(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】付加製造された構造における複合材料インレイ
(51)【国際特許分類】
B29C 69/00 20060101AFI20240213BHJP
B29C 64/10 20170101ALI20240213BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240213BHJP
【FI】
B29C69/00
B29C64/10
B33Y10/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105456
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2020520137の分割
【原出願日】2018-10-09
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516093851
【氏名又は名称】ダイバージェント テクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Divergent Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】19601 Hamilton Avenue,Los Angeles,California 90502 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ホイル リチャード ウィンストン
(72)【発明者】
【氏名】テンホウテン ブロック ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラクシュマン ナレンダー シャンカール
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107187020(CN,A)
【文献】特開2017-100319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
B29C 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツーリングシェルと、
前記ツーリングシェルを用いて形成される複合材料
であって、
前記ツーリングシェルに固定される
前記複合材料と、
前記複合材料の一端部分の上に敷設された第1のノード、及び
前記複合材料の前記一端部分の下に配置され、前記第1のノードと共に前記複合材料の前記一端部分を挟むクランプを形成するように構成された第2のノードを備え、
前記第1及び第2のノードの開口が、クランプを固定するための締結要素を受け入れるために、前記複合材料の前記一端部分の外の領域で位置合わせされる、
一体化構造。
【請求項2】
前記一体化構造は、輸送構造への組み立て用に操作可能である、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項3】
前記
一体化構造は、炭素繊維強化ポリマを含む、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項4】
前記一体化構造は、接着特性を有する複合マトリックス材料をさらに含む、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項5】
前記ツーリングシェルは、前記複合材料との接着を向上させるために表面上に粗いセクションを含む、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項6】
前記ツーリングシェルは、キャビティを含む、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項7】
前記複合材料は、インレイされた炭素繊維で形成される、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項8】
前記複合材料は、複合製作プロセスを用いて形成される、請求項1に記載の
一体化構造。
【請求項9】
前記複合材料は、少なくとも2つの層からなる、請求項1に記載の一体化構造。
【請求項10】
前記締結要素がボルトを含む、請求項1に記載の一体化構造。
【請求項11】
前記第1及び第2のノードの1つから延在する突出部であって、ノードを押しつけたときに前記第1及び第2のノードの凹部がスナップフィットする突出部をさらに含む、請求項1に記載の一体化構造。
【請求項12】
前記第2のノードは、前記第1のノードとは別体である、請求項1に記載の一体化構造。
【請求項13】
前記第1のノードは、前記第1のノードからの第1の突出部を備え、前記第1の突出部は、前記複合材料の前記一端部分の外の領域で位置合わせされる前記第1及び第2のノードの前記開口とは異なる別の開口を備え;
前記ツーリングシェルは、前記ツーリングシェルから突出し、前記第1の突出部の前記別の開口に対向する第2の突出部を備え;そして
前記第1の突出部は、前記別の開口を介して第2の突出部にスナップフィットするように構成されている、請求項1に記載の一体化構造。
【請求項14】
前記第2の突出部は、乗り物サスペンションシステムに付けられ、前記第1の突出部は、前記別の開口を介して前記第2の突出部にスナップフィットし、前記一体化構造を前記乗り物サスペンションシステムに固定するように構成されている、請求項13に記載の一体化構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる、「COMPOSITE MATERIAL INLAY IN ADDITIVELY MANUFACTURED STRUCTURES(付加製造された構造における複合材料インレイ)」と題する、2017年10月11日出願の米国特許出願第15/730,675号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本開示は、一般に、製造技術に関し、より具体的には乗り物、ボート、航空機および他の輸送構造に用いるための3D印刷されたコンポーネントに関する。
【0003】
背景技術
多くのタイプのコンポーネントが製造されて、輸送構造、例えば、乗り物、トラック、列車、オートバイ、ボート、航空機、および同様のものに用いられている。かかるコンポーネントは、輸送構造内でまたはその一部として、機能的、構造的、または審美的な目的のいずれか1つ以上に役立つことができる「オフザシェルフ(off the shelf)」およびカスタマイズコンポーネントの両方を含みうる。
【0004】
かかるコンポーネントの多くのタイプは、金属、合金、ポリマ、または別の適切な材料からなる概して堅い構造部材を構成する。構造部材は、所定の形状を有してよく、適切にモールドされた複合材料の別個の層へ接着するように製造された1つ以上の表面、インデンテーション、またはキャビティを含んでよい。例えば、乗り物におけるインテリアドアパネルの一部は、炭素繊維強化ポリマ(CRFP:carbon fiber reinforced polymer)でインレイされた(inlaid with)金属またはプラスチック構造を含んでよい。この例では、パネルに強度および耐久性を加え、一方では比較的軽く、美的で心地よいデザインを維持するためにCRFP層が含まれてよい。輸送構造のタイプならびに部品の性質および使用意図などの因子に依存して、多くの他のタイプの複合材料も用いられてよい。
【0005】
複合材料の層をモールドするために用いられるツーリングシェルをかかる構造で用いるために所望の形状へ機械加工するステップは、大半の場合、費用がかかり、時間もかかる。従来の生産技術では、典型的に多大な労力を必要とするプロセスを用いて複合材料をモールドするためのツールが製造される。例えば、モールドの正および負のセクションの一方を各々が構成してよい一対のツーリングシェルを製造するために機械加工プロセスが用いられることがある。ある構造をそれによって成形するために、正および負のツーリングシェルセクション間のモールド中には材料および樹脂が置かれることがある。ツーリングシェルは、延いては、主題の材料をモールドする際に用いるために化学的および構造的に適した1つ以上の材料から典型的になる。しばしば、かかる構造は、所望のモールド形状へそれらが正確に食い込み、または詳細なフィーチャを形成することを難しくする特性を有する。
【0006】
複合層のモールディングが完了した後に、ツーリングシェルは、その単一のタイプの部品を形成するための使用の範囲以外には使用が限られるか、またはそれ以上使用されないことがある。さらに、モールドされる材料がインレイされることになる構造を、無関係な技術を用いて別に製作しなければならず、潜在的に製造プロセスになおさらに費用がかかり、労力を要することもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
付加製造されたツーリングシェルによってインレイされた複合材料が3次元印刷技術を参照して以下により完全に記載される。
【0008】
輸送構造のための部品を製造する方法の一態様は、ツーリングシェルを3次元(3D)印刷し、ツーリングシェルは、ある材料に接着するように構成された表面を含む、3D印刷するステップと、モールドの一部としてツーリングシェルを用いて材料を表面へ塗布するステップと、ツーリングシェルおよびこの材料を含んだ一体化構造を形成するステップとを含み、一体化構造は、輸送構造中のコンポーネントとしての組み立て用である。
【0009】
輸送構造用の部品を製造する方法の別の態様は、ツーリングシェルを3次元(3D)印刷するステップと、ツーリングシェルおよびツーリングシェルの表面へ塗布された材料を含んだ一体化構造を生産し、一体化構造は、輸送構造中の一部として用いるためであり、一体化構造を生産するステップは、複合材料をモールドするためにツーリングシェルを用いるステップをさらに含む、生産するステップと、複合材料をツーリングシェルへ固定するステップとを含む。
【0010】
理解されるであろうように、輸送構造用の部品を生産する方法の他の態様は、実例としていくつかの実施形態のみが示され、記載される以下の発明を実施するための形態から、当業者には直ちに明らかになるであろう。部品および部品を生産する方法は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な他の点で修正が可能であり、すべてが本発明から逸脱しないことが当業者によって理解されるであろう。従って、図面および発明を実施するための形態は、本質的に説明的であり、制限的でないと見做されるべきである。
【0011】
次に、発明を実施するための形態では付加製造されたツーリングシェルによってインレイされる複合材料が、例として、限定としてではなく、貼付図面に提示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】3D印刷のプロセスを開始する例示的なプロセスを示すフロー図である。
【
図3】3D印刷されたツーリングシェルの斜視図を示す。
【
図4】その中に挿入されたCFRPをもつ3D印刷されたツーリングシェルの斜視図を示す。
【
図5】組み合わされた材料およびツーリングシェルの断面斜視図である。
【
図6】2重組み立てコンポーネントを用いた輸送構造中の例示的なインテリアドアパネル610の側面図を示す。
【
図7】輸送構造中のコンポーネントとして用いるための一体化構造を形成すべくツーリングシェルにオーバーレイした複合強化材を有するコンポーネントを生産するための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【
図8】付加製造されたツーリングの上の布複合強化材(fabric composite reinforcement)のオーバーレイからなる一体化構造の説明図である。
【
図9】内部格子構造を伴って形成されたツーリングを含んだ一体化構造の説明図である。
【
図10】トポロジー最適化によるポケットおよびツーリングを有する一体化構造の説明図である。
【
図11】コモールドされた(co-molded)ノードを用いた一体化構造の説明図である。
【
図12】輸送構造中のコンポーネントとして用いるための一体化構造を生産すべくツーリングシェルの上に複合材料を有するコンポーネントを生産するための例示的なプロセスを示すフロー図である。
【
図13】ノード間に挟み込まれ、機械的クランプによって締結された複合材料を含んだ一体化構造の説明図である。
【
図14A】複合スキンおよびマルチマテリアルツールを用いた一体化構造の例である。
【
図14B】複合スキンおよびマルチマテリアルツールを用いた一体化構造の例である。
【
図15】硬化された複合表面上にピールプライ(peel plies)を用いた一体化構造の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
貼付図面と関連して以下に述べられる発明を実施するための形態は、付加製造されたツーリングの上の布複合強化材のための技術の様々な例示的な実施形態の記載を提供することが意図され、本発明が実施されてよい実施形態のみを表現することは意図されない。本開示を通して用いられる用語「例示的」は、例、事例または説明としての役割を果し、それらが本開示に提示される他の実施形態より好ましいかまたは有利な実施形態であると必ずしも解釈されるべきではない。発明を実施するための形態は、本発明の範囲を当業者へ十分に伝える周到かつ完全な開示を提供するための具体的な詳細を含む。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細なしに実施されてもよい。本開示を通して提示される様々なコンセプトを曖昧にするのを避けるために、いくつかの事例では、よく知られた構造およびコンポーネントは、ブロック図の形式で示されてもよく、またはまったく省略されてもよい。
【0014】
複合ツーリングの文脈での、3D印刷としても知られる、付加製造の使用は、機械構造および機械化組立品(mechanized assemblies)の製造業者が複雑な幾何形状をもつ部品を製造できるようにするために著しいフレキシビリティを提供する。例えば、3D印刷技術は、従来の製造プロセスでは製造することが不可能な入り組んだ内部格子構造および/またはプロファイルを有する部品を設計して造形するためのフレキシビリティを製造業者に提供する。
【0015】
図1は、3D印刷のプロセスを開始する例示的なプロセスを示すフロー
図100である。印刷されることになる所望の3Dオブジェクトのデータモデルがレンダリングされる(ステップ110)。データモデルは、3Dオブジェクトの仮想設計である。従って、データモデルは、3Dオブジェクトの幾何学的および構造的フィーチャ、ならびにその材料組成を反映してよい。データモデルは、3Dスキャニング、3Dモデリングソフトウェア、写真測量ソフトウェア、およびカメラ撮像を含めて、様々な方法を用いて作り出されてよい。
【0016】
データモデルを作り出すための3Dスキャニング方法も3Dモデルを生成するための様々な技術を用いてよい。これらの技術は、例えば、タイム・オブ・フライト(time-of-flight)、ヴォリュメトリック・スキャニング(volumetric scanning)、構造化光、変調光(structured light)、レーザ・スキャンニング、三角測量、および同様のものを含んでよい。
【0017】
3Dモデリングソフトウェアは、次には、多くの市販の3Dモデリングソフトウェアアプリケーションのうちの1つを含んでよい。データモデルは、例えば、STLフォーマットで、適切なコンピュータ支援設計(CAD:computer-aided design)パッケージを用いてレンダリングされてよい。STLファイルは、市販のCADソフトウェアと関連付けられたファイルフォーマットの一例である。CADプログラムは、3DオブジェクトのデータモデルをSTLファイルとして作り出すために用いられてよい。その結果、STLファイルは、ファイル中のエラーが識別されて解決されるプロセスを経てよい。
【0018】
エラー解決に続いて、データモデルは、オブジェクトを3D印刷するための命令のセットをそれによって生成するために、スライサとして知られるソフトウェアアプリケーションによって「スライスされる」(ステップ120)ことができて、これらの命令は、利用されることになる特定の3D印刷技術と適合して、それと関連付けられる。多くのスライサプログラムが市販されている。スライサプログラムは、データモデルが3D印刷される実際の表現を作り出すために、データモデルを、プリンタ固有の命令を含んだファイルと一緒に、印刷されるオブジェクトの薄いスライス(例えば、100ミクロン厚)を表す一連の個別層へ変換する。
【0019】
この目的で用いられるファイルの共通のタイプは、オブジェクトを3D印刷するための命令を含む数値制御プログラミング言語である、Gコードファイルである。Gコードファイル、またはこれらの命令を構成する他のファイルが3Dプリンタへアップロードされる(ステップ130)。これらの命令を含んだファイルは、典型的に、固有の3D印刷プロセスで操作可能であるように構成されるため、用いられる3D印刷技術に依存して、命令ファイルの多くのフォーマットが可能であることが理解されるであろう。
【0020】
どんなオブジェクトをどのようにレンダリングすべきかを決定づける印刷命令に加えて、オブジェクトをレンダリングする際に3Dプリンタによる使用のために必要な然るべき物理的材料が、いくつかの従来のしばしばプリンタ固有のいずれかの方法を用いて3Dプリンタ中へロードされる(ステップ140)。例えば、熱溶解積層法(FDM:fused deposition modelling)プリンタでは、材料は、1つ以上のスプール・ホルダ上に置かれた、スプール上にしばしば繊維としてロードされる。繊維は、典型的に、押出装置中へフィードされて、押出装置は、以下にさらに説明されるように、動作中に、材料を造形プレートまたは他の基板上へ吐出する前に、繊維を溶融形態へ加熱する。粉末焼結積層造形(SLS:selective laser sintering)印刷および他の方法では、造形プラットフォームへ粉末をフィードするチャンバ中へ材料が粉末としてロードされてよい。3Dプリンタに依存して、印刷材料をロードするための他の技術が用いられてもよい。
【0021】
3Dオブジェクトのそれぞれのデータスライスが、次に、提供された命令に基づいて材料(単数または複数)を用いて印刷される(ステップ150)。レーザ焼結を用いた3Dプリンタでは、構造が所望されるところでレーザが粉末ベッドをスキャンして粉末を一緒に溶融し、スライス・データが何も印刷されるべきではないことを示す区域をスキャンすることを避ける。所望の形状が形成されるまでこのプロセスが何千回も繰り返されてよく、その後、印刷された部品がファブリケータから取り外される。熱溶解積層法では、モデルの連続層および支持材料を基板へ塗布することによって部品が印刷される。一般に、いずれかの適切な3D印刷技術がこの開示の目的のために採用されてよい。
【0022】
図2は、例示的な3Dプリンタ200のブロック図である。いくつもの3D印刷技術を適切に採用できるが、FDM技術の文脈で
図2の3Dプリンタ200が考察される。3Dプリンタ200は、押出ノズル250Aおよび250Bを、順次、含むFDMヘッド210、可動造形ステージ220、ならびに造形ステージ220の上の造形プレート230を含む。
【0023】
意図される構造の組成と、起こりうる重力変形、もしくは崩壊をさもなければ受けるであろう、構造の張出し要素への支持を提供するためのいずれかの支持材料の必要性とに依存して、オブジェクトを印刷するために複数の材料が用いられてよい。1つ以上の適切な繊維材料260がスプール上に巻かれて(示されない)、FDMヘッド210へフィードされてよい。(先に記載された他の技術では、材料が粉末として、または他の形態で提供されてもよい)。受信された印刷命令に基づいて、数値制御メカニズム、例えば、ステッパモータまたはサーボモータによってFDMヘッド210をX-Y方向に移動させることができる。1つの例示的な実施形態では熱可塑性ポリマを構成してよい、材料が、押出ノズル250Aおよび250Bを含むFDMヘッド210へフィードされてよい。FDMヘッド210中の押出器が繊維材料260を溶融形態へ加熱して、押出ノズル250aが溶融材料を吐出して、それを造形ステージ220の造形プレート230上へ堆積させる。
【0024】
受信された印刷命令に応答して、FDMヘッド210は、塗布される材料のライン240を形成するために押出ノズル250Aが材料260を標的位置に滴下させるように水平(X-Y)面の周りを移動する。(ある一定の構成ではFDMヘッド210がZ方向に移動し、および/または1つ以上の軸の周りを回転するようにさらに構成されてもよい)。材料260をラインごとに堆積し、材料260が造形プレート230上に堆積されるにつれて材料の各ラインが固まることによって、ライン240を含んだ、材料260の層270が形成される。X-Y面内の然るべき位置に1つの層270が形成された後に、次の層が同様の方法で形成されてよい。
【0025】
造形プレート230は、少なくとも垂直Z方向に移動可能な制御テーブルのコンポーネントであってよい。層270のレンダリングが完了したときに、所望の形状および組成を有する複数の断面層240が作り出されるまでプリンタが次の層の塗布を開始することなどができるように、造形ステージ220および造形プレート230は、層270の厚さに比例するある量だけ垂直(Z)方向に下降してよい。
【0026】
簡潔にするためにこの説明図では実質的に矩形の層形状が示されるが、実際の印刷構造は、データモデルに依存して実質的にいずれの形状および組成を具現してもよい。すなわち、レンダリングされる層の実際の形状は、印刷される3Dモデルの定義された幾何形状に対応するであろう。
【0027】
加えて、先に示されたように、オブジェクトを印刷するために複数の異なる材料が用いられてよい。いくつかの事例では、それぞれの押出ノズル250Aおよび250Bによって2つの異なる材料260および280が同時に塗布されてよい。
【0028】
例示的な実施形態では、輸送構造のための部品は、複合材料の1つ以上の層をモールドするために然るべく成形され、構造化されたツーリングシェルを用いて形成される。複合材料は、複合材料およびツーリングシェルの両方を含む一体化構造を形成するためにツーリングシェルの表面へ接着される。一体化構造は、乗り物などの輸送構造中のコンポーネントとして用いるために操作可能である。例示的な実施形態では、ツーリングシェルが3D印刷され、それによって、労力を要する機械加工プロセスと関連付けられた、しばしばコストがかかり、時間もかかる技術を省く。これらの実施形態では、ツーリングシェルは、複合材料をモールドすることと、輸送構造それ自体内の組み立て用のコンポーネント、例えば、車両パネル、ジョイントもしくは他のコンポーネント、航空機翼、および同様のものを形成するために、モールドされた材料とともに、有用な構造として役立つこととの2重の役割を果してよい。
【0029】
図3は、3D印刷されたツーリングシェル300の斜視図を示す。ツーリングシェルは、別の材料をモールドするために然るべきまたは適切な特性を有するいずれかの材料を含んでよい。例えば、ツーリングシェルを用いてモールドされることになる材料が炭素繊維強化ポリマ(CFRP:carbon fiber reinforced polymer)であるならば、インバール合金が、その熱膨張係数が炭素繊維のものとよく似ているため、この材料をモールドする際に用いるための適切な候補であってよい。他のケースでは、ツーリング構造は、金属、合金およびプラスチックを含めて、他の材料からなってよい。ツーリングシェル300中のインデンテーション(indentation)302は、モールドされることになる材料の然るべき量を収容するのに適した容積であってよい。別の例示的な実施形態では、硬化中に材料をシールするためにツーリングシェルの上半分が提供されてよい。さらに他の実施形態では、材料を製作するプロセスを容易にすべく樹脂材料をインデンテーション302に提供できるようにするためにツーリングシェル中に真空および流体チャンネルが一体化されてもよい。他の実施形態では、モールドに加えてツーリングシェル300も究極的に構造部として役立ってよいため、ツーリングシェル300を作製できる材料の選択も、輸送構造中に組み込まれる最終コンポーネントのための然るべき材料のタイプによって制限されることがある。
【0030】
一実施形態において、CRFPおよび金属3D印刷されたモールドに用いるための接着剤は、CFRPそれ自体のマトリックス材料とすることができる。
【0031】
図3にさらに含まれるのは、材料中に3D印刷された小さい表面インデンテーション304である。ツーリングシェル302およびモールドされることになる材料は、究極的に輸送構造中への組み立て用の単一のコンポーネントを形成できるため、いくつかの実施形態では、コンポーネントをツーリングシェル300の内部302へ接着させるためのメカニズムを提供することが望ましいであろう。小さい表面インデンテーション304の目的は、ツーリングシェル300の内部とツーリングシェル300中にモールドされることになる材料との間に表面接着が提供されるのを支援することである。他の実施形態では、表面接着プロセスをさらに促進するためにツーリングシェルの内側壁306上にも表面インデンテーションが形成されてよい。代わりの実施形態では、表面接着を支援するために他の手段が用いられてよい。例えば、モールドされることになる材料の挿入前に、内表面302へ樹脂が塗布されてもよい。代わりに、複合材料をツーリングシェルへ固定するためにクランプ、ねじ、ナットおよびボルト、くぎ、熱溶融結合などが用いられてもよい。
【0032】
図4は、その中に挿入されたCFRPをもつ3D印刷されたツーリングシェル400の斜視図を示す。先述のように、ツーリングシェル400内にモールドされることになる構造の幾何形状404は、モールドがどのように構成されるかに依存して、ツーリングシェル400の内表面の形状に追随するように設計されてよい。かくして、ツーリングシェルは、以下にさらに記載されるように、コンポーネントの一部分(the a portion)へ硬化されるであろう複合材料を成形するためのモールドのセクションとしての役割を果す。
【0033】
複合レイアップを含んだ複合生産プロセスがツーリングシェル400を用いて行われてよい。この例では、コンポーネントを生産する際の第1のステップとして炭素繊維材料(または別の適切な材料)がレイアッププロセスによってツーリングシェル400の内表面上に塗布されてよい。炭素繊維材料がツーリングシェル400の上に敷かれ、圧縮されて硬化されてよい。
【0034】
図5は、組み合わされた材料502およびツーリングシェル504の断面斜視
図500である。材料502とツーリングシェル504との間の影付けの違いは、この特定の実施形態では2つの構造が異なる材料組成を有することを示すが、かかるフィーチャがある一定の実施形態では必ずしも必要ではない。
【0035】
図6は、2重組み立てコンポーネント600を用いた輸送構造中の例示的なインテリアドアパネル610の側面図を示す。この実施形態では、ドアパネルは、そのいずれもがモールドされるかまたは3D印刷されてよい、第1のコンポーネント606および第2のコンポーネント608を含む。この例示的な実施形態では、第1のコンポーネント606が、いずれかの利用可能な手段によって、
図3~5に記載されるコンポーネント600の表面607へ接着される。第2のコンポーネント608は、いずれかの利用可能な手段によって、
図4のコンポーネントの表面609(
図4のコンポーネントの見えない底部)へ接着される。インテリアパネル610を、その結果、輸送構造中に用いることができ、炭素繊維材料604は、然るべく置かれる。コンポーネントとインテリアドアパネルとの一体化は、純粋に説明のためであり、
図4のコンポーネントを輸送構造の様々な部分で数多くの実用用途に使用できることが理解されるべきである。
【0036】
1つの例示的な実施形態では、レイアップ(a lay up)は、予め含浸された(「prepreg(pre-impregnated)」)炭素繊維プライを用い、塗布された樹脂マトリックスをもつツーリングシェル400(
図4)上へこの炭素繊維プライが送出される。prepreg技術は、効果的な樹脂押し込みを提供して、確実に樹脂が実質的に均一に分散することを支援する。ラミネート積層体を形成するためにprepregプライがツーリングシェル400上へ塗布されてよい。
【0037】
別の実施形態では、乾式レイアップが、乾いた織り繊維シート(woven fiber sheet)を用いる。レイアップが完了した後に、例えば、樹脂注入によって直ちに樹脂が乾いたプライへ塗布されてよい。代わりの例示的な実施形態では、湿式レイアップが用いられてもよく、各プライが樹脂でコートされて、置かれた後に圧縮されてよい。
【0038】
先に示されたように、例えば、ツーリングシェル400(
図4)の内部の幾何形状404中へ構造502(
図5)をモールドする手段を提供するために、モールドのための上部シェルまたはシールが3D印刷されて、ツーリングシェル400の上に塗布されてよい。モールディングプロセスが完了すると、炭素繊維材料が、例えば、真空圧縮されて、オーブン中で指定された時間間隔にわたってベイクされてよい(baked)。
【0039】
これらの段階中に用いられる具体的なモールディングおよび樹脂注入プロセスは、モールディング技術、設計制約条件、および所望の製造歩留りなどの変数に依存して変化してよい。一般に、3D印刷されたツーリングシェルは、例えば、樹脂トランスファーモールディング(RTM:Resin Transfer Molding)、ハンドレイアップ、prepreg、シートモールディング、および真空支援型樹脂トランスファーモールディング(VARTM:Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)を含めて、様々な複合製造技術と関連して用いられてよい。
【0040】
図7は、輸送構造中に用いるためのコンポーネントを作り出すための方法の例示的なフロー図を示す。702において、ツーリングシェルは、乗り物パネルのようなさらに別の構造内用の一体化構造の一部として、ツーリングシェルが用いられることを究極的に可能にできる幾何形状を用いて3D印刷される。ツーリングシェルは、その後に用いられることになる材料に起こりうる接着に対して設計されてよい。704において、CFRPまたは別の複合布のような、材料が塗布され、その材料をモールドして固めるために複合製作プロセスが用いられる。706において、複合製作が完了したときに、材料がツーリングシェルに接着して、硬化された材料およびツーリングシェルからなる一体化構造を含むコンポーネントが結果として形成される。708において、一体化構造は、あるコンポーネントとして輸送構造中へ組み込まれる。
【0041】
別の例示的な実施形態では、3D印刷されたプラスチックフレームが複合ツーリングのためのテンプレートとして最初に用いられる。複合材料の硬化が完了すると、結果として生じた組立品は、次に、輸送構造用のフレームまたは他のコンポーネントとして用いられてよい。
図8は、付加製造されたツーリングの上の布複合強化材のオーバーレイからなる構造の説明図である。3D印刷技術の選択は、材料要件によって、および印刷プロセスの速度によって駆動されてよい。3D印刷されたプラスチックフレーム802が形成される。有利には、プラスチック印刷プロセスは、典型的に、金属印刷プロセスより25~50倍速い。付加製造されたプラスチックツーリングを用いる際のさらなる利点は、プラスチック3Dプリンタの造形チャンバが金属3Dプリンタのものより典型的にずっと大きいために、より大きい部品を得る能力である。加えて、プラスチック3Dプリンタは、多くのケースで、ずっとより滑らかな表面を印刷できる。ある実施形態では、用いられる材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS:Acrylonitrile Butadiene Styrene)、一般的な熱可塑性ポリマである。しかしながら、必要とされる材料の用途および特性に依存して、いくつもの適切な材料が用いられてよい。
【0042】
さらに、示される実施形態では、CNCフォームコア806が付加製造されて、接着剤または他の利用可能な手段を用いてプラスチックフレーム802へ結合される。一実施形態において、フレーム802およびコア806は、単一のレンダリングで共印刷される。フォームコアは、プラスチックフレーム802と同じ材料からなってよい。別の実施形態では、フォームコアの代わりにハニカムパネル構成が用いられる。多くの材料および形状が本開示のために代わりに用いられてよいので、
図8に示される実施形態は、本来、例示的であることが理解されるであろう。
【0043】
その後の複合製作プロセスでは、強度要件および他の因子に依存して、様々な繊維複合布が用いられてよい。可能な材料のいくつかの例は、ガラス繊維、炭素繊維、ケブラー、および同様のものを含む。示される実施形態では、付加製造されたツーリングの上にガラス繊維prepreg804がドレープされる(draped)。ガラス繊維prepreg層804は、1つの例示的な実施形態では、繊維強化ポリマ(FRP:fiber reinforced polymer)スキン(Eガラス)を含んでよい。炭素繊維を含めて、他の複合体も同様に用いられてよい。レイアップは、FRP上で行われる。材料が硬化された後に、フレーム802およびフォームコア806ならびにオーバーレイされたガラス繊維複合体804をもつABSツーリングからなる一体化構造が、次に、輸送構造中のコンポーネントとして用いられてよい。
【0044】
付加重量の節約および/または耐荷重能力の向上のために、一体化構造の用途および使用意図に依存して、3D印刷されたツールは、最適化されたトポロジーを用いた構造を含んでよい。
図9は、内部格子構造を伴って形成されたツーリングを含んだ一体化構造の説明図を示す。プラスチックツーリング902は、コンポーネントとしてそれが組み込まれたときに受けやすいであろう荷重に対して設計された格子構造を含む。フォームコアまたはハニカムパネル構造906が含められて、ガラス繊維強化ポリマ904の層がツーリング構造上にオーバーレイされる。この構造の1つの利点は、格子の使用によって達成されるプラスチック材料の節約を含む。
【0045】
別の例示的な実施形態では、ツーリングは、フラッシュ仕上げ(flush finish)のためのポケットを伴って付加製造されてよい。
図10は、トポロジー最適化によるポケットおよびツーリングを有する一体化構造の説明図である。
図10に見られるように、ツーリングコンポーネント1002は、ポケット1007、1009および中空セクション1008を伴って3D印刷される。ポケット1007は、ツーリングを囲むガラス繊維材料の端部区域がフラッシュ仕上げを有することを可能にする。構造は、ハニカムまたはフォーム充填物をもつコンポーネント1006をさらに含む。加えて、機械的強化が望ましく、または必要なポケット1007、1009のうちの1つの強化を提供すべく、CFRPまたは別の複合材料がポケットに対する局所的強化を提供するために用いられてよい。これまでのように、一体化構造を生産するためにGFRP(または別の適切な複合体)のprepreg層がツーリングの上にオーバーレイされて硬化されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、複合材料を所定の位置に固定するために機械的クランピングが望ましいであろう。
図11は、コモールドされた(co-molded)ノードを用いた一体化構造の説明図である。前の実施形態におけるように、ツーリングシェル(tooling shell)1102は、ABSまたは別の適切な材料を用いて付加製造される。FRPまたは別の適切な材料1104がツーリングシェルの上にインレイされて硬化される。3D印刷された内側ノード1114は、ツーリングと共印刷されるか、または別に印刷されて、複合材料1104の部分1120の第1の側を固定するために加えられる。同様に、3D印刷された外側ノード1112は、複合材料の部分1120の第2の側の上に挿入される。複合材料は、それゆえに、ツーリングシェルにクランプされ、固定されて、一体化構造全体が輸送構造中のコンポーネントとして用いられてよい。1つの例示的な実施形態では、ノードが強度を確保するためにアルミニウムを用いて共印刷される。しかしながら、他の材料が同等に適切であってよい。
【0047】
ある例示的な実施形態では、全体的な輸送構造と関連付けられたクラッシュレール(crush rails)のためのサスペンションピックアップポイントまたはインターフェースとしてAM金属ノードを実装できる。クラッシュレールは、乗り物が衝撃からのエネルギーを制御された仕方で有向的に吸収することを可能にするために乗り物上に実装されてよいエネルギー吸収レール構造である。レールは、乗り物サスペンションに、順次、取り付けられてよい、金属ノード間に挟み込まれてよい。かかる配置の例が
図13に示される。別の実施形態では、複合レイアップを硬化させるために機械的クランピングを真空コネクタと接続して用いることができる。
【0048】
図13は、ノード間に挟み込まれ、機械的クランプによって締結された複合材料を含んだ一体化構造1300の説明図である。構造1300は、付加製造されてよい、上側および下側アルミニウムノード1302a~bを含む。ノード1302bの下には、FDMまたは別の適切な技術を用いて付加製造されてよい、ツーリングシェル1308がある。ある実施形態では、ツーリングシェル1308は、ABS、またはULTEM(ポリエーテルイミド)のような熱可塑性物質からなる。
【0049】
ツーリングシェル1308の上に敷かれるのは、GFRPからなってよい2つの複合スキン層1306aおよび1306bである。それらの端部の近くで、GFRP層1306aおよび1306bは、ノード1302a~bと接触する。GFRP層1306aおよび1306bは、ALノード1302bおよびFDMツーリングシェル1308の両方の上で硬化されてよい。GFRP層1306a~1306bは、次に、GFRP層1306aおよび1306bの上に置かれてよいノード1302aによってクランプされてよい。
【0050】
層1306aおよび1306bのクランピングを確実にするために、機械的締結のためのフィーチャ1304が採用されてよい。この実施形態におけるフィーチャ1304は、ボルトまたは他の締結具を挿入できる大きい開口部である。締結具は、例えば、標準的なねじ付きボルト、ナット-ボルト組み合わせまたはいずれかの他の適切な機械的締結またはクランピングメカニズムによって、層1306aおよびbを固定するための力を提供できる。他の実施形態では、クランピングフィーチャがアパーチャ1304とは異なってよく、他のタイプの締結具または締結具を収容するための開口部を含んでもよい。
【0051】
図13にやはり示されるのは、ノード1302bからの突出部1310である。この突出部は、FDMツーリングシェル1308からの突出部であってよい別の突出部1312中へ「スナップフィット(snap fit)」するように構成されたアパーチャを含む。ある実施形態では、突出部1312は、垂直方向に配置されて、端部により大きい突出部1312をもち、(ノード1320bによって視界から隠れされている)より長いFDM部材から突き出た緩やかな突出部である。ALノード1302bは、より長いFDM部材に接触して、それを押しつけてよい。ALノード1302bがより長いFDM部材に対して下方へ移動するにつれて、圧力または力がより大きいFDMの突出部1312を所定の位置へスナップインさせる。ある実施形態では、突出部1312が乗り物サスペンションシステムに付けられてよく、それによって、構造1300をサスペンションシステムに締結する。これらの技術は、アルミニウムクランピングメカニズムがFDMツールとインターフェースすることを可能にする。
【0052】
図12は、輸送構造中のコンポーネントとして用いるための一体化構造を生産すべくツーリングシェルの上に複合材料を有するコンポーネントを生産するための例示的なプロセスを示すフロー図である。1202において、プラスチックツーリングシェル、例えば、ABSシェルが適切な3Dプリンタ、例えば、FDM 3Dプリンタを用いて付加製造される。その結果、1204において、フォームコアまたはハニカムパネルが3D印刷されて、アルミニウムノードも3D印刷される。一実施形態において、集合的なステップ1202、1204において付加製造される3つの構造のうちで、2つ以上の構造が共印刷される。留意すべきは、実施形態および目的に依存して、特定された材料とは異なる材料が用いられてもよいことである。
【0053】
1206において、ツーリングシェルは、フォームコアと連結されるかまたは隣接される。2つのコンポーネントが単一のユニットとして付加製造されるいくつかの実施形態では、このステップが不必要であってよい。他の実施形態では、然るべき接着剤、ねじ、クランプまたは他の接続手段が用いられてよい。
【0054】
1208において、然るべき材料、例えば、GFRPがツーリングシェルの上にインレイされて、複合製作プロセスで調製され、硬化される。いくつかの実施形態において、ツーリングシェルおよびフォームコアは、複合体に接着するための接着手段を有する。他の実施形態では、他の接着メカニズムが用いられてよい。1210において、例えば、
図11に関して先に記載された仕方で複合材料をツーリングシェルへクランプするために、1204において印刷されたアルミニウムノードが用いられてよい。
【0055】
その結果、1212において、結果として生じた一体化構造が輸送構造中のコンポーネントとして用いられてよい。先に考察されたいくつかの実施形態において、構造が受けやすいであろう応力に依存して追加の支持を提供するために、この構造は、格子または他の機械的配置、例えば、CFRP層を用いてよい。必要なところに追加の強化材を置くために、ツーリングシェルを最適化し、ポケットを伴って印刷することができる。ある実施形態では、GFRPがツーリング構造でオーバーレイされるが、荷重伝達のための荷重経路を最適化するためにツーリングシェル上のポケットにはCFRPが用いられる。これらの構成は、ツーリングシェル上のポケット/フィーチャにおける一方向強化材、ならびに織り強化材(一方向は、繊維を一方向に有するが、織りは、0および90度の角度に延びる繊維を有する)の使用も可能にする。輸送構造および他の車両において、荷重伝達は、ブレーキングおよび減速を含む、縦方向および横方向加速プロセスの中に異なる車輪によって維持される荷重の変化である。他のタイプの荷重も輸送構造および機械化組立品に含まれてよい。剪断荷重は、構造要素に加えられたときに剪断応力を生じる力である。予期される剪断荷重を含めて、部品の荷重伝達力学(load the transfer mechanics)が荷重を決定づけるケースでは、複合繊維材料、格子、および他の構造を用いた強化材が必要であろう。
【0056】
他の実施形態では、マルチマテリアルツール(multi-material tools)が用いられてよい。例えば、ツーリングのある一定のセクションが可溶性材料で印刷されてよい。複合体が一旦オーバーレイされて硬化されると、これらのセクションは、溶解されてよい。この技術は、重量節約メカニズムにとって、かつ複合シェルのみが必要とされる設計において理想的なことがある。ある一定のセクションで複合スキンのみが必要とされるケースでは、マルチマテリアルツールが用いられてよい。ある実施形態では、複合スキンだけをもつセクションを達成すべく、複合体が硬化した後にツーリングのある一定のセクションが現れるか、または利用可能にできるようにするために離型メカニズム(離型剤、ツーリング表面調製など)が用いられてよい。
【0057】
図14A~Bは、複合スキンおよびマルチマテリアルツールを用いた一体化構造1400の例である。
図14Aを参照すると、コンポーネント1404および1406を含んだマルチマテリアルツーリングシェルが付加製造されてよい。ここでは、FDMを用いてレンダリングされる通常の熱可塑性物質または他の適切な材料であってよい(あるいは、いくつかのケースでは、それが何か他のAM技術を用いてレンダリングされた金属性材料であってもよい)コンポーネント1404とは違って、コンポーネント1406は、知られた可溶性材料を構成してよい。GFRPまたはCFRPのような、スキンまたは材料1402が先に記載されたようなツーリングシェルの上にレイアップされる。最終的な一体化構造は、コンポーネント1404および1402を含むことが望まれる。しかしながら、コンポーネント1406は、材料1402を成形し、安定化させて、それが硬化することを許容すべく、単にモールディングのために用いられる。従って、材料1402が硬化された後に、コンポーネント1406は、
図14bにおける最終的な一体化構造1400を生産するために、従来から知られた技術を用いて溶解除去されてよい。本明細書に開示される方法と併せてこれらのマルチマテリアルを用いて、ますます多種多様な構造が生産されてよい。
【0058】
本開示の別の態様では、接着剤接合を改善するために、硬化された複合体の表面上にピールプライを配列できる。
図15は、複合体1514、例えば、GFRP、CFRP、または同様のものを含んだ一体化構造1500の例である。前の実施形態におけるように、付加製造されたツール1516は、レイアッププロセス中に複合材料1514をモールドするため、ならびに造形された構造の一部とするために用いられる。硬化された複合体1514と3D印刷されたツール1516との間の接合を改善するために、化学的に適切な特性をもつ材料の層、例えば、ピールプライ1512をツール1516と複合体1514との間に配置できる。いくつかの実施形態では正確な結果を可能にするために、ピールプライ1512の別の層が複合体1514の上に挿入されてよい。上側ピールプライ層1512とバギングフィルム1508との間にはブリーザ1510がある。バギングフィルム1508は、陰圧を作り出すためのスルーバッグ(thru-bag)真空コネクタを含んでよい。バギングフィルム(bagging filem)1508をシールするためにシーラント1502が用いられてよく、ピールプライ1512を複合体1514へ固定するためにフラッシュテープ1504が用いられてよい。
【0059】
硬化が完了すると、ピールプライ1512の性質は、硬化された複合体1514がツール1516から取り外されることを可能にする。ピールプライ1512は、硬化された複合体1514の表面上に接着剤接合の助けとなるある一定のテクスチャを残してよい。ピールプライ1512を棄てた後に、ツール1516と複合体1514との間に強い接合をそれによって形成するために、ツール-複合体界面に接着剤を塗布することができる。
【0060】
先の記載は、任意の当業者が本明細書に記載される様々な態様を実施することを可能にするために提供される。本開示を通して提示されるこれらの例示的な実施形態の様々な修正が当業者には直ちに明らかとなり、本明細書に開示される概念は、材料の複合インレイのための他の技術に適用されてよい。従って、請求項は、本開示を通して提示される例示的な実施形態に限定されることは意図されず、言語による請求(language claims)と矛盾しない全範囲が与えられるべきである。当業者に知られ、または後に知られることになる、本開示を通して記載される例示的な実施形態の要素のすべての構造的および機能的な均等物は、請求項によって包含されることが意図される。そのうえ、かかる開示が請求項に明示的に列挙されるかどうかに係わらず、本開示に開示されるものが公衆に提供されることは意図されない。請求要素は、語句「のための手段」を用いてその要素が明示的に列挙されない限り、または方法請求項のケースでは、語句「のためのステップ」を用いてその要素が列挙されない限り、合衆国法典第35巻(35 U.S.C)第112条(f)、または該当法域における類似した法律の規定の下で解釈されるべきではない。