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特許7434354制御飽和管理を用いたターボ機械の制御方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】制御飽和管理を用いたターボ機械の制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/00 20060101AFI20240213BHJP
   B64D 27/10 20060101ALI20240213BHJP
   F02K 3/02 20060101ALI20240213BHJP
   F02C 9/58 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
F02C9/00 C
B64D27/10
F02K3/02
F02C9/58
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021557221
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 FR2020050587
(87)【国際公開番号】W WO2020193919
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】1903141
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラスラン,ティファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ル・ブラン,クリストフ・マルク・アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】クレルモンテ,シルバン
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-160230(JP,A)
【文献】特開2017-078421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0004470(US,A1)
【文献】特開2014-035569(JP,A)
【文献】特表2015-506527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/00
B64D 27/10
F02K 3/02
F02C 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(1)の第1、第2および第3の変数(XNP、XN、XN)を、それぞれターボ機械(1)の動作パラメータの関数として飽和されることができるターボ機械(1)の第1、第2および第3の制御量(WF、β、β)の関数として制御する方法であって、
-ターボ機械(1)の3つの変数(XNP、XN、XN)の値を測定(100)するステップと、
-受信した前記3つの変数(XNP、XN、XN)のそれぞれについて、対応する設定値(XNPdmd、XN1dmd、XN2dmd)を受信(110)するステップと、
-ターボ機械(1)の3つの制御量(WF、β、β)の第1の値が、3つの変数(XNP、XN、XN)の値および前記対応する3つの設定値(XNPdmd、XN1dmd、XN2dmd)から判定される第1の判定(120)を行うステップと、
-第1の制御量の最大値、第1の制御量の最小値、および前記第1の判定から生じる第1の制御量の値のうち、ターボ機械(1)に供給されるべき第1の制御量(WF)の値の選択(130)であって、ターボ機械(1)の動作パラメータに応じた第1の選択を行うステップと、
-ターボ機械(1)の第2および第3の制御量(β、β)の第2の値が、3つの変数(XNP、XN、XN)の値、第2および第3の対応する設定値(XN1dmd、XN2dmd)、および選択(130)中に選択された第1の制御量の値から判定される第2の判定(140)を行うステップと、
-第1の判定(120)中に判定された第2および第3の制御量(β、β)のペアと、第2の判定(140)中に判定された第2および第3の制御量(β、β)のペアとの間での、ターボ機械に供給されるべき第2および第3の制御量の値のペアの選択(150)であって、選択(130)中に選択された供給されるべき第1の制御量(WF)の値に応じた供給されるべき第2および第3の制御量(β、β)の値のペアの選択(150)を行うステップと、
-選択された第1の制御量(WF)の値および、選択された第2および第3の制御量(β、β)の値のターボ機械(1)への送信(170)を行うステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
選択された第1の制御量(WF)の値および、選択された第2および第3の制御量(β、β)の値を、それらをターボ機械(1)に送信する前に積分するステップ(160)をさらに備える、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
第1の変数(XNP)が、ターボ機械(1)の低圧圧縮機の回転速度に対応し、第2の変数(XN)が、ターボ機械(1)の上流プロペラの回転速度に対応し、第3の変数(XN)が、ターボ機械(1)の下流プロペラの回転速度に対応し、第1の制御量が、ターボ機械(1)の燃料流量に対応し、第2の制御量(β)が、ターボ機械(1)の上流プロペラのピッチに対応し、第3の制御量(β)が、ターボ機械(1)の下流プロペラのピッチに対応する、請求項1または2のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項4】
ターボ機械(1)の第1、第2、および第3の変数(XNP、XN、XN)を、それぞれターボ機械(1)の動作パラメータの関数として飽和されることができるターボ機械(1)の第1、第2、および第3の制御量(WF、β、β)の関数として制御するシステム(10)であって、
-ターボ機械(1)の3つの変数(XNP、XN、XN)の値を入力として受信する3つの出力と、前記受信した3つの変数(XNP、XN、XN)のそれぞれについて、対応する設定値(XNPdmd、XN1dmd、XN2dmd)とを有する第1の補正器(11)であって、第1の補正器の3つの出力が、ターボ機械(1)の3つの制御量(WF、β、β)に対応する、第1の補正器と、
-ターボ機械(1)の動作パラメータの関数として、第1の制御量の最大値、第1の制御量の最小値、および第1の判定から生じる第1の制御量の値のうち、ターボ機械(1)に供給されるべき第1の制御量(WF)の値を選択するように構成された第1の選択ユニット(13)と、
-ターボ機械(1)の3つの変数(XNP、XN、XN)の値、ならびに第1の飽和ユニットによって供給される第2の変数(XN1dmd)の設定値および第3の変数(XN2dmd)の設定値および第1の制御量(WF)の値を入力として受信する2つの出力を有する第2の補正器(12)であって、第2の補正器の2つの出力がターボ機械(1)の第2および第3の制御量(β、β)に対応する、第2の補正器と、
-第1の選択ユニットの選択に基づいて、第1の補正器によって判定された第2および第3の制御量のペア、または第2の補正器によって判定された第2および第3の制御量のペアのいずれかを出力するように構成された第2の選択ユニット(14)と、
を備え、
制御システム(10)が、ターボ機械(1)を制御するために、第1の飽和ユニットによって供給される第1の制御量(WF)の値と、第2の飽和ユニットによって供給される第2および第3の制御量(β、β)の値を出力する、制御システム(10)。
【請求項5】
第1の飽和ユニットによって供給される第1の制御量(WF)の値ならびに第2の飽和ユニットによって供給される第2および第3の制御量(β、β)の値を入力として受信し、第1、第2および第3の制御量の処理された値をターボ機械(1)に送る積分器(15)をさらに備える、請求項4に記載の制御システム(10)。
【請求項6】
第1の変数(XNP)が、ターボ機械(1)の低圧圧縮機の回転速度に対応し、第2の変数(XN)が、ターボ機械(1)の上流プロペラの回転速度に対応し、第3の変数(XN)が、ターボ機械(1)の下流プロペラの回転速度に対応し、第1の制御量が、ターボ機械(1)の燃料流量に対応し、第2の制御量(β)が、ターボ機械(1)の上流プロペラのピッチに対応し、第3の制御量(β)が、ターボ機械(1)の下流プロペラのピッチに対応する、請求項4または5のいずれか一項に記載の制御システム(10)。
【請求項7】
少なくとも1つのターボ機械(1)と、前記少なくとも1つのターボ機械(1)のうちの少なくとも1つを制御する請求項~6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの制御システム(10)と、を備える航空機。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制御システム(10)によって制御される前記少なくとも1つのターボ機械(1)のうちの少なくとも1つが、アンダクテッドファンを有するターボ機械である、請求項7に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械、特にアンダクテッドシングルファンまたはUSFとしても知られるアンダクテッドファンを有するターボプロップエンジンまたはターボ機械を制御するシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、最新技術にかかるアンダクテッドファンを有するターボ機械、またはアンダクテッドファンを表している。図1に示すように、オープンロータとも呼ばれるアンダクテッドファン1は、ファン2が動力タービンおよびナセル3の外側に直接固定された航空機ターボジェットエンジンであり、これは、ダクテッドターボジェットエンジンと比較してエンジンのバイパス比を増加させ、したがって燃料消費を低減することを可能にする。
【0003】
オープンロータは、一般に、ガス発生器4と、減速ギアボックス6を介して2つの二重反転可変ピッチプロペラ7および8を駆動するフリータービン5とを備えている。
【0004】
オープンロータ1を制御するシステムを概略的に表す図2に示すように、オープンロータ1は、コマンドの観点から、調整が必要な3つの制御量および3つの出力量を具備する多変数システムと見なすことができる。オープンロータ1の3つの制御量は、WFで示される燃料流量、上流設定角度とも呼ばれ、βで示される上流プロペラピッチ、および下流設定角度度とも呼ばれ、βで示される下流プロペラピッチである。オープンロータ1の3つの出力量は、XNPで示される低圧圧縮機の回転速度、XN1で示される上流プロペラの回転速度、およびXN2で示される下流プロペラの回転速度である。上流プロペラの回転速度および下流プロペラの回転速度XN1およびXN2は、動作条件によって定義されるいくつかの速度ステップの周りでサーボ制御される。
【0005】
そのようなシステムは、異なる制御量と出力量との間の有意な結合を含む。
【0006】
図2に示すように、制御システム9は、一般に、3×3多変数レギュレータとも呼ばれる、3つの入力および3つの出力を有する多変数レギュレータ90を備え、これは、異なる制御量と出力量との間の結合を本質的に考慮する。多変数レギュレータ90は、オープンロータ1の出力量XNP、XN1およびXN2を互いに独立して変化させることができるように、ほとんどの場合、良好な分離を保証することを可能にする。
【0007】
多変数レギュレータ90は、オープンロータ1の3つの出力量XNP、XN1およびXN2の値、ならびに3つの対応する出力量設定値XNPdmd、XN1dmdおよびXN2dmdを入力として受信する。
【0008】
しかしながら、ターボ機械の動作上の制約に従うために、計算された燃料流量コマンドWFは、場合によっては飽和しているか、または考慮されないことがある。モータを過渡段階中のポンピングから保護するために、リアルタイムで計算される最小および最大停止が実際に存在する。この飽和は、他のコマンドとは無関係にリミッタ95によって達成されることができる。
【0009】
同様に、上流および下流設定角度はまた、燃料流量コマンドとは無関係に他のリミッタを使用して飽和されることもできる。各リミッタが他のコマンドとは無関係に1つのコマンドに作用すると、適用されるコマンドは、もはや互いに対して一貫性がない。
【0010】
さらに、超過速度、超過温度、超過圧力などに対する異なる保護ループもまた、燃料流量の設定値の開発レベルで競合する。
【0011】
これらの場合は、分離に問題を有する。実際に、3×3多変数補正器から到来するコマンドは、相互作用を打ち消し、出力の分離を確実にするために、互いに一貫性があるように計算される。
【0012】
コマンドの値が変更されると、分離は、もはや保証されず、一般に、調整された出力に超過をもたらす。
【0013】
例えば、単純化のために、2×2多変数レギュレータ、すなわち調整されるべき2つの制御入力および2つの出力変数を有する多変数レギュレータが想定される場合、第1の入力が飽和したときに第2の制御入力が修正されない場合、それぞれが制御入力のうちの1つに対応する2つの初期制御ベクトルから形成される結果として生じる制御ベクトルの方向が直接影響を受けて誤ったものとなる。
【0014】
リミッタによって飽和したコマンドの非同期を解消するための解決策が提案されている。1つの解決策は、制御法則を開発するときに動作制約を考慮に入れるために、温度、圧力、または高度などの追加の状態を追加することにある。この第1の解決策は、実装が複雑である。
【0015】
別の解決策は、飽和したコマンドと互換性を持たせるために、飽和による影響を受けないコマンドを再計算することにある。この第2の解決策は、実装が複雑であり、その複雑さは、入力/出力の数と共に増大する。
【0016】
仏国特許発明第3055029号明細書は、特に、コマンドの飽和を回避するために許容可能な最大サーボ制御誤差を計算するコマンドの飽和の管理を用いてターボプロップエンジンを制御するシステムを開示している。システムによって実装される方法は、全てのターボ機械で使用されることができない補正器の移送を逆転させることに依存する。
【0017】
したがって、リミッタによって飽和したコマンドの非同期を解消するための従来技術の解決策は、満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】仏国特許発明第3055029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、簡単な方法で一貫したコマンドを合成し、ターボプロップエンジンの動作制約を満たすことを可能にするターボ機械を制御する方法およびシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、ターボ機械の第1、第2、および第3の変数を、それぞれターボ機械の動作パラメータの関数として飽和されることができるターボ機械の第1、第2、および第3の制御量の関数として制御する方法であって、
-ターボ機械の3つの変数の値を測定するステップと、
-受信した前記3つの変数のそれぞれについて、対応する設定値を受信するステップと、
-ターボ機械の3つの制御量の第1の値が、3つの変数の値および前記対応する3つの設定値から判定される第1の判定を行うステップと、
-第1の制御量の最大値、第1の制御量の最小値、および前記第1の判定から生じる第1の制御量の値のうち、ターボ機械に供給されるべき第1の制御量の値の選択であって、ターボ機械の動作パラメータに応じた第1の選択を行うステップと、
-ターボ機械の第2および第3の制御量の第2の値が、3つの変数の値、第2および第3の対応する設定値、および第1の選択中に選択された第1の制御量の値から判定される第2の判定を行うステップと、
-第1の補正器によって判定された第2および第3の制御量のペアと、第2の補正器によって判定された第2および第3の制御量のペアとの間で、ターボ機械に供給されるべき第2および第3の制御量の値のペアの選択であって、供給されるべき第1の選択された制御量の値に応じた供給されるべき第2および第3の制御量の値のペアの選択を行うステップと、
-選択された第1の制御量の値と、選択された第2および第3の制御量の値とのターボ機械への送信を行うステップと、
を備える、方法が提案される。
【0021】
したがって、本発明にかかる制御方法は、燃料流量などの制御量のうちの1つの複雑な管理にもかかわらず、出力量、すなわちターボ機械の3つの変数の分離を簡単且つ効率的な方法で保証することを可能にする。
【0022】
制御方法の第1の態様では、方法は、選択された第1の制御量の値および、選択された第2および第3の制御量の値を、それらをターボ機械に送信する前に積分するステップをさらに備えることができる。
【0023】
値の積分は、燃料流量などの第1の制御量のレベルであろうと、ブレードの設定角度などの第2および第3の制御量のレベルであろうと、ループ間の滑らかな移行を管理することを可能にする。
【0024】
制御方法の第2の態様では、第1の変数は、ターボ機械の低圧圧縮機の回転速度に対応し、第2の変数は、ターボ機械の上流プロペラの回転速度に対応し、第3の変数は、ターボ機械の下流プロペラの回転速度に対応し、第1の制御量は、ターボ機械の燃料流量に対応し、第2の制御量は、ターボ機械の上流プロペラのピッチに対応し、第3の制御量は、ターボ機械の下流プロペラのピッチに対応する。
【0025】
本発明の別の目的では、ターボ機械の第1、第2、および第3の変数を、それぞれターボ機械の動作パラメータの関数として飽和されることができるターボ機械の第1、第2、および第3の制御量の関数として制御するシステムであって、
-ターボ機械の3つの変数の値を入力として受信する3つの出力と、前記受信した3つの変数のそれぞれについて、対応する設定値とを有する第1の補正器であって、第1の補正器の3つの出力が、ターボ機械の3つの制御量に対応する、第1の補正器と、
-ターボ機械の動作パラメータの関数として、第1の制御量の最大値、第1の制御量の最小値、および前記第1の判定から生じる第1の制御量の値のうち、ターボ機械に供給されるべき第1の制御量の値を選択するように構成された第1の選択ユニットと、
-ターボ機械の3つの変数の値、ならびに第1の飽和ユニットによって供給される第2の変数の設定値および第3の変数の設定値および第1の制御量の値を入力として受信する2つの出力を有する第2の補正器であって、第2の補正器の2つの出力がターボ機械の第2および第3の制御量に対応する、第2の補正器と、
-第1の選択ユニットの選択に基づいて、第1の補正器によって判定された第2および第3の制御量のペア、または第2の補正器によって判定された第2および第3の制御量のペアのいずれかを出力するように構成された第2の選択ユニットと、
を備え、
制御システムが、ターボ機械を制御するために、第1の飽和ユニットによって供給される第1の制御量の値と、第2の飽和ユニットによって供給される第2および第3の制御量の値を出力する、システムが提案される。
【0026】
したがって、提案された解決策は、3つの出力を有する第1の多変数補正器に加えて、選択された燃料流量などの選択された第1の制御量の情報を使用することによって、方向性を維持することを可能にする設定角度などの2つの制御量を計算するための第2の多変数補正器を実装することにある。
【0027】
第2の補正器は、別の制御量、この場合は第1の制御量の値の関数として、2つの制御量である第2および第3の制御量を介して2つの変数を管理することを可能にする。換言すれば、特定の場合には、第2の補正器は、低圧体の燃料流量およびrpmに関する情報を考慮して、設定角度に作用することによってプロペラのrpmを管理することを可能にする。
【0028】
2つの補正器は並列動作し、選択ロジックは、例えば第1の選択ユニットによって計算されたインジケータを介して示されることができる第1の制御量に適用される選択ロジックに基づいて、設定値のいずれかを使用することを可能にする。
【0029】
このアーキテクチャは、特にターボプロップエンジン、アンダクテッドファンを有するターボ機械の燃料流量などの制御量の飽和を管理する多変数監視を必要とする任意の用途に使用されることができる。
【0030】
制御システムの第1の態様では、制御システムは、第1の飽和ユニットによって供給される第1の制御量の値ならびに第2の飽和ユニットによって供給される第2および第3の制御量の値を入力として受信し、第1、第2および第3の制御量の処理された値をターボ機械に送る積分器をさらに備えてもよい。
【0031】
共通の固有の積分器は、第1の選択ユニットおよび第2の選択ユニットの下流に配置される。したがって、第1および第2の補正器は、異なる制約(例えば、C/Pストップ)を考慮するように制限されることができる制御増分を計算する。最終的に保持される燃料増分値は、この積分器によって現在の燃料コマンドに加算される。
【0032】
本発明の別の目的では、少なくとも1つのターボ機械と、前記少なくとも1つのターボ機械のうちの少なくとも1つを制御する上記定義された少なくとも1つの制御システムとを備える航空機が提案される。
【0033】
航空機の一態様によれば、前記少なくとも1つの制御システムによって制御される前記少なくとも1つのターボ機械のうちの少なくとも1つは、アンダクテッドファンを有するターボ機械であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】既に説明したように、最新技術にかかるアンダクテッドファンを有するターボ機械を表す。
図2】既に説明したように、図1のアンダクテッドファンのための最新技術にかかる制御システムを概略的に表す。
図3】本発明の一実施形態にかかるターボ機械を制御するシステムを概略的に表す。
図4】本発明の実装の一モードにかかるターボ機械を制御する方法のフローチャートを表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図3は、本発明の一実施形態にかかるターボ機械を制御するシステム10を概略的に表す。本発明にかかる制御システム10によって制御されるターボ機械は、図2に記載されているようなアンダクテッドファンを有するターボ機械1であってもよい。
【0036】
制御システム10は、第1の補正器11と、第2の補正器12と、第1の選択ユニット13と、第2の選択ユニット14と、積分器15とを備える。
【0037】
第1の補正器11は、3つの制御量のそれぞれについての第1の値を送る3つの出力を備える。第1の制御量は、オープンロータ1の燃料流量WFに対応し、第2の制御量は、オープンロータ1の上流プロペラのピッチβに対応し、第3の制御量は、オープンロータ1の下流プロペラのピッチβに対応する。
【0038】
第1の補正器11は、オープンロータ1の3つの変数の値を入力として受信し、第1の変数は、オープンロータ1の低圧圧縮機の回転速度XNPに対応し、第2の変数は、オープンロータ1の上流プロペラの回転速度XN1に対応し、第3の変数は、オープンロータ1の下流プロペラの回転速度XN2に対応する。第1の補正器11はまた、低圧圧縮機の回転速度設定値XNPdmd、上流プロペラの回転速度設定値XN1dmd、および下流プロペラの回転速度設定値XN2dmdを入力として受信する。
【0039】
第1の選択ユニット13は、燃料流量WFについて第1の補正器11によって判定された値と、第1の制御量の最大値WFmaxと、第1の制御量の最小値WFminとを入力として受信する。
【0040】
第1の選択ユニット13は、オープンロータ1の動作パラメータの関数として、3つの前述の値WF、WFmax、またはWFminのうちの1つを出力するように構成される。第1の選択ユニット13から出力される値は、オープンロータ1に供給されるべき第1の制御量WFの値に対応する。
【0041】
第2の補正器12は、第2および第3の制御量βおよびβの第2の値を送る2つの出力を備える。第1の補正器11と同様に、第2の補正器12は、対応するセンサによって測定されたオープンロータ1の3つの出力変数の値、すなわち、低圧圧縮機の回転速度XNP、上流プロペラの回転速度XN1、および下流プロペラの回転速度XN2を入力として受信する。第2の補正器12はまた、上流プロペラの回転速度設定値XN1dmdおよび下流プロペラの回転速度設定値XN2dmdを入力として受信するが、低圧圧縮機の回転速度設定値XNPdmdは入力として受信しない。第2の補正器12は、さらに、第1の選択ユニット13から出力された燃料流量の値を入力として受信する。
【0042】
第2の補正器12は、特に第1の制御量について選択された値、すなわちここでは燃料流量WFの関数として、オープンロータ1の第2および第3の制御量βおよびβのそれぞれについての第2の値を判定するように構成される。
【0043】
第2の選択ユニット14は、値の2つのペアとインジケータとを入力として受信する。受信した値の第1のペアは、第2の制御量βの第1の値および第3の制御量βの第1の値を具備するペアに対応し、受信した値の第2のペアは、第2の制御量βの第2の値および第3の制御量βの第2の値を具備する。選択ユニット14によって受信したインジケータは、第1の選択ユニット13によって供給され且つ第1の制御量WFの3つの値のうちのどれが選択されたかを示す指示に対応する。
【0044】
第2の選択ユニット14は、第1の選択ユニットによって供給されたインジケータの関数として選択された第2および第3の制御量の値のペアを出力するように構成されている。したがって、第2の選択ユニット14は、第1の選択ユニット13によって選択された第1の制御量の値の選択に応じて、第1の補正器11によって判定された第2および第3の制御量の第1の値のペア、または、第2の補正器12によって判定された第2および第3の制御量の第2の値のペアのいずれかを出力する。第2の選択ユニット14から出力される値は、オープンロータ1に供給される第2および第3の制御量β、βの値に対応する。
【0045】
オープンロータ1に送信される前に、第1の選択ユニット13によって選択された第1の制御量WFの値と、第2の選択ユニット14によって選択された第2および第3の制御量βおよびβの値とは、オープンロータ1のコマンドの揺らぎを回避するために積分器15に供給される。次いで、積分器15は、このように処理された第1、第2、および第3の制御量の値をオープンロータ1に送る。
【0046】
図4は、制御システム10によって実装される制御方法のフローチャートを示している。
【0047】
図4に提示される実装のモードによれば、制御方法は、オープンロータ1の3つの変数XNP、XN1およびXN2の値が異なる専用センサから測定され且つ第1の補正器11および第2の補正器12に送信される第1のステップ100を備える。
【0048】
続くステップ110において、オープンロータ1の3つの変数のそれぞれについて設定値が受信される。より具体的には、このステップ110において、第1の補正器11は、低圧圧縮機の回転速度設定値XNPdmd、上流プロペラの回転速度設定値XN1dmd、および下流プロペラの回転速度設定値XN2dmdを受信し、第2の補正器12は、上流プロペラの回転速度設定値XN1dmd、および下流プロペラの回転速度設定値XN2dmdを受信する。
【0049】
次のステップ120において、オープンロータ1の3つの制御量についての第1の値が、3つの変数XNP、XN1およびXN2の値から、ならびに3つの対応する設定値XNPdmd、XN1dmdおよびXN2dmdから判定される。
【0050】
続くステップ130では、オープンロータ1の動作パラメータの選択に応じて、第1の制御量の最大値、第1の制御量の最小値、および前のステップ120における判定から生じる第1の制御量の値の中から、オープンロータ1に供給されるべき第1の制御量の値が選択される。
【0051】
続くステップ140では、オープンロータ1の第2および第3の制御量についての第2の値が、3つの変数XNP、XN1およびXN2の値、第2および第3の対応する設定値XN1dmdおよびXN2dmd、ならびに前のステップ130における第1の選択中に選択された第1の制御量WFの値から判定される。
【0052】
続くステップ150では、ステップ120において判定された第2および第3の制御量のペアとステップ140において判定された第2および第3の制御量のペアとの間のオープンロータ1に供給されるべき第2および第3の制御量の値のペアの選択が行われ、ステップ130において選択された供給されるべき第1の制御量の値に応じて供給されるべき第2および第3の制御量の値のペアの選択が行われる。
【0053】
続くステップ160では、選択された値のそれぞれが、積分器を使用してステップ130およびステップ150において積分され、続くステップ170において、第1、第2、および第3の制御量の積分値がオープンロータ1に送信される。
【0054】
したがって、本発明にかかる制御方法は、燃料流量などの制御量のうちの1つの複雑な管理にもかかわらず、出力量、すなわちターボ機械の3つの変数の分離を簡単且つ効率的な方法で保証することを可能にする。
図1
図2
図3
図4