(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】非接触光学測定装置および交換可能光プローブ
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2022517508
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 US2020051475
(87)【国際公開番号】W WO2021055736
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520284388
【氏名又は名称】ディーダブリュー・フリッツ・オートメーション・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】9600 SW Boeckman Road,Wilsonville OR 97070 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エイ ボーリング
(72)【発明者】
【氏名】バスカー ラマクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】デレク グラハム アキ
(72)【発明者】
【氏名】クリス バーンズ
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-246173(JP,A)
【文献】特表2019-522213(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017499(US,A1)
【文献】特開2020-085717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から放射され、ワークピース表面により反射されて分光センサ上に入射する光の構成可能な光伝搬経路に基づいて、異なる幾何学的ワークピースの特徴を検出または測定する非接触光学測定装置であって、
光軸に沿って向けられたコリメートされた光を確立するために、前記光源から放射された前記光をコリメートするように構成されたコリメータと、
前記光軸の周りにバランスのとれた回転力を与える対称的な直接駆動機構を使用して、前記光軸の周りに回転運動を生じさせるように構成された回転運動ステージと、
前記回転運動ステージにより与えられた制御可能な回転量を追跡するように構成された回転運動センサと、
交換可能光プローブのセットの任意の選択された部材を前記回転運動ステージに着脱自在に取り付けるための共通インターフェイスとして機能する取り付け装置であって、それにより前記制御可能な回転量が前記選択された部材のプローブ光学構成に与えられるときに、前記コリメートされた光の反射部分が前記分光センサに対して向けられるように、対応する伝搬経路に沿って前記コリメートされた光を構成可能に方向付ける取り付け装置と、を備える、非接触光学測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、交換可能光プローブの前記セットを更に備え、前記セットの各部材は、前記セットの他の部材のものとは異なる対応するプローブ光学構成を含む、非接触光学測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、前記分光センサは、前記回転運動ステージにより与えられた前記制御可能な回転量に反応して回転不能である、非接触光学測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、前記制御可能な回転量は、360°以上の自由回転を含む、非接触光学測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、処理装置を更に含み、前記処理装置は、前記回転運動センサからの位置情報および前記分光センサからの分光情報に基づいて、幾何学的表面の画像または点群を生成する、非接触光学測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の非接触光学測定装置であって、回転および分光情報は、交換可能光プローブの前記セットの異なる部材を使用して、連続して取得される、非接触光学測定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、前記取り付け装置はキネマティックマウントを備える、非接触光学測定装置。
【請求項8】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、前記取り付け装置は、磁気、機械的、または真空カップリングを備える、非接触光学測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、交換可能光プローブの前記セットの部材を更に備え、前記部材は、前記コリメートされた光と前記反射部分とが前記光軸に沿って整列された伝搬経路を共有する軸方向に整列されたプローブ光学構成を有する、非接触光学測定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、交換可能光プローブの前記セットの部材を更に備え、前記部材は、前記コリメートされた光を前記光軸に対してある角度で向けるミラーを有する、非接触光学測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の非接触光学測定装置であって、プローブ測定スポットの線形走査と、測定される前記ワークピース表面の線形運動とに反応して、平面形状を測定するように構成されたfシータレンズを更に備える、非接触光学測定装置。
【請求項12】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、交換可能光プローブの前記セットの部材を更に備え、前記部材は、前記コリメートされた光の伝搬経路および前記反射部分の伝搬経路が互いに横方向にオフセットされ
るように、横方向にオフセットされたプローブ光学構成を有する、非接触光学測定装置。
【請求項13】
請求項12に記載の非接触光学測定装置であって、前記横方向にオフセットされたプローブ光学構成は、プローブ測定スポットの調整された円形走査と、測定される前記ワークピース表面の線形運動と、に反応して、平面形状を測定するように構成された2つの連続する90°の反射を含む、非接触光学測定装置。
【請求項14】
請求項12に記載の非接触光学測定装置であって、前記コリメートされた光を前記光軸に対してある角度で向けるミラーを更に備え、交換可能光プローブの前記セットの前記部材は、プローブ測定スポットの調整された円形走査と、測定される前記ワークピース表面の線形運動と、に反応して、円筒面形状を測定するように構成された、非接触光学測定装置。
【請求項15】
請求項10または14に記載の非接触光学測定装置であって、前記角度は90°である、非接触光学測定装置。
【請求項16】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、前記回転運動ステージはエアベアリングを含む、非接触光学測定装置。
【請求項17】
請求項1に記載の非接触光学測定装置であって、前記回転運動センサは光学エンコーダを含む、非接触光学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本出願は、2019年9月18日に出願された米国仮特許出願第62/902,311号の優先的利益を主張するものである。米国仮特許出願第62/902,311号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、メトロロジ装置に関し、より詳細には、寸法測定、表面粗さ測定、および幾何学的特徴の走査を含む多様な検査タスクのための非接触光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
Castoreの米国特許第5,781,297号は、距離測定用の混合型周波数振幅変調光ファイバヘテロダイン干渉計を記載する。周波数変調されたレーザダイオードからのビームは、基準ビームと目標ビームとに分割される。閉ループ制御システムは、基準ビームの振幅を変調し、目標リターンビームと基準ビームとにおけるパワーの間のバランスを維持する。これにより、センサは、反射率が大きく変化するターゲットで、目標ビームのターゲットへの入射角の広い範囲にわたって動作することができる。基準ビームおよび目標リターンビームは、ビート波を生成する検出器で干渉する。ビート周波数は、センサからターゲットへの距離に線的に相関する。ビート波の周波数は高精度に決定される。そのため、位置が高精度で与えられる。
【0004】
Deichmannらの米国特許第7,625,335号は、寸法が限られる、またはアクセスに制限のある内面または空洞の三次元走査のためのスキャナを記載する。このスキャナは、軸を有するプローブと、少なくとも1つの光源と、プローブの軸の周りに360°の走査を実行するように適合された少なくとも1つのカメラと、を含む。スキャナで取得可能な3Dスキャンデータを使用して、実際の物体の三次元のレプリカを作成することができる。
【0005】
Bondurantらの米国特許第10,036,629号は、光学的なネジのプロファイラを記載する。この光学的なネジのプロファイラは、CCDイメージャと光学的三角測量とを含み、ネジ山表面の非接触特性評価を実行する。
【0006】
非接触光学測定装置の他の試みには、ケベック州Pointe ClaireのNovacam Technologies Inc.およびドイツ、アーヘンのFionec GmbHなどの試みが含まれる。
【発明の概要】
【0007】
非接触光学測定装置は、光源から放射され、ワークピース表面により反射されて分光センサ上に入射する光の構成可能な光伝搬経路に基づいて、異なる幾何学的ワークピースの特徴を検出または測定する。非接触光学測定装置は、光軸に沿って向けられたコリメートされた光を確立するために、光源から放射された光をコリメートするように構成されたコリメータと、光軸の周りに回転運動を生じさせるように構成された回転運動ステージと、回転運動ステージにより与えられた制御可能な回転量を追跡するように構成された回転運動センサと、交換可能光プローブのセットと、を備える。セットの各部材は、セットの他の部材のものとは異なるプローブ光学構成を含む。制御可能な回転量がプローブ光学構成に与えられるときに、コリメートされた光の反射部分が分光センサに対して向けられるように、対応する伝搬経路に沿ってコリメートされた光を方向付けるように、各部材を回転運動ステージに着脱自在に取り付け可能である。
【0008】
また、小径ボアを含む多様な特徴を検出または測定する光プローブを小型化するための、光ファイバボア検査ツールおよび自由空間光学測定装置も開示される。いくつかの実施形態において、光ファイバボア検査ツールは、カニューレ内部にライトパイプとも称される光ファイバを収容する回転可能な小径カニューレ(すなわち、長い針)を含む。カニューレの遠位端に配置されたミラーは、光がボア表面上に入射するように、カニューレから放射された光を向ける。反射光は、ライトパイプを通って、ライトパイプと光学的に関連付けられたライトフィールドカメラに戻される(例えば、ボアスコープに類似する)。カメラは、受光して、二次元と三次元との両方の情報をキャプチャすることができる。
【0009】
開示されるボア測定方法は、穴の内径(ID:inside diameter)、表面全体のプロファイルのメトロロジ測定、および表面粗さと仕上げの評価に適している。さらに、いくつかの実施形態において、干渉法を使用して、内面の表面粗さまたは仕上げの品質を取得することもできる。
【0010】
開示される技術は、小さな穴の内部特徴をキャプチャするという利点を提供するものであり、内径ネジを有するものも含めて、6mmより小さい穴およびボアを検査する能力を備える。開示される技術革新が適用可能な、多くの検査用途がある。例えば以下のようなものである。航空宇宙エンジンブレードの冷却穴、医療用ネイルプレート、骨ネジおよび歯科インプラントヘッド上のヘッド駆動プロファイル、燃料インジェクタホールおよび排気マニホールドボア、ステントの内径検査、ガスボックスならびに油およびガス用流体供給システムにおいて使用されたバルブ、ボイラ、半導体機器などである。前述の各用途では、穴の直径が6mm未満の場合がある。特に、航空宇宙分野および医療分野は、小さな穴が存在するマーケットである。これらの分野において、開示される技術で検査が容易となる。
【0011】
追加の態様および利点は、以下の実施形態の詳細な説明から明らかになる。実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照して進める。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】複合角度の複数の小さなネジ穴を含む骨プレートの斜視図のセットである。
【
図2】断面形状、角度、深さ、およびサイズが異なる複数の穴が三次元ボリュームにある航空機エンジンブレードの斜視図である。
【
図3】一実施形態による、円筒形の側壁を測定するための45°ミラーチップを含む光ファイバボア検査ツールのハイブリッドブロック図および側面図である。
【
図4】一実施形態による、交換可能光プローブのセットで構成可能な非接触光学測定装置のブロック図である。
【
図5】一実施形態による、プローブチップ内の光学アセンブリの注釈付き側面図である。
【
図6】一実施形態による、注釈付きのシステムブロック図である。
【
図7】一実施形態による、第1交換可能光プローブで構成された非接触光学測定装置の等角図である。
【
図8】
図7の線8‐8に沿ってとられた断面図である。
【
図9】
図7および
図8の第1交換可能光プローブで構成された非接触光学測定装置を使用して測定されたM8ネジ山を示す画像として表された点群の絵画的な図である。
【
図10】
図7および
図8の第1交換可能光プローブで構成された非接触光学測定装置を使用して測定されたM8ネジ山を示す画像として表された点群の絵画的な図である。
【
図11】一実施形態による、
図7および
図8の非接触光学測定装置であるが、第2交換可能光プローブを備える非接触光学測定装置の等角図である。
【
図12】
図11の線12‐12に沿ってとられた断面図である。
【
図13】
図11および
図12の第2交換可能光プローブで構成された非接触光学測定装置を使用する二次元走査のための点群を示す、注釈付きの絵画的な図である。
【
図14】リングギアの検査を行う第3交換可能光プローブの上面図である。
【
図15】一実施形態による、二次元走査のためのfシータレンズで構成された
図7および
図8に示す第1交換可能光プローブを装備した、非接触光学測定装置の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および2は、複数の小さなボアを有する装置の例を示す。各ボアは、迅速に検査されなければならない。例えば、
図1は、3つの骨プレート10を示す。
図2は、航空機エンジンブレード20を示す。
【0014】
図3は、検査中のボア76または他の開口を画定する円筒形の側壁66の内面64に対してレーザビーム62を印加するように構成された光ファイバボア検査ツール60を示す。例えば、いくつかの実施形態によれば、内面64は、ステントにより画定された管の一部とすることができる。
【0015】
光ファイバボア検査ツール60は、回転可能で、拡張可能で、交換可能である光プローブアセンブリ80を含む。いくつかの実施形態において、光プローブアセンブリ80は、内部90を有するカニューレ88を含む。内部90を通って、レーザビーム62が、カニューレ88の近位端92および遠位端94から伝えられる。カニューレ88は、任意選択で光ファイバ(図示せず)を収容する。光ファイバは、レーザビーム62をガイドし、側壁66の内面64から反射された光を受光する。
【0016】
図3に示す例では、ミラー110などの光学系は、レーザ源およびコリメーションモジュール(例えば、
図6参照)により軸方向に放射された光を内面64に向けて横方向に方向を変えるように、遠位端94に取り付けられている。内面64により反射された光は、次いで、ミラー110により軸方向に沿って方向を変えて戻される。
【0017】
受光され、方向を変えられた光は、光ファイバを通ってカニューレ88の近位端92に向かって伝搬する。その時点で、光は光センサ120でキャプチャされる。他の実施形態において、光ファイバは、自由空間、自由空間光学系、複数の光ファイバ、またはこれら3つの組み合わせにより置換される。
【0018】
センサ120に適するセンサに関して、いくつかの実施形態は、干渉計センサを含むことができる。したがって、レーザビーム62における位相変化を使用して、ミラー110の位置から内面64まで測定するような、幅距離測定値(すなわち、内径(ID)測定値)を取得する。他の実施形態において、
図5および
図6を参照して後に説明するように、多様な技術(例えば、コノスコピックホログラフィー、低コヒーレンス干渉計(LCI:low coherence interferometer)、クロマチック共焦点など)を使用して、穴および他の幾何学的特徴を測定することができる。
【0019】
別の実施形態によれば、光スイッチが装備される。光スイッチの入力側に結合された光ファイバにより、2つ以上のセンサを順次切り替え可能とし、2つ以上の測定技術(例えば、LCI、クロマチック共焦点、または他のタイプ)を配置することができる。これにより、スイッチの出力側の共通の光コリメーションモジュールに適切な技術を選択できる。
【0020】
内面64の(いくつかの実施形態では、任意の糸を含む)のプロファイルの寸法を測定するために、カニューレ88は回転可能であり、拡張可能である。当業者は、アセンブリ80と内面64との間の相対運動を達成するための様々な技術があることを理解する。例えば、回転は、回転アクチュエータシステム130で達成される。一実施形態において、モータ132は、第1歯車136を回転させる。第1歯車136は、第2歯車140と噛み合い、回転運動を第2歯車140に伝達する。第2歯車140は、カニューレ88に結合されて回転を与える。回転量は、回転または弧状距離のいずれかに関して符号化される。そのため、情報を、内面64上の特徴の方位角位置に対して正確にマッピングすることができる。同様に、リニアステージ150により、カニューレ88が伸長および収縮する。線形運動の量はまた、内面64から検出または測定された特徴の縦方向の位置をマッピングするために符号化される。回転運動および線形運動が同時に適用される場合(例えば、光プローブアセンブリ80の挿入中または抽出中)、螺旋検査が実行される。
【0021】
光プローブアセンブリ80は、内面64を検査するためのミラー110を含む。しかしながら、別のアセンブリにはそのようなミラーがない。したがって、ボアの底壁面を検査するために、光が、軸方向に放射され、反射される。追加のアセンブリを、アンダーカットの検査など、さらに他の特殊な検査タスクのために使用することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、光プローブアセンブリ80は、交換可能プローブアセンブリのセットの部材である。例えば、
図4は、交換可能光プローブ162のセットで構成可能な非接触光学測定装置160を示す。交換可能光プローブ162は各々が、その機能に特化したマイクロ光学系を有し、光学測定パラメータの構成と、測定部位への異なる物理的なビーム送達伝搬経路と、の両方を可能にする。したがって、光プローブ162の異なるものが交換されると、装置160は、光源170から放射され、ワークピース表面によって反射されて分光センサ174(例えば、クロマチック共焦点、LCI、および他のタイプのスペクトルセンサ)上に入射する光の構成可能な光伝搬経路166に基づいて、異なる幾何学的ワークピースの特徴を検出または測定するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、光源170および分光センサ174は、集合的にセンサと称される単一のモジュールである。他の実施形態においては、光源170および分光センサ174は、別個のモジュールである。光源170および分光センサ174の例は、ドイツ、GaggenauのPrecitec GmbH & Co.KGから入手可能なCHR 2 IT DWである。追加の例を
図6に示す。他の実施形態においては、レーザ光を使用することができる。
【0024】
光源170および分光センサ174は、コリメータ178から離れて配置され、光ファイバ結合176されて、コリメータ178と光源170および分光センサ174との間に比較的狭い赤外線帯域(1.07ミクロン波長)の光180を提供することができる。いくつかの実施形態において、光源170および分光センサ174は、離れて配置されておらず、コリメータ178および
図4に示される他の構成要素を備えた共通のハウジング内に存在する。更に他の実施形態では、光ファイバ176の代替として、自由空間光学系を使用することができる。光ファイバ176の例は、Precitec GmbH & Co.KGから入手可能なシングルモードファイバである。
【0025】
コリメータ178は、光源170から放射された光180を受光し、光軸190に沿って向けられたコリメートされた光186を形成する。当業者は、コリメートされた光186が、例えば、回折に起因してある程度の発散を含み、許容できる発散の量は、所望の用途に応じることを理解する。コリメータ178の例は、ニュージャージー州、NewtonのThorlabs, Inc.から入手可能なF260 APC‐1064である。
【0026】
回転運動ステージ196は、光軸190の周りに回転運動を生じさせるように構成される。換言すると、回転運動はコリメーション空間において与えられ、その後、光180はコリメータ178によりせん断される。したがって、せん断により、コリメーション空間での完全な360°の(またはそれを超える)自由回転が可能である。さらに、回転運動ステージ196に固定または取り付け可能な自由空間光学系の観点からは、回転運動センサ208(例えば、エンコーダ)が、回転運動ステージ196により与えられた制御可能な回転量を(直接的または間接的に)追跡すべく構成されるように、コリメートされたビーム200が回転する。例えば、追跡は、回転、方位角、またはスペクトルデータが取得された空間位置を導出するために使用可能な、任意の他の形態の位置情報を決定することを含むことができる。
【0027】
交換可能光プローブ162のセットの中で、各部材は、コリメートされたビーム200を、光軸190に対してある角度で向け、光軸190から横方向にオフセットさせることができるように、または横方向のオフセットと角度を付けることの両方の組み合わせができるように、セットの他の部材のものとは異なるプローブ光学構成212を含む。したがって、コリメートされた光の反射部分が分光センサ174に向けられるよう、制御可能な回転量がプローブの光学構成に与えられるときに、各プローブ162は、コリメートされた光200を対応する伝搬経路に沿うように方向付ける。したがって、特定の幾何学的特徴の測定は、光軸190に対する交換可能光プローブ162の精密な動きにより可能になる。
【0028】
図4に示す例において、第1ビーム214は、(例えば、ボアの深さの測定のために)光軸190と同軸である。第2ビーム218は、プローブの遠位端に配置された45°のミラー先端により、90°で向けられる(例えば、
図5、
図7、および
図8を参照)。第3ビーム228は、(例えば、アンダーカットの測定のために)遠位端から上向きの中間角度で向けられる。第4ビーム230は、近位端から下向きの中間角度で向けられる。第5ビーム236は、近位端から直角で放射される。第6ビーム240は、光軸190から横方向にオフセットされ、下向きに(または別の角度で)向けられる。回転軸および光軸からの横方向のオフセットは、径方向のオフセットとも称される。
【0029】
いくつかの実施形態において、各タイプのビーム伝搬経路は、異なるプローブにより確立される。別の実施形態において、2つ以上のビームを、その光学系を再構成した後、共通のプローブにより提供することができる。例えば、ミラーを挿入して、ビーム214からビーム218に変更することができる。さらに、当業者は、ビームという用語が、表面をサンプリングする間に生成される一連のパルスを除外する必要がないことを理解する。
【0030】
取り付け装置246は、交換可能光プローブ162の任意の選択された部材セットを回転運動ステージ196に着脱自在に取り付けるための、共通インターフェイスとして機能する。それにより、個々のプローブチップを、共通の精密なインターフェイスで、(光軸190と同軸の)共通の回転運動軸に、磁気または真空カップリングなどの物理的な保持技術を使用して、繰り返し取り付け可能である。共通のインターフェイスにより、多様なプローブチップの自動交換も可能である。
【0031】
いくつかの実施形態において、回転運動ステージ196の回転面上の高精度のキネマティックマウントにより、コリメータ178に対する光プローブ162の回転と、プローブ162の自動交換と、の両方が可能である。したがって、交換可能光プローブ162のセットの各部材を、回転運動ステージ196に、脱着自在に容易に取り付け可能である。正確な取り付けにより、コリメーション空間における回転に加えて、センサ174の光軸190および回転運動軸に対するプローブの光軸の不整合の悪影響が最小限に抑えられる。
【0032】
図5は、コリメーションモジュールの下流で、所望の測定仕様にしたがってプローブチップ242を光学的に構成できる例を示す。例えば、LCIの場合、これには、プローブチップ内に干渉計の基準脚を形成するためのビームスプリッタとミラー、およびコリメートされたビームを取得してスポットに対して集束させるための球面または非球面集束レンズが含まれよう。クロマチック共焦点には、分散を作り出すために追加の光学系が含まれる場合がある。クロマチック共焦点の場合、プローブチップは、クロマチックレンズと反射素子とを含むことができる。レンズを測定部位の近くのプローブチップに配置することにより、大きな開口数を実現することができる。これにより、スポットサイズをより小さくして分解能を向上させることができる。
【0033】
図6は、非接触光学測定装置160をブロック図の形式で示す。簡潔にするために、前述の構成要素の詳細は繰り返されない。プローブ162の追加の詳細は、
図7~
図15に示される実施形態に関連して注釈が付けられ、説明される。例えば、
図7~
図10は、同軸のプローブ軸および方向転換ミラープローブチップを使用して円筒形状を測定するためのプローブ250の例を示す。
図11~
図13は、円形走査、および下向きで径方向にオフセットされたプローブ軸を使用して平面形状を測定するためのプローブ254の例を示す。
図14は、横方向に向けられて(または角度を付けられて)径方向にオフセットされたプローブ軸を使用して多面的形状を測定するためのプローブ260の例を示す。
図15は、線形走査およびガルボ調整可能なプローブチップミラー(例えば、プローブ254の変形版)を使用して平面形状を測定するためのプローブ268およびfシータレンズ270を含むシステム266の例を示す。回転および分光情報が交換可能光プローブ162のセットの異なる部材を使用して、連続して取得されるときに、複雑な形状を測定可能である。
【0034】
図6はまた、回転運動センサ208(
図5)からの位置情報274および分光センサ174からの分光情報276に基づいて、幾何学的表面の画像または点群(例えば、
図9および
図10を参照)を生成するための処理装置272を示す。処理装置272は、以下のようなものとして具現化することができる。すなわち、離れて配置された汎用コンピュータ、ワークステーション、リアルタイムオペレーティングシステムを実行する組み込み型処理コンピュータ、カスタムASIC、FPGA、GPU、または機械可読もしくはコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的な機械可読記憶媒体)から命令を読みとり、本明細書に記載の方法のいずれか1つまたは複数を実行するように構成された他の装置である。いくつかの実施形態において、処理装置272は、1つまたは複数のプロセッサ(またはプロセッサコア)、1つまたは複数のメモリ/ストレージデバイス、および1つまたは複数の通信リソースを含む。これらの各々は、ネットワークまたはバスを介して通信可能に結合することができる。
【0035】
図7および
図8は、プローブ250を備えた非接触光学測定装置280を示す。
図8は、ミラウ(Mirau)基準面292を有する集束レンズ290と、プローブチップ310内の基準ビーム(図示せず)および測定ビーム218を形成するためのビームスプリッタ300と、90°方向転換ミラー314と、を含むプローブ光学構成284を示す。90°方向転換ミラー314は、コリメートされた光200の反射部分330(
図7)が、離れて配置された分光センサ(図示せず)に向けられるように、ビーム218をボア326(
図9および
図10)の内壁320(
図7、
図9および
図10)に向ける。いくつかの実施形態において、プローブ250は、1から3mmのバウンスミラーオプションおよび他の角度をサポートする。ミラー314は取り外し可能である。またはミラー314の位置は、チップ310に沿って、またはチップ310と共に調整可能である。したがって、以下の光学パラメータを制御することができる。すなわち、測定範囲、作動距離、およびスポットサイズである。
【0036】
図8はまた、回転運動ステージ196が、制御回路(例えば、処理装置272、
図6)からの信号線338により運ばれる制御信号に反応して、エアベアリング336(エアスピンドルとも称される)の回転を実行するサーボ回転モータ334を含むことを示す。制御信号はまた、モータ334の対向する側で相互に角度的に離間された一対の光学エンコーダ340により、ステージ196から提供される。光学エンコーダ340は、GloucestershireのWotton‐under‐EdgeのRenishaw plcから入手可能な、A4A1X30D10Bである。モータ334の頂上のエンコーダディスク344は、モータ334により与えられた制御可能な回転量を追跡するための、検出可能な信号を生成する。エンコーダディスク344は、同様にRenishaw plcから入手可能なA‐9405‐4050である。
【0037】
磁気キネマティックマウント360は、エアスピンドル336上でプローブ162を交換するために含まれる。例えば、キネマティックマウント360は、3つのツーリングボール368を有するキネマティックベース364(
図7)を含む。3つのツーリングボール368は、エアスピンドル336の底面370の周りに相互に角度的に離間する。キネマティックマウント360はまた、キネマティックキャップ380を含む。キネマティックキャップ380は、プローブ162の上面386(
図8)の周りに同様に相互に角度的に離間する3対の偏心の取り付け合釘384を有する。当業者は、別の実施形態において、キネマティックベース364がプローブ162上に配置され、キネマティックキャップ380がエアスピンドル336の底面370上に配置されてもよいことを理解する。
【0038】
偏心の取り付け合釘384の各々は、その長手方向軸を中心に回転可能であり、その偏心を利用して、手動による構成ステップの間に、光学軸および回転軸を位置合わせする。例えば、合釘384は、遠位端上のスパナを使用して、それを+/-180°回転させることにより、ツーリングボール368上の接触点を上下に0.2mm調整して、キネマティックベース364の頂上のキネマティックキャップ380の着座を、改善または調整することができる。
【0039】
オレゴン州、WilsonvilleのDWFritz Automation, Inc.から入手可能な5軸ZeroTouchモーションおよびメトロロジプラットフォームにインストールされると、非接触光学測定装置280により、測定ボリューム内部の任意のポイントおよび配向で、6自由度の運動および測定が可能である。測定ボリュームおよび5軸モーションプラットフォームは、本出願人であるDWFritz Automationに譲渡された、Aquiらの米国特許第10,598,521号の主題である。したがって、一実施形態によれば、回転運動ステージ196のいわゆるガンマ回転軸に結合された直角プローブ250は、既存のメトロロジシステムを向上させることができる。
【0040】
図9および
図10は、処理装置272(
図6)により生成された画像の形態で点群を生成する例を示す。プローブ250がボア326内部で回転すると、反射光情報276(
図6)の強度がセンサ174によりサンプリングされる。位置情報274は、サンプリングされた強度が取得された空間位置を決定するために使用される。当業者は、多様な他の走査または画像キャプチャ技術を使用できることを理解する。ボアおよび他のネジ穴などの、多様な他のタイプの円筒形状を、このような技術を使用して画像化することができる。さらに、プローブに与えられた制御可能な回転量は、いくつかの実施形態において、何らかの検出および測定タスクのための回転を含まない場合があることが理解されよう。例えば、回転する必要のない静的プローブは、ビーム214(
図4)でボアの深さをチェックするための単一の共焦点センサを含むことができる。
【0041】
図11および
図12は、プローブ254を備えた非接触光学測定装置280を示す。プローブ254は、光学トレインのコリメートされた領域におけるミラー402による2つの連続する90°反射によって、径方向にオフセットされた0°プローブチップ400を含む。したがって、ステージ196の回転は、円形経路404(
図11)をトレースして、部品(例えば、フライカッタ)の動きと組み合わされたときに迅速な二次元走査を可能にする。これにより、測定範囲を通しての直線性を含む、シャドウイングがない、多層厚さの測定能力、スポットサイズがより小さい、およびプローブチップ400に対するミラー402の配置により異なる距離で走査円直径を設定できるなど、二次元レーザ三角測量と比較していくつかの利点が提供される。例えば、多様なスライド可能ミラーおよびチップが想定される。
【0042】
図13は、二次元走査416の例を表す。チップ400は、その円形ビーム経路上の多様な位置に回転される。一方、表面420は、線形運動ステージ(図示せず)上で線形に移動される422。点群データの均一性は、プローブチップ400の非線形角速度と、データ取得のための選択的なトリガと、により制御することができる。回転を介して選択的にトリガすることにより、冗長なデータも回避できる。例えば、円内の数字は、部品が上から下に走査され、プローブが回転するときに、走査された領域が奇数列と偶数列とに分割されたことを表す。選択的にトリガすることにより、上半円を回転しながら奇数列のデータ収集が可能になり、下半円を回転しながら偶数列のデータ収集が可能になる。部品が走査されると、これにより、一定のトリガレートよりも均一な点群密度が得られる。
【0043】
図14は、プローブ260を使用してリングギア440を走査する例を示す。プローブ260は、プローブ254に類似しているが、径方向外向き448、内向き、または中間角度での、90°(または他の角度の)プローブチップを含む。一般に、リングギアを走査する場合、プローブは、圧力角のあるピッチ円上にありプローブの回転軸に平行でない場合がある歯に対して、局所的に垂直に配置される。したがって、複雑な形状を測定するために、2つ以上のプローブチップを配置することができる。
【0044】
図15は、fシータレンズ270、キューブビームスプリッタ470、基準ミラー472、およびプローブ268が装備された非接触光学測定装置280を含むシステム266を使用する、二次元線形走査の例を示す。プローブ268は、fシータレンズ270のバックフォーカスに位置するプローブチップ478に、90°走査ミラー476を含む。レンズ270は、これにより、1軸ガルバノメータとして機能する。キューブビームスプリッタ470は、ビーム480を、ミラー472の表面から反射された基準脚482と、ワークピース表面(図示せず)から反射された測定脚486と、に分割する。測定脚486は、ワークピース表面の動きと組み合わされると、迅速な二次元走査を可能にする。
【0045】
当業者は、本発明の基礎となる原理から逸脱することなく、上述した実施形態の詳細に対して多くの変更を加えることができることを理解する。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその同等物により決定されるべきである。