IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】イメージング・システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B6/03 360D
A61B6/03 360J
A61B6/03 360T
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084192
(22)【出願日】2022-05-24
(65)【公開番号】P2022184766
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】202110600353.5
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジンギ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ミンヤン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンラン・シュー
(72)【発明者】
【氏名】ユーティン・ドウ
(72)【発明者】
【氏名】ビンジン・ツァオ
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0249582(US,A1)
【文献】特開2020-192006(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111968112(CN,A)
【文献】特表2021-502836(JP,A)
【文献】特開2017-202321(JP,A)
【文献】特開2004-174261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G06T 1/00 , 7/00
G16H 30/00 -30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査対象の位置決め画像を取得するように構成された位置決め画像取得ユニットと、
ニューラル・ネットワークを用いることにより前記位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定して、該特徴点の位置での前記走査対象の監視用スライス画像を取得するように構成された監視用スライス画像取得ユニットと、
前記目標関心領域を得るために前記監視用スライス画像をセグメント分割するように構成された目標関心領域セグメント分割ユニットと
を備え
前記目標関心領域セグメント分割ユニットは、縦続された粗セグメント分割ユニットと細セグメント分割ユニットとを含んでおり、前記粗セグメント分割ユニットは、初期関心領域を得るために前記監視用スライス画像をセグメント分割し、前記細セグメント分割ユニットは、前記目標関心領域を得るために前記初期関心領域に基づいて前記初期関心領域をさらにセグメント分割する、イメージング・システム。
【請求項2】
前記ニューラル・ネットワークは残差ニューラル・ネットワークを含んでいる、請求項1に記載のイメージング・システム。
【請求項3】
前記目標関心領域は、造影走査中の造影剤濃度を監視するために用いられる、請求項1に記載のイメージング・システム。
【請求項4】
前記粗セグメント分割ユニットは、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより前記監視用スライス画像に対して粗セグメント分割を行ない、前記細セグメント分割ユニットは、モルフォロジィ方法、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより前記監視用スライス画像に対して細セグメント分割を行なう、請求項に記載のイメージング・システム。
【請求項5】
走査対象の位置決め画像を取得するステップと、
ニューラル・ネットワークを用いることにより前記位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定して、該特徴点の位置での前記走査対象の監視用スライス画像を取得するステップと、
前記目標関心領域を得るために前記監視用スライス画像をセグメント分割するステップと
を備え
前記目標関心領域を得るための前記監視用スライス画像の前記セグメント分割は、縦続された粗セグメント分割及び細セグメント分割を前記監視用スライス画像に対して行なうことを含んでおり、前記粗セグメント分割は、初期関心領域を得るために前記監視用スライス画像をセグメント分割し、前記細セグメント分割は、前記目標関心領域を得るために前記監視用スライス画像をさらにセグメント分割する、撮像方法。
【請求項6】
前記ニューラル・ネットワークは残差ニューラル・ネットワークを含んでいる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記目標関心領域は、造影走査中の造影剤濃度を監視するために用いられる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記粗セグメント分割は、前記初期関心領域を得るために、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより前記スライス画像に対してセグメント分割を行ない、前記細セグメント分割は、前記目標関心領域を得るために、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより、前記監視用スライス画像に対して細セグメント分割を行なう、請求項に記載の方法。
【請求項9】
請求項から請求項うちのいずれか一項による方法を実行するように構成されたプロセッサを備えたシステム。
【請求項10】
コンピュータ・プログラムを記憶したコンピュータ可読の記憶媒体であって、前記プログラムは、プロセッサにより実行されると、請求項から請求項までによる方法を実行する、コンピュータ可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用撮像に関し、具体的には、造影剤増強走査のためのイメージング・システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造影剤増強(CE)走査は通常、計算機式断層写真法(CT)走査及び磁気共鳴撮像(MRI)走査のような医用撮像走査であって、造影剤が静脈注射される撮像走査を指す。造影剤増強走査は、組織と病変との間の密度差を増大させて、病変と周囲組織との間の関係や、病変の寸法、形状、及び範囲をより明瞭に示すことができ、標準走査では表示されない又は不明瞭である病変を見出す助けとなり、また何らかの器官又は病変での造影剤の分布及び排出を動的に観察したり、造影剤の特性に応じて病変の性質を決定したりするのに用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
計算機式断層写真法血管造影法(CTA)のような一般的なCT増強走査は、優れた画質を得るためにボーラス追跡法を用いる。ボーラス追跡法は、CTA走査の前に監視層において目標血管領域に監視用関心領域(ROI)を設定すること、造影剤注射を開始した後に何らかの時間間隔で監視層の低線量走査を行なうこと、及びROIのCT値が閾値に達した後に容積走査を自動で又は手動で起動することを含んでいる。監視層の位置及び監視用関心領域の位置は、CTA検査の画質に影響を及ぼす。現状では、監視層及び監視用関心領域は通常、撮像技師によって手動で設定されている。一方では設定の精度及び画質は撮像技師の経験に依存し、他方では撮像技師の仕事量が増大する。
【0004】
従って、造影剤増強撮像の品質を高めるために監視層及び監視用関心領域を自動的に且つ正確に設定し得る新規のイメージング・システム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の技術的問題に鑑みて、本出願の実施形態はイメージング・システムを提供し、このイメージング・システムは、走査対象の位置決め画像を取得するように構成された位置決め画像取得ユニットと、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点(key point)を決定して、特徴点の位置での走査対象の監視用スライス画像を取得するように構成された監視用スライス画像取得ユニットと、目標関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割するように構成された目標関心領域セグメント分割ユニットとを含んでいる。
【0006】
本発明の一観点では、ニューラル・ネットワークは、残差ニューラル・ネットワークを含んでいる。
【0007】
本発明の一観点では、目標関心領域は、造影走査中の造影剤濃度を監視するために用いられる。
【0008】
本発明の一観点では、目標関心領域セグメント分割ユニットは、縦続された粗セグメント分割ユニットと細セグメント分割ユニットとを含んでおり、粗セグメント分割ユニットは、初期関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割し、細セグメント分割ユニットは、目標関心領域を得るために初期関心領域に基づいて初期関心領域をさらにセグメント分割する。
【0009】
本発明の一観点では、粗セグメント分割ユニットは、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより、監視用スライス画像に対して粗セグメント分割を行ない、細セグメント分割ユニットは、モルフォロジィ方法、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより、監視用スライス画像に対して細セグメント分割を行なう。
【0010】
本出願の実施形態はさらに、撮像方法を提供し、この方法は、走査対象の位置決め画像を取得するステップと、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定して、特徴点の位置での走査対象の監視用スライス画像を取得するステップと、目標関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割するステップとを含んでいる。
【0011】
本発明の一観点では、ニューラル・ネットワークは、残差ニューラル・ネットワークを含んでいる。
【0012】
本発明の一観点では、目標関心領域は、造影走査中の造影剤濃度を監視するために用いられる。
【0013】
本発明の一観点では、目標関心領域を得るための監視用スライス画像のセグメント分割は、縦続された粗セグメント分割及び細セグメント分割を監視用スライス画像に対して行なうことを含んでおり、粗セグメント分割は、初期関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割し、細セグメント分割は、目標関心領域を得るために初期関心領域をさらにセグメント分割する。
【0014】
本発明の一観点では、粗セグメント分割は、初期関心領域を得るために、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより、スライス画像に対してセグメント分割を行なうことを含んでおり、細セグメント分割は、目標関心領域を得るために、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット、又は深層学習方法の少なくとも一つを用いることにより、監視用スライス画像に対して細セグメント分割を行なうことを含んでいる。
【0015】
本発明の一観点はさらに、以上の観点の任意の一つによる撮像方法を実行するプロセッサを含むシステムを提供する。
【0016】
本発明の一観点はさらに、コンピュータ・プログラムを記憶したコンピュータ可読の記憶媒体を提供し、プログラムは、プロセッサによって実行されると、以上の観点の任意の一つによる撮像方法を具現化する。
【0017】
本発明では、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を正確に決定することができ、さらに監視用スライスを正確に取得することができる。加えて、縦続された粗セグメント分割及び細セグメント分割によるセグメント分割を通じて目標関心領域を正確に得ることができる。本発明は、撮像工程においてコンピュータによるセグメント分割を通じて目標関心領域を自動的に得ることを可能にするので、撮像技師の手動操作が必要とされない。
【0018】
上の概要は、「発明を実施するための形態」の部においてさらに記載される技術的な解を単純化された形態で提起するために掲げられていることを理解されたい。上の概要は、本発明の請求される主要な又は本質的な特徴を画定するものではなく、請求の範囲は、特許請求の範囲によって排他的に画定される。さらに、請求される主題は、上に記載される又は本開示の何れの部分に記載される何れの短所を解決する具現化形態にも限定されない。
【0019】
本発明のこれら及び他の特徴及び観点は、以下の図面に関連させた詳細な説明を通じてさらに明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本出願に含まれる添付図面は、本出願の各実施形態をさらに十分に理解することを助けるためのものであり、これらの図面は本明細書の部分を成し、これらの図面を用いて、文章記述と共に本出願の具現化形態を図解し、また本出願の原理を説明する。明らかに、以下の記載での添付図面は本出願の幾つかの実施形態であるに過ぎず、当業者は、発明的努力の行使なくして添付図面に従って他の具現化形態を得ることができる。
【0021】
図1】本発明の実施形態によるCTイメージング・システムの遠近図である。
図2】本発明の実施形態によるCTイメージング・システムのブロック図である。
図3】本発明の実施形態によるイメージング・システムのブロック図である。
図4】本発明の実施形態による監視用スライス画像取得ユニットのブロック図である。
図5】本発明の実施形態による深層学習ネットワーク方式セグメント分割ユニットのブロック図である。
図6(A)】図6(A)は、本発明の実施形態による特定の部位の監視用スライス画像を取得する監視用スライス画像取得ユニットのブロック図である。
図6(B)】図6(B)は、本発明の実施形態による特定の部位の監視用スライス画像を取得する監視用スライス画像取得ユニットのブロック図である。
図6(C)】図6(C)は、本発明の実施形態による特定の部位の監視用スライス画像を取得する監視用スライス画像取得ユニットのブロック図である。
図7】本発明の実施形態によるイメージング・システムの目標関心領域セグメント分割ユニットのブロック図である。
図8】本発明の実施形態によるセグメント分割を通じて特定の部位の目標関心領域を得る目標関心領域セグメント分割ユニットのブロック図である。
図9】本発明の実施形態による撮像方法のフロー・チャート・ブロック図である。
図10】本発明の実施形態による監視用スライス画像を取得するのに用いられる撮像方法のフロー・チャート・ブロック図である。
図11】本発明の実施形態によるセグメント分割を通じて目標関心領域を得るために用いられる撮像方法のフロー・チャート・ブロック図である。
図12】本発明の実施形態による撮像方法を実行する電子装置の一例を示す図である。
図13】本発明の実施形態による撮像方法を実行するイメージング・システムの一例を示す図である。
【0022】
本発明の一実施形態における諸要素は、さらなる綿密な作業なく他の実施形態に有利に適用され得ることが期待され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の特定の具現化形態について記載する。これらの実施形態の具体的な記述においては、簡潔さを目的として、本明細書は実際の具現化形態の全特徴を詳細に記載している訳ではないことを特記しておく。あらゆる実際の具現化形態の実際の実装工程時には、どの工学的プロジェクト又は設計プロジェクトの工程とも同じく、開発者の特有の目標を達成するために、また具現化形態毎に異なり得るシステム関連の制約事項及び業務関連の制約事項を満たすために、多様な具体的決定がしばしば下されることを理解されたい。また、かかる開発工程で払われる努力は複雑で時間が掛かるかもしれないが、本発明に開示される内容に関わる業者にとっては、本発明に開示される技術的内容に基づく設計、製造、又は生産等の幾つかの変更は従来の技術的手段であるに過ぎないことが理解されよう。本発明の内容は不十分なものと解釈されるべきではない。
【0024】
他に定義されない限り、特許請求の範囲及び明細書に用いられる技術用語又は科学用語は、本発明が属する技術的分野の業者によって理解される通常の意味を有するものとする。本発明の特許出願の明細書及び特許請求の範囲に用いられる「第一」、「第二」、及び同様の用語は、如何なる序列、量、又は重要性を表わすものでもなく、異なる要素同士を区別するためのみに用いられている。「一つ」という用語又は単数不定冠詞、及び類似の用語は、量の制限を表わすものではなく、少なくとも一つの存在を示す。「含んでいる(include又はcomprise)」及び類似の用語は、当該「含んでいる(include又はcomprise)」の前の要素又は物品が「含んでいる(include又はcomprise)」の後に列挙される要素又は物品、及びその等価要素を包含することを意味しており、他の要素又は物品を排除しない。「接続する(connect)」又は「接続されている(connected)」という用語、及び類似の語は、物理的接続又は機械的接続に限定されず、また直接的な接続又は間接的な接続にも限定されない。
【0025】
本書に記載されるイメージング・システム及び方法は、限定しないが、計算機式断層写真法(CT)装置、磁気共鳴撮像(MRI)装置、Cアーム撮像装置、又は他の任意の適当な医用撮像装置を含めた様々な医用撮像モダリティに適用可能であり得る。このイメージング・システムは、上述の医用撮像装置を含んでいてよく、またこの医用撮像装置に接続された別個のコンピュータ装置を含んでいてよく、さらにインターネット・クラウドに接続されたコンピュータ装置を含んでいてよい。コンピュータ装置は、医用撮像装置、又は医用画像を記憶するためのメモリに、インターネットを介して接続される。また撮像方法は、上述の医用撮像装置、この医用撮像装置に接続されたコンピュータ装置、インターネット・クラウドに接続されたコンピュータ装置によって、独立して又は組み合わせて具現化され得る。
【0026】
一例として、X線計算機式断層写真法(CT)装置と関連させて以下に本発明を記載する。当業者は、本発明が、撮像に適した他の医用撮像装置にも適用可能であり得ることを認められよう。
【0027】
図1は、本発明の実施形態の各例によるイメージング・システム及び方法が適用可能であるCT撮像装置100を示す。図2は、図1に示すCTイメージング・システム100の例の概略ブロック図である。
【0028】
図1には、CTイメージング・システム100が走査ガントリ11を含むものとして示されている。走査ガントリ11はX線源11aを有し、X線源11aは、走査ガントリ11の反対側の検出器アセンブリ又はコリメータ12へ向けてX線ビームを投射する。
【0029】
図2では、検出器アセンブリ12は、複数の検出器ユニット12aとデータ取得システム(DAS)12bとを含んでいる。複数の検出器ユニット12aは、投射されて対象10aを通過したX線11bを感知する。
【0030】
DAS12bは検出器ユニット12aの感知に従って、収集された情報を後の処理のために投影データへ変換する。X線投影データを取得する走査中に、走査ガントリ11及びここに装着された構成要素が回転中心11cの周りを回転する。
【0031】
走査ガントリ11の回転及びX線源11aの動作は、CTシステム100の制御機構13によって制御される。制御機構13は、電力及びタイミング信号をX線源11aに与えるX線制御器13aと、走査ガントリ11の回転速度及び位置を制御するスキャナ・モータ制御器13bとを含んでいる。画像再構成装置14がDAS12bからの投影データを受け取り、画像再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ15への入力として伝達されて、コンピュータ15は画像を大容量記憶装置16に記憶する。
【0032】
コンピュータ15はまた、コンソール17を通じて操作者から命令及び走査パラメータを受け取り、コンソール17は、キーボード、マウス、音声起動式制御器、又は他の任意の適当な入力装置のような何らかの形態の操作者インタフェイスを有している。付設されている表示器18が、再構成された画像及びコンピュータ15からの他のデータを操作者が観察することを可能にする。操作者によって与えられた命令及びパラメータはコンピュータ15によって用いられて、DAS12b、X線制御器13a、及び走査ガントリ・モータ制御器13bに制御信号及び情報を与える。加えて、コンピュータ15は、対象10及び走査ガントリ11を配置するように作業台19を制御する作業台モータ制御器19aを動作させる。具体的には、作業台19は、図1の走査ガントリ開口11dを通して全体的に又は部分的に対象10を移動させる。
【0033】
図3は、本発明の実施形態によるイメージング・システム200の一例のブロック図を示す。イメージング・システム200は、位置決め画像取得ユニット21、監視用スライス画像取得ユニット22、及び目標関心領域セグメント分割ユニット23を含んでいる。例えば、これらのユニット21、22、23は、図1及び図2に示すCTイメージング・システム100のコンピュータ15の一部として具現化されてもよいし、該コンピュータ15によって実行されてもよい。位置決め画像取得ユニット21は、走査対象の位置決め画像を取得するように構成されている。監視用スライス画像取得ユニット22は、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定して、特徴点の位置での走査対象のスライス画像を取得するように構成されている。目標関心領域セグメント分割ユニット23は、目標関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割するように構成されている。
【0034】
位置決め画像取得ユニット21は、走査対象の位置決め画像を取得するように構成されている。例えば、CT走査撮像では、正式な走査の前に位置決め走査が通常行なわれる。すなわち、位置決め走査時には走査ガントリのX線管が予め設定された位置に固定され、曝射時に走査用寝台が走査方向に平行に又はz方向に移動し、同時にX線管が低線量X線を走査対象へ放出して、CTスキャナが検出器によって検出された信号に従って平面の位置決め画像を再構成する。位置決め走査から得られた位置決め画像は、走査対象の関心部位を含んでいる。位置決め画像を用いて、後に行なわれる関心部位の正式な走査に適した走査開始位置及び走査終了位置、走査される部位の角度、並びに層厚み等のような走査パラメータを設定することができる。例えば、関心部位には、肺、心臓、腹部、及び骨盤等がある。例えば、位置決め画像は前方位置決め画像であっても側方位置決め画像であってもよい。
【0035】
監視用スライス画像取得ユニット22は、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定して、特徴点の位置での走査対象のスライス画像を取得するように構成されている。図4は、本発明の実施形態による監視用スライス画像取得ユニット22を示しており、該ユニット22は、特徴点取得ユニット22a及び監視用スライス画像取得ユニット22bを含んでおり、特徴点取得ユニット22aは、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定し、監視用スライス画像取得ユニット22bは、特徴点の位置での走査対象のスライス画像を取得する。
【0036】
また、図4に示すように、特徴点取得ユニット22aは、前処理ユニット22c、深層学習ネットワーク方式セグメント分割ユニット22d、及び後処理ユニット22eを含んでいる。前処理ユニット22cは、上述の位置決め画像を前処理するように構成されている。例えば、前処理は、位置決め画像についてのウィンドウ幅/ウィンドウ・レベル調節、正規化、画像拡大縮小、画像切出し(crop)、又は画像反転(flip)の任意の一つ又は複数を含み得る。例えば、ウィンドウ幅/ウィンドウ・レベル調節は、関心部位の特性に応じて位置決め画像のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値を調節することができ、例えば、肺横隔膜のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値を150/450に、また他の部位のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値を250/450に調節することができる。前処理ユニット22cは、位置決め画像を最適化して、深層学習ネットワーク方式セグメント分割ユニット22dによって後に行なわれる特徴点セグメント分割を容易にすることができるが、前処理ユニット22cは必須ではなく、図3では破線のブロックによって表わされていることが理解されよう。
【0037】
深層学習ネットワーク方式セグメント分割ユニット22dは、セグメント分割を通じて目標関心領域に対応する特徴点を得るために、前処理ユニット22cによって処理された位置決め画像をさらに処理するように構成されている。特徴点は、監視用スライス画像に位置して目標関心領域の位置に対応し、この目標関心領域を、造影走査中に関心器官での造影剤濃度を監視するために用いることができる。例えば、気管竜骨を肺の特徴点として選択し、気管竜骨の1cm下方の位置を心臓の特徴点として選択し、横隔膜の上縁を腹部の特徴点として選択し、腸骨稜の上縁を骨盤の特徴点として選択することができる。
【0038】
図4に示すように、例えば、深層学習ネットワーク方式セグメント分割ユニット22dは残差ネットワーク(ResNet)を用いてよく、このネットワークは、五つの畳み込み層部分conv1、conv2_x、conv3_x、conv4_x、及びconv5_xと、全結合層Fcとを含んでいる。残差ネットワークは18層、34層、50層、101層、又は152層のネットワーク構造を採用し得る。位置決め画像は訓練済み残差ネットワークに入力されて、残差ネットワークによるセグメント分割の後に、特徴点画像が出力される。例えば、特徴点画像は特徴ヒート・マップであってよい。
【0039】
後処理ユニット22eは、深層学習ネットワーク方式セグメント分割ユニット22dによってセグメント分割を通じて得られた特徴点の特徴ヒート・マップをさらに処理することができる。後処理ユニット22eは必須ではなく、図4では破線のブロックによって表わされていることが理解されよう。
【0040】
監視用スライス画像取得ユニット22bは、監視用スライス画像を得るために特徴点の位置に従ってアキシャル・スキャンを行なう。
【0041】
図6(A)から図6(C)は、本出願に従って監視用スライス画像取得ユニット22によって得られる関心部位の監視用スライス画像を示す。図6(A)は、心臓部の監視用スライス画像の取得を示す。位置決め画像は特徴点取得ユニット22aに入力され、特徴点取得ユニット22aは、セグメント分割を通じて深層学習ネットワーク22dを用いることにより心臓部の特徴点を得る。例えば、特徴点は、気管竜骨の1cm下方の位置であってよい。監視用スライス画像取得ユニット22bは、イメージング・システムが心臓部を走査した後に特徴点の位置でのスライス画像を取得し、このスライス画像が心臓部の監視用スライス画像となる。
【0042】
図6(B)は、腹部の監視用スライス画像の取得を示す。位置決め画像は特徴点取得ユニット22aに入力され、特徴点取得ユニット22aは、セグメント分割を通じて深層学習ネットワーク22dを用いることにより腹部の特徴点を得る。例えば、特徴点は、横隔膜の上縁であってよい。監視用スライス画像取得ユニット22bは、イメージング・システムが腹部を走査した後に特徴点の位置でのスライス画像を取得し、このスライス画像が腹部の監視用スライス画像となる。
【0043】
図6(C)は、骨盤部の監視用スライス画像の取得を示す。位置決め画像は特徴点取得ユニット22aに入力され、特徴点取得ユニット22aは、セグメント分割を通じて深層学習ネットワーク22dを用いることにより骨盤部の特徴点を得る。例えば、特徴点は、腸骨稜の上縁であってよい。監視用スライス画像取得ユニット22bは、イメージング・システムが骨盤部を走査した後に特徴点の位置でのスライス画像を取得し、このスライス画像が骨盤部の監視用スライス画像となる。
【0044】
異なる走査対象での同じ関心領域の位置は異なっていることが理解されよう。特徴点を決定することにより、走査対象における目標関心領域の位置をより正確に反映することができる。本実施形態によるイメージング・システムでは、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を正確に決定することができ、さらに、監視用スライス画像を正確に取得することができる。
【0045】
図7は、本出願の実施形態による目標関心領域セグメント分割ユニット23を示す。目標関心領域セグメント分割ユニット23は、目標関心領域を得るために上述の監視用スライス画像をセグメント分割し、目標関心領域を用いて、診断走査を起動するために造影走査中に造影剤の流量を監視することができる。目標関心領域セグメント分割ユニット23は、縦続された粗セグメント分割ユニット23a及び細セグメント分割ユニット23bを含んでいる。
【0046】
粗セグメント分割ユニット23aは、初期関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割することができる。初期関心領域は目標関心領域よりも大きい(すなわち初期関心領域は目標関心領域を含むばかりでなく目標関心領域の周りの領域も含む)か、又は初期関心領域は相対的に不明瞭な境界を有し得るか、又は初期関心領域はより少ない組織構造詳細情報を有する。粗セグメント分割ユニット23aは、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット方法、又は深層学習方法の少なくとも一つを採用することができる。例えば、粗セグメント分割ユニット23aは、U-netニューラル・ネットワークを用いることにより監視用スライス画像を粗くセグメント分割することができ、また選択随意で、粗セグメント分割の前に、走査対象のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値の調節、正規化、及び角度に応じた回転を行なう等のように監視用スライス画像を前処理することができる。選択随意で、U-netニューラル・ネットワークを用いることにより粗セグメント分割が行なわれた後に、細セグメント分割ユニット23bによって画像に対して後に行なわれる細セグメント分割を容易にするために、得られた初期関心領域に対して後処理を行なってもよい。
【0047】
細セグメント分割ユニット23bは、目標関心領域を得るために、セグメント分割から得られた正規化済み初期関心領域に基づいてさらにセグメント分割を行なうことができる。目標関心領域は、より明瞭な境界及びより多い組織構造詳細情報を有し得る。細セグメント分割ユニット23bは、モルフォロジィ方法、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット方法、又は深層学習方法の少なくとも一つを採用し得る。
【0048】
目標関心領域セグメント分割ユニット23では、細セグメント分割ユニット23bは、特に微小な組織について、セグメント分割を通じて相対的に明瞭な関心領域を得ることができる。
【0049】
図8は、実施形態による目標関心領域セグメント分割ユニット23による肺の監視用スライス画像のセグメント分割の一例を示しており、粗セグメント分割ユニット23aは、U-Netニューラル・ネットワークを用いて肺監視用スライス画像を粗くセグメント分割する。初期関心領域である上行大動脈(AA)及び下行大動脈(DA)が比較的大きい面積を有していることが分かる。細セグメント分割ユニット23bによるさらなるセグメント分割の後に、目標関心領域である上行大動脈(AA)及び下行大動脈(DA)の面積は縮小されて、目標関心領域は造影撮像中の造影剤の流量をさらに正確に反映することができる。
【0050】
目標関心領域セグメント分割ユニット23は、目標関心領域を得るために肺監視用スライス画像をセグメント分割するのに用いられ得るばかりでなく、心臓部、腹部、及び骨盤部等において目標関心領域を得るためにセグメント分割を行なうのにも用いられ得ることが理解されよう。
【0051】
本出願の実施形態によれば、粗セグメント分割は、セグメント分割を通じて目標関心領域を含む初期関心領域を得ることができ、次いで、初期関心領域を処理されるデータセットとして細セグメント分割が行なわれることが理解されよう。初期関心領域は元の監視用画像に対して、より小さい面積、より少ないデータ量、及びより少ない画像情報を有し、目標関心領域をよりよく反映し得る。従って、後に行なわれる細セグメント分割によるセグメント分割を通じて関心領域をより正確に得ることができる。加えて、本発明は、撮像工程中にコンピュータによって目標関心領域を得るためにセグメント分割を自動的に行なうことができるので、撮像技師の手動操作が要求されない。
【0052】
図9は、本発明の実施形態による撮像方法の一例のブロック図を示す。撮像方法300は、走査対象の位置決め画像を取得するステップ31、スライス画像を取得するステップ32、及び目標関心領域を得るためにスライス画像をセグメント分割するステップ33を含んでいる。例えば、撮像方法300は、図1及び図2に示すCTイメージング・システム100のコンピュータ15によって実行され得る。
【0053】
ステップ31では、走査対象の位置決め画像が取得される。例えば、CT走査撮像では、走査対象の位置決め画像を得るために、正式な走査の前に位置決め走査が通常行なわれる。
【0054】
ステップ32では、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定して、特徴点の位置での走査対象のスライス画像を取得することにより、監視用スライス画像が取得される。図10に示すように、例えば、スライス画像を取得するステップ32は、特徴点を取得するステップ32aと、スライス画像を取得するステップ32bとを含んでおり、特徴点を取得するステップ32aは、ニューラル・ネットワークを用いることにより位置決め画像において目標関心領域の位置に対応する特徴点を決定することを含んでおり、スライス画像を取得するステップ32bは、特徴点の位置での走査対象のスライス画像を取得することを含んでいる。
【0055】
特徴点を取得するステップ32aは、前処理32c、深層学習ネットワーク方式セグメント分割32d、及び後処理32eを含んでいる。前処理32cは、位置決め画像についてのウィンドウ幅/レベル調節、正規化、画像拡大縮小、画像切出し、又は画像反転の任意の一つ又は複数を含み得る。例えば、ウィンドウ幅/ウィンドウ・レベル調節は、関心部位の特性に応じて位置決め画像のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値を調節することができ、例えば、肺横隔膜のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値を150/450に、また他の部位のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値を250/450に調節することができる。前処理32cは、位置決め画像を最適化して、深層学習ネットワーク方式セグメント分割32dにおいて後に行なわれる特徴点セグメント分割を容易にすることができるが、前処理32cは必須ではなく、図10では破線のブロックによって表わされていることが理解されよう。
【0056】
深層学習ネットワーク方式セグメント分割32dは、セグメント分割を通じて目標関心領域に対応する特徴点を得るために前処理済み位置決め画像をさらに処理するのに用いられる。特徴点は、造影走査中の関心器官での造影剤濃度をある程度まで表わすことができる。例えば、気管竜骨を肺の特徴点として選択し、気管竜骨の1cm下方の位置を心臓の特徴点として選択し、横隔膜の上縁を腹部の特徴点として選択し、腸骨稜の上縁を骨盤の特徴点として選択することができる。例えば、深層学習ネットワーク方式セグメント分割32dは、残差ネットワーク(ResNet)を用いて位置決め画像をセグメント分割することができ、すなわち位置決め画像を訓練済み残差ネットワークに入力し、残差ネットワークによるセグメント分割の後に特徴点画像を出力する。例えば、特徴点画像は特徴ヒート・マップであってよい。
【0057】
例えば、後処理32eは、深層学習ネットワーク方式セグメント分割を通じて取得された特徴点の特徴ヒート・マップをさらに処理することができる。後処理32eは必須ではなく、図10では破線のブロックによって表わされていることが理解されよう。
【0058】
スライス画像取得32bは、監視用スライス画像を得るために特徴点の位置に従ってアキシャル・スキャンを行なうことを含み得る。
【0059】
図11は、本出願の実施形態による目標関心領域セグメント分割33を示す。関心領域セグメント分割33は、目標関心領域を得るために上述の監視用スライス画像をセグメント分割することを含んでおり、目標関心領域を用いて、診断走査を起動するために造影走査中に造影剤の流量を監視することができる。目標関心領域セグメント分割33は、縦続された粗セグメント分割33a及び細セグメント分割33bを含んでいる。
【0060】
粗セグメント分割33aは、初期関心領域を得るために監視用スライス画像をセグメント分割することができる。初期関心領域は目標関心領域よりも大きい(すなわち初期関心領域は目標関心領域を含むばかりでなく目標関心領域の周りの領域も含む)か、又は初期関心領域は相対的に不明瞭な境界を有し得るか、又は初期関心領域はより少ない組織構造詳細情報を有する。粗セグメント分割33aは、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット方法、又は深層学習方法の少なくとも一つを採用することができる。例えば、粗セグメント分割33aは、U-netニューラル・ネットワークを用いることにより監視用スライス画像を粗くセグメント分割することができ、また選択随意で、粗セグメント分割の前に、走査対象のウィンドウ幅/ウィンドウ・レベルの値の調節、正規化、及び角度に応じた回転を行なう等のように監視用スライス画像を前処理することができる。選択随意で、U-netニューラル・ネットワークを用いることにより粗セグメント分割が行なわれた後に、細セグメント分割33bにおいて画像に対して後に行なわれる細セグメント分割を容易にするために、得られた初期関心領域に対して後処理を行なってもよい。
【0061】
細セグメント分割33bは、目標関心領域を得るために、セグメント分割から得られた正規化済み初期関心領域に基づいてさらにセグメント分割を行なうことができる。目標関心領域は、より明瞭な境界及びより多い組織構造詳細情報を有し得る。細セグメント分割33bは、モルフォロジィ方法、閾値方法、エッジ検出方法、収縮拡張方法、領域成長方法、レベル・セット方法、又は深層学習方法の少なくとも一つを採用し得る。
【0062】
本出願のこの実施形態によれば、撮像方法における走査対象の位置決め画像の取得31、スライス画像の取得32、及び目標関心領域を得るためのスライス画像のセグメント分割33は、撮像技師の手動操作を必要とせずにコンピュータによって自動的に行なわれ得ることが理解されよう。
【0063】
図12は、本発明の実施形態による撮像方法を実行する電子装置700の一例を示す。電子装置700は、1又は複数のプロセッサ71と、1又は複数のプログラムを記憶するように構成された記憶装置72とを含んでおり、1又は複数のプログラムが1又は複数のプロセッサ71によって実行されると、1又は複数のプロセッサ71は、本書に記載される撮像方法を具現化させられる。プロセッサは、例えばディジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、特定応用向け集積回路(ASIC)、又はマイクロプロセッサである。
【0064】
図12に示す電子装置700は一例に過ぎず、本発明の実施形態の作用及び応用範囲に何ら制限を加えないものとする。
【0065】
図12に示すように、電子装置700は、汎用計算装置の形態で表わされている。電子装置700の構成要素は、限定しないが、1又は複数のプロセッサ71、記憶装置72、及び様々なシステム構成要素(記憶装置72及びプロセッサ71を含む)同士を接続するバス75を含み得る。
【0066】
バス75は、メモリ・バス若しくはメモリ制御器、周辺機器用バス、高速グラフィックス・ポート、プロセッサ、又は複数のバス構造の任意のバス構造を用いたローカル・バスを含めた1又は複数の形式のバス構造を表わす。例えば、これらのアーキテクチャとしては、限定しないが、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MAC)バス、拡張ISAバス、ビデオ電子規格協会(VESA)ローカル・バス、及び周辺構成要素相互接続(PCI)バス等がある。
【0067】
電子装置700は典型的には、多様なコンピュータ・システム可読の媒体を含む。これらの媒体は、揮発性媒体及び非揮発性媒体、並びに着脱型媒体及び非着脱型媒体を含め、電子装置700によってアクセスされ得る任意の入手可能な媒体であってよい。
【0068】
記憶装置72は、揮発性メモリ、例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)72a及び/又はキャッシュ・メモリ72cの形態のコンピュータ・システム可読の媒体を含み得る。電子装置700はさらに、他の着脱型/非着脱型、及び揮発性/非揮発性コンピュータ・システム記憶媒体を含み得る。一例のみとして、記憶システム72bが、非着脱型で非揮発性の磁気媒体を読み書きするように構成され得る(図12には不図示。しばしば「ハードディスク・ドライブ」と呼ばれる)。図12には図示されていないが、着脱型非揮発性磁気ディスク(例えば「フロッピ・ディスク」)を読み書きするように構成された磁気ディスク・ドライブ、及び着脱型非揮発性光学ディスク(例えばCD-ROM、DVD-ROM、又は他の光学媒体)を読み書きするように構成された光学ディスク・ドライブを設けることができる。これらの場合には、各々のドライブが、1又は複数のデータ媒体インタフェイスを介してバス75に接続され得る。記憶装置72は、本発明の実施形態の作用を果たすように構成された一群のプログラム・モジュール(例えば少なくとも一つのプログラム・モジュール)を有する少なくとも一つのプログラム製品を含み得る。
【0069】
一群(少なくとも一つ)のプログラム・モジュール72fを有するプログラム/ユーティリティ・ツール72dが、例えば記憶装置72に記憶され得る。かかるプログラム・モジュール72fは、限定しないがオペレーティング・システム、1又は複数のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、及びプログラム・データを含み、またこれらの例の各々又はこれらの例の何らかの組み合わせが、網環境の具現化形態を含み得る。プログラム・モジュール72fは典型的には、本発明に記載される任意の実施形態における作用及び/又は方法を実行する。
【0070】
電子装置700はまた、1若しくは複数の周辺装置76(キーボード、ポインティング装置、及び表示器77等)と連絡することができ、さらに利用者が電子装置700と対話することを可能にする1若しくは複数の装置と連絡することができ、且つ/又は電子装置700が1若しくは複数の他の計算装置と連絡することを可能にする任意の装置(ネットワーク・カード及びモデム等)と連絡することができる。かかる連絡は、入出力(I/O)インタフェイス73を介して行なわれ得る。加えて、電子装置700はまた、網アダプタ74を介して1又は複数の網(例えば構内網(LAN)、広域網(WAN)、及び/又はインターネットのような公衆網)と連絡することができる。図12に示すように、網アダプタ74は、バス75を通して電子装置700の他のモジュールと連絡している。図面には示されていないが、限定しないがマイクロコード、装置ドライバ、冗長型処理ユニット、外部ディスク・ドライブ・アレイ、RAIDシステム、テープ・ドライブ、及びデータ・バックアップ記憶システム等を含めた他のハードウェア・モジュール及び/又はソフトウェア・モジュールが電子装置700と共に用いられ得ることを理解されたい。
【0071】
プロセッサ71は、記憶装置72に記憶されているプログラムを実行することにより、様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行する。
【0072】
本発明の実施形態によれば、コンピュータ可読の媒体がさらに設けられる。コンピュータ可読の媒体は命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されると、本発明の方法のステップを実行することをプロセッサに行なわせる。コンピュータ可読の媒体は、限定しないが、機械又は装置によって製造され又は形成された非一時的な有形構成の物品を含むことができ、かかる物品は、ハードディスク;フロッピ・ディスク、光ディスク、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、書き換え可能型コンパクト・ディスク(CD-RW)、及び光磁気ディスクを含めた他の任意の形式のディスク;読み取り専用メモリ(ROM)、動的ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)及び静的ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)のようなランダム・アクセス・メモリ(RAM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュ・メモリ、及び電子消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)のような半導体装置;相変化メモリ(PCM);磁気カード若しくは光学カード;又は電子的命令を記憶するのに適した他の任意の形式の媒体のような記憶媒体を含む。コンピュータ可読の媒体はCT装置にインストールされてもいてよいし、CT装置を遠隔制御する別個の制御用装置又はコンピュータにインストールされていてもよい。
【0073】
図13は、本発明の実施形態による例示的なイメージング・システム800のブロック図を示す。図13では、イメージング・システム800は、医用画像を生成するために撮像走査を行なうように構成された医用撮像装置81と、医用画像を記憶するように構成された記憶装置82と、記憶装置82と連絡接続されてプロセッサ85を含む医用撮像ワークステーション83又は医用画像クラウド・プラットフォーム解析システム84とを含み得る。プロセッサ85は、本発明の上述の撮像方法を実行するように構成され得る。
【0074】
医用撮像装置81は、CT装置、MRI装置、又は他の任意の適当な撮像装置であってよい。記憶装置82は、医用撮像装置81、医用撮像装置81の外部のサーバ、独立した医用画像記憶システム(PACS等)、及び/又は遠隔クラウド記憶システムに配置され得る。医用撮像ワークステーション83は、医用撮像装置81の域内に配設されていてよく、すなわち医用撮像ワークステーション83は医用撮像装置81に隣接して配設されて、これら二つが走査室内、医用撮像部門、又は同じ病院に共に配置されていてよい。医用画像クラウド・プラットフォーム解析システム84は、医用撮像装置81から離隔して配置されていてよく、例えば医用撮像装置81と連絡しているクラウドに配置され得る。一例として、医療施設が医用撮像装置81を用いた撮像走査を完了した後に、走査によって得られたデータは記憶装置82に記憶される。医用撮像ワークステーション83は、走査によって得られたデータを直接読み取ることができ、プロセッサを介して本発明の方法を用いることによりデータを処理することができる。もう一つの例として、医用画像クラウド・プラットフォーム解析システム84は、「サービス型ソフトウェア(SaaS)」を提供するように遠隔通信を介して記憶装置82の医用画像を読み出してもよい。SaaSは、病院同士の間、病院と撮像センターとの間、又は病院と第三者オンライン診断及び治療サービス提供者との間に存在し得る。
【0075】
本発明に記載される技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを通じて少なくとも部分的に具現化され得る。例えば、この技術の各観点は、1又は複数のマイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、特定応用向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又は他の任意の同等の集積された若しくは別個の論理回路、及びプログラム装置(医師若しくは患者用プログラム装置、刺激装置、又は他の装置等)において実体化されるかかる部分の任意の組み合わせを通じて具現化され得る。「プロセッサ」、「処理回路」、「制御器」又は「制御モジュール」との用語は、以上に述べた論理回路(単独で若しくは他の回路と組み合わせて)、又は他の任意の等価回路(単独で若しくは他のディジタルやアナログ回路と組み合わせて)の任意のものを広く指すことができる。
【0076】
以上、本発明の幾つかの例示的な実施形態について記載した。しかしながら、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、上述の実施形態の例に様々な改変を施し得ることを理解されたい。例えば、所載の手法が異なる順序で実行され、且つ/又は所載のシステム、アーキテクチャ、装置、若しくは回路の構成要素が他の態様で組み合わされ且つ/若しくは付加的な構成要素やその均等構成で置き換えられたり補完されたりしたとしても適当な結果が達成され得る。従って、改変された他の実施形態もまた、特許請求の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0077】
10a 対象
11 走査ガントリ
11a X線源
11b 投射されたX線
11c 回転中心
11d 走査ガントリ開口
12 検出器アセンブリ
12a 検出器ユニット
12b データ取得システム(DAS)
13 制御機構
18 表示器
19 作業台
72d プログラム/ユーティリティ・ツール
72f プログラム・モジュール
75 バス
100 CTイメージング・システム
200 イメージング・システム
300 撮像方法
700 電子装置
800 イメージング・システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13