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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】任意方向タッチスイッチ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/086 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
E03C1/086
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021547801
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 CN2020071157
(87)【国際公開番号】W WO2020164342
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】201910118818.6
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521359128
【氏名又は名称】ネオパール アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Neoperl AG
【住所又は居所原語表記】Pfeffingerstrasse 21, 4153 Reinach, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】カオ チー-フン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ チン-ユアン
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205479654(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107289184(CN,A)
【文献】特開2002-168368(JP,A)
【文献】米国特許第04456222(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/046
1/05
1/08-1/10
F16K 27/00-27/12
31/44-31/62
H01H 19/00-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する吐水端及び管接続端を有し、該吐水端と該管接続端との接続方向を軸方向として定義し、該軸方向に垂直な方向を横方向として定義するケースであって、
該ケースの該吐水端に形成され、かつ外部へ横方向に突出する少なくとも1つの受け部が形成されているケース、
該ケースの内部に形成され、該吐水端から該管接続端に延伸する主流路、及び
該ケースの内部に位置し、かつ該主流路を選択的に遮断する開閉機構を含む弁本体と、
該弁本体に移動可能に接続され、かつ
該開閉機構が該主流路を遮断するよう選択的に駆動する押付部、
該押付部の外部に周設され、かつ水が流れる通水部、及び
該通水部の外周縁に固設され、かつ該少なくとも1つの受け部に移動可能に吊り下げられる少なくとも1つの吊り下げ部を有する押動体と、
を有し、
該押動体が該弁本体の中心からずれて移動し、かつ該管接続端に向かって移動することができるよう、該押動体の各該少なくとも1つの吊り下げ部の内側及び該ケースの該管接続端に向かう側に移動空間が形成され、該押動体が該弁本体に対して移動すると、該押付部は、該開閉機構が該主流路を遮断するか又は遮断しないよう駆動する、ことを特徴とする任意方向タッチスイッチ。
【請求項2】
各該少なくとも1つの受け部は、
該吐水端から外部へ横方向に突出する第1の横方向延伸体と、
該第1の横方向延伸体の外端から該ケースの該管接続端へ突出する第1の軸方向延伸体とを有し、
各該少なくとも1つの吊り下げ部は、
該通水部の外周縁から該ケースの該管接続端へ延伸する第2の軸方向延伸体と、
該第2の軸方向延伸体の、該ケースの該管接続端に近接する端部から内部へ延伸する第2の横方向延伸体と、
該第2の横方向延伸体に形成され、かつ対向する2つの斜面を含み、該第1の軸方向延伸体が内部に移動可能に配置される位置決め溝とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の任意方向タッチスイッチ。
【請求項3】
各該少なくとも1つの受け部の該第1の軸方向延伸体は、それぞれが該吊り下げ部の該位置決め溝の該2つの斜面に選択的に当接する、対向する2つの斜面を含む、ことを特徴とする請求項に記載の任意方向タッチスイッチ。
【請求項4】
各該少なくとも1つの吊り下げ部の該第2の横方向延伸体は、該第2の横方向延伸体の内側に位置し、軸方向に対して傾斜する逃げ面を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の任意方向タッチスイッチ。
【請求項5】
該ケースに少なくとも1つの凹溝がさらに形成され、各該少なくとも1つの受け部がそれぞれ各該少なくとも1つの凹溝の壁面を形成し、各該少なくとも1つの吊り下げ部の該移動空間がそれぞれ該少なくとも1つの凹溝内に位置し、各該少なくとも1つの凹溝に、それぞれが対応する該吊り下げ部の該逃げ面に平行である受け面が形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の任意方向タッチスイッチ。
【請求項6】
該少なくとも1つの受け部の数は1つであり、かつ該受け部は、外部へ環状に突出し、
該少なくとも1つの吊り下げ部の数は1つであり、かつ該吊り下げ部は、内部へ環状に突出し、該受け部の、該ケースの管接続端に向かう側面に選択的に当接する、ことを特徴とする請求項1に記載の任意方向タッチスイッチ。
【請求項7】
該少なくとも1つの受け部の数は1つであり、かつ該受け部の該第1の横方向延伸体及び該第1の軸方向延伸体は、いずれも環状であり、
該少なくとも1つの吊り下げ部の数は1つであり、かつ該吊り下げ部の該第2の軸方向延伸体、該第2の横方向延伸体及び該位置決め溝は、いずれも環状である、ことを特徴とする請求項2~のいずれか一項に記載の任意方向タッチスイッチ。
【請求項8】
該少なくとも1つの受け部の数は複数であり、
該少なくとも1つの吊り下げ部の数は複数であり、かつ前記吊り下げ部の数が前記受け部の数に等しく、該受け部の該第1の軸方向延伸体はそれぞれ、1つの吊り下げ部の該位置決め溝に対応し、かつ該位置決め溝の横方向の幅が該第1の軸方向延伸体の横方向の幅より大きい、ことを特徴とする請求項2~のいずれか一項に記載の任意方向タッチスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水設備に関し、特に流路の吐水端に取り付けられた給水設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、洗面台又は流し台に取り付けられた蛇口の吐水口と操作体は、別個に設けられ、蛇口の吐水口を洗面台又は流し台の水槽の上に配置し、操作体を水槽の縁部に配置する。したがって、ユーザは、手を洗った後、水だらけの手を水槽の縁部に移し、操作体を操作してから、蛇口を閉めることができるため、洗面台又は流し台の台面を濡らすことになる。
【0003】
現在、市場に蛇口の吐水口に取り付け可能な弁があり、蛇口の開放状態で吐水口を開閉することができるため、ユーザは、水だらけの手を蛇口の操作体に移して蛇口を閉める必要がなく、洗面台又は流し台の台面を濡らさないよう維持することができる。しかしながら、従来技術において、蛇口の吐水口に取り付けられる弁は、通常、下から上へ弁の押しボタンを押し動かすことにより開閉するか、又は単に横方向の推力で開閉するものであり、使用には制限がある。
【0004】
これに鑑み、より良好な改善案を提供することは、この業界で早急に解決しなければならない問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、真上、横方向、さらに斜め方向などの様々な方向に給水と止水を行う任意方向(多方向)タッチスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る任意方向タッチスイッチは、
対向する吐水端及び管接続端を有し、該吐水端と該管接続端との接続方向を軸方向として定義し、該軸方向に垂直な方向を横方向として定義するケースであって、
該ケースの該吐水端に形成され、かつ外部へ横方向に突出する少なくとも1つの受け部が形成されているケース、
該ケースの内部に形成され、該吐水端から該管接続端に延伸する主流路、及び
該ケースの内部に位置し、かつ該主流路を選択的に遮断する開閉機構を含む弁本体と、
該弁本体に移動可能に接続され、かつ
該開閉機構が該主流路を遮断するよう選択的に駆動する押付部、
該押付部の外部に周設され、かつ水が流れる通水部、及び
該通水部の外周縁に固設され、かつ該少なくとも1つの受け部に移動可能に吊り下げられる少なくとも1つの吊り下げ部を有する押動体と、
を有し、
該押動体が該弁本体の中心からずれて移動し、かつ該管接続端に向かって移動することができるよう、該押動体の各該少なくとも1つの吊り下げ部の内側及び該ケースの該管接続端に向かう側に移動空間が形成され、該押動体が該弁本体に対して移動すると、該押付部は、該開閉機構が該主流路を遮断するか又は遮断しないよう駆動する。
【0007】
したがって、本発明は、ユーザが軸方向、横方向及び斜め方向などのいずれかの方向に押動体を押し動かすと、開閉機構を動作するよう駆動することにより、任意方向タッチスイッチを閉塞状態と開放状態との間に切り替えることができ、より使用しやすいという利点を有する。
【0008】
前述した任意方向押しスイッチにおいて、
各該少なくとも1つの受け部は、
該吐水端から外部へ横方向に突出する第1の横方向延伸体と、
該第1の横方向延伸体の外端から該ケースの該管接続端へ突出する第1の軸方向延伸体とを有し、
各該少なくとも1つの吊り下げ部は、
該通水部の外周縁から該ケースの該管接続端へ延伸する第2の軸方向延伸体と、
該第2の軸方向延伸体の、該ケースの該管接続端に近接する端部から内部へ延伸する第2の横方向延伸体と、
該第2の横方向延伸体に形成され、かつ対向する2つの斜面を含み、該第1の軸方向延伸体が内部に移動可能に配置される位置決め溝とを有する。
【0009】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、各該少なくとも1つの吊り下げ部の該位置決め溝は、対向する2つの斜面を含む。
【0010】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、各該少なくとも1つの受け部の該第1の軸方向延伸体は、それぞれが該吊り下げ部の該位置決め溝の該2つの斜面に選択的に当接する、対向する2つの斜面を含む。
【0011】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、各該少なくとも1つの吊り下げ部の該第2の横方向延伸体は、該第2の横方向延伸体の内側に位置し、軸方向に対して傾斜する逃げ面を含む。
【0012】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、該ケースに少なくとも1つの凹溝がさらに形成され、各該少なくとも1つの受け部がそれぞれ各該少なくとも1つの凹溝の壁面を形成し、各該少なくとも1つの吊り下げ部の該移動空間がそれぞれ該少なくとも1つの凹溝内に位置し、各該少なくとも1つの凹溝に、それぞれが対応する該吊り下げ部の該逃げ面に平行である受け面が形成されている。
【0013】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、
該少なくとも1つの受け部の数は1つであり、かつ該受け部は、外部へ環状に突出し、
該少なくとも1つの吊り下げ部の数は1つであり、かつ該吊り下げ部は、内部へ環状に突出し、該受け部の、該ケースの管接続端に向かう側面に選択的に当接する。
【0014】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、
該少なくとも1つの受け部の数は1つであり、かつ該受け部の該第1の横方向延伸体及び該第1の軸方向延伸体は、いずれも環状であり、
該少なくとも1つの吊り下げ部の数は1つであり、かつ該吊り下げ部の該第2の軸方向延伸体、該第2の横方向延伸体及び該位置決め溝は、いずれも環状である。
【0015】
前述した任意方向タッチスイッチにおいて、
該少なくとも1つの受け部の数は複数であり、
該少なくとも1つの吊り下げ部の数は複数であり、かつ前記吊り下げ部の数が前記受け部の数に等しく、該受け部の該第1の軸方向延伸体はそれぞれ、1つの吊り下げ部の該位置決め溝に対応し、かつ該位置決め溝の横方向の幅が該第1の軸方向延伸体の横方向の幅より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が水道管口に設けられている概略図である。
図2】本発明の分解組立図である。
図3】本発明の別の角度の分解組立図である。
図4】本発明の閉塞状態の場合の断面概略図である。
図5】本発明の閉塞状態の場合の別の角度の断面概略図である。
図6】本発明の横方向に押し動かされて遷移状態に入る場合の断面概略図である。
図7】本発明の軸方向に押し動かされて遷移状態に入る場合の断面概略図である。
図8】本発明の斜め方向に押し動かされて遷移状態に入る場合の断面概略図である。
図9】本発明の開放状態の場合の断面概略図である。
図10】本発明の開放状態の場合の別の角度の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図1図3を参照されたい。本発明に係る任意方向タッチスイッチは、弁本体10及び押動体20を有する。
【0018】
弁本体10は、ケース11、開閉機構12及び主流路を含む。ケース11の両端はそれぞれ、吐水端及び管接続端であり、吐水端が水を吐出し、管接続端が蛇口又は水道管の吐水口に接続される。吐水端と管接続端との接続方向は、ケース11の軸方向として定義され、軸方向に垂直な方向は、横方向として定義される。以下の説明において、軸方向における吐水端から管接続端への方向は、上方向であり、管接続端から吐水端への方向は、下方向であるが、これに限定されない。
【0019】
開閉機構12は、ケース11の内部に設けられる。主流路は、ケース11の内部に形成され、かつ吐水端から管接続端に延伸し、開閉機構12を貫通する。主流路は、吐水端及び管接続端で外部と連通する。
【0020】
次に、図4及び図5を参照されたい。ケース11は、ケース11の吐水端の外周面に形成され、かつ外部へ突出する少なくとも1つの受け部111を有する。具体的には、受け部111は、第1の横方向延伸体1111及び第1の軸方向延伸体1112を有してよく、第1の横方向延伸体1111は、ケース11の吐水端から外部へ突出し、第1の軸方向延伸体1112は、第1の横方向延伸体1111の外端からケース11の管接続端へ突出する。言い換えれば、本実施例では、受け部111の断面は、横向きのL字形であるが、これに限定されない。本実施例では、受け部111の数は、1つであり、かつ受け部111は、外部へ環状に突出する。言い換えれば、受け部111の第1の横方向延伸体1111及び第1の軸方向延伸体1112は、いずれも環状である。
【0021】
本実施例では、各受け部111の第1の横方向延伸体1111は、対向する2つの斜面を含む。第1の横方向延伸体1111の2つの斜面は、一方が外側に近いが、他方が内側に近く、外側に近い該斜面は、外部に向かって上向きに傾斜し、内側に近い該斜面は、内部に向かって上向きに傾斜する。したがって、本実施例では、第1の横方向延伸体1111の断面は、円錐形である。
【0022】
本実施例では、ケース11には、少なくとも1つの凹溝112が形成されてよく、受け部111は、凹溝112の1つの壁面である。言い換えれば、凹溝112の数は、受け部111の数に等しくてもよい。凹溝112には、軸方向に対して傾斜する受け面1120が形成されている。凹溝112の断面は、横向きのL字形であり、かつ受け面1120は、該L字形の曲がり角に位置する。他の実施例では、ケース11は、凹溝112を有さなくてもよく、受け部111は、ケース11の外壁面から外部へ突出する。
【0023】
押動体20は、弁本体10に移動可能に接続され、かつ通水部21、少なくとも1つの吊り下げ部22及び押付部23を有する。通水部21は、水が流れるためのものである。言い換えれば、主流路から流出した水は、最後に通水部21を流れて本発明の任意方向タッチスイッチから吐出される。本実施例では、通水部21は、網状であるが、放射状、格子状などであってもよく、水が流れることができればよい。
【0024】
吊り下げ部22は、通水部21の外周縁に固設され、かつ受け部111に移動可能に吊り下げられる。吊り下げ部22は、第2の軸方向延伸体221、第2の横方向延伸体222及び位置決め溝223を有する。第2の軸方向延伸体221は、通水部21に固設され、かつ通水部21の外周縁からケース11の管接続端へ延伸する。第2の横方向延伸体222は、第2の軸方向延伸体221の、ケース11の管接続端に近接する端部から内部へ延伸する。言い換えれば、吊り下げ部22の断面も、横向きのL字形であるが、方向が受け部111と反対である。第2の横方向延伸体222は、第2の横方向延伸体222の内側に位置し、かつケース11の壁面に向かう逃げ面224を含む。具体的には、逃げ面224は、軸方向に対して上向きに傾斜し、かつケース11の凹溝112の受け面1120に平行である。
【0025】
位置決め溝223は、第2の横方向延伸体222に形成され、具体的には、第2の横方向延伸体222の、ケース11の吐水端に向かう側面に位置する。本実施例では、位置決め溝223は、対向する2つの斜面を含むため、2つの斜面は、いずれも下向きであるが、これに限定されず、上向きに凹む円弧面であってもよい。位置決め溝223の2つの斜面は、一方が外側に近いが、他方が内側に近く、外側に近い該斜面は、内部に向かって下向きに傾斜し、内側に近い該斜面は、外部に向かって下向きに傾斜する。受け部111の第1の軸方向延伸体1112は、位置決め溝223内に移動可能に配置される。言い換えれば、吊り下げ部22は、受け部111の、ケース11の管接続端に向かう側面に選択的に当接する。押動体20が外力を受けていない状況では、位置決め溝223の2つの斜面によって、重力により第1の軸方向延伸体1112を位置決め溝223の最も深い部位、すなわち、2つの斜面の境界に移動させる。この場合、押動体20の軸心は、ケース11の軸心と直線となる。
【0026】
吊り下げ部22の数は、ケース11の受け部111の数に等しい。したがって、本実施例でも1つであり、かつ吊り下げ部22は、環状であり、内部へ突出する。言い換えれば、吊り下げ部22の第2の軸方向延伸体221、第2の横方向延伸体222及び位置決め溝223は、いずれも環状である。
【0027】
ケース11に対して、吊り下げ部22の内側及び吊り下げ部22の、ケース11の管接続端に向かう側に移動空間が形成され、該移動空間は、ケース11の凹溝112内に位置する。言い換えれば、凹溝112内の空間は、前述した移動空間である。移動空間により、押動体20が弁本体10の中心又は軸心からずれて移動し、かつケース11の管接続端に向かって移動することができる。言い換えれば、吊り下げ部22の内側とケース11との間、及び吊り下げ部22の、ケース11の管接続端に向かう側とケース11との間は、隙間があり、互いに当接していないため、吊り下げ部22は、妨げられることがなく、押動体20は、軸方向に移動し、横方向に移動し、斜め方向に移動することができる。
【0028】
押付部23は、通水部21の中央に固設され、言い換えれば、通水部は、押付部の外部に周設される。押付部23は、開閉機構12が主流路を遮断するか又は遮断しないよう選択的に駆動する。押動体20の押付部23の、ケース11の管接続端に向かう断面は、突出面である。言い換えれば、押付部23は、ケースの管接続端に向かって突起するが、他の実施例では、逆に凹んでもよい。押動体20が弁本体10に対して移動すると、押付部23は、開閉機構12が主流路を遮断するか又は遮断しないよう駆動することができる。
【0029】
他の実施例では、受け部及び吊り下げ部の数は、いずれも複数であり、かつ各吊り下げ部は、1つの受け部に配置されるため、各受け部と各吊り下げ部は、対応するシート状体である。言い換えれば、各受け部の第1の軸方向延伸体はそれぞれ、1つの吊り下げ部の位置決め溝に対応して収容され、位置決め溝の横方向の幅が第1の軸方向延伸体の横方向の幅より大きいため、押動体は、横方向又は斜め方向に移動する場合に妨げられない。
【0030】
他の実施例では、受け部は、第1の横方向延伸体のみを有し、第1の軸方向延伸体を有さなくてもよく、吊り下げ部は、第2の横方向延伸体のみを有し、第2の軸方向延伸体を有さなくてもよい。言い換えれば、受け部及び吊り下げ部は、横方向にのみ延伸してよい。
【0031】
開閉機構12は、ケース11の内部に位置し、かつ主流路を選択的に遮断する。本実施例では、開閉機構12は、流通部材121、ガスケット122、制御部材123、変位部材124、回転部材125、弾性部材126及びプラグ127を有するが、これらに限定されない。
【0032】
流通部材121は、ケース11の内部に固設され、主流路は、流通部材121の内部を貫通する。流通部材121には、チャンバ1211、開口1212及び第1の貫通孔1213が形成されている。チャンバ1211は、流通部材121内に位置し、主流路は、チャンバ1211を貫通する。言い換えれば、チャンバ1211内の空間は、主流路の一部である。開口1212が、流通部材121の、ケース11の管接続端に向かう側壁を貫通し、第1の貫通孔1213が、流通部材121の、ケース11の吐水端に向かう側壁を貫通するため、開口1212と第1の貫通孔1213はそれぞれ、流通部材121の対向する両側に位置する。開口1212及び第1の貫通孔1213は、いずれもチャンバ1211内部と連通する。主流路は、開口1212を貫通し、かつ開口1212の箇所で入水経路131及び吐水経路132に分けられる。
【0033】
ガスケット122は、チャンバ1211の内部に移動可能に配置されて、チャンバ1211を主空間及び副空間に分ける。主空間は、ケース11の吐水端に近く、副空間は、ケース11の管接続端に近い。主流路は、副空間を貫通することができ、具体的には、主流路の入水経路131は、副空間を貫通する。ガスケット122は、開口1212を選択的に密封することにより、入水経路131及び吐水経路132を遮断する。本実施例では、ガスケット122は、上向きに湾曲して開口1212を密封することができるが、上向きに移動することにより開口1212を密封してもよい。ガスケット122には、ガスケット122を貫通し、かつ第1の貫通孔1213と連通する第2の貫通孔1220が形成されている。ガスケット122の第2の貫通孔1220、チャンバ1211の副空間、流通部材121の第1の貫通孔1213は、副流路を形成する。
【0034】
制御部材123は、ケース11の内部に固設され、流通部材121よりもケースの吐水端に近接する。制御部材123は、穿設空間が形成され、かつ複数の鋸歯状部1230を有し、上記鋸歯状部1230は、該穿設空間の側壁面に固設され、かつ互いに離間するため、2つずつの鋸歯状部1230の間に凹み部が形成される。各凹み部は、軸方向に延伸する。変位部材124は、制御部材123の穿設空間を穿設し、かつ変位部材124には、複数の案内ブロック1240が横方向に突出し、各案内部1240は、凹み部内に位置し、かつ幅が凹み部の幅と等しいため、案内ブロック1240により変位部材124が軸方向のみに沿って移動するよう制限することができる。変位部材124の下端は、押動体20に当接し、かつ押動体20の押付部23に対応して形成されるため、本実施例では、変位部材124の下端は、凹状であり、かつ押付部23の上端を収容することができる。
【0035】
回転部材125は、制御部材123に穿設され、かつ変位部材124よりもケース11の管接続端に近い。回転部材125は、制御部材123に回転可能かつ軸方向に移動可能に穿設され、かつ変位部材124に選択的に当接する。回転部材125には、複数の被案内ブロック1250が横方向に突出し、各被案内ブロック1250は、凹み部内に位置し、変位部材124の案内ブロック1240に重ねて配置され、制御部材123の鋸歯状部1230に重ねて配置されてもよい。具体的には、回転部材125は、凹み部内に位置し、変位部材124に積み重ねることができ、回転部材125は、移動及び回転した後に鋸歯状部1230に積み重ねることができる。弾性部材126は、一端が流通部材121に当接し、他端が回転部材125に当接することにより、回転部材125をケース11の吐水端に向かって移動するよう押し動かす。プラグ127は、制御部材123に軸方向に移動可能に穿設され、かつ回転部材125に接続されることにより、プラグ127は、回転部材125により第1の貫通孔1213を選択的に塞ぐよう駆動される。
【0036】
上記構造により、本発明の任意方向タッチスイッチは、閉塞状態、遷移状態及び開放状態を有してよい。
【0037】
図4及び図5に示すように、閉塞状態である場合、押動体20の吊り下げ部22は、弁本体10の受け部111に吊り下げられて当接する。具体的には、吊り下げ部22の位置決め溝223の壁面は、受け部111に当接し、かつ本実施例では、受け部111の第1の軸方向延伸体1112に当接する。言い換えれば、受け部111の第1の軸方向延伸体1112は、吊り下げ部22の位置決め溝223内に位置する。一方では、回転部材125は、変位部材124に重ねて配置され、回転部材125の各被案内ブロック1250は、凹み部内に位置し、変位部材124の案内ブロック1240に重ねて配置される。したがって、回転部材125は、ケース11の管接続端から遠いため、プラグ127もケース11の管接続端から遠いことにより流通部材121の第1の貫通孔1213を密封することができる。水が弁本体10の主流路に入る場合、まず、入水経路131内に入ってチャンバ1211の主空間内に到達するが、ガスケット122上の第2の貫通孔1220が密封されていないため、水は、第2の貫通孔1220を通過してチャンバ1211の副空間内に到達するが、第1の貫通孔1213を通過することができない。言い換えれば、副空間内の水が吐出できないため、圧力が発生してガスケット122を上向きにプッシュすることにより、ガスケット122は、開口1212に当接して開口1212を密封し、主流路を遮断する。
【0038】
図6図7又は図8に示すように、ユーザは、押動体20を押し動かす場合、軸方向に沿って上向きに押すことができるが、横方向又は斜め方向に押すこともできる。押動体20の吊り下げ部22の、ケース11の管接続端に向かう側に押動体移動空間があるか又はケース11との間に隙間があるため、押動体20は、軸方向に沿って上向きに移動することができる。吊り下げ部22は、内側に押動体移動空間があるか又はケース11との間に隙間があるため、いずれかの横方向に移動することができる。本発明では、吊り下げ部22の上方及び内側にいずれも移動空間があるため、吊り下げ部22も斜め方向に移動することができ、すなわち、押動体20全体が斜め方向に移動する。
【0039】
押動体20の移動過程は、遷移状態であり、この場合、押動体20の押付部23が元の位置からずれるため、押付部23は、変位部材124とずれることにより、変位部材124は、上向きに押される。変位部材124が上向きに押されると、変位部材124の案内ブロック1240は、制御部材123の鋸歯状部1230間の凹み部の延伸方向に沿って上向きに移動し、かつ回転部材125を上向きに移動するよう押し動かすことにより、被案内ブロック1250も凹み部から移動する。案内ブロック1240と被案内ブロック1250との接触面が斜面であるため、回転部材125の被案内ブロック1250が凹み部から移動して出てから回転するようになるため、被案内ブロック1250は、鋸歯状部1230に着座する。ユーザが押動体20を押し動かさなければ、弾性部材126は、変位部材124を下向きに移動させて元の位置に戻すことにより、変位部材124は押付部23が復位するよう駆動する。
【0040】
例えば、図6に示すように、ユーザが押動体20を横方向に押し動かす場合、受け部111の第1の横方向延伸体1111の2つの斜面又は吊り下げ部22の位置決め溝223の2つの斜面により、吊り下げ部22は、上記斜面に沿って移動する。言い換えれば、横方向に押しても、押動体20は、依然として軸方向に移動する成分があるため、押付部23が変位部材124を上向きに押し動かすことができることを保証する。
【0041】
続いて、図9及び図10を参照されたい。遷移状態で回転部材125は、上向きに移動した瞬間に開放状態に入る。回転部材125が上向きに移動することによりプラグ127を移動させるよう駆動して第1の貫通孔1213を密封しなくなるため、副空間内の水が第1の貫通孔1213から吐出することができ、圧力を維持しなくなることにより、ガスケット122は、下向きに移動するか又は下向きに変形することにより開口1212を密封しなくなる。この場合、主流路の入水経路131と吐水経路132が開口1212により連通するため、水は、吐水経路132に流れて給水することができる。
【0042】
ユーザが任意の方向に押動体20を再び押し動かして、回転部材125を再び回転するよう駆動すると、回転した回転部材125の被案内ブロック1250は、再び制御部材123の鋸歯状部1230間の凹み部内に入り、ケース11の管接続端から離れる。これにより、プラグ127は、下向きに移動して第1の貫通孔1213を再び塞ぐため、水は、第1の貫通孔1213から吐出されず、副空間内に再び蓄積して、圧力が発生してガスケット122を押し動かして開口1212を密封して、閉塞状態に戻る。
【0043】
以上より、ユーザが軸方向、横方向及び斜め方向のいずれかの方向に押動体20を押し動かすと、開閉機構12を動作するよう駆動することにより、任意方向タッチスイッチを閉塞状態と開放状態との間に切り替えることができ、より使用しやすい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10