(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットならびにその調製および使用のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240213BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240213BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20240213BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20240213BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240213BHJP
B29B 9/12 20060101ALI20240213BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20240213BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20240213BHJP
C09J 183/05 20060101ALI20240213BHJP
C09J 183/07 20060101ALI20240213BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
C08J3/12 A CFH
C08L83/05
C08L83/06
C08L83/07
C08L83/04
B29B9/12
B29B9/06
C09J183/04
C09J183/05
C09J183/07
C09J11/06
(21)【出願番号】P 2022523626
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2019114422
(87)【国際公開番号】W WO2021081822
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ユンロン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ロンロン
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ルイホア
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チーホア
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェンチエ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、イェン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、チアイン
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-120794(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009175(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/12
C08L 83/05
C08L 83/06
C08L 83/07
C08L 83/04
B29B 9/12
B29B 9/06
C09J 183/04
C09J 183/05
C09J 183/07
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットを調製するためのプロセスであって、
1)第1の供給口、第2の供給口、およびダイを備える出口を有するバレルと、前記バレルを加熱するように構成された加熱手段と、前記バレル内に収容されたスクリュー機構と、を備える押出機であって、前記第1の供給口および前記第2の供給口が、出発材料を前記押出機に導入するように構成され、前記スクリュー機構が、前記出発材料を前記第1供給口および前記第2供給口から出口に向けて混合および運搬することが可能であり、前記第1の供給口が、前記第2の供給口の上流にあり、前記第2の供給口が、前記出口よりも上流にある、押出機を提供することと、
2)i)無溶媒ポリジオルガノシロキサンガムの少なくとも一部を、前記第1の供給口を通して前記押出機に添加すること、およびii)無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂を、前記第2の供給口を通して前記押出機に添加することであって、前記ガムおよび前記樹脂が、樹脂:ガムの重量比が2.1:1~3.5:1となるような量で添加される、添加することと、
3)前記無溶媒ポリジオルガノシロキサンガムおよび前記無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂を、前記バレル内で混合し、前記バレルを、200℃~250℃の温度で加熱しながら、それによって混合物を形成することと、
4)前記混合物を、前記出口の前記ダイを通して運搬し、それによってストランドを形成することと、
5)前記ダイを出る前記ストランドを冷却することと、
6)前記ストランドを粉砕し、それによって前記無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットを調製することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
工程2)の前に、溶媒型ポリオルガノシリケート樹脂を調製し、前記溶媒型ポリオルガノシリケート樹脂を脱揮して、前記無溶剤ポリオルガノシリケート樹脂を形成することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記無溶剤ポリオルガノシリケート樹脂が、単位式(R
1R
2
2SiO
1/2)w(R
2
3SiO
1/2)x(SiO
4/2)
yX
zを含み、式中、各R
2は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、および6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
1は、独立して選択された2~18個の炭素原子のアルケニル基であり、Xは、加水分解性置換基を表し、下付き文字wは、≧0であり、下付き文字xは、>4であり、下付き文字yは、>1であり、下付き文字zは、≧0であり、ただし、量(w+x+y+z)は、前記樹脂に2,000g/モル~15,000g/モルの重量平均分子量を与えるに十分である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記無溶媒ポリジオルガノシロキサンガムが、単位式(R
3R
2
2SiO
1/2)a(R22SiO2/2)b(R
2SiO
3/2)
cを含み、式中、各R
2は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、および6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R
3は、硬化性基であり、下付き文字aは、≧2であり、下付き文字bは、>5000であり、下付き文字cは、≧0であり、ただし、量(a+b+c)は、前記ガムに500,000g/モル~1,000,000g/モルの数平均分子量を提供するに十分である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ガムのすべてが、前記第1の供給口に添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ガムの0~15%が、前記第2の供給口に添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
工程4)および5)が、水中ペレタイザーを使用して行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセスを行い、それによって無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットを調製することと、
A)前記無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットと、
B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
C)ヒドロシリル化反応触媒と、
D)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
任意選択的に、E)定着添加剤と、
任意選択的に、F)分岐脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサンポリマーと、
任意選択的に、G)触媒阻害剤と、
任意選択的に、H)溶媒と、
を含む出発材料を組み合わせ、それによって硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を調製することと、
任意選択的に、1)基材の表面を処理することと、
2)
前記硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を、前記基材の前記表面上にコーティングすることと、
任意選択的に、3)出発材料であるH)溶媒(存在する場合)のすべてまたは一部を除去することと、
4)前記硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、シリコーン感圧接着剤を形成することと、を含む、接着剤物品を調製するための方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセスを行い、それによって無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットを調製することと、
A)前記無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットと、
I)フリーラジカル開始剤と、
H)溶媒およびJ)ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンのうちの一方または両方と、
を含む出発材料を組み合わせ、それによって硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を調製することと、
任意選択的に、1)基材の表面を処理することと、
2)
前記硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を、前記基材の前記表面上にコーティングして、フィルムを形成することと、
任意選択的に、3)出発材料であるH)溶媒(存在する場合)のすべてまたは一部を除去することと、
4)前記フィルムを、電子ビーム、ガンマ線、またはその両方に曝露することと、を含む、シリコーン感圧接着剤を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
なし
【0002】
関連出願の相互参照
無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットおよびその調製のための方法が開示される。ペレットは、ポリオルガノシリケート樹脂およびポリオルガノシロキサンガムからなる。ペレットは、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を作製するための出発材料として有用である。
【背景技術】
【0003】
ポリオルガノシリケート樹脂は、樹脂が室温(RT)で固体であるため、典型的には、芳香族溶媒中で生成される。溶媒がないと、樹脂は、典型的には、粉末またはフレーク形状を有し、それは、非常に低いかさ密度を有し、保存および輸送が困難になり得る。粉末は、シリコーン硬化性感圧接着剤組成物などのシリコーン組成物の製造プロセスにおいて、取り扱いおよび運搬するのに不便であり得る。そして、フレーク樹脂は、典型的には、高いガラス転移温度および高い溶融温度を有し、それによって、シリコーン組成物を調製する場合、他の成分、特にポリオルガノシロキサンガムと均質にブレンドすることが困難になる。
【0004】
ペレットは、プラスチック業界において、広く使用されている出発材料の供給形態である。高密度に詰め込まれたペレットは、ベルトフィーダーまたはスクリューフィーダーなどの一般的な機械によって、簡単に保存、輸送、運搬され得る。しかしながら、ペレットの使用は、シリコーン業界において限定されている。
【0005】
過去におけるシロキサン樹脂およびポリジオルガノシロキサンポリマーを含むペレットを製造する試みは、樹脂を溶媒に溶解するか、または樹脂とポリマーとを溶媒中で組み合わせ、その後溶媒を除去することを含んでいた。得られた組み合わせは、本質的に残留溶媒を含有する。
【0006】
解決すべき問題
したがって、シリコーン業界、特にシリコーン感圧接着剤業界において、シリコーン硬化性感圧接着剤組成物などの生成物のために、ポリオルガノシリケート樹脂と他の出発材料とを組み合わせる場合の、製造プロセス効率および混合効率の両方において、輸送および保存することが容易であるペレット形状のポリオルガノシリケート樹脂の必要性が存在する。そのようなペレットを製造するためのプロセスが望まれる。
【0007】
さらに、シリコーン業界において、所望の樹脂/ガム比を有する、かつ/または無溶媒である、すなわち、シリコーン硬化性感圧接着剤組成物生成物中の残留芳香族溶媒が存在しないか、または≦100ppmまで検出不能である、シリコーン感圧接着剤を生成する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットは、ポリジオルガノシロキサンガムおよびポリオルガノシリケート樹脂を含む。無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットを調製するためのプロセスは、樹脂の前にガムを添加することを含む。無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットは、シリコーン感圧接着剤を調製するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1(A)】本発明によるペレットを調製するのに好適な装置の概略図を示す。
【
図1(B)】下記の比較例2によるペレットを調製するために使用される装置の概略図を示す。
【
図1(C)】本発明によるペレットを調製するのに好適な代替装置の概略図を示す。
【
図2】本明細書の実施例項に従って作製されたペレットを示す。
図2(A)は、下記の実施例1に従って作製されたペレットを示す。
図2(B)は、下記の比較例2に従って作製されたペレットを示す。
図2(C)は、下記の実施例3に従って作製されたペレットを示す。
【
図3】接着剤物品400の部分断面図を示す。接着剤物品は、本明細書に記載される感圧接着剤組成物を、フィルム基材103の第1の表面402上で硬化させることによって調製された感圧接着剤401を含む。物品400は、フィルム基材403の反対面405に取り付けられた第2の基材404をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
無溶媒ポリオルガノシロキサンペレット(ペレット)は、ポリジオルガノシロキサンガム(ガム)およびポリオルガノシリケート樹脂(樹脂)を含む。あるいは、ペレットは、ガムおよび樹脂から本質的になり得る。あるいは、ペレットは、ガムおよび樹脂からなり得る。ペレット中のガムおよびレジンの量は、2.1:1~3.5:1の樹脂:ガムの重量比(R:G比)を提供するのに十分である。あるいは、R:G比は、2.4:1~3.0:1、あるいは2.4:1~2.9:1、あるいは2.7:1~2.9:1、あるいは2.4:1~2.5:1であり得る。
【0011】
ガム
ペレット中のガムは、脂肪族不飽和基またはヒドロキシル基で終端化されたポリジオルガノシロキサンガムであり得る。ガムは、米国特許第9,593,209号の欄31から始まる参考例1における試験方法に従って、GPCによって測定される場合、≧500,000g/モル、あるいは500,000g/モル~1,000,000g/モル、あるいは600,000g/モル~800,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。
【0012】
ガムは、単位式(G-1):(R3R2
2SiO1/2)a(R2
2SiO2/2)b(R2SiO3/2)cを有し得、式中、各R2は、独立して、1~18個の炭素原子のアルキル基、および6~18個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、各R3は、硬化性基であり、下付き文字aは、≧2であり、下付き文字bは、>5000であり、下付き文字cは、≧0であり、ただし、量(a+b+c)は、ガムに上記のMnを与えるのに十分である。あるいは、下付き文字aは、2であり得る。あるいは、下付き文字bは、5300~6000、あるいは5400~5900であり得る。あるいは、下付き文字cは、0であり得る。
【0013】
単位式(G-1)では、R2は、1~18個の炭素原子のアルキル基であり得る。あるいは、各R2は、1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子を有し得る。「アルキル」は、環式、分岐、または非分岐の、飽和一価の炭化水素基を意味する。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソ-プロピルおよび/またはn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、および/またはsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、および/またはtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシル、ならびに6個以上の炭素原子の分岐アルキル基、ならびにシクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの環式アルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、R2の1つ以上の例は、アリール基であり得る。「アリール」は、環式の完全に不飽和の炭化水素基を意味する。アリールは、限定されないが、シクロペンタジエニル、フェニル、アントラセニル、およびナフチルによって例示される。単環式アリール基は、5~9個の炭素原子、あるいは6~7個の炭素原子、あるいは5~6個の炭素原子を有してもよい。多環式アリール基は、10~17個の炭素原子、あるいは10~14個の炭素原子、あるいは12~14個の炭素原子を有してもよい。あるいは、各R2は、独立して、メチルおよびフェニルから選択され得る。あるいは、各R2は、アルキルであり得る。あるいは、各R2は、メチルであり得る。
【0014】
単位式(G-1)では、各R3は、硬化性基である。各R3は、独立して、OHおよび2~18個の炭素原子の一価の脂肪族不飽和炭化水素基からなる群から選択され得る。あるいは、R3の脂肪族不飽和炭化水素基は、2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子を有し得る。好適な一価の脂肪族不飽和炭化水素基としては、アルケニル基およびアルキニル基が挙げられる。「アルケニル」とは、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する一価の炭化水素基を意味する。アルキル基は、線状、分岐、または環式であり得る。好適なアルケニル基は、ビニル、アリル、プロペニル(例えば、イソプロペニル、および/またはn-プロペニル)、およびブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、およびヘプテニル(4~7個の炭素原子の分岐異性体も含む)、およびシクロヘキセニルによって例示される。「アルキニル」とは、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する一価の炭化水素基を意味する。アルキニル基は、分岐、非分岐、または環式であり得る。好適なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、およびブチニル(2~4個の炭素原子の分岐異性体も含む)によって例示される。あるいは、R3の脂肪族不飽和基は、ビニル、アリル、またはヘキセニルなどのアルケニルであり得る。
【0015】
あるいは、各R2は、アルキル基であり得、各R3は、独立して、OHおよび2~18個の炭素原子のアルケニル基からなる群から選択され得、下付き文字aは、2であり得、下付き文字cは、0であり得、下付き文字bは、5300~6000であり得る。あるいは、各R2はメチルであり得、各R3は、独立して、OH、ビニル、アリル、およびヘキセニルからなる群から選択され得、下付き文字aは、2であり得、下付き文字cは、0であり得、下付き文字bは、5400~5900であり得る。
【0016】
あるいは、ガムは、ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンであり得る。ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(G-2):[R2
2(HO)SiO1/2]2(R2
2SiO2/2)dを有し得、式中、各R2は、上記の通りであり、下付き文字dは、≧0であり、下付き文字、ただし、下付き文字dは、ガムに上記のMnを与えるのに十分な値を有する。あるいは、ガムは、ビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンであり得る。ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(G-3):(R2
2R3’SiO1/2)2(R2
2SiO2/2)dを有し得、式中、各R2は、上記の通りであり、R3’は、上記のようなアルケニル基であり、下付き文字dは、≧0であり、ただし、下付き文字dは、ガムに上記のMnを与えるのに十分な値を有する。あるいは、ガムは、ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンとビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンとの組み合わせであり得る。
【0017】
ガムは、当該技術分野で既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解および縮合、または環式ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法によって調製され得る。ガムは、市販されており、例えば、SILASTIC(商標)SGM-36は、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から市販されている。本明細書で使用するのに好適なガムの例は、i)ジメチルビニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、ii)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、iii)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、iv)フェニル、メチル、ビニル-シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、v)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、vi)ジメチルヘキセニル-シロキサン終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、vii)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、viii)ヒドロキシル終端ポリジメチルシロキサン、ix)ヒドロキシル終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、x)ヒドロキシル終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、xi)i)~x)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。あるいは、ガムは、i)ジメチルビニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、v)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、およびi)とv)との組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、ガムは、viii)、ix)、およびx)からなる群から選択され得る。あるいは、ガムは、i)およびviii)からなる群から選択され得る。
【0018】
ポリオルガノシリケート樹脂
ポリオルガノシリケート樹脂(樹脂)は、式RM
3SiO1/2の単官能性単位、および式SiO4/2の四官能性単位(「Q」単位」を含み、式中、各RMは、独立して選択された一価の炭化水素基である。RMの好適な一価の炭化水素基は、1~20個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有し得る。あるいは、RMの炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基、あるいはアルキルおよびアリール、あるいはアルキルおよびアルケニル、あるいはアルキルからなる群から選択され得る。アルキル基およびアリール基は、R2について上記の通りであり、アルケニル基は、R3について上記のアルケニル基の通りである。あるいは、樹脂において、各RMは、独立して、アルキル、アルケニル、およびアリールからなる群から選択され得る。あるいは、各RMは、メチル、ビニル、およびフェニルから選択してもよい。あるいは、RM基の少なくとも3分の1、あるいは少なくとも3分の2は、メチル基である。あるいは、単官能単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、および(Me2ViSiO1/2)によって例示され得る。樹脂は、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびヘプタンなどの液体炭化水素によって例示される出発材料(H)として、本明細書に記載されるようなものなどの溶媒に可溶であるか、または低粘度の線状および環式ポリジオルガノシロキサンなどの液体オルガノシリコン化合物に可溶である。
【0019】
調製される場合、樹脂は、上記の単官能性および四官能性単位を含み、ポリオルガノシロキサンは、シラノール(ケイ素結合ヒドロキシル)基を有する単位をさらに含み、かつ式Si(OSiRM
3)4のネオペンタマーを含み得、式中、RMは、上記の通りである。米国特許第9,593,209号の欄32、参考例2に記載されるように、Si29核磁気共鳴(NMR)分光法は、M単位とQ単位とのモル比を測定するために使用され得、当該比は、{M(樹脂)+(M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}として表され、比は、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂部およびネオペンタマー部のトリオルガノシロキシ基(単官能性基)の総数と、樹脂部およびネオペンタマー部のシリケート基(Q単位)の総数とのモル比を表す。
【0020】
樹脂のMnは、存在するRMで表される炭化水素基の種類を含む様々な要因に依存する。樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが、測定から除外される場合、米国特許9,593,209号の欄31の参考例1における手順に従って、GPCを使用して測定される数平均分子量を指す。樹脂のMnは、2,000g/モル超、あるいは2,500g/モル~8,000g/モルであり得る。あるいは、樹脂のMnは、2,900g/モル~5,000g/モルであり得る。
【0021】
樹脂は、対応するシランの共加水分解またはシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製され得る。樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、およびButlerらの米国特許第4,774,310号において開示されているプロセスなどの、シリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下で、シリカヒドロゾルを、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン、またはそれらの混合物と反応させることと、単官能性および四官能性単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られたコポリマーは、一般に2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含有する。
【0022】
樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシランおよび4個の加水分解性置換基を有するシラン、またはアルカリ金属シリケートであり得る。トリオルガノシランは、式RM
3SiX1を有し得、RMは、上記の通りであり、X1は、加水分解性置換基を表す。4個の加水分解性置換基を有するシランは、式SiX2
4を有し得、式中、各X2が、ハロゲン、アルコキシ、またはヒドロキシルである。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0023】
上記のように調製された樹脂は、典型的には、ケイ素結合ヒドロキシル基、すなわち式HOSi3/2および/またはHORM
2SiO1/2のものを含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、最大2%のケイ素結合ヒドロキシル基を含み得る。樹脂中に存在するケイ素結合ヒドロキシル基の濃度は、ASTM標準E-168-16に従って、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法を使用して決定され得る。ある特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、あるいは0.3%未満、あるいは1%未満、あるいは0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。樹脂の調製中に形成されたケイ素結合ヒドロキシル基は、樹脂を、適切な終端基を含有するシラン、ジシロキサン、またはジシラザンと反応させることによって、トリヒドロカルビルシロキサン基または異なる加水分解性基に変換され得る。加水分解性基を含有するシランは、樹脂上のケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加され得る。
【0024】
あるいは、樹脂は、2%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下、あるいは0.3%~0.8%の、式XSiO3/2および/またはXRM
2SiO1/2によって表される単位をさらに含み得、式中、RMは、上記の通りであり、Xは、加水分解性置換基を表し、X3について上記の通りである。
【0025】
あるいは、樹脂は、終端脂肪族不飽和基を有し得る。終端脂肪族不飽和基を有する樹脂は、Daudtらの生成物を、最終生成物中に3~30モルパーセントの不飽和有機基を提供するのに十分な量で、不飽和有機基含有末端封鎖剤および脂肪族不飽和を含まない末端封鎖剤と反応させることによって調製され得る。末端封鎖剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、およびシランが挙げられる。好適な端部封止剤は、当技術分野で既知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,622号、および同第4,585,836号に例示されている。単一の端部封止剤またはそのような薬剤の混合物を使用して、樹脂を調製し得る。
【0026】
あるいは、樹脂は、単位式(R-1):(R1R2
2SiO1/2)w(R2
3SiO1/2)x(SiO4/2)yXzを含み得、式中、R2およびXは、上記の通りであり、各R1は、独立して選択された2~18個の炭素原子の脂肪族不飽和基(R3について上記のものなど)であり、下付き文字w、x、y、およびzは、w≧0、x≧0、y>1、z≧0、および量(w+x)>4であるような平均値を有する。あるいは、単位式(R-1)中の各R2は、アルキル、あるいはメチルであり得る。量(w+x+y+z)は、樹脂に2,000g/モル~15,000g/モル、あるいは8,000~10,000、あるいは9,000~9,500の重量平均分子量を与えるのに十分である。あるいは、各R1は、独立して、ビニル、アリル、およびヘキセニルからなる群から選択され得る。あるいは、各Xは、OHであり得る。あるいは、下付き文字xは、40~55、あるいは43~50であり得る。あるいは、下付き文字yは、45~65、あるいは50~57であり得る。あるいは、下付き文字zは、樹脂に最大2重量%のOH基、あるいは最大0.7重量%のOH基を提供するのに十分な値まで0であり得る。あるいは、樹脂は、単位式(R-2):(R2
3SiO1/2)v(SiO4/2)yXzを含み得、式中、R2、X、下付き文字y、および下付き文字zは、上記の通りであり、下付き文字vは、>4である。
【0027】
上記の樹脂は、溶媒中で調製され得るが、次いで、その後、脱揮される。例えば、樹脂を劣化させることなく溶媒を除去するために、最大150℃の温度に加熱することによって、樹脂を乾燥させ得る。例えば、樹脂は、溶媒を除去するために、任意選択的に減圧して加熱され得る。無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂は、例えば、樹脂製造プロセスからの、検出不可能な、または0~2%、あるいは0%~1%、あるいは0ppm~100ppmの残留溶媒を含有する。ペレットを調製するための方法では、使用される無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂は、粉末またはフレークの形状であり得る。
【0028】
無溶媒ポリオルガノシロキサンペレットを調製する方法
無溶媒ポリオルガノシロキサンペレット(ペレット)は、上記の樹脂およびガムを含む。ペレットは、無溶媒であり、本明細書で使用される場合、「無溶媒」という用語は、ペレットの製造中に、溶媒が意図的に添加されないことを意味する。当業者は、ポリオルガノシリケート樹脂が、溶媒の使用によって調製され得ることを認識するが、この方法で使用される無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のように脱揮されて、溶媒を除去し、ペレットを作製する方法中に、その溶媒は添加されない。無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂は、フレークまたは粉末として押出機に供給され得る。
【0029】
上記のペレットを調製するための方法は、
1)第1の供給口、第2の供給口、およびダイを備える出口を有するバレルと、バレルを加熱するように構成された加熱手段と、バレル内に収容されたスクリュー機構と、を備える押出機であって、第1の供給口および第2の供給口が、出発材料を押出機に導入するように構成され、スクリュー機構が、出発材料を第1供給口および第2供給口から出口に向けて混合および運搬することが可能であり、第1の供給口が、第2の供給口の上流にあり、第2の供給口が、出口よりも上流にある、押出機を提供することと、
2)i)上記のようなガムの少なくとも一部を、第1の供給口を通して押出機に添加すること、およびii)上記のような樹脂を、第2の供給口を通して押出機に添加することであって、当該ガムおよび当該樹脂が、樹脂:ガムの重量比が2.1:1~3.5:1となるような量で添加される、添加することと、
3)ガムおよび樹脂を、バレル内で混合し、バレルを、200℃~250℃の温度で加熱しながら、それによって混合物を形成することと、
4)混合物を、出口のダイを通して運搬し、それによってストランドを形成することと、
4)ダイを出るストランドを冷却することと、
5)ストランドを粉砕し、それによってペレットを調製することと、を含む。
【0030】
上記の方法は、任意選択的に、工程2)の前に、溶媒型ポリオルガノシリケート樹脂を調製することと、溶媒型ポリオルガノシリケート樹脂を脱揮して、無溶媒ポリオルガノシリケート樹脂を形成することと、をさらに含み得る。
【0031】
上記の方法では、ガムのすべては、第1の供給口に添加され得る。あるいは、ガムの最大15%は、第2の供給口に添加され得る(例えば、樹脂とのブレンドで)。
【0032】
工程4)および5)は、順次または同時に行われ得る。例えば、工程4)および5)は、水中ペレタイザーなどのように、同時に(すなわち、1つの装置で)行われ得る。あるいは、工程4)および5)は、工程4)におけるストランドを冷却するための水浴、および工程5)における別個のペレタイザーなどの、別個の機器を使用して連続して行われ得る。上記の方法を行うために、市販の機器が使用され得る。二軸押出機などの押出機、およびペレット化装置は、当該技術分野で既知であり、市販されている。上記のように調製された得られたペレットは、シリコーン感圧接着剤を調製するのに有用である。
【0033】
シリコーン感圧接着剤
シリコーン感圧接着剤は、ペレットを含む硬化性シリコーン感圧接着剤組成物から形成され得る。硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、
A)上記のペレットと、
B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
C)触媒と、
D)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
任意選択的に、E)定着添加剤と、
任意選択的に、F)分岐脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサンと、
任意選択的に、G)触媒阻害剤と、
任意選択的に、H)溶媒と、を含む、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧性接着剤組成物であり得る。
【0034】
出発材料B)架橋剤
出発材料B)は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンである。出発材料B)は、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中の架橋剤として作用する。出発材料B)は、1分子当たり少なくとも2個、あるいは少なくとも3個の、ケイ素結合水素原子を有し得る。
【0035】
出発材料B)は、単位式(b-1)(R8
3SiO1/2)p(R8
2SiO2/2)q(R8SiO3/2)r(SiO4/2)s(R8HSiO2/2)t(R8
2HSiO1/2)uのポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含み得、式中、各R8は、独立して選択された一価の炭化水素基であり、下付き文字p、q、r、s、t、およびuは、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、t≧0、u≧0、(t+u)≧2であるような値を有し、量(p+q+r+s+t+u)は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンに5~100、あるいは10~60の重合度を提供するのに十分である。R8の好適な一価の炭化水素基は、1~20個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有し得る。あるいは、R8の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基、あるいはアルキルおよびアリール、あるいはアルキルからなる群から選択され得る。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソ-プロピルおよび/またはn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、および/またはsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、および/またはtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシル、ならびにシクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのシクロアルキル基を含む6個以上の炭素原子の分岐飽和一価ヒドロカルビル基によって例示される。アリール基は、シクロペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリル、アントラセニル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、およびナフチルによって例示される。単環式アリール基は、5~9個の炭素原子、あるいは6~7個の炭素原子、あるいは5~6個の炭素原子を有してもよい。多環式アリール基は、10~17個の炭素原子、あるいは10~14個の炭素原子、あるいは12~14個の炭素原子を有してもよい。あるいは、各R8は、アルキル基またはアリール基であり得る。あるいは、各R8は、メチルまたはフェニルであり得る。あるいは、各R8は、メチルであり得る。
【0036】
あるいは、出発材料B)は、単位式(b-2):(R8
3SiO1/2)2(R8
2SiO2/2)aa(R8HSiO2/2)bbのポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含み得、式中、各R8は、メチルおよびフェニルからなる群から選択され、下付き文字aaは、0~30であり、下付き文字bbは、5~50である。
【0037】
あるいは、出発材料B)は、
式(b-3):R8
3SiO(R8
2SiO)g(R8HSiO)hSiR8
3、
式(b-4):R8
2HSiO(R8
2SiO)i(R8HSiO)jSiR8
2H、または
(b-3)と(b-4)との両方のポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含み得る。式(b-3)および(b-4)では、R8は、上記の通りである。下付き文字gは、0~2000の平均値を有し、下付き文字hは、2~2000の平均値を有し、下付き文字iは、0~2000の平均値を有し、下付き文字jは、0~2000の平均値を有する。
【0038】
出発材料B)用のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(b-5)α,ω-ジメチルハイドロジェンシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、(b-6)α,ω-ジメチルハイドロジェンシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、(b-7)α,ω-ジメチルハイドロジェンシロキシ終端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(b-8)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、(b-9)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(b-10)α,ω-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、(b-11)α,ω-トリメチルシロキシ終端ジメチルハイドロジェンシロキシ終端ポリ(メチルフェニルシロキサン/ジメチルシロキサン)、(b-12)α,ω-ジメチルハイドロジェン-シロキシ終端ポリメチルフェニルシロキサン、および(b-13)(b-5)、(b-6)、(b-7)、(b-8)、(b-9)、(b-10)、(b-11)、および(b-12)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。
【0039】
オルガノハロシランの加水分解および縮合などの、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを調製する方法は、当該技術分野で周知である。ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、市販されている。例えば、DOWSIL(商標)6-3570、DOWSIL(商標)RMS-777、SYL-OFF(商標)7028、SYL-OFF(商標)7058、SYL-OFF(商標)7049、SYL-OFF(商標)7136、およびSYL-OFF(商標)7682-055は、それぞれ、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から市販されている。
【0040】
出発材料B)の量は、組成物中の脂肪族不飽和一価炭化水素基の濃度、および出発材料B)のSiH含有量、ならびに溶媒が存在するかどうかを含む様々な要因に依存する。しかしながら、出発材料B)の量は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中のすべての出発材料の合計重量に基づいて、0.01%~10%、あるいは3%~8%、あるいは0.01~5%であり得る。しかしながら、出発材料B)の量は、0.5/1~50/1、あるいは1/1~20/1、あるいは1/1~10/1、あるいは2/1~6/1の、組成物における、ケイ素結合水素と、他の出発材料の脂肪族不飽和基との総モル比(全SiH/Vi比)を提供するのに十分であり得る。
【0041】
出発材料C)触媒
ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中の出発材料C)は、ヒドロシリル化反応触媒である。ヒドロシリル化反応触媒は、当技術分野で既知であり、市販されている。ヒドロシリル化反応触媒としては、C-1)白金族金属触媒が挙げられる。そのようなヒドロシリル化反応触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、およびイリジウムから選択される金属であり得る。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、C-2)そのような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(Wilkinson触媒)、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウムもしくは[1,2-ビス(ジエチルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウムなどのロジウムジホスフィンキレート、塩化白金酸(Speier触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、およびC-3)当該化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、またはC-4)マトリックスもしくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された白金族金属化合物であり得る。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと白金との錯体(Karstedt触媒)、およびテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン中のPt(0)錯体(Ashby錯体)が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、C-5)樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化された上記のような錯体であり得る。例示的ヒドロシリル化反応触媒は、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,419,593号、同第3,516,946号、同第3,814,730号、同第3,989,668号、同第4,784,879号、同第5,036,117号、および同第5,175,325号、ならびにEP0 347 895Bに記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化反応触媒およびそれを調製する方法は、米国特許第4,766,176号および同第5,017,654号において例示されているように、当技術分野において既知である。ヒドロシリル化反応触媒は、市販されており、例えば、SYL-OFF(商標)4000触媒およびSYL-OFF(商標)2700は、Dow Silicones Corporationから入手可能である。
【0042】
本明細書で使用されるヒドロシリル化反応触媒の量は、出発材料の選択、ならびにケイ素結合水素原子および脂肪族不飽和基のそれぞれの含有量、ならびに選択された触媒中の白金族金属の含有量を含む様々な要因に依存するが、ヒドロシリル化反応触媒の量は、SiHと脂肪族不飽和基とのヒドロシリル化反応に触媒作用を及ぼすのに十分であり、あるいは、触媒の量は、ケイ素結合水素原子および脂肪族不飽和炭化水素基を含有する出発材料の合計重量に基づいて、白金族金属の1ppm~6,000ppm、あるいは同じ基準で1ppm~1,000ppm、あるいは1ppm~100ppmを提供するのに十分である。
【0043】
出発材料D)脂肪族不飽和ポリマー
上記の硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、出発材料D)である、1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合脂肪族不飽和一価炭化水素基を有するポリジオルガノシロキサンをさらに含む。ポリジオルガノシロキサンは、単位式:(R4
2R5SiO1/2)r(R4
3SiO1/2)s(R4
2SiO2/2)t(R4R5SiO2/2)uを含み、式中、R4は、R2について上記のような脂肪族不飽和を含まない一価の炭化水素基であり、各R5は、上記のようなR3の脂肪族不飽和基などの脂肪族不飽和を有する独立して選択された一価の炭化水素基であり、下付き文字rは、0~2であり、下付き文字sは、0~2であり、量(r+s)は、=2であり、下付き文字tは、≧0であり、下付き文字uは、≧0であり、量(r+u)は、≧1であり、量(r+s+t+u)は、ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを備えるBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃、0.1~50RPMで測定された、100mPa・s~60,000mPa・sの粘度与えるのに十分である。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が低下することを認識し、この試験方法を使用して粘度を測定するときに適切な回転速度を選択することができるであろう。あるいは、各R5は、独立して、2~20個の炭素原子、あるいは2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子の、アルケニルおよびアルキニル基からなる基から選択され得る。あるいは、各R5は、2~6個の炭素原子のアルケニル基であり得る。あるいは、粘度は、上記の試験方法に従って5RPMで測定された、100mPa・s~10,000mPa・s、あるいは100mPa・s~5,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~10,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~5,000mPa・s、あるいは2,000~5,000mPa・sであり得る。あるいは、下付き文字uは、0~4、あるいは0~2、あるいは0~3、あるいは0であり得る。あるいは、量(r+u)は、ポリジオルガノシロキサンの重量に基づいて、0.05%~7%、あるいは0.09%~6.5%の脂肪族不飽和基R5の量を提供するのに十分であり得る。ビニル含有量は、29Si NMRおよび13C NMR分光法によって測定され得る。
【0044】
29Si NMRおよび13C NMR分光法を使用して、
式(R3SiO1/2)のM単位;式(R2R’SiO1/2)のM(R’)単位、式(R2SiO2/2)のD単位、および/または式(RR’SiO2/2)のD(R’)単位からなる群から選択される単位を含むポリジオルガノシロキサンの脂肪族不飽和(R’)基の総含有量を定量化し得、式中、Rは、上記のR4であり、R’は、上記のR5である。29Si NMRスペクトルは、The Analytical Chemistry of Silicones,edの12章のTaylorらによって、Chemical Analysis,John Wiley&Sons,Inc.(1991)のVol.112のpages 347-417、5.5.3.1項のA.Lee Smithによって概説されている方法を使用して取得される必要がある。この章では、著者らは、ケイ素核から定量的NMRスペクトルを取得するために、固有の一般的なパラメータについて論じる。各NMR分光計は、電子部品、機能、感度、周波数、および操作手順に関して異なる。試料中の29Siおよび13C核の定量的1D測定に十分なパルスシーケンスの調整、シム、および較正をするために、使用される分光計の機器マニュアルを参照する必要がある。
【0045】
NMR分析の主要な出力は、NMRスペクトルである。標準がない場合、定量的とみなされるために、信号の高さと平均ベースラインノイズとの信号対ノイズ比は、10:1以上であることが推奨される。適切に取得され、かつ処理されたNMRスペクトルは、任意の市販のNMR処理ソフトウェアパッケージを使用して、積分され得る信号をもたらす。
【0046】
これらの積分から、総アルケニルの重量パーセントは、29Si NMRスペクトルから、以下のようにして計算され得、(IM)・(UM)=GM;(IM(R’))・(UM(R’))=GM(R’);(ID)(UD)=GD;(ID(R’))・(UD(R’))=GD(R’);UR’/UM(R’)=YR”;UR’/UD(R’)=YR’”;
YR”・[GM(R’)/(GM+GM(R’)+GD+GD(R’))・100]=WR”;
YR’”・[GD(R’)/(GM+GM(R’)+GD+GD(R’))・100]=WR’”;およびWR”+WR’’’=TOTAL WR’、式中、Iは、示されたシロキシ基の積分信号であり、Uは、示されたシロキシ基の単位分子量であり、Gは、グラム単位を表すプレースホルダーであり、Wは、示されたシロキシ単位の重量%であり、Yは、指定されたシロキシ単位の比率値であり、R’は、アルケニルを表し、R’’は、M(R’)のみからのアルケニル基を表し、R’’’は、D(R’)基のみからのアルケニルを表す。
【0047】
あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの単位式では、各R4は、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む)、およびブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソ-ブチルを含む)を含む。あるいは、各R4は、メチルであり得る。
【0048】
あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの単位式では、各R5は、2~18個の炭素原子、あるいは2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子のアルケニル基であり得る。好適なアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニルが挙げられ、あるいは、各R5は、ビニルまたはヘキセニルであり得る。あるいは、各R5は、ビニルであり得る。
【0049】
ポリジオルガノシロキサンは、終端脂肪族不飽和基、ペンダント脂肪族不飽和基、または終端とペンダント脂肪族不飽和基との両方を有し得る。あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの単位式では、下付き文字aは、0であり得、下付き文字dは、1以上であり得、すなわち、ポリジオルガノシロキサンは、ペンダント脂肪族不飽和基を有し得るが、終端型脂肪族不飽和基を有し得ない。あるいは、下付き文字aは、2であり得、下付き文字bは、0であり得、下付き文字dは、0であり得、R5は、アルケニルであり得、R4は、アルキルであり得、ポリジオルガノシロキサンは、ビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンであり得る。
【0050】
ビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンは、式
【化1】
を含み得、式中、各R
4およびR
5は、上記の通りであり、下付き文字tは、ポリジオルガノシロキサンに上記のように測定された100mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分な値を有する。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が低下することを認識し、この試験方法を使用して粘度を測定するときに適切な回転速度を選択することができるであろう。あるいは、粘度は、上記の試験方法に従って5RPMで測定された、100mPa・s~10,000mPa・s、あるいは100mPa・s~5,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~10,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~5,000mPa・sであり得る。
【0051】
あるいは、各R4は、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む)、およびブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソ-ブチルを含む)を含む。あるいは、各R4は、メチルであり得る。
【0052】
あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの式では、各R5は、2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子のアルケニル基であり得る。好適なアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニルが挙げられる。あるいは、各R5は、ビニルまたはヘキセニルであり得る。あるいは、各R5は、ビニルであり得る。
【0053】
出発材料D)は、d-1)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、d-2)α、ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、d-3)α、ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、d-4)α、ω-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、d-5)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、d-6)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、d-7)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、d-8)α、ω-フェニル、メチル、ヘキセニル-シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、d-9)α、ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-10)α、ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-11)α、ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-12)α、ω-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-13)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-14)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-15)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-16)α、ω-フェニル、メチル、ヘキセニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-17)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-18)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-19)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、d-20)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-21)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-22)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、d-23)d-1)~d-22)のうちの2つ以上の組み合わせなどの、ポリジオルガノシロキサンを含み得る。あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、d-1)、d-5)、d-9)、d-13)、d-17)、d-20)、およびそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、d-1)、d-5)、d-9)、d-13)、およびそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、ビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンであり得る。上記のポリジオルガノシロキサンは、市販されている。ビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から市販されており、例としては、60,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、11,500mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、5,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、および2,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンが挙げられ、粘度は、#CP-52スピンドルを備えるBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃、0.1~50RPMで測定された。好適なポリジオルガノシロキサンは、適切なオルガノハロシランモノマーの加水分解および縮合、ならびに/または任意選択的にエンドキャッピングを有する線状および環状ポリオルガノシロキサンの平衡化などの当技術分野で既知の方法によって調製され得る。
【0054】
出発材料D)は、1つのポリジオルガノシロキサンであり得るか、またはR4基の選択、R5基の選択、および粘度などの少なくとも1つの特性が互いに異なる2つ以上のポリジオルガノシロキサンの組み合わせであり得る。
【0055】
出発材料A)およびD)の量は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物が、>0:1~2.0:1の、樹脂とポリマーとの(すなわち、ペレットからの樹脂の量と、ペレットからのガムおよび脂肪族不飽和ポリマー(D)の合計量との)重量比を有するように選択される。あるいは、この樹脂とポリマーとの重量比(R:P比)は、0.2:1~1.8:1であり得る。
【0056】
出発材料E)定着添加剤
出発材料E)は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物に任意選択的に含まれ得る定着添加剤である。理論に拘束されることを望まないが、定着添加剤は、本明細書に記載される硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化することによって調製されるシリコーン感圧接着剤による基材への結合を容易にすると考えられる。しかしながら、定着添加剤の存在は、所望の剥離力に悪影響を及ぼさず、シリコーン感圧接着剤を、被着体を損傷したり、かなりの残留物を残したりすることなく、被着体から除去することを可能にする。
【0057】
好適な定着添加剤としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、およびビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのシランカップリング剤、ならびに当該シランカップリング剤の混合物または反応混合物が挙げられる。あるいは、定着添加剤は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、または3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであり得る。
【0058】
あるいは、定着添加剤は、アルケニル官能性アルコキシシラン(例えば、ビニルアルコキシシラン)と、エポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、アルケニル官能性アセトキシシラン(ビニルアセトキシシランなど)と、エポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、ならびに1分子当たり少なくとも1つの脂肪族不飽和炭化水素基および少なくとも1つの加水分解性基を有するポリオルガノシロキサンと、エポキシ官能性アルコキシシランとの組み合わせ(例えば、物理的ブレンドおよび/または反応生成物)(例えば、ヒドロキシ終端、ビニル官能性ポリジメチルシロキサンと、グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの組み合わせ)によって例示され得る。好適な定着添加剤およびそれらの調製のための方法は、例えば、米国特許第9,562,149号、米国特許出願公開第2003/0088042号、同第2004/0254274号、同第2005/0038188号、同第2012/0328863号の段落[0091]、および米国特許公開第2017/0233612の段落[0041]、およびEP0 556 023に開示されている。
【0059】
定着添加剤は、市販されている。例えば、SYL-OFF(商標)297、SYL-OFF(商標)397、およびSYL-OFF(商標)9176は、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から入手可能である。他の例示的な定着添加剤としては、(E-1)ビニルトリアセトキシシラン、(E-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(E-3)(E-1)と(E-2)との組み合わせ、(E-4)(E-3)と、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端された、またはヒドロキシ基とメトキシ基との両方で終端されたポリジメチルシロキサンとの組み合わせ、(E-5)2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。(E-3)と(E-4)との組み合わせは、物理的ブレンドおよび/または反応生成物であり得る。
【0060】
定着添加剤の量は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物が塗布される基材の種類、および硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の塗布前にプライマーまたは他の表面処理が使用されるかどうかを含む様々な要因に依存する。しかしながら、定着添加剤の量は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中のすべての出発材料の合計重量に基づいて、0~5%、あるいは1%~5%、あるいは1%~3%であり得る。
【0061】
出発材料F)分岐脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン
本明細書に記載される硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中の出発材料F)は、分岐脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサンである。出発材料F)は、単位式(f-1)(R6
3SiO1/2)g(R6
2R7SiO1/2)h(R6
2SiO2/2)i(SiO4/2)jのQ分岐ポリオルガノシロキサンを含み得、式中、R6は、1~18個の炭素原子のアルキル基(上記のアルキル基など)であり、R7は、2~18個の炭素原子のアルケニル基(上記のアルケニル基など)であり。下付き文字g、h、i、およびjは、2≧g≧0、4≧h≧0、995≧i≧0、j=1、(g+h)=4であるような平均値を有し、(g+h+i+j)は、分岐ポリオルガノシロキサンに、(以下の参考例で記載されるような)回転粘度測定法によって測定された粘度>1mPa・sを付与するのに十分な値を有する。あるいは、粘度は、>170mPa・s~1000mPa・s、あるいは>170~500mPa・s、あるいは180mPa・s~450mPa・s、あるいは190mPa・s~420mPa・sであり得る。出発材料(f-1)に好適な分岐シロキサンは、米国特許第6,806,339号および米国特許公開第2007/0289495号に開示されているものによって例示される。あるいは、単位式(f-1)のQ分岐ポリオルガノシロキサンは、下付き文字g=0、h=4、i=0、およびj=1を有し得る。好適なQ分岐ポリオルガノシロキサンの例としては、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シランが挙げられる。
【0062】
出発材料の量(F)は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中の出発材料の脂肪族不飽和基およびケイ素結合水素原子の濃度、ならびに阻害剤が存在するかどうかを含む様々な要因に依存する。しかしながら、出発材料(F)の量は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中のすべての出発材料の合計重量に基づいて、5%~80%、あるいは10%~75%、あるいは15%~70%、あるいは20%~65%、あるいは25%~60%であり得る。
【0063】
出発材料G)触媒阻害剤
ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中の出発材料G)は、ヒドロシリル化反応阻害剤(阻害剤)であり、出発材料B)のケイ素結合水素原子と、出発材料A)、およびD)、および存在する場合F)中の脂肪族不飽和炭化水素基との反応速度を、同じ出発材料だが阻害剤を省略した場合の反応速度と比較して変えるために、任意選択的に使用され得る。阻害剤は、メチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルヘキシノール、および3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、および1-エチニル-1-シクロヘキサノール、およびそれらの組み合わせなどのアセチレンアルコール;1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、およびそれらの組み合わせによって例示されるメチルビニルシクロシロキサンによって例示されるなどのシクロアルケニルシロキサンなどのオレフィンシロキサン;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、およびそれらの組み合わせなどのエン-イン化合物;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;テトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ-1-プロピン、n-メチルプロパルギルアミン、プロパルギルアミン、および1-エチニルシクロヘキシルアミンなどのアミン;フマル酸ジエチルなどのフマル酸ジアルキル、フマル酸ジアリルなどのフマル酸ジアルケニル、フマル酸ジアルコキシアルキル、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジエチルなどのマレエート;ニトリル;エーテル;一酸化炭素;シクロ-オクタジエン、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのアルケン;ベンジルアルコールなどのアルコール;ならびにそれらの組み合わせによって例示される。例示的なオレフィンシロキサンは、例えば、米国特許第3,989,667号に開示されている。例示的なアセチレンアルコールは、例えば、米国特許第3,445,420号に開示されている。
【0064】
あるいは、阻害剤は、シリル化アセチレン化合物であり得る。理論に拘束されることを望まないが、シリル化アセチレン化合物を添加することによって、上記のものなどの、シリル化アセチレン化合物を含まない、または有機アセチレンアルコール阻害剤を含む出発材料のヒドロシリル化からの反応生成物と比較して、ヒドロシリル化反応から調製される反応生成物の黄変が低減されると考えられる。
【0065】
シリル化アセチレン化合物は、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリメチルシラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、ビス-(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルシラン、ビス-(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)シランメチルビニルシラン、ビス-((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)ジメチルシラン、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、メチル(トリス(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ))シラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)トリエチルシラン、ビス-(3-メチル-1-ブチン-3-オキシ)メチルトリフルオロプロピルシラン、(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オキシ)トリメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルフェニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルビニルシラン、(3-フェニル-1-ブチン-3-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルヘキセニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジメチルビニルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)ジフェニルメチルシラン、(シクロヘキシル-1-エチン-1-オキシ)トリメチルシラン、およびそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、シリル化アセチレン化合物は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シラン、((1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、またはそれらの組み合わせによって例示される。本明細書における阻害剤として有用なシリル化アセチレン化合物は、酸受容体の存在下でクロロシランと反応させることによって、上記のアセチレンアルコールをシリル化することを開示している、例えば、米国特許第6,677,740号などの当技術分野で既知の方法によって調製され得る。
【0066】
本明細書で添加される阻害剤の量は、所望の反応速度、使用される特定の阻害剤、ならびに組成物の出発材料中のケイ素結合水素原子およびケイ素結合脂肪族不飽和基の選択および量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、存在する場合、阻害剤の量は、すべての出発材料の合計重量に基づいて、>0%~1%、あるいは>0%~5%、あるいは0.001%~3%、あるいは0.01%~1.5%、あるいは0.002%~1%、あるいは0.0025%~0.5%の範囲であり得る。
【0067】
出発材料H)溶媒
硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、任意選択的に、出発材料H)である溶媒をさらに含み得る。好適な溶媒には、ポリアルキルシロキサン、アルコール、ケトン、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、グリコールエーテル、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット、ナフサ、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット、ナフサ、またはそれらの組み合わせが含まれる。好適な蒸気圧を有するポリアルキルシロキサンが溶媒として使用され得、これらとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ならびにDow Silicones Corporation(Midland、Michigan、U.S.A.)から市販されている、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200 FluidsおよびDOWSIL(商標)OS FLUIDSなどの他の低分子量ポリアルキルシロキサンが挙げられる。
【0068】
あるいは、出発材料H)は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、もしくはn-プロパノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、もしくはオクタンなどの脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、もしくはエチレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル、テトラヒドロフラン;ミネラルスピリット;ナフサ;またはそれらの組み合わせであり得る。
【0069】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、ならびに硬化性シリコーン感圧接着剤組成物のために選択される他の出発材料の量および種類を含む様々な要因に依存する。しかしながら、溶媒の量は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中のすべての出発材料の合計重量に基づいて、0%~90%、あるいは40%~75%、あるいは0%~<10%であり得る。溶媒は、例えば、1つ以上の出発材料の混合および供給を補助するために、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の調製中に添加され得る。例えば、触媒は、溶媒に供給され得、およびまたはペレットは、溶媒に溶解され得る。硬化性シリコーン感圧接着剤組成物が調製された後、溶媒の全部または一部が、任意選択的に除去され得る。あるいは、顧客は、受領後および使用前に、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を希釈し得、この場合、希釈のための溶媒の量は、≧10%.であり得る。
【0070】
ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を作製する方法
ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物(ヒドロシリル化組成物)は、周囲温度または高温での混合などの任意の便利な手段によって、すべての出発材料を組み合わせることを含む方法によって調製され得る。例えば、ヒドロシリル化組成物が高温で調製される場合、および/またはヒドロシリル化組成物が一液型組成物として調製される場合、阻害剤は、触媒の前に添加され得る。
【0071】
あるいは、ヒドロシリル化組成物は、例えば、ヒドロシリル化組成物が使用前に長期間、例えば、感圧接着剤組成物を基材上にコーティングする前に最大6時間保存される場合、多液型組成物として調製され得る。多液型組成物では、ヒドロシリル化反応触媒は、ケイ素結合水素原子、例えば、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを有する任意の出発材料とは別の部分に保存され、この部分は、感圧性接着剤組成物の使用直前に組み合わされる。
【0072】
例えば、多液型組成物は、A)上記のペレットと、1つ以上の追加の脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサン、例えば、存在する場合、出発材料D)および出発材料F)の全部または一部と、B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、任意選択的に1つ以上の上記の他の追加の出発材料と、を含む出発材料を、混合などの任意の便利な手段によって組み合わせて、ベース部分を形成することによって、調製され得る。硬化剤は、C)ヒドロシリル化反応触媒と、出発材料D)である脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンの全部または一部と、任意選択的に上記の1つ以上の他の追加の出発材料(阻害剤、定着添加剤、および/または溶媒など)と、を含む出発材料を、混合などの任意の便利な手段によって組み合わせることによって調製され得る。あるいは、硬化剤の出発材料は、任意の順序で上記のベース部分に順次添加され得るが、阻害剤は、触媒の前に添加され得る。出発材料は、周囲温度または高温で混合され得る。あるいは、ヒドロシリル化反応阻害剤は、ベース部分、硬化剤部分、または別個の追加の部分のうちの1つ以上に含まれ得る。あるいは、定着添加剤は、ベース部分に添加され得るか、または別個の追加部分として添加され得る。あるいは、分岐ポリオルガノシロキサンは、ベース部分に添加され得る。ペレットは、別個の追加部分として添加され得る。ヒドロシリル化組成物は、ヒドロシリル化反応を介して硬化して、高剪断装置、例えば、押出機を用いた混合などの任意の便利な手段によって行われ得る、すべての出発材料の組み合わせ後に、シリコーン感圧接着剤を形成する。
【0073】
フリーラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物
あるいは、上記のペレットを使用して、フリーラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物からシリコーン感圧接着剤を調製し得る。フリーラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、
A)(上記のような)ペレットと、
I)フリーラジカル開始剤と、
H)(上記のような)溶媒、およびJ)ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサンのうちの少なくとも1つと、
任意選択的に、D)(上記のような)脂肪族不飽和ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
任意選択的に、E)(上記のような)定着添加剤と、
任意選択的に、F)(上記のような)分岐脂肪族不飽和ポリオルガノシロキサンと、を含み得る。あるいは、フリーラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、出発材料A)、H)、I)、およびJ)を含み得る。
【0074】
出発材料I)フリーラジカル開始剤
出発材料I)は、フリーラジカル開始剤である。出発材料I)は、過酸化物アルキル、過酸化物ジアシル、過酸化物エステル、および/または過酸化物カーボネートなどの有機過酸化物化合物を含み得る。好適な有機過酸化物化合物は、過酸化ベンゾイル;4-モノクロロベンゾイルペルオキシド;過酸化ジクミル;tert-ブチルパーオキシベンゾエート;tert-ブチルクミルペルオキシド;tert-チルオキシド2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン;2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド;ジ-tertブチルペルオキシ-ジイソプロピルベンゼン;1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,5-ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサン-ブチルパーオキシヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、またはクミル-tert-ブチルパーオキサイドを含む。好適な過酸化物化合物は、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許出願公開第2018/0105692号の段落[0093]に開示されている。
【0075】
硬化性シリコーン感圧接着剤組成物に添加されるフリーラジカル開始剤の量は、選択される開始剤の種類および量、ならびに他の出発材料の選択を含む様々な要因に依存するが、出発材料I)は、添加される場合、出発材料A)および出発材料J)の100重量部当たり、0.1~7重量部、あるいは0.3~6重量部、あるいは0.5~3重量部の利用で存在し得る。
【0076】
出発材料J)ヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサン
フリーラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、任意選択的に、100mPa・s~80,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~80,000mPa・sの粘度を有する、出発材料J)であるビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンをさらに含み得る。粘度は、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計で、25℃、0.1~50RPMで測定された。理論に拘束されることを望まないが、出発材料J)は、1)硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の樹脂対ポリマー比を調整して、接着および/またはタック性能を改善するために、2)ペレットを溶解し、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の粘度を下げて、本出願の特に溶媒を添加しない場合のコーティングプロセスを容易にするために、添加され得る。
【0077】
ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンは、次の式を有し得る。
【化2】
式中、各R
10は、独立して選択された1~18個の炭素原子の一価の炭化水素基であり、下付き文字kは、ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンに上記の粘度を与えるのに十分な値を有する。あるいは、粘度は、6,000mPa・s~80,000mPa・sであり得、下付き文字kの値は、ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンにこの粘度を与えるのに十分である。
【0078】
あるいは、各R10は、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子のアルキル基であり得、出発材料(C)は、ビス-ヒドロキシル終端ポリジアルキルシロキサンであり得る。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む)、およびブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソ-ブチルを含む)を含む。代替的に、各Rは、メチルであり得る。
【0079】
好適なビス-ヒドロキシ終端ポリジオルガノシロキサンは、適切なオルガノハロシランモノマーの加水分解および縮合、ならびに/または線状および環式ポリオルガノシロキサンの平衡化などの当技術分野で既知の方法によって調製され得る。ビス-ヒドロキシ終端ポリジオルガノシロキサンは、市販されているビスOH終端ポリジメチルシロキサンであり得る。ビス-OH終端ポリジメチルシロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から市販されている。
【0080】
ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンは、ラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中のすべての出発材料の合計重量に基づいて、10%~30%、あるいは15%~25%、あるいは17%~23%、あるいは18%~22%の量で、ラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中に存在し得る。
【0081】
ラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を作製する方法
ラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、
1)A)上記のペレットと、H)上記の溶媒とを組み合わせ、それによって溶液を形成することと、
2)任意選択的に、J)ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンを添加することと、を含むプロセスによって調製され得る。工程1)および2)における出発材料の組み合わせは、撹拌機を備えた容器内で出発材料を混合するなどの、任意の便利な手段を介して混合することによって行われ得る。出発材料は、任意選択的に、工程1)中および/または後に、ペレットを溶媒に溶解させるのを容易にするのに十分な温度まで加熱され得るが、温度は、ペレット中のポリジオルガノシロキサンガムまたはビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンを分解するほど高温であってはならない。温度は、50℃~200℃、あるいは100℃~180℃であり得る。
【0082】
あるいは、ラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、
1)A)ペレットと、J)ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンとを組み合わせ、それによって溶液を形成することと、
2)任意選択的に、H)溶媒を添加することと、を含むプロセスによって調製され得る。工程1)および2)における出発材料の組み合わせは、撹拌機を備えた容器内で出発材料を混合するなどの、任意の便利な手段を介して混合することによって行われ得る。出発材料は、任意選択的に、工程1)中および/または後に、ペレットを溶媒に溶解させるのを容易にするのに十分な温度まで加熱され得るが、温度は、ペレット中のポリジオルガノシロキサンガムまたはビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンを分解するほど高温であってはならない。温度は、50℃~200℃、あるいは100℃~180℃であり得る。
【0083】
使用方法
各々上記のように調製された、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン感圧接着剤組成物および/またはラジカル硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、接着剤物品、例えば、基材上にシリコーン感圧接着剤(上記の硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させることによって調製される)を形成するために使用され得る。したがって、上記の方法は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を基材の表面上にコーティングすることをさらに含み得る。
【0084】
基材の表面上への硬化性シリコーン感圧接着剤組成物のコーティングは、任意の便利な手段によって行われ得る。例えば、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、グラビアコーター、オフセットコーター、オフセット-グラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター、またはカーテンコーターによって、基材の表面上に塗布され得る。
【0085】
基材は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させて、基材上にシリコーン感圧接着剤を形成するために使用される(本明細書に記載される)硬化条件に耐え得る任意の材料であり得る。例えば、150℃以上の温度での熱処理に耐え得る任意の基材が好適である。そのような基材に好適な材料の例としては、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)、またはPE(ポリエチレン)、またはPP(ポリプロピレン)などのプラスチックフィルムが挙げられる。代替的に、基材は、アルミニウムホイルまたは銅箔などの金属箔であり得る。基材の厚さは重要ではないが、厚さは、5マイクロメートル~300マイクロメートルの範囲であり得る。
【0086】
基材へのシリコーン感圧接着剤の結合を改善するために、本方法は、任意選択的に、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を基材上にコーティングする前に、基材の表面を処理することをさらに含み得る。基材を処理することは、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を基材上にコーティングする前に、プライマーを塗布すること、または基材をコロナ放電処理、エッチング、もしくはプラズマ処理に供することなどの、任意の便利な手段によって行われ得る。
【0087】
フィルムまたはテープなどの接着剤物品は、上記の硬化性シリコーン感圧性接着剤組成物を上記の基材の表面上にコーティングすることを含む方法によって調製され得る。溶媒が硬化性シリコーン感圧接着剤組成物中に存在する場合、本方法は、任意選択的に、乾燥工程、例えば、硬化前および/または硬化中に溶媒の全部または一部を除去することをさらに含み得る。溶媒を除去することは、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を完全に硬化させることなく溶媒を蒸発させる温度で加熱すること、例えば、溶媒の全部または一部を除去するのに十分な時間(例えば、30秒~1時間、あるいは1分~5分)で、50℃~120℃、あるいは50℃~100℃、あるいは70℃~80℃の温度で加熱することなどの、任意の便利な手段によって行われ得る。次いで、本方法は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を、室温で、または80℃~220℃、あるいは140℃~220℃、あるいは150℃~220℃、あるいは160℃~200℃、あるいは165℃~180℃の温度で、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒~1時間、あるいは1分~5分)の加熱を用いて、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させることをさらに含む。硬化速度を上げる、またはプロセス硬化温度を下げる必要がある場合、触媒レベルを上げることができる。これによって、基材上にシリコーン感圧接着剤が形成される。乾燥および/または硬化は、基材をオーブン内に置くことによって行うことができる。基材に塗布される硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の硬化可能な量は、特定用途に依存するが、その量は、シリコーン感圧接着剤の硬化後の厚みが5マイクロメートル~200マイクロメートルとなり得るように十分であり得る。
【0088】
本明細書に記載される方法は、任意選択的に、例えば、接着剤物品の使用前のシリコーン感圧接着剤を保護するために、基材の反対側のシリコーン感圧接着剤に取り外し可能な剥離ライナーを適用することをさらに含み得る。剥離ライナーは、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を硬化させる前、硬化中、または硬化後、あるいは硬化後に適用され得る。
【0089】
電子ビーム硬化性シリコーン感圧接着剤組成物
あるいは、上記のペレットを使用して、電子ビーム硬化シリコーン感圧接着剤を形成し得る。例えば、このシリコーン感圧接着剤は、
1)A)上記のペレットを含む出発材料を、H)上記の溶媒およびJ)上記のビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンの一方または両方に溶解させ、それによって溶液を形成することと、
任意選択的に、2)基材の表面を処理することと、
3)溶液を基材の表面にコーティングすることと、
4)溶媒の全部または一部を除去し、それによって基材の表面上にフィルムを形成することと、
任意選択的に、5)フィルムを電子ビーム発生装置で照射することと、を含むプロセスによって調製され得る。
【0090】
ペレットを溶解することは、A)ペレットおよびH)溶媒および/またはJ)ビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンを容器に入れ、室温、または高温、例えば最大で溶媒の沸点、あるいは50℃~150℃で混合することなどの、任意の便利な手段によって行われ得る。ペレットおよび溶媒の量は、溶媒および/またはビス-ヒドロキシル終端ポリジオルガノシロキサンの選択、ならびに工程3)において使用されるコーティング装置および条件を含む様々な要因に依存するが、溶媒の量は、ペレットと溶媒との合計重量に基づいて、50%~90%、あるいは60%~80%であり得る。残りは、ペレットであり得る。基材の表面を処理すること、溶液を基材の表面上にコーティングすること、および溶媒の全部または一部を除去することは、上記のように行われ得る。フィルムを照射することは、任意の便利な手段によって行われ得る。PCT(Davenport、IA)のモデル40767電子ビーム生成装置などの、電子ビーム生成装置は、当該技術分野で既知である。
【0091】
他の任意選択的な出発材料もまた、上記の硬化性シリコーン感圧接着剤組成物に添加され得る。そのような任意選択的な出発材料としては、例えば、反応性希釈剤、芳香剤、防腐剤、および充填剤、例えば、シリカ、石英、またはチョークが挙げられる。
【0092】
あるいは、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物は、充填剤を含み得ないか、または硬化性シリコーン感圧接着剤組成物の0~30重量%などの限られた量でのみ充填剤を含有し得る。充填剤は、硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を基材に塗布するために使用されるコーター機器に凝集、またはさもなければ付着し得る。充填剤はまた、シリコーン感圧接着剤および/またはそれで形成された任意のテープの光学特性、例えば透明性を妨げ得る。
【実施例】
【0093】
これらの実施例は、本発明を当業者に例示することが意図され、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例において、表1の材料を使用した。
【表1】
【0094】
実施例1-ペレットを調製するための装置および手順
図1(A)は、ペレットを調製する(プロセスA)ための装置110を示す。装置110は、水中ペレタイザー108の上流に二軸押出機(L/D=48および12段階を備えたLeistritz ZSE27 MAXX)100を備えていた。二軸押出機100は、第1の供給口102、第2の供給口103、およびダイ(図示せず)を備えた出口104を備えたバレル101、バレル101を加熱するように構成された加熱手段(図示せず)、ならびにバレル101内に収容されたスクリュー機構(図示せず)を有していた。第1の供給口102は、第4の段階105で押出機にガムを導入するように構成されていた。第2の供給口103は、ポリオルガノシリケート樹脂を第5段階106に導入するように構成されていた。スクリュー機構は、第1供給口102および第2供給口103からダイを通して出口104まで、ガムと樹脂とを混合して運搬し、ストランド107を形成し、水中ペレタイザー108に入るように構成されていた。水中ペレタイザーは、ストランド107を冷却および粉砕して、ペレットを形成し、出口109で押出機を出るように構成されていた。
【0095】
ガムの全部または一部を、第1の供給口102を通して押出機100に供給した。樹脂の全部を、第2の供給口103を通して押出機100に供給した。ガムの一部を第1の供給口102を介して添加したいくつかの試料について、ガムの残りを、第2の供給口103を介して樹脂とともに添加した。バレルを200℃~250℃に加熱した。第1の供給口102に添加したガムを、2.5kg/時で供給し、第2の供給口103に添加した樹脂(任意選択的にガムの一部を含む)を7.5kg/時で供給した。ガムと樹脂とを混合し、ダイ(図示せず)を通って出口104に運搬し、それによってストランド107を形成した。ストランドは、水中ペレタイザー108に入り、粉砕されてペレットになり、出口109で装置110を出た。以下の表2は、この一般的な手順を使用してペレットを形成したガムと樹脂との配合を示す。
【0096】
以下の表2は、参考例1の手順を使用して調製されたペレットの組成物を示す。樹脂およびガムの種類は、表1で定義されている。樹脂およびガムの量は、重量部である。
【表2】
【0097】
比較実施例2
図1(B)は、ペレットを調製する(プロセスB)ための装置210を示す。装置210は、水中ペレタイザー208の上流に二軸押出機(L/D=48および12段階を備えたLeistritz ZSE27 MAXX)200を備えていた。二軸押出機200は、第1の供給口203、第2の供給口202、およびダイ(図示せず)を備えた出口204を備えたバレル201、バレル201を加熱するように構成された加熱手段(図示せず)、ならびにバレル201内に収容されたスクリュー機構(図示せず)を有していた。第1の供給口203は、第1の段階206で押出機に樹脂を導入するように構成されていた。第2の供給口202は、ガムを第4段階205に導入するように構成されていた。スクリュー機構は、第1供給口203および第2供給口202からダイを通して出口204まで、樹脂とガムとを混合して運搬し、ストランド207を形成し、水中ペレタイザー208に入るように構成されていた。水中ペレタイザーは、ストランド207を冷却および粉砕して、ペレットを形成し、出口209で押出機を出るように構成されていた。
【0098】
樹脂の全部を、第1の供給口203を通して押出機200に供給した。ガムの全部または一部を、第2の供給口202を通して押出機200に供給した。ガムの一部を第1の供給口203を介して樹脂とともに添加したいくつかの試料について、ガムの残りを、第2の供給口202を介して添加した。バレルを200℃~250℃に加熱した。第2の供給口202に添加したガムを、2.5kg/時で供給し、第1の供給口203に添加した樹脂(任意選択的にガムの一部を含む)を7.5kg/時で供給した。ガムと樹脂とを混合し、ダイ(図示せず)を通って出口204に運搬し、それによってストランド207を形成した。ストランドは、水中ペレタイザー208に入り、粉砕されてペレットになり、出口209で装置210を出た。上記の表2の組成物1を使用した。
【0099】
図2(A)は、表2における組成物番号1を使用して、実施例1の方法によって作製されたペレットを示す。
図2(B)は、表2における組成物番号1を使用して、比較例2の方法によって作製されたペレットを示す。比較例2の方法によって作製されたペレットは、サイズ、形状、および外観が不均一であった。理論に拘束されることを望まないが、実施例1および比較例2は、添加の順序(すなわち、樹脂を添加する前にガムの少なくとも85%を添加する)が、本明細書でペレットを作製するための方法において利点を提供する、すなわち、ペレットは、主張された方法を使用して、より均一なサイズおよび形状、ならびに改善された外観を有することを示すと考えられる。
【0100】
実施例3
図1(C)は、ペレットを調製する(プロセスC)ための装置310を示す。装置310は、水中ペレタイザー308の上流にある水タンク311の上流に二軸押出機(L/D=48および12段階を備えたLeistritz ZSE27 MAXX)300を備えていた。二軸押出機300は、第1の供給口302、第2の供給口303、およびダイ(図示せず)を備えた出口304を備えたバレル301、バレル301を加熱するように構成された加熱手段(図示せず)、ならびにバレル301内に収容されたスクリュー機構(図示せず)を有していた。第1の供給口302は、第4の段階305で押出機にガムを導入するように構成されていた。第2の供給口303は、ポリオルガノシリケート樹脂を第5段階306に導入するように構成されていた。スクリュー機構は、第1供給口302および第2供給口303からダイを通して出口304まで、ガムと樹脂とを混合して運搬し、ストランド307を形成し、水タンク311、その後水中ペレタイザー308に入るように構成されていた。水中ペレタイザー308は、ストランド307を冷却および粉砕して、ペレットを形成し、出口309で押出機を出るように構成されていた。
【0101】
ガムの全部または一部を、第1の供給口302を通して押出機300に供給した。樹脂の全部を、第2の供給口303を通して押出機300に供給した。ガムの一部を第1の供給口302を介して添加したいくつかの試料について、ガムの残りを、第2の供給口303を介して樹脂とともに添加した。バレルを200℃~250℃に加熱した。第1の供給口302に添加したガムを、2.5kg/時で供給し、第2の供給口303に添加した樹脂(任意選択的にガムの一部を含む)を7.5kg/時で供給した。ガムと樹脂とを混合し、ダイ(図示せず)を通って出口304に運搬し、それによってストランド307を形成した。ストランドは、水中ペレタイザー308に入り、粉砕されてペレットになり、出口309で装置310を出た。実施例1および比較例2と同様に、上記の表2の組成物1を用いて、ペレットを調製した。ペレットを以下の
図2(C)に示す。実施例3は、ガムおよび樹脂の添加の順序が使用される場合、異なるペレット化装置を用いて、本明細書に記載される方法を使用して、許容可能な品質のペレットが調製され得ることを示した。
【0102】
上記の表2における組成物番号4および組成物番号3を使用して、実施例1の方法に従って調製されたペレットを使用して、シリコーン感圧接着剤を作製した。
参考例4-シリコーン感圧接着剤ベースの調製
【0103】
表3における出発材料を使用して、シリコーン感圧接着剤ベースIを調製した。
【表3】
【0104】
出発材料A1)、D1)、およびF1)を容器内で混合しながら組み合わせることによって、試料を調製した。容器を、150℃で2時間加熱した。得られた混合物を、室温に冷却し、ドラムオフし、シリコーン感圧接着剤ベース(シリコーン感圧接着剤ベースI)として保存した。
【0105】
実施例5-無溶媒シリコーン感圧接着剤組成物(ヒドロシリル化反応硬化性)
【表4】
【0106】
上記の実施例4において調製されたシリコーン感圧接着剤ベースIを使用して、以下のように無溶媒シリコーン感圧接着剤組成物を作製した。シリコーン感圧接着剤ベースI(50重量部)を容器に添加した。次いで、表4の出発材料G1)を添加し、容器の内容物を少なくとも1分間混合した。次いで、表4の出発材料B1)を添加し、容器の内容物を少なくとも1分間混合した。次いで、表4の出発材料E1)を添加し、容器の内容物を少なくとも1分間混合した。次いで、表4の出発材料C1)を添加し、容器の内容物を少なくとも1分間混合した。
【0107】
4バードバーを使用して、得られた無溶媒シリコーン感圧接着剤組成物を、PET基材の表面上にドローダウンした。次いで、無溶媒シリコーン感圧接着剤組成物を、140℃で2分間硬化させた。得られた物品を、室温に冷却し、1インチ幅の細片に切断した。1インチの細片を、ガラスパネルに適用した。翌日、TMI剥離および接着試験器で、180℃、12インチ/分で引っ張ることによって、試料を試験した。単位は、以下の表5において、グラム/インチで報告される。
【表5】
【0108】
表5では、樹脂/ポリマー(R/P)比を、A1)ペレット中に存在する樹脂の重量を、i)A1)ペレット中に存在するガムと、ii)ビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンD1)と、iii)架橋剤B1)との重量の合計で除することによって計算した。ケイ素結合水素原子とビニル基との比(SiH/Vi比)を、架橋剤B1)からのケイ素結合水素原子の量を、出発材料D1)、F1)およびペレットA1)中のガムからのビニル基の合計量で除することによって計算した。
【0109】
参考例6-シリコーン感圧接着剤ベースIIの調製
表6における出発材料を使用して、シリコーン感圧接着剤ベースIIを調製した。
【表6】
【0110】
シリコーン感圧接着剤ベース(シリコーン感圧接着剤ベースII)を、ペレットがトルエンに溶解するまで混合して、容器内に上記の表6に示される量の出発材料A2)およびH1)を添加することによって調製した。次いで、出発材料B2)を、表6に示される量で添加し、次いで、容器の内容物を、均質になるまで混合して、シリコーン感圧接着剤ベースIIを形成した。
【0111】
実施例7-溶媒型シリコーン感圧接着剤組成物(過酸化物硬化性)の調製
上記の参考例6で調製したシリコーン感圧接着剤ベースIIを使用して、溶媒型過酸化物硬化性シリコーン感圧接着剤組成物を作製した。Kuhshan Jinshenから得られた過酸化ベンゾイルの10%溶液(Alfa Aesarから得られた90%トルエン中)を触媒として使用した。溶液を、シリコーン感圧接着剤ベースII中の出発材料A2)とB2)との合計重量に基づいて、2%の過酸化ベンゾイルを提供するのに十分な量で添加した。
【0112】
得られた溶媒型シリコーン感圧接着剤組成物を、4バードバーを使用して、PET基材の表面上にコーティングして、溶媒型シリコーン感圧接着剤組成物を基材の表面でドローダウンした。得られたコーティングされた基材を、80℃で2分間加熱し(それによって溶媒を除去)、次いで160℃でさらに2分間加熱して硬化させ、シリコーン感圧接着剤を形成した。得られた物品を、室温に冷却し、1インチ幅の細片に切断した。各細片を、きれいなステンレス鋼の基材に適用した。翌日、TMI剥離および接着試験器で、180℃、12インチ/分で引っ張ることによって、試料を試験した。ステンレス鋼への接着の単位は、以下の表7に、グラム/インチで報告される。プローブタックも、試験した。試料を、コーティングおよびパネルラミネーションの翌日に、PT-1000プローブタック試験器を使用して試験した。
【表7】
【0113】
表7では、樹脂対ポリマーの比(R/P比)を、次のように計算した:Rは、ペレットA2)中の樹脂の重量を、ペレットA2)および出発材料B2)中のガムの合計重量で除したものであった。
【0114】
用語の定義および使用
本明細書の文脈で特に指定がない限り、本明細書のすべての量、比、およびパーセンテージは、重量によるものであり、冠詞「a」、「an」、および「the」は、それぞれ1つ以上を指し、単数形は、複数形を含む。概要および要約は、参照により本明細書に組み込まれる。「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、および「からなる(consisting of)」という移行句は、特許審査手続マニュアル第9版、改訂08.2017、最終改訂日2018年1月の§2111.03I、II、およびIII項に記載されているように使用される。例示的な例を列挙するための「例えば(for example)」、「例えば(e.g.)」、「など」、および「含む」の使用は、列挙される例のみに限定されない。したがって、「例えば」または「など」は、「例えば、しかし限定されない」または「など、しかし限定されない」を意味し、他の類似または同等の例を包含する。DOWSIL(商標)、SILASTIC(商標)、およびSYL-OFF(商標)ブランドの材料は、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から市販されている。本明細書で使用される略語は、表8における定義を有する。
【表8】