(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】モバイルプラットフォームを使用した地理的に分散した資産の遠隔監視
(51)【国際特許分類】
H04W 84/06 20090101AFI20240213BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20240213BHJP
G08C 17/02 20060101ALI20240213BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240213BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20240213BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240213BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H04W84/06
G08C17/00 A
G08C17/02
H04W24/02
H04W4/029
H04W4/38
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2022524650
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020059626
(87)【国際公開番号】W WO2021096790
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス ジェームズ
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047262(JP,A)
【文献】国際公開第2018/200690(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0280937(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0179008(US,A1)
【文献】米国特許第9148215(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
G08C 17/00
G08C 17/02
H04M 11/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間のオポチュニスティック型通信を提供する方法であって、
高高度プラットフォーム(HAP)のプロセッサによって、前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して
前記HAPのステーション上への予想される到着時間を決定する段階であって、前記HAPはHAPの一団の一部である、段階と、
前記プロセッサによって、前記任意の遠隔施設のデバイスに、
前記HAPの前記ステーション上への予想される到着時間および前記HAPのための通信ウィンドウを
、前記HAPの一団内の他のHAP、または衛星を介した通信によって伝達する段階と、
ステーション上に到着すると、前記HAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にする段階と、
前記任意の遠隔施設から受信されたデータを前記HAPのローカルメモリに格納する段階であって、前記任意の遠隔施設から受信された前記データは、前記任意の遠隔施設に関連するコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、段階と、
前記受信されたデータを、前記HAPから前記HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信する段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記HAPが前記格納されたデータを処理して処理済みデータを取得する段階をさらに備え、前記受信されたデータを送信する段階は、前記処理済みデータを前記HAPから前記他のHAPまたは前記地上局のいずれかに送信する段階を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記格納されたデータを処理する段階は、デバイスまたはシステム生産性のデータ分析を行う段階、平均故障間隔予測を行う段階、または補給または在庫管理のためのジャストインタイム評価を行う段階のうちの1つまたは複数を含む
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信されたデータを前記他のHAPに送信する段階は、処理済みデータを前記地上局に送信する前に、前記受信されたデータの処理を行うための前記他のHAPに対する要求を送信する段階を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、次のステーション上への予想される到着時間および前記HAPの一団のうちの他のHAPのための次の通信ウィンドウを伝達する段階をさらに備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記次のステーション上への予想される到着時間および前記他のHAPのための前記次の通信ウィンドウを伝達する段階は、前記HAPによって開始される
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記HAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にする段階は、前記HAPが前記任意の遠隔施設に識別子を送信する段階を含み、前記識別子は、前記HAPのステーション上への到着を示す
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記識別子は、前記HAPの通信能力に関する情報、前記任意の遠隔施設から情報を受信するために利用可能な時間の量、または前記任意の遠隔施設から情報を受信するために利用可能な帯域幅の量からなる群から選択される1つまたは複数を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記任意の遠隔施設から受信された前記データは、前記任意の遠隔施設における機器またはセンサに関する性能、位置特定、または利用率データのうちの1つまたは複数を含む
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間のオポチュニスティック型通信を提供する方法であって、
1つまたは複数のプロセッサによって、前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して高高度プラットフォーム(HAP)のステーション上への予想される到着時間を決定する段階であって、前記HAPはHAPの一団の一部である、段階と、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記任意の遠隔施設のデバイスに、前記ステーション上への予想される到着時間および前記HAPのための通信ウィンドウを伝達する段階と、
ステーション上に到着すると、前記HAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にする段階と、
前記任意の遠隔施設から受信されたデータを前記HAPのローカルメモリに格納する段階であって、前記任意の遠隔施設から受信された前記データは、前記任意の遠隔施設に関連するコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、段階と、
前記受信されたデータを、前記HAPから前記HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信する段階と
を備え、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、次のステーション上への予想される到着時間および前記HAPの一団のうちの他のHAPのための次の通信ウィンドウを伝達する段階をさらに備え、
前記次のステーション上への予想される到着時間および前記他のHAPのための前記次の通信ウィンドウを伝達する段階は、前記HAPによって開始される
、方法。
【請求項11】
前記次のステーション上への予想される到着時間および前記他のHAPのための前記次の通信ウィンドウを伝達する段階は、前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、現在の飛行情報、予測される飛行情報、帯域幅、及びデータ格納能力のうちの少なくとも1つの分析に基づいて決定した前記次のステーション上への予想される到着時間と、前記HAPの一団のうちの他のHAPのための次の通信ウィンドウとを伝達する
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間のオポチュニスティック型通信を提供するように構成されたシステムであって、前記システムは
成層圏内で動作するように構成された高高度プラットフォーム(HAP)の一団を備え、前記一団の各HAPは、通信システム、ナビゲーションシステム、および前記通信システムおよび前記ナビゲーションシステムに動作可能に結合された制御システムを含み、各HAPの前記通信システムは、前記一団内の他のHAPおよび前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つと送信および受信動作を行うように構成され、
前記一団内の
一のHAPに対する前記制御システムは
前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して、
前記一のHAPのステーション上への予想される到着時間を決定し、
前記通信システムを介して、前記任意の遠隔施設のデバイスに、
前記一のHAPの前記ステーション上への予想される
前記到着時間および前記
一のHAPのための通信ウィンドウを
、前記HAPの一団内の他のHAP、または衛星を介した通信によって伝達するように構成され、
ステーション上に到着すると、前記
一のHAPの前記制御システムは
前記
一のHAPの前記通信システムと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にすることと、
前記任意の遠隔施設から受信されたデータを前記
一のHAPのローカルメモリに格納することであって、前記任意の遠隔施設から受信されたデータは、前記任意の遠隔施設のコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含むことと、
前記
一のHAPの前記通信システムを介して、前記受信されたデータを前記
一のHAPから前記HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信することと
を行うように構成されたシステム。
【請求項13】
前記一団の前記HAPのうちの少なくともいくつかは、空気より軽い無人航空機である
請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記
一のHAPは気球である
請求項
12から
13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記地上局をさらに備える
請求項
12から
14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記
一のHAPは、前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、次のステーション上への予想される到着時間および前記HAPの一団の他のHAPのための次の通信ウィンドウを伝達するように構成されている
請求項
12から
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記
一のHAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にすることは、前記
一のHAPが前記任意の遠隔施設に識別子を送信するように構成されていることを含み、前記識別子は、前記
一のHAPのステーション上への到着を示す
請求項
12から
16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記
一のHAPの前記制御システムは、前記格納されたデータを処理し、処理済みデータを取得するようにさらに構成されている
請求項
12から
17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記
一のHAPは、前記
一のHAPが認可された地上局の通信範囲内に入るまで、前記任意の遠隔施設から受信された前記データを前記ローカルメモリに格納し、前記通信範囲に入ると、前記格納されたデータを前記認可された地上局に送信するように構成されている
請求項
12から
18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間のオポチュニスティック型通信を提供するように構成されたシステムであって、前記システムは
成層圏内で動作するように構成された高高度プラットフォーム(HAP)の一団を備え、前記一団の各HAPは、通信システム、ナビゲーションシステム、および前記通信システムおよび前記ナビゲーションシステムに動作可能に結合された制御システムを含み、各HAPの前記通信システムは、前記一団内の他のHAPおよび前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つと送信および受信動作を行うように構成され、
前記一団内の前記HAPのうちの1つに対する前記制御システムは
前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して、選択されたHAPのステーション上への予想される到着時間を決定し、
前記通信システムを介して、前記任意の遠隔施設のデバイスに、前記ステーション上への予想される到着時間および前記選択されたHAPのための通信ウィンドウを伝達するように構成され、
ステーション上に到着すると、前記選択されたHAPの前記制御システムは
前記選択されたHAPの前記通信システムと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にすることと、
前記任意の遠隔施設から受信されたデータを前記選択されたHAPのローカルメモリに格納することであって、前記任意の遠隔施設から受信されたデータは、前記任意の遠隔施設のコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含むことと、
前記選択されたHAPの前記通信システムを介して、前記受信されたデータを前記選択されたHAPから前記HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信することと、
前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、次のステーション上への予想される到着時間および前記HAPの一団のうちの他のHAPのための次の通信ウィンドウを伝達することと
を行うように構成されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年11月11日に出願された米国特許出願第16/679,961号の利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
大企業やその他の組織は、製造、倉庫保管、発電、環境監視、その他のサービスのためなど、異なる場所に設置された施設を持つことが多い。ある組織は、その施設を定期的に監視して、例えば、機器の故障、補給の必要性やタイミングを決定し、各施設の状態を全般的に評価する場合がある。異なる施設は、異なる地理的地域、国、または大陸にある場合もある。
【0003】
場所によって電気通信能力や制限が異なる場合がある。例えば、いくつかの地域では、固定電話と携帯電話の通信規格が異なる場合がある。他の地域はあまりにも遠隔地であり、信頼できる電気通信リンクへのアクセスが制限されているか、まったくない場合がある。陸上ベースのマイクロ波通信、衛星通信、またはローカルデータ保存や検索を採用し得るが、これらのアプローチは、送信される情報の量および情報を送信するタイミングに応じて、コストが法外であるか、そうでなければ実用的でない可能性がある。したがって、特定の事業運営上の決定を行うために、施設から必要な情報を収集することが困難である可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
開示の態様は、成層圏にある気球または他の無人航空機を含む高高度プラットフォーム(HAP)を使用して、遠隔施設とバックオフィスまたは本部との間の定期的な通信リンクを提供することに関連する。例として、鉱業、石油やガス、配電、太陽光発電、配水などを含むがこれらに限定されない産業において現在使用されている配置された産業資産が数百万個あると推定されている。これらの資産は、エンドユーザに所有されるか、相手先ブランド名製造(OEM)によってエンドユーザにリースされるか、またはエンドユーザに所有され、OEMによってサービスを提供される場合がある。地理的に隔離されたおよび/または分散した場所から情報を取得することは基本的な問題であり、そのような機器の製造者またはサービス提供者にとって制限要因となる可能性がある。
【0005】
例として、モータ、タービン、ポンプ場、またはバッテリ貯蔵モジュールなどの産業機器は、性能、位置特定、利用率などの情報を遠隔システムに提供する必要がある場合がある。これは、メンテナンスのスケジュール設定、交換部品の注文、生産性の決定などに必要になる場合がある。しかし、前述したように、地理的に離れていることやインフラストラクチャに制限があることから、遠隔施設からそのような情報を効果的に取得することは困難である可能性がある。これは、通信機器が時代遅れになり、そのようなレガシー機器が効果的にサポートされないかもしれないため、何年または何十年も稼働することが予想される施設に特に当てはまり得る。また、通信機器のアップグレードを行うことは、コストがかかるか非効率的である場合がある。
【0006】
多くの状況において、遠隔施設からの情報は、低帯域幅(例えば、数十キロバイトまたは数百キロバイトのデータ、ビデオではなく静止画像など)、時間に敏感でない、またはその両方である場合がある。これらの状況では、例えば、毎日、毎週、毎月、シフトごとなど、定期的なデータの送信を行うことができる。一態様によれば、気球、飛行船、または他のHAPベースの通信プラットフォームは、遠隔施設の通信ニーズに対処するために採用され得る。例えば、以下でさらに説明するように、このような空中プラットフォームは、遠隔施設と本部または他のバックエンドオフィスとの間のオポチュニスティック型通信を容易にすることができる。エンドユーザまたはOEMは、必要に応じて、例えば帯域幅の使用状況、ピーク時やオフピーク時の使用状況などに基づいて、空中プラットフォームを活用することができる。
【0007】
技術の一態様によれば、方法は、1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間のオポチュニスティック型通信を提供する。方法は、1つまたは複数のプロセッサによって、前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して高高度プラットフォーム(HAP)のステーション上への予想される到着時間を決定する段階を備える。前記HAPは、例えば、世界中の1つまたは複数の地理的地域に通信サービスを供給するためのHAPの一団(fleet)の一部である。方法はまた、前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記任意の遠隔施設のデバイスに、前記ステーション上への予想される到着時間および前記HAPのための通信ウィンドウを伝達する段階を備える。ステーション上に到着すると、方法はまた、前記HAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にする段階を含む。前記任意の遠隔施設から受信されたデータは、その後、前記HAPのローカルメモリに格納される。前記任意の遠隔施設から受信された前記データは、前記任意の遠隔施設に関連するコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含む。ローカルメモリに格納された後、前記受信されたデータは、前記HAPから前記HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信される。
【0008】
一例において、方法は、前記HAPが前記格納されたデータを処理して処理済みデータを取得する段階をさらに備える。この場合、前記受信されたデータを送信する段階は、前記処理済みデータを前記HAPから前記他のHAPまたは前記地上局のいずれかに送信する段階を備える。ここで、前記格納されたデータを処理する段階は、デバイスまたはシステム生産性のデータ分析を行う段階、平均故障間隔予測を行う段階、または補給または在庫管理のためのジャストインタイム評価を行う段階のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0009】
別の例では、前記受信されたデータを前記他のHAPに送信する段階は、処理済みデータを前記地上局に送信する前に、前記受信されたデータの処理を行うための前記他のHAPに対する要求を送信する段階を含む。さらなる例では、方法はまた、前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、次のステーション上への予想される到着時間および前記HAPの一団のうちの他のHAPのための次の通信ウィンドウを伝達する段階を備える。ここで、前記次のステーション上への予想される到着時間および前記他のHAPのための前記次の通信ウィンドウを伝達する段階は、前記HAPまたは前記システム内の他のデバイスによって開始され得る。
【0010】
さらに別の例では、前記HAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にする段階は、前記HAPが前記任意の遠隔施設に識別子を送信する段階を含む。前記識別子は、前記HAPのステーション上への到着を示す。この場合、前記識別子は、前記HAPの通信能力に関する情報、前記任意の遠隔施設から情報を受信するために利用可能な時間の量、または前記任意の遠隔施設から情報を受信するために利用可能な帯域幅の量からなる群から選択される1つまたは複数を含み得る。また別の例では、前記任意の遠隔施設から受信された前記データは、前記任意の遠隔施設における機器またはセンサに関する性能、位置特定、または利用率データのうちの1つまたは複数を含む。
【0011】
技術の別の態様によれば、システムは、1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間のオポチュニスティック型通信を提供するように構成される。システムは、成層圏内で動作するように構成された高高度プラットフォーム(HAP)の一団を備える。前記一団の各HAPは、通信システム、ナビゲーションシステム、および前記通信およびナビゲーションシステムに動作可能に結合された制御システムを含む。各HAPの前記通信システムは、前記一団内の他のHAPおよび前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つと送信および受信動作を行うように構成されている。前記一団内の前記HAPのうちの1つに対する前記制御システムは、前記1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して、選択されたHAPのステーション上への予想される到着時間を決定し、前記通信システムを介して、前記任意の遠隔施設のデバイスに、前記ステーション上への予想される到着時間および前記選択されたHAPのための通信ウィンドウを伝達するように構成されている。ステーション上に到着すると、前記選択されたHAPの前記制御システムは、前記選択されたHAPの前記通信システムと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にし、前記任意の遠隔施設から受信されたデータを前記選択されたHAPのローカルメモリに格納するように構成されている。前記任意の遠隔施設から受信されたデータは、前記任意の遠隔施設のコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含む。前記選択されたHAPの前記制御システムはまた、前記選択されたHAPの前記通信システムを介して、前記受信されたデータを前記選択されたHAPから前記HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信するように構成されている。
【0012】
一例では、前記一団内の前記HAPのうちの前記1つは前記選択されたHAPである。他の例では、前記1つのHAPは異なるHAPであってもよい。さらなる例では、前記一団の前記HAPのうちの少なくともいくつかは、空気より軽い無人航空機である。前記選択されたHAPおよび/または前記一団の他のHAPは気球であってもよい。また、システムは、前記地上局をさらに備えていてもよい。
【0013】
別の例では、前記一団内の前記HAPのうちの前記1つに対する前記制御システムは、前記任意の遠隔施設に対する前記一団内の前記HAPの現在または予測された位置に基づいて前記選択されたHAPを識別するように構成されている。例えば、1つまたは複数のHAPは、施設から一定の地理的距離(例えば、おおよそ10-1,000マイル)内にあってもよいし、あるいは一定の時間(例えば、おおよそ1-20日)内に施設の通信範囲内に到着することを期待されてもよい。
【0014】
さらなる例では、前記一団内の前記HAPのうちの前記1つに対する前記制御システムは、前記HAPの一団内のHAPのサブセットの通信能力の評価に基づいて前記選択されたHAPを識別するように構成されている。前記選択されたHAPは、前記任意の遠隔施設の前記デバイスに、次のステーション上への予想される到着時間および前記HAPの一団の他のHAPのための次の通信ウィンドウを伝達するように構成され得る。前記選択されたHAPと前記任意の遠隔施設との間の通信を可能にすることは、前記選択されたHAPが前記任意の遠隔施設に識別子を送信するように構成されることを含み得る。前記識別子は、前記選択されたHAPのステーション上への到着を示す。
【0015】
さらに別の例では、前記選択されたHAPの前記制御システムは、前記格納されたデータを処理し、処理済みデータを取得するようにさらに構成されている。さらに、前記選択されたHAPは、前記選択されたHAPが認可された地上局の通信範囲内に入るまで、前記任意の遠隔施設から受信された前記データを前記ローカルメモリに格納し、前記通信範囲に入ると、前記格納されたデータを前記認可された地上局に送信するように構成され得る。認可された地上局は、一団をサポートするシステムの一部であってもよい。あるいは、認可された地上局は、例えば任意の遠隔施設に後方支援を提供するために、任意の遠隔施設に関連する本部、セントラルオフィス、倉庫、供給基地、または他のバックエンド支援施設であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【0017】
【0018】
【
図3】技術の態様に係る一時的通信システムの例を示す。
【0019】
【0020】
【
図5】技術の態様に係る高高度プラットフォームのペイロードの例を示す。
【0021】
【
図6】技術の態様に係るサーバシステムの例を示す。
【0022】
【
図7A】技術の態様に係る、遠隔施設とのオポチュニスティック型通信のためのシナリオの例を示す。
【
図7B】技術の態様に係る、遠隔施設とのオポチュニスティック型通信のためのシナリオの例を示す。
【0023】
【
図8A】技術の態様に係る、複数の遠隔施設との同時通信の例を示す。
【
図8B】技術の態様に係る、複数の遠隔施設との同時通信の例を示す。
【0024】
【
図9】技術の態様に係るシステム動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、様々な施設102a、102b、...、および102nが、破線で示されるように、異なるそれぞれの地理的位置104a、104b、...、および104nにある例100を示す。異なる位置104は、数十マイル、数百マイル、または数千マイル離れているか、異なる国または異なる大陸にあるか、そうでなければ異なる物理的位置にあってもよい。場合によっては、施設は、海洋掘削リグまたはブイのような海洋プラットフォームであってもよい。施設102の各々は、例えば、製造や、エネルギー生成、鉱業、農業、石油、およびガス探査のための地震学のようなリモートセンシングのような産業プロセスまたはサービスなどに使用される類似または異なる機器またはセンサを有していてもよい。
【0026】
ある施設は、例えば、機器上のまたは施設に配置された1つまたは複数のセンサを介して、その機器から情報を受信するか、そうでなければ収集してもよい。この情報は、例えば、生産性を高め、より効率的に運用し、および/またはコストを削減するための産業用モノのインターネット(IIoT)アプローチの一部として、性能、位置特定、利用率、および/またはその他のメトリクスに使用してもよい。これを行う1つの方法は、収集された情報を、離れた場所にあるセントラルオフィスなどの他の施設に提供することである。
【0027】
例として、情報は、1つまたは複数の空中プラットフォーム(HAP)を介して他の施設に送信されてもよい。気球、飛行船、ドローン、または成層圏を浮遊および/または推進する他の無人航空機(UAV)などの任意の空中プラットフォームは、一定の期間のみ特定の施設との通信範囲内(「ステーション上」)にあってもよい。この場合、気球、UAV、または他のHAPは、1つまたは複数の地理的地域をカバーすることを任務とするプラットフォームの一団の一部であってもよい。プラットフォームは定期的にしか通信のために利用できないので、以下で説明するように、システムは、一定の時間枠の間に施設からの送信を手配してもよく、将来の通信スケジュールを事前に計画するか、そうでなければ設定するために、気球や他のHAPの飛行経路の予測や推定を使用してもよい。
システムの例
【0028】
図2は、様々な施設202、機器204、モバイルデバイス206、およびHAP208を含む例示的なシステム200を示す。例えば、施設202aは、コンクリートまたは他の製品を製造するための産業施設であってもよく、施設202bは、倉庫、発電所、またはエネルギー貯蔵ユニットであってもよい。機器204は、例えば、掘削リグアセンブリ204aまたは風力タービン204bであってもよく、これらは、例えば海洋プラットフォーム上で、施設と共に、または施設から離れて配置されてもよい。モバイルデバイス206は、自動運転車両206aなどの自律型機器、または携帯電話、PDA、タブレット、ラップトップ、もしくは他のコンピュータなどの個人用通信デバイス206bを含んでもよい。そして、HAP208は、1つまたは複数の空気より軽い気球208aおよび/またはドローン208b、または本明細書で説明するような他のモバイルプラットフォームを含んでもよい。
【0029】
点線で示されるように、HAPは、地上デバイスまたは他のHAPとの直接的および/または間接的な通信リンクを提供してもよい。これは、双方向通信であっても一方向通信であってもよい。そして、ギザギザの線によって示されるように、HAPは、地上局または他の機器(図示せず)と通信してもよい。例として、施設202、機器204、および/またはモバイルデバイス206のいずれかは、任意のHAP208と直接無線通信するように構成されてもよい。これは、無線周波数(RF)または光通信を介していてもよい。あるいは、機器204および/またはモバイルデバイス206は、破線で示されるように、近くの施設202とのみ直接通信してもよい。その結果、近くの施設はHAP208と通信することができる。例えば、施設202bは、掘削リグアセンブリ204aまたは風力タービン204bの各々によって定期的に送信される健康状態または生産性情報を受信してもよい。
【0030】
図3は、上記の気球プラットフォームまたは他のHAPの一団を使用し得る一時的通信システム300の例を示す。この例は、本明細書に記載される特徴の開示または有用性の範囲を限定するものと考えるべきではない。システム300は、気球ネットワークと考えてもよい。この例では、気球ネットワーク300は、気球302A-Fならびに地上局304および306などの複数のデバイスを含む。気球ネットワーク300はまた、以下でより詳細に説明するような様々なコンピューティングデバイス(図示せず)、またはネットワークに参加し得る他のシステムなどの複数の追加デバイスを含んでもよい。
【0031】
システム300内のデバイスは、互いに通信するように構成される。一例として、気球は、気球内通信を容易にするために、通信リンク308および/または310を含んでもよい。例として、リンク310は無線周波数(RF)信号(例えば、ミリ波送信)を採用してもよく、一方、リンク308は自由空間光伝送を採用してもよい。あるいは、すべてのリンクは、RF、光、またはRFと光伝送の両方を採用するハイブリッドであってもよい。このようにして、気球302A-Fは、データ通信のためのメッシュネットワークとして集合的に機能してもよい。気球のうちの少なくともいくつかは、RFおよび/または光リンクであり得るそれぞれのリンク312および314を介して地上ベースの局304および306と通信するように構成されてもよい。さらに、地上ベースの局304および306は、有線または無線リンクであり得るリンク316を介して直接通信してもよい。
【0032】
1つのシナリオでは、任意の気球302は、光リンク308を介して光信号を送信するように構成されてもよい。ここで、任意の気球302は、1つまたは複数の高出力発光ダイオード(LED)を使用して光信号を送信してもよい。あるいは、気球302のいくつかまたはすべては、光リンク308を介した自由空間光通信のためのレーザシステムを含んでもよい。他のタイプの自由空間通信も可能である。さらに、光リンク308を介して他の気球から光信号を受信するために、気球は1つまたは複数の光受信機を含んでもよい。
【0033】
気球302はまた、それぞれの通信リンクを介して地上ベースの局と通信するために、様々なRFエアインターフェースプロトコルのうちの1つまたは複数を利用してもよい。例えば、気球302A-Fのいくつかまたはすべては、他の可能性の中で、IEEE802.11(IEEE802.11改訂版のいずれかを含む)に記載された様々なプロトコル、GSM(登録商標)、CDMA、UMTS、EV-DO、WiMAX(登録商標)、および/またはLTE、5Gなどのセルラプロトコル、および/または長距離通信用に開発された1つまたは複数の独自のプロトコルを使用して、RFリンク312を介して地上ベースの局304および306と通信するように構成されてもよい。
【0034】
いくつかの例では、リンクは、気球対地通信のための所望のリンク容量を提供しない場合がある。例えば、地上ベースのゲートウェイからのバックホールリンクを提供するために、容量の増加が望ましい場合がある。したがって、ネットワークの例はまた、ネットワークの様々な気球と地上基地局との間に大容量の空対地リンクを提供することができるダウンリンク気球を含んでもよい。例えば、気球ネットワーク300において、気球302Fは、局304および/または306と直接通信するダウンリンク気球として構成されてもよい。
【0035】
ネットワーク300内の他の気球と同様に、ダウンリンク気球302Fは、リンク308、310を介して1つまたは複数の他の気球と通信(例えば、RFまたは光)するように動作可能であってもよい。ダウンリンク気球302Fはまた、光リンク314を介して地上ベースの局304および/または306と自由空間光通信を行うように構成されてもよい。したがって、光リンク314は、気球ネットワーク300と地上ベースの局304または306との間の大容量リンク(RFリンク312と比較して)として機能してもよい。ダウンリンク気球302Fは、さらに、地上ベースの局304または306とRF通信するように動作可能であってもよい。他の場合には、ダウンリンク気球302Fは、気球対地通信のために光リンクのみを使用してもよい。さらに、
図3に示す構成は、ただ1つのダウンリンク気球102Fを含むが、気球ネットワークの例は、複数のダウンリンク気球を含むこともできる。一方、気球ネットワークは、ダウンリンク気球なしで実現することもできる。
【0036】
ダウンリンク気球は、自由空間光通信システムの代わりに、またはそれに加えて、気球対地通信のための専用の高帯域幅RF通信システムを備えていてもよい。高帯域幅RF通信システムは、超広帯域システムの形態をとってもよく、超広帯域システムは、光リンク314のうちの1つと実質的に同じ容量を有するRFリンクを提供し得る。
【0037】
さらなる例では、気球302A-Fのいくつかまたはすべてを、地上ベースの通信リンクに加えて、またはそれに代わるものとして、宇宙ベースの衛星および/または他のタイプのHAP(例えば、ドローン、飛行機、飛行船など)との通信リンクを確立するように構成することができる。いくつかの実施形態では、気球は、光またはRFリンクを介して衛星または高高度プラットフォームと通信してもよい。しかし、他のタイプの通信構成も可能である。
【0038】
上述したように、気球302A-Fは、メッシュネットワークとして集合的に機能してもよい。より具体的には、気球302A-Fは、自由空間光リンクを使用して互いに通信し得るので、気球は、自由空間光メッシュネットワークとして集合的に機能し得る。メッシュネットワーク構成では、各気球は、それに向けられたデータを受信し、他の気球にデータをルーティングするように動作可能なメッシュネットワークのノードとして機能し得る。よって、データは、送信元気球と送信先気球との間の適切なリンクシーケンスを決定することによって、送信元気球から送信先気球にルーティングされ得る。
【0039】
ネットワークトポロジは、気球が互いに対して、および/または地面または異なる施設、機器、またはモバイルデバイスに対して移動するにつれて変化してもよい。したがって、気球ネットワーク300は、メッシュプロトコルを適用して、ネットワークのトポロジが変化するにつれてネットワークの状態を更新してもよい。例えば、気球302Aから302Fの移動性に対処するために、気球ネットワーク300は、モバイルアドホックネットワーク(MANET)で採用される様々な技術を採用および/または適合させてもよい。他の例も可能である。
【0040】
気球ネットワーク300はまた、所望のネットワークトポロジを提供するのを助けるため、地上の1つまたは複数の位置との接続性を維持するため、またはその両方のために、成層圏風、高度制御、および/または横方向の推進力を使用して、位置保持機能を実装してもよい。例えば、位置保持は、一団計画を含んでもよく、それにより、気球302A-Fのいくつかまたはすべてがカバレッジを維持し、および/またはネットワーク内の1つまたは複数の他の気球に対して、または特定の地上ベースの局、サービスエリア、施設などに対して一定の位置に移動する。このプロセスの一部として、各気球は、位置保持機能を実装して、その所望の位置を決定し、必要であれば、所望の位置への移動方法および/または所望の位置を維持する方法を決定してもよい。
【0041】
所望のトポロジや一団計画は、特定の実装および気球が連続的に移動しているかどうかに応じて変化してもよい。場合によっては、気球は、一定のカバレッジ能力を提供するために位置保持を実装してもよく、気球は、特定の地理的地域に、またはネットワーク300内の近隣の気球からの一定の距離の範囲内に自身を配置するように機能する。あるいは、気球ネットワーク300は、様々な理由により、気球が一定のエリアに多かれ少なかれ密集して分布する不均一または不連続トポロジを有してもよい。一例として、より高い帯域幅の需要を満たすのを助けるために、気球は、需要がより多いエリア(都市部など)上ではより密集し、需要がより少ないエリア(大きな水域上など)上ではより密集しないようにしてもよい。さらに、気球ネットワークの例のトポロジは、気球が、ネットワークの所望のトポロジの変化に従ってそれぞれの位置を調整したり、特定の位置、施設などにカバレッジを提供したりすることができるように適合可能であってよい。
【0042】
図3の気球は、成層圏に配置される高高度気球であってもよい。一例として、高高度気球ネットワークでは、気球は一般に、気球が強風にさらされたり、民間航空機の飛行に干渉したりするのを制限するために、成層圏高度、例えば、おおよそ50,000フィートから90,000フィートの間で動作するように構成され得る。風が様々な気球の位置に非対称的に影響を及ぼし得る成層圏において、気球が所望のカバレッジを提供するために、気球は、風がそれぞれの気球をそれぞれの所望の位置に運ぶように、それぞれの高度を調整することによって、緯度方向および/または経度方向(横方向)に移動するように構成されてもよい。横方向の推進力もまた、気球の移動経路に影響を与えるため、または特定の地域上で「ステーション上」にいる時間を維持するために採用されてもよい。
【0043】
構成の例において、高高度気球プラットフォームは、様々な他のコンポーネントと共に、エンベロープおよびペイロードを含む。
図4は、高高度気球400の一例であり、
図2および
図3の任意の気球を表し得る。図示されるように、気球400の例は、エンベロープ402と、テザーまたは他の接続部材405を介してエンベロープに結合されたペイロード404とを含む。気球400は、例えば超高圧気球として構成され、1つまたは複数のバロネット(図示せず)を含んでもよい。
【0044】
超高圧または他の気球構成では、エンベロープ402は、互いに密閉された複数のゴア406から形成されていてもよい。エンベロープ402の上部は、頂部負荷リング408に接続するように構成された頂部セクションを有し、下部は、気球エンベロープの底部に配置された基部負荷リング410に接続するように構成された基部セクションを有する。テンドン(例えば、ウェビングまたは負荷テープ)412は、頂部負荷リング408から基部負荷リング410まで経度方向に延びるように示されている。テンドンは、ゴアに強度を提供し、気球の使用時にエンベロープ内の加圧ガスによって生じる負荷にエンベロープ402が耐えるのを助けるように構成されている。ゴアの数とテンドンの数の間には1:1の対応があってもよい。あるいは、テンドンの数がゴアより多く(または少なく)てもよい。
【0045】
エンベロープ402は、様々な形状および形態をとり得る。例えば、エンベロープ402は、ポリエチレン、マイラー、FEP、ゴム、ラテックスもしくは他の薄膜材料、または繊維強化材が内側または外側に埋め込まれたこれらの材料の複合積層体などの材料でできていてもよい。必要な強度、ガスバリア、RF、および熱特性を発揮するために、他の材料やそれらの組み合わせ、または積層体を採用してもよい。さらに、エンベロープ402の形状およびサイズは、特定の実装に応じて変化してもよい。さらに、エンベロープ402は、空気、ヘリウム、および/または水素などの異なるタイプのガスで充填されていてもよい。他のタイプのガスおよびそれらの組み合わせも可能である。形状は、球および「カボチャ」のような典型的な気球形状、または対称的である、成形された揚力を提供する、もしくは形状が変更可能である空力形状を含んでよい。揚力は、揚力ガス(例えば、ヘリウム、水素)、導電性表面の静電気帯電、空力揚力(翼形状)、空気移動デバイス(プロペラ、翼、静電推進力など)、または揚力技術の任意のハイブリッド組合せから得てもよい。1つまたは複数のソーラーパネル414は、ペイロード404のシャーシ上に配置されていてもよく、シャーシから延びていてもよい。
【0046】
図5に示す一例500によれば、ペイロード404は、1つまたは複数のプロセッサ504およびメモリ506の形態のオンボードデータストレージを有する制御システム502を含んでもよい。メモリ506は、プロセッサが実行できる命令を含む、プロセッサ504によってアクセス可能な情報を格納する。メモリ506はまた、プロセッサによって検索、操作、または格納することができるデータを含む。例として、データは、様々な遠隔施設から受信されたデータ、例えば、そのような施設における機器およびセンサに関する性能、位置特定、利用率、または他のデータを含んでもよい。
【0047】
メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、および他のタイプの書き込み可能なメモリや読み出し専用メモリなど、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意の非一時的なタイプであることができる。命令は、マシンコードのような直接的に、またはスクリプトのような間接的にプロセッサによって実行される命令の任意のセットであることができる。この点に関して、用語「命令」、「アプリケーション」、「ステップ」、および「プログラム」は、本明細書では互換的に使用することができる。命令は、プロセッサによる直接処理のためにオブジェクトコード形式で格納することができ、または要求に応じて解釈されるか、事前にコンパイルされるスクリプトもしくは独立ソースコードモジュールの集合を含む他の任意のコンピューティングデバイス言語で格納することができる。データは、命令に従って、1つまたは複数のプロセッサ304によって検索、格納、または修正することができる。
【0048】
1つまたは複数のプロセッサ504は、市販のCPUなど、任意の従来のプロセッサを含むことができる。あるいは、各プロセッサは、ASIC、コントローラ、または他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用コンポーネントであることができる。
図5は、プロセッサ504、メモリ506、および制御システム502の他の要素を、同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、システムは、実際には、同じ物理的ハウジング内に格納されていてもよく、されていなくてもよい複数のプロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、および/またはメモリを備えることができる。例えば、メモリは、制御システム502のものとは異なるハウジング内に配置されたハードドライブまたは他の記憶媒体であることができる。したがって、プロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはメモリへの言及は、並列に動作してもよく、しなくてもよいプロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはメモリのコレクションの集合への言及を含むものと理解される。
【0049】
ペイロード404はまた、多数の異なる機能を提供するために、様々な他のタイプの機器およびシステムを含んでもよい。例えば、図示されるように、ペイロード404は、上述のようにRFおよび/または光リンクを介して信号を送信し得る1つまたは複数の通信システム508を含む。通信システム508は、1つまたは複数の送信機および受信機(またはトランシーバ)、1つまたは複数のアンテナ、およびベースバンド処理サブシステム(図示せず)などの通信コンポーネントを含む。
【0050】
ペイロード404は、気球の様々なコンポーネントに電力を供給するための電源510も含むものとして示されている。電源310は、1つまたは複数の充電式バッテリ、またはキャパシタまたは再生燃料電池のような他のエネルギー貯蔵システムを含むことができる。さらに、電源に加えて、または電源の一部として、発電システム512が含まれていてもよい。発電システム512は、
図4のパネル414などのソーラーパネル、貯蔵エネルギー(熱風)、相対的風力発電、差動大気充電(図示せず)、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよく、電源510によって充電する、および/または分配される電力を生成するために使用することができる。
【0051】
ペイロード404は、測位システム514をさらに含んでもよい。測位システム514は、例えば、全地球測位システム(例えば、GPSおよび/またはGLONASS)、慣性航法システム、および/または星追跡システムを含むことができる。測位システム514は、追加的にまたは代替的に、様々な運動センサ(例えば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、および/またはコンパス)を含んでもよい。測位システム514は、追加的または代替的に、1つまたは複数のビデオおよび/またはスチルカメラ、および/または環境データを捕捉するための様々なセンサを含んでもよい。ペイロード404内のコンポーネントおよびシステムのいくつかまたはすべては、ラジオゾンデまたは他のプローブ内に実装してもよく、このラジオゾンデまたは他のプローブは、他の情報の中でも、例えば、圧力、高度、地理的位置(緯度および経度)、温度、相対湿度、および/または風速および/または風向を測定するように動作可能であってよい。風センサは、ピトー管、熱線、または超音波風速計や同様のもの、風車や他の空力圧力センサ、レーザ/ライダー、または相対速度や遠方の風を測定する他の方法のような異なるタイプのコンポーネントを含んでもよい。
【0052】
ペイロード404は、制御システム502とは別の、または部分的もしくは完全に組み込まれたナビゲーションシステム516を含んでもよい。ナビゲーションシステム516は、例えば1つまたは複数の施設からデータを収集するために、所望のトポロジまたは他のサービス要求に従って、位置を維持および/または位置に移動するための位置保持機能を実装してもよい。特に、ナビゲーションシステム516は、風データ(例えば、搭載センサおよび/または遠隔センサからの)を使用して、所望の方向および/または所望の位置に気球を運ぶ風をもたらす高度および/または横方向の位置調整を決定してもよい。横方向の位置調整は、ペイロードとは別の横方向測位システムによって直接処理されてもよい。あるいは、高度および/または横方向の調整は、中央制御位置によって計算され、地上ベース、空中ベース、または衛星ベースのシステムによって送信され、高高度気球に伝達されてもよい。他の実施形態では、特定の気球は、他の気球ための高度および/または横方向の調整を計算し、調整コマンドをそれらの他の気球に送信するように構成されてもよい。
【0053】
図3に関して上述したように、気球(または他のHAP)は、地上ベースの局と直接的または間接的に通信してもよい。
図6は、気球(例えば、
図4の気球400)がサーバシステム602などの局と通信している一例600を示す。図示されるように、サーバシステム602は、1つまたは複数のサーバコンピューティングデバイス602およびストレージシステム604を含む。1つのシナリオにおいて、
図3の各地上基地局304および306は、ストレージシステム604ならびにサーバコンピューティングデバイス602を含むデータセンタであってもよい。この点に関して、サーバコンピューティングデバイスは、他のコンピューティングデバイスとの間でデータを受信し、処理し、送信する目的で、様々なネットワークの異なるノードと情報を交換するために、負荷分散サーバファーム、クラウドコンピューティングセンタ、または他の処理ハブとして機能してもよい。よって、1つまたは複数のサーバコンピューティングデバイス602の各々は、1つまたは複数のプロセッサ606、メモリ608、および汎用コンピューティングデバイスに典型的に存在する他のコンポーネントを含んでもよい。
【0054】
メモリ608は、プロセッサ602によって実行されるか、そうでなければ使用され得る命令610およびデータ612を含む、1つまたは複数のプロセッサ602によってアクセス可能な情報を格納する。メモリ608は、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意のタイプのものであってよく、コンピューティングデバイス可読媒体、またはハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVDや他の光ディスク、ならびに他の書き込み可能メモリや読み取り専用メモリなど、電子デバイスの助けを借りて読み取り得るデータを格納する他の媒体を含む。システムおよび方法は、前述のものの異なる組み合わせを含んでもよく、それによって、命令およびデータの異なる部分が、異なるタイプの媒体に格納される。
【0055】
メモリ506に格納された命令と同様に、命令610は、プロセッサによって直接(マシンコードなど)または間接的(スクリプトなど)に実行される命令の任意のセットであってもよい。例えば、命令は、コンピューティングデバイス読み取り可能媒体上にコンピューティングデバイスコードとして格納されてもよい。データ612は、命令434に従ってプロセッサ420によって検索、格納、または修正されてもよい。例えば、請求された主題は、特定のデータ構造によって限定されないが、データは、コンピューティングデバイスレジスタ、複数の異なるフィールドおよびレコードを有するテーブルとしてのリレーショナルデータベース、XML文書、またはフラットファイルに格納されてもよい。データはまた、任意のコンピューティングデバイスで読み取り可能な形式にフォーマットされてもよい。例えば、データは、任意の時点における地球に対する太陽の予想される位置に関する情報、ならびにネットワークターゲットの位置に関する情報を格納してもよい。
【0056】
1つまたは複数のプロセッサ602は、市販の中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、および/またはテンソル処理装置(TPU)などの任意のハードウェアベースのプロセッサであってもよい。あるいは、1つまたは複数のプロセッサは、ASICまたは他のハードウェアベースのプロセッサなどの専用デバイスであってもよい。
図6は、プロセッサ、メモリ、およびコンピューティングデバイス602の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に図示しているが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリは、実際には、同じ物理的ハウジング内に格納されても格納されなくてもよい複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリを含んでもよいことが理解されるであろう。例えば、メモリは、サーバコンピューティングデバイス602のものとは異なるハウジング内に配置されたハードドライブまたは他の記憶媒体であってもよい。したがって、プロセッサまたはコンピューティングデバイスへの言及は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサまたはコンピューティングデバイスまたはメモリの集合への言及を含むと理解されるであろう。
【0057】
サーバコンピューティングデバイス602はまた、他のサーバコンピューティングデバイス602やストレージシステム604などの他のデバイス、1つまたは複数の情報サービス、およびネットワークの他のデバイスとの通信を容易にするために、1つまたは複数の有線接続614および/または無線接続616を含んでもよい。これらの情報サービスは、例えば、米国海洋大気庁(NOAA)やヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)などの機関からの気象予報を提供するシステムを含んでもよい。無線ネットワーク接続は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(LE)、セルラ接続などの短距離通信プロトコル、ならびにインターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の企業独自の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット(登録商標)、WiFi(登録商標)およびHTTP、前述のものの様々な組み合わせを含む様々な構成およびプロトコルを含んでもよい。
【0058】
ストレージシステム604は、様々な遠隔施設によって送信された1つまたは複数のHAPから受信されたデータを含む様々なタイプの情報を格納してもよい。この情報は、遠隔施設に関連するエンティティへの送信またはそれによる検索の前に、データ分析、エラー訂正、前処理、または他の動作を含む、本明細書に記載される機能のうちのいくつかまたはすべてを行うために、サーバコンピューティングデバイス602のような1つまたは複数のサーバコンピューティングデバイスによって検索されるか、そうでなければアクセスされてもよい。メモリ608と同様に、ストレージシステム604は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD-ROM、書き込み可能メモリ、および読み出し専用メモリなど、サーバコンピューティングデバイス410によってアクセス可能な情報を格納することができる任意のタイプのコンピュータストレージであることができる。さらに、ストレージシステム604は、データが、物理的に同じまたは異なる地理的位置に配置され得る複数の異なるストレージデバイス上に格納される分散記憶システムを含んでもよい。
【0059】
ストレージシステム604は、サーバコンピューティングデバイス602に直接(例えば、サーバコンピューティングデバイス602の一部として、および/または有線接続614を介して)および/またはネットワークを介して(例えば、有線接続614および/または無線接続616を介して)接続されてもよい。このネットワークは、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)LE、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つまたは複数の企業独自の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFiおよびHTTP、および前述のものの様々な組み合わせなどの短距離通信プロトコルを含む様々な構成およびプロトコルを含んでもよい。このような通信は、モデムや無線インターフェースなどの他のコンピューティングデバイスとの間でデータ送信することができる任意のデバイスによって容易にし得る。
構成の例
【0060】
上記のような産業機器およびセンサは、ローカルデータおよび信号処理モジュールを備えることができる。このようなデバイスは、コンポーネント、システム、および施設動作に関する測定を行うことができる。例として、センサのタイプは、圧力、温度、流量、振動、発電量、運転状態、資産位置などを含んでもよいが、これらに限定されない。ローカル制御システムから利用可能な他のタイプの情報も、本社またはセントラルオフィス施設に送信するために格納されてもよい。
【0061】
図7A~
図7Bは、1つまたは複数のHAPが遠隔施設と日和見的に通信することができるシナリオの例を示す。例えば、
図7Aのマップ700は、人口がまばらであり得る地域を示している。図示されるように、異なる遠隔施設702および704は、ベーカーズフィールドとラスベガスとの間に配置されてもよい。各施設は、性能、位置特定、利用率、および/または他のメトリクスに関する情報を収集する様々なシステム、機器、コンポーネント、および/またはセンサを有してもよい。この情報は、時間に敏感であってもなくてもよく、送信するために高帯域幅を必要としてもしなくてもよい。この図において、破線706は、任意の気球または他のHAPがベーカーズフィールドからラスベガスへ移動する際に通過し得る経路を示す。
【0062】
図7Bのマップ710において点線によって示されるように、HAPは、ベーカーズフィールド上の第1のカバレッジエリア712と、ラスベガス上の第2のカバレッジエリア714とを有し、例えば、電気通信、ビデオストリーミング、または他のサービスをそれらの地域の顧客に提供してもよい。1つのシナリオによれば、HAPがベーカーズフィールド地域を離れた後であって、ラスベガス地域に到着する前に、HAPは顧客にそのようなサービスを提供していないかもしれない。この場合、HAPはルートに沿って遠隔施設にサービスを提供する能力を有してもよい。特に、一点鎖線領域716によって示されるように、HAPは、施設702および704と通信することができてもよい。
【0063】
一態様によれば、指定された地域への電気通信、ビデオまたは他のデータ伝送サービスは、HAPの主要な機能であってもよい。しかし、HAPは、指定されたサービス地域間を移動するので、遠隔施設を含み得る他の顧客に支援サービスを提供することができる。このようにして、HAP一団は、ともすればより高価な、より信頼性の低い、または機器の変更により時代遅れになるかもしれない他の通信手段を使用しなければならない施設に、オポチュニスティック型通信を提供することができる。
【0064】
一例では、HAPがステーション上に到着する際、HAPは識別子または他のメッセージを任意の施設に送信して、それを知らせることができる。そして、施設、例えば
図7Aの施設702は、そのシステム、機器、コンポーネント、および/またはセンサから、例えば上述のようにRFまたは光通信を介してHAPに情報を送信することができる。HAPが通信範囲を外れる際、施設は、例えば、ステーションを離れるというHAPからの通知に応答して、送信を停止してもよい。これは、HAPが他の施設との通信範囲にあるたびに繰り返されてもよい。HAPが同時に複数の施設との通信範囲にある場合、通信構成と送信されるデータの量に応じて、HAPは異なる施設から同時に、順次に、または他の送信スケジュールに従って情報を受信してもよい。
図8Aおよび
図8Bは、それぞれ、2つのビュー800および810を示し、点線を介して、HAPがある位置から他の位置へ移動するときに、HAPが異なる施設、システム、または遠隔コンポーネントと直接同時に通信してもよいことを示す。
【0065】
1つのシナリオでは、ローカルで取得したデータを施設で格納して処理することができる。この場合、データはその後、処理された形態でHAPに転送される。このデータ接続は、HAPまたは一連のHAPが施設の通信範囲内にあるとき、連続的または周期的なバースト送信モードのいずれかであることができる。処理されていない(生の)データまたは部分的に処理されたデータもHAPに送信してもよい。この場合、そのようなデータは、HAPのコンピューティングシステムによって処理されてもよいし、分散処理アプローチのためにネットワーク内の他のHAPと共有されてもよい。例えば、処理は、デバイスまたはシステム生産性、平均故障間隔(MTBF)予測、補給または在庫管理のためのジャストインタイム(JIT)評価などに関するデータ分析を行うことを含んでもよい。あるいは、遠隔施設から受信されたデータは、処理することなくHAPによって維持され、その後、地上局(例えば、バックオフィスシステム、クラウドストレージなど)に提供されてもよく、そこでデータをオフラインで処理および評価することができる。
【0066】
HAPによって取得されたデータは、直接または他のHAPへの中継のいずれかによって、地上局に中継される。この取得されたデータは、エンドユーザ(例えば、本社、OEMなど)に送信されたり、さらなる分析、予測分析などのためにクラウドコンピューティングプラットフォームに格納されたりすることができる。処理が行われる場所に関係なく、処理済みデータは、エンドユーザ、OEM、顧客、または他のエンティティによって、予知保全間隔、システム故障の早期診断、トラブルシューティング、商用課金のための実行時間の計算、資産追跡(例えば、移動資産の地理追跡)、エネルギー管理、または他の目的のうちの1つまたは複数の機能のために使用することができる。
【0067】
上述したように、場合によっては、任意の施設から送信されるデータは、低帯域幅のもの(例えば、高度に圧縮された画像またはデータファイル)であるか、そうでなければ低データレート送信(例えば、1-100kbps)を必要とすることがある。送信するデータの量およびHAPがステーション上にある時間は、どのようにして、いつデータを効率的に送信するかを決定するために、施設、HAP、または地上局によって評価することができる。1つのシナリオでは、最初のHAPがステーション上にあるとき、いつ同じまたは他のHAPが次にステーション上にあるかについて施設に情報を提供することができる。例えば、HAPの一団は、あるサービスエリア(例えば、
図7A~
図7Bのベーカーズフィールおよびラスベガス)上で継続的なカバレッジを提供するかもしれないが、その一団は、施設が配置される他のエリアでは断続的なカバレッジのみを提供するかもしれない。したがって、このシナリオでは、最初のHAPは施設に対して、HAPが次に24時間、1週間、あるいはそれより長いか短いかのうちにステーション上にあることを示してもよい。この表示は、特定の時刻、送信の時間枠、帯域幅能力、および/または施設とHAPとの間の効果的な通信を可能にする他の情報を含んでもよい。一例では、ステーション上に到着したHAPは、ビーコンまたは他の識別子を施設に送信して、その到着をアナウンスすることができる。この識別子は、HAPの通信能力に関する情報(例えば、RFおよび/または光通信、サポートされるプロトコル、サポートされる機器など)、施設から情報を受信するために利用可能な時間や帯域幅の量、または施設がそのデータを送信する準備を可能にする他の情報を含んでもよい。ビーコンまたは他の識別子は、施設がHAPへのデータを送信し始めるために、通信範囲内にHAPがある時間の前に施設が通知されることを可能にする方法で送信されてもよい。
【0068】
次のHAPがいつステーション上にあるかを決定するために、地上局または一団内の1つまた複数のHAPは、現在の飛行情報(例えば、現在位置、方位、速度、高度、気象条件など)、予測される飛行情報(例えば、将来の気象パターン、カバレッジ要件または目標、予測される電力可用性など)、帯域幅およびデータ格納能力や制約、および/または他の情報を分析してもよい。この分析は、任意のHAPまたは一連のHAPがオポチュニスティックにサポートし得る1つまたは複数の対象施設を識別することを含んでもよい。これに基づいて、任意のHAPまたは一連のHAPのための飛行計画が生成され、それぞれのプラットフォームの制御システムに提供される。そして、各HAPは、1つまたは複数の対象施設のステーション上に到着するために、必要に応じて、その様々な飛行システム(例えば、
図5に示すようなナビゲーションおよび測位システム)を調整または維持することができる。
【0069】
したがって、HAP一団は、オフピークのデータ送受信だけでなく、一次的な動作を補完するための二次的なユースケースやビジネスモデルを効果的にサポートすることができる。これは、HAPが一次的なサービスエリア間を移動するときに、一団の運営者に補足的な収入源を提供することができる。
方法の例
【0070】
図9は、1つまたは複数の遠隔施設とバックエンドシステムとの間でオポチュニスティック型通信を提供する方法の例900を示す。ブロック902において、方法は、1つまたは複数の遠隔施設のうちの任意の1つに対して、高高度プラットフォーム(HAP)のステーション上への予想される到着時間を決定することを含む。HAPはHAPの一団の一部である。ブロック904において、ステーション上への予想される到着時間およびHAPのための通信ウィンドウが任意の遠隔施設に伝達される。これは、例えば、一団内の他のHAP、衛星または他のリンクを介した通信などによって行われてもよい。ブロック906では、ステーション上に到着すると、HAPと任意の遠隔施設との間で通信が可能になる。これは、例えば、デバイスの真正性、デバイスの状態、採用する通信プロトコル、および/または他のデータ送信前の前駆動作を検証するためのハンドシェイク接続を含んでもよい。任意の遠隔施設からのデータがHAPに送信されると、ブロック908において、受信されたデータはHAPのローカルメモリに格納される。ここで、任意の遠隔施設から受信されたデータは、任意の遠隔施設に関連するコンポーネント、システム、または施設動作のうちの少なくとも1つに関する情報を含む。そして、ブロック910において、受信されたデータは、続いて、HAPから、HAPの一団内の他のHAPまたは地上局のいずれかに送信される。例として、これは、HAPが任意の遠隔施設のエリアを離れ、もはやその施設のステーション上にいなくなった後に発生する可能性がある。データを他のHAPに渡すことは、メッシュネットワーキングアプローチの一部であってもよい。あるいは、HAPが地上局の地理的位置のステーション上にあると、データは地上局に直接渡されてもよい。
【0071】
これらのプロセスはフロー図では1つの順序で示されているが、システムのニーズや要件に応じて、異なる順序で行われても、並行して行われてもよい。
【0072】
特に記載がない限り、前述の代替例は相互に排他的ではなく、独自の利点を達成するために様々な組み合わせで実施され得る。上述した特徴のこれらおよび他の変形や組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用することができるため、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例示として捉えられるべきである。さらに、本明細書に記載された例の規定、ならびに「など」、「含む」などと表現された条項は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、例は多くの可能な実施形態のうちの1つのみを示すことを意図している。さらに、異なる図面における同一の参照番号は、同一または類似の要素を識別することができる。