(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】均質な石英ガラス製のガラス繊維および母材
(51)【国際特許分類】
C03C 13/04 20060101AFI20240213BHJP
C03B 20/00 20060101ALI20240213BHJP
C03B 37/012 20060101ALI20240213BHJP
C03B 37/027 20060101ALI20240213BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
C03C13/04
C03B20/00 F
C03B37/012 A
C03B37/027 Z
G02B6/02 461
G02B6/02 376A
G02B6/02 471
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094211
(22)【出願日】2022-06-10
(62)【分割の表示】P 2018530536の分割
【原出願日】2016-12-16
【審査請求日】2022-06-15
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507332918
【氏名又は名称】ヘレーウス クヴァルツグラース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Heraeusstr.12-14, 63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ヒュネルマン ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン アキム
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】オッター マティアス
(72)【発明者】
【氏名】カイザー トーマス
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-220126(JP,A)
【文献】国際公開第2009/096557(WO,A1)
【文献】特開昭60-260434(JP,A)
【文献】特開2006-265095(JP,A)
【文献】特開2012-062240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
C03B 1/00- 5/44
C03B 8/00- 8/04
C03B 19/12-20/00
C03B 37/00-37/16
G02B 6/02
G02B 6/10
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャケットM1および2つ以上のコアを備えたライトガイドであって、
前記ジャケットM1が、前記コアを取り囲み、かつ前記ジャケットM1が、1×10
-4未満の屈折率均質性を有し、
各コアが、最大コア延長に垂直な屈折率プロファイルを有し、各屈折率プロファイルの少なくとも1つの屈折率n
Kが、前記ジャケットM1の屈折率n
M1より大きく、
前記ジャケットM1が、二酸化ケイ素製であり、
a)10ppm未満のOH含有量、
b)60ppm未満の塩素含有量、および
c)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
前記ppbおよびppmが、それぞれ前記ジャケットM1の総重量に基づく、ライトガイド。
【請求項2】
前記ジャケットM1が、以下の特徴、
d)5×10
15/cm
3未満のODC含有量、
e)1ppm未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
f)log
10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log
10(η(1200℃)/dPas)=13.9またはlog
10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log
10(η(1300℃)/dPas)=12.1またはlog
10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log
10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
g)6m超のカールパラメータ、
h)前記ジャケットM1の前記OH含有量a)に基づき10%以下の前記OH含有量の標準偏差、
i)前記ジャケットM1の前記Cl含有量b)に基づき10%以下の前記Cl含有量の標準偏差、
j)前記ジャケットM1の前記Al含有量c)に基づき10%以下の前記Al含有量の標準偏差、
k)1150~1250℃の範囲の変態点T
g、
のうちの少なくとも1つを有し、
前記ppbおよびppmが、それぞれ前記ジャケットM1の総重量に基づく、請求項1に記載のライトガイド。
【請求項3】
前記ジャケットM1の重量含有量が、前記コアおよび前記ジャケットM1の総重量に基づき少なくとも60重量%である、請求項1または2に記載のライトガイド。
【請求項4】
以下のステップ、
A/ 以下のものを提供するステップ、
A1/
以下のステップを含む方法により得ることができる少なくとも1つの開口部を有する中空体、
i.)二酸化ケイ素造粒体IIを提供するステップ、
ii.)前記二酸化ケイ素造粒体IIからガラス溶融物を作製するステップ、
iii.)前記ガラス溶融物の少なくとも一部から石英ガラス体を作製するステップ、および
iv.)前記石英ガラス体から、少なくとも1つの開口部を有する中空体を作製するステップ、
または
A2/ 石英ガラス体が、少なくとも1つの開口部を有する中空体を得るように最初に加工される
石英ガラス体であって、前記石英ガラス体が、二酸化ケイ素製であり、前記二酸化ケイ素が、以下の特徴、
A]10ppm未満のOH含有量、
B]60ppm未満の塩素含有量、および
C]200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
前記ppbおよびppmが、それぞれ前記石英ガラス体の総重量に基づく石英ガラス体、
B/ 前駆体を得るために、前記石英ガラス体内に前記少なくとも1つの開口部を通じて2つまたは複数のコアロッドを導入するステップ、
C/ 1つ以上のコアおよびジャケットM1を有す
るライトガイドを得るために、温かい場所でステップB/からの前記前駆体を延伸するステップ
を含む、ライトガイドの調製のための方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記石英ガラス体が、
D]5×10
15
/cm
3
未満のODC含有量、
E]300ppb未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
F]log
10
(η(1200℃)/dPas)=13.4~log
10
(η(1200℃)/dPas)=13.9またはlog
10
(η(1300℃)/dPas)=11.5~log
10
(η(1300℃)/dPas)=12.1またはlog
10
(η(1350℃)/dPas)=1.2~log
10
(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
G]前記石英ガラス体の前記OH含有量A]に基づき10%以下の前記OH含有量の標準偏差、
H]前記石英ガラス体の前記Cl含有量B]に基づき10%以下の前記Cl含有量の標準偏差、
I]前記石英ガラス体の前記Al含有量C]に基づき10%以下の前記Al含有量の標準偏差、
J]1×10
-4
未満の屈折率均質性、
K]円筒形状、
L]1150~1250℃の範囲の変態温度T
g
、
M]1055~1200℃の範囲の仮想温度、
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられ、
前記ppbおよびppmが、それぞれ前記石英ガラス体の総重量に基づく、石英ガラス体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケットM1および1つ以上のコアを備えたライトガイドであって、ジャケットM1が、コアを取り囲み、各コアが、最大コア延長に垂直な屈折率プロファイルを有し、各屈折率プロファイルの少なくとも1つの屈折率nKが、ジャケットM1の屈折率nM1より大きく、ジャケットM1が、二酸化ケイ素製であり、10ppm未満のOH含有量と、60ppm未満の塩素含有量と、200ppb未満のアルミニウム含有量とを有し、ppbおよびppmが、それぞれジャケット層M1の総重量に基づく、ライトガイド、に関する。本発明は、それぞれ二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づき、200ppm未満の塩素含有量および200ppb未満のアルミニウム含有量により特徴付けられる二酸化ケイ素造粒体Iにも関する。本発明は、それぞれ二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づき、500ppm未満の塩素含有量および200ppb未満のアルミニウム含有量により特徴付けられる二酸化ケイ素造粒体IIにも関する。さらに、本発明は、本発明による二酸化ケイ素造粒体Iおよび二酸化ケイ素造粒体IIの調製のための方法、ならびに石英ガラス体、ライトガイド、およびライトガイドケーブルの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
ライトガイド自体は、公知である。さらに、特に長距離にわたってのデータ転送について、データ転送性能を増大させるために、ライトガイドの光伝導特性を改善することが、目標である。ライトガイドは、ガラスまたは石英ガラスなどの伝導材料製の1つ以上のコアを含む。一般の構造では、コアは、少なくとも1つのジャケット層により取り囲まれている。ジャケット層は、コアより低い屈折率を有する材料、一般にやはりガラスまたは石英ガラス製である。コアおよび/またはジャケットのガラスまたは石英の屈折率は、ドーピングにより構成することができる。ゲルマニウムが、しばしばコアの屈折率を増大させるために選択される。フッ素またはホウ素が、好ましくはジャケット層の屈折率を低減するために選択される。コアとジャケット層との間で得られる屈折率差を通じて、ライトガイドのコアを通じて伝導される光の全反射が達成される。
【0003】
しばしば、コアはまた、断面を通じて連続的に一定な屈折率を有さず、むしろ同心状の屈折率プロファイルを有する。このようにして、コアの特性は、さらに適応させることができる。コアが同心状の屈折率プロファイルを有する場合、しばしば、屈折率が最大である第1の領域がコアの中心に存在する。第1の領域に接続しているのが、ここでは周辺部と呼ばれる、屈折率が中心より低いさらなる領域である。コアの周辺部の内側では、屈折率はまた、さらに変化し得る。さらに、ライトガイドは、しばしば、コアおよび少なくとも1つのジャケット層に加えて、少なくとも1つのさらなる外側ジャケット層を有する。コア自体が光を伝導するために必要な特長を兼ね備えるように、少なくとも1つのジャケット層が、コアの調製においてコア自体の周囲に形成されるが、さらなる外側ジャケット層の前駆体は、別々に調製される。ライトガイドは、コア前駆体を外側ジャケット層前駆体内に導入し、その後温かい場所で前駆体組立体を延伸してライトガイドを形成することにより、作製することができる。コアを縁取る少なくとも1つのジャケット層と、外側ジャケット層とが、ライトガイドの形成後もはや互いに区別することができないことは、確かに起こり得る。さらに、ライトガイドのコアとジャケット層とは、延伸プロセス後、ライトガイド全体を破壊することなしに、もはや互いに区別することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、技術の現状に存在する欠点の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、長寿命を有するライトガイドを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、長距離伝送に好適なライトガイドを提供することである。具体的には、本発明の目的は、複数の部品をうまく互いに取り付けることができるライトガイドを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、長距離にわたって高い伝送速度を有するライトガイドを提供することである。具体的には、本発明の目的は、100km超の距離にわたって複数Tbit/sの伝送速度を可能にするライトガイドを提供することである。
【0008】
さらなる目的は、耐引裂性および耐破損性のライトガイドを提供することである。具体的には、本発明の目的は、引き裂きなしに緊張下に置くことができるライトガイドを提供することである。
【0009】
さらなる目的は、高い対称性を有するライトガイドを提供することである。具体的には、本発明の目的は、円形の断面を有するライトガイドを提供することである。
【0010】
さらなる目的は、まっすぐな形状を有するライトガイドを提供することである。
【0011】
さらなる目的は、低い減衰を有するライトガイドを調製することである。減衰は、距離依存的な信号強度の落ち込みを意味する。
【0012】
本発明のさらなる目的は、低い不透明性を有するライトガイドを提供することである。本発明のさらなる目的は、高い透明性を有するライトガイドを提供することである。
【0013】
さらなる目的は、陽イオンのマイグレーションを回避するライトガイドを提供することである。
【0014】
さらなる目的は、コスト効率のよいライトガイドを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、高い純度を有し、外来原子による低い汚染度を有するライトガイドを提供することである。外来原子は、意図的に導入されたのではない構成要素を意味する。
【0016】
本発明のさらなる目的は、低含有量のドーパント材料を含むライトガイドを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、ジャケットガラス領域において高い均質性を有するライトガイドを提供することである。特性または材料の均質性は、試料におけるその特性または材料の分布の均一性の尺度である。
【0018】
本発明のさらなる目的は、ジャケットガラス領域において高い材料均質性を有するライトガイドを提供することである。材料均質性は、ライトガイド内に含まれる元素および化合物、特にOH、塩素、金属、特にアルミニウム、アルカリ土類金属、高融点金属、およびドーパント材料の分布の均一性の尺度である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、記載の目的の少なくとも1つを解決する、複数のファイバコアを有するライトガイド(マルチコアライトガイド)を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、信号伝送中にクロストークを通じた伝送エラーを全くまたはほとんど示さないマルチコアライトガイドを提供することである。クロストークは、マルチコアライトガイドのあるファイバからマルチコアライトガイドの別のファイバへの信号のマイグレーションを意味する。
【0021】
本発明のさらなる目的は、高品質の高い伝送速度を有するマルチコアライトガイドを提供することである。具体的には、本発明の目的は、信号伝送中にファイバコアが互いに妨害しないマルチコアライトガイドを提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、上記の目的の少なくとも一部が解決されるライトガイドを調製することができる方法を提供することである。
【0023】
さらなる目的は、コストおよび時間を節約しながらライトガイドを調製することができる方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、ライトガイドをより簡単に調製することができる方法を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、ライトガイドを調製することができる連続的なプロセスを提供することである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、増大した速度でライトガイドを作製することができる方法を提供することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、ライトガイドを連続的な溶融および形成方法により調製することができる方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、低い不良率でライトガイドを調製することができる方法を提供することである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、組立可能なライトガイドを調製することができる方法を提供することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、ライトガイドを調製することができる自動化方法を提供することである。
【0031】
さらなる目的は、ライトガイドの加工性を改善することである。さらなる目的は、ライトガイドの組立可能性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記の目的の少なくとも1つを少なくとも部分的に実現することに対する寄与が、独立請求項によりなされる。従属請求項は、目的の少なくとも1つを少なくとも部分的に実現することに寄与する好ましい実施形態を提供する。
【0033】
|1| ジャケットM1および1つ以上のコアを備えたライトガイドであって、
ジャケットM1が、コアを取り囲み、
各コアが、最大コア延長に垂直な屈折率プロファイルを有し、各屈折率プロファイルの少なくとも1つの屈折率nKが、ジャケットM1の屈折率nM1より大きく、
ジャケットM1が、二酸化ケイ素製であり、
a)10ppm未満のOH含有量、
b)60ppm未満の塩素含有量、および
c)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmが、それぞれジャケットM1の総重量に基づく、ライトガイド。
【0034】
|2| 2つ以上のコアを備え、ジャケットM1が、コアをマトリクスとして取り囲む、実施形態|1|に記載のライトガイド。
【0035】
|3| ジャケットM1が、以下の特徴、
d)5×1015/cm3未満のODC含有量、
e)1ppm未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
f)log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9またはlog10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log10(η(1300℃)/dPas)=12.1またはlog10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
g)6m超のカールパラメータ、
h)ジャケットM1のOH含有量a)に基づき10%以下のOH含有量の標準偏差、
i)ジャケットM1のCl含有量b)に基づき10%以下のCl含有量の標準偏差、
j)ジャケットM1のAl含有量c)に基づき10%以下のAl含有量の標準偏差、
k)1×10-4未満の屈折率均質性、
l)1150~1250℃の範囲の変態点Tg、
のうちの少なくとも1つを有し、
ppbおよびppmが、それぞれジャケットM1の総重量に基づく、先行する実施形態のいずれか一つに記載のライトガイド。
【0036】
|4| ジャケットM1の重量含有量が、コアおよびジャケットM1の総重量に基づき少なくとも60重量%である、先行する実施形態のいずれか一つに記載のライトガイド。
【0037】
|5| 以下の特徴、
[A]200ppm未満の塩素含有量、および
[B]200ppb未満のアルミニウム含有量、
により特徴付けられる二酸化ケイ素造粒体Iであって、
ppbおよびppmが、それぞれ二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づく、二酸化ケイ素造粒体I。
【0038】
|6| 以下の特徴、
[C]1000ppb未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
[D]20~50m2/gの範囲のBET表面積、
[E]0.1~1.5mL/gの範囲の細孔容積、
[F]10重量%未満の残留水分量、
[G]0.5~1.2g/cm3の範囲のかさ密度、
[H]0.5~1.2g/cm3の範囲の重装かさ密度、
[I]50ppm未満の炭素含有量、
[J]50~150μmの範囲の粒子径分布D10、
[K]150~300μmの範囲の粒子径分布D50、
[L]250~620μmの範囲の粒子径分布D90、
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられ、
重量%、ppb、およびppmが、それぞれ二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づく、実施形態|5|に記載の二酸化ケイ素造粒体I。
【0039】
|7| 以下のステップ、
I.二酸化ケイ素粉末を提供するステップであって、二酸化ケイ素粉末が、以下の特徴、
a.200ppm未満の塩素含有量、および
b.200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmが、それぞれ二酸化ケイ素粉末の総重量に基づく、提供するステップ、
II.液体を提供するステップ、
III.スラリーを得るためにステップI.およびステップII.からの成分を混合するステップ、
IV.二酸化ケイ素造粒体Iを得るためにスラリーを噴霧乾燥するステップ
を少なくとも含む、二酸化ケイ素造粒体Iの調製のための方法。
【0040】
|8| 二酸化ケイ素粉末が、以下の特徴、
c.20~60m2/gの範囲のBET表面積、
d.0.01~0.3g/cm3の範囲のかさ密度、
e.50ppm未満の炭素含有量、
f.5ppm未満の、アルミニウムとは異なる金属の総含有量、
g.粉末粒子の少なくとも70重量%が、10~100nmの範囲の一次粒子径を有する、
h.0.001~0.3g/cm3の範囲の重装かさ密度、
i.5重量%未満の残留水分量、
j.1~7μmの範囲の粒子径分布D10、
k.6~15μmの範囲の粒子径分布D50、
l.10~40μmの範囲の粒子径分布D90、
のうちの少なくとも1つを有し、
重量%、ppb、およびppmが、それぞれ二酸化ケイ素粉末の総重量に基づく、実施形態|7|に記載の方法。
【0041】
|9| 実施形態|7|または|8|のうちのいずれか一つに記載の方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体I。
【0042】
|10| 以下の特徴、
(A)500ppm未満の塩素含有量、および
(B)200ppb未満のアルミニウム含有量、
により特徴付けられる二酸化ケイ素造粒体IIであって、
ppbおよびppmが、それぞれ二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づく、二酸化ケイ素造粒体II。
【0043】
|11| 以下の特徴、
(C)1000ppb未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
(D)10~35m2/gの範囲のBET表面積、
(E)0.1~2.5m2/gの範囲の細孔容積、
(F)3重量%未満の残留水分量、
(G)0.7~1.2g/cm3の範囲のかさ密度、
(H)0.7~1.2g/cm3の範囲の重装かさ密度、
(I)150~250μmの範囲の粒子径D50、
(J)5ppm未満の炭素含有量、
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられ、
重量%、ppb、およびppmが、それぞれ二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づく、実施形態|10|に記載の二酸化ケイ素造粒体II。
【0044】
|12| 以下のステップ、
(I)二酸化ケイ素造粒体Iを提供するステップ、
(II)二酸化ケイ素造粒体IIを得るためにステップ(I)からの二酸化ケイ素造粒体Iを処理するステップ
を少なくとも含む、二酸化ケイ素造粒体IIの調製のための方法。
【0045】
|13| 実施形態|12|に記載の方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体II。
【0046】
|14| 以下のステップ、
i.)二酸化ケイ素造粒体IIを提供するステップ、
ii.)二酸化ケイ素造粒体IIからガラス溶融物を形成するステップ、
iii.)ガラス溶融物の少なくとも一部から石英ガラス体を形成するステップ
を少なくとも含む、石英ガラス体の調製のための方法。
【0047】
|15| 以下の方法ステップ、
iv.)石英ガラス体から、少なくとも1つの開口部を有する中空体を形成するステップ
を含む、実施形態|14|に記載の方法。
【0048】
|16| 実施形態|14|または|15|のうちのいずれか一つに記載の方法により得ることができる石英ガラス体。
【0049】
|17| 石英ガラス体であって、石英ガラス体が、二酸化ケイ素製であり、二酸化ケイ素が、以下の特徴、
A]10ppm未満のOH含有量、
B]60ppm未満の塩素含有量、および
C]200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmが、それぞれ石英ガラス体の総重量に基づく、石英ガラス体。
【0050】
|18| 以下の特徴、
D]5×1015/cm3未満のODC含有量、
E]300ppb未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
F]log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9またはlog10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log10(η(1300℃)/dPas)=12.1またはlog10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
G]石英ガラス体のOH含有量A]に基づき10%以下のOH含有量の標準偏差、
H]石英ガラス体のCl含有量B]に基づき10%以下のCl含有量の標準偏差、
I]石英ガラス体のAl含有量C]に基づき10%以下のAl含有量の標準偏差、
J]1×10-4未満の屈折率均質性、
K]円筒形状、
L]1150~1250℃の範囲の変態点Tg、
M]1055~1200℃の範囲の仮想温度、
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられ、
ppbおよびppmが、それぞれ石英ガラス体の総重量に基づく、実施形態|17|に記載の石英ガラス体。
【0051】
|19| 以下のステップ、
A/ 以下のものを提供するステップ、
A1/ 実施形態|15|に記載の方法により得ることができる少なくとも1つの開口部を有する中空体、または
A2/ 石英ガラス体が、少なくとも1つの開口部を有する中空体を得るように最初に加工される、実施形態|17|もしくは|18|のうちのいずれか一つに記載の石英ガラス体、
B/ 前駆体を得るために、石英ガラス体内に少なくとも1つの開口部を通じて1つまたは複数のコアロッドを導入するステップ、
C/ 1つまたは複数のコアおよびジャケットM1を有するライトガイドを得るために、温かい場所でステップB/からの前駆体を延伸するステップ
を含む、ライトガイドの調製のための方法。
【0052】
|20|実施形態|19|の方法により得ることができるライトガイド。
【0053】
|21| ライトガイドが、ジャケットM1および1つまたは複数のコアを有し、
ジャケットM1が、コアを取り囲み、
各コアが、最大コア延長に垂直な屈折率プロファイルを有し、各屈折率プロファイルの少なくとも1つの屈折率nKが、ジャケットM1の屈折率nM1より大きく、
ジャケットM1が、二酸化ケイ素製であり、
a)10ppm未満のOH含有量、および
b)60ppm未満の塩素含有量、および
c)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmが、それぞれジャケットM1の総重量に基づく、実施形態|20|に記載のライトガイド。
【0054】
|22| 実施形態|20|もしくは|21|のうちのいずれか一つに記載の、または実施形態|1|~|4|のうちのいずれか一つに記載の少なくとも2つのライトガイドを備えたライトガイドケーブル。
【0055】
|23| 以下のステップ、
A} 実施形態|20|もしくは|21|のうちのいずれか一つに記載の、または実施形態|1|~|4|のうちのいずれか一つに記載の少なくとも2つのライトガイドを提供するステップ、
B} ライトガイドケーブルを得るために、A}からの少なくとも2つのライトガイドを加工するステップ
を含む、ライトガイドケーブルの調製のための方法。
【0056】
|24| ライトガイドの信号伝送特性を改善するための、実施形態|5|、|6|、|9|~|11|、または|13|のうちのいずれか一つに記載の二酸化ケイ素造粒体の使用。
【0057】
|25| 光ファイバ、ライトガイド、およびライトガイドケーブルのためのジャケット材料からなる群から選択される製品の調製のための、実施形態|5|、|6|、|9|~|11|、または|13|のうちのいずれか一つに記載の二酸化ケイ素造粒体の使用。
【0058】
本明細書において、開示の範囲は、境界値も含む。したがって、パラメータAに関して「X~Yの範囲」という形の開示は、Aが値X、Y、およびXとYとの間の値をとることができることを意味する。パラメータAに関して「最大Y」という形の、一方側が境界付けられた範囲は、同様に値YおよびY未満の値を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】流れ図(石英ガラス体の調製のための方法)。
【
図2】流れ図(二酸化ケイ素造粒体Iの調製のための方法)。
【
図3】流れ図(二酸化ケイ素造粒体IIの調製のための方法)。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の第1の態様は、ジャケットM1および1つ以上のコアを備えたライトガイドであって、
ジャケットM1が、コアを取り囲み、
各コアが断面QKを有し、
各コアが、断面QK上の少なくとも1点においてジャケットM1の屈折率nM1より大きい屈折率nKを有し、
ジャケットM1が、二酸化ケイ素製であり、
a)10ppm未満のOH含有量、
b)60ppm未満の塩素含有量、および
c)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmが、それぞれジャケットM1の総重量に基づく、ライトガイドである。
【0061】
ジャケットM1の屈折率は、屈折率差の測定により測定される。
【0062】
本発明によれば、特定の特徴の量の記述子としてのppmという用語は、その特徴に関して全体の量の百万分の一を意味する。本発明によれば、特定の特徴の量の記述子としてのppbという用語は、その特徴に関して全体の量の十億分の一を意味する。この単位が参照基準なしに与えられている場合、単位は、総重量に基づく。
【0063】
光導波路または光ファイバとも呼ばれるライトガイドは、電磁放射、特に光を伝導または案内するのに好適な任意の材料を含んでよい。
【0064】
放射を伝導または案内することは、放射の強度の著しい妨害または減衰なしに、ライトガイドの長さ延長にわたって放射を伝えることを意味する。このために、放射は、ライトガイドの一端を介してライトガイド内に結合される。好ましくは、ライトガイドは、170~5000nmの波長範囲の電磁放射を伝導する。好ましくは、当該の波長範囲の放射のライトガイドによる減衰は、0.1~10dB/kmの範囲である。減衰は、好ましくは、1550nmの基準波長で測定される。好ましくは、ライトガイドは、最大50Tbit/sの伝送速度を有する。
【0065】
ライトガイドは、好ましくは、6m超のカールパラメータを有する。カールパラメータは、本発明の文脈では、外力がない自由に運動する繊維として存在する繊維、例えばライトガイドまたはジャケットM1、の曲げ半径を意味する。
【0066】
ライトガイドは、好ましくは柔軟であるように作製される。柔軟とは、本発明の文脈では、ライトガイドが、20mm以下、例えば10mm以下、特に好ましくは5mm以下の曲げ半径により特徴付けられることを意味する。曲げ半径は、ライトガイドを破壊することなしに、かつ放射を伝導するライトガイドの能力を減弱することなしに、形成することができる最小半径を意味する。減弱は、ライトガイド内の屈曲部を通じて送られる光の0.1dB超の減衰が存在するとき、存在する。減衰は、好ましくは、1550nmの基準波長で与えられる。
【0067】
ライトガイドは、好ましくは細長形状を有する。ライトガイドの形状は、その長さ延長Lとその断面Qとにより規定される。ライトガイドは、好ましくはその長さ延長Lに沿って円形の外壁を有する。ライトガイドの断面Qは、ライトガイドの外壁に垂直な平面において常に決定される。ライトガイドが長さ延長Lにおいて湾曲している場合、断面Qは、長さ延長Lの方向に延び、ライトガイドの外壁上の1点においてライトガイドに接する接線に垂直に決定される。ライトガイドは、好ましくは0.04~1.5mmの範囲の直径dLを有する。ライトガイドは、好ましくは1m~100kmの範囲の長さを有する。
【0068】
本発明によれば、ライトガイドは、1つもしくは複数のコア、例えば1つのコアまたは2つのコアまたは3つのコアまたは4つのコアまたは5つのコアまたは6つのコアまたは7つのコアまたは8つ以上のコア、特に好ましくは1つのコアを含む。好ましくは、ライトガイドを通じて伝導される電磁放射の75%超、例えば80%超または85%超または90%超または95%超、特に好ましくは98%超は、コア内で伝導される。コア内の光輸送については、ライトガイドに関してすでに与えられている好ましい波長範囲が適用される。好ましくは、コアの材料は、ガラス、もしくは石英ガラス、またはその両者の組み合わせから選択され、特に好ましくは石英ガラスである。コアは、互いから独立して、同じ材料製でも、異なる材料製でもよい。好ましくは、コアの全ては、同じ材料、特に好ましくは石英ガラス製である。
【0069】
各コアは、好ましくは円形の断面QKおよび長さLKの細長形状を有する。コアの断面QKは、各他のコアの断面QKから独立している。コアの断面QKは、同じでも、異なってもよい。好ましくは、全コアの断面QKは、同じである。コアの断面QKは、コアの外壁またはライトガイドの外壁に垂直な平面において常に決定される。コアが長さ延長において湾曲している場合、断面QKは、長さ延長の方向に延び、コアの外壁上の1点においてコアに接する接線に垂直になるであろう。コアの長さLKは、各他のコアの長さLKから独立している。コアの長さLKは、同じでも、異なってもよい。好ましくは、全コアの長さLKは、同じである。各コアは、好ましくは1m~100kmの範囲の長さLKを有する。各コアは、直径dKを有する。コアの直径dKは、各他のコアの直径dKから独立している。コアの直径dKは、同じでも、異なってもよい。好ましくは、全コアの直径dKは、同じである。好ましくは、各コアの直径dKは、0.1~1000μmの範囲、例えば0.2~100μmまたは0.5~50μm、特に好ましくは1~30μmである。
【0070】
各コアは、コアの最大延長に垂直に、少なくとも1つの屈折率プロファイルを有する。「屈折率プロファイル」は、屈折率が一定である、またはコアの最大延長に垂直な方向に変化することを意味する。好ましい屈折率プロファイルは、同心状の屈折率プロファイル、例えば最大屈折率を有する第1の領域がコアの中心に存在し、より低い屈折率を有するさらなる領域に取り囲まれている屈折率の同心状プロファイルに対応する。好ましくは、各コアは、その長さLKにわたってただ1つの屈折率プロファイルを有する。コアの屈折率プロファイルは、各他のコア内の屈折率プロファイルから独立している。コアの屈折率プロファイルは、同じでも、異なってもよい。好ましくは、全コアの屈折率プロファイルは、同じである。原則として、コアは、複数の異なる屈折率プロファイルを有することも可能である。
【0071】
コアの最大延長に垂直な各屈折率プロファイルは、最大屈折率nKを有する。コアの最大延長に垂直な各屈折率プロファイルは、さらに低い屈折率を有してもよい。屈折率プロファイルの最小屈折率は、好ましくは0.5以下だけ屈折率プロファイルの最大屈折率nKより小さい。屈折率プロファイルの最小屈折率は、好ましくは0.0001~0.15、例えば0.0002~0.1、特に好ましくは0.0003~0.05だけ、屈折率プロファイルの最大屈折率nKより小さい。
【0072】
好ましくは、各コアは、各場合にλr=589nmの基準波長(ナトリウムD線)、20℃の温度、および常圧(p=1013hPa)で測定して、1.40~1.60の範囲、例えば1.41~1.59の範囲、特に好ましくは1.42~1.58の範囲の屈折率nKを有する。この点に関するさらなる詳細については、試験法のセクションを参照されたい。コアの屈折率nKは、各他のコアの屈折率nKから独立している。コアの屈折率nKは、同じでも、異なってもよい。好ましくは、全コアの屈折率nKは、同じである。
【0073】
好ましくは、ライトガイドの各コアは、1.9~2.5g/cm3の範囲、例えば2.0~2.4g/cm3の範囲、特に好ましくは2.1~2.3g/cm3の範囲の密度を有する。好ましくは、コアは、各場合にコアの総重量に基づき、100ppb未満、例えば20ppb未満または5ppb未満、特に好ましくは1ppb未満の残留水分量を有する。コアの密度は、各他のコアの密度から独立している。コアの密度は、同じでも、異なってもよい。好ましくは、全コアの密度は、同じである。
【0074】
ライトガイドが2つ以上のコアを含む場合、各コアは、他のコアから独立して、上記の特徴により特徴付けられる。全コアが同じ特徴を有することが好ましい。
【0075】
本発明によれば、コアは、少なくとも1つのジャケットM1により取り囲まれている。ジャケットM1は、好ましくはコアの全長にわたってコアを取り囲んでいる。好ましくは、ジャケットM1は、コアの外面、つまり外壁全体の少なくとも95%、例えば少なくとも98%または少なくとも99%、特に好ましくは100%にわたってコアを取り囲んでいる。しばしば、コアは、ジャケットM1により端部(各場合に最後の1~5cm)まで完全に取り囲まれている。これは、コアを機械的損傷から保護するのに役立つ。
【0076】
ジャケットM1は、コアの断面QKのプロファイル沿いの少なくとも1点Pより低い屈折率を有する、二酸化ケイ素を含む任意の材料を含んでよい。好ましくは、コアの断面QKのプロファイル内のこの少なくとも1点Pは、コアの中心にある点である。さらに、好ましくは、コアの断面のプロファイル内の点Pは、コア内の最大屈折率nKmaxを有する点である。好ましくは、ジャケットM1は、コアの断面Qのプロファイル内の少なくとも1点において、コアの屈折率nKより少なくとも0.0001低い屈折率nM1を有する。好ましくは、ジャケットM1は、コアの屈折率nKより0.0001~0.5の範囲、例えば0.0002~0.4の範囲、特に好ましくは0.0003~0.3の範囲の量だけ低い屈折率nM1を有する。
【0077】
ジャケットは、好ましくは1.0~1.599の範囲、例えば1.30~1.59の範囲、特に好ましくは1.40~1.57の範囲の屈折率nM1を有する。好ましくは、ジャケットM1は、一定の屈折率nM1を有するライトガイドの領域を形成する。一定の屈折率を有する領域は、屈折率がこの領域内の屈折率nM1の平均値から0.0001超外れない領域を意味する。
【0078】
原則として、ライトガイドは、さらなるジャケットを含んでもよい。特に好ましくはさらなるジャケットの少なくとも1つ、好ましくはさらなるジャケットのいくつかまたは全ては、各コアの屈折率nKより低い屈折率である。好ましくは、ライトガイドは、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つ以上のさらなるジャケットを有し、さらなるジャケットは、ジャケットM1を取り囲んでいる。好ましくは、ジャケットM1を取り囲むさらなるジャケットは、ジャケットM1の屈折率nM1より低い屈折率を有する。
【0079】
好ましくは、ライトガイドは、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つ以上のさらなるジャケットを有し、さらなるジャケットは、コアを取り囲み、ジャケットM1により取り囲まれている、すなわちコアとジャケットM1との間に位置する。さらに、好ましくは、コアとジャケットM1との間に位置するさらなるジャケットは、ジャケットM1の屈折率nM1より高い屈折率を有する。
【0080】
好ましくは、屈折率は、ライトガイドのコアから最も外側のジャケットに向かって低下する。コアから最も外側のジャケットに向かっての屈折率の低減は、段階的に発生しても、連続的に発生してもよい。屈折率の低減は、異なるセクションを有してもよい。さらに、好ましくは、屈折率は、少なくとも1つのセクション内では段階的であってもよく、少なくとも1つの他のセクション内では連続的であってもよい。段は、同じ高さでも、異なる高さでもよい。上昇する屈折率を有するセクションを、低下する屈折率を有するセクション間に配置することは、もちろん可能である。
【0081】
異なるジャケットの異なる屈折率は、例えばジャケットM1、さらなるジャケット、および/またはコアのドーピングにより構成することができる。
【0082】
コアの調製の様式に応じて、コアは、その調整後に、第1のジャケット層M0をすでに有していてもよい。コアに直接隣接するこのジャケット層M0は、一体ジャケット層とも呼ばれることがある。ジャケット層M0は、ジャケットM1およびさらなるジャケットが存在する場合はさらなるジャケットよりも、コアの中点の近くに位置する。ジャケット層M0は、一般に、光伝導または放射伝導には役立たない。そうではなくて、ジャケット層M0は、放射を放射が輸送されるコアの内側に保つのに、より役立つ。したがって、コア内で伝導される放射は、好ましくはコアからジャケット層M0への界面で反射される。コアからジャケット層M0へのこの界面は、好ましくは屈折率の変化により特徴付けられる。ジャケット層M0の屈折率は、好ましくはコアの屈折率nKより低い。好ましくは、ジャケット層M0は、コアと同じ材料を含むが、ドーピングまたは添加剤のため、コアより低い屈折率を有する。
【0083】
本発明によれば、ジャケットM1は、二酸化ケイ素製であり、
a)10ppm未満、例えば5ppm未満、特に好ましくは1ppm未満のOH含有量、および
b)60ppm未満、好ましくは40ppm未満、例えば40ppm未満または2ppm未満または0.5ppm未満、特に好ましくは0.1ppm未満の塩素含有量、および
c)200ppb未満、好ましくは100ppb未満、例えば80ppb未満、特に好ましくは60ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmは、それぞれジャケットM1の総重量に基づく。
【0084】
OH含有量は、ジャケットM1内のOHイオンの含有量を意味する。これは、永続的なOH基および可動的なOH基の両方を含む。永続的なOH基は、二酸化ケイ素造粒体のケイ素に共有結合した、または二酸化ケイ素造粒体が含むさらなる元素と共有結合したOH基を意味する。永続的なOH基は、800~1700℃の範囲の温度処理により取り除かれない。可動的なOH基は、ジャケット内に含まれる非永続的なOH基を意味する。可動的なOH基は、二酸化ケイ素粒子または粉末の熱的処理に関して後述するように、800℃超の焼き戻しにより取り除くことができる。
【0085】
好ましくは、ジャケット層M1は、10ppm未満、例えば5ppm未満もしくは1ppm未満、または1ppb~10ppmの範囲もしくは1ppb~5ppmの範囲、特に好ましくは1ppb~1ppmの範囲のOH含有量を有する。
【0086】
塩素含有量は、ジャケットM1内の元素状塩素または塩化物イオンの含有量を意味する。好ましくは、ジャケットM1は、60ppm未満、好ましくは40ppm未満、例えば40ppm未満または2ppm未満または0.5ppm未満、特に好ましくは0.1ppm未満の塩素含有量を有する。しばしば、ジャケットM1の塩素含有量は、少なくとも1ppbである。
【0087】
アルミニウム含有量は、ジャケットM1内の元素状アルミニウムまたはアルミニウムイオンの含有量を意味する。好ましくは、ジャケットM1は、200ppb未満、例えば100ppb未満もしくは80ppb未満もしくは60ppb未満、または1~200ppbの範囲もしくは1~100ppbの範囲、特に好ましくは1~60ppbの範囲のアルミニウムを有する。
【0088】
ライトガイドの好ましい実施形態では、ジャケットM1は、以下の特徴、
d)5×1015/cm3未満、例えば0.1×1015~3×1015/cm3の範囲、特に好ましくは0.5×1015~2.0×1015/cm3の範囲のODC含有量、
e)1ppm未満、例えば0.5ppm未満、特に好ましくは0.1ppm未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
f)log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9および/またはlog10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log10(η(1300℃)/dPas)=12.1および/またはlog10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
g)6m超のカールパラメータ、
h)ジャケットM1のOH含有量a)に基づき10%以下、好ましくは5%以下のOH含有量の標準偏差、
i)ジャケットM1のCl含有量b)に基づき10%以下、好ましくは5%以下のCl含有量の標準偏差、
j)ジャケットM1のAl含有量c)に基づき10%以下、好ましくは5%以下のAl含有量の標準偏差、
k)1×10-4未満の屈折率均質性、
l)1150~1250℃の範囲、特に好ましくは1180~1220℃の範囲の変態点Tg、
のうちの少なくとも1つ、好ましくはいくつかまたは全てを有し、
ppbおよびppmは、それぞれジャケットM1の総重量に基づく。
【0089】
好ましくは、ライトガイドのジャケットM1は、a)b)、a)c)、a)d)、b)c)、b)d)、c)d)、a)b)c)、a)b)d)、b)c)d)、およびa)b)c)d)からなる群から選択される特長の組み合わせを有する。
【0090】
略語「ODC」は、「酸素欠乏センター」を意味する。本発明によれば、「ODC」は、石英ガラスの二酸化ケイ素中の欠陥中心を意味する。本発明によれば、「ODC含有量」は、石英ガラス、例えばジャケットM1または石英ガラス体の1cm3当たりのODCの含有量を意味する。石英ガラス中のODCは、:≡Si-Si≡およびO=Si:であり得る。
【0091】
好ましくは、ジャケットM1は、各場合にジャケットM1全体のODC含有量に基づき、5×1015/cm3未満、例えば0.1×1015~3×1015/cm3の範囲、特に好ましくは0.5×1015~2.0×1015/cm3の範囲のODC含有量を有する。ジャケットM1のODC含有量は、軸方向、径方向、または軸方向および径方向に様々であってよい。しばしば、ジャケットM1の測定点において、各場合にジャケットM1全体のODC含有量に基づき、最大1014/cm3、例えば最大0.5×1014/cm3のばらつきが発生し得る。好ましくは、ODC含有量のばらつきは、各場合にジャケットM1全体のODC含有量に基づき、1013/cm3未満である。好ましくは、ジャケットM1の少なくとも95%において、ODC含有量は、5×1015/cm3未満の範囲である。
【0092】
好ましくは、ジャケットM1は、各場合にジャケットM1の総重量に基づき、1000ppb未満、例えば500ppb未満、特に好ましくは100ppb未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量を有する。しかしながら、しばしばジャケットM1は、少なくとも1ppbの、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量を有する。このような金属は、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ゲルマニウム、銅、モリブデン、チタン、鉄、およびクロムである。これらは、例えば元素として、イオンとして、または分子もしくはイオンもしくは錯体の一部として存在してもよい。
【0093】
ジャケットM1は、さらなる構成要素を含んでもよい。好ましくは、ジャケットM1は、500ppm未満、例えば450ppm未満、特に好ましくは400ppm未満のさらなる構成要素を含み、各場合のppmは、ジャケットM1の総重量に基づく。さらなる構成要素の例は、炭素、フッ素、ヨウ素、臭素、およびリンである。これらは、例えば元素として、イオンとして、または分子もしくはイオンもしくは錯体の一部として存在してもよい。
【0094】
好ましくは、ジャケットM1は、各場合にジャケットM1の総重量に基づき、50ppm未満、例えば40ppm未満または30ppm未満、特に好ましくは20ppm未満の炭素を含む。
【0095】
好ましくは、ジャケットM1は、均質に分布したOH含有量、塩素含有量、またはアルミニウム含有量を有する。ジャケットM1の均質性の指標は、OH含有量、塩素含有量、またはアルミニウム含有量の標準偏差である。標準偏差は、変数の値、この場合はOH含有量、塩素含有量、またはアルミニウム含有量の、相加平均に対しての分散幅の尺度である。標準偏差を測定するために、当該の成分、例えばOH、塩素、またはアルミニウムの、試料中の含有量を少なくとも7つの測定点で測定する。
【0096】
好ましくは、ジャケットは、1×10-4未満の屈折率均質性を有する。屈折率均質性は、試料内で測定された全屈折率の平均値に基づき、試料、例えばジャケットM1または石英ガラス体内の各位置における屈折率の最大偏差を表す。平均値を測定するために、屈折率を、少なくとも7つの測定点で測定する。好ましくは、ジャケットは、1×10-4未満、例えば2×10-5未満、特に好ましくは1×10-5未満の屈折率均質性を有する。
【0097】
ライトガイドの好ましい実施形態では、ジャケットM1の重量含有量は、各場合にジャケットM1およびコアの総重量に基づき、少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%である。好ましくは、ジャケットM1の重量含有量は、各場合にジャケットM1、コア、およびジャケットM1とコアとの間に位置するさらなるジャケットの総重量に基づき、少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%である。好ましくは、ジャケットM1の重量含有量は、各場合にライトガイドの総重量に基づき、少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%である。
【0098】
好ましくは、ジャケットM1は、2.1~2.3g/cm3の範囲、特に好ましくは2.18~2.22g/cm3の範囲の密度を有する。
【0099】
ジャケットM1は、コアおよびライトガイドのコアを取り囲んでいる。ライトガイドがただ1つのコアを含む場合、ジャケットは、その1つのコアを取り囲む。ライトガイドが2つ以上のコアを含む場合、ジャケットは、原則として、全コアが必ずジャケットにより取り囲まれるようにする任意の形状で構成することができる。例えば、複数のコアは、束として存在してもよい。この場合、束は、ジャケットにより取り囲まれる。別の好ましい実施形態によれば、ジャケットは、マトリクスとして構成されている。マトリクスは、コアが中に埋め込まれ、ジャケットにより取り囲まれているジャケットを意味する。隣接するコアの間には、埋め込みマトリクスも存在する。
【0100】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)またはa)/b)/c)/e)またはa)/b)/c)/f)、さらに好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)/e)またはa)/b)/c)/d)/f)またはa)/b)/c)/e)/f)、さらに好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)/e)/f)を有する。
【0101】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)を有し、OH含有量は、5ppm未満であり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、ODC含有量は、0.1×1015~3×1015/cm3の範囲である。
【0102】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/e)を有し、OH含有量は、5ppmであり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、アルミニウムとは異なる金属の総含有量は、0.1ppm未満である。
【0103】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/f)を有し、OH含有量は、5ppm未満であり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0104】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)/e)を有し、OH含有量は、5ppm未満であり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、ODC含有量は、0.1×1015~3×1015/cm3の範囲であり、アルミニウムとは異なる金属の総含有量は、0.1ppm未満である。
【0105】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)/f)を有し、OH含有量は、5ppm未満であり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、ODC含有量は、0.1×1015~3×1015/cm3の範囲であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0106】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/e)/f)を有し、OH含有量は、5ppm未満であり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、アルミニウムとは異なる金属の総含有量は、0.1ppm未満であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0107】
ジャケットM1は、好ましくは特徴組み合わせa)/b)/c)/d)/e)/f)を有し、OH含有量は、5ppm未満であり、塩素含有量は、40ppm未満であり、アルミニウム含有量は、80ppb未満であり、ODC含有量は、0.1×1015~3×1015/cm3の範囲であり、アルミニウムとは異なる金属の総含有量は、0.1ppm未満であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0108】
二酸化ケイ素造粒体I
本発明の第2の態様は、以下の特徴、
[A]200ppm未満、好ましくは150ppm未満、例えば100ppm未満、もしくは50ppm未満、もしくは1ppm未満、もしくは500ppb未満、もしくは200ppb未満、または1ppb~200ppm未満、もしくは1ppb~100ppm、もしくは1ppb~1ppm、もしくは10ppb~500ppb、もしくは10ppb~200ppbの範囲、特に好ましくは1ppb~80ppbの塩素含有量、および
[B]200ppb未満、好ましくは100ppb未満、例えば50ppb未満または1~200ppbまたは1~100ppb、特に好ましくは1~50ppbの範囲のアルミニウム含有量、
により特徴付けられる二酸化ケイ素造粒体Iであり、
ppbおよびppmは、二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づく。
【0109】
粉末は、1~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する乾燥固体材料の粒子を意味する。
【0110】
二酸化ケイ素造粒体は、二酸化ケイ素粉末を造粒することにより得ることができる。二酸化ケイ素造粒体は、一般に、3m2/g以上のBET表面積および1.5g/cm3未満の密度を有する。造粒は、粉末粒子を顆粒に変換することを意味する。造粒中、複数の二酸化ケイ素粉末粒子のクラスター、すなわち「二酸化ケイ素顆粒」と呼ばれるより大きい凝集体が形成される。これらは、しばしば「二酸化ケイ素造粒体粒子」または「顆粒粒子」とも呼ばれる。集合として、顆粒は、造粒体を形成し、例えば二酸化ケイ素顆粒は、「二酸化ケイ素造粒体」を形成する。二酸化ケイ素造粒体は、二酸化ケイ素粉末より大きい粒径を有する。
【0111】
粉末を造粒体に変換するための造粒手順は、より詳細に後述される。
【0112】
現在の文脈では、二酸化ケイ素粒は、二酸化ケイ素体、特に石英ガラス体のサイズ低減により得ることができる二酸化ケイ素粒子を意味する。二酸化ケイ素粒は、一般に、1.2g/cm3超、例えば1.2~2.2g/cm3の範囲、特に好ましくは約2.2g/cm3の密度を有する。さらに、二酸化ケイ素粒のBET表面積は、DIN ISO 9277:2014-01に従って決定すると、好ましくは一般に1m2/g未満である。
【0113】
原則として、当業者が好適と考える全ての二酸化ケイ素粒子を、選択することができる。好ましいのは、二酸化ケイ素造粒体および二酸化ケイ素粒である。
【0114】
粒径または粒子径は、以下の式に従って「面積円相当径χAi」として与えられる粒子の直径を意味し、
【0115】
【0116】
式中、Aiは、画像解析により観察した粒子の表面積を表す。好適な測定法は、例えばISO 13322-1:2014またはISO 13322-2:2009である。「より大きい粒径」などの比較による開示は、比較される値が同じメソッドにより測定されることを常に意味する。
【0117】
二酸化ケイ素造粒体Iの好ましい実施形態では、二酸化ケイ素造粒体Iは、以下の特徴、
[C]1000ppb未満、好ましくは40~900ppbの範囲、例えば50~700ppbの範囲、特に好ましくは60~500ppbの範囲の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
[D]20~50m2/gの範囲、例えば20~40m2/gの範囲、特に好ましくは25~35m2/gの範囲のBET表面積。ミクロ細孔含有量は、好ましくは4~5m2/gの範囲、例えば4.1~4.9m2/gの範囲、特に好ましくは4.2~4.8m2/gの範囲のBET表面積を占める、
[E]0.1~1.5mL/gの範囲、例えば0.15~1.1mL/gの範囲、特に好ましくは0.2~0.8mL/gの範囲の細孔容積、
[F]10重量%未満、好ましくは0.01重量%~5重量%の範囲、例えば0.02~1重量%、特に好ましくは0.03~0.5重量%の残留水分量、
[G]0.5~1.2g/cm3の範囲、例えば0.6~1.1g/cm3の範囲、特に好ましくは0.7~1.0g/cm3の範囲のかさ密度、
[H]0.5~1.2g/cm3の範囲、例えば0.6~1.1g/cm3の範囲、特に好ましくは0.75~1.0g/cm3の範囲の重装かさ密度、
[I]50ppm未満の炭素含有量、
[J]50~150μmの範囲の粒子径分布D10、
[K]150~300μmの範囲の粒子径分布D50、
[L]250~620μmの範囲の粒子径分布D90、
のうちの少なくとも1つ、好ましくはいくつかまたは全てにより特徴付けられ、
重量%、ppb、およびppmは、二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づく。
【0118】
さらに好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iの顆粒は、球状のモルホロジーを有する。球状のモルホロジーは、粒子の円形から長円形の形状を意味する。二酸化ケイ素造粒体Iの顆粒は、好ましくは0.7~1.3SPHT3の範囲の平均真球度、例えば0.8~1.2SPHT3の範囲の平均真球度、特に好ましくは0.85~1.1SPHT3の範囲の平均真球度を有する。特徴SPHT3は、試験法の中で説明される。
【0119】
さらに好ましくは、二酸化ケイ素造粒体の顆粒は、0.7~1.3Symm3の範囲の平均対称性、例えば0.8~1.2Symm3の範囲の平均対称性、特に好ましくは0.85~1.1Symm3の範囲の平均対称性を有する。平均対称性Symm3の特徴は、試験法の中で説明される。
【0120】
二酸化ケイ素造粒体Iは、例えば分子、イオン、または元素の形でさらなる構成要素を含んでもよい。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、各場合に二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づき、500ppm未満、例えば200ppm未満、特に好ましくは100ppm未満のさらなる構成要素を含む。さらなる構成要素は、炭素、フッ化物、ヨウ化物、臭化物、リン、またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択することができる。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、各場合に二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づき、50ppm未満、例えば40ppm未満または30ppm未満、特に好ましくは20ppm未満の炭素を含む。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、各場合に二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づき、100ppm未満、例えば70ppm未満、特に好ましくは50ppm未満の、二酸化ケイ素、OHイオン、塩素/塩化物、またはアルミニウム以外の構成要素を含む。
【0121】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは2.1~2.3g/cm3の範囲、特に好ましくは2.18~2.22g/cm3の範囲の密度を有する。
【0122】
かさ密度および重装かさ密度の定義は、二酸化ケイ素造粒体の調製のための方法の場合と同様である。
【0123】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは200~300μmの範囲、例えば220~280μmの範囲、特に好ましくは230~270μmの範囲の平均粒子径を有する。
【0124】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは150~300μmの範囲、例えば180~280μmの範囲、特に好ましくは220~270μmの範囲の粒子径D50を有する。さらに好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、50~150μmの範囲、例えば80~150μmの範囲、特に好ましくは100~150μmの範囲の粒子径D10を有する。さらに好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、250~620μmの範囲、例えば280~550μmの範囲、特に好ましくは300~450μmの範囲の粒子径D90を有する。
【0125】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]または[A]/[B]/[G]または[A]/[B]/[K]、さらに好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]/[G]または[A]/[B]/[D]/[K]または[A]/[B]/[G]/[K]、さらに好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]/[G]/[K]を有する。
【0126】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~40m2/gの範囲である。
【0127】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[G]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、かさ密度は、0.6~1.1g/cm3の範囲である。
【0128】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[K]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、粒子径分布D50は、150~300μmの範囲である。
【0129】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]/[G]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~40m2/gの範囲であり、かさ密度は、0.6~1.1g/cm3の範囲である。
【0130】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]/[K]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~40m2/gの範囲であり、粒子径分布D50は、150~300μmの範囲である。
【0131】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[G]/[K]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、かさ密度は、0.6~1.1g/cm3の範囲であり、粒子径分布D50は、150~300μmの範囲である。
【0132】
二酸化ケイ素造粒体Iは、好ましくは特徴組み合わせ[A]/[B]/[D]/[G]/[K]を有し、塩素含有量は、100ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~40m2/gの範囲であり、かさ密度は、0.6~1.1g/cm3の範囲であり、粒子径分布D50は、150~300μmの範囲である。
【0133】
粒子径は、二酸化ケイ素粉末内、スラリー内、または二酸化ケイ素造粒体内に存在する集合した一次粒子の粒子のサイズを意味する。平均粒子径は、当該材料の全ての粒子径の相加平均を意味する。D50値は、粒子の総数に基づき、粒子の50%が表示値より小さいことを示す。D10値は、粒子の総数に基づき、粒子の10%が表示値より小さいことを示す。D90値は、粒子の総数に基づき、粒子の90%が表示値より小さいことを示す。粒子径は、ISO 13322-2:2006-11に従って動的光分析プロセスにより測定される。
【0134】
本発明の第3の態様は、二酸化ケイ素造粒体Iの調製のための方法に関する。この方法は、以下のステップ、
I.二酸化ケイ素粉末を提供するステップ、
II.液体を提供するステップ、
III.スラリーを得るためにステップI.およびステップII.からの成分を混合するステップ、および
IV.二酸化ケイ素造粒体Iを得るためにスラリー、好ましくはスラリーの噴霧造粒体を、噴霧乾燥するステップ
を含む。
【0135】
二酸化ケイ素粉末は、以下の特徴、
a.各場合に二酸化ケイ素粉末の総重量に基づき、200ppm未満、例えば1ppb~150ppm、または10ppb~100ppmの範囲、特に好ましくは100ppb~80ppmの範囲の塩素含有量、および
b.各場合に二酸化ケイ素粉末の総重量に基づき、200ppb未満、例えば1~150ppbまたは1~100ppbの範囲、特に好ましくは1~80ppbの範囲のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmは、それぞれ二酸化ケイ素粉末の総重量に基づく。
【0136】
二酸化ケイ素粉末は、以下の特徴、
c.20~60m2/gの範囲、例えば25~55m2/g、または30~50m2/g、特に好ましくは20~40m2/gのBET表面積、
d.0.01~0.3g/cm3の範囲、例えば0.02~0.2g/cm3の範囲、好ましくは0.03~0.15g/cm3の範囲のかさ密度、
e.50ppm未満の炭素含有量、
f.5ppm未満、例えば2ppm未満、特に好ましくは1ppb~1ppmの範囲の、アルミニウムとは異なる金属の総含有量、
g.粉末粒子の少なくとも70重量%が、10~100nmの範囲、例えば15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。
h.0.001~0.3g/cm3の範囲、例えば0.002~0.2g/cm3または0.005~0.1g/cm3の範囲、好ましくは0.01~0.06g/cm3の範囲の重装かさ密度、
i.5重量%未満、例えば0.25~3重量%の範囲、特に好ましくは0.5~2重量%の範囲の残留水分量、
j.1~7μmの範囲、例えば2~6μmの範囲または3~5μmの範囲、特に好ましくは3.5~4.5μmの範囲の粒子径分布D10、
k.6~15μmの範囲、例えば7~13μmの範囲または8~11μmの範囲、特に好ましくは8.5~10.5μmの範囲の粒子径分布D50、
l.10~40μmの範囲、例えば15~35μmの範囲、特に好ましくは20~30μmの範囲の粒子径分布D90、
のうちの好ましくは少なくとも1つ、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つまたは少なくとも4つ、特に好ましくは全てを有し、
重量%、ppb、およびppmは、それぞれ二酸化ケイ素粉末の総重量に基づく。
【0137】
二酸化ケイ素粉末
二酸化ケイ素一次粒子は、合成石英ガラスの調製においていわゆる「スート」として蓄積する。「スート」は、火炎加水分解バーナーの作動中に堆積され得る。このために、円筒ジャケット面を有する回転担持管が、バーナー列に沿って前後に動かされる。このために、酸素および水素を、燃料として、および二酸化ケイ素粒子を形成するための出発材料として、火炎加水分解バーナーに供給することができる。火炎加水分解により生成される二酸化ケイ素一次粒子は、集合または凝集して、ナノ領域の粒子径を有する二酸化ケイ素スート粒子をもたらす。これらの二酸化ケイ素スート粒子は、その長さ軸を中心として回転している担持管の円筒ジャケット層上に堆積され、これにより、いわゆるスート体が、徐々に1シートずつビルドアップされる。二酸化ケイ素スート粒子の別の一部は、スート体へと形成されて終わるのではなく、フィルタシステム内に抽出されて終わる。これらの二酸化ケイ素スート粒子は、いわゆる「スートダスト」として蓄積する。「スートダスト」は、しばしば、上記のスート体ルートを介した石英ガラスの調製のための方法の副産物である。この副産物は、しばしば、有償で労力をかけて処分される。本発明の場合、この副産物は、出発材料として用いることができ、以下において「二酸化ケイ素粉末」と呼ばれる。
【0138】
したがって、石英ガラスの調製において副産物として生成されるスートダストは、本発明による請求項における「二酸化ケイ素粉末」のソースである。
【0139】
火炎加水分解により二酸化ケイ素粉末をスートダストとして故意に生成することは、二酸化ケイ素粉末を合成する代替的な手段である。この場合、火炎加水分解において形成される二酸化ケイ素粒子は、凝集体または集合体が形成される前に取り除かれる。この場合、スートダストは、一次生成物である。これは、本発明による請求項における二酸化ケイ素粉末の第2のソースである。
【0140】
二酸化ケイ素粉末を作製するための好適な原材料は、好ましくは、シロキサン、ケイ素アルコキシド、および無機ケイ素化合物である。シロキサンは、直鎖状ポリアルキルシロキサンおよび環状ポリアルキルシロキサンを意味する。好ましくは、ポリアルキルシロキサンは、以下の一般式を有し、
SipOpR2p、
式中、pは、少なくとも2、好ましくは2~10、特に好ましくは3~5の整数であり、Rは、1~8個のC原子、好ましくは1~4個のC原子を含むアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0141】
特に好ましいのは、ヘキサメチルジシロキサン(D3)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D4)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、およびデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるシロキサンである。シロキサンがD3、D4、およびD5を含む場合、好ましくはD4が、主成分である。主成分は、各場合に二酸化ケイ素粉末の総量に基づき、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%または少なくとも94重量%、特に好ましくは少なくとも98重量%の量で存在する。好ましいケイ素アルコキシドは、テトラメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランである。二酸化ケイ素粉末の原材料として好ましい無機ケイ素化合物は、ケイ素ハロゲン化物、シリケート、炭化ケイ素、および窒化ケイ素である。二酸化ケイ素粉末の原材料として特に好ましい無機ケイ素化合物は、SiCl4およびSiHCl3である。
【0142】
二酸化ケイ素粉末は、二酸化ケイ素を含有する。好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、各場合に二酸化ケイ素粉末の総重量に基づき、95重量%超、例えば98重量%超または99重量%超または99.9重量%超の割合の二酸化ケイ素を含有する。特に好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、二酸化ケイ素粉末の総重量に基づき99.99重量%超の割合の二酸化ケイ素を含有する。
【0143】
好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、各場合に二酸化ケイ素粉末の総重量に基づき、1000ppb未満、例えば800ppb未満または500ppb未満または300ppb未満、特に好ましくは150ppb未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量を有する。しかしながら、しばしば二酸化ケイ素粉末は、少なくとも1ppbの、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量を有する。このような金属は、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ゲルマニウム、銅、モリブデン、チタン、鉄、およびクロムである。これらは、例えば元素として、イオンとして、または分子もしくはイオンもしくは錯体の一部として存在してもよい。
【0144】
好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、1000ppb未満、例えば700ppb未満または500ppb未満または300ppb未満、および特に好ましくは200ppb未満の不純物の総含有量を有し、ppbは、各場合に二酸化ケイ素粉末の総重量に基づく、
【0145】
好ましくは、粉末粒子の数に基づき、二酸化ケイ素粉末の粉末粒子の少なくとも70%は、100nm未満、例えば10~100nm未満または15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。一次粒子径は、ISO 13320:2009-10に従って動的光散乱法により測定される。
【0146】
好ましくは、粉末粒子の数に基づき、二酸化ケイ素粉末の粉末粒子の少なくとも75%は、100nm未満、例えば10~100nm未満または15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。
【0147】
好ましくは、粉末粒子の数に基づき、二酸化ケイ素粉末の粉末粒子の少なくとも80%は、100nm未満、例えば10~100nm未満または15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。
【0148】
好ましくは、粉末粒子の数に基づき、二酸化ケイ素粉末の粉末粒子の少なくとも85%は、100nm未満、例えば10~100nm未満または15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。
【0149】
好ましくは、粉末粒子の数に基づき、二酸化ケイ素粉末の粉末粒子の少なくとも90%は、100nm未満、例えば10~100nm未満または15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。
【0150】
好ましくは、粉末粒子の数に基づき、二酸化ケイ素粉末の粉末粒子の少なくとも95%は、100nm未満、例えば10~100nm未満または15~100nm未満の範囲、特に好ましくは20~100nm未満の範囲の一次粒子径を有する。
【0151】
好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、1~7μmの範囲、例えば2~6μmの範囲または3~5μmの範囲、特に好ましくは3.5~4.5μmの範囲の粒子径D10を有する。好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、6~15μmの範囲、例えば7~13μmの範囲または8~11μmの範囲、特に好ましくは8.5~10.5μmの範囲の粒子径D50を有する。好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、10~40μmの範囲、例えば15~35μmの範囲、特に好ましくは20~30μmの範囲の粒子径D90を有する。
【0152】
二酸化ケイ素粉末の出発材料がD3、D4、およびD5を含む混合物である場合、二酸化ケイ素粉末は、好ましくはD3およびD5を1:100~100:1の範囲の比率、例えば1:50~50:1または1:25~25:1の範囲の比率、特に好ましくは1:10~10:1の範囲の比率で含む。
【0153】
好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、10~60m2/gの範囲、例えば15~50m2/g、特に好ましくは20~40m2/gの比表面積(BET表面積)を有する。BET表面積は、DIN ISO 9277:2014-01に従って、かつ調査対象の表面におけるガス吸着に基づき、ブルナウアー(Brunauer)、エメット(Emmet)、およびテラー(Teller)(BET)のメソッドにより測定される。
【0154】
好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、7未満、例えば3~6.5または3.5~6または4~5.5の範囲、特に好ましくは4.5~5の範囲のpH値を有する。pH値は、単一ロッド測定電極(水中に4重量%の二酸化ケイ素粉末)によりすることができる。
【0155】
二酸化ケイ素粉末は、好ましくは特徴組み合わせa./b./c.またはa./b./d.またはa./b./e.、さらに好ましくは特徴組み合わせa./b./c./d.またはa./b./c./e.またはa./b./d./e.、さらに好ましくは特徴組み合わせa./b./c./e./e.を有する。
【0156】
二酸化ケイ素粉末は、好ましくは特徴組み合わせa./b./c.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、BET表面積は、20~40m2/gの範囲である。
【0157】
二酸化ケイ素粉末は、好ましくは特徴組み合わせa./b./d.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、粒子径分布D50は、7~13μmの範囲である。
【0158】
二酸化ケイ素粉末は、好ましくは特徴組み合わせa./b./e.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、かさ密度は、0.02~0.2g/cm3の範囲である。
【0159】
二酸化ケイ素粉末は、さらに好ましくは特徴組み合わせa./b./c./d.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、BET表面積は、20~40m2/gの範囲であり、粒子径分布D50は、7~13μmの範囲である。
【0160】
二酸化ケイ素粉末は、さらに好ましくは特徴組み合わせa./b./c./e.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、BET表面積は、20~40m2/gの範囲であり、かさ密度は、0.02~0.2g/cm3の範囲である。
【0161】
二酸化ケイ素粉末は、さらに好ましくは特徴組み合わせa./b./d./e.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、粒子径分布D50は、7~13μmの範囲であり、かさ密度は、0.02~0.2g/cm3の範囲である。
【0162】
二酸化ケイ素粉末は、特に好ましくは特徴組み合わせa./b./c./d./e.を有し、塩素含有量は、1ppb~150ppmの範囲であり、アルミニウム含有量は、1~150ppbの範囲であり、BET表面積は、20~40m2/gの範囲であり、粒子径分布D50は、7~13μmの範囲であり、かさ密度は、0.02~0.2g/cm3の範囲である。
【0163】
液体
液体は、好ましくは二酸化ケイ素粉末の溶解度が0.5g/L溶媒未満、好ましくは0.25g/L溶媒未満、特に好ましくは0.15g/L溶媒未満である溶媒からなる群から選択される。
【0164】
好適な液体は、例えば極性溶媒である。好ましくは、液体は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、およびこれらの2つ以上からなる群から選択される。特に好ましくは、液体は、水である。特に好ましくは、液体は、蒸留水または脱イオン水である。
【0165】
スラリー
二酸化ケイ素粉末は、スラリーを得るためにさらに加工される。「スラリー」は、液体と二酸化ケイ素粉末との懸濁液を意味する。二酸化ケイ素粉末は、室温では液体にほぼ不溶性であるが、高い重量割合で液体内に導入してスラリーを得ることができる。
【0166】
二酸化ケイ素粉末および液体は、任意の様式で混合されてよい。例えば、二酸化ケイ素粉末を液体に添加し、または液体を二酸化ケイ素粉末に添加し、その後かき混ぜまたは振り混ぜてもよい。好ましくは、二酸化ケイ素粉末は、かき混ぜ下で液体に添加することができる。さらに好ましくは、二酸化ケイ素粉末の一部は、液体に添加することができ、そのようにして得られた混合物は、二酸化ケイ素粉末の残りの部分と混合することができる。また、液体の一部を二酸化ケイ素粉末に添加することができ、そのようにして得られた混合物は、液体の残りの部分と混合することができる。
【0167】
二酸化ケイ素粉末と液体を混合することにより、液体中に二酸化ケイ素粉末があるスラリーが得られる。好ましくは、スラリーは、二酸化ケイ素粉末が液体中に均質に分布した懸濁液である。「均質」とは、各位置におけるスラリーの密度および組成が、各場合にスラリーの総量に基づき、平均密度および平均組成から10%を超えてばらつかないことを意味する。
【0168】
好ましくは、スラリーは、1000~2000g/Lの範囲、例えば1200~1900g/Lまたは1300~1800g/Lの範囲、特に好ましくは1400~1700g/Lの範囲の1リットル当たりの重量を有する。1リットル当たりの重量は、容積校正された容器の重さを量ることにより測定される。
【0169】
好ましくは、スラリーは、7未満、例えば1~5の範囲または2~4の範囲、特に好ましくは3~3.5の範囲の等電点を有する。「等電点」は、ゼータ電位が値0を有するpH値を意味する。このpH値では、液体中に懸濁する固体の表面は、電荷を帯びない。等電点より高いpH値では、液体中に懸濁する固体の表面は、負に帯電し、等電点より低いpH値では、正に帯電する。ゼータ電位は、ISO 13099-2:2012に従って測定される。
【0170】
好ましくは、スラリーは、少なくとも7、例えば7超の値に設定されたpH値、または7.5~13もしくは8~11、特に好ましくは8.5~10の範囲のpH値を有する。好ましくは、スラリーのpH値は、NaOHまたはNH3、例えば水溶液を使用して設定することができる。
【0171】
好ましくは、スラリーの固形物量は、各場合にスラリーの総重量に基づき、少なくとも40重量%、例えば45~90重量%、または50~80重量%、または55~75重量%の範囲、特に好ましくは60~70重量%の範囲である。
【0172】
水中に30重量%の固形物量では、スラリーの粘度は、500~2000mPa*sの範囲、例えば600~1700mPa*sの範囲、特に好ましくは1000~1600mPa*sの範囲にある。粘度は、DIN53019-1に従って測定される(30%、23℃、水、5rpm)。
【0173】
好ましくは、スラリーは、チキソトロピー挙動を有する。チキソトロピー指数は、3~6の範囲、例えば3.5~5の範囲、特に好ましくは4.0~4.5の範囲である。チキソトロピー指数は、DIN SPEC 91143-2に従って測定される(30%、23℃、水、5rpm、50rpm)。
【0174】
二酸化ケイ素粉末は、2つ以上の粉末粒子のクラスタリングにより、スラリー中に形成される。好ましくは、粉末は、4重量%水性スラリー中で100~500nmの範囲、特に好ましくは200~300nmの範囲の平均粒子径を有する。好ましくは、粉末は、4重量%水性スラリー中で50~250nmの範囲、特に好ましくは100~150nmの範囲の粒子径D10を有する。好ましくは、粉末は、4重量%水性スラリー中で100~400nmの範囲、特に好ましくは200~250nmの範囲の粒子径D50を有する。好ましくは、粉末は、4重量%水性スラリー中で200~600nmの範囲、特に好ましくは350~400nmの範囲の粒子径D90を有する。
【0175】
造粒
二酸化ケイ素造粒体は、造粒により二酸化ケイ素粉末から得られる。造粒は、粉末粒子の顆粒への変換を意味する。造粒中、「二酸化ケイ素顆粒」と呼ばれるより大きい凝集体は、複数の二酸化ケイ素粉末粒子の凝集により形成される。これらは、しばしば「二酸化ケイ素粒子」、「二酸化ケイ素造粒体粒子」、または「造粒体粒子」とも呼ばれる。集合として、顆粒は、造粒体を構成し、例えば二酸化ケイ素顆粒は、「二酸化ケイ素造粒体」を構成する。
【0176】
現在の場合、当業者に公知であり、二酸化ケイ素粉末の造粒のために好適であると当業者に思われる任意の造粒プロセスを、原則として選択することができる。造粒プロセスは、凝集造粒プロセスまたはプレス造粒プロセスとして分類し、湿式造粒プロセスおよび乾式造粒プロセスとしてさらに分類することができる。公知のメソッドは、造粒プレートにおけるロール式造粒、噴霧造粒、遠心粉砕、流動層造粒、造粒ミルを用いる造粒プロセス、圧縮、ロールプレス、ブリケッティング、スキャビング、または押出成形である。
【0177】
好ましくは、球状のモルホロジーを有する顆粒を有する二酸化ケイ素造粒体が、加工において形成され、プロセスは、さらに好ましくは噴霧造粒またはロール式造粒により遂行される。さらに好ましくは、球状のモルホロジーを有する顆粒を含む二酸化ケイ素造粒体は、せいぜい50%の顆粒、好ましくはせいぜい40%の顆粒、さらに好ましくはせいぜい20%の顆粒を含み、より好ましくは0~50%、0~40%、もしくは0~20%、または10~50%、10~40%、もしくは10~20%の球状のモルホロジーを有さない顆粒を含み、各場合の百分率は、造粒体中の顆粒の総数に基づく。球状のモルホロジーを有する顆粒は、明細書に記載のSPHT3値を有する。
【0178】
噴霧乾燥
好ましくは、二酸化ケイ素顆粒は、噴霧乾燥とも呼ばれる噴霧造粒により得られる。噴霧乾燥は、湿式造粒プロセスのグループに属する。
【0179】
噴霧乾燥中、スラリーは、ガス流内の圧力および温度下で噴霧される。スラリーの滴が形成され、直接かつ集中的な熱交換のため、直ちに乾燥する。最初に、乾燥した微小粒子が形成され(「核」)、流動層として浮遊状態に維持され、さらなる液滴を乾燥させるための表面を形成する。
【0180】
圧力は、好ましくは1~40barの範囲、例えば5~35barもしくは10~30barの範囲、または特に好ましくは14~28barの範囲であり、圧力は、絶対圧力として示されている。
【0181】
ガス流は、好ましくは空気、不活性ガス、少なくとも2つの不活性ガス、または空気と少なくとも1つの不活性ガスとの組み合わせ、好ましくは空気と少なくとも2つの不活性ガスとの組み合わせで作製される。不活性ガスは、好ましくは窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノンからなるリストから選択される。例えば、ガス流は、好ましくは空気、窒素、またはアルゴン、特に好ましくは空気で作製される。
【0182】
ガス流は、好ましくは100℃~600℃の温度、例えば200℃~550℃もしくは300℃~500℃、または特に好ましくは350℃~450℃の温度を有する。
【0183】
そのようにして得られた二酸化ケイ素顆粒のそれぞれは、二酸化ケイ素粉末の個々の粒子の凝集体として存在する。二酸化ケイ素粉末の個々の粒子の平均粒子径は、好ましくは150~300μmの範囲、例えば170~250μmの範囲、または特に好ましくは180~240μmの範囲である。これらの粒子の平均粒子径は、ISO 13322-2:2006-11に従って測定することができる。
【0184】
噴霧乾燥は、結合剤などの助剤の存在下で行われてもよい。原則として、当業者に公知であり、本目的のために好適と思われる任意の材料を助剤として用いることができる。好適な結合剤の例は、酸化カルシウムなどの金属酸化物、炭酸カルシウムなどの金属カーボネート、ならびにセルロース、セルロースエーテル、澱粉、および澱粉誘導体などのポリサッカライドである。特に好ましくは、噴霧乾燥は、助剤なしに行われる。
【0185】
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様に記載の方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体Iである。
【0186】
この方法により得ることができる二酸化ケイ素顆粒は、好ましくは本発明の第3の態様の文脈に記載の特徴を有する。
【0187】
二酸化ケイ素造粒体II
本発明の第5の態様は、以下の特徴、
(A)500ppm未満、好ましくは400ppm未満、例えば350ppm未満、または好ましくは330ppm未満もしくは1ppb~500ppmもしくは1ppb~450ppmの範囲、特に好ましくは1ppb~300ppmの塩素含有量、
(B)200ppb未満、例えば150ppb未満または100ppb未満または1~150ppbまたは1~100ppb、特に好ましくは1~80ppbの範囲のアルミニウム含有量、
により特徴付けられる二酸化ケイ素造粒体IIであり、
ppbおよびppmは、それぞれ二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づく。
【0188】
好ましい実施形態では、二酸化ケイ素造粒体IIは、以下の特徴、
(C)各場合に二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づき、1000ppb未満、例えば1~400ppbの範囲、特に好ましくは1~200ppbの範囲の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
(D)10~35m2/gの範囲、例えば10~30m2/gの範囲、特に好ましくは20~30m2/gの範囲のBET表面積。ミクロ細孔の寄与は、好ましくは1~2m2/gの範囲、例えば1.2~1.9m2/gの範囲、特に好ましくは1.3~1.8m2/gの範囲のBET表面積を占める、
(E)0.1~2.5mL/gの範囲、例えば0.2~1.5mL/gの範囲、特に好ましくは0.4~1mL/gの範囲の細孔容積、
(F)3重量%未満、例えば0.001重量%~2重量%の範囲、特に好ましくは0.01~1重量%の残留水分量、
(G)0.7~1.2g/cm3の範囲、例えば0.75~1.1g/cm3の範囲、特に好ましくは0.8~1.0g/cm3の範囲のかさ密度、
(H)0.7~1.2g/cm3の範囲、例えば0.75~1.1g/cm3の範囲、特に好ましくは0.8~1.0g/cm3の範囲の重装かさ密度、
(I)150~250μmの範囲の粒子径D50、
(J)5ppm未満、例えば4.5ppm未満、特に好ましくは4ppm未満の炭素含有量、
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられ、
重量%、ppb、およびppmは、それぞれ二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づく。
【0189】
二酸化ケイ素造粒体IIは、例えば分子、イオン、または元素の形でさらなる構成要素を含んでもよい。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、各場合に二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づき、500ppm未満、例えば300ppm未満、特に好ましくは100ppm未満のさらなる構成要素を含む。しばしば、少なくとも1ppbの他の構成要素が含まれる。さらなる構成要素は、炭素、フッ化物、ヨウ化物、臭化物、リン、またはこれらからの少なくとも2つの混合物からなる群から選択することができる。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、各場合に二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づき、40ppm未満、例えば30ppm未満、特に好ましくは20ppm未満の炭素を含む。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、各場合に二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づき、100ppm未満、例えば80ppm未満、特に好ましくは70ppm未満の、二酸化ケイ素、OHイオン、塩素/塩化物、またはアルミニウム以外の構成要素を含む。
【0190】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは0.5~2.0g/cm3の範囲、例えば0.6~1.5g/cm3、特に好ましくは0.8~1.2g/cm3の密度を有する。密度は、試験法に記載のように測定される。
【0191】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは150~250μmの範囲、例えば180~250μmの範囲、特に好ましくは200~250μmの範囲の粒子径D50を有する。さらに好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、50~150μmの範囲、例えば80~150μmの範囲、特に好ましくは100~150μmの範囲の粒子径D10を有する。さらに好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、250~450μmの範囲、例えば280~420μmの範囲、特に好ましくは300~400μmの範囲の粒子径D90を有する。
【0192】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)または(A)/(B)/(H)または(A)/(B)/(I)、さらに好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)/(H)または(A)/(B)/(D)/(I)または(A)/(B)/(H)/(I)、さらに好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)/(H)/(I)を有する。
【0193】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~30m2/gの範囲である。
【0194】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(H)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、重装かさ密度は、0.75~1.1g/cm3の範囲である。
【0195】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(I)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、粒子径分布D50は、150~250μmの範囲である。
【0196】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)/(H)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~30m2/gの範囲であり、重装かさ密度は、0.75~1.1g/cm3の範囲である。
【0197】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)/(I)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~30m2/gの範囲であり、粒子径分布D50は、150~250μmの範囲である。
【0198】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(H)/(I)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、重装かさ密度は、0.75~1.1g/cm3の範囲であり、粒子径分布D50は、150~250μmの範囲である。
【0199】
二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは特徴組み合わせ(A)/(B)/(D)/(H)/(I)を有し、塩素含有量は、350ppm未満であり、アルミニウム含有量は、100ppb未満であり、BET表面積は、10~30m2/gの範囲であり、重装かさ密度は、0.75~1.1g/cm3の範囲であり、粒子径分布D50は、150~250μmの範囲である。
【0200】
本発明の第6の態様は、二酸化ケイ素造粒体IIの調製のための方法である。方法は、以下のステップ、
(I)二酸化ケイ素造粒体Iを提供するステップ、および
(II)二酸化ケイ素造粒体IIを得るためにステップ(I)からの二酸化ケイ素造粒体Iを処理するステップ
を少なくとも含む。
【0201】
二酸化ケイ素造粒体Iは、以下の特徴、
A)200ppm未満の塩素含有量、および
B)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmは、それぞれ二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づく。
【0202】
好ましくは、ステップ(I)で提供される二酸化ケイ素造粒体Iは、本発明の第2の態様または第4の態様の文脈に記載の特徴により特徴付けられる。好ましくは、ステップ(I)で提供される二酸化ケイ素造粒体Iは、本発明の第2の態様または第4の態様に記載の二酸化ケイ素造粒体Iである。
【0203】
ステップ(II)
二酸化ケイ素造粒体Iが石英ガラス体を得るためにさらに加工される前に、二酸化ケイ素造粒体Iは予備処理され、これにより二酸化ケイ素造粒体IIが形成される(ステップ(II))。この予備処理は、石英ガラス体を得るための加工を容易にするか、または得られる石英ガラス体の特性に影響を与えるかのいずれかである様々な目的を果たすことができる。例えば、二酸化ケイ素造粒体Iは、緻密化、精製、表面改質、または乾燥されてもよい。
【0204】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、熱的処理、機械的処理、もしくは化学的処理、または2つ以上の処理の組み合わせに供されてもよく、これにより二酸化ケイ素造粒体IIが得られる。
【0205】
化学的
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、炭素含有量wC(1)を有する。炭素含有量wC(1)は、各場合に二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づき、好ましくは50ppm未満、例えば40ppm未満または30ppm未満、特に好ましくは1ppb~20ppmの範囲である。
【0206】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、少なくとも2つの粒子を含む。好ましくは、少なくとも2つの粒子は、互いに対して相対的な運動を行うことができる。相対運動を引き起こすための手段として、当業者に公知であり、好適であると当業者に思われる原則として全ての手段を考慮に入れることができる。特に好ましいのは、混合である。混合は、原則として、任意の様式で行うことができる。好ましくは、供給炉が、このために選択される。それゆえに、少なくとも2つの粒子は、好ましくは、供給炉内、例えば回転炉内で撹拌されることにより、互いに対して相対的な運動を遂行することができる。
【0207】
供給炉は、炉のロードおよびアンロード、いわゆる装入が連続的に行われる炉を意味する。供給炉の例は、回転炉、ロールオーバー式炉、ベルトコンベア炉、コンベア炉、連続プッシャー式炉である。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iの処理のために、回転炉が使用される。
【0208】
本発明の文脈では、方法に関して連続的とは、方法を連続的に作動させることができることを意味する。これは、方法に伴う物質および材料の導入および取り除きを、方法が遂行されている間行うことができることを意味する。方法がこのために中断される必要はない。
【0209】
例えば「連続炉」に関して、物体の属性としての連続的とは、物体の中で行われる方法または物体の中で行われる方法ステップが連続的に行われ得るように、この物体が適応されていることを意味する。
【0210】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、二酸化ケイ素造粒体IIを得るために反応物質で処理される。この処理は、二酸化ケイ素造粒体中の特定の材料の濃度を変えるために行われる。二酸化ケイ素造粒体Iは、例えばOH基、炭素含有化合物、遷移金属、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属などの、含有量が低減されるべき不純物または特定の官能性を有してもよい。不純物および官能性は、出発材料に由来してもよく、またはプロセスの過程で導入されてもよい。二酸化ケイ素造粒体Iの処理は、様々な目的を果たすことができる。例えば、処理された二酸化ケイ素造粒体I、すなわち二酸化ケイ素造粒体IIを用いることは、石英ガラス体を得るための二酸化ケイ素造粒体の加工を簡単化することができる。さらに、この選択を用いて、得られる石英ガラス体の特性を調節することができる。例えば、二酸化ケイ素造粒体Iは、精製または表面改質されてもよい。さらに、この処理を用いて、得られる石英ガラス体の特性を改善することができる。
【0211】
好ましくは、ガスまたは複数のガスの組み合わせが、反応物質として好適である。これは、混合ガスとも呼ばれる。原則として、指定の処理に関して公知であり、好適であると思われる当業者に公知の全てのガスを用いることができる。好ましくは、HCl、Cl2、F2、O2、O3、H2、C2F4、C2F6、HClO4、空気、不活性ガス、例えばN2、He、Ne、Ar、Kr、またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるガスが、用いられる。好ましくは、この処理は、ガスまたは2つ以上のガスの組み合わせの存在下で行われる。好ましくは、この処理は、ガス向流またはガス並流で行われる。
【0212】
好ましくは、反応物質は、HCl、Cl2、F2、O2、O3、またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、上記のガスの2つ以上の混合物が、二酸化ケイ素造粒体Iの処理のために使用される。このF、Cl、またはその両方の存在を通じて、例えば遷移金属、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属などの、不純物として二酸化ケイ素造粒体I中に含まれる金属を取り除くことができる。これに関連して、上記の金属は、混合ガスの構成要素と共に、プロセス条件下で化合物ガスを得るように変換されてもよく、化合物ガスは、その後抜き出され、したがってもはや造粒体中に存在しない。さらに、好ましくは、二酸化ケイ素造粒体I中のOH含有量は、二酸化ケイ素造粒体Iをこれらのガスで処理することにより、減少させることができる。
【0213】
好ましくは、HClとCl2との混合ガスが、反応物質として用いられる。好ましくは、混合ガスは、1~30体積%の範囲、例えば2~15体積%の範囲、特に好ましくは3~10体積%の範囲のHCl含有量を有する。同様に、混合ガスは、好ましくは20~70体積%の範囲、例えば25~65体積%の範囲、特に好ましくは30~60体積%の範囲のCl2含有量を有する。100体積%までの残部は、1つ以上の不活性ガス、例えばN2、He、Ne、Ar、Kr、または空気から構成されてよい。好ましくは、反応物質中の不活性ガスの割合は、各場合に反応物質の総体積に基づき、0~50体積%未満の範囲、例えば1~40体積%または5~30体積%の範囲、特に好ましくは10~20体積%の範囲である。
【0214】
O2、C2F2、またはこれらとCl2との混合物が、好ましくは、シロキサンから、または複数のシロキサンの混合物から調製された二酸化ケイ素造粒体Iを精製するために使用される。
【0215】
ガスまたは混合ガスの形の反応物質は、好ましくは50~2000L/hの範囲、例えば100~1000L/hの範囲、特に好ましくは200~500L/hの範囲のスループットを有するガス流またはガス流の一部として、二酸化ケイ素造粒体と接触する。接触の好ましい実施形態は、供給炉内、例えば回転炉内におけるガス流と二酸化ケイ素造粒体との接触である。接触の別の好ましい実施形態は、流動層プロセスである。
【0216】
反応物質による二酸化ケイ素造粒体Iの処理を通じて、炭素含有量wC(2)を有する二酸化ケイ素造粒体IIが得られる。それぞれの二酸化ケイ素造粒体の総重量に基づき、二酸化ケイ素造粒体IIの炭素含有量wC(2)は、二酸化ケイ素造粒体Iの炭素含有量wC(1)より少ない。好ましくは、wC(2)は、wC(1)より0.5~50%、例えば1~45%、特に好ましくは1.5~45%少ない。
【0217】
熱的
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、熱的処理もしくは機械的処理、またはこれらの処理の組み合わせに追加的に供される。これらの追加的な処理の1つ以上は、反応物質による処理前または処理中に行うことができる。代替的または追加的に、追加的な処理は、二酸化ケイ素造粒体IIに対しても行うことができる。以下では、「二酸化ケイ素造粒体」という用語は、「二酸化ケイ素造粒体I」および「二酸化ケイ素造粒体II」という選択肢を含む。以下に記載の処理を「二酸化ケイ素造粒体I」に対して、または処理された二酸化ケイ素造粒体I、「二酸化ケイ素造粒体II」に対して行うことも同様に可能である。
【0218】
二酸化ケイ素造粒体の処理は、様々な目的を果たすことができる。例えば、この処理は、石英ガラス体を得るための二酸化ケイ素造粒体の加工を容易にする。この処理は、得られるガラス体の特性にも影響を与えてもよい。例えば、二酸化ケイ素造粒体は、緻密化、精製、表面改質、または乾燥されてもよい。これに関連して、比表面積(BET)は、減少し得る。同様に、かさ密度および平均粒子径は、二酸化ケイ素粒子の凝集のため、増大し得る。熱的処理は、動的または静的に行うことができる。
【0219】
動的熱的処理の場合、撹拌しながら二酸化ケイ素造粒体を熱的に処理することができる全ての炉が、原則として好適である。動的熱的処理の場合、好ましくは供給炉が使用される。
【0220】
動的熱的処理における二酸化ケイ素造粒体の好ましい平均保持時間は、量に依存する。好ましくは、動的熱的処理における二酸化ケイ素造粒体の平均保持時間は、10~180分の範囲、例えば20~120分または30~90分の範囲である。特に好ましくは、動的熱的処理における二酸化ケイ素造粒体の平均保持時間は、30~90分の範囲である。
【0221】
連続的なプロセスの場合、二酸化ケイ素造粒体の流れの所定部分、例えばグラム、キログラム、またはトンが、保持時間の測定のための試料ロードとして使用される。保持時間の始まりおよび終わりは、連続的な炉作動への導入およびそれからの退出により決定される。
【0222】
好ましくは、動的熱的処理のための連続的なプロセスにおける二酸化ケイ素造粒体のスループットは、1~50kg/hの範囲、例えば5~40kg/hまたは8~30kg/hの範囲である。特に好ましくは、ここでは、スループットは、10~20kg/hの範囲である。
【0223】
動的熱的処理のための非連続的なプロセスの場合、処理時間は、炉のロードとその後のアンロードとの間の期間として与えられる。
【0224】
動的熱的処理のための非連続的なプロセスの場合、スループットは、1~50kg/hの範囲、例えば5~40kg/hまたは8~30kg/hの範囲である。特に好ましくは、スループットは、10~20kg/hの範囲である。スループットは、1時間に処理される決められた量の試料ロードを使用して、達成することができる。別の実施形態によれば、スループットは、1時間当たりのロード数を通じて達成することができ、単一ロードの重量は、1時間当たりのスループットをロード数で割った値に対応する。この場合、処理時間は、60分を1時間当たりのロード数で割った値により与えられる、時間の何分の1かに対応する。
【0225】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体の動的熱的処理は、少なくとも500℃、例えば510~1700℃または550~1500℃または580~1300℃の範囲、特に好ましくは600~1200℃の範囲の炉温で行われる。
【0226】
通常、炉は、炉チャンバ内の指示温度を有する。好ましくは、この温度は、処理期間全体および炉の全長に基づき、かつ処理中のあらゆる時点および炉内のあらゆる位置において、指示温度から10%未満だけ上向きまたは下向きに外れる。
【0227】
代替的に、特に二酸化ケイ素造粒体の動的熱的処理の連続的なプロセスは、異なる炉温で行われてもよい。例えば、炉は、処理期間にわたって一定の温度を有してもよく、温度は、炉の長さにわたってセクションごとに異なる。このようなセクションは、同じ長さでも、異なる長さでもよい。好ましくは、この場合、温度は、炉の進入口から炉の退出口まで上昇する。好ましくは、進入口における温度は、退出口におけるより少なくとも100℃低く、例えば150℃低く、または200℃低く、または300℃低く、または400℃低い。さらに、好ましくは、進入口における温度は、好ましくは少なくとも500℃、例えば510~1700℃、または550~1500℃、または580~1300℃の範囲、特に好ましくは600~1200℃の範囲である。さらに、好ましくは、進入口における温度は、好ましくは少なくとも300℃、例えば400~1000℃または450~900℃または500~800℃または550~750℃、特に好ましくは600~700℃である。さらに、炉進入口において与えられる温度範囲のそれぞれは、炉退出口において与えられる温度範囲のそれぞれと組み合わせることができる。炉進入口温度範囲と炉退出口温度範囲との好ましい組み合わせは、以下のとおりである。
【0228】
【0229】
二酸化ケイ素造粒体の静的熱的処理のために、炉内に配置された坩堝が、好ましくは使用される。好適な坩堝は、焼結坩堝または金属シート坩堝である。好ましいのは、互いにリベット留めされた複数のシートから作製された圧延金属シート坩堝である。好ましい坩堝材料の例は、高融点金属、特にタングステン、モリブデン、およびタンタルである。坩堝は、さらに、黒鉛製でもよく、高融点金属の坩堝の場合、黒鉛箔で内張りされてもよい。さらに、好ましくは、坩堝は、二酸化ケイ素製でもよい。特に好ましくは、二酸化ケイ素坩堝が用いられる。
【0230】
静的熱的処理における二酸化ケイ素造粒体の平均保持時間は、量に依存する。好ましくは、20kg量の二酸化ケイ素造粒体Iの静的熱的処理における二酸化ケイ素造粒体の平均保持時間は、10~180分の範囲、例えば20~120分の範囲、特に好ましくは30~90分の範囲である。
【0231】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体の静的熱的処理は、少なくとも800℃、例えば900~1700℃または950~1600℃または1000~1500℃または1050~1400℃の範囲、特に好ましくは1100~1300℃の範囲の炉温で行われる。
【0232】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iの静的熱的処理は、一定の炉温で行われる。静的熱的処理は、変化する炉温で行われてもよい。好ましくは、この場合、温度は、処理中に上昇し、処理開始時における温度は、終了時より少なくとも50℃低く、例えば70℃低く、または80℃低く、または100℃低く、または110℃低く、終了時における温度は、好ましくは少なくとも800℃、例えば900~1700℃または950~1600℃または1000~1500℃または1050~1400℃の範囲、特に好ましくは1100~1300℃の範囲である。
【0233】
機械的
さらなる好ましい実施形態によれば、二酸化ケイ素造粒体Iは、機械的に処理することができる。機械的処理は、かさ密度を増大させるために行われてもよい。機械的処理は、上記の熱的処理と組み合わせてもよい。機械的処理は、二酸化ケイ素造粒体中の凝集体を、したがって二酸化ケイ素造粒体中の個々の処理された二酸化ケイ素顆粒の平均粒子径が大きくなり過ぎることを、防止することができる。凝集体の増大は、さらなる加工を妨害し、もしくは本発明の方法により調製される石英ガラス体の特性に対して不利な影響を有し、または両効果の組み合わせを有し得る。二酸化ケイ素造粒体の機械的処理は、個々の二酸化ケイ素顆粒の表面とガス(複数可)との均一な接触も促進する。これは、特に、1つ以上のガスによる同時発生的な機械的および化学的処理により達成される。このようにして、化学的処理の効果を改善することができる。
【0234】
二酸化ケイ素造粒体の機械的処理は、2つ以上の二酸化ケイ素顆粒を互いに対して相対的に動かすことにより、例えば回転炉の管を回転させることにより、行うことができる。
【0235】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、化学的、熱的、および機械的に処理される。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iの同時の化学的、熱的、および機械的な処理が、行われる。
【0236】
化学的処理では、二酸化ケイ素造粒体I中の不純物の含有量が、低減される。このために、二酸化ケイ素造粒体Iは、高温の回転炉内で、塩素および酸素含有雰囲気下で処理されてもよい。二酸化ケイ素造粒体I中に存在する水が蒸発し、有機材料が反応してCOおよびCO2を形成する。金属不純物は、揮発性の塩素含有化合物に変換することができる。
【0237】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、少なくとも500℃の温度、好ましくは550~1300℃または600~1260℃または650~1200℃または700~1000℃の温度範囲、特に好ましくは700~900℃の温度範囲の回転炉内の塩素および酸素含有雰囲気中で処理される。塩素含有雰囲気は、例えばHClもしくはCl2、または両者の組み合わせを含有する。この処理は、炭素含有量の低減を引き起こす。
【0238】
さらに、好ましくはアルカリおよび鉄の不純物が、低減される。好ましくは、OH基の数の低減が、達成される。700℃未満の温度では、処理期間が長くなる場合があり、1100℃超の温度では、造粒体の細孔が閉じて塩素または塩素化合物ガスをトラップするリスクが存在する。
【0239】
好ましくは、それぞれ熱的処理および機械的処理と同時発生的である、複数の化学的処理ステップを順次に行うことも可能である。例えば、二酸化ケイ素造粒体Iは、最初に塩素含有雰囲気中で、その後酸素含有雰囲気中で処理されてもよい。そこから結果として生じる炭素、水酸基、および塩素の低い濃度は、二酸化ケイ素造粒体IIの溶融を促進する。
【0240】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップII.2)は、以下の特徴、
N1)反応物質は、HCl、Cl2、またはそれらからの組み合わせを含む、
N2)処理は、回転炉内で行われる、
N3)処理は、600~900℃の範囲の温度で行われる、
N4)反応物質は、向流を形成する、
N5)反応物質は、50~2000L/hの範囲、好ましくは100~1000L/h、特に好ましくは200~500L/hのガス流を有する、
N6)反応物質は、0~50体積%未満の範囲の不活性ガスの体積割合を有する
のうちの少なくとも1つ、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つ、特に好ましくは全ての組み合わせにより特徴付けられる。
【0241】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iは、二酸化ケイ素粉末の粒径より大きい粒径を有する。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体Iの粒径は、二酸化ケイ素粉末の粒径の最大300倍の大きさ、例えば最大250倍の大きさまたは最大200倍の大きさまたは最大150倍の大きさまたは最大100倍の大きさまたは最大50倍の大きさまたは最大20倍の大きさまたは最大10倍の大きさ、特に好ましくは2~5倍の大きさである。
【0242】
本発明の第7の態様は、本発明の第6の態様に記載の方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体IIである。
【0243】
この方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体は、好ましくは本発明の第5の態様の文脈に記載の特性を有する。
【0244】
本発明の第8の態様は、石英ガラス体の調製のための方法である。方法は、以下のステップ、
i)二酸化ケイ素造粒体IIを提供するステップ、
ii)ガラス溶融物を得るためにステップi)からの二酸化ケイ素造粒体IIを加温するステップ、
iii)ガラス溶融物の少なくとも一部を取り除き、石英ガラス体を形成するステップ
を少なくとも含む。
【0245】
二酸化ケイ素造粒体IIは、以下の特徴、
A)500ppm未満の塩素含有量、および
B)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppmおよびppbは、それぞれ二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づく。
【0246】
好ましくは、ステップi)で提供される二酸化ケイ素造粒体IIは、本発明の第5の態様または第7の態様の文脈に記載の特徴により特徴付けられる。好ましくは、ステップi)で提供される二酸化ケイ素造粒体IIは、本発明の第5の態様または第7の態様に記載の二酸化ケイ素造粒体IIである。
【0247】
ステップii)
ガラス溶融物は、ステップi)で提供される二酸化ケイ素造粒体IIから作製される。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、ガラス溶融物を得るために加温される。ガラス溶融物を得るように二酸化ケイ素造粒体IIを加温することは、原則として、この目的のための当業者に公知の任意の方法により遂行することができる
【0248】
真空焼結
ガラス溶融物を得るように二酸化ケイ素造粒体IIを加温することは、真空焼結により遂行することができる。このプロセスは、二酸化ケイ素造粒体IIが数回に分けて溶融状態に加温される非連続的なプロセスである。
【0249】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、真空坩堝内で加温される。坩堝は、溶融炉内に配置されている。坩堝は、立設式または吊り下げ式、好ましくは吊り下げ式に配置することができる。坩堝は、焼結坩堝でも、金属シート坩堝でもよい。互いにリベット留めされた複数のプレートの圧延金属シート坩堝が好ましい。好適な坩堝材料の例は、高融点金属、特にW、Mo、およびTa、黒鉛、または黒鉛箔で内張りされた坩堝であり、特に好ましいのは、黒鉛坩堝である。
【0250】
真空焼結では、二酸化ケイ素造粒体IIは、真空下で溶融状態に加温される。真空下とは、2mbar未満の残圧を意味する。このために、二酸化ケイ素造粒体IIを含む坩堝を、2mbar未満の残圧に排気減圧する。
【0251】
好ましくは、坩堝は、溶融炉内で1500~2500℃の範囲、例えば1700~2300℃の範囲、特に好ましくは1900~2100℃の範囲の溶融温度まで加温される。
【0252】
坩堝内の二酸化ケイ素造粒体IIの溶融温度における好ましい保持時間は、量に依存する。好ましくは、坩堝内の二酸化ケイ素造粒体IIの溶融温度における保持時間は、0.5~10時間、例えば1~8時間または1.5~6時間、特に好ましくは2~5時間である。
【0253】
二酸化ケイ素造粒体IIは、加温中、撹拌されてもよい。二酸化ケイ素造粒体IIの撹拌は、好ましくはかき混ぜ、振り混ぜ、または旋回により遂行される。
【0254】
ガス圧焼結
ガラス溶融物を得るように二酸化ケイ素造粒体Iを加温することは、ガス圧焼結により遂行することができる。このプロセスは、二酸化ケイ素造粒体IIが数回に分けて溶融状態に加温される静的プロセスである。
【0255】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、閉鎖可能な坩堝内に入れられ、溶融炉内に導入される。好適な坩堝材料の例は、黒鉛、高融点金属、特にW、Mo、およびTa、または黒鉛箔で内張りされた坩堝、特に好ましくは黒鉛坩堝である。坩堝は、少なくとも1つのガス入口および少なくとも1つのガス出口を含む。ガスは、ガス入口を通じて坩堝内部に導入することができる。ガスは、ガス出口を通じて坩堝内部から取り除くことができる。好ましくは、坩堝は、ガス流中および真空中で作動させることが可能である。
【0256】
ガス圧焼結では、二酸化ケイ素造粒体IIは、少なくとも1つのガスまたは2つ以上のガスの存在下で溶融状態に加温される。好適なガスは、例えばH2、および不活性ガス(N2、He、Ne、Ar、Kr)、ならびにこれらの2つ以上である。好ましくは、ガス圧焼結は、還元雰囲気内で、特に好ましくはH2またはH2/Heの存在下で遂行される。空気とH2またはH2/Heとの間のガス交換が、行われる。
【0257】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、1bar超、例えば2~200barまたは5~200barまたは7~50barの範囲、特に好ましくは10~25barのガス圧で溶融状態に加温される。
【0258】
好ましくは、坩堝は、炉内で1500~2500℃の範囲、例えば1550~2100℃または1600~1900℃の範囲、特に好ましくは1650~1800℃の範囲の溶融温度に加温される。
【0259】
坩堝内の二酸化ケイ素造粒体IIの溶融温度におけるガス圧下での好ましい保持時間は、量に依存する。好ましくは、量が20kgのとき、坩堝内の二酸化ケイ素造粒体IIの溶融温度における保持時間は、0.5~10時間、例えば1~9時間または1.5~8時間、特に好ましくは2~7時間である。
【0260】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、最初に真空中で、その後H2雰囲気またはH2およびHeを含む雰囲気中で、特に好ましくはこれらのガスの向流において、溶融状態にもたらされる。この方法では、第1のステップにおける温度は、好ましくはさらなるステップにおけるよりも低い。真空中の加温とガス(複数可)の存在下での加温との間の温度差は、好ましくは0~200℃、例えば10~100℃、特に好ましくは20~80℃である。
【0261】
溶融前の部分的結晶相の形成
原則として、二酸化ケイ素造粒体IIを溶融前に予備処理することも可能である。例えば、二酸化ケイ素造粒体IIは、部分的結晶質の二酸化ケイ素造粒体を溶融状態に加熱する前に、少なくとも部分的な結晶相が形成されるように加温することができる。
【0262】
部分的結晶相の形成のために、二酸化ケイ素造粒体IIは、好ましくは減圧で、または1つもしくは複数のガスの存在下で加温される。好適なガスは、例えばHCl、Cl2、F2、O2、H2、C2F6、空気、不活性ガス(N2、He、Ne、Ar、Kr)、ならびにこれらからの2つ以上である。好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、減圧で加温される。
【0263】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、二酸化ケイ素造粒体IIが溶融することなしに柔らかくなる処理温度に、例えば1000~1700℃または1100~1600℃または1200~1500℃の範囲の温度に、特に好ましくは1250~1450℃の範囲の温度に加温される。
【0264】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、炉内に配置された坩堝内で加温される。坩堝は、立設式または吊り下げ式、好ましくは吊り下げ式に配置することができる。坩堝は、焼結坩堝でも、金属シート坩堝でもよい。互いにリベット留めされた複数のプレート製の圧延金属シート坩堝が好ましい。好適な坩堝材料の例は、高融点金属、特にW、Mo、およびTa、黒鉛、または黒鉛箔で内張りされた坩堝、好ましくは黒鉛坩堝である。好ましくは、坩堝内の二酸化ケイ素造粒体IIの処理温度における保持時間は、1~6時間、例えば2~5時間、特に好ましくは3~4時間である。
【0265】
好ましくは、二酸化ケイ素造粒体IIは、連続的なプロセスで、特に好ましくは回転炉内で加温される。炉内の平均保持時間は、好ましくは10~180分、例えば20~120分、特に好ましくは30~90分である。
【0266】
好ましくは、予備処理のために用いられる炉は、二酸化ケイ素造粒体IIが溶融状態に加温される溶融炉への供給ライン内に一体化することができる。さらに好ましくは、予備処理は、溶融炉内で遂行することができる。
【0267】
ステップiii)
石英ガラス体は、ステップii)で調製されるガラス溶融物の少なくとも一部から形成される。
【0268】
好ましくは、石英ガラス体は、ステップii)で作製されるガラス溶融物の少なくとも一部から形成される。原則として、石英ガラス体は、溶融炉内のガラス溶融物の少なくとも一部から、またはガラス溶融物の少なくとも一部を溶融炉から取り除いた後に、好ましくはガラス溶融物の少なくとも一部を溶融炉から取り除いた後に、形成することができる。
【0269】
ステップii)で調製されたガラス溶融物の一部の溶融炉からの除去は、連続的に、またはガラス溶融物の調製の終了後に、遂行することができる。ガラス溶融物は、出口を通じて、好ましくはノズルを通じて、炉から取り除かれる。
【0270】
ガラス溶融物は、取り除き前、取り除き中、または取り除き後に、ガラス溶融物を成形することを可能にする温度に冷却することができる。ガラス溶融物の冷却後、ガラス溶融物の粘度は、上昇する。ガラス溶融物は、好ましくは、付与された形状がそのまま残り、成形が、できる限り容易かつ確実に、できる限り少ない努力で遂行することができる程度まで、冷却される。当業者は、成形装置内のガラス溶融物の温度を変化させることにより、成形用のガラス溶融物の粘度を容易に確立することができる。好ましくは、ガラス溶融物は、500℃未満、例えば200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度に、特に好ましくは20~30℃の範囲の温度に冷却される。
【0271】
さらに好ましくは、冷却は、0.1~50K/分、例えば0.2~10K/分または0.3~8K/分または0.5~5K/分、特に好ましくは1~3K/分の範囲の速度で遂行される。
【0272】
以下のプロファイル、
1.1180~1220℃の範囲の温度に冷却する、
2.30~120分、例えば40~90分、特に好ましくは50~70分の持続時間にわたってこの温度を保持する、
3.500℃未満、例えば200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度に、特に好ましくは20~30℃の範囲の温度に冷却する、
に従って冷却することがさらに好ましく、
冷却は、各場合に、0.1~50K/分、例えば0.2~10K/分または0.3~8K/分または0.5~5K/分、特に好ましくは1~3K/分の範囲の速度で遂行される。
【0273】
成形される石英ガラス体は、中実体でも、中空体でもよい。中実体は、実質的に単一の材料製の体を意味する。同様に、中実体は、1つまたは複数の介在物、例えばガス気泡を有してもよい。中実体内のこのような介在物は、しばしば、65mm3以下、例えば40mm3未満、または20mm3未満、または5mm3未満、または2mm3未満、特に好ましくは0.5mm3未満のサイズを有する。
【0274】
石英ガラス体は、外形を有する。外形は、石英ガラス体の断面の外縁の形状を意味する。石英ガラス体の断面の外形は、好ましくは円形、長円形、または3つ以上の角、例えば4つ、5つ、6つ、7つ、もしくは8つの角を有する多角形であり、特に好ましくは石英ガラス体は、円形である。
【0275】
好ましくは、石英ガラス体は、100~10000mmの範囲、例えば1000~4000mm、特に好ましくは1200~2000mmの長さを有する。
【0276】
好ましくは、石英ガラス体は、10~1500mmの範囲、例えば50~1000mmまたは100~500mmの範囲、特に好ましくは150~300mmの範囲の外径を有する。
【0277】
石英ガラス体の成形は、ノズルにより遂行することができる。このために、ガラス溶融物は、ノズルを通じて送られる。ノズルにより成形される石英ガラス体の外形は、ノズル開口部の形状により決定される。ノズル開口部が円形の場合、石英ガラス体は、円筒として成形されることになる。ノズルは、溶融炉内に一体化されても、または別々に配置されてもよい。ノズルが溶融炉内に一体化されない場合、ノズルは、ガラス溶融物を溶融後および成形前に導入することができる容器を上流に備えてもよい。好ましくは、ノズルは、溶融炉内に一体化されている。好ましくは、ノズルは、溶融炉内に出口の一部として一体化されている。石英ガラス体を成形するためのこの方法は、二酸化ケイ素造粒体が連続的なプロセスに好適な垂直配置炉内で溶融状態に加熱されるとき、好ましい。
【0278】
石英ガラス体の成形は、鋳型、例えば成形鋳型内にガラス溶融物を成形することにより遂行することができる。好ましくは、ガラス溶融物は、鋳型内で冷却され、その後取り除かれる。冷却は、好ましくは鋳型を外側から冷却することにより遂行することができる。石英ガラス体を成形するためのこの方法は、二酸化ケイ素がガス圧焼結により、または真空焼結により溶融状態に加熱されるとき、好ましい。
【0279】
好ましくは、石英ガラス体は、成形後に冷却される。好ましくは、石英ガラス体は、500℃未満、例えば200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度に、特に好ましくは20~30℃の範囲の温度に冷却される。
【0280】
好ましくは、冷却は、0.1~50K/分、例えば0.2~10K/分または0.3~8K/分または0.5~5K/分、特に好ましくは1~3K/分の範囲の速度で遂行される。
【0281】
以下のプロファイル、
1.1180~1220℃の範囲の温度に冷却する、
2.30~120分、例えば40~90分、特に好ましくは50~70分の持続時間にわたってこの温度を保持する、
3.500℃未満、例えば200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度に、特に好ましくは20~30℃の範囲の温度に冷却する、
に従って冷却することがさらに好ましく、
冷却は、各場合に、0.1~50K/分、例えば0.2~10K/分または0.3~8K/分または0.5~5K/分、特に好ましくは1~3K/分の範囲の速度で遂行される。
【0282】
本発明の第位8の態様の実施形態によれば、方法は、以下の方法ステップ、
iv.)石英ガラス体から、少なくとも1つの開口部を有する中空体を作製するステップ
を含む。
【0283】
作製される中空体は、内形および外形を有する。内形は、中空体の断面の内縁の形状を意味する。中空体の断面の内形および外形は、同じでも、異なってもよい。中空体の断面における内形および外形は、円形でも、長円形でも、3つ以上の角、例えば4つ、5つ、6つ、7つ、もしくは8つの角を有する多角形でもよい。
【0284】
好ましくは、断面の外形は、中空体の内形に対応する。特に好ましくは、中空体は、断面において円形の内形および円形の外形を有する。
【0285】
別の実施形態では、中空体は、内形と外形が異なってもよい。好ましくは、中空体は、断面において円形の外形および多角形の内形を有する。特に好ましくは、中空体は、断面において円形の外形および六角形の内形を有する。
【0286】
好ましくは、中空体は、100~10000mmの範囲、例えば1000~4000mm、特に好ましくは1200~2000mmの長さを有する。
【0287】
好ましくは、中空体は、1~1000mmの範囲、例えば10~500mmまたは30~200mmの範囲、特に好ましくは50~125mmの範囲の壁厚を有する。
【0288】
好ましくは、中空体は、10~1500mmの範囲、例えば50~1000mmまたは100~500mmの範囲、特に好ましくは150~300mmの範囲の外径を有する。
【0289】
好ましくは、中空体は、1~500mmの範囲、例えば5~300mmまたは10~200mmの範囲、特に好ましくは20~100mmの範囲の内径を有する。
【0290】
中空体は、1つ以上の開口部を含む。好ましくは、中空体は、きっかり1つの開口部を含む。好ましくは、中空体は、偶数の開口部、例えば2つ、4つ、6つ、8つ、10、12、14、16、18、または20の開口部を含む。好ましくは、中空体は、2つの開口部を含む。好ましくは、中空体は、管である。この形状の中空体は、ライトガイドがただ1つのコアを含むとき、特に好ましい。
【0291】
中空体は、3つ以上の開口部を含むことができる。開口部は、好ましくは、石英ガラス体の端部に位置付けられた、対向して位置付けられた対として配置されている。例えば、石英ガラス体の各端部は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つ以上の開口部、特に好ましくは5つ、6つ、または7つの開口部を含むことができる。
【0292】
中空体は、原則として、当業者に公知の方法を使用して成形することができる。好ましくは、中空体は、ノズルにより成形される。好ましくは、ノズルは、成形中にガラス溶融物を偏向させる装置を、その開口部の真ん中に含む。このようにして、中空体を、ガラス溶融物から成形することができる。
【0293】
中空体の成形は、ノズルを使用し、その後、後処理することにより遂行することができる。好適な後処理は、原則として、中実体から中空体を調製するための当業者に公知の全てのプロセス、例えば流路貫通、ドリル加工、ホーニング、または研削である。好ましくは、好適な後処理は、中実体を1つまたは複数のマンドレルの上に送ることであり、これにより中空体が成形される。また、マンドレルを中実体内に導入して中空体を成形することができる。好ましくは、中空体は、成形後に冷却される。
【0294】
中空体を得るための成形は、鋳型内で、例えば成形鋳型内でガラス溶融物を成形することにより遂行することができる。好ましくは、ガラス溶融物は、鋳型内で冷却され、その後鋳型から取り除かれる。冷却は、好ましくは鋳型を外側から冷却することにより遂行することができる。
【0295】
好ましくは、中空体は、500℃未満、例えば200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度に、特に好ましくは20~30℃の範囲の温度に冷却される。
【0296】
好ましくは、冷却は、0.1~50K/分、例えば0.2~10K/分または0.3~8K/分または0.5~5K/分、特に好ましくは1~3K/分の範囲の速度で遂行される。
【0297】
以下のプロファイル、
1.1180~1220℃の範囲の温度に冷却する、
2.30~120分、例えば40~90分、特に好ましくは50~70分の持続時間にわたってこの温度を保持する、
3.500℃未満、例えば200℃未満または100℃未満または50℃未満の温度に、特に好ましくは20~30℃の範囲の温度に冷却する、
に従って冷却することがさらに好ましく、
冷却は、各場合に、0.1~50K/分、例えば0.2~10K/分または0.3~8K/分または0.5~5K/分、特に好ましくは1~3K/分の範囲の速度で遂行される。
【0298】
本発明の第9の態様は、本発明の第8の態様に記載の方法により得ることができる石英ガラス体であり、石英ガラス体は、好ましくは二酸化ケイ素製であり、二酸化ケイ素は、以下の特徴、
A]10ppm未満のOH含有量、および
B]60ppm未満の塩素含有量、および
C]200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmは、それぞれ石英ガラス体の総重量に基づく。
【0299】
好ましくは、石英ガラス体は、以下の特徴、
D]5×1015/cm3未満、例えば0.1×1015~3×1015/cm3の範囲、特に好ましくは0.5×1015~2.0×1015/cm3の範囲のODC含有量、
E]300ppb未満、例えば200ppb未満、特に好ましくは1~150ppbの範囲の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
F]log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9および/またはlog10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log10(η(1300℃)/dPas)=12.1および/またはlog10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
G]石英ガラス体のOH含有量A]に基づき10%以下、好ましくは5%以下のOH含有量の標準偏差、
H]石英ガラス体のCl含有量B]に基づき10%以下、好ましくは5%以下のCl含有量の標準偏差、
I]石英ガラス体のAl含有量C]に基づき10%以下、好ましくは5%以下のAl含有量の標準偏差、
J]1×10-4未満、例えば5×10-5未満、特に好ましくは1×10-6未満の屈折率均質性、
K]円筒形状、
L]1150~1250℃の範囲の変態点Tg、
M]1055~1200℃の範囲の仮想温度、
のうちの少なくとも1つ、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つまたは少なくとも4つ、特に好ましくは全てにより特徴付けられ、
ppbおよびppmは、それぞれ石英ガラス体の総重量に基づく。
【0300】
この態様の好ましい実施形態については、第1の態様~第8の態様に記載の好ましい実施形態を参照する。これらは、本発明のこの態様の好ましい実施形態でもある。
【0301】
好ましくは、石英ガラス体は、均質に分布したOH含有量、塩素含有量、またはアルミニウム含有量を有する。石英ガラス体の均質性の指標は、OH含有量、塩素含有量、またはアルミニウム含有量の標準偏差として表すことができる。標準偏差は、変数の値、この場合はOH含有量、塩素含有量、またはアルミニウム含有量の、それらの相加平均に対しての分散幅の尺度である。標準偏差を測定するために、当該の成分、例えばOH、塩素、またはアルミニウムの含有量を試料中の少なくとも7つの測定位置で測定する。
【0302】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]またはA]/B]/C]/E]またはA]/B]/C]/F]、さらに好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]/E]またはA]/B]/C]/D]/F]またはA]/B]/C]/E]/F]、さらに好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]/E]/F]を有する。
【0303】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、ODC含有量は、0.1・1015~3・1015/cm3の範囲である。
【0304】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/E]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量は、200ppb未満である。
【0305】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/F]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0306】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]/E]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、ODC含有量は、0.1・1015~3・1015/cm3の範囲であり、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量は、200ppb未満である。
【0307】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]/F]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、ODC含有量は、0.1・1015~3・1015/cm3の範囲であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0308】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/E]/F]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量は、200ppb未満であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0309】
石英ガラス体は、好ましくは特徴組み合わせA]/B]/C]/D]/E]/F]を有し、OH含有量は、10ppm未満であり、塩素含有量は、60ppm未満であり、アルミニウム含有量は、200ppb未満であり、ODC含有量は、0.1・1015~3・1015/cm3の範囲であり、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量は、200ppb未満であり、粘度(p=1013hPa)は、log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9の範囲である。
【0310】
本発明の第9の態様の好ましい実施形態によれば、ステップ、
i)以下のステップ、
(I)以下のステップ、
I.二酸化ケイ素粉末を提供するステップ、
II.液体を提供するステップ、
III.スラリーを得るためにステップI.およびステップII.からの成分を混合するステップ、および
IV.二酸化ケイ素造粒体Iを得るためにスラリーを噴霧乾燥するステップ、
を含む方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体Iを提供するステップ、
(II)二酸化ケイ素造粒体IIを得るためにステップ(I)からの二酸化ケイ素造粒体Iを処理するステップ、
を含む方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体IIを提供するステップ、
ii)ステップ(I)からの二酸化ケイ素造粒体IIからガラス溶融物を形成するステップ、
iii)ガラス溶融物の少なくとも一部から石英ガラス体を形成するステップ、
iv)任意追加的に石英ガラス体から少なくとも1つの開口部を有する中空体を形成するステップ
を含む方法により得ることができる石英ガラス体である。
【0311】
本発明の第10の態様は、石英ガラス体であり、石英ガラス体は、二酸化ケイ素製であり、
A]10ppm未満のOH含有量、
B]60ppm未満の塩素含有量、および
C]200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmは、各場合に石英ガラス体の総重量に基づく。
【0312】
好ましくは、石英ガラス体は、以下の特徴、
D]5×1015/cm3未満、例えば0.1×1015~3×1015/cm3の範囲、特に好ましくは0.5×1015~2.0×1015/cm3の範囲のODC含有量、
E]300ppb未満、例えば200ppb未満、特に好ましくは1~150ppbの範囲の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
F]log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9および/またはlog10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log10(η(1300℃)/dPas)=12.1および/またはlog10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
G]石英ガラス体のOH含有量A]に基づき10%以下、好ましくは5%以下のOH含有量の標準偏差、
H]石英ガラス体のCl含有量B]に基づき10%以下、好ましくは5%以下のCl含有量の標準偏差、
I]石英ガラス体のAl含有量C]に基づき10%以下、好ましくは5%以下のAl含有量の標準偏差、
J]1×10-4未満、例えば5×10-5未満、特に好ましくは1×10-6未満の屈折率均質性、
K]円筒形状、
L]1150~1250℃の範囲の変態点Tg、
M]1055~1200℃の範囲の仮想温度、
のうちの少なくとも1つ、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つまたは少なくとも4つ、特に好ましくは少なくとも5つにより特徴付けられ、
ppbおよびppmは、それぞれ石英ガラス体の総重量に基づく。
【0313】
この態様の好ましい実施形態については、第1の態様~第9の態様に記載の好ましい実施形態を参照する。これらは、本発明のこの態様の好ましい実施形態でもある。特に、本発明の第1の態様のジャケット層に関する特徴は、本発明の第10の態様のジャケット層の好ましい特徴でもある。
【0314】
本発明の第11の態様は、以下のステップ、
A/ 以下のものを提供するステップ、
A1/ ステップiv.)を含む本発明の第8の態様に記載の方法により得ることができる少なくとも1つの開口部を有する中空体、または
A2/ 石英ガラス体が、少なくとも1つの開口部を有する中空体を得るように最初に加工される、本発明の第9の態様または第10の態様に記載の石英ガラス体、
B/ 前駆体を得るために、石英ガラス体内に少なくとも1つの開口部を通じて1つ以上のコアロッドを導入するステップ、
C/ 1つまたは複数のコアおよびジャケットM1を有するライトガイドを得るために、温かい場所でステップB/からの前駆体を延伸するステップ
を含む、ライトガイドの調製のための方法である。
【0315】
ステップA/
ステップA/で提供される石英ガラス体は、少なくとも2つの開口部を有する中空体である。ステップA/で提供される石英ガラス体は、好ましくは本発明の第10の態様に記載の特徴により特徴付けられる。好ましくは、ステップA/で提供される石英ガラス体は、ステップiv.)として少なくとも2つの開口部を有する中空体の石英ガラス体からの調製を含む、本発明の第8の態様に記載の方法により得ることができる。特に好ましくは、このようにして調製される石英ガラス体は、本発明の第10の態様に記載の特徴を有する。好ましくは、ステップA/で提供される石英ガラス体は、本発明の第9の態様に記載の特徴を有する石英ガラス体である。特に好ましくは、ステップA/で提供される石英ガラス体は、本発明の第9の態様に記載の特徴および本発明の第10の態様に記載の特徴を有する石英ガラス体である。好ましくは、ステップA/で提供される石英ガラス体は、本発明の第10の態様に記載の石英ガラス体である。
【0316】
ステップB/
1つまたは複数のコアロッドが、石英ガラス体の少なくとも1つの開口部を通じて導入される(ステップB/)。本発明の文脈では、コアロッドは、ジャケット、例えばジャケットM1内に導入され、ライトガイドを得るために加工されるように適応された物体を意味する。コアロッドは、石英ガラスのコアを有する。好ましくは、コアロッドは、石英ガラスのコアと、コアを取り囲むジャケット層M0とを含む。
【0317】
各コアロッドは、石英ガラス体内に収まるように選択された形状を有する。好ましくは、コアロッドの外形は、石英ガラス体の開口部の形状に対応する。特に好ましくは、石英ガラス体は、管であり、コアロッドは、円形の断面を有するロッドである。
【0318】
コアロッドの直径は、中空体の内径より小さい。好ましくは、コアロッドの直径は、中空体の内径より0.1~3mm小さく、例えば0.3~2.5mm小さく、または0.5~2mm小さく、または0.7~1.5mm小さく、特に好ましくは0.8~1.2mm小さい。
【0319】
好ましくは、石英ガラス体の内径とコアロッドの直径との比率は、2:1~1.0001:1の範囲、例えば1.8:1~1.001:1の範囲または1.6:1~1.005:1の範囲または1.4:1~1.01:1の範囲、特に好ましくは1.2:1~1.05:1の範囲である。
【0320】
好ましくは、コアロッドによりふさがれない石英ガラス体の内側の領域は、少なくとも1つのさらなるコンポーネント、例えば二酸化ケイ素粉末または二酸化ケイ素造粒体で充填することができる。
【0321】
少なくとも1つのさらなる石英ガラス体内にすでに存在するコアロッドを石英ガラス体内に導入することも可能である。さらなる石英ガラス体は、この場合、石英ガラス体の内径より小さい外径を有する。石英ガラス体内に導入されるコアロッドはまた、2つ以上のさらなる石英ガラス体の内側に、例えば3つ以上のさらなる石英ガラス体内に存在してもよい。
【0322】
このようにして得られる1つまたは複数のコアロッドを備えた石英ガラス体は、以下において「前駆体」と呼ばれる。
【0323】
ステップC/
前駆体は、温かい場所で延伸される(ステップC/)。このようにして得られる製品は、1つまたは複数のコアと、少なくとも1つのジャケットM1とを含むライトガイドである。
【0324】
好ましくは、前駆体は、0.05m/h~110km/hの範囲の速度で延伸される。
【0325】
好ましくは、温かい場所での延伸は、最高2500℃の温度で、例えば1700~2400℃の範囲の温度で、特に好ましくは2100~2300℃の範囲の温度で遂行される。
【0326】
好ましくは、前駆体は、前駆体を外側から加熱する炉を通じて供給される。
【0327】
好ましくは、前駆体は、ライトガイドの要求される厚さが達成されるまで伸長される。好ましくは、前駆体は、各場合にステップA/で提供される石英ガラス体の長さに基づき、1,000~6,000,000倍の長さ、例えば10,000~500,000倍の長さ、または30,000~200,000倍の長さに伸長される。特に好ましくは、前駆体は、各場合にステップB/で提供される前駆体の長さに基づき、100,000~10,000,000倍の長さ、例えば150,000~5,800,000倍の長さまたは160,000~640,000倍の長さまたは1,440,000~5,760,000倍の長さまたは1,440,000~2,560,000倍の長さに伸長される。
【0328】
好ましくは、前駆体の直径は、伸長により、各場合にステップB/で提供される前駆体の直径に基づき、1/100~1/3,500の範囲、例えば1/300~1/3,000または1/400~1/800または1/1,200~1/2,400または1/1,200~1/1,600の範囲に低減される。
【0329】
ステップC/で得られるライトガイドは、様々なステップで後処理することができる。
【0330】
ライトガイドに、被膜を設けることができる。好ましくは、ライトガイドに、延伸後、かつさらなる後処理ステップを遂行する前に、被膜を設けることができる。被膜は、機械的損傷からの保護、ならびに湿気、熱、寒気、および他の外的影響からの保護として役立つ。さらなる被膜がなければ、機械的弾性の著しい低減につながり得る繊維表面上の微細な引裂の危険性が増大した。被膜は、1つまたは2つ以上の層から作製することができる。好ましくは、被膜は、2つの層から作製される。2つの層を有する被膜は、好ましくは、湿気をコアおよびジャケット層から遠ざける、ジャケット層を取り囲む第1の層、ラッカー、ならびにライトガイドを熱的損傷および機械的損傷から保護する、第1の層を取り囲むさらなる層を有する。好適な被膜材料は、具体的には架橋ポリマーであり、好ましい被膜材料は、架橋アクリレート、ポリイミド、シリコーン、またはこれらの2つ以上である。第1の層は、特に好ましくは架橋ポリアクリレート製である。第1の層は、好ましくは10~100μmの範囲、例えば15~50μmの範囲、特に好ましくは20~30μmの範囲の厚さを有する。さらなる層は、例えば架橋ポリマーの組み合わせ製である。さらなる層は、好ましくは5~500μmの範囲、例えば10~100μmまたは15~50μmの範囲、特に好ましくは20~30μmの厚さを有する。
【0331】
本発明の第12の態様は、本発明の第11の態様に記載の方法により得ることができるライトガイドである。
【0332】
好ましくは、本発明の第11の態様に記載の方法により得ることができるライトガイドは、ジャケットM1および1つまたは複数のコアを有し、
ジャケットM1が、コアを取り囲み、
各コアが、コアの最大延長に垂直な屈折率プロファイルを有し、各屈折率プロファイルの少なくとも1つの屈折率nKが、ジャケットM1の屈折率nM1より大きく、
ジャケットM1が、二酸化ケイ素製であり、
a)10ppm未満のOH含有量、および
b)60ppm未満の塩素含有量、および
c)200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有し、
ppbおよびppmは、それぞれジャケットM1の総重量に基づく。
【0333】
好ましくは、ジャケットM1は、以下の特徴、
d)5×1015/cm3未満、例えば0.1×1015~3×1015/cm3の範囲、特に好ましくは0.5×1015~2.0×1015/cm3の範囲のODC含有量、
e)1ppm未満、例えば0.5ppm未満、特に好ましくは0.1ppm未満の、アルミニウムとは異なる金属の金属含有量、
f)log10(η(1200℃)/dPas)=13.4~log10(η(1200℃)/dPas)=13.9および/またはlog10(η(1300℃)/dPas)=11.5~log10(η(1300℃)/dPas)=12.1および/またはlog10(η(1350℃)/dPas)=1.2~log10(η(1350℃)/dPas)=10.8の範囲の粘度(p=1013hPa)、
g)6m超のカールパラメータ、
h)ジャケットM1のOH含有量a)に基づき10%以下、好ましくは5%以下のOH含有量の標準偏差、
i)ジャケットM1のCl含有量b)に基づき10%以下、好ましくは5%以下のCl含有量の標準偏差、
j)ジャケットM1のAl含有量c)に基づき10%以下、好ましくは5%以下のAl含有量の標準偏差、
k)1×10-4未満、例えば5×10-5未満、特に好ましくは1×10-6未満の屈折率均質性、
l)1150~1250℃の範囲、特に好ましくは1180~1220℃の範囲の変態点Tg、
のうちの少なくとも1つを有し、
ppbおよびppmは、それぞれジャケットM1の総重量に基づく。
【0334】
好ましいのは、以下のステップ、
A/ 好ましくは以下のステップ、
i)以下のステップ、
(I)以下のステップ、
I.二酸化ケイ素粉末を提供するステップ、
II.液体を提供するステップ、
III.スラリーを得るためにステップI.およびステップII.からの成分を混合するステップ、および
IV.二酸化ケイ素造粒体Iを得るためにスラリーを噴霧乾燥するステップ、
を含む方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体Iを提供するステップ、
(II)二酸化ケイ素造粒体IIを得るためにステップ(I)からの二酸化ケイ素造粒体Iを処理するステップ、
を含む方法により得ることができる二酸化ケイ素造粒体IIを提供するステップ、
ii)ステップ(II)からの二酸化ケイ素造粒体IIからガラス溶融物を作製するステップ、
iii)ガラス溶融物の少なくとも一部から石英ガラス体を作製するステップ、
iv)石英ガラス体から、少なくとも1つの開口部を有する中空体を作製するステップ、
を含む方法により得ることができる石英ガラス体を提供するステップ、
B/ 前駆体を得るために、石英ガラス体内に少なくとも1つの開口部を通じて1つまたは複数のコアロッドを導入するステップ、
C/ コアおよび少なくとも1つのジャケット層M1を有するライトガイドを得るために、温かい場所で前駆体を乾燥させるステップ
を含む方法により得ることができる、ライトガイドである。
【0335】
この文脈では、二酸化ケイ素造粒体Iは、各場合に二酸化ケイ素造粒体Iの総重量に基づき、以下の特徴、
A)200ppm未満の塩素含有量、
B)200ppb未満のアルミニウム含有量、
のうちの少なくとも1つを有する。
【0336】
この文脈では、二酸化ケイ素粉末は、各場合に二酸化ケイ素粉末の総重量に基づき、以下の特徴、
a.200ppm未満の塩素含有量、および
b.200ppb未満のアルミニウム含有量、
を有する。
【0337】
この文脈では、二酸化ケイ素造粒体IIは、各場合に二酸化ケイ素造粒体IIの総重量に基づき、以下の特徴、
(A)500ppm未満の塩素含有量、
(B)200ppb未満のアルミニウム含有量、
のうちの少なくとも1つを有する。
【0338】
この態様の好ましい実施形態については、第6の態様~第11の態様に記載の好ましい実施形態を参照する。これらは、本発明のこの態様の好ましい実施形態でもある。
【0339】
本発明の第13の態様は、本発明の第1の態様または第12の態様に記載の少なくとも2つのライトガイドを備えたライトガイドケーブルである。
【0340】
好ましくは、ライトガイドケーブルは、少なくとも2つ、特に好ましくは10~2000のライトガイドを備える。
【0341】
少なくとも2つのライトガイドは、任意の方法でケーブル内に配置することができる。好ましくは、ライトガイドは、束または撚り合わせとしてケーブル内に存在する。ライトガイドの束は、互いに隣に位置する複数の、好ましくは10のライトガイドを意味する。撚り合わせライトガイドは、互いに巻き付けられたライトガイドを意味する。
【0342】
好ましくは、少なくとも2つのライトガイドは、ジャケット付きである。ジャケットは、少なくとも2つのライトガイドに直接適用することができる。直接とは、1mm以下の空き空間が、少なくとも2つのライトガイドとジャケットとの間に存在することを意味する。ジャケットは、1mm超の間隔が空いた状態にとどまるように、少なくとも2つのライトガイドを取り囲んでよい。
【0343】
ジャケットは、機械的損害からの保護、ならびに湿気、熱、寒気、および他の外的影響からの保護として役立つ。ジャケットは、1つまたは2つ以上の層から作製することができる。好ましくは、ジャケットは、2つ以上の層、外側に位置する層および少なくとも1つの内側に位置する層、から作製される。外側に位置する層は、主として機械的損害からの保護として役立つ。少なくとも1つの内側に位置する層は、湿気、熱的、機械的、および他の外的影響から保護する。層のための特に好適な材料は、架橋ポリマーである。
【0344】
少なくとも2つのライトガイドは、好ましくは、少なくとも2つのライトガイドの端部がライトガイドケーブルの端部と一致するように、ライトガイドケーブル内に配置される。特に好ましくは、ケーブルの少なくとも2つのライトガイドは、等長である。「等長」とは、ケーブルのライトガイドの平均長さに基づき、5%以下のライトガイドの長さの偏差を意味する。
【0345】
好ましくは、ライトガイドケーブルは、少なくとも一端に、好ましくは両端に、それを通じてライトガイドケーブルを他のライトガイドケーブルまたは他のコンポーネントと接続することができる装置を有する。好ましくは、ライトガイドケーブルは、少なくとも一端に、好ましくは両端にプラグ接続またはスプライス接続を有する。
【0346】
本発明の第14の態様は、以下のステップ、
A} 本発明の第1の態様または第12の態様に記載の少なくとも2つのライトガイドを提供するステップ、
B} ライトガイドケーブルを得るために、A}からの少なくとも2つのライトガイドを加工するステップ
を含む、ライトガイドケーブルの調製のための方法である。
【0347】
好ましくは、この方法により得ることができるライトガイドケーブルは、本発明の第13の態様に記載の特徴により特徴付けられる。
【0348】
ステップA}で提供される少なくとも2つのライトガイドは、特徴A]~C]を少なくとも有する。好ましくは、ステップA}で提供される少なくとも2つのライトガイドは、少なくとも特徴D]~G]のうちの少なくとも1つを有する。好ましくは、ステップA}で提供される少なくとも2つのライトガイドは、本発明の第1の態様または第12の態様に記載の特徴により特徴付けられる。
【0349】
ステップA}で提供される少なくとも2つのライトガイドは、ステップB}で加工される。加工は、2つ以上のライトガイドから作製されるライトガイドケーブルを得ることができるステップを含んでもよい。
【0350】
例えば、ステップB}に記載の加工は、以下のステップ、
- 2つ以上のライトガイドに、ジャケットを設けることができる。
- 2つ以上のライトガイドを、撚り合わせることができる。
- 2つ以上のライトガイドを、束ねることができる。2つ以上のライトガイドの束は、好ましくは、別個の装置によりまとめて保持することができる。例えば、束は、ジャケットによりまとめて保持することができる。
- 2つ以上のライトガイドに、端部に装置、好ましくはプラグまたはスプライス装置を設けることができる。
を含んでよい。
【0351】
本発明の第14の態様の好ましい実施形態は、本発明の第12の態様に従って得ることができるライトガイドを提供するステップを含む、ライトガイドケーブルの調製のための方法である。したがって、ライトガイドケーブルは、好ましくは以下のステップ、
A} 好ましくはライトガイドの調製のための上記の方法に従って得ることができる、少なくとも2つのライトガイドを提供するステップ、
B} ライトガイドケーブルを得るために、A}からの少なくとも2つのライトガイドを加工するステップ
を含む方法により得ることができる。
【0352】
この態様の好ましい実施形態については、第3の態様~第13の態様に記載の好ましい実施形態を参照する。これらは、本発明のこの態様の好ましい実施形態でもある。
【0353】
本発明の第15の態様は、光ファイバ、ライトガイド、およびライトガイドケーブルのためのジャケット材料からなる群から選択される製品の調製のための、本発明の第2の態様または第4の態様に記載の二酸化ケイ素造粒体の使用に関する。
【0354】
ジャケット材料は、バリューチェーン内のさらなるステップにおいて、光ファイバ、ライトガイド、またはシースもしくは被膜により保護されるべき別の体のシースまたは被膜を得るために加工される材料を意味する。
【0355】
図1は、本発明による石英ガラス体の調製のための方法100のステップ101~104を含む流れ図を示す。第1のステップ101では、二酸化ケイ素造粒体が提供される。第2のステップ102では、ガラス溶融物が、二酸化ケイ素造粒体から作製される。
【0356】
好ましくは、溶融のために、炉内に導入し、炉から取り除くことができる鋳型が用いられる。このような鋳型は、しばしば黒鉛から作製される。これらは、鋳造のためのネガ形状を提供する。二酸化ケイ素造粒体は、第3のステップ103で鋳型内に充填され、最初に鋳型内で溶融状態にもたらされる。その後、溶融物を冷却することにより、石英ガラス体が鋳型内に形成される。次いで、これを鋳型から外し、例えば任意追加的なステップ104で、さらに加工する。この手順は、非連続的である。溶融物の成形は、好ましくは減圧、特に真空で遂行される。ステップ103中、炉を水素含有還元雰囲気で間欠的に充填することも可能である。
【0357】
別の手順では、坩堝は、好ましくは吊り下げ式坩堝または立設式坩堝である。この場合、二酸化ケイ素造粒体は、溶融坩堝内に導入され、ガラス溶融物が形成されるまで溶融坩堝内で加温される。この場合、溶融は、好ましくは水素含有還元雰囲気内で遂行される。第3のステップ103では、石英ガラス体が成形される。ここで、石英ガラス体の成形は、ガラス溶融物の少なくとも一部を坩堝から取り除き、例えば坩堝の底面上のノズルを通じて冷却することにより、遂行される。この場合、石英ガラス体の形状は、ノズルのレイアウトにより決定することができる。このようにして、例えば、中実体を得ることができる。例えばマンドレルがノズル内に追加的に存在する場合、中空体が得られる。石英ガラス体の調製のためのこの例示的な方法、および特にステップ103は、好ましくは連続的に遂行される。任意追加的なステップ104では、中実な石英ガラス体から中空体を成形することができる。
【0358】
図2は、二酸化ケイ素造粒体Iの調製のための方法200のステップ201、202、および203を含む流れ図を示す。第1のステップ201では、二酸化ケイ素粉末が提供される。二酸化ケイ素粉末は、好ましくはケイ素含有材料、例えばシロキサン、ケイ素アルコキシド、またはケイ素ハロゲン化物が高熱法プロセスにおいて二酸化ケイ素に変換される合成プロセスから得られる。第2のステップ202では、二酸化ケイ素粉末を液体、好ましくは水と混合して、スラリーを得る。第3のステップ203では、スラリー中に含まれる二酸化ケイ素が、二酸化ケイ素造粒体に変換される。造粒は、噴霧造粒により遂行される。このために、スラリーをノズルを通じて噴霧塔内に噴霧し、乾燥させて顆粒を得る。ノズルとスラリーとの間の接触面は、ガラスまたはプラスチックを含む。
【0359】
図3は、二酸化ケイ素造粒体IIの調製のための方法300のステップ301、302、303、および304を含む流れ図を示す。ステップ301、302、および303は、
図2に記載のステップ201、202、および203に対応して進む。ステップ304では、ステップ303で得られた二酸化ケイ素造粒体Iを加工して、二酸化ケイ素造粒体IIを得る。これは、好ましくは二酸化ケイ素造粒体Iを塩素含有雰囲気中で加温することにより、遂行される。
【0360】
図4には、二酸化ケイ素を噴霧造粒するための噴霧塔1100の好ましい実施形態が示されている。噴霧塔1100は、二酸化ケイ素粉末および液体を含有する加圧されたスラリーがそれを通じて噴霧塔内に供給される供給口1101を含む。パイプラインの端部には、それを通じてスラリーが噴霧塔内にきめ細かく広がる分布として導入されるノズル1102がある。好ましくは、ノズルは、スラリーが噴霧塔内でノズル方向に微小液滴として噴霧され、次いで重力の影響下で弧を描いて落下するように、上向きに傾斜する。噴霧塔の上端には、ガス入口1103が存在する。ガス入口1103を通じたガスの導入により、ガス流が、ノズル1102から出るスラリーの退出方向とは反対方向に生み出される。噴霧塔1100は、スクリーニング装置1104および篩い分け装置1105も含む。所定の粒子径より小さい粒子は、スクリーニング装置1104により抽出され、排出物1106を通じて取り除かれる。スクリーニング装置1104の抽出強度は、抽出されるべき粒子の粒子径に対応するように構成することができる。所定の粒子径を超える粒子は、篩い分け装置1105により篩い分けにより排除され、排出物1107を通じて取り除かれる。篩い分け装置1105の篩い透過度は、篩い分けにより排除されるべき粒子径に対応するように選択することができる。残りの粒子、所望の粒子径を有する二酸化ケイ素造粒体、は出口1108を通じて取り除かれる。
【0361】
図5には、コア1201とコア1201を取り囲むジャケットM1 1202とを有する、本発明によるライトガイド1200の概略断面図が示されている。
【0362】
図6は、ケーブル構造を有するガイド1300の上面図を概略的に示す。コア1301とコア1301の周囲のジャケットM1 1302との配置を表すために、コア1301の一部は、ジャケットM1 1302なしに示されている。しかしながら、典型的に、コア1301は、その全長にわたってジャケットM1 1302により包まれている。
【0363】
図7は、真空焼結方法、ガス圧焼結方法、および特にこれらの組み合わせに好適な、炉1500の好ましい実施形態を示す。炉は、外側から出発して内側に向かって、耐圧ジャケット1501および断熱層1502を有する。炉内部とも呼ばれるこれらにより取り囲まれる空間は、ガス供給装置1504を介してガスまたは混合ガスで充填することができる。さらに、炉内部は、それを介してガスを取り除くことができるガス出口1505を備えている。ガス輸送におけるガス供給1504と1505におけるガス取り除きとの間の関係に従って、過大圧力、真空、またはガス流も、炉1500の内部に生成することができる。さらに、発熱体1506が、炉1500の内部に設けられている。これらは、しばしば、断熱層1502(ここでは図示せず)上に配置される。溶融材料を汚染から守るために、炉の内部に、炉チャンバ1503を発熱体1506から分離するいわゆる「ライナー」1507が設けられている。溶融材料1509を含む溶融鋳型1508を、炉チャンバ1503内に導入することができる。鋳型1508は、側部が開いていてもよく(ここに図示する)、または溶融材料1509を完全に取り囲んでいてもよい(図示せず)。
【0364】
試験法
a.仮想温度
仮想温度は、約606cm-1におけるラマン散乱強度を使用してラマン分光法により測定する。Pfleiderer et.al.の寄稿、「The UV-induced 210nm absorption band in fused Silica with different thermal history and stoichiometry」;Journal of Non-Crystalline Solids,volume 159(1993),145-153ページに記載の手順および分析。
【0365】
b.OH含有量
ガラスのOH含有量を、赤外分光法により測定する。D.M.Dodd & D.M.Fraser「Optical Determinations of OH in Fused Silica」(J.A.P.37,3991(1966))のメソッドを用いる。同文献で指定の装置の代わりに、FTIR分光計(フーリエ変換赤外分光計、Perkin Elmerの現行のSystem 2000)を用いる。スペクトルの分析は、原則として、約3670cm-1の吸収バンドまたは約7200cm-1の吸収バンドのいずれかで遂行することができる。吸収バンドの選択は、OH吸収による透過損が10~90%であることに基づき行う。
【0366】
c.酸素欠乏センター(ODC:Oxygen Deficiency Centre)
定量的検出のために、ODC(I)吸収を、165nmで、1~2mmの厚さを有する試料における透過率測定により、真空UV分光計、McPherson、Inc.(米国)のモデルVUVAS 2000を使用して測定する。
【0367】
そのとき、
N=α/σ
ただし
N=欠陥濃度[1/cm3]
α=ODC(I)バンドの光吸収[1/cm、底e]
σ=有効断面積[cm2]
【0368】
式中、有効断面積は、σ=7.5・10-17cm2に設定される(L.Skuja、「Color Centres and Their Transformations in Glassy SiO2」、Lectures of the summer school「Photosensitivity in optical Waveguides and glasses」、1998年7月13~18日、フィッツナウ、スイスから)。
【0369】
d.元素分析
d-1)固体試料を粉砕する。次いで、約20gの試料を、それを耐HF性容器内に完全に導入し、HFで覆い、100℃で1時間熱処理することにより清浄化する。冷却後、この酸を廃棄し、試料を高純度水で数回洗浄する。次いで、容器および試料を乾燥棚内で乾燥させる。
【0370】
次に、約2gの固体試料(上記のように清浄化した粉砕材料。予備処理なしに直接のダストなど)を、計量して耐HF性抽出容器内に入れ、15mlのHF(50重量%)に溶解させた。抽出容器を閉じて、試料が完全に溶解するまで100℃で熱処理した。次いで、抽出容器を開けて、溶液が完全に蒸発するまで100℃でさらに熱処理した。その間、抽出容器に15mlの高純度水を3回充填した。分離した不純物を溶解させるために、1mlのHNO3を抽出容器内に導入し、15mlまで高純度水を充填した。そして試料溶液の準備ができた。
【0371】
d-2)ICP-MS/ICP-OES測定
OESが用いられるか、それともMSが用いられるかは、予想される元素濃度に依存する。典型的に、MSの測定値は、1ppbであり、OESの場合、測定値は、10ppbである(各場合に計量した試料に基づく)。測定装置による元素濃度の測定は、装置メーカー(ICP-MSはAgilent 7500ce、ICP-OESはPerkin Elmer 7300 DV)の条件に従って、かつ校正用の認証済み基準液体を使用して、遂行する。次いで、装置により測定した溶液(15ml)中の元素濃度を、試料の元の重量(2g)に基づき変換する。
【0372】
注:当該の元素濃度を測定するために、酸、容器、水、および装置は、十分に清潔でなければならないことが銘記されるべきである。これは、石英ガラスのない空試料を抽出することによりチェックする。
【0373】
このようにして以下の元素、Li、Na、Mg、K、Ca、Fe、Ni、Cr、Hf、Zr、Ti、(Ta)、V、Nb、W、Mo、Alを測定する。
【0374】
d-3)液体として存在する試料の測定を上記のように行い、ステップd-1)に記載の試料調製は省略する。15mlの液体試料を抽出フラスコ内に導入する。元の試料重量に基づく変換は、行わない。
【0375】
e.液体の密度の決定
液体の密度を測定するために、正確に規定された体積の液体を計量し、液体およびその構成要素に対して不活性な測定装置に入れ、容器の空重量および充填重量を測定する。密度は、2つの重量測定値の差を、導入した液体の体積で割った値として与えられる。
【0376】
f.フッ化物の検出
15gの石英ガラス試料を粉砕し、硝酸中で70℃で処理することにより清浄化する。次いで試料を高純度水で数回洗い、次いで乾燥させる。2gの試料を計量してニッケル坩堝内に入れ、10gのNa2CO3および0.5gのZnOで覆う。坩堝をNi蓋で閉め、1000℃で1時間ローストする。次いでニッケル坩堝に水を充填し、溶融クラストが完全に溶解するまで沸騰させる。溶液を200mlメスフラスコに移し、200mlまで高純度水で充填する。未溶解の構成要素の堆積後、30mlをとって100mlメスフラスコに移し、0.75mlの氷酢酸および60mlのTISABを添加し、高純度水で満たす。試料溶液を150mlガラスビーカーに移す。
【0377】
試料溶液中のフッ化物含有量の測定は、予想される濃度範囲に好適なイオン感応性(フッ化物)電極およびメーカーにより規定されている表示装置により、ここではWissenschaftlich-Technische Werkstaetten GmbH製のpMX 3000/pH/IONに接続されたフッ化物イオン選択性電極および基準電極F-500およびR503/Dにより、遂行する。溶液中のフッ化物濃度と共に、希釈係数および試料重量、石英ガラス中のフッ化物濃度が計算される。
【0378】
g.塩素の決定(≧50ppm)
15gの石英ガラス試料を粉砕し、硝酸で約70℃で処理することにより清浄化する。その後、試料を高純度水で数回洗い、次いで乾燥させる。次いで、2gの試料を圧力容器用のPTFEインサートに充填し、15mlのNaOH(c=10mol/l)を添加し、PTFE蓋を閉め、圧力容器内に配置する。これを閉め、約155℃で24時間熱処理する。冷却後、PTFEインサートを外し、溶液を100mlメスフラスコに完全に移す。そこに、10mlのHNO3(65重量%)および15mlの酢酸緩衝液を添加し、放冷し、100mlまで高純度水で満たした。試料溶液を150mlガラスビーカーに移す。試料溶液は、5~7の範囲のpH値を有する。
【0379】
試料溶液中の塩素含有量の測定は、予想される濃度範囲に好適なイオン感応性(塩化物)電極およびメーカーにより規定されている表示装置により、ここではWissenschaftlich-Technische Werkstaetten GmbH製のpMX 3000/pH/IONに取り付けられたタイプCl-500の電極およびタイプR-503/Dの基準電極により、遂行する。
【0380】
h.塩素含有量(<50ppm)
石英ガラス中の塩素含有量<50ppmは、0.1ppmまで、中性子放射化分析(NAA:neutron activation analysis)により測定する。このために、それぞれ直径3mmおよび長さ1cmの3つのボアを、調査対象の石英ガラス体からとる。これらを、分析のために研究機関、この場合はヨハネス・グーテンベルク大学(ドイツ、マインツ)の核化学研究所に預ける。試料の塩素による汚染を排除するために、測定直前の現場でのHF槽内での試料の入念な清浄化を手配した。各ボアを数回測定する。次いで、結果およびボアが研究機関から返送される。
【0381】
i.光学特性
石英ガラス試料の透過率を、Perkin Elmer製の市販の格子分光計またはFTIR分光計(Lambda 900[190~3000nm]またはSystem 2000[1000~5000nm])で測定する。この選択は、要求される測定範囲により決定する。
【0382】
絶対透過率を測定するために、試料体を平行平面上で磨き(表面粗さRMS<0.5nm)、表面から全ての残留物を超音波処理により取り除く。試料厚さは、1cmである。不純物、ドーパントなどのため強い透過損が予想される場合、装置の測定範囲内にとどまるために、より厚い、またはより薄い試料を選択することができる。放射の試料通過のためほんのわずかなアーチファクトが生成され、同時に十分に検出可能な効果が測定される試料厚さ(測定長さ)が、選択される。
【0383】
不透明性の測定、試料を積分球の前に配置する。不透明性は、以下の式に従って、測定した透過率値Tを使用して計算する。O=1/T=I0/I。
【0384】
j.管またはロッド内の屈折率および屈折率プロファイル
管/ロッドの屈折率プロファイルは、York Technology Ltd.製Preform Profiler P102またはP104により特性把握することができる。このために、ロッドを、横たわった状態で測定チャンバ内に配置する、チャンバをしっかり閉める。次いで、測定チャンバを、633nmにおける最も外側のガラス層の屈折率に非常によく似た屈折率を633nmの試験波長で有する浸漬油で充填する。次いで、レーザービームが、測定チャンバを通過する。測定チャンバの背後(放射の方向)に、(測定チャンバを退出する放射と比較した、測定チャンバに進入する放射の)偏角を測定する検出器を装着する。ロッドの屈折率プロファイルの放射相称の仮定の下、直径沿いの屈折率プロファイルは、逆アーベル変換により再構築することができる。これらの計算を、装置メーカーYorkのソフトウェアにより遂行する。
【0385】
試料の屈折率を、上記と類似のYork Technology Ltd.製Preform Profiler P104で測定する。等方性試料の場合、屈折率プロファイルの測定は、1つの値、屈折率だけを与える。
【0386】
k.炭素含有量
二酸化ケイ素造粒体および二酸化ケイ素粉末の表面炭素含有量の定量的測定は、Leco Corporation(米国)製の炭素分析器RC612で、全ての表面炭素汚染(SiCを除く)を酸素で完全に酸化させて二酸化炭素を得ることにより、遂行する。このために、4.0gの試料を計量し、石英ガラス皿に入れて、炭素分析器に導入する。試料を、純酸素に浸し、180秒間900℃に加熱する。形成されるCO2を、炭素分析器の赤外検出器により測定する。これらの測定条件下では、検出限界は、≦1ppm(重量ppm)の炭素である。
【0387】
上記に指定の炭素分析器を使用するこの分析に好適な石英ガラスボートは、実験用品市場で、この場合はDeslis Laborhandel(フルールシュトラセ 21,D-40235 デュッセルドルフ(ドイツ))、Deslis番号LQ-130XLから、LECO番号781-335を有するLECO分析器用消耗品として入手することができる。このようなボートは、約25mm/60mm/15mmの幅/長さ/高さ寸法を有する。石英ガラスボートを、その高さの半分まで試料材料で充填する。二酸化ケイ素粉末の場合、1.0gの試料材料の試料重量に到達することができる。そのとき、検出下限は、<1重量ppmの炭素である。同じボート内で、同じ充填高さについて、4gの二酸化ケイ素造粒体の試料重量に到達することができる(100~500μmの範囲の平均粒子径)。その場合、検出下限は、約0.1重量ppmの炭素である。検出下限は、試料の測定面積分が空試料の測定面積分の3倍以下であるとき、到達される(空試料=上記の方法だが、空の石英ガラスボートによる)。
【0388】
l.カールパラメータ
カールパラメータ(「ファイバカール」とも呼ばれる)は、DIN EN 60793-1-34:2007-01(規格IEC 60793-1-34:2006のドイツ版)に従って測定する。測定は、Annex AのセクションA.2.1、A.3.2、およびA.4.1に記載のメソッドに従って行う(「極端な技法(extrema technique)」)。
【0389】
m.減衰
減衰は、DIN EN 60793-1-40:2001(規格IEC 60793-1-40:2001のドイツ版)に従って測定する。測定は、付属書に記載のメソッド(「カットバック法」)に従って、λ=1550nmの波長で行う。
【0390】
n.スラリーの粘度
スラリーを、脱塩水(Direct-Q 3UV、Millipore、水質:18.2MΩcm)で、30重量%の固形物量の濃度に設定する。次いで、粘度をAnton-Paar製のMCR102で測定する。このために、粘度を5rpmで測定する。測定は、23℃の温度および1013hPaの気圧で行う。
【0391】
o.チキソトロピー
スラリーの濃度を、脱塩水(Direct-Q 3UV、Millipore、水質:18.2MΩcm)で、30重量%の固形物の濃度に設定する。次いで、チキソトロピーを、円錐平板型配置のAnton-Paar製のMCR102で測定する。粘度は、5rpmおよび50rpmで測定する。第1の値と第2の値の商が、チキソトロピー指数を示す。測定は、23℃の温度で行う。
【0392】
p.スラリーのゼータ電位
ゼータ電位測定のために、ゼータ電位セル(Flow Cell、Beckman Coulter)を用いる。試料を脱塩水(Direct-Q 3UV、Millipore、水質:18.2MΩcm)中に溶解して、1g/Lの濃度を有する20mL溶液を得る。0.1mol/Lおよび1mol/Lの濃度を有するHNO3溶液ならびに0.1mol/Lの濃度を有するNaOH溶液の添加を通じて、pHを7に設定する。測定は、23℃の温度で行う。
【0393】
q.スラリーの等電点
等電点、ゼータ電位測定セル(Flow Cell、Beckman Coulter)、および自動滴定装置(DelsaNano AT、Beckman Coulter)を用いる。試料を脱塩水(Direct-Q 3UV、Millipore、水質:18.2MΩcm)中に溶解して、1g/Lの濃度を有する20mL溶液を得る。0.1mol/Lおよび1mol/Lの濃度を有するHNO3溶液ならびに0.1mol/Lの濃度を有するNaOH溶液の添加により、pHを変化させる。等電点は、ゼータ電位が0に等しいpH値である。測定は、23℃の温度で行う。
【0394】
r.スラリーのpH値
スラリーのpH値を、Wissenschaftlich-Technische-Werkstaetten GmbH製のWTW 3210を使用して測定する。WTW製のpH 3210 Set 3を電極として用いる。測定は、23℃の温度で行う。
【0395】
s.固形物量
試料の計量部分m1を、500℃に4時間加熱し、冷却後再計量した(m2)。固形物量wは、m2/m1*100[重量%]として与えられる。
【0396】
t.かさ密度
かさ密度を、規格DIN ISO 697:1984-01に従って、Powtec製のSMG 697で測定する。バルク材料(二酸化ケイ素粉末または造粒体)は、塊を形成しない。
【0397】
u.重装かさ密度(造粒体)
重装かさ密度を、規格DIN ISO 787:1995-10に従って測定する。
【0398】
v.細孔径分布の測定
細孔径分布を、DIN 66133に従って測定する(480mN/mの表面張力および140°の接触角で)。3.7nmより小さい細孔径の測定については、Porotec製のPascal 400を使用する。3.7nm~100μmの細孔径の測定については、Porotec製のPascal 140を使用する。試料を、測定前に圧力処理に供する。このために、手動の水圧プレス機を使用する(Specac Ltd.(リバーハウス、97 クレイアベニュー、オーピントン、ケント BR5 4HE、英国)製の注文番号15011)。250mgの試料材料を計量して、Specac Ltd.製の13mmの内径を有するペレットダイに入れ、ディスプレイにより1tの荷重を加える。この負荷を、5sにわたって維持し、必要に応じて再調節する。次いで、試料に対する荷重を解除し、試料を再循環空気乾燥棚内で4hにわたって105±2℃で乾燥させる。
【0399】
試料を計量し、0.001gの精度を有するタイプ10の針入度計に入れる。測定の良好な再現性を提供するために、針入度計は、使用するステム体積、すなわち針入度計を充填するために潜在的に使用されるHg体積の百分率が全Hg体積の20%~40%の範囲にあるように、選択する。次いで、針入度計をゆっくり50μmHgに排気減圧し、この圧力で5分間放置した。以下のパラメータ、全細孔容積、全細孔表面積(円筒状の細孔を仮定して)、平均細孔半径、モーダルな細孔半径(最も多く見られる細孔半径)、第2ピーク細孔半径(μm)、は測定装置のソフトウェアにより直接提供される。
【0400】
w.一次粒子径
一次粒子径を、走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)モデルZeiss Ultra 55を使用して測定する。試料を脱塩水(Direct-Q 3UV、Millipore、水質:18.2MΩcm)中に懸濁させて、極端に希薄な懸濁液を得る。懸濁液を、超音波プローブ(UW 2070、Bandelin electronic、70W、20kHz)で1分間処理し、次いで炭素粘着パッドに塗布する。
【0401】
x.懸濁液中の平均粒子径
懸濁液中の平均粒子径を、Malvern Instruments Ltd.(英国)から入手可能なMastersizer 2000をユーザマニュアルに従って使用し、レーザー偏向法を使用して測定する。試料を脱塩水(Direct-Q 3UV、Millipore、水質:18.2MΩcm)中に懸濁させて、1g/Lの濃度を有する20mLの懸濁液を得る。懸濁液を、超音波プローブ(UW 2070、Bandelin electronic、70W、20kHz)で1分間処理する。
【0402】
y.固形物の粒子径および粒度
固形物の粒子径および粒度を、Retsch Technology GmbH(ドイツ)から入手可能なCamsizer XTをユーザマニュアルに従って使用して、測定する。ソフトウェアは、試料のD10、D50、およびD90値を与える。
【0403】
z.BET測定
比表面積の測定については、DIN ISO 9277:2010に従って静的容量BET法を使用する。BET測定については、SMART法(「適応的分注速度による収着法(Sorption Method with Adaptive Dosing Rate」)に従って作動する「NOVA 3000」または「Quadrasorb」(Quantachromeから入手可能)を、使用する。ミクロ細孔分析を、t-プロット法(p/p0=0.1~0.3)を使用して遂行し、メソ細孔分析を、MBET法(p/p0=0.0~0.3)を使用して遂行する。基準材料として、Quantachromeから入手可能な標準アルミナSARM-13およびSARM-214を、使用する。測定セル(清浄かつ乾燥)の風袋重量を計量する。導入される試料材料およびフィラーロッドが測定セルをできる限り満たし、デッドスペースが最小限に低減されるように、測定セルの種類を選択する。試料材料を、測定セル内に導入する。測定値の予想値が10~20m2/gに対応するように、試料材料の量を選択する。測定セルをBET測定装置(フィラーロッドなし)の焙焼位置に固定し、<200mbarに排気減圧する。排気減圧の速度は、材料が測定セルから漏出しないように設定する。焼成を、この状態で200℃で1hにわたって遂行する。冷却後、試料で充填された測定セルを計量する(生の値)。次いで、風袋重量を、生の重量値から減じる=正味重量(nett weight)=試料の重量。次いで、充填ロッドを測定セル内に導入し、これもやはりBET測定装置の測定位置に固定する。測定の開始前に、試料の識別および試料の重量をソフトウェアに入力する。測定を開始する。窒素ガス(N2 4.0)の飽和圧力を測定する。測定セルを排気減圧し、窒素浴を使用して77Kに冷却する。デッドスペースを、ヘリウムガス(He 4.6)を使用して測定する。測定セルを再び排気減圧する。少なくとも5つの測定点による多点分析を遂行する。N2 4.0を吸収剤として使用する。比表面積は、m2/gで示されている。
【0404】
za.ガラス体の粘度
TA Instruments製のタイプ401のビームベンディング式粘度計をメーカーのソフトウェアWinTA(現行バージョン9.0)と共にWindows 10で使用して、DIN ISO 7884-4:1998-02規格に従ってガラスの粘度を測定する。支持体間の支持幅は、45mmである。長方形の断面を有する試料ロッドを、均質な材料の領域から切り出す(試料の頂面および底面は、少なくとも1000グレインの仕上げを有する)。加工後の試料表面は、粒度=9μmおよびRA=0.15μmを有する。試料ロッドは、以下の寸法、長さ=50mm、幅=5mm、および高さ=3mm(割り当て:規格文書と同様に、長さ、幅、高さ)、を有する。3つの試料を測定し、平均を計算する。試料表面に密着した熱電対を使用して、試料温度を測定する。以下のパラメータ、加熱速度=1500℃の最大値まで25K、荷重重量=100g、最大曲げ=3000μm(規格文書からの偏差)、を使用する。
【0405】
zc.残留水分(含水量)
二酸化ケイ素造粒体の試料の残留水分の測定は、Mettler Toledo製のMoisture Analyzer HX204を使用して遂行する。この装置は、熱重量測定の原理を使用して機能する。HX204は、ハロゲン光源を加熱素子として備えている。乾燥温度は、220℃である。試料の出発重量は、10g±10%である。「標準的」測定法を選択する。乾燥は、重量変化が1mg/140s以下に到達するまで行われる。残留水分は、試料の初期重量と試料の最終重量との間の差を、試料の初期重量で割った値として与えられる。
【0406】
二酸化ケイ素粉末の残留水分の測定は、DIN EN ISO 787-2:1995に従って遂行する(2h、105℃)。
【実施例】
【0407】
本発明を、以下において、実施例によりさらに例示する。本発明は、実施例に限定されない。
【0408】
A.1.二酸化ケイ素粉末の調製(OMCTSルート)
シロキサンを空気(A)で霧化することにより形成されるエアゾールを、酸素富化空気(B)と水素との混合物に点火することにより形成される火炎内に圧力を使用して導入する。さらに、火炎を取り囲むガス流(C)を導入し、その後プロセス混合物をプロセスガスで冷却する。生成物をフィルタで分離除去する。プロセスパラメータは、表1に示され、得られる生成物の仕様は、表2に示されている。この実施例の実験値は、A1-xで表されている。
【0409】
A.2.変更1:炭素含有量の増大
A.1.に記載の方法を遂行した。ただし、シロキサンの燃焼は、ある量の炭素も形成されるような方法で遂行した。この実施例の実験値は、A2-xで印付けされている。
【0410】
【0411】
【0412】
B.1.二酸化ケイ素粉末の調製(ケイ素ソース:SiCl4)
ある量の四塩化ケイ素(SiCl4)を、温度Tで蒸発させ、酸素富化空気と水素との混合物に点火することにより形成されるバーナーの火炎内に圧力Pで導入する。バーナーの口部における平均正規化ガス流は、一定に保持する。その後、プロセス混合物をプロセスガスで冷却する。生成物をフィルタで分離除去した。プロセスパラメータは、表3に示され、得られる生成物の仕様は、表4に示されている。これらは、B1-xで印付けされている。
【0413】
B.2.変更:炭素含有量の増大
B.1.に記載のように方法を遂行した。ただし、四塩化ケイ素の燃焼は、ある量の炭素も形成されるような方法で遂行した。この実施例の実験値は、B2-1で印付けされている。
【0414】
【0415】
【0416】
C.蒸気処理
二酸化ケイ素粉末の粒子流を、立設した柱状体の頂部を通じて導入する。温度(A)を有する蒸気および空気を、柱状体の基部を通じて導入する。柱状体を、内部加熱器により、柱状体の頂部では温度(B)に、柱状体基部では第2の温度(C)に、維持する。柱状体を放置した後(保持時間(D))、二酸化ケイ素粉末は、具体的には表6に示す特性を有する。プロセスパラメータは、表5に示されている。
【0417】
【0418】
【0419】
実施例C-1およびC-2で得られた二酸化ケイ素粉末は、それぞれより低い塩素含有量および懸濁液において中程度のpH値を有する。C-1より高い実施例C-2の炭素含有量。
【0420】
D.中和剤による処理
二酸化ケイ素粉末の粒子流を、立設した柱状体の頂部を通じて導入する。柱状体の基部を通じて、中和剤および空気を添加する。柱状体を、内部加熱器により、柱状体の頂部では温度(B)に、柱状体基部では第2の温度(C)に、維持する。柱状体を放置した後(保持時間(D))、二酸化ケイ素粉末は、具体的には表8に示す特性を有する。プロセスパラメータは、表7に示されている。
【0421】
【0422】
【0423】
E.1.二酸化ケイ素粉末からの二酸化ケイ素造粒体の調製
二酸化ケイ素粉末を完全脱塩水中に分散させる。このために、Maschinenfabrik Gustav Eirich製のタイプRの強力ミキサーを用いる。そのようにして生成された懸濁液を、膜ポンプを通じて圧送し、圧力をかけ、ノズルにより液滴に変換する。これらを噴霧塔内で乾燥させ、塔の床上で収集する。プロセスパラメータは、表9に示され、得られる造粒体の特性は、表10に示されている。この実施例の実験値は、E1-xで印付けされている。
【0424】
E.2.変更:炭素含有量の増大
E.1.の記載に類似した方法を遂行する。追加的に、炭素粉末を懸濁液中に添加剤として分散させる。この実施例の実験値は、E2-1で印付けされている。E2-21~E2-23では、酸化アルミニウムを、添加剤として添加する。
【0425】
【0426】
【0427】
造粒体は、全て開気孔性であり、均一かつ球状の形状を有する(全て顕微鏡による検査による)。造粒体は、硬化、または互いにくっつく傾向はない。
【0428】
F.二酸化ケイ素造粒体の清浄化
二酸化ケイ素造粒体を、最初に任意追加的に、回転炉内で温度T1で酸素で処理する。次いで、二酸化ケイ素造粒体を、塩素含有成分を含む並流内で処理し、温度を温度T2に上昇させる。プロセスパラメータは、表11に示され、得られた処理された造粒体の特性は、表12に示されている。
【0429】
【0430】
【0431】
清浄化ステップ後の造粒体は、F1-2およびF2-1の場合、著しく低減した炭素含有量(低炭素造粒体、例えばF1-1のような)および著しく低いアルカリ土類金属含有量を有する。SiC形成は、観察されなかった。
【0432】
G.ガラス体の形成
表13の2行目に記載の二酸化ケイ素造粒体を原材料として使用した。リング形状の中空空間、daの鋳型本体の外径、diの鋳型本体の内径、および長さlを有する黒鉛鋳型を調製した。1mmの厚さを有する高純度黒鉛箔を、外側鋳型本体の内壁に施し、1mmの厚さを有する同じ高純度黒鉛の黒鉛箔を、内側鋳型本体の外壁に施した。1.2g/cm3のかさ密度および0.4mmの密度を有する高純度黒鉛から作製した高純度黒鉛の線を、鋳型のリング形状の中空空間の基部に施した(G-2の場合:円筒形状の中空空間)。黒鉛箔を有する高純度黒鉛鋳型に、二酸化ケイ素造粒体を充填した。充填した黒鉛鋳型を炉内に導入し、炉を排気減圧する。導入した二酸化ケイ素造粒体を、温度T1から温度T2まで加熱速度R1で上昇させ、そこで持続時間t2にわたって保持した。次いで、導入した二酸化ケイ素造粒体を、加熱速度R2でT3まで、次いで、さらなる焼き戻しなしに、温度T4まで加熱速度R3で、さらに温度T5まで加熱速度R4で加温し、そこで持続時間t5にわたって保持した。最後の240分間、炉に1.6*106Paの圧力で窒素を充填した。その後、鋳型を徐々に冷却した。1050℃の温度に到達すると、鋳型を、この温度で240分の持続時間にわたって保持した。その後、鋳型をT6に徐々にさらに冷却した。プロセスパラメータは、表13にまとめられ、形成された石英ガラス体の特性は、表14にまとめられている。「徐々の冷却」とは、鋳型がスイッチを切った炉内にさらなる冷却手段なしに残され、言い換えれば熱を周囲に放出することのみにより冷却されることを意味する。
【0433】
【0434】
【0435】
全てのガラス体は、OH含有量、炭素含有量、およびアルミニウム含有量に関して非常に良好な値を有する。
【0436】
H.ガラス繊維の調製
先に実施例Gで調製した石英ガラス体を、最初に、欧州特許第0598349B1号の実施例1と類似的に機械的に加工する。加工した石英ガラス体の外径は、250mmであり、内径は、50mmであった。その後、加工した石英ガラス体を、欧州特許第0598349B1号の実施例6と類似的にさらに加工し、実施例6の天然石英ガラス体の代わりにこれを使用する。45mmの外径を有するコアロッドを使用した。プロセスパラメータは、表15に示され、形成されたガラス繊維の特性は、表16に示されている。
【0437】
【0438】