(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/40 20240101AFI20240213BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B60K35/40
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2022108505
(22)【出願日】2022-07-05
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 朋宏
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-089480(JP,A)
【文献】国際公開第2020/183844(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/106688(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されており、かつウインドシールドと対向する開口を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、画像の表示光を出力する画像表示装置と、
前記筐体の内部に配置され、かつ前記開口を介して前記ウインドシールドと対向しており、前記表示光を前記ウインドシールドに向けて反射するミラーと、
前記開口に配置されており、かつ光学機能を有するように形成された自由曲面を有する透明なカバーと、
前記カバーの縁部に配置され、前記カバーの端面における光の反射を抑制する抑制手段と、
を備
え、
前記抑制手段は、前記カバーの縁部を覆う枠部材であり、
前記枠部材は、前記カバーの前記端面と対向して前記端面を覆う側壁部と、前記縁部を前記ウインドシールドの側から覆う頂壁部と、を有する
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記カバーの
前記端面
にシボ加工
が施されている
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記カバーは、前記ウインドシールドと対向する外側面と、前記ミラーと対向する内側面と、を有し、
前記カバーの
前記端面
は傾斜させた傾斜部であり、
前記傾斜部は、前記外側面から前記内側面へ向かうに従って前記カバーの中心から遠ざかるように傾斜している
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記側壁部は、前記カバーが有する全ての前記端面を覆う
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の表示装置がある。特許文献1には、シリンドリカルレンズを透過した映像光がフロントウインドシールドを反射することで車両の乗員に映像光の虚像を視認させるHUD装置が開示されている。特許文献1のHUD装置では、シリンドリカルレンズが、自身を反射した外光が車両の乗員のアイレンジに到達しないように、映像光に対して傾斜して配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用表示装置において、外光などによるゴーストを抑制して視認性を向上させる点において、なお改良の余地がある。例えば、透明なカバーを介して表示光を投影する場合に、カバーの端面における光の反射を抑制できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、カバーの端面における反射を抑制できる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、車両に搭載されており、かつウインドシールドと対向する開口を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、画像の表示光を出力する画像表示装置と、前記筐体の内部に配置され、かつ前記開口を介して前記ウインドシールドと対向しており、前記表示光を前記ウインドシールドに向けて反射するミラーと、前記開口に配置されており、かつ光学機能を有するように形成された自由曲面を有する透明なカバーと、前記カバーの縁部に配置され、前記カバーの端面における光の反射を抑制する抑制手段と、を備え、前記抑制手段は、前記カバーの縁部を覆う枠部材であり、前記枠部材は、前記カバーの前記端面と対向して前記端面を覆う側壁部と、前記縁部を前記ウインドシールドの側から覆う頂壁部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置は、光学機能を有するカバーの縁部に配置され、カバーの端面における光の反射を抑制する抑制手段を備える。本発明に係る車両用表示装置によれば、カバーの端面における反射を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両用表示装置が搭載された車両を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【
図8】
図8は、目の位置に応じた経路を示す図である。
【
図9】
図9は、目の位置に応じた経路を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図12を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。
図1は、実施形態に係る車両用表示装置が搭載された車両を示す図、
図2から
図5は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図、
図6および
図7は、反射光の経路を示す図、
図8および
図9は、目の位置に応じた経路を示す図、
図10から
図12は、実施形態に係る車両用表示装置の断面図である。各断面図には、車両前後方向および車両上下方向に沿った断面が示されている。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、自動車等の車両100に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置である。車両用表示装置1は、画像の表示光Ltをウインドシールド110に向けて投影する。ウインドシールド110は、車両100のアイポイントEPに対して車両前方に位置しており、かつ車両前後方向XにおいてアイポイントEPと対向している。表示光Ltは、ウインドシールド110の反射面110aによってアイポイントEPに向けて反射される。車両100のドライバは、表示光Ltによって虚像Viを視認することができる。虚像Viは、車両100の前方の対象物に重畳されて表示されてもよい。虚像Viは、車両100のメータ画像であってもよい。
【0012】
車両用表示装置1は、筐体2、画像表示装置3、ミラー4、カバー5、および抑制手段6を有する。筐体2は、アイポイントEPに対して車両前方に配置されており、例えば、インストルメントパネル120に収容されている。筐体2は、遮光性の材料で形成される。筐体2は、車両上下方向においてウインドシールド110と対向する開口21aを有する。開口21aは、筒状部21の先端に位置している。筒状部21は、筐体2の本体から上方に向けて突出している。筒状部21の形状は、例えば、角筒形状である。例示された開口21aは、筐体2の上端に配置されており、かつ筐体2の前端部に位置する。
【0013】
画像表示装置3およびミラー4は、筐体2の内部に配置されている。画像表示装置3は、画像の表示光Ltを出力する装置である。画像表示装置3は、例えば、TFT-LCD(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。画像表示装置3は、例えば、バックライトユニットの光によって表示光Ltを生成する。
【0014】
ミラー4は、表示光Ltをウインドシールド110に向けて反射する反射部材である。ミラー4は、凹状の反射面41を有しており、画像を拡大することができるように構成されている。ミラー4の反射面41は、例えば、画像補正機能を有する自由曲面である。より詳しくは、反射面41の形状は、ウインドシールド110の反射面110aにおいて表示光Ltが反射されるときに生じる画像の歪みを補正するように設計されている。反射面41によって反射された表示光Ltは、更に、ウインドシールド110によってアイポイントEPに向けて反射される。
【0015】
カバー5は、筐体2の開口21aに配置され、開口21aを閉塞している。カバー5は、透明な部材であり、例えば、透明な樹脂で成型される。カバー5は、外側面51と、内側面52と、を有する。外側面51は、車両上側を向く面であり、ウインドシールド110と対向している。内側面52は、車両下側を向く面であり、ミラー4と対向している。
【0016】
本実施形態のカバー5は、表示光Ltに対する光学機能を有するように形成された自由曲面を有する。カバー5の自由曲面は、例えば、画像の歪みまたは収差の少なくとも一方を補正する。カバー5の自由曲面は、画像を拡大する機能を有してもよい。自由曲面は、内側面52であってもよく、外側面51であってもよく、外側面51および内側面52の両方であってもよい。光学機能を有するカバー5の厚さは、光学機能を有していないカバーの厚さと比較して大きくなりやすい。カバー5の厚さの平均値は、例えば、約10[mm]であってもよい。
【0017】
本実施形態の車両用表示装置1は、カバー5の縁部に配置された抑制手段6を有している。抑制手段6は、以下に説明するように、カバー5の端面53による光の反射を抑制し、虚像Viの視認性を向上させることができる。
【0018】
図2に例示されたカバー5は、筐体2の筒状部21に嵌合する。より詳しくは、カバー5は、本体50および嵌合部54を有する。本体50は、光学機能を有するレンズ部であり、外側面51および内側面52を有している。嵌合部54は、内側面52の縁から突出しており、筒状部21に対して外側から嵌合する。嵌合部54の形状は、例えば、角筒形状である。
【0019】
カバー5の端面53は、カバー5の側面である。端面53は、外側面51および内側面52を囲むように延在している。端面53は、本体50から嵌合部54まで連続している。端面53には、外光L1や、迷光L2,L3が入射する可能性がある。外光L1は、典型的には、車内に向けてウインドシールド110を透過する太陽光である。迷光L2は、画像表示装置3から出力される光であって、かつミラー4を経由せずに直接カバー5に向かう光である。迷光L3は、ミラー4によってカバー5の端面53に向けて反射される表示光である。なお、迷光には、カバー5の内部での反射や、内側面52、ミラー4、画像表示装置3の表面等で反射を繰り返し、最終的に端面53に入射する光もある。外光L1や迷光L2,L3が端面53によってアイポイントEPに向けて反射されてしまうと、所謂ゴーストが発生し、虚像Viの視認性が低下してしまう。
【0020】
図2に示す車両用表示装置1は、抑制手段6として、枠部材7を有する。枠部材7は、遮光性の部材であり、カバー5の縁部を覆う。枠部材7は、側壁部71と、頂壁部72と、を有する。側壁部71は、端面53と対向して端面53を覆う壁部である。側壁部71は、例えば、カバー5が有する全ての端面53を覆ってもよく、全ての端面53のうち一部の端面53を覆ってもよい。側壁部71は、端面53における本体50に対応する部分を少なくとも覆っている。例示された側壁部71は、本体50の端面53だけでなく、嵌合部54の端面53を覆っており、かつ筐体2の開口21aの位置まで設けられている。側壁部71は、嵌合部54の全体を覆っていてもよい。
【0021】
頂壁部72は、カバー5の縁部をウインドシールド110の側から覆う。頂壁部72は、外側面51の縁部と対向しており、端面53を外光L1に対して遮蔽するように構成されている。また、頂壁部72は、迷光L2,L3が端面53によって反射されたとしても、反射光を遮ることができる。
【0022】
例示された頂壁部72は、見返し130の延長線上の位置まで設けられている。見返し130は、インストルメントパネル120から下方に向けて延在している遮光壁である。見返し130の形状は、例えば、角筒形状である。例示された見返し130は、筐体2の筒状部21に向けて車両上下方向Zに沿って突出している。頂壁部72における内側の端部72aは、車両上下方向Zにおいて見返し130と対向している。つまり、頂壁部72は、アイポイントEPに向かう表示光Ltの光路と干渉しない範囲に設けられている。
【0023】
枠部材7において、カバー5と対向する対向面は低い反射率を有することが望ましい。枠部材7の対向面は、例えば、光を拡散する凹凸形状を有してもよく、光を吸収する塗装がなされていてもよい。対向面の色は、黒等の暗色であってもよい。
【0024】
枠部材7は、外光L1や迷光L2,L3がアイポイントEPに向けて反射されてしまうことを抑制し、虚像Viの視認性を向上させることができる。
【0025】
図3に示す車両用表示装置1は、抑制手段6として、カバー5の端面53に施されたシボ加工55を有する。シボ加工55を有する端面53は、光を拡散させる。例えば、外光L1や迷光L2,L3が端面53に入射した場合、これらの光が様々な方向に向けて拡散される。よって、アイポイントEPに向かう反射光Lrが発生しにくい。シボ加工55は、カバー5が有する全ての端面53に施されてもよく、全ての端面53のうち一部の端面53に施されてもよい。なお、車両用表示装置1は、抑制手段6として、シボ加工55および枠部材7の両方を有していてもよい。
【0026】
図4に示す車両用表示装置1は、抑制手段6として、端面53に配置された低反射剤56を有する。低反射剤56は、例えば、低い反射率を有する塗料であってもよく、低い反射率を有するシートであってもよい。外光L1や迷光L2,L3が端面53に入射した場合、低反射剤56はこれらの光を吸収して反射光を低減させる。低反射剤56は、カバー5が有する全ての端面53に施されてもよく、全ての端面53のうち一部の端面53に施されてもよい。なお、車両用表示装置1は、抑制手段6として、低反射剤56および枠部材7の両方を有していてもよい。
【0027】
図5に示す車両用表示装置1は、抑制手段6として、枠部材7および接着剤57を有する。接着剤57は、枠部材7をカバー5に対して接着する。例示された接着剤57は、端面53と枠部材7の側壁部71との間に充填されている。接着剤57の屈折率の値は、端面53と枠部材7との間が空気層である場合と比較して端面53における反射率を小さくできる値である。接着剤57の屈折率の値は、端面53における光の反射を十分に低減できるように選択される。接着剤57の屈折率は、カバー5の屈折率と同等であることが好ましい。接着剤57は、端面53における光の反射を抑制し、光を枠部材7まで導くことができる。
【0028】
なお、以下に説明するように、反射光がアイポイントEPへ向かう経路として複数の経路が考えられる。例えば、
図6に示すように、外光L1がカバー5の端面53によって反射された場合に、その反射光Lrがウインドシールド110の反射面110aによってアイポイントEPに向けて反射される経路がある。
【0029】
また、
図7に示すように、外光L1が端面53によって反射された場合に、その反射光LrがアイポイントEPに直接入射する経路がある。迷光L2,L3についても同様であり、反射光がウインドシールド110によってアイポイントEPに向けて反射される経路、および反射光が直接アイポイントEPに入射する経路がある。
【0030】
また、アイポイントEPの位置に応じて反射光の経路も異なる。
図8には、車両100のアイリプスELが示されている。アイリプスELは、車両上下方向Zの上端位置ELuおよび下端位置ELdを有する。アイポイントEPが上端位置ELuにある場合と、下端位置ELdにある場合とで、端面53の可視範囲が異なる。
【0031】
図9には、端面53における上端位置ELuから視認可能な範囲53vが示されている。視認可能な範囲53vは、ドライバから視認可能な範囲を示すものであり、車両上下方向Zの範囲である。ドライバの目がアイリプスELの上端位置ELuにある場合、ドライバはウインドシールド110の反射面110aを介して視認可能な範囲53vを見ることが可能である。言い換えると、視認可能な範囲53vは、端面53の全範囲のうち、上端位置ELuに向けて光を反射することが可能な範囲である。
【0032】
これに対して、ドライバの目が下端位置ELdにある場合、端面53における下端53dの近傍の狭い範囲のみが視認可能である。つまり、アイポイントEPが下端位置ELdにある場合、上端位置ELuにある場合と比較して、ドライバから視認可能な範囲が狭い。
【0033】
カバー5は、最も厳しい条件でもアイポイントEPへ向かう反射光を抑制できるように設計されてもよい。例えば、カバー5は、以下に説明するようにアイポイントEPが上端位置ELuにある場合の各部の位置関係に基づいて設計されてもよい。
【0034】
図10には、カバー5の一例が示されている。
図10に示すカバー5は、抑制手段として、端面53を傾斜させた傾斜部58を有する。傾斜部58は、外側面51から内側面52へ向かうに従ってカバー5の中心C1から遠ざかるように傾斜している。基準線AXに対する傾斜部58の傾斜角度θは、アイポイントEPへ向かう反射光の発生を抑制できるように定められる。基準線AXは、例えば、車両上下方向Zである。傾斜角度θの下限値は、例えば、以下に説明する仮想線ILに基づいて定められる。
【0035】
図10に示す仮想線ILは、アイリプスELの上端位置ELuと、見返し130の下端130aの位置から決まる。仮想線ILは、下端130aがウインドシールド110の反射面110aによって上端位置ELuへ反射される光路である。
図10に示す断面において、仮想線ILは、基準線AXに対して角度θ1で傾斜している。傾斜部58の傾斜角度θは、例えば、角度θ1よりも大きな角度である。傾斜部58は、アイリプスELへ向かう反射光の発生を効果的に抑制することができる。
【0036】
図10に示す傾斜部58は、車両前後方向Xにおける前方の端面53Fに設けられている。なお、傾斜部58は、カバー5における左右の端面53に設けられてもよく、車両前後方向Xにおける後方の端面53Rに設けられてもよい。
【0037】
図11に示すように、抑制手段6として、見返し130の位置が調節されてもよい。
図11に示す見返し130は、筐体2の筒状部21と対向する位置130bよりも車両後方に配置されている。見返し130の位置は、例えば、仮想線ILが前方の端面53Fと交差しないように設定される。
【0038】
図12に示すように、見返し130の位置に応じてカバー5が延長されてもよい。
図12に示すカバー5は、抑制手段6として延長部5xを有する。延長部5xは、見返し130に対して車両前後方向Xの前方に位置している。前方の端面53Fは、見返し130と対向する位置53aよりも車両前方に位置している。前方の端面53Fの位置は、例えば、前方の端面53Fが仮想線ILと交差しないように設定される。なお、
図10から
図12に示す抑制手段6は、相互に組み合わされてもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、筐体2と、画像表示装置3と、ミラー4と、透明なカバー5と、抑制手段6と、を有する。筐体2は、車両100に搭載されており、かつウインドシールド110と対向する開口21aを有する。画像表示装置3は、筐体2の内部に配置され、画像の表示光Ltを出力する。ミラー4は、筐体2の内部に配置され、かつ開口21aを介してウインドシールド110と対向している。ミラー4は、表示光Ltをウインドシールド110に向けて反射する。カバー5は、開口21aに配置されており、かつ光学機能を有するように形成された自由曲面を有する。抑制手段6は、カバー5の縁部に配置され、カバー5の端面53における光の反射を抑制する。本実施形態の車両用表示装置1は、端面53における光の反射を抑制することにより虚像Viの視認性を向上させることができる。
【0040】
抑制手段6は、例えば、カバー5の縁部を覆う枠部材7である。枠部材7は、側壁部71と、頂壁部72と、を有する。側壁部71は、カバー5の端面53と対向して端面53を覆う。頂壁部72は、カバー5の縁部をウインドシールド110の側から覆う。枠部材7は、端面53における光の反射を抑制することができる。枠部材7は、例えば、端面53へ光が入射しないようにすることで、結果として反射を抑制することができる。また、枠部材7の頂壁部72は、アイポイントEPへ向かうような反射光を遮ることができる。
【0041】
抑制手段6は、例えば、カバー5の端面53に施されたシボ加工55である。シボ加工55は、端面53において光を拡散させ、アイポイントEPへ向かうような反射を抑制することができる。
【0042】
抑制手段6は、例えば、カバー5の端面53を傾斜させた傾斜部58である。傾斜部58は、外側面51から内側面52へ向かうに従ってカバー5の中心C1から遠ざかるように傾斜している。傾斜部58は、筐体2の外側へ向かうような反射を抑制することができる。
【0043】
なお、カバー5は、嵌合部54を有していなくてもよい。この場合、例えば、筐体2がカバー5を保持する保持構造や、カバー5を位置決めする位置決め構造を有していることが好ましい。
【0044】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 車両用表示装置
2:筐体、 3:画像表示装置、 4:ミラー、 5:カバー、 6:抑制手段
7:枠部材
21:筒状部、 21a:開口
50:本体、 51:外側面、 52:内側面
53:端面、 53F:前方の端面、 53R:後方の端面、 54:嵌合部
55:シボ加工、 56:低反射剤、 57:接着剤、 58:傾斜部
71:側壁部、 72:頂壁部
100:車両、 110:ウインドシールド、 110a:反射面
120:インストルメントパネル、 130:見返し
EP:アイポイント、 EL:アイリプス、 ELu:上端位置、 ELd:下端位置
L1:外光、 L2,L3:迷光
Lt:表示光、 Lr:反射光
Vi:虚像
X:車両前後方向 Z:車両上下方向