(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】搬送マニピュレータ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240213BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01L21/68 B
B25J15/06 S
(21)【出願番号】P 2022540833
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020118900
(87)【国際公開番号】W WO2022061947
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202011029264.1
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522229031
【氏名又は名称】北京京儀自動化装備技術股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING JINGYI AUTOMATION EQUIPMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】周 亮
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-112595(JP,A)
【文献】特開2010-141352(JP,A)
【文献】特開平11-233601(JP,A)
【文献】特開平09-148419(JP,A)
【文献】特開2009-302415(JP,A)
【文献】特開2002-222850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを支持するための支持部を含む基体
であって、前記支持部にはウェーハコンタクタが設けられ、前記ウェーハコンタクタは前記支持部の表面から突出しており、前記ウェーハコンタクタの底部には圧力センサが設けられる基体と、
正極端及び負極端を含む電源と、
電源に接続されており、正電荷端及び電子端を含み、前記正電荷端及び前記電子端がいずれも前記支持部に設けられる静電気発生装置と、
前記電源と前記静電気発生装置との間に設けられる方向切換部材であって、前記方向切換部材が第1の状態にあるとき、前記正電荷端が前記正極端に接続され、前記電子端が前記負極端に接続され、前記方向切換部材が第2の状態にあるとき、前記正電荷端が前記負極端に接続され、前記電子端が前記正極端に接続される方向切換部材と、
中央処理装置であって、前記電源及び前記圧力センサはいずれも前記中央処理装置に接続され、前記中央処理装置内には、前記静電気発生装置の入力電圧と前記圧力センサの出力電圧との関係モデルが記憶され、前記電源は前記静電気発生装置への電力供給を停止すると、前記関係モデル及び前記圧力センサの出力電圧に基づいて、前記静電気発生装置の入力電圧を取得し、前記方向切換部材の状態を切り換えて、前記電源は前記入力電圧を前記静電気発生装置に供給するようにする中央処理装置とを含むことを特徴とする搬送マニピュレータ。
【請求項2】
前記電源は1組設置され、前記正極端には第1のワイヤが接続され、前記負極端には第2のワイヤが接続され、前記方向切換部材は方向切換スイッチであり、前記方向切換スイッチの両端にはそれぞれ前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤが接続され、前記方向切換スイッチがオフにされると、前記正電荷端は前記正極端に接続され、前記電子端が前記負極端に接続され、前記方向切換スイッチがオンにされると、前記正電荷端が前記負極端に接続され、前記電子端が前記正極端に接続されることを特徴とする請求項1に記載の搬送マニピュレータ。
【請求項3】
前記電源は、並列に配置された第1の直流電源発生器及び第2の直流電源発生器を含み、且つ前記第1の直流電源発生器の正極端は、前記第2の直流電源発生器の正極端とは反対であり、前記方向切換部材は第1のスイッチ及び第2のスイッチを含み、前記第1のスイッチは前記第1の直流電源発生器が位置するブランチに接続され、前記第2のスイッチは前記第2の直流電源発生器が位置するブランチに接続され、前記第1のスイッチがオンにされ且つ前記第2のスイッチがオフにされると、前記正電荷端は前記第1の直流電源発生器の正極端に接続され、前記電子端は前記第1の直流電源発生器の負極端に接続され、前記第1のスイッチがオフにされ且つ前記第2のスイッチがオンにされると、前記正電荷端は前記第2の直流電源発生器の負極端に接続され、前記電子端は前記第2の直流電源発生器の正極端に接続されることを特徴とする請求項1に記載の搬送マニピュレータ。
【請求項4】
前記ウェーハコンタクタと前記正電荷端は交互に配置され、及び/又は、前記ウェーハコンタクタと前記電子端は交互に配置されることを特徴とする請求項
1に記載の搬送マニピュレータ。
【請求項5】
前記第1のワイヤには第1の調整抵抗が接続され、前記第2のワイヤには第2の調整抵抗が接続されることを特徴とする請求項2に記載の搬送マニピュレータ。
【請求項6】
前記基体は絶縁材料であることを特徴とする請求項1に記載の搬送マニピュレータ。
【請求項7】
前記基体には配線溝が形成され、前記電源と前記正電荷端を接続する第1のワイヤ、及び前記電源と前記電子端を接続する第2のワイヤは、いずれも前記配線溝内に設けられることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の搬送マニピュレータ。
【請求項8】
前記基体上には配線分配器が接続され、前記配線分配器は、前記配線溝の前記電源に近い端に設けられることを特徴とする請求項
7に記載の搬送マニピュレータ。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2020年9月27日に提出された出願番号が202011029264.1であり、発明の名称が「搬送マニピュレータ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、半導体加工の技術分野に関し、特に搬送マニピュレータに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体とは、室温で導電率が導体と絶縁体の間にある材料を指す。半導体製品は、種類が多くて、プロセスが複雑であり、ウェーハは、シリコン半導体集積回路の製造に使用されるシリコンウェーハである。ウェーハの厚さは製造元によって大きく異なり、欠陥や露出の問題を回避するために、ウェーハと接触するウェーハコンタクタの接触面積をできるだけ小さくする必要がある。ウェーハの厚さが異なり、関連技術において、ウェーハを搬送するための搬送マニピュレータでは、1つの仕様の搬送マニピュレータは1つの仕様のウェーハに適している。現在、仕様が異なウェーハを搬送できる搬送マニピュレータが存在しないため、ウェーハの搬送コストが高く、設備投資が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、従来技術に存在している課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。このために、本願は、クーロン力によりウェーハを吸着し、多仕様のウェーハの搬送を実現することができ、さらに方向切換部材により残留クーロン力を除去することができ、製造コストを削減し、ウェーハに対するダメージを低減することができる搬送マニピュレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1の形態の実施形態に係る搬送マニピュレータは、
ウェーハを支持するための支持部を含む基体と、
正極端及び負極端を含む電源と、
電源に接続されており、正電荷端及び電子端を含み、前記正電荷端及び前記電子端がいずれも前記支持部に設けられる静電気発生装置と、
前記電源と前記静電気発生装置との間に設けられる方向切換部材であって、前記方向切換部材が第1の状態にあるとき、前記正電荷端が前記正極端に接続され、前記電子端が前記負極端に接続され、前記方向切換部材が第2の状態にあるとき、前記正電荷端が前記負極端に接続され、前記電子端が前記正極端に接続される方向切換部材と、を含む。
【0006】
本願の一実施形態によれば、前記電源は1組設置され、前記正極端には第1のワイヤが接続され、前記負極端には第2のワイヤが接続され、前記方向切換部材は方向切換スイッチであり、前記方向切換スイッチの両端にはそれぞれ前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤが接続され、前記方向切換スイッチがオフにされると、前記正電荷端は前記正極端に接続され、前記電子端が前記負極端に接続され、前記方向切換スイッチがオンにされると、前記正電荷端が前記負極端に接続され、前記電子端が前記正極端に接続される。
【0007】
本願の一実施形態によれば、前記電源は、並列に配置された第1の直流電源発生器及び第2の直流電源発生器を含み、且つ前記第1の直流電源発生器の正極端は、前記第2の直流電源発生器の正極端とは反対であり、前記方向切換部材は第1のスイッチ及び第2のスイッチを含み、前記第1のスイッチは前記第1の直流電源発生器が位置するブランチに接続され、前記第2のスイッチは前記第2の直流電源発生器が位置するブランチに接続され、前記第1のスイッチがオンにされ且つ前記第2のスイッチがオフにされると、前記正電荷端は前記第1の直流電源発生器の正極端に接続され、前記電子端は前記第1の直流電源発生器の負極端に接続され、前記第1のスイッチがオフにされ且つ前記第2のスイッチがオンにされると、前記正電荷端は前記第2の直流電源発生器の負極端に接続され、前記電子端は前記第2の直流電源発生器の正極端に接続される。
【0008】
本願の一実施形態によれば、前記支持部にはウェーハコンタクタが設けられ、前記ウェーハコンタクタは前記支持部の表面から突出しており、前記ウェーハコンタクタの底部には圧力センサが設けられる。
【0009】
本願の一実施形態によれば、中央処理装置をさらに含み、前記電源及び前記圧力センサはいずれも前記中央処理装置に接続され、前記中央処理装置内には、前記静電気発生装置の入力電圧と前記圧力センサの出力電圧との関係モデルが記憶され、前記電源は前記静電気発生装置への電力供給を停止すると、前記関係モデル及び前記圧力センサの出力電圧に基づいて、前記静電気発生装置の入力電圧を取得し、前記方向切換部材の状態を切り換えて、前記電源は前記入力電圧を前記静電気発生装置に供給するようにする。
【0010】
本願の一実施形態によれば、前記ウェーハコンタクタと前記正電荷端は交互に配置され、及び/又は、前記ウェーハコンタクタと前記電子端は交互に配置される。
【0011】
本願の一実施形態によれば、前記第1のワイヤには第1の調整抵抗が接続され、前記第2のワイヤには第2の調整抵抗が接続される。
【0012】
本願の一実施形態によれば、前記基体は絶縁材料である。
【0013】
本願の一実施形態によれば、前記正電荷端と前記電子端は交互に配置される。
【0014】
本願の一実施形態によれば、前記基体には配線溝が形成され、前記電源と前記正電荷端を接続する第1のワイヤ、及び前記電源と前記電子端を接続する第2のワイヤは、いずれも前記配線溝内に設けられる。
【0015】
本願の一実施形態によれば、前記基体上には配線分配器が接続され、前記配線分配器は、前記配線溝の前記電源に近い端に設けられる。
【0016】
本願の実施形態における上記の1つ又は複数の技術案は、以下の技術的効果のうちの少なくとも1つを有する。
【発明の効果】
【0017】
本願の実施形態に係る搬送マニピュレータは、基体、電源、静電気発生装置、及び方向切換部材を含み、静電気発生装置は電源に接続される正電荷端及び電子端を含み、正電荷端と電子端はいずれもウェーハとの間にクーロン力が発生し、ウェーハに対する吸着固定を実現することができ、多仕様のウェーハの搬送に適用することができ、製造コストを削減することができる。電源が静電気発生装置への電力供給を停止すると、この時、正電荷端及び電子端とウェーハとの間にクーロン力が残留するおそれがあり、この場合、ウェーハは静摩擦力に打ち勝って搬送マニピュレータから解放されにくく、方向切換部材を調整し、電源を静電気発生装置に逆給電させ、つまり、正電荷端を電源の負極端に連通させ、且つ電子端を電源の正極端に連通させて、逆クーロン力によって残留クーロン力を除去することにより、搬送マニピュレータからウェーハをスムーズに離すことができ、ウェーハ搬送中のウェーハ掛かりやウェーハ損傷の問題が解決され、社会的資源の節約に役立ち、大きな経済的価値がある。
【0018】
本願の追加の態様及び利点については、以下の説明に部分的に示され、一部は以下の説明から明らかになり、又は本願の実施によって理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施形態又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面を更に得ることができる。
【
図1】
図1は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの上面構造の模式図である。
【
図2】
図2は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの側面構造の模式図である。
【
図3】
図3は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの方向切換部材の第1の実施形態の構造の模式図である。
【
図4】
図4は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの方向切換部材の第2の実施形態の構造の模式図である。
【
図5】
図5は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの制御論理の模式図である。
【
図6】
図6は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの静電気発生装置の入力電圧と圧力センサの出力電圧との関係モデルの模式図である。
【
図7】
図7は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの圧力センサの出力電圧とウェーハコンタクタの表面の静摩擦力との関係図である。
【
図8】
図8は、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータの正電荷端と電子端の分布方式の構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面及び実施形態を参照しながら本願の実施形態をより詳細に説明する。以下の実施形態は、本願を説明するためのものであり、本願の範囲を制限するものではない。
【0021】
本願の実施形態に対する説明において、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで表れる方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願の実施形態を便利に又は簡単に説明するために使用されるものであり、示された装置又は素子が特定の方位にあり、特定の方位において構造され、操作されると指示又は暗示するものではないため、本願に対する限定と理解されるものではない。なお、用語である「第1」、「第2」、「第3」は、説明するためのものに過ぎず、比較的な重要性を指示又は暗示すると理解されるものではない。
【0022】
本願の実施形態の説明において、明確な規定と限定がない限り、用語である「互いに接続」、「接続」等の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。機械的な接続や、電気接続でも可能であり、あるいは直接的に互いに接続することや、中間媒体を介して間接的に互いに接続することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願の実施形態での具体的な意味を理解することができる。
【0023】
本出願の実施形態において、明確な規定と限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴及び第2の特徴が直接接触することであってもよく、又は第1の特徴及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上側」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあることであってもよく、又は単に第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴よりも高いことを意味する。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下側」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下方にあることであってもよく、又は単に第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴よりも低いことを意味する。
【0024】
本明細書の説明において、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照する説明は、当該実施形態又は例を参照しながら説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特徴が、本願の実施形態の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の模式的表現は、必ずしも同じ実施形態又は例に向けられているわけではない。さらに、説明されている具体的な特徴、構造、材料、又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において、適切な方法で組み合わせることができる。さらに、当業者は、本明細書に説明されている異なる実施形態又は例、ならびに異なる実施形態又は例の特徴を、互いに矛盾することなく結合して組み合わせることができる。
【0025】
本願の一実施形態は、
図1~
図8に示すように、基体1、電源8、静電気発生装置2、及び方向切換部材を含む搬送マニピュレータを提供する。電源8は静電気発生装置2に電力を供給し、方向切換部材は静電気発生装置2と電源8の両端の接続関係を切り換えるためものであり、基体1は静電気発生装置2を取り付けるためのものである。基体1はウェーハを支持するための支持部11を含み、電源8は正極端及び負極端を含み、正極端には第1のワイヤ5が接続され、負極端には第2のワイヤ6が接続され、静電気発生装置2は、電源8に接続されており、正電荷端21及び電子端22を含み、正電荷端21及び電子端22はいずれも支持部11に設けられ、方向切換部材は電源8と静電気発生装置2との間に設けられ、方向切換部材が第1の状態にあるとき、正電荷端21は正極端に接続され、電子端22は負極端に接続され、方向切換部材が第2の状態にあるとき、正電荷端21は負極端に接続され、電子端22は正極端に接続される。
【0026】
ウェーハは、支持部11によって固定して支持され、支持部11と同期して移動することができるので、ウェーハの搬送が実現される。ここで、ウェーハ及び支持部11には、静電気発生装置2によって固定の作用力が与えられ、静電気発生装置2が通電された後、正電荷端21には正電荷を生成し、正電荷端21はウェーハ内の電子を引き付け、電子端22には電子を生成し、電子端22はウェーハ内の正電荷を引き付けて、ウェーハと搬送マニピュレータの静電吸着固定を実現する。
【0027】
ウェーハが目標位置まで搬送されると、電源8は静電気発生装置2への電力供給を停止し、正電荷端21及び電子端22にはまだいくらかの電荷が残留しており、この時、方向切換部材によって電源8の正極端が電子端22に接続され、電源8の負極端が正電荷端21に接続されて、電源8は電子端22に正電荷を供給し、且つ正電荷端21に電子を供給し、これにより、正電荷端21と電子端22に残留した正電荷及び電子を除去し、正電荷端21とウェーハとの間や、電子端22とウェーハとの間の作用力をゼロにし、そしてウェーハを基体1からスムーズに取り外すことができ、ウェーハにおいて残留クーロン力によって発生し得るウェーハ掛かりやウェーハ損傷の問題が解決される。
【0028】
本実施形態では、二重電気の静電発生装置2を使用してクーロン力を発生させ、ウェーハを吸着することにより、ウェーハと支持部11との間に正の圧力を発生させ、ウェーハ移送中の静摩擦力を確保する。ウェーハは目標位置に移動した後、方向切換部材により、電源8によって正電荷端21及び電子端22に供給される電荷を切り換えて、正電荷端21と電子端22に残留したクーロン力を除去することもできる。本実施形態の搬送マニピュレータは、異なるプロセスで製造された異なる厚さのウェーハに適しており、ウェーハと支持部11との間の静摩擦力を確保し、ウェーハの滑りなしの搬送を実現することができ、様々なウェーハの完全適応の搬送を実現することができ、関連技術におけるウェーハ搬送コストが高いという問題が解決され、ウェーハ搬送中のウェーハ掛かりやウェーハ損傷の問題が解決され、社会的資源の節約に役立ち、大きな経済的価値がある。
【0029】
方向切換部は2つの実施形態がある。
1つの実施形態では、
図3に示すように、電源8は1組設置され、電源8の正極端には第1のワイヤ5が接続され、電源8の負極端には第2のワイヤ6が接続され、方向切換部材は方向切換スイッチ91であり、方向切換スイッチ91の両端には、それぞれ第1のワイヤ5及び第2のワイヤ6が接続され、方向切換スイッチ91がオフにされると、正電荷端21は正極端に接続され、電子端22は負極端に接続され、方向切換スイッチ91がオンにされると、正電荷端21は負極端に接続され、電子端22は正極端に接続される。静電気発生装置2への電源8の通電方向を調整することにより、ウェーハと静電気発生装置2との間の残留クーロン力を除去し、搬送マニピュレータによるウェーハの損傷を防止し、ウェーハ搬送の安全性を向上させる。
【0030】
ここで、電源8は直流電源を提供し、電源8は直流電源発生器であってもよい。第1のワイヤ5は第1のセクション及び第2のセクションを含み、第2のワイヤ6は第3のセクション及び第4のセクションを含み、方向切換スイッチ91の一方の端は第1のセクションと第2のセクションが突き合わされる位置に接続され、方向切換スイッチ91の他方の端は第3のセクションと第4のセクションが突き合わされる位置に接続される。方向切換スイッチ91がオフにされると、第1のセクションは第2のセクションに連通し、第3のセクションは第4のセクションに連通し、正極端は正電荷端21に連通し、負極端は電子端22に連通する。方向切換スイッチ91がオンにされると、第1のセクションは第4のセクションに連通し、第3のセクションは第2のセクションに連通し、正極端は電子端22に連通し、負極端は正電荷端21に連通する。これにより、逆通電によって残留クーロン力を除去して、ウェーハを損傷することなく基体1から分離させることができる。
【0031】
1つの実施形態では、第1のワイヤ5には第1の調整抵抗が接続され、第2のワイヤ6には第2の調整抵抗が接続される。第1の調整抵抗は正電荷端21の電圧を調整するためのものであり、第2の調整抵抗は電子端22の電圧を調整するためのものである。これにより、静電気発生装置2は、ウェーハ仕様に応じて異なる程度の吸着作用力を提供することができる。第1の調整抵抗及び第2の調整抵抗の抵抗値はいずれも調整することができる。
【0032】
第1の調整抵抗は第1の抵抗51及び第2の抵抗52を含み、第1の抵抗51は第1のセクションに接続され、第2の抵抗52は第2のセクションに接続され、各部分の電圧は独立して調整可能である。第2の調整抵抗は第3の抵抗61及び第4の抵抗62を含み、第3の抵抗61は第3のセクションに接続され、第4の抵抗62は第4のセクションに接続され、各部分の電圧も独立して調整可能である。
【0033】
さらに、第1のワイヤ5には第1のコンデンサ53が接続され、第2のワイヤ6には第2のコンデンサ63が接続されることで、電圧をより安定させる。
【0034】
1つの実施形態では、
図4に示すように、
図3に示される実施形態との違いは以下の通りである。即ち、電源は並列に配置された第1の直流電源発生器81及び第2の直流電源発生器82を含み、且つ第1の直流電源発生器81の正極端は、第2の直流電源発生器82の正極端とは反対に配置されると同時に、第1の直流電源発生器81の負極端は第2の直流電源発生器82の負極端とも反対に配置される。方向切換部材は第1のスイッチ92及び第2のスイッチ93を含み、第1のスイッチ92は第1の直流電源発生器81が位置するブランチに接続され、第2のスイッチ93は第2の直流電源発生器82が位置するブランチに接続され、第1のスイッチ92がオンにされ且つ第2のスイッチ93がオフにされると、正電荷端21は第1の直流電源発生器81の正極端に接続され、電子端22は第1の直流電源発生器81の負極端に接続され、第1のスイッチ92がオフにされ、且つ第2のスイッチ93がオンにされると、正電荷端21は第2の直流電源発生器82の負極端に接続され、電子端22は第2の直流電源発生器82の正極端に接続される。本実施形態では、反対に配置される電源8が2組設置され、第1の直流電源発生器81と第2の直流電源発生器82のオン・オフを切り換えることにより静電気発生装置2への電源方向を切り換える。これにより、残留クーロン力を除去して、ウェーハを損傷することなく基体1から分離させることができる。
【0035】
本実施形態では、回路構造の安定性を確保するように、電源8と静電気発生装置2との間のワイヤには抵抗及びコンデンサが接続されてもよい。
【0036】
1つの実施形態では、支持部11にはウェーハコンタクタ3が設けられ、ウェーハコンタクタ3は支持部11の表面から突出しており、ウェーハコンタクタ3の表面はウェーハと接触して、ウェーハと基体1との接触面積を減らすためのものであり、ウェーハとウェーハコンタクタ3の表面との静摩擦力は、ウェーハが基体1に対して移動するのを防止し、ウェーハの搬送の安定性を確保するためのものである。
【0037】
1つの実施形態では、ウェーハコンタクタ3の底部には圧力センサ4が設けられ、圧力センサ4はウェーハによってウェーハコンタクタ3に加えられる圧力を測定するためのものであり、
図7に示すように、圧力とウェーハコンタクタ3の表面の摩擦係数によってウェーハとウェーハコンタクタ3の表面との静摩擦力を計算することができる。ここで、ウェーハによってウェーハコンタクタ3に加えられる圧力は、ウェーハの重力と静電気発生装置2のウェーハに対する吸着力との合計である。ウェーハの重力は変化しないため、設定された静摩擦力に応じて、ユーザは、圧力センサ4で測定された圧力の大きさに基づいて、静電気発生装置2のウェーハに対する吸着力の大きさを調整することができ、即ち、静電気発生装置2の電圧に調整することができる。また、ウェーハが目標位置まで搬送されると、電源8は静電気発生装置2への電力供給を停止し、この時、圧力センサ4により測定された圧力はウェーハの重力と残留されたクーロン力との合計であり、残留クーロン力の大きさを得ることができ、残留クーロン力の大きさに応じて、電源8は逆方向に電力を供給することで、静電気発生装置2に同じ大きさの作用力を発生させて、残留されたクーロン力を除去するこができ、これにより、ウェーハは搬送マニピュレータからスムーズに離れることができる。
【0038】
1つの実施形態では、搬送マニピュレータは中央処理装置をさらに含み、電源8及び圧力センサ4はいずれも中央処理装置に接続され、中央処理装置内には、静電気発生装置2の入力電圧と圧力センサ4の出力電圧との関係モデルが記憶され、電源8は静電気発生装置2への電力供給を停止し、関係モデル及び圧力センサ4の出力電圧に基づいて、静電気発生装置2の入力電圧を取得し、方向切換部材的状態を切り換えて、電源8は静電気発生装置2に逆方向の入力電圧を供給する。
【0039】
ここで、関係モデルは、ウェーハの仕様に従って実験室で事前に測定された静電気発生装置2の入力電圧と圧力センサ4の出力電圧との間の曲線関係である。
図6に示すように、
図6はウェーハの静電気発生装置2の入力電圧と圧力センサ4の出力電圧との間の関係モデルを示す。中央処理装置には、様々な仕様のウェーハの関係モデルを格納し、必要に応じて搬送すべきウェーハに対応する関係モデルを呼び出すことができる。
【0040】
さらに、実験室で事前に測定された関係モデルについて、中央処理装置は、調整をより正確にするように、リアルタイムデータに従って関係モデルを修正することもできる。
【0041】
図5に示すように、中央処理装置は、静電気発生装置2に必要な入力電圧を静電気発生装置コントローラに伝送し、静電気発生装置コントローラは、静電気発生装置2の出力電圧を調整制御し、この時、圧力センサ4は、ウェーハのウェーハコンタクタ3に対する圧力を測定して、中央処理装置にフィードバックする。これは、電圧信号間の論理的な伝達関係であり、ウェーハにおいて残留クーロン力によって発生し得るウェーハ掛かりやウェーハ損傷の問題が解決される。
【0042】
本実施形態では、クーロン力を発生させることができる二重電気の静電発生装置2を使用して、正の圧力を発生させ、ウェーハ移送中の静摩擦力を確保する。正の圧力はウェーハコンタクタ3の底部の圧力センサ4によって電気信号に変換することができ、中央処理装置は電気信号を受信する。静電気発生装置2の入力電圧と圧力センサ4の誘導電気信号との間の関係モデルは、中央処理装置に書き込まれているので、中央処理装置は、プリセットのパラメータに従って静電気発生装置2の電圧を制御することができる。これにより、異なるプロセスで製造された異なる厚さのウェーハの滑りなしの搬送が実現される。それと共に、静電気発生装置2の入力電圧がゼロであるとき、圧力センサ4の出力電圧に応じて静電が残留しているかどうかを感知し、その後方向切換部材をオンにすると、同時に圧力センサ4から出力される誘導電圧は小さくなる。当該誘導電圧が安全電圧範囲に達した時、搬送マニピュレータはアンロード動作を行うことができる。
【0043】
1つの実施形態では、支持部11には複数のウェーハコンタクタ3が均一に分布し、各ウェーハコンタクタ3の底部には圧力センサ4が設けられる。複数のウェーハコンタクタ3はウェーハに複数の支持点を提供するので、ウェーハの支持はより安定している。同時に、複数の圧力センサ4は複数組のデータを測定することができ、各位置ごとの圧力に応じてその位置の正電荷端21又は電子端22の入力電圧を調整することができる。さらに、複数組のデータの平均値に基づいて静電気発生装置2の入力電圧の平均値を得て、複数組の正電荷端21及び複数組の電子端22の入力電圧を同期的に調整することができる。もちろん、正電荷端21の入力電圧及び電子端22の入力電圧の調整方法は、上記の方法に限定されず、他の方法で調整することもできる。
【0044】
1つの実施形態では、圧力センサ4は圧電セラミックセンサである。圧電セラミックセンサは、高感度、高信頼性、高安定性を有し、高温・低温耐性及び耐湿性に優れている。
【0045】
もちろん、圧力センサ4は、圧電セラミックセンサに限定されず、圧力下で変形し圧力を電気信号に変換できる他のセンサを使用することができる。
【0046】
1つの実施形態では、基体1には複数の正電荷端21が分布し、基体1には複数の電子端22も分布しているので、ウェーハには複数の位置で力が加えられ、ウェーハとウェーハコンタクタ3との間の静摩擦力が確保される。
【0047】
図1に示すように、正電荷端21は基体1に2つ設けられ、電子端22も2つ設けられ、正電荷端21と電子端22は対称的に配置されている。
【0048】
1つの実施形態では、ウェーハコンタクタ3と正電荷端21は交互に配置され、正電荷端21はウェーハを吸着する作用力を提供し、ウェーハコンタクタ3はウェーハに支持力を提供し、吸着力と支持力は交互に分布しているため、ウェーハには均一に力が加えられる。
【0049】
同様に、ウェーハコンタクタ3と電子端22を交互に配置されるのは、ウェーハには均一に力が加えられることにも役立つ。
【0050】
図1に示すように、ウェーハコンタクタ3と正電荷端21は交互に配置され、且つウェーハコンタクタ3と電子端22は交互に配置されることで、ウェーハにはより均一に力が加えられる。1つの実施形態では、正電荷端21と電子端22は交互に配置され、正電荷端21、電子端22、正電荷端21、電子端22……は、時計回り又は反時計回りに順番に配置されており、電界の均一な分布に有利である。
【0051】
1つの実施形態では、
図8に示すように、支持部11にはプリセット経路が設けられ、正電荷端21と電子端22は同一のプリセット経路上に交互に配置される。同一のプリセット経路に正電荷端21と電子端22は交互に配置されているので、電界が均一に分布し、ウェーハには均一に力が加えられるのに役立ち、ウェーハの安定した搬送を確保し、またウェーハへの損傷を減らすのに役立つ。正電荷端21と電子端22は交互に配置されることは、正電荷端21、電子端22、正電荷端21、電子端22……が時計回り又は反時計回りに順番に配置されると理解することができる。
【0052】
プリセット経路が1本設置される場合、このプリセット経路におけるウェーハには均一に力が加えられることが確保される。正電荷端21及び電子端22はいずれも支持部11の周方向に均一に複数設置される場合、正電荷端21及び電子端22は同一の円周に交互に配置される。プリセット経路が複数本設置される場合、各プリセット経路における電界が均一に分布することが確保される。
【0053】
図8に示すように、支持部11には複数本の経路が設置され、隣接するプリセット経路では、正電荷端21と電子端22は1対1で対応している。プリセット経路が2本設置されると、2本のプリセット経路における隣接する2つの端は、それぞれ正電荷端21及び電子端22であり、プリセット経路が3本以上設置されると、任意の2本のプリセット経路における隣接する2つの端はそれぞれ正電荷端21及び電子端22であることで、すべての正電荷端21及び電子端22がいずれも交互に配置されて、支持部11全体には電界が均一に分布することが確保される。
【0054】
図1に示すように、支持部11は円環状であり、円環状の片側には電子端22及び正電荷端21が時計回りに配置されて、両側の電界が均一に分布する。
【0055】
1つの実施形態では、基体1には配線溝13が形成され、第1のワイヤ5と第2のワイヤ6はいずれも配線溝13内に設けられる。配線溝13の設置により、配線経路を限定するのに便利であり、組み立てがより簡単であり、更に、ワイヤは配線溝13内に配置されいるため、配線がより整然としている。
【0056】
1つの実施形態では、
図2に示すように、配線溝13は基体1内における中空キャビティであり、ワイヤを配線溝13内に導入できるように、配線溝13の上面及び下面はいずれも密閉され、配線溝13の端部は開放される。正電荷端21及び電子端22に対する外部環境の影響を低減し、クーロン力の安定性を向上させるように、配線溝13の上面及び下面は密閉されて正電荷端21及び電子端22に比較的に密閉された環境を提供する。
【0057】
ここで、基体1は上部ケーシング及び下部ケーシングという2つ部分を含み、上部ケーシングと下部ケーシングとの間には配線溝13が制限されて形成されることにより、配線溝13の加工が容易になり、ワイヤの取り付けも容易になる。
【0058】
なお、配線溝13は中空キャビティの構造に限定されるものではなく、基体1の表面から下向きに凹んだ溝であってもよい。
【0059】
1つの実施形態では、配線溝13は直線形、円弧形、又は蛇状の形状に沿って延び、つまりプリセット経路は直線形、円弧形、又は蛇状の形状に沿って延びる。
図8に示すように、プリセット経路は円弧形であり、支持部11の周方向には複数本の円弧形の配線溝13が設置され、各配線溝13内には複数の正電荷端21及び複数の電子端22が設置されて、クーロン力を均一に分布させる。もちろん、プリセット経路は直線形又は蛇状であってもよく、プリセット経路は直線形である場合、支持部11の輪郭形状も直線形にすることができ、プリセット経路が蛇状である場合、蛇状はS字形として理解することもでき、蛇型は支持部11におけるプリセット経路の長さを増加させ、電界をより均一にすることができる。
【0060】
1つの実施形態では、支持部11にウェーハコンタクタ3が設けられている場合、ウェーハコンタクタ3の底部には圧力センサ4が設けられ、圧力センサ4は配線溝13内に設けられる。圧力センサ4の測定精度を確保し、測定結果への環境の影響を低減するために、圧力センサ4も比較的に密閉された環境に設置される。
【0061】
1つの実施形態では、基体1には配線分配器7が接続され、配線分配器7は配線溝13の電源8に近い端に設けられる。配線分配器7はワイヤを接続するためのものであり、圧力センサ4は配線分配器7を介して電源8に接続され、正電荷端21及び電子端22のワイヤも配線分配器7を介して電源8に接続されることで、1つの電源8を介して圧力センサ4及び静電気発生装置2に同時に電力を供給できるため、構造が簡素化される。
【0062】
ここで、基体1の片側の配線分配器7は、電源8の正極端と負極端に同時に接続することができるので、支持部11の一側には、正電荷端21と電子端22を同時に設けることができ、電界を均一に分布させるのに役立つ。
【0063】
1つの実施形態では、基体1の材料は絶縁材料であり、絶縁材料はセラミック、プラスチック、ゴム等であってもよい。基体1は接続部12をさらに含み、接続部12はモータ、シリンダ等の駆動部材との接続に使用される。支持部11は中空の円環状構造であり、円環状の支持部11によりウェーハが支持され、ウェーハには均一に力が加えられ、さらに中空の部位を通してウェーハに対して他の操作を実行することができる。接続部12は支持部11の一側に位置し、接続部12と支持部11は一体に形成することができ、或いは、接合して取り付けることができ、必要に応じて選択することができる。
【0064】
1つの実施形態では、搬送マニピュレータは、電源8、基体1、静電気発生装置2、方向切換部材、ウェーハコンタクタ3及び圧電セラミックセンサを含み、ウェーハは、支持部11のウェーハコンタクタ3に落着し、静電気発生装置2の正電荷端21及び電子端22は静電気発生装置コントローラの作用下で電圧を印加し、クーロン力を発生させることにより、ウェーハコンタクタ3とウェーハとの間の静摩擦力が発生する。同時に、クーロン力の作用下で、圧電セラミックセンサは、実際に発生したクーロン力の大きさを感知して、それを中央処理装置にフィードバックすることができる。中央処理装置は、予め準備された関係モデルに従って、静電気発生装置2の入力電圧を調整して、ウェーハが常に支持部11上に位置し、搬送マニピュレータがウェーハをシステムの指定位置に運ぶことを確保する。指定位置に到達した後、圧電セラミックセンサは、圧力による誘導電圧により、電源8が静電気発生装置2への電力供給を停止した後、静電気が残留しているかどうかを感知し、方向切換部材をオンにするかどうかを判断することができる。方向切換部材をオンにすると、電セラミックセンサの圧力による誘導電圧が小さくなり、当該誘導電圧が安全電圧範囲に達した時、搬送マニピュレータはアンロード動作を行うことができ、ウェーハを安全且つ完全に指定位置に配置することができる。
【0065】
本願の第2の形態の実施形態はマニピュレータを搬送するためのウェーハ吸着力調整システムを提供し、当該システムは、N個の圧力センサ4、N個のウェーハコンタクタ3、中央処理装置、静電気発生装置コントローラ、及び静電気発生装置2を含み、Nは3以上の正の整数である。静電気発生装置2は、静電気発生装置コントローラの電圧出力端に接続されており、ウェーハと誘導電荷を発生させるように静電荷を発生させるためのものである。N個の圧力センサ4は、それぞれN個のウェーハコンタクタ3に接続されており、ウェーハがウェーハコンタクタ3に配置されたと確定した後、ウェーハの圧力値を取得するためのものである。中央処理装置は、N個の圧力センサ4の出力端に接続されており、圧力値と予め設定された関係モデルに基づいて対応する現在の目標電圧値を確定し、現在の目標電圧値を使用して静電気発生装置コントローラを駆動し、現在の実際電圧値を出力させて、静電気発生装置2に対応する静電荷を発生させる。ここで、予め設定された関係モデルは、圧力値と目標電圧値との対応関係が設定された。
【0066】
具体的には、ウェーハコンタクタ3の底部には、N個の圧力センサー4、つまり、第1の圧力センサ、第2の圧力センサ……第Nの圧力センサが1対1の対応で設置されることにより、ウェーハコンタクタ3にウェーハが配置された場合、ウェーハは圧力センサ4に対して圧力を発生させることができ、圧力センサ4はウェーハによる圧力値を取得する。
【0067】
さらに、
図6、
図7に示すように、異なるタイプのウェーハは異なる程度の静摩擦力を必要とし、静摩擦力と圧力センサ4の出力電圧は対応関係が存在し、又、圧力センサ4の出力電圧と静電気発生装置2の入力電圧は対応関係が存在するので、静摩擦力と静電気発生装置2の入力電圧との間の対応関係を見つけることができる。静電気発生装置2の入力電圧は静電気発生装置2によって生成される目標電圧値である。これにより、異なるタイプのウェーハに異なる目標電圧値を入力することができ、対応する静摩擦力を生成することができる。
【0068】
具体的には、予め設定された関係モデルをプリセット静電制御電圧テーブルの形として設定することができるので、圧力センサ4が電圧信号、即ち圧力値の信号を伝達した後、圧力値に従ってプリセット静電制御電圧テーブルにおいて対応する目標電圧値を検索することができ、プリセット静電制御電圧テーブルには圧力値範囲と対応する目標電圧値とが設定されている。
【0069】
もちろん、関数の形で圧力値と目標電圧値との関係を表すことで、より正確な目標電圧値を得ることもできる。つまり、予め設定された関係モデルは圧力値と目標電圧値との関数関係式である。圧力値を取得した後、関数関係式を使用して目標電圧値を計算することができる。
【0070】
ただし、本実施形態の方法は上記実施形態における搬送マニピュレータに適用し、静電気発生装置2の正電荷端21及び電子端22はいずれも搬送マニピュレータに設けられ、電源8は正電荷端21及び電子端22に電力を供給するためものである。
【0071】
上記の実施形態のいずれかに基づいて、本願の実施形態は中央処理装置に接続される警報モジュールが設けられ、中央処理装置は現在の目標電圧値と現在の実際電圧値を取得し、現在の目標電圧値と現在の実際電圧値との差が予め設定された閾値を超えているかどうかを判断することにも用いられ、現在の閾値を超えると、警報モジュールがトリガーされる。
【0072】
更に、中央処理装置は、現在の目標電圧値と現在の実際電圧値を取得し、現在の目標電圧値と現在の実際電圧値との差が予め設定された閾値を超えているかどうかを判断することにも用いられ、予め設定された閾値を超えていないと、現在の目標電圧値と現在の実際電圧値を利用して予め設定された関係モデルを修正して、修正電圧モデルを取得する。
【0073】
具体的には、予め設定された関係モデルを修正する場合、中央処理装置は、具体的には、現在の目標電圧値が現在の実際電圧値より小さいと、予め設定された関係モデルにおける目標電圧値を小さく調整し、現在の目標電圧値が現在の実際電圧値より大きいと、予め設定された関係モデルにおける目標電圧値を大きく調整することにも用いられる。
【0074】
上記の実施形態に基づいて、本実施形態では、ウェーハの配置位置に偏差があるかどうかを知るために、中央処理装置は、N個の圧力センサ4に対応するN個の圧力値のいずれか1つと他の圧力値との偏差が閾値を超えると、ウェーハ配置エラー警報を発することにも用いられる。つまり、ウェーハが正しい位置に配置されている場合、N個の圧力センサ4の圧力値は同じであるべき、ただし、そのうちの1つが異常である場合、異常のある圧力センサー4の受けた圧力は大きすぎたり少なすぎたりし、ウェーハが間違った位置に配置されたことを意味する。
【0075】
以下、本願の実施形態に係る搬送マニピュレータ用のウェーハ吸着力調整方法を説明し、以下に説明する搬送マニピュレータ用のウェーハ吸着力調整方法、及び以上に説明した搬送マニピュレータ用のウェーハ吸着力調整システムは対応して参照することができる。
【0076】
本願の実施形態に係る搬送マニピュレータ用のウェーハ吸着力調整システム及び方法では、異なる仕様のウェーハの重量が異なることにより、静電気発生装置2によって生成される静電荷が異なるように制御して、ウェーハとの静電誘導により吸着力を発生させることで、異なる正の圧力を生成し、ウェーハの移送中の静摩擦力を確保する。正の圧力はウェーハコンタクタ3の下の圧力センサ4によって電気信号の圧力値に変更することができることにより、様々なプロセスの下で異なる厚さのウェーハの滑りなしの搬送が実現される。
【0077】
本願の実施形態は、上記のウェーハ吸着力調整システムのいずれかに適用される、搬送マニピュレータ用のウェーハ吸着力調整方法を更に提供し、具体的には、中央処理装置によって実行され、当該方法は、
ウェーハがウェーハコンタクタ3に配置されたと確定した後、ウェーハの圧力値を取得するステップS61と、
圧力値及び予め設定された関係モデルに基づいて対応する現在の目標電圧値を確定するステップS62と、
現在の目標電圧値を使用して静電気発生装置コントローラを駆動し、現在の実際電圧値を出力させて、対応する静電荷を静電気発生装置2に生成させるステップS63とを含み、
ここで、予め設定された関係モデルには、圧力値と目標電圧値との対応関係が設定されている。
【0078】
さらに、具体的には、中央処理装置によって実行され、当該方法は、具体的には、
現在の目標電圧値及び現在の実際電圧値を取得するステップS71と、
現在の目標電圧値と現在の実際電圧値との差が予め設定された閾値を超えているかどうかを判断するステップS72と、
現在の閾値を超えていないと、現在の目標電圧値と現在の実際電圧値を使用して予め設定された関係モデルを修正して、修正電圧モデルを取得するステップS73と、をさらに含む。
【0079】
本願の第3の形態的実施形態は、搬送マニピュレータ用のウェーハ検査システムを提供し、当該システムは、N個の圧力センサ4、N個のウェーハコンタクタ3、及び中央処理装置を含み、Nは3以上の正の整数である。N個の圧力センサ4は、それぞれN個のウェーハコンタクタ3に接続されており、ウェーハがウェーハコンタクタ3に配置されたと確定した後、ウェーハの圧力値を取得するためのものであり、圧力値はN個の圧力センサ4の出力値の合計である。中央処理装置は、N個の圧力センサ4の出力端に接続されており、圧力値とプリセット圧力値テーブルに基づいてウェーハのタイプを判断し、判断結果を取得するためのものである。ここで、プリセット圧力値テーブルには圧力値範囲及び対応するウェーハタイプが設定されてる。
【0080】
具体的には、
図1に示すように、各ウェーハコンタクタ3の底部には、圧力センサ4が1対1の対応で設置され、ウェーハコンタクタ3にウェーハが配置された場合、ウェーハは圧力センサ4に対して圧力を発生させることができ、圧力センサ4はウェーハによる圧力値を取得する。圧力値はN個の圧力センサ4の出力値の合計であり、つまり、各圧力センサ4で測定された圧力値を合計する必要がある。ウェーハが正しく配置されて中央に位置する場合、各圧力センサ4で測定された圧力値は同じであるが、ウェーハが中央に位置していない場合、各圧力センサ4の圧力値は異なる可能性があり、ただし、異なっていても、センサの出力値の合計は、ウェーハによって生成された合計圧力値に対応する。
【0081】
具体的には、中央処理装置が圧力センサ4によって発生された圧力を使用して判断を行う場合、中央処理装置は、具体的にプリセット圧力値テーブルにおいて圧力値と対応する圧力値範囲を検索し、圧力値テーブルには対応する圧力値範囲が存在すると、圧力値範囲に対応するウェーハタイプを確定し、圧力値テーブルには対応する圧力値範囲が存在しないと、異常警報信号を発するためのものである。例えば、圧力値は5であり、プリセット圧力値テーブルには、第1の圧力値範囲1~2、第2の圧力値範囲2~3、第3の圧力値範囲3~4が存在する。この3つの圧力範囲しか存在しない場合は、現在のウェーハが異常のウェーハであることを意味し、この時異常警報信号を発する必要がある。ただし、プリセット圧力値テーブルには第4の圧力値範囲4~5が存在すると、現在のウェーハは第4の圧力値範囲に属するため、現在のウェーハのタイプを判別することができる。もちろん、プリセット圧力値テーブルには第1の圧力値範囲、第2の圧力値範囲……等の圧力値範囲に対応するウェーハタイプも存在する。具体的には、ウェーハタイプは加工タイプであってもよく、様々な顧客からのタイプであってもよい。
【0082】
ただし、ウェーハが搬送マニピュレータに配置されているかどうかを確認するために、ウェーハ検査システムに撮像装置を更に設置することもでき、撮像装置は搬送マニピュレータのリアルタイム画像を撮影するためのものであり、中央処理装置はさらに、リアルタイム画像を受信し、リアルタイム画像に基づいて、ウェーハがウェーハコンタクタ3に配置されているかどうかを判断し、ウェーハがウェーハコンタクタ3に配置されている場合、圧力センサ4を起動することにも用いられ、つまり、ウェーハの画像認識によってウェーハがプリセットの位置に位置するかどうかを判断する。もちろん、中央処理装置にニューラルネットワークを設定し、当該ニューラルネットワークに対して、ウェーハがプリセットの位置に位置することを識別する図像サンプルを訓練する。
【0083】
本願の実施形態は、上記の実施形態のいずれか1つのウェーハ検査システムに適用される、搬送マニピュレータ用のウェーハ検査方法を更に提供し、当該方法は、
ウェーハがウェーハコンタクタ3に配置されたと確定した後、ウェーハの圧力値を取得するステップS41と、
圧力値及びプリセット圧力値テーブルに基づいてウェーハのタイプを判断し、判断結果を取得し、ここで、プリセット圧力値テーブルには圧力値範囲及び対応するウェーハタイプが設定されているステップS42とを含む。
【0084】
さらに、圧力値及びプリセット圧力値テーブルに基づいてウェーハのタイプを判断し、判断結果を取得するステップは、具体的に、
プリセット圧力値テーブルにおいて圧力値と対応する圧力値範囲を検索するステップS51と、
圧力値テーブルには対応する圧力値範囲が存在すると、圧力値範囲に対応するウェーハタイプを確定するステップS52と、
圧力値テーブルには対応する圧力値範囲が存在しないと、異常警報信号を発するステップS53とを含む。
【0085】
本願の実施形態に係る搬送マニピュレータ用のウェーハ検査システム及び方法には、圧力センサ4が追加され、圧力センサ4によって得られたウェーハの圧力値に基づいて、当該ウェーハのタイプ及び異常の有無を判断することができるため、様々なウェーハ仕様を効果的に識別でき、ウェーハの異常を発見することができる。
【0086】
上記の実施形態は、本願を説明するためのものに過ぎず、限定するためのものではない。本願は実施形態を参照して詳細に説明されてきたが、当業者であれば、本願の技術的解決策に対して行われた様々な組み合わせ、修正又は同等の置換は、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、いずれも本願の特許請求の範囲内でカバーされるべきであることが理解できる。
【符号の説明】
【0087】
1-基体、11-支持部、12-接続部、13-配線溝、2-静電気発生装置、21-正電荷端、22-電子端、3-ウェーハコンタクタ、4-圧力センサ、5-第1のワイヤ、51-第1の抵抗、52-第2の抵抗、53-第1のコンデンサ、6-第2のワイヤ、61-第3の抵抗、62-第4の抵抗、63-第2のコンデンサ、7-配線分配器、8-電源、81-第1の直流電源発生器、82-第2の直流電源発生器、91-方向切換スイッチ、92-第1のスイッチ、93-第2のスイッチ。