(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】個体における認知的加齢を特定及び軽減するためのオメガ3脂肪酸及びビタミンDレベル
(51)【国際特許分類】
A61K 31/59 20060101AFI20240213BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20240213BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20240213BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240213BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240213BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240213BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20240213BHJP
A61K 31/592 20060101ALI20240213BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A61K31/59
A61K31/202
A61K31/4415
A61K31/519
A61P25/28
A61P43/00 121
A61K31/714
A61K31/592
A61K31/593
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129344
(22)【出願日】2022-08-15
(62)【分割の表示】P 2019550821の分割
【原出願日】2017-12-11
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン, ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ハドリー-ラベ, ジュリー, ロール
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, イェルン, アントニウス, ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ボシャット, コリーナ
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/049222(WO,A2)
【文献】特表2010-531351(JP,A)
【文献】British Journal of Clinical Pharmacology,2013年,Vol.75, No.3,p.738-755
【文献】Annals of the New York Academy of Sciences,2016年,Vol.1367,p.38-49
【文献】HILLER, A. et al.,The relationship between Nutrient Status and Cognitive Performance in Persons with Parkinson's Disea,Neurology,2016年04月05日,Vol.86, No.16 Supplement,[online],[令和4年5月18日検索],インターネット <URL:https://n.neurology.org/content/86/16_Supplement/P5.357>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における認知機能の低下の低減又は予防に使用するための、(a)オメガ-3脂肪酸と、(b)ビタミンD又はその代謝産物と、(c)
ビタミンB6及び/又はビタミンB9とを含むキットであって、
前記対象が、前記対象から得られた1つ以上の試料において独立して、オメガ-3脂肪酸のレベルを赤血球試料において測定すること、ビタミンD若しくはその代謝産物のレベルを血清試料において測定すること、及び、ホモシステインのレベルを血漿試料において測定することを含む方法によって認知機能の低下の素因があると特定された対象であり、
(a)、(b)及び(c)が、同時に、順次に、又は別々に前記対象に投与される、キット。
【請求項2】
前記オメガ-3脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)である、請求項
1に記載のキット。
【請求項3】
前記ビタミンD若しくはその代謝産物が、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3及び/又は25-ヒドロキシビタミンD2である、請求項1
又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記対象が、老化しているヒト対象である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
前記オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、
ビタミンB6及び/もしくはビタミンB9が、ビタミンB12と同時に、順次に、又は別々に前記対象に投与され、前記ビタミンB12が、1日当たりビタミンB12のRDAの0.1~40倍の用量で投与される、請求項1~
4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
対象における認知機能の低下の低減又は予防に使用するための、(a)オメガ-3脂肪酸と、(b)ビタミンD又はその代謝産物と、(c)
ビタミンB6及び/又はビタミンB9と、を含
み、
前記対象が、前記対象から得られた1つ以上の試料において独立して、オメガ-3脂肪酸のレベルを赤血球試料において測定すること、ビタミンD若しくはその代謝産物のレベルを血清試料において測定すること、及び、ホモシステインのレベルを血漿試料において測定することを含む方法によって認知機能の低下の素因があると特定された対象である、組成物。
【請求項7】
前記オメガ-3脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)である、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビタミンD若しくはその代謝産物が、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3及び/又は25-ヒドロキシビタミンD2である、請求項
6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記対象が、老化しているヒト対象である、請求項
6~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ビタミンB12と同時に、順次に、又は別々に前記対象に投与され、前記ビタミンB12が、1日当たりビタミンB12のRDAの0.1~40倍の用量で投与される、請求項
6~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象における認知機能の低下の素因を特定するための方法、及び認知機能の低下を低減又は予防するための薬剤に関し、特に、本発明の方法により特定された対象における認知機能の低下を低減又は予防するための薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人口の高齢化は、注目すべき人口統計事象である。寿命の延長により、高齢者人口の増加が総人口の増加を上回るにつれて、高齢者人口の他の人口に対する割合は、出生率の低下もあって大幅に増加している。例えば、1950年代には60歳以上の高齢者は12人に1人であったのが、2000年代の終わりには60歳以上の高齢者は10人に1人となっていた。2050年の終わりには、世界全体で5人に1人が60歳以上になっているものと予測される。
【0003】
高齢又は加齢個体は、年齢と共に進行する認知機能の低下を含む、ある程度の認知障害を患うことが多く、通常、年齢に関連する脳形態及び脳血管機能の変化が観察される。認知機能の低下は、処理速度、注意、エピソード記憶、空間能力、及び遂行機能を含む広範な認知領域の老化と併せて報告されている。脳の画像解析により、これらの正常な加齢に関連する認知機能の低下は、脳における灰白質及び白質の両方の容積の減少に関連しており、老化に伴って最も重く損傷を受けるのは前頭線条体系であることが判明している。このような皮質容積の減少は、時間経過に伴い酸化的損傷をもたらすフリーラジカルによる損傷の蓄積、慢性的な軽度の炎症、ホモシステイン(Hcy)の蓄積、及びミトコンドリア効率の低下などの、通常の老化に関与する多くの有害な細胞プロセスに起因する場合がある。直接的な細胞の損傷に加え、脳は、微小血管構造の傷害からも間接的な損傷を受ける。老化、更には認知症の病理が、これらの因子間の複雑な相互作用を内包すること、また各作用は相関するものであることは明らかである。例えば、ミトコンドリアの機能不全は結果として酸化ストレスを増加させ、酸化ストレスは炎症及び血管損傷のトリガーとなり得る。
【0004】
更に、認知機能の低下はアルツハイマー病理の初期の予測因子であり、認知症の発症前に始まる。この場合、認知についての総合得点が、認知症前の認知機能の低下を評価するための信頼性の高い手段となる。脳の健康を維持し、加齢に伴う認知機能の低下を予防することは、アルツハイマー病及び加齢に関連する他の神経病理に起因する認知症の発症を予防又は遅延させ得ることが、相当のエビデンスにより示されている。
【0005】
近年、栄養摂取、学習、運動及び認知エクササイズが、加齢による認知機能の低下を予防し得る介入方法として実証されている。豊富な臨床的、疫学的、及び個別的エビデンスにより、個々の栄養因子が、加齢に関連する神経変性及び認知症リスクを低減することが裏付けられている。しかし、栄養学的介入についての公式の試験により得られた結果は錯綜している(Schmitt et al.(2010)Nutrition Reviews 68:S2-S5)。
【0006】
いくつかの長期試験が行われたが、B6と、B12と、葉酸塩との組み合わせを使用した介入では、認知機能に対するいかなる利益も観察されなかった。McMahon et al.(2006)N Engl J Med 354(26):2764-2772では、葉酸塩(1000μg)と、ビタミンB12(500μg)と、B6(10mg)とを含有する栄養補助食品を2年摂取した後の65歳超の成人の認知において効果は見られなかった。同様に、Hankey et al.(2013)Stroke 44(8):2232-2239)によると、脳卒中又は一過性虚血発作の既往があるものの認知機能は損なわれていない患者に対し、葉酸(2000μg)、ビタミンB6(25mg)及びビタミンB12(500μg)を毎日補給させた場合、中央値で2.8年の間、平均tHcyが低下したが、ミニメンタルステート検査(MMSE)によって測定される認知障害又は認知機能の低下の発生には効果がなかったことが判明している。
【0007】
いくつかの短期試験においてもまた、認知機能の改善について、B6と、B12と、葉酸塩とを組み合わせることによる効果を示すことができなかった。Lewerin et al.(2005)Am J Clin Nutr 81(5):1155-1162では、葉酸(800μg)、ビタミンB12(500μg)及びビタミンB6(3mg)の4ヶ月間の補給では、高齢者(年齢中央値76歳)における認知に効果はなかったことが判明している。
【0008】
したがって、対象における認知機能の低下を低減又は予防する方法が依然として強く必要とされている。更に、認知機能の低下の素因がある対象を特定すること、例えば、認知機能の低下の発生及び/又は程度を低減するために、それらの対象における早期の介入治療を可能にすることが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、マルチドメインアルツハイマー予防試験(Multi-domain Alzheimer Preventive Trial、MAPT;70歳以上の1680人の認知症ではない成人の認知機能の低下の予防において、オメガ3栄養補助食品、栄養カウンセリングと、身体運動と、認知的エンゲージメント(cognitive engagement)とからなるマルチドメイン介入、又は栄養補助食品とマルチドメイン介入との組み合わせの効果を、プラセボに対して評価するように設計された研究)に由来する保存された生体試料を利用し、認知機能の低下及び認知症に向かう異なる経路を表す3つのバイオマーカーを定量した。バイオマーカーは、一炭素代謝障害のマーカーとしてホモシステインと、脳におけるビタミンD結合タンパク質及び受容体活性の障害についてのステロイドホルモンマーカーとして25-ヒドロキシビタミンDと、脂肪酸代謝の指標であるオメガ3指数とした。本発明者らは、これらのマーカーのそれぞれが認知機能の低下に関する独立したリスク因子であり、これらが組み合わせられることで、認知機能の低下速度が増すことを見出した。
【0010】
これらの知見に基づいて、本発明者らは、オメガ-3脂肪酸、ホモシステイン及びビタミンDレベルに基づく「栄養リスク指数(NRI)」を開発した。この指数は、年齢、性別、教育、APOE4遺伝子型及び介入アームとは無関係に、認知機能の低下の推移が異なる成人を特定する。NRIにおける各点の増加は、3年にわたり認知機能の低下が加速されていることに関連する。これらのデータは、低ビタミンD3及び低赤血球オメガ3脂肪酸、及び/又は高ホモシステインに起因する栄養リスクを低減させると、加齢に関連する認知機能の低下を低減又は予防することができることを示唆している。
【0011】
更に、本発明者らは、認知機能の低下、認知症リスク、及び加齢関連神経変性の低減を試みる従来の栄養学的介入は、栄養素を単独で投与することに目を向けており、十分な認識のもとにそれらを組み合わせて、栄養素の相互作用により効果を増強させるものではなかったものと考える。更に、認知機能に対する混合成分の効果を調査した研究では、構成成分の全てが同じ機序を標的とする混合物(例えば、ホモシステインのレベルを標的とする葉酸塩とビタミンB12とB6との混合物、又は酸化的損傷を標的とするビタミンCとビタミンEの混合物)を使用しており、この点が、このエビデンスが単一成分による研究と同様の矛盾を示す理由である可能性がある。対照的に、本開示は、介入治療のそれぞれが認知機能の低下に関連する異なるリスク要因を標的とする、複数の介入によるアプローチに関する。
【0012】
したがって、一態様では、本発明は対象における認知機能の低下の素因を特定するための方法であって、対象から得られた1つ以上の試料において、独立して、
(a)オメガ-3脂肪酸、及びビタミンD若しくはこれらの代謝産物、
(b)オメガ-3脂肪酸、及びホモシステイン、
(c)ビタミンD若しくはその代謝産物、及びホモシステイン、又は
(d)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及びホモシステイン
のレベルを測定することを含む、方法を提供する。
【0013】
一実施形態では、この方法は、オメガ-3脂肪酸、及びビタミンD又はその代謝産物のレベルを測定することを含む。一実施形態では、この方法は、オメガ-3脂肪酸、及びホモシステインのレベルを測定することを含む。一実施形態では、この方法は、ビタミンD又はその代謝産物、及びホモシステインのレベルを測定することを含む。
【0014】
好ましい実施形態では、この方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD又はその代謝産物、及びホモシステインのレベルを測定することを含む。
【0015】
一実施形態では、この方法は、
(a)対象から得られた1つ以上の試料において、独立して、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、又はホモシステインのうち2つ以上のレベルを測定することと、
(b)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、又はホモシステインのうちの2つ以上のレベルを、2つ以上の基準値と比較することと、を含み、
2つ以上の基準値と比較したオメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、又ホモシステインの2つ以上のレベルは、対象における認知機能の低下の素因を示す。
【0016】
一実施形態では、
(a)オメガ-3脂肪酸のレベルが測定され、基準値と比較した対象由来の試料中のオメガ-3脂肪酸のレベルの減少が、認知機能の低下の素因を示す、
(b)ビタミンD若しくはその代謝産物のレベルが測定され、基準値と比較した対象由来の試料中のビタミンD若しくはその代謝産物のレベルの減少が、認知機能の低下の素因を示す、及び/又は
(c)ホモシステインのレベルが測定され、基準値と比較した対象由来の試料中のホモシステインのレベルの増加が、認知機能の低下の素因を示す。
【0017】
一実施形態では、1つ以上の試料は、血液試料、血漿試料、及び血清試料からなる群から独立して選択される。
【0018】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸のレベルは、血液試料、好ましくは赤血球試料で測定される。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物のレベルは、血清試料で測定される。一実施形態では、ホモシステインのレベルは、血漿試料で測定される。
【0019】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)である。好ましい実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、赤血球膜EPA及び/又は赤血球膜DHAである。
【0020】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPAである。一実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAである。一実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPA及びDHAである。好ましい実施形態では、オメガ-3脂肪酸は赤血球膜EPAである。好ましい実施形態では、オメガ-3脂肪酸は赤血球膜DHAである。特に好ましい実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、赤血球膜EPA及び赤血球膜DHAである。
【0021】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3及び/又は25-ヒドロキシビタミンD2である。
【0022】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物はビタミンD3である。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物はビタミンD2である。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンD3である。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンD2である。
【0023】
好ましい実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンDである。好ましい実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンD3及び25-ヒドロキシビタミンD2である。
【0024】
一実施形態では、試料中のオメガ3脂肪酸のレベルは、ガスクロマトグラフィーを使用して測定される。一実施形態では、試料中のビタミンD又はその代謝産物のレベルは、電気化学発光結合アッセイを使用して測定される。一実施形態では、試料中のホモシステインのレベルは、酵素サイクリングアッセイを用いて測定される。
【0025】
一実施形態では、対象はヒト対象者である。
【0026】
一実施形態では、対象は老化しているヒト対象である。一実施形態では、対象は、少なくとも50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳又は95歳のヒト対象である。好ましい実施形態では、対象は、50歳以上のヒト対象である。特に好ましい実施形態では、対象は、70歳以上のヒト対象である。
【0027】
一実施形態では、対象は認知症を有さない。
【0028】
一実施形態では、対象は、ベースラインで0.5の臨床的認知症尺度(CDR)を有する。
【0029】
一実施形態では、対象は、ベースラインで心臓血管リスク因子、加齢及び認知症(Cardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia、CAIDE)において10~15のリスクスコアを有する。
【0030】
一実施形態では、対象は、ベースラインでアミロイドPETスキャンにおいてアミロイド陽性である。
【0031】
一実施形態では、対象は、認知機能の低下のリスクを示す遺伝子型を有する。一実施形態では、対象はAPOE4キャリアである。
【0032】
別の実施形態では、対象は、年齢、血管リスク因子(例えば、高血圧及び/又は糖尿病)、APOE4遺伝子型、アミロイド陽性(例えば、アミロイドPETスキャンによる)、白質損傷の存在、脳小血管疾患の他の兆候(例えば、梗塞及び/又はラクナ梗塞)及びうつ病からなる群から選択される1つ以上のリスク因子によって決定される認知症のリスクがある。
【0033】
一実施形態では、方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はホモシステインのレベルを、対象の1つ以上の身体計測値及び/又は生活習慣特性と組み合わせることを更に含む。好ましくは、身体計測値は、性別、体重、身長、年齢、及び体格指数からなる群から選択される。好ましくは、生活習慣特性は、対象が喫煙者又は非喫煙者のいずれであるかである。
【0034】
一実施形態では、方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はホモシステインのレベルを対象の性別と組み合わせることを更に含む。
【0035】
一実施形態では、方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はホモシステインのレベルを対象の年齢と組み合わせることを更に含む。
【0036】
好ましくは、方法は、インビトロでの方法である。
【0037】
別の態様では、本発明は、対象における認知機能の低下の低減又は予防に使用するための、オメガ-3脂肪酸であって、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される、オメガ-3脂肪酸を提供する。
【0038】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、ビタミンD又はその代謝産物と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。一実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。好ましい実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。
【0039】
別の態様では、本発明は、対象における認知機能の低下の低減又は予防に使用するための、ビタミンD若しくはその代謝産物であって、オメガ-3脂肪酸、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される、ビタミンD若しくはその代謝産物を提供する。
【0040】
一実施形態では、ビタミンD又はその代謝産物は、オメガ-3脂肪酸と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。一実施形態では、ビタミンD又はその代謝産物は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。好ましい実施形態では、ビタミンD又はその代謝産物は、オメガ-3脂肪酸、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。
【0041】
別の態様では、本発明は、対象における認知機能の低下の低減又は予防に使用するための、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤であって、オメガ-3脂肪酸及び/又はビタミンD若しくはその代謝産物と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を提供する。
【0042】
一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、オメガ-3脂肪酸と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンD若しくはその代謝産物と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。好ましい実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、オメガ-3脂肪酸、及びビタミンD若しくはその代謝産物と同時に、順次に、又は別々に対象に投与される。
【0043】
別の態様では、本発明は、対象における認知機能の低下の低減又は予防に使用するための、(a)オメガ-3脂肪酸と、(b)ビタミンD又はその代謝産物と、(c)血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤との組み合わせであって、(a)、(b)及び(c)は、同時に、順次に、又は別々に対象に投与される、組み合わせを提供する。
【0044】
別の態様では、本発明は、対象における認知機能の低下を低減又は予防するための方法であって、
(a)オメガ-3脂肪酸、及び、ビタミンD若しくはこれらの代謝産物、
(b)オメガ-3脂肪酸、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤、
(c)ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低下させることができる薬剤、又は
(d)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、
対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0045】
好ましい実施形態では、この方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、対象に投与することを含む。
【0046】
一実施形態では、対象は、本発明の方法によって認知機能の低下の素因があると特定された対象である。
【0047】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)である。
【0048】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPAである。一実施形態では、オメガ-3脂肪酸はDHAである。一実施形態では、オメガ-3脂肪酸はEPA及びDHAである。
【0049】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、ビタミンD3、ビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3及び/又は25-ヒドロキシビタミンD2である。
【0050】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物はビタミンD3である。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物はビタミンD2である。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンD3である。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンD2である。
【0051】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンDである。一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、25-ヒドロキシビタミンD3及び25-ヒドロキシビタミンD2である。
【0052】
一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB6及び/又はビタミンB9である。
【0053】
一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB6である。一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB9である。一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB6及びビタミンB9である。
【0054】
一実施形態では、対象はヒト対象である。
【0055】
一実施形態では、対象は老化しているヒト対象である。一実施形態では、対象は、少なくとも50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳又は95歳のヒト対象である。好ましい実施形態では、対象は、50歳以上のヒト対象である。特に好ましい実施形態では、対象は、70歳以上のヒト対象である。
【0056】
一実施形態では、対象は認知症を有さない。
【0057】
一実施形態では、対象は、ベースラインで0.5の臨床的認知症尺度(CDR)を有する。
【0058】
一実施形態では、対象は、ベースラインで心臓血管リスク因子、加齢及び認知症(CAIDE)において10~15のリスクスコアを有する。
【0059】
一実施形態では、対象は、ベースラインでアミロイドPETスキャンにおいてアミロイド陽性である。
【0060】
一実施形態では、対象は、認知機能の低下のリスクを示す遺伝子型を有する。一実施形態では、対象はAPOE4キャリアである。
【0061】
別の実施形態では、対象は、年齢、血管リスク因子(例えば、高血圧及び/又は糖尿病)、APOE4遺伝子型、アミロイド陽性(例えば、アミロイドPETスキャンにおいて)、白質損傷の存在、脳小血管疾患の他の兆候(例えば、梗塞及び/又は損傷)及びうつ病からなる群から選択される1つ以上のリスク因子によって決定される認知症のリスクがある。
【0062】
一実施形態では、投与は食事介入である。
【0063】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、少なくとも1ヶ月間、対象に毎日経口投与される。
【0064】
一実施形態では、対象は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB7及びビタミンB12からなる群から選択される1種以上のビタミンBを更に投与される。
【0065】
好ましい実施形態では、対象はビタミンB12を更に投与される。一実施形態では、ビタミンB12は、1日当たりビタミンB12のRDAの0.1~40倍、好ましくは1日当たりビタミンB12のRDAの10~40、10~30又は10~25倍、より好ましくは1日当たりビタミンB12のRDAの12~21倍の用量で投与される。
【0066】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB12と同時に、順次に、又は別々に対象に投与され、ビタミンB12は、1日当たり、ビタミンB12のRDAの0.1~40倍、好ましくは1日当たり、ビタミンB12のRDAの10~40、10~30又は10~25倍、より好ましくは1日当たり、ビタミンB12のRDAの12~21倍の用量で投与される。
【0067】
一実施形態では、対象は、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びセレンからなる群から選択される1種以上の酸化防止剤を更に投与される。
【0068】
一実施形態では、本発明の使用又は方法は、神経細胞の細胞膜流動性の改善、神経細胞の可塑性及び活性の刺激、抗炎症性の改善、認知能力の支持又は維持、脳の性能の支持又は維持、脳の老化の低下、活発な精神及び脳の適応度の支持、健康な脳の支持又は維持、記憶の強化、遂行機能の強化、注意の強化、認知健康の維持及び/又は脳細胞の健康の維持を提供する。
【0069】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、食品製品の形態であり、好ましくはタンパク質、炭水化物、脂肪、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を更に含む。
【0070】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む医薬組成物の形態である。
【0071】
別の態様では、本発明は、脳萎縮の減少、シナプスの数の増加又は維持、アミロイド-β食作用の増加又は維持、及び神経炎症の減少からなる群から選択される1つ以上の利益を、これらの利益を必要とする対象において達成する方法であって、
(a)オメガ-3脂肪酸、及び、ビタミンD若しくはこれらの代謝産物、
(b)オメガ-3脂肪酸、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤、
(c)ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低下させることができる薬剤、又は
(d)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、
当該対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0072】
好ましい実施形態では、方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、対象に投与することを含む。
【0073】
別の態様では、本発明は、認知症のリスクのある対象における認知症を低減又は予防する方法であって、治療有効量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6、及びビタミンB9を含む組成物を、対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0074】
(a)オメガ-3脂肪酸、及び、ビタミンD若しくはこれらの代謝産物、
(b)オメガ-3脂肪酸、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤、
(c)ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低下させることができる薬剤、又は
(d)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、
対象に。
【0075】
好ましい実施形態では、方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、対象に投与することを含む。
【0076】
一実施形態では、認知症は、アルツハイマー病、血管性認知症、レヴィー小体認知症、前頭側頭型認知症及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0077】
別の態様では、本発明は、対象における認知能力を改善する方法であって、
(a)オメガ-3脂肪酸、及び、ビタミンD若しくはこれらの代謝産物、
(b)オメガ-3脂肪酸、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤、
(c)ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低下させることができる薬剤、又は
(d)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、
対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0078】
好ましい実施形態では、方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、対象に投与することを含む。
【0079】
一実施形態では、対象は認知症を有さない。
【0080】
別の態様において、本発明は対象の生活習慣の変更を選択する方法を提供し、
(a)本発明の方法に従い、対象に認知機能の低下の素因があるかどうかを判定することと、
(b)認知機能の低下の予防又は低減を必要としていると特定された対象において、認知機能の低下を予防又は低減することができる生活習慣の変更を選択することと、を含む。
【0081】
一実施形態では、方法は、選択された生活習慣の変更を対象に適用することを更に含む。
【0082】
一実施形態では、生活習慣の変更は、
(a)オメガ-3脂肪酸、及び、ビタミンD若しくはこれらの代謝産物、
(b)オメガ-3脂肪酸、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤、
(c)ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低下させることができる薬剤、又は
(d)オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、
対象に投与することを含む。
【0083】
好ましい実施形態では、この方法は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、対象に投与することを含む。
【0084】
別の態様では、本発明は、プログラム可能なコンピュータに、本明細書に開示される方法に従い、対象に認知機能の低下の素因があるかを判定させるための、コンピュータに実装可能な命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0085】
別の態様では、本発明は、プログラム可能なコンピュータに、ユーザーからのオメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はホモシステインのレベルを考慮して、対象に認知機能の低下の素因があるかを判定させるための、コンピュータに実装可能な命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】認知機能の低下速度が栄養リスク指数(NRI)スコアによってどのように異なるかを示す図である。各対象に、以下の基準を満たすかに応じて0又は1のスコアを割り当てた。血清25-ヒドロキシビタミンD≦15Ng/mLの場合には1、そうでない場合には0;血漿ホモシステイン≧18.1の場合には1、そうでない場合には0;RBCオメガ3≦4.82の場合には1、そうでない場合には0。したがって、各対象には0~3のNRIを割り当てられ、ここでNRI=3は認知機能の低下に関し栄養リスクが最も高いと見なされる。認知機能の変化は、3年にわたって4つの時点で測定される。 「低h高d高o」線は、NRI=0を有する対象における認知機能の低下の速度を示す。「高h高d高o」、「低h低d高o」、及び「低h高d低o」線は、NRI=1を有する対象における認知機能の低下の速度を示す。「高h低d高o」、「低h低d低o」及び「高h高d低o」線は、NRI=2を有する対象における認知機能の低下の速度を示し、「高h低d低o」線は、最も高い栄養リスク(NRI=3)を有する対象及びその認知機能の低下速度を示す。
【
図2】対象集団におけるビタミンDレベル(ng/mL)の分布及び確率プロットを示す図である。
【
図3】対象集団におけるホモシステインのレベル(μmol/L)の分布及び確率プロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、包括的又は非限定的であり、追加の、列挙されていない構成要素、要素、又は工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」はまた、用語「からなる(consisting of)」を含む。
【0088】
本明細書に記載する全てのパーセンテージは、別途記載のない限り組成物の総重量によるものである。
【0089】
本明細書で使用される「食品」、「食品製品」及び「食品組成物」という用語は、ヒトなどの個体による摂取を対象とした製品又は組成物を意味し、個体に少なくとも1種の栄養を提供する。本明細書に記載の実施形態を含む本開示の組成物は、本明細書に開示される要素、並びに本明細書に記載の又はそうでない場合には規定食に有用な任意の追加成分若しくは任意成分、構成要素、若しくは要素を含むか、これらからなるか、又は本質的にこれらからなることができる。
【0090】
本明細書で使用するとき、「有効量」とは、欠乏を予防する、個体の疾患若しくは医学的状態を治療する、又はより一般的には、症状を減少させる、疾患の進行を管理する、若しくは個体に対して栄養学的、生理学的若しくは医学的利益を提供する、量である。本願明細書に開示される組成物の効果に関連する「改善された」、「増加した」、「高められた」等の相対的用語は、1つ以上の成分を欠く、及び/又は1つ以上の成分の量が異なるが、その他の成分については同一である組成物と比較した場合に用いられる。
【0091】
認知機能の低下及び老化
本明細書で使用するとき、用語「認知機能」及び「認知能力」は、個人が理念を意識、知覚、又は理解することによる知的プロセスを意味し得る。認知能力は、認知することの質を包含し、これには知覚、認識、構想、感知、思考、推論、記憶及び想像の全ての態様を含む。認知能力の低下とは、新たな情報又は状況への対処又は反応が困難なことをいう。認知機能の低下又は障害は、例えば短期記憶の喪失、学習能力の低下、学習速度の低下、注意力の低下、運動能力の低下、及び/又は他の兆候の中でもとりわけ認知症のような多くの方法で顕在化し得る。加齢と共に低下する能力を含む具体的な認知領域の非限定的な例には、(i)注意:処理速度、並びに選択的及び分割的注意;(ii)学習及び記憶:遅延自由再生、情報源記憶、展望的記憶及びエピソード記憶;(iii)言語:発話流暢性、視覚性呼称及び喚語;(iv)視覚空間能力:視覚構築技能;並びに(v)遂行機能:計画、意思決定、推論、及び精神的柔軟性がある。
【0092】
本明細書で使用するとき、用語「認知老化」及び「加齢に関連する認知機能の低下」は、年齢を重ねるにつれ、例えば老齢から年齢を重ねるにつれ進行する認知能力の低下を意味し、脳形態及び/又は脳血管機能における加齢に関連する変化を含むことができる。認知老化は、頭部損傷又はうつ病などの、老化以外の基礎症状によって引き起こされる認知能力の障害を含まない。
【0093】
認知の水準及び改善は、情報処理速度、遂行機能及び記憶を評価するように設計された認知検査を含む、当該技術分野において既知である任意の好適な神経学及び認知検査を用いて、当業者により容易に評価することができる。好適な例示的試験としては、ミニメンタルステート検査(MMSE)、ケンブリッジ神経心理学的自動検査(CANTAB)、アルツハイマー病評価尺度認知検査(ADAScog)、ウィスコンシンカードソーティングテスト、言語及び図形流暢性検査、並びにトレイルメイキングテスト、脳波計(EEG)、脳磁計(MEG)、ポジトロン放出型断層撮影(PET)、単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)、磁気共鳴像画像(MRI)、機能的磁気共鳴画像(fMRI)、コンピュータ断層撮影並びに長期増強が挙げられる。
【0094】
EEG、脳の電気的活動度の測定は、様々なランドマークで頭皮に電極を配置し、脳信号を大きく増幅して記録することによって達成される。MEGは、電場に関係する磁場を測定するという点で、EEGに類似している。MEGは、神経系における同期波を含む自発的な脳活動を測定するために使用される。
【0095】
PETは、酸素利用及びグルコース代謝の測定を提供する。この技術では、放射性ポジトロン放出トレーサーを投与し、脳によるトレーサーの取り込みは脳の活動度と相関する。これらのトレーサーはガンマ線を放出し、頭を取り囲むセンサによって検出され、脳活動の3Dマップをもたらす。トレーサーが脳によって取り込まれるとすぐに、局所的な脳血流量に応じ、放射能が検出される。活性化の間、脳血流量及び神経グルコース代謝の増大を、数秒以内に検出することができる。
【0096】
好適な分析はまた、神経心理学試験、臨床検査、及び認知機能喪失の個々の訴え(例えば、主観的記憶喪失)に基づくこともできる。
【0097】
認知機能の低下は、例えば、好適な試験におけるベースライン性能から、統計的に有意な差として解釈され得る。
【0098】
「認知症ではない」個体(本明細書では、「認知症を有さない」個体とも表現される)は、最大で0.5の臨床的認知症尺度を有する。CDRは、認知症の重症度を測定し、半構造化した対象及び情報提供者のインタビュー(Hughes et al.(1982)Br.J.Psychiatry 140:566-72)によって評価された0~3(0、0.5、1、2及び3)の範囲のスコアによる認知症の国際的な評価である。臨床医は、記憶、見当識、判断及び問題解決、コミュニティの事象、家事及び趣味、並びに身の回りのケアを含む6つのドメインに基づいて認知能力及び機能性を総合的に扱う。この尺度は、評価者間でよく一致する。
【0099】
認知症ではない個体は、アルツハイマー病、血管性認知症、レヴィー小体認知症又は前頭側頭型認知症のいずれも有さない。いくつかの実施形態では、認知症ではない個体は健康な加齢個体である。他の実施態様では、認知症ではない個体は、加齢関連の認知障害に関連する表現型を有する。例えば、認知症ではない個体は、かかる表現型を有しない対照個体と比較したときに、思い出す能力の低下、短期記憶の喪失、学習速度の低下、学習能力の低下、問題解決能力の低下、注意持続時間の減少、運動能力の低下又は混乱増加、のうちの1つ以上を含む表現型を有し得る。
【0100】
認知機能の老化のリスクにある認知症ではない個体の非限定例は、自然発症した記憶障害を有するヒトであるが、それでもなお、少なくとも24のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、少なくとも4の日常生活動作(ADL)スコアによって示されるとおり基本的な日常活動における自立性を有する。本発明の課題解決のためのMMSEスコアは、例えば24~30であってもよく、より好ましくは26~30であってもよい。
【0101】
MMSEは、非常に信頼性が高く、有効な手段であることが証明されており、神経変性疾患に関連する認知障害の進行を検出し、追跡するための、非常に簡便な、容易に制御/実施できる精神機能評価方法である。MMSEは、7つのカテゴリ:場所に対する見当識(州、国、街、病院及び階)、時間に対する見当識(年、季節、月、日、及び日付)、見当合せ(3つの言葉をすぐに繰り返す)、注意力及び集中力(連続的に7を差し引く、100から始める、あるいは単語を後方から綴る)、想起(以前に繰り返された3つの単語を呼び出す)、言語(2つの項目の名前を言う、フレーズを復唱する、音読して文章を理解する、文章を書く、及び3段階の命令に従う)、並びに視覚情報の構築(図形の模写)にグループ化された30点からなる完全に構造化されたスケールである(Folstein et al.(1975)J.Psychiat.Res.12:189-198)。
【0102】
MMSEは、正確に完了した項目の数に関してスコアリングされ、スコアが低くなるほど能力は乏しくなり、より大きな認知障害を示す。合計スコアは0~30の範囲となる。
【0103】
ADLは、ADを有する又は有さない人の日常生活動作を評価するための、情報提供者ベースの日常生活動作スケールとして広く用いられている手段である。この手段は、広範囲にわたる能力を評価する。ADLは、障害のない対照と比較して、軽度に障害のある個体間の変化に対する感度を示し、機能的変化を捕捉することができる(Galasko et al.(1997)Alzheimer Dis.Assoc.Disord.11 Suppl.2:S33-9)。
【0104】
本願明細書で前述したように、脳の健康を維持し、加齢による認知機能の低下を予防することにより、認知症の発症を予防又は遅延させることができることを、多くのエビデンスが示唆している。したがって、認知機能の低下又は老化を予防又は低減する本明細書に開示される方法はまた、究極的にはアルツハイマー病などの認知症を予防することができる。したがって、本開示の別の態様は、認知症のリスクがある個体における認知症を予防する方法である。本発明は、本明細書に開示される組成物を治療有効量で個体に投与することを含む方法に関する。予防される認知症は、アルツハイマー病、血管性認知症、レヴィー小体認知症、前頭側頭型認知症及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0105】
アルツハイマー病
アルツハイマー病は、脳の領域の萎縮によって引き起こされる。萎縮を引き起こすものは既知ではないが、研究によりアルツハイマー病患者の脳にアミロイド斑、神経原線維変化及びアセチルコリンの不均衡が認められている。健常ニューロンを損傷する可能性のある、脳における血管損傷はまた、アルツハイマー患者において共通である。
【0106】
アルツハイマー病は、複数の脳機能に影響を及ぼす進行状態である。病気の早期徴候には、通常、例えば、最近の出来事、又は場所及び物の名前を忘れるなどといった軽度の記憶障害が含まれる。疾患が進行すると、記憶障害がより深刻になり、混乱、方向感覚の喪失、意思決定の困難化、言葉及び言語の問題、性格の変化のような追加症状が生じる場合がある。
【0107】
血管性認知症
血管性認知症は、脳への血流の減少により脳細胞が損傷することで生じる。血流の減少は多くの原因で発生し得、脳内の血管の狭窄(皮質下血管性認知症)、脳卒中(単一梗塞性認知症)及び多数の小規模脳卒中(多発梗塞性認知症)を含む。血流の減少は、アルツハイマー病、混合型認知症と呼ばれる組み合わせによって更に引き起こされる場合がある。
【0108】
血管性認知症の早期症状は、思考の遅れ、計画の困難化、言語の困難化、注意と集中の問題、行動の変化が含まれる。症状は典型的には段階的に悪化し、数か月又は数年の安定期を挟む。
【0109】
パーキンソン病
パーキンソン病は、黒質の神経細胞が漸進的に損傷される状態である。脳のこの領域の神経細胞は、体の動きを制御する脳部位及び神経系部位間のメッセンジャーとして作用するドーパミンを産生する。これらの神経細胞に対する損傷により、脳内で産生されるドーパミン量が減少し、動きを制御する脳部位の機能が低下するという影響が生じる。
【0110】
パーキンソン病の症状は、振戦、動作緩慢、及び筋肉の強剛と固縮を含む。パーキンソン病患者はまた、うつ病、便秘、不眠症、無臭覚症及び記憶障害を含む更なる症状を経験することもあり得る。
【0111】
バイオマーカーのレベルの決定
試料中の個々のバイオマーカー種のレベルを、当該技術分野で知られている任意の好適な方法によって測定又は判定することができる。例えば、質量分析(MS)、抗体に基づく検出方法(例えば酵素結合免疫吸着アッセイ、ELISA)、非抗体タンパク質による足場に基づく方法(例えばフィブロネクチン足場)、放射免疫測定法(RIA)又はアプタマーに基づく方法を用いてもよい。他の分光法、クロマトグラフ法、標識技術、又は定量化学的な方法もまた用いることができる。
【0112】
個体のバイオマーカーのレベルを測定するための好適な例示的方法を以下に記載する。
【0113】
25-ヒドロキシビタミンD
総25-ヒドロキシビタミンDのインビトロ測定には電気化学発光結合アッセイを利用することができる(例えば、市販のCobas8000(Roche)を使用して)。例えば、総ビタミンDを定量することを意図して、ビタミンD結合タンパク質(VDBP)を使用して25-ヒドロキシビタミンD3及びD2の両方を捕捉することができる。簡潔に述べると、試料を前処理試薬とインキュベートして、試料中の天然VDBPを変性させて結合ビタミンDを放出できる。次いで、試料を、組換えルテニウム標識VDBPと更にインキュベートして、25-ヒドロキシビタミンD(25-OH-D)とルテニル化-VDBPとの複合体を形成できる。ビオチン化25-OH-Dの添加により、ルテニウム標識VDBP及びビオチン化25-OH-Dからなる複合体が生成される。複合体全体は、ビオチンとストレプトアビジンコーティングされた微小粒子との相互作用によって固相に結合でき、これは電極の表面上に捕捉できる。結合していない物質を除去した後、電極に電圧を加えることにより、光電子増倍器によって測定され得る化学発光放出が誘発される。結果は、機器固有の検量線によって判定することができる。
【0114】
ホモシステイン
総血漿ホモシステインは、酵素サイクリングアッセイを用いて測定することができる。簡潔に述べると、酸化されたホモシステインを最初に還元し、次いで、ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼの存在下でS-アデノシルメチオニンと反応させて、メチオニン及びS-アデノシルホモシステイン(SAH)を形成することができる。次いで、SAHを、SAH加水分解酵素によりアデノシン及びホモシステインに加水分解される共役酵素反応により評価してよい。ホモシステインは、検出シグナルを増幅するのに役立つホモシステイン変換反応に利用される。形成されたアデノシンは、イノシン及びアンモニアに加水分解でき、次いで、グルタミン酸デヒドロゲナーゼを使用してアンモニアと2-オキソグルタレート及びNADHとの反応を触媒して、NAD+を形成することができる。試料中のホモシステインの濃度は、NAD+に変換されたNADHの量に正比例し、これは、340nmの吸光度で分光法で測定することができる。
【0115】
オメガ3脂肪酸
例えば、全脂肪酸の重量パーセントとして表されるEPA及びDHAなどのオメガ3脂肪酸は、水素炎イオン化検出器に連結されたガスクロマトグラフィーを使用して定量することができる。簡潔に述べると、遠心分離によって赤血球を血漿から分離し、洗浄し、酸性化した後に、ヘキサンとイソプロパノールとの混合物を含むFolch法による脂質抽出を行うことができる。マルガリン酸を、内部標準として添加してもよい。次いで、全脂質抽出物を鹸化及びメチル化し、脂肪酸メチルエステル(FAME)をペンタンで抽出し、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析してもよい。例示的なプロトコルは、スプリットインジェクター、結合シリカキャピラリカラム(BPX70、60m×0.25mm;0.25μmの膜厚)を備えるガスクロマトグラフ及び水素炎イオン化検出器(キャリアガスとしてヘリウムを使用でき、カラム温度プログラムを150℃で開始し、220℃まで1.3℃/分上昇させ、220℃で10分間保持しできる)を使用してよい。FAMEの特定は、脂肪酸標準から調製されたFAMEについて得られた保持時間に基づいてもよい。
【0116】
試料
本発明は、対象から得られた1つ以上の試料中の2つ以上のバイオマーカーのレベルを測定する工程を含む。
【0117】
一実施形態では、1つ以上の試料は、血液試料、血漿試料、及び血清試料からなる群から独立して選択される。
【0118】
対象から試料を採取するための技術は当該技術分野においてよく知られている。
【0119】
基準値との比較
本方法は、試験試料中のオメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はホモシステインのレベルを、1つ以上の基準値又は対照値と比較する工程を含み得る。用語「基準値」は、「対照値」と同義であり、技術的データの正確な解釈を促すために当業者が使用するデータを広く含む。
【0120】
通常、本方法において測定された各個体のバイオマーカーに関する基準値が使用される。基準値は、健常の対象における同じ種の試料(例えば、血液、血清、又は血漿)中のバイオマーカーのレベルなどの、そのバイオマーカーの正常のレベルであってもよい。基準値は、例えば、対象の対照集団、例えば、5、10、100又は1000以上の健常の対象(この対象は、試験対象と年齢及び/又は性別が同じでも同じでなくてもよい)における、バイオマーカーの平均又は中央値のレベルに基づいてもよい。正しい基準値をどのように割り当てるかについては、当業者に周知であり、これらは、例えば、性別、人種、ジェネリック・ヘリテージ(genetic heritage)、健康状態又は年齢に応じて変わる。
【0121】
試験試料中のバイオマーカーのレベルを測定する対応方法を用いて、例えば、正常な対象から採取した1つ以上の試料を用いて、基準値を測定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、対照試料におけるバイオマーカーのレベルを、試験試料に対する並行分析で測定することができる。あるいは、いくつかの実施形態において、特定の種類の試料(例えば、血液、血清又は血漿)中の個体のバイオマーカーのレベルに関する基準値を、例えば、公表されている研究から先に入手することもできる。したがって、いくつかの実施形態では、基準値は前もって測定してもよいし、又は得られた各試験試料に関する対照試料について対応する測定を実施することなく、計算若しくは推測してもよい。
【0122】
特定の試料中の本明細書に記載のバイオマーカーに関する対照値又は基準値は、データベースに保存し、対象に対して実施した方法の結果を解釈するために使用してもよい。
【0123】
試験試料中のバイオマーカーのレベル、例えば、対象由来の試料中のオメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はそのホモシステインのレベルは、対照の対象の1つ以上のコホート(集団/群)中の同じ標的のそれぞれの量と比較することができる。
【0124】
対象由来の試料中のオメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又はホモシステインのレベルの比較は、四分割された対象の対照集団に由来する基準値のレベルと比較することを含んでもよい。
【0125】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸のレベルが測定され、対象由来の試料中のオメガ-3脂肪酸のレベルが、対照集団に由来する基準値の下側四分位内の値であると、認知機能の低下の素因であることを意味する。
【0126】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物のレベルが測定され、対象由来の試料中のビタミンD若しくはその代謝産物のレベルが、対照集団に由来する基準値の下側四分位内の値であると、認知機能の低下の素因であることを意味する。
【0127】
一実施形態では、ホモシステインのレベルが測定され、対象由来の試料中のホモシステインのレベルが、対照集団に由来する基準値の上側四分位内の値であると、認知機能の低下の素因であることを意味する。
【0128】
一実施形態では、本発明の方法は、指数(本明細書では、栄養リスク指数、NRIと称される)を計算することを含み、この指数は、
(a)オメガ-3脂肪酸のレベルを測定し、対象由来の試料中のオメガ-3脂肪酸のレベルが対照集団に由来する基準値の下側四分位内の値であると、スコアnとし、対象由来の試料中のオメガ-3脂肪酸のレベルが下側四分位外であると、スコアゼロとする工程、
(b)ビタミンD若しくはその代謝産物のレベルを測定し、対象由来の試料中のビタミンD若しくはその代謝産物のレベルが対照集団に由来する基準値の下側四分位内の値であるとスコアnとし、対象由来の試料中のビタミンD若しくはその代謝産物のレベルが下側四分位外であると、スコアゼロとする工程、及び/又は
(c)ホモシステインのレベルを測定し、対象由来の試料中のホモシステインのレベルが対照集団に由来する基準値の上側四分位値内の値であると、スコアnとし、対象由来の試料中のホモシステインのレベルが上側四分位外であると、スコアゼロとする工程を含み、
nは正の整数(例えば+1)であり、指数は、工程(a)、(b)及び/又は(c)から得られたスコアの合計として計算され、指数スコアが大きくなるほど認知機能の低下の素因が大きいことを示す。
【0129】
一実施形態では、赤血球EPA及びDHAの基準値は、全脂肪酸の約4.82重量%である。この基準値よりも低いレベルには、本明細書に開示される指標におけるスコアnを割り当てることができる。一実施形態では、血漿25-ヒドロキシビタミンDの基準値は、約15ng/mLである。この基準値よりも低いレベルには、本明細書に開示される指標におけるスコアnを割り当てることができる。一実施形態では、血漿ホモシステインの基準値は、約18.1μmol/Lである。この基準値よりも高いレベルには、本明細書に開示される指標におけるスコアnを割り当てることができる。
【0130】
本明細書に記載のバイオマーカーのレベルに関する基準値は、好ましくは、試験試料中のバイオマーカーのレベルを評価するのに使用されるものと同じ単位を用いて測定される。したがって、本明細書に記載のバイオマーカーのレベルが、μmol/L(μM)などの絶対値である場合、基準値は、一般個体群又は対象の選択された対照群の個体における単位μmol/L(μM)に基づいてもよい。
【0131】
対象のバイオマーカーのレベルと、対応する基準値との差の程度もまた、どちらの対象が、ある種の介入から最も利益を得ることになるかを判定するのに有用である。試験試料中のバイオマーカーのレベルは、例えば、基準値に比べて少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%又は少なくとも100%増加又は減少し得る。
【0132】
治療方法
オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を同時に、順次に、又は別々に投与してよい。
【0133】
本明細書で使用される用語「組み合わせ」又は「組み合わせて」、「組み合わせて使用される」若しくは「組み合わせた調製」という表現は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはそれらの代謝産物、及び/又は血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤の2つ以上の組み合わせを同時に、順次に、又は別々に投与することを指す。
【0134】
本明細書で使用される用語「同時」は、薬剤が同時に投与される、すなわち、同じ時に投与されることを意味する。本明細書で使用される用語「順次」とは、薬剤がもう一方の後に投与されることを意味する。本明細書で使用される用語「別々に」は、薬剤が、互いに独立して投与されるが、但し薬剤を組み合わせた効果、好ましくは相乗的な効果を示すことを可能にする時間間隔内で投与されることを意味する。したがって、「別々に」投与するとは、1つの薬剤を、例えば、もう一方の後の1分以内、5分以内、又は10分以内に投与することを容認し得る。
【0135】
本明細書において「治療」についてなされる全ての言及は、治癒的、緩和的、及び予防的治療を含むものであると理解される。哺乳類、特にヒトの治療が好ましい。ヒト及び動物治療の両方が、本発明の範囲内である。
【0136】
投与量
当業者は、過度の実験を行わずとも、本発明の薬剤の1つを対象に投与するのに適切な用量を容易に決定することができる。典型的には、医師は、個々の患者に最も好適である実際の投与量を、使用される特定の薬剤の活性、代謝安定性及びその薬剤の作用の長さ、年齢、体重、全般的な健康、性別、規定食、投与方法及び投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の状態の重症度、並びに治療を受けている個体を含む様々な因子をもとに決定する。当然ではあるが、より高い又はより低い投与量範囲が優れている個別の場合があり得、そのような場合も本発明の範囲内にある。
【0137】
対象
「対象」(又は「個体」)は、ヒト又は非ヒト動物のいずれかを指す。
【0138】
非ヒト動物の例としては、鳥類、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ(hicrine)、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、又はブタなどの動物が挙げられる。「コンパニオンアニマル」は、任意の飼いならされた動物であり、限定されないが、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、アレチネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどが挙げられる。
【0139】
好ましくは、対象は、ヒトである。
【0140】
一実施形態では、対象は老化しているヒト対象である。用語「老化しているヒト対象」は、50歳以上のヒト対象を意味し得る。一実施形態では、対象は、少なくとも50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳又は95歳のヒト対象である。好ましい実施形態では、対象は、50歳以上のヒト対象である。特に好ましい実施形態では、対象は、70歳以上のヒト対象である。
【0141】
ヒトの文脈における用語「老齢」(elderly)は、少なくとも60歳、好ましくは63歳以上、より好ましくは65歳以上、最も好ましくは70歳以上の年齢を意味する。ヒトの文脈における用語「高齢者」(older adult)は、少なくとも45歳、好ましくは50歳以上、より好ましくは55歳以上の年齢を意味し、老齢の個体を含む。
【0142】
他の動物の場合、「高齢個体」とは、その個々の種及び/又は種内の系統において、平均寿命の50%を超えた動物をいう。動物は、平均期待寿命の66%を超えた場合、好ましくは平均期待寿命の75%を超えた場合、より好ましくは平均期待寿命の80%を超えた場合に、「老齢」と考えられる。老齢のネコ又はイヌは、少なくとも約7歳齢である。
【0143】
食事介入
本明細書で使用される用語「食事介入」は、対象に適用され、対象の食習慣に変化をもたらす外部因子を指す。
【0144】
一実施形態では、食事介入は、オメガ3脂肪酸を補給した規定食である。一実施形態では、食事介入は、ビタミンDを補給した規定食である。一実施形態では、食事介入は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を補給した規定食である。
【0145】
一実施形態では、本発明の食事介入は、好ましくはオメガ3脂肪酸栄養補助食品を投与することによって、対象によるオメガ-3脂肪酸摂取を増加させることを含む。一実施形態では、食事介入は、好ましくはビタミンD栄養補助食品を投与することによって、対象によるビタミンD摂取を増加させることを含む。一実施形態では、食事介入は、好ましくは、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤の栄養補助食品を投与することによって、対象による血漿ホモシステインのレベルを減少させることができる薬剤の摂取量を増加させることを含む。
【0146】
規定食は、対象の初期体重に合わせて調整したものであってよい。
【0147】
食事介入には、少なくとも1つの規定食製品の投与が含まれていてもよい。規定食製品は、食事代替品であってもよいし、サプリメント製品であってもよい。規定食製品は、食品製品、飲料、ペットフード製品、食品栄養補給剤、機能性食品、食品添加物、又は栄養配合物を含み得る。
【0148】
組成物
本発明の薬剤及び組成物は、老化プロセスによってもたらされるものなどの認知機能の低下を受けやすい個体又は認知機能の低下に苦しんでいる個体(例えば、認知症ではない個体)における認知機能を向上させることができる。本発明の薬剤及び組成物は、老化プロセスによってもたらされるものなどの認知機能の低下を受けやすい個体又は認知機能の低下に罹患している個体(例えば、認知症ではない個体)における認知機能の低下を予防、低減、又は遅延させることができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、投与の前に、認知的加齢を有する個体又は認知的加齢のリスクを有する個体を特定することを含む。例えば、方法は、投与の前に、認知能力の改善を必要とする個体を特定することを含み得る。本発明の薬剤及び組成物は、脳萎縮及び神経炎症を減少させ、アミロイド-β食作用及びシナプス数を増加させ得る。
【0149】
オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤(すなわち、本発明の薬剤)を同時に、順次に、又は別々に投与してよい。
【0150】
オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、1つ以上の組成物内に含まれてもよい。
【0151】
一実施形態では、オメガ3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、食品製品の形態であり、好ましくはタンパク質、炭水化物、脂肪、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を更に含む。
【0152】
一実施形態では、オメガ3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を更に含む医薬組成物の形態である。
【0153】
様々な実施形態では、オメガ3脂肪酸は、食品製品又は組成物の1~50重量%、好ましくは食品製品又は組成物の1~30重量%、最も好ましくは食品製品又は組成物の1~15重量%である。好ましくは、オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)又はドコサヘキサエン酸(DHA)のうちの少なくとも1つを含み、より好ましくはEPA及びDHAの両方を含む。食品製品又は組成物の1日用量は、好ましくは1日当たり0.5g~1.0gのDHA、及び/又は1日当たり0.5g~1.0gのEPA、より好ましくは1日当たり0.7g~1.0gのDHA、及び/又は1日当たり0.6mg~0.75gのEPA、最も好ましくは1日当たり約770mgのDHA、及び/又は1日当たり約700mgのEPAを提供する。
【0154】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、1日当たり0.5g~2.0g、例えば1日当たり0.5g~1.5gの用量で投与される。一実施形態では、対象は1日当たり0.5g~1.0gのDHA、及び/又は1日当たり0.5g~1.0gのEPA、より好ましくは1日当たり0.7g~1.0gのDHA、及び/又は1日当たり0.6mg~0.75gのEPA、最も好ましくは1日当たり約770mgのDHA、及び/又は1日当たり約700mgのEPAを投与される。
【0155】
オメガ3脂肪酸は、オメガ3脂肪酸の1つ以上の供給源の混合物を含んでよく、オメガ3脂肪酸の1つ以上の供給源のそれぞれは、天然(例えば、魚油)又は合成(すなわち、自然由来のものとは対照的に、人間によって操作されるプロセスを通じて形成されたもの)であり得る。本明細書で使用される「魚油」という用語は、海洋個体から得られる、粗製の若しくは精製された、オメガ3脂肪酸が豊富な脂肪性又は油性抽出物を意味し、その海洋個体は、例えば、限定されないが、サケ、マグロ、サバ、ニシン、シーバス、ストライプトバス、オヒョウ、ナマズ、及びイワシなどの冷水魚、並びにサメ、エビ、及び二枚貝、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0156】
一実施形態では、食品製品又は組成物は、ビタミンD若しくはその代謝産物の60~2000IU/日を提供する1日用量で投与される。
【0157】
一実施形態では、食品製品又は組成物は、0.001mg/日~0.1mg/日のビタミンD若しくはその代謝産物、例えば、0.01mg/日~0.05mg/日のビタミンD若しくはその代謝産物、好ましくは約0.015mg/日のビタミンD若しくはその代謝産物を提供する1日用量で投与される。
【0158】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、60~2000IU/日の用量で投与される。
【0159】
一実施形態では、ビタミンD若しくはその代謝産物は、0.001mg/日~0.1mg/日、例えば0.01mg/日~0.05mg/日、好ましくは約0.015mg/日の用量で投与される。
【0160】
一実施形態では、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB6及び/又はビタミンB9である。
【0161】
一実施形態では、食品製品又は組成物は、1日当りに、1日当たりの推奨一日所要量(RDA)の少なくとも0.01~100倍のビタミンB6、例えば、RDAの10~80倍のビタミンB6、及び/又は1日当たりのRDAの0.01~5.0倍のビタミンB9、例えば、RDAの1.0~2.5倍のビタミンB9を提供する1日用量で個体に投与される。ビタミンB6のRDAは1.3mg/日であり、したがって、食品製品又は組成物は、0.13mg/日~130mg/日のビタミンB6、例えば、13mg/日~100mg/日のビタミンB6を提供する1日用量で投与することができる。ビタミンB9のRDAは0.4mg/日であり、したがって、食品製品又は組成物は、0.004mg/日~2.0mg/日のビタミンB9、例えば、0.4mg/日~1.0mg/日のビタミンB9を提供する1日用量で投与することができる。しかしながら、本開示は、ビタミンB6の特定の1日用量又はビタミンB9の特定の1日用量に限定されない。
【0162】
一実施形態では、対象は、1日当たりのビタミンB6のRDAの少なくとも0.01~100倍、例えば、ビタミンB6のRDAの10~80倍、及び/又は1日当たりのビタミンB9のRDAの0.01~5.0倍、例えば、ビタミンB9のRDAの1.0~2.5倍を投与される。一実施形態では、対象は、0.13mg/日~130mg/日のビタミンB6、例えば、13mg/日~100mg/日のビタミンB6を投与される。一実施形態では、対象は、0.004mg/日~2.0mg/日のビタミンB9、例えば、0.4mg/日~1.0mg/日のビタミンB9を投与される。
【0163】
一実施形態では、食品製品又は組成物は、任意選択的に、一酸化窒素放出化合物を含み得る。「一酸化窒素放出化合物」という用語は、個体において一酸化窒素の放出を引き起こす又はもたらし得る任意の化合物(1種又は複数)を意味する。一酸化窒素放出化合物は、好ましくはアルギニン、シトルリン、オルニチンの1つ以上を含み、又はこれらのアミノ酸、より好ましくはアルギニン及び/又はシトルリンの少なくとも1つ、より更に好ましくはシトルリンを含むペプチド又はタンパク質を含み、特に血流、内皮機能及び血圧を改善することから心血管系に対する有益な効果を提供する。様々な実施形態では、一酸化窒素放出化合物は、食品製品又は組成物の1~20重量%、好ましくは食品製品又は組成物の1~15重量%、より好ましくは食品製品又は組成物の1~10重量%である。一実施形態では、食品製品又は組成物の1日用量は、1日当たり0.5g~10.0g、好ましくは1日当たり1.0g~5.0g、より好ましくは1日当たり2.0g~4.0g、最も好ましくは1日当たり約3.0gの一酸化窒素放出化合物(例えば、シトルリン)を提供する。
【0164】
食品製品又は組成物は、ビタミンB6及び/又はビタミンB9に加えて、少なくとも1つのビタミンB、例えば、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB7(ビオチン)、及びビタミンB12(コバラミン)、又はビタミンB活性を有するその塩、複合体若しくは誘導体のうちの1つ以上を更に含み得る。食品製品又は組成物は、これらの追加のビタミンB類の1つ以上を、RDAの0.1~40倍、好ましくはRDAの1~20倍、より好ましくはRDAの1~10倍含み得る。一実施形態では、食品製品又は組成物は、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB7(ビオチン)及びビタミンB12(コバラミン)の全てを更に含む。
【0165】
また、一実施形態では、オメガ-3脂肪酸と、1日当たりの推奨一日所要量(RDA)の少なくとも0.01~100倍のビタミンB6及び/又は1日当たりのRDAの0.01~5.0倍のビタミンB9と、の組み合わせを含む食品製品又は組成物は、好ましくは、1日当たりの推奨一日所要量(RDA)の0.1~40倍のビタミンB12、例えば、1日当たりの推奨一日所要量(RDA)の1~10倍のビタミンB12を提供する。
【0166】
したがって、ビタミンB12は、1日当たりのビタミンB12のRDAの約10倍、20倍、30倍又は40倍の1日用量で、追加のビタミンBとして投与され得る。好ましくは、1日用量は、1日当たりのビタミンB12のRDAの10~40倍、より好ましくは10~30倍、又は更により好ましくは10~25倍、最も好ましくは約12~21倍を提供する。ビタミンB12の米国のRDAは、14歳以上のヒトに対して1日2.4μgであるため、かかる個体は、1日当たり約0.002mg~約0.4mgのビタミンB12、好ましくは1日当たり0.02mg~0.07mgのビタミンB12、より好ましくは1日当たり0.03mg~0.05mgのビタミンB12を提供する食品製品又は組成物の1日用量を投与され得る。
【0167】
好ましい実施形態では、対象はビタミンB12を更に投与される。一実施形態では、ビタミンB12は、1日当たりのビタミンB12のRDAの0.1~40倍、好ましくは1日当たりのビタミンB12のRDAの10~40、10~30又は10~25倍、より好ましくは1日当たりのビタミンB12のRDAの12~21倍の用量で投与される。
【0168】
一実施形態では、ビタミンB12は、1日当たり約0.002mg~約0.4mg、好ましくは1日当たり0.02mg~0.07mg、より好ましくは1日当たり0.03mg~0.05mgの用量で投与される。
【0169】
一実施形態では、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD又はその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、ビタミンB12と同時に、順次に、又は別々に対象に投与され、ビタミンB12は、1日当たりのビタミンB12のRDAの0.1~40倍、好ましくは1日当たりのビタミンB12のRDAの10~40、10~30又は10~25倍、より好ましくは1日当たりのビタミンB12のRDAの12~21倍の用量で投与される。
【0170】
いくつかの実施形態では、食品製品又は組成物は、酸化的損傷及び炎症誘発性の損傷から保護するための1つ以上の酸化防止剤を更に含み得る。好適な抗酸化剤の非限定的な例としては、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、セレン及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、食品製品又は組成物は、0.0001重量%~25重量%の酸化防止剤を含み得、存在する場合、好ましくは、0.0001重量%~約15重量%、より好ましくは、0.001重量%~5重量%、最も好ましくは0.001重量%~2重量%である。
【0171】
一実施形態では、組成物は、ヒト及び/又はコンパニオン個体などのペット用の食品組成物(食品製品)である。食品組成物は、ミネラル、別のビタミン、塩、又は機能性添加剤、例えば、香味剤、着色剤、乳化剤、若しくは抗菌化合物、若しくは他の防腐剤などの、1種以上の追加の物質を含み得る。好適なミネラルの非限定的な例としては、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン及びヨウ素が挙げられる。好適な追加ビタミン類の非限定的な例としては、ビタミンA、D、E及びKなどの脂溶性ビタミンが挙げられる。
【0172】
一実施形態では、組成物は、1つ以上の医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物である。一般に、医薬組成物は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、賦形剤、緩衝剤、結合剤、可塑剤、着色剤、希釈剤、圧縮剤、潤滑剤、風味剤、又は湿潤剤の1つ以上と混合することによって調製される。
【0173】
オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、1ヶ月未満で確認できる急性効果を有し得る。追加的に又は代替的に、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、長期効果を有することができ、したがって、様々な実施形態は、少なくとも1ヶ月の期間にわたって個体に投与すること(例えば、経口で)を含み、好ましくは少なくとも2カ月、より好ましくは少なくとも3、4、5又は6カ月、最も好ましくは少なくとも1年の期間にわたって個体に投与される。期間中、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、個体に1週間当たり少なくとも1日投与することができ、好ましくは1週間に少なくとも2日、より好ましくは1週間に少なくとも3、4、5又は6日、最も好ましくは、1週間に7日、個体に投与できる。オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を、1日当たり1回の用量で、又は1日当たり複数の別個の用量で投与することができる。
【0174】
キット
別の態様では、本発明は、オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、本発明の血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤を含む、キットを提供する。
【0175】
オメガ-3脂肪酸、ビタミンD若しくはその代謝産物、及び/又は、血漿ホモシステインのレベルを低減することができる薬剤は、好適な容器に提供され得る。
【0176】
キットはまた、使用のための使用説明書を含んでもよい。
【0177】
当業者は、開示される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を組み合わせることができることを理解するであろう。
【0178】
本発明の好ましい特徴及び実施形態を、これより非限定的な例によって記述する。
【0179】
本発明の実施は、特に指示がない限り、当業者の能力の範囲内である、化学、生化学、分子生物学、微生物学、及び免疫学の従来技術を使用する。
【実施例】
【0180】
実施例1
70歳以上の成人における認知機能の低下速度の減少における、オメガ3栄養補助食品(1日当たりDHA800mg、EPA200)、マルチドメイン介入(栄養カウンセリング、運動、認知刺激)、又は栄養補助食品+マルチドメインの組み合わせの有効性を、プラセボに対し評価するよう、マルチドメインアルツハイマー予防実験(MAPT)を設計した。MAPT結果の事後解析は、ベースラインのオメガ3のステータスが低い対象の認知機能の低下はオメガ3の補給により予防されることを示唆している。VITACOG試験は、ホモシステインを低下させるビタミンB群が、70歳以上でMCI及び高ホモシステイン血症を有する対象において全脳萎縮を軽減できることを実証した。VITACOGからの2つの後続の事後報告により、ビタミンBの効果は、ベースラインのオメガ3の状態が上位三分位に含まれる対象の、脳萎縮及び認知機能の低下の合計に対し最も顕著であったことを実証した。ベースラインの栄養状態及び栄養素の相互作用は、将来の栄養介入を検討するための合理的な設計要素である。これらの新たな洞察から、「栄養リスク」にある対象を被験者とする次世代の臨床試験(臨床試験登録:NCT01953705)が導かれ、相乗作用のある代謝を利用する栄養素の組み合わせは、認知機能の低下を予防する能力がより高いことが証明され得る。これらの臨床試験設計要素(例えば、栄養強化及び/又はオーバーサンプリング)を実施するには、第1に、任意の臨床試験の費用及び操作負荷が増すことから、強力な科学的根拠が必要とされる。本発明者らは、MAPT試験データを使用して、血漿ホモシステイン、血清ビタミンD、及び赤血球オメガ3脂肪酸によって反映されるベースラインの栄養状態が、認知機能の低下に関してそれぞれ独立したリスク因子であるという仮説を試験したが、「栄養リスク指数」を使用して組み合わせたところリスクが悪化し、36ヶ月にわたって認知機能の低下速度が加速することが明らかとなった。
【0181】
結果
完全な栄養バイオマーカー及び教育情報は、712/780人の対象に利用可能であった。平均年齢は75歳(4.5)であり、67%は女性であり、27.5%は大学以上の教育過程を修了し、20.7%はAPOE4対立遺伝子を保有し、これは全て親MAPTコホートに類似していた(表1)。平均赤血球EPA+DHA、血漿ホモシステイン及び血清25-OH-ビタミンD(
図2及び3)は、それぞれ5.8(1.5)重量%、15.8(5.4)μmol/L、及び23.7ng/mL(12.2)であった(表1)。NRIは、赤血球EPA+DHA≦4.82、血漿ホモシステイン≧18.1umol/L、及び血漿25-ヒドロキシビタミンD≦15ng/mLのそれぞれについて1ポイント増加した。各NRIポイントの増加は、栄養リスクのないもの(NRI=0)(例えば、NRI=1β=-0.04、p=0.02;NRI=2β=-0.06、p=0.009;NRI=3β=-0.18、p=0.006)と比較して、認知機能の低下の更なる加速に漸増的に関連した(表3)。APOE4、APOE4
*時間相互作用、試験アーム、及び時間とのそれらの相互作用を更に制御しても、これらの結果は変化しなかった。
【0182】
結論
赤血球オメガ-3脂肪酸(EPA+DHA)、血漿ホモシステイン及び血清25-ヒドロキシビタミンDからなる血液ベースの「栄養リスク指数」は、年齢、性別、教育、APOE4遺伝子型及び介入アームとは無関係に、高齢の成人における認知機能の低下の推移が異なる人々を特定する。NRI指数における各点の増加は、3年にわたってより加速された認知機能の低下に関連する(
図1)。これらのデータは、低ビタミンD3及び低赤血球オメガ3脂肪酸及び高ホモシステインに起因する栄養リスクの低減は、加齢に関連する認知機能の低下を予防することができること、つまり栄養リスク指数とこれらの分野に対応する栄養補助食品を展開することで促進できるという概念を示唆している。
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
材料及び方法
MAPTにおける生化学的アッセイ及び遺伝学
25-ヒドロキシビタミンD.総25-ヒドロキシビタミンDをインビトロ測定するために、電気化学発光結合アッセイを利用した(Cobas8000(Roche))。この市販のアッセイは、ヒト血清及び血漿中の総ビタミンD(25-OH)の定量を意図して、25-ヒドロキシビタミンD3及びD2の両方を捕捉するためにVDBPを用いる。簡潔に述べると、試料を前処理試薬で9分間インキュベートし、試料中の天然VDBPを変性させて、結合ビタミンD(25-OH-D)を放出させる。次いで、試料を、組換えルテニウム標識VDBPと更にインキュベートして、25-OH-Dとルテニル化-VDBPとの複合体を形成する。ビオチン化25-OH-Dの添加により、ルテニウム標識VDBP及びビオチン化25-OH-Dからなる複合体が生成される。複合体全体は、ビオチン及びストレプトアビジンコーティングされた微小粒子の相互作用によって固相に結合され、電極の表面上に捕捉される。結合しなかった物質を除去する。電極に電圧を加えることにより、光電子増倍器によって測定される化学発光放出が誘発される。結果は、2点較正及び試薬バーコードを介して提供される較正マスター曲線によって生成される、機器固有の検量線により決定される。単位はng/mLとして表される。
【0189】
ホモシステイン.総血漿ホモシステインを、市販の酵素サイクリングアッセイ(Cobas8000(Roche))を使用して測定した。総血漿ホモシステインの濃度を、標準曲線に対して血漿試料中のμmol/Lで測定した。酸化されたホモシステインを最初に還元し、次いで、S-アデノシルメチオニンと反応させて、ホモシステインS-メチルトランスフェラーゼの存在下でメチオニン及びS-アデノシルホモシステイン(SAH)を生成した。次いで、SAHを、SAHがSAH加水分解酵素によりアデノシン及びホモシステインに加水分解される共役酵素反応により評価する。ホモシステインは、検出シグナルを増幅するのに役立つホモシステイン変換反応に利用される。形成されたアデノシンを、イノシン及びアンモニアに加水分解する。グルタメートデヒドロゲナーゼは、アンモニアと2-オキソグルタレート及びNADHとの反応を触媒して、NAD+を生成する。試料中のホモシステインの濃度は、NAD+に変換されたNADHの量に正比例し、これは、340nmの吸光度で分光法で読み取った。単位はuMとして表される。
【0190】
赤血球膜オメガ3脂肪酸.全脂肪酸の重量パーセントとして表される赤血球EPA+DHAは、水素炎イオン化検出器と連結されたガスクロマトグラフィーを使用して定量される。簡潔に述べると、遠心分離によって赤血球を血漿から分離し、3回洗浄した後、酸性化し、ヘキサンとイソプロパノールとの混合物を含むFolch法による脂質抽出を行う。マルガリン酸(Sigma)を内部標準として添加する。全脂質抽出物を鹸化し、メチル化した。脂肪酸メチルエステルをペンタンで抽出し、スプリットインジェクター、結合シリカキャピラリカラム(BPX70、60m×0.25mm;0.25μmの膜厚)を備えるAgilent Technologies 6890Nガスクロマトグラフ及び水素炎イオン化検出器を使用して、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。キャリアガスとしてヘリウムを使用し、カラム温度プログラムを150℃で開始し、220℃まで1.3℃/分で上昇させ、220℃で10分間保持した。FAMEの特定は、脂肪酸標準から調製されたFAMEについて得られた保持時間に基づいた。曲線下面積は、ChemStationソフトウェア(Agilent)を使用して求め、結果を全脂肪酸の%として表す。DHA濃度は、内部標準を用いて計算し、μg/gの赤血球として表現した。FAメチルエステル(FAME)は、CP Wax 58CB 50-m溶融シリカキャピラリカラムを備えたGC2100ガスクロマトグラフ(Shimadzu)を使用するFAME分析を使用して、メチル基転移後に定量可能である。プログラムされた温度のスプレー注入器及び水素炎イオン化検出器により、オメガ-3指数(総脂肪酸のパーセント値で表すEPA+DHA)が計算される。パルミチン酸C16:0及びステアリン酸C18:0、MUFA(オレイン酸C18:1n-9及びパルミトレイン酸C16:1n-7)、n-6 PUFA(LA C18:2、γ-リノレン酸C18:3、ジホモ-γ-リノレン酸C20:3、AA C20:4、ドコサテトラエン酸C22:4及びドコサペンタエン酸C22:5)、及びn-3 PUFA(ALA C18:3、C20:5 EPA、ドコサペンタエン酸C22:5、DHA C22:6)、1つのn-9PUFA(エイコサトリエン酸C20:3)を含む15個の膜リン脂質脂肪酸も求められる。
【0191】
記述統計
高ホモシステイン血症の有病率及び個体群における血漿ホモシステインの分布。ベースラインでのホモシステイン及びビタミンDの三分位/四分位にわたる人口構成(demographics)及び臨床変数の分布を比較して、潜在的な効果調整剤を特定する。認知複合zスコア及び神経画像処理パラメータの三分位値にわたる人口構成及び臨床変数の分布を評価して、認知Zに関連する潜在的な交絡因子を特定する。
【0192】
実施例2
以下の非限定的な例は、本開示によって提供される実施形態において、認知症ではない個体における認知老化を軽減するための組成物の例示である。
【0193】
【0194】
本発明は、以下の番号付けされた段落によって更に説明される。
1.認知的加齢の軽減、治療、又は予防を必要とする又はこれらのリスクのある、認知症ではない個体における、これらの軽減、治療、又は予防方法であって、治療的に有効な量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6、及びビタミンB9を含む組成物を個体に投与することを含む、方法。
2.個体が高齢の成人である、段落1に記載の方法。
3.個体が老齢のヒトである、段落1又は2に記載の方法。
4.組成物が、少なくとも1ヶ月間毎日個体に経口投与される、段落1~3のいずれかに記載の方法。
5.組成物が、酸化窒素放出化合物を更に含む、段落1~4のいずれかに記載の方法。
6.一酸化窒素放出化合物がシトルリンを含む、段落5に記載の方法。
7.オメガ-3脂肪酸が、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸を含む、段落1~6のいずれかに記載の方法。
8.組成物が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB7及びビタミンB12からなる群から選択される1種以上の追加のビタミンBを含む、段落1~7のいずれかに記載の方法。
9.組成物が、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びセレンからなる群から選択される1種以上の酸化防止剤を含む、段落1~8のいずれかに記載の方法。
10.個体が、ベースラインにおいて低DHA状態である、段落1~9のいずれかに記載の方法。
11.個体が、ベースラインで0.5の臨床的認知症尺度(CDR)を有する、段落1~10のいずれかに記載の方法。
12.個体が、ベースラインで少なくとも12μmol/Lの低血漿ホモシステインのレベルである、段落1~11のいずれかに記載の方法。
13.個体が、ベースラインで心臓血管リスク因子、加齢及び認知症(CAIDE)において10~15のリスクスコアを有する、段落1~12のいずれかに記載の方法。
14.個体が、ベースラインでアミロイドのPETスキャンでアミロイド陽性である、段落1~13のいずれかに記載の方法。
15.個体が、認知機能の低下のリスクを示す遺伝子型を有する、段落1~14のいずれかに記載の方法。
16.組成物が、0.13mg/日~130mg/日のビタミンB6、及び/又は0.004mg/日~2.0mg/日のビタミンB9を提供する1日用量で個体に投与される、段落1~15のいずれかに記載の方法。
17.組成物が、1日当たり0.002mg~0.4mgのビタミンB12、好ましくは1日当たり0.02~0.07mgのビタミンB12、より好ましくは1日当たり0.03~0.05mgのビタミンB12を提供する1日用量で個体に投与される、段落1~16のいずれかに記載の方法。
18.投与により、神経細胞の細胞膜流動性の改善、神経細胞の可塑性及び活性の刺激、抗炎症性の改善、認知能力の支持又は維持、脳の性能の支持又は維持、脳の老化の低下、活発な精神及び脳の適応度の支持、健康な脳の支持又は維持、記憶の強化、遂行機能の強化、注意の強化、認知健康の維持、脳細胞の健康の維持が提供される、段落1~17のいずれかに記載の方法。
19.認知的加齢の軽減、治療、又は予防を必要とする又はこれらのリスクのある、認知症ではない個体における、これらの軽減、治療、又は予防方法であって、治療有効量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6、及びビタミンB9を含む組成物を個体に投与することを含む、方法。
20.脳萎縮の減少、シナプスの数の増加又は維持、アミロイド-β食作用の増加又は維持、及び神経炎症の減少からなる群から選択される1つ以上の利益を必要とする、認知症ではない個体において、これらを達成する方法であって、オメガ-3脂肪酸、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む治療有効量の組成物を個体に投与することを含む、方法。
21.オメガ-3脂肪酸、ビタミンB6及びビタミンB12の組み合わせを含む組成物、及び認知症ではない個体における認知的加齢を軽減するのに有効な量の組み合わせを含む組成物。
22.組成物が、組成物の1~50重量%の量のオメガ-3脂肪酸、1日当たり0.002mg~0.4mgのビタミンB12、好ましくは1日当たり0.02~0.07mgのビタミンB12を含む、段落21に記載の組成物。
23.組成物が、タンパク質、炭水化物、脂肪、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される構成成分を含む食品製品である、段落21又は22に記載の組成物。
24.組成物が、製薬上許容できる担体、希釈剤、及び賦形剤からなる群から選択される成分を含む医薬組成物である、段落21又は22に記載の組成物。
25.認知的加齢の軽減、治療、又は予防を必要とする、認知症ではない個体における、これらの軽減、治療、又は予防に使用するための、段落21~24のいずれかに記載の組成物。
26.神経細胞の細胞膜流動性の改善、神経細胞の可塑性及び活性の刺激、抗炎症性の改善、認知能力の支持又は維持、脳の性能の支持又は維持、脳の老化の低下、活発な精神及び脳の適応度の支持、健康な脳の支持又は維持、記憶の強化、遂行機能の強化、注意の強化、認知健康の維持、は脳細胞の健康の維持の改善に使用する、段落21~25のいずれかに記載の組成物。
27.認知症ではない個体における認知的加齢を軽減するための食品組成物の製造方法であって、有効量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6及びビタミンB9の組み合わせを、タンパク質、炭水化物、及び脂肪からなる群から選択される少なくとも1つの成分に添加することを含む、方法。
28.認知症ではない個体における認知的加齢を軽減するための医薬組成物の製造方法であって、有効量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6及びビタミンB9の組み合わせを、製薬上許容できる担体、希釈剤及び賦形剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分に添加することを含む、方法。
29.リスクのある個体における認知症を予防する方法であって、治療有効量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6、及びビタミンB9を含む組成物を個体に投与することを含む、方法。
30.予防される認知症が、アルツハイマー病、血管性認知症、レヴィー小体認知症、前頭側頭型認知症及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、段落29に記載の方法。
31.認知症ではない個体における認知能力を改善する方法であって、治療有効量のオメガ-3脂肪酸、ビタミンB6、及びビタミンB9を含む組成物を個体に投与することを含む、方法。
【0195】
上記明細書で言及した全ての出版物は、本明細書に参照により組み込まれる。開示される薬剤、組成物、本発明の使用及び方法の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、当業者には明白であろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者には自明の、開示した、本発明を実施するためのモードの種々の改変は以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。