IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーエムテーツェー フォルティファー プロジェクトゲゼルシャフト エムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-航空機および航空機の作動方法 図1
  • 特許-航空機および航空機の作動方法 図2
  • 特許-航空機および航空機の作動方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】航空機および航空機の作動方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 29/00 20060101AFI20240213BHJP
   B60V 1/10 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B64C29/00 A
B60V1/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021544736
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020052021
(87)【国際公開番号】W WO2020157052
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】102019000682.8
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019210417.7
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521338488
【氏名又は名称】カーエムテーツェー フォルティファー プロジェクトゲゼルシャフト エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オベルモーザー,カール
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,クラウディア
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-505300(JP,A)
【文献】米国特許第03397853(US,A)
【文献】米国特許第09162764(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 29/00
B60V 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機であって、主翼を備え、前記主翼が、断面視において、前記航空機が意図した通りに作動した場合、一方の側が前記航空機が地上に向けている側にある下部の第1プロファイル面により区画され、他方の側が翼型遷移位置で前記第1プロファイル面と合流する上部の第2プロファイル面により区画され、前記第1プロファイル面は、少なくとも一つの空気吸入口を包囲し、前記第2プロファイル面は、少なくとも一つの空気吹出口を包囲し、前記航空機は、前記少なくとも一つの空気吸入口を通過して空気を吸入し、前記少なくとも一つの空気吹出口を通過して前記吸入された空気を排出するために設けられて設計されている空気搬送装置を有する駆動装置を備え、前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記第2プロファイル面とともに、前記空気吹出口に流体接続された空気吹出し間隙を区画する偏向要素と少なくとも部分的に重なっており、前記少なくとも一つの空気吸入口を通過する前記空気の前記駆動装置による搬送は、前記航空機の下面から発生し、前記航空機の飛行動作の際、前記駆動装置の作動は、吸気流の形態の空気が前記航空機の下面からその上方向へ運ばれるように行われ、前記第2プロファイル面に沿って流れる空気膜は、剥離点で前記主翼から剥離し、自由噴流の気流として、前記航空機の下面上を流れ、これにより、少なくとも部分的に前記第1プロファイル面と前記地上との間に位置し、前記自由噴流の気流および前記吸気流の両方がそれに対して接線方向にある環状の支持渦が、ポテンシャル渦として活発化されている空機。
【請求項2】
前記少なくとも一つの空気吸入口は、前記第1プロファイル面の中央に配置される、たは、前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記第2プロファイル面の中央に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記主翼は、長手方向中心軸に対して環状であり、前記プロファイル面は、少なくとも部分的に軸方向へ互いに離間することを特徴とする、請求項1または2に記載の航空機。
【請求項4】
前記少なくとも一つの空気吸入口および前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記主翼の断面の中央に形成された流路を介して流体接続され、前記流路の内部には、前記空気搬送装置のダクトプロペラが、回転軸の回りに回転可能に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項5】
前記空気吹出口は、断面視において、前記第2プロファイル面と前記偏向要素との間にある接続流路を介して前記空気吹出し間隙に流体接続されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項6】
前記接続流路は、前記空気吹出し間隙の方向に増加または減少する断面を有し、これによりノズルのように設計されていることを特徴とする、請求項5に記載の航空機。
【請求項7】
前記第2プロファイル面は、前記翼型遷移位置を起点とする第1領域と、前記第1領域に隣接して前記空気吹出し間隙を区画する第2領域とを有し、断面視において、前記第1領域は湾曲し、前記第2領域は湾曲しているかまたは平坦であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項8】
前記第1プロファイル面は、断面視において、前記翼型遷移位置に対して前記第2プロファイル面の方向へ後退する領域を有し、これにより渦室が前記翼型遷移位置により包囲されて形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項9】
前記第1プロファイル面および前記第2プロファイル面は、断面視において、同一方向に少なくとも部分的に湾曲していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項10】
前記第2プロファイル面は、前記翼型遷移位置において、前記翼型遷移位置を連続して収容する仮想平面に垂直な直線に対して少なくとも0°および最大で60°である角度で、前記第1プロファイル面と合流することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項11】
前記偏向要素は、前記空気吹出し間隙の空気流断面積を大局的および/または局所的に変更するために変位可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項12】
第1の制御要素および/または第2の制御要素は、制御用フィンをそれぞれ有し、前記第1プロファイル面から、および/または前記第2プロファイル面から延びていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の航空機。
【請求項13】
前記第1の制御要素および/または前記第2の制御要素は、共通の連結要素を介して前記航空機の制御駆動部に駆動連結されることを特徴とする、請求項12に記載の航空機。
【請求項14】
求項1から13のいずれか一項に記載の航空機を作動させるための方法であって、前記航空機は、主翼を備え、前記主翼が、断面視において、前記航空機が意図した通りに作動した場合、一方の側が前記航空機が地上に向けている側にある下部の第1プロファイル面により区画され、他方の側が区画された上部の第2プロファイル面により、翼型遷移位置で前記第1プロファイル面と合流し、前記第1プロファイル面は、少なくとも一つの空気吸入口を包囲し、前記第2プロファイル面は、少なくとも一つの空気吹出口を包囲し、前記航空機は、前記少なくとも一つの空気吸入口を通過する空気の吸入に利用され、前記少なくとも一つの空気吹出口を通過する前記吸入された空気の排出に利用される空気搬送装置を有する駆動装置を備え、前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記第2プロファイル面とともに、前記空気吹出口流体接続された空気吹出し間隙を区画する偏向要素と少なくとも部分的に重なり、これにより前記空気は、前記第2プロファイル面と平行に排出され、前記少なくとも一つの空気吸入口を通過する前記空気の前記駆動装置による搬送は、前記航空機の下面から発生し、前記航空機の飛行動作の際、前記駆動装置の作動は、吸気流の形態の空気が前記航空機の下面からその上方向へ運ばれるように行われ、前記第2プロファイル面に沿って流れる空気膜は、剥離点で前記主翼から剥離し、自由噴流の気流として、前記航空機の下面上を流れ、これにより、少なくとも部分的に前記第1プロファイル面と前記地上との間に位置し、前記自由噴流の気流および前記吸気流の両方がそれに対して接線方向にある環状の支持渦が、ポテンシャル渦として活発化され空機の作動方法。
【請求項15】
前記駆動装置によって、空気が吸気流の形態で前記空気吸入口を通過する吸入方向へ吸入され、前記空気吹出し間隙を通過する前記吸入方向と角度を成す吹出し方向へ排出され、前記翼型遷移位置で前記空気が自由噴流の気流を自由噴流方向に形成し、これにより、支持渦が、前記吸気流と前記自由噴流の気流との間に形成され、少なくとも部分的に前記第1プロファイル面の下となるように行われることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機および航空機の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば独国実用新案第202018104722号明細書は先行技術として既知である。この明細書は、フレーム構造およびこのフレーム構造の上に配置される、いくつかの揚力回転翼を有することにより垂直方向に指向された一次揚力および推進力を発生させることができる航空機について説明している。ジェットタービンがまた設けられ、推力ジェットは、一次揚力に実質的に平行に指向された二次揚力を発生させることができ、それが一次揚力上に重畳できるように指向可能に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、既知の航空機を上回る利点を有し、特にその有効搭載量に関して所望の規模に変更可能であり、特に効率的な飛行が可能な航空機を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は請求項1に記載の特徴を有する航空機に関する本発明によって達せられる。前記航空機は、主翼が、断面視において、前記航空機が意図した通りに作動した場合、一方の側が下部の第1プロファイル面により区画され、他方の側が翼型遷移位置で第1プロファイル面と合流する上部の第2プロファイル面により区画され、前記第1プロファイル面は、少なくとも一つの空気吸入口を包囲し、前記第2プロファイル面は、少なくとも一つの空気吹出口を包囲し、前記航空機は、前記少なくとも一つの空気吸入口を通過して空気を吸入し、前記少なくとも一つの空気吹出口を通過して前記吸入された空気を排出するために設けられて設計されている空気搬送装置を有する駆動装置を備え、前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記第2プロファイル面とともに、前記空気吹出口に流体接続された空気吹出し間隙を区画する偏向要素と少なくとも部分的に重なっていることを特徴とする。
【0005】
原理的に、航空機は所望の設計が可能であり、その形態は、例えば、無人航空機、または、好適には、航空機である。航空機は地球の大気内を飛行する乗り物として理解され、この限りでは、人員や物等の輸送に利用される機動力のある輸送手段に相当する。航空機は、したがって、旅客輸送および/または貨物運送を対象として設計される。航空機は空気より重く、駆動装置または駆動動力を有し、航空機は全体を航空機として称することができる。極めて一般的には、航空機は空気より重く、非回転揚力面を使用する飛行に求められる動的な揚力を発生させる。
【0006】
本発明によれば、この航空機は主翼を有する。複数の主翼の使用がまた可能であり、特にこの航空機の構造体を介して、好適には互いに接続されていることを理解されている。このケースでは、主翼に、好適には複数の主翼またはそれぞれの主翼に以下の記述が適用される。主翼は、断面視において、2つのプロファイル面、具体的には第1プロファイル面および第2プロファイル面により区画される。この第1プロファイル面および第2プロファイル面により、主翼は逆方向に、特に主翼または航空機の長手方向中心軸に対して区画される。航空機が意図した通りに作動した場合、第1プロファイル面は下部に配置され、第2プロファイル面は上方に配置される。これにより、第1プロファイル面は航空機が地上に向けている側にある一方で、第2プロファイル面はこの航空機が地上を背にした側に配置される。
【0007】
断面視において、第1プロファイル面および第2プロファイル面は翼型遷移位置で収束し、それゆえ翼型遷移位置で互いに合流する。この翼型遷移位置は、たとえば線、特に連続的な軌道の線および/または連続線を含む線、または、この線に沿って連続的に延びている。この連続線は自己完結型の線を意味する。つまり、線の起点はこの線の端点に一致し、起点および端点は連続して互いに接続される。例えば、この線は直線でありうる。ただし、この線は好適には円形、正円、または、楕円形である。翼型遷移位置は主翼の外側に一致するか、または、主翼上に存在することができる。主翼の外側は長手方向中心軸からの最遠点にある主翼の位置に相当するか、または、この位置に配置されている。例えば、翼型遷移位置は主翼の遷移の縁部であり、第1プロファイル面および第2プロファイル面上にあり、断面視において、非連続的に互いに隣接して互いに合流している。
【0008】
第1プロファイル面および第2プロファイル面が翼型遷移位置で収束する一方、これらは断面視において翼型遷移位置と反対側にある主翼の内側で互いに離間しうる。特に、主翼の内側で互いに離間する。第1プロファイル面および第2プロファイル面は、例えば、断面視において、翼型遷移位置を起点に主翼の内側の方向へ互いに離隔するため、主翼の内側では翼型遷移位置よりも互いに長い距離を隔てて存在する。この点で、翼型遷移位置は、いかなる場合でも、主翼の内側よりさらに外側に存在し、断面視において、特に長手方向中心軸からさらに離間している。特に好適には、第1プロファイル面と第2プロファイル面との間の距離は翼型遷移位置を起点に主翼の内側の方向へ連続して広くなるよう設けられる。2つのプロファイル面はこの目的にかなうように従って設計されおよび/または配置されるが、ただし、第1プロファイル面および第2プロファイル面が連続してこの主翼の内側に互いに合流するよう設けることもできる。主翼のこうした構成により、特に低い乱流、つまり、空気吸入口から損失の無い空気の流入が達成できる。
【0009】
航空機は、空気吸入口および空気吹出口を有する。航空機の作動中、空気は空気吸入口を通過して吸入され、空気吹出口を通過して排出される。この目的のため、空気吸入口および空気吹出口は互いに流体接続される。これにより、空気吸入口を通過して吸入された空気は次いで空気吹出口を通過して排出される。単一の空気吸入口のみを設けることができる。あるいは、複数の空気吸入口が実装される。このことは、空気吹出口にも適用される。このため、単一の空気吹出口または複数の空気吹出口のどちらかとなる。本明細書の文脈において空気吸入口が言及された場合、それに相当する記述は、少なくとも一つの空気吸入口に、そして、その逆の場合でもよい、つまり、いくつかの空気吸入口がある場合にも同様に、空気吸入口のそれぞれについて、常に適用される。同様に、空気吹出口の記述は、少なくとも一つの空気吹出口に、そして、その逆の場合でもよい、つまり、いくつかの空気吹出口がある場合にも同様に、空気吹出口のそれぞれについて、常時に適用される。この意味において、一つには、空気吸入口と少なくとも一つの空気吸入口という表現、そして、もう一つには、空気吹出口と少なくとも一つの空気吹出口という表現は、それぞれ同じ意味を示している。
【0010】
空気吸入口は、第1プロファイル面により、そして、空気吹出口は、第2プロファイル面により構成される。これは、特に、空気吸入口は、主翼の内側の第1プロファイル面側により区画され、空気吹出口は、主翼の内側の第2プロファイル面側により区画されるという意味として理解される。特に、第1プロファイル面はこの空気吸入口を包囲し、第2プロファイル面はこの空気吹出口を包囲し、それぞれの場合において環状の形態である。ただし、この空気吸入口を第1プロファイル面まで延在すること、および/または、空気吹出口を第2プロファイル面まで延在するように設けることが同様に可能である。
【0011】
この航空機は、駆動装置を有し、ひいては、空気搬送装置を有する。航空機が意図した通りに作動した場合、吸入開口部からの空気を空気吹出口の方向へ搬送し、空気吸入口を通過して空気を吸入し、空気吹出口を通過して排出するよう設けられて設計されている。これで、航空機は、この航空機が意図した通りに作動した場合、第1プロファイル面は下方に配置され、第2プロファイル面は上方に配置されるように測地的に配置される。言い換えると、第1プロファイル面は地上と向かい合わせであるのに対して、第2プロファイル面は地上を背にしている。これは、駆動装置が航空機の下面からその上側へ空気を搬送することを意味する。駆動装置は、第1プロファイル面の側で下面にある主翼の第1の側から、第2プロファイル面の側の主翼の上部にある第2の側へ空気を搬送するよう設けられて設計されている。
【0012】
しかしながら、揚力を発生させて飛行動作を可能にするために、偏向要素が空気吹出口と少なくとも部分的に重なっている。この偏向要素は、空気吹出口を通過して出ていく空気を偏向させる機能を果たすため、第2プロファイル面とともに、空気吹出口と流体接続された空気吹出し間隙を区画する。第2プロファイル面とともに偏向要素によって、空気吹出し間隙が区画されるため、空気吹出口から出ていき、次いで、空気吹出し間隙に供給される空気は、少なくとも部分的に平行に、または、第2プロファイル面と完全に平行に空気吹出し間隙を通過して出てくる。これにより、第2プロファイル面の表面上を翼型遷移位置の方向へ流れる第2プロファイル面上の空気膜が形成される。空気吹出し間隙は、したがって、特に、第2プロファイル面と平行に空気を排出し、空気膜を第2プロファイル面上に形成するよう設けられて設計されている。
【0013】
空気膜は引き続き自由噴流の形で、具体的には、地上の方向へ継続して流れるために、直近の翼型遷移位置で第2プロファイル面または航空機全体から分断される。自由噴流の気流は渦を誘導する。主翼の内側では、空気が吸入気流の形で空気吸入口の中へ吸い込まれることで、空気吸入口を通した空気の吸入が支持渦の形成を支援する。断面視において、自由噴流の気流は、これによって、支持渦から一方の側を自由噴流の方向へ流れ、吸入気流は、支持渦の他方の側を吸入方向へ流れる。そこでは、自由噴流の方向および吸入方向は、それぞれ異なる向きに、支持渦および点に対して互いに接線となり、特に、互いに正反対である。支持渦はこのように少なくとも自由噴流の気流により形成される。これに加えて、吸気の流量は(任意選択で)渦を形成する一助となりうる。支持渦は、好適には、少なくとも部分的に、第1プロファイル面の下、すなわち、特に、第1プロファイル面と地上との間に位置する。
【0014】
空気膜は、断面視において、剥離点で第2プロファイル面から剥離する。この剥離点は、翼型遷移位置と一致するか、または、それから離間している。第2プロファイル面に沿った翼型遷移位置から主翼の内側または空気吹出し間隙の距離に基づき、平均的には、一つには主翼の内側または空気吹出し間隙と、もう一つには、またしても第2プロファイル面に沿った剥離点との間の距離は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%である。空気膜は、特に好適には、第2プロファイル面に沿って翼型遷移位置まで流れる。
【0015】
航空機に作用している揚力は、異なる作用メカニズムによってもたらされる。一つには、空気吹出し間隙から排出された空気により、空気膜は主翼の上側に存在し、高流速のため、ベルヌーイの定理に従って、主翼の下面と比較して負圧を生じさせる。第2プロファイル面側の空気の流速は、第1プロファイル面側の空気の流速よりも速いことから、第2プロファイル面側の圧力は、第1プロファイル面側の圧力より少ない。第1プロファイル面部分の圧力と第2プロファイル面部分との間の圧力差、すなわち、主翼の下面と上部との間の圧力差によって、航空機に作用している揚力の一部がすでに生じている。揚力の他の部分は、支持渦が発生すると同時にこの支持渦によって与えられる。支持渦は、航空機と地上との間の距離が十分である場合のみ形成可能であることが明らかである。支持渦により生成される揚力を利用するために、したがって、第一に、航空機が地上から距離を取る必要がある。これは、好適には、地上からこの航空機を持ち上げる機械的なリフト装置の補助が用いられる。
【0016】
少なくとも部分的に揚力を与える支持渦を利用することにより、航空機は、特にエネルギー効率に優れた方法で作動可能になる。なぜなら、航空機を直ちに引き上げるのに必要と考えられるエネルギー量よりも著しく少量である比較的低い量のエネルギーをもって、支持渦の生成および維持が可能だからである。支持渦によって、航空機は、また、大気中で特に高い安定性を有するが、それは、支持渦が、大量の空気を巻き込むため、または、航空機に大容量の空気のクッションをもたらすためである。主翼および、この限りでは、航空機は、耐荷重容量に係る要求に応じて規模の変更が可能である。それは支持渦もまた必要に応じて規模の変更が可能であるからである。支持渦はポテンシャル渦として設けられる。
【0017】
主翼は、好適には、断面が対称的、例えば、回転対称的でさえある。基本的に、主翼は、異なる2つの構成を区別して形成することが可能である。第1実施形態によれば、主翼は直線状であり、ここでは、断面方向で見ると、対称軸に対して左右対称に構成されている。対称軸を、また、本明細書のこの文脈において、長手方向中心軸と称する。断面視において、対称軸は、好ましくは、空気吸入口および空気吹出口の間の中央を通る。第1プロファイル面および第2プロファイル面は、したがって、翼型遷移位置から主翼の内側にこの対称軸の方向へ延び、好適には、空気吸入口および/または空気吹出口を区画する。対称軸の反対側は、第1プロファイル面および第2プロファイル面が、順に、(さらなる)主翼の内側からプロファイル面が次いで収束する(さらなる)翼型遷移位置へ延びている。この限りでは、翼型遷移位置は互いに距離を隔て、特に互いに平行に通過している。翼型遷移位置は好適にはそれぞれ直線状である。断面視において、航空機は、空気吸入口および/または空気吹出口に対して、または、空気吸入口および/または空気吹出口の中央を通る対称軸に対して対称である。このような構成においては、支持渦は円柱状である。
【0018】
ただし、航空機は第2実施形態が好ましく、第2実施形態によれば、主翼は円形または楕円形であり、これにより、航空機は、例えば飛行円盤のように設計される。円形の主翼は、好適には、長手方向中心軸に対して回転対称であり、長手方向中心軸は断面視において主翼の鏡軸に相当する。翼型遷移位置は、好適には、長手方向中心軸の円周方向へ連続して形成される。この翼型遷移位置は、好適には、円周方向に連続的な一定の曲率を有し、これにより、翼型遷移位置は最終的に環状に流れる。この点で、主翼は長手方向中心軸に対して輪帯状である。航空機の第2実施形態の場合、支持渦は環状であり、円環体は円の回転体、特に主翼の長手方向中心軸についての回転体として理解される。円周方向で閉じた支持渦のこのような設計により、航空機は特にエネルギー効率的に飛行動作ができる。
【0019】
空気吹出口は、好適には主翼は、特に断面視において、少なくとも部分的に偏向要素と重なっている。偏向要素は、例えば、半径方向外側に広がる主翼における長手方向中心軸に対して、具体的には、特に長手方向中心軸の方向を起点として、半径方向へ延在する。偏向要素の第1変形例において、偏向要素と主翼の半径方向の重なりは、少なくとも5%以上、少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、または、少なくとも20%以上であり、この点では、一部分のみであり50%未満である。第2変形例においては、主翼との重なりは、少なくとも50%以上、少なくとも60%以上、少なくとも70%以上、少なくとも80%以上、または少なくとも90%以上であり、このように部分的のみとはいえ、ほぼ大半と言える。揚力を発生させる空気を効率的に供給できる第3変形例においては、偏向要素は、長手方向中心軸を起点とする半径方向へ、完全にこの主翼と重なり、特に半径方向へ主翼を超えて突出する。例えば、偏向要素は、空気吹出し間隙が翼型遷移位置または剥離点により区画されるように設計される。空気吹出し間隙は、例えば、断面視において、主翼を間隙の外縁で包含し、偏向要素と主翼との間の輪帯状の間隙として存在する。この場合、空気吹出し間隙は、特に、長手方向中心軸と垂直な仮想平面上に完全に位置する。この点で、空気は空気吹出し間隙を通過し、地上の方向に対して垂直に排出される。
【0020】
本発明のさらなる発展形によれば、前記少なくとも一つの空気吸入口は、前記第1プロファイル面の中央に配置され、および/または、少なくとも一つの空気吹出口は、前記第2プロファイル面の中央に配置される。言い換えると、空気吸入口または空気吹出口は、特に長手方向中心軸の縦断面における、それぞれのプロファイル面の断面の中央に形成される。このことは、航空機の飛行動作の間に空気吹出口の外へ流れる空気は、第2プロファイル面上の大部分、あるいは、このプロファイル面上の全体を、特に空気膜の形態で流れることを意味する。例えば、第2プロファイル面の面積における、平均、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または、少なくとも90%を空気は流れる。空気膜が第2プロファイル面上を流れる時、周囲空気を吸収または巻き込むことに起因して、特に、空気膜が周囲空気より高い流速であることにより存在する吸入効果のため、空気膜の質量流量は第2プロファイル面上を流れるに従って増加する。このことは、最終的に支持渦を発生させる自由噴流の気流が、空気吹出口または空気吹出し間隙から排出された直後の空気膜よりも大きな質量流量を少なくとも一時的に有することを意味する。これが航空機のエネルギー効率をさらに向上させる。
【0021】
本発明のさらなる発展形によれば、主翼は長手方向中心軸に対して環状であり、前記プロファイル面は、少なくとも部分的に軸方向へ互いに離間する。これは、特に、上述の第2実施形態の航空機に該当する。このことによれば、主翼は輪帯状で、好適には、長手方向中心軸に対して回転対称である。縦断面図からわかるように、プロファイル面は、部分的に互いに軸方向へ離間する。具体的には、プロファイル面が収束する翼型遷移位置から遠ざかっている。航空機の本構成をもって、上記の特にエネルギー効率の良い飛行動作が可能である。
【0022】
本発明のさらなる発展形によれば、前記少なくとも一つの空気吸入口および前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記主翼の断面の中央に形成された流路を介して流体接続され、前記流路の内部には、前記空気搬送装置のダクトプロペラが回転軸の回りに回転可能に配置される。この断面は、ひいては、好適には、主翼の長手方向中心軸に対する縦断面として理解される。流れの観点から、空気吸入口および空気吹出口を互いに接続する流路は、好適には、全長を通して、一定の空気流断面または一定の空気流断面積を有する。究極的には、これは、空気吸入口および空気吹出口が同じ空気流断面積を有することを意味する。
【0023】
空気吸入口は、第1プロファイル面によって長手方向中心軸の円周方向へ連続的に区画される。これにより、第1プロファイル面は、主翼の内側に空気吸入口の縁部を形成する。これと同様に、第2プロファイル面は、空気吹出口を円周方向へ連続的に包含する。これにより、第2プロファイル面は、主翼の内側に空気吹出口の縁部を形成する。空気吸入口の縁部は、好適には、連続して仮想第1平面にある一方で、空気吹出口の縁部は、好適には、連続して仮想第2平面にある。この2つの仮想平面は、特に、互いに平行に配置され、好適には、それぞれ長手方向中心軸に対して垂直である。それに応じて、空気吸入口の法線方向および空気吹出口の法線方向は、長手方向中心軸に平行にまたは長手方向中心軸に一致して配列されている。
【0024】
空気搬送装置のダクトプロペラは、流路内に配置され、回転可能に取り付けられる。このダクトプロペラは、航空機の飛行作動の間、空気吸入口を通じて空気を吸い込み、空気吹出口の方向へ送るよう設けられて設計されている。これにより、空気吸入口を通過して吸入された空気は、次いで、空気吹出口から排出される。ダクトプロペラは空気搬送装置のインペラに相当し、軸インペラとして設計される。このダクトプロペラに加え、空気搬送装置は、ダクトプロペラの下流に配置され、また、長手方向中心軸と平行なダクトプロペラを通過して流れる空気を揃える役割を有する案内車輪を有することができる。ダクトプロペラは、このダクトプロペラのブレードの先端部における流動損失が低減されることで非常に効率的に動作するようにする一方で、他方では、損傷から確実に保護されるように全体が配置される。
【0025】
本発明のさらなる発展形によれば、前記空気吹出口は、断面視において、前記第2プロファイル面と前記偏向要素との間にある接続流路を介して前記空気吹出し間隙に流体接続される。接続流路は、一方では第2プロファイル面により、他方では偏向要素により、すなわち反対側で、断面方向に、特に長手方向中心軸の縦断面方向に区画される。接続流路は、好適には、上記の流路に対して角度を成し、これにより、接続流路を通過して流れる空気の主流方向は、この流路を流れる空気の主流方向に対して角度を成す。つまり、0°よりも大きく180°未満の角度を成す。この角度は、好適には、少なくとも45°および最大で135°、少なくとも60°および最大で120°、少なくとも70°および最大で110°、少なくとも80°および最大で100°、または、およそまたは厳密に90°である。
【0026】
接続流路は、空気吹出し間隙のように、好適には連続して形成され、そして、特に長手方向中心軸の円周方向に分断されることがない。これにより、第2プロファイル面の上の空気膜も、また、分断されることなく連続して形成される。その結果、支持渦が特に効率的に生成される。もちろん、ただし、偏向要素を主翼へ接続するための薄いウェブがあってよい。流体的な観点から、これらのウェブは、連続した接続流路および連続した空気吹出し間隙が想定可能であるとして設計される。
【0027】
本発明のさらなる発展形によれば、前記接続流路は、前記空気吹出し間隙の方向に増加または減少する断面を有し、これにより、ノズルのように設計されている。流路内における空気の流速によって、接続流路は空気吹出し間隙の方向に広がるか、または、先細りになるかのどちらかが可能である。接続流路のこの形状は、空気吹出し間隙または空気膜の空気が、空気吹出し間隙を通過して出てきた直後に所望の流速を有するように特に選択される。流速は、好適には、亜音速の範囲であり、これにより、航空機に予期される衝撃等による機械的な負の影響はない。接続流路をノズルのように設計することによって、航空機の作動をより効率的とすることができる。
【0028】
本発明のさらなる発展形によれば、空気吹出し間隙が、特に長手方向中心軸に対して円周方向に連続的に設計されるように設けられる。これはすでに上記で指摘したとおりである。このような構成は空気膜をばらつきなく生成でき、したがって、支持渦の特に効率的な励振が可能になる。
【0029】
本発明のさらなる発展形によれば、前記第2プロファイル面は、前記翼型遷移位置を起点とする第1領域と、前記第1領域に隣接し、前記空気吹出し間隙を区画する第2領域とを有し、断面視において、前記第1領域は、特に連続的に湾曲し、前記第2領域は湾曲しているかまたは平坦である。第2プロファイル面は、このように、第1領域および第2領域を有し、特に専ら第1領域および第2領域から構成されている。第1領域および第2領域は、好適には、それぞれ輪帯状に構成され、第1領域が第2領域を長手方向中心軸の円周方向に包含する。第1領域は第2領域に直接隣接する。特に、第1領域は、シームレスに、また、連続的に第2領域に合流する。
【0030】
断面方向、特に長手方向中心軸に対する縦断面視において、第2プロファイル面の第1領域は湾曲している。具体的には、偏向要素から長手方向中心軸の半径方向外側へ離れている。このことは、第2プロファイル面と第1領域にある偏向要素との間における軸方向の距離も、また、半径方向に離れるほど広がっているということを意味する。断面方向または縦断面視において、第1領域は、特に好適には、連続して湾曲し、すなわち、ゼロではない連続的な曲率を有する。
【0031】
第2領域も同様に、例えば、部分的にまたは連続して、湾曲することができる。ただし、完全に平坦であることも可能であり、あるいは、それに代えて、部分的に湾曲し部分的に平坦であることも可能である。例えば、断面視において、この第2領域は偏向要素と重なっている。それに対して、第1領域は、偏向要素から半径方向に離れて、あるいは、その外側に存在する。この第2プロファイル面が第1領域および第2領域に区分されることで、特に有利な気流が得られる。これにより、第2プロファイル面上を流れる空気膜が主翼から剥がれた後に、支持渦を特に効率よく発生させる。
【0032】
本発明のさらなる発展形によれば、前記第1プロファイル面は、断面視において、前記翼型遷移位置に対して前記第2プロファイル面の方向へ後退する領域を有し、これにより、渦室が前記翼型遷移位置により包囲されて形成される。この断面は、ひいては、好適には長手方向中心軸に対する縦断面として理解される。第1プロファイル面が翼型遷移位置に対して部分的に反っている部分は、例えば、第1プロファイル面の曲率および/または凹部、すなわち、特にステップを形成することによって実装することができる。曲率の場合、曲率の曲率半径は、好適には、生成された支持渦の半径よりも大きいか、あるいは、およそまたは厳密に支持渦の半径に一致するように設定される。
【0033】
渦室は、第1プロファイル面で軸方向の上方に、また、翼型遷移位置から半径方向の外側に区画されている。渦室は、半径方向内側に、好適には、空気吸入口まで延在する。渦室は、航空機の飛行動作の間、ある一定の領域にある支持渦を受け止め、支持渦を特に半径方向に安定させて位置付けを行う役割を果たす。この渦室の補助を得て支持渦の位置が決まるおかげで、特に効果的な揚力が生成される。
【0034】
本発明のさらなる発展形によれば、前記第1プロファイル面および前記第2プロファイル面は、断面視において、同一方向に少なくとも部分的に湾曲している。この同一方向の曲率は、同一の符号が付された曲率であるとして理解される。このようにして、特に、航空機の原材料の節約および軽量化設計を図ることができる。例えば、翼型遷移位置を起点として、主翼の内側または空気吸入口までの連続した一定の曲率を有する第1プロファイル面が設けられる。さらにまたはそれに代えて、第1プロファイル面の曲率は、翼型遷移位置を起点に主翼の内側の方向へ変化し、特に減少する。
【0035】
例えば、第1プロファイル面の翼型遷移位置の直上での曲率は、第2プロファイル面の曲率よりも大きい。ただし、主翼の内側方向においては、この第1プロファイル面の曲率は減少し、例えば、曲率0まで低下する。特に好適には、この第1プロファイル面は、断面方向または縦断面視において、直線状の軌道を翼型遷移位置から離れて有する。そこでは、仮想平面が、好適には長手方向中心軸に垂直である、第1プロファイル面の直線状の軌道を収容する。この直線状の軌道における領域では、第1プロファイル面は、特に好適には、空気吹出し間隙を区画する。このようにして、特に効果的な気流が得られる。
【0036】
本発明のさらなる発展形によれば、前記第2プロファイル面は、前記翼型遷移位置において、前記翼型遷移位置を連続して収容する仮想平面に垂直な直線に対して少なくとも0°および最大で60°である角度で、前記第1プロファイル面と合流する。このことは、特に断面図の示すところであり、好適には、長手方向中心軸に対する縦断面視において明らかである。この仮想平面は、一貫して翼型遷移位置を収容するものである。これに加えて、特に、好適には長手方向中心軸に垂直である。直線は、ひいては、この仮想平面に垂直であり、この点において、好適には、主翼の長手方向中心軸と平行に配置される。
【0037】
翼型遷移位置の直上に、第2プロファイル面は、この直線と少なくとも0°および最大で60°の角度を成す。したがって、第2プロファイル面がこの直線と平行な第2プロファイル面と合流するよう設けられる。ただし、この角度は、好適には、0°より大きい。例えば、少なくとも15°および最大で60°、少なくとも30°および最大で50°またはおよそまたは正確に0°、およそまたは正確に30°またはおよそまたは正確に50°である。上記の角度の範囲において、第2プロファイル面からの空気膜の早期の剥離は比較的抑えられているため、自由噴流の気流を得て支持渦は特に効率的に形成される。
【0038】
本発明のさらなる発展形によれば、前記偏向要素は、前記空気吹出し間隙の空気流断面積を大局的および/または局所的に変更するために変位可能である。偏向要素は、特に、制御駆動部を用いて、空気吹出し間隙の大きさを変更する、すなわち、大局的および/または局所的のいずれかに変更するように変位可能である。空気吹出し間隙の大局的な変更または空気吹出し間隙の空気流断面積とは、空気吹出し間隙の範囲全体にわたって、空気吹出し間隙または空気流断面積の大きさを均一に変更する、つまり、増加または減少させることを意味するものとして理解される。これに対して、局所的な変更とは、拡張または縮小が空気吹出し間隙または空気流断面積に対して、ある一定の領域のみにおいて行われることを意味する。例えば、局所的な変更を行うために、偏向要素をある領域では空気吹出し間隙が拡大され、ある領域では縮小されるように変位させる。空気吹出し間隙の空気流断面積を変更することにより、航空機は、特に、航空機の飛行方向は、平易な方法で制御可能である。
【0039】
本発明のさらなる発展形によれば、偏向要素と第2プロファイル面との間の距離は、空気吹出し間隙の空気流断面積を大局的に変更するために、均一に変更できるように設けられる。均一な変更とは、空気吹出し間隙の均一な拡張または均一な縮小を意味するものと理解される。例えば、この目的で、空気が吹出す面を拡張するために、偏向要素を主翼の長手方向中心軸と平行に、すなわち、第2プロファイル面から離し、また、空気流断面積を減少させるために、偏向要素を第2プロファイル面に向かって変位させる。これで支持渦の渦強度を調整することによる航空機の特に効果的な制御が可能になる。
【0040】
本発明のさらなる発展形によれば、空気吹出し間隙の空気流断面積を局所的に変更するため、偏向要素は、第2プロファイル面に対して傾斜させることができるよう設けられる。この偏向要素の傾斜により、空気吹出し間隙は、特に、部分的に拡大および部分的に縮小されるという、局所的な変更がされる。例えば、主翼の長手方向中心軸に対して、この傾斜をもたせる。偏向要素は、好適には、長手方向中心軸に対して平行な位置になるように設計される。この意味では、角度は0°であり、長手方向中心軸に対する円周方向の空気吹出し間隙は、全体を通して一定の大きさを有する。それに対し、この角度が変更された場合、空気流断面積の局所的な変更が発生する。こうした構成によって、改めて、この航空機の、特に効率的な制御が可能になる。
【0041】
本発明のさらなる発展形によれば、第1の制御要素および/または第2の制御要素は、制御用フィンをそれぞれ有し、前記第1プロファイル面および/または前記第2プロファイル面から延びている。第1の制御要素および第2の制御要素は、具体的には、空気膜および/または渦に影響を与えて航空機の制御に利用される。第1の制御要素のみで第2の制御要素が存在しないか、あるいは、第2の制御要素のみで第1の制御要素が存在しないように設けることができる。ただし、第1の制御要素および第2の制御要素の両方が実装されるよう設けられることができる。それぞれの制御要素は、例えば、板材または主翼のように設計される制御用フィンを有する。このケースでは、制御用フィンは、主翼弦に対して互いに対称であることができる、または、流体のプロファイルを有することができる。第1プロファイル面から端を発する第1の制御要素は支持渦に直接作用する役割を有する一方で、第2プロファイル面から端を発する第2の制御要素は空気膜に直接作用するため、間接的にのみ渦に作用する。制御要素の迎え角によって、支持渦および/または空気膜は偏向され、これにより、航空機は効率的に制御される。制御要素は、偏向要素の変位性に加えて、または、それに代わるものとして実装することができる。第2の制御要素は、例えば、第2プロファイル面の第2領域に配置されるか、または、この領域で支持される。
【0042】
本発明のさらなる発展形によれば、前記第1の制御要素および/または前記第2の制御要素は、共通の連結要素を介して、前記航空機の制御駆動部に駆動連結される。制御駆動部は制御要素を調整するために利用され、共通の連結要素を介して制御要素へ駆動技術的に間接的にのみ接続される。このため、一方では制御要素が、そして、他方では制御駆動部が連結要素に作用する。特に、制御駆動部は、制御要素から距離を隔てて連結要素に作用する。このことにより、制御駆動部を以て同時に制御要素を調整することができる。偏向要素は、また、連結要素に加えてまたはそれに代えて接続することができる。
【0043】
本発明のさらなる発展形によれば、連結要素は、それぞれの場合において、第1の制御要素および/または第2の制御要素および/または制御駆動部がボール接合およびレバーアームを介して接続されるよう設けられる。各制御要素および/または制御駆動部には、制御駆動部に駆動技術的に接続されるボール要素およびレバーアームが割り当てられ、この方法により各制御要素および/または制御駆動部は制御駆動部に駆動技術的に接続される。このボール接合の使用によって、制御駆動部を用いた制御要素の非常に柔軟な調整が確実に行われる。
【0044】
本発明のさらなる発展形によれば、連結要素は制御リングとして設計されるよう設けられる。この制御リングは、好適には、主翼の長手方向中心軸を、連続して円周方向を完全に包含し、制御駆動部を結合するために、第1の制御要素を、そして、存在する場合は、第2の制御要素の両方を把持する。制御リングは、長手方向中心軸の円周方向へ回転運動のみが可能であるものとするのではなく、傾斜も同様にもたせることができるよう配置される。したがって、回転斜板の形態である。このことにより、制御駆動部を用いた上記の柔軟性のある制御要素の作動が可能になる。
【0045】
本発明のさらなる発展形によれば、制御駆動部は、それぞれ連結要素に、駆動技術的に互いに距離を隔て、接続される複数のアクチュエータ駆動装置を有するように設けられる。作動装置は、好適には、互いに一様に離間する。これにより、作動装置が2つの場合は、180°を隔てた距離、作動装置が3つの場合には、120°を隔てた距離、および作動装置が4つの場合には、90°を隔てた距離で連結要素と噛合う。複数の作動装置を使用することで、連結要素を長手方向中心軸に対して円周方向だけではなく、半径方向にも変位させることが可能になる。これにより、すでに説明済みの制御要素に対する調整が柔軟に行われる。
【0046】
本発明は、また、航空機、特に、本明細書の文脈において説明される航空機を作動させるための方法に関する。前記航空機は、主翼を有し、前記主翼が、断面視において、前記航空機が意図した通りに作動した場合、一方の側が下部の第1プロファイル面により区画され、他方の側が翼型遷移位置で前記第1プロファイル面と合流する上部の第2プロファイル面により区画され、前記第1プロファイル面は、少なくとも一つの空気吸入口を包囲し、前記第2プロファイル面は、少なくとも一つの空気吹出口を包囲し、前記航空機は、前記少なくとも一つの空気吸入口を通過する空気の吸入に利用され、前記少なくとも一つの空気吹出口を通過する前記吸入された空気の排出に利用される空気搬送装置を有する駆動装置を備え、前記少なくとも一つの空気吹出口は、前記第2プロファイル面とともに、前記空気吹出口と流体接続する空気吹出し間隙を区画する偏向要素と少なくとも部分的に重なり、これにより前記空気は、前記第2プロファイル面と平行に排出されることを特徴とする。
【0047】
航空機のこのような構成または手順が有する利点についてはすでに指摘した。この航空機および作動方法の双方は本明細書の文脈における説明に従って発展させることができるため、この点に関する説明が参照される。
【0048】
本発明のさらなる発展形によれば、前記駆動装置によって、空気が吸気流の形態で前記空気吸入口を通過する吸入方向へ吸入され、前記空気吹出し間隙を通過する前記吸入方向と角度を成す吹出し方向へ排出され、前記翼型遷移位置で前記空気が自由噴流の気流を自由噴流方向に形成し、これにより、支持渦が、前記吸気流および前記自由噴流の気流との間に形成され、少なくとも部分的に前記第1プロファイル面の下となるように行われることを特徴とする。このことはすでに説明済みである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
以下、図面に示される実施例を参照して本発明を制限することなく説明する。
図1】第1実施形態における航空機の長手方向中心軸に対する縦断面の模式図である。
図2】第2実施形態における航空機の簡略化された模式図である。
図3】第3実施形態における航空機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は第1実施形態における航空機1の模式図であり、主翼2の長手方向中心軸3による断面視において、円形または環状である少なくとも一つの主翼2を有することを示している。主翼2は、長手方向中心軸3に対して軸方向に、第1プロファイル面4により第1方向へ、および、第2プロファイル面5により第2方向へ区画される。プロファイル面4およびプロファイル面5のそれぞれはそれ自体が環状である。この2つのプロファイル面4および5は翼型遷移位置6で合流し、プロファイル面4とプロファイル面5との間の遷移は、好適には、断面視において、この遷移部で不連続となる。このプロファイル面4および5は、したがって、好適には、翼型遷移位置6で、共に縁部を形成する。このため、翼型遷移位置6は幾何学的な円の形態であり、第1プロファイル面4が第1の角度で開き、第2プロファイル面5が第1の角度とは異なる第2の角度で開く。
【0051】
第1プロファイル面4は、空気吸入口7を包囲し、第2プロファイル面5は、空気吹出口8を包囲する。空気吸入口7および空気吹出口8は、流路9を介して互いに流体接続され、空気搬送装置11のダクトプロペラ10が、この流路9の内部に回転可能に搭載されている。空気搬送装置11は、航空機1の駆動装置12の一部である。第1プロファイル面4は、航空機1が地上13に向けている側に存在する一方、第2プロファイル面5は、地上13に背を向けた側に存在することが明らかである。ここに示す航空機1は、通常および意図された飛行動作時のものである。
【0052】
空気吸入口7および空気吹出口8は、長手方向中心軸3に対して中央に位置し、第1プロファイル面4および第2プロファイル面5により、主翼の内側14において半径方向にそれぞれ包囲されている。空気吸入口7および空気吹出口8を流体接続する流路9は、例えば、筒形状を有し、特に、円筒形状、さらに、特に好適には、直円筒形状を有する。空気吸入口7および空気吹出口8は、特に好適には、同じ空気流断面積を有する。空気吸入口7は、航空機1の下面に、そして、空気吹出口8は、航空機1の上面に配置される。この空気吹出口8は、第2プロファイル面5とともに空気吹出し間隙16を区画する偏向要素15と少なくとも部分的に、ここに示されている実施形態においては完全に重なっている。空気吹出し間隙16は、したがって、縦断面視において、この偏向要素15と第2プロファイル面5との間にある。
【0053】
空気吹出し間隙16は、接続流路17を介して空気吹出口8へ流体接続される。この接続流路17は、偏向要素15および第2プロファイル面5により、少なくとも部分的に区画される。ここに示す実施形態においては、空気吹出し間隙16および接続流路17の両方は、長手方向中心軸3の円周方向に連続して形成され、それぞれ完全に長手方向中心軸3を包含する。例示の実施形態によれば、接続流路17の空気流断面積は、空気吹出し間隙16の方向に縮小される。これにより、接続流路17は、ノズルの形状であり、空気吹出し間隙16は、このノズルの噴射口に相当する。
【0054】
偏向要素15は、空気吹出し間隙16の空気流断面積が局所的および/または大局的に変更できるように変位させることができる。この目的のために、偏向要素15は、駆動技術的に、航空機1の、例えば、ここでは、図示を省略した制御駆動部へ接続される。加えて、または、それに代えて、いくつかの第1の制御要素18は、この制御駆動部へ駆動技術的に接続される。第1の制御要素18に加えて、または、それに代えて、第2の制御要素(図示を省略)が存在可能である。第1の制御要素18は、第1プロファイル面4に基づき、第2の制御要素は、第2プロファイル面5に基づいている。制御要素18は、制御用フィン19をそれぞれ有し、ここでは、図示を省略するが、レバーアームと、同じく図示を省略したボール接合部とを介して、制御リング等として存在する連結要素20によって、それぞれ駆動的に連結される。この連結要素20は、制御要素18を制御駆動部へ、特に、ここで図示を省略した制御駆動部のいくつかの作動ドライブへ駆動的に連結するのに使用される。
【0055】
航空機1の飛行動作の際、駆動装置12の作動は、空気が航空機1の下面からその上方向へ運ばれるように、または、空気が吸気流21の形態で空気吸入口7を通過して吸入方向へ吸入され、流路9を通過して空気吹出口8の方向に供給されるように行われる。供給された空気は空気吹出口8を通過して排出され、接続流路17を通過して空気吹出し間隙16へ送られる。空気は、空気膜22が第2プロファイル面5に当接するように、空気吹出し間隙16を通過して吹出し方向に空気膜22の形態で排出される。このため、空気膜22は、好適には、第2プロファイル面5と平行に空気吹出し間隙16へ適用される。
【0056】
コアンダ効果によって空気膜22は、第2プロファイル面5に沿って翼型遷移位置6まで流れる。そこから空気膜22は主翼2から剥離し、今度は自由噴流の気流23として、航空機1の下面上を、具体的には、自由噴流方向に流れる。ここでは、この自由噴流の気流23が、航空機1に少なくとも部分的な揚力をもたらす支持渦24を活発化させる。支持渦24はこの吸気流量21により増強される。自由噴流の気流23および吸気流量21の両方は、それぞれ支持渦24に対して接線方向にあることがわかる。主翼2が輪帯形状であるため、形成された支持渦24は環状である。わかりやすく示すため、支持渦24を主翼2の片側にのみ示す。当然のことながら、支持渦24は、好適には完全におよび連続して、長手方向中心軸3を円周方向に包囲する。空気膜22が高速であるため、周囲の空気に対して吸入効果を及ぼす。このことは、空気が第2プロファイル面5に亘って流れるに従って、さらに空気膜22へ供給されることを意味する。このことを矢印25で示す。
【0057】
主翼2の下方へ正確に支持渦24を位置付けするために、主翼2に渦室26が形成される。渦室26は、翼型遷移位置6により、半径方向外側へ区画されている。この渦室26は、第1プロファイル面4の曲率または凸部等により形成される。空気膜22に沿って、第2プロファイル面5の周りに特に有利な流れを得るために、第2プロファイル面5は、長手方向中心軸3と平行な翼型遷移位置6を通る直線27に対して定まる第1プロファイル面4と成す角度αを以て翼型遷移位置6で合流する。この直線27は、特に連続してこの翼型遷移位置6を収容する仮想直線に対して垂直である。
【0058】
ここで輪帯状の主翼2として説明されている主翼2の構成は、有利な一実施形態に相当するに過ぎないことに注目される。主翼2は、また、基本的に直線状であることが可能で、この場合、例えば、図示の断面を有する。上述の有利な点は、原理的には、このような構成を以て、同様に実現できる。
【0059】
図2は、航空機1の第2実施形態を模式的および簡略化して示している。いくつかの要素が理解しやすいように示されている。原理的には、第2実施形態は第1実施形態と一致するため、対応する記述が参照される。以下に相違点のみ説明する。一方では、角度αは負であるか、または180°より大きいという事実に基づく。例えば、この角度αは、少なくとも270°および360°未満である。あるいは、少なくとも300°および最大で345°、または、最大で330°である。これは、第2プロファイル面5が、翼型遷移位置6で第1プロファイル面4と合流する前に、長手方向中心軸3からもっと離れた距離である主翼の外側を起点として、長手方向中心軸3に再び近づくことを意味する。
【0060】
他の相違点は、空気吸入口7は、翼型遷移位置6を連続して収容する仮想平面から長手方向中心軸3の軸方向へ明らかに離間していることである。例えば、その距離は、平面と、第2プロファイル面5のある一点または軸方向から見た場合の平面から最も離れている空気吹出口との間の軸方向距離にして、その少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%である。その結果、空気吸入口7はこの平面から対応する距離の分だけ離れて配置されるため、支持渦の形成が容易である。
【0061】
他の相違点として、第2プロファイル面5は、連続して湾曲せず、むしろ、第1領域28および第2領域29で構成されていることがわかる。第1領域28は、断面方向で見たとき、翼型遷移位置6を起点として直接この第2領域29へ延びている。好適には、断面視において、連続して湾曲している。この第2領域29は、ただし、断面視において、平面的であり、または、第1領域28とは異なる曲率を有する。例えば、この第1領域28およびこの第2領域29間の遷移は、断面視において、不連続である。ただし、これに代わり、連続的に設計することも同様に可能である。
【0062】
上述の各相違点は、第1実施形態に個別に適用されることに注意すべきである。したがって、これらの相違点を互いに組み合わせた場合には限定されない。
【0063】
図3は、第3実施形態における流動体1の模式図を示している。基本的には再び上述が参照され、第1実施形態および第2実施形態との相違点のみを以下に述べる。相違点は、本質的には断面視において、偏向要素15が主翼2と完全に重なっていることにあり、主翼2の長手方向中心軸3を起点として、このため、主翼の外側を超えて半径方向に延びている。空気吸入口7および空気吹出口8は、好適には互いに平行に離間し、長手方向中心軸3に垂直で、さらに、主翼2を対向する側から支えている仮想平面に位置する。この空気吸入口7が存在する平面は主翼2の下面に配置され、空気吹出口8が存在する平面は主翼2の上面に配置されている。
【0064】
空気吹出し間隙16は、輪帯状の間隙であり、長手方向中心軸3に垂直な仮想平面に完全に収容される。この仮想平面は、好適には、空気吸入口7の平面と空気吹出口8の平面との間、特に、空気吸入口7の平面の近くに位置するが、空気吹出口8から離れて面する空気吸入口上に存在させることもできる。上記の実施形態によって、特に、コアンダ効果を利用することなく、空気を空気吹出口8から空気吹出し間隙16へ特に効果的に誘導することができる。空気吹出口8および空気吹出し間隙16を流体的に接続する接続流路17は、断面視において、少なくとも断面積が連続して減少している空気流断面積を、特に連続して有し、空気吹出し間隙16における空気流断面積は空気吹出口8における空気流断面積より小さい。全く任意であるが、偏向要素15が複数の空気誘導ウェブを有するように設けることもできる。空気誘導ウェブは、偏向要素15の基体を起点として接続流路17へ突出する。空気誘導ウェブは、半径方向に延び、好適には長手方向中心軸3の円周方向に一様に配分される。空気誘導ウェブは空気吹出口8から接続流路17に入ってくる空気を誘導する役割を有し、ここでは図示を省略した空気搬送装置11に起因して含まれる可能性のある大気中の渦流を減少させる。これに加えて、ここに示されている実施形態においては、空気搬送装置11は、好適には、偏向要素15へ固定され、特に偏向要素15を介して主翼2へのみ固定される。
【0065】
第3実施形態における航空機1は、また、好適には、ここでは図示を省略した第1の制御要素18および/または第2の制御要素で制御される。第1の制御要素18および第2の制御要素は、上記の説明に従って構成できる。第2の制御要素の場合、特に好適には、主翼2および偏向要素15の両方に取り付けができる。第2の制御要素は、したがって、一方では、主翼2に、他方では、偏向要素15に回転可能に取り付けられる。ただし、これに代わり、主翼2または偏向要素15にのみ取り付けをまた行うことができる。これにより、制御要素または制御要素の支持のために利用される軸は偏向要素15または主翼2から離間されている。
【0066】
また、全く任意であるが、第1実施形態と比較して、第1の制御要素18および/または第2の制御要素を省いて設けることができる。主翼2の一部を形成し、主翼2の基体を起点とする制御要素を、例えば、変位させるか、および/または、変形させることによって、この航空機1は制御される。制御要素は、半径方向の外側にある基体の側面に配置され、および/または基体に回動可能に支持されている。基体の制御要素を変位させる、かつ/または回転させることにより、空気吹出し間隙16を通過して排出される空気が偏向できるため、航空機1が制御できる。制御要素は、好適には互いに独立して変位および/または回転できる。ただし、互いにまた接続可能であるため、変位および/または回転が、例えば、共通のアクチュエータで行われる。
【0067】
第3実施形態に関する説明は、また、第1実施形態および第2実施形態にも利用できることが注目される。したがって、例えば、上述の相違点によれば、偏向要素15は主翼2と完全に重なっているが、制御要素の代わりに、この第3実施形態の取捨選択できる制御要素が存在できるようにも設けられる。もちろん、偏向要素も同様に存在できるが、偏向要素15は主翼2に部分的にのみ重なっている。この限りでは、偏向要素は、また、第1実施形態または第2実施形態の説明の範囲においても使用が可能である。
【0068】
上述の航空機1は、少なくとも部分的な揚力をもたらす支持渦24の利用により非常にエネルギー効率的に機能する全実施形態における利点を有する。これに加え、航空機1は変位可能な偏向要素15および/または制御要素18により非常に正確に制御できる。特に、航空機1はヘリコプタと同様に大気中で空中静止できる。しかしながら、ヘリコプタと対照的に、回転翼のブレード先端部における最大流速による制限がないため、超高速度が実現できる。
図1
図2
図3