開口部を画定するという点で、
図1A~
図1E及び
図2A~
図2Cに関して上述したフック部材と同様の形状のものである。フック部材320は、受容器ヘッド304から遠位方向に延在するフックアーム321と、フックアームの遠位端にあり、フックアームに対してある角度で延在して開口部222の一方の縁部を画定するブレード324と、を含む。ブレード324の図示された角度はおよそ90度であるが、ブレード324は、
図1A~
図1Eに関して上で考察される角度αと同様の様々な角度で延在することができる。ブレード324は、カム機構340の作動時に、開口部322内の脊椎解剖学的構造体を確実に把持するように構成された骨係合面を有する。図示された骨係合面は滑らかであるが、グリットブラスト加工などの処理から生じるテクスチャ加工された表面を有するなど、脊椎解剖学的構造体をより良好に把持するために、周囲の表面よりも粗面化することができる。
【0035】
前述のように、フック部材320は、カム機構340の作動時に受容器ヘッド304内へと近位方向に移動するように構成され、フック部材と受容器ヘッドとの間の相対的な移動を可能にするように、受容器ヘッド304とは一体化されていない。フックアーム321は、受容器ヘッド304の長手方向開口部360に沿って摺動するカムバー350で終端する。カムバー350は、カム機構340に係合し、その作動時に近位方向に移動するように構成されており、カムバー350の移動に伴ってフック部材320を近位方向に移動させる。
【0036】
カム機構340は、その作動時にフック部材320と受容器ヘッド304との間の相対的な移動を引き起こすように構成されている。このように、カム機構340は、受容器ヘッド304の遠位部分310の反対側に配置された翼部342を有し、各翼部342は、その上に形成された複数の歯又は溝を有する。溝は、その上にフック部材320のカムバー350を受容するように構成されており、カム機構340の作動中にカムバー350が翼部342に沿って近位方向にのみ移動することができるように角度が付けられている。カム機構340は、受容器ヘッド304の後方に延在し、2つの翼部342を接続する作動バー344を有する。各翼部342は、受容器ヘッド304の対向する遠位面に枢動可能に結合されており、このため、作動バー344の移動により、枢動点340pを中心とし、翼部342に対応して回転させる。
【0037】
使用時には、脊椎固定システム300は、システム200と同様に使用される。しかしながら、椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の選択された部分が、フック部材320の開口部322に最初に挿入されると、
図3Dに図示されているように、カム機構は、初期状態では、フック部材320が受容器ヘッド304に対して、最遠位であり開放位置である、非作動位置にある。カムバー350が、
図3Dの位置1に記載されているように、初期状態では受容器ヘッド304の長手方向開口部360内に遠位に位置決めされ、翼部342の各々に対応する溝に収まる。一旦、受容器302が脊椎解剖学的構造体上の位置に来ると、頸部圧縮器などのツールの使用によって作動バー344に遠位方向に力が印加され、
図3Dの矢印が図示するように、作動バー344が受容器ヘッド304から遠位方向に回転して、枢動点を中心に同じ方向に翼部342を回転させる。
図3Dの位置2、3、及び4で図示されているように、翼部342が回転すると、角度付きの溝は、フック部材320のカムバー350に上向きの近位方向に向けられた力を印加して、カムバー350が翼部342の後続の各溝に入るように、長手方向開口部360に沿って受容器ヘッド304に向かってカムバーを近位方向に持ち上げる。作動バー344がその回転を完了すると、カム機構340は、カムバー350が長手方向開口部360に沿った近位位置に来て収まり、その結果、フック部材320が、カムバー350のある閉鎖位置まで近位方向に移動して、フック部材320と受容器ヘッド304との間の脊椎解剖学的構造体を把持するようになっている。カム機構340によるカムバー350(ひいてはフック部材320)の移動距離は、開口部322内の脊椎解剖学的構造体のサイズに依拠し、このため、カムバー350が各翼部342の全ての溝に入らない可能性があり、角度付きの溝が、フック部材320を近位位置に維持するのを補助する。
【0038】
カム機構が起動されると、使用中に脊椎解剖学的構造体と係合した閉鎖位置に、フック部材を係止するように構成され得る。
図4A~
図4Cに図示されているように、カム機構340を有する脊椎固定システム300と同様の脊椎固定システム400の別の実施形態が提供される。脊椎固定システム400は、受容器ヘッド404及びフック部材420を有する受容器402を有し、フック部材420は、受容器ヘッド404から遠位方向に延在し、椎弓板などの、脊椎解剖学的構造体の一部分をその開放部分で受容するように構成された開口部422を画定している。カム機構440は、受容器ヘッド404及びフック部材420の両方に係合し、カム機構440の作動は、受容器ヘッド404に対するフック部材420を近位方向に移動させて、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく開口部422内の脊椎解剖学的構造体を確実に把持するように構成される。
【0039】
上述した受容器ヘッド304と同様に、受容器ヘッド404は、脊椎ロッドなどの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されている。したがって、受容器ヘッドは、その近位端上に対向するアーム406を有し、脊椎固定部材を受容するように構成されているアーム406の間にチャネル408を有する。対向するアーム406は、チャネル408に面する表面にねじ山を有しており、様々な閉鎖部材と係合するように構成されている。受容器ヘッド404はまた、フック部材420が近位方向に移動したときに、フック部材420の近位端を受容するように構成され、したがって、フック部材420のカムバー450が作動中にそれに沿って摺動することを可能にするように構成された長手方向開口部460をその中に有する。
【0040】
フック部材320と同様に、フック部材420は、カム機構440の作動時に受容器ヘッド404内へと近位方向に移動するように構成されており、角度αと同様の様々な角度で延在することができるブレード424と、カムバー450で終端するフックアーム421と、を有しており、カム機構440に係合し、その作動時に近位方向に移動するように構成されている。この移動は、フック部材420のブレード424を同様に近位方向に移動させるように構成されている。ブレード424の骨係合面は滑らかであるが、グリットブラスト加工などの処理から生じるテクスチャ加工された表面を有するなど、脊椎解剖学的構造体をより良好に把持するために、周囲の表面よりも粗面化することができる。
【0041】
カム機構440は、作動時にフック部材420と受容器ヘッド404との間の相対的な移動を引き起こすように構成されているので、上で考察されるカム機構340と同様である。翼部442は、受容器ヘッド404の反対側に配置され、枢動点440pを中心に回転するように構成されており、各翼部442は、その上に形成された角度付きの歯又は溝を有する。作動バー444は、受容器ヘッド404の後方に延在し、2つの翼部442を接続する。
【0042】
しかしながら、カム機構440は、それ自体を所定の位置に係止するように構成されており、その結果、フック部材420を閉鎖位置に係止することができる。図示の実施形態では、カム機構は、脊椎ロッドなどの脊椎固定部材が受容器ヘッド404内に受容されたときに、それ自体を所定の位置に係止することができる。カム機構440は、カムバー450に遠位方向に向けられた力を係合して印加するように構成されたパネル452を有する。したがって、脊椎固定部材から力を受けるパネル452と一体的に形成されたサドル454を有する。サドル454は、チャネル408内に着座するように構成され、パネル452は、受容器ヘッド404の背面に沿って延在し、カムバー450の上部に収まる。この配置のため、サドル454は、チャネル408内のサドル454の上部に配置された脊椎固定部材によって所定の位置に保持されるように構成され、次にパネル452が、サドル454によって所定の位置に保持されるように構成され、これにより、後続のカムバー450が所定の位置に保持されることになる。
【0043】
配置中、カム機構440は、様々なツールによって作動バー444に遠位方向に向けられた力を印加することにより、カム機構340と同様に作動され得る。したがって、サドル454及びパネル452は、移動を防止するためにカムバー450に十分な力を印加しない。しかしながら、受容器402が配置され、フック部材420が脊椎解剖学的構造体に係合されると、脊椎固定部材が受容器402に取り付けられ、続いてサドル454及びパネル452によって任意の近位方向の移動が防止され、これにより、脊椎固定部材が取り外されるまでカムバー450が解放されないように係止された状態に保たれる。
【0044】
図5A~
図5Dは、脊椎固定システム300と同様の脊椎固定システム500の別の実施形態を図示する。しかしながら、脊椎固定システム500は、ラチェット機構によって受容器ヘッド504に対して移動可能であるように構成されたフック部材520を有する。脊椎固定システム500は、受容器ヘッド504及びフック部材520を有する受容器502を有し、フック部材520は、受容器ヘッド504から遠位方向に延在し、椎弓板などの、脊椎解剖学的構造体の一部分をその開放部分で受容するように構成された開口部522を画定している。ラチェット機構540は、受容器ヘッド504及びフック部材520の両方に係合し、ラチェット機構540の作動は、受容器ヘッド504に対するフック部材520を近位方向に移動させて、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく開口部522内の脊椎解剖学的構造体を確実に把持するように構成される。
【0045】
受容器ヘッド304と同様に、受容器ヘッド504は、その中に脊椎ロッドなどの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されている。したがって、上で考察される他の実施形態と同様に、受容器ヘッド504は、その近位端上に対向するアーム506を有し、脊椎固定部材を受容するように構成されているアーム506の間にチャネル508を有する。対向するアーム506は、チャネル508に面する表面にねじ山を有しており、様々な閉鎖部材と係合するように構成されている。
【0046】
受容器ヘッド504はまた、フック部材520が近位方向に移動したときに、フック部材520の近位端を受容するように構成されている。受容器ヘッド504は、その遠位部分510に長手方向開口部560を有し、この開口部は、以下で考察されるように、フック部材520のラチェットピン526がそれに沿って摺動することを可能にするように構成されている。角度付き歯510tは、遠位部分510の表面から延在しており、これは、以下で考察されるように、フック部材520のフックアーム521の対応する角度付き歯521tと係合するように構成されている。
【0047】
フック部材520は、その中に脊椎解剖学的構造体を受容するように構成された開口部を画定する、上で考察されるものと同様の形状のものである。フック部材520は、受容器ヘッド504から遠位方向に延在するフックアーム521と、フックアームの遠位端にあり、フックアームに対してある角度で延在して開口部522の一方の縁部を画定するブレード524と、を含む。ブレード524の図示された角度はおよそ90度であるが、それは、
図1A~
図1Eに関して上で考察される角度αと同様の様々な角度で延在することができる。ブレード524は、ラチェット機構540の作動時に、開口部522内の脊椎解剖学的構造体を確実に把持するように構成された骨係合面を有する。骨係合面は滑らかであるように図示されているが、グリットブラスト加工などの処理から生じるテクスチャ加工された表面を有するなど、脊椎解剖学的構造体をより良好に把持するために、周囲の表面よりも粗面化することができる。
【0048】
前述のように、フック部材520は、以下で考察されるように、角度付き歯510tと角度付き歯521tとの間の相互作用により、ラチェット機構540の作動時に、受容器ヘッド504内に近位方向に移動するように構成されており、フック部材520は、そこから延在し、長手方向開口部560に沿って摺動してその移動をガイドするように構成されているラチェットピン526を有している。ラチェットピン526は、ラチェット機構540に係合し、その作動時に近位方向に移動するように構成されており、ラチェットピン526の移動に伴ってフック部材520及びブレード524を近位方向に移動させる。
【0049】
ラチェット機構540は、結果的に、作動時にフック部材520を受容器ヘッド504に向けて移動させるように構成されている。ラチェット機構540は、フック部材520のラチェットピン526と係合する、受容器ヘッド504の遠位部分510から突出するレバー541を有し、枢動点540pを中心に回転するように構成される。
図5Dに図示されるように、受容器ヘッド504及びフック部材520の各々の角度付き歯510t、521tは、受容器ヘッド540から延在するばね530によって係合状態で保持され、レバー541は、枢動点540pを中心に遠位方向に回転して、ツールによるレバーの遠位作動時にラチェットピン526を近位方向に強制するように構成されている。レバー540に印加される力は、フックアーム521を受容器ヘッド504の遠位部分510から離れる方向に移動するように強制して、角度付き歯510tと角度付き歯521tとの間に角度を付けて相互作用させ、ばね付勢が克服され、角度付き歯510t、521tが互いにすれ違うまで、ばね530を押し、角度付き歯510t、521tが新たな係合状態に陥るまで、フックアーム521を近位方向に移動するように構成されており、その結果、フック部材520が遠位方向に移動し、ラチェット機構540が所定の位置に係止される。
【0050】
したがって、使用時に、ラチェット機構540は、レバー541の遠位作動時にフック部材520を受容器ヘッド504に向かって近位方向に移動させることによって、カム機構340と同様に動作する。
【0051】
フック部材内の開口部を閉じること、又はフック部材を受容器ヘッドに対して移動させることに加えて、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく、フック部材を脊椎解剖学的構造体に緊締するための別の機構が、ねじ又はピンを使用して、フック部材の開口部内の椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分を係合させることを含み得る。例えば、
図6A~
図6Cは、上記の脊椎固定システムと同様であるが、脊椎固定システム600を椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の一部分に緊締するように構成されたねじ640を含む、脊椎固定システム600の別の実施形態を図示している。脊椎固定システム600は、受容器ヘッド604及びフック部材620を有する受容器602を有し、フック部材620は、受容器ヘッド604から遠位方向に延在し、脊椎解剖学的構造体をその開放部分で受容するように構成された開口部622を画定している。ねじ640は、開口部622内に延在するように構成されており、そのため、脊椎解剖学的構造体が開口部622内に受容されたときに、ねじ640が脊椎解剖学的構造体に対して締着されて、脊椎解剖学的構造体を開口部622内に緊締し、したがって、脊椎解剖学的構造体を貫通することなく、フック部材620を脊椎解剖学的構造体に緊締する。
【0052】
受容器ヘッド604は、脊椎ロッドなどの様々な脊椎固定部材を受容するように構成されている。したがって、受容器ヘッド604は、その遠位端に対向するアーム606を有し、アーム606の間には、脊椎固定部材を受容するように構成されたチャネル608を有する。対向するアーム606は、チャネル608に面する表面にねじ山を有しており、脊椎固定部材がその中に受容された後に、止めねじなどの様々な閉鎖部材と係合するように構成され、様々な閉鎖部材は、ねじ640とは別個である。
【0053】
更に、受容器ヘッド604は、ねじ640が開口部622内へと延在して、開口部622内の脊椎解剖学的構造体を緊締することができるように構成されている。チャネル608及び開口部622と連通するねじ山付きの開口部610が、受容器ヘッド604の基部に画定されており、内部を通ってねじ640を受容するように構成されている。開口部610は、チャネル608内の脊椎固定部材の配置を妨げないように、任意の脊椎固定部材の任意の接触表面下に位置決めされる。
【0054】
前述のように、フック部材620は、脊椎解剖学的構造体をその中に受容するように構成された開口部を画定する形状のものである。フック部材620は、受容器ヘッド604から遠位方向に延在するフックアーム621と、フックアームの遠位端にあり、フックアームに対してある角度で延在して開口部622の一方の縁部を画定するブレード624と、を含む。ブレード624の図示された角度はおよそ90度であるが、それは、
図1A~
図1Eに関して上で考察される角度αと同様の様々な角度で延在することができる。ブレード624は、その上に開口部622内に受容される脊椎解剖学的構造体に面する骨係合面628を有する。図示された実施形態では、フック部材620は、受容器ヘッド604と一体であるが、当業者であれば、フック部材620は、別個に形成され得ることを理解するであろう。
図6A~
図6Cでは、骨係合面628は滑らかであるが、骨係合面は、グリットブラスト加工などの処理から生じるテクスチャ加工された表面を有するなど、脊椎解剖学的構造体をより良好に把持するために、周囲の表面よりも粗面化することができる。
【0055】
前述のように、ねじ640は、開口部622内に延在し、その中に脊椎解剖学的構造体を緊締するように構成されているが、ねじ640は、脊椎解剖学的構造体を貫通しないように構成されている。むしろ、ねじ640は、ねじ640の遠位先端とブレード624の骨係合面628との間に脊椎解剖学的構造体を緊締するために、脊椎解剖学的構造体に遠位方向に向けられた力を印加するように構成されている。ねじ640は、脊椎解剖学的構造体に対して緊締されたときに、チャネル608内の任意の脊椎固定部材の任意の接触面下に着座するように構成されたドライバヘッドをその遠位端に有する、平底のねじである。ねじのドライバヘッドは、開口部622内にねじをねじ込ませるか、又は開口部622からねじを取り外すためのツールをその中に受容するように構成されている。
【0056】
一実施形態では、上で考察されるねじ640が有用であるが、他の様々な突起物、例えば、ピン、バンプ、柱などを使用して、開口部内に脊椎解剖学的構造体を緊締することができる。これらの代替的な実施形態のうちの1つ又は2つ以上を使用するとき、サドルは、チャネルの底部に配置されて、その上に脊椎固定部材を受容し、ピン、バンプなどを近位方向に脊椎解剖学的構造体と緊締係合するように強制することができる。様々なばね、摩擦嵌め係止機構などを使用して、ピン、バンプなどに遠位方向の圧力を提供して、脊椎解剖学的構造体との係合を維持することができる。
【0057】
使用時には、脊椎固定システム600は、上で考察されるシステムと同様に使用される。しかしながら、椎弓板などの脊椎解剖学的構造体の選択された部分がフック部材620の開口部622内に挿入されると、ねじ640が開口部622に駆動され、脊椎解剖学的構造体に押し当てられ、ねじ640の平坦な遠位先端とフック部材620のブレード624との間に脊椎解剖学的構造体を緊締する。ねじ640が脊椎解剖学的構造体に対して締着されると、受容器602は、脊椎解剖学的構造体上に緊締される。次いで、脊椎ロッドなどの脊椎固定部材は、チャネル608内に挿入され、止めねじなどの閉鎖部材は、対向するアーム606の間に螺合される。
【0058】
上で考察されるねじ640及び様々な突起物は、骨を貫通しないように構成されているが、システム600と同様の脊椎固定システム700を、骨を貫通するように構成されたピン740又はねじとともに使用することができる。
図7A~
図7Cに図示されるように、脊椎固定システム700は、受容器ヘッド704及びフック部材720を有する受容器702を有し、フック部材720は、受容器ヘッド704から遠位方向に延在し、脊椎解剖学的構造体をその開放部分で受容するように構成された開口部722を画定している。ピン740は、開口部722内に延在するように構成されており、そのため、脊椎解剖学的構造体が開口部722内に受容されると、ピン740は、受容器ヘッド704の開口部又はチャネルを通して開口部722内へと駆動され、脊椎解剖学的構造体に押し当てられ、ピン740の遠位先端とフック部材のブレードとの間に脊椎解剖学的構造体を緊締することができる。しかしながら、配置中、ピン740は、脊椎解剖学的構造体を少なくとも部分的に貫通し、これにより、フック部材700及び受容器700は、概して、脊椎解剖学的構造体に確実に嵌入して緊締される。図示されるように、ピン740は、受容器ヘッド704内に着座するように構成された上部サドル742を有する。ばね744は、上部サドル742と受容器ヘッド704との間に着座し、サドル742が開口部722内の任意の脊椎解剖学的構造体と係合しないように、近位に付勢された状態に保つ。しかしながら、脊椎ロッドなどの脊椎固定部材が受容器ヘッド704に挿入されて所定の位置に締着されると、脊椎固定部材がサドル742に着座し、ばね付勢を克服する際に、ピン740を遠位側に開口部722内に強制する。したがって、ピン740の鋭利な遠位点は、開口部内の脊椎解剖学的構造体に遠位方向に強制されて、ピン740がその中の脊椎解剖学的構造体内を少なくとも部分的に貫通させ、受容器702を脊椎解剖学的構造体に緊締する。他の実施形態は、ねじなどのピン740とほぼ同様に骨を貫通するように構成された他の突起物を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、上で考察される受容器602と同様の受容器が、配置中に脊椎解剖学的構造体に貫入する遠位点を有するねじを組み込むことができる。
【0059】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができるか、又は複数回使用されるように設計することができる。装置は少なくとも1回の使用後に再調整され得る。再調整には、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで再度組み立てることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本発明の範囲内にある。
【0060】
本明細書に記載の装置及び部品は、使用前に処理され得る。最初に、新しい又は使用済みの器具を入手し、必要であれば洗浄する。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次に、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギ電子など、容器を透過することができる放射線照射野に置く。放射線は、器具上又は容器内の細菌を死滅させる。この後、滅菌された器具を滅菌容器内で保管することができる。密封された容器は、医療設備において開封されるまで器具を滅菌状態に保つ。
【0061】
装置は滅菌されることが好ましい。これは、β線又はγ線放射、酸化エチレン、蒸気、及び液浴(例えば、低温浸漬)などの当業者には既知の様々な方法によって行うことができる。内部回路を含む装置を滅菌する例示的な実施形態は、「System And Method Of Sterilizing An Implantable Medical Device」と題して2008年2月8日に出願された米国特許出願公開第2009/0202387号に詳述される。装置は、埋め込まれる場合、完全に密封されることが好ましい。これは、当業者に既知の様々な方法によって行うことができる。
【0062】
上述の実施形態に基づいた前述の装置及び方法の更なる特徴及び利点が当業者には理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され、かつ説明されている内容によって限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び文献は、それらの全容を本明細書に明示的に援用する。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 脊椎固定システムであって、
少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されている受容器であって、前記受容器が、前記少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されているチャネルを間に有する対向するアームによって画定された第1の端部、及び第2の端部を有し、前記第2の端部が、骨の一部分と係合するように構成されている開放部分を有するフック部材に動作可能に結合されている、受容器と、
前記受容器に取り付け可能であり、前記骨を貫通することなく前記受容器を前記骨に緊締するために、前記開放部分を横切って延在するように前記骨を取り囲むように構成されているケーブルと、
前記受容器の前記対向するアームの間に挿入可能であり、前記固定部材を前記受容器内へ圧縮するように構成されている閉鎖部材と、を備える、脊椎固定システム。
(2) 前記フック部材が、前記開放部分の縁部を形成する最遠位ブレード部分を有し、前記ブレード部分が、前記ケーブルの第1の端部を受容するための、前記ブレード部分を通るチャネルを有する、実施態様1に記載の脊椎固定システム。
(3) 前記ケーブルが椎弓板の周囲を通過するように構成されるように、前記ケーブルが、予め湾曲されている、実施態様1に記載の脊椎固定システム。
(4) 前記受容器が、前記ケーブルの対応する第1の端部及び第2の端部を受容するように構成されている少なくとも第1の受容部材及び第2の受容部材を有し、前記ケーブルの前記第1の端部及び前記第2の端部が、圧着されて、前記第1の受容部材及び前記第2の受容部材内に前記ケーブルの前記第1の端部及び前記第2の端部を緊締するように構成されている、実施態様1に記載の脊椎固定システム。
(5) 前記対向するアームの各々が、前記ケーブルの端部を、内部を通して受容するように構成されているループを有する、実施態様1に記載の脊椎固定システム。
【0064】
(6) 前記少なくとも1つの固定部材が、脊椎ロッドを備え、前記閉鎖部材が、止めねじを備える、実施態様1に記載の脊椎固定システム。
(7) 脊椎固定システムであって、
少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されている受容器であって、前記受容器が、前記少なくとも1つの固定部材を受容するように構成されているチャネルを間に有する対向するアームによって画定された第1の端部、及び第2の端部を有する、受容器と、
前記受容器の前記第2の端部に動作可能に結合されたフック部材であって、前記フック部材が、骨を貫通することなく前記骨の一部分と係合して前記受容器を前記骨に緊締するように構成されている開放部分を有し、前記フック部材が、前記骨が前記開放部分内に受容されたときに、前記骨の解放を可能にする開放位置から、前記骨を確実に把持する閉鎖位置まで、前記受容器に対して移動するように構成されている、フック部材と、
前記受容器の前記対向するアームの間に挿入可能であり、前記固定部材を前記受容器内へ圧縮するように構成されている閉鎖部材と、を備える、脊椎固定システム。
(8) 前記フック部材が、ねじ山付きシャフトを通して前記受容器に動作可能に結合し、前記フック部材が、前記ねじ山付きシャフトの回転によって、前記開放位置から前記閉鎖位置へと前記受容器に対して移動するように構成されている、実施態様7に記載の脊椎固定システム。
(9) 前記フック部材を前記開放位置から前記閉鎖位置まで前記受容器に対して移動させるように構成されているカム機構を更に備える、実施態様7に記載の脊椎固定システム。
(10) 前記カム機構が、アームを有し、前記アームが、近位位置から遠位位置へと枢動するときに、前記カム機構を作動させるように構成されている、実施態様9に記載の脊椎固定システム。
【0065】
(11) 前記カム機構が前記フック部材を前記閉鎖位置に移動させた後に、前記カム機構の解放を防止するように構成されているカム係止部を更に備える、実施態様9に記載の脊椎固定システム。
(12) 前記カム係止部が、前記カム係止部が前記受容器に受容された前記固定部材と接触するときに、前記カム機構の解放を防止するように構成されている、実施態様11に記載の脊椎固定システム。
(13) 前記フック部材を前記開放位置から前記閉鎖位置まで前記受容器に対して移動させるように構成されているラチェット機構を更に備える、実施態様7に記載の脊椎固定システム。
(14) 前記ラチェット機構が、アーム及びばねを含み、前記アームが、前記フック部材が前記開放位置にある係合解除位置から、前記フックが前記閉鎖位置にある係合位置へと枢動するように構成され、前記ばねが、前記アームの移動に抵抗するように構成されている、実施態様13に記載の脊椎固定システム。
(15) 前記フック部材が、前記フック部材の前記開放位置に面して、前記フック部材の非骨係合面よりも粗い骨係合面を有し、前記骨係合面が、前記骨係合面に接して受容された前記骨を把持するように構成されている、実施態様7に記載の脊椎固定システム。
【0066】
(16) 脊椎固定方法であって、
受容器の遠位端上のフック部材の開放部分に骨を挿入することと、
前記骨を貫通することなく前記フック部材を前記骨に緊締するために、前記受容器に取り付けられたケーブルで前記骨を取り囲むことであって、前記ケーブルが前記開放部分を横切って延在する、取り囲むことと、
前記外科用装置の前記受容器の近位端上の対向するアームによって画定されたチャネルに脊椎ロッドを挿入することと、
前記対向するアームの間で止めねじを回転させて、前記脊椎ロッドを前記チャネル内に緊締することと、を含む、方法。
(17) 前記ケーブルの第1の端部及び第2の端部を、前記受容器上の受容部材に通して通過させることを更に含む、実施態様16に記載の脊椎固定方法。
(18) 前記第1の端部及び前記第2の端部を前記受容部材に通して通過させた後、前記第1の端部及び前記第2の端部の各々を圧着して、前記ケーブルを前記受容器に、かつ前記受容器を前記骨に緊締することを更に含む、実施態様17に記載の脊椎固定方法。
(19) 前記フック部材の最遠位ブレード部分に形成されたチャネルを通して、前記ケーブルの前記第1の端部を通過させることを更に含み、前記チャネルが、前記受容部材のうちの1つである、実施態様17に記載の脊椎固定方法。
(20) 前記ケーブルが、予め湾曲されたケーブルであり、前記ケーブルで前記骨を取り囲むことが、前記ケーブルを、前記フック部材の遠位端上の第1の緊締係合を通して、前記骨の下側及び周囲を、患者の脊椎の後部に沿って、かつ前記受容器の第2の緊締係合を通して、通過させることを含む、実施態様17に記載の脊椎固定方法。