(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】接合相手部材の位置検出を備えた超音波溶着装置
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
B23K20/10
(21)【出願番号】P 2022525844
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2019080248
(87)【国際公開番号】W WO2021089124
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522080546
【氏名又は名称】シュンク ソノジステム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】ガッセルト, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ムラー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ワゲンバッハ, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーナー, ヴァルデマー
(72)【発明者】
【氏名】グンター, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コーゼキー, ダリウス
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コホ, オイゲン
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0200827(US,A1)
【文献】特開2002-305066(JP,A)
【文献】特表2018-534744(JP,A)
【文献】特開平09-168895(JP,A)
【文献】実開昭63-041393(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 - 20/26
B23K 37/04
H01R 43/00 - 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波溶着装置内で溶着される複数の
導電性接合相手部材(15)の所望の位置を検出する機能を有する超音波溶着装置(1)であって、前記超音波溶着装置が少なくとも以下の構成要素:
ソノトロード(3)、
アンビル(5)、
接触要素(7)、
横摺動部(9)、
第1の停止要素(11)、および
複数の
導電性接合相手部材(15)を収容し、前記超音波溶着装置の複数の境界部品(3,5,7,9)により規定される受入室(13)を含み、
前記受入室は、第1の側が前記ソノトロードの表面(21)により、前記第1の側に対向する第2の側が前記アンビルの表面(23)により規定され、
前記受入室はさらに、第3の側が前記接触要素の表面(25)により、かつ前記第3の側に対向する第4の側が前記横摺動部の表面(27)により規定され、
少なくとも前記第1の停止要素により想定され得る位置決め構成において、前記受入室は、さらに、前記第1の側から前記第4の側に対して横方向に延びる第5の側が前記受入室の方に向けられた前記第1の停止要素の表面(37)により規定され、
前記第1の停止要素は、前記受入室の方に向けられたその表面を導電性にして第1の電極(39)を形成し、
前記ソノトロード、前記アンビル、前記接触要素、および前記横摺動部を含む前記受入室を規定する前記複数の境界部品のうちの少なくとも1つは、各場合において前記受入室の方に向けられたその表面(21,23,25,27)を導電性にして第2の電極(41)を形成し、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気的閉鎖を検出し、それに基づいて、溶着される少なくとも1つの
導電性接合相手部材の所望の位置決めを検出するように構成される、超音波溶着装置。
【請求項2】
前記受入室に向けられた前記停止要素の前記表面(37)および前記受入室を規定する前記複数の境界部品のうちの少なくとも1つの前記表面(21,23,25,27)の間に電気絶縁が配置されている、請求項1に記載の超音波溶着装置(1)。
【請求項3】
前記第2の電極(41)を形成する表面は前記受入室に隣接して横に延びている、請求項1または2に記載の超音波溶着装置。
【請求項4】
前記第2の電極を形成する表面は縦に延びている、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【請求項5】
前記接触要素は、前記受入室の横方向に隣接し、前記受入室に対して水平方向に静止して配置され、
前記第2の電極を形成する表面は、前記受入室に向けられた前記接触要素の表面である、請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【請求項6】
前記第1の停止要素は引き込み位置と引き抜き位置との間で変位可能であり、
前記第1の停止要素は、前記引き込み位置では、前記第5の側で前記受入室を規定し、前記引き抜き位置では、前記受入室を前記第5の側で開放したままにしておく、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【請求項7】
前記第1の停止要素を前記引き込み位置と前記引き抜き位置との間で能動的に変位させるように構成された駆動装置(29)をさらに含む、請求項6に記載の超音波溶着装置(1)。
【請求項8】
第2の停止要素(45)をさらに含み、
前記受入室は、少なくとも前記第2の停止要素により想定され得る位置決め構成において、前記第5の側に対向する第6の側が前記受入室に向けられた前記第2の停止要素の表面(53)によりさらに規定され、
前記第2の停止要素は、前記受入室を向いたその表面を導電性にして第3の電極(55)を形成し、
前記超音波溶着装置は、前記第3の電極と前記第2の電極との間の電気的閉鎖を検出し、それに基づいて、溶着されるべき少なくとも1つの
導電性接合相手部材の所望の位置を検出するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【請求項9】
前記第2の停止要素は、引き込み位置と引き抜き位置との間で変位可能で、前記第2の停止要素は、前記引き込み位置では、少なくとも前記第6の側のある領域で前記受入室を規定し、前記引き抜き位置では、前記第6の側で前記受入室を開放したままにする、請求項8に記載の超音波溶着装置。
【請求項10】
前記第2の停止要素は、それぞれが前記第6の側に沿った方向に互いに平行に延びる複数の細長いセグメント(47)を含み、
前記セグメントの各々は、隣接するセグメントとは独立して、前記引き込み位置と前記引き抜き位置との間で変位可能である、請求項
9に記載の超音波溶着装置。
【請求項11】
前記超音波溶着装置は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気的な閉鎖を検出すると、前記超音波溶着装置の操作者に知覚可能な信号を発するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【請求項12】
前記超音波溶着装置は、専ら前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気的な閉鎖を検出することに基づいて溶着動作を実行可能に構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【請求項13】
前記超音波溶着装置は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気的な閉鎖を検出すると、溶着動作の実行を自動的に開始するように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波溶着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野において、2つの部品を機械的に確実にかつ/あるいは電気的に結合することが必要な場合がある。例えば、様々な目的で、ケーブルまたはその素線を機械的かつ電気的に結合することが必要となる場合がある。これは、例えば、ワイヤーハーネスまたはケーブル織機を製造するのに使用することができ、これを用いて、例えば、車両内の電気消費部材を、互いに、エネルギー源および/または制御システムに電気的に接続することができる。
【0003】
いわゆる超音波溶着は、導電性部品同士を物質的に結合させ、高い強度と良好な電気伝導性を持たせるために開発された。これは特殊な形態の摩擦溶着で、接合相手部材または溶着材料とも呼ばれる複数の接合対象部材を互いに面接触させ、低圧かつ高周波の機械的振動のもとで互いに移動させるものである。この場合、ソノトロード(sonotrode:超音波を発生し、その振動エネルギーを媒体に伝える装置)の助けを借りて振動を発生させることができ、典型的には20kHz~50kHzの周波数の超音波振動が発生し、複数の接合相手部材の少なくとも一方に伝達される。その結果、塑性流動により、各接合相手部材の材料が必ずしも溶融することなく、各接合相手部材同士が表面近くで浸透または噛み合わされる。そのため、超音波溶着は、各接合相手部材に及ぼす影響が少なく、迅速かつ経済的にこれらの部材を接合することができる。
【0004】
超音波溶着は、特に、例えば、接合される2本以上のケーブルの素線、または、例えば、一緒に溶着されるケーブルの素線の2本以上の個別ワイヤなどの金属接合相手部材の溶着に使用することもできる。この目的のために、各接合相手部材は、一般に、超音波溶着装置の受入室に挿入され、次に、超音波振動するソノトロードとアンビルの間で一緒に溶着される。
【0005】
超音波溶着において、超音波溶着過程の間の各接合相手部材の相対的な位置決めは、形成される溶着の品質に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、各接合相手部材として溶着される1本、2本またはそれ以上の素線の端部は、超音波溶着装置の受入室に、ソノトロードとアンビルとの間で互いにほぼ整列して受け取られるように、互いにできるだけ正確に重ね合わせて配置し、一緒に溶着し得るようにする必要がある。
【0006】
今まで、超音波溶着装置の操作者は、溶着するケーブルの素線を超音波溶着装置の受入室内に正しく配置することに気を配らなければならなかった。このため、素線の端部を合わせるための目印が受入室内に設けられていた。
【0007】
いわゆるエンドスプライスの形でケーブルを溶着するために、すなわち、両方のケーブルが同じ方向から超音波溶着装置の受入室に挿入される場合、いわゆる素線端止めの形の停止要素を手動で取り付け板にねじ込み、次にこの取り付け板を超音波溶着装置の適切な位置に取り付けることも知られている。ケーブルの素線を、その前面を停止要素に接するように、受入室内に配置することができた。しかし、このような停止要素の取り付けは複雑であり、使用しないときは再び取り外さなければならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の要約および有利な実施形態
操作が簡単で、多くの溶着作業にわたって形成される溶着接合部の高品質、好ましくは一貫した品質を容易にし、かつ/あるいは様々な目的、特に異なる種類の溶着スプライスを生成するために簡単な方法で構成される、2つ以上の接合相手部材を溶着する超音波溶着装置の必要性が存在することがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような必要性は、独立請求項の発明の主題により満たされる。有利な実施形態は、従属請求項および以下の説明で定義される。
【0010】
本発明の一態様によれば、超音波溶着装置の内部で溶着される複数の接合相手部材の所望の位置関係を検出する機能を備えた超音波溶着装置が記載される。超音波溶着装置は、少なくとも、ソノトロード、アンビル、接触要素、横摺動部、複数の接合相手部材を収容し、超音波溶着装置の境界の構成要素により規定される受入室、および停止要素を構成要素として含む。停止要素は、以下に説明するように、少なくとも1つの追加の停止要素が必要に応じて提供されるので、本明細書では第1の停止要素と称される。受入室は、第1の側がソノトロードの表面により規定され、第1の側に対向する第2の側がアンビルの表面により規定される。受入室は、さらに、第3の側が接触要素の表面により規定され、第3の側に対向する第4の側が横摺動部の表面により規定される。受入室は、少なくとも第1の停止要素により想定される位置決め構成において、第1~第4の側に対して横方向に延びる第5の側が受入室の方に向けられた第1の停止要素の表面によりさらに規定される。第1の停止要素は、第1の電極を形成するために、受入室の方に向けられたその表面が導電性である。ソノトロード、アンビル、接触要素、および横摺動部を含む受入室を規定する複数の境界部品の少なくとも1つは、第2の電極を形成するために、それぞれの場合に受入室の方に向けられたその表面が導電性である。超音波溶着装置は、第1の電極と第2の電極との間の電気的閉鎖を検出し、それに基づいて、溶着されるべき複数の接合相手部材の少なくとも1つの所望の位置決めを検出するように構成される。
【0011】
本発明の範囲を何ら限定することなく、本発明の実施形態に関連する着想および可能な構造は、特に、以下に説明する思考および知見に基づくものと考えることができる。
【0012】
溶着される各接合相手部材は、溶着過程前および溶着過程中に超音波溶着装置の受入室に収容されている。受入室は、通常、各接合相手部材を限られた容積で収容するように、少なくとも4つの側で規定されている。対向する2つの側、すなわち例えば上部と下部に関しては、受入室は、一方ではソノトロードの表面により、他方ではアンビルの表面により規定されることがある。ソノトロードおよび/またはアンビルは、これら2つの構成要素が互いに関連して、互いに向かってまたは互いから離れて移動されるように変位可能であってもよく、このようにして、受入室を、第1の方向、例えば垂直方向に小さくまたは大きくすることができる。先に述べた2つの側に対して横方向、好ましくは垂直に延びるさらに2つの対向する側、例えば左側と右側に関して、受入室は、一方では接触要素の表面により、他方では横摺動部の表面により規定されてもよい。接触要素および/または横摺動部は、これら2つの構成要素が互いに対して、互いに向かってまたは互いから離れて移動されるように、再び変位可能であってよく、このようにして、受入室を、上記第1の方向に対して垂直に延びる第2の方向に小さくまたは大きくすることが可能である。この場合、前記構成要素の表面は、枠、特に四角形の枠のように受入室を囲むことができる。前記構成要素により規定されていない第5または第6の側を介して、各接合相手部材を、枠状に囲まれた受入室に挿入または押し込むことができる。
【0013】
「一方の側で受入室を規定する」という表現は、それぞれの場合に述べられる構成要素のそれぞれの表面により生成される境界を越えて各接合相手部材が移動できなくなるという趣旨に理解される。この目的のために、それぞれの表面は、それぞれの側で受入室を完全に覆ってよい。あるいは、各接合相手部材が受入室内に保持されることが確保される限り、それぞれの側が受入室を部分的に被覆するだけ十分である。
【0014】
2つのそれぞれ対向する構成要素、すなわちソノトロードとアンビル、または接触要素と横摺動部は、好ましくは、受入室の容積を一時的に減少させ、特に、そこに収容された各接合相手部材を互いに接触するように押し付けることができるように、互いに対して、特に互いに向かって移動させることができる。
【0015】
各接合相手部材を比較的小さな受入室のみに提供することで、この受入室は、ほとんど細長い各接合相手部材が受入室に押されるか挿入される方向に対して横方向に前述の4つの構成要素により枠状に囲まれ、実際の溶着作業が始まる前に、すなわち各接合相手部材がソノトロードとアンビルの間で互いに押し付けられる前に、各接合相手部材が少なくとも互いに対してほぼ所定の位置で受入室に配置されていてもよいし、そうしなければならないということが実現される。例えば、複数の接合相手部材として機能する2本のケーブルの素線とその端部を剥離したものを、ソノトロードとアンビルを一緒にしたときに互いにしっかりと接触するように受入室内に配置することが実現される。
【0016】
超音波溶着装置が、ソノトロードとアンビルが上下から収容容積を規定するように構成されている場合、これは、2つのケーブル端が有利に垂直に重なって配置されていることを意味する。このような配置は、一般に溶着結果に好影響を与えるが、横に並べて配置された素線は、しばしば溶着が不十分なことがある。
【0017】
ここに記載された超音波溶着装置はまた、第1の停止要素を持つことであり、その助けにより、受入室の第5の側もまた規定される。この第5の側は横方向に、好ましくは他の構成要素により枠状に規定されている上述の他の4つの側に対して直角に延びている。第5の側に関して、第1の停止要素は、このようにして、第5の側と対向する第6の側との間に他の方法で生じるような、枠状に規定されている受入室を通る通路を閉鎖することができる。
【0018】
したがって、1つ以上の接合相手部材を第6の側から受入室に挿入しても、受入室の第5の側から出たり、第5の側の受入室からはみ出したりすることはない。その代わりに、細長い接合相手部材の前面は、受入室に向けられた停止要素の表面に到達し接触するだけである。
【0019】
したがって、溶着される1つ以上の接合相手部材は、それぞれ受入室に挿入され、それらの前端面が停止要素に接して整列するように、または複数の接合相手部材の場合にはそれらの前端面が互いの上および/または隣に整列して配置されるように前端面を停止要素に押しつけられてもよい。各接合相手部材を、超音波溶着装置を操作する使用者が挿入してもよいし、他の機械が挿入してもよい。
【0020】
受入室の第5の側に停止要素を設けることにより、各接合相手部材を相対的に整列させた構成で受入室に挿入することが非常に容易になる。例えば、人は、第6の側から来るケーブルを、ケーブルが反対側に配置された停止要素に突き当たるのを感じるまで、受入室に押し込むことができる。原理的には、超音波溶着装置の操作者は、このようにして、ケーブルが受入室に正しく挿入されたかどうかを、触覚的に、すなわち、感触で検出することができる。従って、一般に、ケーブルの位置関係を目視で確認する必要はない。
【0021】
しかし、超音波溶着装置の実際の使用中に、超音波溶着装置の操作者が、例えば注意力散漫や集中力欠如により、溶着作業を開始する前に超音波溶着装置の受入室内で複数の接合相手部材を所望の位置に配置しないことが繰り返し観察されている。したがって、少なくとも場合によっては、各接合相手部材は、例えば、生成されたスプライスにより達成される電気伝導度の変動および/またはスプライスの機械的強度の変動をもたらし得る不十分な品質で溶着されることがあった。
【0022】
そこで、超音波溶着装置に付加された機能により、作業者が溶着する各接合相手部材を正しく位置決めすることを支援する方法が模索された。
【0023】
これを可能にするために、受入室に向けられた第1の停止要素の表面を、導電性の第1の電極として構成し、受入室を横方向に囲む構成要素の少なくとも1つの受入室に向けられた表面を、同じく導電性の第2の電極として構成することが提案される。さらに、超音波溶着装置は、これら2つの電極の間に電気的閉鎖が発生したとき、すなわち、2つの電極が導電性要素により互いに接続されたとき、識別できるようになっていることが好ましい。電気的閉鎖は、ここでは、例えば、2つの電極間の空隙と比較して比較的低い電気抵抗を有するケーブルなどの導電性要素により確立されるように、第1の電極と第2の電極との間の電気的接続とみなされる。超音波溶着装置は、電気的閉鎖を、受入室に挿入された接合相手部材が所望の位置に配置されたことを意味すると解釈できることが望ましい。
【0024】
これは、溶着されるケーブルは、あらかじめ両端を剥いて導電性の素線を露出させておくのが一般的であることを考慮したものである。各ケーブルは素線が露出した状態で超音波溶着装置の受入室に挿入される。ケーブルが、一方では第1の電極を形成する停止要素の表面にその前面で接し、他方では受入室を囲む部品の1つの第2の電極を形成する表面に横方向に接するとき、ケーブルが所望の位置に配置されるように、受入室およびそれを横方向に規定する部品の構成を選択することができる。このような位置関係で、露出した素線は、第1の電極を第2の電極に電気的に接続する。したがって、このように2つの電極の間に電気的な閉鎖が形成された場合、これは各ケーブルが正しく配置されたことの検出機能としてみなすことができる。
【0025】
一実施形態によれば、受入室に向けられた停止要素の表面と、受入室を規定する複数の境界部品の少なくとも1つの表面の間に、電気絶縁が配置される。
【0026】
言い換えれば、第1の電極を形成する停止要素の表面は、少なくとも、受入室に挿入されたケーブルのような超音波溶着装置の一部ではない任意の要素がこれらの2つの表面の間の回路を相互に閉じない限り、中間電気絶縁体により第2の電極を形成する部品の表面と電気的に絶縁されている。
【0027】
この場合、電気絶縁は、2つの電極を形成する表面を空間的に離すことで、かつ/あるいは、これらの表面またはそれらを有する構成要素の間に位置する電気絶縁材料でできた絶縁要素で達成することができる。
【0028】
原則的に、第2の電極は、受入室を規定する部品のいずれか1つ、すなわちソノトロード、アンビル、接触要素または横摺動部の受入室に向けられた表面により形成される。ケーブルが、この表面により形成された第2の電極と、第1の接触要素に形成された第1の電極の両方に接触すると、これにより生じる電気的閉鎖の検出により、ケーブルがその面端で停止要素まで到達し、こうして所望の方法で受入室内で挿入方向に位置決めされることが保証される。
【0029】
しかし、ケーブルが受入室内のどこに位置するかを、位置の方向に対して横方向に検出することは、すべての場合において可能ではない。例えば、第2の電極が、受入室を底部に規定するソノトロードの水平に延びる表面により形成される場合、受入室が十分に広いことを条件として、ケーブルは、異なる位置、例えば、その中央で、あるいはその横縁のうちの1つでソノトロードに接触し得る。
【0030】
一実施形態によれば、第2の電極を形成する表面は、受入室に隣接して横に延びていてもよい。
【0031】
別の表現をすれば、第2の電極を形成する表面は、横方向に受入室に接していてもよく、すなわち、水平方向で見たときに受入室に隣接していてもよい。言い換えれば、第2の電極は、底部または上部の受入室を規定する表面ではなく、左側または右側の受入室を規定する表面により形成されてもよい。
【0032】
このようにして、受入室に挿入されたケーブルは、受入室の最外側縁で、第2の電極を形成する表面と接触し、第1の電極との電気的閉鎖を生じさせることができるように、当接される。このような位置決めの場合にのみ、超音波溶着装置は、接合相手部材としてのケーブルが所望の位置決めに配置されたことを、生成された電気的閉鎖により検出する。これにより、超音波溶着装置が正しく位置決めされたことを検出すると、ケーブルは、その前面が第1の停止要素上にあり、その周面が受入室を横方向に規定する面にあることが保証される。このようにして、各接合相手部材の位置決めは、2つの方向、すなわち、受入室への挿入方向とこの挿入方向に対して横方向に水平な方向の両方で、再現性よく確認することができる。
【0033】
一実施形態によれば、第2の電極を形成する表面は、垂直に延びていてもよい。
【0034】
原理的には、第2の電極を形成する表面は、水平に対して他の角度、すなわち水平に対して斜めに延びていてもよい。ただし、第2の電極を形成する表面は垂直に向いているのが有利であり、受入室に挿入された接合相手部材がこの表面に特に容易に当接される。
【0035】
特に、一実施形態によれば、接触要素は、受入室に横方向に隣接して配置され、受入室に対して水平方向に静止していてもよく、第2の電極を形成する面は、受入室に向けられた接触要素の面であってもよい。
【0036】
接触要素は、通常、溶着部内に、受入室を横方向に規定する面に配置される。接触要素は、固定されていてもよいし、例えば、前記面内でアンビルと共に移動させてもよい。このように、当接要素は、接合相手部材を受入室内に所望の方法で配置するために横に当接させることができる停止部として特に適している。
【0037】
一実施形態によれば、第1の停止要素は、引き込み位置と引き抜き位置との間で変位可能である。この場合、引き込み位置では、第1の停止要素は、第5の側で受入室を規定し、引き抜き位置では、第5の側で受入室が開いたままにする。
【0038】
第5の側を規定する停止要素は、ある場合には、邪魔になったり、望ましくないことがあることが分かった。例えば、超音波溶着装置をいわゆるインラインスプライスの溶着にも使用できることが望ましい場合がある。インラインスプライスとしての構成で溶着されたケーブルは、電線の延長を形成し、一方、エンドスプライスとしての構成は、電線の一種の戻りと考えることができる。超音波溶着でインラインスプライスを行うには、ケーブルを対向する2つの側から受入室に挿入する。従って、この応用目的のためには、少なくとも受入室の互いに対向する第5および第6の側は、停止要素で永久に規定されないことが望ましい。
【0039】
したがって、超音波溶着装置の一体型構成要素として第1の停止要素を提供することが提案される、すなわち、第1の停止要素は、超音波溶着装置の他の構成要素に恒久的に接続され、相互作用する。しかしながら、第1の停止要素は、好ましくは、超音波溶着装置内の静止位置に固定されるべきではなく、むしろ、第1の停止要素を、第1のいわゆる引き込み位置と第2のいわゆる引き抜き位置との間で移動されるように構成することが提案される。引き込み位置では、第1の停止要素は、その第5の側で受入室を規定する。従って、この構成では、それは、第6の側から受入室に挿入される1つ以上の接合相手部材のための機械的停止部として機能することができる。しかし、引き抜き位置では、停止要素は、少なくとも、1つ以上の接合相手部材が第5の側から受入室に挿入されることができる程度に第5の側を覆い隠していない。別の表現をすれば、本明細書に記載の超音波溶着装置の停止要素は、好ましくは、例えば、エンドスプライスまたはインラインスプライスのいずれで溶着されるかに応じて、選択的に引き込まれるか引き抜かれる。引き込み位置と引き抜き位置とは、数mm~数cm、例えば2mm~10cm、好ましくは4mm~4cm、互いに離れていてよい。
【0040】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、第1の停止要素を引き込み位置と引き抜き位置との間で能動的に変位させるように構成された駆動装置をさらに含む。
【0041】
すなわち、超音波溶着装置は、単に受動的に移動させるべき第1の停止要素のみを持つのではなく、例えば、超音波溶着装置を操作する人により、引き込み位置と引き抜き位置との間で変位させることが好ましい。その代わりに、超音波溶着装置は、第1の停止要素を引き込み位置から引き抜き位置へ、かつ/あるいはその逆へ能動的に変位させ得る駆動装置を持つものとする。第1の停止要素の変位は、このような駆動装置により自動化されてもよい。駆動装置は、電源に接続されてもよい。さらに、駆動装置は、制御システムに接続されてもよいし、その動作が制御される統合制御システムを備えてもよい。
【0042】
停止要素の変位性およびその変位に使用され得る駆動装置の詳細は、本願の出願人が本願と同日に出願する予定の、「変位可能な停止要素を備えた超音波溶着装置」の名称を有する特許出願に記載されている。この並行特許出願は、駆動装置、接合相手部材検出装置、人・機械インターフェース、変位可能な停止要素の実際の位置を検出するためのセンサシステム、および第1の停止要素を誘導するためのガイドの可能な実施形態も記載する。この並行する特許出願の内容は、参照により本特許出願に完全に組み込まれるものとする。
【0043】
さらに発展した実施形態によれば、超音波溶着装置は、第2の停止要素をさらに含んでもよい。受入室は、少なくとも第2の停止要素により想定される位置決め構成において、受入室の方に向けられた第2の停止要素の表面により、第5の側に対向する第6の側でさらに規定される。第2の停止要素は、第3の電極を形成するために、受入室に向けられたその表面で導電性である。この場合、超音波溶着装置は、さらに、第3の電極と第2の電極との間の電気的な閉鎖を検出し、それに基づいて、溶着されるべき複数の接合相手部材のうちの少なくとも1つの所望の位置決めを検出するように構成されている。
【0044】
このように、第2の停止要素は、第1の停止要素の反対側に配置され、2つの停止要素がそれらの間に受入室を規定するようにしてもよい。この場合、第1の停止要素は、第6の側から受入室に挿入された複数の接合相手部材が第1の停止要素に当接し、そこで受入室の縁に直接到達するがそれを超えて突出しないように位置付けるために使用されてもよい。これに対して、第2の停止要素は、対向する第5の側から挿入される各接合相手部材について同様の作業を行うために、すなわち、それらが受入室の対向する縁に達するがそれを超えて突出しないように、それらの前面を第2の停止要素に当接させることで位置付けるために使用されてもよい。このように、2つの停止要素により、各接合相手部材は、超音波溶着過程の後に高品質のインラインスプライスを形成するために、対向する両側から次々と受入室に収容され、適切に位置決めされる。
【0045】
上述の第1の停止要素に関しても同様に、超音波溶着装置は、第2の停止要素により形成される第3の電極と、受入室を横方向に規定する部品の1つにより形成される第2の電極との間の電気的閉鎖を検出できるように構成されることが好ましい。そのような電気的閉鎖が検出される場合、超音波溶着装置は、接合相手部材が第2の停止要素に隣接して所望の位置に配置され、かつ第2の電極を形成する横方向の構成要素に接していることを検出に基づいて特定することができる。
【0046】
一実施形態によれば、第2の停止要素は、引き込み位置と引き抜き位置との間で変位可能であってもよく、引き込み位置では、第2の停止要素は、少なくとも第6の側のある領域に受入室を規定し、引き抜き位置では、第6の側で受入室を開けたままにしておく。
【0047】
別の表現をすれば、第2の停止要素は、第1の停止要素と同様に、引き込み位置と引き抜き位置の間で変位可能であってよい。したがって、第1の停止要素がその引き込み位置に配置されている間、第2の停止要素は、受入室の第6の側が開いており、1つ以上の接合相手部材が第1の停止要素に当接するまでその側から受入室内に押し込まれるようにその引き込み位置に変位させられてもよい。その後、第1の停止要素はその引き抜き位置に変位させられ、第2の停止要素はその引き込み位置に移動される。この構成では、受入室の第5の側は、そこから来る1つ以上の接合相手部材が、第2の停止要素に当接するまで受入室内に押し込まれ得るように、次に開けられる。第1および第2の停止要素は、互いに独立してまたは互いに依存して変位することができる。これらはさらに、完全または部分的に自動化された方法で変位させることができる。
【0048】
詳細な実施形態によれば、この場合、第2の停止要素は、それぞれが第6の側に沿った方向に互いに平行に延びた複数の細長いセグメントを含んでもよい。セグメントの各々は、隣接するセグメントとは独立して、引き込み位置と引き抜き位置との間で変位可能であってもよい。
【0049】
すなわち、第2の停止要素は、好ましくは、複数個の部品の形態であってよい。第2の停止要素によりその第6の側に形成される受入室の境界は、この場合、複数のセグメントで構成されてもよい。個々のセグメントは細長く、第6の側に沿うかその延長線上に、あるいはそれに平行に延びていてもよい。この場合、様々なセグメントは互いに平行に延びていてもよく、したがって、それらが引き込み位置に変位したとき、その表面で受入室の第6の側の少なくとも特定の領域を覆っていてもよい。
【0050】
各セグメントは、引き込み位置と引き抜き位置との間で互いに独立して変位することができる。別の表現をすれば、セグメントの各々は、隣接するセグメントとは独立して、その長手延長の方向に変位してもよい。したがって、セグメントのうちのいくつかは、例えば、その引き抜き位置に留まり、セグメントのうちの他のものは、その引き込み位置または中間位置に変位させられてもよい。
【0051】
第2の停止要素のこのセグメント状の構造は、それにより受入室の第6の側に組み入れられる境界が、必要に応じて、第6の側全体ではなく、その一部のみを覆うことができるという効果を持つ。これは、例えば、第6の側から入って来る複数の接合相手部材が、受入室がその第6の側でもはや完全に閉じられないように、受入室内に予め配置されている場合に有利である。この場合、既に挿入された各接合相手部材が外側に延びる第6の側の部分領域を覆うことになるそれらのセグメントは、その引き抜き位置に留まることができ、一方、他のセグメントは、その引き込み位置に変位することで第6の側の隣接する部分領域を覆うことができる。引き込み位置に変位したセグメントは、対向する第5の側から挿入される各接合相手部材の物理的な停止部を形成してもよい。
【0052】
超音波溶着装置は、本出願人が並行して出願した特許出願に記載された他の詳細と同様に、第2の停止セグメントを進ませる駆動装置をさらに備えてもよい。
【0053】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、第1の電極と第2の電極との間の電気的閉鎖を検出すると超音波溶着装置の操作者に知覚可能な信号を発するように構成される。
【0054】
言い換えれば、超音波溶着装置は、第1の電極と第2の電極を形成する構成要素の間に、第1の電極と第2の電極の間に電気的接続が存在するかどうかを恒久的にまたはある時間間隔でチェックする監視装置を含んでいてもよい。この目的のために、例えば電極間に電圧を印加し、それに応答して電流が流れるかどうかを監視することができる。このようにして電気的な閉鎖が検出されると、超音波溶着装置は、操作者が視覚的、音響的、触覚的、または他の何らかの方法で知覚することができる信号を発してもよい。この目的のために、超音波溶着装置は、例えば、小型ランプ、LED、視覚表示器、スピーカー、警告音発生器などを備えてもよい。操作者は、この信号を知覚すると、例えば、受入室に挿入したケーブルが正しく配置されたことを認識することができる。
【0055】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、追加であるいは代わりに、第1の電極と第2の電極との間の電気的閉鎖の検出のみに基づく溶着動作の実行を可能にするように構成されてもよい。
【0056】
別の表現をすれば、超音波溶着装置は、2つの電極間の電気的閉鎖が事前に検出された場合にのみ溶着動作を実行することができ、したがって、溶着相手部材が受入室内に正しく配置されたと仮定することができる。この目的のために、2つの電極は、例えば、安全回路の一部であってよく、超音波溶着装置が溶着動作を開始する前に電気的に閉じられなければならない。
【0057】
一実施形態によれば、超音波溶着装置は、追加であるいは代わりに、第1の電極と第2の電極との間の電気的閉鎖を検出すると、溶着動作の実行を自動的に開始するように構成されてもよい。
【0058】
この場合、例えば、超音波溶着装置は、操作者が例えば開始ボタンを押して手動で溶着動作を開始する必要をなくすことができる。その代わりに、超音波溶着装置は、2つの電極間の電気的な閉鎖が検出されるまで待機し、その後、溶着されるべき各接合相手部材が受入室に正しく配置されたと仮定し、そこで溶着動作を開始することができる。必要なら、自動超音波溶着装置が操作者に危険を及ぼすことを防止するために、追加の安全対策が講じられなければならない。
【0059】
なお、本発明の実施形態の可能な構造および利点は、本明細書において、一部は本発明に従って構成された超音波溶着装置を参照し、一部はこれを操作または使用する態様を参照して説明されている。当業者は、個々の実施形態について説明された構造を、類似の方法で他の実施形態に好適に移転し、本発明のさらなる実施形態に到達するために順応させ、かつ/あるいは交換し、相乗効果をもたらす可能性があることを認識している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明の有利な実施形態を、添付の図面を参照して以下にさらに説明するが、図面および説明はいずれも、本発明を何ら限定するものとして解釈されないものとする。
【0061】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波溶着装置の大幅に簡略化した側面図である。
【0062】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による超音波溶着装置を、第1の停止要素がその引き込み位置にある第1の構成で示す透視図である。
【0063】
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る超音波溶着装置を、第2の停止要素がその引き込み位置にある第2の構成で示す透視図である。
【0064】
図は単なる模式図であり、縮尺通りではない。様々な図面における同一の参照数字は、同一の構造または同一の効果を持つ構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波溶着装置1の大幅に簡略化した図である。また、超音波溶着装置1は、
図2および
図3に、具体的な実施形態における2つの異なる構成を透視図で示し、いくつかの主要構成要素に関して幾分詳細に示す。
【0066】
超音波溶着装置1は、ソノトロード3、アンビル5、接触要素7および横摺動部9を含む。前記構成要素は、第1のケーブルの第1の素線17および第2のケーブルの第2の素線19のような複数の接合相手部材15を収容し得る受入室13を枠状に取り囲む。受入室13の第1の側(図示の例では底部)は、この場合、ソノトロード3の表面21で規定される。受入室13の第1の側に対向する第2の側(図示の例では上部)は、アンビル5の表面23で規定される。受入室13の第3の側(図示の例では右側)は、接触要素7の表面25で規定される。さらに、受入室13の第3の側に対向する第4の側(図示の例では左側)は、横摺動部9の表面27で規定される。図示の例では、ソノトロード3およびアンビル5の表面21および23はそれぞれ水平でかつ互いに平行に延びており、一方、当接要素7および横摺動部9の表面25および27はそれぞれ垂直でかつやはり互いに平行に延びている。従って、前記表面21、23、25、27で規定される受入室13は、近似的に立方体である。
【0067】
特に
図2および
図3の透視図から容易に分かるように、横摺動部9の後方には、第1の停止要素11が設けられている。この第1の停止要素11は、
図2に示すように、第5の側(図示の例では背面)で受入室13を規定する引き込み位置に配置されてもよい。必要に応じて、第1の停止要素11は、それが第5の側で受入室13を開いたままにする引き抜き位置に変位させることができる。
【0068】
なお、
図2および
図3には、わかりやすくするために、超音波溶着装置の主要構成要素の一部のみを示しているが、以下に説明する任意の構成要素の一部は、
図1では模式的に示されているだけで、また
図2および
図3では省略されている。
【0069】
第1の停止要素11は、駆動装置29により引き込み位置と引き抜き位置との間で変位方向31に沿って変位させることができる。このため、駆動装置29は、制御システム35により制御されてもよい。制御システム35は、別個の構成要素であってもよいし、駆動装置29に統合されていてもよい。
【0070】
さらに、制御システム35は、変位可能なアンビル5および/または変位可能な横摺動部9の変位動作も制御することができる。さらに、制御システム35は、ソノトロード3の動作を制御することもできる。
【0071】
超音波溶着装置1の操作者が、例えば、接合相手部材15として機能する2本の素線17,19を受入室13内のこの目的に有利と考えられる位置に配置したかどうかを検出できるように、超音波溶着装置1は、そのような配置を検出できる機能を備えている。
【0072】
このため、図示の例では、受入室13に向けられた第1の停止要素11の少なくとも表面37は導電性であり、したがって第1の電極39として機能する。さらに、図示の例では、受入室13の方に向けられた接触要素7の表面25は導電性であり、したがって第2の電極41として機能する。この場合、超音波溶着装置1においてこのように形成された2つの電極39,41は、超音波溶着装置1自体の構成要素を介してそれらの間に電気的接続が存在しないように、電気的絶縁材料または構成要素により互いに分離されている。
【0073】
この場合、超音波溶着装置1は、これら2つの電極39,41の間の電気的な閉鎖を検出するように構成されている。このため、例えば、制御装置35は電極39,41を形成する部材に電気的に接続され、これら2つの部材間の電気経路の閉鎖を検出するようにしてもよい。
【0074】
このような電気的閉鎖は、
図2に示すように、接合相手部材15として機能するケーブルの剥離された素線17により生じさせることができる。ケーブルが受入室13の内部で好ましい位置に配置されると、一方では、その前面の素線17は、受入室13に向けられた係止部材11の表面37として形成される第1の電極39に接触し、他方では、受入室13に向けられた接触要素7の表面25として形成される第2の電極41に接触する。
【0075】
これによる電気的閉鎖のため、制御システム35は、例えば、信号発生装置43を制御して、超音波溶着装置1の操作者が知覚できる信号を発信させてもよい。その代わりあるいはそれに加えて、制御システム35により、2つの電極39,41の間の電気的閉鎖が検出され、したがって、各接合相手部材15の所望の位置決めが想定された場合にのみ溶着動作が実行されることが提供される。その結果、自動的に溶着動作を開始させることもできる。
【0076】
図3は、第2の停止要素45が少なくともある領域で引き込み位置に変位した超音波溶着装置1の構成を示す図である。第2の停止要素45は、第5の側に対向する第6の側に、受入室13に隣接して延びている。したがって、第2の停止要素45は、第5の側から受入室13に挿入された各接合相手部材15のための機械的な止め具として機能し得る。
【0077】
第2の停止要素45は、第1の停止要素11のような単純な一枚板として構成されておらず、複数の細長いセグメント47を有している。セグメント47は、互いに独立して、引き込み位置および/または引き抜き位置に変位させることができる。この目的のために、セグメント47の各々は、駆動装置(図示せず)により変位され得るセグメント移動要素49に結合されている。ただし、セグメント移動要素49は、駆動装置の動きを関連するセグメント47に剛体的に伝達しない。その代わりに、セグメント47は、ばね51を介してセグメント可動要素49に結合される。このようにして、それぞれのセグメント47が、そのセグメント移動要素49により引き込み位置に向かって強く作動させられると、引き込み位置に向かって弾性的に付勢されるが、実際には必ずしも引き込み位置に向かって移動しないことを達成できる。むしろ、引き込み位置への移動中に、受入室13に配置された各接合相手部材15などの障害物に遭遇したセグメント47は、この障害物により停止させられることがある。次いで、これらのセグメント47は、弾性的に付勢された態様で障害物に押し付けられる。これは、受入室13に既に配置されている各接合相手部材15を一時的に固定するのに使用されてもよい。これは、
図3で、下側の3つのセグメント47について図示されている。障害物に遭遇しないそれらのセグメント47は、引き込み位置に向かって変位する。それらは受入室13の境界を形成し、その上に反対側から挿入された各接合相手部材が機械的に当接し、その結果整列される。これは、
図3で、上部4つのセグメント47について図示されている。
【0078】
このように第3の電極55を形成するために、第2の停止要素45は受入室13に向けられたその表面53で再び導電性を有している。超音波溶着装置1またはその制御システム35は、この場合、この第3の電極55と接触要素7上の第2の電極41との間の電気的閉鎖を検出するように構成されている。
【0079】
このようにして、後方の第6の側から受入室13に挿入されるケーブルの素線が、第2の停止要素45に当接されたか、さらに接触要素7に隣接して所望の方法で配置されたか否かも検出される。
【0080】
超音波溶着装置1内部で溶着される各接合相手部材15の所望の位置関係を検出する機能のここに述べた手法により、溶着の品質を一定に保ちつつ、超音波溶着装置1の操作性、特に経験の浅い操作者の操作性を容易に実現することができる。特に、溶着の継ぎ目が正しい位置にあるか否かを検出することができる。その結果、製造される溶着スプライスの品質を一定にすることができる。これにより、不良品の生産を大幅に防止することができる。
【0081】
最後に、「有する」、「含む」などの用語は、他の要素または工程を除外するものではなく、「one」または「a」などの用語は、複数を除外するものではないことに留意されたい。なお、上記の例示的な実施形態の1つを参照して説明された構造または工程は、上記の他の例示的な実施形態の他の構造または工程と組み合わせて使用することもできる。特許請求の範囲における参照数字は、限定とみなされない。
【符号の説明】
【0082】
参照番号一覧
1 超音波溶着装置
3 ソノトロード
5 アンビル
7 接触要素
9 横摺動部
11 第1の停止要素
13 受入室
15 接合相手部材
17 第1の素線
19 第2の素線
21 ソノトロードの表面
23 アンビルの表面
25 接触要素の表面
27 横摺動部の表面
29 駆動装置
31 第1の停止要素の変位方向
33 横摺動部の変位方向
35 制御システム
37 第1の停止要素の表面
39 第1の電極
41 第2の電極
43 信号発生装置
45 第2の停止要素
47 セグメント
49 セグメント移動要素
51 ばね
53 第2の停止要素の表面
55 第3の電極