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特許7434476画像処理システム、画像処理方法、撮像装置、光学系、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】画像処理システム、画像処理方法、撮像装置、光学系、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240213BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20240213BHJP
   B60R 1/25 20220101ALI20240213BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240213BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240213BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240213BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240213BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
H04N23/60 500
B60R1/24
B60R1/25
B60R1/26
G03B15/00 V
G03B30/00
H04N7/18 J
H04N23/63
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022148737
(22)【出願日】2022-09-20
(65)【公開番号】P2023047328
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2021155589
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 正則
(72)【発明者】
【氏名】笛田 亮
【審査官】淀川 滉也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-272706(JP,A)
【文献】国際公開第2013/008623(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057279(US,A1)
【文献】国際公開第2019/123840(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/63
H04N 7/18
B60R 1/24
B60R 1/25
B60R 1/26
G03B 15/00
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像し、異なる位置に配置された複数の撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段と、
複数の前記撮像手段における前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
複数の前記撮像手段から取得した前記画像信号を合成して合成画像を生成し、前記特性情報に基づいて、前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を前記合成画像に重畳した表示信号を生成する表示信号生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記光学像を形成する光学系と、
前記光学系により形成された前記光学像を撮像する撮像素子と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記表示信号生成手段は、複数の前記撮像手段における前記特性情報に基づき1つの画像に複数の前記境界を示す情報を重畳した表示信号を生成することを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記表示信号生成手段は、前記合成画像に前記複数の前記境界を示す情報を重畳するための表示信号を生成することを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記表示信号生成手段は、前記撮像手段の姿勢を調整するためのガイド情報を含む表示信号を生成し、
前記ガイド情報は基準枠を含み、前記基準枠は電子ルームミラーに表示される画像領域に対応していることを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)とするとき、
前記低歪曲領域におけるy(θ)はf×θより大きく、前記高歪曲領域における前記射影特性とは異なると共に
θmaxを前記光学系が有する最大の半画角、Aを所定の定数とするとき、
を満足するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記撮像手段の少なくとも1つは、前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、
0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92
を満足することを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
複数の前記撮像手段の少なくとも2つの前記撮像手段の撮影範囲が互いに重複するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記ガイド情報は、少なくとも2つの前記撮像手段の前記低歪曲領域の撮影範囲が互いに重複するように、前記撮像手段を移動させる方向を示すことを特徴とする請求項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
複数の前記撮像手段の光学系は、前記光学系の中心寄りの領域が前記低歪曲領域であり、外寄りの領域が前記高歪曲領域の撮像手段と、前記光学系の中心寄りの領域が前記高歪曲領域であり、外寄りの領域が前記低歪曲領域の撮像手段と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記光学系の中心寄りの領域が前記低歪曲領域であり、外寄りの領域が前記高歪曲領域の前記撮像手段は移動体の後方に配置されることを特徴とする請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項12】
前記光学系の中心寄りの領域が前記高歪曲領域であり、外寄りの領域が前記低歪曲領域の前記撮像手段は移動体の正面又は側方に配置されることを特徴とする請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項13】
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像し、異なる位置に配置された複数の撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得ステップと、
複数の前記撮像手段における前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得ステップと、
複数の前記撮像手段から取得した前記画像信号を合成して合成画像を生成し、前記特性情報に基づいて、前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を前記合成画像に重畳した表示信号を生成する表示信号生成ステップと、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
画像処理システムのコンピュータに、
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像し、異なる位置に配置された複数の撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得ステップと、
複数の前記撮像手段における前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得ステップと、
複数の前記撮像手段から取得した前記画像信号を合成して合成画像を生成し、前記特性情報に基づいて、前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を前記合成画像に重畳した表示信号を生成する表示信号生成ステップと、
を行わせるためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段と、
前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を形成し、前記境界を示す情報を前記画像信号に重畳するための表示信号を生成する表示信号生成手段と、
を有し、
前記撮像手段は、前記光学像を形成する光学系と、
前記光学系により形成された前記光学像を撮像する撮像素子と、を含み、
前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)とするとき、
前記低歪曲領域におけるy(θ)はf×θより大きく、前記高歪曲領域における前記射影特性とは異なると共に、
θmaxを前記光学系が有する最大の半画角、Aを所定の定数とするとき、
を満足するように構成されていることを特徴とする画像処理システム。
【請求項16】
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段と、
前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を形成し、前記境界を示す情報を前記画像信号に重畳するための表示信号を生成する表示信号生成手段と、
を有し、
異なる位置に配置された複数の前記撮像手段を有し、
前記表示信号生成手段は、複数の前記撮像手段から取得した前記画像信号を合成して合成画像を生成すると共に、
前記撮像手段の少なくとも1つは、光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、
0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92
を満足することを特徴とする画像処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像認識が可能な画像処理システム、画像処理方法、撮像装置、光学系、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されるルームミラー(後写鏡)を電子ルームミラーで置き換えるという要望がある。例えば特許文献1には、車両外の後方を撮像範囲とする撮像手段と車両内の表示手段で構成され、撮像手段で撮像した画像を車両内のディスプレイで表示することにより、ドライバーが車両外の後方の様子を確認できる電子ルームミラーシステムが開示されている。
【0003】
他方、車両の後退時などに車両後方の死角をドライバーが確認できるようにする後方確認システムがある。特許文献2には、車両後方を撮像するようにカメラを設置し、撮像画像を車室内に表示することにより、後退時などに車両後方の死角をドライバーが確認できるようにするための後方確認システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-95202号公報
【文献】特開2004-345554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電子ルームミラー用画像を撮像する撮像部としてのカメラは、ドライバーが後方の比較的遠方の様子をより精細に確認するため高解像度を有することが求められる。一方で、後方確認システム用カメラは、後退時などの衝突を回避するために、車両後方の死角や後側方を含んだより広い範囲での安全を確認するため、より広い範囲を撮像することが求められる。
【0006】
したがって、電子ルームミラーシステムと後方確認システムを車両に同時に搭載する場合、電子ルームミラーシステム用のカメラと、後方確認システム用のカメラを個別に搭載すると車載画像処理システムが複雑になってしまう。このような課題は、例えば、車両の周囲の状況を撮影するために複数のカメラを配置して自動運転などを行う自動運転システムにおいても同様に発生している。
【0007】
これに対して、例えば特殊な超広角レンズを用いたカメラを採用することによって、車両に設置するカメラの数を減らすことができる。しかし、広い画角は得られるものの高解像度領域(低歪曲領域)や低解像度領域(高歪曲領域)が存在するため、注目すべき撮影対象に高解像度領域(低歪曲領域)が正しく位置合わせされているか分かりにくい。カメラの設置のための調整等が非常に困難であるという問題があった。
【0008】
したがって本発明では、上記の課題を鑑みて、カメラを設置する位置又は姿勢の少なくとも何れかの調整が容易な画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の1つの側面の画像処理システムは、
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像し、異なる位置に配置された複数の撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段と、
複数の前記撮像手段における前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、
複数の前記撮像手段から取得した前記画像信号を合成して合成画像を生成し、前記特性情報に基づいて、前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を前記合成画像に重畳した表示信号を生成する表示信号生成手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラを設置する位置又は姿勢の少なくとも何れかの調整が容易な画像処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1の画像処理システムにおける車両と撮像部の位置関係を説明する図である。
図2】(A)、(B)は、実施形態1の撮像部の光学特性を説明するための図である。
図3】実施形態1における画像処理システムの構成を説明するための機能ブロック図である。
図4】実施形態1のカメラ処理部の処理フローを説明するためのフローチャートである。
図5図4から続く処理を説明するためのフローチャートである。
図6図4からの分岐処理を説明するためのフローチャートである。
図7図6からの分岐処理を説明するためのフローチャートである。
図8図4からの他の分岐処理を説明するためのフローチャートである。
図9】画像の表示状態と表示解像度境界の重畳例を説明するための図である。
図10】画像に重畳される表示解像度境界93の他の例を説明するための図である。
図11】フラグFに応じて調整用の画面に表示される基準枠などの例を示す図である。
図12】基準枠の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について実施例を用いて説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略ないし簡略化する。
【0013】
[実施形態1]
実施形態1では、高精細な電子ルームミラー用の表示や広範囲な後方などの車両周辺確認用の表示を少ない数のカメラで両立する改善された方法について説明する。図1は、実施形態1の画像処理システムにおける車両と撮像部の位置関係を説明する図である。
【0014】
本実施形態では、図1に示すように、移動体としての例えば自動車の車両1の前方、右側方、後方、左側方にそれぞれカメラユニット11、12、13、14が設置されている。なお、本実施形態では4つのカメラユニットを有するが、カメラユニットの数は4に限定されず、少なくとも1つ以上のカメラユニットがあればよい。
【0015】
カメラユニット11~14は、移動体としての車両1のそれぞれ前方、右側方、後方、左側方を撮像範囲とするように設置されており、それぞれ撮像部として機能している。カメラユニット11~14は略同様の構成を有し、それぞれ光学像を撮像する撮像素子と、撮像素子の受光面に光学像を形成する光学系とを有する。
【0016】
なお、例えばカメラユニット11、13が有する光学系の光軸は略水平となるように設置され、カメラユニット12、14が有する光学系の光軸は水平よりも若干下方を向くように設置されている。
【0017】
また、本実施形態で使用するカメラユニット11~14が有する光学系はそれぞれ光軸周辺の狭い画角において高精細な画像を得ることができ、かつ広い画角において低解像度の撮像画像を得ることができるように構成されている。なお、11a~14aは高解像度で低歪曲な像を撮像可能な撮像画角であり、11b~14bは低解像度で高歪曲な像を撮像可能な撮像画角を示している。
【0018】
本実施形態におけるカメラユニット11~14が有する光学系について図2を用いて説明する。なお、それぞれのカメラユニット11~14の光学系の特性は同じでなくてもよいが、本実施形態においては、カメラユニット11~14が有する光学系は略同じ特性を有するものとし、カメラユニット11が有する光学系について例示的に説明する。
【0019】
図2(A)、(B)は、本発明の実施形態1における撮像部の光学特性を説明するための図であり、図2(A)は、本実施形態におけるカメラユニット11が有する光学系の、撮像素子の受光面上での各半画角における像高yを等高線状に示した図である。
【0020】
図2(B)は、本実施形態におけるカメラユニット11が有する光学系の、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性を表した図である。図2(B)では、半画角(光軸と入射光線とがなす角度)θを横軸とし、カメラユニット11のセンサ面上(像面上)での結像高さ(像高)yを縦軸として示している。
【0021】
本実施形態におけるカメラユニット11が有する光学系は、図2(B)に示すように、所定の半画角θa未満の領域と半画角θa以上の領域でその射影特性y(θ)が異なるように構成されている。したがって、単位あたりの半画角θに対する像高yの増加量を解像度というとき解像度が領域によって異なる。
【0022】
この局所的な解像度は、射影特性y(θ)の半画角θでの微分値dy(θ)/dθで表されるともいえる。即ち、図2(B)の射影特性y(θ)の傾きが大きいほど解像度が高いといえる。また、図2(A)の等高線状の各半画角における像高yの間隔が大きいほど解像度が高いともいえる。
【0023】
本実施形態においては、半画角θが所定の半画角θa未満のときにセンサ面上に形成される中心寄りの領域を高解像度領域10a、半画角θが所定の半画角θa以上の外寄りの領域を低解像度領域10bと呼ぶ。なお、本実施形態では、高解像度領域10aと低解像度領域10bの境界の円を解像度境界と呼び、解像度境界に対応する表示画面上の境界画像を表示解像度境界または単に境界画像と呼ぶ。なお、表示画面に表示される境界画像(表示解像度境界)は円状でなくてもよい。便宜的に長方形などにしてもよい。
【0024】
なお、本実施形態において、高解像度領域10aは歪曲が相対的に少ない低歪曲領域であり、低解像度領域10bは歪曲が相対的に多い高歪曲領域となっている。したがって、本実施形態においては、高解像度領域、低解像度領域はそれぞれ低歪曲領域、高歪曲領域に対応しており、高解像度領域、低解像度領域をそれぞれ低歪曲領域、高歪曲領域と呼ぶことがある。また、逆に低歪曲領域、高歪曲領域をそれぞれ高解像度領域、低解像度領域と呼ぶこともある。
【0025】
本実施形態におけるカメラユニット11が有する光学系は、高解像度領域(低歪曲領域)10aにおいてその射影特性y(θ)がf×θより大きくなるように構成されている(fはカメラユニット11が有する光学系の焦点距離)。また、高解像度領域(低歪曲領域)における射影特性y(θ)は低解像度領域(高歪曲領域)における射影特性とは異なるように設定されている。
【0026】
また、θmaxをカメラユニット11が有する光学系が有する最大の半画角とするとき、θaとθmaxの比θa/θmaxは所定の下限値以上であることが望ましく、例えば所定の下限値として0.15~0.16が望ましい。
【0027】
また、θaとθmaxの比θa/θmaxは所定の上限値以下であることが望ましく、例えば0.25~0.35とすることが望ましい。例えば、θmaxを90°とし、所定の下限値を0.15、所定の上限値0.35とする場合、θaは13.5~31.5°の範囲で決定することが望ましい。さらに、カメラユニット11が有する光学系は、その射影特性y(θ)が、以下の数1も満足するように構成されている。
【0028】
【数1】
【0029】
fは、前述のようにカメラユニット11が有する光学系の焦点距離であり、Aは所定の定数である。下限値を1とすることで、同じ最大結像高さを有する正射影方式(y=f×sinθ)の魚眼レンズよりも中心解像度を高くすることができ、上限値をAとすることで、魚眼レンズ同等の画角を得つつ良好な光学性能を維持することができる。所定の定数Aは、高解像度領域と、低解像度領域の解像度のバランスを考慮して決めればよく、1.4~1.9となるようにするのが望ましい。
【0030】
以上のように光学系を構成することで、高解像度領域10aにおいては、高解像度が得られる一方、低解像度領域10bでは、単位あたりの半画角θに対する像高yの増加量を小さくし、より広い画角を撮像することが可能になる。したがって、魚眼レンズと同等の広画角を撮像範囲としつつ、高解像度領域10aにおいては、高い解像度を得ることができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、高解像度領域(低歪曲領域)においては、通常の撮像用の光学系の射影特性である中心射影方式(y=f×tanθ)や等距離射影方式(y=f×θ)に近い特性としているため、光学歪曲が小さく、精細に表示することが可能となる。したがって、先行車や後続車両といった周囲の車両などを目視する際における自然な遠近感が得られると共に、画質の劣化を抑えて良好な視認性を得ることができる。
【0032】
なお、上述の数1の条件を満たす射影特性y(θ)であれば、同様の効果を得ることができるため、本発明は図2に示した射影特性に限定されない。なお、本実施形態では上述の数1の条件を満たす射影特性y(θ)を有する光学系を異画角レンズと呼ぶ場合がある。
【0033】
なお、カメラユニット11~14のそれぞれの光学系の高解像度領域10aは撮像画角11a~14aに対応しており、低解像度領域10bは撮像画角11b~14bに対応している。
【0034】
尚、例えば移動体の正面(前面)、左側方、右側方などに取り付ける、カメラユニット11,12,14には、図2や数1で示したような異画角レンズではなく、以下の数2の条件を満たす射影特性y(θ)を有する光学系を用いることもできる。この光学系は、異画角レンズと比べて、高解像度領域と低解像度領域が凡そ反対になる。
【0035】
即ち、前述の異画角レンズは中心寄りの領域が高解像度領域10aであり、半画角θが所定の半画角θa以上の外寄りの領域が低解像度領域10bである。しかし数2の条件を満たす光学系では、中心寄りの領域が低解像度領域10bであり、半画角θが所定の半画角θa以上の外寄りの領域が高解像度領域10aとなる。このような光学系を逆異画角レンズと呼ぶ場合がある。
0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92 (数2)
【0036】
このように、移動体の異なる位置に前述の異画角レンズを有するカメラユニットと逆異画角レンズを有するカメラユニットとを夫々設置しても良い。即ち、カメラユニットの少なくとも1つは、その光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、上記の数2を満足するようにしても良い。
【0037】
次に本実施形態における画像処理システムの構成について図3を用いて説明する。図3は実施形態1における画像処理システムの構成を説明するための機能ブロック図である。
【0038】
図3において画像処理システム100は、移動体としての車両1に搭載されており、カメラユニット11~14の筐体内にはそれぞれ撮像部21~24とカメラ処理部31~34が配置されている。
【0039】
撮像部21~24はそれぞれ異画角レンズ21c~24cと例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどの撮像素子21d~24dを有する。ここで、撮像部21~24はそれぞれ画像取得部として機能しており、各画像取得部は、低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像部から画像信号を取得している。また、本実施形態においては異なる位置に配置された複数の画像取得部を有している。
【0040】
光学系としての異画角レンズ21c~24cは、1枚以上の光学レンズから構成されており、数1の条件を満たす射影特性y(θ)を有し、低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像をそれぞれ撮像素子21d~24dの受光面に形成する。撮像素子21d~24dは撮像部として機能しており、光学像を光電変換して撮像信号を出力する。撮像素子21d~24dの受光面には例えばRGBの色フィルタが画素毎に配列されている。RGBの配列は例えばベイヤー配列となっている。
【0041】
尚、正面又は側方には、異画角レンズを有する画像取得部の代わりに逆異画角レンズを有する画像取得部を配置することもできるが、異画角レンズを有する画像取得部と逆異画角レンズを有する画像取得部の配置位置はこれに限定されない。尚、これらの複数の画像取得部(異画角レンズを有する画像取得部と逆異画角レンズを有する画像取得部)の少なくとも2つの画像取得部の撮影範囲が互いに重複するように配置されているものとする。
【0042】
したがって、撮像素子からは、ベイヤー配列にしたがって例えば所定の行からはR,G,R、Gの信号が順次出力され、隣の行からはG,B,G,B、の信号が順次出力されるように構成されている。
【0043】
31~34はカメラ処理部であり、撮像部21~24と共にそれぞれ同じカメラユニット11~14の筐体に収納されており、撮像部21~24から出力された撮像信号をそれぞれ処理する。なお、図3では撮像部24、カメラ処理部34の詳細およびその配線は便宜上省略されている。
【0044】
カメラ処理部31~34はそれぞれ画像処理部31a~34a、認識部31b~34b、カメラ情報部31c~34cを有する。画像処理部31a~34aは撮像部21~24から出力された撮像信号をそれぞれ画像処理する。なお、カメラ処理部31の一部または全部を撮像素子21d~24d内の積層された信号処理部で行ってもよい。
【0045】
具体的には、画像処理部31a~34aは、撮像部21~24からベイヤー配列にしたがって入力された画像データをそれぞれデベイヤ処理し、RGBのラスタ形式の画像データへ変換する。さらに、ホワイトバランスの調整やゲイン・オフセット調整、ガンマ処理、カラーマトリックス処理や可逆圧縮処理など種々の補正処理を行う。但し、非可逆圧縮処理などは行わず、いわゆるRAW画像信号を形成する。
【0046】
認識部31b~34bは画像処理部31a~34aで画像処理された歪曲補正されていないRAW画像信号からそれぞれ所定の対象物(例えば自動車、人物、障害物など)を画像認識する。即ち、認識部31b~34bは、低歪曲領域に対応する画像信号を歪曲補正せずにRAW画像信号の状態で画像認識して第1の画像認識結果を出力する。すなわち、本実施形態の認識部31b~34bは少なくとも高解像度領域10aから得られたRAW画像信号に対して画像認識処理を行い、所定の対象物を認識する。
【0047】
なお、この時、認識部31b~34bは、低解像度領域10bから得られたRAW画像信号についても画像認識処理をしてもよい。但し、RAW画像信号は歪曲補正されていないので、異画角レンズの周辺部の画像は歪が大きく認識の信頼性は落ちることになる。
【0048】
或いは、認識部31b~34bは、高解像度領域10aから得られたRAW画像信号を切り出して、その高解像度領域10aから得られたRAW画像信号に対してだけ画像認識処理を行ってもよい。
【0049】
なお、その際切り出す領域は、画像認識処理のために矩形にすることが望ましい。また、切り出す矩形領域は高解像度領域10a内の一部だけ(例えば高解像度領域10aに内接する矩形)でもよいし、高解像度領域10aと低解像度領域10bの両方を含んだ矩形でもよい。
【0050】
ここで、認識部31b~34bは撮像部(画像取得部)により取得された画像信号の内、少なくとも一部領域の画像信号を画像認識して第1の画像認識結果を出力する第1の画像認識部として機能している。なお、本実施形態において、前記一部領域は低歪曲領域に対応する領域である。
【0051】
認識部31b~34bは、対象物の種類と座標のセットを認識結果として統合処理部40に送信する。一方、認識部31b~34bは、統合処理部40の統合制御部41cから、カメラユニット間をまたがるような対象物の種類と、その対象物の移動方向に関する情報または優先認識領域情報のセットである予測情報を受信する。この予測情報については後述する。
【0052】
ここで、正面に対して設置されたカメラユニット11の認識部31bの出力は走行制御部(ECU)60にも直接供給されている。これは、認識部31bの障害物などの認識結果に基づいて直ちに走行を停止したり、障害物を回避するように走行を制御する必要が生じる場合があるからである。
【0053】
カメラ情報部31c~34cはそれぞれカメラユニット11~14に固有のカメラ情報を予めメモリに保持している。カメラ情報部はカメラユニット11~14内に設けた各種センサ等からの情報を一時的に保持することもできる。
【0054】
カメラ情報は、例えば異画角レンズ21c~24cが形成する光学像の図2に示されるような特性情報(解像度境界情報など)を含む。また、撮像素子21d~24dの画素数、カメラユニットの車両座標における取り付け位置座標および姿勢(ピッチ、ロール、ヨーなど)の情報、撮像方向などを含む。カメラ情報は、ガンマ特性、感度特性、フレームレートなどの情報を含んでも良い。
【0055】
さらに、カメラ情報は、画像処理部31a~34aにおいてRAW画像信号を生成する際の可逆圧縮方法などの画像処理方法や画像フォーマットに関する情報を含んでもよい。なお、取り付け位置座標は、カメラユニット毎に車両に対する取り付け位置が決まっている場合が多いので、事前にカメラ情報部内のメモリに記憶しておいてもよい。
【0056】
また、カメラユニットの姿勢座標は車両1に対する相対的な座標であり、カメラユニットに設けられた不図示のエンコーダなどから取得してもよい。あるいは3次元加速度センサなどを用いて取得してもよい。
【0057】
また、撮像方向に関する情報は例えば地磁気センサを用いて取得してもよい。カメラの解像度境界情報はレンズ設計によって決まるので予めカメラ情報部内のメモリに記憶しておくものとする。
【0058】
なお、カメラ情報は撮像部21~24の固有の情報であり、互いに異なり、それらの情報は統合処理部40に送信され、統合処理部40において画像処理などをする際に参照される。
【0059】
なお、カメラ処理部31~34の内部にはコンピュータとしてのCPUや記憶媒体としてのコンピュータプログラムを記憶したメモリが内蔵されている。また、CPUはメモリ内のコンピュータプログラムを実行することにより、カメラ処理部31~34内の各部を制御するように構成されている。
【0060】
なお、本実施形態では、画像処理部31a~34aや認識部31b~34bは例えば専用回路(ASIC)やプロセッサ(リコンフィギュラブルプロセッサ、DSP)などのハードウェアを用いる。それによって、高解像度領域の画像認識の高速化が実現でき、移動体の接触事故等を回避できる可能性を高めることができる。なお、画像処理部31a~34aは歪曲補正機能を持っていてもよい。
【0061】
なお、カメラ処理部31~34の内部の機能ブロックの一部または全部を、CPUに、メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行させることによって実現してもよいが、その場合には、CPUの処理速度を高めることが望ましい。
【0062】
40は統合処理部であり、SOC(Sytem On Chip)/FPGA(Field Programable Gate Array)41、コンピュータとしてのCPU42、記憶媒体としてのメモリ43を有する。CPU42はメモリ43に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって、画像処理システム100全体の各種制御を行う。なお、本実施形態では統合処理部40はカメラユニットとは別の筐体で収納されている。
【0063】
SOC/FPGA41は画像処理部41a、認識部41b、統合制御部41cを有する。画像処理部41aはカメラ処理部31~34からそれぞれのRAW画像信号を取得すると共に、カメラ情報部31c~34cより各カメラユニット11~14のカメラ情報を取得する。
【0064】
カメラ情報は、前述のように、異画角レンズ21c~24cの光学特性や撮像素子21d~24dの画素数、光電変換特性、ガンマ特性、感度特性、RAW画像信号のフォーマット情報、カメラユニットの車両座標における取り付け座標や姿勢情報などを含む。
【0065】
画像処理部41aはそれらのカメラ情報に基づきカメラ処理部31~34からのそれぞれのRAW画像信号に対して解像度変換を行うと共に、撮像部21~24のそれぞれの低解像度領域10bから得られた画像信号に対して歪曲補正を行う。
【0066】
本実施形態では画像処理部41aは、高解像度領域10aから得られた画像信号には歪曲が殆どないので歪曲補正は行わない。但し、画像処理部41aは、高解像度領域10aから得られた画像信号に対しても簡略的な歪曲補正を行ってもよい。また、画像処理部41aはカメラ処理部31~34からそれぞれのRAW画像信号に対して適宜非可逆圧縮処理などを行う。
【0067】
また、画像処理部41aは歪曲補正を行った撮像部21~24のそれぞれの低解像度領域10bの画像信号と、高解像度領域10aの画像信号をスムーズにつなぎ合わせるように合成して撮像部21~24毎の全体画像を形成する。
【0068】
なお、低解像度領域10bの画像信号と高解像度領域10aから得られた画像信号の両方に対して歪曲補正を行う場合には、画像処理部31a~34aでそれぞれ得られたRAW画像信号をそのまま歪曲補正してもよい。
【0069】
認識部41bは少なくとも低解像度領域を歪曲補正した後の、撮像部21~24毎の全体画像に対して画像認識処理を行い、撮像部21~24毎の全体画像における所定の対象物(例えば自動車、人物、障害物など)を画像認識する。即ち、認識部41bは、少なくとも低解像度領域(高歪曲領域)に対応する画像信号を歪曲補正した後で画像認識して第2の画像認識結果を出力する。
【0070】
その際に、認識部31b~34bによる認識結果(対象物の種類や座標)も参照する。なお、本実施形態では、認識部41bは撮像部21~24毎の全体画像に対して画像認識をしているが、必ずしも全体画像に対して画像認識をしなくてもよい。例えば画像の周辺部については画像認識しなくても良い。
【0071】
即ち、認識部41bの画像認識領域は、例えば認識部31b~34bにより認識した領域を含み、それより広い領域であればよい。すなわち、認識部41bは、画像取得部により取得された画像信号の内、第1の画像認識部で画像認識を行った一部領域を含む、該一部領域より広い領域の画像信号を画像認識して第2の画像認識結果を出力する第2の画像認識部として機能している。
【0072】
なお、第2の画像認識部は、低歪曲領域としての高解像度領域10aと高歪曲領域としての低解像度領域10bに対応した画像信号の両方を画像認識して第2の画像認識結果を出力している。
【0073】
本実施形態では、画像処理部41aは、複数の撮像部としてのカメラユニット12~14からの画像をつなぎ合わせるように合成して、パノラマ的な合成画像を形成する。その場合、つなぎ合わされる複数の撮像部の画像は、それぞれの撮影画角の少なくとも一部が互いに所定量以上のオーバーラップ領域を有するように設定されている。
【0074】
すなわち、カメラユニット12と13の撮影範囲が互いに重複するようにそれぞれ配置されている。また、カメラユニット13と14の撮影範囲が互いに重複するようにそれぞれ配置されている。しかも、本実施形態では、少なくとも2つの画像取得部の低歪曲領域の撮影範囲が互いに重複するように配置されている。
【0075】
また、認識部41bは、そのパノラマ的な合成画像に対して画像認識を行う。それによって、例えば複数の撮像部の画角にまたがるように撮影された対象物の画像認識が可能となる。すなわち、それぞれの撮像部からの個別の全体画像では対象物の全体像が分からない場合があるが、パノラマ的な合成画像においてはその対象物のほぼ全体が映り画像処理により画像認識が可能になる場合があるからである。
【0076】
統合制御部41cは、例えば認識部31b~34bによる認識結果と認識部41bによる認識結果が異なる場合には、より信頼性が高い方の認識結果を採用することで統合された画像認識結果を出力する。
【0077】
例えば認識部31b~34bにより認識された対象物の画面内に占める割合と認識部41bにより認識された同じ対象物の、画面内に閉める割合を比較し、その割合が大きい方の認識結果を、より信頼性が高いと判断して採用してもよい。
【0078】
或いは高解像度領域内と低解像度領域の両方にまたがっている対象物の場合には、認識部31b~34bによる認識結果よりも認識部41bによる認識結果を、より信頼性が高いと判断して採用してもよい。或いは、認識部31b~34bにより認識された対象物の位置が画面の周辺部の場合には、信頼性が低いと判断して、認識部41bによる認識結果を、より信頼性が高いと判断して採用してもよい。
【0079】
或いは、認識部41bでは、低解像度領域を歪曲補正した状態で、低解像度領域だけ画像認識をすると共に、もし低解像度領域と高解像度領域にまたがる対象物があった場合には、その対象物に対して画像認識をするようにしてもよい。
【0080】
即ち、高解像度領域だけに存在する対象物に対しては認識部31b~34bによる認識の信頼性の方が高いとみなして認識部41bでは画像認識処理をしないように制御してもよい。ここで、統合制御部41cは、第1の画像認識結果の信頼性と第2の画像認識結果の信頼性に基づき統合された画像認識結果を出力する統合処理部として機能している。
【0081】
また、画像処理部41aは、撮像部21~24毎の全体画像や、それらをつなぎ合わせたパノラマ的な合成画像などの内、所望の画像を第1表示部50,第2表示部51、第3表示部52などに表示するための信号を形成する。また、認識された対象物を強調表示するための枠や、対象物の種類、サイズ、位置、速度などに関する情報や警告などのためのCGなどを生成する。
【0082】
さらに、カメラ情報部31c~34cから取得した表示解像度境界情報などの光学系の特性情報に基づき境界を表示するための境界画像のCGを生成することができる。尚、境界を表すためには、表示画像を生成しなくても、境界を示す情報を生成できれば良い。
【0083】
また、これらのCGや文字を画像に重畳するための表示処理などを行う。ここで第1表示部50,第2表示部51、第3表示部52などは表示部として機能しており、画像信号や統合された画像認識結果などを表示する。
【0084】
さらにまた、本実施形態においては、統合制御部41cは複数のカメラユニットの間で認識された対象物に関する情報を共有するように構成されている。即ち、例えばカメラユニット14において認識された対象物がカメラユニット11の画角の方向に移動していることが認識されたものとする。その場合には、統合制御部41cはその対象物の種類と、その対象物の移動方向に関する情報または優先認識領域情報を含む予測情報をカメラユニット11の認識部31bに送信する。
【0085】
このような予測情報をカメラユニット11~14の認識部31b~34bで共有することによってカメラユニット11~14の認識部31b~34bにおける画像認識精度を向上させることができる。なお、このような予測情報を共有するメリットは、カメラユニット11~14の認識部31b~34bが統合処理部40の認識部41bと別体の場合に特に効果が大きい。
【0086】
また、統合制御部41cは走行制御部(ECU)60などとCANやFlexRay、Ethernetなどのプロトコルを用いて内部に設けられた不図示の通信部を介して通信を行う。それによって、走行制御部(ECU)60などから受信した車両制御信号に基づき表示する情報を適宜変更する表示処理を行う。即ち、例えば車両制御信号により取得された車両の移動状態に応じて表示部に表示する画像の範囲などを変化させる。
【0087】
なお、走行制御部(ECU)60は、車両1に搭載されており、車両1の駆動制御、方向制御などを総合的に行うためのコンピュータやメモリを内蔵したユニットである。走行制御部(ECU)60からは車両制御信号として例えば走行速度、走行方向、シフトレバー、シフトギア、ウインカーの状態、地磁気センサなどによる車両の向きなどの車両の走行(移動状態)に関する情報などが統合処理部40に対して入力される。
【0088】
統合制御部41cは、認識部41bで認識された所定の対象物(障害物など)の種類、位置、移動方向、移動速度などの情報を走行制御部(ECU)60に送信する。それによって走行制御部(ECU)60は車両の停止、駆動、走行方向の変更などの障害物の回避などに必要な制御を行う。ここで走行制御部(ECU)60は、統合された画像認識結果に基づき移動体としての車両の移動を制御する移動制御部として機能している。
【0089】
第1表示部50は例えば車両1の運転席の前方上部の車幅方向の中央付近に、表示画面を車両後方に向けて設置され電子ルームミラーとして機能する。なお、ハーフミラーなどを用いて、ディスプレイとして使用しないときは鏡として使用できる構成としてもよい。また、タッチパネルや操作ボタンを備えユーザからの指示を取得し、統合制御部41cへ出力可能な構成としてもよい。
【0090】
第2表示部51は、例えば車両1の運転席の前方の車幅方向の中央付近の操作パネル周辺に設置される。なお、移動体としての車両1には、不図示のナビゲーションシステムや、オーディオシステムなどが搭載されている。
【0091】
そして、例えば第2表示部には、ナビゲーションシステムや、オーディオシステムや走行制御部(ECU)60からの各種制御信号なども表示することができる。また、タッチパネルや操作ボタンを備え、ユーザからの指示を取得可能な構成としている。
【0092】
第3表示部52は例えばタブレット端末の表示部であり、統合処理部40に対して有線で接続することにより表示することもできるし、通信部62を介して無線で画像を受信して表示することもできる。
【0093】
カメラユニット11~14の位置や姿勢を調整する際には、無線接続されたタブレット端末の表示部に調整用の画面を表示しつつ調整動作を行う。勿論、ナビゲーションシステムからの制御信号を表示する第2表示部51と第3表示部52との機能を1つの表示装置で実現することもできる。
【0094】
なお、第1表示部50、第2表示部51、第3表示部52のディスプレイパネルとしては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを用いることができる。なお、表示部の数は3つに限定されない。
【0095】
なお、統合処理部40などに含まれる機能ブロックの一部または全部をハードウェアで実現するようにしてもよいし、CPU42に、メモリ43に記憶されたコンピュータプログラムを実行させることによって実現してもよい。ハードウェアとしては、専用回路(ASIC)やプロセッサ(リコンフィギュラブルプロセッサ、DSP)などを用いることができる。
【0096】
なお、画像処理部31a~34aで行っている画像処理の一部または全部を統合処理部40の画像処理部41aで行ってもよい。即ち、本実施形態では、例えば画像取得部と第1の画像認識部とは同じカメラユニットの筐体に収納されており、カメラユニットと第2の画像認識部とは別の筐体に収納されている。しかし、例えば第1の画像認識部を第2の画像認識部と共に統合処理部40の筐体に収納してもよい。
【0097】
なお、本実施形態では統合処理部40は移動体としての車両1に搭載されているが、統合処理部40の画像処理部41a、認識部41b、統合制御部41cの一部の処理を例えばネットワークを介して外部サーバなどで行ってもよい。
【0098】
その場合、例えば画像取得部としての撮像部21~24は移動体としての車両1に搭載されるが、例えばカメラ処理部31~34や統合処理部40の機能の一部を外部サーバなどで処理することが可能になる。また、統合処理部40の一部または全部の機能を走行制御部(ECU)60に持たせることも可能である。
【0099】
61は記憶部であり、統合処理部40で生成された撮像部21~24毎の全体画像や、パノラマ的な合成画像を記憶する。さらに、認識された対象物を示す所定の枠や文字や警告などのCGや、CGが重畳され第1表示部50,第2表示部51などに表示された画像を時刻などやGPS情報などと共に記憶する。統合処理部40は記憶部61に記憶された過去の情報を再生し、それを第1表示部50や第2表示部51に表示することも可能である。
【0100】
62は通信部であり、ネットワークを介して外部サーバなどと通信するためのものであり、記憶部61に記憶される前の情報や記憶部61に記憶された過去の情報を外部サーバなどに送信して外部サーバなどに保存することが可能である。
【0101】
また、前述のように画像を外部のタブレット端末などに送信して、タブレット端末の表示部である第3表示部52に画像を表示することもできる。また、外部サーバなどから渋滞情報や、各種の情報を取得して、統合処理部40を介して第1表示部50や第2表示部51などに表示することも可能である。
【0102】
図4図8は実施形態1の統合処理部40の一連の動作を説明するためのフローチャートである。図4図8のフローは、統合処理部40のCPU42がメモリ43内のコンピュータプログラムを実行することにより順次行われる。
【0103】
例えばタブレット端末の第3表示部52にカメラ姿勢調整モードを開始するための開始ボタンを表示し、開始ボタンがクリックされた場合に図4図8のフローがスタートする。
【0104】
図4は実施形態1のカメラ処理部の処理フローを説明するためのフローチャートである。図4のステップS41において、後方カメラの調整モードか否かの判別をする。Yesの場合にはステップS42に進み、Noの場合には図8のステップS80に進む。
【0105】
ステップS42(特性情報取得ステップ)では、後方カメラの位置、姿勢、解像度境界情報等を後方のカメラユニット13のカメラ情報部33cから取得する。ここでステップS42は光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得部として機能している。
【0106】
ステップS43(画像取得ステップ)で、後方のカメラユニット13からの映像を取得し、ステップS44で複数カメラユニットの解像度境界表示を行うか否かを判別し、NoであればステップS45に進む。
【0107】
ステップS45では歪曲補正を行うか否かを判別し、NoであればステップS47に進み、フラグFを0としてからステップS48に進む。YesであればステップS46で後方のカメラユニット13の映像に対して画像処理部41aによって歪曲補正を行い、フラグFを1にしてからステップS48に進む。
【0108】
ステップS48では、フラグFに基づき歪曲補正されているか否かを考慮して後方のカメラユニット13の表示解像度境界を計算する。そして、ステップS49(表示信号生成ステップ)で後方のカメラユニット13からの映像に対して、計算された表示解像度境界を重畳し、例えば第3表示部52に表示する。
【0109】
すなわち、例えば通信部62を介してカメラユニットの調整時に用いるタブレット端末の第3表示部52に表示する。ここでステップS48は、特性情報取得部により取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界画像を形成し、前記画像信号に重畳して表示信号を生成する表示信号生成部として機能している。
【0110】
図9は画像の表示状態と表示解像度境界の重畳例を説明するための図であり、図9(A)は、後方のカメラユニット13からの歪曲補正されていない映像130に、表示解像度境界93を重畳した例を説明する図である。即ち、フラグFが0の場合に表示される画像を示している。
【0111】
一方、図9(B)は、後方のカメラユニット13からの歪曲補正された映像131に、表示解像度境界93の境界画像を重畳した例を説明する図である。図9(A)、図9(B)のいずれも第3表示部52であるタブレット端末の表示部に表示される映像の例である。
【0112】
なお、フラグ図9(B)において表示される表示解像度境界93は歪曲補正に応じた座標変換をしたものであってもよい。また、画像に表示解像度境界93を重畳する際に、図10のような追加的な境界画像のCGを重畳しても良い。
【0113】
図10は画像に重畳される表示解像度境界93の他の例を説明するための図である。図10(A)は高解像度領域と低解像度領域の境界を区別するために、表示解像度境界93を境に高解像度領域と低解像度領域の輝度や色を異ならせることで表示解像度境界の内側と外側が分かるようにした例を示す図である。
【0114】
なお、図10(A)のように表示解像度境界93の内側と外側で輝度や色などを異ならせる場合には、表示解像度境界の線自体を表示しなくてもよい。すなわち本実施形態における表示解像度境界(境界画像)の表示は、線を用いずに境界を表示するものを含む。また、境界を表す線を例えば二重線で表し、内側(高解像度領域がある側)の線を破線にして視線を内側に誘導して、高解像度領域の内側と外側を分かりやすくすることもできる。
【0115】
図10(B)はカメラユニットがロール軸などに対して傾いている場合に、そのことがわかりやすいように、表示解像度境界93に水平軸や垂直軸を追加して重畳した例を示す図である。
【0116】
なお、表示解像度境界を表示する際に、便宜的に例えば長方形で表示してもよい。長方形で表示することによってロールしているか否かをよりわかりやすく表示することができる。その場合の長方形は例えば円状の表示解像度境界に対して内接あるいは外接する長方形であっても良い。
【0117】
図4のステップS49で第3表示部52に画像と表示解像度境界93などを出力して表示を行った後、図5のステップS50に進む。
【0118】
図5図4から続く処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS50では、フラグFが0または1の場合には、図11(A)に示すような基準枠200および基準枠中心203を画面上に表示する。なお、フラグFが1の場合は歪曲補正されているので、第3表示部52に表示される画像および表示解像度境界93などの座標もそれに応じて変換される。
【0119】
なお基準枠200は例えば四隅だけを表示した枠や例えば4つのドットなどであってもよく、本実施形態における枠は、そのようなものも含む。尚、基準枠200は米国のNHTSA(国家道路交通安全局)によるリア・カメラ標準設定最終規則(MVSS111)を十分に満たすようなものを設定する。即ち、例えば車両後端から3m後方で、左右方向の車両中心軸から1.5m離れた幼児の頭部が十分に入る領域を基準枠として設定するとよい。
【0120】
図11は、フラグFに応じて調整用の画面に表示される基準枠などの例を示す図であり、図11(A)はフラグFが0または1の場合に調整用の画面に表示される基準枠などの例を示す図である。図12は基準枠の設置位置の例を示す図である。なお、図11(A)の画面はフラグFが0の場合は歪曲補正される前の画面であり、フラグFが1の場合は歪曲補正された後の画面である。
【0121】
図11(A)において、表示解像度境界93に対して例えば矩形状の仮想的な基準枠200および基準枠中心203が表示される。この基準枠200は図12に示す位置205(例えば車両1の後端から2m離れた位置で、車両1の進行方向の向きに対して垂直で、地面から垂直な面に水平方向4m、地上から1mの位置)に、車両1の座標を基準として仮想的に画面上に配置されるものである。
【0122】
車両1の方向は走行制御部(ECU)60を介して地磁気センサなどの出力から取得すればよい。なお、このような仮想的な画像を画面に表示する代わりに実際に上記の位置205に基準板をおいて撮像することによって基準枠200と基準枠中心203を表示してもよい。
【0123】
なお、この基準枠200は、電子ルームミラーに表示される画像領域に対応している。例えば車両1を後退する場合には、画像処理部41aでは、カメラユニット13から得られた画像信号だけを電子ルームミラーに表示する。その際に、カメラユニット13から得られた画像信号から基準枠200に対応した画像領域だけを切り出して例えば電子ルームミラーとしての第1表示部50に表示することができる。
【0124】
ただし、カメラユニット13の調整中は図11(A)のような全体画像がタブレット端末の表示部などの第3表示部52の画面520に表示されカメラユニット13の位置姿勢調整をすることができる。
【0125】
なお、前述したように、また図12に示すように、カメラユニット11~14のうちの少なくとも2つのカメラユニット12と13,またカメラユニット13と14の撮影範囲が互いに重複するようにそれぞれ配置されている。しかも、本実施形態では少なくとも2つの画像取得部の低歪曲領域の撮影範囲が互いに重複するように配置されている。
【0126】
図5のステップS51において、基準枠中心203と表示解像度境界93の重心93cが合致しているか判別する。合致している場合はステップS53に進む。Noの場合には、ステップS52に進み、表示解像度境界93の重心93cを基準枠中心203の方向に移動させるように矢印303(ガイド情報)を表示してからステップS53に進む。
【0127】
尚、ステップS51では、必ずしも基準枠中心203と重心93cが合致する必要はない。基準枠領域内の大部分(理想的には全て)が高解像度領域になるように調整できれば良い。そこで、閾値を設けて、基準枠領域内の高解像度領域の面積が閾値を超えていれば、S51でYesと判断しS53に進むようにしても良い。
【0128】
このように、ステップS52では、矢印303の向きと長さによってずれを修正するための移動方向と移動量を表示することができる。あるいは、文章や音声によって移動方向や移動用の指示をしてもよい。
【0129】
さらに、ステップS52において、例えば基準枠中心203を画面の水平、垂直座標の中心として、表示解像度境界93の重心93cの位置が水平、垂直座標でどの位置にあるかを数値で表示してもよい。
【0130】
これらの数値や矢印303や基準枠200や基準枠中心203は、境界画像に基づき、画像取得部の姿勢等を調整するためのガイド情報として機能している。なお、ガイド情報としては、これらのうちの少なくとも1つを使えばよく、例えば基準枠200だけを表示し、ユーザが境界画像と基準枠200を目視で調整するようにしてもよい。またステップS50やS52も表示信号生成ステップ(表示信号生成部)として機能している。
【0131】
ステップS53においては、カメラユニット13の姿勢等の調整が終了したか否かを判別する。例えばタブレット端末の第3表示部52に調整完了ボタンを表示する。そして、例えばユーザがカメラユニット13の姿勢等をタブレットの画面を見ながら調整し、調整が終了した後で調整完了ボタンをクリックした場合に調整が完了したと判断する。
【0132】
尚、前述のように、必ずしも基準枠中心203と重心93cとのズレがなくなるまで調整する必要はない。基準枠領域内の大部分(理想的には全て)が高解像度領域になるように調整できれば良い。そこで、閾値を設けて、基準枠領域内の高解像度領域の面積がその閾値を超えていれば、S53でYesと判断してS54に進む。ステップS53でNoの場合にはステップS51に戻り、Yesの場合にはステップS54に進む。
【0133】
ステップS54では、モード終了要求があるか否か判別する。例えばタブレット端末の第3表示部52にカメラ姿勢調整モードを終了するための終了ボタンを表示し、ユーザが終了ボタンをクリックした場合にモード終了要求があったと判断する。
【0134】
ステップS54でYesの場合には図4図8のフローは終了する。Noの場合にはステップS41に戻る。
【0135】
図4のステップS44で複数カメラユニットの解像度境界表示を行うか否かの判別をし、Yesの場合には図6のステップS60(特性情報取得ステップ)に進む。
【0136】
図6は、図4からの分岐処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、基準枠200の領域内を高解像度領域として撮影できているかどうか分かりやすく表示し、そのような撮影ができていない場合には、カメラユニット12~14を設置する位置又は姿勢の少なくとも何れかを調整することを支援しようとしている。
【0137】
ステップS60では、右側方のカメラユニット12と左側方のカメラユニット14の位置、姿勢、解像度境界情報等をカメラ情報部32c、34cから取得する。即ち、複数の画像取得部としてのカメラユニット12,14における境界情報を取得する。
【0138】
次にステップS61で複数のカメラユニットからの映像を使用するか否かを判別し、Noの場合には、ステップS62に進み、歪曲補正をするか否かを判別する。
【0139】
ステップS62でYesの場合には、ステップS63で後方のカメラユニット13の映像に歪曲補正をすると共に、フラグFを3にしてステップS65に進む。一方、ステップS62でNoの場合には、ステップS64でフラグFを2にしてからステップS65に進む。
【0140】
ステップS65では、後方のカメラユニット13、右側方のカメラユニット12、左側方のカメラユニット14の表示解像度境界を計算する。
【0141】
そして、ステップS66(表示信号生成ステップ)で後方のカメラユニット13の映像に複数の表示解像度境界を重畳して第3表示部52に表示する。すなわち、1つの画像に複数の境界画像を重畳した表示信号を生成する。表示信号は例えば通信部62を介してカメラユニットの調整時に用いるタブレット端末の第3表示部52に供給され表示される。
【0142】
図9(C)は、カメラユニット13からの歪曲補正されていない映像130に、カメラユニット13の表示解像度境界93、カメラユニット12の表示解像度境界92、カメラユニット14の表示解像度境界94を重畳して表示した例を示す図である。図9(C)、図9(D)のいずれも第3表示部52であるタブレット端末の表示部に表示される映像例である。
【0143】
側方に異画角レンズを含む撮像部を用いるときには解像度境界92の内部が高解像度領域となり、側方に逆異画角レンズを含む撮像部を用いるときには解像度境界92の外部かつ逆異画角レンズで撮影した領域が高解像度領域となる。
【0144】
即ち、フラグFが2の場合に表示される画像を示している。一方、図9(D)は、カメラユニット13からの歪曲補正された映像131に、カメラユニット13の表示解像度境界93、カメラユニット12の表示解像度境界92、カメラユニット14の表示解像度境界94を重畳した例を示す図である。
【0145】
即ち、フラグFが3の場合に表示される画像を示している。なお、図9(D)において表示される表示解像度境界92、94は歪曲補正に応じた座標変換をしたものである。表示解像度境界93も歪曲補正に応じた座標変換をしたものでもよい。
【0146】
ステップS66の後にステップS50に進む。ステップS50~S54の動作は既に説明したものと同様であるが、フラグFが2または3の場合には、ステップS50において、図11(B)のような調整用の画面が表示される。
【0147】
図11(B)はフラグFが2や3などの場合に調整用の画面に表示される基準枠などの例を示す図である。なお、図11(B)の画面はフラグFが2の場合は歪曲補正される前の画面であり、フラグFが3の場合は歪曲補正された後の画面である。
【0148】
フラグFが2または3の場合には、基準枠200、基準枠中心203、右側方のカメラユニット12の表示解像度境界92の重心93cを合わせるための基準点202が表示される。さらに、左側方のカメラユニット14の表示解像度境界94の重心94cを合わせるための基準点204が表示される。
【0149】
そして、ステップS51では基準枠中心203と表示解像度境界93の重心93cが合致し、基準点202と表示解像度境界92の重心93cが合致し、基準点204と表示解像度境界94の重心94cが合致している場合に合致していると判断する。
【0150】
なお、ここで基準点202,204は基準枠中心203に対して所定の距離に設定されており、表示解像度境界92と93が所定量重なりあうように設定されている。また、表示解像度境界94と93が所定量重なりあうように設定されている。すなわち、前述のように、本実施形態では、少なくとも2つの画像取得部の撮影範囲(特に高解像度領域(低歪曲領域))が互いに重複するように調整され配置されている。
【0151】
尚、前述のように、ステップS51では、必ずしも基準点202、204と重心92c、93cが合致する必要はない。基準枠領域内の大部分(理想的には全て)が高解像度領域になるように調整できれば良い。そこで、閾値を設けて、基準枠領域内の高解像度領域の面積が閾値を超えていれば、S51でYesと判断することができる。閾値以下であればS51でNoと判断し、S52に進む。
【0152】
なお、図11(B)の基準枠200は、前述のように、電子ルームミラーに表示される画像領域に対応している。したがって、画像処理部41aでは、車両1の例えば通常の走行の際には、カメラユニット12~14から得られた画像信号を合成して表示する。
【0153】
そして、その合成画像のうち、この基準枠200に対応した画像領域を切り出して例えば電子ルームミラーとしての第1表示部50に表示することができる。ただし、カメラユニット12~14の調整中は図11(B)のような全体画像がタブレット端末の表示部などの第3表示部52に表示されカメラユニット12~14の姿勢等の調整をすることができる。
【0154】
ステップS52では、基準枠中心203と表示解像度境界93の重心93cのずれがあればそれを矢印303で示す。また、図11(B)に示すように、基準点202と表示解像度境界92の重心93cのズレを矢印302で示し、基準点204と表示解像度境界94の重心94cのずれを矢印304で示す。矢印302とともに、「右側方のカメラを車両側に向けてください」などと、文字で表示したり音声で通知したりすることもできる。
【0155】
尚、前述のように必ずしも基準点202、204と重心92c、93cが合致するまでズレを調整する必要はない。基準枠領域内の大部分(理想的には全て)が高解像度領域になるように調整できれば良い。そこで、閾値を設けて、基準枠領域内の高解像度領域の面積が閾値を超えていれば、S53でYesと判断しS54に進む。ステップS53では、ユーザがカメラユニット12~14の位置姿勢をそれぞれ調整し、調整が完了した後で調整完了ボタンをクリックした場合に調整が完了したと判断する。
【0156】
次に図6のステップS61で複数カメラの映像を使用するか判断した際に、Yesの場合には図7のステップS70に進む。
【0157】
図7は、図6からの分岐処理を説明するためのフローチャートである。ステップS703(画像取得ステップ)では、右側方のカメラユニット12と左側方のカメラユニット14の映像を取得し、ステップS71で歪曲補正をするか否かを判断する。
【0158】
ステップS71でYesの場合には、ステップS72で後方のカメラユニット13、右側方のカメラユニット12、左側方のカメラユニット14の映像に歪曲補正をすると共に、フラグFを5にしてステップS74に進む。一方、ステップS71でNoの場合には、ステップS73でフラグFを4にしてからステップS74に進む。
【0159】
ステップS74では、後方のカメラユニット13、右側方のカメラユニット12、左側方のカメラユニット14の映像を合成する。即ち、複数の画像取得部から取得した画像信号を合成して合成画像を生成する。次に、ステップS75で、後方のカメラユニット13、右側方のカメラユニット12、左側方のカメラユニット14の表示解像度境界を計算する。
【0160】
そして、ステップS76(表示信号生成ステップ)で、合成された映像に表示解像度境界を重畳して第3表示部52に表示する。すなわち、合成画像に複数の境界画像を重畳した表示信号を生成する。表示信号は例えば通信部62を介してカメラユニットの調整時に用いるタブレット端末の第3表示部52に供給され表示される。
【0161】
図9(E)は歪曲補正せずに合成した映像に表示解像度境界を重畳した例を示す図であり、フラグFが4の場合に表示される画像を示している。図9(F)は歪曲補正後に合成された映像に表示解像度境界を重畳した例を示す図であり、フラグFが5の場合に表示される画像を示している。520は第3表示部52の画面枠である。
【0162】
120は右側方のカメラユニット12から得られた歪曲補正されていない画像信号、130は後方のカメラユニット13から得られた歪曲補正されていない画像信号、140は左側方のカメラユニット14から得られた歪曲補正されていない画像信号を示す。900はそれらを並べて表示した画像である。
【0163】
各カメラの表示解像度境界の距離の分だけ解像度境界が離れるようにカメラ映像を並べる。例えば、図11(B)、(C)で示されるガイドに従ってカメラユニットの設置位置又は姿勢が変更され、表示解像度境界が近づくと、境界を示す情報(円の線)も近づく。
【0164】
また、121は右側方のカメラユニット12から得られた歪曲補正された画像信号、131は後方のカメラユニット13から得られた歪曲補正された画像信号、141は左側方のカメラユニット14から得られた歪曲補正された画像信号を示す。901はそれらを並べて表示した画像である。各カメラの表示解像度境界の距離の分だけ解像度境界が離れるようにカメラ映像を並べる。
【0165】
例えば、図11(B)、(C)で示されるガイドに従ってカメラユニットの設置位置又は姿勢が変更され、表示解像度境界が近づくと、境界を示す情報(円の線)も近づく。なお、図9(F)において表示される表示解像度境界92、94は歪曲補正に応じた座標変換をしたものである。表示解像度境界93も歪曲補正に応じた座標変換をしたものでもよい。
【0166】
なお、本実施形態では、図9(E)、図9(F)では第3表示部52の画面520には、表示解像度境界92、94が表示解像度境界93と重ならないように表示している。しかし、通常走行時などに電子ルームモニターに表示される画像は、表示解像度境界92の一部と表示解像度境界93とが重なった状態で合成される。また、表示解像度境界94の一部と表示解像度境界93とが重なった状態で合成される。
【0167】
ステップS76の後にステップS50に進む。ステップS50~S54の動作は既に説明したものと同様であるが、フラグFが4または5の場合には、ステップS50において、例えば図11(C)のような調整用の画面が表示される。
【0168】
図11(C)はフラグFが4または5の場合の調整用の画面の例を示す図であり、フラグFが4の場合は歪曲補正される前の画面であり、フラグFが5の場合は歪曲補正された後の画面である。
【0169】
図11(C)において、基準枠210には基準枠中心213の他に右側方のカメラユニット12の表示解像度境界92の重心93cを合わせるための基準点212が表示される。さらに、左側方のカメラユニット14の表示解像度境界94の重心94cを合わせるための基準点214が表示される。
【0170】
そして、ステップS51では基準枠中心213と表示解像度境界93の重心93cが合致し、基準点212と表示解像度境界92の重心93cが合致し、基準点214と表示解像度境界94の重心94cが合致している場合に合致していると判断する。
【0171】
なお、図11(C)の基準枠210は、電子ルームミラーに表示される画像領域に対応している。ただし、図11(C)においては、カメラユニット11~13の画像を合成せずに並べて表示しているが、実際に電子ルームミラーに表示されるのはカメラユニット11~13の画像を互いに一部重ね合わせて合成した合成画像である。したがって、基準枠210は調整時に表示されるものであり、図11(A)、(B)に示される実際に電子ルームミラーに対応した基準枠200よりも細長い形状となっている。
【0172】
すなわち、画像処理部41aでは、カメラユニット12~14から得られた画像信号を合成して表示する場合には、合成画像のうち、図11(A)の基準枠200に対応した画像領域を切り出して例えば電子ルームミラーとしての第1表示部50に表示する。
【0173】
なお、本実施形態では、電子ルームミラーに表示される合成画像の切り出し領域は、カメラユニット12~14のそれぞれの高解像度領域(低解像度領域)に対応しており、合成画像のうち高解像度領域(低解像度領域)だけが切り出されて表示される。
【0174】
ただし、前述のように、カメラユニット12~14の調整中は図11(C)のような全体画像や基準枠210がタブレット端末の表示部などの第3表示部52に表示され、カメラユニット12~14の位置姿勢調整をすることができる。
【0175】
ステップS52では、基準枠中心213と表示解像度境界93の重心93cのずれがあればそれを矢印で示す。また、基準点212と表示解像度境界92の重心93cのずれを矢印で示し、基準点214と表示解像度境界94の重心94cのずれを矢印で示す。またステップS50~S54のそれ以外の動作については既に説明したものと同じなので説明は省略する。すなわち、合成画像に複数の境界画像を表示した状態で、撮像部の姿勢等を調整するための矢印などのガイド情報を生成する。
【0176】
次に図4のステップS41で後方のカメラユニットの調整か判別し、Noの場合には図8のステップS80(特性情報取得ステップ)に進む。
【0177】
図8は、図4からの他の分岐処理を説明するためのフローチャートである。ステップS80では、正面のカメラユニット11の位置、姿勢、解像度境界情報等を正面のカメラユニット11のカメラ情報部31cから取得し、ステップS813(画像取得ステップ)で正面のカメラユニット11の映像を取得する。
【0178】
そしてステップS82で歪曲補正をするか否かを判断し、Yesの場合には、ステップS83で正面のカメラユニット11の映像に歪曲補正をすると共に、フラグFを7にしてステップS85に進む。一方、ステップS82でNoの場合には、ステップS84でフラグFを6にしてからステップS85に進む。
【0179】
ステップS85では、正面のカメラユニット11の表示解像度境界を計算し、ステップS86(表示信号生成ステップ)で、正面のカメラユニット11の映像に表示解像度境界を重畳して第3表示部52に表示する。すなわち、例えば通信部62を介してカメラユニットの調整時に用いるタブレット端末の第3表示部52に表示する。
【0180】
図9(G)は歪曲補正していない正面のカメラユニット11の映像110に正面のカメラユニット11の表示解像度境界91を重畳した例を示す図であり、フラグFが6の場合に表示される画像の例を示している。図9(H)は歪曲補正後の正面のカメラユニット11の映像111に正面のカメラユニット11の表示解像度境界91を重畳した例を示す図であり、フラグFが7の場合に表示される画像の例を示している。なお、図9(H)に表示される表示解像度境界91は歪曲補正に応じた座標変換をしたものでもよい。
【0181】
ステップS86の後にステップS50に進む。ステップS50~S54の動作は既に説明したものと同様であるが、フラグFが6または7の場合には、ステップS50において、図11(A)のような調整用の画面が表示される。
【0182】
なお、図11(A)の画面は、フラグFが6の場合は歪曲補正される前の画面であり、フラグFが7の場合は歪曲補正された後の画面である。なお、図11(A)における表示解像度境界93およびその重心93cは、それぞれ表示解像度境界91とその中心91cに読み替える。
【0183】
また、正面のカメラユニット11のための仮想の基準枠は基準枠200と同様の大きさでよく、図12の車両1の後方の位置205と反対側の、前方の206で示すような位置に仮想的に配置したものとして画面に表示すれば良い。
【0184】
なお、図11(A)の基準枠200は、前述のように、電子ルームミラーに表示される画像領域に対応している。したがって、画像処理部41aでは、カメラユニット11から得られた画像信号を表示する場合に、この基準枠200に対応した画像領域を切り出して例えば電子ルームミラーとしての第1表示部50に表示することができる。
【0185】
ただし、カメラユニット11の調整中は図11(A)のような全体画像がタブレット端末の表示部などの第3表示部52の画面520に表示されカメラユニット11の位置姿勢調整をすることができる。
【0186】
このように、本実施形態では、高解像度領域(低歪曲領域)10aは、上述のように通常の撮像用の光学系の中心射影方式(y=f×tanθ)または等距離射影方式(y=f×θ)に近似した射影特性となるように構成されている。したがって、第1表示部50に表示される例えば電子ルームミラー用の画像は、解像度が低解像度領域(高歪曲領域)10bと比較して高く、車両1の正面、側方、後方の遠方を、より精細に表示することができる。
【0187】
また、高解像度領域10aは光学歪曲が小さいため、第1表示部50に表示される電子ルームミラー用の画像も歪みが小さい状態で表示することができ、車両の周囲を運転者がより自然な遠近感で視認できる。
【0188】
尚、図11の調整例では、側方に異画角レンズを含む撮像部を用いている場合を説明した。側方に逆異画角レンズを含む撮像部を用いている場合には、解像度境界92、94の外部の高解像度領域が基準枠200に収まるように調整を行う。
【0189】
また、本実施形態における高解像度領域10aは、光学歪みが小さくなるように構成されており、歪曲補正をしないRAW画像信号の状態で画像認識ができるので、画像認識のための処理負荷を低減し高速で画像認識をすることができる。したがって画像認識結果に基づき障害物を早期に発見でき、障害物を回避するための動作をタイムリーに行える。このように、本実施形態の構成を用いた場合には、特に高速道路などでの高速走行時において大きな効果を得ることができる。
【0190】
なお、以上の実施形態では複数のカメラユニットを用いる例を説明したが、カメラユニットが1つだけのシステムにおいても有効である。また、本実施形態によれば上記のような異画角レンズを用いたシステムにおいて、カメラユニットを設置する位置や姿勢等を容易に調整できるので、調整のための作業効率を大幅に向上でき、異画角レンズを用いたシステムの性能を十分に引き出すことができる。
なお、以上の実施形態では、カメラユニットの調整時に低歪曲領域と高歪曲領域の境界画像を表示することによって調整工程を短縮化できるようにしているが、調整時以外であっても、例えば通常走行中などに境界画像を表示するようにしても良い。
【0191】
なお、上述の実施形態においては車両などの移動体に画像処理システムを搭載した例について説明した。しかし、本実施形態の移動体は、自動車などの車両に限らず、列車、船舶、飛行機、ロボット、ドローンなどの移動をする移動装置であればどのようなものであってもよい。また、本実施形態の画像処理システムはそれらの移動体に搭載されるものを含む。また、移動体をリモートでコントロールする場合にも本実施形態を適用することができる。
【0192】
[実施形態2]
上述した実施形態1において説明された様々な機能、処理および方法の少なくとも一つは、プログラムを用いて実現することができる。以下、実施形態2では、上述した実施形態1おいて説明された様々な機能、処理および方法の少なくとも一つを実現するためのプログラムを「プログラムX」と呼ぶ。さらに、実施形態2では、プログラムXを実行するためのコンピュータを「コンピュータY」と呼ぶ。パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)などは、コンピュータYの一例である。上述した実施形態における画像処理システムなどのコンピュータも、コンピュータYの一例である。
【0193】
上述した実施形態1において説明された様々な機能、処理および方法の少なくとも一つは、コンピュータYがプログラムXを実行することによって実現することができる。この場合において、プログラムXは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータYに供給される。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、ROM、RAMなどの少なくとも一つを含む。さらに、実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitory(非一時的)な記憶媒体である。
【0194】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。尚、本発明は以下の組み合わせを含む。
【0195】
(構成1)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段と、前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を形成し、前記境界を示す情報を前記画像信号に重畳するための表示信号を生成する表示信号生成手段と、を有することを特徴とする画像処理システム。
【0196】
(構成2)前記画像取得手段は、前記光学像を形成する光学系と、前記光学系により形成された前記光学像を撮像する撮像素子と、を含むことを特徴とする構成1に記載の画像処理システム。
【0197】
(構成3)異なる位置に配置された複数の前記画像取得手段を有し、前記表示信号生成手段は、複数の前記画像取得手段から取得した前記画像信号を合成して合成画像を生成することを特徴とする構成1又は2に記載の画像処理システム。
【0198】
(構成4)前記特性情報取得手段は複数の前記画像取得手段における前記特性情報を取得することを特徴とする構成3に記載の画像処理システム。
【0199】
(構成5)前記表示信号生成手段は、複数の前記画像取得手段における前記特性情報に基づき1つの画像に複数の前記境界を示す情報を重畳した表示信号を生成することを特徴とする構成4に記載の画像処理システム。
【0200】
(構成6)前記表示信号生成手段は、前記合成画像に前記複数の前記境界を示す情報を重畳するための表示信号を生成することを特徴とする構成5に記載の画像処理システム。
【0201】
(構成7)前記表示信号生成手段は、前記画像取得手段の姿勢を調整するためのガイド情報を含む表示信号を生成することを特徴とする構成1~6のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0202】
(構成8)前記ガイド情報は基準枠を含み、前記基準枠は電子ルームミラーに表示される画像領域に対応していることを特徴とする構成7に記載の画像処理システム。
【0203】
(構成9)前記低歪曲領域と前記高歪曲領域はそれぞれ前記光学像の高解像度領域、低解像度領域に対応していることを特徴とする構成1~8のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0204】
(構成10)前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)とするとき、
前記低歪曲領域におけるy(θ)はf×θより大きく、前記高歪曲領域における前記射影特性とは異なることを特徴とする構成2に記載の画像処理システム。
【0205】
(構成11)前記低歪曲領域は、中心射影方式(y=f×tanθ)または等距離射影方式(y=f×θ)に近似した射影特性となるように構成されていることを特徴とする構成10に記載の画像処理システム。
【0206】
(構成12)θmaxを前記光学系が有する最大の半画角、Aを所定の定数とするとき、
を満足するように構成されていることを特徴とする構成10又は11に記載の画像処理システム。
【0207】
(構成13)前記画像取得手段の少なくとも1つは、前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、
0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92
を満足することを特徴とする構成3~12のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0208】
(構成14)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する複数の画像取得手段を有し、それぞれの前記画像取得手段の前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき、それぞれの前記画像取得手段からの前記画像信号を画像処理して所定の表示信号を生成する表示信号生成手段と、を有すると共に、複数の前記画像取得手段の少なくとも2つの前記画像取得手段の撮影範囲が互いに重複するように配置されていることを特徴とする画像処理システム。
【0209】
(構成15)前記画像取得手段は、前記光学像を形成する光学系と、前記光学系により形成された前記光学像を撮像する撮像素子と、を含むことを特徴とする構成14に記載の画像処理システム。
【0210】
(構成16)前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)とするとき、前記低歪曲領域におけるy(θ)はf×θより大きく、前記高歪曲領域における前記射影特性とは異なることを特徴とする構成15に記載の画像処理システム。
【0211】
(構成17)前記低歪曲領域は、中心射影方式(y=f×tanθ)または等距離射影方式(y=f×θ)に近似した射影特性となるように構成されていることを特徴とする構成16に記載の画像処理システム。
【0212】
(構成18)θmaxを前記光学系が有する最大の半画角、Aを所定の定数とするとき、
を満足するように構成されていることを特徴とする構成16又は17に記載の画像処理システム。
【0213】
(構成19)前記画像取得手段の少なくとも1つは、前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92を満足することを特徴とする構成15~18のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0214】
(構成20)少なくとも2つの前記画像取得手段の前記低歪曲領域の撮影範囲が互いに重複するように配置されていることを特徴とする構成14~19のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0215】
(構成21)前記表示信号生成手段は、少なくとも2つの前記画像取得手段からの前記画像信号を合成して合成画像を生成することを特徴とする構成14~20のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0216】
(構成22)前記表示信号生成手段は、前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を生成することを特徴とする構成14~21のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0217】
(構成23)前記表示信号生成手段は、前記画像取得手段から取得した画像に前記境界を示す情報を重畳するための表示信号を生成することを特徴とする構成22に記載の画像処理システム。
【0218】
(構成24)前記表示信号生成手段は、前記画像取得手段の姿勢を調整するためのガイド情報を含む表示信号を生成することを特徴とする構成22又は23に記載の画像処理システム。
【0219】
(構成25)前記ガイド情報は基準枠を含み、前記基準枠は電子ルームミラーに表示される画像領域に対応していることを特徴とする構成24に記載の画像処理システム。
【0220】
(構成26)前記低歪曲領域と前記高歪曲領域はそれぞれ前記光学像の高解像度領域、低解像度領域に対応していることを特徴とする構成14~25のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0221】
(構成27)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する複数の画像取得手段を有し、それぞれの前記画像取得手段の前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき、それぞれの前記画像取得手段からの前記画像信号を画像処理して所定の表示信号を生成する表示信号生成手段と、を有し、複数の前記画像取得手段の光学系は、前記光学系の中心寄りの領域が前記低歪曲領域であり、外寄りの領域が前記高歪曲領域の画像取得手段と、前記光学系の中心寄りの領域が前記高歪曲領域であり、外寄りの領域が前記低歪曲領域の画像取得手段と、を含むことを特徴とする画像処理システム。
【0222】
(構成28)前記光学系の中心寄りの領域が前記低歪曲領域であり、外寄りの領域が前記高歪曲領域の前記画像取得手段は移動体の後方に配置されることを特徴とする構成27に記載の画像処理システム。
【0223】
(構成29)前記光学系の中心寄りの領域が前記高歪曲領域であり、外寄りの領域が前記低歪曲領域の前記画像取得手段は移動体の正面又は側面に配置されることを特徴とする構成27又は28に記載の画像処理システム。
【0224】
(構成30)複数の前記画像取得手段の少なくとも2つの前記画像取得手段の撮影範囲が互いに重複するように配置されていることを特徴とする構成27~29のいずれか1つに記載の画像処理システム。
【0225】
(構成31)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段を有し、前記画像取得手段の前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得手段と、前記特性情報取得手段により取得された前記特性情報に基づき、前記画像取得手段からの前記画像信号を画像処理して所定の表示信号を生成する表示信号生成手段と、を有し、前記画像取得手段は光学系を有し、前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92を満足することを特徴とする画像処理システム。
【0226】
(構成32)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得手段を有し、前記画像取得手段は、光学系を有し、前記光学系の焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを前記光学系が有する最大の半画角とするとき、0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92を満足することを特徴とする撮像装置。
【0227】
(構成33)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を受光面に形成する光学系であって、焦点距離をf、半画角をθ、像面での像高をy、像高yと半画角θとの関係を表す射影特性をy(θ)、θmaxを最大の半画角とするとき、0.2<2×f×tan(θmax/2)/y(θmax) <0.92を満足することを特徴とする光学系。
【0228】
(方法1)低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得ステップと、前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得ステップと、前記特性情報取得ステップにより取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を形成し、前記境界を示す情報を前記画像信号に重畳するための表示信号を生成する表示信号生成ステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
【0229】
(プログラム)画像処理システムのコンピュータに、
低歪曲領域と高歪曲領域とを有する光学像を撮像する撮像手段により形成した画像信号を取得する画像取得ステップと、
前記光学像の特性に関する特性情報を取得する特性情報取得ステップと、
前記特性情報取得ステップにより取得された前記特性情報に基づき前記低歪曲領域と前記高歪曲領域の境界を示す情報を形成し、前記境界を示す情報を前記画像信号に重畳するための表示信号を生成する表示信号生成ステップと、
を行わせるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0230】
1:車両
10a:高解像度領域
10b:低解像度領域
11~14:カメラユニット
21~24:撮像部
31~34:カメラ処理部
31b~34b:認識部
40:統合処理部
41b:認識部
50:第1表示部
51:第2表示部
60:走行制御部ECU




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