(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20240213BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240213BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G06F1/16 312A
G06F1/16 312F
G09F9/30 308A
G09F9/00 366A
G09F9/00 347Z
G09F9/00 350Z
(21)【出願番号】P 2022141988
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2021001850の分割
【原出願日】2014-11-11
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2013237417
(32)【優先日】2013-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013249047
(32)【優先日】2013-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-528811(JP,A)
【文献】特開2008-139164(JP,A)
【文献】特開2008-107440(JP,A)
【文献】特開昭56-120972(JP,A)
【文献】特開2000-259577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16
G09F9/00;9/30
G09G5/00
H05K5/02
H01M10/00-10/04;10/06-10/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の筐体と、第1乃至第3の表示パネルと、可撓性を有する二次電池と、を有し、
前記第1乃至第3の表示パネルは、曲面を有し、前記筐体の側面及び上面にわたって設けられ、
前記第1乃至第3の表示パネルは、互いに重ならない位置に配置され、
前記二次電池は、前記第1の表示パネルと重なる領域と、前記第2の表示パネルと重なる領域と、を有し、
前記第1乃至第3の表示パネルは、それぞれタッチパネル入力ボタンを有する、電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記二次電池の曲率半径は30mm以上70mm以下であり、
前記筐体の上面における前記第1乃至第3の表示パネルの曲率半径は、1mm以上20mm以下である、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、二次電池、及び、二次電池を有する電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、
それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書中において電子機器とは、二次電池を有する装置全般を指し、二次電池
を有する電気光学装置、二次電池を有する情報端末装置、二次電池を有する車両などは全
て電子機器である。
【背景技術】
【0004】
近年、スマートフォンで代表される携帯情報端末が活発に開発されている。電子機器の一
種である携帯情報端末は軽量であることが使用者の要望が大きい。
【0005】
また、軍事市場や商業市場などにおいては、着用可能なウェアラブルデバイスが要望され
ている。場所を選ばず、なおかつ両手の自由が束縛されることなく、視覚を通して情報が
得られるウェアラブルデバイスの一例として、特許文献1が開示されている。特許文献1
には、通信が可能であり、CPUを含むゴーグル型表示装置が開示されている。特許文献
1のデバイスも電子機器の一種に含む。
【0006】
ウェアラブルデバイスや携帯情報端末は、繰り返し充電または放電が可能な二次電池(バ
ッテリーとも呼ぶ)を搭載することが多く、ウェアラブルデバイスや携帯情報端末は、そ
の軽量、小型であるがゆえに搭載される電池の容量が制限されるため、ウェアラブルデバ
イスや携帯情報端末の操作時間が限られてしまう問題がある。ウェアラブルデバイスや携
帯情報端末に搭載する二次電池としては、軽量であり、長時間の使用が可能であることが
求められている。
【0007】
二次電池としては、ニッケル水素電池や、リチウムイオン二次電池などが挙げられる。中
でも、リチウムイオン二次電池は、高容量、且つ、小型化が図れるため、開発が盛んに行
われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
使用者の装着感を快適なものとするため、人体に装着して使用される表示装置は軽量化、
及び小型化が求められ、さらに表示装置の駆動装置や電源を含めた電子機器全体の軽量化
が求められる。
【0010】
新規な構造の電子機器を提供する。具体的には、さまざまな外観形状にすることができる
新規な構造の電子機器を提供する。より具体的には、腕に装着して使用する腕装着型電子
機器を提案する。また、腕に装着して使用する腕装着型二次電池を提案する。なお、これ
らの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必
ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
新規デバイスは、少なくとも曲面を有するディスプレイと、曲げることのできる二次電池
とを有する。さらに、新規デバイスは、機能素子を1つまたは複数有することが好ましく
、例えばセンサとして、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液
、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、
湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。
また、新規デバイスは、タッチパネル、アンテナ、発電素子、スピーカなどの機能素子を
有してもよい。
【0012】
また、新規デバイスは、少なくともディスプレイを表示するための駆動回路、二次電池を
有線または無線で充電するための回路、二次電池の過充電などを防止する保護回路を有し
、さらにその他の機能素子を制御または駆動するための回路、具体的には集積回路(CP
Uなど)を有してもよい。
【0013】
また、外気に触れる新規デバイスの表面は、フィルム1枚または2枚以上で封止されてい
る。フィルムは、表面保護特性、形状維持特性、光学特性、及びガスバリア特性から選ば
れる一または複数を有する。
【0014】
また、フィルムは、無機膜または有機膜を形成させた積層構造であってもよく、例えばガ
スバリア性の高い保護膜を形成した有機樹脂基板は、ガスバリアフィルムと呼べる。
【0015】
また、新規デバイスに用いるディスプレイは曲率半径5mmの曲げ伸ばし試験で10万回
の曲げ伸ばしに耐えるディスプレイを用い、曲率半径1mm以上、好ましくは曲率半径5
mm以上曲率半径150mmの範囲で身体の一部、例えば腕に装着させる。ディスプレイ
を湾曲させて断面を円弧状とすると曲率中心に近いフィルム面は圧縮応力がかかり、曲率
中心に遠いフィルム面は引っ張り応力がかかる。なお、腕に装着時の曲面を有するディス
プレイの曲率中心は、腕の内部または、胴体付近となる。二次電池の外装体であるフィル
ムは、1枚または2枚で構成されており、積層構造の二次電池である場合、湾曲させた電
池の断面構造は、外装体であるフィルムの2つの曲線で挟まれた構造となる。
【0016】
新規デバイスの構成は、曲率半径が1mm以上150mm以下の曲面を有する表示部と、
曲率半径が10mm以上150mm以下の曲面を有する二次電池と、表示部及び二次電池
を使用者の上腕部に取り付ける部材とを有し、表示部の一部が二次電池と互いに重なる半
導体装置である。
【0017】
使用者が新規デバイスを腕に装着する場合、バンド(紐、ワイヤー、ネット、ベルトなど
)やバネなどで固定することができる。上腕部の肌に直接接して装着する方式や、上腕部
に重なる服の上から装着して新規デバイスを固定する方式や、上腕部に重なる服に縫製加
工によって縫い付ける方式や、上腕部に重なる服にマジックテープ(登録商標)で代表さ
れる面状ファスナなどを設けて新規デバイスを貼り付ける方式などがある。
【0018】
新規デバイスは、外気に触れる二枚のフィルムの間にディスプレイや二次電池を有する構
造となっている。表示部の一部が二次電池と重なり、表示部の曲率半径は、二次電池の曲
率半径と異なる。二次電池に比べてディスプレイの方の厚さが5mm以下と薄い。また、
ディスプレイの厚さが薄い場合には、ディスプレイと二次電池とを接して重ねると表示部
の曲率半径と二次電池の曲率半径をほぼ同一にすることもできる。
【0019】
面の曲率半径について、
図6を用いて説明する。
図6(A)において、曲面1700を切
断した平面1701において、曲面1700に含まれる曲線1702の一部を円の弧に近
似して、その円の半径を曲率半径1703とし、円の中心を曲率中心1704とする。図
6(B)に曲面1700の上面図を示す。
図6(C)に、平面1701で曲面1700を
切断した断面図を示す。曲面を平面で切断するとき、曲面に対する平面の角度や切断する
位置に応じて、断面に現れる曲線の曲率半径は異なるものとなるが、本明細書では、最も
小さい曲率半径を面の曲率半径とする。
【0020】
2枚のフィルムを外装体として電極・電解液などを含む内容物1805を挟む二次電池を
湾曲させた場合には、二次電池の曲率中心1800に近い側のフィルム1801の曲率半
径1802は、曲率中心1800から遠い側のフィルム1803の曲率半径1804より
も小さい(
図7(A))。二次電池を湾曲させて断面を円弧状とすると曲率中心1800
に近いフィルムの表面には圧縮応力がかかり、曲率中心1800から遠いフィルムの表面
には引っ張り応力がかかる(
図7(B))。外装体の表面に凹部または凸部で形成される
模様を形成すると、このように圧縮応力や引っ張り応力がかかったとしても、ひずみによ
る影響を許容範囲内に抑えることができる。そのため、二次電池は、曲率中心に近い側の
外装体の曲率半径が10mm以上好ましくは30mm以上となる範囲で変形することがで
きる。
【0021】
なお、二次電池の断面形状は、単純な円弧状に限定されず、一部が円弧を有する形状にす
ることができ、例えば
図7(C)に示す形状や、波状(
図7(D))、S字形状などとす
ることもできる。二次電池の曲面が複数の曲率中心を有する形状となる場合は、複数の曲
率中心それぞれにおける曲率半径の中で、最も曲率半径が小さい曲面において、2枚の外
装体の曲率中心に近い方の外装体の曲率半径が、10mm以上好ましくは30mm以上と
なる範囲で二次電池が変形することができる。
【0022】
新規デバイス104は、フィルム600と、断面形状が湾曲状をなすコンベックス部材(
ステンレスなど)による帯状の板バネ621とを組み合わせた構造とすると、腕に取り付
けるのも外すのも瞬間的に装着、または脱着できる。この場合、新規デバイス104を腕
の肌に密着させ固定する、或いは服を間に挟んで新規デバイス104を腕に固定する。板
バネ621を用いることにより新規デバイスは、バンドの長さを調節する必要がなく、ま
た、腕の太さによらないデバイスとすることができる。
【0023】
新規デバイスの用途としては様々な形態がある。例えば、夜間において使用者の腕に装着
してディスプレイを発光させれば、交通の安全効果が得られる。また、軍人などが上腕部
に新規デバイスを装着し、ほふく前進を行いながら、上官の指示をリアルタイムで受信し
て上腕部の新規デバイスの表示部に表示された表示を確認することができる。軍人や警備
員が作業を実行する上で頭部にヘルメットをかぶり、両手には武器や道具を有しており、
無線器や携帯電話や頭部に装着するデバイスでは使用が困難である。軍人や警備員が上腕
部に新規デバイスを装着し、両手がふさがったままでもマイクなどの音声入力部への音声
入力などによって新規デバイスの操作を行えることは有用である。新規デバイスは、複数
の表示部を有してもよく、その場合には、曲率半径が1mm以上150mm以下の曲面を
有する第1の表示部と、曲率半径が1mm以上150mm以下の曲面を有する第2の表示
部と、曲率半径が10mm以上150mm以下の曲面を有する二次電池と、を有し、第1
の表示部の一部が二次電池と互いに重なり、第2の表示部の一部が二次電池と互いに重な
る電子機器となる。
【0024】
また、スポーツ分野においても、新規デバイスを有用に使用できる。例えば、マラソンな
どの場合、選手は時間を腕時計で確認するが、腕の振りを一度止めないと時間を確認する
ことが困難である。腕の振りを止めてしまうとリズムが乱れ、競技に支障をきたすおそれ
がある。新規デバイスは、上腕部に装着することで、腕の振りを止めなくとも時間を確認
することが可能であり、さらに他の情報(コースの自分の位置情報や、自分の健康状態な
ど)もディスプレイに表示させることができる。さらに、選手が両手を使うことなく音声
入力などによって新規デバイスの操作を行い、通信機能によって、コーチに指示を仰ぎ、
その指示をスピーカなどの音声出力部による音声出力や表示によって選手が確認できる機
能も備えていると有用である。
【0025】
また、工事現場等においてもヘルメットを装着した作業者が、新規デバイスを腕に装着し
、操作することで安全に作業を行えるよう通信によって情報交換をし、他の人の位置情報
を容易に取得することができる。
【0026】
また、新規デバイスは、身体の一部に取り付けることに限定されず、ロボット(工場用ロ
ボット、人型ロボットなど)や、柱状物体(建築物の柱、電柱、標識ポール)、道具など
に取り付けて用いてもよい。
【発明の効果】
【0027】
新規デバイスを実現できる。新規デバイスを腕に装着することによって、製造業、警察、
消防、医療、老人介護、流通、商品販売などの、手仕事の邪魔にならずに手が自由に使え
る業務形態に有用である。例えば、新規デバイスの表示部に映像を表示させて、入力操作
を行うことによって使用者が様々な情報を映像から得ることができる。また、新規デバイ
スに電話機能やインターネット通信機能を持たせることによって、携帯情報端末として用
いることもできる。また、新規デバイスにCPUなどを搭載することによってコンピュー
タとして利用することもできる。
【0028】
また、新規デバイスは軍事用途として、軍事装備や、車両や飛行機の操縦を行う使用者を
アシストするウェアラブルコンピュータとしても利用できる。また、新規デバイスは宇宙
での作業に用いられる宇宙飛行士の宇宙服の一部または宇宙服の上から装着することもで
きる。勿論、意思疎通のための通信機能や、位置情報の確認なども行えるGPS機能を新
規デバイスに搭載すると、さらに便利である。
【0029】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一態様を示す新規デバイスの装着時の一例を示す外観図である。
【
図2】本発明の一態様を示す新規デバイスの装着時の一例を示す外観図である。
【
図3】本発明の一態様を示す新規デバイスの断面図である。
【
図4】本発明の一態様を示す新規デバイスの装着前の模式図およびその断面図である。
【
図5】本発明の一態様を示す新規デバイスの一例を示す外観図である。
【
図23】繰り返し曲げ試験による電池放電容量変化を示すグラフ。
【
図24】新規デバイスのブロックダイアグラムを示す図。
【
図25】(A)は本発明の一態様を示す新規デバイスの斜視図、(B)は新規デバイスを丸めた状態の斜視図、(C)は新規デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0032】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、発
明を明瞭化するために誇張または省略されている場合がある。よって、必ずしもそのスケ
ールに限定されない。
【0033】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるた
めに付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではな
い。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同
を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、上腕部に装着のできる新規デバイスの一例を示す。その新規デバイス
を服の上から装着する場合の斜視図を
図1に示す。
【0035】
図1に示すように新規デバイス101は、左腕の上腕部に位置する服10の上から装着し
ている。服10としては、軍服、防護服、スーツ、制服、宇宙服などの袖のある服が挙げ
られる。装着する方法としては特に限定されないが、上腕部に重なる服に縫製加工によっ
て縫い付ける方式や、上腕部に重なる服にマジックテープ(登録商標)などを設けて新規
デバイスを貼り付ける方式、バンドや留め金などで固定する方式、帯状の板バネで巻きつ
ける方式などがある。
【0036】
また、新規デバイス101を肌の上から装着し、無線充電を行っている場合の斜視図を図
2に示す。
図2では、上腕11に新規デバイス101を装着している。皮膚に接するため
、新規デバイス101の肌に触れる表面は、肌に優しいフィルムや、皮革、紙、布などの
天然素材を用いることが好ましい。また、14は、電力送信装置であり、新規デバイス1
01に電波13を用いて無線で充電を行うことができる。また、電力だけでなく、その他
の情報も送受信できるアンテナや回路を設けることで、その他の情報も送受信できる。例
えば、新規デバイスをスマートフォンのように用いることもできる。
【0037】
また、
図3に新規デバイスの形状の一例を示す。なお、ここでは、上腕11に接して新規
デバイス101、102、103を示したが、特に限定されず、服の上から装着させても
よい。
【0038】
図3(A)は、側面に表示部が位置する方向に新規デバイス101を置いたとき、水平方
向に切断した断面図である。また、
図3(B)は左腕の上腕11に装着させて胴体12も
切断した場合の模式図である。新規デバイス101を左腕の上腕11に装着させる場合に
は、新規デバイスの端部と、もう一方の端部をバンドや、マジックテープ(登録商標)な
どで固定することで装着できる。
【0039】
図3(C)は、筐体をリング状または円筒状の新規デバイス102とする例を示している
。また、
図3(D)は左腕の上腕11に装着させて胴体12も切断した場合の断面模式図
である。この場合、上腕11の形状に合わせて新規デバイス102を設計してもよいが、
動きにくくなる恐れがあり、ヒンジなどを筐体に設けて留め金などで固定することが好ま
しい。
【0040】
また、
図3(E)は、帯状の板バネを用いて新規デバイス103とする例を示している。
この場合、新規デバイスの端部は、もう一方の端部と重なる形状となる。また、
図3(F
)は左腕の上腕11に装着させて胴体12も切断した場合の模式図である。帯状の板バネ
によって、左腕の上腕11に巻きつくように固定されている。帯状の板バネを用いると、
腕に取り付けるのも外すのも瞬間的に装着、または脱着できる。また、
図25(A)に示
したように帯状の板バネを広げた状態でも使用することができ、その場合は、わずかに幅
方向に湾曲した曲面を有する表示領域620を有する新規デバイス104となる。例えば
、
図25(A)に示す新規デバイスの表面(フィルム622の表面)を軽く押すとブレス
レッドのように丸まり、
図25(B)に示すように長さ方向に湾曲した曲面の表示領域6
20を有する新規デバイス104に変形する。また、
図25(C)に示すように新規デバ
イス104の内部構成としては、腕に接する側から、フィルム623、フィルム623上
に帯状の板バネ621、帯状の板バネ621上にフィルム622が配置され、フィルム6
22上にフィルム600が接着層(図示しない)などによって固定される。
【0041】
また、
図3(A)に示した新規デバイス101を平面状に広げた場合の平面図の一例を図
4(A)に示す。また、
図4(A)中の鎖線ABを切断した断面図を
図4(B)に示す。
【0042】
なお、
図4(A)は模式図であり、最小限の部分のみを図示しており、各配置や、種類な
どは特に限定されない。
【0043】
新規デバイス101は、FPC604を有する表示パネルと、二次電池モジュールを有し
ている。表示パネルは、発光素子がマトリクス状に配置されたフィルム605と、封止フ
ィルム608と、フィルム605と封止フィルム608とを固定する封止材607と、端
子部に電気的に接続されているFPC604を有している。フィルム605と封止フィル
ム608はどちらも可撓性を有する樹脂を含むフィルム材料を用い、表示パネルは軽量で
あり、可撓性を有する。表示パネルは曲げることによって曲率半径が1mm以上150m
m以下の曲面とすることができる。封止フィルム608は、発光素子の光を通すため、透
光性の高いアラミド樹脂を用いることが好ましい。
【0044】
二次電池モジュールは、可撓性を有する二次電池601と、二次電池の端子(電極タブと
も呼ぶ)602とを有している。可撓性を有する二次電池601は、曲げることによって
曲率半径が10mm以上150mm以下の曲面とすることができる。可撓性を有する二次
電池601と表示パネルは重ねて設けられており、表示領域610から映像を表示するこ
とができる。
【0045】
新規デバイス101の有する曲面の曲率中心から見た時、表示パネルは、可撓性を有する
二次電池601よりも遠い位置にある。従って、本実施の形態では、可撓性を有する二次
電池601の曲率半径のほうが、表示パネルよりも小さい例である。なお、表示パネルと
可撓性を有する二次電池601との間隔を広くして、可撓性を有する二次電池601と表
示パネルの曲率半径をほぼ同じに設計してもよい。
【0046】
また、二次電池モジュールの端子602は回路基板603に設けられている充電回路と電
気的に接続されている。充電回路は、過充電防止回路を含む。また、表示パネルのFPC
も回路基板603に設けられている駆動回路と電気的に接続されている。回路基板におい
ては、充電回路や駆動回路のほかにも電源回路や映像信号処理回路などが適宜設けられ、
二次電池を電源として表示パネルに映像が表示できるように設けられている。
【0047】
また、送受信回路611を有している。送受信回路611は、二次電池モジュールの端子
602に電気的に接続するRF給電用コンバータとアンテナを有する。送受信回路611
を設けることによって、充電器(図示しない)のアンテナから電力を新規デバイス101
に供給して、新規デバイス101の二次電池601に充電することができる。
【0048】
また、二次電池601の残量や、満充電までの残り時間などの情報は、新規デバイス10
1の表示領域610で表示させることが可能である。
【0049】
また、送受信回路611は、通信回路を有していてもよく、映像情報を受信または送信す
ることができる。また、音声情報も送受信することもできる。
【0050】
また、送受信回路611は、使用者の位置情報を取得するため、GPS機能を有する回路
を搭載してもよい。GPSは、誤差が含まれないようにすれば正確な位置情報を得ること
ができる。例えば、相対測位方式(Differential GPS)や干渉測位方式
(Real Time Kinematic GPS)で測位することが好ましい。送受
信回路611で得られた位置情報は、新規デバイス101の表示領域610で表示させる
ことが可能である。
【0051】
また、表示領域610以外の領域には保護フィルム612を設けており、表示領域以外の
領域をマスキングする。なお、保護フィルム612に変えて筐体で覆う構造としてもよい
。また、フィルム600の開口613を通すようにバンド609が固定されており、バン
ドを腕に固定することで腕の曲面に沿った曲面を有する新規デバイス101を装着するこ
ととなる。
【0052】
勿論、装着方法は、バンドに限定されず、上腕部の肌に直接接して装着する方式や、上腕
部に重なる服の上から装着して新規デバイスを固定する方式や、上腕部に重なる服に縫製
加工によって縫い付ける方式や、上腕部に重なる服にマジックテープ(登録商標)などを
設けて新規デバイスを貼り付ける方式、帯状の板バネを用いて装着する方式などのいずれ
か一を適宜、新規デバイス設計者が決定すればよい。例えば、
図4(A)に示すフィルム
600の下側に重なるように帯状の板バネ(表面を軽く押すとブレスレッドのように丸ま
る板バネ)を固定すればよく、その場合、フィルム600に開口を設けなくともよい。な
お、
図25(C)に一例を示したように、板バネ621は、板バネの周囲を緩衝材(ゴム
、フィルム、布など)で囲む構成とする。
図25(C)では、上腕部に接するフィルム6
23と、フィルム622との間に板バネ621を有しており、フィルム622上にフィル
ム600と、フィルム600上に二次電池601と、二次電池601上に表示パネルを有
し、板バネ621の変形に追従してフィルム600、二次電池601、及び表示パネルが
変形する。また、板バネの材料としてステンレスではなく、FRP(繊維強化プラスチッ
ク)を用いれば、軽量化することもできる。また、使用者が適宜、新規デバイスを装着す
る方式を選択できるようにしてもよい。
【0053】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる新規デバイスの例を
図5(A)に示す。本実
施の形態では複数の表示パネルを有する新規デバイス501を以下に説明する。
【0054】
図5(A)に示す新規デバイス501は、3つの表示パネルを搭載させて複数の表示領域
を有しており、その3つの表示パネルの表示面が異なっているため、側面から広い範囲で
いずれか一の表示パネルの表示面を視認できる。即ち、新規デバイス501を回転させて
装着位置を正確に決めなくとも使用者が便利に使用できる。
【0055】
図5(A)に示す新規デバイス501は、使用者が上腕部に装着した場合に、新規デバイ
ス501の側面の表示領域502a、502b、502cだけでなく、上面の表示領域5
04a、504b、504cも視認することができ、腕をどのように動かしても側面また
は上面からの画像情報を確認することができる。従って、新規デバイスの表示を見るため
に腕を動かす必要をなくすことができる。このことは使用者の両手が塞がっている場合に
有用であり、どのような作業をしていても表示を確認する場合には、使用者が首を動かす
、または視点を変えるだけでいずれかの表示を見ることができる。
【0056】
一つの表示パネルは、上面のみに曲面を有していてもよく、曲率半径1mm以上曲率半径
20mm以下の曲面を上面の一部に有している。
【0057】
また、
図5(A)中には鎖線で示した領域に可撓性を有する二次電池505を有している
。可撓性を有する二次電池505のみを
図5(B)に図示している。新規デバイス501
の曲率半径を30mm以上70mm以下とすると、可撓性を有する二次電池505も曲率
半径を30mm以上70mm以下の範囲とすることが好ましい。本実施の形態では、表示
パネルの曲率半径のほうが、可撓性を有する二次電池505よりも小さい例である。
【0058】
また、
図5(A)では、可撓性を有する二次電池505は、2つのパネルと重なっている
例を示したが特に限定されない。
【0059】
また、3つの表示モジュールのそれぞれにタッチパネルを設けてもよく、
図5(A)では
、タッチパネル入力ボタン503a、503b、503cを示している。上腕部に新規デ
バイス501を装着する場合、脇に近い部分にタッチパネル入力ボタン503a、503
b、503cがあると、肌が露出している胴体に接触、または押されると誤動作が生じる
恐れがあるため、部分的にタッチパネルをオフにすることが好ましい。
【0060】
また、筐体500は、新規デバイス501の内部を保護、或いはマスキングできるのであ
れば、可撓性を有していてもよいし、可撓性を有していなくてもよい。筐体500が可撓
性を有していなくとも複数の表示パネルの部分が可撓性を有する構成とすることで新規デ
バイス501に可撓性を持たせてもよい。
【0061】
また、
図5(A)では筐体500に表示パネルと可撓性を有する二次電池505のみを図
示しているが、簡略化のため、他の回路や、接続などを図示していない。
図5(A)の筐
体500内には、ディスプレイを表示するための駆動回路、二次電池を有線または無線で
充電するための回路、二次電池の過充電などを防止する保護回路、その他の機能素子を制
御または駆動するための集積回路(CPUなど)、GPS機能を有する回路、または通話
機能を有する回路を設ける。
【0062】
新規デバイス501は円筒形の例を示したが特に限定されず、実施の形態1に示したよう
に様々な形状であってもよい。また、新規デバイス501のサイズは腕を通す開口の円周
長さが200mm以上450mm以下の範囲とすればよく、新規デバイス501は、曲率
半径30mm以上曲率半径70mm以下であれば、人間の腕に適したサイズとすることが
できる。また、腕のサイズに合わせて円筒の内部空間を調節できるように筐体500と腕
の間に円環状の空気袋を設け、空気を入れる量によって固定してもよい。
【0063】
また、新規デバイス501は3つの表示パネルの例を示したが特に限定されず、一つでも
よい。また、2つでもよいし、4つ以上としてもよい。また、表示パネルの画面サイズも
それぞれ同じでもよいし、異なってもよい。
【0064】
なお、複数の表示パネルとするメリットとして、一つ故障しても他の表示パネルが独立し
て使用可能であることは有用である。特に、危険な領域での作業や、軍事や、宇宙におい
ては、一つの表示パネルのみであった場合にそれが何らかの原因で破壊されると、通信機
能や、その他の機能があってもデバイスの操作が困難となってしまうためである。
【0065】
また、本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0066】
(実施の形態3)
本実施の形態では、剥離法を用いて可撓性を有する表示パネルを作製する例を示す。本実
施の形態では剥離層を用いて作製する例を以下に示す。
【0067】
まず、作製基板201上に剥離層203を形成し、剥離層203上に被剥離層205を形
成する(
図8(A))。また、作製基板221上に剥離層223を形成し、剥離層223
上に被剥離層225を形成する(
図8(B))。
【0068】
作製基板201には、少なくとも作製工程中の処理温度に耐えうる耐熱性を有する基板を
用いる。作製基板201としては、例えばガラス基板、石英基板、サファイア基板、半導
体基板、セラミック基板、金属基板、樹脂基板、プラスチック基板などを用いることがで
きる。
【0069】
なお、量産性を向上させるため、作製基板201として大型のガラス基板を用いることが
好ましい。例えば、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×
720mm、または620mm×750mm)、第4世代(680mm×880mm、ま
たは730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)、第6世代(
1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(
2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm
×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のガラス基板、又はこ
れよりも大型のガラス基板を用いることができる。
【0070】
作製基板201にガラス基板を用いる場合、作製基板201と剥離層203との間に、下
地膜として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン
膜等の絶縁層を形成すると、剥離層を選択的にエッチングする際に下地膜をエッチングス
トッパーとして機能させ、ガラス基板を保護することができ、好ましい。
【0071】
例えば、剥離層としてタングステン膜を用いたときに、N2Oプラズマ処理を行うことで
、タングステン膜と被剥離層の間に酸化タングステン膜を形成することができる。N2O
プラズマ処理を行い、酸化タングステン膜を形成することで、小さい力で被剥離層を剥離
することができる。このとき、タングステン膜と酸化タングステン膜の界面で分離するこ
とで、被剥離層側に酸化タングステン膜が残存する場合がある。そして、酸化タングステ
ン膜が残存することで、トランジスタの特性に悪影響を及ぼすことがある。したがって、
剥離層と被剥離層の分離工程の後に、酸化タングステン膜を除去する工程を有することが
好ましい。
【0072】
また、本発明の一態様は、基板上に、厚さ0.1nm以上200nm未満のタングステン
膜を用いる。本実施の形態では膜厚30nmのタングステン膜をスパッタ法により形成す
る。
【0073】
次に、作製基板201と作製基板221とを、それぞれの被剥離層が形成された面が対向
するように、接合層207及び枠状の接合層211を用いて貼り合わせ、接合層207及
び枠状の接合層211を硬化させる(
図8(C))。ここでは、被剥離層225上に枠状
の接合層211と、枠状の接合層211の内側の接合層207とを設けた後、作製基板2
01と作製基板221とを、対向させ、貼り合わせる。
【0074】
なお、作製基板201と作製基板221の貼り合わせは減圧雰囲気下で行うことが好まし
い。
【0075】
なお、
図8(C)では、剥離層203との剥離層223の大きさが異なる場合を示したが
、
図8(D)に示すように、同じ大きさの剥離層を用いてもよい。
【0076】
接合層207は剥離層203、被剥離層205、被剥離層225、及び剥離層223と重
なるように配置する。そして、接合層207の端部は、剥離層203又は剥離層223の
少なくとも一方(先に剥離したい方)の端部よりも内側に位置することが好ましい。これ
により、作製基板201と作製基板221が強く密着することを抑制でき、後の剥離工程
の歩留まりが低下することを抑制できる。
【0077】
次に、レーザ光の照射により、剥離の起点を形成する(
図9(A)、(B))。
【0078】
作製基板201及び作製基板221はどちらから剥離してもよい。剥離層の大きさが異な
る場合、大きい剥離層を形成した基板から剥離してもよいし、小さい剥離層を形成した基
板から剥離してもよい。一方の基板上にのみ半導体素子、発光素子、表示素子等の素子を
作製した場合、素子を形成した側の基板から剥離してもよいし、他方の基板から剥離して
もよい。ここでは、作製基板201を先に剥離する例を示す。
【0079】
レーザ光は、硬化状態の接合層207又は硬化状態の枠状の接合層211と、被剥離層2
05と、剥離層203とが重なる領域に対して照射する。ここでは、接合層207が硬化
状態であり、枠状の接合層211が硬化状態でない場合を例に示し、硬化状態の接合層2
07にレーザ光を照射する(
図9(A)の矢印P3参照)。
【0080】
被剥離層205の一部を除去することで、剥離の起点を形成できる(
図9(B)の点線で
囲った領域参照)。このとき、被剥離層205の一部だけでなく、剥離層203、接合層
207の一部を除去してもよい。
【0081】
レーザ光は、剥離したい剥離層が設けられた基板側から照射することが好ましい。剥離層
203と剥離層223が重なる領域にレーザ光の照射をする場合は、被剥離層205及び
被剥離層225のうち被剥離層205のみにクラックを入れることで、選択的に作製基板
201及び剥離層203を剥離することができる(
図9(B)の点線で囲った領域参照)
。
【0082】
剥離層203と剥離層223が重なる領域にレーザ光を照射する場合、剥離層203側の
被剥離層205と剥離層223側の被剥離層225の両方に剥離の起点を形成してしまう
と、一方の作製基板を選択的に剥離することが難しくなる恐れがある。したがって、一方
の被剥離層のみにクラックを入れられるよう、レーザ光の照射条件が制限される場合があ
る。
【0083】
そして、形成した剥離の起点から、被剥離層205と作製基板201とを分離する(
図9
(C)、(D))。これにより、被剥離層205を作製基板201から作製基板221に
転置することができる。
【0084】
図9(D)に示す工程で作製基板201から分離した被剥離層205と、基板231とを
接合層233を用いて貼り合わせ、接合層233を硬化させる(
図10(A))。
【0085】
次に、カッターなどの鋭利な刃物により、剥離の起点を形成する(
図10(B)、(C)
)。
【0086】
剥離層223が設けられていない側の基板231が刃物等で切断できる場合、基板231
、接合層233、及び被剥離層225に切り込みを入れてもよい(
図10(B)の矢印P
5参照)。これにより、被剥離層225の一部を除去し、剥離の起点を形成できる(
図1
0(C)の点線で囲った領域参照)。
【0087】
図10(B)、(C)で示すように、例えば、作製基板221及び基板231が剥離層2
23と重ならない領域で接合層233によって貼り合わされている場合、作製基板221
と基板231の密着性の高さにより、後の剥離工程で剥離が行われない箇所が発生し、歩
留まりが低下することがある。したがって、硬化状態の接合層233と剥離層223とが
重なる領域に枠状に切り込みを入れ、実線状に剥離の起点を形成することが好ましい。こ
れにより、剥離工程の歩留まりを高めることができる。
【0088】
そして、形成した剥離の起点から、被剥離層225と作製基板221とを分離する(
図1
0(D))。これにより、被剥離層225を作製基板221から基板231に転置するこ
とができる。
【0089】
また、剥離層223と被剥離層225との界面に水などの液体を浸透させて作製基板22
1と被剥離層225とを分離してもよい。毛細管現象により液体が剥離層223と被剥離
層225の間にしみこむことで、容易に分離することができる。また、剥離時に生じる静
電気が、被剥離層225に含まれる機能素子に悪影響を及ぼすこと(半導体素子が静電気
により破壊されるなど)を抑制できる。なお、液体を霧状又は蒸気にして吹き付けてもよ
い。液体としては、純水や有機溶剤などを用いることができ、中性、アルカリ性、もしく
は酸性の水溶液や、塩が溶けている水溶液などを用いてもよい。
【0090】
以上に示した本発明の一態様の剥離方法では、鋭利な刃物等により剥離の起点を形成し、
剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから、剥離を行う。これにより、剥離工程
の歩留まりを向上させることができる。
【0091】
また、それぞれ被剥離層が形成された一対の作製基板をあらかじめ貼り合わせた後に、剥
離をし、作製したい装置を構成する基板を貼り合わせることができる。したがって、被剥
離層の貼り合わせの際に、可撓性が低い作製基板どうしを貼り合わせることができ、可撓
性基板どうしを貼り合わせた際よりも貼り合わせの位置合わせ精度を向上させることがで
きる。
【0092】
また、上述した剥離方法を用いて作製できるフレキシブルな発光装置の一例について、以
下に説明する。
【0093】
図12、及び
図13に発光素子として有機EL素子を用いたフレキシブルな発光装置の一
例を示す。本実施の形態のフレキシブルな発光装置は、例えば、曲率半径1mm以上15
0mm以下で曲げることができる。曲げる方向は問わない。また、曲げる箇所は1か所で
あっても2か所以上であってもよく、例えば、発光装置を二つ折りや三つ折りにすること
ができる。
【0094】
例えば、本発明の一態様の発光装置は、第1の可撓性基板と、第2の可撓性基板と、該第
1の可撓性基板及び該第2の可撓性基板の間の発光素子と、該第1の可撓性基板及び該発
光素子の間の第1の絶縁層と、該第2の可撓性基板及び該発光素子の間の第1の接合層と
、を有し、該発光素子は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を有し、該第1の
絶縁層の水蒸気透過率は1×10-5g/m2・day未満である。
【0095】
上記発光装置において、該第2の可撓性基板及び該第1の接合層の間の第2の絶縁層を有
し、該第2の絶縁層の水蒸気透過率は1×10-5g/m2・day未満であることが好
ましい。また、上記発光装置において、該第1の接合層を囲う枠状の第2の接合層を有す
ることが好ましい。
【0096】
なお、本明細書中において、発光装置とは、発光素子を用いた表示装置を含む。また、発
光素子にコネクター、例えば異方導電性フィルム、もしくはTCP(Tape Carr
ier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が
設けられたモジュール、又は発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によ
りIC(集積回路)が直接実装されたモジュールは、発光装置に含まれる場合がある。さ
らに、照明器具等も、発光装置に含まれる場合がある。
【0097】
<構成例1>
図11(A1)に発光装置の平面図を示し、
図11(B)に、
図11(A1)の一点鎖線
X3-Y3間の断面図を示す。
図11(B)に示す発光装置は塗り分け方式を用いたトッ
プエミッション型の発光装置である。本実施の形態において、発光装置は、例えば、R(
赤)、G(緑)、B(青)の3色の発光ユニットで1つの色を表現する構成や、R(赤)
、G(緑)、B(青)、W(白)の4色の発光ユニットで1つの色を表現する構成等が適
用できる。色要素としては特に限定はなく、RGBW以外の色を用いてもよく、例えば、
イエロー、シアン、マゼンタなどで構成されてもよい。
【0098】
図11(A1)に示す発光装置は、表示部となる発光部491、駆動回路部493、FP
C(Flexible Printed Circuit)495を有する。発光部49
1及び駆動回路部493に含まれる有機EL素子やトランジスタは可撓性基板420、可
撓性基板428、枠状の接合層404、及び接合層407によって封止されている。
図1
1(B)では、枠状の接合層404の開口部において、導電層457と接続体497が接
続している例を示す。
【0099】
図11(B)に示す発光装置は、可撓性基板420、接着層422、絶縁層424、トラ
ンジスタ455、絶縁層463、絶縁層465、絶縁層405、有機EL素子450(第
1の電極401、EL層402、及び第2の電極403)、枠状の接合層404、接合層
407、可撓性基板428、及び導電層457を有する。可撓性基板428、接合層40
7、及び第2の電極403は可視光を透過する。
【0100】
図11(B)に示す発光装置の発光部491では、接着層422及び絶縁層424を介し
て可撓性基板420上にトランジスタ455及び有機EL素子450が設けられている。
有機EL素子450は、絶縁層465上の第1の電極401と、第1の電極401上のE
L層402と、EL層402上の第2の電極403とを有する。第1の電極401は、ト
ランジスタ455のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。第1の電極4
01は可視光を反射することが好ましい。第1の電極401の端部は絶縁層405で覆わ
れている。
【0101】
駆動回路部493は、トランジスタを複数有する。
図11(B)では、駆動回路部493
が有するトランジスタのうち、1つのトランジスタを示している。
【0102】
導電層457は、駆動回路部493に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタ
ート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。こ
こでは、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。
【0103】
工程数の増加を防ぐため、導電層457は、発光部や駆動回路部に用いる電極や配線と同
一の材料、同一の工程で作製することが好ましい。ここでは、導電層457を、トランジ
スタを構成する電極と同一の材料、同一の工程で作製した例を示す。
【0104】
絶縁層463は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏す
る。また、絶縁層465は、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を
有する絶縁層を選択することが好適である。
【0105】
枠状の接合層404は、接合層407よりもガスバリア性が高い層であることが好ましい
。これにより、外部から水分や酸素が発光装置に侵入することを抑制できる。したがって
、信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0106】
構成例1では、接合層407を介して有機EL素子450の発光が発光装置から取り出さ
れる。したがって、接合層407は、枠状の接合層404に比べて透光性が高いことが好
ましい。また、接合層407は、枠状の接合層404に比べて屈折率が高いことが好まし
い。また、接合層407は、枠状の接合層404に比べて硬化時の体積の収縮が小さいこ
とが好ましい。
【0107】
構成例1として示す発光装置は、上述した剥離方法を用いて歩留まりよく作製することが
できる。上述した剥離方法において、絶縁層424や各トランジスタを被剥離層として作
製基板上に形成することで、絶縁層424やトランジスタを高温で形成することができる
。高温をかけて形成した絶縁層424やトランジスタを用いることで、信頼性の高い発光
装置を実現できる。なお、被剥離層として、さらに有機EL素子450等を形成してもよ
い。
【0108】
<構成例2>
図11(A2)に発光装置の平面図を示し、
図11(C)に、
図11(A2)の一点鎖線
X4-Y4間の断面図を示す。
図11(C)に示す発光装置はカラーフィルタ方式を用い
たボトムエミッション型の発光装置である。
【0109】
図11(C)に示す発光装置は、可撓性基板420、接着層422、絶縁層424、トラ
ンジスタ454、トランジスタ455、絶縁層463、着色層432、絶縁層465、導
電層435、絶縁層467、絶縁層405、有機EL素子450(第1の電極401、E
L層402、及び第2の電極403)、接合層407、可撓性基板428、及び導電層4
57を有する。可撓性基板420、接着層422、絶縁層424、絶縁層463、絶縁層
465、絶縁層467、及び第1の電極401は可視光を透過する。
【0110】
図11(C)に示す発光装置の発光部491では、接着層422及び絶縁層424を介し
て可撓性基板420上にスイッチング用のトランジスタ454、電流制御用のトランジス
タ455、及び有機EL素子450が設けられている。有機EL素子450は、絶縁層4
67上の第1の電極401と、第1の電極401上のEL層402と、EL層402上の
第2の電極403とを有する。第1の電極401は、導電層435を介してトランジスタ
455のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。第1の電極401の端部
は絶縁層405で覆われている。第2の電極403は可視光を反射することが好ましい。
また、発光装置は、絶縁層463上に有機EL素子450と重なる着色層432を有する
。
【0111】
駆動回路部493は、トランジスタを複数有する。
図11(C)では、駆動回路部493
が有するトランジスタのうち、2つのトランジスタを示している。
【0112】
導電層457は、駆動回路部493に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電
気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。
また、ここでは、導電層457を、導電層435と同一の材料、同一の工程で作製した例
を示す。
【0113】
絶縁層463は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏す
る。また、絶縁層465及び絶縁層467は、トランジスタや配線起因の表面凹凸を低減
するために平坦化機能を有する絶縁層を選択することが好適である。
【0114】
なお、
図12(A)に示すように、可撓性基板420と重ねてタッチセンサを設けてもよ
い。タッチセンサは、導電層441、導電層442、絶縁層443を有している。また、
図12(B)に示すように、可撓性基板420とタッチセンサの間に、可撓性基板444
を設けてもよい。なお、タッチセンサは、可撓性基板420と可撓性基板444との間に
設けてもよい。タッチセンサ用のFPC445を有していてもよい。
【0115】
構成例2として示す発光装置は、上述した剥離方法を用いて歩留まりよく作製することが
できる。上述した剥離方法において、絶縁層424や各トランジスタを被剥離層として作
製基板上に形成することで、絶縁層424やトランジスタを高温で形成することができる
。高温をかけて形成した絶縁層424やトランジスタを用いることで、信頼性の高い発光
装置を実現できる。なお、被剥離層として、さらに有機EL素子450等を形成してもよ
い。
【0116】
<構成例3>
図13(A1)に発光装置の平面図を示し、
図13(B)に、
図13(A1)の一点鎖線
X5-Y5間の断面図を示す。
図13(A1)に示す発光装置はカラーフィルタ方式を用
いたトップエミッション型の発光装置である。
【0117】
図13(B)に示す発光装置は、可撓性基板420、接着層422、絶縁層424、トラ
ンジスタ455、絶縁層463、絶縁層465、絶縁層405、スペーサ496、有機E
L素子450(第1の電極401、EL層402、及び第2の電極403)、接合層40
7、オーバーコート453、遮光層431、着色層432、絶縁層226、接着層426
、可撓性基板428、及び導電層457を有する。可撓性基板428、接着層426、絶
縁層226、接合層407、オーバーコート453、及び第2の電極403は可視光を透
過する。
【0118】
図13(B)に示す発光装置の発光部491では、接着層422及び絶縁層424を介し
て可撓性基板420上にトランジスタ455及び有機EL素子450が設けられている。
有機EL素子450は、絶縁層465上の第1の電極401と、第1の電極401上のE
L層402と、EL層402上の第2の電極403とを有する。第1の電極401は、ト
ランジスタ455のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。第1の電極4
01の端部は絶縁層405で覆われている。第1の電極401は可視光を反射することが
好ましい。絶縁層405上には、スペーサ496を有する。スペーサ496を設けること
で、可撓性基板420と可撓性基板428の間隔を調整することができる。
【0119】
また、発光装置は、接合層407を介して有機EL素子450と重なる着色層432を有
し、接合層407を介して絶縁層405と重なる遮光層431を有する。
【0120】
駆動回路部493は、トランジスタを複数有する。
図13(B)では、駆動回路部493
が有するトランジスタのうち、1つのトランジスタを示している。
【0121】
導電層457は、駆動回路部493に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電
気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。
また、ここでは、導電層457を、トランジスタ455を構成する電極と同一の材料、同
一の工程で作製した例を示す。
【0122】
図13(B)に示す発光装置では、接続体497が可撓性基板428上に位置する。接続
体497は、可撓性基板428、接着層426、絶縁層226、接合層407、絶縁層4
65、及び絶縁層463に設けられた開口を介して導電層457と接続している。また、
接続体497はFPC495に接続している。接続体497を介してFPC495と導電
層457は電気的に接続する。導電層457と可撓性基板428とが重なる場合には、可
撓性基板428を開口する(又は開口部を有する可撓性基板を用いる)ことで、導電層4
57、接続体497、及びFPC495を電気的に接続させることができる。
【0123】
絶縁層424は、ガスバリア性が高いことが好ましい。これにより、可撓性基板420側
から水分や酸素が発光装置に侵入することを抑制できる。同様に、絶縁層226は、ガス
バリア性が高いことが好ましい。これにより、可撓性基板428側から水分や酸素が発光
装置に侵入することを抑制できる。
【0124】
構成例3として示す発光装置は、上述した剥離方法を用いて歩留まりよく作製することが
できる。上述した剥離方法では、作製基板上に、絶縁層424や各トランジスタ、有機E
L素子450等を被剥離層として形成する。そして、別の作製基板上に、被剥離層として
、絶縁層226や着色層432、遮光層431等を被剥離層として形成する。この2つの
作製基板を貼り合わせた後、被剥離層と作製基板を分離し、被剥離層と可撓性基板を接着
層で貼り合わせることで、構成例3として示す発光装置を作製できる。
【0125】
本発明の一態様の剥離方法では、作製基板上で絶縁層やトランジスタを高温で形成するこ
とができる。高温をかけて形成した絶縁層424、絶縁層226及びトランジスタを用い
ることで、信頼性の高い発光装置を実現できる。有機EL素子450の上下に高温で形成
したガスバリア性の高い絶縁層(絶縁層226及び絶縁層424)を配置することができ
る。これにより、有機EL素子450に水分等の不純物が混入することを抑制できる。
【0126】
<構成例4>
図13(A2)に発光装置の平面図を示し、
図13(C)に、
図13(A2)の一点鎖線
X6-Y6間の断面図を示す。
図13(A2)に示す発光装置はカラーフィルタ方式を用
いたトップエミッション型の発光装置である。
【0127】
図13(C)に示す発光装置は、可撓性基板420、接着層422、絶縁層424、トラ
ンジスタ455、絶縁層463、絶縁層465、絶縁層405、有機EL素子450(第
1の電極401、EL層402、及び第2の電極403)、枠状の接合層404a、枠状
の接合層404b、接合層407、オーバーコート453、遮光層431、着色層432
、絶縁層226、接着層426、可撓性基板428、及び導電層457を有する。可撓性
基板428、接着層426、絶縁層226、接合層407、オーバーコート453、及び
第2の電極403は可視光を透過する。
【0128】
図13(C)に示す発光装置の発光部491では、接着層422及び絶縁層424を介し
て可撓性基板420上にトランジスタ455及び有機EL素子450が設けられている。
有機EL素子450は、絶縁層465上の第1の電極401と、第1の電極401上のE
L層402と、EL層402上の第2の電極403とを有する。第1の電極401は、ト
ランジスタ455のソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。第1の電極4
01の端部は絶縁層405で覆われている。第1の電極401は可視光を反射することが
好ましい。また、発光装置は、接合層407を介して有機EL素子450と重なる着色層
432を有し、接合層407を介して絶縁層405と重なる遮光層431を有する。
【0129】
駆動回路部493は、トランジスタを複数有する。
図13(C)では、駆動回路部493
が有するトランジスタのうち、1つのトランジスタを示している。本実施の形態では、駆
動回路部493が枠状の接合層404a、bの内側に位置する例を示すが、一方又は両方
の外側に位置していてもよい。
【0130】
導電層457は、駆動回路部493に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電
気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC495を設ける例を示している。
また、ここでは、導電層457を、トランジスタ455を構成する電極と同一の材料、同
一の工程で作製した例を示す。絶縁層226上の接続体497は導電層457と接続して
いる。また、接続体497はFPC495に接続している。接続体497を介してFPC
495と導電層457は電気的に接続する。
【0131】
導電層457が枠状の接合層404aの外側に位置することで、FPC495と接続体4
97の接続部、及び接続体497と導電層457の接続部において、水分等が侵入しやす
い場合でも、有機EL素子450に水分等の不純物が侵入することを抑制でき、好ましい
。
【0132】
図13(C)は、絶縁層465が発光装置の側面に露出していない点で、
図13(B)と
異なる。絶縁層465の材料としてガスバリア性の低い有機絶縁材料等を用いる場合、絶
縁層465が発光装置の側面に露出しないことが好ましい。そして、ガスバリア性の高い
枠状の接合層が発光装置の側面に位置することで、発光装置の信頼性を高めることができ
るため好ましい。なお、絶縁層465の材料等によっては、
図13(B)に示すように、
発光装置の端部に絶縁層465が露出していてもよい。
【0133】
枠状の接合層404aや枠状の接合層404bは、それぞれ接合層407よりもガスバリ
ア性が高いことが好ましい。これにより、発光装置の側面から水分や酸素が発光装置に侵
入することを抑制できる。したがって、信頼性の高い発光装置を実現することができる。
【0134】
例えば、接合層407、枠状の接合層404a、及び枠状の接合層404bのうち、水蒸
気透過率が最も低い層を枠状の接合層404aとし、枠状の接合層404bに水分を吸着
する乾燥剤等を含むことで、枠状の接合層404aで水分の侵入を抑制し、枠状の接合層
404aを通過してしまった水分を枠状の接合層404bで吸着することで、接合層40
7、さらには有機EL素子450に水分が侵入することを特に抑制できる。
【0135】
構成例4では、接合層407を介して有機EL素子450の発光が発光装置から取り出さ
れる。したがって、接合層407は、枠状の接合層404aや枠状の接合層404bに比
べて透光性が高いことが好ましい。また、接合層407は、枠状の接合層404aや枠状
の接合層404bに比べて屈折率が高いことが好ましい。また、接合層407は、枠状の
接合層404aや枠状の接合層404bに比べて硬化時の体積の収縮が小さいことが好ま
しい。
【0136】
構成例4として示す発光装置は、上述した剥離方法を用いて歩留まりよく作製することが
できる。上述した剥離方法では、作製基板上に、絶縁層424や各トランジスタ、有機E
L素子450等を被剥離層として形成する。そして、別の作製基板上に、被剥離層として
、絶縁層226や着色層432、遮光層431等を被剥離層として形成する。この2つの
作製基板を貼り合わせた後、被剥離層と作製基板を分離し、被剥離層と可撓性基板を接着
層で貼り合わせることで、構成例4として示す発光装置を作製できる。
【0137】
上述した剥離方法では、作製基板上で絶縁層やトランジスタを高温で形成することができ
る。高温をかけて形成した絶縁層424、絶縁層226及びトランジスタを用いることで
、信頼性の高い発光装置を実現できる。有機EL素子450の上下に高温で形成したガス
バリア性の高い絶縁層(絶縁層226及び絶縁層424)を配置することができる。これ
により、有機EL素子450に水分等の不純物が混入することを抑制できる。
【0138】
以上のように、構成例4では、絶縁層424、絶縁層226、枠状の接合層404a、b
によって、発光装置の表面(表示面)、裏面(表示面と対向する面)、及び側面から、水
分等の不純物が有機EL素子450に侵入することを抑制できる。したがって、発光装置
の信頼性を高めることができる。
【0139】
なお、ここでは、表示素子として、有機EL素子を用いた場合の例を示したが、本発明
の一態様は、これに限定されない。
【0140】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な
素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置の一例としては
、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL
素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど
)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電
子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレ
イ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示
素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャ
ッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレー
ション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エ
レクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ、な
ど、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒
体を有するものがある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイな
どがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディ
スプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-co
nduction Electron-emitter Display)などがある。
液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ
、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射
型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例
としては、電子ペーパーなどがある。
【0141】
なお、本発明の一態様では、画素に能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を有するア
クティブマトリクス方式、又は画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を用い
ることができる。
【0142】
アクティブマトリクス方式では、能動素子として、トランジスタだけでなく、さまざまな
能動素子を用いることが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator M
etal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能で
ある。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上
を図ることができる。また、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上
させることができ、低消費電力化や高輝度化を図ることができる。
【0143】
パッシブマトリクス方式では、能動素子を用いないため、製造工程が少なく、製造コスト
の低減や歩留まりの向上を図ることができる。また、能動素子を用いないため、開口率を
向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることができる。
【0144】
トランジスタに用いる半導体層としては、ポリシリコン膜、酸化物半導体膜などが挙げら
れる。
【0145】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられ
る。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半
導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。
【0146】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-O
S、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
【0147】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。なお、CAAC-OSを、CANC(C-
Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこ
ともできる。
【0148】
CAAC-OS膜は、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体膜の一つである。
【0149】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分
解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方
、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーとも
いう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に起
因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0150】
CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。ペレット一つの大きさは1nm以上3nm
以下程度であり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程
度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocryst
al)と呼ぶこともできる。
【0151】
また、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のCs補正高分解能TE
M像より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列しているこ
とを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られ
ない。
【0152】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nO4の結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの
電子線を入射させると、回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現
れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因
するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC-OSに含まれる
ペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いているこ
とがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を
入射させたとき、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によって
も、CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわか
る。
【0153】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。酸化物半導体の欠陥
としては、例えば、不純物に起因する欠陥や、酸素欠損などがある。したがって、CAA
C-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体ということもできる。また、CAAC-OS
は、酸素欠損の少ない酸化物半導体ということもできる。
【0154】
酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源とな
る場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水
素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0155】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0156】
また、欠陥準位密度の低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体は、キャリア密度を低くす
ることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸
化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、
高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体となりやすい。したがって、CAA
C-OSを用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリー
オンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性な酸
化物半導体は、キャリアトラップが少ない。酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲され
た電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことが
ある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトランジ
スタは、電気特性が不安定となる場合がある。一方、CAAC-OSを用いたトランジス
タは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0157】
また、CAAC-OSは欠陥準位密度が低いため、光の照射などによって生成されたキャ
リアが、欠陥準位に捕獲されることが少ない。したがって、CAAC-OSを用いたトラ
ンジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0158】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可撓性に優れており、CAAC-OS
膜を用いたトランジスタを画素のスイッチング素子に用いた表示パネルは、曲率半径5m
mの曲げ伸ばし試験で10万回の曲げ伸ばしに耐える。
【0159】
また、本実施の形態では、剥離層としてタングステン膜を用いる例を示したが、特に限定
されず、剥離層としてポリイミド樹脂のような有機樹脂を用いてもよい。また、剥離層と
して有機樹脂を用い、その有機樹脂をそのままフィルムとして用いてもよい。
【0160】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。本実施の形態で作
製できる可撓性を有する表示パネルを実施の形態1に示した新規デバイス101、102
、103に適用することができる。また、本実施の形態で作製できる可撓性を有する表示
パネルを実施の形態2に示した新規デバイス501の3つの表示パネルのうち、少なくと
も一つに用いることができる。
【0161】
(実施の形態4)
本実施の形態では、可撓性を有する二次電池を作製する一例を示す。本実施の形態では正
極もしくは負極の一方、または両方を袋状の絶縁材料(以下、「エンベロープ」ともいう
。)を用いて作製する例を以下に示す。
【0162】
蓄電体800の構成例について、図面を用いて説明する。
図14は蓄電体800の外観を
示す斜視図である。
図15(A)は、
図14にA1-A2の一点鎖線で示した部位の断面
図である。また、
図15(B)は、
図14にB1-B2の一点鎖線で示した部位の断面図
である。
【0163】
本発明の一態様の蓄電体800は、外装体807内に、正極801と、エンベロープ80
3に覆われた負極802と、電解液806を有する。なお、本実施の形態では説明を簡略
にするため、一組の正極801と負極802を外装体に収納する例を示しているが、蓄電
体の容量を大きくするために、複数組の正極801と負極802を外装体に収納してもよ
い。また、正極801は、正極リード804と電気的に接続されており、負極802は負
極リード805と電気的に接続されている。正極リード804および負極リード805は
、リード電極、またはリード端子とも呼ばれる。正極リード804および負極リード80
5の一部は外装体の外側に配置される。また、蓄電体800の充電および放電は、正極リ
ード804および負極リード805を介して行われる。
【0164】
なお、
図15では、負極802はエンベロープ803に覆われているが、本発明の一態様
は、これに限定されない。例えば、負極802は、エンベロープ803に覆われていなく
てもよい。例えば、負極802の代わりに、正極801がエンベロープ803に覆われて
いてもよい。または、例えば、負極802だけでなく、正極801も同様に、エンベロー
プ803に覆われていてもよい。
【0165】
[1.正極]
正極801は、正極集電体801aと、正極集電体801a上に形成された正極活物質層
801bなどにより構成される。本実施の形態では、シート状(又は帯状)の正極集電体
801aの一方の面に正極活物質層801bを設けた例を示しているが、これに限られず
、正極活物質層801bを正極集電体801aの両面に設けてもよい。正極活物質層80
1bを正極集電体801aの両面に設けることで、蓄電体800の容量を大きくすること
ができる。また、本実施の形態では、正極活物質層801bは、正極集電体801a上の
全域に設けているが、これに限られず、正極集電体801aの一部に設けても良い。例え
ば、正極集電体801aの、正極リード804と電気的に接続する部分(以下、「正極タ
ブ」ともいう。)には、正極活物質層801bを設けない構成とするとよい。
【0166】
正極集電体801aには、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン
等の金属、及びこれらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化
しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、
モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることが
できる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シ
リコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフ
ニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト
、ニッケル等がある。正極集電体801aは、箔状、板状(シート状)、網状、パンチン
グメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。正極集電体80
1aは、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。また、正極集電体801
aの表面に、グラファイトなどを用いてアンダーコート層を設けてもよい。
【0167】
正極活物質層801bは、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤(
バインダ)、正極活物質層801bの導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0168】
正極活物質層801bに用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型
の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質とし
て、例えば、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、
Cr2O5、MnO2等の化合物を用いる。
【0169】
特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定であるこ
と、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
【0170】
また、LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材
料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1-xMO2(M=Co、A
l等))を混合すると、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点が
あり好ましい。
【0171】
または、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(I
I)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例と
しては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFe
aNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCob
PO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiF
ecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO
4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigC
ohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0
<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0172】
特にLiFePO4は、安全性、安定性、高容量密度、高電位、初期酸化(充電)時に引
き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たして
いるため、好ましい。
【0173】
または、一般式Li(2-j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(
II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般
式Li(2-j)MSiO4の代表例としては、Li(2-j)FeSiO4、Li(2
-j)NiSiO4、Li(2-j)CoSiO4、Li(2-j)MnSiO4、Li
(2-j)FekNilSiO4、Li(2-j)FekColSiO4、Li(2-j
)FekMnlSiO4、Li(2-j)NikColSiO4、Li(2-j)Nik
MnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)FemN
inCoqSiO4、Li(2-j)FemNinMnqSiO4、Li(2-j)Ni
mConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)
、Li(2-j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r
<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いるこ
とができる。
【0174】
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、M
n、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナ
シコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)
3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として
、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表
される化合物、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、Mo
S2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆
スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物(V2O5、V6O13、Li
V3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
【0175】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金
属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナト
リウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム、ベリリウム、マグネシウム等)、を用いてもよい。例えば、NaFeO2や、Na
2/3[Fe1/2Mn1/2]O2などのナトリウム含有層状酸化物を正極活物質とし
て用いることができる。
【0176】
また、正極活物質として、上記材料を複数組み合わせた材料を用いてもよい。例えば、上
記材料を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、Li
Co1/3Mn1/3Ni1/3O2とLi2MnO3の固溶体を正極活物質として用い
ることができる。
【0177】
なお、図示しないが、正極活物質層801bの表面に炭素層などの導電性材料を設けても
よい。炭素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる
。例えば、正極活物質層801bへの炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース
等の炭水化物を混合することで形成することができる。
【0178】
正極活物質層801bの一次粒子の平均粒径は、50nm以上100μm以下のものを用
いるとよい。
【0179】
導電助剤としては、アセチレンブラック(AB)、グラファイト(黒鉛)粒子、カーボン
ナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどを用いることができる。
【0180】
導電助剤により、正極801中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電
助剤により、正極活物質層801b中の正極活物質どうしの電気伝導の経路を維持するこ
とができる。正極活物質層801b中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性
を有する正極活物質層801bを実現することができる。
【0181】
また、バインダとして、代表的なポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他、ポリイミド、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマ
ー、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ
酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いるこ
とができる。
【0182】
正極活物質層801bの総量に対するバインダの含有量は、1wt%以上10wt%以下
が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさ
らに好ましい。また、正極活物質層801bの総量に対する導電助剤の含有量は、1wt
%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
【0183】
塗布法を用いて正極活物質層801bを形成する場合は、正極活物質とバインダと導電助
剤を混合して正極ペースト(スラリー)を作製し、正極集電体801a上に塗布して乾燥
させればよい。
【0184】
[2.負極]
負極802は、負極集電体802aと、負極集電体802a上に形成された負極活物質層
802bなどにより構成される。本実施の形態では、シート状(又は帯状)の負極集電体
802aの一方の面に負極活物質層802bを設けた例を示しているが、これに限られず
、負極活物質層802bは、負極集電体802aの両面に設けてもよい。負極活物質層8
02bを負極集電体802aの両面に設けることで、蓄電体800の容量を大きくするこ
とができる。また、本実施の形態では、負極活物質層802bは、負極集電体802a上
の全域に設けているが、これに限られず、負極集電体802aの一部に設けても良い。例
えば、負極集電体802aの、負極リード805と電気的に接する部分(以下、「負極タ
ブ」ともいう。)には、負極活物質層802bを設けない構成とするとよい。
【0185】
負極集電体802aには、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、チタン等の金属、及び
これらの合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用
いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなど
の耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、
シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応し
てシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジ
ウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等が
ある。負極集電体802aは、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エ
キスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。負極集電体802aは、厚みが
5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。また、負極集電体802aの表面に、グ
ラファイトなどを用いてアンダーコート層を設けてもよい。
【0186】
負極活物質層802bは、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるための結着剤(
バインダ)、負極活物質層802bの導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0187】
負極活物質層802bは、リチウムの溶解・析出、又はリチウムイオンの挿入・脱離が可
能な材料であれば、特に限定されない。負極活物質層802bの材料としては、リチウム
金属やチタン酸リチウムの他、蓄電分野に一般的な炭素系材料や、合金系材料等が挙げら
れる。
【0188】
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して-3.045V)、重量及
び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm3
)ため、好ましい。
【0189】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等が挙げられる。
【0190】
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ
系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛が挙げられる。
【0191】
黒鉛は、リチウムイオンが層間に挿入されたときに(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時
に)、リチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1乃至0.3V vs.Li/Li
+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに
、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウ
ム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
【0192】
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可
能な合金系材料または酸化物も用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンで
ある場合、合金系材料としては、例えば、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、
Ag、Zn、Cd、In、Ga等のうち少なくとも一つを含む材料が挙げられる。このよ
うな元素は炭素に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと
飛躍的に高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。このような元
素を用いた合金系材料としては、例えば、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn、SnS
2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、
Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb
3、InSb、SbSn等が挙げられる。
【0193】
また、負極活物質層802bとして、SiO、SnO、SnO2、酸化チタン(TiO2
)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム-黒鉛層間化合物(Lix
C6)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(M
oO2)等の酸化物を用いることができる。
【0194】
また、負極活物質層802bとして、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型
構造をもつLi3-xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、
Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/c
m3)を示し好ましい。
【0195】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、
正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせ
ることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも
、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで、負極活物質
としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0196】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質層802bとして用いることもでき
る。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の
、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバ
ージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2
、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、C
u3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3
、BiF3等のフッ化物でも起こる。
【0197】
塗布法を用いて負極活物質層802bを形成する場合は、負極活物質と結着剤を混合して
負極ペースト(スラリー)を作製し、負極集電体802a上に塗布して乾燥させればよい
。なお、負極ペーストに導電助剤を添加してもよい。
【0198】
また、負極活物質層802bの表面に、グラフェンを形成してもよい。例えば、負極活物
質層802bをシリコンとした場合、充放電サイクルにおけるキャリアイオンの吸蔵・放
出に伴う体積の変化が大きいため、負極集電体802aと負極活物質層802bとの密着
性が低下し、充放電により電池特性が劣化してしまう。そこで、シリコンを含む負極活物
質層802bの表面にグラフェンを形成すると、充放電サイクルにおいて、シリコンの体
積が変化したとしても、負極集電体802aと負極活物質層802bとの密着性の低下を
抑制することができ、電池特性の劣化が低減されるため好ましい。
【0199】
また、負極活物質層802bの表面に、酸化物等の被膜を形成してもよい。充電時におい
て電解液の分解等により形成される被膜は、その形成時に消費された電荷量を放出するこ
とができず、不可逆容量を形成する。これに対し、酸化物等の被膜をあらかじめ負極活物
質層802bの表面に設けておくことで、不可逆容量の発生を抑制又は防止することがで
きる。
【0200】
このような負極活物質層802bを被覆する被膜には、ニオブ、チタン、バナジウム、タ
ンタル、タングステン、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、クロム、アルミニウム
若しくはシリコンのいずれか一の酸化膜、又はこれら元素のいずれか一とリチウムとを含
む酸化膜を用いることができる。このような被膜は、従来の電解液の分解生成物により負
極表面に形成される被膜に比べ、十分緻密な膜である。
【0201】
例えば、酸化ニオブ(Nb2O5)は、電気伝導度が10-9S/cmと低く、高い絶縁
性を示す。このため、酸化ニオブ膜は負極活物質と電解液との電気化学的な分解反応を阻
害する。一方で、酸化ニオブのリチウム拡散係数は10-9cm2/secであり、高い
リチウムイオン伝導性を有する。このため、リチウムイオンを透過させることが可能であ
る。また、酸化シリコンや酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0202】
負極活物質層802bを被覆する被膜の形成には、例えばゾル-ゲル法を用いることがで
きる。ゾル-ゲル法とは、金属アルコキシドや金属塩等からなる溶液を、加水分解反応・
重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、このゲルを焼成して薄膜を形成する方法であ
る。ゾル-ゲル法は液相から薄膜を形成する方法であるから、原料を分子レベルで均質に
混合することができる。このため、溶媒の段階の金属酸化膜の原料に、黒鉛等の負極活物
質を加えることで、容易にゲル中に活物質を分散させることができる。このようにして、
負極活物質層802bの表面に被膜を形成することができる。当該被膜を用いることで、
蓄電体の容量の低下を防止することができる。
【0203】
[3.エンベロープ]
エンベロープ803を形成するための材料として、セルロースや、ポリプロピレン(PP
)、ポリエチレン(PE)、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ
アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の多孔性絶縁体を
用いることができる。また、ガラス繊維等の不織布や、ガラス繊維と高分子繊維を複合し
た隔膜を用いてもよい。
【0204】
リチウムを用いる蓄電体では、充電を繰り返すと負極上にリチウムが析出する場合がある
。特に、リチウムが針状に析出すると、析出したリチウムを介して負極と正極が短絡しや
すくなる。負極802をエンベロープ803で覆うことにより、蓄電体800の曲げ伸ば
し動作において負極活物質層802b表面とエンベロープ803が摺動し、負極活物質層
802b表面に析出したリチウムを除去することができる。よって、正極801と負極8
02の短絡を防ぎ、蓄電体800の機能低下を防ぐことができる。また、蓄電体800の
信頼性を向上することができる。特に、負極集電体802aの両面に負極活物質層802
bを設けた場合、蓄電体800の曲げ伸ばし動作において負極活物質層802b表面に析
出したリチウムを両面同時に除去することができる。蓄電体800を意図的に曲げ伸ばし
することで、上記の効果をより高めることができる。
【0205】
なお、ここでは負極802がエンベロープ803に覆われている場合について述べている
が、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、負極802は、エンベロープ80
3に覆われていなくてもよい。例えば、負極802の代わりに、正極801がエンベロー
プ803に覆われていてもよい。または、例えば、負極802だけでなく、正極801も
同様に、エンベロープ803に覆われていてもよい。
【0206】
[4.電解液]
蓄電体800に用いる電解液806の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、
例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカ
ーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン
、γ-バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DE
C)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1
,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホ
キシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テト
ラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の
組み合わせ及び比率で用いることができる。
【0207】
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安
全性が高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材
料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチ
レンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
【0208】
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ
又は複数用いることで、蓄電体の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、
蓄電体の破裂や発火などを防ぐことができる。
【0209】
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合
、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、Li
SCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl1
2、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2
F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2
)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を
任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
【0210】
また、蓄電体に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に
「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい
。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、よ
り好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。また、電解液にビニレンカーボネー
トなどの添加剤を加えてもよい。
【0211】
[5.外装体]
二次電池の構造としては、様々な構造があるが、本実施の形態では、外装体807の形成
にフィルムを用いる。なお、外装体807を形成するためのフィルムは金属フィルム(ア
ルミニウム、ステンレス、ニッケル鋼など)、有機材料からなるプラスチックフィルム、
有機材料(有機樹脂や繊維など)と無機材料(セラミックなど)とを含むハイブリッド材
料フィルム、炭素含有フィルム(カーボンフィルム、グラファイトフィルムなど)から選
ばれる単層フィルムまたはこれら複数からなる積層フィルムを用いる。金属フィルムは、
エンボス加工を行いやすく、エンボス加工を行って凹部または凸部を形成すると外気に触
れる外装体807の表面積が増大するため、放熱効果に優れている。
【0212】
また、外部から力を加えて蓄電体800の形状を変化させた場合、蓄電体800の外装体
807に外部から曲げ応力が加わり、外装体807の一部が変形または一部破壊が生じる
恐れがある。外装体807に凹部または凸部を形成することにより、外装体807に加え
られた応力によって生じるひずみを緩和することができる。よって、蓄電体800の信頼
性を高めることができる。なお、ひずみとは物体の基準(初期状態)長さに対する物体内
の物質点の変位を示す変形の尺度である。外装体807に凹部または凸部を形成すること
により、蓄電体の外部から力を加えて生じるひずみによる影響を許容範囲内に抑えること
ができる。よって、信頼性の良い蓄電体を提供することができる。
【0213】
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能で
ある。
【0214】
(実施の形態5)
本実施の形態では、蓄電体800の作製方法の一例について、図面を用いて説明する。
【0215】
[1.負極をエンベロープで覆う]
まず、エンベロープ803を形成するためのフィルム813上に負極802を配置する(
図16(A)参照。)。次いで、フィルム813を
図16(A)の点線で示した部分で折
り(
図16(B)参照。)、フィルム813で負極802を挟む(
図16(C)参照。)
。
【0216】
次に、負極802の外側の、フィルム813の外周部分を接合して、エンベロープ803
を形成する。フィルム813の外周部分の接合は、接着材などを用いて行ってもよいし、
超音波溶接や、加熱による融着により行ってもよい。
【0217】
本実施の形態では、フィルム813としてポリプロピレンを用いて、フィルム813の外
周部分を加熱により接合する。
図16(D)に接合部808を示す。このようにして、負
極802をエンベロープ803で覆うことができる。エンベロープ803は、負極活物質
層802bを覆うように形成すればよく、負極802の全体を覆う必要は無い。
【0218】
なお、
図16では、フィルム813を折り曲げているが、本発明の一態様は、これに限定
されない。例えば、2枚のフィルム813で、負極802を挟んで形成してもよい。その
場合、接合部808が4辺のほとんどを囲う形で形成されていてもよい。
【0219】
また、フィルム813の外周部分の接合は、断続的に行ってもよいし、一定間隔毎の点状
として接合してもよい。
【0220】
または、外周部分の1辺にのみ、接合を行ってもよい。または、外周部分の2辺にのみ、
接合を行ってもよい。または、外周部分の4辺に、接合を行ってもよい。これにより、4
辺を均等な状態にすることが出来る。
【0221】
なお、
図16などでは、負極802がエンベロープ803に覆われている場合について述
べているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、負極802は、エンベロ
ープ803に覆われていなくてもよい。例えば、負極802の代わりに、正極801がエ
ンベロープ803に覆われていてもよい。または、例えば、負極802だけでなく、正極
801も同様に、エンベロープ803に覆われていてもよい。
【0222】
また、例えば、正極801と負極802とにおいて、それぞれ、接合部808の構造が異
なるものを用いて、組み合わせてもよい。
【0223】
また、負極集電体802aの一方の面に負極活物質層802bを設けた負極802を2つ
用意し、それぞれの負極802の、負極活物質層802bが形成されていない面が向い合
うように重ね、それをエンベロープ803で覆ってもよい。
【0224】
2つの負極802を、負極集電体802aを向い合せて用いることで、電極の強度を落と
さずに、蓄電体800の曲げ伸ばしを容易とすることができる。
【0225】
[2.負極タブに負極リードを接続する]
次に、負極集電体802aの負極タブに、封止層815を有する負極リード805を、圧
力を加えながら超音波を照射して電気的に接続する(超音波溶接)。
【0226】
また、リード電極は、蓄電体の作製後に外から力が加えられて生じる応力により、ヒビや
切断が生じやすい。
【0227】
そこで、本実施の形態では、
図17(B)に示すボンディングダイを有する超音波溶接装
置を用いる。なお、
図17(B)では、簡略化のため、超音波溶接装置のうち、上下のボ
ンディングダイのみを図示する。
【0228】
突起853を有する第1のボンディングダイ851と、第2のボンディングダイ852と
の間に、負極タブと負極リード805を配置する。接続する領域が突起853と重なるよ
うにして超音波溶接を行うと、負極タブに接続領域860と湾曲部870を形成すること
ができる。
図17(C)に、負極タブの接続領域860と湾曲部870を拡大した斜視図
を示す。
【0229】
この湾曲部870を設けることによって、蓄電体800の作製後に外から力が加えられて
生じる応力を緩和することができる。よって、蓄電体800の信頼性を高めることができ
る。
【0230】
また、
図17(B)に示すボンディングダイを有する超音波溶接装置は、超音波溶接と同
時に湾曲部870の形成を行うことができるため、工程数も増やすことなく二次電池を作
製することができるが、超音波溶接と湾曲部870の形成を別々に行ってもよい。
【0231】
また、負極タブに湾曲部870を形成することに限定されず、負極集電体の材料をステン
レスなどの強度のあるものとし、負極集電体の膜厚を10μm以下とすることで二次電池
の作製後に外から外力が加えられ生じる応力を緩和しやすくする構成としてもよい。
【0232】
勿論、これらを複数組み合わせて負極タブの応力集中を緩和してもよいことは言うまでも
ない。
【0233】
なお、ここでは、負極の場合についての例を示したが、正極も負極と同様に製造してもよ
い。
【0234】
[3.正極タブに正極リードを接続する]
次に、正極集電体801aの正極タブに、封止層815を有する正極リード804を電気
的に接続する。正極タブと正極リード804の接続は、負極タブと負極リード805の接
続と同様に行うことができる。正極リード804と負極リード805は異なる材料を用い
ることが好ましい。
【0235】
[4.正極と負極を外装体で覆う]
次に、外装体807上に正極801とエンベロープ803で覆われた負極802を重ね合
せて配置する。この時、正極活物質層801bと負極活物質層802bが向き合うように
重ねる(
図18(A)参照。)。
【0236】
次いで、外装体807を、
図18(A)の外装体807の中央付近に点線で示した部分で
折り曲げて(
図18(B)参照。)、
図19(A)に示す状態とする。
【0237】
[5.外装体で囲まれた領域内に電解液を入れる]
電解液806を入れるための導入口819以外の外装体807の外周部を、熱圧着により
接合する。熱圧着の際、リード電極に設けられた封止層815も溶けてリード電極と外装
体807との間を固定することができる。
図19(B)に、外装体807の外周を熱圧着
により接合した部位を、接合部818として示す。
【0238】
そして、減圧雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で所望の量の電解液を導入口819か
ら外装体807の内側に入れる。そして、最後に、導入口819を熱圧着により接合する
。このようにして、蓄電体800を作製することができる(
図19(C)参照。)。
【0239】
[6.変形例]
蓄電体800の変形例として、
図20(A)に蓄電体820を示す。
図20(A)に示す
蓄電体820は、蓄電体800と比べて正極リード804と負極リード805の配置が異
なる。具体的には、蓄電体800では正極リード804および負極リード805が外装体
807の同じ辺に配置されているが、蓄電体820では正極リード804および負極リー
ド805をそれぞれ外装体807の異なる辺に配置している。このように、本発明の一態
様の蓄電体は、リード電極を自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よっ
て、本発明の一態様の蓄電体を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本
発明の一態様の蓄電体を用いた製品の生産性を高めることができる。
【0240】
図20(B)は、蓄電体820の作製工程を説明する図である。蓄電体820は蓄電体8
00と同様の材料および方法を用いて作製することができるため、ここでの詳細な説明は
割愛する。なお、
図20(B)では、電解液806の記載を省略している。
【0241】
また、外装体807に用いるフィルム表面に予め凹凸を持たせるため、プレス加工、例え
ばエンボス加工を行ってもよい。フィルム表面に凹凸を持たせると、二次電池としてのフ
レキシブル性、応力の緩和効果が向上する。エンボス加工によりフィルム表面(または裏
面)に形成された凹部または凸部は、フィルムを封止構造の壁の一部とする空間の容積が
可変な閉塞空間を形成する。この閉塞空間は、フィルムの凹部または凸部が蛇腹構造、ベ
ローズ構造となって形成されるとも言える。また、プレス加工の一種であるエンボス加工
に限らず、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)が形成できる手法であればよい。
【0242】
本実施の形態ではエンベロープを用いる例を示したが、特に限定されず、セパレータを用
いてもよい。
【0243】
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能で
ある。例えば、実施の形態1に示した二次電池601に蓄電体800や蓄電体820を用
いることができる。また、実施の形態2に示した二次電池505に蓄電体800や蓄電体
820を用いることができる。
【実施例1】
【0244】
本実施例では、作製した新規デバイスを上腕部に取り付けて外観を撮影した写真図を
図2
1(A)に示す。また、腕から外して違う方向から外観を撮影した写真図を
図21(B)
に示す。
【0245】
図21に示す新規デバイスは、QHD表示(540×960×RGB)が可能な3.4イ
ンチ型の表示パネルを有している。また、
図21に示す新規デバイスは、表示データ不揮
発保持機能を有しており、2つの駆動方法で表示を行う有機EL表示装置である。1つは
、従来の表示ディスプレイの駆動方法であり、1フレームごとにデータを逐次書き換える
駆動方法である。これを”通常駆動”と呼ぶ。もう1つは、データの書き込み処理を実行
した後、データの書き換えを停止する駆動方法である。これを”アイドリング・ストップ
(IDS)駆動”と呼ぶ。Bluetooth(登録商標)規格による画像通信機能を搭
載しており、表示画像は10秒に1度外部から送られてくる画像データによって表示の切
り替えを行っている。表示が切り替わるまでの10秒間は、IDS駆動によって表示画像
が維持される。
【0246】
有機EL表示装置は、アクティブマトリクス型の表示装置であり、スイッチング素子とし
て酸化物半導体(IGZO)を有するトランジスタを用いている。オフ電流が非常に小さ
く、消費電力の少ないIGZOを有するトランジスタを採用し、アイドリングストップ駆
動を効率良く使用することで、高解像度表示を保ったまま、消費電力を低減させることが
できる。
【0247】
また、
図21に示す新規デバイスは、曲げることのできる二次電池を有している。二次電
池としては、リチウムイオン二次電池を用い、正極には活物質としてLiFePO
4を用
い、負極には活物質として黒鉛を用いる。また、電解液にはLi塩を含む有機電解液を用
いる。また、外装体にはアルミニウム箔を有する積層フィルムを用い、変形に強い構造と
するため、エンボス加工を施している。なお、正極の活物質としてLiFePO
4に限定
されず、LiCoO
2を活物質とした正極を用いてもよい。
【0248】
リチウムイオン二次電池は、
図21に示す新規デバイスの内側に実装されている。この新
規デバイスの脱着に際し、表示パネル、リチウムイオン二次電池、及び駆動基板が、平坦
方向へ延ばされた後に、再び元の曲率半径を有する形状に戻る。フレキシブルなリチウム
イオン二次電池の曲げ試験では、脱着の動作を想定した曲率半径の範囲に設定している。
作製したフレキシブルリチウムイオンバッテリーの仕様を表1に示す。
【0249】
【0250】
曲率半径40mmの曲げ試験を行った結果を示す。また、曲げ試験の詳細を表2に示す。
【0251】
【0252】
また、
図22に試験装置1100の外観写真を示す。試験装置1100の上部に、作製し
たリチウムイオン二次電池1200が配置されている。なお、リチウムイオン二次電池1
200は、2枚の保持板1101の間に挟まれているため、
図22ではリチウムイオン二
次電池1200を破線で示している。また、試験装置1100は中央部のリチウムイオン
二次電池1200直下に、奥行き方向に伸びた曲率半径40mmの円柱状の支持体図示せ
ず。)を有する。また、試験装置1100は左右方向に伸びたアーム1102を有する。
アーム1102の先端部分は保持板1101と機械的に接続されている。アーム1102
の先端部分を上下に動かすことにより、支持体に沿って保持板1101の曲げ伸ばしを行
うことができる。リチウムイオン二次電池1200の曲げ伸ばし試験は、リチウムイオン
二次電池1200を2枚の保持板1101で挟んだ状態で行う。よって、アーム1102
の先端部分を上下に動かすことにより、円柱状の支持体に沿って、リチウムイオン二次電
池1200の曲げ伸ばしを行うことができる。具体的には、アーム1102の先端部分を
下げることにより、リチウムイオン二次電池1200を、曲率半径40mmで曲げること
ができる。リチウムイオン二次電池1200の曲げ伸ばしを、リチウムイオン二次電池1
200を2枚の保持板1101で挟んだ状態で行うことにより、曲げ伸ばし以外の不要な
力がリチウムイオン二次電池1200に加わることを防ぐことができる。また、リチウム
イオン二次電池1200全体に、曲げ伸ばし時の力を均一に加えることができる。
【0253】
また、縦軸を放電容量、横軸を曲げ回数とした試験結果を
図23に示す。
図23における
試験条件は、温度25℃、充電レート0.5C、放電レート0.5Cとする。ここで、充
電レートおよび放電レートについて説明する。例えば、ある容量[Ah]の二次電池を定
電流充電する際に、充電レート1Cとは、ちょうど1時間で充電終了となる電流値I[A
]のことであり、充電レート0.2Cとは、I/5[A](すなわち、ちょうど5時間で
充電終了となる電流値)のことである。同様に、放電レート1Cとは、ちょうど1時間で
放電終了となる電流値I[A]のことであり、放電レート0.2Cとは、I/5[A](
すなわち、ちょうど5時間で放電終了となる電流値)のことである。
図23に示すように
、曲げ試験の結果、10500回曲げた後の放電容量は、初期放電容量の92%であり、
容量を維持できていることが分かる。
【0254】
また、新規デバイスのリチウムイオン二次電池の充電は、Qi規格によるワイヤレス充電
を採用しており、専用充電台を用いて非接触の充電を行うことが出来る。また、新規デバ
イスのブロックダイアグラムを
図24に示す。
図24には、3.4インチのアクティブマ
トリクス型有機ELパネルと、CPUと、二次電池と、Qi規格による信号通信機能を有
する無線充電モジュール、Bluetooth(登録商標)規格による画像通信機能を有
するBluetoothモジュールとを有するウェアラブルディスプレイデバイスを示し
ており、この新規デバイスは、外部の充電器からの信号をQi規格による信号通信機能を
有する無線充電モジュールが受信でき、Bluetoothモジュールが外部のデバイス
からRF信号を用いて映像信号などを受信できる。
【符号の説明】
【0255】
10 服
11 上腕
12 胴体
101:新規デバイス
102:新規デバイス
103:新規デバイス
104:新規デバイス
201 作製基板
203 剥離層
205 被剥離層
207 接合層
211 接合層
221 作製基板
223 剥離層
225 被剥離層
226 絶縁層
231 基板
233 接合層
401 電極
402 EL層
403 電極
404 接合層
404a 接合層
404b 接合層
405 絶縁層
407 接合層
420 可撓性基板
422 接着層
424 絶縁層
426 接着層
428 可撓性基板
431 遮光層
432 着色層
435 導電層
441 導電層
442 導電層
443 絶縁層
444 可撓性基板
445 FPC
450 有機EL素子
453 オーバーコート
454 トランジスタ
455 トランジスタ
457 導電層
463 絶縁層
465 絶縁層
467 絶縁層
491 発光部
493 駆動回路部
495 FPC
496 スペーサ
497 接続体
500 筐体
501 新規デバイス
502a 表示領域
502b 表示領域
502c 表示領域
503a タッチパネル入力ボタン
503b タッチパネル入力ボタン
503c タッチパネル入力ボタン
504a 表示領域
504b 表示領域
504c 表示領域
505 二次電池
600 フィルム
601 二次電池
602 端子
603 回路基板
604 FPC
605 フィルム
607 封止材
608 封止フィルム
609 バンド
610 表示領域
611 送受信回路
612 保護フィルム
613 開口
620 表示領域
621 板バネ
622 フィルム
623 フィルム
800 蓄電体
801 正極
801a 正極集電体
801b 正極活物質層
802 負極
802a 負極集電体
802b 負極活物質層
803 エンベロープ
804 正極リード
805 負極リード
806 電解液
807 外装体
808 接合部
813 フィルム
813A フィルム
813B フィルム
815 封止層
818 接合部
819 導入口
820 蓄電体
851 ボンディングダイ
852 ボンディングダイ
853 突起
860 接続領域
870 湾曲部
1700 曲面
1701 平面
1702 曲線
1703 曲率半径
1704 曲率中心
1800 曲率中心
1801 フィルム
1802 曲率半径
1803 フィルム
1804 曲率半径
1805 電極・電解液などを含む内容物