(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】エアブリッジの製造方法、エアブリッジ構造及び超伝導量子チップ
(51)【国際特許分類】
H10N 60/10 20230101AFI20240213BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240213BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240213BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240213BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240213BHJP
H10N 60/82 20230101ALI20240213BHJP
H10N 60/01 20230101ALI20240213BHJP
【FI】
H10N60/10 K
H01L21/302 105Z
H01L21/30 570
H01L21/90 N
H10N60/82
H10N60/01 W
(21)【出願番号】P 2022530982
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021121480
(87)【国際公開番号】W WO2022105450
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】202011309305.2
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517392436
【氏名又は名称】▲騰▼▲訊▼科技(深▲セン▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TENCENT TECHNOLOGY (SHENZHEN) COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】35/F,Tencent Building,Kejizhongyi Road,Midwest District of Hi-tech Park,Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518057,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】515206126
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米倣生研究所
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU INSTITUTE OF NANO-TECH AND NANO-BIONICS(SINANO),CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No 398, Ruoshui Road, SEID, SIP Suzhou, Jiangsu 215125 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 文▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】淮 ▲賽▼男
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲亞▼▲鋭▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 加▲貴▼
(72)【発明者】
【氏名】熊 康林
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲孫▼安
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111063657(CN,A)
【文献】特開平04-215458(JP,A)
【文献】特開平08-008340(JP,A)
【文献】特開平08-288384(JP,A)
【文献】特開2001-102393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/10
H10N 60/82
H10N 60/01
H01L 21/027
H01L 21/3065
H01L 21/768
H01L 23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアブリッジの製造方法であって、前記方法は、
前記エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させるステップと、
前記ベース及び前記ブリッジサポート材料上にパターニングフォトレジストを塗布するステップと、
前記エアブリッジの開口要求に基づき前記パターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行うステップであって、前記開口要求は前記エアブリッジの橋床上に開口する位置要求を含む、ステップと、
露光パターニング処理後の前記パターニングフォトレジスト上に現像処理を行うステップと、
現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、且つ前記パターニングフォトレジストをリリースするステップと、
前記開口の箇所からエッチング材料をリリースし、前記ブリッジサポート材料をエッチングし、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得するステップと、を
含み、
前記エアブリッジの開口要求に基づき前記パターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行う前記ステップは、
前記パターニングフォトレジスト上の前記ブリッジサポート材料に対応する領域にマスクを被覆するステップと、
前記パターニングフォトレジスト上に光照射を施し、前記露光パターニング処理を行うステップと、を含み、
現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、且つ前記パターニングフォトレジストをリリースする前記ステップは、
前記現像処理後の前記ブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、基礎エアブリッジを獲得するステップであって、前記基礎エアブリッジ上に前記開口を有しない、ステップを、含み、
前記開口の箇所からエッチング材料をリリースし、前記ブリッジサポート材料をエッチングし、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得する前記ステップは、
前記基礎エアブリッジに開口を製造することに用いられるフォトレジストを塗布するステップと、
前記開口を製造することに用いられるフォトレジスト上のパターニング領域にマスクを被覆するステップであって、前記パターニング領域は開口位置以外の領域であり、前記開口の位置は前記パターニングフォトレジスト上の前記エアブリッジ上の開口に対応する位置である、ステップと、
前記マスクに基づき前記基礎エアブリッジに対して開口処理を行い、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得するステップと、を含む、エアブリッジの製造方法。
【請求項2】
エアブリッジの製造方法であって、前記方法は、
前記エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させるステップと、
前記ベース及び前記ブリッジサポート材料上にパターニングフォトレジストを塗布するステップと、
前記エアブリッジの開口要求に基づき前記パターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行うステップであって、前記開口要求は前記エアブリッジの橋床上に開口する位置要求を含み、マスクが被覆される前記パターニングフォトレジスト上のパターニング領域は開口域以外の領域であり、前記開口の位置は前記パターニングフォトレジスト上の前記エアブリッジ上の開口に対応する位置であり、前記パターニングフォトレジスト上に光照射が施される、ステップと、
露光パターニング処理後の前記パターニングフォトレジスト上に現像処理を行うステップと、
現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、且つ前記パターニングフォトレジストをリリースすることによって、前記エアブリッジに開口を形成するステップと、
前記開口の箇所からエッチング材料をリリースし、前記ブリッジサポート材料をエッチングし、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得するステップと、を含む、エアブリッジの製造方法。
【請求項3】
前記開口は前記エアブリッジの橋導入部分に位置し、又は、前記開口は前記エアブリッジの橋導入部分及び橋脚部分に位置し、
前記開口が前記橋導入部分に位置
する場合、前記パターニング領域は前記橋脚部分に対応する第1領域、橋頂部分に対応する第2領域、及び前記橋導入部分における非開口部分に対応する第3領域を含み、
前記開口が前記橋導入部分及び前記橋脚部分に位置
する場合、前記パターニング領域は前記橋頂部分に対応する第2領域、及び前記橋導入部分及び前記橋脚部分における非開口部分に対応する第4領域
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクに基づき前記基礎エアブリッジに対して開口処理を行い、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得する前記ステップは、
前記開口を製造することに用いられるフォトレジスト上に光照射を施し、前記開口を製造することに用いられるフォトレジストに対して露光処理を行うステップと、
露光処理後の前記開口を製造することに用いられるフォトレジストに対して現像処理を行い、前記エアブリッジの開口パターンを獲得するステップと、
前記開口パターンに基づき前記基礎エアブリッジ上にエッチングを行い、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得するステップと、を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記開口パターンに基づき前記基礎エアブリッジ上にエッチングを行い、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得する前記ステップは、
前記開口パターンに基づき前記基礎エアブリッジ上にエッチングを行い、且つ前記エアブリッジの周側の、前記開口を製造することに用いられるフォトレジストをリリースするステップと、
前記開口の箇所からエッチング材料をリリースし、前記ブリッジサポート材料をエッチングし、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得するステップと、を含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させる前記ステップは、
前記ベース上に前記パターニングフォトレジストを塗布するステップと、
前記エアブリッジの前記ベース上での位置に基づいて、前記パターニングフォトレジストに対して露光現像処理を行い、前記ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得するステップと、
前記ベース上の前記堆積領域中に前記エアブリッジの形状に整合する前記ブリッジサポート材料を堆積させるステップと、を含む、請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ベース上に前記パターニングフォトレジストを塗布する前記ステップは、
前記ベース上にボトムレジストフォトレジストを塗布するステップと、
前記ボトムレジストフォトレジスト上に前記パターニングフォトレジストを塗布するステップであって、前記ボトムレジストフォトレジストと前記パターニングフォトレジストとは現像方式は異なる、ステップと、を含み、
前記ベース上の前記堆積領域中に前記エアブリッジの形状に整合する前記ブリッジサポート材料を堆積させる前記ステップの前に、さらに、
前記堆積領域内にある前記ボトムレジストフォトレジストに対してエッチング処理を行うステップを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記ベース上の前記堆積領域中に前記エアブリッジの形状に整合する前記ブリッジサポート材料を堆積させる前記ステップの後に、さらに、
前記ボトムレジストフォトレジスト及び前記パターニングフォトレジストをリリースするステップを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記エアブリッジは全体式エアブリッジであり、
前記方法はさらに、
前記全体式エアブリッジ上に予め設定した距離おきに1つ又は1グループの前記開口を設置するステップを含む、請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記超伝導量子チップ中にベース基板と、前記ベース基板上に集積された量子線路と、エアブリッジ構造と、を含み、前記エアブリッジ構造が、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法で製造される、超伝導量子チップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は回路構造分野に関し、特にエアブリッジの製造方法、エアブリッジ構造及び超伝導量子チップに関する。
【0002】
本願は2020年11月20日に提出された出願番号が第202011309305.2号であり、発明の名称が「エアブリッジの製造方法、エアブリッジ構造及び超伝導量子チップ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全部の内容は引用によって本願中に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
エアブリッジは一種の回路構造であり、三次元ブリッジ型構造で平面回路の架橋を実現する一種の方式であり、各種のチップ上に適用する。ブリッジと回路との間の媒体がエア又は真空であるため、エアブリッジ又は真空ブリッジと呼ばれ、一般に空気ブリッジとも略称される。
【0004】
エアブリッジを製造する過程において、まず橋梁をサポートするサポート物体を製造する必要があり、この部分のサポート物体はブリッジサポート材料と呼ばれる。関連技術において、エアブリッジの製造過程において、非フォトレジストのブリッジサポート材料(例えば二酸化シリコン、及び酸化亜鉛)を使用し、ブリッジサポート材料の上部にブリッジ材料を堆積させ、それからフォトレジストの塗布、露光、及び現像を行い、フォトレジスト上の空気ブリッジ構造に対応する位置の箇所に保護レジストを被覆し、残りの位置のブリッジ材料をエッチングし去る。その後、レジスト除去剤を使用してすべてのフォトレジストを除去し、最後にブリッジサポート材料をリリースしてエアブリッジを獲得する。
【0005】
しかし、上記方式によってエアブリッジ、特に全体式エアブリッジを製造するときに、ブリッジの奥行きが長いので、ブリッジサポート材料をリリースするときに、アーチの下の内部に大量のブリッジサポートの残滓がとても残りやすく、デバイスの品質が比較的大きな影響を受けることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例はエアブリッジの製造方法、エアブリッジ構造及び超伝導量子チップを提供しており、エアブリッジの製造精度及び品質を向上させることができる。前記技術的手段は以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、エアブリッジの製造方法を提供しており、前記方法は、
前記エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させるステップと、
前記ベース及び前記ブリッジサポート材料上にパターニングフォトレジストを塗布するステップと、
前記エアブリッジの開口要求に基づき前記パターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行うステップであって、前記開口要求は前記エアブリッジの橋床上に開口する位置要求を含む、ステップと、
露光パターニング処理後の前記パターニングフォトレジスト上に現像処理を行うステップと、
現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、且つ前記パターニングフォトレジストをリリースするステップと、
前記開口の箇所からエッチング材料をリリースし、前記ブリッジサポート材料をエッチングし、前記開口を有する前記エアブリッジを獲得するステップと、を含む。
【0008】
別の態様は、エアブリッジ構造を提供しており、前記エアブリッジ構造中にベースと橋体とを含み、
前記橋体は前記ベース上に位置し、
前記橋体の橋床上に前記橋床を貫通する開口を有する。
【0009】
別の態様は、超伝導量子チップを提供しており、前記超伝導量子チップ中にベース基板と、前記ベース基板上に集積された量子線路と、を含み、
前記超伝導量子チップ中に、さらに上記実施例中に記載のエアブリッジ構造を含む。
【発明の効果】
【0010】
本願の実施例が提供する技術的手段がもたらす有益な効果は少なくとも以下を含む。
【0011】
パターニングフォトレジスト上にパターニング露光処理を行うことによって、橋床上に橋床を貫通する開口構造を設置し、エアブリッジを製造する過程において、該開口構造によってブリッジサポート材料をリリースし、開口位置からエッチング材料をリリースしてブリッジサポート材料をエッチングし、ブリッジサポート材料のリリースの完全性を確保し、アーチの下の内部にブリッジサポート材料の残滓が残ることを回避し、エアブリッジの全体的なデバイス品質を向上させ、エアブリッジの製造精度を向上させる。
【0012】
また、複数種の異なる開口方式は、異なるニーズの全体式空気ブリッジの製造を満足させることができる。二種の異なるエアブリッジの製造方法を提供し、異なる製造ニーズのエアブリッジの構成を満足させ、伝統的なプロセスのブリッジサポートのリリース時間が長過ぎることによるエッチングガスのその他のデバイスに対する損傷を回避できる。また、ブリッジサポートのリリース過程の効果を高め、エッチングガスの成分を変更する必要がない。エッチングガスは、開口によりブリッジサポートのリリース後にブリッジサポートの残滓を残さないことを実現できる。プロセス過程全体はベース上のその他のデバイス及び構造に対して破壊を引き起こすことがなく、サンプルの良好な形態及び性能を維持する。開口なし設計と比較して、開口設計を導入することは、全体式空気ブリッジの直線及び湾曲部分の構造的破壊、例えば凹み、及び破断等を回避でき、フリップチップの空気ブリッジの製造、特にフリップチップ超伝導量子チップの全体式空気ブリッジの製造に適用することができる。
【0013】
本願の実施例中の技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述中に使用される必要がある図面に対して簡単に紹介する。明らかなように、以下記述中の図面は単に本願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働をしない前提下で、さらにこれらの図面に基づいてその他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジの断面構造の模式的なものである。
【
図2】本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジ上の異なる位置の開口の平面図である。
【
図3】本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジ構造の模式図である。
【
図4】本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジの製造方法のフローチャートである。
【
図5】
図4に示す実施例に基づき提供するブリッジサポート材料の堆積過程の模式図である。
【
図6】本願の1つの例示的実施例が提供する方法Aに対応するエアブリッジの製造方法のフローチャートである。
【
図7】
図6に示す実施例に基づき提供する方法Aに対応するエアブリッジ製造過程の模式図である。
【
図8】
図6に示す実施例に基づき提供する方法Aによって橋頂部分の開口を設置する過程の模式図である。
【
図9】本願の1つの例示的実施例が提供する方法Bに対応するエアブリッジの製造方法のフローチャートである。
【
図10】
図9に示す実施例に基づき提供する方法Bに対応するエアブリッジ製造過程の模式図である。
【
図11】本願の1つの例示的実施例が提供する全体式エアブリッジの開口の箇所の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の目的、技術的手段及びメリットをより明確にするために、以下、図面に併せて本願の実施形態に対して更に詳細な説明をする。
【0016】
エアブリッジは一種の回路構造であり、三次元ブリッジ型構造で平面回路の架橋を実現することに用いられる。エアブリッジはマイクロナノ加工方法によって製造する一種の構造であり、回路中にエアブリッジ構造を導入することは、低インダクタンス、及び低フリンジ容量の交差相互接続等の問題を解決でき、伝統的なワイヤー溶接技術に比較して極めて大きな長所を有する。エアブリッジ製造のキーポイントはその構造の堅固さを保証する必要があることであり、高温、及び振動の環境中に空气ブリッジは自体形状を維持できて陥没、及び破断等が出現しない。
【0017】
エアブリッジは各種のチップ、例えば、フリップチップ(FC、Flip-chip)中に応用でき、超伝導量子チップを例とすると、超伝導回路中の合理的な位置にエアブリッジ構造を加えることは多くの利点を有する。1、チップリンクのインピーダンス整合を効果的に改善し、2、量子ビットサンプルの配線空間を増加し、3、損耗があるデバイス又はプロセスの一部をビット領域から転移して複雑なプロセス下でのビットデコヒーレンスを向上させ、4、ビット制御間のアイソレーションを増加し、特にフリップチップ中に、底基板と頂基板とのアイソレーションを効果的に増大できる。
【0018】
フリップチップ技術(Flip Chip Technology)とは集積回路チップ(Integrated Circuit Chip、ICチップ)の面を下に向け、パッケージケーシング又は配線基板と直接相互接続する一種の技術を指し、また反転チップ技術と呼ばれる。フリップチッププロセスを経て獲得するチップはフリップチップと呼ばれる。
【0019】
ブリッジサポートとはエアブリッジを製造する過程において、まず製造する必要があるサポート物体を指す。すなわち、エアブリッジを製造するときに、まずブリッジサポートを製造する必要があり、ブリッジサポートの基礎上にエアブリッジ構造を製作し、且つブリッジサポートをリリースし、それにより1つの独立するエアブリッジを獲得する。ここで、ブリッジサポートはエアブリッジの形状に整合し、すなわち、ブリッジサポートはエアブリッジのアーチの下部分の形状と整合し、それによりブリッジサポート上にブリッジ材料を堆積させ、且つブリッジサポートをリリースした後に、すなわちアーチの下部分が空になるエアブリッジを獲得できる。
【0020】
本願の実施例においては、エアブリッジの橋床上に開口が設置されており、該開口はブリッジサポート材料をリリースするために人為的に設計して加える穴構造であり、エアブリッジの橋頂、橋脚、及び橋導入箇所に分布する。注意に値するように、開口の概念は本願の実施例中に提案されるものである。
【0021】
例示的に、
図1は本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジの断面構造の模式的なものである。
図1に示されるように、該エアブリッジ100の構造中に橋頂110、橋導入120、橋脚130及び製造過程中に導入されるブリッジサポート140を含む。ここで、エアブリッジ100全体はベース150の上に位置する。ブリッジサポート140がリリースされた後に、エアブリッジ100を獲得し、ブリッジサポート140の元の領域はエア又は真空領域になり、該エア又は真空領域が貫通する領域はすなわちエアブリッジ100のアーチの下である。
【0022】
図2は本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジ上の異なる位置の開口の平面図である。
図2に示されるように、ブリッジサポート211上のエアブリッジ212は開口を有しないエアブリッジであり、ブリッジサポート221上のエアブリッジ222は橋脚及び橋導入部分に開口を有するエアブリッジであり、ブリッジサポート231上のエアブリッジ232は橋導入部分に開口を有するエアブリッジであり、ブリッジサポート241上のエアブリッジ242は橋頂部分に開口を有するエアブリッジである。
【0023】
いくつかの実施例においては、橋脚、橋導入及び橋頂部分の開口が貫通するときに、1つの完全な全体式空気ブリッジを複数の分離式空気ブリッジに分割する。ここで、分離式空気ブリッジとはエアブリッジとエアブリッジとの間が連結せず、各自が独立するエアブリッジであるものを指し、全体式空気ブリッジとは一連の空気ブリッジ間が相互に部材を介して接続され、1つのエアブリッジ全体を形成するものを指す。
【0024】
関連技術においては、超伝導空気ブリッジの製造方法はレジストに基づく方法を主とする。すなわちフォトレジストの還流性質を利用し、フォトレジストをアーチ型に製造する。その後、その上部に材料を堆積させ、それから二次レジスト塗布、露光及び現像を行い、空気ブリッジ構造の位置の箇所に保護レジストを被覆し且つ残りの位置の材料をエッチングし去り、最後にレジスト除去剤を使用してすべてのフォトレジストを除去し、空気ブリッジを獲得する。
【0025】
たが、フリップチップ超伝導量子チップに関するプロセスステップは雑多であり、プロセスによるビットとする接合デバイスに対する影響を減少するために、エアブリッジ構造の製造はフリップチッププロセスの初期段階で行われることになる。これは、エアブリッジが後続の非常に多いプロセスの過程において破壊されないことを必ず保証することを意味する。従って非フォトレジストのブリッジサポートを使用する必要があり、且つ後続のプロセスにおいてブリッジサポートを常時に保留し、最終的なフリップチッププロセス直前まで、ブリッジサポートをリリースし去る。該方法は超伝導回路中の普通の全体式空気ブリッジについては、ブリッジの奥行きが長いので、ブリッジサポートをリリースするときに、アーチの下の内部に大量のブリッジサポートの残滓がとても残りやすく、デバイスの品質が極大な影響を受けることになる。
【0026】
関連技術においては、エッチングプロセスを改良することによってブリッジサポートのリリースの精度を向上させる。改良されたエッチングプロセスはエッチングガスの成分を変更すること、エッチング時間を調整すること、及びエッチング後に排出した排気の成分を検出すること等の方法によってブリッジサポートリリースの効果を改善するが、アーチの下内の奥にあるブリッジサポート材料について、効果的に除去することは依然としてとても難しい。まとめると、以下の欠点がある。
【0027】
1:エッチングガスの成分を変更することは、一般に機器上にガス路を追加する必要があり、機器改造の困難に関し、
2:排気成分の検出はさらなる検出装置を必要とし、コストが増加し、
3:排気成分の検出を利用してエッチング時間を調整する方法は、エッチング時間の延長を引き起こすことになり、超伝導チップ上の接合デバイスの性能に対して比較的大きな影響を有し、
4:エッチングガスの成分の修正はメタノール等の可燃性及び爆発性ガスに関し、生産現場又は実験室の安全に対して隠れた災禍を引き起こす。
【0028】
このほか、開口がない全体式空気ブリッジは、とても橋床の不平坦、例えば突起、凹み、及び起伏等を起こしやすく、橋導入箇所もとても破断しやすい。
【0029】
上記説明に併せて、まず、本願の実施例中に関するエアブリッジ構造に対処して説明を行う。
図3のように、それは本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジ構造300の模式図を示し、該エアブリッジ構造300中にベース310と橋体320とを含み、
ここで、橋体320はベース310上に位置し、橋体320の橋床上に橋床を貫通する開口321を有する。
【0030】
いくつかの実施例においては、橋床は橋脚部分、橋導入部分及び橋頂部分のうちの少なくとも一種を含み、この場合、開口位置は以下の状況のうちの任意の一種を含み、
第1、開口は橋導入部分に位置し、
第2、開口は橋導入部分及び橋脚部分に位置し、
第3、開口は橋頂部分に位置し(例えば
図3に示し出される開口321)、
第4、開口は橋頂部分及び橋導入部分に位置し、
第5、開口は橋頂部分、橋導入部分及び橋脚部分に位置する。
【0031】
本願の実施例においては、主に関する開口位置は、橋導入部分、橋導入部分及び橋脚部分、並びに橋頂部分である。
【0032】
以上のように、本実施例が提供するエアブリッジ構造は、橋床上に橋床を貫通する開口構造を設置し、それによりエアブリッジを製造する過程において、開口構造によってブリッジサポート材料をリリースでき、開口位置からエッチング材料をリリースしてブリッジサポート材料をエッチングし、ブリッジサポート材料のリリースの完全性を確保し、アーチの下の内部にブリッジサポート材料の残滓が残ることを回避し、エアブリッジの全体的なデバイス品質を向上させ、及びエアブリッジの製造精度を向上させる。
【0033】
図4は本願の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジの製造方法のフローチャートであり、
図4に示されるように、該エアブリッジの製造過程中は以下を含む。
【0034】
ステップ401:エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させる。
【0035】
ブリッジサポート材料の形状がエアブリッジの形状に整合すること、すなわち、ブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させることによって、橋体の形状が正確なエアブリッジを直接獲得できる。
【0036】
選択可能に、該ブリッジサポート材料は二酸化シリコン材料又は酸化亜鉛である。
【0037】
いくつかの実施例においては、ブリッジサポート材料の堆積過程において、まずベース上にパターニングフォトレジストを塗布する必要があり、該パターニングフォトレジストは露光現像によってブリッジサポート材料の堆積領域を獲得することに用いられる。すなわち、エアブリッジのベース上での位置に基づいて、パターニングフォトレジストに対して露光現像を行い、ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得し、ベース上の堆積領域中に、エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料を堆積させる。
【0038】
いくつかの実施例においては、まずベース上にボトムレジストフォトレジストを塗布し、ボトムレジストフォトレジスト上にパターニングフォトレジストを塗布する。ここで、ボトムレジストフォトレジストとパターニングフォトレジストとは現像方式が異なり、すなわちボトムレジストフォトレジストはパターニングフォトレジストの現像液と反応が発生することがない。エアブリッジのベース上での位置に基づいて、パターニングフォトレジストに対して露光現像を行い、ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得した後に、さらに堆積領域内にあるボトムレジストフォトレジストに対してエッチング処理を行う必要があり、ベース上の堆積領域中に、エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料を堆積させる。ボトムレジストの領域制御が存在するため、それによりブリッジサポート材料の堆積領域内での形状制御の柔軟性がより高く、効果がよりよい。
【0039】
例示的に、ブリッジサポート材料の堆積過程においては、
図5に示される過程を含む。
【0040】
501:ベースを洗浄する。ここで、洗浄方式は有機洗浄及び無機洗浄のうちの少なくとも一種を含み、有機洗浄とはアセトン、イソアセトン又は脱イオン水によって洗浄を行うことを指し、無機洗浄とはリン酸、硫酸又はピラニア溶液によって洗浄を行うことを指す。選択可能に、洗浄方法は超音波洗浄及び加熱洗浄のうちの少なくとも一種を含む。
【0041】
502:第1フォトレジストをボトムレジストとしてスピンコーティングする。
【0042】
スピンコーティングした後に第1フォトレジストに対して第1ベークを行う。第1ベークの温度は第1フォトレジストのソフトベイクの温度であり、第1フォトレジストはポリメタクリル酸メチル(Poly Methyl Meth Acrylate、PMMA)フォトレジストである。
【0043】
503:第1フォトレジスト層上に第2フォトレジストを図形定義層としてスピンコーティングする。
【0044】
ここで、第1フォトレジストは第2フォトレジストの現像液と反応が発生しない。
【0045】
第2フォトレジストに対して第2ベークを行う。第2ベークの温度は第2フォトレジストのソフトベーク温度である。
【0046】
504:第2フォトレジストに対して露光パターニングを行う。
【0047】
ここで、露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含み、ベーク温度は第2フォトレジストのプリベーク温度である。
【0048】
505:現像定着後にブリッジサポートを堆積及び剥離することに用いられる構造を獲得する。
【0049】
506:ボトムレジストをエッチングする。
【0050】
ここで、ボトムレジストをエッチングするエッチング方法は物理エッチング、化学エッチング又は物理と化学とを併せるエッチングを含む。物理エッチングはイオンビームエッチングを含み、用いられるイオンビームはアルゴンイオンであり、化学エッチングはプラズマエッチングを含み、雰囲気は酸素ガス及び/又はアルゴンガスである。
【0051】
507:ブリッジサポート材料を堆積させる。ブリッジサポート材料を堆積させる方法は電子ビーム蒸発、及び熱蒸発等の指向性制御が良好な堆積方法である。
【0052】
508:すべてのレジスト層をリリースする。すなわち上記第1フォトレジスト及び第2フォトレジストをリリースする。第1フォトレジスト及び第2フォトレジストをベースから剥離するときに、一回の剥離又は二回の剥離によって完了する。ここで、第1フォトレジストと第2フォトレジストとのレジスト除去剥離液が同じであれば、一回の剥離であり、もし異なれば、二回の剥離である。剥離時の温度は20℃-100℃である。
【0053】
ステップ402:ベース及びブリッジサポート材料上にパターニングフォトレジストを塗布する。
【0054】
いくつかの実施例においては、該パターニングフォトレジストはすなわち上記
図5に示し出される第2フォトレジストであり、すなわちブリッジサポート材料及びベース上に第2フォトレジストを再び塗布する。
【0055】
又は、別のいくつかの実施例においては、ベース及びブリッジサポート材料上に第3フォトレジストを上記パターニングフォトレジストとして塗布し、第3ベーク温度は第3フォトレジストのソフトベーク温度である。ここで、第3フォトレジストは第2フォトレジストと異なるフォトレジストである。第3フォトレジストはネガ型又は反転フォトレジストである。
【0056】
ステップ403:エアブリッジの開口要求に基づきパターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行う。
【0057】
該開口要求はエアブリッジの橋床上に開口する位置要求を含む。本願の実施例においては、エアブリッジ上の開口は主に、1、橋導入部分、2、橋導入部分及び橋脚部分、3、橋頂部分という三種の位置に関する。本願の実施例においては、異なる開口位置に対処して、二種の製造方法を提供している。
【0058】
ここで、方法A及び方法Bで説明を行う。方法Aにおいては、直接パターニングフォトレジストに対して露光パターニングを行うことによって開口構造を獲得し、それによりブリッジ材料を堆積させた後に、開口付きのエアブリッジを獲得する。
【0059】
方法Bはパターニングフォトレジスト上のブリッジサポート材料に対応する領域で露光を行い、パターニングした完全ブリッジ領域を獲得し、ブリッジ材料を堆積させる。その後、再び開口を製造することに用いられるフォトレジストをパターニングすることによって開口設置を行う。最後に開口を製造することに用いられるフォトレジストの開口領域によってブリッジ材料に対して、エアブリッジ上の開口のエッチングを行う。
【0060】
それゆえ、本実施例においては、開口要求に基づきパターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行うことは2つの意味を含む。
【0061】
第1に(方法Aそれとも方法Bを使用するかを決定する)、開口位置が橋導入部分、又は、橋導入部分及び橋脚部分にあり、且つ製造方法が上記方法Aを採用することを要求するときに、方法Aのパターニング方式を採用してパターニングフォトレジスト上に露光パターニング処理を行う。
【0062】
開口位置が橋導入部分、又は、橋導入部分及び橋脚部分、又は、橋頂部分にあり、且つ製造方法が上記方法Bを採用することを要求すれば、方法Bのパターニング方式を採用してブリッジサポート材料に対応する領域上に露光パターニング処理を行う。
【0063】
第2に(方法Aを使用する時の露光パターニング領域)、方法Aのパターニング方式を採用して露光パターニング処理を行うときに、開口の具体的な設置位置に基づいて対応する領域に露光処理を行う。
【0064】
ここで、パターニング露光処理とはパターニングフォトレジスト上のパターニング領域にマスクを被覆し、且つパターニングフォトレジスト上に光照射を施すことを指す。パターニング領域は開口位置以外の領域であり、開口位置はパターニングフォトレジスト上のエアブリッジ上の開口に対応する位置である。
【0065】
露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含み、ベークの温度はパターニングフォトレジストのプリベーク温度である。ここで、パターニング過程は、分離式空気ブリッジパターン及び全体式空気ブリッジパターンを含み、ここで全体式空気ブリッジは橋脚及び/又は橋導入部分に開口パターンを有する空気ブリッジである。
【0066】
ここで、分離式空気ブリッジパターンとは、予め設定した距離おきに1つのパターニングフォトレジストに対して露光を行い、それにより複数の分離式エアブリッジを獲得することを指す。開口を含有する全体式空気ブリッジパターンとは、予め設定した距離おきに橋脚及び/又は橋導入部分の開口に対して露光パターニングを行い、予め設定した距離おきに開口が設置されている全体式エアブリッジを獲得することを指す。
【0067】
すなわち、いくつかの実施例においては、該エアブリッジは全体式エアブリッジであり、全体式エアブリッジ上に予め設定した距離おきに1つ又は1グループの開口を設置する。
【0068】
ステップ404:露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト上で現像処理を行う。
【0069】
選択可能に、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト上で現像を行う。すなわちパターニングフォトレジストに対するパターニングエッチングを完了する。ここで、現像処理過程中に現像ステップ及び定着ステップを含み、現像ステップは露光パターニングした部分に対して露呈を行うことに用いられ、定着ステップは露光パターニングした部分に対して固定を行うことに用いられる。
【0070】
ステップ405:現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ且つパターニングフォトレジストをリリースする。
【0071】
選択可能に、ブリッジ材料はアルミニウム材料として実現される。いくつかの実施例においては、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジストは以下の少なくとも二種の状況を含む。
【0072】
1:上記方法Aを採用して開口設置を行うときに、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト中に、開口を設置する必要がある位置のフォトレジストを保留し、ブリッジ材料を堆積させる必要があるその他の位置のフォトレジストを現像し去り、それによりブリッジ材料を堆積させた後に、直接開口付きのエアブリッジを獲得する。
【0073】
2:上記方法Bを採用して開口設置を行うときに、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト中に、ブリッジサポート材料の両側のパターニングフォトレジストを保留し、且つエアブリッジ構造がある位置のパターニングフォトレジストを現像し去り、それによりブリッジ材料を堆積させた後に、開口構造を有しないエアブリッジを獲得し、且つフォトレジストを塗布し続けて開口構造を有しないエアブリッジ上にパターニングすることによって開口領域を獲得し、それから開口領域のブリッジ材料をエッチングして開口を獲得する。
【0074】
ステップ406:開口の箇所からエッチング材料をリリースし、ブリッジサポート材料をエッチングし、開口を有するエアブリッジを獲得する。
【0075】
いくつかの実施例においては、開口位置からエアブリッジの内部にエッチングガスをリリースし、エッチングガスによってブリッジサポート材料をエッチングし、それにより、開口を有し且つ空になるエアブリッジを獲得する。
【0076】
以上のように、本実施例が提供するエアブリッジの製造方法は、パターニングフォトレジスト上にパターニング露光処理を行うことによって、橋床上に橋床を貫通する開口構造を設置する。エアブリッジを製造する過程において、該開口構造によってブリッジサポート材料をリリースし、開口位置からエッチング材料をリリースしてブリッジサポート材料をエッチングし、ブリッジサポート材料のリリースの完全性を確保し、アーチの下の内部にブリッジサポート材料の残滓が残ることを回避し、エアブリッジの全体的なデバイス品質を向上させ、及びエアブリッジの製造精度を向上させる。
【0077】
上記にエアブリッジ製造を行う二種の方法を提案しており、それぞれ方法A及び方法Bである。以下の実施例においては、方法A及び方法Bに対処してそれぞれ説明を行う。
【0078】
まず、上記方法Aに対応するエアブリッジの製造方法に対処して説明を行う。
図6は本願の別の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジの製造方法のフローチャートである。
図6に示されるように、該方法は以下を含む。
【0079】
ステップ601:エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させる。
【0080】
ブリッジサポート材料の形状がエアブリッジの形状に整合し、すなわち、ブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させることによって、橋体の形状が正確なエアブリッジを直接獲得できる。
【0081】
いくつかの実施例においては、ブリッジサポート材料の堆積過程において、まずベース上にパターニングフォトレジストを塗布する必要があり、該パターニングフォトレジストは露光現像によってブリッジサポート材料の堆積領域を獲得することに用いられる。すなわち、エアブリッジのベース上での位置に基づいて、パターニングフォトレジストに対して露光現像を行い、ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得し、ベース上の堆積領域中に、エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料を堆積させる。
【0082】
選択可能に、ベース上にボトムレジストフォトレジストを塗布し、ボトムレジストフォトレジスト上にパターニングフォトレジストを塗布する。ここで、ボトムレジストフォトレジストとパターニングフォトレジストとの現像方式は異なり、すなわちボトムレジストフォトレジストはパターニングフォトレジストの現像液と反応が発生することがない。エアブリッジのベース上での位置に基づいて、パターニングフォトレジストに対して露光現像を行い、ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得した後に、さらに堆積領域内にあるボトムレジストフォトレジストに対してエッチング処理を行う必要があり、ベース上の堆積領域中に、エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料を堆積させる。ボトムレジストの領域制御が存在するため、それによりブリッジサポート材料の堆積領域内での形状制御の柔軟性がより高く、効果がよりよい。
【0083】
ステップ602:ベース及びブリッジサポート材料上にパターニングフォトレジストを塗布する。
【0084】
いくつかの実施例においては、該パターニングフォトレジストはすなわち上記
図5に示し出される第2フォトレジストであり、すなわちブリッジサポート材料及びベース上に第2フォトレジストを再び塗布する。
【0085】
いくつかの実施例においては、ベース及びブリッジサポート材料上に第3フォトレジストを上記パターニングフォトレジストとして塗布する。第3ベーク温度は第3フォトレジストのソフトベーク温度である。ここで、第3フォトレジストは第2フォトレジストと異なるフォトレジストである。第3フォトレジストはネガ型又は反転フォトレジストである。
【0086】
ステップ603:パターニングフォトレジスト上のパターニング領域にマスクを被覆し、パターニング領域は開口位置以外の領域である。
【0087】
開口位置はパターニングフォトレジスト上のエアブリッジ上の開口に対応する位置である。ここで、開口はエアブリッジの橋導入部分に位置し、又は、開口はエアブリッジの橋導入部分及び橋脚部分に位置する。
【0088】
すなわち、開口が橋導入部分に位置すれば、パターニング領域は橋脚部分に対応する第1領域、橋頂部分に対応する第2領域、及び橋導入部分中における非開口部分に対応する第3領域を含む。開口が橋導入部分及び橋脚部分に位置すれば、パターニング領域は橋頂部分に対応する第2領域、及び橋導入部分及び橋脚部分中における非開口部分に対応する第4領域を含む。
【0089】
ステップ604:パターニングフォトレジスト上に光照射を施し、露光パターニング処理を行う。
【0090】
露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含み、上記ベークの温度は第3フォトレジストのプリベーク温度である。
【0091】
ステップ605:露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト上で現像処理を行う。
【0092】
選択可能に、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト上で現像を行う。すなわちパターニングフォトレジストに対するパターニングエッチングを完了する。
【0093】
現像定着後に橋導入及び/又は橋脚上に開口を含有するエアブリッジの堆積構造を獲得する。
【0094】
ステップ606:現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、且つパターニングフォトレジストをリリースする。
【0095】
ステップ607:開口の箇所からエッチング材料をリリースし、ブリッジサポート材料をエッチングする。
【0096】
いくつかの実施例においては、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジストは以下の少なくとも二種の状況を含む。
【0097】
露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト中に、開口を設置する必要がある位置のフォトレジストを保留し、ブリッジ材料を堆積させる必要があるその他の位置のフォトレジストをエッチングし、それによりブリッジ材料を堆積させた後に、直接開口付きのエアブリッジを獲得する。
【0098】
いくつかの実施例においては、現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、且つエアブリッジの周側のパターニングフォトレジストをリリースし、開口の箇所からエッチング材料をリリースし、ブリッジサポート材料をエッチングし、開口を有するエアブリッジを獲得する。
【0099】
選択可能に、まずベース上の酸化層をエッチングして除去し、それによりブリッジ材料を堆積させ、且つすべてのレジスト層及びブリッジサポート材料をリリースした後に、橋導入部分及び/又は橋脚部分に開口を有するエアブリッジを獲得する。
【0100】
例示的に、
図7に参照されるように、方法Aに対応するエアブリッジ製造過程において、以下の過程を含む。
【0101】
ステップ700:ブリッジサポート材料を堆積させる。ここで、
図5に示される方式によってブリッジサポート材料を堆積させる。
【0102】
701:パターニングフォトレジストを塗布する。ベーク温度はパターニングフォトレジストのソフトベーク温度である。
【0103】
702:露光パターニングする。露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含み、ベークの温度はパターニングフォトレジストのプリベーク温度であり、パターニング過程中のパターニングパターンは分離式空気ブリッジパターン及び全体式空気ブリッジパターンを含み、ここで全体式空気ブリッジは橋脚及び/又は橋導入部分に開口パターンを有する空気ブリッジである。
【0104】
703:現像定着後に開口を含有するブリッジの構造を獲得する。
【0105】
704:ベース上の酸化層をエッチングして除去する。
【0106】
705:ブリッジ材料を堆積させる。材料を堆積させる方法は電子ビーム堆積、及び分子ビームエピタキシャル等の指向性制御が良好な堆積方法を含む。
【0107】
706:レジスト層をリリースする。剥離の温度は20℃-100℃であり、剥離方法は浸漬方式又は超音波方式を含む。
【0108】
707:ブリッジサポート材料をエッチングして開口を有するエアブリッジを獲得する。ブリッジサポートを選択的にエッチングしてリリースする。使用される方法はフッ化水素酸(Hydrofluoric acid、HF)エッチングを含む。HFエッチングの方法は、まず触媒ガスを注入し、それからHFガスを注入し、エッチング後に、それから窒素ガスを注入することを含む。ここで触媒ガスは気体の水、エタノール、メタノール、及びイソプロパノールを含み、HFは無水HFガスである。
【0109】
しかし、上記方法Aは橋導入部分及び/又は橋脚部分の開口設置に用いることができるが、橋頂部分の開口設置に応用できない。例示的に、
図8に示す方法Aによって橋頂部分の開口を設置する過程の模式図に参照すると、
図8が示すように、該過程において、まず
【0110】
801:一回の露光によってエアブリッジ及び橋頂の開口パターンを同時にパターニングする。
【0111】
802:獲得したパターンの異なる位置の箇所でのレジスト厚さは異なる。
【0112】
803:レジスト厚さが比較的薄い箇所で完全に現像するときには、レジスト厚さが比較的厚い箇所で依然として現像し続ける必要がある。
【0113】
804:レジスト厚さが比較的厚い箇所で完全に現像するときには、レジスト厚さが比較的薄い箇所で現像し過ぎる。
【0114】
805:現像し過ぎる箇所のレジストは定着又はその他の過程中に脱落する。
【0115】
図7に示される過程において、パターン箇所のレジストの最大厚さが同じであり、それゆえ、一部の位置が現像し過ぎるが、脱落現象は存在することがない。
【0116】
以上のように、本実施例が提供するエアブリッジの製造方法は、パターニングフォトレジスト上にパターニング露光処理を行うことによって、橋床上に橋床を貫通する開口構造を設置する。エアブリッジを製造する過程において、該開口構造によってブリッジサポート材料をリリースし、開口位置からエッチング材料をリリースしてブリッジサポート材料をエッチングし、ブリッジサポート材料のリリースの完全性を確保し、アーチの下の内部にブリッジサポート材料の残滓が残ることを回避し、エアブリッジの全体的なデバイス品質を向上させ、及びエアブリッジの製造精度を向上させる。
【0117】
本実施例が提供する方法は、開口の設置過程において、フォトレジストを二回塗布することによって、開口に対して設置を行い、フォトレジストの現像の特徴点を利用してエアブリッジ上に開口を設置し、エアブリッジの製造効率を向上させ、比較的少ない回数のフォトレジスト塗布によって開口を設置して獲得する。
【0118】
次に、上記方法Bに対応するエアブリッジの製造方法に対処して説明を行う。
図9は本願の別の1つの例示的実施例が提供するエアブリッジの製造方法のフローチャートであり、
図9に示されるように、該方法は以下を含む。
【0119】
ステップ901:エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料をベース上に堆積させる。
【0120】
ブリッジサポート材料の形状がエアブリッジの形状に整合し、すなわち、ブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させることによって、形状が正確なエアブリッジを直接獲得できる。
【0121】
いくつかの実施例においては、ブリッジサポート材料の堆積過程において、まずベース上にパターニングフォトレジストを塗布する必要があり、該パターニングフォトレジストは露光現像によってブリッジサポート材料の堆積領域を獲得することに用いられる。すなわち、エアブリッジのベース上での位置に基づいて、パターニングフォトレジストに対して露光現像を行い、ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得し、ベース上の堆積領域中に、エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料を堆積させる。
【0122】
選択可能に、ベース上にボトムレジストフォトレジストを塗布し、ボトムレジストフォトレジスト上にパターニングフォトレジストを塗布する。ここで、ボトムレジストフォトレジストとパターニングフォトレジストとの現像方式は異なり、すなわちボトムレジストフォトレジストはパターニングフォトレジストの現像液と反応が発生することがない。エアブリッジのベース上での位置に基づいて、パターニングフォトレジストに対して露光現像を行い、ブリッジサポート材料の堆積領域を獲得した後に、さらに堆積領域内にあるボトムレジストフォトレジストに対してエッチング処理を行う必要があり、ベース上の堆積領域中に、エアブリッジの形状に整合するブリッジサポート材料を堆積させる。ボトムレジストの領域制御が存在するため、それによりブリッジサポート材料の堆積領域内での形状制御の柔軟性がより高く、効果がよりよい。
【0123】
ステップ902:ベース及びブリッジサポート材料上にパターニングフォトレジストを塗布する。
【0124】
いくつかの実施例においては、該パターニングフォトレジストはすなわち上記
図5に示し出される第2フォトレジストである。すなわち、ブリッジサポート材料及びベース上に第2フォトレジストを再び塗布する。
【0125】
いくつかの実施例においては、ベース及びブリッジサポート材料上に第3フォトレジストを上記パターニングフォトレジストとして塗布し、第3ベーク温度は第3フォトレジストのソフトベーク温度である。ここで、第3フォトレジストは第2フォトレジストと異なるフォトレジストである。第3フォトレジストはネガ型又は反転フォトレジストである。
【0126】
ステップ903:パターニングフォトレジスト上のブリッジサポート材料に対応する領域にマスクを被覆する。
【0127】
すなわち、パターニングフォトレジスト上のブリッジサポート材料に対応する位置上にマスクを被覆し、それによりブリッジサポート材料の対応する領域のパターニングフォトレジストを現像する。
【0128】
いくつかの実施例においては、パターニングフォトレジストの中間位置に、エアブリッジに対応する領域上にマスクを被覆し、両側のパターニングフォトレジストを保留する。
【0129】
ステップ904:パターニングフォトレジスト上に光照射を施し、露光パターニング処理を行う。
【0130】
露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含み、上記ベークの温度は第3フォトレジストのプリベーク温度である。
【0131】
ステップ905:露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト上で現像処理を行う。
【0132】
選択可能に、露光パターニング処理後のパターニングフォトレジスト上で現像を行う。すなわち、パターニングフォトレジストに対するパターニングエッチングを完了する。
【0133】
ステップ906:現像処理後のブリッジサポート材料上にブリッジ材料を堆積させ、基礎エアブリッジを獲得し、基礎エアブリッジ上に開口を有しない。
【0134】
ブリッジ材料を堆積させる方法は電子ビーム堆積、及び分子ビームエピタキシャル等の指向性制御が良好な堆積方法を含む。
【0135】
基礎エアブリッジを獲得した後に、すべてのレジスト層をリリースする。ここで、剥離の温度は20℃-100℃であり、剥離方法は浸漬又は超音波であってもよい。
【0136】
ステップ907:基礎エアブリッジに開口を製造することに用いられるフォトレジストを塗布する。
【0137】
開口を製造することに用いられる該フォトレジストはポジ型フォトレジストであり、ベーク温度は開口を製造することに用いられるフォトレジストのソフトベーク温度である。
【0138】
注意に値するように、上記パターニングフォトレジスト、開口を製造することに用いられるフォトレジスト及びボトムレジストフォトレジストは例示的な命名に過ぎず、それが具体的に応用するレジスト層の材料は同じであってもよく、異なってもよく、本願の実施例は限定しない。
【0139】
ステップ908:開口を製造することに用いられるフォトレジスト上のパターニング領域にマスクを被覆し、パターニング領域は開口に対応する位置以外の領域である。
【0140】
ここで、開口はエアブリッジの橋導入部分に位置し、又は、開口はエアブリッジの橋導入部分及び橋脚部分に位置し、又は、開口はエアブリッジの橋頂部分に位置し、又は、開口はエアブリッジの橋頂及び橋導入部分に位置し、又は、開口はエアブリッジの橋頂、橋導入及び橋脚部分に位置する。
【0141】
すなわち、開口が橋導入部分に位置すれば、パターニング領域は橋脚部分及び橋頂部分に対応する領域を含む。開口が橋導入部分及び橋脚部分に位置すれば、パターニング領域は橋頂部分に対応する領域を含む。開口が橋頂部分に位置すれば、パターニング領域は橋導入部分及び橋脚部分に対応する領域を含む。開口が橋頂及び橋導入部分に位置すれば、パターニング領域は橋脚に対応する領域を含み、マスクを被覆する。もし開口が橋頂部分、橋導入部分及び橋脚部分に位置すれば、そのうちの任意の2つの部分間の繋がり部分にマスクを被覆するか、又は、該領域にマスクを被覆せず、いくつかの実施例においては、予め設定した距離おきにマスクを被覆しない方式によって、エアブリッジに対して切断を行い、それにより複数の分離式エアブリッジを直接獲得する。
【0142】
ステップ909:マスクに基づき基礎エアブリッジに対して開口処理を行い、開口を有するエアブリッジを獲得する。
【0143】
いくつかの実施例においては、開口を製造することに用いられるフォトレジスト上に光照射を施し、開口を製造することに用いられるフォトレジストに対して露光処理を行い、露光処理後の開口を製造することに用いられるフォトレジストに対して現像処理を行い、エアブリッジの開口パターンを獲得する。開口パターンに基づき基礎エアブリッジ上にエッチングを行い、且つエアブリッジの周側の開口を製造することに用いられるフォトレジストをリリースし、開口の箇所からエッチング材料をリリースし、ブリッジサポート材料をエッチングし、開口を有するエアブリッジを獲得する。
【0144】
注意に値するように、本願の実施例は主に全体式エアブリッジに対処する。すなわち連続的に接続するエアブリッジ中に、予め設定した距離おきに開口処理を行う。
【0145】
例示的に、
図10に参照されるように、方法Bに対応するエアブリッジ製造の過程において、以下の過程を含む。
【0146】
1001:パターニングフォトレジストを塗布する。ベーク温度はパターニングフォトレジストのソフトベーク温度である。
【0147】
1002:露光パターニングする。露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含み、ベークの温度はパターニングフォトレジストのプリベーク温度である。
【0148】
1003:現像定着後に堆積ブリッジの構造を獲得する。
【0149】
1004:ベース上の酸化層をエッチングして除去する。
【0150】
1005:ブリッジ材料を堆積させる。材料を堆積させる方法は電子ビーム堆積、及び分子ビームエピタキシャル等の指向性制御が良好な堆積方法を含む。
【0151】
1006:レジスト層をリリースする。剥離の温度は20℃-100℃であり、剥離方法は浸漬又は超音波であってもよい。
【0152】
1007:第4フォトレジストを塗布する。第4フォトレジストはポジ型フォトレジストであり、ベーク温度は第4フォトレジストのソフトベーク温度である。
【0153】
1008:露光パターニングする。露光プロセスは紫外線露光又はレーザ直接描画を含む。
【0154】
1009:現像定着後に開口パターンを獲得する。
【0155】
1010:開口パターン箇所のアルミニウムブリッジをエッチングする。エッチング方法は、物理エッチング、化学エッチング又は物理と化学とを併せるエッチングであってもよい。物理エッチングはイオンビームエッチングを含み、用いられるイオンビームはアルゴンイオン/ヘリウムイオンであり、化学エッチングは湿式エッチング及び乾式エッチングを含み、湿式エッチングに用いられる溶液はリン酸、及びType Aを含み、乾式エッチングに用いられるエッチングガスは塩素ガス、及び三塩素化ホウ素を含む。
【0156】
1011:すべてのレジスト層をリリースする。剥離の温度は20℃-100℃であり、剥離方法は浸漬又は超音波であってもよい。
【0157】
1012:ブリッジサポート材料をリリースして開口を有するエアブリッジを獲得する。ブリッジサポートを選択的にエッチングしてリリースする。使用される方法はフッ化水素酸(Hydrofluoric acid、HF)エッチングを含み、HFエッチングの方法は、まず触媒ガスを注入し、それからHFガスを注入し、エッチング後に、それから窒素ガスを注入することを含む。ここで触媒ガスは気体の水、エタノール、メタノール、及びイソプロパノールを含み、HFは無水HFガスである。
【0158】
例示的に、橋導入部分の開口を例とすると、獲得される全体式エアブリッジの電子顕微鏡写真は
図11に示される。該電子顕微鏡写真の加速電圧は15kVであり、拡大倍数は3700倍であり、作動距離は5umである。SE1検出器を使用し、該エアブリッジ1110上に開口1111を有し、電子顕微鏡写真に基づくと、現在の開口1111の内部のブリッジサポート材料が比較的きれいにリリースされることが分かる。
【0159】
例示的に、上記方法Bに対処して1つの例示的な実施例を挙げる。
【0160】
ベースに対して洗浄を行った後に、ベース上にPMMAをボトムレジストとして塗布し、且つ180℃で一定時間ベークし、ボトムレジスト上にAZシリーズの反転フォトレジストを塗布し、且つ95℃で一定時間ベークする。紫外線で露光し、95℃でプリベークする。その後、一定時間全面露光し、現像定着後に、ブリッジサポートを堆積及び剥離することに用いられるフォトレジスト構造を獲得し、酸素プラズマを使用してボトムレジストを一定時間エッチングし、ボトムレジスト上に堆積図形のサイズに近い開口を形成し、室温下で電子ビーム蒸発の方法を用いて二酸化シリコン膜をブリッジサポートとして蒸着する。
【0161】
サンプルをアセトンに置いてフォトレジストに対して剥離を行い、ベース上のブリッジサポートを獲得し、獲得したブリッジサポートサンプル上にAZシリーズの反転レジストを塗布し、且つ95℃で一定時間ベークし、紫外線で露光し、95℃でプリベークする。その後、一定時間全面露光し、現像定着後に、空気ブリッジを堆積及び剥離することに用いられるフォトレジスト構造を獲得する。全体式空気ブリッジについて、そのパターニングしたフォトレジスト構造は橋脚及び橋導入部分に開口パターンを有し、又は、橋頂部分に開口パターンを有し、又は、橋脚、橋導入及び橋頂部分にともに開口パターンを有する。
【0162】
イオンビームを使用してベース上の残留レジスト及び酸化層をエッチングして除去し、堆積させた空気ブリッジとベース上の回路との連通性を増加し、電子ビーム蒸発で所定の厚さのアルミニウム膜を堆積させる。サンプルをアセトン中に置いて剥離し、ブリッジサポート付き空気ブリッジを獲得する。サンプル上にAZシリーズのポジ型レジストを塗布し続け、且つ100℃で一定時間ベークし、紫外線で露光し、現像定着後にポジ型レジスト上に開口パターンを獲得し、サンプルをアルミニウム腐食液中に置き、開口の箇所のアルミニウム膜をエッチングし去る。サンプルをアセトン中に置いて剥離し、ブリッジサポート及び開口を有する空気ブリッジを獲得し、サンプルをHFエッチング機中に置き、まず気体のエタノールを通す。その後、無水HFガスを一定時間通し、最後に窒素ガスを通し、二酸化シリコンのブリッジサポートを完全にリリースする。全体型空気ブリッジの橋脚及び橋導入部分に開口を有するため、アーチの下の内の二酸化シリコンのブリッジサポートをきれいにリリースでき、最後に開口を有する全体式空気ブリッジを獲得する。
【0163】
いくつかの実施例においては、さらに橋頂が開口する全体式空気ブリッジの製造原理によって分離式空気ブリッジを製造することができ、すなわち、開口が横方向にエアブリッジ全体を貫通するまで開口の範囲を広げれば、エアブリッジに対する分割を実現することができる。
【0164】
以上のように、本実施例が提供するエアブリッジの製造方法は、パターニングフォトレジスト上にパターニング露光処理を行うことによって、橋床上に橋床を貫通する開口構造を設置する。エアブリッジを製造する過程において、該開口構造によってブリッジサポート材料をリリースし、開口位置からエッチング材料をリリースしてブリッジサポート材料をエッチングし、ブリッジサポート材料のリリースの完全性を確保し、アーチの下の内部にブリッジサポート材料の残滓が残ることを回避し、エアブリッジの全体的なデバイス品質を向上させ、及びエアブリッジの製造精度を向上させる。
【0165】
本実施例が提供する方法として、複数種の異なる開口方式は、異なるニーズの全体式空気ブリッジの製造を満足させることができる。二種の異なるエアブリッジの製造方法を提供し、異なる製造ニーズのエアブリッジの構成を満足させ、伝統的なプロセスのブリッジサポートのリリース時間が長過ぎることによるエッチングガスのその他のデバイスに対する損傷を回避できる。またブリッジサポートのリリース過程の効果を高め、エッチングガスの成分を変更する必要がない。エッチングガスは、開口によりブリッジサポートのリリース後にブリッジサポートの残滓を残さないことを実現できる。プロセス過程全体はベース上のその他のデバイス及び構造に対して破壊を引き起こすことがなく、サンプルの良好な形態及び性能を維持する。開口なし設計と比較して、開口設計を導入することは、全体式空気ブリッジの直線及び湾曲部分の構造的破壊、例えば凹み、及び破断等を回避でき、フリップチップの空気ブリッジの製造、特にフリップチップ超伝導量子チップの全体式空気ブリッジの製造に適用することができる。
【0166】
1つの選択可能な実施例においては、本願はさらに超伝導量子チップを提供しており、該超伝導量子チップ中にベース基板とベース基板上に集積された量子線路とを含み、超伝導量子チップ中に、さらに上記実施例中に記載のエアブリッジ構造を含む。
【0167】
注意に値するように、本願の実施例中に関するエアブリッジの製造方法は、人手により実現されてもよく、マシンにより自動的に制御して実現されてもよい。
【0168】
該エアブリッジの製造方法がマシンにより自動的に制御して実現されることを例とすると、例示的に、本願の実施例中に、さらにエアブリッジの製作機器を提供しており、該製作機器にはプロセッサとメモリとを含み、メモリ中に少なくとも一つのプログラムが記憶されており、該少なくとも一つのプログラムはプロセッサにより実行され且つロードされて上記本願の実施例中に提供されるエアブリッジの製造方法を実現する。
【0169】
上記は本開示の選択可能な実施例に過ぎず、本開示を制限するために用いられず、本開示の精神及び原則内に施されるいずれかの修正、均等物への置換や改良等は、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0170】
100 エアブリッジ
110 橋頂
120 橋導入
130 橋脚
140 ブリッジサポート
150 ベース
211 ブリッジサポート
212 エアブリッジ
221 ブリッジサポート
222 エアブリッジ
231 ブリッジサポート
232 エアブリッジ
241 ブリッジサポート
242 エアブリッジ
300 エアブリッジ構造
310 ベース
320 橋体
321 開口
1110 エアブリッジ
1111 開口