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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】攪拌装置および噴射システム
(51)【国際特許分類】
   B01F 31/24 20220101AFI20240213BHJP
   B65D 83/68 20060101ALI20240213BHJP
   B01F 35/32 20220101ALI20240213BHJP
   B01F 35/42 20220101ALI20240213BHJP
   B05B 15/20 20180101ALI20240213BHJP
   B05B 15/62 20180101ALI20240213BHJP
   B01F 101/30 20220101ALN20240213BHJP
【FI】
B01F31/24
B65D83/68 100
B01F35/32
B01F35/42
B05B15/20
B05B15/62
B01F101:30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022191829
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩士
(72)【発明者】
【氏名】竹内 克敏
(72)【発明者】
【氏名】平山 温史
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】実公昭32-008499(JP,Y1)
【文献】特開2015-150113(JP,A)
【文献】特表2010-515565(JP,A)
【文献】特開平11-347391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 31/20-25、35/00-95
B05B 15/00-80
B05C 3/00-20
B28C 3/00、5/08-16
B29B 7/10-12
B44D 3/06-08
B65D 83/14-76
C12M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容され、第1方向に延びる容器に用いられる攪拌装置であって、
前記容器が取り付けられるホルダと、
駆動源の回転駆動部と連結可能である入力部材と、前記ホルダと連結される出力部材と、前記入力部材および前記出力部材が収容されるケースと、を有する変換部材と、
スライド部材と、を備え、
前記入力部材は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びるとともに、前記回転駆動部によって前記第2方向に沿って延びる軸線を中心に回転する第1入力軸を有し、
前記第1入力軸は、前記ケースの外において、前記回転駆動部と連結可能であり、
前記出力部材は、前記第1方向に沿って延びるとともに、前記第1入力軸の回転運動によって前記第1方向および前記第1方向と反対の方向に沿って往復する直線運動をする出力部を有し、
前記スライド部材は、前記第1方向に延びるレールと、前記レールに沿って移動可能に設けられたスライダーと、を有し、
前記ケースは、前記スライダーに取り付けられ、
前記レールは、前記ホルダとともに、前記出力部に連結され、
前記回転駆動部によって前記第1入力軸が前記軸線を中心に回転すると、前記出力部、前記レール、前記ホルダ、および前記ホルダに取り付けられた前記容器が前記第1方向および前記第1方向と反対の方向に沿って往復する直線運動することによって、前記内容物が攪拌される
攪拌装置。
【請求項2】
前記ホルダは、複数の前記容器を取り付けるための複数の取付部を有する、
請求項に記載の攪拌装置。
【請求項3】
請求項1に記載の攪拌装置と、
前記第1入力軸に連結可能である前記回転駆動部を有する電動工具と、を備える、
噴射システム。
【請求項4】
前記回転駆動部と連結可能である第2入力軸と、前記第1入力軸と連結可能である出力軸と、を有するアタッチメントをさらに備える、
請求項3に記載の噴射システム。
【請求項5】
前記容器は、前記内容物を噴射可能なスプレー缶であり、
前記ホルダは、前記容器のバルブを操作するためのトリガをさらに有する、
請求項3に記載の噴射システム。
【請求項6】
前記攪拌装置は、前記ホルダに取り付けられるとともに、前記内容物が噴射される噴射孔を有する噴射ノズルをさらに備える、
請求項5に記載の噴射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌装置および噴射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料等を噴射するための噴射装置には、スプレー缶等の容器が用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。容器には、硬化遅延剤および噴射剤等を含む内容物等が充填される。噴射装置を使用する前には、容器内の内容物を攪拌する必要がある。ユーザは、例えば、スプレー缶を手に持ち、上下方向、左右方向等に振ることによって内容物を攪拌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-221889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ユーザによる攪拌作業が不十分であると、内容物が混ざらない可能性がある。これにより、噴射装置から噴射される内容物の品質にバラつきが生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、容器の内容物の良好な噴射を実現することができる攪拌装置および噴射システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る攪拌装置は、内容物が収容され、第1方向に延びる容器に用いられる攪拌装置である。前記攪拌装置は、前記容器が取り付けられるホルダと、駆動源の回転駆動部と連結可能である入力部材と、前記ホルダと連結される出力部材と、前記入力部材および前記出力部材が収容されるケースと、を有する変換部材と、スライド部材と、を備える。前記入力部材は、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びるとともに、前記回転駆動部によって前記第2方向に沿って延びる軸線を中心に回転する第1入力軸を有し、前記第1入力軸は、前記ケースの外において、前記回転駆動部と連結可能であり、前記出力部材は、前記第1方向に沿って延びるとともに、前記第1入力軸の回転運動によって前記第1方向および前記第1方向と反対の方向に沿って往復する直線運動をする出力部を有する。前記スライド部材は、前記第1方向に延びるレールと、前記レールに沿って移動可能に設けられたスライダーと、を有する。前記ケースは、前記スライダーに取り付けられる。前記レールは、前記ホルダとともに、前記出力部に連結される。前記回転駆動部によって前記第1入力軸が前記軸線を中心に回転すると、前記出力部、前記レール、前記ホルダ、および前記ホルダに取り付けられた前記容器が前記第1方向および前記第1方向と反対の方向に沿って往復する直線運動することによって、前記内容物が攪拌される。
【0007】
記ホルダは、複数の前記容器を取り付けるための複数の取付部を有してもよい。
一実施形態に係る攪拌システムは、前記攪拌装置と、前記第1入力軸に連結可能である前記回転駆動部を有する電動工具と、を備える。前記攪拌システムは、前記回転駆動部と連結可能である第2入力軸と、前記第1入力軸と連結可能である出力軸と、を有するアタッチメントをさらに備えてもよい。前記容器は、前記内容物を噴射可能なスプレー缶であってもよく、前記ホルダは、前記容器のバルブを操作するためのトリガをさらに有してもよい。前記攪拌装置は、前記ホルダに取り付けられるとともに、前記内容物が噴射される噴射孔を有する噴射ノズルをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容器の内容物の良好な噴射を実現することができる攪拌装置および噴射システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る噴射システムの概略的な斜視図である。
図2図2は、ホルダの第1取付部および第2取付部の一例を示す概略的な部分側面図である。
図3図3は、ホルダの第1取付部および第2取付部の一例を示す概略的な部分平面図である。
図4図4は、一実施形態に係る攪拌装置の概略的な側面図である。
図5図5は、一実施形態に係る攪拌装置の概略的な平面図である。
図6図6は、一実施形態に係る攪拌装置の概略的な背面図である。
図7図7は、攪拌装置の変換部材に適用可能な構造の一例を示す図である。
図8図8は、攪拌装置の変換部材に適用可能な構造の一例を示す図である。
図9図9は、攪拌装置の変換部材に適用可能な構造の一例を示す図である。
図10図10は、変換部材の動きを説明するための図である。
図11図11は、第1容器の構造の一例を示す概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0011】
各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0012】
なお、図面には、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向と称する。Z方向は、X方向とY方向を含む平面に対して法線方向である。本実施形態において、X方向は第2方向に相当し、Z方向は第1方向に相当する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る噴射システム1の概略的な斜視図である。本実施形態においては、一例として、2液混合型の噴射システム1について説明する。噴射システム1は、一例では、ポリウレア噴射システムである。ポリウレアは、例えば、コンクリート構造物や金属製タンク等の種々の設備に、ライニング材として用いられる。
【0014】
噴射システム1は、第1容器2Aと、第2容器2Bと、攪拌装置3と、駆動部4と、を備えている。第1容器2Aおよび第2容器2Bは、例えば、スプレー缶(エアゾール容器)である。ただし、第1容器2Aおよび第2容器2Bは、スプレー缶以外の容器であってもよい。
【0015】
第1容器2Aおよび第2容器2Bは、円筒形状の容器本体20をそれぞれ備えている。容器本体20は、例えば、Z方向に延びる長尺な形状である。各容器本体20の上部には、バルブ21(図2および図3に示す)がそれぞれ設けられる。
【0016】
第1容器2Aには内容物22Aが収容され、第2容器2Bには内容物22Bが収容されている。第1容器2Aおよび第2容器2Bには、内容物22A,22Bを攪拌するための攪拌具がさらに収容されてもよい。
【0017】
各バルブ21が開放されることで、第1容器2Aおよび第2容器2Bの内容物22A,22Bが噴射される。容器本体20の各部は、例えば金属材料で形成することができるが、樹脂材料等で形成された部材を含んでもよい。
【0018】
第1容器2Aおよび第2容器2Bには、それぞれポリウレアの材料が収容されている。具体的には、第1容器2Aには、内容物22Aとして、イソシアネートを主成分とするA剤に硬化遅延剤および噴射剤を加えた材料が充填されている。
【0019】
イソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)等の芳香族イソシアネートであることが好ましい。なお、イソシアネートは、脂肪族イソシアネートであってもよい。A剤は、これらのイソシアネートの一部をポリオールと反応させてウレタンプレポリマーとした混合物であってもよい。
【0020】
硬化遅延剤は、A剤と相溶してA剤の粘度を低下させる。硬化遅延剤の一例は、メチルエチルケトン(MEK)である。なお、硬化遅延剤は、イソシアネートやポリアミンへの相溶性が優れた溶剤であればよく、アセトン等の種々の汎用溶剤を使用できる。
【0021】
噴射剤としては、液化ガス系の噴射剤や圧縮ガス系の噴射剤を使用できる。液化ガス系の噴射剤としては、例えばジメチルエーテル(DME)や液化石油ガス(LPG)等の液化ガス系の噴射剤が挙げられる。圧縮ガス系の噴射剤としては、圧縮された炭酸ガスや窒素ガスが挙げられる。本実施形態においては、液化ガス系の噴射剤を用いることが好ましい。液化ガス系の噴射剤は容器で液相であるため、A剤の粘度低下に寄与する。
【0022】
第2容器2Bには、内容物22Bとして、ポリアミンを主成分とするB剤に第1容器2Aと同様の硬化遅延剤と噴射剤とを加えた材料が充填されている。硬化遅延剤や液化ガス系の噴射剤は、B剤の粘度を低下させる。
【0023】
A剤またはB剤に対する硬化遅延剤および噴射剤の配合比(体積比)の一例は、A剤またはB剤:メチルエチルケトン:ジメチルエーテル(液相)=7:3:10である。A剤(B剤)および硬化遅延剤の合計100mLに対して、硬化遅延剤が20~40mL含まれることが好ましい。硬化遅延剤が20mL未満であると、A剤(B剤)の反応開始が早まるために材料を十分に混合できなくなるおそれがある。硬化遅延剤が40mL超であると、壁などに施工した際に液だれが発生するおそれがある。噴射剤は、液相の場合、体積比でA剤(B剤)および硬化遅延剤の合計と同量程度であることが好ましい。
【0024】
B剤は、平均分子量1000~10000のポリアミンに芳香族ジアミンを加えた混合物である。ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシプロピレンジアミン等のポリアルキレンアミンが好適である。芳香族ジアミンとしては、例えば、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-メチレンビス(N-sec-ブチルアニリン)、あるいはこれらの混合物が挙げられる。B剤の配合比は、例えばポリアミン100重量部に対して芳香族ジアミン20~40重量部である。
【0025】
攪拌装置3は、例えば、第1容器2Aおよび第2容器2BのようにZ方向に延びる容器に収容された内容物を攪拌する場合に用いられる。攪拌装置3は、第1容器2Aの内容物22Aと第2容器2Bの内容物22Bとを噴射するための噴射装置としての機能も有する。攪拌装置3は、ホルダ5と、噴射ノズル6と、変換部材7と、スライド部材8と、を備えている。
【0026】
ホルダ5には、第1容器2Aおよび第2容器2Bが取り付けられる。ホルダ5は、ベース51と、グリップ52と、トリガ53と、を備えている。ホルダ5の各部は、例えば、樹脂材料で形成されている。ベース51は、第1容器2Aおよび第2容器2Bに対して、着脱可能である。グリップ52およびトリガ53は、ベース51に取り付けられている。
【0027】
ユーザは、トリガ53によって、第1容器2Aおよび第2容器2Bのバルブ21を操作することができる。トリガ53は、第1容器2Aおよび第2容器2Bのバルブ21の上方に位置している。
【0028】
ベース51は、第1容器2Aおよび第2容器2Bを取り付けるための複数の取付部をさらに有している。複数の取付部は、ホルダ5が直線運動した際に、第1容器2Aおよび第2容器2Bがベース51から外れないように保持することができる。
【0029】
ここで、図2および図3を用いて、取付部に適用可能な構造ついて説明する。図2は、ホルダ5の第1取付部511および第2取付部512の一例を示す概略的な部分側面図である。図3は、ホルダ5の第1取付部511および第2取付部512の一例を示す概略的な部分平面図である。図2においては、攪拌装置3をY方向に見ており、第1取付部511の近傍を示している。図3においては、トリガ53がベース51に対して開かれた状態を示している。
【0030】
ベース51は、図2および図3に示す例において、一対の前壁51aと、一対の後壁51bと、一対の側壁51c,51dと、を有している。トリガ53は、これら前壁51a、後壁51b、および側壁51c,51dで囲われた空間に配置されている。トリガ53は、一対の前壁51aに設けられたヒンジ51eを中心に回動自在に支持されている。
【0031】
ベース51は、第1取付部511と、第2取付部512と、をさらに有している。例えば、第1取付部511には第1容器2Aが取り付けられ、第2取付部512には第2容器2Bが取り付けられる。
【0032】
第1取付部511は、図2および図3に示す例において、円弧状の凹部511aと、凹部511aの内周面から突出する円弧状の爪511bと、を有している。図2に示すように、第1取付部511の凹部511aには第1容器2Aのリング状突起23が嵌められる。図2に示すように、リング状突起23の外周面には段差24が設けられており、この段差24に第1取付部511の爪511bが引っ掛けられている。
【0033】
第2取付部512においても、第1取付部511と同様に、第2容器2Bが取り付けられる。第2取付部512は、図3に示す例において、円弧状の凹部512aと、凹部512aの内周面から突出する円弧状の爪512bと、を有している。
【0034】
第2取付部512の凹部512aには第2容器2Bのリング状突起23が嵌められ、リング状突起23の外周面の段差24には第2取付部512の爪512bが引っ掛けられている。
【0035】
なお、第1取付部511および第2取付部512は、ホルダ5に第1容器2Aおよび第2容器2Bを取り付けることができればよく、図2および図3に示した例に限られない。
【0036】
噴射ノズル6は、図1に示すように、アダプタ61と、スタティックミキサ62と、固定具63と、を備えている。アダプタ61は、ベース51に取り付けられている。アダプタ61は、例えば、チューブ(図示しない)等を通じて、第1容器2Aおよび第2容器2Bのバルブ21とそれぞれ接続されている。スタティックミキサ62の基端部は、アダプタ61に接続されている。アダプタ61とスタティックミキサ62とは、固定具63によって固定されている。
【0037】
スタティックミキサ62は、アダプタ61を通じて送られてきた第1容器2AのA剤と、アダプタ61を通じて送られてきた第2容器2BのB剤とを混合する。スタティックミキサ62には、回転方向が交互に切り替わる複数のエレメントが配置されている。
【0038】
ユーザがグリップ52を握る手の親指等でトリガ53を下方に押すと、トリガ53はヒンジ51eを中心に回動する。このとき、トリガ53が第1容器2Aおよび第2容器2Bのバルブ21を下方に押すと、これらのバルブ21が同時に開放される。バルブ21が開放されると第1容器2AのA剤と第2容器2BのB剤とがスタティックミキサ62に供給される。
【0039】
A剤およびB剤がスタティックミキサ62の内部を通過すると、複数のエレメントにより攪拌および混合され、ポリウレアが生成される。生成されたポリウレアは、スタティックミキサ62の噴射孔62aから噴射される。
【0040】
駆動部4は、図1に示すように、駆動源と、アタッチメント41と、を有している。駆動源は、例えば、電動工具42である。電動工具42は、一例では、電動ハンドドリルである。電動工具42は、本体43と、グリップ44と、バッテリ45と、を有している。
【0041】
本体43は、回転駆動部46を端部に有している。回転駆動部46は、X方向と平行な軸線を中心に回転する。回転駆動部46は、出力軸47を有している。出力軸47は、図1に示す例において、中空軸である。出力軸47は、回転駆動部46とともに、X方向と平行な軸線を中心に回転する。
【0042】
アタッチメント41は、入力軸48を有する入力部41aと、出力軸49を有する出力部41bと、を有している。入力軸48は、例えば、中実軸である。出力軸49は、例えば、中空軸である。入力軸48の軸線および出力軸の軸線は、図1に示す例において、X方向と平行である。入力軸48の軸線は、出力軸49の軸線と同軸上に位置している。
【0043】
図1に示す例において、アタッチメント41の入力軸48が電動工具42の回転駆動部46の出力軸47と連結され、アタッチメント41の出力軸49が変換部材7と連結される。
【0044】
続いて、図4乃至図6を用いて、攪拌装置3が備える変換部材7、スライド部材8等について説明する。
【0045】
図4は、本実施形態に係る攪拌装置3の概略的な側面図である。図5は、本実施形態に係る攪拌装置3の概略的な平面図である。図6は、本実施形態に係る攪拌装置3の概略的な背面図である。図4においては、攪拌装置3をY方向と反対の方向に見ている。図5および図6については、第1容器2Aおよび第2容器2B等の一部の部材を省略して示している。
【0046】
攪拌装置3は、上述の通り、変換部材7およびスライド部材8を備えている。変換部材7およびスライド部材8は、図5および図6に示すように、ホルダ5のグリップ52とY方向に間隔を置いて設けられている。
【0047】
変換部材7は、回転運動を直線運動に変換する。変換部材7は、ケース71と、入力部材72と、出力部材73と、を有している。ケース71には、入力部材72および出力部材73が収容されている。ケース71は、例えば、樹脂材料によって形成されるが、金属材料によって形成されてもよい。ケース71は、例えば、複数の部材によって構成されている。
【0048】
入力部材72は、軸線CX1を中心に回転する。軸線CX1は、X方向に沿って延びている。入力部材72は、入力軸74を有している。入力軸74は、アタッチメント41を介して、電動工具42の回転駆動部46の出力軸47と連結される。入力軸74は、例えば、中実軸である。入力軸74は、ケース71よりもX方向と反対の方向に突出している。
【0049】
出力部材73は、入力部材72の回転運動をZ方向およびZ方向と反対の方向に沿う直線運動として出力する。出力部材73は、出力部75を有している。出力部75は、ケース71よりもZ方向に突出している。出力部75は、ケース71の上方において直線運動する。
【0050】
ここで、図7乃至図9を用いて、変換部材7に適用可能な構造について説明する。図7乃至図9は、攪拌装置3の変換部材7に適用可能な構造の一例を示す図である。図7および図8については主に入力部材72を示し、図9について主に出力部材73を示している。
【0051】
入力部材72は、例えば、金属材料によって形成されるが、樹脂材料等によって形成されてもよい。入力部材72は、例えば、ケース71が有する第1ケース部91に設けられている。第1ケース部91には、入力軸74が通される貫通孔91aが形成されている。貫通孔91aには、入力軸74を支持するための軸受等が設けられてもよい。
【0052】
入力部材72は、図7および図8に示すように、入力軸74と、回転板76と、ピン77と、を有している。入力軸74、回転板76、およびピン77は、例えば、一体的に形成されている。
【0053】
入力軸74は、X方向に沿って延びている。入力軸74は、第1端部74aと、第1端部74aと反対側に位置する第2端部74bと、を有している。第1端部74aはケース71外に位置し、第2端部74bはケース71内に位置している。第1端部74aは、アタッチメント41を介して、回転駆動部46の出力軸47と連結される。
【0054】
第1端部74aは、例えば、角柱形状を有している。第1端部74aは、一例では、六角柱形状を有している。入力軸74は、他の例として、円柱形状を有してもよい。第2端部74bは、例えば、円柱形状を有している。第2端部74bは、他の例として、円柱形状を有してもよい。
【0055】
回転板76およびピン77は、入力軸74とともに軸線CX1を中心に回転する。回転板76およびピン77は、ケース71に収容されている。回転板76は、入力軸74の第2端部74bに設けられている。回転板76は、例えば、円板形状を有している。
【0056】
回転板76の軸線は、軸線CX1と同軸上に位置している。回転板76は、面761を有している。面761は、X方向において、出力部材73と向かい合う。面761は、Y方向およびZ方向によって規定されるY-Z平面と実質的に平行な面である。
【0057】
ピン77は、面761に設けられている。ピン77は、例えば、円柱形状を有している。ピン77は、面761からX方向に突出している。言い換えると、ピン77は、面761から出力部材73に向けて突出している。ピン77は、軸線CX1から離れて設けられている。言い換えると、ピン77の軸線は、軸線CX1と同軸上に位置していない。
【0058】
出力部材73は、例えば、金属材料によって形成されるが、樹脂材料等によって形成されてもよい。出力部材73は、例えば、平板形状を有している。出力部材73は、例えば、ケース71が有する第2ケース部92に設けられている。
【0059】
第2ケース部92は、第1ケース部91と組み合わせ可能に構成されている。第2ケース部92には、出力部75が通される貫通孔92aが形成されている。貫通孔92aは、Z方向と反対の方向に見て、略長方形状を有している。
【0060】
出力部材73は、出力部75と、ガイド部78と、ピン挿入部79と、を有している。出力部75、ピン挿入部79、およびガイド部78は、例えば、一体的に形成されている。
【0061】
出力部75は、X方向に見て、Z方向に長尺な略長方形状を有している。出力部75は、第3端部75aと、第3端部75aと反対側に位置する第4端部75bと、を有している。
【0062】
第3端部75aはケース71外に位置し、第4端部75bはケース71内に位置している。ガイド部78は、X方向に見て、Z方向に長尺な略長方形状を有している。ガイド部78は、出力部75よりも下方に位置している。
【0063】
ピン挿入部79は、Z方向において、出力部75とガイド部78との間に位置している。ピン挿入部79は、第4端部75bと繋がっている。ピン挿入部79は、Y方向に長尺な形状を有している。ピン挿入部79は、Y方向に長尺な長孔791を有している。長孔791は、出力部材73をX方向に貫通している。長孔791には、入力部材72のピン77が位置する。
【0064】
変換部材7は、図9に示す例のように、サポート部材710,720をさらに有してもよい。サポート部材710は出力部75が通される貫通孔711を有し、サポート部材720はガイド部78が通される貫通孔721を有している。
【0065】
出力部75およびガイド部78は、サポート部材710,720の貫通孔711,721にそれぞれ通されることによって、Z方向およびZ方向と反対の方向の移動がサポートされる。ピン挿入部79は、サポート部材710とサポート部材720との間において、Z方向およびZ方向と反対の方向に移動可能である。
【0066】
続いて、変換部材7の動きについて説明する。図10は、変換部材7の動きを説明するための図である。図10においては、説明の都合上、ケース71等は省略して示している。入力部材72と出力部材73とを組み合わせた状態において、入力部材72のピン77は、出力部材73のピン挿入部79の長孔791に位置している。
【0067】
図10では、ケース71に対する出力部材73の出力部75の突出量が最も大きい位置(以下、第1位置P1という)における出力部材73およびピン77を実線で示している。図10では、ケース71に対する出力部材73の出力部75の突出量が最も小さい位置(以下、第2位置P2という)における出力部材73およびピン77を破線で示している。
【0068】
第1位置P1から入力軸74が軸線CX1を中心に180度回転すると、回転板76とともにピン77が軸線CX1を中心に180度回転する。ピン77は、軸線CX1から離れて設けられている。そのため、ピン77が長孔791の内周面をZ方向と反対の方向に押し、出力部材73が下方に移動することによって、出力部75が第1位置P1から第2位置P2に位置する。
【0069】
さらに、第2位置P2から入力軸74が軸線CX1を中心に180度回転すると、回転板76とともにピン77が軸線CX1を中心に180度回転する。このとき、ピン77がピン挿入部79の長孔791の内周面をZ方向に押し、出力部材73が上方に移動することによって、出力部75が第2位置P2から第1位置P1に位置する。
【0070】
入力軸74の回転とともにピン77が回転することによって、出力部75の位置は、第1位置P1と第2位置P2との間を交互に切り替わる。言い換えると、出力部75は、図10に示す矢印のように、Z軸に沿って往復運動する。
【0071】
このように、変換部材7は、入力部材72の回転運動を出力部材73のZ方向およびZ方向と反対の方向に沿う直線運動に変換する。なお、変換部材7は、入力部材72の回転運動を出力部材73の直線運動に変換できればよく、図7乃至図10に示した例に限られない。
【0072】
第1位置P1と第2位置P2との間の出力部75の移動距離をストロークST(図10に示す)と呼び、出力部75が単位時間当たり往復する回数をピッチと呼ぶ場合がある。
【0073】
ストロークSTは、例えば、軸線CX1からピン77までの距離を調整することによって調整することができる。より具体的には、軸線CX1からピン77までの距離を大きくすることによってストロークSTは大きくなり、軸線CX1からピン77までの距離を小さくすることによってストロークSTは小さくなる。
【0074】
ピッチは、入力軸74の単位時間当たりの回転数によって調整することができる。より具体的には、入力軸74の単位時間当たりの回転数を多くすることによってピッチは大きくなり、単位時間当たりの入力軸74の回転数を少なくすることによってピッチは小さくなる。
【0075】
スライド部材8は、図4乃至図6に示すように、レール81と、スライダー82と、を有している。レール81は、Z方向に沿って延びている。レール81は、図6に示すように、ホルダ5のグリップ52とY方向に間隔を置いて並んでいる。レール81は、Z方向において、ホルダ5のグリップ52と並ぶように設けられてもよい。
【0076】
レール81は、第1壁811と、一対の第2壁812,813と、を有している。第1壁811と一対の第2壁812,813とは、一体的に形成されている。第1壁811は、Y-Z平面に沿って設けられている。
【0077】
第2壁812,813は、X方向およびZ方向で規定されるX-Z平面に沿って設けられている。第2壁812,813は、第1壁811のY方向の両端部に設けられている。第2壁812は、Y方向に間隔を置いて、第2壁813と向かい合っている。第1壁811および一対の第2壁812,813によって、溝83が形成されている。
【0078】
スライダー82は、レール81に沿って移動可能に設けられている。スライダー82は、取付部821と、取付部821と連結された支持部822と、を有している。取付部821は、一例では、平板形状を有している。
【0079】
取付部821には、変換部材7のケース71が取り付けられる。取付部821は、例えば、複数(例えば、4つ)の固定部材S1(図6に示す)によって、ケース71と固定されている。複数の固定部材S1は、例えば、ボルトおよびナットで構成されている。ボルトは、例えば、ケース71および取付部821に形成される貫通孔に通される。固定部材S1は、接着材等であってもよい。
【0080】
支持部822は、第1壁811と取付部821との間に位置している。支持部822は、Z方向およびZ方向と反対の方向に溝83に沿って移動可能である。言い換えると、支持部822は、取付部821をレール81に対して移動可能に支持している。支持部822は、例えば、溝83に沿って移動するための複数のローラー等を有している。
【0081】
攪拌装置3は、図4乃至図6に示すように、第1連結部材11と、第2連結部材12と、をさらに備えている。第1連結部材11および第2連結部材12は、変換部材7およびスライド部材8をホルダ5に連結するための部材である。
【0082】
第1連結部材11は、スライド部材8のレール81とホルダ5のベース51とを連結する。第1連結部材11は、例えば、金属材料によって形成されるが、樹脂材料等によって形成されてもよい。
【0083】
第1連結部材11は、本体部111と、本体部111からY方向と反対の方向に向けて突出する突出部112,113と、を有している。本体部111および突出部112,113は、例えば、一体的に形成されている。
【0084】
本体部111は、例えば、筒形状を有している。本体部111は、Z方向と反対の方向に見て、例えば、X方向に長尺な長方形状を有している。本体部111は、一対の側壁1111と、一対の側壁1112と、を有している。
【0085】
一対の側壁1111は、Z方向と反対の方向に見て、X方向に延びるとともに、Y方向に並んでいる。一対の側壁1112は、Z方向と反対の方向に見て、Y方向に延びるとともに、X方向に並んでいる。
【0086】
Z方向と反対の方向に見て、一対の側壁1111は本体部111の長辺側に相当し、一対の側壁1112は本体部111の短辺側に相当する。図5に示す例においては、一対の側壁1111の一方はホルダ5のベース51の側壁51dと接し、一対の側壁1112の一方はスライド部材8のレール81と接している。
【0087】
突出部112,113は、一対の側壁1112に設けられている。突出部112,113は、Y方向と反対の方向に延びるとともに、X方向に並んでいる。突出部112,113は、例えば、X方向に見て、Y方向に長尺な長方形状を有している。突出部112,113の形状は、この例に限られない。
【0088】
突出部112,113は、ホルダ5と連結されている。より詳細には、図5に示すように、突出部112はホルダ5のベース51の前壁51aと連結され、突出部113はホルダ5のベース51の後壁51bと連結されている。このように、突出部112,113がY方向およびY方向と反対の方向からベース51と連結されることによって、第1連結部材11をベース51に対して強固に連結することができる。
【0089】
突出部113は、例えば、複数(例えば、2つ)の固定部材S2(図6に示す)によって、ホルダ5のベース51の後壁51bと固定されている。複数の固定部材S2は、例えば、ボルトおよびナットで構成されている。
【0090】
ボルトは、例えば、突出部113およびベース51の後壁51bに形成される貫通孔に通される。固定部材S2は、接着材等であってもよい。突出部112は、突出部113と同様に、例えば、複数(例えば、2つ)の固定部材によって、ベース51の前壁51aと固定される。複数の固定部材は、例えば、ボルトおよびナットで構成されている。
【0091】
第2連結部材12は、出力部材73の出力部75とスライド部材8のレール81とを連結する。出力部材73の出力部75、第2連結部材12、およびスライド部材8のレール81は、この順でX方向に並んでいる。第2連結部材12は、例えば、金属材料によって形成されるが、樹脂材料等によって形成されてもよい。
【0092】
第2連結部材12は、Z方向に延びる柱形状を有している。第2連結部材12は、一例では、角柱形状(例えば、四角柱、六角柱)を有しているが、円柱形状等の他の形状であってもよい。
【0093】
第2連結部材12は、例えば、複数(例えば、2つ)の固定部材S3によって、出力部75およびレール81と固定されている。さらに、複数の固定部材S3は、レール81と第1連結部材11の本体部111とを固定している。
【0094】
複数の固定部材S3は、例えば、ボルトおよびナットで構成されている。ボルトは、例えば、出力部75、第2連結部材12、レール81の第1壁811、および本体部111の側壁1112に形成される貫通孔に通される。固定部材S3は、接着材等であってもよい。
【0095】
このように、出力部75は、第2連結部材12を介して、レール81および第1連結部材11の本体部111と連結されている。第1連結部材11の本体部111は、突出部112,113を介して、ホルダ5のベース51と連結されている。
【0096】
これにより、出力部材73の出力部75がZ方向およびZ方向と反対の方向に沿って直線運動すると、レール81、第1連結部材11、第2連結部材12、およびホルダ5もZ方向およびZ方向と反対の方向に沿って直線運動する。レール81の観点からは、レール81は、スライダー82と変換部材7のケース71および入力部材72に対して、Z方向およびZ方向と反対の方向に沿って直線運動する。
【0097】
続いて、本実施形態に係る攪拌装置3の使用方法について説明する。まず、ホルダ5に第1容器2Aおよび第2容器2Bを取り付ける。第1容器2Aには内容物22Aが収容され、第2容器2Bには内容物22Bが収容されている。
【0098】
ホルダ5に第1容器2Aおよび第2容器2Bが取り付けられた状態で、アタッチメント41を介して、入力部材72の入力軸74を電動工具42の出力軸47と連結する。入力軸74と出力軸47との連結は、ホルダ5に第1容器2Aおよび第2容器2Bを取り付ける前に行われてもよい。
【0099】
続いて、入力部材72の入力軸74を回転させる。より具体的には、電動工具42(図1に示す)によって、入力軸74を回転させる。入力軸74が軸線CX1を中心に回転すると、出力部材73の出力部75がZ方向およびZ方向と反対の方向に沿って直線運動する。
【0100】
上述の通り、出力部75が直線運動すると、レール81、第1連結部材11、第2連結部材12、およびホルダ5も直線運動する。これにより、ホルダ5に取り付けられた第1容器2Aおよび第2容器2Bは、図4に示す矢印のように、Z方向およびZ方向と反対の方向に沿って直線運動する。
【0101】
その結果、攪拌装置3によって、ホルダ5に取り付けられた第1容器2Aおよび第2容器2BがZ方向およびZ方向と反対の方向に沿って振られるため、内容物22A,22Bが攪拌される。
【0102】
内容物22A,22Bを攪拌後、攪拌装置3からアタッチメント41および電動工具42を取り外す。その後、ポリウレアを塗装する作業箇所やワークにスタティックミキサ62(図1に示す)の先端を向け、トリガ53を押す。このとき、スタティックミキサ62においてA剤およびB剤が攪拌および混合され、噴射孔62a(図1に示す)からポリウレアが噴射される。
【0103】
ユーザは、例えば、攪拌装置3を手で持った状態で使用することができる。このとき、ユーザは、ホルダ5のグリップ52を手で持つことで、攪拌装置3を支持しながら、電動工具42によって攪拌作業をすることができる。
【0104】
ホルダ5のグリップ52と変換部材7とがY方向に間隔を置いて設けられているため、ユーザによる電動工具42の操作が妨げられにくい。ユーザは、電動工具42を取り外すことなく、トリガ53を操作することができる。ポリウレアの噴射は、アタッチメント41および電動工具42を取り外すことなく行われてもよい。
【0105】
以上のように構成された攪拌装置3は、第1容器2Aが取り付けられるホルダ5と、変換部材7と、を備えている。変換部材7は、軸線CX1を中心に回転する入力部材72と、入力部材72の回転運動をZ方向およびZ方向と反対の方向に沿う直線運動として出力する出力部材73と、を有している。出力部材73は、ホルダ5と連結されている。
【0106】
これにより、入力部材72が軸線CX1を中心に回転すると、出力部材73およびホルダ5がZ方向およびZ方向と反対の方向に沿って直線運動する。その結果、ホルダ5に取り付けられた第1容器2AがZ方向およびZ方向と反対の方向に沿って振られるため、第1容器2Aの内容物22Aを攪拌することができる。
【0107】
内容物22Aは、例えば、比重の異なる複数の材料によって構成されている。内容物22Aは、Z方向に長尺な容器本体20に収容されている。攪拌装置3によって、Z方向およびZ方向と反対の方向に第1容器2Aを機械的に振ることによって、比重の異なる複数の材料を混合することができる。その結果、本実施形態であれば、第1容器2Aの内容物22Aの良好な噴射を実現することができる。
【0108】
図11は、第1容器2Aの構造の一例を示す概略的な部分断面図である。第1容器2Aは、例えば、チューブ26を有している。チューブ26は、容器本体20の上方から容器本体20の底壁27へ向けて延びている。チューブ26は、バルブ21が開放された際に、内容物22Aが通る流路に相当する。
【0109】
チューブ26の一端には、流入孔28が設けられている。チューブ26の流入孔28を含む部分は、内容物22Aの液相に浸かっている。流入孔28は、図11に示す例において、底壁27の近傍に位置している。流入孔28は、例えば、底壁27に向けて開口している。そのため、内容物22Aは、底壁27の近傍から流入孔28に吸い込まれる。
【0110】
内容物22Aには、顔料および樹脂成分等が含まれる場合がある。顔料および樹脂成分は、内容物22Aを構成する材料の中で比重が大きいため、底壁27に沈殿したり、凝集したりするため、沈殿物となり得る。
【0111】
そのため、顔料および樹脂成分は、流入孔28を目詰まりさせ、流入孔28を部分的あるいは完全に塞ぐ原因となり得る。攪拌装置3を使用して内容物22Aを機械的に攪拌することによって、顔料および樹脂成分が内容物22A中で分散させることができる。これにより、顔料および樹脂成分による流入孔28の目詰まりが抑制される。
【0112】
さらに、攪拌装置3によって内容物22Aを攪拌することによって、顔料および樹脂成分と複数の材料とを混合する際のバラつきを抑制することができる。その結果、本実施形態であれば、第1容器2Aの内容物22Aの良好な噴射を実現することができる。
【0113】
本実施形態において、攪拌装置3のホルダ5には、第1取付部511および第2取付部512によって、第1容器2Aのみならず、第2容器2Bを取り付けることができる。これにより、第1容器2Aの内容物22Aとともに、第2容器2Bの内容物22Bも攪拌することができる。
【0114】
第2容器2Bも、例えば、図11を用いて説明した第1容器2Aと同様に構成される。そのため、第2容器2Bにおいても、攪拌装置3を使用して内容物22Bを機械的に攪拌することによって、第1容器2Aと同様に、流入孔28の目詰まりを抑制することができる。
【0115】
さらに、第1容器2Aおよび第2容器2Bにおいて、容器本体20の上部と下部では濃度の違いが生じることで、均一な施工を行う上で障害となり得る。特に、2液性の樹脂を吹き付ける場合においては反応すべき2つの液体の混合比にも影響し、吹き付けられた樹脂が化学反応において主剤または硬化剤のどちらかが余って未反応の形となり、高分子素材として十分に硬化することができない場合も懸念される。
【0116】
本実施形態であれば、攪拌装置3によって内容物22A,22Bを攪拌することによって、顔料および樹脂成分と複数の材料とを混合する際のバラつきを抑制することができる。その結果、2液混合型の噴射システム1に対して、第1容器2AのA剤と第2容器2BのB剤との混合割合を正常に保つことができ、所望の特性のポリウレアを噴射することができる。
【0117】
攪拌装置3によって内容物22A,22Bを攪拌するため、ストロークST、回転数、および攪拌時間等の攪拌条件を予め規定することができる。これにより、ユーザは、予め規定された攪拌条件に基づいて、攪拌装置3を使用することができる。
【0118】
その結果、ユーザの違いによる攪拌のバラつきを防止することができる。攪拌装置3であれば、品質の管理が行いやすくなる。例えば、ストロークSTの異なる複数の変換部材7を予め準備しておくことで、ユーザは、内容物22A,22Bに応じて、変換部材7を適宜変更してもよい。
【0119】
本実施形態に係る攪拌装置3は、図1に示すように、ホルダ5に取り付けられた状態の第1容器2Aと第2容器2Bとに適用することができる。攪拌のために第1容器2Aおよび第2容器2Bをホルダ5から取り外す必要がない。これにより、攪拌作業をより効率的に行うことができる。
【0120】
攪拌装置3は噴射装置としての機能を有するため、ユーザは、攪拌作業の後、トリガ53を下方に押すことで、ポリウレアを噴射することができる。これにより、現場における作業効率を向上させることができる。
【0121】
本実施形態において、攪拌装置3は、レール81と、スライダー82とを有するスライド部材8と、を備えている。レール81は変換部材7の出力部材73と連結され、スライダー82は変換部材7のケース71と連結されている。
【0122】
これにより、出力部材73が直線運動した際、ホルダ5を安定して直線運動させることができる。その結果、ホルダ5に取り付けられる第1容器2Aおよび第2容器2Bを確実にZ方向およびZ方向と反対の方向に振ることができる。
【0123】
以上のように、本実施形態であれば、容器の内容物の良好な噴射を実現することができる攪拌装置3を提供することが可能である。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0124】
なお、本実施形態においては、噴射システム1として、ポリウレアを噴射する噴射システムを例示した。しかし、本実施形態にて開示した構成は、他種の材料を噴射する噴射システムにも適用できる。この場合においては、第1容器2Aおよび第2容器2Bに噴射すべき材料を得るための適宜の内容物が収容される。
【0125】
噴射システム1が備える容器(スプレー缶)の数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。容器の数に合わせてホルダ5の形状等は適宜変更される。
【0126】
本実施形態においては、駆動源が電動工具42である場合を例示したが、駆動源は電動工具42以外でもよい。駆動源としては、例えば、モータおよびモータと電気的に接続される電池等を適用することができる。
【0127】
本実施形態において、入力部材72の入力軸74は中実軸であるが、入力軸74は中空軸であってもよい。入力軸74は、アタッチメント41を介して電動工具42と連結されるが、入力軸74は電動工具42と直接連結されてもよい。
【0128】
本実施形態において、電動工具42の出力軸47は、中空軸であるが、出力軸47は中実軸でもよい。出力軸47および入力軸74の形状に応じて、アタッチメント41の入力軸48および出力軸49の形状は適宜変更される。
【0129】
本実施形態において、変換部材7の入力部材72の軸線CX1はX方向に沿って延びているが、軸線CX1はY方向に沿って延びるように構成されてもよい。
【0130】
本実施形態において、第1連結部材11によって、スライド部材8のレール81とホルダ5とを連結しているが、スライド部材8のレール81は、ホルダ5と直接連結されてもよい。
【0131】
攪拌装置3は、第1容器2Aおよび第2容器2Bを支持するためのサポートをさらに有してもよい。このサポートは、例えば、第1容器2Aおよび第2容器2Bを下方から支持するように構成される。
【符号の説明】
【0132】
1…噴射システム、2A…第1容器、2B…第2容器、3…攪拌装置、4…駆動部、5…ホルダ、6…噴射ノズル、7…変換部材、8…スライド部材、11…第1連結部材、12…第2連結部材、20…容器本体、22A,22B…内容物、42…電動工具、46…回転駆動部、47…出力軸、71…ケース、72…入力部材、73…出力部材、74…入力軸、75…出力部、81…レール、82…スライダー。
【要約】
【課題】 容器の内容物の良好な噴射を実現することができる攪拌装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る攪拌装置は、内容物が収容され、第1方向に延びる容器に用いられる攪拌装置である。前記攪拌装置は、前記容器が取り付けられるホルダと、前記ホルダと連結される変換部材と、を備える。前記変換部材は、軸線を中心に回転する入力部材と、前記ホルダと連結され、前記入力部材の回転運動を前記第1方向および前記第1方向と反対の方向に沿う直線運動として出力する出力部材と、を有し、前記入力部材が前記軸線を中心に回転すると、前記出力部材とともに前記ホルダに取り付けられた前記容器が前記第1方向および前記第1方向と反対の方向に沿って直線運動する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11