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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】プレート接続
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
A61B17/80
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022513183
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 IB2020057734
(87)【国際公開番号】W WO2021038370
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】16/553,676
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファトーン・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デュード・ステファン
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0060828(US,A1)
【文献】特表2017-524440(JP,A)
【文献】特表2006-506197(JP,A)
【文献】特表2009-529979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定システムであって、
第1のプレートであって、プレート本体を含み、前記プレート本体は、近位端から遠位端まで延在し、かつ前記第1のプレートが手術位置にあるときに骨から離れる方向に面する前記プレート本体の第1の表面から、前記第1のプレートが前記手術位置にあるときに前記骨に面する第2の表面まで、前記プレート本体を通って延在する複数の骨固定開口部を含み、前記第1のプレートが、前記プレート本体から遠位に延在する接続部分を更に含み、前記接続部分が、前記接続部分の遠位端にある位置決めタブを含み、前記接続部分が、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する第1の開口部を含み、前記接続部分の前記第2の表面が、傾斜部を含む、第1のプレートと、
第2のプレートであって、近位端から遠位端まで延在し、かつ前記第2のプレートの近位部分に沿って結合アパーチャを含み、前記結合アパーチャが、内部に前記位置決めタブを受容するように構成されており、前記結合アパーチャが、前記位置決めタブが前記結合アパーチャに挿入されたときに、前記位置決めタブの前記第2の表面の前記傾斜部に当接するように構成された傾斜近位面を含み、ヘッド部分が、前記第2のプレートが手術位置にあるときに前記骨から離れる方向に面する前記第2のプレートの第1の表面から、前記第2のプレートが前記手術位置にあるときに前記骨に向かって面する第2の表面まで、前記ヘッド部分を通って延在する第2の開口部を含む、第2のプレートと、
接続ねじであって、前記第1の開口部及び前記第2の開口部を通って延在して、前記第1のプレート及び前記第2のプレートを一緒に結合するように構成されており、前記接続ねじを締め付けることにより、前記傾斜近位面を前記傾斜部に沿って並進させ、前記傾斜近位面と前記傾斜部との間の接続間隙を除去する、接続ねじと、を備える、骨固定システム。
【請求項2】
前記第2のプレートが、前記第2のプレートの前記第1の表面上に窪み付き係合部分を更に含み、前記係合部分が、前記結合アパーチャから前記第2のプレートの前記近位端まで延在し、前記係合部分が、前記位置決めタブが前記結合アパーチャに挿入されたときに、前記第1のプレートの前記接続部分を内部に受容するようにサイズ決め及び成形されている、請求項1に記載の骨固定システム。
【請求項3】
前記第2の開口部が、前記係合部分を通って延在する、請求項2に記載の骨固定システム。
【請求項4】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、前記接続ねじの外面上のねじ山と嵌合するように構成された、前記第1の開口部及び前記第2の開口部の内面上のねじ山を含む、請求項1に記載の骨固定システム。
【請求項5】
前記第2のプレートの近位面の一部分が、前記接続部分の近位端で前記第1のプレートの前記第2の表面に沿って延在する前記接続部分の、対応してサイズ決め及び成形された壁に当接するように構成されている、請求項1に記載の骨固定システム。
【請求項6】
前記接続ねじが、シャフトと、手動で締め付けられるように構成されたヘッドと、を含む、請求項1に記載の骨固定システム。
【請求項7】
前記位置決めタブの第1の表面が、前記結合アパーチャの遠位にある前記ヘッド部分の第2の表面に当接するように構成されている、請求項1に記載の骨固定システム。
【請求項8】
前記傾斜近位面が、前記第2のプレートの前記第1の表面に対して20~40度に角度付けされている、請求項1に記載の骨固定システム。
【請求項9】
前記位置決めタブの第2の表面に対する前記傾斜部の角度が、前記第2のプレートの前記傾斜近位面の角度に対応する、請求項8に記載の骨固定システム。
【請求項10】
前記位置決めタブ及び前記結合アパーチャが、前記第1のプレートを前記第2のプレートに接続するように自己整列するように構成されている、請求項1に記載の骨固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨の処置に使用される骨プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
インプラントの周囲の人工関節周囲骨折などの骨折は、多くの場合、複数の骨プレートを含むモジュラ骨プレートシステムを使用して処置される。これらの骨プレートシステムは、プロテーゼの釘又はステムを含むことができる髄内管と干渉することなく、ねじを海綿骨に挿入することを可能にする。場合によっては、2つの別個の骨プレートを組み合わせるか、又は接続する必要がある。しかしながら、2つの骨プレートが接続される多くの場合、2つのプレート間の結合内で臨床負荷が実現される。例えば、ねじり及びせん断負荷は、骨プレートに加えられると、骨プレート間の結合に伝達され、結合を変形させることがある。2つの骨プレート間のより堅牢な結合設計は、多くの場合、これらの臨床負荷から結合を遮蔽するために複数の接続ねじ又は固定要素を必要とする。しかしながら、複数のねじを必要とする結合は、設置がより困難であり、第1の人が骨プレートを一緒に保持し、同時に第2の人がねじを締め付けることを必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、第1のプレートであって、プレート本体を含み、プレート本体は、近位端から遠位端まで延在し、かつ骨プレートが手術位置にあるときに骨から離れる方向に面する本体の第1の表面から、骨プレートが手術位置にあるときに骨に面する第2の表面まで、プレート本体を通って延在する複数の骨固定開口部を含む、第1のプレートを備える、骨固定システムに関する。第1のプレートは、プレート本体から遠位に延在する接続部分を更に含み、接続部分は、接続部分の遠位端に位置決めタブを含み、接続部分は、第1の表面から第2の表面に延在する第1の開口部を含み、接続部分の第2の表面は、傾斜部を含む。第2のプレートは、近位端から遠位端まで延在し、かつ第2のプレートの近位部分に沿って結合アパーチャを含み、結合アパーチャは、内部に位置決めタブを受容するように構成されており、結合アパーチャは、位置決めタブが結合アパーチャに挿入されたときに、位置決めタブの第2の表面の傾斜部に当接するように構成された傾斜近位面を含む。ヘッド部分は、第2のプレートが手術位置にあるときに骨から離れる方向に面する第2のプレートの第1の表面から、骨プレートが手術位置にあるときに骨に向かって面する第2の表面まで、ヘッド部分を通って延在する第2の開口部を含む。接続ねじは、第1の開口部及び第2の開口部を通って延在して、第1のプレート及び第2のプレートを一緒に結合するように構成されており、接続ねじを締め付けることにより、傾斜近位面を傾斜部に沿って並進させ、傾斜近位面と傾斜部との間の接続間隙を除去する。
【0004】
本開示はまた、ベースプレートであって、手術位置で骨から離れる方向に面する第1の表面及び手術位置で骨に向かって面する第2の表面により画定され、かつヘッド部分と、ヘッド部分から遠位に延在するシャフト部分と、を含み、ヘッド部分が、ヘッド部分の第1の表面に沿って延在する係合部分を含み、係合部分が、係合部分の遠位端にある結合アパーチャと、結合に向かって先細になる傾斜面と、を含む、ベースプレートと、取り付けプレートであって、手術位置で骨から離れる方向に面する第1の表面及び手術位置で骨に向かって面する第2の表面により画定され、かつプレート本体と、取り付けプレートをベースプレートに結合するためのそこから遠位に延在する接続部分と、を含み、接続部分が、ベースプレートの係合部分に係合するようにサイズ決め及び成形されており、かつ接続部分の遠位端にある位置決めタブを含み、位置決めタブが、位置決めタブが結合アパーチャの遠位のベースプレートの第2の表面の一部分と係合可能であるように、結合アパーチャを通して挿入されるようにサイズ決め及び成形されており、接続部分が、接続部分の第2の表面に沿って延在する傾斜部分を含み、その結果、位置決めタブが結合アパーチャに挿入されているときに、接続部分と係合部分との間の接続間隙を除去するように、傾斜部分が傾斜面に沿って摺動可能である、取り付けプレートと、を備える、骨固定システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の例示的な実施形態による、骨固定システムの上面図を示す。
図2図1の骨固定システムの斜視図を示す。
図3図1の骨固定システムのベースプレートの平面図を示す。
図4図1の骨固定システムのベースプレートの側面図を示す。
図5図1の骨固定システムのベースプレートの近位部分の斜視図を示す。
図6図1の骨固定システムのリングプレートの平面図を示す。
図7図1の骨固定システムのリングプレートの側面図を示す。
図8図1の骨固定システムのベースプレートとリングプレートとの間の結合の側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、以下の説明及び添付の図面を参照して更に理解することができ、添付の図面において、類似の構成要素は同じ参照番号で参照される。本実施形態は、骨の処置に関し、具体的には、人工関節周囲骨折の処置に関する。例示的な実施形態は、タブ付き接続部を介して互いに結合されるように構成された、第1の骨プレートと、第2の骨プレートと、を備える骨固定システムを説明する。タブ付き接続部は、2つの骨プレートを一緒に締結する前に、他方に対する骨プレートのうちの1つの自己整列を促進する、嵌合機構を含む。この嵌合機構の設計により、臨床負荷に対する耐性を必要とする領域上の2つのプレート間の間隙を除去する。この嵌合機構はまた、2つのプレート間の単一のねじ接続を可能にし、設置されたねじなしに、臨床負荷に抵抗する。例示的な一実施形態では、以下に記載されるように、骨固定システムの第1の骨プレート及び第2の骨プレートは、大腿骨の処置のために特に構成された、ベースプレート及び取り付けプレートを含むことができる。しかしながら、以下に記載される嵌合機構を使用して、様々な骨のいずれかの固定のために任意の2つの骨プレートを取り付けることができることが当業者には理解されるであろう。本明細書で使用されるとき、「近位」及び「遠位」という用語は、人体の大部分に向かう(近位)方向及びそれから離れる(遠位)方向を指すように意図することに留意されたい。
【0007】
図1図2に示すように、本開示の例示的な実施形態による骨固定システム100は、接続ねじ106とともに、ベースプレート102と、例えば、リングプレート104などの取り付けプレートと、を備える。例示的な実施形態は、リングプレート104として取り付けプレートを示し、説明するが、骨固定システム100は、様々な骨のいずれかを処置するように構成された様々な取り付けプレートのうちのいずれかを含むことができることが当業者には理解されるであろう。図2図3を参照すると、ベースプレート102は、一般に、ヘッド部分108と、例えば大腿骨などの長骨の部分の上に取り付けられるように構成されたシャフト部分110と、を備える。例示的な実施形態では、ベースプレート102は、シャフト部分110が、例えば、大腿骨のシャフトの上に延在し、ヘッド部分108が大腿骨の広筋隆起部の上に配置された状態で、標的位置に埋め込まれる。
【0008】
ベースプレート102は、近位端112から遠位端114まで長手方向軸に沿って延在し、ベースプレート102が骨に沿って手術位置にあるときに大腿骨の外側面から離れる方向に面する第1の表面116、及びベースプレート102が手術位置にあるときに骨に面する第2の表面118により画定される。ベースプレート102は、例えば、118~388mmなどの任意の好ましい長さであってもよい。しかしながら、この範囲は単なる例示であることが理解されよう。長手方向側面120、122は、第1の表面116と第2の表面118との間で、近位端112から遠位端114まで長手方向に延在する。例示的な実施形態では、第2の表面118は、それが配置される骨の部分の表面の標的部分の輪郭に一致するように輪郭形成されている。例えば、この実施形態では、第2の表面118は、それが取り付けられる大腿骨の部分の形状と概して一致するように輪郭形成されている。ベースプレート102はまた、近位端112において、2つの長手方向側面120、122の間で第1の表面116を第2の表面118に接続する近位面117を含む。近位面117は、以下で更に詳細に説明するように、リングプレート104の骨に面する表面とインターフェース接続するように構成されている。ヘッド部分108は、この実施形態では、シャフト部分110の幅よりも大きい幅(すなわち、長手方向側面120と122との間の距離)を有する。しかしながら、ヘッド部分及びシャフト部分108、110は、実行される手順、又はベースプレート102が埋め込まれる骨表面、及び、例えば、以前に骨に挿入された任意のインプラントに応じて、任意の寸法を有することができることが理解されよう。
【0009】
ヘッド部分108は、リングプレート104の位置決めタブ126を受容するように構成された、ヘッド部分の遠位部分にある結合アパーチャ124を含む。アパーチャ124は、図2に示すように、第1の表面116から第2の表面118まで延在し、傾斜近位面128及び遠位面130を含む。結合アパーチャ124は、この実施形態では、プレートの近位端112まで延在し、かつリングプレート104の近位接続部分160を受容するように構成された、長手方向溝付き又は窪み付き骨プレート係合部分132と連通している。図2及び図5で見ることができるように、結合アパーチャ124の傾斜近位面128は、第2の表面118から窪み部分132まで延在する。傾斜近位面128は、この実施形態では、角度αを有し、角度αは、例えば、20~40度、より具体的には、第2の表面118に対して約30度である。
【0010】
しかしながら、近位面128は、システム100が使用される用途又は手順に応じて、任意の好ましい角度で角度付けされてもよいことが理解されよう。窪み付き骨プレート部分132は、接続ねじ106を受容するようにサイズ決め及び成形された、ベースプレート102を通って第2の表面118まで延在する、中央開口部134を含む。中央開口部134は、この実施形態では、接続ねじ106の外面上の外部ねじ山と嵌合するように構成された、その内面上の内部ねじ山を含む。中央開口部134は、この実施形態では、窪み付きプレート部分132の中央部分を通って延在するように示され、説明されているが、中央開口部134は、中央開口部134が内部に接続ねじ106を受容するように構成されている限り、窪み付きプレート部分132の任意の部分を通って延在することができることが当業者には理解されるであろう。ヘッド部分108はまた、第1の表面116から第2の表面118まで、それを通って延在する複数の骨固定開口部136を含む。図1の実施形態では、ヘッド部分108は、6つの骨固定開口部136を含む。しかしながら、ヘッド部分108は、骨固定システム100が使用されている手順に応じて、任意の所望の構成で任意の数の骨固定開口部を有することができることが理解されるであろう。
【0011】
ヘッド部分108の近位面117の(2つの長手方向側面の間の)内側部分121は、上述したように、リングプレート104の骨に面する第2の表面152とインターフェース接続するように構成されている。すなわち、位置決めタブ126が結合アパーチャ124内にある状態でリングプレート104が配置されると、近位面117の内側部分121は、以下で更に詳細に説明するように、内側部分121のプロファイルに対応する形状又はプロファイルを有する、リングプレート104の骨に面する第2の表面152上の壁又はレッジに当接する。図3図5に示す例示的な実施形態では、内側部分121は、図8に最もよく見られるように、第2の表面118に対して垂直に延在する第1の部分138と、第1の部分138から第1の表面116まで非垂直な角度で延在する第2の部分140と、を含む。第2の部分140は、第1の表面116に対して約110~130度で角度付けされていてもよい。
【0012】
ベースプレート102のシャフト部分110は、この実施形態では、図3図4に示されるように、第1の表面116から第2の表面118まで、それを通って延在する複数の骨固定開口部144を含む。しかしながら、本実施形態に示す骨固定要素開口部144の数は、単に例示的なものであり、シャフト部分110は、様々な間隔及び構成のいずれかで、それを通って延在する任意の数の骨固定開口部144を有することができることが、当業者には理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、骨固定開口部144は、ベースプレート102の長手方向軸に沿って整列していてもよく、又はベースプレート102の長手方向軸に対して交互になっていてもよい。この実施形態では、骨固定開口部144は、当業者には理解されるように、その中心軸に対して(角度付けのサポート範囲内の)任意のユーザが選択した角度で、例えば、可変角度ロックねじなどの骨固定要素を挿入することができる、可変角度ロック孔である。したがって、ロックねじの角度は、患者の解剖学的構造及び骨折に対するベースプレート102の位置に応じて、医師によって選択することができる。
【0013】
リングプレート104は、図6図7に示すように、この実施形態では、中央本体146から半径方向外向きに延在する5つの突起部148を有する、実質的に円形の中央本体146を含むプレートである。しかしながら、現在の実施形態は5つの突起部を含むが、任意の数の突起部を使用することができることが理解されよう。中央本体146は、リングプレート104が骨に沿って手術位置にあるときに骨から離れる方向に面する第1の表面150、リングプレート104が手術位置にあるときに骨に面する第2の表面152、並びにそれらの間に延在する実質的に環状の内面及び外面154、156により画定されるリングとして成形されていてもよい。第2の表面152は、例示的な実施形態では、それが配置される骨の部分の外面に対応するように輪郭形成されている。例えば、この実施形態では、第2の表面152は、それが取り付けられる大腿骨の部分の形状と概して一致するように輪郭形成されている。
【0014】
中央本体146は、環状内面154と外面156との間のそのあたりに配置された骨固定開口部158を含むことができる。骨固定開口部158は、第1の表面150から第2の表面152までリングプレート104を通って延在する。各突起部148はまた、その半径方向先端部に骨固定開口部158を含む。この実施形態では、骨固定開口部158は、その中心軸に対して(角度付けのサポート範囲内の)任意のユーザが選択した角度で、例えば、可変角度ロックねじなどの骨固定要素を挿入することができる、可変角度ロック孔である。しかしながら、骨固定開口部158は、任意の好ましい種類の開口部であってもよいことが理解されよう。
【0015】
リングプレート104は、中央本体146から遠位に延在し、かつベースプレート102の係合部分132に着座するように構成された、遠位接続部分160を含む。接続部分160は、上述したように、ベースプレート102の結合アパーチャ124内に受容されるように構成されている、その遠位端にある位置決めタブ126を含む。位置決めタブ126の幾何学形状は、平面161が接続部分160の長手方向平面に平行に延在して、結合アパーチャ124の幾何学形状に適合しており、結合アパーチャ124を通って遠位に受容されて、ベースプレート102の第2の表面118に実質的に隣接して配置されるように構成されている。接続部分160の第2の表面152は、ベースプレート102の係合部分132の第1の表面116と適合する幾何学形状を有する。例えば、図7に最もよく示されるように、接続部分160の第2の表面152の近位部分162は、ベースプレート102の近位面117の内側部分121と嵌合するように形成された壁163を含む。例示的な実施形態では、壁163は、ベースプレート102とリングプレート104との間に発生する任意の接続間隙が最小化/除去されるように、近位面117の内側部分121の第2の部分140と同じ角度で傾斜した角度付き部分165を含む。
【0016】
近位部分162の遠位にある接続部分160の内側部分164は、ベースプレート102の対応してサイズ決めされ、成形され、かつ構成された係合部分132の上に嵌合するようにサイズ決めされ、成形され、かつ構成されている。接続部分160は、リングプレート104が正しい向きでベースプレート102の上に容易に嵌合することができるように、ベースプレート102の係合部分132の幅と一致する幅(接続部分160の2つの長手方向側面間の寸法)を有する。同様に、位置決めタブ126に向かって延在する接続部分160の遠位部分166は、結合アパーチャ124の近位面128の幾何学形状に適合する第2の表面形状を有する。具体的には、遠位部分166は、図5に示すように、近位面128と同じ角度α(すなわち、接続部分160の長手方向軸に対して約30度)で傾斜している。この場合も、この一致する幾何学的形状により、2つのプレートが一緒に結合されたときに、ベースプレート102とリングプレート104との間に密接な嵌合を提供する。
【0017】
図6で見ることができるように、接続部分160は、第1の表面150から第2の表面152までそれを通って延在する中央孔168を含み、中央孔168は、接続ねじ106を受容するようにサイズ決め及び成形されている。中央孔168は、接続部分160の中央部分を通って延在するように示され、説明されているが、ベースプレート102及びリングプレート104が以下に記載されるように互いに結合されたときに、中央孔168がそれを通って接続ねじ106の一部分を受容するように構成されている限り、中央孔168は、接続部分160の任意の部分を通って延在することができることが当業者には理解されるであろう。ベースプレート102とリングプレート104とを一緒に結合するために、中央孔168は、ベースプレート102の中央開口部134の上に配置することができる。中央孔168及び中央開口部134は、軸方向に整列する必要はない。むしろ、中央孔168は、中央開口部134の上に「浮遊」し、それにより、中央孔168は、中央開口部134の上でシフトすることができる。
【0018】
一実施形態では、中央孔168は、以下で更に詳細に説明するように、ベースプレート102及びリングプレート104が一緒に結合されたときに、傾斜した遠位部分166が傾斜近位面128に沿って摺動する際の中央開口部134の上の中央孔168のシフトを促進するために、中央開口部134よりもわずかに大きな直径を有してもよい。この実施形態では、中央孔168の中心軸及び中央開口部134の中心軸は、同一平面上にあってもよく、中央孔168及び中央開口部134の中心軸は、例えば、ベースプレート102及びリングプレート104それぞれの第1の表面116、150及び/又は第2の表面118、152に対して実質的に垂直に、かつベースプレート102及びリングプレート104の長手方向軸を通って延在する、平面に沿って延在する。中央孔168は、この実施形態では、接続ねじ106が通って延在する貫通孔として作用する、滑らかな内面を有することができる。しかしながら、中央孔168は、別の実施形態では、接続ねじ106の外面上の外部ねじ山と嵌合するために、その内面に沿って内部ねじ山を有することができることが当業者には理解されるであろう。
【0019】
接続ねじ106は、当業者が理解するように、図8に示すように、ヘッド部分170及びシャフト部分172を含む任意の通常のねじであってもよい。シャフト部分172は、この実施形態では、中央開口部134及び/又は中央孔168の内面上のねじ山と嵌合するように構成された、その外面に沿ったねじ山を含む。ヘッド部分170は、接続ねじ106を最初に手動で締め付けるために医師によって把持されるのに十分に大きくてもよい。しかしながら、ヘッド部分170は、接続ねじ106を最終的に締め付けるためにドライバによって係合されるように、ドライバ受容部分135を含むことができる。しかしながら、ベースプレート102とリングプレート104との間の接続は、内部に接続ねじ106を挿入する前であっても、骨プレート102、104が依然として臨床負荷に抵抗するように構成されていることに留意されたい。
【0020】
当業者には理解されるように、リングプレート104の接続部分160及び位置決めタブ126とベースプレート102の係合部分132及び結合アパーチャ124の一致する幾何学形状は、2つのプレート間で接触する表面積の量を最大化するように構成されている。したがって、接続ねじ106が骨プレートシステム100に挿入されて、締め付けられると、2つのプレート102と104との間の任意の間隙は、接続部分160の傾斜した遠位部分166との傾斜近位面128の嵌合によって除去され、それにより、骨プレートが支える任意のねじり又はせん断負荷は、ねじ又はプレート102と104との間の接続によっては見られず、むしろ、プレートそれら自体の長さに沿って支えられる。更に、結合アパーチャ124内の位置決めタブ126の舌部及び溝接続部により、骨プレート102、104を容易に自己整列させることができ、それにより、プレート102、104を互いに対する回転から保持するために、単一の接続ねじ106のみが必要とされる。
【0021】
プレート102、104を組み立てる例示的な方法によれば、リングプレート104の位置決めタブ126は、図2に最もよく示されるように、ベースプレート102の骨に面していない側から斜めの角度でベースプレート102の結合アパーチャ124に挿入される。位置決めタブ126を結合アパーチャ124に挿入する過程で、リングプレート104は、リングプレート104がベースプレート102の上に着座するまで、位置決めタブ126及び結合アパーチャ124の自己整列形状によって、下向きに、又はベースプレート102の平面に向かって回転される。リングプレート104がベースプレート102の上に着座すると、接続部分160は、係合部分132内に配置され、位置決めタブ126は、2つのプレート102と104との間にスペースがほとんど又は全くないように、結合アパーチャ124を通して完全に挿入される。この時点で、前述のように、2つのプレート102と104との間の接続は、それらの間の任意のねじ接続なしに、臨床負荷に抵抗することができる。更に、位置決めタブ126と結合アパーチャ124との間の接続は、任意のねじ又は締結具の使用を必要とせず、ベースプレート102が標的骨に取り付けられている間に、ベースプレート102が標的骨から取り外されている間に、又はベースプレート102が他の骨プレートと結合されている間に、行うことができる。
【0022】
ベースプレート102及びリングプレート104が一緒に嵌合されると、接続ねじ106は、最初に中央孔168を通って、次いで中央開口部134を通って挿入される。接続ねじ106は、最初に手で締め付けることができ、最終的な締め付けは、ドライバを使用して完了することができる。別の実施形態では、接続ねじ106は、ドライバのみを使用して締め付けることができる。接続ねじ106及びリングプレート104を最終的に締め付けている間に、傾斜近位面128及び接続部分160の遠位部分166は、リングプレート104を傾斜面に沿って並進させ、存在し得る任意の初期接続間隙137を除去する。傾斜した遠位部分166及び傾斜近位面128が互いに沿って摺動して接続間隙を除去すると、接続ねじ106のシャフト部分172は、ベースプレート102の中央開口部134の中心軸と同軸に整列し、リングプレート104の中央孔168と同一平面上にある。
【0023】
例示的な実施形態は、結合アパーチャ124及び位置決めタブ126を部分的に含む結合機構を介して互いに接続されたベースプレート102及びリングプレート104を含む大腿骨固定システムとしてシステム100を示して説明しているが、本開示の結合機構を使用して、様々な固定システムのいずれかのために2つのプレートを接続することができることが、当業者には理解されよう。
【0024】
当業者は、その発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。更に、実施形態のうちの1つに関連する構造的特徴部及び方法は、他の実施形態に組み込まれ得ることを理解されたい。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、むしろ付属の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲内で修正も包含されるものと理解される。
【0025】
〔実施の態様〕
(1) 骨固定システムであって、
第1のプレートであって、プレート本体を含み、前記プレート本体は、近位端から遠位端まで延在し、かつ前記骨プレートが手術位置にあるときに前記骨から離れる方向に面する前記本体の第1の表面から、前記骨プレートが手術位置にあるときに前記骨に面する第2の表面まで、前記プレート本体を通って延在する複数の骨固定開口部を含み、前記第1のプレートが、前記プレート本体から遠位に延在する接続部分を更に含み、前記接続部分が、前記接続部分の遠位端にある位置決めタブを含み、前記接続部分が、前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する第1の開口部を含み、前記接続部分の前記第2の表面が、傾斜部を含む、第1のプレートと、
第2のプレートであって、近位端から遠位端まで延在し、かつ前記第2のプレートの近位部分に沿って結合アパーチャを含み、前記結合アパーチャが、内部に前記位置決めタブを受容するように構成されており、前記結合アパーチャが、前記位置決めタブが前記結合アパーチャに挿入されたときに、前記位置決めタブの前記第2の表面の前記傾斜部に当接するように構成された傾斜近位面を含み、ヘッド部分が、前記第2のプレートが手術位置にあるときに前記骨から離れる方向に面する前記第2のプレートの第1の表面から、前記骨プレートが手術位置にあるときに前記骨に向かって面する第2の表面まで、前記ヘッド部分を通って延在する第2の開口部を含む、第2のプレートと、
接続ねじであって、前記第1の開口部及び前記第2の開口部を通って延在して、前記第1のプレート及び前記第2のプレートを一緒に結合するように構成されており、前記接続ねじを締め付けることにより、前記傾斜近位面を前記傾斜部に沿って並進させ、前記傾斜近位面と前記傾斜部との間の接続間隙を除去する、接続ねじと、を備える、骨固定システム。
(2) 前記第2のプレートが、前記第2のプレートの第1の表面上に窪み付き係合部分を更に含み、前記係合部分が、前記結合アパーチャから前記第2のプレートの前記近位端まで延在し、前記係合部分が、前記位置決めタブが前記結合アパーチャに挿入されたときに、前記第1のプレートの前記接続部分を内部に受容するようにサイズ決め及び成形されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記第2の開口部が、前記係合部分を通って延在する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、前記接続ねじの外面上のねじ山と嵌合するように構成された、前記第1の開口部及び前記第2の開口部の内面上のねじ山を含む、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記第2のプレートの近位面の一部分が、前記接続部分の近位端で前記第1のプレートの前記第2の表面に沿って延在する前記接続部分の、対応してサイズ決め及び成形された壁に当接するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0026】
(6) 前記接続ねじが、シャフトと、手動で締め付けられるように構成されたヘッドと、を含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記位置決めタブの第1の表面が、前記結合アパーチャの遠位にある前記ヘッド部分の第2の表面に当接するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記傾斜近位面が、前記第2のプレートの前記第1の表面に対して20~40度に角度付けされている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記位置決めタブの第2の表面に対する前記傾斜部の角度が、前記第2のプレートの前記傾斜近位面の角度に対応する、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記位置決めタブ及び前記結合アパーチャが、前記第1のプレートを前記第2のプレートに接続するように自己整列するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0027】
(11) 骨固定システムであって、
ベースプレートであって、手術位置で前記骨から離れる方向に面する第1の表面及び前記手術位置で前記骨に向かって面する第2の表面により画定され、かつヘッド部分と、前記ヘッド部分から遠位に延在するシャフト部分と、を含み、前記ヘッド部分が、前記ヘッド部分の前記第1の表面に沿って延在する係合部分を含み、前記係合部分が、前記係合部分の遠位端にある結合アパーチャと、前記結合アパーチャに向かって先細になる傾斜面と、を含む、ベースプレートと、
取り付けプレートであって、手術位置で前記骨から離れる方向に面する第1の表面及び前記手術位置で前記骨に向かって面する第2の表面により画定され、かつプレート本体と、前記取り付けプレートを前記ベースプレートに結合するための前記プレート本体から遠位に延在する接続部分と、を含み、前記接続部分が、前記ベースプレートの前記係合部分に係合するようにサイズ決め及び成形されており、かつ前記接続部分の遠位端にある位置決めタブを含み、前記位置決めタブが、前記位置決めタブが前記結合アパーチャの遠位の前記ベースプレートの前記第2の表面の一部分と係合可能であるように、前記結合アパーチャを通して挿入されるようにサイズ決め及び成形されており、前記接続部分が、前記接続部分の前記第2の表面に沿って延在する傾斜部分を含み、その結果、前記位置決めタブが前記結合アパーチャに挿入されているときに、前記接続部分と前記係合部分との間の接続間隙を除去するように、前記傾斜部分が前記傾斜面に沿って摺動可能である、取り付けプレートと、を備える、骨固定システム。
(12) 前記ベースプレートが、前記傾斜面の近位の前記係合部分の一部分を通って延在する接続ねじ開口部を含み、前記取り付けプレートが、前記傾斜表面の近位の前記接続部分の一部分を通って延在する接続ねじ開口部を含む、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記ベースプレートを前記取り付けプレートに固定するための接続ねじを更に備え、前記接続ねじが、前記ベースプレート及び前記取り付けプレートの前記接続ねじ開口部を通して挿入可能である、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記ベースプレートの前記接続ねじ開口部が、前記接続ねじの、対応してねじ山を付けられた外面に係合するように構成されたねじ山を含む、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記接続ねじが回転して、前記ベースプレート及び前記取り付けプレートの前記接続ねじ開口部に係合するときに、前記接続部分の前記傾斜表面が、前記係合部分の前記傾斜面に沿って摺動し、前記接続ねじが、前記ベースプレートの前記接続ねじ開口部の中心軸と同軸に整列する、実施態様14に記載のシステム。
【0028】
(16) 前記ベースプレートが、大腿骨の長さの一部分に沿って延在するようにサイズ決め及び成形されている、実施態様11に記載のシステム。
(17) 前記取り付けプレートが、リングプレートであり、前記プレート本体が、実質的に円形であり、大腿骨の近位端の上に延在するように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(18) 前記リングプレートが、前記プレート本体から半径方向外向きに延在する複数の突起部を含み、前記突起部の各々が、前記突起部を通って延在する骨固定要素受容開口部を含む、実施態様16に記載のシステム。
(19) 前記ベースプレートが、前記ベースプレートを通って延在する複数の骨固定要素受容開口部を含む、実施態様11に記載のシステム。
(20) 前記係合部分の近位面が、前記接続部分の前記第2の表面に沿って、対応してサイズ決め及び成形された肩部と係合するように構成されており、前記係合部分の前記近位面と前記接続部分の前記第2の表面に沿った前記肩部との間の間隙が、前記傾斜表面が前記傾斜面に沿って摺動するにつれて減少する、実施態様11に記載のシステム。
図1
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図8