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  • 特許-クライオスタット 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】クライオスタット
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
F25B9/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021554745
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2020056053
(87)【国際公開番号】W WO2020182671
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】102019203341.5
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514025672
【氏名又は名称】プレッシャー・ウェーブ・システムズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PRESSURE WAVE SYSTEMS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヘーヘン イェンス
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102016214731(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2006/0096301(US,A1)
【文献】特開2001-248927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオスタットであって、
異なる温度レベルを有する複数の冷却レベル(2-i)であって、関連付けられた冷却装置(26、34)を有する複数の冷却レベル(2-i)と、
前記冷却レベル(2-i)の温度レベルにある複数の実験場所(4-i)と、
前記実験場所(4-i)を囲む、前記冷却レベル(2-i)のための複数の熱シールド(32-i)と、
前記複数の冷却レベル(2-i)が配置された真空チャンバ(10)と
を含み、
前記実験場所(4-i)は、上方から見て横に並んで配置されており、
前記実験場所(4-i)が、それぞれ上から、及び側方からアクセスできるように横に並べて配置されていることを特徴とするクライオスタット。
【請求項2】
冷却装置(26、34)が、いくつかの冷却レベル(2-i)に関連付けられていることを特徴とする請求項に記載のクライオスタット。
【請求項3】
2つの最も低い温度レベルを持つ冷却レベル(2-4、2-5)の前記冷却装置が、分留器(36)と混合器(40)を含むHe/He希釈冷却器(34)であることを特徴とする請求項に記載のクライオスタット。
【請求項4】
最も低い温度レベルを持つ冷却レベル(2-4、2-5)の前記冷却装置が、ジュール・トムソン冷凍機、1-Kポット、及び/又はHeレベルであることを特徴とする請求項1又は請求項に記載のクライオスタット。
【請求項5】
最も低い温度レベルを持つ冷却レベル(2-4、2-5)の前記冷却装置が、ADR冷凍機であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載のクライオスタット。
【請求項6】
より高い温度レベルを持つ前記冷却レベル(2-1、2-2、2-3)の前記冷却装置が、パルス管冷却器、GM冷凍機、スターリング冷凍機、及び/又はジュール・トムソン冷凍機であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のクライオスタット。
【請求項7】
前記複数の冷却レベル(2-i)のうちの少なくとも2つが、それぞれの冷却レベル(2-i)の温度レベルのコールドプレート(8-i)を含み、
個々のコールドプレート(8-i)が、前記コールドプレート(8-i)の横方向に突出した部分が上からアクセスできるように、重なり合って互いの上に横方向に突出して設計されており、かつ
実験場所(4-i)が、前記コールドプレート(8-i)の横方向に突出した部分の上方に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のクライオスタット。
【請求項8】
前記コールドプレートの横方向に突出した部分に、上方にオフセットされた部分コールドプレート(30-i)が設けられており、前記部分コールドプレートが前記コールドプレートの突出した部分に機械的に支持されており、
垂直方向にオフセットされた前記部分コールドプレート(30-i)が、それぞれの温度レベルの前記コールドプレートの突出した部分に熱的結合材(44)によって接続されており、かつ
前記実験場所(4-i)が、最も低い温度レベルの前記コールドプレート(8-5)及び前記部分コールドプレート(30-i)の上方に形成されている
ことを特徴とする請求項に記載のクライオスタット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2K未満の範囲の温度での実験のための請求項1に記載のクライオスタットに関する。
【背景技術】
【0002】
クライオスタット、特に2K未満の範囲の温度の希釈クライオスタットは、現在、基本的に量子コンピュータ及び量子通信装置の開発のために必要とされ、構築されている。個々の温度レベル又はコールドプレートの配置、従って実験場所の配置は、従来のクライオスタットの縦方向(鉛直方向)の配置によって与えられる。
【0003】
図7a及び図7bは、吊り下げ式の竪型構造を有する従来技術による希釈クライオスタットを模式的に示す。図7に係る希釈クライオスタットは、6つの冷却レベル2-1~2-6と、4つの実験場所4-1~4-4とを含む。実験場所としては、室温の範囲は設けられていない。6つの冷却レベル2-iの温度レベルは、詳細には規定されていない3つの冷却装置によって提供される。
【0004】
詳細には示されていない第1の冷却装置、例えばGM冷凍機の第1レベルは、第1のコールドプレート8-1と、第1のコールドプレート8-1の下方に配置された第1の実験場所4-1とを含む。第1冷却レベル2-1は、第1の実験場所4-1に約50Kの温度レベルを提供する。
【0005】
詳細には示されていない第2の冷却装置、例えばGM冷凍機の第2レベルは、第1の実験場所4-1の下方に配置された第2のコールドプレート8-2を含む。第2のコールドプレート8-2又は第2冷却レベル2-2は、約4Kの温度レベルを有する。第2の実験場所4-2は、第2冷却レベル2-2の温度レベルで第2のコールドプレート8-2の下方に配置されている。第2の実験場所4-2の下方には、約1Kの温度レベルを有する第3冷却レベル2-3の第3のコールドプレート8-3が配置されており、このコールドプレートは、詳細には示されていない第3の冷却装置、例えばジュール・トムソンレベルによって冷却されている。
【0006】
詳細には示されていない第4の冷却装置、例えばHe/He希釈冷却システムにより、第4、第5及び第6の冷却レベル2-4、2-5及び2-6の温度レベルが提供される。第4のコールドプレート8-4と第5のコールドプレート8-5の間に、第4冷却レベル2-4に第3の実験場所4-3が設けられている。第3の実験場所4-3の下方、かつ第5のコールドプレート8-5の下方には、最も低い冷却レベル2-6の第6のコールドプレート8-6が設けられている。第4のコールドプレート8-4の温度レベルは500~700mKの範囲にあり、第5のコールドプレート8-5の温度レベルは100~200mKにあり、第6のコールドプレート8-6とその下に位置する第4の実験場所4-4の最低温度レベルは100mK未満の範囲にある。
【0007】
全体の配置構成は、真空チャンバ10の中に配置されている。真空チャンバ10内では、6つの冷却レベル2-1~2-6のすべてが第1の熱シールド12-1によって囲まれている。第1の熱シールド12-1内では、第2~第6の冷却レベル6-2~6-6が第2の熱シールド12-2によって囲まれている。第2の熱シールド12-2内では、第4~第6の冷却レベル2-4~2-6が第3の熱シールド12-3によって囲まれている。最も低い第6冷却レベル2-6は、第4の熱シールド12-4によって遮蔽されている。
【0008】
この従来の配置構成は、個々の温度レベルがタマネギの皮のように互いの内側にあり、製造が容易であるという利点がある(図7b参照)。しかしながら、個々のレベルでの実験場所としての要求が高まっているため、これらの公知のクライオスタットは比較的大きくなり、何よりも、高いあるいは長いものとなっている。その結果、熱シールドがますます長くなり、実験場所にアクセスするために熱シールドを取り外すことができるように、分割するか、装置の下に多くのスペースを確保する必要がある。さらには、実験場所は対応する温度レベルのコールドプレートの下に熱シールドの内側に設けられているため、個々のレベルの構造はすべて吊り下げられている必要がある。
国際公開第2010/106309A2号パンフレットは、上方からしかアクセスできない実験場所を備えるクライオスタットを記載し、国際公開第2009/000629A2号パンフレットは、側方からしかアクセスできない実験場所を備えるクライオスタットを記載する。
【0009】
Kurt Uhligによる論文「Concepts for a low-vibration and cryogen-free tabletop dilution refrigerator」、Cryogencis 87(2017)29-34からは、いわゆる卓上希釈クライオスタットが記載されており、これは分留器及び混合器の配置により低い構造容積を可能にするが、図7に係る先行技術と同じ短所、すなわち個々のコールドプレート又は実験場所が側方からしかアクセスできないという短所がある。
【0010】
独国特許第102014015665B4号明細書には、テーブルトップに一体化された単一のコールドプレートを有する光学テーブルが記載されている。
【0011】
独国特許第102016214731B3号明細書、独国特許出願公開第102005041383A1号明細書、さらに独国特許出願公開第102011115303A1号明細書からは、サンプルヘッドのコンポーネントが、上から見たとき、下から見たとき、又は互いに上から見たときに、異なる温度レベルに配置されているNMR装置又は極低温装置が公知である。独国特許出願公開第102011115303A1号明細書からは、図面から、2つのサンプルヘッドが水平方向と垂直方向に互いにオフセットして配置されていることがわかる。独国特許出願公開第102011115303A1号明細書からは、これに関する書かれた説明は見つけられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】独国特許第102014015665B4号明細書
【文献】独国特許第102016214731B3号明細書
【文献】独国特許出願公開第102005041383A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011115303A1号明細書
【文献】国際公開第2010/106309A2号パンフレット
【文献】国際公開第2009/000629A2号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【文献】Kurt Uhlig、「Concepts for a low-vibration and cryogen-free tabletop dilution refrigerator」、Cryogencis 87(2017)29-34
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それゆえ、本発明の目的は、実験場所のアクセス性を向上させることができ、同時に、より小さな構造容積しか必要としないクライオスタットを示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1の特徴によって解決される。
【0016】
実験場所は上下に配置されておらず、横に並んでおり、その結果、それぞれの熱シールドを取り外すと、上からも側方からも実験場所にアクセスできるのに対して、従来技術では実験場所には側方からしかアクセスできない。これにより、様々な実験、及び一般的に使用中のクライオスタットの取り扱いが簡単になる。実験場所を横に並べて配置することで、クライオスタットの構造上の高さも大幅に減少し、標準的な高さの実験室で当該クライオスタットを操作することが可能である。竪型の吊り下げ式配置構成のクライオスタットの場合には、標準的な高さの実験室で用いることはできない。実験場所を横に並べて配置することで、熱シールドの表面積がより大きくなる可能性があるが、この短所(操作に必要な様々な冷凍機の冷却力の増加)は、標準的な高さの実験室での使用が可能であることで受け入れられる。
【0017】
請求項2に記載の好ましい構成によれば、実験場所を横に並べて配置する際に、実験場所が上からも1つの側方からもアクセスできるように配慮されている。
【0018】
請求項3又は請求項4に記載の本発明の有利な構成によれば、複数の冷却レベルが1つの希釈冷凍機によって提供される。
【0019】
請求項5から請求項7に記載の本発明の有利な構成は、クライオスタットに適した冷却装置に関する。
【0020】
請求項8に記載の発明の有利な構成では、実験場所を簡単に横に並べて配置することができ、その際、実験場所はやはり異なる温度レベルにある。
【0021】
請求項9に記載の発明の有利な構成では、ほぼ同じ高さレベルにある横に並べて配置された実験場所が提供される。
【0022】
本発明のさらなる詳細、特徴及び利点は、本発明の好ましい実施形態バージョンの以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1a図1aは、本発明の基本的な考え方を模式的に示す。
図1b図1bは、本発明の基本的な考え方を模式的に示す。
図2a図2aは、本発明の第1の実施形態の幾何学的構造を示す。
図2b図2bは、本発明の第1の実施形態の幾何学的構造を示す。
図3図3は、本発明の第2の実施形態の幾何学的構造を示す。
図4図4は、図2及び図3に係る実施形態における熱シールドの配置を示す。
図5図5は、複数の実験場所を1つの平面内に横に並べて配置した本発明の第3の実施形態を示す。
図6図6は、GM冷凍機が真空チャンバ内を下から通過する本発明の第4の実施形態を示す。
図7図7a及び図7bは、従来技術に係るクライオスタットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1a及び図1bは、本発明の基本原理である、1つの平面内のコールドプレート8-1~8-5上に5つの実験場所4-1~4-5を横に並べて配置した状態を模式的に示す。5つの実験場所4-1~4-5は、対応する温度、室温(RT)、50K、4K、700mK、100mKの冷却レベル2-1~2-5にある。
【0025】
図1aは、横に並んで配置された実験場所を側面から示しており、従って、それぞれのコールドプレート8-1~8-5の上方にある実験場所4-1~4-5の容積を擬似的に示しており、図1bは、図1による表現の上面図を示す。
【0026】
図2a及び図2bは、本発明の第1の実施形態を示しており、この実施形態では、本発明に係るクライオスタットは、矩形の断面形状を有し、平面内に横に並べて配置された個々の実験場所4-1~4-5は、L字型で互いに入れ子になっており、第5の実験場所4-5は立方体となっている。
【0027】
図3は、本発明の第2の実施形態を示しており、この実施形態では、基本構造が円形又は円筒形であり、個々の実験場所4-1~4-5が互いを取り囲んでいる。
【0028】
図4は、図2及び図3に示した個々の実施形態に対する4つの熱シールド32-1~32-4の可能な配置を示す。
【0029】
図5は、本発明の第3の実施形態を示す。クライオスタットの個々の構成要素は、真空チャンバ10内に配置されている。真空チャンバ10は、横方向の周縁部22が配置されたベースプレート20を含み、その結果、トラフ24が形成されている。トラフ24の左側では、パルス管冷却器26がトラフ24内に延びている。横方向の周縁部22の右側は、室温の第1の部分コールドプレート30-1を支持する。第1の部分コールドプレート30-1上には、第1の実験場所4-1が配置されている。第1の実験場所4-1は、第1の熱シールド32-1に囲まれており、室温である。真空チャンバ10全体が第1の熱シールド32-1を構成している。
【0030】
支持要素28によってベースプレート20から間隔を空けて設けられ、パルス管冷却装置26と熱的に接触し、横方向の周縁部22をも有する第2のコールドプレート8-2が設けられている。第2のコールドプレート8-2の右端領域では、支持要素28が、上方にオフセットされ、第1の部分コールドプレート30-1の平面内に位置する第2の部分コールドプレート30-2を支持する。第2のコールドプレート8-2及び第2の部分コールドプレート30-2は、約50Kの第2の温度レベルにある。第2の部分コールドプレート30-2の上又は上方には、第2の実験場所4-2が位置する。第2のコールドプレート8-2から始まり、第2の熱シールド32-2が第2の実験場所4-2を取り囲む。
【0031】
再び支持要素28によって離間されて、第3のコールドプレート8-3は、第2のコールドプレート8-2の上に配置され、同じくパルス管冷却装置26に熱的に結合され、約4Kの温度レベルを提供する。第3のコールドプレート8-3の右側の支持要素28は、上方にオフセットされた第3の部分コールドプレート30-3を支持する。第3の部分コールドプレート30-3は、第2及び第1の部分コールドプレート30-1、30-2の平面内に位置している。第3の部分コールドプレート30-3の上又は上方には、約4Kの温度レベルを有する第3の実験場所4-3が位置している。第3のコールドプレート8-3から始まり、第3の熱シールド32-3が第3の実験場所4-3を取り囲む。
【0032】
再び支持要素28によって離間されて、第4のコールドプレート8-4は、第3のコールドプレート8-3の上方に配置され、その上にHe/He希釈冷却器34の構成要素が配置されている。第4のコールドプレート8-4の右側では、支持要素28が、他の部分コールドプレート30-1~30-3の高さレベルで上方にオフセットされた第4の部分コールドプレート30-4を支持している。
【0033】
さらなる支持要素又は支持壁28を介して、第5のコールドプレート8-5が、第4のコールドプレート8-4の上方に、部分コールドプレート30-iの高さレベルで、最低温度レベルである約30mKで配置されている。第5のコールドプレート8-5の上方又は上には、第5の実験場所4-5が配置されている。第5のコールドプレート8-5から始まり、第5の熱シールド32-5が第5の実験場所8-5を取り囲んでいる。
【0034】
第4及び第5のコールドプレート8-4、8-5の間のHe/He希釈冷却装置34は、同心円状の熱交換器38を備えた分留器36と、混合器40と、ポート42とを含む。分留器は、第4のコールドプレート8-4及び第4の部分コールドプレート30-4に熱的に結合されている。混合器40は、第5のコールドプレート8-5に熱的に結合されている。
【0035】
個々のコールドプレート8-iと、部分コールドプレート30-i、及びパルス管冷却装置26またはHe/He希釈冷却装置34との熱的な結合は、熱伝導体44を介して行われる。パルス管冷却器26は、振動デカップラ46を介して真空チャンバ10に装着されている。
【0036】
図6は、本発明の第4の実施形態を示しており、この実施形態は、パルス管冷却器が側方から真空チャンバ10を通過する代わりに、GM冷凍機48が第5のコールドプレート8-5のほぼ中央で下方から真空チャンバ10を通過している点で、図5に示す第3の実施形態とは異なる。GM冷凍機48は、第2のコールドプレート8-2の開口部も通過するので、第3のヒートプレートとの熱的結合が可能となる。GM冷凍機48を下から設置することで、幅は若干狭くなるが、高さは若干高くなる構造となる。
【0037】
図5及び図6の断面図からわかるように、実験場所4-iを横に並べて配置することで、構造の高さを大幅に低くすることができる。クライオスタットの構造高さが低いため、標準的な高さの実験室でクライオスタットを操作することが可能である。これは、竪型の吊り下げ式配置構成のクライオスタットの場合には不可能である。実験場所を横に並べると熱シールドが大きくなる可能性があるが、この短所(操作に必要な様々な冷凍機の冷却能力の増加)は、標準的な高さの実験室で使用できることで受け入れられる。
【符号の説明】
【0038】
2-i 冷却レベル
4-i 実験場所
8-i コールドプレート
10 真空チャンバ
12-i 熱シールド
20 ベースプレート
22 20、8-2の横方向の周方向の境界
24 トラフ
26 パルス管冷却器
28 支持要素
30-i 部分コールドプレート
32-i 熱シールド
34 He/He希釈冷却器
36 分留器
38 同心円状の熱交換器
40 混合器
42 34のポート
44 熱伝導体
46 振動デカップラ
48 GM冷凍機
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7