(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240213BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240213BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240213BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 304
G06F3/12 331
H04N1/00 127B
B41J29/38 401
B41J29/00 E
(21)【出願番号】P 2022110968
(22)【出願日】2022-07-11
(62)【分割の表示】P 2017239306の分割
【原出願日】2017-12-14
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 公一
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157428(JP,A)
【文献】特開2006-170618(JP,A)
【文献】特開2013-196511(JP,A)
【文献】特開2016-027454(JP,A)
【文献】特開2014-206937(JP,A)
【文献】特開2017-084124(JP,A)
【文献】特開2017-201838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を用いて情報を表示する情報処理装置において、
第1のネットワーク接続情報を第1のユーザに紐づけ且つ第2のユーザに紐づけずに格納し、第2のネットワーク接続情報を前記第1のユーザに紐づけず且つ前記第2のユーザに紐づけて格納する格納手段と、
ユーザを
認証するための
認証処理をおこなう
認証手段と、
前記
認証処理において第1のユーザを
認証した状態において、前記第1のユーザへの提供
が許可
されたネットワーク接続情報として前記第1のネットワーク接続情報を取得し、前記
認証処理において第2のユーザを
認証した状態において、前記第2のユーザへの提供
が許可
されたネットワーク接続情報として前記第2のネットワーク接続情報を取得する取得手段と、
前記提供
が許可
されたネットワーク接続情報として取得されたネットワーク接続情報を、前記表示部に二次元コードとして表示する表示手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数のグループの情報を管理する管理手段を備え、
前記取得手段は、前記複数のグループのうちから、前記
認証したユーザに対応するグループを特定し、当該特定されたグループに紐づけられたネットワーク接続情報を、前記提供
が許可
されたネットワーク接続情報として取得することを特徴とする請求項1の情報処理装置。
【請求項3】
ネットワークインターフェースを備え、
前記ネットワーク接続情報には少なくとも前記ネットワークインターフェースの固有番号が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ネットワークインターフェースの固有番号はIPアドレスもしくはMACアドレスであることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ネットワーク接続情報には少なくともアクセスポイントのSSID、PASSWORDが含まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ネットワーク接続情報に基づいて、前記
認証したユーザの外部装置と無線LAN通信を確立する手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記無線LAN通信を介して前記外部装置から受信したデータを用いて印刷を実行することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザとネットワーク接続情報との対応関係は、管理者によって変更されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1のネットワーク接続情報は第1のアクセスポイントを介して前記情報処理装置と通信するための情報であって、前記第2のネットワーク接続情報は第2のアクセスポイントを介して前記情報処理装置と通信するための情報であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1のネットワーク接続情報は第1のDHCPサーバによって割り当てられた第1のIPアドレスを含み、前記第2のネットワーク接続情報は第2のDHCPサーバによって割り当てられた第2のIPアドレスを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1のネットワーク接続情報に対応するネットワークは第1のMACアドレス制限が設定されており、前記第2のネットワーク接続情報に対応するネットワークには第2のMACアドレス制限が設定されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記
認証手段は、ユーザIDとパスワードの組み合わせに基づいて、前記
認証処理を実行することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記
認証手段は、記憶媒体から取得されたユーザ
認証情報に基づいて、前記
認証処理を実行することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記記憶媒体はICカードであることを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記二次元コードはQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
表示情報を出力する情報処理システムにおいて、
第1のネットワーク接続情報を第1のユーザに紐づけ且つ第2のユーザに紐づけずに格納し、第2のネットワーク接続情報を前記第1のユーザに紐づけず且つ前記第2のユーザに紐づけて格納する格納手段と、
ユーザを
認証するための
認証処理をおこなう
認証手段と、
前記
認証処理において第1のユーザを
認証した状態において、前記第1のユーザへの提供
が許可
されたネットワーク接続情報として前記第1のネットワーク接続情報を取得し、前記
認証処理において第2のユーザを
認証した状態において、前記第2のユーザへの提供
が許可
されたネットワーク接続情報として前記第2のネットワーク接続情報を取得する取得手段と、
前記提供
が許可
されたネットワーク接続情報として取得されたネットワーク接続情報を、二次元コードの表示情報として出力する出力手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項17】
複数のグループの情報を管理する管理手段を備え、
前記取得手段は、前記複数のグループのうちから、前記
認証したユーザに対応するグループを特定し、当該特定されたグループに紐づけられたネットワーク接続情報を、前記提供
が許可
されたネットワーク接続情報として取得することを特徴とする請求項16の情報処理システム。
【請求項18】
ネットワークインターフェースを備え、
前記ネットワーク接続情報には少なくとも前記ネットワークインターフェースの固有番号が含まれていることを特徴とする請求項16または17に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記ネットワークインターフェースの固有番号はIPアドレスもしくはMACアドレスであることを特徴とする請求項18に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記ネットワーク接続情報には少なくともアクセスポイントのSSID、PASSWORDが含まれていることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項21】
前記ネットワーク接続情報に基づいて、前記
認証したユーザの外部装置と無線LAN通信を確立する手段をさらに有することを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項22】
前記無線LAN通信を介して前記外部装置から受信したデータを用いて印刷を実行することを特徴とする請求項21に記載の情報処理システム。
【請求項23】
ユーザとネットワーク接続情報との対応関係は、管理者によって変更されることを特徴とする請求項16乃至22のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項24】
前記第1のネットワーク接続情報は第1のアクセスポイントを介して前記情報処理システムと通信するための情報であって、前記第2のネットワーク接続情報は第2のアクセスポイントを介して前記情報処理システムと通信するための情報であることを特徴とする請求項16乃至23のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項25】
前記第1のネットワーク接続情報は第1のDHCPサーバによって割り当てられた第1のIPアドレスを含み、前記第2のネットワーク接続情報は第2のDHCPサーバによって割り当てられた第2のIPアドレスを含むことを特徴とする請求項16乃至24のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項26】
前記第1のネットワーク接続情報に対応するネットワークは第1のMACアドレス制限が設定されており、前記第2のネットワーク接続情報に対応するネットワークには第2のMACアドレス制限が設定されていることを特徴とする請求項16乃至25のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項27】
前記
認証手段は、ユーザIDとパスワードの組み合わせに基づいて、前記
認証処理を実行することを特徴とする請求項16乃至25のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項28】
前記
認証手段は、記憶媒体から取得されたユーザ
認証情報に基づいて、前記
認証処理を実行することを特徴とする請求項16乃至25のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項29】
前記記憶媒体はICカードであることを特徴とする請求項28に記載の情報処理システム。
【請求項30】
前記二次元コードはQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項16乃至29のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置とその制御方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置と外部装置などの間で無線通信を行い、情報処理装置が外部装置からデータを受信し、印刷することが可能となっている。この際、情報処理装置に搭載されているNFCをはじめとする近距離無線ユニットを介して、情報処理装置のネットワーク情報を送信し、外部装置と情報処理装置が互いに通信相手を特定する。ここで言うNFCはNear Field Communicationのことである。
【0003】
その後、近距離無線通信とは別の、より高速な無線通信、例えば無線LANなどによって、外部装置から情報処理装置に印刷対象のデータ等を送信、もしくは、情報処理装置から外部装置にデータを送信することが知られている。無線LAN通信を行うためには、通信規格に基づき接続処理を行う必要があり、無線LANの接続、認証、データ転送を行うためのSSID、PASSWORD、IPアドレス等のネットワーク情報を外部装置に設定する必要がある。ここで言うSSIDとは、Service Set Identifierのことである。またここで言うPASSWORDとは、暗号化キーのことである。
【0004】
そこで、外部装置が近距離無線ユニットを介して無線LAN接続に必要なネットワーク情報を取得して、このネットワーク情報に基づき無線LAN接続を行うハンドオーバーという方式が広く用いられている。これにより、ユーザは煩わしい無線LANの登録、設定を外部装置上で行う必要がなく、情報処理装置の近距離無線ユニットからの情報を読み取ることでハンドオーバーが可能になる(特許文献1参照)。
【0005】
また近年では、情報処理装置を複数のグループでシェアし、且つセキュリティも保つ情報処理装置のニーズが高まっている。これに対応する為に複数のネットワークインターフェースを搭載し、ネットワークインターフェースごとに利用できるユーザを設定し、それぞれのネットワークに接続する情報処理装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-182449号公報
【文献】特開2016-170618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数のネットワークインターフェースを搭載し、複数のネットワークに接続される情報処理装置において、ユーザが外部装置を適切なネットワークに接続するためのネットワーク情報を外部装置に提供する必要がある。
【0008】
特許文献2ではネットワークインターフェースごとに接続できるユーザが設定される。そこで、ユーザが接続できないネットワークのネットワーク情報が外部装置に提供されると、外部装置は情報処理装置とのデータのやりとりを行うことができない。
【0009】
またネットワークインターフェースごとに接続できるユーザが設定されていない場合でも、提供されたネットワーク情報によりユーザが外部装置を適切でないネットワークに接続してしまうことがある。そうすると、例えば複数の企業が一つの情報処理装置を共有して使用する場合、一方の企業のユーザが外部端末を他方の企業のネットワークに接続でき、他方の企業の機密情報等を取得する可能性がある。
【0010】
本発明は、表示部を用いて情報を表示する情報処理装置において、第1のネットワーク接続情報を第1のユーザに紐づけ且つ第2のユーザに紐づけずに格納し、第2のネットワーク接続情報を前記第1のユーザに紐づけず且つ前記第2のユーザに紐づけて格納する格納手段と、ユーザを認証するための認証処理をおこなう認証手段と、前記認証処理において第1のユーザを認証した状態において、前記第1のユーザへの提供が許可されたネットワーク接続情報として前記第1のネットワーク接続情報を取得し、前記認証処理において第2のユーザを認証した状態において、前記第2のユーザへの提供が許可されたネットワーク接続情報として前記第2のネットワーク接続情報を取得する取得手段と、前記提供が許可されたネットワーク接続情報として取得されたネットワーク接続情報を、前記表示部に二次元コードとして表示する表示手段と、を有することを特徴とする情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑み、本発明の情報処理装置は、表示部を用いて情報を表示する情報処理装置において、第1のネットワーク接続情報を第1のユーザに紐づけ且つ第2のユーザに紐づけずに格納し、第2のネットワーク接続情報を前記第1のユーザに紐づけず且つ前記第2のユーザに紐づけて格納する格納手段と、ユーザを認証するための認証処理をおこなう認証手段と、前記認証処理において第1のユーザを認証した状態において、前記第1のユーザへの提供が許可されたネットワーク接続情報として前記第1のネットワーク接続情報を取得し、前記認証処理において第2のユーザを認証した状態において、前記第2のユーザへの提供が許可されたネットワーク接続情報として前記第2のネットワーク接続情報を取得する取得手段と、前記提供が許可されたネットワーク接続情報として取得されたネットワーク接続情報を、前記表示部に二次元コードとして表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明によれば、表示部を用いて情報を表示する情報処理装置において、第1のネットワーク接続情報を第1のユーザに紐づけ且つ第2のユーザに紐づけずに格納し、第2のネットワーク接続情報を前記第1のユーザに紐づけず且つ前記第2のユーザに紐づけて格納する格納手段と、ユーザを認証するための認証処理をおこなう認証手段と、前記認証処理において第1のユーザを認証した状態において、前記第1のユーザへの提供が許可されたネットワーク接続情報として前記第1のネットワーク接続情報を取得し、前記認証処理において第2のユーザを認証した状態において、前記第2のユーザへの提供が許可されたネットワーク接続情報として前記第2のネットワーク接続情報を取得する取得手段と、前記提供が許可されたネットワーク接続情報として取得されたネットワーク接続情報を、前記表示部に二次元コードとして表示する表示手段と、を有することを特徴とする情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】携帯端末を、情報処理装置のNFCユニットにかざす時の構成の一例を示す図
【
図4】ユーザIDとネットワークIFGrとIPアドレスを対応させたリストの一例を示す図
【
図5】NFCを搭載した情報処理装置にジョブを送信するまでに実行される処理の一例を示すフローチャート
【
図6】Bluetooth(登録商標) LEを搭載した情報処理装置の構成の一例を示す図
【
図7】Bluetooth LE通信の詳細の一例を示す図
【
図8】Bluetooth LEを搭載した情報処理装置にジョブを送信するまでに実行される処理の一例を示すフローチャート
【
図9】QRコード(登録商標)表示を搭載した情報処理装置の構成の一例を示す図
【
図10】QRコードを読みとる携帯端末の表示画面の一例を示す図
【
図11】QRコード表示を搭載した情報処理装置にジョブを送信するまでに実行される処理の一例を示すフローチャート
【
図12】複数のネットワークIFのIPアドレスをNFCユニットのメモリ部に書き込む時の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、情報処理装置の一例を示す図である。情報処理装置1は、例えば、ダウンロード機能、スキャン機能、FAX機能及び印刷機能など各種機能を備える一般的な複合機である。また、情報処理装置1は、ユーザによる操作指示を入力する操作部2と、近距離無線通信で外部装置と通信可能にする近距離無線ユニット3とを備えている。なお、操作部2は情報を表示する表示部としても機能してもよい。本実施例では近距離無線ユニットとして、NFCユニット3を一例に挙げて説明する。
【0017】
また情報処理装置1は、社員証などのNFCタグが入ったICカードをかざす事よって、ユーザが、情報処理装置1にログインする事ができるNFC R/W(Reader/Writer)部5も備えている。ここで言うNFCはNear Field Communicationのことである。
【0018】
図2は情報処理装置の構成の一例を示す図である。本実施例の情報処理装置1は
図2のように、ネットワークIF(InterFace)_A401とネットワークIF_B411を有する。なお、情報処理装置1は、Ethernet(登録商標)のような2つの有線接続のIFか2つの無線接続のIF、もしくはそれら両方のIFを1つずつ有していても良い。また、本実施例では、情報処理装置1が2つのネットワークIFを有する場合を説明したが、3つ以上のネットワークIFを有していても良い。
【0019】
それぞれのネットワークIFにはIPアドレスやMACアドレス等の固有番号が設定されている。例えばネットワークIF_A401は「172.24.1.100」、ネットワークIF_B411は「172.24.1.200」、が設定されている。このIPアドレスは固定でもDHCPサーバ側(403・413)などで割りあてられたIPアドレスでもよい。
【0020】
ネットワークIF_A401はコントローラ204と接続され、ネットワーク405を介してPC402やサーバ403やアクセスポイント404などと接続される。また、ネットワークIF_B411もコントローラ204と接続され、ネットワーク415を介してPC412やサーバ413やアクセスポイント414などと接続される。
【0021】
このように複数のネットワークIFを用いて、ネットワークを分断する事により、以下の効果が得られる。例えば、一方のネットワークはA社の社内LAN_Aに接続され、もう一方のネットワークはB社の社内LAN_Bに接続される時、一方のネットワークのユーザは、他方のネットワークに接続できないようにすることでセキュリティを保つことができる。ここで、一方のネットワークのユーザが、他方のネットワークのアクセスポイントのSSIDやPASSWORDを不正に取得しても、MACアドレス制限等を用いて各ネットワークIFのアクセスポイントに接続できるユーザを制限できるようにしてもよい。
【0022】
NFCユニット3はNFCアンテナ部301とNFC制御部302とメモリ部303で構成される。情報処理装置1は、NFCアンテナ部301を介して携帯端末100とNFC通信310を行うことができる。前述した、設定された情報処理装置1のIPアドレスはNFCユニット3のメモリ部303に記憶されており、NFC制御部302によって書き換えられる。また、本実施例ではIPアドレスが書きかえられるが、SSID・PASSWORDなどを書き込んでも良い。ここで言うPASSWORDとは暗号化キーのことである。
【0023】
本実施例では、情報処理装置1と携帯端末などの外部装置とのやりとりに、NFC通信310を行うためのNFCユニット3を使用する場合を一例として挙げているが、これに限定されるものではない。例えば、情報処理装置と外部デバイスとが、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下Bluetooth LE)による近距離無線通信で情報のやり取りを行う場合にも適用することができる。また、情報処理装置1の操作部2に表示するQRコード(登録商標)を外部デバイスに読み取らせることで、情報のやり取りを行う場合にも適用することができる。
【0024】
CPU211を含むコントローラ204は、情報処理装置1全体の動作を制御する。CPU211は、コントローラ内のROM(Read Only Memory)212や記憶部207に記憶された制御プログラムを読み出して読取制御や印刷制御などの各種制御を行う。
【0025】
なお、情報処理装置1は、1つのCPU211がメモリに展開された命令を解釈することにより後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の態様であっても構わない。例えば複数のプロセッサや複数のRAM(Random Access Memory)213、ROM212及びストレージを協働させて後述するフローチャートに示す各処理を実行することもできる。また、ハードウェア回路を用いて一部の処理を実行するようにしても良い。また、NFCユニット3などの各モジュールの制御は、各モジュールのプロセッサなどと協働して実現されるものとする。
【0026】
操作部2はCPU203によってキーパネル202とLCD(Liquid Crystal Display)パネル201とNFCユニット3のNFC制御部302とメモリ部303が制御される。CPU203はコントローラ204によって制御される。リーダ205とプリンタ206はコントローラ204内のCPU211によって制御される。メモリ部303には、情報処理装置1のIPアドレスなどのネットワーク情報等(例えば、ネットワーク上のアクセスポイントのIPアドレス・SSID・PASSWORD)が保存される。
【0027】
図13は携帯端末の構成の一例を示す図である。CPU101は、携帯端末100全体を制御する中央演算ユニットである。RAM102は、CPU101が演算に用いるデータを一時的に格納するためのワークメモリである。フラッシュROM103は、CPU101が使用するプログラムや各種データを格納する。操作部104は、ユーザと携帯端末100間での情報の入出力を行うものであり、LCDおよびタッチパネルにて構成される。
【0028】
カメラ105は、静止画や動画を撮影する撮影部である。無線LAN I/F106は、無線LAN通信410を介して外部機器との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。
【0029】
NFC通信部110はNFCリーダ/ライタ107とアンテナ108で構成されている。NFCリーダ/ライタ107は、NFC通信310を行うための制御を行う。アンテナ108は、NFC通信310を行うためのアンテナであり、外部機器との間でNFC通信310により発生する電波の送受信を行う。
【0030】
またBluetooth LE通信部111は外部機器とBluetooth LowEnergy通信610を行うための制御と、Bluetooth LE通信610により発生する電波の送受信を行う。CPU101、RAM102、フラッシュROM103、操作部104、カメラ105、無線LAN I/F106、およびNFCリーダ/ライタ107は、システムバス109を介して接続され、相互にデータの送受信が行われる。
【0031】
次にリーダライタ動作を行っている携帯端末100のNFCリーダ/ライタ107が、情報処理装置1のNFCユニット3のNFCアンテナ部301にかざされたときに、NFCユニット3のメモリ部303に記憶されている情報を読み取る。このとき読みとられる情報は無線LAN通信410のためのネットワーク情報であり、IPアドレス・SSID・PASSWORD・機器名称などが挙げられる。
【0032】
携帯端末100は読み取ったネットワーク情報を用いて、無線LAN通信410にてアクセスポイント404もしくは414を介して情報処理装置1と接続する。携帯端末100は上記手順で情報処理装置1と接続することでジョブを情報処理装置1へ送信する、あるいは情報処理装置1で読み取ったデータを受信するなどの動作を行う。
【0033】
ここで言うジョブには、印刷ジョブやスキャンジョブなどがある。印刷ジョブとは、情報処理装置に印刷処理を実行させるための命令や画像データ、設定情報などが格納されたデータである。スキャンジョブとは、情報処理装置にスキャン処理を実行させるための命令や設定情報が格納されたデータである。
【0034】
また、携帯端末100は、アクセスポイント404もしくは414を介して、ネットワーク405もしくは415を使用することができる。
【0035】
ユーザは、通信規格に基づいた無線LAN通信を行うために、これらのネットワーク情報を、携帯端末100の操作部104を介して設定する必要があり、手間がかかる。そこで、携帯端末と情報処理装置で無線LAN通信を行う際に、まず、携帯端末でNFCタグを読取り、無線LAN接続に必要なネットワーク情報を取得して、この情報に基づき無線LAN接続を行うハンドオーバーという方式が広く用いられている。
【0036】
また、情報処理装置1は、NFCユニット3とは別に、ICカード511によるユーザ認証、ログインを実現するためにNFC R/Wを備えている必要がある。
【0037】
NFC R/W部5はコントローラ204制御の下、ICカード511からユーザ認証情報を取得する。また、本実施例はNFC R/W部5にNFCタグが入ったICカード511をかざす事により、ICカード511からユーザ認証情報を取得する例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0038】
例えば、情報処理装置1は、操作部2にログイン画面を表示し、当該ログイン画面を介してユーザIDやPASSWORDなどのユーザ認証情報をユーザに入力させることにより、ユーザ認証情報を取得するようにしてもよい。その場合、CPU211は、ログイン画面を介して入力されたユーザ認証情報と、サーバ403、413上、もしくは情報処理装置1の記憶部207に保存されているユーザ認証情報とを比較することによって、ユーザのログイン可否を判断する。
【0039】
図3は携帯端末100を、情報処理装置1のNFCユニットにかざす時の構成の一例を示す図である。操作部2のLCDパネル201の下側にNFCアンテナ部301を示すマーク208がある。ユーザは携帯端末100上で、携帯端末100から情報処理装置1へ印刷ジョブやスキャンジョブなどを送信するためのジョブ送信アプリ209を起動する指示を行う。
【0040】
携帯端末100は、ジョブ送信アプリ209を起動するユーザ指示を検知すると、携帯端末100にインストールされたジョブ送信アプリ209の画面を表示する。
【0041】
ジョブ送信アプリ209は、
図3(A)に示すように携帯端末100の操作部2上に、例えば「NFC通信待機中、NFCユニットにタッチして下さい」といった情報を表示する。
【0042】
NFCマーク208近辺に携帯端末100がかざされると、情報処理装置1のNFC-制御部302は、NFCアンテナ部301を介して携帯端末100のNFC通信310の電波を検知する。そして、NFC制御部302は、検知したNFC通信310の電波から、情報処理装置1のIPアドレスなどのネットワーク情報等を取得する。
【0043】
その際、
図3(B)に示す様にジョブ送信アプリ209は携帯端末100の画面に「NFC通信中です。タッチしたままお待ちください」といった情報を表示する。NFC通信310により、情報処理装置1からの情報の取得が完了すると、携帯端末100は情報処理装置1のIPアドレスなどのネットワーク情報に基づいて、情報処理装置1との間で無線LAN通信410を行うことができるようになる。情報処理装置1との間で無線LAN通信410が行えるようになると、ジョブ送信アプリは、情報処理装置1に印刷データなどを送信することができる。
【0044】
図5は、ユーザIDとネットワークIFGrとIPアドレスを対応させたリストの一例を示す図である。
【0045】
リスト501の各列は、以下の情報で構成されている。ユーザを識別するユーザID502と、そのユーザが使用可能なネットワークIFを使用するネットワークIFGr503、IPアドレス504、またネットワークIFに接続されているアクセスポイントのSSID505、PASSWORD506である。
【0046】
リスト501は、情報処理装置1の記憶部207に記憶されている。このリスト501は事前に管理者が登録したものであることや、後から操作部2や、外部のPCから変更が可能であってもよい。本実施例では、ユーザIDとネットワークIFGrとネットワーク情報を対応させているが、これに限らず、ユーザIDのそれぞれとネットワーク情報を対応させてもよい。
【0047】
情報処理装置1は
図5のリストを参照し、ユーザがログイン時にどのネットワーク情報をNFCユニット3のメモリ部303に書きこむかを決定する。
【0048】
ネットワークIF_A401(IPアドレス「172.24.1.100」)はアクセスポイント404に接続されている。そのため、ネットワークIF_A401には、SSID「ABC」、PASSWORD「1111」が割り当てられている。
【0049】
ネットワークIF_B411(IPアドレス「172.24.1.200」)はアクセスポイント414に接続されている。そのため、ネットワークIF_B411には、SSID「DEF」、PASSWORD「2222」が割り当てられている。例えば、
図2で、ユーザID「3」が記憶されたICカード511を所有するユーザが、ICカード511を使用してログインする場合を一例として説明する。
【0050】
まず、ユーザは、社員証などのICカード511を情報処理装置1のNFC R/W部5にかざし、ログインを試みる。情報処理装置1は、ICカード511を読み取って得られたユーザID「3」に基づきユーザID「3」に対応付けられたユーザのログインを許可する。
【0051】
続いて、情報処理装置1は、リスト501を基にログイン時にICカード511から読み取ったユーザID「3」に対応するネットワーク情報を取得する。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0052】
次に、情報処理装置1は、上記ネットワーク情報をNFCユニット3のメモリ部303に書き込む。そして、ユーザが
図3で示した様に携帯端末100をNFCユニット3にかざしたら、NFC制御部302はNFCアンテナ部301を介して、携帯端末100とNFC通信310を行う。
【0053】
携帯端末100は、NFC通信310により、情報処理装置1のメモリ部303に保存してある情報処理装置1のネットワークIF_B411のネットワーク情報を取得する。このネットワーク情報はIPアドレス:172.24.1.200、アクセスポイントSSID:DEF、アクセスポイントPASSWORD:2222である。
【0054】
そして、携帯端末100はアクセスポイント404を介して、無線LAN通信410を行い、NFC通信310によって得た、情報処理装置1のネットワークIF_B411のIPアドレス「172.24.1.200」あてにジョブを送信する。
【0055】
このようにユーザは複数のネットワークIFを備え、ネットワークIFごとに、そのネットワークIFを使用可能なユーザが制限されている情報処理装置において、携帯端末で情報処理装置とNFC通信を行う。それにより、携帯端末はユーザが使用可能なネットワークIFのネットワーク情報を受けとり、携帯端末と情報処理装置の無線LAN通信を可能にする。
【0056】
続いて、
図4を用いて説明した、モバイル連携に使用するネットワーク情報の書き換えを行う具体的な制御方法ついて
図5のフローチャートを用いて説明する。
図5は、NFCを搭載した情報処理装置に携帯端末がジョブを送信するまでに実行される処理の一例を示すフローチャートである。CPU211または203がROM212に記憶されたプログラムを読み出し、実行することで
図6のフローチャートは実現される。
【0057】
図5(A)において、NFCを搭載した情報処理装置1に携帯端末100がジョブを送信するまでに実行される処理のうちの情報処理装置1のコントローラ204内のCPU211における処理を説明する。
【0058】
S601において、CPU211は、操作部2に図示省略のログイン画面を表示し、ユーザによるログイン指示を待ち受ける。また、CPU211は、ICカード511によるログイン指示を待ち受ける。
【0059】
S602において、CPU211は、ログイン指示がなされたか否かを判断する。具体的には、図示省略のログイン画面を介して認証情報(ユーザID及びパスワード)を受け付けた後に、ログイン操作がなされた場合に、ログイン指示がなされたと判断する。
【0060】
また、CPU211は、NFC R/W部5によりICカード511がかざされ、ユーザの識別情報を受信したことを検知した場合にも、ログイン指示がなされたと判断する。CPU211は、ログイン指示がなされたと判断した場合は、処理をS603に進める。一方、CPU211は、ログインキーが押下されない場合やNFC R/W部5によりICカード511がかざされたことを検出していない場合は、ログイン指示がなされていないと判断し、ログイン指示を待ち受ける。
【0061】
S603において、CPU211は、認証情報に基づくユーザ認証処理及びログイン処理を行う。CPU211は、S602でカードによるログイン指示がなされた場合には、S602で検知したICカード511から認証情報としてユーザの識別情報を取得する。このユーザの識別情報は、例えばユーザIDであっても良いし、図示省略のデータベースサーバなどにおいてユーザIDと紐づけられたカード番号などであっても良い。なお本実施例ではユーザの識別情報はユーザIDとして説明する。
【0062】
一方、S602でログイン画面を介したユーザ操作によりログイン指示がなされた場合は、画面420を介して入力されたユーザIDとパスワードを認証情報として取得する。
【0063】
続いて。CPU211は、取得した認証情報と、サーバ又は装置内に記憶されたユーザDBを照合する。照合の結果、当該ユーザのログインを許可する場合は、ユーザを情報処理装置1にログインさせるログイン処理を行い、ステップS604に進む。また、ユーザのログインを許可しない場合は、ログインに失敗したことを示すメッセージを表示し、S601の処理に戻る。
【0064】
なお、ICカード511によるログイン指示の場合、CPU211は、S602でICカード511から取得したユーザIDを検索キーとして、ユーザDBを検索する。検索の結果、同一のユーザIDのユーザがユーザDB内に存在する場合は、ログインを許可し、同一のユーザIDを持つユーザがユーザDB内に存在しない場合は、ログインを許可しない。
【0065】
続いて、S604において、CPU211は、S603の処理でログインを許可したユーザのユーザIDとリスト501を照合する。
【0066】
S605において、CPU211は複数のネットワークIFGrのうちのいずれかのネットワークIFGrを当該ユーザが使用するかを決定する。例えば、ユーザID「3」のユーザの場合は、ネットワークIFGrは「ネットワークIF B-Gr」となりS607に進む。また「ネットワークIF A-Gr」の場合は、S606に進む。
【0067】
S606において、操作部CPU203はユーザの使用IFは「ネットワークIF A-Gr」なので、リスト501を照合しネットワークIFA-Grに対応したネットワーク情報をNFCユニット3のメモリ部303に書き込む。このネットワーク情報はIPアドレス「172.24.1.100」・アクセスポイントSSID「ABC」・アクセスポイントPASSWORD「1111」である。
【0068】
S607において、操作部CPU203はユーザの使用IFは「ネットワークIF B-Gr」なので、リスト501を照合しネットワークIFB-Grに対応したネットワーク情報をNFCユニット3のメモリ部303に書き込む。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0069】
次に
図5(B)において、NFCを搭載した情報処理装置1に携帯端末100がジョブを送信するまでに実行される処理のうち操作部CPU203における処理を説明する。
【0070】
S608において、操作部CPU203はNFC通信310においてNFCユニット3に携帯端末100のNFC通信部110がかざされたか判断しかざされた場合はS609に進む。
【0071】
S609において、操作部CPU203はNFC通信310において前述したネットワーク情報を携帯端末100のCPU101に提供する。
【0072】
図5(C)において、NFCを搭載した情報処理装置1に携帯端末100がジョブを送信するまでに実行される処理のうち情報処理装置1のCPU211における処理を説明する。
【0073】
S610において、CPU211は、携帯端末100のCPU101からジョブを受信したか判断し受信した場合は、S611に進む。
【0074】
次に
図5(D)において、携帯端末100側のフローを説明する。S612において携帯端末100のCPU101は情報処理装置1へのジョブ送信アプリを起動する。S613において携帯端末100はNFC通信310で情報処理装置1との通信を待機する。S614において、携帯端末100のCPU101は携帯端末100の操作部104に例えば「NFC通信待機中NFCユニットにタッチして下さい」と表示させる。
【0075】
S615において、携帯端末100のCPU101はNFC通信310でネットワークIFのネットワーク情報を取得できたか判断し、取得できた場合はS616に進む。
【0076】
S616において、携帯端末100のCPU101は取得したネットワーク情報を用いて、情報処理装置1とアクセスポイントを介して無線LAN通信410で接続する。
【0077】
S617おいて携帯端末100のCPU101は図示省略の情報処理装置1に対してジョブを送信するための設定情報を設定・確認する画面を表示する。例えば、設定情報には、カラー/モノクロ設定・ステイプル有り無しなどがある。
【0078】
S618において、携帯端末100のCPU101は前述した確認画面においてYESが押下されたか、またはNOが押下されたかを判断し、NOが押下された場合は、S617に戻る。YESが押下された場合はS619に進み、携帯端末100のCPU101は取得したネットワーク情報を用いて、情報処理装置1のネットワークIFに対してジョブを送信する。
【0079】
なお、複数のネットワークに接続可能なユーザがログインした場合は、ユーザにどのネットワークに接続するかを選択させ、選択した方のネットワーク情報をNFCユニット3のメモリ部303に保存してもよい。
【0080】
本実施例により、複数のネットワークインターフェースを搭載した情報処理装置において、ハンドオーバーを行うことによって、ユーザが使用を制限されたネットワークのネットワーク情報が外部装置に送信されてしまうのを防ぐことを可能にする。
【実施例2】
【0081】
実施例1では情報処理装置1がNFCユニット3を介してNFC通信310でネットワーク情報を送信する例を説明した。本実施例では、情報処理装置1がBluetoothLow Energyユニット6を介してBluetooth LE通信610でネットワーク情報を送信する例を実施例1との差分を用いて説明する。
【0082】
上記Bluetooth LEユニット6はBluetooth LEアンテナ部601とBluetooth LE制御部602とメモリ部603で構成される。
【0083】
図6は、Bluetooth LEを搭載した情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【0084】
まず、情報処理装置1の記憶部207に
図4に示すユーザIDとネットワークIFGrとネットワーク情報を対応させたリスト501を持つ。そして、ユーザが社員証などのNFCタグが入ったICカード511をNFC R/W部5にかざすことで、情報処理装置1のCPU211はユーザの識別情報を取得し、ログイン処理を行う。このユーザの識別情報は、例えばユーザIDであっても良いし、図示省略のデータベースサーバなどにおいてユーザIDと紐づけられたカード番号などであっても良い。なお本実施例ではユーザの識別情報はユーザIDとして説明する。
【0085】
CPU211は、リスト501を元にログイン時にICカード511から読み取ったユーザID「3」に対応するネットワーク情報を取得する。この時のネットワーク情報はIPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。次に取得したネットワーク情報をBluetooth LEユニット6のメモリ部603に書き込む。
【0086】
図7はBluetooth LE通信の詳細の一例を示す図である。
図7を用いて、携帯端末100が情報処理装置1とBluetooth LE通信610を行い、無線LAN通信410にハンドオーバーを行う一般的な動作について概説する。
【0087】
まず、情報処理装置1はBluetooth LEビーコン701を定期的に送信する。このBluetooth LEビーコン701の送信パケットには、情報処理装置1のネットワーク情報(IPアドレス・アクセスポイントSSID・アクセスポイントPASSWORD)等の情報を含ませて送信することができる。携帯端末100は、このBluetooth LEビーコン701を受信して、情報処理装置1に関するネットワーク情報を取得する。
【0088】
情報処理装置1は、Bluetooth LEビーコン701において、携帯端末100のBluetooth LE通信部111に対してメモリ部603に書き込まれたネットワーク情報を送信する。この時のネットワーク情報はIPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0089】
これにより、携帯端末100はアクセスポイント404を介して、無線LAN通信410を行い、Bluetooth LEビーコン701から得た、情報処理装置1のネットワークIF_B411にジョブを送信することができる。
【0090】
図8は、Bluetooth LEを搭載した情報処理装置に携帯端末がジョブを送信するまでに実行される処理の一例を示すフローチャートである。CPU211または203がROM212に記憶されたプログラムを読み出し、実行することで
図8のフローチャートは実行される。ここでは実施例1のNFCユニット3を搭載した情報処理装置の処理のフローとの差分を述べる。
【0091】
図8(A)において、Bluetooth LEを搭載した情報処理装置1に携帯端末100がジョブを送信するまでに実行される処理のうち、情報処理装置1のコントローラ204内のCPU211における処理を説明する。
【0092】
まず、S601においてCPU211は、操作部2に図示省略のログイン画面を表示し、ユーザによるログイン指示を待ち受ける。また、CPU211は、ICカード511によるログイン指示を待ち受ける。
【0093】
ログイン指示を受けるまではCPU211はCPU203にBluetooth LEビーコン701の送信を停止するように指示してもいいし、送信するように指示してもよい。なお、ユーザがログインする前のBluetooth LEビーコン701の内容は、ログイン待機中である事を示すビーコンでも良い。
【0094】
S604において、CPU211は、S603の処理でログインを許可したユーザのユーザIDとリスト501を照合する。
【0095】
S605において、CPU211は複数のネットワークIFGrのいずれかのネットワークIFGrを当該ユーザが使用するかを決定する。例えば、ユーザID「3」のユーザの場合は、ネットワークIFGrは「B」となりS902に進む。また「A」の場合は、S901に進む。
【0096】
S901において、操作部CPU203はユーザの使用IFは「A」なので、リスト501を照合しネットワークIFA-Grに対応したネットワーク情報をBluetooth LEユニット6のメモリ部603に書き込む。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.100」・アクセスポイントSSID「ABC」・アクセスポイントPASSWORD「1111」である。
【0097】
S902において、操作部CPU203はユーザの使用IFは「B」なので、リスト501を照合しネットワークIFB-Grに対応したネットワーク情報をBluetooth LEユニット6のメモリ部603に書き込む。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0098】
Bluetooth LEユニット6のメモリ部603にネットワーク情報が書き込まれると、操作部CPU203がBluetooth LEユニット6を介して、ネットワーク情報をBluetooth LEビーコン701で送信する。
【0099】
また、操作部CPU203はジョブを受信したら、Bluetooth LEビーコン701の送信を中止してもよい。
【0100】
次に
図8(B)を用いて携帯端末100側のフローを説明する。
【0101】
S612において携帯端末100のCPU101は情報処理装置1へのジョブ送信アプリを起動する。
【0102】
S903において携帯端末100のCPU101は情報処理装置1からのBluetooth LEビーコン701を受信待機する。
【0103】
S904において、携帯端末100のCPU101は情報処理装置1からのBluetooth LEビーコン701のネットワーク情報が読めたか判断し読めた場合はS616に進む。
【0104】
S616において、携帯端末100のCPU101は取得したネットワーク情報を用いて、情報処理装置1とアクセスポイントを介して無線LAN通信410で接続する。
【0105】
S617において携帯端末100のCPU101は図示省略の情報処理装置1に対してジョブを送信する為の設定情報を設定・確認する画面を表示する。例えば、カラー・モノクロ設定・ステイプル有り無しなどがある。
【0106】
S618において、携帯端末100のCPU101は前述した確認画面においてYES・NOが押下されたか判断し、NOが押下された場合は、S617に戻る。
【0107】
YESが押下された場合はS619に進み、携帯端末100のCPU101は情報処理装置1に対してジョブを送信する。
【0108】
本実施例により、NFC通信部を搭載していない携帯端末を使用する場合であっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0109】
実施例1では情報処理装置1がNFCユニット3を介してNFC通信310でネットワーク情報を送信する例を説明した。本実施例では、情報処理装置1がQRコード803でネットワーク情報を表示する例を実施例1との差分を用いて説明する。
【0110】
図9は、QRコード表示を搭載した情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【0111】
まず、情報処理装置1の記憶部207に
図4に示すユーザIDとネットワークIFGrとIPアドレスを対応させたリスト501を持つ。そして、ユーザが社員証などのNFCタグが入ったICカード511をNFC R/W部5にかざすことで、情報処理装置1のCPU211はユーザの識別情報を取得し、ログイン処理を行う。このユーザの識別情報は、例えばユーザIDであっても良いし、図示省略のデータベースサーバなどにおいてユーザIDと紐づけられたカード番号などであっても良い。なお本実施例ではユーザの識別情報はユーザIDとして説明する。
【0112】
CPU211はリスト501を元にログイン時にICカード511から読み取ったユーザID「3」に対応するネットワーク情報を読みだす。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0113】
次にCPU211は図示省略のLCDパネル201に表示されている携帯端末100との通信を開始するアイコンが押下された場合、対応したネットワーク情報をLCDパネル201に
図9のQRコード803として表示させる。QRコードは情報を図形のパターンで表す二次元コードの一例である。本実施例では、ネットワーク情報の表示にQRコードの使用を例として挙げているが、これに限るものではない。例えば一次元バーコード等であってもよい。
【0114】
図10は、QRコードを読みとる携帯端末の表示画面の一例を示す図である。表示901は、ユーザがQRコードを読み取る際に、QRコード画像を撮影するための撮影エリアである。メッセージ902は、ユーザが携帯端末100によりLCDパネル201に表示されるQRコード803を読み取るように指示するメッセージである。
【0115】
そして、携帯端末100のカメラ105でLCDパネル201に表示されるQRコード803を読み取る。そして、携帯端末100は、読み取りを行ったQRコード803から、情報処理装置1のネットワークIF_B411のネットワーク情報を取得する。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0116】
そして、携帯端末100はQRコード803によって得たネットワーク情報を用いて、アクセスポイント404を介して、無線LAN通信410を行い、情報処理装置1のネットワークIF_B411にジョブを送信することができる。
【0117】
図11は、QRコード表示を搭載した情報処理装置にジョブを送信するまでに実行される処理の一例を示すフローチャートである。CPU211または203がROM212に記憶されたプログラムを読み出し、実行することで
図11のフローチャートは実行される。ここではNFCユニット3を搭載した情報処理装置1の処理のフローとの差分を述べる。
【0118】
図11(A)において、QRコード803でネットワーク情報を表示する情報処理装置1に携帯端末100がジョブを送信するまでに実行される処理のうち、情報処理装置1のコントローラ204内のCPU211における処理を説明する。
【0119】
まず、S1201において、S603でコントローラCPU211によってログインを許可された場合、操作部CPU203は図示省略の携帯端末100と通信を開始するアイコンが押下されたか判断する。
【0120】
押下された場合は、S604において、CPU211は、S603の処理でログインを許可したユーザのユーザIDとリスト501を照合する。
【0121】
S605において、CPU211は複数のネットワークIFGrのいずれかのIFGrを当該ユーザが使用するかを決定する。例えば、ユーザID「3」のユーザの場合は、ネットワークIFGrは「B」となりS1202に進む。また「A」の場合は、S1201に進む。
【0122】
S1202において、操作部CPU203はユーザの使用IFは「A」なので、リスト501を照合しネットワークIFA-Grに対応したネットワーク情報をQRコード803として表示させる。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.100」・アクセスポイントSSID「ABC」・アクセスポイントPASSWORD「1111」である。
【0123】
S1203において、操作部CPU203はユーザの使用IFは「B」なので、リスト501を照合しネットワークIFB-Grに対応したネットワーク情報をQRコード803として表示させる。この時のネットワーク情報は、IPアドレス「172.24.1.200」・アクセスポイントSSID「DEF」・アクセスポイントPASSWORD「2222」である。
【0124】
次に
図11(B)において、携帯端末100側のフローを説明する。
【0125】
S612において携帯端末100のCPU101は情報処理装置1へのジョブ送信アプリを起動する。S1204において携帯端末100のCPU101はQRコードを読み取るように指示するメッセージを表示する。S1205において、携帯端末100のCPU101はQRコードからネットワーク情報が読めたか判断し読めた場合はS616に進む。
【0126】
S616において、携帯端末100のCPU101は取得したネットワーク情報を用いて、情報処理装置1とアクセスポイントを介して無線LAN通信410で接続する。
【0127】
S617において携帯端末100のCPU101は図示省略の情報処理装置1に対してジョブを送信する為の設定情報を設定・確認する画面を表示する。例えば、カラー・モノクロ設定・ステイプル有り無しなどがある。
【0128】
S618において、携帯端末100のCPU101は前述した確認画面においてYES・NOが押下されたか判断し、NOが押下された場合は、S617に戻る。
【0129】
YESが押下された場合はS619に進み、携帯端末100のCPU101は情報処理装置1に対してジョブを送信する。
【0130】
本実施例により、NFC通信部やBluetooth LE通信部を搭載していない携帯端末を使用する場合でも、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0131】
実施例1ではNFCユニット3のメモリ部303に1つのIFのネットワーク情報を保存する例を説明した。本実施例では、NFCユニット3のメモリ部303に複数のIFのネットワーク情報を保存する例を実施例1との差分を用いて説明する。
【0132】
図12は、複数のネットワークIFのIPアドレスをNFCユニットのメモリ部に書き込む時の一例を示すフローチャートである。CPU211または203がROM212に記憶されたプログラムを読み出し、実行することで
図12のフローチャートは実行される。
【0133】
図12(A)において、情報処理装置1のコントローラ204内のCPU211の処理を説明する。
【0134】
S1301においてS603でCPU211によってログインを許可された場合、操作部CPU203は、ネットワークIF_A401とネットワークIF_B411のネットワーク情報の両方をNFCユニット3のメモリ部303に書きこむ。
【0135】
次に
図12(D)において、携帯端末100側のフローを説明する。
【0136】
S612において携帯端末100のCPU101は情報処理装置1へのジョブ送信アプリを起動する。
【0137】
S613において携帯端末100のCPU101はNFC通信310で情報処理装置1との通信を待機する。
【0138】
S614において、携帯端末100のCPU101は操作部104に「NFC通信待機中NFCユニットにタッチして下さい」と表示させる。
【0139】
S1302において、携帯端末100のCPU101はNFC通信310でネットワークIF_A401とIF_B411のネットワーク情報2つが認識できたか判断し認識できた場合はS1303に進む。
【0140】
S1303において、携帯端末100のCPU101はネットワークIF_A401用のIPアドレスに接続できたか判断する。
【0141】
接続できた場合はS1304において携帯端末100のCPU101はジョブを送信するIPアドレスをネットワークIF_A401用に決定する。例では「172.24.1.100」。接続できない場合は、携帯端末100はジョブを送信するIPアドレスをネットワークIF_B411用に決定する。例では「172.24.1.200」。
【0142】
S616において、携帯端末100のCPU101は取得したネットワーク情報を用いて、情報処理装置1とアクセスポイントを介して無線LAN通信410で接続する。
【0143】
S617において携帯端末100のCPU101は図示省略の情報処理装置1に対してジョブを送信する為の設定情報を設定・確認する画面を表示する。例えば、カラー・モノクロ設定・ステイプル有り無しなどがある。
【0144】
S618において、携帯端末100のCPU101は前述した確認画面においてYES・NOが押下されたか判断し、NOが押下された場合は、S617に戻る。
【0145】
YESが押下された場合はS619に進み、携帯端末100のCPU101は情報処理装置1に対してジョブを送信する。
【0146】
なお、本実施例では、NFCユニット3のメモリ部303に複数のIFのネットワーク情報を保存する情報処理装置1を一例として挙げた。しかし、Bluetooth LEユニット6のメモリ部603に複数のIFのネットワーク情報を入れても良いし、QRコードに2つのIFのネットワーク情報を含ませても良い。
【0147】
さらに、NFCユニット3のメモリ部303にネットワーク情報を保存し、かつBluetooth LEユニット6のメモリ部603にもネットワーク情報を保存するなど、実施例1~3を適宜組み合わせても良い。
【0148】
本実施例により、複数のネットワークIFを介して情報処理装置を使用可能なユーザが、任意のネットワークで情報処理装置を使用することができる。
【0149】
<その他の実施形態>
なお、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施の形態の機能を実現するプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードは本発明を構成することになる。
【0150】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0151】
1 情報処理装置
2 操作部
3 NFCユニット
5 NFC R/W部
100 携帯端末
404 無線LANアクセスポイント