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  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図1A
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図1B
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図2
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図3A
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図3B
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図4
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図5
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図6
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図7
  • 特許-開口部を用いる光検出用の導波路拡散板 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】開口部を用いる光検出用の導波路拡散板
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022000586
(22)【出願日】2022-01-05
(62)【分割の表示】P 2019529192の分割
【原出願日】2017-12-02
(65)【公開番号】P2022058498
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】15/368,579
(32)【優先日】2016-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ,ピエール-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ハチソン,デイビッド
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-161683(JP,A)
【文献】特開2003-060213(JP,A)
【文献】特開2012-202776(JP,A)
【文献】特開平05-100028(JP,A)
【文献】特表2015-525444(JP,A)
【文献】特開2012-060012(JP,A)
【文献】特開2010-091377(JP,A)
【文献】米国特許第05391869(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0232430(US,A1)
【文献】竹内 延夫 他,半導体レーザーを光源とする擬似ランダム変調CWライダー,応用物理,第56巻 第12号,日本,社団法人応用物理学会,1987年12月10日,Pages: 1630-1636,ISSN: 0369-8009
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
G01C 3/00 - 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
媒体に隣接する第1の側部及び第2の側部を有し、第3の側部から、前記第3の側部に対向する第4の側部に光を案内するように構成された導波路であって、前記媒体の屈折率よりも高い屈折率を有する透明材料を含み、前記透明材料が前記第1の側部及び前記第2の側部の間に延在ミラーが当該導波路の前記第4の側部に結合されている、導波路と、
不透明材料内に画定された開口部であって、前記開口部は、前記レンズと前記導波路の間に配置され、前記レンズは、発散光が前記開口部の外に伝達されるように、シーンからの光の焦点を前記開口部内に合わせるように構成され、前記開口部の外に伝達された前記発散光の少なくとも一部は、前記導波路上に投影される、開口部と、
前記発散光の少なくとも一部を受光し検出する光検出器のアレイとを備える、システム。
【請求項2】
前記導波路が、前記不透明材料に沿って配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導波路が、前記不透明材料から距離をあけて配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記距離が、前記導波路と前記開口部の間に隙間を提供する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記開口部が、前記レンズの焦点面に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
光検出器の前記アレイが、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アレイ内の前記光検出器が、互いと並列接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
光検出器の前記アレイが、シリコン光電子増倍管(SiPM)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
光検出と測距(LIDAR)デバイスであって、
シーンを照射するLIDAR送信器と、
前記シーン内の1つ以上の物体によって散乱された光を受けるLIDAR受信器とを備え、
前記LIDAR受信器は、
レンズと、
媒体に隣接する第1の側部及び第2の側部を有し、第3の側部から、前記第3の側部に対向する第4の側部に光を案内するように構成された導波路であって、前記媒体の屈折率よりも高い屈折率を有する透明材料を含み、前記透明材料が前記第1の側部及び前記第2の側部の間に延在ミラーが当該導波路の前記第4の側部に結合されている、導波路と、
不透明材料内に画定された開口部であって、前記開口部は、前記レンズと前記導波路の間に配置され、前記レンズは、発散光が前記開口部の外に伝達されるように、シーンからの光の焦点を前記開口部内に合わせるように構成され、前記開口部の外に伝達された前記発散光の少なくとも一部は、前記導波路上に投影される、開口部と、
前記発散光の少なくとも一部を受光し検出する光検出器のアレイとを備える、LIDARデバイス。
【請求項10】
前記導波路が、前記不透明材料に沿って配置される、請求項に記載のLIDARデバイス。
【請求項11】
前記導波路が、前記不透明材料から距離をあけて配置される、請求項に記載のLIDARデバイス。
【請求項12】
前記距離が、前記導波路と前記開口部の間に隙間を提供する、請求項11に記載のLIDARデバイス。
【請求項13】
前記開口部が、前記レンズの焦点面に配置される、請求項に記載のLIDARデバイス。
【請求項14】
光検出器の前記アレイが、複数の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を備える、請求項に記載のLIDARデバイス。
【請求項15】
前記アレイ内の前記光検出器が、互いと並列接続されている、請求項に記載のLIDARデバイス。
【請求項16】
光検出器の前記アレイが、シリコン光電子増倍管(SiPM)を備える、請求項に記載のLIDARデバイス。
【請求項17】
前記導波路は、複数の導波路を含前記光検出器のアレイは複数の光検出器のアレイを含み、各光検出器のアレイは、当該光検出器のアレイに対応する導波路が受け付けた前記発散光の部分の少なくとも一部を受光し検出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記導波路は、複数の導波路を含前記光検出器のアレイは複数の光検出器のアレイを含み、各光検出器のアレイは、当該光検出器のアレイに対応する導波路が受け付けた前記発散光の部分の少なくとも一部を受光し検出する、請求項に記載のLIDARデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される、2016年12月3日に出願された米国特許出願第15/368,579号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書中で別途記述されない限り、この項に記載される材料は、この出願における特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、この項に包含することによって先行技術であると認められるものではない。
【0003】
[0003] フォトダイオード、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、または他の種類のアバランシェフォトダイオード(APD)などの光検出器を用いて、それらの表面に付与される光を検出することができる(例えば、光の強度に対応する電圧または電流といった電気信号を出力することによって)。多くの種類のそうしたデバイスは、シリコンなどの半導体材料から製造される。大部分の幾何学的領域上の光を検出するために、複数の光検出器を、並列接続されたアレイ状に配置することができる。これらのアレイは、シリコン光電子増倍管(SiPM)またはマルチピクセル光子計数器(MPPC)と称されることもある。
【0004】
[0004] 上記構成のいくつかは、相対的に低い光強度に感受性があり、それによって、それらの検出の質を高める。しかしながら、このことにより、上記構成は、背景の悪影響も不相応に受けやすくなり得る(例えば、外部光源からの外部光が、光検出器による測定値に影響を与え得る)。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 一例では、システムは、シーンに対して配置されかつシーンからの光の焦点を合わせるように構成されているレンズを含む。システムはまた、不透明材料内に画定された開口部を含む。システムはまた、レンズによって焦点を合わせられ開口部を通して伝達された光を受ける第1の側部を有する導波路を含む。導波路は、受けた光を、第1の側部に対向する導波路の第2の側部に向けて案内する。導波路は、第1の側部と第2の側部の間に延在する第3の側部を有する。システムはまた、導波路の第3の側部から外に伝搬する光を受光し検出する光検出器のアレイも含む。
【0006】
[0006] 別の例では、方法は、シーンに対して配置されたレンズを介して、シーンからの光の焦点を合わせることを含む。方法はまた、焦点を合わせられた光を、不透明材料内に画定された開口部を通して伝達することを含む。方法はまた、導波路の第1の側部で、開口部を通して伝達された光を受けることを含む。方法はまた、受けた光を、導波路の第2の側部に向けて導波路によって案内することを含む。方法はまた、導波路の第3の側部から外に伝搬する光を、光検出器のアレイで検出することを含む。第3の側部は、第1の側部と第2の側部の間に延在する。
【0007】
[0007] さらに別の例では、光検出と測距(LIDAR)デバイスは、シーンを照射するLIDAR送信器を含む。LIDARデバイスはまた、シーン内の1つ以上の物体によって散乱された光を受けるLIDAR受信器を含む。LIDAR受信器は、散乱光の焦点を合わせるレンズを含む。LIDAR受信器はまた、不透明材料内に画定された開口部も含む。LIDAR受信器はまた、レンズによって焦点を合わせられ開口部を通して伝達された光を受ける第1の側部を有する導波路も含む。導波路は、受けた光を、第1の側部に対向する導波路の第2の側部に向けて案内する。導波路は、第1の側部と第2の側部の間に延在する第3の側部を有する。LIDAR受信器はまた、導波路の第3の側部から外に伝搬する光を受光し検出する光検出器のアレイも含む。
【0008】
[0008] さらに別の例では、システムは、シーンに対して配置されたレンズを介して、シーンからの光の焦点を合わせる手段を備える。システムはまた、焦点を合わせられた光を、不透明材料内に画定された開口部を通して伝達する手段も備える。システムはまた、導波路の第1の側部で、開口部を通して伝達された光を受ける手段も備える。システムはまた、受けた光を、導波路の第2の側部に向けて、導波路によって案内する手段も備える。システムはまた、導波路の第3の側部から外に伝搬する光を、光検出器のアレイで検出する手段も備える。第3の側部は、第1の側部と第2の側部の間に延在する。
【0009】
[0009] 前述の概要は、単なる例示であり、決して限定する意図はない。上述した例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010]例示的な実施形態による開口部を含む雑音制限システムの図である。
図1B】[0011]図1Aのシステムの別の図である。
図2】[0012]例示的な実施形態によるLIDARデバイスの簡略化されたブロック図である。
図3A】[0013]例示的な実施形態による開口部および導波路を含む雑音制限システムの図である。
図3B】[0014]図3Aのシステムの断面図である。
図4】[0015]例示的な実施形態によるミラーに結合された導波路の断面図である。
図5】[0016]例示的な実施形態による複数の変形部を有するクラッド層を含む導波路の断面図である。
図6】[0017]例示的な実施形態による可変的に離間された変形部を有するクラッド層を含む導波路の断面図である。
図7】[0018]例示的な実施形態による開口部および複数の導波路を含む雑音制限システムの図である。
図8】[0019]例示的な実施形態による方法の流れ図である。
【発明の詳細な説明】
【0011】
[0020] 本明細書中に記載されたいずれの例示的な実施形態または特徴も、他の実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利であるとは必ずしも解釈されない。本明細書中に記載された例示的な実施形態は、限定を意味するものではない。開示された実装例の特定の態様は、様々な異なる構成において変形されかつ組み合され得ると容易に理解されるであろう。さらに、図に示される特定の構成は、限定的であると理解されるべきではない。他の実装例は、所与の図に示される各要素よりも多いまたは少ない要素を含み得ると理解されるべきである。加えて、例示された要素のいくつかは、組み合わされまたは省略され得る。同様に、例示的な実装例は、図に例示されていない要素を含み得る。
【0012】
1.概略
[0021] 例示的な実装例は、光検出器のアレイ上に付与される背景光を低減させるデバイス、システム、および方法に関し得る。アレイ内の光検出器は、シーンからの光を感知するものであり得る。例えば、光検出器は、光検出と測距(LIDAR)デバイスの感知コンポーネントであり得る。
【0013】
[0022] 1つの例示的なシステムはレンズを含む。レンズを用いて、シーンからの光の焦点を合わせ得る。しかしながら、レンズはまた、システムによる観察を意図しない背景光(例えばシーン内の日光)にも焦点を合わせ得る。光を選択的にフィルタリングする(すなわち、シーン内の情報に対応する光から背景光を分離させる)ために、不透明材料(例えば、選択的にエッチングされた金属、マスクで部分的に被覆されたガラス基板など)がレンズの後ろに配置され得る。不透明材料は、様々な実施形態において、スラブ、シート、または様々な他の形状として成形され得る。不透明材料内に、開口部が画定され得る。開口部は、開口部を通して伝達するために、レンズによって焦点を合わせられたシーンの光のある領域またはその全体を選択し得る。
【0014】
[0023] 不透明材料の後部で(例えば、レンズからの焦点を合わせられた光が投影される1つの側部に対向する、不透明材料のもう1つの側部など)、開口部によって選択された光が、開口部を通して伝達され得る。開口部を通して伝達される光の伝搬方向に、システムは、第1の側部(例えば、開口部に隣接するなどの)および第1の側部に対向する第2の側部を有する導波路を含み得る。システムはまた、導波路の第3の側部の上にまたは隣接して配置された光検出器(例えばSPAD)のアレイも含み得る。例えば、第3の側部は、導波路がその中で光の伝搬を第2の側部に向けて案内する案内方向に沿って、第1の側部から第2の側部まで延在し得る。かくして、光検出器のアレイは、導波路の第3の側部を通って伝播する光(例えば、エバネッセント光、および/または導波路のクラッド層を通って漏れる光)を検出し得る。
【0015】
[0024] 開口部からの光は導波路の長さに沿って案内されるので、検出領域(例えば第3の側部)に収まることが可能な光検出器の数は、開口部の断面積に収まり得る数よりも多くなり得る。これは、導波路の第3の側部に沿ってよりも開口部において、光の焦点がより強く合わせられ、したがって断面積がより小さいことに起因し得る。いくつかの例では、システムはまた、第2の側部に到達した案内光を反射して導波路内に戻すための、第2の側部に沿って配置されたミラー(例えば光反射器)も含み得る。結果として、例えば、導波路内で案内された光のより多くの量が、第3の側部から外にそして光検出器のアレイに向かって伝搬し得る。
【0016】
[0025] 1つの例示的な実装例では、システムは、フラストレイテッド全反射(FTIR)を用いて、導波路内の案内光の一部を、光検出器のアレイに伝達することができる。例えば、導波路は、ガラス板(または、案内光の波長(複数可)に対して透過性を有する他の材料)として形成され得る。ガラス板(すなわち導波路)はまた、案内光のFTIRを促進するための、導波路の第3の側部に配置された相対的に低い屈折率の(例えば、ポリマーコーティング、フッ素をドープしたガラスなど)クラッド層も含み得る。クラッド層は、隙間(例えば、くぼみなど)を含んでもよく、隙間の位置でクラッド層を通って漏れる光の量を増加させる。各隙間は、隙間から漏れる光が対応する光検出器によって検出され得るように、アレイ内の対応する光検出器と整列され得る。かくして、この例では、導波路は、光が、光検出器に対応する位置で第3の側部から漏出する漏れ波導波路として構成され得る。さらに、いくつかの例では、クラッド層における隙間の間の分離距離は、光が第2の側部に向かって伝搬するにつれて、徐々に小さくなり得る。結果として、漏れた光のより均一な光強度を達成することができる。
【0017】
[0026] 別の例示的な実装例では、システムは、光をアレイ内の光検出器に向けて第3の側部を通して伝達するために散乱結合を用い得る。例えば、導波路は、第3の側部を通って消えていく散乱光の強度を所定の方法で変化させる光子結合器として実装することができる。さらに、いくつかの例では、システムはまた、導波部の第4の側部(第3の側部に対向する)に沿って配置されたミラーも含み得る。そうすることによって、導波路は、さらに、第3の側部上の格子構造に沿って分離距離を調整することによって、波長フィルタとして構成することができる。
【0018】
[0027] 他の例示的な実装例が、同じく可能であり、本明細書中の例示的な実施形態内にさらなる詳細が記載される。
【0019】
2.例示的なシステムおよびデバイス
[0028] 図1Aは、例示的な実施形態による開口部を含む雑音制限システム100の図である。示すように、システム100は、光検出器のアレイ110(検出器112および114によって例示される)、不透明材料120内に画定された開口部122、およびレンズ130を含む。システム100は、シーン内の物体104によって散乱された光102を測定し得る。光102はまた、少なくとも部分的に背景光源からももたらされ得る。かくして、いくつかの例では、システム100は、光検出と測距(LIDAR)デバイスに含まれ得る。例えば、LIDARデバイスは、自律走行車のナビゲーションに用いられ得る。さらに、いくつかの実施形態では、システム100またはその一部は、レンズ130および/または開口部122を通る以外、外部光にさらされないエリア内に含まれ得る。これは、周囲光がアレイ110内の検出器を動作させそれによって測定に影響を及ぼすことを防ぎ得る。
【0020】
[0029] アレイ110は、検出器112および114によって例示される光検出器の構成を含む。様々な実施形態では、アレイ110は、異なる形状を有し得る。示すように、アレイ110は矩形を有する。しかしながら、他の実施形態では、アレイ110は円形であり得、または、異なる形状を有し得る。アレイ110のサイズは、開口部122から発散する光110の予測される断面積に応じて選択され得、したがって、アレイ110と開口部122の距離、開口部122の次元、レンズ130の光学特性などに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、アレイ110は可動であり得る。例えば、アレイ110は、開口部122により近接してまたはより離れて作動され得る。その目的のために、例えば、アレイ110は、1次元、2次元、または3次元で移動可能である電動ステージに搭載され得る。
【0021】
[0030] さらに、いくつかの実装例では、アレイ110は、コンピューティングデバイスまたは論理回路に1つ以上の出力を提供し得る。例えば、マイクロプロセッサが搭載されたコンピューティングデバイスは、アレイ110から、アレイ110に入射する光102の強度を示す電気信号を受信し得る。そして、コンピューティングデバイスは、電気信号を用いて、物体104に関する情報(例えば、物体104の、開口部122からの距離など)を判定し得る。いくつかの実施形態では、アレイ110内の光検出器の一部または全部は、並列に互いと相互接続され得る。その目的のために、例えば、アレイ110は、アレイ110内の光検出器の特定の配置および種類次第で、SiPMまたはMPPCであってもよい。並列回路構成において光検出器を接続することによって、例えば、光検出器からの出力を合成して、光102における光子を検出することができる検出領域(例えば、図1Aに示すアレイ110の影付きの領域)を効率的に増大させることができる。
【0022】
[0031] 光検出器112、114などは、様々な種類の光検出器を含み得る。一例では、検出器112、114などはSPADを含む。SPADは、SPAD上への所与の入射照明に対する出力電流を増大させるために、逆バイアスされたp-n接合(すなわちダイオード)内のアバランシェ降伏を用い得る。さらに、SPADは、単一の入射光子に対して複数の電子正孔対を生成可能であり得る。別の例では、光検出器112、114などは、APDを含み得る。いくつかの例では、APDまたはSPADは、アバランシェ降伏電圧を超えてバイアスされ得る。そうしたバイアス条件は、1より大きいループゲインを有する正帰還ループを生成し得る。さらに、閾値のアバランシェ降伏電圧を超えてバイアスされたAPDまたはSPADは、単一光子に感受性があり得る。他の例では、光検出器112、114などは、数ある中でも、フォトレジスタ、電荷結合素子(CCD)、および/または太陽電池を含み得る。
【0023】
[0032] いくつかの実装例では、アレイ110は、アレイ全体において、1つより多い種類の光検出器を含み得る。例えば、アレイ110は、光102の複数の所定波長を検出するように構成され得る。その目的のために、例えば、アレイ110は、波長の1つの範囲に感受性があるいくつかのSPADおよび波長の異なる範囲に感受性がある他のSPADを備え得る。いくつかの実施形態では、光検出器110は、400nm~1.6μmの波長(可視および赤外波長)に感受性があり得る。さらに、光検出器110は、所与の実施形態内でまたは様々な実施形態全体において、様々なサイズおよび形状を有し得る。いくつかの実施形態では、光検出器112、114などは、アレイ110の面積の1%、.1%、または.01%であるパッケージサイズを有するSPADを含み得る。
【0024】
[0033] 不透明材料120は、レンズ130によって焦点を合わせられたシーンからの光102の一部(例えば背景光)がアレイ110に伝達されることを遮断し得る。そのようにして、不透明材料120は、アレイ110によって行われる測定の精度に悪影響を与え得る特定の背景光を遮断するように構成され得る。不透明材料120、したがって開口部122は、レンズ130の焦点面にまたはその近傍に配置され得る。一例では、不透明材料120は、光102を吸収することによって伝達を遮断し得る。別の例では、不透明材料120は、光102を反射することによって伝達を遮断し得る。不透明材料120の例示的な実装例の包括的でないリストは、数ある実現可能な材料の中でも、エッチングされた金属、ポリマー基板、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BoPET)シート(Mylar(登録商標)シートとも称される)、または、不透明マスクで覆われたガラスを含む。
【0025】
[0034] 開口部122は、光102がそれを通って伝達され得る、不透明材料120内のポートを提供する。開口部122は、不透明材料120内に様々な形で画定され得る。一例では、不透明材料120が金属を含む場合、金属はエッチングされて、開口部122を画定し得る。別の例では、不透明材料120がマスクで覆われたガラス基板である場合、マスクは、開口部122を画定する隙間を含み得る(例えば、フォトリソグラフィを介して)。様々な実施形態では、開口部122は、部分的にまたは全体的に透過性を有し得る。例えば、不透明材料120がマスクで覆われたガラス基板である場合、開口部122は、マスクによって被覆されていないガラス基板の一部として画定され得、開口部122は完全に中空というよりも、ガラスで作られている。かくして、例えば、開口部122は、物体104によって散乱された光102の1つ以上の波長に対して、完全ではないがほぼ透過性を有し得る(大部分のガラス基板は100%の透過性を有さないため)。
【0026】
[0035] 開口部122(不透明材料120と併せて)は、シーンからの光102を焦点面で空間的にフィルタリングするように構成され得る。例えば、光102は、不透明材料120の面に沿って焦点面上で焦点を合わせられ得、開口部122により、焦点を合わせられた光の一部のみがアレイ110に伝達されることが可能となり得る。かくして、開口部122は、光学ピンホールとして挙動し得る。一実施形態では、開口部122は、.02mm2~.06mm2(例えば.04mm2)の断面積を有し得る。他の実施形態では、開口部122は、レンズ130の光学特性、アレイ110までの距離、アレイ110内の光検出器の雑音除去特性などといった様々な要因次第で、異なる断面積を有し得る。
【0027】
[0036] 開口部122に対して上記で用いられた「開口部」という用語は、光がそれを通して伝達され得る、不透明材料内の凹部または穴を記載するが、「開口部」という用語は、多岐にわたる光学的特徴を含み得ることに留意されたい。一例では、明細書および特許請求の範囲全体で用いられるように、「開口部」という用語は、光がそれを通って部分的に伝達され得る、不透明材料内に画定された透明または半透明の構造をさらに網羅し得る。別の例では、「開口部」という用語は、不透明材料に囲まれたミラーといった、それ以外の方法で光の経路を選択的に制限する(例えば、反射または屈折を介して)構造を記載し得る。1つの例示的な実施形態では、不透明材料に囲まれたミラーアレイが、光を特定の方向に反射させるように配置され得、それによって反射部を画定する。この反射部は、「開口部」と称され得る。
【0028】
[0037] 開口部122は矩形を有するとして示されるが、開口部122は、数ある中でも、丸い形、円形、楕円形などの異なる形状を有し得ることに留意されたい。いくつかの例では、開口部122は、代替として、システム100内の光学収差を考慮するように特別に設計された不規則な形状を有し得る。例えば、鍵穴型の開口部は、エミッタ(例えば、光102を放出する光源)と受信器(例えば、レンズ130およびアレイ110)の間に生じる視差を考慮することを支援し得る。視差は、例えばエミッタおよび受信器が同一位置に位置しない場合に生じ得る。特定のシーン内に存在することが予想される特定の物体と一致する特別に成形された開口部または光102の特定の偏光(例えば水平偏光または垂直偏光)を選択する不規則な開口部といった他の不規則な開口部形状もやはり可能である。
【0029】
[0038] レンズ130は、シーンからの光102を、開口部122が位置する焦点面上に焦点を合わせ得る。この構成を用いることによって、シーンから収集された光強度はレンズ130において焦点を合わせられて、光102が投影される断面積を低減させ得る(すなわち、光102の空間的なパワー密度を増加させる)。例えば、レンズ130は、数ある例の中でも、収束レンズ、両凸レンズ、および/または球面レンズを含み得る。代替として、レンズ130は、相次いで配置されたレンズの連続的なセット(例えば、光を第1の方向に焦点を合わせる両凸レンズおよび光を第2の方向に焦点を合わせる追加の両凸レンズ)として実装することができる。他のタイプのレンズおよび/またはレンズ配置もやはり可能である。加えて、システム100は、レンズ130に入射した光102を不透明材料120上で焦点を合わせることを支援するためにレンズ130の近傍に配置された他の光学要素(例えばミラーなど)を含み得る。
【0030】
[0039] 物体104は、システム100を囲むシーン内に位置する任意の物体であり得る。システム100がLIDARデバイスに含まれる実装例において、物体104は、光102(またはその一部)を放出するLIDAR送信器によって照射され得る。LIDARデバイスが自律走行車上でナビゲーションのために用いられる例示的な実施形態において、物体104は、数ある中でも、歩行者、他の車両、障害物(例えば木)、または道路標識を備え得る。
【0031】
[0040] 上述のように、光102は、物体104によって散乱され、レンズ130によって焦点を合わせられ、不透明材料120内の開口部122を通して伝達され、アレイ110内の光検出器によって測定され得る。この並びは、物体104に関する情報を判定するために存在し得る(例えばLIDARデバイスにおいて)。いくつかの実施形態では、アレイ110によって測定される光102は、さらにまたは代替として、数ある実現可能な光の中でも、複数の物体に散乱され、別のLIDARデバイスの送信器によって送信された光、周囲光、日光を含み得る。
【0032】
[0041] 加えて、物体104を分析するのに用いられる光102の波長(複数可)は、シーン内に存在すると予想される物体の種類およびそれらのレンズ130からの予想距離に基づいて選択され得る。例えば、シーン内に存在すると予想される物体が500nmの波長の入射光を全て吸収する場合、500nm以外の波長が、物体104を照射するためにかつシステム100によって分析されるために選択され得る。光102の波長(例えば、LIDARデバイスの送信器によって送信される場合)は、光102を生成する光源に関連し得る。例えば、光がダイオードレーザによって生成される場合、光102は、900nmを中心とした波長範囲内の光(またはダイオードレーザの他の波長)を備え得る。かくして、様々な種類の光源が、光102を生成するのに可能である(例えば、光ファイバ増幅器、様々な種類のレーザ、フィルタ付きの広帯域光源など)。
【0033】
[0042] 図1Bは、システム100の別の図である。示すように、システム100はまた、フィルタ132も含み得る。フィルタ132として、所定の波長範囲内の光を選択的に伝達するように構成された任意の光学フィルタが挙げられ得る。例えば、フィルタ132は、可視波長範囲、赤外波長範囲、またはエミッタ140によって放出された光信号の任意の他の波長範囲内の光を選択的に伝達するように構成され得る。例えば、光学フィルタ132は、特定の波長の光を、アレイ110から離れるように発散させるように構成され得る。例えば、光学フィルタ132は、エミッタ140によって放出された波長範囲でない、光102の一部を、アレイ110から離れるように発散させ得る。したがって、光学フィルタ132は、周囲光または背景光の、アレイ110による測定への悪影響を少なくとも部分的に低減させ得る。
【0034】
[0043] 様々な実施形態では、光学フィルタ132は、アレイ110に対して様々な位置に配置され得る。示すように、光学フィルタ132は、レンズ130と不透明材料120の間に配置される。しかしながら、光学フィルタ132は、代替として、レンズ130と物体104の間、材料120とアレイ110の間に配置され得、アレイ110と組み合わされ得(例えば、アレイ110が、光学フィルタ132である面スクリーンを有し得る、または、アレイ110内の光検出器の各々が、別々の光学フィルタによって個別に被覆され得る、など)、開口部122と組み合わされ得(例えば、開口部122は、特定の波長範囲に対してのみ透過性を有し得る、など)、または、レンズ130と組み合わされ得る(例えば、面スクリーンがレンズ130に配置される、レンズ130の材料が特定の波長範囲に対してのみ透過性を有する、など)。
【0035】
[0044] さらに、図1Bに示すように、システム100は、アレイ110によって測定される光信号を放出するエミッタ140と共に用いられ得る。エミッタ140は、ファイバーレーザ、フォトダイオード、フィラメント、LIDAR送信器、または任意の他の光源を含み得る。示すように、エミッタ140は、シーンにおける物体104によって散乱され最終的にアレイ110によって(少なくともその一部が)測定される光を放出し得る。いくつかの実施形態では、エミッタ140は、光ファイバ増幅器、またはレーザエミッタ140のパワー出力を増大させる他の増幅システムを備えるレーザエミッタであり得る。さらにまたは代替として、いくつかの実施形態では、エミッタ140は、パルス状レーザ(連続波レーザとは対照的な)として実装され得、等価連続パワー出力を維持しながら、ピークパワーの増大を可能にする。
【0036】
[0045] 以下は、レンズ130によって受けられる背景光の量を、アレイ110によって検出される信号光の量と比較した数学的な説明である。示すように、物体104とレンズ130の距離は「d」であり、レンズ130と不透明材料120の距離は「f」であり、不透明材料120とアレイ110の距離は「x」である。上述したように、材料120および開口部122は、レンズ130の焦点面に位置し得る(すなわち、「f」は、焦点長さと同等であり得る)。さらに、示すように、エミッタ140は、物体104から距離「d」に配置される。
【0037】
[0046] 例示の目的で、物体104は、太陽光によって垂直入射で完全照射されると仮定する。ここで日光は、背景光源を表す。さらに、物体104を照射する光の全てはランベルトの余弦則にしたがって散乱されると仮定する。加えて、アレイ110に到達する光(背景および信号の両方)は全て、アレイ110によって完全に検出されると仮定する。
【0038】
[0047] エミッタ140によって放出され、開口部122ひいてはアレイ110に到達する信号のパワーは、以下を用いて計算することができる。
【数1】
signalは、アレイ110に到達する、エミッタ140によって放出された光学信号の放射束(例えば、W単位)を表し、Ptxは、エミッタ140によって送信されたパワー(例えば、W単位)を表し、Γは、物体104の反射率を表し(例えば、ランベルトの余弦則を考慮して)、Alensは、レンズ130の断面積を表す。
【0039】
[0048] レンズ130に到達する背景光は、以下のように計算することができる。
【数2】

【数3】


は、フィルタ132によって選択的に通過させられるだろう波長帯域内にある、レンズ130上に到達する背景光(物体104に散乱した日光によって生じる)の放射輝度
(例えば、
【数4】

単位)を表し、
【数5】
は、太陽(すなわち背景光源)による放射照度(例えば、
【数6】

単位)密度を表し、Tfilterは、フィルタ132(例えば、帯域通過光学フィルタ)の透過係数を表す。
【数7】

という因数は、垂直入射からの物体104のランバート散乱の仮定に関連する。
【0040】
[0049] 開口部122は、アレイ110への伝達を許される背景光の量を低減させる。開口部122を通して伝達された後にアレイ110に到達する背景光のパワーを計算するのに、開口部122の面積が考慮に入れられる。開口部122の断面積(Aaperture)は、以下のように計算することができる。
【数8】

apertureは、物体104に対する開口部122の表面積を表し、wおよびhは、開口部122のそれぞれ幅および高さ(または長さ)を表す。加えて、レンズ130が円形レンズである場合、レンズ130の断面積(Alens)は、以下のように計算することができる。
【数9】


lensは、レンズの直径を表す。
【0041】
[0050] かくして、開口部122を通してアレイ110に伝達される背景パワーは、以下のように計算することができる。
【数10】

backgroundは、アレイ110に入射する背景パワーを表し、

【数11】

は、ステラジアン単位での許容立体角を表す。上記の式は、Pbackgroundがレンズ130および開口部122によって低減された後の背景信号における放射輝度の量であることを示す。
【0042】
[0051] 上記の
【数12】
aperture、およびAlensにおける決定値を代入すると、以下を導き出すことができる。
【数13】
【0043】
[0052] 加えて、量
【数14】

は、レンズ130の「F値」と見なされ得る。したがって、もう一度代入を行うことによって、背景パワーとして以下を推定することができる。
【数15】

【0044】
[0053] 同様の代入を行って、アレイ110に到達する、エミッタ140から送信された信号パワーに対して、以下を推定することができる。
【数16】
【0045】
[0054] さらに、システム100の信号対雑音比(SNR)は、PsignalをPbackgroundと比較することによって判定され得る。説明するように、背景パワー(Pbackground)は、開口部122、特に、小さなwおよび/または小さなhを有する開口部(上記のPbackgroundの式の分子)を含むことによって、信号パワーに対してかなり低減され得る。開口部の面積を小さくすること以外にも、エミッタ140による伝達パワー(Ptx)を増大させること、伝達係数(Tfilter)を減少させること(すなわち、フィルタを通って伝達される背景光の量を低減させること)、および物体104の反射率( Γ)を増大させることは、SNRを増加させる方法であり得る。さらに、エミッタ140がパルス状信号を放出する実装例において、背景のパワーと異なり、背景のショット雑音が、SNRを計算するときに主として関連があり得ることに留意されたい。したがって、いくつかの実装例では、SNRは、代替として、ショット雑音を信号パワーと比較することによって計算することができる。
【0046】
[0055] 図1Aに示すように、光102は、開口部122から離れるように伝搬するにつれて発散する。発散により、アレイ110における検出エリア(例えば、光102によって照射される影付きのエリアとして示される)は、焦点面における開口部122の断面積より大きくなり得る。所与の光パワー(例えばW単位で測定される)に対する増大された検出エリア(例えばm2単位で測定される)は、アレイ110に入射する低減された光強度(例えば、
【数17】
単位で測定される)をもたらし得る。
【0047】
[0056] 光強度の低減は、アレイ110がSPADまたは高感度を有する他の光検出器を含む実施形態において、特に有益であり得る。例えば、SPADは、それらの感度を、半導体内にアバランシェ降伏を生成する大きな逆バイアス電圧に由来する。このアバランシェ降伏は、例えば単一光子の吸収によって引き起こされ得る。SPADが単一光子を吸収しアバランシェ降伏が始まると、SPADは、SPADがクエンチされるまで(例えば、逆バイアス電圧を回復することによって)、さらなる光子を検出し得ない。SPADがクエンチされるまでの時間は、回復時間と称され得る。さらなる光子が回復時間に接近する時間間隔で到達している場合(例えば、10倍以内)SPADは、飽和し始め得、そうして、SPADによる測定値は信頼性を失い得る。アレイ110内の任意の個別の光検出器(例えばSPAD)に入射する光パワーを低減させることによって、アレイ110における光検出器(例えばSPAD)は不飽和のままであり得る。結果として、各個別のSPADによる光測定値は、精度が高くなり得る。
【0048】
[0057] 図2は、例示的な実施形態によるLIDARデバイス200の簡略化されたブロック図である。いくつかの例示的な実施形態では、LIDARデバイス200は、車両に搭載され、車両の周辺環境(例えば、物体204を含むシーンなど)をマッピングするのに用いることができる。示すように、LIDARデバイス200は、エミッタ140と同様であり得るレーザエミッタ240を含む。さらに、示すように、LIDARデバイス200は、コントローラ250を含む。さらに、示すように、LIDARデバイス200は、システム100と同様であり得る雑音制限システム290を含む。例えば、示すように、システム290は、光検出器のアレイ210、内部に開口部が画定された(図示せず)不透明材料220、およびレンズ230を含み、これらは、それぞれアレイ110、不透明材料120、およびレンズ130と同様である。LIDARデバイス200は、代替として、示すコンポーネントよりも多いまたは少ないコンポーネントを含み得ることに留意されたい。例えば、LIDARデバイス200は、光学フィルタ(例えばフィルタ132)を含み得る。かくして、システム290は、システム100および/または本明細書中に記載された任意の他の雑音制限システムと同様に実装することができる。デバイス200は、エミッタ240を、物体204を含むシーンに向けて光202を放出するように動作させ得る。そして、デバイス200は、散乱光202を検出して、物体204に関する情報をマッピングまたはそれ以外の方法で判定し得る。
【0049】
[0058] コントローラ250は、LIDARデバイス200のコンポーネントを制御するようにかつLIDARデバイス200のコンポーネント(例えば光検出器のアレイ210)から受信した信号を分析するように構成され得る。その目的のために、コントローラ250は、デバイス200を動作させるためにデバイス200のメモリ(図示せず)に格納されている命令を実行する1つ以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサなど)を含み得る。さらにまたは代替として、コントローラ250は、本明細書中に記載された様々な機能の1つ以上を行うように配線されたデジタルまたはアナログ回路を含み得る。
【0050】
[0059] いくつかの実装例では、コントローラ250は、物体204の位置(例えば、LIDARデバイス200からの距離)を判定するために、アレイ210によって測定される信号に関連するタイミング情報を用い得る。例えば、レーザエミッタ240がパルス状レーザである実施形態において、コントローラ250は、出力光パルスのタイミングをモニタリングし、それらのタイミングをアレイ210によって測定される信号パルスのタイミングと比較することができる。例えば、コントローラ250は、デバイス200と物体204の距離を、光の速度および光パルスの進行の時間(タイミングを比較することによって計算することができる)に基づいて推定することができる。いくつかの実装例では、コントローラ250は、視差(例えば、レーザエミッタ240とレンズ230が空間的に同一の位置に配置されていないことによる)を考慮するように構成され得る。視差を考慮することによって、コントローラ250は、出力光パルスのタイミングとアレイ210によって測定される信号パルスのタイミングの比較の精度を向上させることができる。
【0051】
[0060] いくつかの実装例では、コントローラ250は、エミッタ240によって放出される光202を変調し得る。例えば、コントローラ250は、エミッタ240の投影(例えば指向)方向を変え得る(例えば、エミッタ240を実装するメカニカルステージを作動させることによって)。別の例として、コントローラ250は、エミッタ240によって放出される光202のタイミング、パワー、または波長を変調し得る。いくつかの実装例では、コントローラ250はまた、数ある実現可能な制御の中でも、フィルタ(例えばフィルタ132)を光202の伝搬経路に沿って追加または削除する、デバイス200の様々なコンポーネント(例えばアレイ210、不透明材料220(およびその中の開口部)、レンズ230など)の相対位置を調整するといった、デバイス200の他の動作態様も制御し得る。
【0052】
[0061] いくつかの実装例では、コントローラ250はまた、材料220内の開口部(図示せず)も調整し得る。例えば、開口部は、いくつかの実施形態では、不透明材料内に画定されたいくつかの開口部から選択可能であってもよい。そうした実施形態では、レンズと不透明材料の間に配置されたMEMSミラーが、複数の開口部のうちいずれに光が方向付けられるかを決めるためにコンピューティングデバイスによって調整可能であってもよい。いくつかの実施形態では、様々な開口部が、異なる形状およびサイズを有し得る。さらに他の実施形態では、開口部は、虹彩(または他の種類の絞り)によって画定され得る。虹彩は、例えば開口部のサイズまたは形状を制御するために、コントローラ250によって拡大または縮小され得る。
【0053】
[0062] かくして、いくつかの例では、LIDARデバイス200は、物体204および/またはシーンに関する追加のまたは異なる情報を取得するために、システム290の構成を修正することができる。一例では、コントローラ250は、シーンからシステムによって受信される背景雑音が現在のところ相対的に低い(例えば、夜間)という判定に応じて、より大きな開口部を選択し得る。より大きな開口部は、例えば、システム290が、そうでなかったら開口部の外でレンズ130によって焦点を合わせられるだろう光202の一部を検出することを可能にし得る。別の例では、コントローラ250は、光202の一部を受光するために異なる開口部の位置を選択し得る。さらに別の例では、コントローラ250は、開口部と光検出器アレイ210の距離(例えば図1Bに示す距離「x」)を調整し得る。そうすることによって、例えば、アレイ210における検出領域の断面積(すなわち、アレイ210における光202の断面積)も同じく調整することができる(例えば、図1Aに示す影付きの領域)。
【0054】
[0063] しかしながら、いくつかのシナリオでは、システム290の構成を修正することができる程度は、数ある要因の中でも、LIDARデバイス200またはシステム290のサイズといった様々な要因に依存し得る。例えば、図1Aに戻って参照すると、アレイ110のサイズは、開口部122の位置からアレイ110の位置までの(例えば、図1Bに示す距離「x」)光102の発散の範囲に依存し得る。かくして、例えば、アレイ110の最大垂直かつ水平範囲は、LIDARデバイス内のシステム100を収容するのに利用可能な物理的空間に依存し得る。同様に、例えば、アレイ110と開口部122の距離「x」(図1Bに示す)に対する値の利用可能な範囲も、システム100が用いられるLIDARデバイスの物理的制限によって制限され得る。
【0055】
[0064] よって、光検出器がシーンから光を受光することができる検出エリアを増大させ、同時に、背景雑音の低減およびシステム290を収容するのに利用可能な空間の効率的な使用も行う例示的な実装例が、本明細書中に記載される。
【0056】
[0065] 図3Aは、例示的な実施形態による開口部および導波路を含む雑音制限システム300の図である。図3Bは、例示的な実施形態によるシステム300の断面図である。いくつかの実装例では、システム300は、システム290の代わりにまたは加えて、デバイス200と共に用いることができる。示すように、システム300は、シーン内の物体304によって散乱された光302を測定し得、それぞれシステム100、光102、および物体104と同様である。さらに、示すように、システム300は、それぞれアレイ110、材料120、開口部122、およびレンズ130と同様であり得る、光検出器アレイ310、不透明材料320、開口部322、およびレンズ330を含む。例示の目的で、開口部322は、開口部122の形状(矩形)と比較して異なる形状(楕円形)を有するとして示される。示すように、システム300はまた、開口部322を通って伝達され導波路360の受信側部360a(例えば、影付きの領域)上に投影される光302(またはその一部)を受けるように配置された導波路360(例えば、光導波路など)も含む。
【0057】
[0066] 導波路360は、ガラス基板(例えばガラス板など)または光302の1つ以上の波長に対して少なくとも部分的に透過性を有する任意の他の材料で形成され得る。いくつかの例では、示すように、導波路360は、開口部322を通して伝達された光302が導波路360の受信側部360a(例えば入力端部)上に投影されるように、不透明材料320に近接して配置され得かつ/または接触し得る。そして導波路360は、受けた光302の少なくとも一部を、例えば全反射またはフラストレイテッド全反射(FTIR)を介して、導波路360内で、導波路360の別の端部に向けて案内し得る。例えば、導波路360が示すような矩形の導波路である場合、導波路360は、受けた光302を、側部360aに対向する側部360bに向けて案内することができる。
【0058】
[0067] 示すように、例えば、導波路360は、側部360cと側部360dの間で垂直に延在し得る。その目的のために、側部360cおよび360dは、導波路360の相対的に高い屈折率の媒体(例えばガラスなど)と、側部360cおよび360dに隣接する相対的に低い屈折率の媒体(例えば空気、真空など)の界面に対応し得る。かくして、例えば、案内光302が臨界角(例えば、側部360cに隣接する屈折率の比率に基づくものであり得る、など)未満で側部360cに伝搬する場合、側部360cに入射する案内光(またはその一部)は、反射されて導波路360内に戻り得る。同様に、示すように、導波路360は、側部360eと側部360eに対向する導波路360の別の側部(図示せず)の間に水平に延在して、例えば案内光の発散を水平に低減し得る。
【0059】
[0068] さらに、示すように、光302の光の一部302a、302b、302cは、導波路360の案内方向(例えば、側部360aと360bの間)に沿って延在する側部360cから外に伝搬し得る。一例では、案内光の一部302a、302b、302cは、側部360cを通って消えていく光のエバネッセント場に対応し得る。この例では、エバネッセント光302a、302b、302cは、様々な理由で、導波路360から漏出し得る。例えば、光の一部302a、302b、302cは、臨界角より大きな角度で側部360cに到達する光に対応し得る。結果として、案内光の一部302a、302b、302cは、かくして、反射して(例えば全反射を介して)導波路360内に戻るのではなく導波路360から漏れ得る。別の例では、導波路360は、光の一部302a、302b、302cが導波路360から外に伝搬することを可能にし、その一方、案内光302の残りの部分を側部360bに向けて引き続き伝搬させる変形部(例えばくぼみなど)を、側部360cの表面に沿って備え得る。
【0060】
[0069] かくして、光検出器アレイ110とは異なり、光検出器アレイ310は、側部360cから外に伝搬する光の一部302a、302b、302cを受光かつ/または検出するために、導波路360の案内方向に沿って(例えば側部360cに隣接して)配置され得る(示すように)。このプロセスを通して、システム300は、光302を受光する増大された検出エリアを提供し、同時に不透明材料320の後ろの空間も効率的に利用し得る。
【0061】
[0070] 図3Aおよび3Bに示す様々なコンポ―ネントおよび特徴のサイズ、位置、および形状は必ずしも縮尺通りではなく、説明の便宜のため示すように例示されることに留意されたい。さらに、いくつかの実施形態では、システム300は、示されるコンポーネントよりも少ないまたは多いコンポーネントを含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、示すコンポーネントの1つ以上は組み合わされ得、または、別々のコンポーネントに分割され得る。
【0062】
[0071] 第1の実施形態では、光検出器アレイ310は、代替として、側部360c上に配置され得る(例えば、成型されるなど)。
【0063】
[0072] 第2の実施形態では、導波路360と開口部322の距離は変わり得る。一例では、示すように、導波路360は、不透明材料320に沿って(例えば接触してなど)配置され得る。かくして、例えば、側部360a(すなわち、導波路360の入力端部)は、開口部322と実質的に同一平面上にあり得またはそれに近接し得る。例えばこの構成を用いることによって、導波路360は、開口部302を通して伝達された光302が発散する前に、光302を受け案内することができる。しかしながら、他の例では、導波路360は、代替として、不透明材料320(および開口部322)から距離(例えば隙間)をあけて配置され得る。
【0064】
[0073] 第3の実施形態では、レンズ330に対する開口部322(および/または導波路360の側部360a)の配置は変わり得る。
【0065】
[0074] 一例では、開口部322(および/または導波路360の入力端部)は、レンズ330の焦点面に沿って配置され得る。
【0066】
[0075] 別の例では、開口部322(および/または導波路360の入力端部)は、レンズ330の焦点面に平行するが、焦点面とレンズ330の距離とは異なるレンズ330までの距離で配置され得る。かくして、この例では、システム300の光学特性(例えば、焦点構成など)は、システム300の用途次第で調整することができる。このようにして、いくつかの例では、焦点を合わせられた光302は、側部360bに向けて発散し始める前に、導波路360内で収束を続け得る(開口部322を通して伝達された後)。いくつかの例では、システム300はまた、レンズ330、不透明材料320、および/または導波路360を移動させて、シーンをスキャンしながら特定の光学構成を達成するアクチュエータも含み得る。
【0067】
[0076] さらに別の例では、開口部322(および/または導波路360の側部360a)は、レンズ330の焦点面に対してオフセット方向に配置され得る。例えば、システム300は、光302の導波路360内への入射角を調整するために、不透明材料320(および/またはアレイ360)を回転させ得る(例えばアクチュエータを介して)。そうすることによって、コントローラ(例えばコントローラ250)は、さらに、数ある要因の中でも、レンズ330のレンズ特性、システム300の環境といった様々な要因次第で、システム300の光学特性を制御し得る(例えば、スキャンされたシーンの特定の領域から到達する雑音/干渉を低減させるため、など)。
【0068】
[0077] 第4の実施形態では、材料320は省略することができ、側部360aが代替としてレンズ330の焦点面に沿ってまたは平行して配置され得る。この実施形態では、側部360aが、かくして、開口部に対応し得る。
【0069】
[0078] 第5の実施形態では、アレイ310内の光検出器は、代替として、導波路360に結合された(例えば、その上に配置されたまたはそれに成型された、など)別々の物理的構造として実装することができる。
【0070】
[0079] 第6の実施形態では、光検出器アレイ310は、代替としてまたはさらに、導波路360の他の側部(例えば、側部360e、側部360dなど)に重なるように実装することができる。かくして、この実施形態では、アレイ310内の光検出器は、より大きな検出エリアにわたって、導波路360から漏出する光を検出することができる。
【0071】
[0080] 第7の実施形態では、導波路360は、代替として、光ファイバなどの円筒形状を有し得る。この実施形態では、アレイ360内の光検出器は、代替として、光ファイバの円筒状の外面から消えていくまたはそれ以外の方法で漏出する光の一部302a、302b、302cなどを検出するために、光ファイバの外面を囲むように配置され得る。かくして、様々な実施形態では、導波路360は、剛構造(例えばスラブ導波路)としてまたは柔構造(例えば光ファイバ)として実装され得る。
【0072】
[0081] 上記で論じたことにしたがって、例えば、導波路360は、開口部322を通して伝達された光302(またはその一部)を、発散光102の伝搬の方向と直交する平面(例えば、図1Aに示す影付きの領域)とは異なり、様々な形状または位置を有し得る検出エリア内に拡散する導波路拡散板として構成され得る。
【0073】
[0082] 図4は、例示的な実施形態によるミラー470に結合された導波路460を例示する。導波路460は、導波路360と同様であり得る。かくして、例えば、導波路460は、導波路360に代えてまたは加えて、システム300で用いられ得る。その目的のために、光402、光の一部402a、402b、402c、および側部460a、460b、460c、460dは、それぞれ光302、光の一部302a、302b、302c、および側部360a、360b、360c、360dと同様であり得る。
【0074】
[0083] ミラー470は、側部460bから外に伝搬する光を反射させて導波路460内に戻す任意の反射材料を備え得る。結果として、例えば、側部460cを通って拡散しなかった光は導波路460内に戻されて、側部460cに隣接する光検出器(図示せず)に向けて拡散する可能性をさらに高め得る。
【0075】
[0084] 示すように、導波路460は、クラッド層464によって部分的に囲まれているコア領域462を含む。コア領域462は、光302の少なくとも一部の波長に対して透過性を有する、例えばガラス基板などの相対的に高い屈折率の材料を備え得る。クラッド層464は、例えばポリマーをコーティングしたまたはフッ素をドープしたガラス基板などの、相対的に低い屈折率の材料を備え得る。いくつかの例では、導波路360は、クラッド層464に対応するドープ領域を含むガラス基板から形成され得る。したがって、ドープされていないガラス基板の領域が、コア462に対応し得る。
【0076】
[0085] 示すように、クラッド層464は、側部460cではなく側部460dに配置される。この構成を用いることによって、例えば、拡散光の一部402a、402b、402cは、側部460dよりも側部460cを通って導波路460から出る可能性が高くなり得る。例えば、クラッド層464の存在によって、コア462とクラッド層464の界面に入射する光に対する臨界角は、側部460cにおける対応する臨界角より大きなものとなり得る。結果として、導波路460内のより大きな範囲の案内光が、例えばシステム300のアレイ310内の光検出器などの光検出器(図示せず)に向かって側部460cから外に拡散し得る。
【0077】
[0086] いくつかの例では、クラッド層464は、側部460dに加えてまたはその代わりに、導波路460の他の側部に沿って延在し得る。例えば図3Aおよび3Bに戻って参照すると、クラッド層は、側部360eおよび側部360eに対向する導波路360の側部(図示せず)に沿って導波路360を囲むように構成され得る。この構成を用いることによって、例えば、側部460cを通る光の一部402a、402b、402cの拡散は、さらに、クラッド464によって囲まれる他の側部に対して向上され得る。
【0078】
[0087] 側部460cを通る光の一部402a、402b、402cの拡散を強化するために、いくつかの実装例では、側部460cの表面のテクスチャは、加えてまたは代替として、導波路460の他の側部(例えば側部460d)よりも大きな粗度を有し得る。かくして、例えば、導波路460は、疑似ランダムな粗面460cを有する粗い導波路として実装され得る。代替としてまたは加えて、いくつかの例では、側部460cの表面は、光検出器(図示せず)と重なる所定位置に配置された散乱特徴(例えば、くぼみ、刻み目など)を有し得る。これらの例では、散乱特徴は、光の一部402a、402b、402cの拡散の可能性を、対応する光検出器が配置されている特定の位置で増大させ得る。
【0079】
[0088] いくつかの実装例では、クラッド層を同じく側部460cに含むことが望ましいこともある。例えば、側部460aと460bの間の導波路460の長さが増大するにつれて、案内光402のうちより多くが、側部460bにより近い側部460cの領域よりも、側部460aにより近い側部460cの領域から出得る。
【0080】
[0089] よって、図5は、例示的な実施形態による、複数の変形部566、567、568を有するクラッド層564を含む導波路560の断面図を示す。導波路560は、導波路360と同様であり得る。かくして、例えば、導波路560は、導波路360の代わりにまたは加えて、システム300で用いられ得る。その目的のために、発散光502、光の一部502a、502b、502c、および側部560a、560b、560c、560dは、それぞれ、発散光302、光の一部302a、302b、302c、および側部360a、360b、360c、360dと同様であり得る。さらに、導波路560は、それぞれコア462およびクラッド層464と同様であり得るコア562およびクラッド層564を含む。
【0081】
[0090] 示すように、導波路460とは異なり、クラッド層564は、光の一部502a、502b、502cがそこから導波路560の外に拡散する側部560cにわたって延在する。変形部566、567、568に対して様々な構成が可能である。一例では、変形部566、567、568は、クラッド層564の除去された、薄肉化された、かつ/またはそれ以外の方法でひずまされた部分に対応し得る。その目的のために、変形部566、567、568は、機械的摩擦(例えばサンドペーパーなど)、機械加工、エッチングなどといった様々な技術を用いて形成され得る。別の例では、変形部566、567、568は、コア562と同一のまたはより高い屈折率を有する材料に対応し得る。例えば、変形部566、567、568は、コア領域562と同一のポリマーまたは同様の(またはより高い)屈折率を有する別のポリマーを含み得る。さらに別の例では、変形部566、567、568は、クラッド層564の他の領域より小さな厚さを有する、クラッド層564の領域に対応し得る。
【0082】
[0091] 実装例を問わず、光の一部502a、502b、502cは、それぞれ変形部566、567、568を介して、これらの領域におけるより高い屈折率により、導波路560から出得る。ひいては、例えば、光検出器(図示せず)は、拡散光の一部502a、502b、502cを検出するために、変形部566、567、568と整列され得る。例えば、各光検出器は、変形部と接触してまたは近接して配置され得る。さらに、例えば、変形部566、567、568の間のクラッド層564の存在により、導波路560内の案内光のより多くを側部560bに向かって引き続き伝搬させ得る。
【0083】
[0092] 代替の実装例では、示さないが、変形部566、567、568は、代替として、光検出器と整列されていない他の領域と比較すると薄い厚さを有する、クラッド層564の領域として実装され得る。さらに別の代替実装例では、示さないが、コア562の厚さは、代替として、光検出器それぞれと重なる領域において薄くなり得る。実装例を問わず、フラストレイテッド全反射(FTIR)は、変形部566、567、568の位置で、これらの位置における屈折率の歪みにより、生じ得る。
【0084】
[0093] 導波路560における変形部およびクラッド層の結果として、案内光502は、案内光402がそこから拡散する、導波路460の側部460cの表面積と比較して、側部560cの相対的に大きな表面積にわたって拡散し得る。
【0085】
[0094] 図6は、例示的な実施形態による、変形部666、667、668によって例示される可変的に離間する複数の変形部を有するクラッド層664を含む導波路660を示す。導波路660は、導波路560と同様であり得る。かくして、例えば、導波路660は、導波路360の代わりにまたは加えて、システム300で用いられ得る。その目的のために、発散光602、光の一部602a、602b、602c、側部660a、660b、660c、660d、コア662、クラッド664、および変形部666、667、668は、それぞれ発散光502、光の一部502a、502b、502c、側部560a、560b、560c、560d、コア562、およびクラッド564と同様であり得る。
【0086】
[0095] しかしながら、導波路560の変形部566、567、568とは異なり、変形部666、667、668は、クラッド層664に沿って可変的に離間され得る。そうすることによって、例えば、導波路660は、変形部666、667、668から外に伝搬する光の一部602a、602b、602cの均一性を高め、かつ/または、案内光がそれを通って導波路660から外に引き続き拡散する側部660cの領域(例えば、側部660aと660bの間の長さ方向)を増大させ得る。
【0087】
[0096] 例示的なシナリオでは、導波路668から外に伝搬する光の一部602cは、変形部666から外に伝搬する光の一部602aよりも、少ない量、強度、輝度などを有し得る。そうした相違は、様々な要因によって生じ得る。例えば、変形部666から外に伝搬する光602aの量は、変形部666が側部660aにより近いので、より多くなり得る。案内光602が側部660bに向かって伝搬するにつれて、例えば、導波路660における連続的な変形部を介した案内光602の一部の拡散によって、より少ない案内光が、変形部668を通る拡散のために残り得る。よって、いくつかの例では、変形部666、667、668などは、拡散される光の一部602a、602b、602cのより均一な強度を提供するために、可変的に離間され得る。例えば、図6に示すように、変形部667と668の距離は、変形部666と667の距離よりも小さくなり得る。拡散される光の一部602a、602b、602cは、アレイ310における光検出器などの光検出器(図示せず)によって受光され得る。
【0088】
[0097] よって、いくつかの例では、隣接する変形部間の距離は、隣接する変形部から側部660aまでの所与の距離に基づくものであり得る。例えば、導波路660における隣接する変形部間の距離は、変形部が側部660aからどのくらい離れているか次第で、徐々に低減され得る。
【0089】
[0098] 代替としてまたは加えて、導波路660における隣接する変形部間の距離は、光602の期待波長に応じて選択され得る。例えば、光602がLIDARレーザエミッタ(例えばエミッタ240)によって放出される光パルスを備える場合、変形部666、667、668間の間隔などは、導波路660が、それぞれの光検出器に向けて変形部を介して拡散するための特定の波長を選択する光子結合器として構成されるように、選択され得る。このことを容易にするために、いくつかの実装例では、クラッド664の厚さもまた、選択された波長(複数可)を有する光の建設的干渉を増幅させるように予め定義され得る。加えて、示さないが、ミラー(ミラー470と同様の)は、クラッド664を通って漏れるエバネッセント光を反射して導波路660に戻し、それによって、建設的干渉をさらに増幅させるために、側部660dに隣接して配置され得る。
【0090】
[0099] 図2に戻って参照すると、いくつかのシナリオでは、目的のSNRを達成しながらも、複数の開口部(または大きな開口部)から追加の情報を、現在の開口部の構成を用いて取得される情報と同時に取得することが望ましい場合がある。例として、エミッタ240によって放出された光パルスは、LIDARデバイス200に対して様々な距離におけるいくつかの物体に散乱され得、そうして、散乱光の一部は、レンズ230を介して、現在の開口部外の不透明材料220の領域上に焦点を合わせられ得る。したがって、例えば図1Aに戻って参照すると、開口部122に隣接する領域上に焦点を合わせられた光を検出しながら、同時に開口部122上で焦点を合わせられた光を検出することが望ましい場合がある。しかしながら、追加の開口部が開口部122に隣接して配置される(または開口部122のサイズが増大する)場合、追加の開口部からの発散光は、アレイ110に到達する前に発散光102と重なり得、それによって、検出信号のSNRを低減させる。
【0091】
[0100] 図7は、例示的な実施形態による開口部および複数の導波路を含む雑音制限システム700の図である。システム700は、例えばシステム300と同様であり得る。その目的のために、レンズ730は、光702を、不透明材料720内に画定された開口部722内に焦点を合わせ得、それらはそれぞれ、レンズ330、光302、開口部322、および不透明材料320と同様である。かくして、光702は、開口部722を通して伝達され得る。さらに、システム700は、各々がアレイ310と同様である光検出器アレイ710、712、および714を含む。例えば、アレイ710は、アレイ710に入射する光の一部702aを示す合成出力を提供するための、互いと並列接続されている(例えば、並列回路構成)複数の光検出器(図示せず)を含みる。同様に、例えば、アレイ712は、光の一部702bを受光する別の複数の接続された光検出器を含み得、アレイ714は、光702cを受光するさらに別の複数の接続された光検出器を含み得る。
【0092】
[0101] しかしながらシステム300とは異なり、示すように、システム700は、発散光702のそれぞれの部分を受けるための、不透明材料720の後ろに配置された複数の導波路760、762、764を含む。かくして、例えば、導波路760は、側部760aで光702の第1の部分を受け、受けた部分を導波路760の対向側部760bに向けて案内し得る。案内光の一部は、その後アレイ710における光検出器によって受光され検出され得る光702aとして、側部760c(側部760aと760bの間に、導波路760の案内方向に沿って延在する)を通って拡散され得る。同様に、例えば、導波路762は、側部762aで光702の第2の部分を受け、第2の部分を導波路762の対向側部762bに向けて案内し得る。案内光の一部はかくして、アレイ712における光検出器によって受光され検出され得る光702bとして、側部762cを通って拡散され得る。同様に、例えば、導波路764は、側部764aで光702の第3の部分を受け、第3の部分を導波路764の対向側部764bに向けて案内し得る。案内光の一部はかくして、アレイ714における光検出器によって受光され検出され得る光702cとして、側部764cを通って拡散され得る。
【0093】
[0102] かくして、この構成を用いることによって、システム700は、それぞれ隣接する開口部からの光の重なりを防止しつつ、より小さな隣接する開口部(すなわち、開口部722の一部に対応する)を通し、同時に相対的により大きな検出エリアにわたって、伝搬している光の検出を可能にし得る。このことを容易にするために、示すように、隣接する導波路の各対は、導波路を受けるそれぞれの案内方向に沿って互いから離れるように延在し得る。例えば、示すように、導波路760は、導波路762から離れるように延在し、導波路764は、導波路762から離れるように延在する。
【0094】
[0103] 導波路760、762、764の入力端部760a、762a、764aは類似のサイズを有するとして示されるが、いくつかの例では、入力端部760a、762a、764aは、互いに対して異なるサイズを有し得る。例として、導波路762の入力端部762aは、導波路760の入力端部760aより大きなサイズを有し得る。この例では、導波路760および762それぞれに入射する光702のそれぞれの部分の断面積の違いによって、アレイ712で検出される光702bは、光702aによって示され光検出器710に入射する画角に対して、スキャンされたシーンのより大きな画角(FOV)を表し得る。
【0095】
[0104] いくつかの例では、導波路間のクロストークを防ぐために、各導波路は、それぞれの光検出器アレイ上への光の拡散を、隣接する導波路が十分に離れている位置で開始するように構成され得る。例えば、導波路760は、クラッド(例えばクラッド464)を備え得、クラッドは、導波路760が導波路762から離れて曲がって(例えば、湾曲側部760cの湾曲に基づいて)導波路760と762の間での案内光の漏れを低減または防止するのに十分な分離距離がもたらされるまで、いかなる変形も含まなくてもよい。
【0096】
[0105] いくつかの例では、システム700はまた、隣接する導波路間の潜在的なクロストークをさらに防ぐために、様々な導波路間に位置する(図示せず)吸収材層(複数可)(例えばカーボンブラック、黒クロムなど)も含み得る。例えば、吸収材層は、エバネッセント光、または隣接する導波路間を伝播している他の光(例えば、導波路クラッド内を伝播している光のクラッドモード)を吸収し得る。
【0097】
[0106] かくして、システム700は、開口部722を通して伝達された発散光702によって示される、シーンの多画素撮像を可能にし得ると同時に、光(およびその関連する背景雑音)の小さな各部分のみを各導波路によって案内するので、背景雑音を低減もする。例えば、示すように、アレイ710における光検出器からの合成出力は、開口部722の第1の長さ方向部分を通って伝達された光を示す第1の画素に対応し得、アレイ712における光検出器からの合成出力は、開口部722の第2の長さ方向部分を通って伝達された光を示す第2の画素に対応し得、アレイ714における光検出器からの合成出力は、開口部722の第3の長さ方向部分を通って伝達された光を示す第3の画素に対応し得る。このように、例えば、デバイス200のコントローラ250は、3つの画素を合成することによって、シーンの1次元(1D)画像(例えば、開口部722の長さ方向で垂直に)を計算し得る。
【0098】
[0107] しかしながら、システム700は代替として、より多いまたはより少ない画素を有する1D画像を生成するためのより多いまたはより少ない導波路を含み得ることに留意されたい。さらに、導波路760、762、764は開口部722に対して長さ方向(例えば垂直)配置で示されるが、いくつかの例では、システム700は、異なる配置での導波路を含み得る。一例では、導波路の受信側部(例えば760a、762a、764a)は、代替として、シーンの水平な1D画像を取得するために、水平に(例えば、ページに垂直な方向に沿って)配置され得る。別の例では、導波路の受信側部は、代替として、開口部722に隣接して水平にかつ垂直の両方に(例えば、2次元格子として)配置され得る。かくして、この例では、コントローラ250は、シーンの2次元(2D)画像を生成するために、導波路からの出力を合成し得る。
【0099】
3.例示的な方法およびコンピュータ可読媒体
[0108] 図8は、例示的な実施形態による方法800の流れ図である。方法800は、例えばシステム100、300、700、デバイス200、および/または導波路460、560、および660のいずれかと共に用いられ得る方法の実施形態を提示する。方法800は、ブロック802~810の1つ以上によって示される1つ以上の動作、機能、またはアクションを含み得る。ブロックは順次示されるが、これらのブロックは、いくつかの例では、並行して、かつ/または本明細書中に記載された順序とは異なる順序で行われ得る。また、様々なブロックは、より少ないブロックに組み合され得、さらなるブロックに分割され得、かつ/または、所望の実装例に基づいて削除され得る。
【0100】
[0109] 加えて、方法800ならびに本明細書中に開示された他のプロセスおよび方法において、流れ図は、本実施形態の1つの可能な実装例の機能および動作を示す。この点に関連して、各ブロックは、プロセスにおける具体的な論理機能またはステップを実装するための、プロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含むモジュール、セグメント、製造あるいは動作プロセスの一部、またはプログラムコードの一部を表し得る。プログラムコードは、例えばディスクまたはハードドライブを含むストレージデバイスといった任意の種類のコンピュータ可読媒体に格納され得る。コンピュータ可読媒体は、例えばレジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダムアクセスメモリ(RAM)のようなデータを短期間格納するコンピュータ可読媒体といった非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体はまた、例えば読み取り専用メモリ(ROM)、光学または磁気ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)のような二次または永続長期ストレージといった非一時的な媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体はまた、任意の他の揮発性または不揮発性のストレージシステムであってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えばコンピュータ可読ストレージ媒体、または有形のストレージデバイスと考えられ得る。加えて、方法800ならびに本明細書中に開示された他のプロセスおよび方法において、図8の各ブロックは、プロセスにおける具体的な論理機能を行うように配線されている回路を表し得る。
【0101】
[0110] ブロック802において、方法800は、シーンに対して配置されたレンズ(例えばレンズ130)によってシーンからの光の焦点を合わせることを含む。いくつかの例では、シーンからの光は、シーン内の物体(例えば物体104)によって散乱され得る。いくつかの例では、コンピューティングデバイス(例えばコントローラ250)は、レンズの特性(例えば焦点面、焦点長さなど)を作動またはそれ以外の方法で調整し得る。ブロック804において、方法800は、焦点を合わせられた光を、不透明材料(例えば不透明材料120)内に画定された開口部(例えば開口部322)を通して伝達することを含む。ブロック806において、方法800は、導波路の第1の側部(例えば側部360a)で、開口部を通して伝達された光の少なくとも一部を受けることを含む。ブロック808において、方法800は、受けた光を、導波路の第2の側部(例えば側部360b)に向けて、導波路によって案内することを含む。ブロック810において、方法800は、第1の側部と第2の側部の間に延在する第3の側部(例えば、側部360cなど)から外に伝搬する光を検出することを含む。
【0102】
[0111] 上記の詳細な説明は、添付の図を参照して、開示されたシステム、デバイス、および方法の様々な特徴および機能を記載する。様々な態様および実施形態を本明細書中に開示してきたが、他の態様および実施形態は明らかであるだろう。本明細書中に開示された様々な態様および実施形態は、単に例示の目的のためであり、限定の意図はなく、真の範囲については以下の特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8