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▶ ホウメディカ・オステオニクス・コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】肩安定性向上手術の自動計画
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B34/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021569011
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020032085
(87)【国際公開番号】W WO2020236441
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】62/850,238
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521418414
【氏名又は名称】ホウメディカ・オステオニクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Howmedica Osteonics Corp.
【住所又は居所原語表記】325 Corporate Drive Mahwah, NJ 07430, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マイヤ、マキシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】シャウウィ、ジャン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0110470(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280148(US,A1)
【文献】特表2018-516634(JP,A)
【文献】特表2015-511511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0360566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
A61B 17/56
A61F 2/40
A61F 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングシステムであって、
患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデルを記述するデータを記憶するように構成されたメモリと、
処理回路と
を備え、前記処理回路は、
前記患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定することと、
前記患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定することと、
前記患者の前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定することと、ここにおいて、前記測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)前記病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、
前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記Hill-Sachs病変の内側境界の投影であり、
前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの内側境界の投影である、
所定のパーセンテージ値を乗じた前記第1のエリアサイズから、前記第2のエリアサイズを引いた値としてインデックス値を決定し、次いで、前記インデックス値が前記第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、前記患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと、
前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が前記患者に推奨されるというインジケーションを出力することと
を行うように構成される、コンピューティングシステム。
【請求項2】
前記処理回路は、
前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っていることに基づいて、前記第1のエリアサイズ及び前記第3のエリアサイズに基づいて、骨移植片を前記病的関節窩骨に取り付けるための外科的処置において前記患者の烏口突起から採取されるべき前記骨移植片の最小エリアサイズを決定することと、
前記骨移植片の前記最小エリアサイズのインジケーションを出力することと
を行うように更に構成される、請求項1に記載のコンピューティングシステム。
【請求項3】
前記患者の前記骨損失は前記病的関節窩骨上の骨損失を含み、前記処理回路は、
前記病的関節窩骨上の前記骨損失の主軸を決定することと、
前記病的関節窩骨上の前記骨損失の前記主軸に基づいて、前記患者の烏口突起から前記骨移植片を採取し、前記骨移植片を前記病的関節窩骨に取り付けるための推奨される骨移植処置を決定することと、
前記推奨される骨移植処置のインジケーションを出力することと
を行うように更に構成される、請求項1又は2に記載のコンピューティングシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、前記推奨される骨移植処置を決定することの一部として、前記処理回路がLatarjet骨移植処置及びBristow骨移植処置の中から前記推奨される骨移植処置を選択するように構成される、請求項3に記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記処理回路は、前記患者の1つ以上のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づいて、前記患者の前記病的関節窩骨の3Dモデルを生成するように更に構成され、
前記処理回路は、前記第2のエリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、前記患者の前記病的関節窩骨の前記3Dモデルと前記予測された病前関節窩骨の3Dモデルとの比較に基づいて、前記患者の前記病的関節窩骨上の前記Bankart病変の前記エリアサイズを決定するように構成される、
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
前記処理回路は、前記病的上腕骨の3Dモデルを生成するように更に構成され、
前記処理回路は、前記第3のエリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、
前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界を決定することと、
前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記Hill-Sachs病変の前記内側境界の前記投影として前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界を決定することと、
前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界を決定することと、
前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界の前記投影として前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界を決定することと、
前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界と前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界とを結合する結合線を決定することと、前記結合線は、前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界上の点から前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界上の点までの前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上の最短測地線経路である、
ここにおいて、前記測地面は、前記結合線、前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界、及び前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界によって画定される、
を行うように構成される、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項7】
前記処理回路は、
表示のために前記病的上腕骨の前記3Dモデルを出力するように更に構成され、
(i)前記処理回路は、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界を決定することの一部として、前記処理回路が、
前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界に沿った第1の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、
前記第1の点に基づいて、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界を補間することと
を行うように構成されるか、又は、
(ii)前記処理回路は、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界を決定することの一部として、前記処理回路が、
前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界に沿った第2の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、
前記第2の点に基づいて、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界を補間することと
を行うように構成される、
のうちの少なくとも1つである、
請求項6に記載のコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記処理回路は、前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することの一部として、前記処理回路が、
前記第1のエリアサイズが乗じられた所定のパーセンテージ値から前記第2のエリアサイズを引いた値としてインデックス値を決定することと、
前記インデックス値が前記第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと
を行うように構成される、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項9】
前記処理回路は、前記骨移植片の前記最小エリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、前記第1のエリアサイズが乗じられた所定のパーセンテージ値から、前記第3のエリアサイズを引いた値として前記骨移植片の前記最小エリアサイズを決定するように構成される、請求項2又は請求項2を引用する請求項~8のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
前記処理回路は、前記Bankart病変の前記エリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、
関節窩平面上への前記予測された病前関節窩骨の投影として、投影された病前関節窩表面を決定することと、
前記関節窩平面上への前記患者の前記病的関節窩骨の投影として、投影された病的関節窩表面を決定することと、
前記投影された病前関節窩表面及び前記投影された病的関節窩表面に基づいて、骨損失のゾーンを決定することと、
骨損失の前記ゾーンのエリアサイズとして前記Bankart病変の前記エリアサイズを決定することと
を行うように構成される、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記処理回路は、
前記Hill-Sachs病変の3次元形状若しくは体積、及び
前記Bankart病変の3次元形状若しくは体積
のうちの少なくとも1つに基づいて前記患者についてのInstability Severity Index Score(ISIS)を決定するように更に構成され、前記処理回路は、前記第1、第2、及び第3のエリアサイズを決定し、前記ISISが閾値よりも大きいと決定することに応答して、前記患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するように構成される、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記処理回路は、前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているという前記決定に基づいて、
前記病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置を決定することと、
前記病的上腕骨の前記あるタイプの運動についての前記臨界位置に基づいて、
前記骨移植片の形状、又は、
前記病的関節窩骨上への前記骨移植片の配置
のうちの1つ以上を決定することと
を行うように更に構成される、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記コンピューティングシステムが、前記骨移植片の前記形状及び/又は前記病的関節窩骨上への前記骨移植片の配置に基づいて、前記骨移植片を前記病的関節窩骨に取り付けるためのねじのねじ長さ又はねじ軌道のうちの少なくとも1つを決定することを更に備える、請求項12に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
コンピューティングシステムであって、
患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定するための手段と、
前記患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定するための手段と、
前記患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定するための手段と、ここにおいて、前記測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)前記病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、
前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記Hill-Sachs病変の内側境界の投影であり、
前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの内側境界の投影である、
所定のパーセンテージ値を乗じた前記第1のエリアサイズから、前記第2のエリアサイズを引いた値としてインデックス値を決定し、次いで、前記インデックス値が前記第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、前記患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するための手段と、
前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が前記患者に推奨されるというインジケーションを出力するための手段と
を備える、コンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2019年5月20日に出願された米国仮特許出願第62/850,238号の利益を主張し、その内容全体が、参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]肩不安定性は、患者の関節窩上腕関節の脱臼、亜脱臼(部分脱臼)、又は一般的な安定性の欠如をもたらす様々な障害を指す。個人は、肩構造の外傷又は先天的弛緩のために、又は弱い運動パターンなどの脆弱性及び不適切な生体力学のために、肩不安定性を経験し得る。医療専門家は、典型的には、関節窩上腕関節における余分な運動の程度、関節窩上腕関節においてどれくらいの頻度で不安定性が生じるか、影響を受ける組織、及び肩が不安定になる方向に従って肩不安定性を分類する。
【0003】
[0003]4つのタイプの肩不安定性:前方、後方、下方、又は多方向が存在する。前方肩不安定性は、最も一般的なタイプであり、症例の95%で生じる。前方肩不安定性は、典型的には、外傷によって引き起こされる。前方肩不安定性を引き起こす外傷のタイプは、しばしば、腕の過剰な外転、伸展、及び外旋の組み合わせを含み、それは、腕を横に出した状態でのスキーでの転倒の間、クローズラインタックルの間、又はバレーボールでスパイクされたボールをブロックすることによって生じ得る。
【0004】
[0004]現在、前方肩不安定性の症例に対処するために使用され得る4つの主要なタイプの外科的処置:関節鏡Bankart手術、Hill-Sachs remplissage手術、Bristow手術、及びLatarjet手術が存在する。Bristow手術及びLatarjet手術は、患者の肩甲骨の烏口突起の先端から骨移植片を採取し、骨移植片を肩甲骨の関節窩に取り付けることを伴う。骨移植片は、その後、患者の上腕骨頭を関節窩中に維持するのに役立つ。
【0005】
[0005]外科医は、前方肩不安定性の原因の診断に基づいてこれらの外科的処置の中から選択し得る。個々の患者に対してどのタイプの外科的処置を使用するかを決定するために、外科医は、その患者についてのInstability Severity Index Score(ISIS)を計算し得る。外科医は、次いで、他の情報と共に患者についてのISISを使用して、決定木において辿るべき経路を決定し得る。決定木における他の決定は、2次元又は3次元のコンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴撮像(MRI)スキャンに基づく解剖学的要因に依拠する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示は、肩安定向上手術の自動計画のための実例的なシステム及び技法を説明する。肩安定性向上手術を計画するための現在のプロセスは、外科医にとって面倒であり得、誤りを起こしやすいことがある。そのような誤りは、外科医に、実行すべき手術のタイプに関する不正確な結論に到達させ得る。例えば、現在のプロセスは、外科医が、骨損失の量を手動で決定し、上腕骨頭上のHill-Sachs病変が関節窩上腕関節の外転及び外旋中に関節窩骨に係合するかどうかを手動で決定することを必要とし得る。これらの決定は、ヒューマンエラーの影響を受けやすく、2次元撮像中の患者の正しい向き及び/又は3次元モデルの正しい位置決めに依存し得る。
【0007】
[0007]本開示の技法は、肩安定性向上手術のための計画プロセスのある特定の態様の信頼性及び精度を改善し得る。例えば、本明細書で説明するように、コンピューティングシステムは、3次元モデルを使用して、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定し、これに基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるかどうかのインジケーションを出力し得る。いくつかの例では、コンピューティングシステムは、肩の安定を向上させるために特定のタイプの処置を推奨し得る。
【0008】
[0008]一例では、本開示は、方法であって、 コンピューティングシステムが、患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定することと、 コンピューティングシステムが、患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定することと、 コンピューティングシステムが、患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定することと、ここにおいて、測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影であり、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である、 コンピューティングシステムが、第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと、 患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、コンピューティングシステムが、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力することと を備える、方法を説明する。
【0009】
[0009]別の例では、本開示は、コンピューティングシステムであって、 患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデルを記述するデータを記憶するように構成されたメモリと、 処理回路と を備え、処理回路は、 患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定することと、 患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定することと、 患者の予測された病前上腕骨の3Dモデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定することと、ここにおいて、測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影であり、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である、 第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと、 患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力することと を行うように構成される、コンピューティングシステムを説明する。
【0010】
[0010]別の例では、本開示は、コンピューティングシステムであって、 患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定するための手段と、 患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定するための手段と、 患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定するための手段と、ここにおいて、測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影であり、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である、 第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するための手段と、 患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力するための手段と を備える、コンピューティングシステムを説明する。
【0011】
[0011]本開示の様々な例の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。様々な特徴、目的、及び利点が、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】[0012]患者の上腕骨頭の2次元(2D)画像における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。
図1B】[0013]関節窩骨の2D画像における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。
図2A】[0014]3D再構築面における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。
図2B】3D再構築面における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。
図3】[0015]肩の外転及び外旋の上面図を例示する。
図4】[0016]実例的な上腕骨頭フットプリント境界及びHill-Sachs病変境界を例示する。
図5】[0017]Instability Severity Index Scoreを計算するための表である。
図6】[0018]肩安定性を向上させるための外科的処置を選択するための決定木である。
図7】[0019]この開示の技法を実装するために使用され得る実例的なシステムを例示するブロック図である。
図8】[0020]本開示の1つ以上の態様による、コンピューティングシステムの実例的な動作を例示するフローチャートである。
図9A】[0021]本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。
図9B】本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。
図9C】本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。
図9D】本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。
図9E】本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。
図9F】本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。
図10A】[0022]本開示の1つ以上の態様による、病的上腕骨の実例的な3Dモデル及び予測された病前上腕骨の対応する3Dモデルの概念図である。
図10B】[0023]病的上腕骨の上腕骨頭上の後方骨損失を示す上腕骨の実例的な2D軸方向スライスの概念図である。
図11】[0024]本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するためのコンピューティングシステムの実例的な動作を例示するフローチャートである。
図12A】[0025]本開示の1つ以上の態様による、Hill-Sachs病変の境界上の点と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの境界上の点との手動選択の例の概念図である。
図12B】本開示の1つ以上の態様による、Hill-Sachs病変の境界上の点と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの境界上の点との手動選択の例の概念図である。
図12C】本開示の1つ以上の態様による、Hill-Sachs病変の境界上の点と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの境界上の点との手動選択の例の概念図である。
図12D】本開示の1つ以上の態様による、Hill-Sachs病変の境界上の点と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの境界上の点との手動選択の例の概念図である。
図13A】[0026]本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するための実例的な動作の概念図である。
図13B】本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するための実例的な動作の概念図である。
図13C】本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するための実例的な動作の概念図である。
図13D】本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するための実例的な動作の概念図である。
図13E】本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するための実例的な動作の概念図である。
図13F】本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するための実例的な動作の概念図である。
図14A】[0027]Latarjet法を使用する骨移植の概念図である。
図14B】[0028]Bristow法を使用する骨移植の概念図である。
図15】[0029]本開示の技法による、コンピューティングシステムが骨移植を含む肩安定性向上手術を推奨することに基づいて実行され得る実例的な動作を例示するフローチャートである。
図16】[0030]本開示の1つ以上の態様による、手術計画ソフトウェアの実例的なユーザインターフェースの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0031]上記で簡潔に議論したように、肩不安定性は、関節窩上腕関節の脱臼、亜脱臼、又は一般的な安定性の欠如をもたらす様々な障害を指す。肩不安定性は、上腕骨頭を関節窩骨に対して前方向に押しやる外傷によってしばしば引き起こされる。本開示は、肩甲骨の関節窩を画定して囲む肩甲骨の一部分を指すために「関節窩骨」という用語を使用する。関節窩骨に対する前方向への上腕骨頭の運動の結果として、骨損失は、上腕骨頭及び関節窩骨上で発現し得る。前方肩不安定性が存在する場合、上腕骨頭は、典型的には、後側方骨損失を有し、関節窩骨は、典型的には、前下方骨損失を有する。上腕骨頭上の骨損失は、Hill-Sachs病変と呼ばれ得る。関節窩骨上の骨損失は、Bankart病変と呼ばれ得る。
【0014】
[0032]Hill-Sachs病変及び/又はBankart病変の有無は、そのような病変の1つ以上のサイズ特性及び位置特性と共に、肩安定性向上手術を計画する際の指針として使用され得る。言い換えれば、肩安定性向上手術を計画するための決定木は、Hill-Sachs病変及びBankart病変のサイズ及びロケーションに依存し得る。従来、Hill-Sachs病変及びBankart病変の存在及び特性は、2次元(2D)スキャン又は3次元(3D)再構築面を使用して決定される。
【0015】
[0033]図1Aは、患者の上腕骨頭の2D画像における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。Hill-Sachs病変のサイズ特性を決定するために、2D画像のセットが、例えばコンピュータ断層撮影(CT)を使用して生成される。2D画像の各々は、患者の横断面中にある。外科医は、次いで、2D画像のうちの1つを選択し得、次いで、上腕骨頭に対応する選択された2D画像の一部分上に円100を当てはめ得る。Hill-Sachs病変のサイズ特性は、Hill-Sachs病変にまたがる弦の長さ(W)及び円上の点からHill-Sachs病変の最も深い点まで測定される深さ(D)に基づいて識別され得る。
【0016】
[0034]図1Bは、関節窩骨の2D画像における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。Bankart病変のサイズ特性を決定するために、2D画像のセットが生成される。2D画像の各々は、矢状方向の視点からのものである。外科医は、次いで、2D画像のうちの1つを選択し得、関節窩骨に対応する選択された2D画像の一部分上に円102を当てはめ得る。図1Bでは、「a」は、関節窩骨の表面に対して垂直な円102の直径を示す。図1Bでは、「b」は、円102から関節窩骨の表面までの直径「a」のセグメントを示す。
【0017】
[0035]図2A及び図2Bは、3D再構築面における実例的な骨損失識別プロセスを例示する。図2A及び図2Bの例では、患者の関節窩骨の3Dモデルが、例えば患者のCT画像に基づいて再構築される。外科医は、次いで、3Dモデルを適切な位置まで回転させ、関節窩の境界に対応する3Dモデルの一部分上に円200を当てはめ得る。外科医は、次いで、図2Aの矢印によって示されるように、円とモデルの表面との間の隙間のサイズとしてBankart病変の深さを決定し得る。しかしながら、図2Bに示すように、関節窩骨の3Dモデルが僅かに回転される場合、隙間は見えないことに留意されたい。
【0018】
[0036]図1A及び図1Bに示す技法と図2A及び図2Bに示す技法との両方とも、誤りを起こしやすい。例えば、患者が撮像中に完全には向きを定められていない場合、外科医が準最適な2D画像を選択するため、外科医が幅に対して準最適な位置を選択するため、又は他のオペレータエラーのために、図1A及び図1Bに示す技法から誤りが生じ得る。更に、外科医が3Dモデルを準最適位置まで回転させるため、図2A及び図2Bに示す技法から誤りが生じ得る。
【0019】
[0037]Hill-Sachs病変及びBankart病変の存在並びにそれらのサイズ特性を決定することに加えて、患者が肩の外転及び外旋運動を行うときに上腕骨頭の再発性亜脱臼が生じるかどうかを決定することは有益であり得る。図3は、肩の外転及び外旋の上面図を例示する。患者が肩の外転及び外旋運動を行うときに上腕骨頭の再発性亜脱臼が生じる場合、関節窩上腕関節は、「係合している」、「関節係合を伴っている」、又は「オフトラック」と言われる。対照的に、患者がこの運動を行うときに上腕骨頭の再発性亜脱臼が生じない場合、関節窩上腕関節は、「非係合」又は「オントラック」と言われる。患者が外転及び外旋運動を行うときの上腕骨頭の再発性亜脱臼は、Bankart病変及び/又はHill-Sachs病変の存在に起因して生じる可能性が高い。
【0020】
[0038]Itoi et al., “‘On-track’ and ‘offtrack’ shoulder lesions,” EFORT Open Rev. 2017 Aug 1;2(8):343-351. doi: 10.1302/2058-5241.2.170007. eCollection 2017 Aug. Review(以下、「Itoi」)は、Hill-Sachs病変及びBankart病変のサイズ特性から、関節窩上腕関節が係合しているか又は係合していないかを識別するための式を説明している。言い換えれば、Itoiは、係合関節を識別するための手法を説明している。Itoiによって説明された手法は、1次元値を使用し、複数のパラメータに依存する。
【0021】
[0039]特に、Itoiによって説明された手法には3つのパラメータが存在する。第1のパラメータは、病前関節窩幅である。図1Bの例では、「a」は、病前関節窩幅を示す。第2のパラメータは、関節窩骨損失幅である。図1Bの例では、「b」は、関節窩骨損失幅を示す。関節窩骨損失幅は、円上の点から骨表面までの距離として決定され得る。第3のパラメータは、上腕骨病変(即ちHill-Sachs病変)の内側境界と、上腕骨の上腕骨頭のフットプリント上の最も内側の点との間の距離である。上腕骨頭のフットプリントは、上腕骨頭と上腕骨の残りの部分との間の境界面を画定する平面であると考えられ得る。上腕骨頭のフットプリントは、上腕骨頭と上腕骨の大結節及び小結節との間に画定される。上腕骨頭のフットプリントは、典型的には、病前状態において、関節窩に対して摺動し得る上腕骨頭の限界に対応する。
【0022】
[0040]図4は、実例的な上腕骨頭フットプリント境界及びHill-Sachs病変境界を例示する。特に、図4の例では、線400は、上腕骨頭のフットプリントの内側境界を示す。線402は、Hill-Sachs病変の内側境界を示す。矢印404は、Hill-Sachs病変の内側境界と上腕骨頭のフットプリント上の最も内側の点との間の距離を示す。
【0023】
[0041]Itoiによって説明された手法は、肩の外転及び外旋運動中に、関節窩上腕接触面の83%が関節窩によって覆われると想定している。更に、Itoiは、関節窩上腕関節が係合しているときに以下の不等式が適用されることを示している:
((0.83×a)-b)>c
上記の不等式では、aは、第1のパラメータ(即ち病前関節窩幅)を示し、bは、第2のパラメータ(即ち関節窩骨損失幅)を示し、cは、第3のパラメータ(即ち上腕骨病変(即ちHill-Sachs病変)の内側境界と上腕骨の上腕骨頭のフットプリント上の最も内側の点との間の距離)を示す。同様に、Itoiは、関節窩上腕関節が係合していないときに以下の不等式が適用されることを示している:
0.83×a-b≦c
上記の不等式では、aは、第1のパラメータを示し、bは、第2のパラメータを示し、cは、第3のパラメータを示す。
【0024】
[0042]更に、外科医が肩安定性向上手術を計画しているとき、外科医は、患者についてのInstability Severity Index Score(ISIS)を計算し得る。図5は、患者についてのISISを計算するための表である。図5では、「AP」は、前後方を示す。患者についてのISISは、患者が肩不安定状態の再発を経験するであろうリスクの推定値である。より高いISISを有する患者は、より低いISISを有する患者よりも、肩不安定状態の再発を経験するリスクが高い。患者が肩不安定状態の再発を経験するであろうリスクは、患者に対して実行すべき外科的処置を選択するときに外科医を導き得る。
【0025】
[0043]本開示の1つ以上の技法によると、患者についての3D ISISは、図5の例に例示するISISの代わりに患者について決定され得る。3D ISISは、図5のISIS計算の同じ年齢、スポーツ参加の程度、スポーツのタイプ、及び肩の過剰弛緩の態様を使用し得る。しかしながら、3D ISISのHill-Sachs成分に関して、Hill-Sachs病変の3D形状及び/又は体積に関連する1つ以上の点値が決定され得る。例えば、一例では、Hill-Sachs病変の3D体積は、点値を割り当てられ得る。いくつかの例では、Hill-Sachs病変の長さ、幅、及び深さが決定され得る。Hill-Sachs病変の長さ、幅、及び深さの各々について、0~3の範囲の点値が決定される。
【0026】
[0044]同様に、患者についての3D ISISを決定する際に、関節窩骨損失の3D形状及び/又は体積に基づいて1つ以上の点値が決定され得る。例えば、関節窩骨への損失は、点値を割り当てられ得る。いくつかの例では、Bankart病変の長さ、幅、及び深さの各々が、点値を割り当てられ得る。
【0027】
[0045]Hill-Sachs病変及び関節窩骨損失についての点値を含む点値が次いで合計されて、3D ISISが決定され得る。3D ISISの使用は、図5の例に例示するISISよりも直接的で正確なガイダンスを外科医に提供し得る。例えば、図6の例に関して、外科医又はコンピューティングシステムは、正しい外科的処置を選択する可能性がより高くあり得る。
【0028】
[0046]図6は、肩安定性を向上させるための外科的処置を選択するための決定木である。図6の例では、患者についてのISISが3未満である場合、推奨される外科的選択肢は、関節鏡Bankart手術である。関節鏡Bankart手術は、Bankart病変を覆う組織を修復し、骨移植を伴わない。例えば、関節鏡Bankart手術中、外科医は、Bankart病変がもはや露出されないように組織を再結合し得る。
【0029】
[0047]他方では、患者についてのISISが3以上である場合、外科医は、CTスキャン又は磁気共鳴撮像(MRI)を指示し得る。図1A図1B図2A、及び図2Bに示すものなどの2D画像又は3Dモデルは、そのようなCTスキャン又はMRIの結果として生成され得る。外科医は、次いで、結果として得られた2D画像又は3Dモデルを使用して、患者が孤立した上腕骨欠損、孤立した関節窩骨欠損、又は上腕骨欠損及び関節窩骨欠損の両方を有するかを決定し得る。患者が孤立した上腕骨欠損を有する(例えば、患者がHill-Sachs病変を有し、Bankart病変を有さない)場合、推奨される外科的選択肢は、Hill-Sachs remplissage手術を伴う関節鏡Bankart手術であり得る。Hill-Sachs remplissage手術中、外科医は、Hill-Sachs病変を腱組織で満たす。しかしながら、患者が孤立した関節窩骨欠損を有する(例えば、患者がBankart病変を有し、Hill-Sachs病変を有さない)か、又は患者が上腕骨欠損と関節窩骨欠損との組み合わせを有する(例えば、患者がBankart病変及びHill-Sachs病変を有する)場合、推奨される外科的選択肢は、関節鏡Bankart手術、そしておそらくBristow手術又はLatarjet手術であり得る。患者の骨損失が関節係合を伴っている場合、Bristow手術又はLatarjet手術が推奨され得る。しかしながら、患者が孤立した関節窩骨欠損を有するか、又は患者が上腕骨欠損と関節窩骨欠損との組み合わせを有するが、骨損失が関節係合を伴っていない場合、Bristow手術又はLatarjet手術は推奨されないことがある。Bristow手術又はLatarjet手術中、外科医は、患者の烏口突起の一片を除去し、患者の烏口突起の除去された一片を関節窩骨の準備されたエリアに取り付ける。これは、上腕骨頭が関節窩から前方に滑り出るのを阻止するのに役立ち得る。
【0030】
[0048]3D ISISが使用される例では、患者の3D ISISを計算する前に患者のCTスキャン又はMRIが実行され得る。患者についての3D ISISが6未満である場合、推奨される外科的選択肢は、関節鏡Bankart手術である。そうでなければ、関節鏡Bankart手術にHill-Sachs remplissage手術を加えたもの、又は関節鏡Bankart手術にBristow手術若しくはLatarjet手術を加えたものの中から決定するためのプロセスが実行され得る。
【0031】
[0049]図6の例に示すもの以外の決定木が適用され得る。例えば、Ramhamadany et al., “Current concepts in the management of recurrent anterior gleno-humeral joint instability with bone loss,” World J Orthop., June 18, 2016; 7(6): 343-354は、観血的整復及び内固定手術又はLatarjet手術を選択するかを決定するためのプロセスの一部としてISISが使用され得る決定木を説明している。この例では、3D ISISが、図5の表を使用して計算されるISISの代わりに使用され得る。ISISを使用する別の決定木は、Ozturk et al., “Prise en charge d’un premier episode de luxation antero-inferieure de l’epaule chez l’athlete,” Rev Med Suisse 2018; volume 14. 1326-1331に説明されている。Ozturkの決定木で使用されるISISは、本開示の他の箇所で説明する3D ISISと置き換えられ得る。
【0032】
[0050]上記で述べたように、肩安定性を向上させるために手術を計画するための現在のプロセスは、外科医にとって面倒であり得、間違いを起こしやすいことがある。そのような誤りは、外科医に、実行すべき手術のタイプに関する不正確な結論に到達させ得る。例えば、現在のプロセスは、外科医が、骨損失の量を手動で決定し、上腕骨頭上のHill-Sachs病変が関節窩上腕関節の外転及び外旋中に関節窩骨に係合するかどうかを手動で決定することを必要とし得る。これらの決定は、ヒューマンエラーの影響を受けやすく、2次元撮像中の患者の正しい向き及び/又は3次元モデルの正しい位置決めに依存し得る。
【0033】
[0051]本開示の技法は、計算技法を適用して、肩安定性向上手術のための計画プロセスのある特定の態様の予測可能性及び精度を改善し得る。図7は、本開示の技法を実装するために使用され得る実例的なシステム700を例示するブロック図である。図7は、本開示で説明する1つ以上の実例的な技法を実行するように構成されたコンピューティングシステムの例であるコンピューティングシステム702を例示する。コンピューティングシステム702は、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、及び他のタイプのコンピューティングデバイスなど、様々なタイプのコンピューティングデバイスを含み得る。コンピューティングシステム702は、処理回路703、メモリ704、及びディスプレイ710を含む。ディスプレイ710は、コンピューティングシステム702がサーバコンピュータを備える例におけるように、オプションである。
【0034】
[0052]処理回路703の例は、1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一般に、処理回路703は、固定機能回路、プログラマブル回路、又はそれらの組み合わせとして実装され得る。固定機能回路は、特定の機能を提供する回路を指し、実行することができる動作に予め設定される。プログラマブル回路は、様々なタスクを実行するようにプログラムすることができる回路を指し、実行することができる動作において柔軟な機能を提供する。例えば、プログラマブル回路は、ソフトウェア又はファームウェアの命令によって定義された形でプログラマブル回路を動作させるソフトウェア又はファームウェアを実行し得る。固定機能回路は、(例えば、パラメータを受け取る又はパラメータを出力するために)ソフトウェア命令を実行し得るが、固定機能回路が実行する動作のタイプは、一般に不変である。いくつかの例では、ユニットのうちの1つ以上は、個別の回路ブロック(固定機能又はプログラムマブル)であり得、いくつかの例では、1つ以上のユニットは、集積回路であり得る。
【0035】
[0053]処理回路703は、プログラマブル回路から形成された、算術論理ユニット(ALU)、初等関数ユニット(EFU)、デジタル回路、アナログ回路、及び/又はプログラマブルコアを含み得る。処理回路703の動作がプログラマブル回路によって実行されるソフトウェアを使用して実行される例では、メモリ704が、処理回路703が受信及び実行するソフトウェアのオブジェクトコードを記憶し得るか、又は処理回路703内の別のメモリ(図示せず)が、そのような命令を記憶し得る。ソフトウェアの例は、手術計画用に設計されたソフトウェアを含む。処理回路703は、本開示においてコンピューティングシステム702に帰属するアクションを実行し得る。
【0036】
[0054]メモリ704は、処理回路703によって使用される様々なタイプのデータを記憶し得る。例えば、メモリ704は、病的及び予測された病前解剖学的構造を含む様々な解剖学的構造の3Dモデルを記述するデータを記憶し得る。例えば、1つの特定の例では、メモリ704は、患者の予測された病前上腕骨の3Dモデルを記述するデータを記憶し得る。
【0037】
[0055]メモリ704は、同期動的ランダムアクセスメモリ(SDRAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗RAM(RRAM(登録商標))、又は他のタイプのメモリデバイスを含むDRAMなどの様々なメモリデバイスのうちの任意のものによって形成され得る。ディスプレイ710の例は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は別のタイプのディスプレイデバイスを含む。
【0038】
[0056]コンピューティングシステム702は、コンピューティングシステム702がネットワーク714を介して視覚化デバイス716にデータ及び命令を出力し、視覚化デバイス716からデータ及び命令を受信することを可能にする通信インターフェース712を含み得る。通信インターフェース712は、コンピューティングシステム702が視覚化デバイス716などの他のコンピューティングシステム及びデバイスに(例えば、ワイヤレスに又はワイヤを使用して)通信することを可能にするハードウェア回路であり得る。ネットワーク714は、インターネット、ローカルエリアネットワーク、等などの1つ以上のワイドエリアネットワークを含む様々なタイプの通信ネットワークを含み得る。いくつかの例では、ネットワーク714は、ワイヤード及び/又はワイヤレス通信リンクを含み得る。
【0039】
[0057]視覚化デバイス716は、様々な視覚化技法を利用して画像コンテンツを外科医に表示し得る。視覚化デバイス716は、複合現実(MR)視覚化デバイス、仮想現実(VR)視覚化デバイス、ホログラフィックプロジェクタ、又はエクステンデッドリアリティ(XR)視覚化を提示するための他のデバイスであり得る。いくつかの例では、視覚化デバイス716は、アメリカ合衆国ワシントン州レドモンドのMicrosoft Corporationから入手可能なMicrosoft HOLOLENS(登録商標)ヘッドセット、又は例えば導波路を含む同様のMR視覚化デバイスなどの同様のデバイスであり得る。HOLOLENS(登録商標)デバイスを使用して、ユーザが、ホログラフィックレンズを通して実世界のシーン、即ち実世界の環境中の実際のオブジェクトを見ることを可能にしながら、ホログラフィックレンズ又は導波路を介して3D仮想オブジェクトを提示することができる。
【0040】
[0058]視覚化デバイス716は、患者画像データを利用して骨外形の3次元モデルを生成して関節修復及び置換のための術前計画を容易にするのに利用可能な視覚化ツールを利用し得る。これらのツールは、外科医が、患者の解剖学的構造に厳密に一致するサージカルガイド及びインプラント構成要素を設計及び/又は選択することを可能にする。これらのツールは、各患者について手術計画をカスタマイズすることによって手術結果を改善することができる。肩修復のためのそのような視覚化ツールの例は、Wright Medical Technology, Incから入手可能なBLUEPRINT(登録商標)システムである。BLUEPRINT(登録商標)システムは、骨修復領域の2次元平面視及び修復領域の3次元仮想モデルを外科医に提供する。外科医は、BLUEPRINT(登録商標)システムを使用して、適切なインプラント構成要素を選択、設計、又は修正し、インプラント構成要素をどのように最良に位置決め及び向きを定めるか、並びに構成要素を受容するように骨の表面をどのように成形するかを決定し、手術計画を実行するためにサージカルガイドツール(複数可)又は器具を設計、選択、又は修正することができる。BLUEPRINT(登録商標)システムによって生成された情報は、実際の手術前及び手術中を含めて、外科医又は他の医療提供者がアクセスすることができる適切なロケーション(例えば、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、又はグローバルネットワーク中のサーバ上)のデータベース中に記憶された患者用の術前手術計画中に編集され得る。
【0041】
[0059]図8は、本開示の1つ以上の態様による、コンピューティングシステムの実例的な動作を例示するフローチャートである。この開示のフローチャートは、例として提供される。他の実例的な動作は、より多くの、より少ない、若しくは異なるアクションを含み得るか、又はアクションは、異なる順序で若しくは並行して実行され得る。
【0042】
[0060]図8の例では、コンピューティングシステム702は、患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定し得る(800)。コンピューティングシステム702は、様々な方法のうちの1つ以上で予測された病前関節窩骨を決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、「PRE-MORBID CHARACTERIZATION OF ANATOMICAL OBJECT USING STATISTICAL SHAPE MODELING (SSM)」と題され、2020年3月18日に出願されたPCT出願PCT/US2020/023361、又は「PRE-MORBID CHARACTERIZATION OF ANATOMICAL OBJECT USING STATISTICAL SHAPE MODELING (SSM)」と題され、2020年3月18日に出願されたPCT出願PCT/US2020/023358に説明された例のうちの任意のものを使用して、予測された病前関節窩骨の3Dモデルを決定し得、両出願の内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
[0061]例えば、PCT出願PCT/US2020/023361に説明された技法と同様に、コンピューティングシステム702は、患者の現在の解剖学的構造の統計的形状モデリング(SSM)及び撮像データ(例えばCTデータ)を使用することによって、予測された病前関節窩骨のエリアサイズを決定し得る。コンピューティングシステム702は、関節窩骨の初期形状をセグメント化された撮像データに整列させ得、次いで、変形された初期形状をセグメント化された撮像データからターゲット構造(例えば骨)に最終的に位置合わせする反復プロセスを通して初期形状を変形させ得る(例えば、撮像データに対してサイズ、形状、及び/又はロケーションを調整する)。この結果として得られた最終形状は、予測された病前関節窩骨として使用され得る。他の例では、コンピューティングシステム702は、平均統計的形状モデル(例えば、患者の母集団についての関節窩の平均形状のモデル)を患者についての撮像データに位置合わせし得る。次いで、コンピューティングシステム702は、平均統計的形状モデルと患者の撮像データの関節窩との間の差の費用関数が閾値を下回る(例えば最小化される)まで、平均統計的形状モデルのスケールを調整し得る。いずれの例においても、コンピューティングシステム702は、患者についての予測された病前関節窩骨の3Dモデルを決定し得る。
【0044】
[0062]加えて、コンピューティングシステム702は、患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定し得る(802)。本開示の他の個所でより詳細に説明する図9は、第2のエリアサイズを決定するための技法を説明する。
【0045】
[0063]更に、コンピューティングシステム702は、患者の予測された病前上腕骨の3Dモデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定し得る(804)。測地面は、(i)病的上腕骨のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定される。Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影である。病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、本明細書に参照によって組み込まれ、上記で議論された、PCT出願PCT/US2020/023361又はPCT出願PCT/US2020/023358に説明された例のうちの任意のものを使用して、予測された病前上腕骨の3Dモデルを決定し得る。
【0046】
[0064]例えば、PCT出願PCT/US2020/023361に説明された技法と同様に、コンピューティングシステム702は、患者の現在の解剖学的構造の統計的形状モデリング(SSM)及び撮像データ(例えばCTデータ)を使用することによって、予測された病前上腕骨のエリアサイズを決定し得る。コンピューティングシステム702は、上腕骨の初期形状をセグメント化された撮像データに整列させ得、次いで、変形された初期形状をセグメント化された撮像データからターゲット構造(例えば骨)に最終的に位置合わせする反復プロセスを通して初期形状を変形させ得る(例えば、撮像データに対してサイズ、形状、及び/又はロケーションを調整する)。この結果として得られた最終形状は、予測された病前上腕骨として使用され得る。他の例では、コンピューティングシステム702は、平均統計的形状モデル(例えば、患者の母集団についての上腕骨の平均形状のモデル)を患者についての撮像データに位置合わせし得る。次いで、コンピューティングシステム702は、平均統計的形状モデルと患者の撮像データの上腕骨との間の差の費用関数が閾値を下回る(例えば最小化される)まで、平均統計的形状モデルのスケールを調整し得る。いずれの例においても、コンピューティングシステム702は、患者についての予測された病前上腕骨の3Dモデルを決定し得る。
【0047】
[0065]コンピューティングシステム702は、様々な方法のうちの1つで第3のエリアサイズを決定し得る。例えば、一例では、患者の予測された病前上腕骨の3Dモデルは、3次元頂点を有する三角形のメッシュとして表され得る。この例では、コンピューティングシステム702は、三角形のエリアの合計として第3のエリアサイズを決定し得る。
【0048】
[0066]コンピューティングシステム702は、第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定し得る(806)。例えば、コンピューティングシステム702は、トラックインデックスを決定するために以下の式を適用し得る:
idx=(0.83×A)-B-C
上記の式では、Tidxは、トラックインデックスを示し、Aは、第1のエリアサイズを示し、Bは、第2のエリアサイズを示し、Cは、第3のエリアサイズを示す。トラックインデックスの正の値は、関節窩上腕関節の非係合に対応する。トラックインデックスの負の値は、関節窩上腕関節の係合に対応する。このことから、この例では、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することの一部として、コンピューティングシステム702は、第1のエリアサイズが乗じられた所定のパーセンテージ値(例えば、肩の外転及び外旋運動中に上腕骨頭によって覆われる関節窩の想定されるパーセンテージ)から第2のエリアサイズを引いたとしてインデックス値(Tidx)を決定し得る。コンピューティングシステム702は、次いで、インデックス値が第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定し得る。
【0049】
[0067]患者の骨損失が関節係合を伴っている場合(808の「YES」分岐)、コンピューティングシステム702は、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力し得る(810)。例えば、コンピューティングシステム702は、Bristow手術又はLatarjet手術の実行を推奨し得る。他方では、患者の骨損失が関節係合を伴っていない場合(808の「NO」分岐)、コンピューティングシステム702は、骨移植を含まない肩安定性向上手術が推奨されるというインジケーションを出力し得る(812)。
【0050】
[0068]図9A図9Fは、本開示の1つ以上の態様による、関節窩骨損失を識別するための実例的なプロセスの概念図である。図8に関して上記で述べたように、コンピューティングシステム702は、患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズを決定し得る。Bankart病変のエリアサイズを決定するために、コンピューティングシステム702は、病的関節窩骨の3Dモデルを生成し得る(図9A)。コンピューティングシステム702は、CT画像又はMRIスキャンから3Dモデルを生成するための従来の技法に従って、患者のCT画像又はMRIスキャンに基づいて病的関節窩骨の3Dモデルを生成し得る。図9Bは、病的関節窩骨の3Dモデル上の関節窩骨を示す。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、異なる半径方向に対応するいくつかの反復の各々について、関節窩の中心から開始し、中央値が増加を停止する点まで病的関節窩骨の3Dモデル上で対応する半径方向に開始する経路を辿るアルゴリズムを使用して、病的関節窩骨の輪郭を決定し得る。この例では、コンピューティングシステム702は、点の間を補間して関節窩骨の輪郭を画定し得る。他の例では、コンピューティングシステム702は、他のアルゴリズムを使用して、病的関節窩骨の3Dモデル上で関節窩骨の輪郭を決定し得る。加えて、コンピューティングシステム702は、関節窩平面上への病的関節窩骨の投影として、投影された病的関節窩表面を決定し得る(図9C)。関節窩平面は、2次元平面である。いくつかの例では、関節窩平面は、患者の矢状平面に対して平行に向きを定められる。いくつかの例では、関節窩平面は、関節窩最良適合平面である。関節窩最良適合平面は、関節窩の境界に基づいて画定され得る。
【0051】
[0069]コンピューティングシステム702は、次いで、関節窩平面上への予測された病前関節窩骨の投影として、投影された病前関節窩表面を決定し得る(図9D)。第1のエリアサイズ(即ち、患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズ)を決定するとき、コンピューティングシステム702は、投影された病前関節窩表面のエリアを決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、病的関節窩骨の3Dモデル上の点を参照するために座標系を使用し得る。この例では、座標系のy軸は、患者の関節窩平面に対して垂直である。それ故に、この例では、関節窩平面上への予測された病前関節窩骨の投影を決定するために、コンピューティングシステム702は、病的関節窩骨の3Dモデル中の全ての点のy軸座標を同じ所定の値(例えば0)に設定し得る。
【0052】
[0070]加えて、コンピューティングシステム702は、投影された病前関節窩表面及び投影された病的関節窩表面に基づいて、骨損失のゾーンを決定し得る(図9E)。骨損失のゾーンは、投影された病前関節窩表面と投影された病的関節窩表面との非交差の一次エリアとして定義され得る。コンピューティングシステム702は、次いで、骨損失のゾーンのエリアサイズとしてBankart病変のエリアサイズを決定し得る。図9Fは、投影された病的関節窩表面と組み合わせた骨損失のゾーンを示す。このことから、図9A~9Fの例では、コンピューティングシステム702は、患者の病的関節窩骨の3Dモデルと予測された病前関節窩骨の3Dモデルとの比較に基づいて、病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズを決定し得る。
【0053】
[0071]このことから、図9A~9Fの例では、コンピューティングシステム702は、関節窩平面上への予測された病前関節窩骨の投影として、投影された病前関節窩表面を決定し得る。コンピューティングシステム702はまた、関節窩平面上への患者の病的関節窩骨の投影として、投影された病的関節窩表面を決定し得る。コンピューティングシステム702は、次いで、投影された病前関節窩表面及び投影された病的関節窩表面に基づいて、骨損失のゾーンを決定し得る。コンピューティングシステム702は、骨損失のゾーンのエリアサイズとしてBankart病変のエリアサイズを決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、図9Eに示す多角形を三角形のセットに分割し、三角形のサイズを計算し、三角形のサイズを加算してBankart病変のエリアを決定し得る。同様の技法が、本開示における他の2次元表面のエリアサイズを計算する際に使用され得る。
【0054】
[0072]図10Aは、本開示の1つ以上の態様による、病的上腕骨の実例的な3Dモデル及び予測された病前上腕骨の対応する3Dモデルの概念図である。図10Aの例では、円1000は、患者の病的上腕骨上のHill-Sachs病変の一般的なエリアを示す。
【0055】
[0073]図10Bは、病的上腕骨の上腕骨頭上の後方骨損失を示す上腕骨の実例的な2D軸方向スライスの概念図である。即ち、図10Bは、上腕骨の長軸に対して平行な視点からの病的上腕骨の上腕骨頭を示す。特に、図10Bの例では、線1050は、病的上腕骨の輪郭を示し、線1052は、予測された病前上腕骨の輪郭を示す。楕円1054は、Hill-Sachs病変の一般的な位置を示す。
【0056】
[0074]図11は、本開示の1つ以上の態様による、測地面を決定するためのコンピューティングシステム702の実例的な動作を例示するフローチャートである。上記で述べたように、コンピューティングシステム702は、患者の予測された病前上腕骨の3Dモデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定し得る。図11は、第3のエリアサイズをどのように決定するかの一例を表す。
【0057】
[0075]図11の例では、コンピューティングシステム702は、患者の病的上腕骨の3Dモデルを生成し得る(1100)。例えば、コンピューティングシステム702は、患者の1つ以上のCT画像に基づいて、患者の病的上腕骨の3Dモデルを生成し得る。図13Aは、特定の患者の病的上腕骨の3Dモデルの例を例示する。
【0058】
[0076]加えて、図11の例では、コンピューティングシステム702は、患者の病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を決定し得る(1102)。図13Bは、患者の病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を例示する。特に、図13における中空のドットは、Hill-Sachs病変の内側境界に沿った点を示す。
【0059】
[0077]コンピューティングシステム702は、様々な方法のうちの1つでHill-Sachs病変の内側境界を決定し得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、Hill-Sachs病変の内側境界を自動的に決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、上腕骨頭の表面の傾斜における不連続性を識別するアルゴリズムを適用し得る。いくつかの例では、患者の病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を決定するために、コンピューティングシステム702は、表示のために病的上腕骨の3Dモデルを出力し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、ディスプレイスクリーン上に、又は複合現実(MR)若しくは仮想現実(VR)視覚化として表示するために、病的上腕骨の3Dモデルを出力し得る。加えて、この例では、コンピューティングシステム702は、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界に沿った点のセット1202のユーザ入力のインジケーションを受信し得る。図12Cは、Hill-Sachs病変の内側境界に沿った病的上腕骨の3Dモデル上の点を示す概念図である。この例では、コンピューティングシステム702は、次いで、点1202に基づいて、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を補間し得る。図12Dはまた、Hill-Sachs病変の完全な境界上の点を示す。
【0060】
[0078]更に、図11の例では、コンピューティングシステム702は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影としてHill-Sachs病変の投影された内側境界を決定し得る(1104)。例えば、コンピューティングシステム702は、Hill-Sachs病変の内側境界を撮影し、それを予測された病前上腕骨の3Dモデルの表面上の対応するロケーション上にコピーし得る。いくつかの例では、Hill-Sachs病変の投影された内側境界を決定するために、コンピューティングシステム702は、Hill-Sachs病変の内側境界上の点のセット中の各点について、予測された病前上腕骨の3Dモデル上の最も近い対応する点を決定し得る。この例では、コンピューティングシステム702は、次いで、予測された病前上腕骨の3Dモデル上の対応する点を結合する経路を決定し得る(例えば、ダイクストラアルゴリズムを使用して、予測された病前上腕骨の3Dモデル上の対応する点を通る最短測地線経路を決定する)。コンピューティングシステム702は、本明細書に参照によって組み込まれ、上記で議論された、PCT出願PCT/US2020/023361又はPCT出願PCT/US2020/023358に説明された例のうちの任意のものを使用して、予測された病前上腕骨の3Dモデルを決定し得る。
【0061】
[0079]加えて、コンピューティングシステム702は、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を決定し得る(1106)。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、上腕骨頭のフットプリントの内側境界を自動的に決定し得る。例えば、一例では、コンピューティングシステム702は、上腕骨頭のエッジにおける病的上腕骨の3Dモデルの傾斜における不連続性を識別するアルゴリズムを適用し得る。この例では、そのような不連続の線は、上腕骨頭のフットプリントの内側境界に対応し得る。
【0062】
[0080]いくつかの例では、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を決定するために、コンピューティングシステムは、表示のために病的上腕骨の3Dモデルを出力し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、ディスプレイスクリーン上に、又はMR若しくはVR視覚化として表示するために、病的上腕骨の3Dモデルを出力し得る。加えて、この例では、コンピューティングシステム702は、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界に沿った点のセットのユーザ入力のインジケーションを受信し得る。図12A図12B、及び図12Dは、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界に沿った病的上腕骨の3Dモデル上の点1202を示す概念図である。この例では、コンピューティングシステム702は、次いで、点1202に基づいて、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を補間し得る。
【0063】
[0081]更に、図11の例では、コンピューティングシステム702は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影として病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界を決定し得る(1108)。コンピューティングシステム702は、コンピューティングシステム702がHill-Sachs病変の投影された内側境界を決定するのとほぼ同じ方法で、上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界を決定し得る。
【0064】
[0082]コンピューティングシステム702は、次いで、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とを結合する結合線を決定し得る(1110)。結合線は、Hill-Sachs病変の投影された内側境界上の点から病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界上の点までの、予測された病前上腕骨の3Dモデル上の最短測地線経路であり得る。結合線のうちの1つを決定するために、コンピューティングシステム702は、予測された病前上腕骨の3Dモデルなど、点の三角形メッシュ上の測地線経路を計算するための様々な既知のアルゴリズムのうちの任意の1つを実行し得る。例えば、Surazhsky et al., “Fast Exact and Approximate Geodesics on Meshes,” ACM Transactions on Graphics (TOG), Volume 24, Issue 3, July 2005, pages 553-560は、点の三角形メッシュ上の測地線経路を決定するためのアルゴリズムを説明している。図12Cの線は、実例的な結合線を例示する。
【0065】
[0083]更に、図11の例では、コンピューティングシステム702は、結合線と、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とによって画定される測地面を決定し得る(1112)。例えば、予測された病前上腕骨の3Dモデルが三角形のメッシュによって画定される例では、コンピューティングシステム702は、結合線と、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とに含まれる予測された病前上腕骨の3Dモデルの三角形又は三角形の頂点を決定し得る。アクション(804)に関して上記で議論したように、コンピューティングシステム702は、この測地面のエリアサイズを決定し、そのエリアサイズを使用して、骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定し得る。更に、本開示の他の箇所で議論するように、コンピューティングシステム702は、この測地面のエリアサイズを使用して、骨移植片の最小エリアを決定し得る。
【0066】
[0084]図13Dは、予測された病前上腕骨の3Dモデルをオーバレイする病的上腕骨の3Dモデルを示す例である。図13Eは、結合線と、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と、病的上腕骨の3Dモデル上にオーバレイされた病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とによって画定される測地面を示す例である。図13Fは、Hill-Sachs病変の測地面及び3次元体積を示す例である。
【0067】
[0085]患者の骨損失が関節係合を伴っているいくつかの例では、外科医は、骨移植片を患者の関節窩骨の前下方境界に取り付ける必要があり得る。これは、上腕骨頭を患者の関節窩内に維持するのに役立ち得る。具体的には、外科医は、患者の烏口突起の先端を切除し、患者の烏口突起の先端を患者の関節窩骨の前下方境界に再び取り付け得る。Latarjet法及びBristow法は、烏口突起の切断された先端を患者の関節窩骨に取り付けるための2つの外科的手法である。図14Aは、Latarjet法を使用する骨移植の概念図である。図14Bは、Bristow法を使用する骨移植の概念図である。図14Aの例に示すように、Latarjet法では、骨移植片1400は、垂直の向きで関節窩骨に取り付けられる。言い換えれば、骨移植片1400の長軸は、関節窩の上下軸と概ね整列され得る。図14Bの例に示すように、Bristow法では、骨移植片1400は、水平の向きで関節窩骨に取り付けられる。言い換えれば、骨移植片1400の長軸は、関節窩の前後軸と概ね整列され得る。
【0068】
[0086]図15は、本開示の技法による、コンピューティングシステム702が骨移植を含む肩安定性向上手術を推奨することに基づき得る実例的な動作を例示するフローチャートである。コンピューティングシステム702は、(例えば、図8のアクション806において)骨損失が関節係合を伴い、故に、外科医が骨移植を実行することを必要とし得ると決定することに応答して、図15の動作を実行し得る。
【0069】
[0087]図15の例では、コンピューティングシステム702は、第1のエリアサイズ(即ち、患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズ)及び第3のエリアサイズ(即ち、病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界及び病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定された患者の予測された病前上腕骨の3Dモデル上の測地面のエリアサイズ)に基づいて、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるための外科的処置において患者の烏口突起から採取されるべき骨移植片の最小エリアサイズを決定し得る(1500)。骨移植片の最小エリアサイズは、患者の関節窩骨と直接接触させられるべき骨移植片の2次元表面のサイズを指す。一例では、コンピューティングシステム702は、以下のように骨移植片の最小エリアサイズを決定し得る:
min=(0.83×A)-C
上記の式では、Bminは、骨移植片の最小エリアサイズを示し、Aは、第1のエリアサイズを示し、Cは、第3のエリアサイズを示す。このことから、この例では、コンピューティングシステム702は、第1のエリアサイズが乗じられた所定のパーセンテージ値(例えば、肩の外転及び外旋運動中に上腕骨頭によって覆われる関節窩の想定されるパーセンテージ)から第3のエリアサイズを引いたとして骨移植片の最小エリアサイズを決定し得る。
【0070】
[0088]図15の例では、コンピューティングシステム702は、骨移植片の最小エリアサイズのインジケーションを出力し得る(1502)。例えば、コンピューティングシステム702は、ディスプレイスクリーン上に、MR視覚化で、VR視覚化で、又は別の形で表示するために、骨移植片の最小エリアサイズのインジケーションを出力し得る。骨移植片の最小エリアサイズを知ることは、外科医が、烏口突起をどれだけ除去するか、及び関節窩骨上にどれだけのエリアを準備しなければならないかを決定することを可能にし得る。
【0071】
[0089]更に、図15の例では、コンピューティングシステム702は、患者の関節窩骨上の骨損失の主軸を決定し得る(1504)。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、主成分分析(PCA)を使用して骨損失の主軸を決定し得る。即ち、コンピューティングシステム702は、関節窩骨上の骨損失のエリア内のエリアに対応する点を備える点群を生成し得る。コンピューティングシステム702は、次いで、PCAアルゴリズムを使用して骨損失の主軸を決定し得る。
【0072】
[0090]コンピューティングシステム702は、次いで、骨損失の主軸に基づいて、推奨されるタイプの骨移植処置を決定し得る(1506)。言い換えれば、コンピューティングシステム702は、病的関節窩骨上の骨損失の主軸に基づいて、烏口突起から骨移植片を採取し、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるための推奨される骨移植処置を決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、骨損失の主軸を関節窩の下上軸と比較し得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、Latarjet骨移植処置及びBristow骨移植処置の中から推奨される骨移植処置を選択し得る。そのような例では、骨損失の主軸が下上軸と整列される場合、コンピューティングシステム702は、Latarjet法を推奨し得る。骨損失の主軸が、関節窩の前後軸よりも下上軸とより密接に整列されていない場合、コンピューティングシステム702は、Bristow法を推奨し得る。他の例では、コンピューティングシステム702は、3つ以上の異なるタイプの骨移植処置から選択され得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、患者について観察された骨損失を矯正するために関節窩上に移植されるべき骨の体積又は量を示し得る。
【0073】
[0091]図15の例では、コンピューティングシステム702は、推奨される骨移植処置のインジケーションを出力する(1508)。例えば、コンピューティングシステム702は、ディスプレイスクリーン上に、MR視覚化で、VR視覚化で、又は別の形で表示するために、推奨される骨移植処置のインジケーションを出力し得る。
【0074】
[0092]いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、図15の方法を実行するより前に、患者についてのISIS(例えば3D ISIS)を計算し得る。いくつかのそのような例では、コンピューティングシステム702は、患者についての3D ISISが特定の閾値(例えば6)よりも大きいと決定したことに応答して、図15の方法を実行し得る。このことから、いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、患者についてのISISを決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、Hill-Sachs病変の3次元形状若しくは体積、又は、Bankart病変の3次元形状若しくは体積のうちの少なくとも1つに基づいて、患者についての3D ISISを決定し得る。図15の例では、コンピューティングシステム702は、第1、第2、及び第3のエリアサイズを決定し得、ISISが閾値(例えば3、6、等)よりも大きいと決定することに応答して、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定し得る。
【0075】
[0093]いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、上腕骨及び関節窩の3Dモデルを使用して、関節窩に対する上腕骨の1つ以上のタイプの運動をシミュレートし得る。そのようなタイプの運動は、外転、内転、外旋、内旋、屈曲、伸展、水平内転、及び肩甲骨平面外転などの標準タイプの運動を含み得る。1つ以上のタイプの動き(又はそれらの1つ以上の組み合わせ)の各々について、コンピューティングシステム702は、臨界位置が存在するかどうかを決定し得、存在する場合、臨界位置のロケーションを決定し得る。説明を容易にするために、本開示は、運動のタイプとして標準タイプの運動及び標準タイプの運動の組み合わせ(例えば外転を伴う外旋)に言及し得る。あるタイプの運動についての臨界位置は、運動が続けられた場合に上腕骨の脱臼(例えば亜脱臼)が生じるであろう位置である。例えば、患者は、患者が外転中に腕を90度より上に挙げる場合、患者の上腕骨の亜脱臼を経験し得る。このことから、この例では、この患者における外転についての臨界位置は、90°で生じる。いくつかの例では、あるタイプの運動についての臨界位置は、患者の上腕骨頭上のHill-Sachs病変が「オントラック」であるときに生じる。本質的に、脱臼は、患者が特定のタイプの運動を行い、上腕骨頭が関節窩骨に対して臨界位置に到達するときに、Hill-Sachs病変及び/又はBankart病変の存在に起因して、上腕骨頭を関節窩内に保持するのに十分な骨が上腕骨頭又は関節窩縁のうちのいずれかに存在しないときに生じ得る。
【0076】
[0094]いくつかの例では、あるタイプの運動についての臨界位置を決定するために、コンピューティングシステム702は、患者の上腕骨の3Dモデル(例えば病的上腕骨の3Dモデル)におけるHill-Sachs病変の位置を決定し得る。例えば、Hill-Sachs病変の位置を決定するために、コンピューティングシステム702は、統計的形状モデリング(SSM)を使用して、患者の上腕骨の3D SSMモデル(例えば予測された病前上腕骨の3Dモデル)を生成し得る。コンピューティングシステム702は、次いで、患者の上腕骨の3Dモデルを患者の上腕骨の3D SSMモデルと比較し得る。コンピューティングシステム702は、Hill-Sachs病変を、患者の上腕骨の3Dモデルが患者の上腕骨の3D SSMモデルに対して上腕骨頭の中心に向かって内側に偏向される領域として識別し得る。
【0077】
[0095]加えて、あるタイプの運動ついての臨界位置を決定することの一部として、コンピューティングシステム702は、患者の関節窩骨の3Dモデル(例えば病的関節窩骨の3Dモデル)において患者の関節窩縁上の骨損失のロケーションを決定し得る。例えば、患者の関節窩縁上の骨損失のロケーションを決定するために、コンピューティングシステム702は、SSMを使用して、患者の関節窩骨の3D SSMモデル(例えば予測された病前関節窩骨の3Dモデル)を生成し得る。コンピューティングシステム702は、次いで、患者の関節窩骨の3Dモデルを患者の関節窩骨の3D SSMモデルと比較し得る。コンピューティングシステム702は、患者の関節窩縁上の骨損失のロケーションを、患者の関節窩骨の3Dモデルが患者の関節窩骨の3D SSMモデルに対して内側に偏向されるエリアとして識別し得る。
【0078】
[0096]更に、あるタイプの運動についての臨界位置を決定することの一部として、コンピューティングシステム702は、患者の上腕骨の3Dモデルを患者の関節窩骨の3Dモデルと位置合わせし得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、反復最近接点(ICP)アルゴリズムを使用して、患者の上腕骨の3Dモデルを患者の関節窩骨の3Dモデルと位置合わせし得る。概念的には、患者の上腕骨の3Dモデルを患者の関節窩骨の3Dモデルと位置合わせすることは、上腕骨頭を患者の関節窩内に位置決めする。位置合わせ後、コンピューティングシステム702は、1つ以上のタイプの運動についての臨界位置を決定するためにシミュレーションを実行し得る。あるタイプの運動についてシミュレーションを実行することは、あるタイプの運動と一致するような形で上腕骨の3Dモデルを動かすことと、臨界位置が生じる角度を決定することとを伴い得る。コンピューティングシステム702は、Hill-Sachs病変の少なくとも特定の部分が、患者の関節窩縁上の骨損失のロケーションと整列されるときに、臨界位置が生じると決定し得る。
【0079】
[0097]いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、あるタイプの運動についての臨界位置に関する情報を使用して、Bristow手術又はLatarjet手術の1つ以上の態様をどのように実行するかを決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、あるタイプの運動についての臨界位置に関する情報を使用して、患者の烏口突起又は他の骨(例えば腸骨、遠位脛骨、等)などの患者のドナー骨から切断する骨片の形状(例えばサイズ、寸法、及び/又は他の空間的特性)を決定し得る。例えば、一例では、コンピューティングシステム702は、骨片が、それぞれ予測された病前関節窩の3Dモデル及び予測された病前上腕骨の3Dモデルに対してBankart病変及びHill-Sachs病変の内向き偏向の少なくとも合計の厚さを有するように、骨片のサイズを決定し得る。いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、移植片が取り付けられる骨表面に対する、移植片の中心から移植片の遠位先端までの軸の1つ以上の角度を決定し得る。コンピューティングシステム702は、ドナー骨から骨片を切断する角度としてこの角度を出力し得る。
【0080】
[0098]いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、あるタイプの運動についての臨界位置に関する情報を使用して、関節窩骨上への骨片の配置を決定し得る。例えば、一例では、コンピューティングシステム702は、可能な移植位置のセットにおいて骨片を含めるように3Dモデルを修正し得る。コンピューティングシステム702は、次いで、(例えば、関節窩骨のモデルに対して上腕骨のモデルを仮想的に動かすことによって)可能な移植位置の各々についての臨界位置を評価し得る。コンピューティングシステム702は、臨界位置に到達する前に最大の可動域をもたらす移植位置を選択し得る。
【0081】
[0099]このことから、いくつかの例では、コンピューティングシステム702は、患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置を決定し得る。加えて、そのような例では、コンピューティングシステム702は、病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置に基づいて、骨移植片の形状、又は、関節窩骨上への骨移植片の配置のうちの1つ以上を決定し得る。
【0082】
[0100]いくつかの例では、骨移植片のサイズ及び関節窩骨上への骨移植片の配置を決定した後、コンピューティングシステム702は、決定されたロケーションにおいて骨片を関節窩骨に取り付けるために使用されるであろうねじのねじ長さ及び/又はねじ軌道を決定し得る。例えば、この例では、コンピューティングシステム702は、関節窩骨についての密度マップを決定し得る。密度マップは、関節窩骨内の領域に対応する3Dボクセルを備え得る。ボクセルの値は、関節窩骨の対応する領域の骨密度に対応する。値は、ハウンスフィールド単位であり得る。コンピューティングシステム702は、密度マップを使用して、骨移植片を関節窩骨に固定するために関節窩骨を通るターゲット軌道を探索し得る。ターゲット軌道は、軌道によって交差される領域の値の合計が他の軌道よりも大きく、神経、嚢胞、血管、等などの特定の敏感な構造から特定の安全距離内に入らない軌道であり得る。コンピューティングシステム702は、ターゲット軌道に沿って骨移植片を関節窩骨に取り付けるのに十分なねじの長さとしてねじ長さを決定し得る。例えば、コンピューティングシステム702は、関節窩骨上のターゲット軌道の入口点と関節窩骨上のターゲット軌道の出口点との間の距離よりも短い最長の所定のねじ長さである所定のねじ長さのセットうちの1つとしてねじ長さを決定し得る。このことから、コンピューティングシステム702は、骨移植片の形状及び/又は病的関節窩骨上への骨移植片の配置に基づいて、骨移植片を関節窩骨に取り付けるためのねじのねじ長さ又はねじ軌道のうちの少なくとも1つを決定し得る。
【0083】
[0101]図16は、本開示の1つ以上の態様による、手術計画ソフトウェアの実例的なユーザインターフェース1600の概念図である。コンピューティングシステム702は、例えばディスプレイスクリーン上に、MR視覚化で、VR視覚化で、又は別の形で表示するためにユーザインターフェース1600を出力し得る。
【0084】
[0102]図16の例に示すように、ユーザインターフェース1600は、患者についてのISIS1602、骨損失が関節係合を伴っているかどうかのインジケーション1604、提案される外科的処置1606、及び提案される骨移植片手法1608を示し得る。図16の例では、ユーザインターフェース1600はまた、Hill-Sachs病変1610及びBankart病変1612を示す。
【0085】
[0103]ユーザインターフェース1600の最も右側の部分は、患者の関節窩骨及び肩甲骨の3Dモデル1614を含む。図16の例には示さないが、ユーザインターフェース1600は、3Dモデル1614に関して、肩甲骨の烏口突起から採取されるべき骨移植片を示す特徴を更に含み得る。いくつかの例では、ユーザインターフェース1600は、3Dモデル1614に関して、関節窩骨に対する骨移植片の位置及び向きを示す特徴を含み得る。
【0086】
[0104]以下は、本開示の1つ以上の技法による例の非限定的なセットである。
【0087】
[0105]例1.方法であって、 コンピューティングシステムが、患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定することと、 コンピューティングシステムが、患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定することと、 コンピューティングシステムが、患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定することと、ここにおいて、測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影であり、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である、 コンピューティングシステムが、第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと、 患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、コンピューティングシステムが、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力することと を備える、方法。
【0088】
[0106]例2.患者の骨損失が関節係合を伴っていることに基づいて、第1のエリアサイズ及び第3のエリアサイズに基づいて、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるための外科的処置において患者の烏口突起から採取されるべき骨移植片の最小エリアサイズを決定することと、コンピューティングシステムが、骨移植片の最小エリアサイズのインジケーションを出力することとを更に備える、例1に記載の方法。
【0089】
[0107]例3.コンピューティングシステムが、病的関節窩骨上の骨損失の主軸を決定することと、コンピューティングシステムが、病的関節窩骨上の骨損失の主軸に基づいて、烏口突起から骨移植片を採取し、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるための推奨される骨移植処置を決定することと、コンピューティングシステムが、推奨される骨移植処置のインジケーションを出力することとを更に備える、例1又は2に記載の方法。
【0090】
[0108]例4.推奨される骨移植処置を決定することは、コンピューティングシステムが、Latarjet骨移植処置及びBristow骨移植処置の中から推奨される骨移植処置を選択することを備える、例3に記載の方法。
【0091】
[0109]例5.方法は、コンピューティングシステムが、患者の1つ以上のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づいて、病的関節窩骨の3Dモデルを生成することを更に備え、第2のエリアサイズを決定することは、コンピューティングシステムが、患者の病的関節窩骨の3Dモデルと予測された病前関節窩骨の3Dモデルとの比較に基づいて、病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズを決定することを備える、例1~4のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0092】
[0110]例6.方法は、コンピューティングシステムが、病的上腕骨の3Dモデルを生成することを更に備え、 第3のエリアサイズを決定することは、 コンピューティングシステムが、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を決定することと、 コンピューティングシステムが、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影としてHill-Sachs病変の投影された内側境界を決定することと、 コンピューティングシステムが、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を決定することと、 コンピューティングシステムが、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影として病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界を決定することと、 コンピューティングシステムが、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とを結合する結合線を決定することと、結合線は、Hill-Sachs病変の投影された内側境界上の点から病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界上の点までの予測された病前上腕骨の3Dモデル上の最短測地線経路である、 ここにおいて、測地面は、結合線と、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とによって画定される、 を備える、例1~5のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0093】
[0111]例7.
方法は、 コンピューティングシステムが、表示のために病的上腕骨の3Dモデルを出力することを更に備え、 (i)病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を決定することは、 コンピューティングシステムが、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界に沿った第1の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、 コンピューティングシステムが、第1の点に基づいて、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を補間することと を備えるか、又は、 (ii)病的上腕骨の3Dモデル上の病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を決定することは、 コンピューティングシステムが、病的上腕骨の3Dモデル上の病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界に沿った第2の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、 コンピューティングシステムが、第2の点に基づいて、病的上腕骨の3Dモデル上の病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を補間することと を備える、 のうちの少なくとも1つである、 例6に記載の方法。
【0094】
[0112]例8.患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することは、コンピューティングシステムが、第1のエリアサイズから第2のエリアサイズを引いたもので乗算された所定のパーセンテージ値としてインデックス値を決定することと、コンピューティングシステムが、インデックス値が第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することとを備える、例1~7のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0095】
[0113]例9.骨移植片の最小エリアサイズを決定することは、コンピューティングシステムが、第1のエリアサイズから第3のエリアサイズを引いたもので乗算された所定のパーセンテージ値として骨移植片の最小エリアサイズを決定することを備える、例1~8のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0096】
[0114]例10. Bankart病変のエリアサイズを決定することは、コンピューティングシステムが、関節窩平面上への予測された病前関節窩骨の投影として、投影された病前関節窩表面を決定することと、コンピューティングシステムが、関節窩平面上への患者の病的関節窩骨の投影として、投影された病的関節窩表面を決定することと、コンピューティングシステムが、投影された病前関節窩表面及び投影された病的関節窩表面に基づいて、骨損失のゾーンを決定することと、コンピューティングシステムが、骨損失のゾーンのエリアサイズとしてBankart病変のエリアサイズを決定することとを備える、例1~9のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0097】
[0115]例11.方法は、Hill-Sachs病変の3次元形状若しくは体積、又は、Bankart病変の3次元形状若しくは体積のうちの少なくとも1つに基づいて患者についてのInstability Severity Index Score(ISIS)を決定することを更に備え、コンピューティングシステムは、第1、第2、及び第3のエリアサイズを決定し、ISISが閾値よりも大きいと決定することに応答して、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定する、例1~10のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0098】
[0116]例12.患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、コンピューティングシステムが、病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置を決定することと、コンピューティングシステムが、病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置に基づいて、骨移植片の形状、又は、病的関節窩骨上への骨移植片の配置のうちの1つ以上を決定することとを更に備える、例1~11のうちのいずれか一つに記載の方法。
【0099】
[0117]例13.コンピューティングシステムが、骨移植片の形状及び/又は病的関節窩骨上への骨移植片の配置に基づいて、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるためのねじのねじ長さ又はねじ軌道のうちの少なくとも1つを決定することを更に備える、例12に記載の方法。
【0100】
[0118]例14.コンピューティングシステムであって、 患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデルを記述するデータを記憶するように構成されたメモリと、 処理回路と を備え、処理回路は、 患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定することと、 患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定することと、 患者の予測された病前上腕骨の3Dモデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定することと、ここにおいて、測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影であり、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である、 第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと、 患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力することと を行うように構成される、コンピューティングシステム。
【0101】
[0119]例15.処理回路は、患者の骨損失が関節係合を伴っていることに基づいて、第1のエリアサイズ及び第3のエリアサイズに基づいて、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるための外科的処置において患者の烏口突起から採取されるべき骨移植片の最小エリアサイズを決定することと、骨移植片の最小エリアサイズのインジケーションを出力することとを行うように更に構成される、例14に記載のコンピューティングシステム。
【0102】
[0120]例16.処理回路は、病的関節窩骨上の骨損失の主軸を決定することと、病的関節窩骨上の骨損失の主軸に基づいて、烏口突起から骨移植片を採取し、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるための推奨される骨移植処置を決定することと、推奨される骨移植処置のインジケーションを出力することとを行うように更に構成される、例14又は15に記載のコンピューティングシステム。
【0103】
[0121]例17.処理回路は、推奨される骨移植処置を決定することの一部として、処理回路がLatarjet骨移植処置及びBristow骨移植処置の中から推奨される骨移植処置を選択するように構成される、例16に記載のコンピューティングシステム。
【0104】
[0122]例18.処理回路は、患者の1つ以上のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づいて、病的関節窩骨の3Dモデルを生成するように更に構成され、処理回路は、第2のエリアサイズを決定することの一部として、処理回路が、患者の病的関節窩骨の3Dモデルと予測された病前関節窩骨の3Dモデルとの比較に基づいて、病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズを決定するように構成される、例14~17のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0105】
[0123]例19.処理回路は、病的上腕骨の3Dモデルを生成するように更に構成され、 処理回路は、第3のエリアサイズを決定することの一部として、処理回路が、 病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を決定することと、 予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影としてHill-Sachs病変の投影された内側境界を決定することと、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を決定することと、 予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影として病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界を決定することと、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界と病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とを結合する結合線を決定することと、結合線は、Hill-Sachs病変の投影された内側境界上の点から病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界上の点までの予測された病前上腕骨の3Dモデル上の最短測地線経路である、 ここにおいて、測地面は、結合線と、Hill-Sachs病変の投影された内側境界と、病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界とによって画定される、 を行うように構成される、例14~18のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0106】
[0124]例20.処理回路は、 表示のために病的上腕骨の3Dモデルを出力するように更に構成され、 (i)処理回路は、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を決定することの一部として、処理回路が、 コンピューティングシステムが、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界に沿った第1の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、 第1の点に基づいて、病的上腕骨の3Dモデル上のHill-Sachs病変の内側境界を補間することと を行うように構成されるか、又は、 (ii)処理回路は、病的上腕骨の3Dモデル上の病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を決定することの一部として、処理回路が、 病的上腕骨の3Dモデル上の病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界に沿った第2の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、 第2の点に基づいて、病的上腕骨の3Dモデル上の病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界を補間することと を行うように構成される、 のうちの少なくとも1つである、 例19に記載のコンピューティングシステム。
【0107】
[0125]例21.処理回路は、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することの一部として、処理回路が、第1のエリアサイズから第2のエリアサイズを引いたもので乗算された所定のパーセンテージ値としてインデックス値を決定することと、インデックス値が第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することとを行うように構成される、例14~20のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0108】
[0126]例22.処理回路は、骨移植片の最小エリアサイズを決定することの一部として、処理回路が、第1のエリアサイズから第3のエリアサイズを引いたもので乗算された所定のパーセンテージ値として骨移植片の最小エリアサイズを決定するように構成される、例14~21のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0109】
[0127]例23.処理回路は、Bankart病変のエリアサイズを決定することの一部として、処理回路が、関節窩平面上への予測された病前関節窩骨の投影として、投影された病前関節窩表面を決定することと、関節窩平面上への患者の病的関節窩骨の投影として、投影された病的関節窩表面を決定することと、投影された病前関節窩表面及び投影された病的関節窩表面に基づいて、骨損失のゾーンを決定することと、骨損失のゾーンのエリアサイズとしてBankart病変のエリアサイズを決定することとを行うように構成される、例14~22のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0110】
[0128]例24.処理回路は、Hill-Sachs病変の3次元形状若しくは体積、又は、Bankart病変の3次元形状若しくは体積のうちの少なくとも1つに基づいて患者についてのInstability Severity Index Score(ISIS)を決定するように更に構成され、処理回路は、第1、第2、及び第3のエリアサイズを決定し、ISISが閾値よりも大きいと決定することに応答して、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するように構成される、例14~23のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0111】
[0129]例25.処理回路は、患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置を決定することと、病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置に基づいて、骨移植片の形状、又は、病的関節窩骨上への骨移植片の配置のうちの1つ以上を決定することとを行うように更に構成される、例14~24のうちのいずれか一つに記載のコンピューティングシステム。
【0112】
[0130]例26.コンピューティングシステムが、骨移植片の形状及び/又は病的関節窩骨上への骨移植片の配置に基づいて、骨移植片を病的関節窩骨に取り付けるためのねじのねじ長さ又はねじ軌道のうちの少なくとも1つを決定することを更に備える、例25に記載のコンピューティングシステム。
【0113】
[0131]例27.コンピューティングシステムであって、 患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定するための手段と、 患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定するための手段と、 患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定するための手段と、ここにおいて、測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、 Hill-Sachs病変の投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上へのHill-Sachs病変の内側境界の投影であり、 病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界は、予測された病前上腕骨の3Dモデル上への病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの内側境界の投影である、 第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するための手段と、 患者の骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が患者に推奨されるというインジケーションを出力するための手段と を備える、コンピューティングシステム。
【0114】
[0132]例28.例2~13のうちのいずれか一つに記載の方法を実行するための手段を更に備える、例27に記載のコンピューティングシステム。
【0115】
[0133]例29.実行されると、コンピューティングシステムに、例1~13のうちのいずれか一つに記載の方法を実行させる命令を記憶した、コンピュータ可読データ記憶媒体。
【0116】
[0134]限定された数の例に関して技法を開示したが、本開示の利益を有する当業者は、そこからの多数の修正形態及び変形形態を理解するであろう。例えば、説明した例の任意の合理的な組み合わせが実行され得ることが企図される。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内に入るような修正形態及び変形形態をカバーすることが意図される。
【0117】
[0135]例に応じて、本明細書で説明した技法のうちの任意のもののある特定の動作(acts)又はイベントは、異なるシーケンスで実行することができ、追加、統合、又は完全に省略され得る(例えば、全ての説明した動作又はイベントが、それら技法の実施のために必要なわけではない)ことが認識されるべきである。その上、ある特定の例では、動作又はイベントは、連続してではなく、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサを通じて、同時に実行され得る。
【0118】
[0136]1つ以上の例では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。ソフトウェアにおいて実装される場合、それら機能は、1つ以上の命令又はコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶され得るか、又はコンピュータ可読媒体を通して送信され得、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、又は、例えば通信プロトコルに従った、コンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含み得る。このように、コンピュータ可読媒体は、一般に、(1)非一時的である有形コンピュータ可読記憶媒体、又は(2)信号若しくは搬送波などの通信媒体に対応し得る。データ記憶媒体は、本開示で説明した技法の実装のための命令、コード及び/又はデータ構造を取り出すために、1つ以上のコンピュータ又は1つ以上のプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0119】
[0137]限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD-ROM若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリ、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望されるプログラムコードを記憶するために使用することができ、且つコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を備えることができる。また、任意の接続は、厳密にはコンピュータ可読媒体と称される。例えば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義中に含まれる。しかしながら、コンピュータ可読記憶媒体及びデータ記憶媒体は、接続、搬送波、信号、又は他の一時的媒体を含まないが、代わりに非一時的有形記憶媒体を対象にすることが理解されるべきである。ディスク(disk)及びディスク(disc)は、本明細書で使用される場合、コンパクトディスク(CD)(disc)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(DVD)(disc)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、及びBlu-ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ここで、ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを再生し、ディスク(disc)は、レーザーを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0120】
[0138]本開示で説明した動作は、1つ以上のプロセッサによって実行され得、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の同等の集積回路若しくはディスクリート論理回路などの固定機能処理回路、プログラマブル回路、又はそれらの組み合わせとして実装され得る。固定機能回路は、特定の機能を提供する回路を指し、実行することができる動作に予め設定される。プログラマブル回路は、様々なタスクを実行するようにプログラムすることができる回路を指し、実行することができる動作において柔軟な機能を提供する。例えば、プログラマブル回路は、ソフトウェア又はファームウェアの命令によって定義された形でプログラマブル回路を動作させるソフトウェア又はファームウェアによって指定された命令を実行し得る。固定機能回路は、(例えば、パラメータを受け取る又はパラメータを出力するために)ソフトウェア命令を実行し得るが、固定機能回路が実行する動作のタイプは、一般に不変である。それ故に、「プロセッサ」及び「処理回路」という用語は、本明細書で使用される場合、前述の構造のうちの任意のもの又は本明細書で説明した技法の実装に適した任意の他の構造を指し得る。
【0121】
[0139]様々な例を説明してきた。これら及び他の例は、次の特許請求の範囲内にある。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] コンピューティングシステムであって、
患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデルを記述するデータを記憶するように構成されたメモリと、
処理回路と
を備え、前記処理回路は、
前記患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定することと、
前記患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定することと、
前記患者の前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定することと、ここにおいて、前記測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)前記病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、
前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記Hill-Sachs病変の内側境界の投影であり、
前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの内側境界の投影である、
前記第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、前記患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと、
前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が前記患者に推奨されるというインジケーションを出力することと
を行うように構成される、コンピューティングシステム。
[2] 前記処理回路は、
前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っていることに基づいて、前記第1のエリアサイズ及び前記第3のエリアサイズに基づいて、骨移植片を前記病的関節窩骨に取り付けるための外科的処置において前記患者の烏口突起から採取されるべき前記骨移植片の最小エリアサイズを決定することと、
前記骨移植片の前記最小エリアサイズのインジケーションを出力することと
を行うように更に構成される、[1]に記載のコンピューティングシステム。
[3] 前記処理回路は、
前記病的関節窩骨上の骨損失の主軸を決定することと、
前記病的関節窩骨上の骨損失の前記主軸に基づいて、前記烏口突起から前記骨移植片を採取し、前記骨移植片を前記病的関節窩骨に取り付けるための推奨される骨移植処置を決定することと、
前記推奨される骨移植処置のインジケーションを出力することと
を行うように更に構成される、[1]又は[2]に記載のコンピューティングシステム。
[4] 前記処理回路は、前記推奨される骨移植処置を決定することの一部として、前記処理回路がLatarjet骨移植処置及びBristow骨移植処置の中から前記推奨される骨移植処置を選択するように構成される、[3]に記載のコンピューティングシステム。
[5] 前記処理回路は、前記患者の1つ以上のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づいて、前記病的関節窩骨の3Dモデルを生成するように更に構成され、
前記処理回路は、前記第2のエリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、前記患者の前記病的関節窩骨の前記3Dモデルと前記予測された病前関節窩骨の3Dモデルとの比較に基づいて、前記病的関節窩骨上の前記Bankart病変の前記エリアサイズを決定するように構成される、
[1]~[4]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[6] 前記処理回路は、前記病的上腕骨の3Dモデルを生成するように更に構成され、
前記処理回路は、前記第3のエリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、
前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界を決定することと、
前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記Hill-Sachs病変の前記内側境界の前記投影として前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界を決定することと、
前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界を決定することと、
前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界の前記投影として前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界を決定することと、
前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界と前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界とを結合する結合線を決定することと、前記結合線は、前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界上の点から前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界上の点までの前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上の最短測地線経路である、
ここにおいて、前記測地面は、前記結合線、前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界、及び前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界によって画定される、
を行うように構成される、[1]~[5]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[7] 前記処理回路は、
表示のために前記病的上腕骨の前記3Dモデルを出力するように更に構成され、
(i)前記処理回路は、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界を決定することの一部として、前記処理回路が、
前記コンピューティングシステムが、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界に沿った第1の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、
前記第1の点に基づいて、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記Hill-Sachs病変の前記内側境界を補間することと
を行うように構成されるか、又は、
(ii)前記処理回路は、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界を決定することの一部として、前記処理回路が、
前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界に沿った第2の点のユーザ入力のインジケーションを受信することと、
前記第2の点に基づいて、前記病的上腕骨の前記3Dモデル上の前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記内側境界を補間することと
を行うように構成される、
のうちの少なくとも1つである、
[6]に記載のコンピューティングシステム。
[8] 前記処理回路は、前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することの一部として、前記処理回路が、
前記第1のエリアサイズから前記第2のエリアサイズを引いたもので乗算された所定のパーセンテージ値としてインデックス値を決定することと、
前記インデックス値が前記第3のエリアサイズよりも大きいか又は小さいかに基づいて、前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定することと
を行うように構成される、[1]~[7]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[9] 前記処理回路は、前記骨移植片の前記最小エリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、前記第1のエリアサイズから前記第3のエリアサイズを引いたもので乗算された所定のパーセンテージ値として前記骨移植片の前記最小エリアサイズを決定するように構成される、[1]~[8]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[10] 前記処理回路は、前記Bankart病変の前記エリアサイズを決定することの一部として、前記処理回路が、
関節窩平面上への前記予測された病前関節窩骨の投影として、投影された病前関節窩表面を決定することと、
前記関節窩平面上への前記患者の前記病的関節窩骨の投影として、投影された病的関節窩表面を決定することと、
前記投影された病前関節窩表面及び前記投影された病的関節窩表面に基づいて、骨損失のゾーンを決定することと、
骨損失の前記ゾーンのエリアサイズとして前記Bankart病変の前記エリアサイズを決定することと
を行うように構成される、[1]~[9]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[11] 前記処理回路は、
前記Hill-Sachs病変の3次元形状若しくは体積、又は、
前記Bankart病変の3次元形状若しくは体積
のうちの少なくとも1つに基づいて前記患者についてのInstability Severity Index Score(ISIS)を決定するように更に構成され、前記処理回路は、前記第1、第2、及び第3のエリアサイズを決定し、前記ISISが閾値よりも大きいと決定することに応答して、前記患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するように構成される、
[1]~[10]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[12] 前記処理回路は、前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているという前記決定に基づいて、
前記病的上腕骨のあるタイプの運動についての臨界位置を決定することと、
前記病的上腕骨の前記あるタイプの運動についての前記臨界位置に基づいて、
前記骨移植片の形状、又は、
前記病的関節窩骨上への前記骨移植片の配置
のうちの1つ以上を決定することと
を行うように更に構成される、[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のコンピューティングシステム。
[13] 前記コンピューティングシステムが、前記骨移植片の前記形状及び/又は前記病的関節窩骨上への前記骨移植片の配置に基づいて、前記骨移植片を前記病的関節窩骨に取り付けるためのねじのねじ長さ又はねじ軌道のうちの少なくとも1つを決定することを更に備える、[12]に記載のコンピューティングシステム。
[14] コンピューティングシステムであって、
患者の予測された病前関節窩骨のエリアサイズとして第1のエリアサイズを決定するための手段と、
前記患者の病的関節窩骨上のBankart病変のエリアサイズとして第2のエリアサイズを決定するための手段と、
前記患者の予測された病前上腕骨の3次元(3D)モデル上の測地面のエリアサイズとして第3のエリアサイズを決定するための手段と、ここにおいて、前記測地面は、(i)病的上腕骨上のHill-Sachs病変の投影された内側境界、及び(ii)前記病的上腕骨の上腕骨頭のフットプリントの投影された内側境界によって少なくとも部分的に画定され、
前記Hill-Sachs病変の前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記Hill-Sachs病変の内側境界の投影であり、
前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの前記投影された内側境界は、前記予測された病前上腕骨の前記3Dモデル上への前記病的上腕骨の前記上腕骨頭の前記フットプリントの内側境界の投影である、
前記第1、第2、及び第3のエリアサイズに基づいて、前記患者の骨損失が関節係合を伴っているかどうかを決定するための手段と、
前記患者の前記骨損失が関節係合を伴っているという決定に基づいて、骨移植を含む肩安定性向上手術が前記患者に推奨されるというインジケーションを出力するための手段と
を備える、コンピューティングシステム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A-10B】
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14A
図14B
図15
図16